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▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧 ▶ トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】周期的プラズマエッチングプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
H01L21/302 101E
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545907
(86)(22)【出願日】2022-01-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 US2022013740
(87)【国際公開番号】W WO2022164820
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/162,623
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BA03
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB25
5F004BD03
5F004CA02
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA03
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA26
5F004DA28
5F004DB00
5F004EA03
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
5F004EB01
(57)【要約】
基板を処理する方法が、複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施することを含み、複数のサイクルの各サイクルは、基板の表面を、非重合フッ素化合物を含む第1のガス状混合物を用いて形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに曝すことにより、基板の表面との化学反応を生じさせることと、基板上に第2のガス状混合物を流すことにより、基板を冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去し、同時に基板の表面との化学反応を抑制することと、基板の表面を、窒素及び水素を含むガスを含む第3のガス状混合物を用いて形成された第2のガス放電プラズマから抽出された水素ラジカルに曝すことにより、プラズマ表面改質プロセスを実施することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、当該方法は、
複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施するステップを有し、
前記複数のサイクルの各サイクルは、
非重合フッ素化合物を含む第1のガス混合物を用いて形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに、前記基板の表面を曝すことにより、前記基板の前記表面との化学反応を生じさせるステップ、
前記基板にわたって第2のガス混合物を流し、同時に前記基板の前記表面との前記化学反応を抑制するステップ、および
窒素および水素を含むガスを含む第3のガス混合物を用いて形成された第2のガス放電プラズマから抽出された水素ラジカルに、前記基板の前記表面を曝すステップ、
を有する、方法。
【請求項2】
前記基板の前記表面は、
シリコン系材料を含む第1の部分と、
有機材料を含む第2の部分と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フッ素ラジカルに前記基板の前記表面を曝すステップにより、前記有機材料に対して選択的に前記シリコン系材料が除去される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水素ラジカルに前記基板の前記表面を曝すステップは、前記基板の前記表面を化学的に改質させ、
前記表面を化学的に改質させるステップは、
シリコン系材料を含む前記第1の部分に水素および窒素の吸着層を形成するステップと、
有機材料を含む前記第2の部分を脱フッ素化するステップと、
を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のガス混合物は、三フッ化窒素または六フッ化硫黄を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のガス混合物を流すステップにより、前記基板が冷却され、残留したガス状副生成物が除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基板の前記表面との化学反応を抑制するステップは、前記第2のガス混合物がガス放電プラズマを形成することを防止するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
フッ素ラジカルに前記基板の前記表面を曝すステップ、前記基板にわたって前記第2のガス混合物を流すステップ、および水素ラジカルに前記基板の前記表面を曝すステップは、3つの空間的に重なり合わない領域で実施され、
前記3つの空間的に重なり合わない領域の隣接する領域間に、不活性ガスのカーテンが配置され、
前記周期的エッチングプロセスの1つのサイクルを実施するステップは、前記3つの空間的に重なり合わない領域を介して前記基板を連続的に移動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
基板を処理する方法であって、当該方法は、
複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施するステップを有し、前記複数のサイクルの各サイクルは、
シリコン系材料を含む前記基板の表面にプラズマエッチングプロセスを実施して、前記シリコン系材料を部分的に除去するステップ、
前記基板を冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去するステップ、および
前記基板にプラズマ表面改質プロセスを実施するステップ、
を有する、方法。
【請求項10】
さらに、プラズマ処理チャンバ内で前記複数のサイクルをin-situで実施するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プラズマエッチングプロセスは、第1の時間間隔で実施され、冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去するステップは、第2の時間間隔で実施され、前記プラズマ表面改質プロセスは、第3の時間間隔で実施され、
前記第1の時間間隔、前記第2の時間間隔および前記第3の時間間隔は、重なり合わない時間間隔である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
さらに、
前記複数のサイクルを実施するプラズマ処理チャンバ内の圧力を前記第1の時間間隔後に増加させるステップと、
前記第2の時間間隔中に、前記プラズマ処理チャンバ内の増加した前記圧力を維持するステップと、
前記第2の時間間隔後に前記プラズマ処理チャンバ内の前記圧力を低減するステップと、
を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマエッチングプロセスを実施するステップは、
ガス放電プラズマを形成するステップであって、前記プラズマは、フッ素ラジカルを含み、
前記ガス放電プラズマを形成するステップは、非重合フッ素化合物を含むガス混合物に無線周波数(RF)電力を結合させるステップを含む、ステップと、
非重合フッ素ベース化学物質を用いてシリコン系材料を除去するステップと、
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記基板を冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去するステップは、
前記プラズマ処理チャンバから無線周波数(RF)電力をデカップリングさせることにより、前記ガス放電プラズマを消滅させるステップと、
前記プラズマ処理チャンバを通るガス混合物のガス流量を増加させるステップと、
を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマ表面改質プロセスを実施するステップは、
