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▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】二重荷重付加保持リング
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/32 20120101AFI20240207BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20240207BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240207BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20240207BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240207BHJP
【FI】
B24B37/32 A
B24B37/30 E
B24B37/10
B24B37/12 D
H01L21/304 622G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549051
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2022014538
(87)【国際公開番号】W WO2022177726
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】17/178,746
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ, スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ネイゲンガスト, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA19
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA05
3C158BA06
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA13
3C158EA25
3C158EB01
5F057AA03
5F057AA32
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EC10
5F057FA17
5F057FA20
(57)【要約】
基板を研磨するため研磨システムに取り付けられるように構成された基板キャリアが、本明細書で説明される。基板キャリアは、複数のロードカップリングを含むハウジング、及びハウジングに結合された保持リングを含む。保持リングは、中心軸を有する環状体、環状体の中心軸に面する内縁であって、基板を取り囲むように構成された直径を有する内縁、内縁の反対側の外縁を含み得る。複数のロードカップリングが、中心軸から測定された異なる径方向距離において保持リングに接触する。複数のロードカップリングは、保持リングに径方向に異なる力を印加するように構成されている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨するための研磨システムに取り付けられるように構成された基板キャリアであって、
複数のロードカップリングを含むハウジング、並びに
前記ハウジングに結合された保持リングを備え、前記保持リングは、
軸を有する環状体、
前記環状体の前記軸に面する内縁であって、前記基板を取り囲むように構成された直径を有する内縁、及び
前記内縁の反対側の外縁を含み、
前記複数のロードカップリングは、前記軸から測定された異なる径方向距離において前記保持リングに接触し、前記複数のロードカップリングは、前記保持リングに径方向に異なる力を印加するように構成されている、基板キャリア。
【請求項2】
前記複数のロードカップリングは、
前記環状体の内側環状部分の上に径方向に配置され、前記内側環状部分に第1の下向きの力を印加するように構成された内側ロードカップリング、及び
前記内側ロードカップリングを取り囲む外側ロードカップリングであって、前記環状体の外側環状部分の上に径方向に配置され、前記外側環状部分に前記第1の下向きの力とは異なる第2の下向きの力を印加するように構成された外側ロードカップリングを備える、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項3】
前記第1の下向きの力と前記第2の下向きの力との間の差が、前記環状体内にねじりモーメントを生成するように構成されている、請求項2に記載の基板キャリア。
【請求項4】
前記保持リングに印加された前記径方向に異なる力は、研磨パッドが前記保持リングに接触して、印加された前記力に比例する距離だけ前記基板キャリアから離れるように、前記研磨パッドがたわむことをもたらす、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項5】
前記複数のロードカップリングの各々は、ガス圧源に流体結合されたブラダーを備える、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項6】
前記複数のロードカップリングの各々は、前記ハウジング内に配置されたアクチュエータに接触するプッシュロッドを備える、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項7】
前記アクチュエータは、複数のアクチュエータのうちの第1のアクチュエータであり、前記複数のアクチュエータは、ソレノイド、ガス圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、圧電アクチュエータ、ボイスコイル、ステッピングモータ、他のリニアアクチュエータ、他の同様なアクチュエータ、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の基板キャリア。
【請求項8】
前記複数のロードカップリングの各々は、
前記ハウジングに固定的に結合された下側クランプ、及び
前記保持リングに固定的に結合され、前記保持リングと共に移動可能な上側クランプを更に備え、
前記下側クランプと前記上側クランプは、嵌合し、前記下側クランプと前記上側クランプとの間で相対運動可能に係合し、前記プッシュロッドは、前記上側クランプ上に形成されている、請求項6に記載の基板キャリア。
【請求項9】
前記複数のロードカップリングの各々は、前記基板キャリアの周りで連続的に延在する、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項10】
前記複数のロードカップリングのうちの1以上が、複数の円弧形状セグメントを含み、前記円弧形状セグメントの各々は、独立して作動可能である、請求項1に記載の基板キャリア。
【請求項11】
基板キャリア内に配置された基板を研磨するための方法であって、
前記基板キャリアを研磨パッドに対して移動させることであって、前記基板キャリアの保持リングは、前記基板キャリアを移動させるプロセス中に前記研磨パッドに接触する、前記基板キャリアを研磨パッドに対して移動させること、及び
前記基板キャリアを移動させる前記プロセス中に、複数の径方向に離隔したロードカップリングを使用して、前記保持リングに径方向に異なる力を印加することを含む、方法。
【請求項12】
