(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(54)【発明の名称】プラントプロセスデータを処理するためのエッジコンピューティングデバイス
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240209BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551743
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2022054843
(87)【国際公開番号】W WO2022180234
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガウ,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223BB01
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA01
3C223EB01
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH01
(57)【要約】
本発明は、プラント制御システム(110)を含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたデータ(112)を処理するためのエッジコンピューティングデバイス(120)であって、制御システムは、サーバ(111)を含む、エッジコンピューティングデバイス(120)に関する。デバイスは、データをシステムから受信するためにサーバに通信可能に結合されるように構成された第1のユニット(125)を含む。第2のユニット(121)は、コンテナを第2のユニットで実行するように構成されたコンテナランタイム環境(122)を提供するように構成される。プロセスコンテナ(123)は、その環境で実行されるように構成され、プロセスコンテナは、プロセスコンテナの内部で実行される場合、工業プラントの生産プロセスに関して取得されたデータを処理するように構成されたプログラムを含む。第1のユニットは、受信されたデータをその環境に提供するために第2のユニットに通信可能に結合され、プログラムは、提供されたデータを処理するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント制御システム(110)を含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータ(112)を処理するためのエッジコンピューティングデバイス(120)であって、前記プラント制御システム(110)は、インタフェースサーバ(111)を含み、前記エッジコンピューティングデバイス(120)は、
- 前記プラントプロセスデータ(112)を前記プラント制御システム(110)から受信するために前記インタフェースサーバ(111)に通信可能に結合されるように構成されたインタフェースコンピューティングユニット(125)と、
- コンテナコンピューティングユニット(121)であって、前記コンテナコンピューティングユニット(121)でコンテナを実行するように構成されたコンテナランタイム環境(122)を提供するように構成されたコンテナコンピューティングユニット(121)と、
- 前記コンテナランタイム環境(122)で実行されるように構成されたプロセスコンテナ(123)であって、前記プロセスコンテナ(123)の内部で実行される場合、前記工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータ(112)を処理するように構成された処理プログラムを含むプロセスコンテナ(123)と
を含み、前記インタフェースコンピューティングユニット(125)は、前記受信されたプラントプロセスデータ(112)を前記コンテナランタイム環境(122)に提供するために前記コンテナコンピューティングユニット(121)に通信可能に結合され、前記処理プログラムは、前記提供されたプラントプロセスデータ(112)を処理するように構成される、エッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項2】
前記インタフェースコンピューティングユニット(125)は、プロトコルコンバータ(130)を介して前記インタフェースサーバ(111)に通信可能に結合され、前記プロトコルコンバータ(130)は、前記プラントプロセスデータ(112)を分離及びトンネリングし、且つ前記プラントプロセスデータ(112)を、前記インタフェースサーバ(111)で利用されるデータ形式から、前記インタフェースコンピューティングユニット(125)によって利用されるデータ形式に変換するように構成される、請求項1に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項3】
プロトコルコンバータ(130)は、前記インタフェースサーバ(111)においてレガシーデータ形式で提供されたプラントプロセスデータ(112)を現代のデータ形式に変換するように構成される、請求項1に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項4】
前記プロトコルコンバータ(130)は、前記プラントプロセスデータ(112)にオープンプラットフォーム通信統合アクセス(OPC UA)ラッパーを適用することにより、前記インタフェースサーバ(111)においてオープンプラットフォーム通信データアクセス(OPC DA)データ形式で提供された前記プラントプロセスデータ(112)を変換するように構成されるオープンプラットフォーム通信データアクセス/統合アクセス(OPC DA/UA)コンバータを含む、請求項2に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項5】
前記処理プログラムは、前記プラントプロセスデータ(112)の前記処理に基づいて前記工業プラントを制御又は最適化するためにプラント制御データを提供するように構成され、前記コンテナコンピューティングユニット(121)は、前記プラント制御データを前記インタフェースコンピューティングユニット(125)に提供するために前記インタフェースコンピューティングユニット(125)に通信可能に結合され、前記インタフェースコンピューティングユニット(125)は、前記工業プラントの前記プラント制御システム(110)での実装のため、前記プラント制御データ(112)を前記インタフェースサーバ(111)に提供するために前記インタフェースサーバ(111)と通信可能に結合される、先行する請求項のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項6】
前記インタフェースコンピューティングユニット(125)は、プロトコルコンバータ(130)を介して前記インタフェースサーバ(111)に通信可能に結合され、前記プロトコルコンバータ(130)は、前記プラント制御データを分離及びトンネリングし、且つ前記プラント制御データを、前記インタフェースコンピューティングユニット(125)で利用されるデータ形式から、前記インタフェースサーバ(111)によって利用されるデータ形式に変換するように構成される、請求項5に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項7】
前記プロトコルコンバータ(130)は、現代のデータ形式で提供された前記プラント制御データをレガシーデータ形式に変換して、前記プラント制御データを前記プラント制御システム(110)に提供するように構成される、請求項6に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項8】
