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特表2024-507705透明基板を有するウエハ上に電子ビームを集束させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】透明基板を有するウエハ上に電子ビームを集束させる方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/21 20060101AFI20240214BHJP
   H01J 37/20 20060101ALI20240214BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240214BHJP
   H01J 37/22 20060101ALN20240214BHJP
【FI】
H01J37/21 B
H01J37/20 A
H01L21/66 J
H01J37/22 502L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546303
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022014669
(87)【国際公開番号】W WO2022165400
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】17/164,803
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バーダー アリエ
(72)【発明者】
【氏名】ヌナ タミール
【テーマコード(参考)】
4M106
5C101
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA02
4M106CA39
4M106DB20
4M106DJ02
4M106DJ07
5C101AA03
5C101EE47
5C101EE48
5C101FF02
5C101FF45
5C101FF46
5C101FF49
5C101GG18
5C101HH16
(57)【要約】
電子ビームを焦束させる方法、非一過性コンピュータ可読媒体およびシステム。この方法は、ウエハの少なくとも1つの被評価エリア上に電子ビームを、これらの少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータに基づいて集束させることを含むことができる。ウエハは透明基板を含む。少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータが、ウエハの1つまたは複数の被高さ測定エリアに光子ビームを照射した結果として生成された検出信号に基づいて決定される。この照射は、ウエハの1つまたは複数の被支持エリアがチャックの1つまたは複数の支持要素と接触している間、および1つまたは複数の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアが、チャックから、光子ビームに関係した光学部品の被写界深度よりも大きな距離だけ離隔している間に実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを焦束させる方法であって、前記方法が、
電子ビームシステムによって、ウエハの少なくとも1つの被評価エリア上に前記電子ビームを、前記少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータに基づいて集束させること
を含み、
前記ウエハが透明基板を含み、
前記少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの前記高さパラメータが、前記ウエハの1つまたは複数の被高さ測定エリアに光子ビームを照射した結果として生成された検出信号に基づいて決定され、
前記照射が、前記ウエハの1つまたは複数の被支持エリアがチャックの1つまたは複数の支持要素と接触している間、および前記1つまたは複数の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアが、前記チャックから、前記光子ビームに関係した光学部品の被写界深度よりも大きな距離だけ離隔している間に実行される、
方法。
【請求項2】
前記距離が10ミリメートルよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウエハの前記1つまたは複数の被支持エリアが前記ウエハの縁エリアである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウエハの前記1つまたは複数の被支持エリアが前記チャックの環状エリアと接触している、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ウエハの前記少なくとも1つの被評価エリア上に前記電子ビームを集束させる前にアライメントプロセスが実行され、前記アライメントプロセスが、前記ウエハの前記1つまたは複数の被高さ測定エリアに照射すること、前記検出信号を生成すること、および前記ウエハに関する初期高さパラメータを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウエハの前記少なくとも1つの被評価エリアのうちの被評価エリア上に前記電子ビームを集束させた後、前記電子ビームで前記被評価エリアを走査する