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特表2024-507152透明な基板を有する高分解能X線分光表面材料分析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-16
(54)【発明の名称】透明な基板を有する高分解能X線分光表面材料分析
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2252 20180101AFI20240208BHJP
   G01N 23/2209 20180101ALI20240208BHJP
【FI】
G01N23/2252
G01N23/2209
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548630
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022013327
(87)【国際公開番号】W WO2022173577
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/173,016
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ザー イェフダ
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA03
2G001BA05
2G001CA01
2G001DA02
2G001EA01
2G001EA03
2G001EA07
2G001HA13
2G001KA01
2G001LA11
(57)【要約】
走査型電子顕微鏡(SEM)カラムおよびX線検出器を含む評価システムを用いて、サンプルの関心領域のX線分光法表面材料分析を行う方法であって、関心領域内にあると予想される元素を識別するステップと、識別された元素に基づいて、SEMカラムによって生成される荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択するステップと、選択されたランディングエネルギーに設定された荷電粒子ビームで関心領域を走査するステップと、荷電粒子ビームによって関心領域が走査されている間に生成されたX線を検出するステップと、検出されたX線に基づいて、走査された関心領域の2次元画像を生成するステップと、を含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査型電子顕微鏡(SEM)カラム、X線検出器、およびX線偏光子を含む評価システムを用いて、サンプルの関心領域のX線分光法表面材料分析を行う方法であって、
前記走査型電子顕微鏡の視野内にサンプルを配置するステップと、
前記サンプルの前記関心領域内の材料のイオン化エネルギーにほぼ等しいランディングエネルギーを有する電子ビームを生成するステップと、
前記サンプルに衝突するように設定された前記電子ビームで前記関心領域を走査し、それによって前記サンプルの表面付近から放出されるX線を生成するステップであって、前記X線が特性X線および制動放射線を含む、X線を生成するステップと、
前記関心領域が前記電子によって走査されている間に生成されたX線を、前記X線が、前記特性X線よりも高い割合の前記制動放射線を遮断する前記X線偏光子を通過した後に、検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記検出されたX線に基づいて、前記走査された関心領域の2次元画像を生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記X線が、前記電子ビームに対して90度の角度で配置された検出器によって検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記SEMカラムおよび前記X線検出器が、前記走査するステップおよび前記検出するステップの間、前記関心領域の反対側に配置されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電子ビームが、前記サンプルの前記表面に対して45度の角度で前記関心領域を横切って走査され、前記検出器が、前記サンプルの前記表面に対して45度の角度で配置されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記X線検出器がWDS検出器であり、前記X線偏光子が、前記サンプルに対する前記WDS検出器内の結晶の特定の配向を選択することによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記X線偏光子が、前記X線検出器と前記サンプルとの間に配置された別個の素子である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
走査型電子顕微鏡の視野内にサンプルを配置するステップと、
前記サンプルの関心領域内の材料のイオン化エネルギーにほぼ等しいランディングエネルギーを有する電子ビームを生成するステップと、
前記サンプルに衝突するように設定された前記電子ビームで前記関心領域を走査し、それによって前記サンプルの表面付近から放出されるX線を生成するステップであって、前記X線が特性X線および制動放射線を含む、X線を生成するステップと、
前記関心領域が前記電子によって走査されている間に生成されたX線を、前記X線が、前記特性X線よりも高い割合の前記制動放射線を遮断する前記X線偏光子を通過した後に、検出するステップと、
によってサンプルの領域を評価するための複数のコンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項9】
サンプルの領域を評価するための前記コンピュータ可読命令が、前記検出されたX線に基づいて前記走査された関心領域の2次元画像を生成するための命令をさらに含む、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項10】
