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特表2024-506950ハイブリッド湿式原子層エッチングプロセスを使用して基板をエッチングするための方法
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  • 特表-ハイブリッド湿式原子層エッチングプロセスを使用して基板をエッチングするための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-15
(54)【発明の名称】ハイブリッド湿式原子層エッチングプロセスを使用して基板をエッチングするための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20240207BHJP
【FI】
H01L21/308 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549864
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2022014540
(87)【国際公開番号】W WO2022177727
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/151,579
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/580,879
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】アベル,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ファゲ,ジャックス
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA26
5F043BB18
(57)【要約】
本開示は、プロセスチャンバ内に配置された基板上の露出された材料をエッチングするために気相表面改質工程を液相溶解工程と組み合わせるハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを提供する。本明細書に開示されるハイブリッドALEプロセスでは、気相反応物が、材料の露出表面を改質して、表面改質層を形成するために使用され、1種以上の液相反応物が、表面改質層の下にある材料を溶解することなく表面改質層を選択的に溶解するために使用される。表面改質層が選択的に溶解されると、基板は乾燥されてもよく、気相表面改質工程及び液相溶解工程は、所望量の材料がエッチングされるまで、1つ以上のALEサイクルにわたって繰り返されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングする方法であって、前記方法が、
前記基板を受け取ることであって、前記基板が材料を露出させている、ことと、
前記ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって前記材料を選択的にエッチングすることであって、各サイクルが、
a)前記材料の露出表面を化学的に改質し、表面改質層を提供する気相表面改質工程を実行することであって、前記気相表面改質工程が、前記基板を気相反応物に曝して、前記材料の前記露出表面を化学的に改質することを含む、ことと、
b)前記材料の前記表面改質層を選択的に溶解する液相溶解工程を実行することであって、前記液相溶解工程が、前記基板の表面上に1種以上の液相反応物を供給して、前記表面改質層を溶解することを含む、ことと
を含み、
前記1種以上の液相反応物が、前記基板が前記気相反応物に曝されている状態で、前記基板の前記表面上に供給され、
前記1種以上の液相反応物が、前記気相反応物を前記基板の前記表面から追い出すことによって、前記気相表面改質工程と前記液相溶解工程とを分割する、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記材料が遷移金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
気相表面改質工程を前記実行することが、前記基板を気相酸化剤に曝して、前記材料の前記露出表面を酸化させ、自己律速型酸化層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
液相溶解工程を前記実行することが、第1の液体溶媒に溶解した錯化剤を前記基板の前記表面上に供給することであって、前記錯化剤が前記自己律速型酸化層に結合してリガンド-金属錯体を形成する、ことを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
液相溶解工程を前記実行することが、前記基板の前記表面上に第2の液体溶媒を供給して、前記リガンド-金属錯体を溶解し、前記自己律速型酸化層を除去することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の液体溶媒と前記第2の液体溶媒とが同じである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の液体溶媒と前記第2の液体溶媒とが異なる溶媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
各サイクルが、前記材料の前記表面改質層を選択的に溶解する前記液相溶解工程が実行された後に、前記基板の前記表面を乾燥することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板の前記表面を前記乾燥することが、前記基板をスピン乾燥して、前記基板の表面から前記1種以上の液相反応物を洗い流し、前記材料の前記露出表面を後続の気相表面改質工程において前記気相反応物に再び曝すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングする方法であって、
前記基板を受け取ることであって、前記基板が多結晶材料を露出させている、ことと、
前記ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって前記多結晶材料を選択的にエッチングすることであって、各サイクルが、
a)前記多結晶材料の露出表面を化学的に改質して、表面改質層を提供することであって、前記露出表面が、気相酸化剤を使用した前記多結晶材料の酸化によって化学的に改質される、ことと、
b)前記多結晶材料の前記表面改質層に錯化剤を結合させて、錯体結合型の表面改質層を提供することと、
c)前記錯体結合型の表面改質層を液体溶媒に曝すことによって、前記多結晶材料の前記錯体結合型の表面改質層を選択的に除去することであって、前記液体溶媒が、前記錯体結合型の表面改質層の下にある前記多結晶材料を溶解することなく前記錯体結合型の表面改質層を溶解する、ことと
を含む、ことと
を含む、方法。
【請求項11】
各サイクルにおいて、b)及びc)が少なくとも部分的に時間的に重なって実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体溶媒が前記錯化剤を含み、前記錯体結合型の表面改質層が前記液体溶媒に可溶である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各サイクルにおいて、b)及びc)が時間的に重なることなく連続して実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記錯化剤が、前記錯体結合型の表面改質層を溶解するために使用される前記液体溶媒とは異なる第1の液体溶媒に溶解され、前記錯体結合型の表面改質層が、前記第1の液体溶媒に不溶であり、前記液体溶媒に可溶である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記多結晶材料が遷移金属を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
工程a)~c)を少なくとも1回繰り返すことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングする方法であって、
前記基板を受け取ることであって、前記基板がモリブデン(Mo)金属を露出させている、ことと、
前記ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって前記Mo金属を選択的にエッチングすることであって、各サイクルが、
a)前記Mo金属の露出表面を化学的に改質して、表面改質層を提供することであって、前記露出表面が、オゾンを含む気相酸化剤を使用した前記Mo金属の酸化によって化学的に改質される、ことと、
b)前記Mo金属の前記表面改質層に錯化剤を結合させて、錯体結合型の表面改質層を提供することと、
c)前記錯体結合型の表面改質層を液体溶媒に曝すことによって、前記Mo金属の前記錯体結合型の表面改質層を選択的に除去することであって、前記液体溶媒が、前記錯体結合型の表面改質層の下にある前記Mo金属を溶解することなく前記錯体結合型の表面改質層を溶解し、b)及びc)が少なくとも部分的に時間的に重なる、ことと
を含む、ことと
を含む、方法。
【請求項18】
工程a)~c)を少なくとも1回繰り返すことを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体溶媒が前記錯化剤を含み、前記錯体結合型の表面改質層が前記液体溶媒に可溶である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
d)前記基板を洗浄して、過剰な液体溶媒及び未結合の錯化剤を除去することと、
e)ガス流、スピン乾燥工程、及び/又は乾燥剤を使用して前記基板を乾燥することと
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
