(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】コーティングトラックへのセンサ技術の統合
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240214BHJP
【FI】
H01L21/30 567
H01L21/30 564D
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550628
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-22
(86)【国際出願番号】 US2022012146
(87)【国際公開番号】W WO2022182436
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】カルカッシ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フーゲ,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正志
(72)【発明者】
【氏名】田所 真任
(72)【発明者】
【氏名】柴 和宏
【テーマコード(参考)】
5F146
【Fターム(参考)】
5F146AA28
5F146DB14
5F146JA04
5F146JA21
5F146JA22
5F146JA24
5F146JA27
5F146KA10
(57)【要約】
複数の基板を処理する方法は、基板をコーティングトラックに装填することと、当該基板をコーティングトラックのモジュール内へ移動させることと、当該基板を覆って形成された膜を修正する処理を実行することと、コントローラ側で光学センサから光学センサデータを取得することとを含む。光学センサデータは、膜の特性の測定値を含む。本方法は、膜の特性に基づいて乾燥度を判定することと、判定された乾燥度に基づいて当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を処理する方法であって、
基板をコーティングトラックに装填することと、
前記基板を前記コーティングトラックのモジュール内へ移動させることと、
前記基板を覆って形成された膜を修正する処理を実行することと、
コントローラ側で光学センサから光学センサデータであって前記膜の特性の測定値を含む光学センサデータを取得することと、
前記膜の前記特性に基づいて乾燥度を判定することと、
前記判定された乾燥度に基づいて前記処理の処理パラメータを調整することとを含む方法。
【請求項2】
前記処理パラメータを調整することが、
後続の基板を処理すべく前記処理パラメータを調整するフィードバック信号を提供することと、
前記処理の終了点を判定して前記処理を終了することと、
前記基板に対する後続の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供することと、
現在の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モジュールがコーティングモジュール、焼成モジュール、又は溶媒アニール焼成機を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理を実行することが誘導自己組織化(DSA)コーティング処理を実行することを含み、前記処理の前記処理パラメータを調整することが溶媒飽和時間、溶媒飽和温度、溶媒飽和濃度、溶媒排出開始時点、溶媒排出率、溶媒排出持続時間、DSA排気条件、DSA処理スピン速度、周囲ガス流、溶媒排出温度、DSAアニール温度、DSAアニール時間、又はDSA処理条件を調整することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コントローラが光学センサデータを障害検出修正システム(FDCシステム)に送信し、前記FDCシステムから返送された処理済み光学センサデータを受信する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光学センサがレーザートランシーバであり、前記光学センサデータが一列の干渉縞であり、前記コントローラ側で前記光学センサデータを前記膜の前記特性に変換することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記乾燥度を判定することが、前記光学センサデータに基づいて前記膜内の成分の蒸発率を判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記光学センサが前記基板の上方に間隔をあけて配置された複数の光学センサを含み、前記光学センサデータを取得することが、前記複数の光学センサから光学センサデータを受信することを含み、前記方法が更に、
前記光学センサデータを前記基板全体にわたる膜特性の均一性に変換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数のウエハを処理する方法であって、
揮発性有機化合物センサ(VOCセンサ)を備えたモジュール内に基板を装填することと、
前記モジュール内で前記基板を処理して前記基板を覆って形成された膜を修正することと、
前記処理中に前記VOCセンサからVOCセンサデータを取得することと、
前記VOCセンサデータに基づいてコントローラ側で前記処理の処理パラメータを調整することとを含む方法。
【請求項10】
前記処理パラメータを調整することが、
後続の基板を処理すべく前記処理パラメータを調整するフィードバック信号を提供すること、
前記処理の終了点を判定して前記処理を終了させること、
前記基板に対する後続処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供すること、又は
現在の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記処理中に光学センサから光学センサデータを取得することを更に含み、
前記光学センサが前記モジュール内に配置されていて、前記処理パラメータを調整することが前記光学センサデータに基づいて前記処理パラメータを調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記光学センサデータと前記VOCセンサデータとの相関を求めることと、
前記コントローラ側で、前記VOCセンサデータから取得された揮発性有機物の濃度と光学センサデータから取得された前記膜の特性との第1の相関、又は揮発性有機物の濃度の変化と前記膜の前記特性の変化との第2の相関、或いは揮発性有機物の濃度の変化と前記処理における処理ステップの持続時間との第3の相関を求めることとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記処理の処理パラメータを調整することが、
前記VOCセンサデータを前記処理中の前記モジュール内の周囲条件又は前記膜の特性に変換することと、