窒素および水素を含むガスを含むガス混合物を用いてガス放電プラズマを形成するステップであって、前記プラズマは、水素ラジカルを含む、ステップと、
前記基板の前記表面を水素ラジカルと化学的に反応させるステップであって、前記表面を反応させるステップは、
シリコン系材料を含む前記基板の前記表面の一部に、水素と窒素の吸着層を形成するステップ、および
ガス状フッ化水素を形成することにより、前記基板の前記表面の残留部分に吸着されたフッ素ラジカルを除去するステップ
を含む、ステップと、
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
半導体デバイスを製造する方法であって、当該方法は、
基板における下層に隣接してパターン化された層のスタックを形成するステップであって、前記パターン化された層のスタックは、
前記下層に隣接する有機層と、
前記有機層上のシリコン系材料を含むハードマスク層と、
を有する、ステップと、
プラズマ処理チャンバ内に前記基板を装填するステップと、
前記プラズマ処理チャンバ内で周期的プラズマエッチングプロセスをin-situで実施するステップと、
を有し、
前記周期的プラズマエッチングプロセスは、シリコン系材料を含む前記ハードマスク層を前記有機層に対して選択的に除去する、方法。
【請求項17】
前記周期的プラズマエッチングプロセスは、複数のサイクルを含み、前記複数のサイクルの各サイクルは、
化学ドライエッチング(CDE)プロセスを実施するステップであって、前記CDEプロセスは、三フッ化窒素または六フッ化硫黄を含む第1のガス混合物を用いて、前記プラズマ処理チャンバ内で形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに前記基板を曝すステップを有する、ステップと、
前記CDEプロセスを完了した後に、前記第1のガス放電プラズマを消滅させ、前記プラズマ処理チャンバ内の圧力を増加させるステップ、および前記基板にわたって第2のガス混合物を流すことにより前記基板を冷却させるステップと、
前記基板の前記冷却が完了した後に、前記基板の表面を水素ラジカルに曝すステップを含むプラズマ表面改質プロセスを実施するステップであって、前記水素ラジカルは、前記シリコン系材料を含む前記表面を化学吸着により活性化し、揮発性フッ化水素を形成する化学反応により有機材料を含む前記表面を脱フッ素化する、ステップと、
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記シリコン系材料は、シリコンリッチ反射防止コーティング(SiARC)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記有機層は、有機誘電体層(ODL)、有機平坦化層(OPL)、スピンオン炭素(SOC)層、または非晶質炭素層(ACL)を含み、
前記下層は、窒化チタン、酸化アルミニウム、酸化チタン、または窒化アルミニウムを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記周期的プラズマエッチングプロセスを実施した後の前記有機層の側壁角度の変化は、0.5°以下である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年1月29日に出願された、「CYCLIC PLASMA ETCH PROCESS」と題する米国非仮特許出願第17/162,623号明細書の利益を主張するものであり、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、全般的には半導体デバイスを処理する方法に関し、特定の実施形態では、周期的プラズマエッチングのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、集積回路(IC)などの半導体デバイスは、基板上に誘電性物質、導電性物質、及び半導体材料の層を順次堆積させ、パターニングして、モノリシック構造で一体化された電子構成要素及び相互接続要素(例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、金属線、コンタクト、及びビア)のネットワークを形成することによって製造される。半導体デバイスの構成構造を形成するために使用される処理工程の多くが、プラズマプロセスを使用して実施される。プラズマ処理技術には、化学ドライエッチング(CDE)(例えば、プラズマアッシング)、物理エッチング又はスパッタエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)、プラズマ原子層エッチング(PEALE)、及び原子層堆積(PEALD)が含まれる。
【0004】
高機能を有する低価格の電子機器への貪欲な需要により、引き続く技術ノードごとに構成要素の充填密度をおよそ2倍にすることにより価格を低減させるために、最小フィーチャサイズは縮小されてきた。液浸フォトリソグラフィ、多重パターニング、及び13.5nm波長の極紫外線(EUV)光学システムなどの、パターニングにおける革新が、限界フィーチャサイズを10ナノメートル近傍まで縮小させてきた。同時に、有機物、強誘電体、及びカルコゲニドなどの一般的ではない材料が、製品で益々使用されている。このシナリオは、フィーチャを、正確性、精度、及びプロファイル制御を伴って、時には原子スケールの寸法でパターニングするプロセスを提供するためのプラズマ技術にとって課題を提起する。この課題を、ICの大量製造に必要な均一性及び再現性と共に満足させることは、更なる革新を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、基板を処理する方法が、複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施することを含み、複数のサイクルの各サイクルは、基板の表面を、非重合フッ素化合物を含む第1のガス状混合物を用いて形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに曝すことにより、基板の表面との化学反応を生じさせることを含む。本方法は、基板上に第2のガス状混合物を流し、同時に基板の表面との化学反応を抑制することを含む。本方法は、基板の表面を、窒素及び水素を含むガスを含む第3のガス状混合物を用いて形成された第2のガス放電プラズマから抽出された水素ラジカルに曝すことを含む。
【0006】
一実施形態では、基板を処理する方法が、複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施することを含む。複数のサイクルの各サイクルは、シリコン系材料を含む基板の表面上にプラズマエッチングプロセスを実施して、シリコン系材料を部分的に除去することと、基板を冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去することと、基板上にプラズマ表面改質プロセスを実施することと、を含む。
【0007】
一実施形態では、半導体デバイスを製作する方法が、基板における下層に隣接してパターン形成された層の積層体を形成することを含む。パターン形成された層の積層体は、下層に隣接する有機層と、有機層上にシリコン系材料を含むハードマスク層とを含み、基板をプラズマ処理チャンバ内に装填することを含む。本方法は、プラズマプロセスチャンバ内で周期的プラズマエッチングプロセスをインサイチュで実施することを含み、周期的プラズマエッチングプロセスは、シリコン系材料を含むハードマスク層を有機層に対して選択的に除去する。
【0008】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の記載を添付図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A-1C】様々な実施形態による周期的プラズマエッチングプロセスを受けている製造プロセスフローの製造の様々な中間段階における基板の断面図を示し、図1Aは入来する基板を示し、図1Bはパターン転写エッチング後を示し、図1Cは周期的プラズマエッチングプロセスの完了後を示す。
図1D】様々な実施形態による周期的プラズマエッチングプロセスのフロー図を示す。
図1E図1Dのフロー図に示す周期的プラズマエッチングプロセスの詳細なフロー図である。
図2図1Dのフロー図に示す周期的プラズマエッチングプロセスの時間多重の実現形態を実施するプラズマシステムの断面図を示す。
図3図1Dのフロー図に示す周期的プラズマエッチングプロセスの空間的に分離された実現形態を実施するプラズマシステムの断面図を示す。