前記プロトコルコンバータ(130)は、OPC DA/UAコンバータを含み、前記OPC DA/UAコンバータは、OPC UA形式のプラント制御データをOPC DA形式に変換して、前記プラント制御データを前記プラント制御システム(110)に提供するように構成される、請求項7に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項9】
前記コンテナランタイム環境(122)で実行されるように構成された抽象化コンテナ(124)を更に含み、前記抽象化コンテナ(124)は、前記プラントプロセスデータ(112)が前記プロセスコンテナ(123)に提供される前に、前記プラントプロセスデータ(112)を前処理するように構成される抽象化プログラムを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項10】
前記インタフェースコンピューティングユニット(125)及び/又は前記コンテナコンピューティングユニット(121)は、仮想Windows(登録商標)環境及び/又は仮想Linux(登録商標)環境を実行するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項11】
前記コンテナランタイム環境(122)は、継続的インテグレーション及び継続的デリバリー(CI/CD)ワークフローを介して、前記プロセスコンテナ(123)内で実行されている前記処理プログラムのデプロイを可能にするように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)。
【請求項12】
プラント制御システム(110)を含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータ(112)を処理するためのコンピューティングフレームワーク(100)であって、
- 先行する請求項のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)と、
- 前記プラント制御システム(110)の一部であるインタフェースサーバ(111)であって、前記インタフェースコンピューティングユニット(125)に通信可能に結合されて、前記プラント制御システム(110)からのプラントプロセスデータ(112)を前記エッジコンピューティングデバイス(120)の前記インタフェースコンピューティングユニット(125)に提供し、且つその逆を行うインタフェースサーバ(111)と
を含むコンピューティングフレームワーク(100)。
【請求項13】
プラント制御システム(110)を含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータ(112)を処理する方法(300)であって、前記プラント制御システム(110)は、インタフェースサーバ(111)を含み、前記方法(300)は、
- 前記プラント制御システム(110)から前記インタフェースサーバ(111)を介してプラントプロセスデータ(112)を受信すること(310)と、
- コンテナを実行するように構成されたコンテナランタイム環境(122)を提供すること(320)であって、前記コンテナは、前記コンテナの内部で実行される場合、工業プラントの前記プラントプロセスデータ(112)を処理するように構成された処理プログラムを含む、提供すること(320)と、
- 前記受信されたプラントプロセスデータ(112)を前記コンテナランタイム環境(122)に提供し、且つ前記提供されたプラントプロセスデータ(112)を前記処理プログラムによって処理すること(330)と
を含む、方法(300)。
【請求項14】
プラント制御システム(110)を含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータ(112)を処理するためのコンピュータプログラム製品であって、請求項1~11のいずれか1項に記載のエッジコンピューティングデバイス(120)に、請求項13に記載の方法(300)を実行させるプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理するためのエッジコンピューティングデバイス、コンピューティングフレームワーク、方法及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
今日、例えば化学又は製薬工業における工業プラントでの複雑な生産プロセスの最適化は、生産の信頼性、品質及び量を向上させるために使用されることが多い。生産プロセスの複雑性の増大に伴い、解析及び最適化プログラム並びにこれらのプログラムを実行するIT基盤は、多くの場合、例えば追加のハードウェア及び/又はソフトウェアを追加することによって更新する必要がある。一般に、そのような解析及び最適化プログラムは、工業プラントを制御するプラント制御システムから受信されるプラントプロセスデータを処理することに基づき、多くの場合、出力として、最適化された各制御データをプラント制御システムに提供して戻すようにも適合される。解析及び最適化プログラムの入力及び出力されるデータセキュリティを向上させるために、各解析及び最適化プログラムは、多くの場合、現場でデプロイされ、即ちプラントのハードウェア及び/又はソフトウェア構造の一部である。したがって、複数の工業プラントでの解析及び最適化プログラムを適合、更新又は交換することは、難しく、非効率的であることが多い。多くの場合、生産プラントのソフトウェア及び/又はハードウェアを現場において手作業で操作する必要さえある。これにより、生産プラントの解析及び最適化プログラムの開発及びデプロイプロセスは、非効率的且つ時間がかかるものになる。したがって、複数の工業プラントの解析及び最適化プログラムをより効率的に管理、即ち適合、更新及び/又は交換することができる場合、有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の概要
本発明の目的は、工業プラントの解析及び最適化プログラムのより効率的な管理、即ち更新、適合及び/又は交換を可能にするエッジコンピューティングデバイス、コンピューティングフレームワーク、方法、コンピュータプログラム製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、プラント制御システムを含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理するためのエッジコンピューティングデバイスが提示され、プラント制御システムは、インタフェースサーバを含む。エッジコンピューティングデバイスは、a)プラントプロセスデータをプラント制御システムから受信するためにインタフェースサーバに通信可能に結合されるように構成されたインタフェースコンピューティングユニットと、b)コンテナコンピューティングユニットであって、コンテナコンピューティングユニットでコンテナを実行するように構成されたコンテナランタイム環境を提供するように構成されたコンテナコンピューティングユニットと、c)コンテナランタイム環境で実行されるように構成されたプロセスコンテナであって、プロセスコンテナの内部で実行される場合、工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理するように構成された処理プログラムを含むプロセスコンテナとを含み、インタフェースコンピューティングユニットは、受信されたプラントプロセスデータをコンテナランタイム環境に提供するためにコンテナコンピューティングユニットに通信可能に結合され、処理プログラムは、提供されたプラントプロセスデータを処理するように構成される。
【0005】