工程a)~e)を少なくとも1回繰り返すことを更に含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月19日に出願された「HYBRID WET ATOMIC LAYER ETCHING」と題する米国仮特許出願第63/151,579号明細書、及び2022年1月21日に出願された「METHODS FOR ETCHING A SUBSTRATE USING A HYBRID WET ATOMIC LAYER ETCHING PROCESS」と題する米国特許出願第17/580,879号明細書の優先権を主張するものであり、同仮特許出願及び同特許出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板の処理に関する。詳細には、本開示は、基板上の層をエッチングする方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
基板構造の幾何形状が縮小し続け、構造の種類が進化するにつれて、基板のエッチングの課題が増大している。これらの課題に対処するために利用されてきた1つの技法は、原子層エッチング(ALE)である。ALEプロセスは、一般に、1つ以上の自己律速型反応(self-limiting reaction)を通じて薄層を連続して除去するプロセスを含むことが知られている。例えば、ALEは通常、原子レベルの精度でエッチングできる技法、すなわち、一度に単層1層又は数層で材料を除去することによる技法を指す。一般に、ALEプロセスは、エッチング対象の表面の化学的改質(chemical modification)、及びその後の、改質層の選択的除去に依拠する。したがって、ALEプロセスは、エッチングプロセスを、表面改質(surface modification)及び改質表面の除去という連続した工程に分離することにより、性能を向上させる。このようなプロセスは、複数回繰り返される一連の層改質工程及びエッチング工程を含むことが多く、改質工程は露出表面を改質し、エッチング工程は改質層を選択的に除去する。したがって、いくつかのALEプロセスでは、一連の自己律速型反応が発生し得、このサイクルが繰り返し実行され得る。
【0004】
プラズマALE技法、熱ALE技法、及び湿式ALE技法を含む、様々なALEプロセスが知られている。プラズマALEでは、表面改質工程において表面を改質するために、プロセスチャンバ内に配置されたターゲット基板が反応性前駆体に曝され、反応性前駆体がターゲット基板の露出表面に吸着してこれと反応する。次いで、後続のエッチング工程において表面改質層を除去するために、ターゲット基板の露出表面は低エネルギーの非反応性イオン(例えば、不活性ガスに由来するイオン)を照射される。一部のプラズマALEプロセスは、ターゲット基板の表面から材料を除去するために、1つ以上のALEサイクル(各ALEサイクルは少なくとも1つの表面改質工程及びエッチング工程から構成される)内でプロセスガス(例えば、反応性前駆体ガス(複数種可)及び不活性ガス(複数種可))の周期的なパルシングを用いる。プラズマALEでは、表面改質工程及びエッチングプロセス工程を制御するために、動作変数(例えば、チャンバ温度、チャンバ圧力、プロセスガスの流量、プロセスガスの種類、及び/又は他の動作変数)が調整され得る。場合によっては、プラズマALEプロセスは比較的高温及び/又は高圧で実行され得る。プラズマALEでは、プロセスチャンバは、プロセスチャンバ内における反応性前駆体と不活性ガスとの混合を避けるために、各表面改質工程の後及び各エッチング工程の後にパージされることが多い。このことは、サイクル時間を増加し、スループットを低下させる。
【0005】
熱ALEでは、改質層は、材料が固相から気相にされるときに、揮発によって除去される。この相変化は更なる潜熱を必要とし、改質層の蒸気圧によって制限される。熱エネルギーは、表面上の改質層を安定化する分子間相互作用を置き換えるために使用される。熱ALEでは、改質層を除去するために高温が必要とされることが多い。
【0006】
湿式ALEでは、自己律速型反応及び選択的な反応を利用した繰り返しプロセスにおいて材料が表面から除去される。「湿式ALE」という名称は、反応のすべてではないにしても、一部が液相で行われることを示す。熱ALE技法又はプラズマALE技法に勝る、湿式ALEの1つの利点は、湿式ALEプロセスが常温常圧で実行され得るということである。
【0007】
湿式ALEプロセスは、酸化、還元、リガンド結合、又はリガンド交換によって実現され得る自己律速型の表面改質工程によって開始する。理想的には、改質層は材料の一番上の単層に限られ、改質反応が更に進行するのを防ぐ不動態化層として機能する。湿式ALEプロセスの第2の工程は、改質層の選択的溶解である。プロセスは、下にある改質されていない材料を除去することなく改質層を溶解しなければならない。このことは、第1の工程で使用したものとは異なる溶媒を第2の工程において使用すること、pHを変更すること、又は第1の溶媒中の他の成分の濃度を変更することによって実現され得る。
【0008】
湿式ALEでは、パージ工程が、表面改質工程と選択的溶解工程との間において、通常、パージ溶液を用いて表面改質層を洗浄して過剰な反応物を除去することによって実行される。パージ工程の目的は、表面改質に使用される溶液と溶解に使用される溶液との間で混合が起こらないことを確保することである。これらの2つの溶液が混合した場合、混合溶液が基板を改質し且つ溶解し得る可能性がある。溶液が混合すると、改質反応が自己律速型ではなくなり、連続的にエッチングが行われることになる。連続的なエッチングは、粒界において優先的にエッチングする傾向があり、その結果、エッチング後の表面が粗くなる。
【0009】
原子層プロセスであるため、湿式ALEは時間がかかる傾向がある。各反応は飽和に至らせるのに十分な時間がなければならず、各パージ工程は表面改質溶液と溶解液とを完全に分離するのに十分でなければならない。このことにより、大量生産(HVM)は低いスループットとなり、湿式ALEが高価なプロセスになり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
熱ALE技法又はプラズマALE技法に勝る、湿式ALEの1つの利点は、湿式ALEプロセスが常温常圧で実行され得るということである。反応物が室温付近及び常圧付近で送達される限り、これらの利点を維持しながら、気相反応物、凝縮物、スプレー、又はミストが湿式ALEプロセスにおいて使用され得る。金属のALEでは、酸化が表面改質工程として用いられることが多く、多くの自己律速型酸化プロセスが、室温常圧の反応物質を使用して金属表面上で行われる。
【0011】
本明細書で更に説明されるように、本開示は、プロセスチャンバ内に配置された基板をエッチングするために、気相表面改質工程を液相溶解工程と組み合わせたハイブリッド湿式ALEプロセスを提供することによって、湿式ALEの欠点(例えば、低スループット、高コストなど)を回避しながら、湿式ALEの利点(例えば、常圧常温付近での自己律速型反応、エッチング後の表面の平滑化、総エッチング量のデジタル制御など)を維持する。本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスでは、気相反応物が、材料の露出表面を改質して、表面改質層を形成するために使用され、1種以上の液相反応物が、表面改質層の下にある材料を溶解することなく表面改質層を選択的に溶解するために使用される。表面改質層が選択的に溶解されると、基板は乾燥されてもよく、気相表面改質工程及び液相溶解工程は、所望量の材料がエッチングされるまで、1つ以上のALEサイクルにわたって繰り返されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、材料の露出表面は、気相反応物及び液相反応物(複数種可)に連続して曝され得る。他の実施形態では、材料の露出表面は、気相反応物がプロセスチャンバに供給されている状態で、液相反応物(複数種可)に曝され得る。液相反応物が気相反応物の存在下で供給されると、材料の露出表面上に供給された液相反応物が、露出表面から気相反応物を追い出して、露出表面の更なる表面改質を防ぐ。このようにして供給されると、液相反応物は、表面改質層を溶解するだけでなく、気相表面改質工程と液相溶解工程とを分割する。このことにより、表面改質工程と溶解工程との間においてパージ工程を実行する必要をなくすことによって、他のALE技法と比較して、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのサイクル時間が短縮され、スループットが改善される。
【0013】
サイクル時間及びスループットは、同じプロセスチャンバ内で気相表面改質工程及び液相溶解工程を実行することによって、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスにおいて更に改善され得る。1つの例示的な実施形態では、気相表面改質工程と液相溶解工程とは両方ともスピンチャンバ内で実行され得る。いくつかの実施形態では、気相表面改質工程と液相溶解工程とは、同じプロセスチャンバ内で概ね同じ温度及び圧力で実行され得る。1つの例示的な実施形態では、気相表面改質工程と液相溶解工程とは常圧室温で(又はその付近で)実行され得る。気相表面改質工程と液相溶解工程とを同じプロセスチャンバ内で概ね同じ温度及び圧力で実行することは、不必要なチャンバ移行及び温度/圧力変化を回避することにより、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのサイクル時間を短縮し、スループットを改善する。
【0014】
本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスは、多結晶材料、単結晶材料、及び非晶質材料を含む多種多様な材料をエッチングするために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスは、遷移金属(例えば、モリブデン(Mo)など)などの多結晶材料をエッチングするために使用されてもよく、気相酸化剤(例えば、酸素(O)又はオゾン(O))が、遷移金属の露出表面を酸化して自己律速型酸化層(例えば、MoOなど)を形成するために使用されてもよい。モリブデンなどの遷移金属の酸化は、室温(又はその付近)において自己律速型となる。遷移金属の露出表面が気相酸化剤に曝され、酸化層が形成された後、液相反応物が基板上に供給されて酸化層を選択的に溶解し、その結果、下にある多結晶材料をエッチングすることなく酸化層が除去され得る。金属Moを溶解することなくモリブデン酸化物(例えば、MoO)を選択的に溶解するためには、いくつかの化学物質を使用することができ、これらについては以下に詳細に説明する。