図4A-4F】図1Dのフロー図に示す周期的プラズマエッチングプロセスを含む製造プロセスフローにおける製造の様々な中間段階における基板を示し、図4Aは、パターン形成された犠牲マスク層を形成した後の基板を示し、図4Bは、シリコン系層をパターニングした後の基板を示し、図4Cはパターンを有機層に転写した後の基板を示し、図4Dはプラズマ化学ドライエッチング(CDE)プロセス後の基板を示し、図4Eはクールダウン及びクリーンアッププロセス後の基板を示し、図4Fはプラズマ表面改質プロセスを示す。
図4G図4A図4Fに示す周期的プラズマエッチングプロセスを完了した後の基板の断面図を示す。
図5図1Dのフロー図に示す周期的プラズマエッチングプロセスの時間多重の実現形態の1つのサイクルのタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、有機物への選択制を有してシリコン系材料を除去する周期的プラズマエッチング方法の実施形態について記載する。本明細書に記載される実施形態は、下にある有機層からの材料の損失を減らし、エッチャントに曝され得るパターン形成された有機層におけるフィーチャの側壁の変形を減らし、エッチング副生成物の堆積により生じる欠陥を減らしながら、シリコン系材料を効率的に除去するという利点を提供する。革新的な方法は、以下で更に説明するように、エッチングプロセスが3つの分離された構成要素に分割されることを可能にする周期的エッチング技術を用いることにより、これらの利点を達成する。
【0011】
周期的プラズマプロセスを実現する一般的な実施形態が、図1A図1Cの断面図、並びに図1D図1Eのフローチャートを用いて説明される。本方法の更なる詳細及び実施形態が、図4A図4F及び図5を用いて説明される。本方法を実現するシステムが、図2及び図3を用いて説明される。
【0012】
図1Aを参照すると、周期的プラズマエッチングテクニックは、基板層111における層の積層体に対して実施され得る。図1Aでは、最上層は、除去プロセスのターゲット層であるシリコン系層141である。以下で詳細に説明される処理が、シリコン系層141の下に配置された有機層131に対して選択的にシリコン系材料を除去する。有機層131の下には、基板層111として集合的に示される層の積層体上に形成された下層121がある。周期的プラズマエッチングを含むプロセスフローのいくつかの実施形態では、周期的プラズマエッチングのための入来する基板は、第1の中間構造101内の層の積層体であり得る。いくつかの他の実施形態では、周期的プラズマエッチングのための入来する基板は、図1Bに示す第2の中間構造103における層の積層体であり得る。第2の中間構造103は、第1の中間構造101のシリコン系層141及び有機層131をパターニングすることによって形成され得る。
【0013】
様々な実施形態では、シリコン系層141は、シリコン反射防止コーティング(SiARC)として使用される材料、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又はシリコンリッチ酸化ケイ素、を含み得る。有機層131は、有機誘電体層(ODL)、有機平坦化層(OPL)、スピンオン炭素(SOC)、又は非晶質炭素層(ACL)を含み得る。下層121は、例えば、窒化チタン、酸化アルミニウム、酸化チタン、又は窒化アルミニウムを含み得る。
【0014】
図1Bは、エッチングマスクとしてのパターニングされたシリコン系層141とエッチング停止層としての下層121とを使用してパターン転写エッチングが実施されて有機層131がパターニングされた後の、パターニングされた第2の中間構造103を示す。シリコン系層141は、適切なフォトリソグラフィ及びプラズマエッチング技術を使用してパターニングされた可能性がある。図4A図4Cを参照して以下で更に詳細に説明するように、シリコン系層141及び有機層131をパターニングするために使用されたプロセス工程は、シリコン系層141及び有機層131をパターニングするために使用されたプロセス工程と同じであり得る。
【0015】
様々な用途において、周期的プラズマエッチングを使用して、図1Bに示すパターン形成されたシリコン系層141が剥離されてもよい。周期的プラズマエッチングプロセスは、露出した有機層131及び露出した下層121に選択性を有しながら、シリコン系層141を第2の中間構造103から除去し、同時にパターン形成されたフィーチャ、例えば図1Bの空洞133の完全性を保つように設計されている。
【0016】
図1Cに示す第3の中間構造105は、プラズマ周期的エッチングが完了した後の構造を示す。先に言及し、図1B及び図1Cに示すように、プラズマ周期的エッチングプロセスを使用してシリコン系層141を取り除くことの1つの利点は、シリコン系層141が取り除かれた後に、空洞133の元々の寸法及び形状が、(図1Cの)空洞135において殆ど保たれることである。シリコン系層141を取り除くプロセスは、有機層131におけるパターン形成されたフィーチャを殆ど変形させなかった。フィーチャの変形は、空洞135の表面に沿った縁部が丸みを帯びること、空洞135の底部でのアンダーカット及びえぐれ、側壁プロファイルの変化、及び表層粗さの増加を含み得る。製造中に監視される測定基準のいくつかは、パターン形成されたフィーチャの変形により影響を受ける。これらは、限界寸法(CD)、例えば空洞135の幅、及び空洞135の側壁の側壁角度を含む。様々な実施形態では、プラズマ周期的エッチングを使用してシリコン系層141を取り除くことにより、CDの、その目標値からの変化に対する上限が1nm~約1.8nmであってもよく、側壁角度の変化に対する上限が0.4°~0.5°であってもよく、その場合、CDに対するそれぞれの目標値は約10nm~約18nmであってもよく、側壁角度に対するそれぞれの目標値は約85°~約90°であってもよい。
【0017】
周期的プラズマエッチングの3つの分離された構成要素が、図1Dに示すフロー図で説明されている。図1Eに示すより詳細なフロー図が、各構成要素の機能を説明している。
【0018】
図1Dは、露出したシリコン系材料を基板から除去するために使用することができる周期的プラズマエッチングプロセス100のフロー図を示す。図1Dに示すように、各サイクルは、基板に対して引き続き実施される3つの分離された構成要素を含む。最初に、基板の表面を、非重合フッ素化合物を含む第1のガス状混合物を用いて形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに曝すことにより、シリコン系材料を除去するプラズマ化学ドライエッチング(CDE)プロセス110が実施される。CDEのために使用するエッチング化学物質は、有機材料と、有機層の下にある下層の材料とに対して選択的にシリコン系材料を除去する。一実施形態では、CDEプロセスは、シリコン系材料を等方的に除去する。その後に、受動的クールダウン及びクリーンアッププロセス130が続き、その間、例えばプラズマをパワーダウンすることにより、化学反応が抑制される。化学反応を誘起することのない第2のガス状混合物を流すことは、基板の冷却、及び残留したガス状副生成物の除去による表面のクリーンアップという2つの目的に適合することができる。クールダウン及びクリーンアッププロセスが完了した後、基板の表面を、窒素及び水素原子を含有するガスを含む第3のガス状混合物を用いて形成された第2のガス放電プラズマから抽出された水素ラジカルに曝すことにより、プラズマ表面改質プロセス150が実施される。
【0019】
ここで図1Eを参照すると、1つ以上の実施形態では、プラズマ化学ドライエッチング(CDE)プロセス110は、第1のガス放電プラズマを形成してフッ素ラジカルを生成すること(箱112)と、基板の表面をフッ素ラジカルの流束に曝してシリコン系材料を除去すること(箱114)とを含む。箱112に示すように、プラズマを形成する際に使用される第1のガス状混合物は、非重合フッ素化合物を含む。様々な実施形態では、第1のガス状混合物は、三フッ化窒素(NF)、六フッ化硫黄(SF)又は四フッ化炭素(CF)を含んでもよい。第1のガス状混合物は、アルゴン及びヘリウムなどの不活性ガスを希釈剤として含んでもよい。少量の酸素(O)が、SFと共に添加されてもよい。同様に、SFの代わりにCFが使用される場合、少量のOが添加されてもよい。O含有量は、例えば、第1のガス状混合物のために使用されるプロセスガスの総量の2%~10%であってもよい。少量のOを添加することにより、固体硫黄又は炭素化合物の堆積を効果的に抑制することができる。窒素を含む固体堆積物が形成されないので、酸素をNFに添加することはできない。
【0020】