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの被評価エリアが第1の被評価エリア、第2の被評価エリアおよび第3の被評価エリアを含み、前記方法がさらに、前記電子ビームで前記第1の被評価エリアを走査した後、前記電子ビームで前記第3の被評価エリアを走査する前に前記第2の被評価エリアの高さパラメータを決定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの被評価エリアのうちの被評価エリアが、前記1つまたは複数の被高さ測定エリアのうちの被高さ測定エリアと少なくとも部分的に重なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの被評価エリアのうちの被評価エリアが、前記1つまたは複数の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアから離隔している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ウエハが第1のウエハであり、前記方法がさらに、
第2のウエハの少なくとも1つの他の被評価エリア上に前記電子ビームを、前記少なくとも1つの他の被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータに基づいて集束させること
を含み、
前記第2のウエハが前記第1のウエハとはサイズが異なり、
前記第2のウエハが透明基板を含み、
前記少なくとも1つの他の被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの前記高さパラメータが、前記第2のウエハの1つまたは複数の他の被高さ測定エリアに前記光子ビームを照射した結果として生成された検出信号に基づいて決定され、
前記照射が、前記第2のウエハの1つまたは複数の他の被支持エリアが前記チャックの1つまたは複数の他のエリアと接触している間、および前記1つまたは複数の他の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアが、前記チャックから、前記光子ビームに関係した前記光学部品の前記被写界深度よりも大きな距離だけ離隔している間に実行され、
前記チャックの前記1つまたは複数の他のエリアが前記チャックの前記1つまたは複数の支持要素から離隔している、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記チャックの前記1つまたは複数の他のエリアが、前記チャックの前記1つまたは複数の支持要素によって取り囲まれている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チャックが光子吸収材料でコーティングされている、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
電子ビームシステムであって、
高さ測定ユニットと、
1つまたは複数の支持要素を備えるチャックであり、前記1つまたは複数の支持要素が、ウエハの前記1つまたは複数の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアが、前記チャックから、前記高さ測定ユニットの光学部品の被写界深度よりも大きな距離だけ離隔している間、前記ウエハの1つまたは複数の被支持エリアを支持するように構成された、前記チャックと
を備え、
前記ウエハが透明基板を含み、
前記高さ測定ユニットが、前記ウエハが前記チャックによって支持されている間に、前記1つまたは複数の被高さ測定エリアの高さを、前記1つまたは複数の被高さ測定エリアに光子ビームを照射することによって測定するように構成されており、
前記電子ビームシステムがさらに、
前記ウエハの少なくとも1つの被評価エリア上に電子ビームを、前記少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータに基づいて焦束させるように構成された電子ビームカラム
を備え、
前記電子ビームシステムが、前記少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの前記高さパラメータを、前記1つまたは複数の被高さ測定エリアの前記高さに基づいて決定するように構成されている、
電子ビームシステム。
【請求項14】
前記距離が10ミリメートルよりも大きい、請求項13に記載の電子ビームシステム。
【請求項15】
ウエハのエリアを走査する方法であって、前記方法が、
前記エリアに光子ビームを照射することによって前記エリアのそれぞれのエリアの高さを測定することであり、前記測定することが、前記ウエハがチャックによって支持されている間に実行され、前記エリアが、少なくとも10ミリメートルだけ前記チャックから離隔している、前記測定すること、および
前記エリア上に集束させた電子ビームで前記エリアを走査することによって前記エリアのそれぞれのエリアを評価することであり、前記電子ビームの集束が前記エリアの前記高さに応じたものである、前記評価すること
を含む方法。
【請求項16】
前記それぞれのエリアの前記高さの前記測定が、前記エリアの前記評価の前に実行されるアライメントプロセス中に実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エリアのうちの1つエリアの前記高さの前記測定が、前記エリアの少なくとも1つの他のエリアを評価した後に実行される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年2月1日に出願された米国特許出願第17/164,803号の優先権を主張するものであり、この米国特許出願の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