【0015】
本明細書では、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスを使用して遷移金属をエッチングするための、より具体的にはモリブデンをエッチングするための例示的なプロセス条件(例えば、エッチング化学物質、温度、圧力など)が提供される。ただし、開示されるプロセスは、本明細書で説明される例示的なプロセス条件に厳密に限定されるものではなく、エッチングされる材料に応じて多種多様なプロセス条件を用いて実行され得ることが当業者には認識されよう。一般に、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスは、表面改質層の除去及び/又は溶解に使用される液相反応物の蒸気圧よりも高い最低圧力を使用し得る。ただし、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスで使用される温度は、一般に、液相反応物の融点と沸点との間にある範囲であり得る。
【0016】
したがって、本開示のいくつかの実施形態では、常圧室温の気相反応物(又は凝縮物、スプレー、若しくはミスト)が湿式ALEプロセスに加えられてハイブリッドALEプロセスを形成することができ、ハイブリッドALEプロセスは、従来の湿式ALEの利点を維持しながら、サイクル時間を短縮し、スループットを増加することによって、他のALE技法を改善する。
【0017】
本明細書では、本開示の第1の実施形態による、ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングするための方法が提供される。第1の実施形態では、本方法は、基板を受け取ることであって、基板が材料を露出させている、ことと、ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって材料を選択的にエッチングすることとを含み、各サイクルが、a)材料の露出表面を化学的に改質し、表面改質層を提供する気相表面改質工程を実行することであって、気相表面改質工程が、基板を気相反応物に曝して、材料の露出表面を化学的に改質することを含む、ことと、b)材料の表面改質層を選択的に溶解する液相溶解工程を実行することであって、液相溶解工程が、基板の表面上に1種以上の液相反応物を供給して、表面改質層を溶解することを含む、ことを含む。第1の実施形態では、1種以上の液相反応物が、基板が気相反応物に曝されている状態で、基板の表面上に供給される。その際、1種以上の液相反応物が、気相反応物を基板の表面から追い出すことによって、気相表面改質工程と液相溶解工程とを分割する。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記a)気相表面改質工程を実行することが、基板を気相酸化剤に曝して、材料の露出表面を酸化させ、自己律速型酸化層を形成することを含み得る。このような実施形態では、上記b)液相溶解工程を実行することが、第1の液体溶媒に溶解した錯化剤を基板の表面上に供給することであって、錯化剤が自己律速型酸化層に結合してリガンド-金属錯体を形成する、ことを含み得る。加えて、上記b)液相溶解工程を実行することが、基板の表面上に第2の液体溶媒を供給して、リガンド-金属錯体を溶解し、自己律速型酸化層を除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の液体溶媒と第2の液体溶媒とが同じ溶媒であり得る。他の実施形態では、第1の液体溶媒と第2の液体溶媒とが異なる溶媒であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、ハイブリッドALEプロセスの各サイクルが、材料の表面改質層を選択的に溶解する液相溶解工程が実行された後に、基板の表面を乾燥することを更に含み得る。例えば、基板の表面を上記乾燥することが、基板をスピン乾燥して、基板の表面から1種以上の液相反応物を洗い流し、材料の露出表面を後続の気相表面改質工程において気相反応物に再び曝すことを含み得る。
【0020】
本明細書では、本開示の第2の実施形態による、ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングするための別の方法が提供される。第2の実施形態では、本方法は、基板を受け取ることであって、基板が多結晶材料を露出させている、ことと、ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって多結晶材料を選択的にエッチングすることとを含み、各サイクルが、a)多結晶材料の露出表面を化学的に改質して、表面改質層を提供することであって、前記露出表面が、気相酸化剤を使用した多結晶材料の酸化によって化学的に改質される、ことと、b)多結晶材料の表面改質層に錯化剤を結合させて、錯体結合型の表面改質層を提供することと、c)錯体結合型の表面改質層を液体溶媒に曝すことによって、多結晶材料の錯体結合型の表面改質層を選択的に除去することであって、液体溶媒が、錯体結合型の表面改質層の下にある多結晶材料を溶解することなく錯体結合型の表面改質層を溶解する、ことを含む。いくつかの実施形態では、工程a)~c)が少なくとも1回繰り返され得る。
【0021】
本明細書では、本開示の第3の実施形態による、ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングするための更に別の方法が提供される。第3の実施形態では、本方法は、基板を受け取ることであって、基板がモリブデン(Mo)金属を露出させている、ことと、ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによってMo金属を選択的にエッチングすることとを含み、各サイクルが、a)Mo金属の露出表面を化学的に改質して、表面改質層を提供することであって、前記露出表面が、オゾンを含む気相酸化剤を使用したMo金属の酸化によって化学的に改質される、ことと、b)Mo金属の表面改質層に錯化剤を結合させて、錯体結合型の表面改質層を提供することと、c)錯体結合型の表面改質層を液体溶媒に曝すことによって、Mo金属の錯体結合型の表面改質層を選択的に除去することであって、液体溶媒が、錯体結合型の表面改質層の下にあるMo金属を溶解することなく錯体結合型の表面改質層を溶解する、ことを含む。いくつかの実施形態では、工程a)~c)が少なくとも1回繰り返され得る。
【0022】
第2の実施形態及び第3の実施形態において開示される方法では、ハイブリッドALEプロセスの各サイクルにおいて実行される工程a)~c)の順序及び/又はタイミングが場合により異なり得る。一実施形態では、例えば、工程b)及びc)は、ハイブリッドALEプロセスの各サイクルにおいて時間的に重なることなく連続して実行され得る。このような実施形態では、錯化剤は、錯体結合型の表面改質層を溶解するために使用される液体溶媒とは異なる第1の液体溶媒に溶解されてもよく、錯体結合型の表面改質層は、第1の液体溶媒に不溶であり、液体溶媒に可溶であり得る。
【0023】
別の他の実施形態では、工程a)~c)のうちの2つ以上が、ハイブリッドALEプロセスの各サイクルにおいて組み合わされ得る。例えば、工程b)及びc)が、ハイブリッドALEプロセスの各サイクルにおいて少なくとも部分的に時間的に重なって実行され得る。このような実施形態では、液体溶媒は錯化剤を含んでもよく、錯体結合型の表面改質層は液体溶媒に可溶であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第2の実施形態及び第3の実施形態に開示される方法が、d)基板を洗浄して、過剰な液体溶媒及び未結合の錯化剤を除去することと、e)ガス流、スピン乾燥工程、及び/又は乾燥剤を使用して基板を乾燥することとを更に含み得る。いくつかの実施形態では、工程a)~e)が少なくとも1回繰り返され得る。
【0025】
本明細書に開示される方法は、多結晶材料、単結晶材料、及び非晶質材料を含む多種多様な材料をエッチングするために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、例えば遷移金属などの多結晶金属材料をエッチングするために使用され得る。本明細書に開示される方法を使用してエッチングされ得る遷移金属の例としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、及びクロム(Cr)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
同様の参照番号が同様の特徴を示す添付の図面と併せて解釈される以下の説明を参照することにより、本発明及びその利点のより完全な理解を得ることができる。しかしながら、添付の図面は、開示される概念の例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、範囲を限定するものとはみなされず、開示される概念は、他の均等に有効な実施形態も許容することができることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示による繰り返しハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスの一例を示す。
図2A】(a)UVオゾン酸化のみ、並びに(b)α-ベンゾインオキシム及びDMSOの溶液を用いて、モリブデン(Mo)表面をエッチングしようとする場合に、時間(分(min)単位で示す)にわたって達成され得る例示的なエッチング量(ナノメートル(nm)単位で示す)を示すグラフである。
図2B】UVオゾン酸化工程、α-ベンゾインオキシムリガンド結合(錯体化)工程、及びDMSO溶解工程が、本明細書に開示されるハイブリッドALEプロセスを使用してMo表面をエッチングするために使用される場合に達成され得る例示的なエッチング量(nm)をサイクル数の関数として示すグラフである。