シリコン系層141(図1Bに示される)を取り除くために使用されるエッチング化学物質にとって、固体副生成物は望ましくない。なぜなら、固体副生成物は、表面上にランダムに堆積し、シリコン系材料を除去するために用いる化学反応を阻止することにより、欠陥を生じさせる場合があるからである。図1B及び図1Cにおける有機層131の露出された表面上に、多くの場合に不均一に形成され堆積されるポリマーを生じさせ得る反応ガスが回避される。例えば、ヒドロフルオロカーボン(CHF、CHF及びCH)、又は比較的高い炭素含有量を有するペルフルオロカーボン(例えば、C及びC)がフッ素ラジカルの供給源として使用される場合、重合反応が起こる可能性がある。ポリマーは、図1Cの空洞135の側壁に沿って堆積し、CD(開口部の幅)及び空洞135の側壁角度を変化させる場合がある。本開示に記載されるプラズマCDEプロセス110の実施形態では、フッ素エッチング化学物質は、固体副生成物の堆積が抑制されるように選択される。周期的プラズマエッチングプロセス100のために使用されるフッ素ラジカルの供給源としては、ヒドロフルオロカーボン(CHF、CHF及びCH)が除外される。ヒドロフルオロカーボンにおける水素の存在は、重合による固体副生成物の形成を誘発し得る。比較的高い炭素含有量を有するペルフルオロカーボンを使用するエッチング化学物質において重合が生じる場合があるので、C及びCなどのペルフルオロカーボンも除外される。炭素とフッ素との比率が高いほど、シリコン系材料を除去するために用いる化学反応が重合を生じさせ易くなり、有機層131の表面上に固体堆積物が生じる可能性が高くなる。
【0021】
上述したように、NFを使用するエッチング化学物質は、非重合性であり、エッチングプロセス中に固体堆積物は生じない。CF及びSFの非重合性特性は、CFにおける炭素とフッ素原子の低い比率(CFでは、C:F=1:4)、及びSFにおける硫黄とフッ素原子の低い比率(SFでは、S:F=1:6)に起因し得る。固体副生成物が無視できる非重合エッチング化学物質は、しばしばリーンエッチング化学物質と呼ばれる。周期的プラズマエッチングプロセス100の様々な実施形態におけるフッ素の供給源がNF、CF、又はSFのいずれかであるので、本開示の例示的実施形態においてシリコン系材料をエッチングするために用いるエッチング化学物質は、図1Eの箱114に示すように、リーン化学物質又は非重合フッ素ベース化学物質と呼ばれる場合がある。
【0022】
フッ素ラジカルの流束は、シリコンと反応して揮発性のガス状副生成物である四フッ化ケイ素(SiF)を形成することにより、シリコン系材料を化学的に除去する。他の揮発性ガス状副生成物は、NFを用いる実施形態では、窒素の酸化物(例えば、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、及び亜酸化窒素(NO))、SFを用いる実施形態では、硫黄の酸化物及びオキシフルオライド(例えば、SO及びSOF)、及び、CFを用いる実施形態では、炭素の酸化物(例えば、CO及びCO)を含み得る。有機材料及び下層の露出表面は、露出された有機材料上でのフッ素ラジカルの吸着によりフッ素化され得る。
【0023】
図1D及び図1Eに示すように、受動的クールダウン及びクリーンアッププロセス130が、プラズマ化学ドライエッチング(CDE)プロセス110後に実施される。シリコン系材料を除去するために用いる化学反応は発熱性である。温度が有機材料のガラス転移温度に近い温度まで上昇する場合、基板温度は急速に上昇する場合があり、有機層におけるフィーチャの熱変形をもたらす場合がある。クールダウン及びクリーンアッププロセス130中に、基板を冷却し、残留したガス状副生成物を除去するために、十分に高い流量の第2のガス状混合物が使用される。箱132及び134に示すように、第2のガス状混合物が基板上を流れるにつれて第2のガス状混合物により化学反応が誘起されないことを確実にするために、クールダウン及びクリーンアッププロセス130はプラズマを形成せずに実施される。プラズマシステムへの無線周波数(RF)電力を遮断することにより、クールダウン中のプラズマ形成を防止でき、その場合、時間多重化を使用して各サイクルの3つの構成要素を時間的に分離することにより周期的プラズマプロセスが実現される。空間的に分離された実現形態では、基板は、RF電源に結合されていないプラズマシステムの部分に移動される。箱134に示すように、より効率的な冷却及びクリーンアップのためにガス流量の増加を実現するために、比較的高い圧力が選択されてもよい。第2のガス状混合物の組成は、プラズマが存在しないとき、一般的な温度においてガスが基板の表面を化学的に改質しないように選択される。一実施形態では、第2のガス状混合物で使用されるガスは、サイクルの次の構成要素で使用されるプロセスガスと同じに選択される。
【0024】
図1D及び図1Eに示す周期的プラズマエッチングプロセス100のフロー図から分かるように、次の構成要素は、サイクルの第3の最後の構成要素であり、その間、プラズマ表面改質プロセス150が実施される。図1Eの箱152に示すように、プラズマ表面改質プロセス150のための第3のガス状混合物を使用して第2のガス放電プラズマが形成される。第3のガス状混合物の組成は、水素と、少量のフッ素供給源(例えば、NF、CF、又はSF)とを含む。一実施形態では、第3のガス状混合物は、NF及びHを含む。他の実施形態では、第3のガス状混合物は、CF及びH、又はSF及びHを含む。少量の酸素が、任意選択で第3のガス状混合物に含まれてもよい。
【0025】
プラズマ表面改質プロセス150は、基板の表面を、第2のガス放電プラズマから抽出された水素ラジカルに曝すことを含む。図1Bに示すように、エッチングマスクとしてのシリコン系層141及びエッチングストップ層としての下層121を使用して有機層131をパターニングした後、第2の中間構造103の表面は、シリコン系材料を含む第1の部分(例えば、上部の平坦面)、有機材料を含む第2の部分(例えば、フィーチャの側壁)、及び有機層131の下に下層121を含む第3の部分(例えば、底部壁)有し得る。水素ラジカルへの曝露が、表面の第1の部分を、表面の他の部分と比較して異なるように改質する。
【0026】
シリコン系層141の表面は表面改質プロセスで活性化され、そのとき、シリコン系層141の表面(第1の部分)に水素が付着し、それにより、次のサイクルにおいてSi系材料の除去が促進される。表面改質なしでは、エッチング速度はより低いであろう。水素と、表面の第2及び第3の部分との相互作用は、吸着されたフッ素を化学的に除去する表面リセットである。表面改質プロセス中、有機層131及び下層121(第2及び第3の部分)の露出した表面は、水素と化学的に反応してHF蒸気を形成することにより脱フッ素化され、HF蒸気はプロセスチャンバからポンプで排出される。
【0027】
上で論じたように、(図1D及び図1Eにおける)プラズマ表面改質プロセス150は、シリコン系層141の表面活性化及び有機層131の表面リセットのために水素プラズマを使用する。加えて、第3のガス状混合物に少量のフッ素供給源(例えば、NF、CF又はSF)を含めることにより、プラズマCDEプロセス110中におけるよりも遙かに低い除去速度においてではあるが、シリコン系層141は継続してエッチングされることが可能になる。
【0028】
いくつかの実施形態では、時間多重化を使用して各サイクルの3つの構成要素を時間的に分離することにより、周期的プラズマプロセスが実現されてもよい。基板はプラズマチャンバ内に装填されてもよく、周期的プラズマプロセスの各サイクルの3つの構成要素は、プラズマプロセスチャンバ内で3つの連続する重なり合わない時間間隔でインサイチュで実施されてもよい。いくつかの他の実施形態では、図3を参照して以下で更に詳細に説明するように、周期的プラズマプロセスの3つの構成要素は、プラズマチャンバの3つの空間的に分離された区画を通して基板を移動させることにより分離できる。
【0029】
時間多重の周期的プラズマプロセスの一実施形態では、上述したように、シリコン系材料を除去するプラズマCDEは、第1の時間間隔中に第1のガス状混合物を使用して実施されてもよい。
【0030】
上述したように、第2の時間間隔中に、基板は冷却されてもよく、並行して第2のガス状混合物を使用してガス流を形成することにより、残留したガス状副生成物が除去されてもよい。化学反応を抑制するために、例えば、RF電力からプラズマをデカップリングすること又はRF電源をオフにすることにより、プラズマを消滅させてもよい。プラズマチャンバ内の圧力を増加させて、流量を増加させて、効率的な冷却及びクリーンアップを実現することができる。
【0031】
第2の時間間隔に続く第3の時間間隔では、プラズマプロセスチャンバ内の圧力は再び低減されてもよく、プラズマ表面改質プロセスのための水素を含む第3のガス状混合物を使用して、第2のガス放電プラズマが点火されてもよい。上述したように、プラズマ表面改質プロセスは、シリコン系材料の表面を活性化し、水素ラジカルで脱フッ素化することにより有機材料の表面をリセットする。
【0032】