前記周囲条件又は前記膜の前記特性に基づいて、前記処理パラメータを調整することとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記モジュールがコーティングモジュールを含み、前記処理パラメータを調整することが前記コーティングモジュールのコーティング処理パラメータを調整することを含み、又は前記モジュールが焼成モジュールを含み、前記処理パラメータを調整することが前記焼成モジュールの焼成処理パラメータを調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記基板を処理することがスピンコーティング処理を実行することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記コントローラ側で、前記VOCセンサデータを保存されたゴールデンセンサデータ又は保存された終了点閾値と比較することを更に含み、前記処理の前記処理パラメータを調整することが、保存されたゴールデンセンサデータと前記VOCセンサデータの差が所定の値を超えたとの判定に応答して前記処理を調整すること、又は前記VOCセンサデータが前記保存された終了点閾値と交差するとの判定に応答して前記処理を終了することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
複数のウエハを処理する方法であって、
エッジビードセンサを備えたモジュールに基板を装填することと、
前記基板を覆って形成され前記基板の縁にエッジビードを含む膜を修正すべく前記モジュール内の前記基板を処理することと、
前記処理中に前記エッジビードセンサからエッジビードセンサデータを取得することと、
前記エッジビードセンサデータに基づいて、コントローラ側で前記処理の処理パラメータを調整することとを含む方法。
【請求項18】
前記エッジビードセンサが光学センサを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処理の前記処理パラメータを調整することが、後続の基板に対する前記処理の前記処理パラメータを調整することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記処理の前記処理パラメータを調整することが、前記処理により除去される前記膜の部分の幅、エッジビード瘤の幅、前記エッジビード瘤の高さ、又は前記エッジビード瘤の傾きを調整することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許及び出願の相互参照
本出願は2021年2月23日出願の米国非仮特許出願第17/183,138号の出願日の優先権を主張するものであり、当該出願の全文が引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は一般に膜の堆積に関し、特定の実施形態においてコーティングトラックへのセンサ技術の統合に関する。
【背景技術】
【0003】
膜基材を溶媒に懸濁させ、膜基材溶液を基板上にコーティングし、次いで基板を加熱して溶媒を除去して膜コーティングを残すことにより様々な膜が堆積される。
【0004】
膜溶液を半導体基板にコーティングする方法のうち最も広く利用されているのはコーティングトラック内のウエハへのスピンコート堆積である。適量の膜基材溶液をウエハの中央に分注する。次いでウエハを一連のrpmで回転させて均一な膜厚の膜コーティングによりウエハにコーティングする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板にスピンコートされた膜コーティングは通常、塗布後焼成モジュール(PAB)に焼成されて溶媒を除去及び/又は化学反応を生起してガラス転移温度を上昇させる等、膜の特性を変化させる。
【0006】
専用のコーティングトラックを用いてフォトリソグラフィ用の感光膜でウエハをコーティングする。塗布後焼成(PAB)モジュールに加え、コーティングトラックには、露光後焼成モジュール(PEB)、及び時として現像後焼成モジュール(硬焼成モジュール)が含まれる。
【0007】
溶媒アニール焼成機を備えた専用のコーティングトラックを用いて誘導自己組織化(DSA)処理でウエハを処理する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数の基板を処理する方法は、基板をコーティングトラックに装填することと、当該基板をコーティングトラックのモジュール内へ移動させることと、当該基板を覆って形成された膜を修正する処理を実行することと、コントローラ側で光学センサから光学センサデータを取得することとを含む。光学センサデータは膜の特性の測定値を含む。本方法は、膜の特性に基づいて乾燥度を判定することと、判定された乾燥度に基づいて当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【0009】
複数のウエハを処理する方法は、揮発性有機化合物(VOC)センサを備えたモジュール内に基板を装填することと、モジュール内で基板を処理して基板を覆って形成された膜を修正することと、処理中にVOCセンサからVOCセンサデータを取得することと、VOCセンサデータに基づいてコントローラ側で当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【0010】
複数のウエハを処理する方法は、エッジビードセンサを備えたモジュールに基板を装填することと、モジュール内で基板を処理して基板を覆って形成された膜を修正することとを含む。膜は基板の縁にエッジビードを含む。本方法は更に、処理中にエッジビードセンサからエッジビードセンサデータを取得することと、エッジビードセンサデータに基づいてコントローラ側で当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【0011】
本発明及びその利点をより完全に理解いただけるよう、添付図面と合わせて以下の記述を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による製造設備のコーティングトラックの主な要素を示すブロック図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるフォトレジストをコーティングするコーティングトラックの主な要素を示すブロック図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による
図1及び2に示すコーティングトラックからのスピンコーティングモジュールの断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるスピンチャックの回転速度の時間変化のグラフを示す。
【
図5】本発明の一実施形態によるウエハの膜コーティングから反射された光の強度の時間変化を示す光学センサデータのグラフを示す。
【
図6】本発明の一実施形態によるコーティングトラック内の処理を監視及び制御する組み込みセンサを利用する方法を説明するフロー図を示す。
【
図7A】本発明の一実施形態によるウエハの縁から膜のエッジビードを洗浄除去する様子を描いた断面図を示す。
【
図7B】本発明の一実施形態によるウエハの縁から膜のエッジビードを洗浄除去する様子を描いた断面図を示す。