図3A】本明細書に開示されるハイブリッドALEプロセスを使用して基板の表面上の材料をエッチングし得る処理システムの一実施形態を示すブロック図である。
図3B】本明細書に開示されるハイブリッドALEプロセス内で気相表面改質工程と液相溶解工程とがどのように分割されるかを示す、図3Aに示す基板の一部の拡大図である。
図4】本明細書で説明される技法を利用する方法の一実施形態を示すフロー図である。
図5】本明細書で説明される技法を利用する方法の別の実施形態を示すフロー図である。
図6】本明細書で説明される技法を利用する方法の更に別の実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
表面上での化学反応は、表面と接触する気相反応物又は液相反応物を使用して進行し得る。湿式ALEは、通常、表面と液相反応物との間における反応に依拠するが、気相反応物を使用して反応物を表面に供給することもできる。連続した反応もまた、気相反応物に続いて液相反応物(又はその逆)など、異なる相の反応物を利用することによっても実現され得る。本開示は、これらの概念を利用して、湿式ALEの利点を維持しながら、その欠点を回避するハイブリッドALEプロセスを提供する。
【0029】
本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスでは、気相反応物が、材料の露出表面を改質して、表面改質層を形成するために使用され、液相反応物が、表面改質層の下にある材料を溶解することなく表面改質層を選択的に溶解するために使用される。表面改質層が選択的に溶解されると、基板は乾燥されてもよく、気相表面改質工程及び液相溶解工程は、所望量の材料がエッチングされるまで、1つ以上のALEサイクルにわたって繰り返されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、材料の露出表面は、気相反応物及び液相反応物に連続して曝され得る。他の実施形態では、材料の露出表面は、気相反応物がプロセスチャンバに供給されている状態で、液相反応物に曝され得る。液相反応物が気相反応物の存在下で供給されると、材料の露出表面上に供給された液相反応物が、露出表面から気相反応物を追い出して、露出表面の更なる表面改質を防ぐ。このようにして供給されると、液相反応物は、表面改質層を溶解するだけでなく、気相表面改質工程と液相溶解工程とを分割する。このことにより、表面改質工程と溶解工程との間においてパージ工程を実行する必要をなくすことによって、他のALE技法と比較して、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのサイクル時間が短縮され、スループットが改善される。
【0031】
サイクル時間及びスループットは、同じプロセスチャンバ内で気相表面改質工程及び液相溶解工程を実行することによって、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスにおいて更に改善され得る。1つの例示的な実施形態では、気相表面改質工程と液相溶解工程とは両方ともスピンチャンバ内で実行され得る。いくつかの実施形態では、気相表面改質工程と液相溶解工程とは、同じプロセスチャンバ内で概ね同じ温度及び圧力で実行され得る。1つの例示的な実施形態では、気相表面改質工程と液相溶解工程とは常圧室温で(又はその付近で)実行され得る。気相表面改質工程と液相溶解工程とを同じプロセスチャンバ内で概ね同じ温度及び圧力で実行することは、不必要なチャンバ移行及び温度/圧力変化を回避することにより、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのサイクル時間を短縮し、スループットを改善する。
【0032】
本明細書で説明される技法は、他のエッチング技法に勝る複数の利点を提供する。例えば、本明細書で説明される技法は、エッチング総量の正確な制御、表面粗さの制御、及びウェーハスケールの均一性の改善などのALEの利点を提供する。本明細書で説明される技法はまた、エッチングチャンバの簡素化、常温常圧のエッチング条件又はその付近における自己律速型反応、及び表面粗さの低減など、湿式エッチングの様々な利点を提供する。時間がかかる傾向がある従来の湿式ALEプロセスとは異なり、本明細書で説明される技法は、気相表面改質工程を液相溶解工程と組み合わせることにより、サイクル時間及びスループットを改善するハイブリッドALEプロセスを提供する。
【0033】
本明細書で説明される技法は、多種多様な層及びフィーチャが上に形成された多種多様な基板上で実行され得る。一般に、本明細書に開示される技法で用いられる基板は、材料をエッチングすることが望ましい任意の基板であり得る。例えば、基板は、1層以上の半導体処理層(それらのすべてが一緒に基板を構成してもよい)が上に形成された半導体基板であってよい。一実施形態では、基板は、多種多様な構造及び層をもたらす複数の半導体処理工程(これらはすべて、基板処理技術において周知である)が施された基板であり得る。一実施形態では、基板は、形成された様々な構造及び層を含む半導体ウェーハであり得る。
【0034】
本明細書で説明される技法は、多種多様な材料をエッチングするために使用され得る。このような材料としては、多結晶材料、単結晶材料、及び非晶質材料が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書で説明される技法は、限定されるものではないが遷移金属及び貴金属などの金属材料をエッチングするために使用され得る。1つの例示的な実施形態では、エッチングされる材料は、例えばモリブデン(Mo)などの多結晶遷移金属であり得る。以下、本明細書で説明される技法をモリブデンのエッチングに関連して論じるが、そのような例は例示に過ぎず、本明細書で説明される技法は多種多様な他の材料をエッチングするために使用されてもよいことが、当業者には認識されよう。例えば、本明細書で説明される技法は、限定されるものではないが、タングステン(W)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、及びクロム(Cr)などの他の遷移金属をエッチングするために使用され得る。
【0035】
図1は、本開示によるハイブリッドALEプロセスの一例を示す。より具体的には、図1は、ハイブリッドALEプロセスの1サイクルにおいて実行される例示的な工程を示す。図1に示すプロセスでは、多結晶材料105の露出表面を改質し、表面改質層120を形成する表面改質工程100において、誘電体材料110によって囲まれた多結晶材料105が気相反応物115に曝される。いくつかの実施形態では、エッチングされる多結晶材料105は、例えば遷移金属であり得る。1つの例示的な実施形態では、多結晶材料105はモリブデン(Mo)を含み得る。いくつかの実施形態では、気相反応物115は酸素含有ガス環境に含まれ得る。例えば、気相反応物115は、例えば、酸素(O)、オゾン(O)、二酸化窒素(NO)、及び/又はハロゲンガスを含む気相酸化剤であり得る。多結晶材料105の露出表面が酸素含有ガス環境、すなわち、そこに含まれる気相酸化剤に曝されると、露出表面は酸化されて、改質されていない多結晶材料の上に自己律速型酸化層(例えば、MoOなどのモリブデン酸化物)を形成する。
【0036】
酸化はALEにおいて表面改質工程として使用されることが多い。酸素(O)及びオゾン(O)などの多くの酸化剤が常圧室温での供給が容易である。これらの酸化剤は、室温で金属などの多くの材料上に自己律速型酸化物層を形成する。このように厳密に限定されるものではないが、これらの金属は遷移金属を含むことができ、より具体的には、例えばモリブデン(Mo)金属などの多結晶遷移金属を含み得る。
【0037】
図1に示す表面改質工程100では、多結晶材料105の露出表面において化学反応(例えば、酸化)が起こって、表面改質層120(例えば、酸化モリブデンなどの自己律速型酸化層)を形成する。場合によっては、反応は速く、自己律速型であり得る、すなわち、反応生成物は、多結晶材料105の露出表面の1つ以上の単層を改質し得るが、気相反応物115とその下にある多結晶材料105との間の更なる反応を妨げ得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、表面改質層120が1種以上の液相反応物に曝されて、表面改質層120を選択的に溶解し得る。例えば、表面改質層120は、錯体化工程130において液体溶媒135(例えば、水溶液又は非水溶液)に溶解した錯化剤125に曝され得る。錯体化工程130では、錯化剤125(例えば、カルボン酸塩系リガンド)が表面改質層120(例えば、自己律速型酸化層)に結合して、リガンド-金属錯体140を形成する。いくつかの実施形態では、錯化剤125は、より高い酸化状態の多結晶材料105(例えば、Mo6+)に選択的に結合し、表面改質層120(例えば、MoO)を液体溶媒135に溶解したリガンドと反応させて、後の溶解工程150において可溶であるリガンド-金属錯体140を形成する、リガンド(例えば、α-ベンゾインオキシム)を含み得る。しかしながら、以下により詳細に説明するように、非選択的リガンドもまた、表面改質層120に結合し、リガンド-金属錯体140を形成するために使用され得る。
【0039】
酸化及び錯体化の後、多結晶材料105は、溶解工程150において液体溶媒145と接触させられて、下にある多結晶材料105(例えば、金属Mo)を溶解することなく表面改質層120(例えば、MoO)を選択的に溶解する。このことは、2つの異なる方法論のうちの1つ、すなわち、反応性溶解、又はリガンド結合後の溶解によって実現される。
【0040】
反応性溶解では、リガンドは、溶解工程150においてリガンドとリガンド-金属錯体140との両方を溶解し得る液体溶媒135に溶解される。これにより、単一種の溶媒135/145を用いてリガンド結合及び溶解を実現することが可能になる。よって、反応性溶解では、リガンド結合工程と溶解工程とは少なくとも部分的に時間的に重なる。
【0041】