エッジコンピューティングデバイスは、コンテナランタイム環境で実行するように構成されたコンテナコンピューティングユニット及びプロセスコンテナを含み、プロセスコンテナは、プラントプロセスデータを処理し、例えばプラントプロセスデータに基づいてプラントプロセスを解析及び最適化するように構成された処理プログラムを含むため、処理プログラムは、工業プラントの一部として提供される各ハードウェア及びソフトウェアから独立して実行することができる。更に、工業プラントにより提供されるハードウェア及び/又はソフトウェアからの処理プログラムのランタイム環境の独立性により、工業プラントのIT基盤から独立した処理プログラムの管理が可能になる。したがって、工業プラントのプロセスを最適化するための処理プログラムの管理、即ち適合、更新及び/又は交換の効率を向上させることができる。
【0006】
一般に、エッジコンピューティングデバイスとは、クラウド計算パラダイムとは対照的に、計算の結果が必要とされる場所に計算を近づける分散計算を指すエッジコンピューティングパラダイムに従うように適合された計算デバイスを指す。エッジコンピューティングの利用は、一般に、データ伝送のセキュリティの改善、応答時間の改善を可能にし、且つ安全なネットワーク帯域幅を可能にする。更に、本願でのエッジコンピューティングは、プラントオートメーションシステムと接続されたIT基盤、例えばエッジデバイスとの組み合わせの物理的島モードの動作を可能にする。したがって、エッジコンピューティングデバイスが現場で、即ち工業プラントの一部として提供され、工業プラントの計算ハードウェア及び/又はソフトウェアに直接接続されることが好ましい。
【0007】
工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータは、生産プロセス中、プラント制御システムにより取得される任意のデータを指し得る。例えば、プラントプロセスデータは、生産プロセスをモニタするためにプラント内に提供される複数のセンサのセンサ測定値を指し得る。プロセスデータは、生産プロセス中、工業プラントの1つ又は複数の生産設備によって利用される設定、例えば弁、工業ヒータ、ポンプ等の設定も指し得る。プラント制御システムは、プラント内の生産プロセスを制御するために使用される任意のシステムを指し得、工業プラント内のハードウェア及び/又はソフトウェアとして実現される。プラント制御システムは、他のコンピューティングユニットとインタフェースして、例えば取得されたプラントプロセスデータを他のコンピューティングユニットに提供するように適合されたインタフェースサーバを含む。
【0008】
インタフェースコンピューティングユニットは、プラント制御システムからプラントプロセスデータを受信するためにインタフェースサーバに通信可能に結合されるように構成される。例えば、エッジコンピューティングデバイスのインタフェースコンピューティングユニットは、有線又は無線接続を介してプラント制御システムのインタフェースサーバに通信可能に結合することができる。好ましくは、データ伝送のセキュリティ及び可用性を向上させるために、インタフェースコンピューティングユニットは、有線接続を介してインタフェースサーバに通信可能に結合される。しかしながら、無線接続が安全で高信頼的に利用可能である場合、例えば5G規格に基づく無線接続も好ましい場合がある。
【0009】
コンテナコンピューティングユニットは、コンテナをコンテナランタイム環境で実行するように構成されたコンテナランタイム環境を提供するように構成される。コンテナランタイム環境は、コンテナの実行を可能にする計算環境を指す。コンテナは、これに関連して、一般に、オペレーションシステムの他のインスタンスから分離され、各コンテナにより使用可能なエッジコンピューティングデバイスの計算リソースを独立して管理することができるオペレーションシステムのインスタンスとして定義することができる。したがって、コンテナは、カーネルレベルまで下がって全てのリソース及びコンテナ内で実行中のコンピュータプログラムの実行時依存性をバンドリングする。更に、コンテナがアクセスすることができる計算システムの計算リソースの制限に起因して、各コンテナは、コンテナにコンテナ化された各プログラムを実行するために必要な各ソフトウェアを含むことが好ましい。例えば、コンテナは、好ましくは、各処理プログラムが必要とするコンピューティングフレームワークの全てのライブラリを含む。
【0010】
エッジコンピューティングデバイスは、コンテナランタイム環境で実行するように構成されたプロセスコンテナを更に含む。プロセスコンテナは、プロセスコンテナにコンテナ化された処理プログラムを含む。処理プログラムは、一般に、コンテナの内部で実行される場合、工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理するように構成される。処理は、好ましくは、工業プラントの生産プロセスの最適化に関するプラントプロセスデータの解析を指す。更に、処理は、最適化された生産プロセスを実行するように工業プラントを制御するために使用することができる最適化されたプラント制御データを生成することを指し得る。処理プログラムは、特定の生産プラントのプラントプロセスデータを処理するように特に適合された任意の既知の既に存在する処理プログラム又は個人化された処理プログラムを指し得る。例えば、処理プログラムは、ソフトセンサを指し得る。ソフトセンサは、例えば、物理レベルで測定することが難しい可能性がある工業プラントの内部状態を再構築するカルマンフィルタとして実現することができる。そのような再構築された内部状態は、次いで、プラント制御データとしてプラント制御システムにフィードバックすることができ、プラント制御システムにおいて、この形態のプラント制御データは、次いで、実際の物理的な測定値として扱うことができる。別の例では、処理プログラムは、モデル予測コントローラを指し得る。そのようなコントローラは、例えば、基礎プロセスの状態空間モデルに基づいて、蒸留塔を通るスループットを最適化するために使用される。
【0011】
インタフェースコンピューティングユニットは、インタフェースサーバから受信された受信プラントプロセスデータをコンテナランタイム環境に提供することができるように、コンテナコンピューティングユニットに更に通信可能に結合される。通信可能な結合は、インタフェースコンピューティングユニットとコンテナコンピューティングユニットとの間の任意の有線又は無線接続の形態で実現することができる。好ましくは、インタフェースコンピューティングユニット及びコンテナコンピューティングユニットは、同じ計算ハードウェア及び/又はソフトウェアの一部である。この場合、通信可能な結合は、コンテナコンピューティングユニットが、インタフェースコンピューティングユニットにより提供されるデータにアクセスできるようにし、その逆も同様である仮想結合を指し得る。一般に、コンテナランタイム環境は、コンテナへのリソースとして、プロセスコンテナにコンテナ化された処理プログラムの受信プラントプロセスデータへのアクセスを提供するように適合される。したがって、処理プログラムは、提供されたプラントプロセスデータにアクセスし、特に処理するように構成される。
【0012】