前記電子ビームが、前記サンプルの前記表面に対して45度の角度で前記関心領域を横切って走査され、前記検出器が、前記サンプルの前記表面に対して45度の角度で配置されている、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項11】
前記X線偏光子が、前記X線検出器と前記サンプルとの間に配置された別個の素子である、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項12】
前記X線検出器がWDS検出器であり、前記X線偏光子が、前記サンプルに対する前記WDS検出器内の結晶の特定の配向を選択することによって実施される、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項13】
前記X線が、前記電子ビームに対して90度の角度で配置された検出器によって検出される、請求項8~12のいずれか1項に記載の非一時的コンピュータ可読メモリ。
【請求項14】
サンプルの領域を評価するためのシステムであって、
真空チャンバと、
サンプル評価プロセス中に前記真空チャンバ内にサンプルを保持するように構成されたサンプル支持体と、
荷電粒子ビームを前記サンプルに向けて前記真空チャンバ内に導くように構成された走査型電子顕微鏡(SEM)カラムと、
前記荷電粒子ビームと前記サンプルとの間の衝突から生成されるX線を検出するように構成された検出器と、
プロセッサと、前記プロセッサに結合されたメモリであって、前記プロセッサによって実行されるときに、
前記走査型電子顕微鏡の視野内にサンプルを配置することと、
前記サンプルの関心領域内の材料のイオン化エネルギーにほぼ等しいランディングエネルギーを有する電子ビームを生成することと、
前記サンプルに衝突するように設定された前記電子ビームで前記関心領域を走査し、それによって、前記サンプルの表面付近から放出されるX線を生成することであって、前記X線が特性X線および制動放射線を含む、X線を生成することと、
前記関心領域が前記電子によって走査されている間に生成されたX線を、前記X線が、前記特性X線よりも高い割合の前記制動放射線を遮断する前記X線偏光子を通過した後に、検出することと、
を前記システムに行わせる複数のコンピュータ可読命令を含む、メモリと、
を備える、システム。
【請求項15】
前記プロセッサによって実行されるときに、前記検出されたX線に基づいて、前記走査された関心領域の2次元画像を前記システムに生成させるコンピュータ可読命令をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記X線が、前記電子ビームに対して90度の角度で配置された検出器によって検出される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記SEMカラムおよび前記X線検出器が、前記走査することおよび前記検出することの間、前記関心領域の反対側に配置されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記走査プロセス中、前記電子ビームが、前記サンプルの前記表面に対して45度の角度に設定され、前記検出器が、前記サンプルの前記表面に対して45度の角度に配置されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記X線偏光子が、前記X線検出器と前記サンプルとの間に配置された別個の素子である、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記X線検出器がWDS検出器であり、前記X線偏光子が、前記サンプルに対する前記WDS検出器内の結晶の特定の配向を選択することによって実施される、請求項14~19のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年2月10日に出願された米国特許出願第17/173,016号の優先権を主張するものである。その開示は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電子材料およびこのような材料を電子構造に製造するためのプロセスの研究では、電子構造の試料は、故障解析およびデバイス検証を目的とした顕微鏡検査に使用することができる。例えば、シリコンウエハなどの電子構造の試料を走査型電子顕微鏡(SEM)で分析して、ウエハの特定の特有の特徴を調べることができる。このような特有の特徴は、製造された回路および製造プロセス中に形成されたなんらかの欠陥を含むことがある。電子顕微鏡は、半導体デバイスの微細構造を解析するための最も有用な装置の1つである。
【0003】
試料をSEMツールからの電子ビームで検査する場合、電子が試料の表面に衝突すると、照射の結果としてX線が生成される。X線は、分析用エネルギー分散型X線分光法(EDX)または波長分散型X線分光法(WDX)技術を用いて分析することができ、サンプルの元素組成に関する定量的な情報を得ることができる。X線光子は、試料表面の実際のパターン形態(morphology)の画像を投影することもでき、この画像を用いて、元素組成、物理的寸法(CD)、シミュレートされたアーキテクチャからの局所的または全体的なばらつき(欠陥性)、物理的アーキテクチャの他の部分に対するパターンの物理的位置(オーバレイ)などの様々な態様を特徴付けることができる。
【0004】
しかしながら、現在知られているEDX分析技術の中には、分解能が低いという欠点を有するものがあり、小さな特徴サイズの元素を検出することを困難にしている。したがって、EDX分析技術の改善が望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一部の実施形態は、サンプル表面の高分解能材料分析および高分解能2D画像の生成を可能にする、サンプルのX線分光法表面材料分析を行うための改良された方法および技術に関する。