【
図7C】本発明の一実施形態によるウエハの縁から膜のエッジビードを洗浄除去する様子を描いた断面図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態による
図1及び
図2に示すコーティングトラックからの焼成モジュールの断面図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態によるFDCセグメントが追加されたウエハ温度の時間変化のグラフを示す。
【
図10】本発明の一実施形態によるFDCセグメントが追加された揮発性有機化合物(VOC)センサの時間変化を示すデータのグラフを示す。
【
図11】本発明の一実施形態によるコーティングトラック内の処理を監視及び制御すべく組み込みセンサを備えたFDCを利用する実施形態の方法を説明するフロー図を示す。
【
図12A】本発明の一実施形態によるプレパターン及び誘導自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図12B】本発明の一実施形態によるプレパターン及び誘導自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図12C】本発明の一実施形態によるプレパターン及び誘導自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図12D】本発明の一実施形態によるプレパターン及び誘導自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図12E】本発明の一実施形態によるプレパターン及び誘導自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13A】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13B】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13C】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13D】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13E】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13F】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13G】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【
図13H】本発明の一実施形態によるケミオエピタキシャル自己組織化(DSA)サブリソグラフィパターンを形成する際の主な処理ステップの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な実施形態はコーティングトラックにおける膜処理を制御する方法を提供する。本出願に記述する膜処理制御技術は、多くの異なる基板上での多くの異なる膜材料の膜処理に適用可能である。本出願に記述する膜処理制御技術は、スピンコート膜、ウエハの縁からの膜のエッジビード除去、及びコーティングトラック装置における膜の塗布後焼成(PAB)に適用可能である。フォトレジスト膜の場合、実施形態の方法は、PABに加え、露光後焼成(PEB)、現像後焼成(PDB)又は硬焼成を含む。誘導自己組織化処理の場合、実施形態の方法は、溶媒アニール焼成を含む。提供する複数の実施形態は、障害検出及び制御(FDC)システム並びに高度処理制御システム(APC)と相容的且つ補完的である。
【0014】
本出願の複数の実施形態を用いるコーティングトラックシステムの高レベルの方式を、最初に
図1、2を参照しながら記述する。次いで本出願の複数の実施形態を実装するコーティングモジュールについて
図6のフロー図と共に
図3を参照しながら記述する。処理の更なる複数の実施形態について
図11を参照しながら記述する。次いで本出願の複数の実施形態を実装する焼成モジュールについて
図6及び任意選択的に
図11のフロー図と共に
図8を参照しながら記述する。
【0015】
図1に、膜コーティング用のコーティングトラックシステム100のブロック図を示す。コーティングモジュール104は、基板に膜溶液を分注し、一連の毎分回転数(rpm)で回転させて最初に基板を均一な厚さの膜溶液で覆い、次いで目標厚さ及び均一性を有する膜コーティングが達成されるまで余分な膜溶液を除去する。コーティングトラックシステム100は次いで基板を塗布後焼成(PAB)モジュール106に進め、当該モジュールで膜コーティングを焼成して余分な溶媒を除去する。いくつかの構成において、溶媒濃度が許容レベルまで低下した後で、より高い温度を用いて化学架橋反応を生起させて膜コーティングの化学的及び熱的安定性を向上させることができる。
【0016】
コントローラ102は、温度、ポンピング速度、分注ノズル位置、スピンチャックrpm等のコーティングモジュール104の状態データ、及びコーティング中の膜の様々な特性を監視するコーティングセンサからのデータも受信する。
【0017】
コントローラ102はまた、温度、圧力、排気流量、基板ゾーン温度データ等の塗布後焼成(PAB)モジュール106状態データ、及び膜が焼成される際に膜の様々な特性及び周囲の様々な特性を監視する焼成センサからのデータも受信する。
【0018】
コントローラは、センサデータを管理図限界値と比較して実時間で処理を調整して将来のウエハに対するフィードバック指示を与え、現在のモジュール処理における後続の処理ステップ又は将来の処理に対するフィードフォワード指示を与えることができる。
【0019】
コントローラはまた、センサデータを膜厚、溶媒含有量、屈折率等の膜パラメータに変換し、これらのパラメータを管理図限界値と比較して、処理を調整するか又は現在の処理ステップ又は現在の処理を終了することもできる。
【0020】
コントローラ102は、高度処理制御(APC)システム107及び障害検出分類(FDC)システム109と相容性を有し、これらに接続することができる。APCシステム107及びFDCシステム109は、組み合わされたAPC/FDCシステム108と一体化されていてよい。コントローラ102は、APC/FDCシステム108にデータを提供し、APC/FDCシステム108から処理済みデータ及び命令を受信することができる。APC/FDCシステム108は、製造ライン全体にわたり複数のツールから大量の処理、測定、及びセンサデータを収集し、洗練された統計解析を実行して、コントローラ102からのセンサデータと他の製造設備及び処理からのデータとの統計的に有意な相関を特定することができる。APC/FDCシステム108は、コントローラ102から提供されたデータを含む洗練されたモデルを生成することができ、複数の製造モジュール及び設備に跨って処理パラメータを調整することにより電気機器の性能を最適化することができる。例えば、APC/FDCシステム108は、誘電体膜ストレスとトランジスタ性能との相関を特定してコントローラ102にフィードバック情報を送信し、ストレスを変化させる誘電体膜コーティング処理を調整してトランジスタ性能を向上させることができる。