反応性溶解の方法では、表面改質層120(例えば、MoO)は、液体溶媒135/145中のリガンドと反応して可溶性のリガンド-金属錯体140を形成し、このリガンド-金属錯体140が、液体溶媒135/145に溶解して表面改質層120を除去する。いかなる厚さの表面改質層120(例えば、MoO)も、本方法を使用して除去され得る。選択性は、リガンドがより高い酸化状態(例えば、Mo6+)の多結晶材料105に結合するが、より低い酸化状態の多結晶材料105又は多結晶材料105の改質されていない部分には結合しないという能力に由来する。反応性溶解は自己律速型ではないため、プロセス全体を自己律速型に保つためには、酸化工程は自己律速型でなければならない。
【0042】
リガンド結合後の溶解の方法では、リガンド結合工程と溶解工程とは時間的に重ならない。本方法では、リガンドは、リガンド-金属錯体140が不溶である液体溶媒135に溶解される。液体溶媒135内のリガンドは、表面改質層120(例えば、MoO)と反応して、リガンド-金属錯体140の不溶層を形成する。この層は、溶解工程150において、リガンド-金属錯体140が可溶である異なる液体溶媒145で表面が洗浄されたときに溶解される。リガンド結合後の溶解の方法では、表面改質層120(例えばMoO)の除去は、表面上のリガンドの充填密度によって制限される。錯体化工程130におけるリガンド結合、ひいては溶解工程150におけるリガンド-金属錯体140の溶解は、自己律速型である。
【0043】
表面改質層120が溶解されると、ALEエッチングサイクルは、乾燥工程160において基板の表面を乾燥することにより完了され得る。一実施形態では、基板の表面は、工程160において、基板に空気又は窒素のガス流を供給することにより乾燥され得る。別の実施形態では、基板の表面は、工程160において、スピン乾燥工程を実行することにより乾燥され得る。いくつかの実施形態では、乾燥助剤(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)など)が、基板の表面上に供給されて(図1には示さず)、スピン乾燥工程を実行する前に基板の乾燥を更に補助し得る。基板の表面が乾燥すると、図1に示す表面改質工程100、錯体化工程130、溶解工程150、及び乾燥工程160が、所望量の多結晶材料105が除去されるまで、1つ以上のALEサイクルにわたって繰り返され得る。
【0044】
上記のように、いくつかの実施形態では、図1に示すハイブリッドALEサイクルがMoエッチングに使用され得る。このエッチング方式では、オゾンなどの気相酸化剤にMo表面を曝すことによって酸化が実現され得る。オゾンは、分子酸素よりも酸化力が強く、反応性も高く、空気に曝されて形成される層とは異なる自己律速型酸化物を形成する。特に、オゾンに曝すことにより、曝されたMo表面上に自己律速型三酸化モリブデン(MoO)層が形成される。酸化後、自己律速型三酸化モリブデン(MoO)層は、適切な溶媒中でリガンド支援溶解により選択的に除去され得る。
【0045】
Moエッチングプロセスのためのリガンドの1つの良好な選択肢は、α-ベンゾインオキシムである。α-ベンゾインオキシムリガンドはMo6+イオンに選択的に結合するため、MoOはリガンドと反応してモリブデンα-ベンゾインオキシメート(すなわち、リガンド-金属錯体)を形成するが、金属モリブデンは反応しない。この化学的選択性により、リガンドの結合及び溶解を単一種の溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)で実現することができる。MoO表面層をDMSOに溶解したα-ベンゾインオキシムの溶液に曝すことにより、MoO表面層はモリブデンα-ベンゾインオキシメートに変換され、これはその後DMSOに溶解される。この例では、金属モリブデンはα-ベンゾインオキシムと反応しないため、リガンド結合工程及び溶解工程は自己律速型である。他の非選択的リガンドの場合、各プロセス工程において異なる溶液(すなわち、異なる液体溶媒135及び145)を使用して、リガンド結合工程と溶解工程とを連続した工程に分離することにより、自己律速型の挙動が維持され得る。
【0046】
上記の個々の反応工程の自己律速型且つ選択的挙動を図2Aに示す。より具体的には、図2Aは、(a)UV-オゾン酸化のみ、並びに(b)α-ベンゾインオキシム及びDMSOの溶液を用いて、モリブデン(Mo)表面をエッチングしようとする場合に、時間(分(min)単位で示す)と共に達成され得る例示的なエッチング量(ナノメートル(nm)単位で示す)を示すグラフ200を示す。図2Aに示すように、UVオゾンクリーナにおいてオゾンに20分間曝した後でさえも、Mo表面はエッチングされない。これは、Moとオゾンとの間における反応が室温で自己律速型であることを示している。同様に、Mo表面はDMSO中のα-ベンゾインオキシム溶液ではエッチングされない。20分間曝した後でさえもエッチングは観察されない。このことは、α-ベンゾインオキシムが金属又は低酸化状態のMoと反応しないことを示している。
【0047】
図2Bは、UVオゾン酸化工程、α-ベンゾインオキシムリガンド結合(錯体化)工程、及びDMSO溶解工程が、本明細書に開示されるハイブリッドALEプロセスを使用してMo表面をエッチングするために使用される場合に達成され得る例示的なエッチング量(nm)をサイクル数の関数として示すグラフ250を示す。図2Bに示す例では、1つのALEサイクルが、Mo試料をUVオゾンクリーナ中に1分間置いた後、DMSO中の50mMのα-ベンゾインオキシム溶液に10秒間浸すことから構成される。過剰なDMSO及び未結合のα-ベンゾインオキシム(錯化剤)をアセトン洗浄で除去した後、当該試料を圧縮空気を用いて乾燥させた。別の例では、別の乾燥ガス、例えば窒素(N)が使用され得る。Mo層の厚さを、5サイクルごとに実施した4端子抵抗率測定から計算した。図2Bに示すように、エッチングは、最初のナノメートルのエッチングの後では、サイクル数に対して実質的に線形である。酸化工程においてUV及びオゾンの両方、並びにオゾンのみに曝されたサンプルでエッチングを観察した。これは、オゾンがMoのハイブリッドALEプロセスに必要であるが、UV照射は必要ではないことを示している。図2A及び図2Bは、更に、いずれかの反応剤単独に曝すことによってはMo材料は除去されないが(図2A)、図1に示し本明細書で説明される繰り返しハイブリッドALEプロセスではMo材料が除去される(図2B)ことを示している。
【0048】
図1に示すハイブリッドALEプロセスにより、エッチングされた表面が平滑化される。エッチングされた表面を観察するために、アズデポ状態のMo膜及び上述のハイブリッドALEスキームを用いてエッチングされたMo膜の走査型電子顕微鏡(SEM)像を取得した。エッチングされた試料では、孔食又は優先的な粒界エッチングは観察されなかった。加えて、4端子抵抗率測定から計算されたエッチングされたサンプルの厚さは、SEM断面で測定された厚さと一致していることが観察された。上述のハイブリッドALEプロセスを使用したエッチングにおいては、Mo膜の粗さは増大しなかったが、粒子状汚染(おそらくアセトン洗浄工程に由来するもの)が観察された。
【0049】
本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスは、多結晶材料、単結晶材料、及び非晶質材料を含む多種多様な材料をエッチングするために使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスは、上述のように、遷移金属(例えば、モリブデン(Mo))などの多結晶材料をエッチングするために使用されてもよく、気相酸化剤(例えば、酸素(O)又はオゾン(O))が、遷移金属の露出表面を酸化して自己律速型酸化層(例えば、MoOなど)を形成するために使用されてもよい。モリブデンなどの遷移金属の酸化は、室温(又はその付近)において実行された場合、自己律速型となる。遷移金属の露出表面が気相酸化剤に曝され、自己律速型酸化層が形成された後、1種以上の液相反応物が基板の表面上に供給されて自己律速型酸化層を選択的に溶解し、その結果、下にある多結晶材料をエッチングすることなく自己律速型酸化層が除去され得る。金属Moを溶解することなくモリブデン酸化物(例えば、MoO)を選択的に溶解するためには、いくつかの異なる化学物質を使用することができ、これらについては以下に詳細に説明する。
【0050】
いくつかの実施形態では、例えば、MoO表面層は、非水溶液(DMSOなど)中に溶解したリガンド(α-ベンゾインオキシムなど)に曝され得る。DMSOに溶解したα-ベンゾインオキシムに曝すことにより、MoO表面層はモリブデンα-ベンゾインオキシメートに変換され、モリブデンα-ベンゾインオキシメートはその後DMSOに溶解される。ただし、DMSOの他に、α-ベンゾインオキシムは、水、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、及び他のケトン類にも可溶である。α-ベンゾインオキシムリガンドは、MoO表面層を含むMo6+イオンに選択的に結合して、Mo-α-ベンゾインオキシム錯体を形成し、この錯体は、アセトン、DMSO、及び他のケトン類に可溶であるが、アルコール又は水には不溶である。この化学的選択性により、例えばアセトン、DMSO、及び他のケトン類を含む単一種の溶媒中でリガンド結合及び溶解を実現することができる。或いは、リガンド結合及び溶解は、例えば第1の段階では水又はアルコールを使用し、第2の段階ではアセトン、DMSO、及び他のケトン類を使用して、連続して重ならない工程で実行され得る。
【0051】
α-ベンゾインオキシムの他に、他のリガンドが使用されて、Mo6+に選択的に結合して、金属モリブデン(Mo)又は低酸化状態のMoに結合することなく代替的なリガンド-金属錯体を形成し得る。このようなリガンドの例としては、限定されるものではないが、トルエンジチオール、クペロン、及び8-ヒドロキシキノリンなどが挙げられる。α-ベンゾインオキシムと同様、これらのリガンドはMo6+に選択的に結合して、非水溶液に可溶なリガンド-金属錯体を形成する。例えば、Mo-トルエンジチオール錯体は酢酸塩(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び酢酸アミル)及び四塩化炭素に可溶である。トルエンジチオールは水溶液及びアルコールに可溶であるが、Mo錯体は不溶である。Mo-クペロン錯体は、クロロホルム、濃硝酸、又は濃水酸化アンモニウムに可溶である。クペロンは中性水溶液に可溶であるが、Mo錯体は不溶である。Mo-8-ヒドロキシキノリン錯体は濃縮鉱酸に可溶である。8-ヒドロキシキノリンはエタノール、アセトン、クロロホルム、及びベンゼンに可溶であるが、Mo錯体は不溶である。上述のリガンドのうちのいずれかが、MoO表面層を選択的に溶解させるために、上記のリガンド結合後の溶解の方法において使用され得る。