一実施形態では、インタフェースコンピューティングユニットは、プロトコルコンバータを介してインタフェースサーバに通信可能に結合され、プロトコルコンバータは、プラントプロセスデータを分離及びトンネリングし、且つプラントプロセスデータを、インタフェースサーバで利用されるデータ形式から、インタフェースコンピューティングユニットによって利用されるデータ形式に変換するように構成される。多くの用途では、プラント制御システム、したがってインタフェースサーバは、データ、特にプラント処理データを特定の形式で提供する一方、エッジコンピューティングデバイス、特にインタフェースコンピューティングユニットは、異なるデータ形式、例えばより最近のデータ形式を使用するように構成される。この場合、インタフェースコンピューティングユニットとインタフェースサーバとの間に提供されるプロトコルコンバータは、インタフェースサーバからのデータを、インタフェースコンピューティングユニットで利用されるデータ形式に変換し、そうしてデータのより効率的な交換を可能にする。プロトコルコンバータは、このタスクを実行するために、インタフェースサーバの一部、インタフェースコンピューティングユニットの一部又はインタフェースサーバ及びインタフェースコンピューティングユニットの両方の一部として提供され得る。例えば、プロトコルコンバータは、インタフェースサーバ、インタフェースコンピューティングユニット又は両方のハードウェア及び/若しくはソフトウェアとして提供され得る。
【0013】
更に、プロトコルコンバータは、プラントプロセスデータを分離及びトンネリングするように構成される。一般に、データの分離は、意図されるデータのみが転送されるようなデータの処理を指す。データのトンネリングは、一般に、転送中の転送データの異なるデータプロトコルへの再パッケージング及び物理的なソースから各受信側へのデータの輸送を指す。好ましい実施形態では、プロトコルコンバータは、暗号化を利用してプラントプロセスデータを暗号化することにより、プラントプロセスデータをトンネリングするように適合される。
【0014】
プロトコルコンバータは、プラントプロセスデータを、インタフェースサーバで利用されるデータ形式から、インタフェースコンピューティングユニットによって利用されるデータ形式に変換し、更に、このプロセスでは、プラントプロセスデータを分離及びトンネリングするように適合されるため、インタフェースサーバとインタフェースコンピューティングユニットとの間の通信がより効率的になるのみならず、更にこの通信のセキュリティが大きく向上する。
【0015】
好ましい実施形態では、プロトコルコンバータは、インタフェースサーバにおいてレガシーデータ形式で提供されたプラントプロセスデータを現代のデータ形式に変換するように構成される。例えば、安定した作業性能に起因して、且つ既に実行中のプラント制御システムに新しいハードウェア又はソフトウェアを実装するために多くの場合に必要となる多額の費用に更に起因して、多くのプラント制御システムでは、依然として複数のレガシーソフトウェア及びハードウェアシステムがアクティブである。したがって、そのようなレガシーソフトウェア又はハードウェアシステムは、各レガシーデータ、即ちレガシーデータ形式で提供されるデータも提供し、レガシーデータ形式とは、廃れた又は旧式の、一般に最新のアプリケーションでもはや使用されないデータ形式を指す。これに関して、「現代のデータ形式」という用語は、現在の最新のソフトウェアアプリケーション及びハードウェアアプリケーションによって依然として使用可能なデータ形式を指す。多くのレガシーデータ形式は、現代のハードウェア及びソフトウェアシステムによって使用可能ではないのみならず、更にセキュリティ問題、ストレージ性能の低下等のような追加の欠点を含み得ることから、プラントプロセスデータをインタフェースコンピューティングユニットに転送するために、レガシーデータ形式で提供されたプラントプロセスデータを現代のデータ形式に変換することが有利である。例えば、レガシーデータ形式は、オープンプラットフォーム通信データアクセス(OPC DA)形式を指し得、現代のデータ形式は、オープンプラットフォーム通信統合アクセス(OPC UA)形式を指す。この場合、プロトコルコンバータは、プラントプロセスデータにOPC UAラッパーを適用することにより、インタフェースサーバにおいてOPC DA形式で提供されたプラントプロセスデータを変換するように構成されるオープンプラットフォーム通信データアクセス/統合アクセス(OPC DA/UA)コンバータを含むことが好ましい。しかしながら、プラントプロセスデータが既に現代のデータ形式で提供される場合、プロトコルコンバータは、トランスペアレント通信トンネルとして作用するように適合されることが好ましく、即ち、プロトコルコンバータは、プラントプロセスデータを変換せず、プラントプロセスデータの分離及びトンネリングのみを行うことが好ましい。
【0016】
一実施形態では、処理プログラムは、プラントプロセスデータの処理に基づいて工業プラントを制御又は最適化するためにプラント制御データを提供するように構成され、コンテナコンピューティングユニットは、プラント制御データをインタフェースコンピューティングユニットに提供するためにインタフェースコンピューティングユニットに通信可能に結合され、インタフェースコンピューティングユニットは、工業プラントのプラント制御システムでの実装のため、プラント制御データをインタフェースサーバに提供するためにインタフェースサーバと通信可能に結合される。この実施形態では、処理プログラムは、プラントプロセスデータに基づいて、工業プラントの制御又は最適化に使用することができるプラント制御データを決定するように適合される。特に、プラント制御データは、プラントプロセスデータの解析の結果であり得る。例えば、そのような解析は、生産プロセスのあるハードウェア、例えばヒータが別様に制御される、例えば特定の生産段階で製品に提供される熱を下げるように制御される場合、生産プラントの特定の製品の生産を改善できることを示し得る。したがって、この例では、提供されるプラント制御データは、工業プラントのプラント制御システムに対して、各ハードウェア、この例ではヒータの制御をそれに従って適合することを示すデータを含むことができる。処理プログラムにより提供されるプラント制御データは、次いで、通信可能に結合されたコンテナコンピューティングユニットを介してインタフェースコンピューティングユニットに提供され、プラント制御データを工業プラントのプラント制御システムで実装することができるように、更にインタフェースコンピューティングユニットからインタフェースサーバに提供される。この実施形態では、工業プラントから提供されたデータの解析及び処理が可能であるのみならず、更に工業プラントの制御に直接、影響を及ぼす、特に最適化することが可能である。
【0017】
また、この実施形態では、インタフェースコンピューティングユニットがプロトコルコンバータを介してインタフェースサーバに通信可能に結合されることが好ましく、プロトコルコンバータは、プラント制御データを分離及びトンネリングし、且つプラント制御データを、インタフェースコンピューティングユニットで利用されるデータ形式から、インタフェースサーバによって利用されるデータ形式に変換するように構成される。既に上述したように且つまたこの場合、プラント制御システムが、レガシーデータ形式を利用するソフトウェア及び/又はハードウェアを依然として含むとき、プロトコルコンバータは、現代のデータ形式で提供されたプラント制御データをレガシーデータ形式に変換して、プラント制御データをプラント制御システムに提供するように構成されることが有利である。例えば、プロトコルコンバータは、OPC DA/UAコンバータを含むことができ、OPC DA/UAコンバータは、OPC UA形式のプラント制御データをOPC DA形式に変換して、プラント制御データをプラント制御システムに提供するように構成される。
【0018】