走査電子顕微鏡は、ウエハなどのサンプルを、ウエハの被評価エリア(evaluated area)を電子ビームで走査することにより評価する高分解能システムである。レビュー走査電子顕微鏡(review scanning electron microscope)は、疑わしい欠陥を含む被評価エリアを走査する。計測(metrology)走査電子顕微鏡は、測定すべき構造要素を含む被評価エリアを走査する。
【0003】
被評価エリアを走査しているときには、電子ビームが被評価エリア上で集束しているべきである。例えば、被評価エリアは走査電子顕微鏡の対物レンズの焦点面内にあるべきである。
【0004】
集束は普通、サンプルの高さマップに基づいて実行される。高さマップは、ウエハの(被高さ測定エリア(height-measured area)と呼ばれる)異なるエリアに照射して被高さ測定エリアの高さパラメータを提供する高さ測定ユニットを使用して作成される。被高さ測定エリアは普通、ウエハの小部分だけをカバーする。高さマップを提供するため、被高さ測定エリアではないエリアの高さパラメータが外挿または補間によって計算される。
【0005】
一部のウエハは、基板の全体と接触したチャックによって支持された透明基板を有する。
【0006】
被高さ測定エリアの高さパラメータは、被高さ測定エリアがチャックによって支持されており、チャックと接触している間に被高さ測定エリアに光ビームを照明することによって測定される。
【0007】
いくつかのケース、特に被高さ測定エリアが透明であるときには、光ビームがチャックから反射されることがあり、それによって高さ測定誤差が導入されることがある。これは、高さ測定値が、被高さ測定エリアの高さではなくチャックの高さを反映したものになることがあるためである。
【0008】
このような高さ測定誤差によって、電子ビームが、ウエハの裏面に集束すること、またはウエハの頂面とは異なる他の点に集束することがある。
【0009】
高さパラメータ測定の正確な解決策を提供することがますます求められている。
【発明の概要】
【0010】
電子ビームを焦束させる方法、非一過性コンピュータ可読媒体および検出システムが提供されることがある。
【0011】
本開示の実施形態とみなされる主題は、本明細書の最後の部分に詳細に示され、明確に主張されている。しかしながら、本開示の実施形態は、構成と動作方法の両方に関して、その目的、特徴および利点とともに、添付図面とともに読まれたときに以下の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】方法の例を示す図である。
図2】ウエハおよびチャックの例を示す図である。
図3】ウエハおよびチャックの例を示す図である。
図4】被評価エリア、被高さ測定エリア、高さパラメータおよび高さマップの例を示す図である。
図5】被評価エリアの例を示す図である。
図6】電子ビームシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が示される。
【0014】
しかしながら、それらの特定の詳細なしでも本開示の実施形態を実施することができることを当業者は理解するであろう。他の例として、本開示の実施形態を不明瞭にすることがないように、よく知られた方法、手順および構成要素は詳細には説明されていない。
【0015】
本開示の実施形態とみなされる主題は、本明細書の最後の部分に詳細に示され、明確に主張されている。しかしながら、本開示の実施形態は、構成と動作方法の両方に関して、その目的、特徴および利点とともに、添付図面とともに読まれたときに以下の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解することができる。
【0016】
図解を単純かつ明瞭にするため、図に示された要素は必ずしも一定の倍率では描かれていないことが理解される。例えば、明瞭にするため、一部の要素の寸法が、他の要素に比べて誇張されていることがある。さらに、適切と考えられる場合には、対応する要素または類似の要素を示すために、添付図の中で参照符号が繰り返されていることがある。
【0017】
本開示の示された実施形態は、ほとんどの場合、当業者に知られている電子構成要素および電子回路を使用して実施することができるため、本開示の実施形態の教示を不明瞭にしないように、または本開示の実施形態の教示からそれないように、上に示したとおり、本開示の実施形態の根底にある発想の理解および評価のために必要と考えられる程度を超えて詳細を説明することはしない。
【0018】
本明細書での方法に対する一切の言及は、必要な変更を加えて、その方法を実行することができるシステムに適用されるべきであり、必要な変更を加えて、その方法を実行するための命令を記憶した非一過性のコンピュータ可読媒体に適用されるべきである。
【0019】
本明細書でのシステムに対する一切の言及は、必要な変更を加えて、そのシステムが実行することができる方法に適用されるべきであり、必要な変更を加えて、そのシステムによって実行可能な命令を記憶した非一過性のコンピュータ可読媒体に適用されるべきである。
【0020】