【0006】
一部の実施形態では、走査型電子顕微鏡(SEM)カラムおよびX線検出器を含む評価システムを用いてサンプルの関心領域のX線分光法表面材料分析を行う方法が提供される。本方法は、関心領域内にあると予想される元素を識別するステップと、識別された元素に基づいて、SEMカラムによって生成される荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択するステップと、選択されたランディングエネルギーに設定された荷電粒子ビームで関心領域を走査するステップと、関心領域が荷電粒子ビームによって走査されている間に生成されるX線を検出するステップと、検出されたX線に基づいて、走査された関心領域の2次元画像を生成するステップと、を含むことができる。
【0007】
一部の実施形態では、関心領域内にあると予想される複数の元素を識別することができ、本方法は、数において複数の識別された元素に対応する関心領域の複数の2次元画像を順次生成するステップをさらに含むことができ、複数の2次元画像内の各2次元画像は、複数の元素の各元素のうちの固有の元素に基づいて、SEMカラムによって生成された荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択するステップと、選択されたランディングエネルギーに設定された荷電粒子ビームで関心領域を走査するステップと、荷電粒子ビームによって関心領域が走査されている間に生成されたX線を検出するステップと、検出されたX線に基づいて、走査された関心領域の2次元画像を生成するステップと、によって生成される。
【0008】
2次元画像が複数の元素のそれぞれについて生成される一部の実施態様では、実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。複数の元素のそれぞれについて生成された2次元画像を、総合的な材料分析を表す単一画像に合成することができる。評価システムは、サンプルのシミュレートされたアーキテクチャへのROIのマッピングに基づいて、関心領域内で予想される複数の元素を識別することができる。評価システムは、関心領域全体の初期高エネルギーX線走査に基づいて、関心領域内で予想される複数の元素を識別することができる。ユーザは、システムへのユーザインターフェースを介して、評価システムへの複数の元素を識別することができる。評価システムは、データベースに記憶された校正データに基づいて、複数の元素のそれぞれのランディングエネルギーを自動的に識別することができる。評価システムは、データベースに記憶された校正データに基づいて、複数の元素のそれぞれに対するランディングエネルギーの初期推奨値をユーザに提示することができ、ユーザは、システムへのユーザインターフェースを介して、推奨されたランディングエネルギーを受け入れるか、または更新することができる。本方法は、ユーザが、システムへのユーザインターフェースを介して、複数の元素のそれぞれについて評価システムへのランディングエネルギーを識別できるようにするステップをさらに含むことができる。本方法は、複数の元素の各元素に対して異なるランディングエネルギーを選択するステップをさらに含むことができる。
【0009】
本明細書に記載される実施形態の様々な実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。走査領域の2次元画像は、複数のピクセルを含むことができ、2次元画像のコントラストは、複数のピクセルにおける各ピクセルのX線信号強度によって決定することができる。評価システムは、特定のランディングエネルギーを特定の元素に関連付けるデータベースにアクセスすることによって、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを自動的に選択することができる。評価システムは、ユーザによって入力された所望の空間分解能に基づいて、荷電粒子ビームのランディングエネルギーを自動的に選択することができる。
【0010】
一部の実施形態では、本方法は、関心領域内にあると予想される少なくとも第1および第2の元素を識別するステップを含むことができ、第1の元素は、第1の特性エネルギーを有し、第2の元素は、第1の特性エネルギーとは異なる第2の特性エネルギーを有し、本方法は、それぞれが複数のピクセルから構成される、関心領域の第1および第2の2次元画像を生成するステップをさらに含むことができる。第1の2次元画像は、(i)第1の元素に基づいてSEMカラムによって生成された荷電粒子ビームの第1のランディングエネルギーを選択することと、(ii)第1のランディングエネルギーに設定された第1の荷電粒子ビームで関心領域を走査することと、(iii)関心領域が第1の荷電粒子ビームによって走査されている間に生成された第1の組のX線を検出することと、(iv)第1の組の検出されたX線に基づいて、走査された関心領域の第1の2次元画像を生成することと、によって生成することができ、第1の2次元画像のコントラストは、第1の複数のピクセルにおける各ピクセルのX線信号強度によって決定される。第2の2次元画像は、(i)第2の元素に基づいて、第1のランディングエネルギーとは異なる、SEMカラムによって生成された荷電粒子ビームの第2のランディングエネルギーを選択することと、(ii)第2のランディングエネルギーに設定された第2の荷電粒子ビームで関心領域を走査することと、(iii)関心領域が第2の荷電粒子ビームによって走査されている間に生成された第2の組のX線を検出することと、(iv)第2の組の検出されたX線に基づいて、走査された関心領域の第2の2次元画像を生成することと、によって生成することができ、第2の2次元画像のコントラストは、第2の複数のピクセルにおける各ピクセルのX線信号強度によって決定される。
【0011】