一実施形態では、エッジコンピューティングデバイスは、コンテナランタイム環境で実行されるように構成された抽象化コンテナを更に含み、抽象化コンテナは、プラントプロセスデータがプロセスコンテナに提供される前に、プラントプロセスデータを前処理するように構成される抽象化プログラムを含む。プラントプロセスデータを前処理するために抽象化プログラムを含む抽象化コンテナを提供することで、プラントプロセスデータが処理プログラムにおいてどのように利用されるかに鑑みて、プラントプロセスデータがインタフェースコンピューティングユニットによりコンテナコンピューティングユニットに提供される方法についてシステムの柔軟性を高めることができる。抽象化プログラムにより実行される前処理は、インタフェースコンピューティングユニットから受信されたプラントプロセスデータを、処理プログラムにより入力として予期される形式で提供できるようにするプラントプロセスデータの任意の種類の処理を指し得る。例えば、前処理は、プラントプロセスデータの変換を指し得、この場合、抽象化プログラムは、各データ又はプロトコルコンバータを含む。しかしながら、前処理は、全ての物理単位をSI単位に変換するように、ある物理単位を別の物理単位にソート又は変換することも指し得る。更に、抽象化プログラムは、例えば、プラントプロセスデータの一部のみをプロセスコンテナ、したがって処理プログラムに提供するようにプラントプロセスデータをフィルタリングするように適合することもできる。更に、抽象化プログラムは、時系列データに対して動作を実行して、例えば時間窓にわたる値の集計平均を計算するように適合することもできる。そのような集計された時系列データは、機械学習モデルでの利用に特に適する。
【0019】
抽象化プログラムを含む抽象化コンテナが提供されるため、システムは、より柔軟になり、抽象化プログラムを抽象化コンテナの形態で提供するのみならず、更に処理コンテナと同じ容易且つ効率的な方法で管理、即ち更新、適合又は交換することができるという利点を有し、したがって処理プログラムで生じたあらゆる変更の容易な適合を可能にする。更に、プラントプロセスデータの前処理に抽象化プログラムを利用する場合、処理コンテナ、特に処理コンテナで実行中の各処理プログラムも、あらゆる工業プラントが、カスタマイズされた処理プログラムを必要とすることがないように、複数の工業プラントにわたりより容易に共有することができる。これは、一般に、プラントプロセスデータの処理を管理する有効性を更に向上させる。
【0020】
一実施形態では、インタフェースコンピューティングユニット及び/又はコンテナコンピューティングユニットは、仮想Windows(登録商標)環境及び/又は仮想Linux(登録商標)環境を実行するように構成される。特に、コンテナコンピューティングユニットは、オペレーティングシステムとしてLinux環境を実行しているか、又はコンテナランタイム環境を提供することができる仮想Linux環境を実行するように構成されることが好ましい。更に、インタフェースコンピューティングユニットは、オペレーティングシステムとしてWindows環境を実行するように構成されるか、又は異なるオペレーティングシステムを用いて実行中の場合、仮想Windows環境を実行するように適合されることが好ましい。一般に、インタフェースコンピューティングユニット及びコンテナコンピューティングユニットは、任意の適したオペレーティングシステムで実行するように適合することができ、次いで必要に応じて、インタフェースコンピューティングユニット及び/又はコンテナコンピューティングユニットの各タスクに有利であるように特定のソフトウェアを実行させるために、別のオペレーティングシステムが実行される各仮想環境を提供するように適合することができる。
【0021】
各仮想オペレーティングシステム環境を実行するようにインタフェースコンピューティングユニット及び/又はコンテナコンピューティングユニットを構成することで、例えばエッジコンピューティングデバイスの各コンピューティングユニットで実行中のオペレーティングシステムに関してエッジコンピューティングデバイスの柔軟性が更に高まる。
【0022】
一実施形態では、コンテナランタイム環境は、継続的インテグレーション及び継続的デリバリー(CI/CD)ワークフローを介して、プロセスコンテナ内で実行されている処理プログラムのデプロイを可能にするように構成される。コンテナランタイム環境は、CI/CDワークフローを介した処理プログラムのデプロイを可能にするように構成され、処理プログラムは、異なる工業プラントの複数の処理プログラムを管理する必要がある場合でも、処理プログラムを非常に効率的に管理することができる。更に、コンテナランタイム環境が、抽象化プログラムを有する抽象化コンテナを更に含む場合、抽象化プログラムもCI/CDワークフローを介してデプロイできることが更に好ましい。
【0023】
本発明の更なる態様では、プラント制御システムを含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理するためのコンピューティングフレームワークが提示され、コンピューティングフレームワークは、a)上述したエッジコンピューティングデバイスと、b)プラント制御システムの一部であるインタフェースサーバであって、インタフェースコンピューティングユニットに通信可能に結合されて、プラントプロセスデータをプラント制御システムからエッジコンピューティングデバイスのインタフェースコンピューティングユニットに提供し、且つその逆を行うインタフェースサーバとを含む。
【0024】
本発明の更なる態様では、プラント制御システムを含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理する方法が提示され、プラント制御システムは、インタフェースサーバを含む。本方法は、a)プラント制御システムからインタフェースサーバを介してプラントプロセスデータを受信することと、b)コンテナを実行するように構成されたコンテナランタイム環境を提供することであって、コンテナは、コンテナの内部で実行される場合、工業プラントのプラントプロセスデータを処理するように構成された処理プログラムを含む、提供することと、c)受信されたプラントプロセスデータをコンテナランタイム環境に提供し、且つ提供されたプラントプロセスデータを処理プログラムによって処理することとを含む。
【0025】
本発明の更なる態様では、プラント制御システムを含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータを処理するためのコンピュータプログラム製品が提示され、本コンピュータプログラム製品は、上述したエッジコンピューティングデバイスに、上述した方法を実行させるプログラムコード手段を含む。
【0026】
上述のエッジコンピューティングデバイス、上述のコンピューティングフレームワーク、上述の方法及び上述のコンピュータプログラム製品は、特に従属請求項に定義されるような類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上述の実施形態と各々の独立請求項との任意の組み合わせであり得ることを理解されたい。本発明のこれら及び他の態様は、以下に記述する実施形態を参照することにより明らかにされ、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】プラントプロセスデータを処理するコンピュータフレームワークの一実施形態を概略的且つ例示的に示す。
【
図2】継続的デプロイメント及び継続的デリバリーワークフローのプロセス図を概略的且つ例示的に示す。
【
図3】プラントプロセスデータを処理する方法の流れ図を概略的且つ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態の詳細な説明
図1は、プラント制御システム110を含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたプラントプロセスデータ112を処理するためのコンピューティングフレームワーク100を概略的且つ例示的に示す。
【0030】