【0021】
FDCシステム109は、FDC解析の結果を仕様又は既知の良好な履歴データ(ゴールデンデータ)と比較し、処理障害が特定された場合にFDC障害フラグを設定することができる。FDCシステム109は、障害及びサポートデータをAPCシステム107に伝達することができる。APCシステム107は、処理済みデータ及び命令をコントローラ102へ送ることができる。コントローラ102は障害を修正すべくコーティングトラックシステム100での処理を調整する。コントローラ102はまた、将来のウエハで障害の発生を防止する措置を講じることができ、障害を補償して膜を仕様の中央に近づけるべく後続の処理に対し措置を講じることができる。
【0022】
図2に、フォトレジスト等の光活性膜をコーティングするコーティングトラックシステム200のブロック図を示す。コーティングモジュール104でフォトレジストが基板にコーティングされた後で、レジストにパターンを印刷すべく露光モジュール110、及び露光されたレジストを洗い流してフォトレジスト膜のパターン形状を残す現像モジュール114等、複数のモジュールにおいて多くの追加的処理ステップを介して処理される。各処理ステップの後でフォトレジストを焼成することができる。コーティング後、塗布後焼成(PAB)をPABモジュール106で実行して余分な溶媒を除去することができる。露光モジュール110での露光後に、露光後焼成(PEB)をPEBモジュール112で実行して化学的に増幅されたフォトレジストの化学反応を推進することができる。現像モジュール114で現像した後、いくつかの製造処理において、現像後焼成又は硬焼成を実行して、より高い処理温度に耐えられるようにレジストを架橋することができる。誘導自己組織化処理中に溶媒アニール焼成機で溶媒アニール焼成を実行してブロック共重合体を反復パターンに分離することができる。
【0023】
コントローラ102は、設備を監視するセンサからスピンチャックのrpm及び弁又はマスフローコントローラの位置等のデータを受信し、光学センサ等、処理を監視するセンサからも揮発性有機化合物(VOC)濃度、排気流量、温度、及び圧力を受信する。コントローラ102は、センサデータを管理図の仕様又は履歴既知の良好なデータ範囲(ゴールデンレンジ)と比較することができ、実時間で処理を調整することができ、将来のウエハにフィードバック指示を与えることができ、且つ間近な処理に対してフィードフォワード指示を与えることができる。
【0024】
コントローラ102は、高度処理制御(APC)システム107、及び障害検出分類(FDC)システム109に接続されていてよい。APCシステム107及びFDCシステム109は、APC/FDCシステム108に一体化されていてよい。コントローラ102は、データをAPC/FDCシステム108に提供し、処理済みデータ、命令、及び他のフィードバック情報をAPC/FDCシステム108から受信することができる。例えば、APC/FDCシステム108は、フォトレジスト形状のライン縁粗さ(LER)と、PEBステップ温度又は焼成時間との相関を見出すことができる。APC/FDCシステム108はコントローラ102にフィードバック情報を提供してLERを低減すべくPEBレシピを調整することができる。
【0025】
図3はコーティングモジュール104の断面図である。基板124は真空又は静電気によりスピンチャック122上の所定位置に保持される。マスフローコントローラ128は、管130を通って分注ノズル126へ向かう膜溶液の流れを制御する。分注ノズル126は、スピンチャック122の回転に伴い基板124上に膜溶液を分注する。基板124が回転するにつれて、膜溶液は基板124全体にわたり均一に拡散する。余分な膜溶液が基板124の縁から除去されて膜溶液カップ134により回収される。膜201の均一なコーティングが基板124の表面全体にわたり形成される。
【0026】
光学センサ144及び揮発性有機化合物(VOC)センサ146等のセンサをコーティングチャンバ120の天井に取り付けることができ、コーティング処理全体を通じて膜201を監視すべく分注ノズル126の支持アーム148に取り付けることができる。光学センサ144は、エッジビードを除去できる基板124の外縁を含む基板124の表面全体にわたる様々な位置に向けることができる。レーザーからの光は、コーティングチャンバ120の側面からコーティングモジュール104内に投影されて、基板124上の膜201の表面に垂直入射するよう方向転換できる。反射された光をコーティングモジュール104の反対側で集光するか又は別のミラーから膜201を通して再度反射することができる。光学センサ144は、カメラ、分光計、及び/又はレーザーを用いたトランシーバであってよい。VOCセンサ146は、例えばADA fruit MiCS554センサ等のスモールフォームファクタガスセンサであってよい。
【0027】
コントローラ102は、コーティングモジュール104内の光学センサ144からの変化する干渉パターン(
図5)と膜201の変化する厚さとの相関を求めることができる。このデータを用いて、コントローラ102はスピンチャック122のスピン速度を調節して膜201の変化する厚さを制御すること、又は膜201の目標厚さに達したならばスピンチャック122を停止することができる。
【0028】
コーティングモジュール104内の揮発性有機物の濃度はコーティング処理を通じて変化する。コントローラ102はVOCセンサ146からのVOCデータを用いてスピンチャック122のスピン速度を調整してコーティングモジュール104内の揮発性有機物の濃度変化を制御すること、又は目標VOC濃度に達したならばスピンチャック122を停止することができる。
【0029】
コントローラ102はライン152に接続されて膜監視センサ、すなわち光学センサ144、及びVOCセンサ146からデータを受信することができる。コントローラ102はまた、接続されていて、マスフローコントローラ128、エッジビード洗浄マスフローコントローラ138、スピンチャック122、モーター132及び排気弁150等のコーティングモジュール104内の様々な要素の状態に関するデータを受信できる。コントローラ102は、様々な設備要素の状態に関するデータの受信に加え、ポンプのオン及びオフ、マスフローコントローラ128、138の調整による分注率の調整、分注ノズル126の位置調整、モーター132の調整によるスピンチャック122のrpm変更、排気弁150の位置調整等の調整を行うことができる。コントローラ102はまた、一体化された高度処理制御/障害検出分類システム(APC/FDC)108に接続されていてよい。
【0030】
コーティングトラックシステム200のコーティングモジュール104内の光学センサ144からのデータの利用による処理制御を
図4、5のグラフに示す。コーティングチャンバ120内の光学センサ144及びVOCセンサ146等のセンサから収集したデータを用いたコントローラ102によるコーティングモジュール104の処理制御を
図6のフロー図に示す。
【0031】
図4に、膜コーティングレシピにおけるスピンチャック122の回転速度(rpm)対時間のグラフを示す。
図4は