前記径方向に異なる力を印加することは、
前記保持リングの内側環状部分の上に径方向に配置された内側ロードカップリングを介して、前記内側環状部分に第1の下向きの力を印加すること、及び
前記保持リングの外側環状部分の上に径方向に配置された外側ロードカップリングを介して、前記外側環状部分に第2の下向きの力を印加することを含み、
前記外側ロードカップリングは、前記内側ロードカップリングを取り囲んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記内側ロードカップリングと前記外側ロードカップリングの各々は、ガス圧源に流体結合されたブラダーを備え、前記第1の下向きの力と前記第2の下向きの力の各々の前記印加は、各ブラダーに供給されるそれぞれの圧力に比例する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記内側ロードカップリングと前記外側ロードカップリングの各々は、前記基板キャリアのハウジング内に配置されたアクチュエータに接触するプッシュロッドを備え、前記第1の下向きの力と前記第2の下向きの力の各々の前記印加は、各アクチュエータによって印加されるそれぞれの力に比例する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記径方向に異なる力を印加することによって、前記保持リング内にねじりモーメントを生成する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記保持リングの前記ねじりモーメントは、前記研磨パッドに径方向に異なる力を印加する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
研磨パッド、並びに
基板を前記研磨パッドに押し付けるように構成された基板キャリアを備える、研磨システムであって、前記基板キャリアは、
複数のロードカップリングを含むハウジング、並びに
前記ハウジングに結合された保持リングを備え、前記保持リングは、
軸を有する環状体、
前記環状体の前記軸に面する内縁であって、前記基板を取り囲むように構成された直径を有する内縁、及び
前記内縁の反対側の外縁を含み、
前記複数のロードカップリングは、前記軸から測定された異なる径方向距離において前記保持リングに接触し、前記複数のロードカップリングは、前記保持リングに径方向に異なる力を印加するように構成されている、研磨システム。
【請求項18】
前記複数のロードカップリングは、
前記保持リングの内側環状部分の上に径方向に配置され、前記内側環状部分に第1の下向きの力を印加するように構成された内側ロードカップリング、及び
前記内側ロードカップリングを取り囲む外側ロードカップリングであって、前記環状体の外側環状部分の上に径方向に配置され、前記外側環状部分に前記第1の下向きの力とは異なる第2の下向きの力を印加するように構成された外側ロードカップリングを備える、請求項17に記載の研磨システム。
【請求項19】
前記第1の下向きの力と前記第2の下向きの力との間の差が、前記環状体内にねじりモーメントを生成するように構成されている、請求項18に記載の研磨システム。
【請求項20】
前記保持リングに印加された前記径方向に異なる力は、前記研磨パッドが前記保持リングに接触して、印加された前記力に比例する距離だけ前記基板キャリアから離れるように、前記研磨パッドがたわむことをもたらす、請求項17に記載の研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、基板の研磨及び/又は平坦化のための装置及び方法に関する。特に、本開示の実施形態は、化学機械研磨(CMP)に利用される研磨ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 化学機械研磨(CMP)は、一般的に、結晶シリコン(Si)基板表面上に堆積した材料の層を平坦化又は研磨するために、半導体デバイスの製造において使用される。典型的なCMPプロセスでは、基板が基板キャリア(例えば、研磨ヘッド)内に保持される。研磨ヘッドは、研磨流体の存在下で、回転している研磨パッドに向けて基板の裏側を押圧する。典型的には、研磨流体は、1種以上の化学成分の水溶液、及び水溶液中に懸濁したナノスケールの研磨粒子である。材料は、化学的及び機械的作用の組み合わせによって、研磨パッドに接触している基板の材料層の表面にわたり除去される。その組み合わせは、研磨流体、及び基板と研磨パッドとの相対運動とによって提供される。
【0003】
[0003] 基板キャリアは、基板に接触する複数の異なる径方向ゾーンを有する膜を含む。異なる径方向ゾーンを使用して、膜の裏側によって境界付けられたチャンバに印加される圧力を選択して、膜によって基板に印加される力の中心から縁部までのプロファイルを制御し、その結果、基板によって研磨パッドに印加される力の中心から縁部までのプロファイルを制御することができる。研磨ヘッドはまた、膜を取り囲む保持リングも含む。保持リングは、研磨中に研磨パッドに接触する下面と、研磨ヘッドに固定される上面とを有する。保持リングの下面の下での研磨パッドの予備圧縮は、圧力が増加した領域を基板の下から保持リングの下に移動させることによって、基板の周囲部分での圧力のスパイクを低減させる。したがって、保持リングは、結果としての基板表面の仕上げ及び平坦度を向上させ得る。
【0004】
[0004] 異なる径方向ゾーンと保持リングの使用によっても、CMPの永続的な問題は、エッジ効果(すなわち、基板の最も外側の5~10mmの研磨が過剰又は足りないこと)の発生である。これは、基板の前縁が研磨パッドの上面に沿って削られるナイフエッジ効果に起因し得る。特定の他の事例では、従来のCMPプロセスが、研磨パッドのリバウンドによって引き起こされる基板の縁部における望ましくない高研磨速度を被り得る。
【0005】
[0005] したがって、上述された課題を解決するための装置及び方法が、当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の実施形態は、広くは、基板の研磨及び/又は平坦化のための装置及び方法に関する。特に、本開示の実施形態は、化学機械研磨(CMP)に利用される研磨ヘッドに関する。
【0007】
[0007] 一実施形態では、基板キャリアが、基板を研磨するための研磨システムに取り付けられるように構成されている。基板キャリアは、複数のロードカップリングを含むハウジング、及びハウジングに結合された保持リングを含む。保持リングは、中心軸を有する環状体、及び環状体の中心軸に面する内縁を含む。内縁は、基板を取り囲むように構成された直径を有する。保持リングは、内縁の反対側の外縁を含む。複数のロードカップリングは、中心軸から測定された異なる径方向距離において保持リングに接触し、複数のロードカップリングは、保持リングに径方向に異なる力(radially differential force)を印加するように構成されている。
【0008】
[0008] 別の一実施形態では、基板キャリア内に配置された基板を研磨するための方法が、基板キャリアを研磨パッドに対して移動させることを含む。基板キャリアの保持リングは、基板キャリアを移動させるプロセス中に研磨パッドに接触する。該方法は、基板キャリアを移動させるプロセス中に、複数の径方向に離隔したロードカップリングを使用して、保持リングに径方向に異なる力を印加することを含む。
【0009】