図2及び図3は、プラズマシステムの実施例を示し、このプラズマシステムを使用して、本方法が実現され、有機層上のシリコン系層を備える入来する基板上に周期的プラズマエッチングプロセスが実施される。図2は、周期的プラズマエッチングプロセスの時間多重の実現形態のためのプラズマシステムを示し、図3は、周期的プラズマエッチングプロセスの空間的に分離された実現形態のためのプラズマシステムを示す。
【0033】
各サイクルの3つの構成要素が3つの時間間隔において実行される、周期的プラズマエッチングプロセス100の時間多重の実施形態は、図2に示すプラズマシステム200において実現することができる。図2のプラズマシステム200は、基板ホルダ210上に装填された基板202の直上でプラズマを維持するように構成されたプラズマプロセスチャンバ250を備える。ガス状混合物は、ガス入口222を通してプラズマプロセスチャンバ250内に導入されてもよく、ガスは、ガス出口224を通してプラズマプロセスチャンバ250からポンプで排出されてもよい。ガス流量及びチャンバ圧力は、ガス入口222及びガス出口224に結合されたガスフローシステム220によって制御される。当業者には知られているように、ガスフローシステムは、高圧ガスキャニスター、バルブ(例えば、スロットルバルブ)、圧力センサ、ガス流センサ、真空ポンプ、パイプ、及び電子的にプログラム可能なコントローラなどの様々な構成要素を備えてもよい。RFバイアス電源234及びRFソース電源230は、プラズマプロセスチャンバ250のそれぞれの電極に結合されてもよい。プラズマプロセスチャンバ250では、基板ホルダ210もまた、RFバイアス電源234に結合された電極である。RFソース電源230は、誘電体側壁216の周りに巻き付けられた螺旋状電極232に結合されていることが分かる。図2では、ガス入口222は上部プレート212における開口部であり、ガス出口224は底部プレート214における開口部である。上部プレート212及び底部プレート214は導電性であってもよく、システム接地(基準電位)に電気的に接続されてもよい。
【0034】
プラズマシステム200は、単なる実施例である。様々な代替的実施形態では、プラズマシステム200は、上部誘電体カバー上の平面コイルに結合されたRFソース電源を有する誘導結合プラズマ(ICP)、又はプラズマプロセスチャンバ250内で円盤型上部電極を使用して維持される容量結合プラズマ(CCP)を維持するように構成されてもよい。ガス入口及びガス出口は、プラズマチャンバの側壁に結合されてもよく、いくつかの実施形態では、パルス状RF電源及びパルス状DC電源も使用されてもよい。
【0035】
図3は、不活性カーテンと呼ばれる、不活性ガスの流れにより分離されることができる、いくつかの空間的に分離された区画、を備えるプラズマプロセスチャンバを備える例示的なプラズマシステム300を示す。本明細書では、空間的に分離された区画を備えるプラズマプロセスチャンバが、空間的プラズマプロセスチャンバと呼ばれる。プラズマシステム300の空間的プラズマプロセスチャンバ340は、周期的プラズマエッチングプロセス100の空間的に分離された実現形態を実施するのに適している。プラズマシステム300において、各サイクルの3つの構成要素は、空間的プラズマプロセスチャンバ340の3つの空間的に分離された区画で実施されてもよい。図3に示すように、例えば回転可能ステージ310を使用して、空間的プラズマプロセスチャンバ340の3つの空間的に分離された区画を通して基板を移動させることにより、周期的プラズマエッチングプロセス100の各サイクルの3つの構成要素が実施されてもよい。図3の例示的実施形態では、回転可能ステージ310は、接地に電気的に結合されている。
【0036】
図3に示す断面図では、3つの断面のうちの2つが見える。第1の区画350は、例えば、図1D及び図1Eを参照して上述したプラズマCDEプロセス110である、各サイクルの第1の構成要素、を実施するために使用されてもよい。例示的な空間的プラズマプロセスチャンバ340では、第1の区画350は、RF電源314に結合された上部電極312を使用して容量結合プラズマ(CCP)を維持するように構成されている。図示する構成では、接地された回転可能ステージ310は、底部電極として機能することができる。第1のガス放電プラズマは、第1のガス入口322を通して第1の区画350内に導入された第1のガス状混合物を使用して第1の区画350内に形成されてもよい。第1のガス出口324の近くの矢印で示すように、第1の区画350の第1のガス出口324がガス流システムの真空ポンプに接続され、制御されて、所望の圧力及びガス流を維持することができる。図3に示すように、第1の区画350にある回転可能ステージ310上に装填された第1の半導体ウェハー302が、周期的プラズマエッチングプロセス100の複数のサイクルのうちの1つのサイクルの第1の構成要素を受けてもよい。引き続き、第1の半導体ウェハー302は、空間的プラズマプロセスチャンバ340の第2の区画360に移動されて、サイクルの第2の構成要素を受けてもよい。図3の破線で概略的に示す不活性カーテン330が、第1の区画350を第2の区画360から適切に隔離することができる。不活性カーテン330は、不活性ガス入口320及び不活性ガス出口326の近くの矢印で示すような、不活性ガス入口320を通して導入され不活性ガス出口326を通してポンプで排出される不活性ガス(例えば、アルゴン又はヘリウム)の流れであり得る。
【0037】
図3に示すように、第2の区画360は各サイクルのクールダウン及びクリーンアッププロセス130である第2の構成要素を実施するように指定されているので、この区画は上部電極を有しない。図1D及び図1Eを参照して前述したように、クールダウン及びクリーンアッププロセス130では、化学反応を抑制するために、第2のガス状混合物はプラズマが存在しない状態で基板上に流されてもよい。第2の区画360にある回転可能ステージ310上に装填された第2の半導体ウェハー304が、周期的プラズマエッチングプロセス100の複数のサイクルのうちの1つのサイクルの第2の構成要素を受けてもよい。図3に示すように、第2のガス状混合物は、第2のガス入口323を通して導入され、別々に制御される真空ポンプに結合された第2のガス出口325を通して流出されて、第2の区画360において所望の圧力及び流量を維持することができる。例示的なプラズマシステム300では、空間的プラズマチャンバ340は3つの区画を有し、その各々が、回転可能ステージ310上に装填された半導体ウェハーを有することができる。そのとき、回転可能ステージ310の一回転が、周期的プラズマエッチングプロセス100の1つのサイクルを実施することと等価である。
【0038】
周期的プラズマエッチングプロセス100の複数のサイクルのうちの1つのサイクルの説明では、プラズマCDEプロセス110が最初に実行される構成要素として示されているが、3つの構成要素が実施される順序が不変のままである限り、他の2つの構成要素(受動的クールダウン及びクリーンアッププロセス130、並びにプラズマ表面改質プロセス150)のいずれかが最初に実行されるように選択できると理解されることに留意されたい。例えば、周期的プラズマエッチングプロセス100は、対応する基板を処理するために使用されるプロセスフローレシピで規定されるように、最初のサイクルが、プラズマ表面改質プロセス150で始まり、プラズマCDEプロセス110が続き、受動的クールダウン及びクリーンアッププロセス130が続き、次いで、3つの構成要素のこのシーケンスが複数回反復されて、実行されてもよい。
【0039】
周期的プラズマエッチング技術の一実施形態を組み込んだ例示的な製造プロセスフローが、図4A図4Gを参照して説明される。図4A図4Fでは、周期的プラズマエッチングプロセスが、製造プロセスフローの様々な中間段階における基板の断面図を用いて示されている。このプロセスは、入来する基板に加工するために使用される処理を示し、周期的プラズマエッチングの複数のサイクルのうちの1つのサイクルを経て処理されている。図4Gは、周期的プラズマエッチングプロセスを完了した後の基板の断面図を示す。
【0040】
図4A図4Fの基板の断面図は、図1Dのフロー図に示す周期的プラズマエッチングプロセス100を含むプロセスフローの一実施例を示し、図4Gは、周期的プラズマエッチングプロセス100を完了した後の基板の断面図を示す。
【0041】
図4A図4Cは、シリコン系層440と、犠牲マスク層450を使用してパターニングされたシリコン系層440の下に配置された有機層430とを備える、基板の断面図である。有機層430の下には、基板層410として集合的に示される層の積層体上に形成された下層420がある。様々な実施形態では、図1D及び図1Eを参照して上述したように、シリコン系層440、有機層430、及び下層420は、様々な材料を含むことができる。図4Aに示す例示的実施形態では、具体化のために、シリコン系層440はSiARCを含み、有機層430はSOCを含み、下層420は窒化チタンを含む。犠牲マスク層450はフォトレジストを含み、下層420の下で隣接する基板層410の材料は中間層誘電体(ILD)として使用される低kシリコン酸化物を含む。