一部の実施形態では、走査型電子顕微鏡(SEM)カラムおよびX線検出器を含む評価システムを用いてサンプルの領域のX線分光法表面材料分析を行う方法が提供され、本方法は、サンプル上の関心領域を識別するステップと、関心領域内にあると予想される複数の元素を識別するステップと、数において複数の識別された元素に対応する関心領域の複数の2次元画像を順次生成するステップと、を含む。複数の2次元画像における順次生成される2次元画像のそれぞれは、複数の元素の元素のうちの固有の元素に基づいて、SEMカラムによって生成された荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択することと、選択されたランディングエネルギーに設定された荷電粒子ビームで関心領域を走査することと、関心領域が荷電粒子ビームによって走査されている間に生成されたX線を検出することと、検出されたX線に基づいて、走査された関心領域の2次元画像を生成することと、によって生成することができる。
【0012】
一部の実施形態は、上記または本明細書の方法のいずれかに従って、サンプルの領域のX線分光法表面材料分析を行うための命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に関する。例えば、関心領域内にあると予想される元素を識別することと、識別された元素に基づいてSEMカラムによって生成された荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択することと、選択されたランディングエネルギーに設定された荷電粒子ビームで関心領域を走査することと、荷電粒子ビームによって関心領域が走査されている間に生成されたX線を検出することと、検出されたX線に基づいて走査された関心領域の2次元画像を生成することと、による。
【0013】
一部の実施形態は、上記または本明細書に記載される方法のいずれかに従って、サンプルの領域のX線分光法表面材料分析を行うためのシステムに関する。例えば、システムは、真空チャンバと、サンプル評価プロセス中に真空チャンバ内にサンプルを保持するように構成されたサンプル支持体と、真空チャンバ内のサンプルに向けて荷電粒子ビームを導くように構成された走査型電子顕微鏡(SEM)カラムと、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、を含むことができる。メモリは、プロセッサによって実行されるときに、システムに、関心領域内にあると予想される元素を識別することと、識別された元素に基づいてSEMカラムによって生成される荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択することと、選択されたランディングエネルギーに設定された荷電粒子ビームで関心領域を走査することと、荷電粒子ビームによって関心領域が走査されている間に生成されたX線を検出することと、検出されたX線に基づいて走査された関心領域の2次元画像を生成することと、を行わせる複数のコンピュータ可読命令を含むことができる。
【0014】
本開示の性質および利点をよりよく理解するために、以下の説明および添付の図面を参照されたい。しかしながら、図のそれぞれは、例示のみを目的として提供されており、本開示の範囲の限定の定義としては意図されていないことを理解されたい。また、原則として、説明とは反対であることが明らかでない限り、異なる図における要素が同一の参照番号を使用する場合、要素は、概して、機能または目的において同一であるか、または少なくとも類似するかのいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一部の実施形態によるサンプル評価システムの簡略図である。
図2】バックグランド制動放射線を含むサンプル材料のエネルギー分散型X線分光法グラフの一例である。
図3A】異なるランディングエネルギーでのサンプル中の電子ビームの相互作用体積を示す簡略図である。
図3B】異なるランディングエネルギーでのサンプル中の電子ビームの相互作用体積を示す簡略図である。
図3C】異なるランディングエネルギーでのサンプル中の電子ビームの相互作用体積を示す簡略図である。
図4A】異なるランディングエネルギーで電子ビームに曝露されたサンプルのEDXデータの違いを示す簡略図である。
図4B】異なるランディングエネルギーで電子ビームに曝露されたサンプルのEDXデータの違いを示す簡略図である。
図5】本開示の一部の実施形態による、サンプルの分析に関連付けられたステップを示す流れ図である。
図6】本開示の一部の実施形態による、サンプルの分析に関連付けられたステップを示す流れ図である。
図7】一部の実施形態に従って分析することができる半導体ウエハ上の領域の簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態により、X線分光法技術を用いたサンプル表面の高分解能材料分析および高分解能2D画像の生成が可能となる。
【0017】
例示的なサンプル評価ツール
本開示をよりよく理解し、認識するために、まず、本開示の一部の実施形態によるサンプル評価システム100の簡略化された概略図である図1を参照する。サンプル評価システム100は、とりわけ、半導体ウエハなどのサンプル上に形成された構造の欠陥レビューおよび分析に使用することができる。
【0018】
システム100は、走査型電子顕微鏡(SEM)カラム120とともに真空チャンバ110を含むことができる。支持要素140は、サンプル130(本明細書では「物体」または「試料」と呼ばれることもある)がSEMカラムからの荷電粒子ビーム125にさらされる処理動作中に、チャンバ110内でサンプル130(例えば、半導体ウエハ)を支持することができる。
【0019】