【0052】
MoO表面層の反応性溶解もまた、水溶液において実現され得る。例えば、濃塩酸(HCl)が、金属Moよりもモリブデン酸化物を選択的に溶解するために使用され得る。0.1M、1M、5M、及び12MのHClの場合の測定されたMoエッチング速度は、通常の検出閾値未満(例えば、<0.01nm/分)である。これらの同じ濃度のHClは、MoOの単分子膜を2秒未満で溶解し、800:1超の選択比を与える。HClの他に、他の鉱酸(硫酸など)がモリブデン酸化物を溶解するために使用され得る。場合によっては、硫酸(HSO)が材料適合性の観点からHClよりも好ましいこともある。HCl及び硫酸(及び他の鉱酸)が高純度且つ安価で入手可能であること、それらが他の多くの半導体プロセスにおいて使用されていること、及びMoOの選択的除去におけるそれらの性能によって、鉱酸が、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスにおいてMoOの選択的溶解のために使用される好ましい水溶性化学物質のうちの1つになり得る。濃水酸化アンモニウム(NHOH)もまた、モリブデン酸化物の溶解に使用され得るが、濃NHOHでは、金属Moに対する選択性はHClの場合ほどには良好ではない。
【0053】
MoOの選択的溶解に水溶性化学物質を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。水溶性化学物質は、安価な汎用化学物質を使用し、十分に環境に優しく、有機溶媒の引火性のリスクもない。しかしながら、水酸化アンモニウム(NHOH)の水溶液及び濃鉱酸(HClなど)は、多くの様々な金属と反応する。このことは、Moエッチングにおいて複数の金属がウェーハ表面上に存在する場合に、選択性に懸念を生じさせ得る。このことが、非水溶性化学物質の利点、すなわち、リガンド-金属錯体形成が金属間で非常に選択的になり得ることにつながる。例えば、α-ベンゾインオキシムは、他のほとんどの金属よりもMo6+に対して極めて選択的である。α-ベンゾインオキシムは、定量分析において、他の多くの金属イオンを含む溶液からMoを分離するために使用される。しかしながら、これらのリガンドを使用することによる選択性の利点は、有機溶媒を使用することによる追加の化学コスト及び引火性のリスクという代償を伴う。
【0054】
Moエッチングに関してこれまで説明したが、図1に示すハイブリッドALEプロセスが他の遷移金属のエッチングにどのように使用され得るかについては当業者には容易に理解されよう。例えば、α-ベンゾインオキシムはモリブデンだけでなく他のイオンにも結合する。これには、タングステン、パラジウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、及びクロムのリガンド-金属錯体が含まれる。α-ベンゾインオキシムと結合しない他の金属には固有の選択性がある。α-ベンゾインオキシムと錯体を形成する他の金属に対する選択性は依然として実現され得る。α-ベンゾインオキシムは上で挙げた遷移金属に結合するが、このような金属で形成されたリガンド-金属錯体は溶液によって溶解度が異なる。モリブデンオキシメートはDMSOに可溶であるが、例えば、タングステンオキシメートは不溶であるため、溶解工程において選択性が実現される。ただし、モリブデンオキシメート錯体とタングステンオキシメート錯体との両方ともクロロホルムに可溶である。
【0055】
室温での処理は、熱ALEに勝る湿式ハイブリッドALEの大きな利点である。この利点は、改質層が除去されるメカニズムに起因する。熱ALEでは、改質層は、材料が固相から気相にされるときに、揮発によって除去される。この相変化は更なる潜熱を必要とし、改質層の蒸気圧によって制限される。熱エネルギーは、表面上の改質層を安定化する分子間相互作用を置き換えるために使用されるため、改質層を除去するためには高温が必要とされることが多い。
【0056】
熱ALEとは異なり、湿式ハイブリッドALEにおいては改質層は溶液に溶解される。このプロセスは、分子が溶解する際に分子の周囲に溶媒和殻を形成する。溶媒と溶質との間の相互作用は、固体における分子間相互作用に置き換わる。熱エネルギーではなく、この溶媒和エネルギーが溶解を促進する。熱ALEは室温で実行不可能であるが、湿式ハイブリッドALEが室温で実行可能である理由は、溶解に必要なエネルギーと気化に必要なエネルギーとの基本的な違いによって説明される。溶媒和エネルギーは溶媒種に強く依存するため、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスにおいて改質層を溶解させるためには、適切な溶媒が選択されなければならない。複数の材料で作られた表面の場合、異なる成分の異なる溶媒和エネルギーにより、選択性を導出する別の経路がもたらされる。
【0057】
本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスは、多くの異なるプロセスチャンバ、ツール、及び装置を使用して実現され得るが、ハイブリッドALEプロセスを実行するために使用される処理装置は、室温(又はその付近)且つ常圧(又はその付近)で動作し得ることが好ましい。1つの例示的な実施態様では、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスはスピンチャンバ内で実行され得る。スピンチャンバが利用される場合、液相反応物は基板の上方に配置されたノズルから供給され、基板が配置されたスピンチャックの回転運動によって分散される。気相反応物(例えば、酸素又はオゾンなどの気相酸化剤)をノズルから供給することもでき、ノズルは、基板表面全体にわたって移動されて、表面全体が同量の気相反応物を受けるようにし得る。或いは、気相反応物をガス入口から供給してもよく、ガス入口は、気相反応物をスピンチャンバに導入して、酸素含有ガス環境を形成する。気相反応物を使用するには、排気口とオゾン破壊モジュールなどの適切な排気浄化装置とを備えた気密筐体にスピナ(スピンチャックとも呼ばれる)を収容する必要がある。いくつかの実施形態では、スピナは、静圧の気相反応物を収容する気密筐体に収容され得る。
【0058】
図3Aは、本明細書で説明されるハイブリッドALE技法を使用して基板330の表面上の材料をエッチングし得る処理システム300の一実施形態を示す。図3Aに示すように、処理システム300はプロセスチャンバ310を備え、プロセスチャンバ310は、いくつかの実施形態では圧力制御チャンバであり得る。図3Aに示す実施形態では、プロセスチャンバ310は、スピナ320(又はスピンチャック)を有するスピンチャンバであり、スピナ320(又はスピンチャック)は制御された速度でスピン又は回転するように構成される。基板330が、例えば静電気力又は真空圧によってスピナ320上に保持される。一例では、基板330は、材料(例えば、多結晶材料など)を基板330上又は基板330内に形成された半導体ウェーハであってもよい。
【0059】
図3Aに示す処理システム300は、液相反応物342を基板330の表面上に供給するために基板330の上方に配置されるノズル340と、気相反応物352をプロセスチャンバ310に導入するためのガス入口350とを更に備える。いくつかの実施形態では、基板330上又は基板330内に形成される多結晶材料は、遷移金属(例えば、モリブデン(Mo)など)であってもよく、気相酸化剤(例えば、O又はOなど)などの気相反応物352は、ガス入口350を介してプロセスチャンバ310に導入されて酸素含有ガス環境を形成し得る。酸素含有ガス環境は、遷移金属の露出表面を酸化して自己律速型酸化層(例えば、MoOなど)を形成する。酸化層が形成された後、1種以上の液相反応物342が、ノズル340を介して基板330の表面上に供給されて、酸化層を選択的に溶解し、その結果、下にある多結晶材料をエッチングすることなく酸化層が除去され得る。酸化層と選択的に結合し、酸化層を溶解するために使用され得る液相反応物342の例については、上でより詳細に論じてある。
【0060】
液相反応物(複数種可)342は化学物質供給システム346内に貯蔵されてもよく、化学物質供給システム346は、様々な液相反応物(複数種可)342を保持するための1つ以上のリザーバと、液体供給ライン344を介してプロセスチャンバ310に流体的に結合される化学物質注入マニホルドとを備え得る。動作の際、化学物質供給システム346は、液体供給ライン344及びプロセスチャンバ310内に配置されたノズル340を介して、所望の化学物質をプロセスチャンバ310に選択的に施し得る。このように、化学物質供給システム346は、液相反応物(複数種可)342を基板330の表面上に供給するために使用され得る。
【0061】
気相反応物(複数種可)352はガス供給システム356内に貯蔵されてもよく、ガス供給システム356は、様々な気相反応物(複数種可)352を保持するための1つ以上のリザーバと、ガス供給ライン354を介してプロセスチャンバ310に結合されるガス注入マニホルドとを備え得る。動作の際、ガス供給システム356は、ガス供給ライン354及びプロセスチャンバ310内に配置されたガス入口350を介して、所望の気相反応物をプロセスチャンバ310に選択的に施し得る。このように、ガス供給システム356は、気相反応物352をプロセスチャンバ310に導入するために使用され得る。
【0062】