図3のコーティングモジュール104と合わせて説明する。
【0032】
図4のステップ154において、スピンチャック122が低回転速度で回転している間に適量の膜溶液が基板124の中央に分注される。次いでステップ156で基板124の毎分回転数rpmを上げ、当該上げたrpmを維持することで適量を基板124全体にわたり均一に広げる。膜溶液の均一なコーティングが達成されたならば、ステップ158でスピンチャック122の回転速度を精密に制御された仕方で上昇させて余分な膜溶液を基板124の縁から膜溶液カップ134内へ排出することにより膜201の厚さを薄くする。膜201の所定の厚さに達するまでステップ160で高いrpmが維持される。所望の厚さに達したならば、ステップ162でスピンチャック122のrpmを下げ、余分な溶媒を蒸発させる間、ステップ164でより低いrpmに維持する。光学センサ144を用いて、スピンコート処理全体にわたる膜201の厚さ及び膜201の溶媒含有量を測定することができる。VOCセンサ146を用いて、スピンコート処理全体を通じて変化するコーティングモジュール104内の溶媒の濃度を測定することができる。溶媒の濃度の変化は、溶媒含有量等の膜201の特性との相関を求めることができ、更にスピン速度の変化等の処理ステップにおける変化との相関を求めることができる。
【0033】
図5は、レーザーベースのトランシーバ光学センサ144からのセンサデータの例である。膜201の厚さが薄くなるに従い、膜201の下面からの反射光は、膜201の上面からの反射光と建設的及び破壊的に交互に干渉する。その結果生じる時間に対して最大値と最小値が交互に入れ替わるグレースケール強度の干渉パターンを
図5に示す。コントローラ102は、ピーク172間の時間周期又はピーク重心174と、膜201の厚さ及び膜201の厚さの変化率との相関を求めることができる。膜201の厚さの減少が遅くなるに従い、ピーク172とピーク重心174との間隔が増大する。スピンチャック122のスピン速度が変化すれば干渉縞のグレースケール強度が変化し得る。この結果、スピンチャック122のrpmが変化したならば垂直Y軸に沿って干渉縞がずれる場合がある。(
図5の干渉縞のグループ5Aとグループ5Bを比較されたい)。
【0034】
コントローラ102は、屈折率の変化と膜201の溶媒含有量との相関を求めることができ、これにより膜乾燥度を確立することができる。
【0035】
図6に、本出願の一実施形態による、
図1、2に示すようなセンサデータを利用したコーティングトラックシステム100、200内の処理の制御の一例を示す。コントローラ102は、光学センサ144から、揮発性有機化合物(VOC)センサ146から、又は光学センサ144及びVOCセンサ146の両方、並びに他のセンサからセンサデータを収集することができる。光学センサ144は、一実施形態においてVOCセンサ146とは独立に使用できるが、別の実施形態では光学センサ144とVOCセンサ146を併用できることに注意されたい。コントローラ102は、膜201の厚さが変化する速度、及び光学センサ144のデータを用いるスピンコーティング処理中に膜201の溶媒含有量が変化する速度を判定することができる。コーティング処理中に膜201から溶媒が蒸発する速度はVOCセンサ146のデータから判定することができる。スピンコーティング処理中の膜201の溶媒含有量とVOCセンサ146データとの相関を求めることができ、同様に光学センサ144データとの相関も求めることができる。
【0036】
ここで
図6を参照するに、コーティングモジュール104内の基板124上の膜201がスピンコーティング処理の各ステップ実行中に監視される。(ステップ180、
図6)。
【0037】
レーザーベースのトランシーバ光学センサ144からのデータを
図5に示す。コントローラは、光学センサ144のデータを厚さ及び溶媒含有量等の膜201の特性に変換する(ステップ182、
図6)。
【0038】
コントローラ102は、基板124の上方に間隔を置いて配置された複数の光学センサ144からデータを受信し、当該データを、膜厚、屈折率、及び溶媒含有量等の基板全体にわたる膜の均一性特性に変換することができる。コントローラ102は、このデータを履歴的に記憶された既知の良好なデータ(ゴールデンデータ)又は管理図と比較することができ(ステップ184、
図6)、膜201の特性又は膜201の均一性が仕様内又は仕様外かの判定に依存して様々な措置を講じることができる(ステップ186、
図6)。膜201の特性が仕様内であると判定されたことに応答して何の措置も講じない(ステップ188、
図6)。膜201の特性が目標仕様に合致するとの判定に応答して、コントローラ102は処理を終了しても、又は処理を次の処理ステップに進めてもよい。(ステップ190、
図6)。次のステップは、スピン速度の変化等のコーティング処理での次のステップであっても、又は塗布後焼成(PAB)等の後続処理手順におけるレシピへの変更であってよい。
【0039】
膜201の特性が警告状態にあるか又は仕様から外れているとの判定に応答して、実時間で処理を調整して膜201の厚さを仕様の中央に近づけることができる(ステップ192、
図6)。例えば、コーティングモジュール104内でコントローラ102は分注ノズル126の位置、膜分注率、膜コーティングスピン速度、コーティング速度増減率、膜コーティングステップ持続時間、膜コーティング除去時間、周囲条件、及び排気条件を調整することができる。コントローラ102はまた、次の基板124をコーティングする前に膜分注レシピに対しフィードバック調整を行うこともでき(ステップ194、
図6)、現在のコーティング手順におけるエッジビード洗浄処理ステップに対し、又は現在の基板124が塗布後焼成(PAB)モジュール106に転送される前に間近な焼成のレシピに対してフィードフォワード調整を行うことができる(ステップ196、
図6)。
【0040】
光学センサ144は分注の実行中に気泡等の障害条件を検出することができる。分注の実行中に基板124上に気泡が生じた場合、ウエハの回転に伴いコーティング膜の流れが著しく変化し得る。気泡により典型的な信号から顕著な逸脱が生じ、その結果干渉縞における不連続な信号ジャンプ又は信号ノイズの大幅な増大が生じる。分注時の気泡によりコーティングが著しく不均一になる。APC/FDCシステム108又はコントローラ102がそのような基板124を識別したならばコーティング処理は終了して基板124は再生工程に送られる。
【0041】
膜201が基板124上に均一にコーティングされた後で、基板124の縁の外側を数ミリメートル(エッジビード洗浄(EBR)だけ除去して、ウエハがウエハキャリアのスロット又はウエハ操作設備と擦れて処理歩留まりを低下させる恐れのある粒子の生成を防止することができる。
【0042】
図7Aに、膜201を適用した後の基板124の断面図を示す。膜201は基板124の表面を覆い、基板124の縁まで伸長している。
【0043】
図7Bに示すように、EBR分注ノズル136は、基板124の縁の外側数ミリメートルから膜201を洗浄する溶媒の流れを誘導する。この処理は、エッジビード洗浄(EBR)又はエッジビード除去と呼ばれる。膜201が除去された基板124の縁の幅がエッジビード幅202である。