本明細書での非一過性のコンピュータ可読媒体に対する一切の言及は、必要な変更を加えて、コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するときに適用することができる方法に適用されるべきであり、必要な変更を加えて、コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するように構成されたシステムに適用されるべきである。
【0021】
用語「および/または」は、それに加えてまたはその代わりにを意味する。
【0022】
「被評価エリア」は評価すべきエリアである。この評価は、欠陥レビュー、計測などを含むことができる。
【0023】
「被高さ測定エリア」は、その高さパラメータが測定されるエリアである。
【0024】
エリアの「高さパラメータ(height parameter)」という用語は、エリア全体またはエリアの部分(1つまたは複数の点)だけに関するパラメータであることがあり、エリアの絶対高さに関することがあり、エリアの相対高さに関するパラメータであることがあり、エリアの高さであることがあり、エリアから基準点まで(例えば電子ビームシステムの対物レンズまで)の距離であることがあり、エリアとウエハの基準点との間の高度差であることがあり、他の同種のものであることがある。説明を単純にするため、以下に挙げるさまざまな例は、エリアの高さとしての高さパラメータに関する。
【0025】
用語「電子ビームシステム」は、1つまたは複数の電子ビームを発生させることができるシステムであって、サンプル(もしくはサンプルのエリア)を1つもしくは複数の電子ビームで走査すること、または他の手法でサンプル(もしくはサンプルのエリア)に1つもしくは複数の電子ビームを照射することができるシステムに関する。走査電子顕微鏡は電子ビームシステムの非限定的な例である。
【0026】
被高さ測定エリアがチャックから十分に遠くにある間に(ウエハの被支持エリアがチャックによって支持されているときであっても)ウエハの被高さ測定エリアの高さパラメータを正確に測定する方法、システムおよび非一過性コンピュータ可読媒体が提供される。チャックが被高さ測定エリアの高さ測定値に影響を及ぼすことを防ぐため、それぞれの被高さ測定エリアとチャックとの間の距離は十分に大きい。
【0027】
この正確な高さパラメータ測定値を(例えば高さマップを作成することによって)処理して、被評価エリアごとの高さパラメータを含む、被高さ測定エリアとは異なるウエハのエリアの高さパラメータを提供することができる。
【0028】
被評価エリアの高さパラメータは、被評価エリア上に電子ビームを集束させるために使用される。例えば、この高さパラメータを、オートフォーカスユニットの出発点または電子ビームを集束させるための出発点などとして使用することができる。
【0029】
被評価エリアが被高さ測定エリアであってもよい。被評価エリアが被高さ測定エリアとは異なっていてもよい。被評価エリアが被高さ測定エリアと部分的に重なっていてもよい。被評価エリアは被高さ測定エリアと重なっていなくてもよい。
【0030】
被評価エリアの高さパラメータは、1つまたは複数の被高さ測定エリアの高さパラメータに基づいて決定することができる。
【0031】
例えば、被評価エリアが1つまたは複数の被高さ測定エリアと異なる場合には、その1つまたは複数の被高さ測定エリアの高さパラメータに関数(例えば補間、外挿、加重平均算出、平均算出、機械学習関数、機械学習関数ではない関数または他の関数)を適用することによって、その高さパラメータを使用することができる。
【0032】
被評価エリアの高さは、被高さ測定エリアの高さに基づいて、電子ビームシステムのプロセッサまたは高さ測定ユニットによって計算することができる。電子ビームシステムの他の構成要素もしくはユニットによって被評価エリアの高さを計算することもでき、または電子ビームシステムの外部のコンピュータ化されたユニットによって計算することもできる。
【0033】
図1は、電子ビームを集束させる方法100を示している。
【0034】
方法100は、ウエハの1つまたは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータを取得するステップ110から開始することができる。
【0035】
ステップ110は、1つまたは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータを生成すること、あるいは1つまたは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータを受け取ることを含むことができる。
【0036】
この生成は、ウエハの1つまたは複数の被高さ測定エリアに光子ビームを照射すること、(1つまたは複数のセンサによって、)この照射の結果として生成された検出信号を生成すること、およびこの検出信号を処理して、1つまたは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータを提供することを含むことができる。
【0037】
この照射は、ウエハの1つまたは複数の被支持エリアがチャックの1つまたは複数の支持要素と接触している間、および1つまたは複数の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアが、チャックから、(チャックからの反射が存在する場合に)チャックからの反射が高さパラメータに影響を及ぼすのを防ぐのに十分な距離だけ離隔している間に実行される。
【0038】