【0042】
図4Aに示すパターニングされた犠牲マスク層450は、極紫外線(EUV)フォトリソグラフィなどの適切なフォトリソグラフィシステムを使用してパターニングされた場合がある。化学放射のパターンを用いてフォトレジストをパターニングしている間に、下にある界面からの反射により、フォトレジスト中で干渉パターンが生じ、それによりフォトレジストレリーフパターンのパターン品質を劣化させる場合がある。シリコン系層440(SiARC層)の目的の1つは、SiARCの上面及び底面から反映された放射線の弱め合い干渉により反射を抑制することである。シリコン系層440の第2の目的は、パターニングされた後に、そのパターンを有機層430に転写するために用いる、エッチングプロセス中のハードマスクとして機能することである。
【0043】
図4Bでは、フォトレジストを含む犠牲マスク層450を使用して、シリコン系層440をパターニングした。フォトレジストパターンをシリコン系層440に転写するために、異方性プラズマエッチングプロセスが使用されてもよい。パターン転写エッチングは、例えば、ペルフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボンガスを含むガス状混合物、例えばテトラフルオロメタン(CF)及びトリフルオロメタン(CHF)を含む混合物、を用いて維持されるプラズマを用いてSiARCを除去することができる。この例示的なエッチング化学物質は、SOC及びフォトレジストに対して選択的にSiARCを除去する。RFソース電力は、約40MHz~約60MHzの周波数であってもよく、RFバイアス電力は、約10MHz~約15MHz、例えば13.56MHzの周波数であってもよい。一実施形態では、ガス流は、約20mTorr~約100mTorrのチャンバ圧において、約50sccm~約300sccmであってもよい。
【0044】
ガス状混合物中にヒドロフルオロカーボン(例えば、CHF)を用いることにより、フォトレジストは、シリコン系層440がエッチングされている間に堆積されるポリマーの薄層で被覆される場合がある。ポリマー被覆は、異方性エッチングプロセス中に、犠牲マスク層450をイオンスパッタリング損失から保護する恩恵を提供する。エッチングが有機層430上で停止することを確実にするために、制御されたオーバーエッチング時間が使用されてもよい。有機層430の表面上に残っているかも知れない、いかなるポリマー残渣も、その後の有機層430の異方性プラズマエッチング中にイオンスパッタリングにより除去することができる。図1Cに示すように、その後の有機層430の異方性プラズマエッチングはまた、シリコン系層440の上に残っているいかなるフォトレジストをも取り除く。
【0045】
図4Cは、パターン形成されたシリコン系層440をハードマスク層として使用して、パターンを有機層430に転写し、下層420の上面を露出させた後の基板を示す。有機層430へのパターン転写は、例えば、窒素及び水素ガスを含む混合物、又は一酸化炭素及び二酸化炭素ガスを含む混合物、又は酸素ガスを含む混合物から形成されるプラズマを使用して、窒化チタンに対して選択的にSOCを除去する異方性プラズマエッチングプロセスにより、実施することができる。チャンバ圧は、10mTorr~100mTorrの範囲内で選択されてもよい。図4Cに示す、結果として生じる構造は、SiARCを含む、残っているシリコン系層440を、露出したSOC有機層430及び露出した下層420(例えば、窒化チタン層)に対して選択的に取り除くために、周期的プラズマエッチングプロセス100により処理された入来する基板400であり得る。上述したように、周期的プラズマエッチングプロセス100は、SiARCを高い選択性を伴って効率的に除去して、有機層430におけるパターン形成されたフィーチャの形状(例えば、側壁プロファイル)と、リーンエッチング化学物質を使用することによる低い欠陥数とを維持する、という利点を提供する。
【0046】
入来する基板400は、周期的プラズマエッチングプロセス100の複数のサイクルを経て処理されてもよい。各サイクルにおいて、基板は、図4D図4E及び図4Fに引き続いて示す3つの連続する構成要素プロセスを受ける。
【0047】
図4Dは、プラズマCDEプロセス110を示す。図4D図4Fに示す例示的実施形態では、フッ素ラジカルが抽出される第1のガス放電プラズマは、100%のNF、又は総ガス流の最大50%のArを添加したNF、を含む第1のガス状混合物を用いて形成されてもよい。所望のラジカルリッチなプラズマを得るために、50mTorr~200mTorrの範囲内の低圧が使用されてもよい。様々な実施形態では、NFのガス流量は、10sccm~500sccmであってもよい。
【0048】
RFソース電力は、40MHz~60MHzの周波数において約100W~約800Wであり得る。イオンを低いエネルギー範囲に限定することにより化学反応を表面近くに閉じ込める際に、低いRFバイアス電力が有利であり得る。所望のエネルギー範囲(例えば、約2eV~約20eV)のイオンを含むプラズマが、適切なRFソース電力及び周波数を使用して提供され得る構成では、RFソース電力に加えて、RFバイアスが使用されなくてもよい。例えば、一実施形態では、いかなるRFバイアスもなしで、約40MHzの周波数における約500WのRFソース電力により給電されるプラズマを維持するために、CCP構成が使用されてもよい。いくつかの他の実施形態では、プラズマは、40MHz~60MHzの周波数範囲における100W<800WのRFソース電力に加えて、約10MHz~約15MHz(例えば、13.56MHz)の周波数における約10W~約50WのRFバイアス電力により維持されてもよい。
【0049】
図1Eを参照して上述したように、リーン化学物質を用いるシリコン系材料(例えば、SiARC)の除去(例えば、NFを用いたプラズマCDEプロセス110)は、固体堆積物の生成に関連する厄介な問題なしで実現できる。反応副生成物は、真空ポンプによりプロセスチャンバから除去され得る揮発性ガスである。例えば、図4Dに示すプラズマCDEプロセス110において使用するNF化学物質は、SiF 442を含む不揮発性ガスと、NO 444及びNO 446などの窒素酸化物とを生成する。不揮発性ガスは、図4Dに概略的に示され、フッ素については白丸を使用し、シリコンについては黒丸を使用し、斜めのハッチングを有する円が酸素を示し、ドットで充填された円が窒素のシンボルである。
【0050】
図4Eは、プラズマがないときに第2のガス状混合物が基板上を流れている、クールダウン及びクリーンアッププロセス130を示す。クールダウン及びクリーンアッププロセス130はパージ工程と説明される場合があるが、これは、サイクルのこの構成要素中は、化学反応が存在しないからである。クールダウン及びクリーンアッププロセス130中の圧力は、約100Torr~500Torrに増加されて、100sccm~500sccmの速度で第2のガス状混合物を流すことができる。図4Eに示す例示的実施形態では、第2のガス状混合物は、NF及びHを、NF:Hの体積比率が約1:9~約2:3で含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、第2のガス状混合物は、不活性ガス(例えば、アルゴン又はヘリウム)も含んでもよい。
【0051】
図4Eに示すように、この例示的実施形態のプラズマCDEプロセス110により、シリコン系層440の一部分が等方的に除去されている。また、有機層430及び下層420を含む表面は、図4Dに示すプラズマCDEプロセス110中に存在するフッ素ラジカル432によってフッ素化されたことに留意されたい。
【0052】
図4Fは、サイクルの第3の構成要素を示す。サイクルのこの構成要素では、プラズマ表面改質プロセス150が実施されてもよく、その際に、図4Eに示すような基板の表面は、図4Fに示すような基板の表面に改質される。図4Fに示すように、図4Eのフッ素化された表面の吸着されたフッ素ラジカル432は除去され、シリコン系層440の表面は、図4Fの斜めのハッチングを有する円で示すように、水素ラジカル448で活性化されている。加えて、本実施形態では、プラズマ表面改質プロセス150のために使用するガスにNFが含まれているので、シリコン系層440から一部の材料を除去することができる。しかしながら、その除去速度は、一般に、図4Dに示すプラズマCDEプロセス110中の除去速度と比較して低い。例えば、プラズマ表面改質プロセス150中の除去速度は、プラズマCDEプロセス110中の除去速度の約10%~約50%であり得る。
【0053】