【0044】
EBR後の膜201の側壁204の拡大断面図を
図7Cに示す。露出した側壁204はEBRの影響を受けて、膜201の外周にエッジビード瘤206を形成することができる。EBR内の溶媒流からの物理的な力はエッジビード瘤206の高さを更に増加させることができる。エッジビード瘤206は、基板124の縁近傍の素子パターン及び素子形状を歪ませる結果、回路が機能しなくなって歩留まりが低下するため望ましくない。
【0045】
光学センサ144は、EBR処理全体を通じて、エッジビード瘤位置、エッジビード瘤高さ、及びエッジビード除去幅等のエッジビード瘤206パラメータを監視することができる。コントローラ102は、EBR分注ノズル136の位置及び向き、EBR分注率、EBRステップrpm、EBRスキャンイン率、及びEBR除去時間等のコータデータを、光学センサ144データから導かれたエッジビード幅202、エッジビード瘤206位置及び高さ等のエッジビードパラメータに関連付けることができる。コントローラ102は次いで、EBR分注ノズル136の位置及び角度、並びにEBR分注率、EBRスキャンイン率、EBRステップrpm、及びEBR除去時間に対して調整を行って、除去されたエッジビードのエッジビード幅202を調整すると共に、エッジビード瘤206の側壁204の傾きを調整することができる。
【0046】
図8に、本出願の一実施形態による焼成モジュール800の断面図を示す。これは例えば、コーティングトラックシステム100、200内の塗布後焼成(PAB)モジュール106、又はコーティングトラックシステム200内の露光後焼成(PEB)モジュール112或いは硬焼成モジュール116であり得る。これはまた、誘導自己組織化処理中に使用される溶媒アニール焼成機でもあり得る。
【0047】
コントローラ102は、焼成モジュール800内の光学センサ144からの変化する干渉パターン(
図5)と、膜201の変化する厚さとの相関を求めることができる。焼成モジュール800内での膜201の膜厚の変化はコーティングモジュール104内ほどには大きくない。焼成モジュール800内のレーザートランシーバからの干渉パターン(
図5)は単に数本の干渉縞であっても、又は部分的な縞であってもよい。コントローラ102はこのデータを用いて、温度増減率、焼成温度又は焼成時間を調整して変化する膜厚を制御することができる。コントローラ102は、膜201の目標厚さに達したときに焼成を終了することができる。
【0048】
焼成モジュール800内の揮発性有機化合物の濃度は焼成処理全体を通じて変化する。コントローラ102はVOC濃度データを用いて、温度増減率、焼成温度、及び焼成持続時間を調整して、焼成モジュール800内で変化する揮発性有機化合物の濃度を制御することができる。コントローラ102は、目標VOC濃度に達したならば焼成処理を終了させることができる。
【0049】
膜201を有する基板124は焼成モジュール800内の焼成プレート212上に置かれる。焼成プレート212は、第1のゾーン214及び第2のゾーン216等、多数のヒータゾーンを有することができ、それらの温度は独立に制御することができる。基板124及び膜201は、PABのように溶媒を除去すべく加熱すること、PEBのように化学増幅反応を推進すべく加熱すること、又は硬焼成のように架橋反応を推進すべく加熱することができる。焼成処理は、光学センサ144又は揮発性有機化合物(VOC)センサ146等のセンサを用いて実時間で監視することができる。
【0050】
コントローラ102は、光学センサ144及び/又は揮発性有機化合物(VOC)センサ146、並びに周囲温度センサ、周囲圧力センサ、及び周囲ガス流センサ等の他のセンサ142からセンサデータを収集することができる。コントローラ102はまた、ライン152に接続されて、バルク設備排気圧力226、排気弁224の位置、焼成プレート212、第1及び第2のゾーン214、216の温度、周囲吸気218用のガス弁220の位置等、様々な焼成モジュール要素の状態に関するデータを受信することができる。コントローラ102は、膜監視センサから受信したデータに基づいてこれら様々な焼成モジュール800の要素からデータを受信すること、及びこれら様々な焼成モジュール800の要素を調整することができる。コントローラ102は、一体化された高度処理制御/障害検出分類システム(APC/FDC)108に接続されていてよい。
【0051】
コントローラ102が高度処理制御(APC)/障害検出修正(FDC)システム(APC/FDCシステム108)と通信する焼成モジュール800における焼成処理の処理制御を
図9、10のグラフに示す。
図11のフロー図は、センサデータ及び本発明の複数の実施形態によるAPC/FDCシステム108と通信するコントローラ102を用いるコーティングトラックシステム200における処理の制御を示す。揮発性有機化合物(VOC)センサ146からのセンサデータが図解のため用いられているが、厚さ及び屈折率データ等の光学センサ144データも同様に用いられてよい。また、焼成モジュール800内の光学センサ144とVOCセンサ146の両方からのデータを用いて焼成モジュール800内の焼成処理を制御することができる。
【0052】
図9は、焼成モジュール800における基板124温度センサデータ対時間のセンサ温度トレース230を示すグラフである。FDCシステム109のソフトウェアは、センサ温度トレース230をセグメント化して各セグメントにFDC変数を割り当てることができる。これらのFDC変数を追跡して他のウエハから収集したFDC変数データと比較して管理図にプロットすることができる。例えば、第1及び第2のセグメント232、234は、基板124が目標焼成温度まで上昇するのに従い、焼成処理の開始時点における基板124の温度上昇及び温度安定化を監視する。第1のセグメント232に対して、FDCソフトウェアは開始温度、終了温度、温度増減率、及び温度増減時間等のFDC変数を割り当てることができる。目標膜特性が達成されるまで膜を焼成する第3のセグメント236に対して、FDCソフトウェアは開始温度、終了温度、最高温度、平均温度、最低温度、及び焼成時間等のFDC変数を割り当て及び監視することができる。
【0053】
膜焼成処理中、コントローラ102はVOCセンサ146からデータを収集(ステップ250、
図11)してFDCシステム109に伝達する。FDCソフトウェアは、
図10に模式的に示すように、VOCセンサデータ対時間のグラフ240(トレース)を用意する(ステップ252、
図11)。FDCソフトウェアは次いでVOCデータのグラフ(トレース)240をセグメント化して各セグメントにFDC変数を割り当てる(ステップ254、
図11)。基板124の温度が急激に上昇する間(第1及び第2のセグメント232、234(
図9))、揮発性有機化合物(VOC)センサ146が測定する揮発性有機化合物濃度はVOC FDCセグメント242、246(
図10)に示すように急激に上昇する。VOCセグメント242、244の各々のFDC変数は、最小濃度、最大濃度、平均濃度、最大濃度変化率、及びセグメント時間等のFDC変数であってよい。基板124が第3のセグメント236(