例えば、1つまたは複数の被高さ測定エリアのそれぞれの被高さ測定エリアを、チャックから、光子ビームに関係した光学部品の被写界深度よりも大きな距離だけ離隔させることができる。この光学部品は、高さ測定ユニットに属していてもよく、または高さ測定ユニットに属していなくてもよい。
【0039】
この距離は、例えば1、5、10、20、30、40、50ミリメートルなどよりも大きな距離とすることができる。
【0040】
ウエハの被支持エリアの形状およびサイズは、チャックの対応する支持要素の形状およびサイズによって規定される。例えば、ウエハの縁またはウエハの他の環形被支持エリアを支持するように環状支持要素を配置することができる。
【0041】
チャックの支持要素は動かないものとすることができ、または移動可能なもの、例えば下げること、上げることもしくは他のやり方で移動させることができるものとすることができる。
【0042】
1つまたは複数の被支持エリアはウエハの任意の位置に配置することができ、1つまたは複数の被支持エリアは任意の形状および/またはサイズを有することができる。
【0043】
1つの被支持エリアが、別の被支持エリアと同じ形状およびサイズを有していてもよい。
【0044】
1つの被支持エリアが、別の被支持エリアとは異なる形状および/または異なるサイズを有していてもよい。
【0045】
例えば、ウエハの1つまたは複数の被支持エリアをウエハの縁エリアとすることができ、またはウエハの縁エリアとは異なるエリアとすることができる。
【0046】
チャックは、1つまたは複数のサイズのウエハを支持するように構成されたものとすることができる。
【0047】
第1のサイズのウエハを、チャックの1つまたは複数の支持要素によって支持することができ、別のサイズのウエハを、チャックの1つまたは複数の他の支持要素によって支持することができる。
【0048】
より大きなウエハを支持する1つまたは複数の支持要素を、より小さなウエハを支持する1つまたは複数の支持要素よりも高いものとすることができる。より大きなウエハを支持する1つまたは複数の支持要素は、より小さなウエハを少なくとも部分的に取り囲むことができる。
【0049】
ステップ110に続いて、電子ビームシステムによって、ウエハの少なくとも1つの被評価エリア上に電子ビームを、それらの少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータに基づいて(に応じて)集束させるステップ120を実行することができる。
【0050】
それらの少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータは、ウエハの1つまたは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータに基づいて計算することができる。
【0051】
この計算は、ステップ110中、ステップ120中、あるいは、それらの少なくとも1つの被評価エリアのそれぞれの被評価エリアの高さパラメータをウエハの1つまたは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータに基づいて計算する専用のステップ中に実行することができる。
【0052】
多数の被評価エリアがあるときには、それらの多数の全ての被評価エリアの高さパラメータの計算を、一度に実行すること、1被評価エリアごとに実行すること、および2つ以上の被評価エリアからなる一組の被評価エリアごとに実行することなどができる。例えば、被評価エリアの高さパラメータは、別の被評価エリアを評価した後、または他の被評価エリアを評価する前に計算することができる。
【0053】
この高さパラメータの計算および/またはウエハの1つもしくは複数の被高さ評価エリアの高さパラメータの取得は、少なくとも部分的に、ウエハのアライメントプロセス中またはアライメントプロセスの後などに実行することができる。アライメントプロセスは、ウエハの1つまたは複数の被高さ測定エリアに照射すること、照射に起因する検出信号を生成すること、およびウエハに関する初期高さパラメータを決定することを含むことができる。
【0054】
被評価エリアの走査の間、例えばオートフォーカスを実行することによって、集束を維持すること、または集束を変化させることができる。
【0055】
方法100は、少なくとも1つの被評価エリアを評価するステップ130を含むことができる。
【0056】
ステップ130は、ステップ120の後に実行すること、ステップ120と並行して実行すること、またはステップ120の実行と部分的に重なるように実行することができる。
【0057】
ステップ110、120および130を多数のウエハに対して繰り返すことができる。
【0058】
チャックは、同じサイズのウエハだけを支持するものとすることができる。
【0059】
あるいは、チャックを、異なるサイズの1つまたは複数のウエハを支持するものとすることもできる。異なるサイズのウエハは、チャックの異なる支持要素によって支持することができ、またはチャックの少なくとも1つの支持要素を共用することができる。
【0060】
チャックは、光子吸収材料でコーティングされたものとすることができる。例えば、チャックを、黒いコーティング材料でコーティングされたものとすることができる。
【0061】
図2は、ウエハ10、被支持エリア11、被高さ測定エリア13、被評価エリア14、チャック20、チャックの支持要素21(リング形であるものまたは丸い断面を有するものとすることができる)、ウエハの非被支持エリアとチャック20の底部22との間の距離31、および光子ビームに関係した光学部品(例えば高さ測定ユニット)の焦点深度32の例を示している。ウエハ10は透明基板を有する。透明基板は、ウエハ全体またはウエハの大部分とすることができる。説明を単純にするため、10で示された要素の全体がウエハの透明基板であると仮定する。