SEMカラム120は、カラムによって生成された荷電粒子ビーム125が、サンプル130に衝突する前に、真空チャンバ110内に形成された真空環境を通って伝播するように、真空チャンバ110に接続されている。SEMカラム120は、サンプルを荷電粒子ビームで照射し、照射によって放出された粒子を検出し、検出された粒子に基づいて荷電粒子画像を生成することによって、サンプル130の一部の画像を生成することができる。
【0020】
粒子画像化プロセスは、典型的には、画像化されるサンプルの特定の領域にわたって荷電粒子ビームを前後に(例えば、ラスタまたは他の走査パターンで)走査することを含む。荷電粒子カラムに結合された1つまたは複数のレンズ122、124は、当業者に知られているように走査パターンを実施することができる。この目的のために、一部の実施形態では、レンズ122、124は、磁気レンズ、静電レンズ、または電気レンズと磁気レンズの両方の組合せなどの偏向レンズとすることができる。
【0021】
走査される領域は、典型的には、サンプルの全領域のごく一部である。例えば、サンプルは、200mmまたは300mmのいずれかの直径を有する半導体ウエハとすることができ、ウエハ上で走査される各領域は、μm単位もしくは数十μm単位で測定される幅および/または長さを有する矩形領域とすることができる。
【0022】
システム100は、サンプル130の表面の関心領域(ROI)内の1つまたは複数の微視的元素の組成を決定するために使用することができるエネルギー分散型X線分光法(EDX)検出器150を含むこともできる。EDX検出器150は、荷電粒子ビーム125による元素の照射の結果として放出されるX線光子を収集する。EDX検出器150は、この検出器によって検出された光子のエネルギーを決定するためのエネルギー分析器を含むことができ、これにより、システム100は、X線光子が放出された元素を特徴付けることができることを可能とする。非限定的な例として、EDX検出器150は、以下の図2ならびに図4Aおよび図4Bに示すものなど、サンプルのX線分光グラフを生成するための情報を収集することができる。
【0023】
プロセッサまたは他のハードウェアユニットなどの1つまたは複数のコントローラ160は、当業者に知られているように、1つまたは複数のコンピュータ可読メモリ170に記憶されたコンピュータ命令を実行することによって、システム100の動作を制御することができる。例として、コンピュータ可読メモリは、ソリッドステートメモリ(プログラム可能、フラッシュ更新可能などとすることができるランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読取り専用メモリ(ROM)など)、ディスクドライブ、光学記憶装置、あるいは同様の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0024】
システム100は、ユーザインターフェース180およびデータベース190をさらに含むことができる。ユーザインターフェース180は、1人または複数のユーザがシステムと対話できるようにすることができる。例えば、ユーザインターフェース180は、ユーザがサンプルを分析する際に使用することができるSEMカラムまたはEDX検出器のパラメータを設定できるようにすることができる。ユーザインターフェース180は、キーボード、マウス、モニタ、タッチスクリーン、タッチパッド、音声起動入力コントローラなど、ユーザがコンピュータシステムと対話するために情報を入力することを可能にする任意の知られている装置を含むことができる。データベース190は、以下でより詳細に論じるように、サンプルのX線分光法表面材料分析を行うときに、プロセッサ/コントローラ160によってアクセスされ得る情報を記憶することができる。
【0025】
X線分光法の課題
図2は、システム100によって生成され得るサンプル材料のエネルギー分散型X線分光法グラフ200の一例である。固体ターゲットに電子ビームが衝突すると、システム100のEDX検出器150によって検出され得るX線放出の2つの主なメカニズム、すなわち、特性X線および制動放射線が存在する。特性X線は、衝突した電子によるサンプル材料中の原子の内殻イオン化に続いて、外殻電子が、空になった内殻を満たした後に放出されるX線ビームを表す。特性X線は、サンプル材料に特有の特定のエネルギーを有し、この特定のエネルギーは、電子が「遷移した」2つの殻間のエネルギー差に等しい。一例として、グラフ200に示される異なるエネルギー準位における様々な強度ピークは、分析されるサンプル内の異なる元素を示し、サンプルが少なくとも鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)およびケイ素(Si)を含むことを示している。
【0026】
グラフ200には、制動放射線として知られているある量のバックグランド放射線210も示されている。要するに、特性X線に加えて、衝突する電子が材料核によって減速される際に、X線ビームがランダムなエネルギーでサンプルから放出される。これらのランダムなエネルギーは、EDX検出器150によって、特性X線に対するバックグランド信号を表すX線連続体として検出することもできる。
【0027】
一部の以前から知られているX線画像化プロセスの中には、一般に、ほとんどの材料の特性X線のイオン化エネルギーの約3倍のランディングエネルギーを使用するものがあり、その結果、このようなプロセスでは、5~20keVの範囲のランディングエネルギーを使用することになる可能性がある。サンプルの材料によっては、このようなランディングエネルギーによるX線放出深さは、数百nmまたはさらにはμmになる可能性がある。本明細書で使用されるように、「信号生成範囲」とも呼ばれ得るX線放出深さは、あるエネルギーのX線光子が、あるランディングエネルギーの電子によって放出され得る有効深さである。分解能は、単一電子の信号生成範囲と同程度にしかなり得ないため、この以前から知られている方法を用いるサンプルの材料分析では、侵入深さ程度の分解能の画像しか生成することができず、これが一部の用途では望ましくない制限となる可能性がある。
【0028】