[0009] 更に別の一実施形態では、研磨システムが、研磨パッド、及び基板を研磨パッドに押し付けるように構成された基板キャリアを含む。基板キャリアは、複数のロードカップリングを含むハウジング、及びハウジングに結合された保持リングを含む。保持リングは、中心軸を有する環状体、及び環状体の中心軸に面する内縁を含む。内縁は、基板を取り囲むように構成された直径を有する。保持リングは、内縁の反対側の外縁を含む。複数のロードカップリングは、中心軸から測定された異なる径方向距離において保持リングに接触し、複数のロードカップリングは、保持リングに径方向に異なる力を印加するように構成されている。
【0010】
[0010] 上述の本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】[0011] 1以上の実施形態による、本明細書で説明される方法を実施するために使用されてよい例示的な研磨ステーションの概略側面図である。
図1B】[0012] 1以上の実施形態による、本明細書で説明される方法を実施するために使用されてよいマルチステーション研磨システムの一部分の概略平面図である。
図2A】[0013] 図1Bの研磨システム内で使用されてよい例示的な基板キャリアの概略側面断面図である。
図2B】[0014] 図2Aの基板キャリアの一部分の拡大概略側面断面図である。
図2C】[0015] 図2C図2Eは、図2Aの基板キャリアの異なる実施形態を示す概略上面図である。
図2D図2C図2Eは、図2Aの基板キャリアの異なる実施形態を示す概略上面図である。
図2E図2C図2Eは、図2Aの基板キャリアの異なる実施形態を示す概略上面図である。
図3A】[0016] 図1Bの研磨システム内で使用されてよい別の例示的な基板キャリアの概略側面断面図である。
図3B】[0017] 図3Aの一部分の拡大概略側面断面図である。
図3C】[0018] 図3Aの基板キャリアの概略上面図である。
図4A】[0019] 1以上の実施形態による、本明細書で開示される基板キャリアのうちのいずれか1つと共に使用されてよい例示的な保持リングの概略側面断面図である。
図4B】[0020] 図4Aの一部分の拡大概略側面断面図である。
図5A】[0021] 1以上の実施形態による、本明細書で開示される基板キャリアのうちのいずれか1つと共に使用されてよい別の例示的な保持リングの拡大概略側面断面図である。
図5B】[0022] 図5B図5Cは、図5Aの保持リングの内縁から外縁までの径方向距離の関数としての下向きの力/たわみを示す図である。
図5C図5B図5Cは、図5Aの保持リングの内縁から外縁までの径方向距離の関数としての下向きの力/たわみを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0023] 理解し易くするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、追加の記述がなくても、他の複数の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0013】
[0024] 装置及び方法の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が以下の説明で提示される構成又は処理ステップの詳細に限定されないということが、理解されるべきである。本開示の幾つかの実施形態は、他の実施形態と組み合わされてよいことが想定される。
【0014】
[0025] 従来の化学機械研磨(CMP)プロセスは、基板の縁部において研磨パッドのリバウンドによって引き起こされる基板の縁部の望ましくない高研磨速度を被り得る。しかし、本開示の1以上の実施形態では、研磨パッド上の保持リングの下向きの力が、径方向に制御され得る。下向きの力を径方向に制御することで、パッドのリバウンド効果を軽減することができ、それによって、基板の縁部の均一性及びプロファイルを向上させることができる。
【0015】
[0026] 図1Aは、本明細書で説明される方法を実施するために使用されてよい、1以上の実施形態による研磨ステーション100aの概略側面図である。図1Bは、複数の研磨ステーション100a~cを備えるマルチステーション研磨システム101の一部分の概略平面図である。ここで、研磨ステーション100b~cの各々は、図1Aで説明される研磨ステーション100aと実質的に同様である。図1Bでは、図1Aで説明される研磨ステーション100aに関連する構成要素のうちの少なくとも幾つかが、視覚的な乱雑さを減らすために、複数の研磨ステーション100a~cには示されていない。本開示から利益を受けるように適合されてよい研磨システムは、とりわけ、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なREFLEXION(登録商標) LK及びREFLEXION(登録商標) LK PRIME平坦化システムを含む。
【0016】
[0027] 図1Aで示されているように、研磨ステーション100aは、プラテン102、プラテン102に結合された第1のアクチュエータ104、プラテン102上に配置され、プラテン102に固定された研磨パッド106、研磨パッド106の上に配置された流体供給アーム108、基板キャリア110(断面で示す)、及びパッド調整器アセンブリ112を含む。ここで、基板キャリア110は、キャリッジアセンブリ114(図1B)のキャリッジアーム113から吊り下げられている。それによって、基板キャリア110は、研磨パッド106の上に配置され、研磨パッド106と対向する。キャリッジアセンブリ114は、キャリッジ軸Cの周りで回転可能であり、基板キャリア110及びしたがって基板キャリア110内にチャックされた基板122を、基板キャリア装填ステーション103(図1B)及び/又はマルチステーション研磨システム101の研磨ステーション100a~cの間で移動させる。基板キャリア装填ステーション103は、基板122を基板キャリア110に装填するための装填カップ150(仮想線で示す)を含む。
【0017】
[0028] 基板研磨中に、第1のアクチュエータ104は、プラテン軸Aの周りでプラテン102を回転させるために使用され、基板キャリア110は、プラテン102の上方に配置され、プラテンの方を向いている。基板キャリア110は、キャリア軸Bの周りで同時に回転しながら、内部に配置された基板122(仮想線で示す)の研磨される表面を、研磨パッド106の研磨面に押し付けるために使用される。ここで、基板キャリア110は、ハウジング111、ハウジング111に結合された環状保持リング115、及び保持リング115の内径に及ぶ膜117を含む。保持リング115は、基板122を取り囲み、基板122が研磨中に基板キャリア110から滑り落ちることを防止する。膜117は、基板122に下向きの力を印加するため、並びに、基板の装填動作中に及び/又は基板研磨ステーションの間で、基板を基板キャリア110の中に装填(チャック)するために使用される。例えば、研磨中に、膜117に下向きの力をかけ、したがって、膜117に接触する基板122に下向きの力をかけるために、加圧されたガスがキャリアチャンバ119に提供される。研磨の前後には、減圧がチャンバ119に印加されてよい。それによって、膜117は、上向きにたわんで、膜117と基板122との間に低圧ポケットを生成し、したがって、基板122を基板キャリア110の中に減圧チャックする。
【0018】
[0029] 基板122は、流体供給アーム108によって提供される研磨流体の存在下でパッド106に押し付けられる。回転している基板キャリア110は、プラテン102の内径と外径との間で振動し、研磨パッド106の表面の不均一な摩耗を部分的に低減させる。ここで、基板キャリア110は、第1のアクチュエータ124を使用して回転され、第2のアクチュエータ126を使用して振動する。