揮発性HFガスを形成する脱フッ素化反応に関与する水素ラジカル、並びにシリコン系層440の表面に吸着された水素ラジカルは、第3のガス状混合物を使用して維持される第2のガス放電プラズマから抽出される。プラズマ表面改質プロセス150中に、圧力は、再び50mTorr~200mTorrの範囲に低減され得る。図4Fに示す例示的実施形態では、第3のガス状混合物は、NF及びHを、NF:Hの体積比率が約1:9~約2:3で含んでもよい。様々な実施形態では、ガス状混合物全体の流量は、約10sccm~約200sccmであってもよい。
【0054】
プラズマ表面改質プロセス150中のRFソース及びRFバイアスは、プラズマCDEプロセス110中のRFソース及びRFバイアスと同様である。RFソース電力は、40MHz~60MHzの周波数において約100W~約800Wであり得る。イオンを低いエネルギー範囲に限定することにより化学反応を表面近くに閉じ込める際に、低いRFバイアス電力が有利であり得る。所望のエネルギー範囲(例えば、約2eV~約20eV)のイオンを含むプラズマが、適切なRFソース電力及び周波数を使用して提供され得る構成では、RFソース電力に加えて、RFバイアスが使用されなくてもよい。例えば、一実施形態では、いかなるRFバイアスもなしで、約40MHzの周波数における約500WのRFソース電力により給電されるプラズマを維持するために、CCP構成が使用されてもよい。いくつかの他の実施形態では、プラズマは、40MHz~60MHzの周波数範囲における100W<800WのRFソース電力に加えて、約10MHz~約15MHz(例えば、13.56MHz)の周波数における約10W~約50WのRFバイアス電力により維持されてもよい。
【0055】
図4D図4Fの断面図で示す3構成要素サイクルを複数回実施して、周期的プラズマエッチングプロセス100を完了させ、それにより、入来する基板400(図4Cを参照)から、パターン形成されたシリコン系層440であるSiARCハードマスクを取り除くことができる。図4Gに示す、エッチング後の基板460の断面図は、周期的プラズマエッチングプロセス100を完了させた後に得られる構造を示す。
【0056】
図5は、図4A図4Fを参照して説明した例示的な周期的プラズマエッチングプロセス100の時間多重の実現形態の1つのサイクルについてのタイミング図を示す。図5に示すように、周期的プラズマエッチングプロセスの3つの分離された部分の各々の処理環境の違いが、時間多重の実現形態、周期的プラズマエッチングプロセスの1つのサイクルについてのタイミング図を使用して示される。
【0057】
図5の4本の横軸は、時間の進行を表す。周期的プラズマエッチングプロセス100の1つのサイクルの3つの構成要素プロセスの3つの時間間隔T1、T2、及びT3を、1本の時間軸に隣接する3つの二重矢印で概略的に示す。時間軸と交差する3本の垂直な点線が、重なり合わない時間間隔T1、T2、及びT3の境界を定めている。例示的実施形態では、T1は約5s~約10sであってもよく、T2は約5s~約10sであってもよく、T3は約5s~約10sであってもよい。様々な実施形態では、T1、T2、及びT3の範囲は、それぞれ、2s~20s、2s~20s、及び2s~20sであってもよい。期間T1、T2、及びT3は、それぞれのプロセスレシピに応じて等しくなくてもよい。
【0058】
図5のラベルで示すように、プラズマCDEプロセス110、クールダウン及びクリーンアッププロセス130、及びプラズマ表面改質プロセス150は、それぞれ、T1、T2、及びT3中に引き続いて実施される。4本の時間軸は、周期的プラズマエッチングプロセス100の複数のサイクルの1つのサイクルについて、4つのプロセスパラメータと時間との関係のプロットを概略的に示すために使用されている。図5にプロットされている4つのプロセスパラメータは、プラズマチャンバの電極に結合されているRF電力、チャンバ圧、水素ガス(H)の流量、及び三フッ化窒素ガス(NF)の流量である。
【0059】
図5に示すように、プラズマCDEプロセス110のために使用される第1のガス放電プラズマを維持するために時間間隔T1の間に、そしてプラズマ表面改質プロセス150のために使用される第2のガス放電プラズマを維持するために再びT3の間に、RF電力が供給される。しかしながら、プラズマCDEプロセス110が完了した後、RF電力はゼロに落とされて、第1のガス放電プラズマが消滅され、クールダウン及びクリーンアッププロセス130が進行している時間間隔T2の間の化学反応が抑制される。
【0060】
T1及びT3の間にそれぞれ第1及び第2のガス放電プラズマが点火され維持されているとき、低圧が維持される。しかしながら、図4A図4Fを参照して上述したように、効率的なクールダウン及びクリーンアップのための例示的実施形態では、クールダウン及びクリーンアッププロセス130のためのチャンバ圧及び総ガス流量は、第2の時間間隔(T2)の間は増加されている。
【0061】
第1のガス状混合物は、フッ素ラジカルの供給源としてNFを含む。シリコン系材料を除去するためにシリコンをSiFガスに効率的に変換するため、プラズマCDEプロセス110が実施されるT1の間は水素ラジカルなどの還元剤は望ましくない。したがって、T1の間、NFの流量は高く、Hの流量はゼロである。T2の間にチャンバを通って流れる第2のガス状混合物は、クールダウン及びクリーンアッププロセス130のためである。周期的プラズマエッチングプロセス100の時間多重の実現形態では、プラズマプロセスチャンバ内の環境を安定させるのに必要なガス交換時間を減らすために、第2のガス状混合物は、その後に続く時間間隔T3の間に流される第3のガス状混合物に使用されるものと同じガスを含んでもよい。したがって、図5のそれぞれのプロットに示すように、T2及びT3の間、チャンバ内にNF及びHの両方が存在する。
【0062】
図5のプロットは、単に例示を目的としていることに留意されたい。例えば、プロットは、プロセスパラメータがステップ関数のように変化していることを示すが、RF電力、ガス圧力、及び流量の瞬間的な変化が達成可能ではないこと、及び物理的パラメータが安定するまでに有限の応答時間が考慮されるべきであることが理解される。
【0063】
本開示では、シリコン系層の下で隣接する有機層にパターンを転写する異方性プラズマエッチングプロセスのためのハードマスクとして使用されるパターン形成されたシリコン系層を取り除くために使用することができる、周期的プラズマエッチングプロセス100の実施形態について説明してきた。フォトリソグラフィプロセスにおいてフォトレジストを化学線のパターンに曝すときに、下にある界面からの反射により引き起こされる、フォトレジスト層の望ましくない干渉パターンの形成を抑制するために、多くの場合に、無機反射防止コーティング(ARC)としてシリコン系材料が用いられる。本開示に記載される例示的適用形態では、フォトレジストマスクでパターニングされ、引き続きSOC層をパターニングするハードマスクとして使用される、SiARC層が、周期的プラズマエッチングプロセス100の実施形態を使用して取り除かれて、本発明のプロセスにより提供される利点を示すことが分かる。上述したように、本開示に記載される周期的プラズマエッチングプロセス100の適切な実施形態を使用することにより、シリコン系材料を有機材料に対して選択的に効率的に除去することができる。更には、リーンフッ素エッチング化学物質(例えば、CF4、NF3及びSF6などの非重合エッチャント)を用いることにより、並びに周期的プラズマエッチングプロセス100の各サイクルにおいてプラズマCDEプロセス110の後にクールダウン及びクリーンアッププロセス130を挿入することにより、化学的変形並びに熱的変形が低減されるので、パターン形成された有機層におけるフィーチャのパターン品質を維持することができる。次のサイクルのプラズマCDEプロセス110に進む前に、各サイクルにおいてプラズマ表面改質プロセス150を実施することにより、シリコン系材料の除去効率及び有機物に対する選択性が促進されている。本開示で説明したように、水素ラジカルを使用して、シリコン系材料を含む表面を活性化することにより除去反応を支援し、揮発性フッ化水素を形成する脱フッ素化反応により、露出された領域を保護する。有機材料を含む側壁及び下層材料を含む底部壁から、吸着されたフッ素ラジカルを除去することにより、エッチング選択性が改善され、パターン変形が遅延される。
【0064】
プロセスを複数のサイクルに分離し、各サイクルを3つの構成要素プロセスに分離する方法が、プラズマシステムの2つのクラスで実現できることを説明してきた。時間多重の実現形態が、プラズマプロセスチャンバ内で構成要素プロセスをインサイチュで実施することを含んでもよい。可動ステージ上に基板を装填し、空間的プラズマチャンバの空間的に分離された区画を通して基板を移動することにより、空間的に分離された実現形態が実現できる。
【0065】