例示するために、ここで図3A図3Cを参照するが、これらの図は、X線放出深さに正の相関がある侵入深さと、異なるランディングエネルギーでのサンプル内の電子ビームの相互作用体積とを示す簡略図である。具体的には、図3Aは、25kVのランディングエネルギーでの電子ビームの相互作用体積310の簡略図であり、図3Bは、15kVのランディングエネルギーでの電子ビームの相互作用体積320の簡略図であり、図3Cは、5kVのランディングエネルギーでの電子ビームの相互作用体積330の簡略図である。図3A図3Cを互いに比較すると明らかなように、25kVのランディングエネルギーを有する電子でサンプルを照射すると、15kVのランディングエネルギーを有する電子で同じサンプルを照射するよりも、より深く、より広い侵入となる。同様に、15kVのランディングエネルギーを有する電子でサンプルを照射すると、5kVのランディングエネルギーを有する電子で同じサンプルを照射するよりも、より深く、より広い侵入となる。したがって、(例えば、電子ビーム125で)サンプルを照射するために使用されるランディングエネルギーは、システム100によって生成される画像の解像度に直接影響を及ぼし、ランディングエネルギーが低いほど、高解像度の画像に直接対応する。
【0029】
サンプルを照射するためにより低いランディングエネルギーを使用することで、より高いランディングエネルギーを使用する場合よりも高解像度を得ることができるが、ランディングエネルギーが低いと、サンプルの様々な元素を検出する際の効率が低くなる可能性がある。例示するために、ここで図4Aおよび図4Bを参照するが、これらの図は、異なるランディングエネルギーで電子ビームに曝露されたサンプルのEDXデータの違いを示す簡略図である。具体的には、図4Aは、制動放射線410とともに特性X線402、404、406および408を示すEDXグラフ400の簡略図である。グラフ400では、サンプルに、比較的高いランディングエネルギーを有する電子ビームを衝突させた。グラフ400から分かるように、特性X線402~408の強度は、制動放射線410の強度よりも著しく高い。したがって、特性X線402~408は、比較的容易に検出される。
【0030】
図4Bは、第2のEDXグラフ450の簡略図であり、特性X線462、464、466および468を示し、制動放射線460がグラフ400上に重ね合わされている。グラフ450では、サンプルに、比較的低いランディングエネルギーを有する電子ビームを衝突させた。グラフ450から分かるように、特性X線452~458の強度は依然として制動放射線460の強度よりも高いが、制動放射線の強度に対する特性X線の強度は劇的に変化している。すなわち、特性X線の強度と制動放射線の強度との比が著しく減少し、特性X線452~458を検出することがより困難になっている。当業者であれば理解できるように、図4Aおよび図4Bのグラフを生成するために電子ビームを衝突させたのと同じサンプルに、図4Bのランディングエネルギーよりも著しく低いランディングエネルギーを有する電子ビームを衝突させた場合、特性X線を制動放射線を上回って正確に検出することができない点に到達する可能性がある。
【0031】
特性X線の信号強度は、以下の式によって表すことができる。
【数1】
【0032】
約800eVを超える信号に対するバックグランド信号強度(すなわち、制動放射線)は、以下のように表すことができる。
【数2】
【0033】
特性X線生成の範囲(nm単位)は、以下のように表すことができる。
【数3】
【0034】
ここで、エネルギーはkeV単位で与えられ、EはSEMのランディングエネルギーであり、Ekは特性X線のイオン化エネルギーであり、Evは制動放射線のエネルギーであり、Aは基板の原子量であり、Zは基板の原子番号であり、ρはg/cm3を単位とする基板の密度である。
【0035】
異なる材料に対して異なるランディングエネルギーでの別々の走査
特性X線信号分析のための最良または理想的なランディングエネルギーは、分析要件、走査されるサンプルのタイプ、スループット要件、材料イオン化エネルギー、原子量、および密度に応じて、所与のサンプルの異なる元素成分に対して異なることを認識して、本開示の一部の実施形態は、各材料に対して異なるSEMランディングエネルギーで別々の走査を行って、各材料に対して最良の分解能の材料分析画像を得る。その場合、別々の画像を後で合成して、総合的な材料分析の単一画像にすることができる。この手法は、関心領域全体を特徴付けるために単一のランディングエネルギーで単一の走査を使用する、本発明者らに知られている他の手法とは基本的に異なる。
【0036】
別々の走査を実行する際に、一部の実施形態は、信号対バックグランド比(SBR)がほとんど低くなり過ぎて、特性X線の信号が制動放射線バックグランドを上回って識別できなくなるまで、可能な限り低いランディングエネルギーを使用する。ランディングエネルギーが低いほど、範囲は低くなり、その結果、材料分析マッピングの分解能が高くなる。
【0037】
図5は、本開示の一部の実施形態によるサンプルを分析する方法500を示す流れ図である。方法500は、ユーザが、評価されるサンプルの領域を識別することから開始することができる(ブロック510)。議論を容易にするために、識別された領域は、本明細書では「関心領域」(ROI)と呼ばれる。図7に関して後述するように、ROIは、例えば、半導体ウエハ上の領域とすることができる。一部の事例では、ユーザは、単一サンプル上の複数のROIを分析したいことがあり、その場合、方法500と関連付けられたステップを各ROIについて別々行うことができる。
【0038】