【0019】
[0030] ここで、パッド調整器アセンブリ112は、固定された研磨調整ディスク120、例えば、ダイヤモンド充填ディスクを備える。このディスクは、研磨パッド106に押し付けられて、研磨パッド106の表面を回復させ、及び/又は該表面から研磨副生成物若しくは他のデブリを除去することができる。他の実施形態では、パッド調整器アセンブリ112が、ブラシ(図示せず)を備えてよい。
【0020】
[0031] ここで、マルチステーション研磨システム101及び/又はその個々の研磨ステーション100a~cの動作は、システムコントローラ136(図1A)によって容易にされる。システムコントローラ136は、プログラム可能中央処理装置(CPU140)を含む。CPU140は、メモリ142(例えば、不揮発性メモリ)及びサポート回路144と共に動作可能である。サポート回路144は、通常、CPU140に結合されており、基板研磨プロセスの制御を容易にするために、研磨システム101の様々な構成要素に結合されたキャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電力供給源など、及びこれらの組み合わせを含む。例えば、幾つかの実施形態では、CPU140が、様々な研磨システム構成要素及びサブプロセッサを制御するための、プログラム可能な論理制御装置(PLC)などの、工業設定で使用される汎用コンピュータプロセッサのうちの任意の形態のうちの1つである。CPU140に結合されたメモリ142は、非一時的なものであり、ローカル又はリモートの、容易に入手可能なメモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又は他の任意の形態のデジタルストレージ)のうちの1以上を含む。
【0021】
[0032] 本明細書では、メモリ142が、指示命令を含むコンピュータ可読ストレージ媒体(例えば、不揮発性メモリ)の形態にある。該指示命令は、CPU140によって実行されると、研磨システム101の動作を容易にする。メモリ142内の指示命令は、プログラム製品(例えば、ミドルウェアアプリケーション、機器ソフトウェアアプリケーションなどといった、本開示の方法を実装するプログラム)の形態にある。プログラムコードは、幾つかの異なるプログラミング言語のうちの任意の1つに適合してよい。一実施例では、本開示が、コンピュータシステムと共に使用されるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実装されてよい。プログラム製品の(1以上の)プログラムは、複数の実施形態(本明細書で説明される方法を含む)の機能を規定する。
【0022】
[0033] 例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体は、非限定的に、(i)情報が恒久的に記憶される、非書き込み可能型ストレージ媒体(例えば、CD‐ROMドライブで読み取り可能なCD-ROMディスクといった、コンピュータ内部の読み取り専用メモリデバイス、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意のタイプのソリッドステート式不揮発性半導体メモリ)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書き込み可能ストレージ媒体(例えば、ディスケットドライブ内のフロッピーディスク若しくはハードディスクドライブ、又は任意の種類のソリッドステート式ランダムアクセス半導体メモリ)を含む。本明細書で説明される方法の機能を指示するコンピュータ可読指示命令を運ぶときには、このようなコンピュータ可読ストレージ媒体が、本開示の実施形態となる。
【0023】
[0034] 図2Aは、図1Bの研磨システム101内で使用されてよい例示的な基板キャリア200の概略側面断面図である。図2Bは、複数のロードカップリングをより詳細に示す図2Aの一部分の拡大概略側面断面図である。基板キャリア200は、特記されている場合を除き、図1Aの基板キャリア110と同様であり、対応する説明は、限定されることなしに本明細書で援用されてよい。保持リング115が、ハウジング111に結合されている。動作では、保持リング115が、研磨パッド106に接触しており、基板122を基板キャリア110内に保持し、研磨パッド106に予備圧縮を加える。1以上の例示される実施形態では、保持リング115が、プラスチック、例えば、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、他の同様な材料、又はそれらの組み合わせから形成された一体成形構造を有する。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、研磨パッド106に近接する保持リング115の下側部分が、プラスチックから形成されるが、一方で、ハウジング111に近接する保持リング115の上側部分は、金属(例えば、ステンレス鋼若しくは陽極酸化アルミニウム)、セラミック、プラスチック(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)若しくはポリエチレンテレフタレート(PET))、他の同様な材料、又はそれらの組み合わせのような比較的剛性の高い材料から形成される。そのような複数の実施形態では、保持リング115が、接合構造を有する。
【0024】
[0035] 保持リング115の環状体は、内側環状部分128、及び内側環状部分128を取り囲む外側環状部分130を含む。内側環状部分128は、環状体の中心軸118などの軸に面する内縁132を有する。外側環状部分130は、内縁132の反対側を向いている外縁134を有する。内側及び外側環状部分128、130は、互いに同心である。内側及び外側環状部分128、130は、保持リング115の内縁132と外縁134との間で径方向に配置されたライン116によって画定されている。ここで、ライン116は、内縁132と外縁134との間で等しく離隔した中心線である。それによって、内側及び外側環状部分128、130は、径方向に等しい幅を有する。幾つかの他の実施形態では、ライン116が、内縁132と外縁134との間で等しく離隔していない。それによって、内側及び外側環状部分128、130は、径方向に異なる幅を有する。ライン116は、z軸に沿って整列しており、例えば重力の方向において垂直に整列している。保持リング115の下縁135は、研磨パッド106と対向し、内縁132と外縁134との間で延在する。下縁135は、z軸に対して直交し、例えば、重力の方向に対して直交して水平に整列し、研磨パッド106の上面107と実質的に平行である。1以上の実施形態では、下縁135が、研磨スラリの輸送を容易にするための複数の放射状の溝(図示せず)を含む。
【0025】
[0036] ここで、内側及び外側環状部分128、130は、一体的に形成されている。内側及び外側環状部分128、130が一体的に形成されている1以上の実施形態では、内側及び外側環状部分128、130の一方に印加される力が、両方の部分128、130にわたり少なくとも部分的に分散される。幾つかの実施形態(図示せず)では、内側及び外側環状部分128、130が、別々に形成されている。そのような実施形態では、内側及び外側環状部分128、130のそれぞれに印加される力が、そこで分離される。幾つかの実施形態(図示せず)では、内側及び外側環状部分128、130が、互いに対して独立して可動である。1以上の実施形態では、内側及び外側環状部分128、130のうちの一方に印加される力が、保持リング115内にねじりモーメントを生成するように動作可能である。