概して、工業プラントは、産業目的で使用される任意の技術基盤を指し得る。産業目的は、1つ又は複数の産業製品の製造又は加工、即ち工業プラントにより実行される製造プロセス又は加工であり得る。例えば、産業目的は、工業製品の生産を指し得る。工業製品は、例えば、化学、生物学、医薬、食品、飲料、織物、金属、プラスチック又は半導体等の任意の物理的製品であり得る。追加的又は代替的に、工業製品は、電気、暖房、空調、リサイクル等の廃棄物処理、分解若しくは溶解等の化学処理又は焼却等のサービス製品でさえあり得る。それに応じて、工業プラントは、化学プラント、プロセスプラント、製薬プラント、油井及び/又は天然ガス井等の化石燃料処理施設、製油所、石油化学プラント、分留所等の1つ又は複数であり得る。工業プラントは、蒸留所、焼却炉又は発電所のいずれかでさえあり得る。更に、工業プラントは、上記の例のいずれかの組み合わせでさえあり得る。
【0031】
生産プロセスを実行するために、工業プラントは、制御パラメータにより制御することができる技術基盤を含み、制御パラメータは、工業プラントを制御するために、技術基盤にプロセス制御システムにより実装されるプラント制御データの一部と見なすことができる。技術基盤は、熱交換器、分留塔等の塔、炉、反応室、接触分解ユニット、貯蔵タンク、沈殿器、パイプライン、スタック、フィルタ、バルブ、アクチュエータ、変圧器、回路ブレーカ、機械類、例えばタービン、発電機、粉砕機、圧縮機、ファン、ポンプ、モータ等の回転重機のいずれか1つ又は複数等の機器又はプロセスユニットを含み得る。この技術基盤の各々は、技術基盤の機能をモニタするモニタリングデータを提供することができる。更に、工業プラントは、典型的には、技術基盤の動作パラメータを測定できるようにする複数のセンサを含む。センサにより測定される動作パラメータは、様々な工程パラメータ及び/若しくは設備又は工程ユニットに関連するパラメータに関連し得る。例えば、センサは、パイプライン内の流量、タンク内部の液位、炉の温度、ガスの化学組成等のプロセスパラメータを測定するために使用され得、幾つかのセンサは、タービンの振動、ファンの速度、バルブの動作、パイプラインの腐食、変圧器の両端の電圧等を測定するために使用することができる。機能パラメータ及び動作パラメータは、両方とも工業プラントの生産プロセスに関して取得されるプラントプロセスデータ112の一部と見なすことができる。
【0032】
プラントプロセスデータ112は、一般に、プラント制御システム110の一部であり得、例えばプラント制御システム110により取得及び/又は記憶することができる。更に、プラント制御システム110は、プラントプロセスデータ112を更に処理して、例えばプラントプロセスデータ112をモニタ、解析及び/又は最適化するように適合することもできる。しかしながら、多くの用途では、プラント制御システム110は、プラントプロセスデータ112の最新のディープ解析及び可能な最適化を提供するように構成されず、多くの場合、プラントプロセスデータ112の最新のデータ解析に技術的なハードウェア及び/又はソフトウェア基盤を提供しないレガシーシステムを参照さえする。したがって、デプロイ及び管理が容易でありながら、プラントプロセスデータ112の最新の処理を可能にするソフトウェア及び/又はハードウェアを提供することが望ましい。
【0033】
この上記の問題を解決するために、コンピューティングフレームワーク100がエッジコンピューティングデバイス120と共に提供される。エッジコンピューティングデバイス120は、同様にコンピューティングフレームワーク100の一部と見なすことができる、プラント制御システム110のインタフェースサーバ111と通信可能に結合される。特に、エッジコンピューティングデバイス120は、プラント制御システム110のインタフェースサーバ111と通信するための技術基盤、例えばハードウェア及び/又はソフトウェアを提供するインタフェースコンピューティングユニット125を含む。好ましくは、インタフェースコンピューティングユニット125は、プラントプロセスデータ112をインタフェースサーバ111から通信可能な結合を通して受信するように適合される。好ましい実施形態では、
図1に示されるように、インタフェースコンピューティングユニット125は、プロトコルコンバータ130を介してインタフェースサーバ111に通信可能に結合される。好ましくは、プロトコルコンバータ130は、プラントプロセスデータ112を分離し、インタフェースサーバ111からインタフェースコンピューティングユニット125にトンネリングするように構成される。これにより、プラントプロセスデータ112をプラント制御システム110からエッジコンピューティングデバイス120に安全且つ効率的に転送することができる。更に、プロトコルコンバータ130は、一般に、プラントプロセスデータ112を、プラント制御システム110により使用されるデータ形式から、エッジコンピューティングデバイス120、特にエッジコンピューティングデバイス120のインタフェースコンピューティングユニット125により使用されるデータ形式に変換するように適合することができる。プラント制御システム110が、レガシーデータ形式を利用するレガシーシステムを指す場合、プロトコルコンバータ130は、インタフェースサーバ111にレガシーデータ形式で提供されたプラントプロセスデータ112を、インタフェースコンピューティングユニット125によって利用することができる現代のデータ形式に変換するように適合されることが好ましい。現代のデータ形式に変換することができるレガシーデータ形式の一例は、多くのプラント制御システムにより依然として利用されているOPC DAデータ形式である。この場合、プロトコルコンバータ130は、OPC DAデータをOPC UAデータ形式に変換することができるOPC DA/UAコンバータを含むことが好ましい。しかしながら、プラント制御システム110が、インタフェースコンピューティングユニット125によって利用されるものと同じデータ形式でプラントプロセスデータ112を提供する場合、プロトコルコンバータ130は、いかなる変換もプラントプロセスデータ112に提供せず、プラントプロセスデータ112の分離及びインタフェースサーバ111とインタフェースコンピューティングユニット125との間のトンネリングのみを提供するトランスペアレント通信ユニットを指し得る。一般に、プロトコルコンバータ130は、インタフェースサーバ111の一部、インタフェースコンピューティングユニット125の一部又は通信可能な結合の各端部に提供されるプロトコルコンバータ131、132の概略部分により
図1に示されるようにインタフェースサーバ111及びインタフェースコンピューティングユニット125の両方の一部として提供することができる。
【0034】
エッジコンピューティングデバイス120は、コンテナランタイム環境122を提供するように構成されたコンテナコンピューティングユニット121を更に含み、コンテナランタイム環境122上にプロセスコンテナ123が提供される。コンテナコンピューティングユニット121は、例えば、エッジコンピューティングデバイス120のオペレーティングシステムの一部であり得るか、又はエッジコンピューティングデバイス120で実行中のオペレーティングシステムに応じて、エッジコンピューティングデバイス120の汎用オペレーティングシステムと異なる仮想オペレーティングシステムと共に提供され得る。例えば、エッジコンピューティングデバイス120が一般にWindowsオペレーティングシステムと共に提供される場合、コンテナランタイム環境122の大半は、Linuxベースのランタイム環境として提供されるため、コンテナコンピューティングユニット121は、仮想Linux環境オペレーティングシステムを実行するように構成することができる。
【0035】