プロセスを3つの構成要素プロセスに分離することにより、1つの例示的実施形態の時間多重の実現形態についてのタイミング図を説明することにより本開示に示すようにプロセスパラメータの独立した選択を可能にすることにより、本明細書で言及される利点を実現することが促進される。様々な適用形態では、下層をパターニングするためのハードマスク層として有機層が使用されるので、有機層に転写されるパターンの忠実度を保持することが有利である。
【0066】
実施例1.基板を処理する方法が、複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施することを含み、複数のサイクルの各サイクルは、基板の表面を、非重合フッ素化合物を含む第1のガス状混合物を用いて形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに曝すことにより、基板の表面との化学反応を生じさせることを含む。本方法は、基板上に第2のガス状混合物を流し、同時に基板の表面との化学反応を抑制することを含む。本方法は、基板の表面を、窒素及び水素を含むガスを含む第3のガス状混合物を用いて形成された第2のガス放電プラズマから抽出された水素ラジカルに曝すことを含む。
【0067】
実施例2.基板の表面は、シリコン系材料を含む第1の部分と、有機材料を含む第2の部分とを含む、実施例1に記載の方法。
【0068】
実施例3.基板の表面をフッ素ラジカルに曝すことにより、有機材料に対して選択的にシリコン系材料が除去される、実施例1又は2に記載の方法。
【0069】
実施例4.基板の表面を水素ラジカルに曝すことは、基板の表面を化学的に改質させ、表面を化学的に改質させることは、シリコン系材料を含む前記第1の部分上に水素及び窒素の吸着層を形成することと、有機材料を含む第2の部分を脱フッ素化することと、を含む、実施例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
実施例5.第1のガス状混合物は、三フッ化窒素又は六フッ化硫黄を含む、実施例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
実施例6.第2のガス状混合物を流すことにより、基板は冷却され、残留したガス状副生成物が除去される、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施例7.基板の表面との化学反応を抑制することは、第2のガス状混合物がガス放電プラズマを形成することを防止することを含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施例8.基板の表面をフッ素ラジカルに曝すこと、基板上に第2のガス状混合物を流すこと、及び基板の表面を水素ラジカルに曝すことは、3つの空間的に重なり合わない領域で実施され、3つの空間的に重なり合わない領域の隣接する領域間に不活性ガスのカーテンが配置され、周期的エッチングプロセスの1つのサイクルを実施することは、基板を、3つの空間的に重なり合わない領域を引き続いて通して移動させることを含む、実施例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施例9.基板を処理する方法が、複数のサイクルを含む周期的プラズマエッチングプロセスを実施することを含み、複数のサイクルの各サイクルは、シリコン系材料を含む基板の表面上にプラズマエッチングプロセスを実施して、シリコン系材料を部分的に除去することと、基板を冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去することと、基板上にプラズマ表面改質プロセスを実施することと、を含む。
【0075】
実施例10.複数のサイクルをプラズマプロセスチャンバ内でインサイチュで実施することを更に含む、実施例9に記載の方法。
【0076】
実施例11.プラズマエッチングプロセスは第1の時間間隔において実施され、冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去することは、第2の時間間隔において実施され、プラズマ表面改質プロセスは、第3の時間間隔において実施され、第1の時間間隔、第2の時間間隔及び第3の時間間隔は、重なり合わない時間間隔である、実施例9又は10に記載の方法。
【0077】
実施例12.複数のサイクルを実施するプラズマプロセスチャンバ内の圧力を第1の時間間隔後に増加させることと、第2の時間間隔中に、プラズマプロセスチャンバ内の増加した圧力を維持することと、第2の時間間隔後にプラズマプロセスチャンバ内の圧力を減らすことと、を更に含む、実施例9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施例13.プラズマエッチングプロセスを実施することは、ガス放電プラズマを形成することであって、プラズマはフッ素ラジカルを含み、前記ガス放電プラズマを形成することは非重合フッ素化合物を含むガス状混合物に無線周波数(RF)電力を結合させることを含む、ことと、非重合フッ素ベース化学物質を用いてシリコン系材料を除去することと、を含む、実施例9~12のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施例14.基板を冷却し、並行して残留したガス状副生成物を除去することは、プラズマプロセスチャンバから無線周波数(RF)電力をデカップリングさせることによりガス放電プラズマを消滅させることと、プラズマプロセスチャンバを通るガス状混合物のガス流量を増加させることと、を含む、実施例9~13のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施例15.プラズマ表面改質プロセスを実施することは、窒素及び水素を含むガスを含むガス状混合物を用いてガス放電プラズマを形成することであって、プラズマは水素ラジカルを含む、ことと、基板の表面を水素ラジカルと化学的に反応させることであって、表面を反応させることは、シリコン系材料を含む、基板の表面の一部分上に、水素及び窒素の吸着層を形成すること、及び基板の表面の残っている部分上に吸着されたフッ素ラジカルを、ガス状フッ化水素を形成することによって除去することを含む、ことと、を含む、実施例9~14のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施例16.半導体デバイスを製作する方法が、基板における下層に隣接してパターン形成された層の積層体を形成することを含む。パターン形成された層の積層体は、下層に隣接する有機層と、有機層上にシリコン系材料を含むハードマスク層とを含み、基板をプラズマ処理チャンバ内に装填することを含む。本方法は、プラズマプロセスチャンバ内で周期的プラズマエッチングプロセスをインサイチュで実施することを含み、周期的プラズマエッチングプロセスは、シリコン系材料を含むハードマスク層を有機層に対して選択的に除去する。
【0082】
実施例17.周期的プラズマエッチングプロセスは、複数のサイクルを含み、複数のサイクルの各サイクルは、三フッ化窒素又は六フッ化硫黄を含む第1のガス状混合物を用いて、プラズマプロセスチャンバ内で形成された第1のガス放電プラズマから抽出されたフッ素ラジカルに基板を曝すことを含む化学ドライエッチング(CDE)プロセスを実施することと、CDEプロセスを完了した後に、第1のガス放電プラズマを消滅させ、プラズマ処理チャンバ内の圧力を増加させること及び基板上に第2のガス状混合物を流すことによって、基板を冷却させることと、基板の冷却が完了した後に、基板の表面を水素ラジカルに曝すことを含むプラズマ表面改質プロセスを実施することであって、水素ラジカルは、シリコン系材料を含む表面を化学吸着により活性化し、揮発性フッ化水素を形成する化学反応により有機材料を含む表面を脱フッ素化する、ことと、を含む、実施例16に記載の方法。
【0083】
実施例18.シリコン系材料は、シリコンリッチ反射防止コーティング(SiARC)、酸化ケイ素物、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素を含む、実施例16又は17に記載の方法。
【0084】
実施例19.有機層は、有機誘電体層(ODL)、有機平坦化層(OPL)、スピンオン炭素(SOC)層、又は非晶質炭素層(ACL)を含み、下層は、窒化チタン、酸化アルミニウム、酸化チタン、又は窒化アルミニウムを含む、実施例16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施例20.周期的プラズマエッチングプロセスを実施した後、有機層の側壁角度の変化が0.5°以下である、実施例16~19のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
【国際調査報告】