【0026】
[0037] 幾つかの実施形態では、基板キャリア200のハウジング111を介して、内側及び外側環状部分128、130に異なる力が印加される。それによって、保持リング115は、対応する異なる力を保持リング115に接触する研磨パッド106の上面107に印加する。幾つかの実施形態では、対応する異なる力が、内側及び外側環状部分128、130に印加される異なる力に比例する。幾つかの実施形態では、内側及び外側環状部分128、130に印加される異なる力が、保持リング115の環状体内にねじりモーメントを生成する。それによって、下縁135は、Z軸に対して垂直でなく、すなわちx‐y平面に対して傾いている。1以上の実施形態では、傾きが直線的であってよく、又は湾曲を有してよい。1以上の実施形態では、ねじりモーメント及び印加される異なる力が、保持リング115のねじり剛性に依存する。1以上の実施形態では、保持リング115のねじり剛性又はねじり定数が、約1000N-m/radから約150000N-m/radであってよい。幾つかの実施形態では、z軸に沿った最大たわみが、約1ミル以下、例えば約0.1ミル以下、代替的に約0.1ミルから約1ミル、例えば約0.1ミルから約0.5ミルである。幾つかの実施形態では、x‐y平面に対する下縁135の傾斜角度が、約1度以下、例えば約0.1度以下である。そのような実施形態では、保持リング115の下縁135と研磨パッド106の上面107との間の界面(接触面)が、環状体のねじりモーメントに対応する傾きを有する。ねじりモーメントと結果として生じる下縁135の傾きとは、研磨パッド106に異なる力が印加されることをもたらす。
【0027】
[0038] 図2A図2Bの実施形態では、複数のロードカップリング、例えば、内側及び外側ロードカップリング210、212が、ハウジング111内に配置されている。内側及び外側ロードカップリング210、212は、保持リング115の内縁132から異なる径方向距離において配置されている。ここで、外側ロードカップリング212は、内側ロードカップリング210を取り囲んでいる。内側及び外側ロードカップリング210、212は、互いから径方向に離隔している。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、複数のロードカップリングが、互いから周方向に離隔し、又はZ方向に互いから離隔されている(例えば、積み重ねられている)。幾つかの実施形態では、複数のロードカップリングが、保持リング115に独立して印加される力の数に等しい数のロードカップリングを含む。幾つかの実施形態では、複数のロードカップリングが、3つ、4つ、又は5つのロードカップリングなどの、2つから5つのロードカップリングを含む。
【0028】
[0039] ここで、内側ロードカップリング210は、保持リング115の内側環状部分128に結合されたブラダー214を含む。ブラダー214は、内側環状部分128の上方に配置されている。同様に、外側ロードカップリング212は、保持リング115の外側環状部分130に結合されたブラダー216を含む。ブラダー216は、外側環状部分130の上方に配置されている。幾つかの実施形態では、各ブラダー214、216が、ハウジング111の周りに連続的に延在している。1以上の実施形態では、各ブラダー214、216の圧力面積が、約20in2から30in2、例えば約26in2である。1以上の実施形態では、各ブラダー214、216の圧力範囲が、約1psiから約6psiである。1以上の任意選択的な実施形態では、各ブラダー214、216が、それぞれのファスナ218、220によって、内側及び外側環状部分128、130のそれぞれのものに結合されている。ここで、各ブラダー214、216は、それぞれのガス圧ライン222、224に独立して結合されている。その場合、各ガス圧ライン222、224は、上側ガス圧アセンブリ(UPA)(図示せず)に流体結合されている。UPAは、ガス圧源(図示せず)、例えば、空気又はN2などの適切なガスをブラダー214、216の各々に供給するためのタンク又はポンプに流体結合されている。1以上の実施形態では、UPAが、12psiまでを供給するように動作可能である。1以上の実施形態では、ガス圧回転フィードスルー(図示せず)が、ガス圧ライン222、224を、研磨システム101と回転可能なハウジング111との間に流体結合する。
【0029】
[0040] 幾つかの他の実施形態(図示せず)では、各ブラダー214、216が、複数の円弧形状セグメントを含む、各円弧形状セグメントは、ハウジング111の周りを部分的に延在する(例えば、30度)。このような実施形態では、保持リング115の荷重付加が、保持リング115の特定の環状領域に向けて偏る場合がある。例えば、研磨パッド106及びプラテン102が基板キャリア200の下方で回転するときに、保持リング115の前縁上の第1の径方向に異なる力及び後縁上の第2の径方向に異なる力を印加することが望ましいことがある。そのような実施形態では、z方向において保持リング115に力を印加するために配置される複数のリニアアクチュエータ(例えば、ソレノイド、PZTデバイスなど)を利用することが望ましい場合がある。というのも、ガス圧制御は、基板キャリア200の回転速度に一致する速度で作動可能ではないことがあるからである。
【0030】
[0041] 実際には、ブラダー214、216のそれぞれのものにガス圧を供給すると、内部の圧力が増加する。ブラダー214、216のそれぞれのものの中の圧力を増加させた結果として、例えば、任意選択的なそれぞれのファスナ218、220を介して、直接的にか又は間接的にかいずれかで、対応する増加した力が、保持リング115の内側及び外側環状部分128、130のそれぞれのものに印加される。幾つかの実施形態では、内側及び外側環状部分128、130の各々に印加される力が、ブブラダー内の圧力にブラダーの圧力面積を乗じたものに対応し、約20lbfから約180lbfであってよい。
【0031】
[0042] 1以上の実施形態では、内側ロードカップリング210が、内側環状部分128に第1の下向きの力202を印加するように動作可能である。同様に、外側ロードカップリング212が、外側環状部分130に第2の下向きの力204を印加するように動作可能である。1以上の実施形態では、第1及び第2の下向きの力202、204の荷重付加軸が、約0.5インチから約1インチだけ離隔してよい。1以上の実施形態では、同じ荷重の下で保持リング115にそれぞれ最大又は増加ねじりモーメントを与えるために、荷重付加軸の間隔を最大化し又は増加させることが望ましい場合がある。幾つかの実施形態では、内側環状部分128に印加される第1の下向きの力202が、外側環状部分130に印加される第2の下向きの力204よりも大きい。幾つかの実施形態では、第2の下向きの力204がゼロである。第1の下向きの力202がより大きい複数の実施形態では、保持リング115が、その配向をシフトさせる。それによって、内側環状部分128は、外側環状部分130よりも大きな程度だけ研磨パッド106の上面107に向かって傾く(すなわち、正のテーパ)。第1の下向きの力202がより大きい複数の実施形態では、内側環状部分128によって研磨パッド106に印加される対応する力が、外側環状部分130によって研磨パッド106に印加される対応する力よりも大きい。結果として、内側環状部分128の下で、研磨パッド106のより大きなたわみ生じる。言い換えると、研磨パッド106のより大きなたわみは、保持リング115の外縁134と比べて、保持リング115の内縁132で、すなわち、基板122の外縁に隣接して生じる。これは、ねじりモーメントを生成するブラダー又はアクチュエータによって印加される力に起因する。