気相反応物352が使用されるため、プロセスチャンバ310は、気相反応物の静圧を維持することができる気密筐体を備え得る。プロセスチャンバ310は、気相反応物352を除去するためのガス排気口370と、液相反応物342をプロセスチャンバ310から除去するためのドレン380とを更に備え得る。いくつかの実施形態では、ガス排気口370は、オゾン破壊モジュールなどの適切な排気浄化装置(図示せず)に結合され得る。
【0063】
処理システム300の構成要素は、対応するメモリストレージユニット及びユーザインターフェース(図示せず)に結合され得るコントローラ360と結合して、コントローラ360により制御され得る。ユーザインターフェースを介して各種の処理動作を実行することができ、各種の処理レシピ及び動作をストレージユニットに記憶することができる。したがって、所与の基板330は、特定のレシピにしたがってプロセスチャンバ310内で処理され得る。いくつかの実施形態では、所与の基板330は、本明細書で説明されるハイブリッドALE技法を利用するエッチングレシピにしたがってプロセスチャンバ310内で処理され得る。
【0064】
図3Aにブロック図の形態で示すコントローラ360は、多種多様な仕方で実施され得る。一例では、コントローラ360はコンピュータであり得る。別の例では、コントローラ360は、本明細書で説明される機能を提供するようにプログラムされた1つ以上のプログラマブル集積回路を含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニットなど)、プログラマブルロジックデバイス(例えば、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、及び/又は他のプログラマブル集積回路を、ソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラムして、規定されたプラズマプロセスレシピの機能を実現できる。ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ記憶デバイス、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、再プログラム可能な記憶デバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROMなど)に記憶され得ることと、ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、プログラム可能集積回路により実行されると、本明細書に記載される処理、機能、及び/又は能力をプログラム可能集積回路に実行させることとに更に留意されたい。他の変形形態も実装され得る。
【0065】
図3Aに示すように、コントローラ360は、処理システム300の様々な構成要素に結合されて、構成要素から入力を受け取り、構成要素に出力を提供し得る。例えば、コントローラ360は、プロセスチャンバ310内の温度及び/又は圧力を制御するためにプロセスチャンバ310に結合され、スピナ320の回転速度を制御するためにスピナ320に結合され、基板330上に供給される様々な液相反応物342を制御するために化学物質供給システム346に結合され、プロセスチャンバ310に導入される様々な気相反応物352を制御するためにガス供給システム356に結合され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、コントローラ360は、本明細書で説明されるハイブリッドALE技法を利用するエッチングレシピにしたがって処理システム300の様々な構成要素を制御し得る。例えば、コントローラ360は、ガス供給システム356に様々な制御信号を供給し、これにより、ガス供給システム356に気相反応物352をプロセスチャンバ310内に導入させて、基板330上に表面改質層を形成させ得る。同様に、コントローラ360は、化学物質供給システム346に様々な制御信号を供給でき、これにより、化学物質供給システム346に基板330の表面上に1種以上の液相反応物342を供給させて、表面改質層の下にある材料を溶解することなく表面改質層を選択的に溶解し得る。多結晶モリブデン(Mo)材料の露出表面を改質するため、またMo表面改質層を選択的に溶解するための例示的な気相反応物352及び液相反応物342については、上で論じてある。
【0067】
表面改質層が選択的に溶解されると、基板330は乾燥されてもよく、気相表面改質工程及び液相溶解工程は、所望量の多結晶材料がエッチングされるまで、1つ以上のALEサイクルにわたって繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ360は、スピナ320及び/又は化学物質供給システム346に制御信号を供給して、基板330を乾燥し得る。一例では、コントローラ360は、スピン乾燥工程において基板330を乾燥するように、スピナ320の回転速度を制御し得る。別の例では、コントローラ360から化学物質供給システム346に供給される制御信号は、スピン乾燥工程を実行する前に基板を乾燥するのを更に助けるために、乾燥剤(例えば、イソプロピルアルコールなど)を基板330の表面上に供給させ得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスの気相表面改質工程、液相溶解工程、及びスピン乾燥工程はそれぞれ、同じプロセスチャンバ310内で概ね同じ温度及び圧力で実行され得る。1つの例示的な実施形態では、気相表面改質工程、液相溶解工程、及びスピン乾燥工程とは常圧室温で(又はその付近で)実行され得る。処理工程を同じプロセスチャンバ内で概ね同じ温度及び圧力で実行することは、不必要なチャンバ移行及び温度/圧力変化を回避することにより、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのサイクル時間を短縮し、スループットを改善する。
【0069】
ただし、本明細書で説明される実施形態は、常圧及び室温のみに厳密に限定されるものではなく、特定のプロセスチャンバに限定されるものでもないことに留意されたい。他の実施形態では、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスの1つ以上の処理工程が、圧力容器内で上記常圧を超えて、又は真空チャンバ内で減圧されて実行され得る。液相反応物は、液体の蒸気圧がチャンバ圧力よりも低い限り、これらの環境で供給され得る。これらの実施形態では、液体供給ノズルを備えたスピナが圧力容器又は真空チャンバ内に配置される。供給される液体の温度は、プロセスの圧力における沸点未満の任意の温度まで上昇させ得る。液温が高くなると、溶解の速度が上昇し得る。
【0070】
本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのいくつかの実施形態では、基板330は、気相反応物(複数種可)352及び液相反応物(複数種可)342に連続して曝され得る。しかしながら、他の実施形態では、基板330は、気相反応物352がプロセスチャンバ310に供給されている状態で、1種以上の液相反応物342に曝され得る。液相反応物342が気相反応物352の存在下で供給されると、基板330の表面上に供給された液相反応物342が、表面から気相反応物352を追い出して、表面の更なる改質を防ぐ。このようにして供給されると、液相反応物342は、表面改質層を溶解するだけでなく、気相表面改質工程と液相溶解工程とを分割する。このことは、図3Bに概略的に示され、表面改質工程と溶解工程との間においてパージ工程を実行する必要をなくすことによって、他のALE技法と比較して、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスのサイクル時間及びスループットを改善する。
【0071】
気相表面改質工程と液相溶解工程との分割を説明するために、基板330の一部390の拡大図を図3Bに示す。本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスでは、気相反応物(複数種可)352がプロセスチャンバ310に導入されて、例えば酸素含有ガス環境を形成する。気相反応物(複数種可)352は、基板330の露出表面と反応して、自己律速型表面改質層335を形成する。次に、1種以上の液相反応物342が、スピナ320が回転している状態で、気相反応物352の存在下で基板330の表面上に供給される。スピナ320が回転すると、液相反応物(複数種可)342が(図3Bに示す方向に)外側に広がって、表面改質層335を溶解する。液相反応物(複数種可)342は、気相反応物352が基板330の表面に到達するのを防ぎ、これにより、基板330の下の部分が再酸化されるのを防ぎながら、表面改質層335を溶解する。
【0072】
液相反応物(複数種可)342が外側(図3Bに示す方向)に広がるにつれて、気相反応物(複数種可)352は基板330の表面から追い出される。この追い出しは、液相反応物(複数種可)342が表面上に連続膜を形成し、このことが気相反応物(複数種可)352が基板330の表面に到達するのを困難にする、又は実質的に防ぐために起こる。例えば、気相反応物352は、基板330の表面に到達するために、液相反応物(複数種可)342を通って拡散しなければならない。しかしながら、表面改質層335が液相反応物(複数種可)342によって溶解されると、液相反応物(複数種可)342が基板330の表面から洗い流されて、表面を気相反応物(複数種可)352に再び曝し、新しい表面改質層を形成し得る。気相反応物(複数種可)352に曝すことは、いくつかの実施形態では、基板330をスピン乾燥することによって実現され得る。液相反応物(複数種可)342は、気相反応物(複数種可)352の液体中への拡散タイムスケールよりも速い速度で基板330の表面から洗い流され得るため、液相反応物(複数種可)342を繰り返し供給することにより、気相表面改質工程と液相溶解工程とが効果的に分割される。
【0073】
本明細書で説明される技法は、他のエッチング技法に勝る複数の利点を提供する。例えば、本明細書で説明される技法は、エッチング総量の正確な制御、表面粗さの制御、及びウェーハスケールの均一性の改善などのALEの利点を提供する。本明細書で説明される技法はまた、エッチングチャンバの簡素化、常圧且つ室温のエッチング条件(又はその付近)における自己律速型反応、及び表面粗さの低減など、湿式エッチングの様々な利点を提供する。