【0062】
被高さ測定エリア13の高さを測定するときにチャック(特にチャック20の底部22)からの反射が高さパラメータの測定に影響を与えないように、距離31は焦点深度32よりも大きい。
【0063】
図2はさらに、被高さ測定エリア13は被支持エリア11から離隔しているが、被評価エリア14は、少なくとも部分的に被支持エリア11と重なりうることを示している。
【0064】
図3は、チャック20の支持要素21によって支持されたウエハ10、環の形状を有する他の支持要素21’によって支持された(ウエハ10よりも小さい)別のウエハ10’の例である。底部と他のウエハ10’との間の距離33も焦点深度32よりも大きい。
【0065】
図3はさらに、ウエハ10よりも小さなウエハの支持要素として機能する3本のピン21’’の別の例を示している。
【0066】
図4は、第1の複数(N)の被高さ測定エリア13(1)~13(N)、第2の複数(M)の被評価エリア14(1)~14(M)、被高さ測定エリア13(1)~13(N)の高さパラメータHP(13,1)~HP(13,N)、および被評価エリア14(1)~14(M)の高さパラメータHP(14,1)~HP(14,M)の例である。
【0067】
方法100のステップ110中に、被高さ測定エリア13(1)~13(N)の高さパラメーHP(13,1)~HP(13,N)を処理して、被評価エリア14(1)~14(M)の高さパラメータHP(14,1)~HP(14,M)を提供することができる。
【0068】
図4は、ウエハ全体のウエハ高さパラメータHP(10)の生成も示している。高さパラメータHP(10)は例えば、ウエハの異なるエリアの平均高さを反映したものとすることができる。ウエハ高さパラメータの計算は任意である。
【0069】
図5は、被評価エリア14、被評価エリア14を走査するときに電子ビーム61がたどる走査パターン72、および走査パターン72の開始点71を示している。被評価エリア14に関する高さパラメータは例えば、開始点71の高さ、または被評価エリア14の他の点の高さ、または被評価エリアの1つもしくは複数の点の高さの関数を含むことができる。
【0070】
図6は電子ビームシステム40を示しており、電子ビームシステム40は、真空チャンバ41、チャック20、電子ビームカラム43、高さ測定ユニット42、プロセッサ45、メモリユニット46およびコントローラ47を含む。コントローラ47は、電子ビームシステム40を制御するように構成されている。
【0071】
ウエハ10は、チャック20によって支持されており、真空チャンバ41内に配置されている。
【0072】
高さ測定ユニット42は、ウエハの被高さ評価エリアに光子ビーム62(または多数の光子ビーム)を照射することによって被高さ評価エリアの高さパラメータを決定するように構成されたものとすることができる。
【0073】
電子ビームカラム43は、電子ビーム61(または多数の電子ビーム)で1つまたは複数の被評価エリアを走査するように構成されたものとすることができる。
【0074】
電子ビームシステム40は、方法100を実行するように構成されたものとすることができる。
【0075】
図6はさらに、レーザ集束システムとすることができる高さ測定ユニット42の例を示している。
【0076】
高さ測定ユニット42は、レーザ源51、ツーウェイミラー52、第1のレンズ53、ワンウェイミラー54、第2のレンズ55、プリズム57、第1のセンサ58および第2のセンサ59を含むことができる。
【0077】
レーザ源51からの光ビームは、ツーウェイミラー52および第1のレンズ53を通過し、ワンウェイミラー54に当たる。
【0078】
ワンウェイミラー54は第2のレンズ55に向かって光ビームを導く。第2のレンズ55は光ビームを集束させ、被高さ測定エリアに向かって光ビームを導く。
【0079】
光ビームは次いで、被高さ測定エリアからワンウェイミラー54に向かって反射される。
【0080】
光ビームが被高さ測定エリア上で集束する場合、反射光ビームは第2のレンズ55を通過し、ワンウェイミラー54の中心に当たり、第1のレンズ53に向かって導かれる。反射光ビームは第1のレンズ53を通過し、ツーウェイミラー52によってプリズム57の第1の位置(例えば中心)に向かって反射される。プリズム57は、第1のセンサ58と第2のセンサ59の間で反射光ビームを均等に分割する。
【0081】
光ビームが被高さ測定エリア上で集束しない場合、反射光ビームは第2のレンズ55を通過し、ワンウェイミラー54の中心から外れた位置に当たり、第1のレンズ53に向かって導かれる。反射光ビームは第1のレンズ53を通過し、ツーウェイミラー52によってプリズム57の第2の位置(例えば中心から外れた位置)に向かって反射される。プリズム57は、第1のセンサ58と第2のセンサ59の間で反射光ビームを不均等に分割する。
【0082】
したがって、第1のセンサ58によって検出された光と第2のセンサ59によって検出された光との間の関係が、光ビームが集束するのかまたは集束しないのかを指示し、集束せず、非集束の量に関する指示を提供する。
【0083】
他の高さ測定ユニットを提供してもよい。
【0084】
方法100は、電子ビーム光学部品を含まないシステムによって実行することができることに留意すべきである。
【0085】