【0032】
[0043] 幾つかの他の実施形態では、外側環状部分130に印加される第2の下向きの力204が、内側環状部分128に印加される第1の下向きの力202よりも大きい。幾つかの実施形態では、第1の下向きの力202がゼロである。第2の下向きの力204がより大きい複数の実施形態では、保持リング115が、その配向をシフトさせる。それによって、外側環状部分130は、内側環状部分128よりも大きな程度だけ研磨パッド106の上面107に向かって傾く(すなわち、負のテーパ)。第2の下向きの力204がより大きい複数の実施形態では、外側環状部分130によって研磨パッド106に印加される対応する力が、内側環状部分128によって研磨パッド106に印加される対応する力よりも大きい。結果として、外側環状部分130の下で、研磨パッド106のより大きなたわみ生じる。言い換えると、研磨パッド106のより大きなたわみは、保持リング115の内縁132と比べて、保持リング115の外縁134で生じる。これは、ねじりモーメントを生成するブラダー又はアクチュエータによって印加される力に起因する。
【0033】
[0044] 有益なことに、基板キャリア110は、第1及び第2の下向きの力202、204の調節を介して、径方向に沿った研磨パッド106のたわみを制御することができる。幾つかの実施形態では、1以上の更なる下向きの力が、保持リング115に独立して印加される。例えば、異なる径方向距離において合計して2つから5つの独立して印加される下向きの力、例えば、3つ、4つ、又は5つの独立して印加される下向きの力である。有益なことに、基板キャリア110は、保持リング115の交換又は再設計なしに、基板の不均一性を改善することができる。幾つかの実施形態では、本明細書で説明される第1及び第2の下向きの力202、204に加えて、予荷重力(pre-load force)が保持リング115に印加される。
【0034】
[0045] 図2C図2Eは、図2Aの基板キャリア200の異なる実施形態を示す概略上面図である。図2C図2Eでは、保持リング115に対するロードカップリング210、212の配置をより明確に示すために、ハウジング111の特定の部分並びに基板キャリア200の特定の他の内部及び外部構成要素が省略されている。図2Cを参照すると、内側及び外側ロードカップリング210、212が、ハウジング111の周りで連続的に延在している。そのような複数の実施形態では、各ロードカップリング210、212が、それぞれのガス圧ライン222、224に独立して結合されている。そのような複数の実施形態では、保持リング115の径方向に異なる力及びねじりモーメントが、保持リング115の円周の周りで実質的に均一である。
【0035】
[0046] 図2Dを参照すると、内側及び外側ロードカップリング210、212の各々は、複数の円弧形状セグメント(例えば、2つの円弧形状セグメント)を含む。各円弧形状セグメントは、ハウジング111の周りを部分的に延在する(例えば、約180度)。図示されている複数の実施形態では、内側ロードカップリング210が、円弧形状セグメント210a、210bを含む。同様に、外側ロードカップリング212は、円弧形状セグメント212a、212bを含む。幾つかの実施形態では、複数のロードカップリング210、212の各々が、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個の円弧形状セグメントを含む。ここで、複数のロードカップリング210、212内のセグメントの各々は、等しいサイズであり、例えば同じ円弧長を有する。幾つかの他の実施形態では、セグメントが、互いに異なるサイズを有する。ここで、内側ロードカップリング210の円弧形状セグメント210a、210bは、同じガス圧ライン222に流体結合されている。それによって、円弧形状セグメント210a、210bの各々に印加される圧力は等しい。そのような複数の実施形態では、保持リング115の径方向に異なる力及びねじりモーメントが、保持リング115の円周の周りで実質的に均一である。同様に、外側ロードカップリング212の円弧形状セグメント212a、212bは、同じガス圧ライン224に流体結合されている。それによって、円弧形状セグメント212a、212bの各々に印加される圧力は等しい。有益なことに、基板キャリア200は、円弧形状セグメント210a、210b、212a、又は212bのうちの1以上によって印加される下向きの力を調節することによって、径方向に沿って、又は保持リングのセクター内で研磨パッド106のたわみを制御することができる。
【0036】
[0047] 図2Eでは、内側ロードカップリング210の円弧形状セグメント210a、210bが、異なるガス圧ライン222a、222bに独立して結合されている。それによって、円弧形状セグメント210a、210bの各々に印加される圧力は、独立して制御可能である。そのような複数の実施形態では、円弧形状セグメント210a、210bの各々に印加される圧力が、同じである得るか又は異なり得る。同様に、外側ロードカップリング212の円弧形状セグメント212a、212bは、異なるガス圧ライン224a、224bに流体結合されている。それによって、円弧形状セグメント212a、212bの各々に印加される圧力は、独立して制御可能である。そのような複数の実施形態では、円弧形状セグメント212a、212bの各々に印加される圧力が、同じである得るか又は異なり得る。そのような複数の実施形態では、保持リング115の径方向に異なる力及びねじりモーメントが、保持リング115の円周の周りで同じであり得るか又は異なり得る。有益なことに、複数の円弧形状セグメントの各々を独立に制御することにより、保持リング115に印加される異なる力をより正確に制御することができ、その結果、保持リング115によって研磨パッド106に印加される異なる力をより正確に制御することができる。
【0037】
[0048] 図3Aは、図1Bの研磨システム101内で使用されてよい別の例示的な基板キャリア300の概略側面断面図である。図3Bは、複数のロードカップリングをより詳細に示している図3Aの一部分の拡大概略側面断面図である。基板キャリア300は、特記されている場合を除き、図2A図2Bの基板キャリア200と同様であり、対応する説明は、限定されることなしに本明細書で援用されてよい。図3Bを参照すると、内側及び外側ロードカップリング310が、ハウジング111に固定的に結合された下側クランプ314、及びハウジング111に移動可能に結合された上側クランプ316を含む。下側及び上側クランプ314、316は、嵌合を有する。その嵌合は、それらの間の相対的に移動可能な係合である。ここで、下側及び上側クランプ314、316は、互いに対して垂直方向に移動可能である。他の幾つかの実施形態では、下側及び上側クランプ314、316が、1以上の更なる相対運動度を有する。下側クランプ314は、複数のチャネル318(ここでは、ペア)を含み、下側及び上側クランプ314、316の間の垂直相対移動を受け入れる。上側クランプ316は更に、保持リング115に固定的に結合され、保持リング115と共に移動可能である。幾つかの実施形態では、上側クランプ316が、1以上のファスナ320によって保持リング115に固定的に結合されている。上側クランプ316は、下側クランプ314の上方に延在するプッシュロッド322を含む。