次に、ROI内で分析される1つまたは複数の元素が識別される(ブロック520)。一部の事例では、元素は、ROIの位置と、(例えば、サンプルのシミュレートされたアーキテクチャから)サンプル上に形成された特徴の既知のマッピングとに基づいて、評価ツール(例えば、システム100)によって自動的に識別することができる。他の事例では、ユーザは、評価ツールと関連付けられたユーザインターフェース(例えば、キーボード、タッチスクリーン、マウスもしくは他のタイプのポインタデバイス、音声制御入力デバイス、または上述したような任意の他の適切な入力デバイス)を介して、ユーザがROI内に存在することを知っているまたは存在すると信じている、1つまたは複数の元素を入力することができる。一例として、選択されたROIが、酸化ケイ素絶縁領域によって分離されたタングステンから形成された1つまたは複数の導電線を含むと予想される場合、ユーザは、タングステン(W)、ケイ素(Si)、および酸素(O)を、その領域で分析するための予想される元素として入力することができる。
【0039】
ブロック520で識別された各元素について、SEM電子ビームに対して適切なランディングエネルギーが設定され、選択されたランディングエネルギーを使用してROIが走査される(ブロック530)。各元素に使用されるランディングエネルギーは、いくつかの異なるやりかたのいずれかで決定することができる。一部の事例では、ユーザは、特定のサンプル上の特定の元素に対する具体的なランディングエネルギーを入力、またはさもなければ選択することができる。ユーザによって選択されるランディングエネルギーは、類似のサンプルに対して評価システムを操作するユーザの過去の知識および/または経験に基づくことができ、ユーザが受けた所定の指示に基づくことができ(例えば、製造業者の所定の評価プロセスに基づく)、入力時にユーザによって行われたもしくは以前に行われた計算に基づくことができ、または任意の他の適切な基準に基づくことができる。
【0040】
他の事例では、適切なランディングエネルギーを評価システムによって自動的に決定することができる。例えば、一部の実施形態では、試験サンプルに対して複数の校正測定(例えば、数十回または数百回またはそれを上回る測定)を行い、所与のサンプルで使用することができる最低のランディングエネルギーを決定して、そのサンプル内の各特定の元素の特性X線を正確に識別することができる。校正測定は、方法500によって評価されるサンプルと実質的に同一または類似のサンプルに対して以前に行われた試験を含むことができる。例えば、評価される試験サンプルおよび実際のサンプルは、上記の式に記載されるパラメータ(基板の原子量、基板の原子番号、基板の密度、および制動放射線のエネルギー)のうちの1つまたは複数に関して類似していることを含むことができる。各元素のイオン化エネルギーは異なるため、各元素を正確に検出するために校正サンプルに基づいて評価ツールによって決定されるランディングエネルギーは、システムがサンプル中の他の元素を検出するために決定する理想的なランディングエネルギーとは異なる可能性がある。
【0041】
校正測定の結果は、評価システムのプロセッサ/コントローラ160がアクセス可能なデータベース(例えば、データベース190に記憶されたルックアップテーブル)に記憶することができる。次いで、ブロック520においてユーザによって識別された元素に基づいて、プロセッサ160は、評価されるサンプル上のROIの属性に最も厳密に一致する校正サンプルに基づいて、データベースから適切なランディングエネルギーを自動的に選択することができる。例えば、データベース内のルックアップテーブルは、具体的な推奨ランディングエネルギーを具体的な元素に関連付け、プロセッサ160は、ルックアップテーブルにアクセスすることによって荷電粒子ビームのランディングエネルギーを選択することができる。一部の事例では、評価システムは、選択されたランディングエネルギーを推奨ランディングエネルギーとしてユーザに提示し、次いで、ユーザが、ランディングエネルギーをある量だけ増減させるか、または全く異なるランディングエネルギーを選択することによって、推奨ランディングエネルギーを変更できるようにすることができる。
【0042】
ROIが走査されている間、電子が試料の表面に衝突すると、照射の結果としてX線が生成される。生成されたX線は、SEM走査システムとEDX検出器との間の電子同期ハードウェアと連携して、走査パターンの異なる位置でのサンプルの元素組成に関する定量的情報を提供するために、既知の技術を使用してEDX検出器150によって検出することができる。検出されたEDX光子から、サンプルの表面における実際のパターン形態の2次元画像を生成することもできる。次に、生成された画像を使用して、限界寸法(CD)、シミュレートされたアーキテクチャからの局所的または全体的なばらつき(欠陥性)、物理的アーキテクチャの他の部分に対するパターンの物理的位置(オーバレイ)、ならびに他の有用な情報など、サンプルの様々な態様を特徴付けることができる。
【0043】
各元素について理想的または適切なランディングエネルギーが識別されると、方法500は、ユーザがROI内で評価したい元素(すなわち、ブロック520で識別された元素)のそれぞれについて、(i)その元素について決定されたランディングエネルギーで電子ビームを生成するようにSEMカラムを設定することと、(ii)そのランディングエネルギーを使用して関心領域を走査することと、(iii)電子が試料の表面に衝突したときに照射の結果として生成されるX線を検出しながら、(iv)検出されたX線から走査領域の2次元画像を生成することのプロセスを順次繰り返すステップ(ブロック530)を含むことができる。
【0044】
図6は、一部の実施形態による、ブロック530に関連付けられた様々なサブステップを示す簡略化された流れ図である。例示するために、ユーザが所与のROIにおける評価のために3つの元素N、Si、およびOを識別した上記で説明した例では、nは3に等しく、本例のために、元素は、最初に窒素、2番目にケイ素、最後に酸素の順序で分析されると仮定することができる。したがって、ブロック532では、第1の元素(窒素)が選択され、プロセスはまだ第3の元素を分析していないため(判定ブロック533によって判定されるように)、SEMカラムは、窒素に適切なランディングエネルギーを有する電子ビームを生成するように設定され(ブロック534)、ROIは、選択されたランディングエネルギーを使用して走査される(ブロック535)。