したがって、コンテナランタイム環境122は、プロセスコンテナ123の内部で実行中の処理プログラムを含むプロセスコンテナ123を提供するように適合される。処理プログラムは、工業プラントの生産プロセスに関して取得されるプラントプロセスデータ112を処理するように適合される。例えば、処理プログラムは、プラントプロセスデータ112を解析し、解析に基づいて、工業プラントの最適化された制御を可能にする最適化されたプロセス制御データを提供するように適合することができる。
【0036】
任意選択的に、エッジコンピューティングデバイス120は、コンテナランタイム環境122で実行される抽象化コンテナ124を更に含み、抽象化コンテナ124は、抽象化プログラムを含む。抽象化プログラムは、プラントプロセスデータ112が、処理プログラムを含むプロセスコンテナ123に提供される前に、プラントプロセスデータ112を前処理するために提供され得る。例えば、プラントプロセスデータ112が、処理プログラムによって処理することができない形式でインタフェースコンピューティングユニット125により提供される場合、抽象化プログラムは、処理プログラムによって処理することができるようにプラントプロセスデータ112を前処理するように適合することができる。そのような前処理は、プラントプロセスデータ112の提供及び受信に関するインタフェースコンピューティングユニット125とのインタフェースサーバ111の各構成及び対話に応じて、プラントプロセスデータ112のフィルタリング、プラントプロセスデータ112の一部であるパラメータの単位変換、プラントプロセスデータ112の再編成、プラントプロセスデータ112の選択等を含むことができる。
【0037】
好ましい実施形態では、プロセスコンテナ123で実行される処理プログラムは、プラントプロセスデータ112の解析に基づいて、プラント制御システム110に実装されるプラント制御データを提供するように適合される。コンテナコンピューティングユニット121のコンテナランタイム環境122で実行中のプロセスコンテナ123は、次いで、プラント制御データをインタフェースコンピューティングユニット125に提供するように適合される。インタフェースコンピューティングユニット125は、次いで、好ましくはプロトコルコンバータ130を介してプラント制御データをプラント制御システム110のインタフェースサーバ111に提供することができる。この場合、プロトコルコンバータ130は、プラント制御データを、インタフェースコンピューティングユニット125で利用されるデータ形式から、インタフェースサーバ111、特にプラント制御システム110によって利用されるデータ形式に変換するように適合することができる。プラント制御システム110は、次いで、工業プラントを制御するために、受信されたプラント制御データを実装することができる。
【0038】
好ましい実施形態では、コンテナランタイム環境122で実行中のコンテナ化されたプログラムは、継続的インテグレーション及び継続的デリバリー(CI/CD)ワークフローによりデプロイされる。ワークフローは、ワークフローシステム140から142により示される。特に、CI/CDワークフローは、例えば、外部クラウドベースのサーバで制御システム及びコンテナレジストリ140を提供することに基づく。制御システムは、例えば、例えば処理プログラムのより更新されたバージョンが利用可能であるか否かをチェックし、次いで更新をコンテナランタイム環境122に提供し、例えば現在実行中の処理プログラムを処理プログラムの更新されたバージョンと交換することにより、処理プログラム及び/又は抽象化プログラムの全てのバージョンをデプロイし、管理するように適合することができる。更に、複数の工業プラントのエッジコンピューティングデバイスで実行中の全てのコンテナ化されたプログラムをそれぞれ登録するコンテナレジストリを提供して、現在利用されている全てのコンテナ化されたプログラムの全体像を提供することができる。任意選択的に、CI/CDワークフローは、処理プログラムへの出力及び入力、例えば入力としてのプラントプロセスデータ112及び出力としてのプラント制御データを連続して受信及びモニタするように適合されたソフトウェア及び/又はハードウェア142を更に含むことができる。この外部ソフトウェア/ハードウェア142は、次いで、例えば人工知能システムを使用して処理プログラムの実行を解析及びモニタするように適合することができる。このモニタリング及び解析に基づいて、処理プログラムを連続して改良し、例えば処理プログラムの更新されたバージョンを制御システム140に提供するソフトウェア/ハードウェア141を提供することができる。
【0039】
図2は、そのようなCI/CDワークフローを概略的且つ例示的に示す。そのようなワークフローは、例えば、1つ又は複数の工業プラントで利用される処理プログラム及び/又は抽象化プログラムの部分をまず構築、テスト、次いで併合するプロセスを含むことができる。この構築、テスト及び併合は、例えば、外部サーバ又はクラウドベースの環境で実行することができ、各処理プログラムの安全で効率的な開発を可能にする。処理プログラム又は例えば処理プログラムの更新されたバージョンが使用可能である場合、プロセスは、処理プログラムの新しいバージョンが登録され、記憶されるリポジトリに処理プログラムの新しいバージョンを自動的にリリースすることを含み得る。レポジトリから、処理プログラムの新しいバージョンを、次いで例えば次の更新と共にエッジコンピューティングデバイスに自動的にデプロイすることができ、次いでエッジコンピューティングデバイスのコンテナコンピューティングユニットのコンテナランタイム環境に実装することができる。これにより、工業プラント内の処理プログラムのデプロイに関して非常に効率的で改良されたワークフローを可能にする。
【0040】
図3は、プラントプロセスデータを処理する方法の概略的且つ例示的に示されるフローチャートを参照する。方法300は、
図1に関して説明されたコンピューティングフレームワーク100と共に利用されるように構成することができる。特に、方法300は、最初のステップ310において、プラント制御システムからインタフェースサーバを介してプラントプロセスデータを受信することを含む。ステップ320において、コンテナを実行するように構成されたコンテナランタイム環境が提供され、コンテナは、コンテナの内部で実行される場合、工業プラントのプラントプロセスデータを処理するように構成された処理プログラムを含む。最後のステップ330において、方法300は、受信されたプラントプロセスデータをコンテナランタイム環境に提供し、且つ提供されたプラントプロセスデータを処理プログラムによって処理することを含む。
【0041】
化学産業における生産プロセスの最適化は、生産プロセスの信頼性及び品質の向上にとって重要であると見なすことができる。したがって、エッジパラダイムを利用するプロセス最適化は、多くの年数にわたって使用されている。通常、処理プログラムのエッジでの実装は、追加のIT基盤を工業プラントに設置することにより行われる。そのような処理プログラムのコンピューティングフレームワークのソフトウェアスタックは、例えば、i)多くの場合、OPC DAに基づいて、例えばDCSインタフェースを参照してデータをプラント制御システムインタフェース、即ちインタフェースサーバから読み取り、ii)最適化及び高度データ解析に適したプログラミング言語、例えばMatlabでこのデータを処理し、iii)出力データをDCSインタフェースに書き込む構成要素からなり得る。処理プログラムにより実現されるそのようなエッジ知能を維持し、デプロイするには、エッジでのモデルが適合、再トレーニング又は交換することができるまで、多くの場合、人間がプラントに赴いて、ファイルをプラント内のサーバに手動でコピーすることを意味する手動ステップが必要とされる。これは、開発及びデプロイプロセスを減速させ得、非効率的な対処方法に繋がる。