【0038】
[0049] 図2A図2Bの基板キャリア200とは対照的に、基板キャリア300は、複数の独立したアクチュエータ、例えば第1及び第2のアクチュエータ306、308を含む。第1のアクチュエータ306は、内側ロードカップリング310のプッシュロッド322と動作可能に結合されている。それによって、第1のアクチュエータ306の直線的な移動は、プッシュロッド322に力を印加する。その力は、保持リング115に伝達される。このやり方では、第1の下向きの力302が、第1のアクチュエータ306によって生成される。同様に、第2のアクチュエータ308は、外側ロードカップリング312のプッシュロッド322と動作可能に結合されている。それによって、第2のアクチュエータ308の直線的な移動は、プッシュロッド322に力を印加する。その力は、保持リング115に伝達される。このやり方では、第2の下向きの力304が、第2のアクチュエータ308によって生成される。
【0039】
[0050] 図3Cは、図3Aの基板キャリアの概略上面図である。図3Cでは、保持リング115に対するアクチュエータ306、308及びロードカップリング310、312の配置をより明確に示すために、ハウジング111の特定の部品並びに基板キャリア300の特定の他の内部及び外部構成要素が省略されている。ここで、第1及び第2のアクチュエータ306、308は、周方向に整列している。図示されているように、複数のアクチュエータ306、308は、ハウジング111の周りでリング状に配置されている。そのような実施形態では、複数のアクチュエータ306、308が、保持リング115に径方向に異なる力を印加するように動作可能である。その力は、保持リング115の内側及び外側環状部分128、130の各々の円周の周りで実質的に均一である。1以上の実施形態では、複数のアクチュエータ306、308が、独立して作動可能である。そのような実施形態では、複数のアクチュエータ306、308が、径方向及び周方向の両方において異なる力を印加するように動作可能であってよい。ここで、内側及び外側ロードカップリング310、312は、ハウジング111の周りで連続的に延在する。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、内側及び外側ロードカップリング310、312の各々が、複数のアクチュエータ306、308の各々と整列した複数の円弧形状セグメントを含む。そのような実施形態では、複数のアクチュエータ306、308の各々をそれぞれの円弧形状セグメントとペアにすることにより、任意の時点において複数の別個の環状領域の各々内で保持リング115内に生成されるねじりモーメントを正確に制御することができる。例えば、研磨パッド106及びプラテン102が基板キャリア300の下方で回転するときに、保持リング115の前縁上の第1のねじりモーメント及び後縁上の第2のねじりモーメントを生成することが望ましいことがある。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、内側及び外側ロードカップリング310、312の各々が、複数の円弧形状セグメントを含む。各円弧形状セグメントは、ハウジング111の周りで部分的に延在する(例えば、約30度)。
【0040】
[0051] 幾つかの実施形態では、図3B図3Cで示されているように、第1及び第2のアクチュエータ306、308が、ハウジング111内に配置されている。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、第1及び第2のアクチュエータ306、308が、ハウジング111の外側に配置されている。例えば、キャリッジアーム113又はキャリッジアセンブリ114(図1B)に結合されるなどである。幾つかの実施形態では、第1及び第2のアクチュエータ306、308が、ソレノイド、ガス圧アクチュエータ、液圧アクチュエータ、圧電アクチュエータ、ボイスコイル、ステッピングモータ、他のリニアアクチュエータ、他の同様なアクチュエータ、又はそれらの組み合わせで有り得る。
【0041】
[0052] 図2A図2B及び図3A図3Bで示されている複数の実施形態では、複数のロードカップリングが、ハウジング111内に配置されている。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、複数のロードカップリングが、ハウジング111の外側に配置されている。例えば、キャリッジアーム113又はキャリッジアセンブリ114(図1B)に結合されるなどである。図2A図2B及び図3A図3Bで示されている複数の実施形態では、複数のロードカップリングが、例えばZ軸に沿って、保持リング115のそれぞれの内側及び外側環状部分128、130と径方向に整列している。幾つかの他の実施形態(図示せず)では、複数のロードカップリングのうちの1以上が、内側及び外側環状部分128、130と整列していない、例えばそれらから径方向にオフセットされている。本明細書で説明される1以上の実施形態では、保持リング115の下縁135が、研磨パッド106との接触に起因して、使用中に摩耗する。幾つかの実施形態では、摩耗が、1以上のインシトゥ(in situ:その場)センサを使用して測定される。そのような実施形態では、保持リング115に印加される径方向に異なる力、及び結果として生じる生成されたねじりモーメントが、下縁135の測定された摩耗に基づいて制御される。他の幾つかの実施形態では、下縁135の摩耗が、保持リング115の材料に基づいて制御される。例えば、1以上の実施形態では、内側及び外側環状部分128、130の各々のそれぞれの下縁135が、異なる硬さ及び/又は耐摩耗性を有する異なる材料から形成されてよい。1以上の実施形態では、例えば、内縁132と下縁135が交差するところで、保持リング115の内縁132を削ることを緩和するように、材料が選択されてよい。
【0042】
[0053] 図4Aは、本明細書で開示される基板キャリア110、200、300、400のうちのいずれか1つと共に使用されてよい例示的な保持リング415の概略側面断面図である。図4Bは、図4Aの拡大概略側面断面図である。保持リング415は、例示目的のみで、例示的な基板キャリア400と組み合わされて示されている。基板キャリア400は、例示的な複数の実施形態に特に限定されない。保持リング415は、非限定的に、本明細書で開示される基板キャリア200、300のうちのいずれか1つと組み合わされてよい。したがって、基板キャリア200、300の対応する説明は、非限定的に、本明細書で援用されてよい。図4A図4Bを参照すると、保持リング415は、周方向の溝420を有する。周方向の溝420は、保持リング415の下縁135内に形成されている。1以上の実施形態では、周方向の溝420が、保持リング415の周りの連続的な環状溝である。他の幾つかの実施形態では、周方向の溝420が、複数の円弧形状セグメントから構成される。一実施例では、円弧形状セグメントが、径方向の溝によって分離され、掃引長さで約5度と約175度との間の保持リングの中心軸に対する円弧長を有する。ここで、周方向の溝420は、断面が矩形状のプロファイルを有する。例えば、1以上の例示的な実施形態では、周方向の溝420が、下縁135と実質的に直交する内縁422及び外縁424を有する。周方向の溝420は、内縁422と外縁424との間で延在する上縁426を有する。その場合、上縁426は、下縁135と実質的に平行である。内縁422から外縁424までの周方向の溝420の幅は、径方向において、約0.1インチから約0.5インチである。幾つかの実施形態では、下縁135から上縁426までの周方向の溝420の高さが、約0.1インチから約0.5インチである。