【0045】
ROIが窒素に対して選択されたランディングエネルギーで走査されている間、X線検出器は、ROIが電子ビームによって照射された結果として生成されたX線を検出することができる(ブロック536)。検出されたX線は、走査から領域の2次元画像を生成するだけでなく、ROIの他の態様を特徴付けるために使用することができる(ブロック537)。
【0046】
次に、iが1だけインクリメントされ(ブロック538)、本例では3であるnと比較される(ブロック533)。ここで、iは2であるため、iは依然としてnよりも小さく、SEMカラムは、ケイ素にとって適切なランディングエネルギーに調整される(ブロック534)。ROIは、選択されたランディングエネルギーを使用して走査され(ブロック535)、X線が検出され(ブロック536)、2次元画像が生成される(ブロック537)。次いで、iは再び1だけインクリメントされ(ブロック538)、再びnと比較される(ブロック533)。次いで、第3の元素についてブロック534~537が繰り返され、iが再び1だけインクリメントされる(ブロック538)。この反復では、iは実際にはnより大きいため、比較(ブロック533)の結果として、走査プロセスが終了する(ブロック539)。
【0047】
図5に戻って参照すると、ROIが各ランディングエネルギーで走査されると、ブロック530は完了し、結果として得られる画像は、別々の走査のそれぞれについての別々の2次元画像として、および/または別々の走査のそれぞれからの情報を総合的な材料分析の単一画像に合成する単一の2次元画像としてユーザに提供され得る(ブロック540)。一部の実施形態では、走査されたROIの2次元画像は、分析された各元素について、その元素の走査が完了した直後に(例えば、各2次元画像がブロック537で生成された直後に)ユーザに提供され得る。
【0048】
関心領域の例
方法500に従って分析することができる例示的なROIをさらに示すために、半導体ウエハ700の簡略図である図7を参照する。図7は、ウエハ700の特定の部分の2つの拡大図とともに、ウエハ700の上面図を含む。ウエハ700は、例えば、200mmまたは300mmの半導体ウエハとすることができ、その上に形成された複数の集積回路710(図示する例では52個)を含むことができる。集積回路710は、製造の中間段階にあり得て、本明細書に記載されるX線分析技術は、分析される複数の元素を含む集積回路の1つまたは複数の関心領域(ROI)720を評価および分析するために使用することができる。例えば、図7の拡大図Aは、本明細書に記載される技術に従って評価および分析することができる集積回路710のうちの1つの複数のROI720を示す。拡大図Bは、異なる材料から形成されたいくつかの異なるタイプの構造を含み、本明細書に記載される技術を使用して分析することができるこれらのROI720のうちの1つを示す。
【0049】
一部の実施形態は、図5に関して上述したように、ユーザが指し示した材料が領域720内に存在する可能性が高いことに基づいて(例えば、システム100によって)具体的に選択された異なるランディングエネルギーを使用して、領域を複数回連続的に走査することによって、ROI720を分析および評価することができる。走査プロセスは、図7の拡大図Bにおいて簡略化されたフォーマットで示された走査パターン730などのラスタパターンに従って、ROI内で荷電粒子ビームを前後に走査することができる。各走査中に、X線を収集し分析して、走査パターンの各位置に存在する元素を決定することができる。
【0050】
前述の説明は、説明の目的のために、記載された実施形態の完全な理解を提供するために特定の用語を使用した。しかしながら、記載された実施形態を実施するために具体的な詳細が必要でないことは、当業者には明らかであろう。例えば、本明細書に開示された方法の例は、サンプルが半導体ウエハである実施形態を対象としたが、実施形態は、半導体ウエハ以外の適切なサンプルを評価するために使用することができる。また、図示された実施形態は、検出される各元素に対して異なるランディングエネルギーで異なる走査を使用して説明されているが、一部の実施形態では、複数の元素に対して単一の走査を使用することができる。例えば、(例えば、ブロック520において)評価のために識別された2つ以上の元素が類似の特性エネルギーを有する場合、EDX検出器が元素を区別することができる限り、2つ以上の元素に対して単一の走査を行うことができる。
【0051】
したがって、本明細書に記載された特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提示されている。これらの実施形態は、網羅的であること、または実施形態を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。また、本開示の異なる実施形態が上記で開示されたが、特定の実施形態の具体的な詳細は、本開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切な様式で組み合わせられてもよい。さらに、上記の教示に鑑みて、多くの修正および変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0052】
本特許出願における図示された実施形態が、大部分において、当業者に知られている電子部品および回路を使用して実施することができる限りにおいて、その詳細については、本特許出願の基礎となる概念の理解および評価のために、また、本開示の教示を不明瞭にしないように、または、本開示の教示から逸脱しないように、上で図示されたように必要と考えられる範囲を超えては説明されていない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】