図9)内の温度で焼成されている間、揮発性有機化合物濃度はFDCセグメント246(
図10)でピークに達した後で低下する。開始濃度、ピーク濃度、最大濃度変化率、終了濃度、及びセグメント持続時間等のVOC FDC変数をVOC FDCセグメント246に割り当てることができる。開始濃度、濃度低下率、終了濃度、低下持続時間等のVOC FDC変数は、VOC濃度が急激に低下するVOC FDCセグメント248に割り当てることができる。
【0054】
FDCソフトウェアは、コントローラ102から受信したFDCウエハ温度変数データに基づいて、基板124焼成処理全体を通じてFDC VOC濃度変数値を予測するモデルを形成することができる。各VOC FDCセグメントについて、ウエハ温度データを用いてFDC VOC変数値を予測することができる。FDC VOC変数の実際のFDC VOCセンサデータを、予測FDC VOC変数値又は履歴既知の良好な「ゴールデン」VOCセンサデータと比較してFDC障害フラグを立てる必要があるか否かを判定することができる。
【0055】
FDC変数が警告状態にあるか、又は仕様から外れているとの判定に応答して(ステップ258、
図11)、FDCシステム109はFDC障害フラグを立ててAPCシステム107に伝達する(ステップ260、
図11)。APCシステム107は次いで処理済みデータ及び/又は命令をコントローラ102に伝達し、コントローラ102は次いで実時間で処理を調整してFDC変数を仕様又は処理ウィンドウの中央に近づける(ステップ262、
図11)。例えば、コントローラ102は、焼成温度、焼成温度増減率、焼成時間、基板ホルダーゾーンの温度を調整すること、及び周囲ガス流及び周囲排気流等の周囲条件を調整することができる。コントローラ102はまた、次の基板124を焼成する前に焼成レシピにフィードバック調整を行うこと(ステップ266、
図11)、及び現在のレシピにおける間近なステップ又は現在の基板124に対する将来の処理ステップにおけるレシピにフィードフォワード調整を行うことができる(ステップ268、
図11)。
【0056】
一実施形態において、FDC障害フラグが立つ原因である逸脱は、所定のパラメータ、例えば、予測センサデータ又は履歴ゴールデンVOCセンサデータからのパーセント単位の逸脱であってよい。この所定パーセントの逸脱は一実施形態において10%であってよいが、他の実施形態では1%~20%の異なるパーセント逸脱を用いてよい。
【0057】
FDC変数が仕様内にあるとの判定に応答して、FDC障害フラグ又はセンサデータはAPCシステム107に伝達されない(ステップ268、
図11)。この場合、一つの選択肢は何の措置も講じないことである(ステップ272、
図11)。
【0058】
FDC変数が目標値に達したならば、FDC障害フラグはAPCシステム107へ送信されない(ステップ268、
図11)。この場合、コントローラ102は現在の処理ステップを終了して処理を次の処理ステップに進めることができる(ステップ270、
図11)。次の処理ステップはクールダウンステップ等の焼成処理における次のステップであっても、又は次のステップは基板124をレジスト現像モジュール114に進めるものであってよい。
【0059】
コントローラ102がAPC/FDCシステム108と通信しているコーティングトラックシステム200における膜201の監視及び制御について焼成処理を参照しながら記述する。FDCシステム109を用いてコーティングトラックシステム200で実行されている全ての処理を監視することができ、不均一なコーティング、レジスト内の気泡、ウェッジウエハ等の障害が検出されたならばFDC障害フラグを立てることができる。
【0060】
コントローラ102はまた、光学センサ144から直接、及び揮発性有機化合物(VOC)センサ146から直接データストリームを受信することができ、コントローラソフトウェアは光学センサデータの変化とVOCセンサデータの変化との相関を求めることができる。例えば、コントローラ102は光学センサデータから膜201の厚さの急激な変化又は膜201内での溶媒の急激な変化と、VOCセンサデータの変化との相関を求めることができる。
【0061】
誘導自己組織化(DSA)は、現世代のリソグラフィツールを用いて次世代のサブリソグラフィ形状を形成できる処理である。この処理は、精密な制御を要する熱アニーリング処理中に反復パターンに自己組織化するブロック共重合体の使用を含む。DSAアニール及び溶媒DSAアニールの精密な制御は記述する複数の実施形態に示されている。溶媒アニールは、溶媒アニール焼成用に特別に設計された溶媒アニール焼成機で実行可能であり、いくつかの実施形態における焼成モジュール800と同様であってよい。
【0062】
図12A~12Eに、サブリソグラフィパターンを形成するグラフォエピタキシ誘導自己組織化(DSA)パターニング処理を示す。
図13A~13Hに、サブリソグラフィパターンのケミオエピタキシDSAパターニング処理を示す。DSAパターニング処理により、193nmリソグラフィを用いて20nm以下のライン及び空間形状のパターンを形成することができる。DSAコーティング法は、PS-b-PMMA(ポリ(スチレン-ブロック-メチルメタクリレート))等、2個の互いに反発し合うブロック共重合体(BCP)の混合物を利用する。
【0063】
要するに、
図12A~12Eに示すように、グラフォエピタキシDSA処理において、基板124上に形成されたプレパターン形状282は、注意深く制御された溶媒アニール焼成条件下で別々のBCP領域の規則的なパターンに分離するようにBCP284を拘束する。プレパターン形状282は、BCP284を拘束することにより、ライン及び空間を形成、接触孔を形成、又は等間隔で配置された任意のサブリソグラフィ特徴を形成できる。BCP284内の共重合体の分子量を加工して所望の形状のDSAのサイズ及び間隔を生成することができる。
【0064】
図13A~13Hに示すケミオエピタキシDSA処理において、BCP成分の一つと相容性を有するテンプレート表面形状/エネルギーが基板124上に形成される。
【0065】
頻繁に、自己組織化サブリソグラフィパターンは、基板上にBCP284がスピンコートされた後で良好に形成されていない障害及び領域を有する。可能ならば、ガラス転移温度を超えるまでBCP284を加熱して障害をアニール除去し、ブロック共重合体領域、例えば第1の共重合体286及び第2の共重合体288を所望のサブリソグラフィ形状に分離する。頻繁に、BCP284はガラス転移温度に達する前に熱劣化する。代替的な方法は、溶媒アニール焼成機内でBCP284膜の上方に溶媒蒸気を導入するものである。溶媒はBCP284膜に吸収されて膜を膨張させる。これによりBCP領域の移動度が向上する。溶媒アニール焼成を用いることで障害をアニール除去して、領域形状をBCP284が劣化する温度よりもかなり低い温度に固定することができる。溶媒アニール焼成の終了点で、なるべく早く溶媒を除去してサブリソグラフィ形状を所定位置に固定することが望ましい。いくつかのBCPでは、DSAパターンから全ての障害を除去し、且つ全ての凹凸を取り除くために溶媒アニール焼成処理を複数回繰り返す必要がある。これは、極めて注意深く制御された溶媒アニール焼成手順を必要とし、これは本出願の複数の実施形態により可能になる。