【0043】
[0054] 幾つかの他の実施形態(図示せず)では、周方向の溝420が、矩形状、丸みを帯びた、又は卵型の断面を有してよい。図4Bで示されているように、周方向の溝420は、対称的にライン116と整列している。幾つかの他の実施形態では、ライン420が、保持リング415の内縁132と外縁134との間で等しく離隔している。それによって、内側及び外側環状部分128、130の下縁135a、135bは、それぞれ、径方向に等しい幅を有する。幾つかの他の実施形態では、周方向の溝420が、内縁132と外縁134との間で等しく離隔していない。それによって、内側及び外側環状部分128、130の下縁135a、135bは、それぞれ、径方向に異なる幅を有する。周方向の溝420は、単一の一体的な保持リング(例えば、保持リング415)内で2つの独立した保持リングの効果を生成し得る。これは、すなわち、内側及び外側環状部分128、130の各々について、それぞれ、別個の下縁135a、135bを形成することによってである。周方向の溝420は、同じ荷重の下で保持リング415のねじりモーメントを増加させ、径方向に沿って研磨パッド106に対する異なる力を印加及び制御する保持リング415の能力を向上させる。
【0044】
[0055] 図5Aは、本明細書で開示される基板キャリア110、200、300、400のうちのいずれか1つと共に使用されてよい例示的な保持リング115の拡大概略側面断面図である。ここで、第1の下向きの力502aは、内側環状部分128に印加され、第2の下向きの力504aは、外側環状部分130に印加される。図5B図5Cは、図5Aの保持リング115の内縁132から外縁134までの径方向距離の関数としての下向きの力/たわみを示す図である。図5B図5Cで示されている図の各々は、図5Aの保持リング115の概略図と径方向に整列している。
【0045】
[0056] 図5Bは、保持リング115及び研磨パッド106の下向きの力及びたわみをそれぞれ示している。その場合、第1の下向きの力502bは、第2の下向きの力504bよりも大きい。第1及び第2の下向きの力502b、504bは、Z方向において、それぞれ、内側及び外側環状部分128、130に印加され、保持リング115内にねじりモーメントを生成する。保持リング115のねじりモーメントは、保持リング115の下縁135と研磨パッド106の上面107との間の接触によって、研磨パッド106に異なる圧力を印加する。Z方向において研磨パッド106に印加される力506bは、保持リング115の外縁134から内縁132まで増加する。ここで、力506bは直線的に変化する。幾つかの他の実施形態では、力506bが非直線的に変化する。力506bの結果として、Z方向における研磨パッド106のたわみ508bは、保持リング115の外縁134から内縁132まで増加する。ここで、研磨パッド106のたわみ508bは、印加された力506bに直接的且つ直線的に比例する。幾つかの他の実施形態では、印加された力506bとたわみ508bとが、互いに直線的に比例しない。
【0046】
[0057] 図5Cは、保持リング115及び研磨パッド106の下向きの力及びたわみをそれぞれ示している。その場合、第1の下向きの力502cは、第2の下向きの力504cよりも小さい。第1及び第2の下向きの力502c、504cは、Z方向において、それぞれ、内側及び外側環状部分128、130に印加され、保持リング115内にねじりモーメントを生成する。保持リング115のねじりモーメントは、保持リング115の下縁135と研磨パッド106の上面107との間の接触によって、研磨パッド106に異なる圧力を印加する。Z方向において研磨パッド106に印加される力506cは、保持リング115の外縁134から内縁132に向かって減少する。ここで、力506cは直線的に変化する。幾つかの他の実施形態では、力506cが非直線的に変化する。力506cの結果として、Z方向における研磨パッド106のたわみ508cは、保持リング115の外縁134から内縁132に向かって減少する。ここで、研磨パッド106のたわみ508cは、印加された力506cに直接的且つ直線的に比例する。幾つかの他の実施形態では、印加された力506cとたわみ508cとが、互いに直線的に比例しない。
【0047】
[0058] 1以上の実施形態では、システムコントローラ136(図1A)が、保持リングへの複数の径方向及び/又は周方向に異なる力を制御するように動作可能である。1以上の実施形態では、制御が、所定の研磨計画に基づき得る。幾つかの実施形態では、システムコントローラ136が、リアルタイムで、複数の印加された力を独立してモニタし、印加された力を調整するように動作可能である。幾つかの実施形態では、システムコントローラ136が、インシトゥで、1以上のセンサ(例えば、光学センサ)から入力を受け取って、ウエハの厚さ及び/又はウエハの不均一性を測定するように動作可能である。幾つかの実施形態では、プラテン102上のセンサ又はプラテン102内のセンサが、ウエハの厚さを検知する。幾つかの実施形態では、システムコントローラ136が、インシトゥ測定に基づいて、複数のロードカップリング又はアクチュエータの各々を制御するために、信号を出力するように動作可能である。システムコントローラ136は、本明細書で開示される(1以上の)処理システム内で見られる1以上の構成要素を制御するために使用される汎用コンピュータである。システムコントローラ136は、本明細書で開示される処理シーケンスの1以上の制御及び自動化を容易にし、中央処理装置(CPU)(図示せず)、メモリ(図示せず)、及びサポート回路(又はI/O)(図示せず)を含む。CPUに指示命令するためのソフトウェア指示命令及びデータが、符号化され、メモリ(非一時的なコンピュータ可読媒体)内に記憶され得る。システムコントローラ内の処理ユニットによって可読なプログラム(又はコンピュータ指示命令)は、どのタスクが処理システムによって実行可能であるかを特定する。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体は、プログラムを含む。該プログラムは、処理ユニットによって実行されると、本明細書で説明される方法のうちの1以上を実行するように構成されている。好適には、プログラムが、移動、印加された力/荷重、及び/又は他の様々なプロセスレシピ変数と実行されている様々なCMPプロセスレシピ、のモニタ、実行、及び制御に関連するプログラムタスクを実行するためのコードを含む。要約すると、本開示の複数の態様は、少なくとも、保持リングに印加される径方向及び/又は周方向に異なる力の精密な制御を可能にし、それによって、研磨パッドの保持リングとの接触における圧縮の精密な制御を可能にする。結果として、本開示の複数の実施形態は、研磨パッドのたわみの改善された制御を可能にし、結果として生じる基板プロファイル問題の緩和を可能にする。
【0048】
[0059] 上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が、その基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】