【0042】
例えば、
図1に関して考察したこの問題に対する解決策の一部分は、処理プログラムのコンテナ化を提供する。例えば、処理プログラムは、Python、R又はScalaコードを含むLinuxコンテナとしてデプロイすることができる。コンテナ化は、真の「構築したらどこでも実行される」パラダイムを可能にし、したがって処理プログラムをクラウドからエッジに自動的に構築、テスト及びデプロイできるようにする。したがって、解決策の更なる部分として、例えば
図1に関して既に上述したように、コンテナベースの作業負荷をインタフェースサーバ、例えばDCSインタフェースの物理的近くでデプロイできるようにし、シームレス且つ安全にプロセスデータをインタフェースサーバから読み取り、及びインタフェースサーバに書き込めるようにすることが有利である。これは、例えば、
図1に関して説明したコンピューティングフレームワークにより達成することができ、既存のセットアップからの主な違いの1つは、処理プログラムをコンテナとしてデプロイすることができ、完全自動化に基づき、CI/CDパイプラインに基づいて極めて高速且つ機敏に交換及び再トレーニングできることである。
【0043】
例えば、エッジコンピューティングデバイスは、インタフェースサーバの物理的近くに配置され、例えば高度に利用可能な、場合により冗長なネットワーク接続を使用して接続、即ち通信可能に結合された予備デバイス、例えばIPCであり得る。インタフェースサーバにおいて、任意選択的にOPC UAベースのラッパーにより、旧式の安全ではない可能性がある、例えばOPC DAベースの通信をローカルに分離及びトンネリングするプロトコルコンバータ、例えばOPC DA/UAコンバータをインストールすることができる。しかしながら、他のプロトコルを企図することもできる。例えば、インタフェースサーバにおけるプロトコルは、レガシープロトコル、例えばCOMベースのOPC DAであり得る。インタフェースコンピューティングユニットにおけるプロトコルは、コンテナ化されたコンピュータプログラムとの通信を可能にするより現代のプロトコル、例えばMQTT又はOPC UAであり得る。エッジコンピューティングデバイスでは、インタフェースサーバへの全てのアクセスをラップするインタフェースサーバ、例えばOPC UAサーバが利用可能である。一般に、プロトコルコンバータは、インタフェースサーバ上で実行することができ、例えば任意選択的な仮想Windows環境を実行しているインタフェースサーバ及びインタフェースコンピューティングユニットに分散することができるか、又はインタフェースコンピューティングユニットでのみ実行することができる。
【0044】
更に、仮想Windows環境及び/又はLinux環境は、インタフェースコンピューティングユニット及びコンテナコンピューティングユニットにそれぞれインストールすることができる。例えば、ホストオペレーティングシステムは、Linux仮想化層を有するWindows又はWindows仮想化層を有するLinuxであり得る。仮想Windows環境は、レガシーソフトウェア及びプロトコルのインストールを可能にし、例えば、OPC DAは、Windows OSでのみ利用可能である。Linux環境では、抽象化及びプロセスコンテナのコンテナランタイム環境をデプロイすることができる。
【0045】
抽象化コンテナは、インタフェースコンピューティングユニットへのアクセスを更に抽象化するように適合することができる。例えば、任意選択的な抽象化コンテナは、例えば、プラント固有の単位を標準化された処理プログラム入力単位に、例えばcmからmに変換することにより、プロセスコンテナにより処理することができるような形式でプラントプロセスデータを変換及び/又は集計することができる。プロセスコンテナは、オプティマイザ又はトレーニングされたAIモデル等、高度解析のための処理プログラムを含むことができる。例えば、処理プログラムは、追加の測定を提供するソフトセンサとして作用するように適合することができるか、又は例えばカルマンフィルタに基づいて、欠けた器具をエミュレートするように適合することができる。処理プログラムは、例えば、高度にスケーラブルなクラウド基盤、例えばデータブリックス等のビッグデータ解析ツールを使用して予めトレーニングされたAIモデルも指し得る。更に、任意の種類のリアルタイムオプティマイザを処理プログラムとして利用することができる。更に、処理プログラムは、モデル予測コントローラも指し得、ネットワーキングスタックに関するソフトリアルタイム要件及び高可用性要件は、セットアップにより満たすことができる。
【0046】
したがって、デプロイプロセスは、現代のCI/CD及びDevOpsプロセスを使用してクラウドサービス、例えばIoT Hub及びIoT Edgeから制御することができ、例えば、処理プログラム論理クラウド側の更新は、関連する全てのエッジコンピューティングデバイス上のこの処理プログラムの完全自動デプロイに繋がり得る。
【0047】
一般に、上述した本発明は、処理プログラムが島モードデプロイ可能であり、インタフェースサーバとのプロセスデータの読み出し、処理及び書き込みに柔軟な機能を提供するという利点を有する。
【0048】
開示した実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示及び添付の請求項を研究することから、特許請求される本発明を実施する当業者により理解及び実現され得る。
【0049】
請求項において、単語「含む」は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除しない。
【0050】
単一のユニット又はデバイスは、請求項に記載された複数の項目の機能を実現し得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項で言及されているという事実のみで、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0051】
1つ又は幾つかのユニット又はデバイスにより実行されるプラントプロセスデータの受信、コンテナランタイム環境の提供、処理プログラムの実行、プラントプロセスデータの処理等のような手順は、任意の他の数のユニット又はデバイスにより実行することができる。これらの手順は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実装することができる。
【0052】
コンピュータプログラム製品は、光記憶媒体又は固体媒体等の適当な媒体に保存/配布され、他のハードウェアと共に又はその一部として供給され得るが、他の形態、例えばインターネット又は他の有線/無線通信システムを介して配信され得る。
【0053】
請求項におけるいかなる参照符号も本発明の範囲を限定するものと解釈するべきでない。
【0054】
本発明は、プラント制御システムを含む工業プラントの生産プロセスに関して取得されたデータを処理するためのエッジコンピューティングデバイスであって、制御システムは、サーバを含む、エッジコンピューティングデバイスに関する。本デバイスは、データをシステムから受信するためにサーバに通信可能に結合されるように構成された第1のユニットを含む。第2のユニットは、第2のユニットでコンテナを実行するように構成されたコンテナランタイム環境を提供するように構成される。プロセスコンテナは、その環境で実行されるように構成され、プロセスコンテナは、プロセスコンテナの内部で実行される場合、工業プラントの生産プロセスに関して取得されたデータを処理するように構成されたプログラムを含む。第1のユニットは、受信されたデータをその環境に提供するために第2のユニットに通信可能に結合され、プログラムは、提供されたデータを処理するように構成される。
【国際調査報告】