以上の明細書では、本開示の実施形態が、本開示の実施形態の特定の例に関して説明されている。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載された本開示の実施形態のより幅の広い趣旨および範囲を逸脱することなく、それらの例にさまざまな修正および変更を加えることができることは明白である。
【0086】
さらに、この説明および特許請求の範囲において「前」、「後ろ」、「頂部」、「底部」、「上」、「下」などの用語が使用されている場合、それらの用語は、説明のために使用されているのであって、必ずしも永続的な相対位置を記述するために使用されているのではない。そのように使用されるこれらの用語は、適切な状況下において、本明細書に記載された本開示の実施形態が、例えば、図示された向き以外の向きまたは本明細書に他のやり方で記載された向き以外の向きで動作することができるような態様で交換可能であることが理解される。
【0087】
本明細書で論じられる接続は、対応するそれぞれのノード、ユニットもしくはデバイスから例えば中間デバイスを介して信号を転送するのに適した任意のタイプの接続、または対応するそれぞれのノード、ユニットもしくはデバイスに例えば中間デバイスを介して信号を転送するのに適した任意のタイプの接続とすることができる。したがって、そうではないと暗示または明示されていない限り、それらの接続は例えば直接接続または間接接続であることができる。それらの接続が、単一の接続、複数の接続、一方向接続または双方向接続であるとして図示または記載されることがある。しかしながら、異なる実施形態ではそれらの接続の実施態様が異なることがある。例えば、双方向接続の代わりに別個の一方向接続を使用することができ、その逆もまた真である。さらに、複数の接続の代わりに、多数の信号を逐次的にまたは時間分割多重方式で転送する単一の接続を使用することができる。同様に、多数の信号を運ぶ単一の接続を、これらの信号のサブセットを運ぶ異なるさまざまな接続に分割することもできる。したがって、信号を転送するための多くの選択肢が存在する。
【0088】
同じ機能を達成するための構成要素の任意の配列は、所望の機能が達成されるように事実上「関連付けられている」。したがって、特定の機能を達成するために組み合わされた本明細書の任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは仲介構成要素に関わりなく、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」と見ることができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素を、所望の機能を達成するように互いに「動作可能に接続されている」または「動作可能に結合されている」と見ることもできる。
【0089】
さらに、上述の動作間の境界は単なる例であることを当業者は認めるであろう。多数の動作を結合して単一の動作にすることができ、単一の動作を分割して複数の追加の動作にすることができ、時間的に少なくとも部分的に重なった形で動作を実行することができる。さらに、代替実施形態は、特定の動作の多数の事例を含むことができ、さまざまな他の実施形態において動作の順序を変更することができる。
【0090】
さらに、例えば、一実施形態では、図示された例を、単一の集積回路上または同じデバイス内に位置する回路として実施することができる。あるいは、それらの例を、適当な方式で互いに相互接続された任意の数の別個の集積回路または別個のデバイスとして実施することもできる。
【0091】
しかしながら、他の変更、変形形態および代替形態も可能である。したがって、本明細書および図面は、例示を意図したものと見るべきであり、限定を意図したものと見るべきではない。
【0092】
特許請求項において、括弧の中の参照符号は、その請求項を限定するものと解釈されない。語「備える」は、請求項に記載されたもの以外の他の要素またはステップの存在を排除しない。さらに、本明細書で使用されるとき、用語「a」または「an」は、1つまたは2つ以上であると定義される。さらに、請求項における「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」などの導入句の使用が、不定冠詞「a」または「an」による別の請求項要素の導入が、導入されたそのような請求項要素を含む特定の請求項をそのような要素を1つだけ含む本開示の実施形態に限定することを暗示していると解釈すべきではない。これは、たとえ同じ請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含むときであっても同じである。定冠詞の使用に関しても同じことが言える。特に明記されていない限り、「第1の」および「第2の」などの用語は、そのような用語が記述する要素を任意に区別するために使用されている。したがって、これらの用語が、このような要素の時間的優先またはその他の優先を示すことは必ずしも意図されてはいない。ある手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0093】
本明細書には、本開示の実施形態のある特徴が図示および記載されているが、当業者には、多くの修正、置換、変更および等価物が思い浮かぶであろう。したがって、添付の請求項は、本開示の実施形態の真の趣旨に含まれるそのような全ての修正および変更をカバーすることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】