【0074】
時間がかかる傾向がある従来の湿式ALEプロセスとは異なり、本明細書で説明される技法は、気相表面改質工程を液相溶解工程と組み合わせることにより、サイクル時間及びスループットを改善するハイブリッドALEプロセスを提供する。上記のように、気相表面改質工程及び液相溶解工程を同じプロセスチャンバにおいて概ね同じ温度及び圧力で実行することによって、本明細書で説明されるハイブリッドALEプロセスにおけるサイクル時間及びスループットが改善される。いくつかの実施形態では、サイクル時間及びスループットが、気相反応物(複数種可)の存在下で液相反応物(複数種可)を基板の表面上に供給し、その結果、液相反応物(複数種可)が気相反応物(複数種可)を表面から追い出し、気相表面改質工程と液相溶解工程とを分割することによって更に改善される。
【0075】
図4図6は、本明細書で説明されるハイブリッドALE技法を使用する例示的な方法を示す。より具体的には、図4図6は、プロセスチャンバ内に配置された基板をエッチングするために気相表面改質工程を液相溶解工程と組み合わせることによって、湿式ALEの利点を維持しながら、その欠点を回避するハイブリッドALEプロセスを提供するために使用される方法の様々な実施形態を示す。図4図6の実施形態は単なる例示であり、更なる方法が、本明細書で説明されるハイブリッドALE技法を利用してもよいことを理解されたい。更に、説明された処理工程は排他的であることを意図していないため、図4図6に示す方法に、更なる処理工程を追加してもよい。更には、工程の順序は、異なる順序が生じる場合があり、且つ/又は様々な工程が組み合わせで若しくは同時に実施されてもよいため、図面に示す順序には限定されない。
【0076】
図4は、ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングするために使用され得る方法400の一実施形態を示す。図4に示す方法400は、(工程410において)基板を受け取ることであって、基板が材料を露出させている、ことを含む。次いで、工程420において、方法400は、ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって材料を選択的にエッチングすることを含み、各サイクルが、a)材料の露出表面を化学的に改質し、表面改質層を提供する気相表面改質工程を実行することであって、気相表面改質工程が、基板を気相反応物に曝して、材料の露出表面を化学的に改質することを含む、ことと、b)材料の表面改質層を選択的に溶解する液相溶解工程を実行することであって、液相溶解工程が、基板の表面上に1種以上の液相反応物を供給して、表面改質層を溶解することを含む、ことを含む。図4に示す方法400では、1種以上の液相反応物が、基板が気相反応物に曝されている状態で、基板の表面上に供給される。このような方法では、1種以上の液相反応物が、気相反応物を基板の表面から追い出すことによって、気相表面改質工程と液相溶解工程とを分割する。
【0077】
図5は、ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングするために使用され得る方法500の別の実施形態を示す。図5に示す方法500は、(工程510において)基板を受け取ることであって、基板が多結晶材料を露出させている、ことを含む。次いで、工程520において、方法500は、ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによって多結晶材料を選択的にエッチングすることを含み、各サイクルが、a)多結晶材料の露出表面を化学的に改質して、表面改質層を提供することであって、前記露出表面が、気相酸化剤を使用した多結晶材料の酸化によって化学的に改質される、ことと、b)多結晶材料の表面改質層に錯化剤を結合させて、錯体結合型の表面改質層を提供することと、c)錯体結合型の表面改質層を液体溶媒に曝すことによって、多結晶材料の錯体結合型の表面改質層を選択的に除去することであって、液体溶媒が、錯体結合型の表面改質層の下にある多結晶材料を溶解することなく錯体結合型の表面改質層を溶解する、ことを含む。
【0078】
図6は、ハイブリッド原子層エッチング(ALE)プロセスを使用して基板をエッチングするために使用され得る方法600の更に別の実施形態を示す。図6に示す方法600は、(工程610において)基板を受け取ることであって、基板がモリブデン(Mo)金属を露出させている、ことを含む。次いで、工程620において、方法600は、ハイブリッドALEプロセスの複数のサイクルを実行することによってMo金属を選択的にエッチングすることを含み、各サイクルが、a)Mo金属の露出表面を化学的に改質して、表面改質層を提供することであって、前記露出表面が、オゾンを含む気相酸化剤を使用したMo金属の酸化によって化学的に改質される、ことと、b)Mo金属の表面改質層に錯化剤を結合させて、錯体結合型の表面改質層を提供することと、c)錯体結合型の表面改質層を液体溶媒に曝すことによって、Mo金属の錯体結合型の表面改質層を選択的に除去することであって、液体溶媒が、錯体結合型の表面改質層の下にあるMo金属を溶解することなく錯体結合型の表面改質層を溶解し、b)及びc)が少なくとも部分的に時間的に重なる、ことを含む。
【0079】
本明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」又は「実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、それらがすべての実施形態に存在することを示すものではないことに留意されたい。したがって、本明細書全体を通じた様々な箇所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指すわけではない。更には、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な形態で組み合わされてもよい。他の実施形態では、様々な追加の層及び/若しくは構造が含まれてもよく、並びに/又は説明された特徴が省略されてもよい。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「基板」は、材料が上に形成されるベース材料又は構造を意味し且つこれらを含む。基板は、単一材料、様々な材料の複数の層、様々な材料又は様々な構造の領域を内部に有する1層以上の層などを含み得ることを理解されたい。これらの材料は半導体、絶縁体、導体、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、基板は、半導体基板、支持構造上のベース半導体層、金属電極、又は1つ以上の層、構造、若しくは領域がその上に形成された半導体基板であってもよい。基板は、半導電性材料の層を含む、従来のシリコン基板又は他のバルク基板であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「バルク基板」は、シリコンウェーハだけでなく、シリコンオンサファイア(「SOS」)基板及びシリコンオンガラス(「SOG」)基板などのシリコンオンインシュレータ(「SOI」)基板、ベース半導体基板上のシリコンのエピタキシャル層、並びにシリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、及びリン化インジウムなどの他の半導体又は光電子材料をも意味し且つそれらを含む。基板は、ドープされていても、ドープされていなくてもよい。
【0081】
基板を処理するためのシステム及び方法が、様々な実施形態で説明されている。基板は、デバイス、特に半導体又は他の電子デバイスの任意の材料部分又は構造を含んでもよく、例えば、半導体基板などのベース基板構造であってもよく、又は薄膜など、ベース基板構造上の若しくはその上を覆う層であってもよい。したがって、基板は、パターン化された又はパターン化されていない、任意の特定のベース構造、下地層、又は上地層に限定されることは意図されておらず、むしろ、任意のこのような層又はベース構造、並びに層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むことが企図されている。
【0082】
当業者であれば理解されるように、様々な実施形態が、具体的な細部のうちの1つ以上を伴わずに、或いは、他の代替的及び/若しくは追加的方法、材料、又は構成要素を伴って実施されてよい。他の例では、周知の構造、材料、又は動作は、本発明の様々な実施形態の態様を曖昧にすることを避けるために、詳細には図示又は説明されていない。同様に、本発明の完全な理解を提供するために、説明の目的で、具体的な数、材料、及び構成が記述される。しかしながら、本発明は、具体的な細部なしに実施されてもよい。更に、図面に示す様々な実施形態は例示的表現であり、必ずしも原寸に比例して描かれていないことを理解されたい。
【0083】
本明細書を検討すれば、記載されたシステム及び方法の更なる修正形態及び代替的実施形態が当業者には明らかになるはずである。したがって、記載されるシステム及び方法は、これらの例示的な構成によって限定されるものではないことが理解されよう。本明細書に図示され記載されるシステム及び方法の形態は、例示的な実施形態と解釈されるべきであることを理解されたい。実施形態に様々な変更を施すことができる。したがって、ハイブリッドALE技法は、具体的な実施形態を参照して本明細書で説明されるが、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を実施することができる。したがって、本明細書及び図面は、限定的意味というよりも、むしろ例示的意味でみなされるべきであり、このような修正形態が本開示の範囲に含まれることが意図されている。更に、特定の実施形態に関して本明細書で説明されるいかなる利益、利点、又は課題に対する解決策も、特許請求の範囲のいずれかの又はすべての重要な、必要な、又は必須の特徴又は要素として解釈されることは意図されていない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
【国際調査報告】