【0066】
溶媒アニール焼成中の膨張によるBCP284の厚さの増加は、レーザートランシーバ等の光学センサ144を用いて監視することができる。コントローラ102は光学センサデータを利用して溶媒アニール焼成処理を制御することができる。
【0067】
代替的に、VOCセンサ146が、溶媒アニール焼成処理全体を通じて溶媒アニール焼成機内の溶媒の濃度を監視することができる。コントローラ102はVOCデータを利用して溶媒アニーリング処理を制御することができる。コントローラ102は、溶媒アニール焼成処理をより精密に制御すべく、溶媒アニール焼成機内の光学センサ144及びVOCセンサ146の両方からのセンサデータを用いることができる。
【0068】
図12Aに、基板124上に等間隔で配置されたプレパターン形状282を示す。これらのプレパターン形状282は193nmリソグラフィを用いて形成されていてよい。基板124はシリコン基板であっても、又は二酸化シリコン或いは金属等、他の材料であってもよい。グラフォエピタキシ処理において、基板124は、BCP284内で両方のブロック共重合体成分、すなわち第1の共重合体286及び第2の共重合体288に対して中性である。基板124はいずれのブロック共重合体成分も優先的に引き付け又は反発しない。等間隔で配置されたプレパターン形状282は、後続のBCPエッチング中及び後続の基板124エッチング中は基板124をマスクする。
【0069】
図12Bにおいて、基板124及びプレパターン形状282はBCP284の溶液でコーティングされている。BCP284の溶液はコーティングトラックシステム200を用いて基板124に分注することができる。
【0070】
図12Cに、BCP284中の非相容性の共重合体、すなわち第1の共重合体286及び第2の共重合体288を別々のブロック共重合体領域に分離させるべく精密に制御されたアニール焼成を実行した後のBCP層を示す。光学センサ144及び/又はVOCセンサ146を用いてアニール焼成処理を監視及び制御することができる。ブロック共重合体の自己組織化の推進に必要なアニール温度が高過ぎる場合、溶媒アニール焼成又は複数の溶媒アニール焼成を行うことができる。
【0071】
この説明目的の例において、一方の共重合体、すなわち第1の共重合体286は、他方の共重合体、すなわち第2の共重合体288の基材内で、等間隔で配置された同一サイズのシリンダ285に分離する。シリンダ285のサイズ及び間隔は、BCP284内のブロック共重合体、すなわち第1の共重合体286及び第2の共重合体288の分子量と、等間隔で配置されたプレパターン形状282のサイズ及び間隔とにより判定することができる。光学センサ144を用いて、非相溶ブロック共重合体、すなわち第1の共重合体286と第2の共重合体288が分離するアニーリング処理全体を通じてBCP284の状態を監視することができる。コーティングトラックシステム200のコントローラ102は、必要に応じて溶媒アニール焼成処理を実時間で調整すること、又は次の基板124に対してフィードバック指示又は将来の処理ステップに対してフィードフォワード指示を与えることができる。
【0072】
図12Dにおいて、第2の共重合体288の基材が異方的にエッチングされて下地の基板124を露出させる。シリンダ285を形成する第1の共重合体286は、自身と基板124との間で第2の共重合体288のエッチングマスクの役割を果たす。このグラフォエピタキシ処理により、サイズが等しいラインと空間のサブリソグラフィパターンが形成される。
【0073】
図12Eに、エッチング後の基板124を、等間隔に配置されたプレパターン形状282及びシリンダ285と共にエッチングマスクとして示す。プレパターン形状282及びシリンダ285は次いで除去される。
【0074】
図13A~
図13Fに、例示的なケミオエピタキシDSA処理を示す。ケミオエピタキシ処理において、中性層290の空間292に露出したブロック共重合体(BCP)相容層295は、ブロック共重合体成分の一方、例えば第2の共重合体288を引き付け、他方、例えば第1の共重合体286を反発する。
【0075】
図13Aにおいて、BCP284内の第2の共重合体288と相溶性のあるBCP相容層295が基板124上に堆積される。基板124はシリコン基板であっても、又は他の基板、例えば絶縁体上のシリコン、ガラス上のシリコン、ガリウムヒ素、リン化インジウム、二酸化ケイ素又は金属であってもよい。BCP相容層295は、親水性ブロック共重合体成分を反発する疎水性層であっても、又は親水性ブロック共重合体成分を引き付ける親水性層であってもよい。
【0076】
図13Bにおいて、フォトレジストのプレパターン形状282がBCP相容層295上に形成されている。
【0077】
図13Cにおいて、中性層290がプレパターン形状282の最上部、及びプレパターン形状282同士の開口部に露出したBCP相容層295の最上部に堆積されている。プレパターン形状282の側壁には中性層290は殆ど又は全く堆積されない。これは原子層堆積(ALD)又はガスクラスターイオンビーム(GCIB)堆積を用いて実現できる。側壁上の中性層290は殆ど又は全くリフトオフ処理を促進しない。中性層290はBCP284内の両方のブロック共重合体成分、すなわち第1の共重合体286及び第2の共重合体288と相溶するように選択される。中性層290はいずれのBCP成分、すなわち第1の共重合体286及び第2の共重合体288も優先的に引き付け又は反発しない。
【0078】
図13Dにおいて、プレパターン形状282はリフトオフ処理を用いて溶解される。これにより空間292(中性層290の開口部)内のBCP相容層295の表面を露出する。
【0079】
図13Eにおいて、空間292内に露出した中性層290及びBCP相容層295は、BCP284溶液によりコーティングされる。BCP284溶液は、上述のコーティングトラックシステム200等のコーティングトラックシステムを用いて基板124上に分注することができる。BCP284溶液内の一方のブロック共重合体成分、例えば第2の共重合体288が中性層290内の空間292内で露出したBCP相容層295に引き付けられ、他方のブロック共重合体成分、例えば第1の共重合体286は反発される。
【0080】
図13Fに、精密に制御された溶媒アニール焼成が例えば溶媒アニール焼成機内で実行された後のBCP284層を示す。いくつかのBCPでは複数の溶媒アニール焼成を必要とする場合がある。溶媒アニール焼成中、相溶性BCP成分、例えば第2の共重合体288が中性層290の空間292内で露出したBCP相容層295に引き付けられる。空間292に出現する第2の共重合体288の形状283は下地のBCP相容層295にピン留めされる。ピン留めされた第2の共重合体288は、二つの不相容なBCP成分、すなわち第1の共重合体286及び第2の共重合体288を拘束して、露出した中性層290を覆う別々のBCP領域の規則的なパターンに分離する。
【0081】
図13Gに、第2の共重合体288を除去するエッチング処理の後で残った第1の共重合体を示す。このエッチング処理はまた、下地の中性層290を貫通し、BCP相容層295を貫通してエッチングしてから下地の基板124で停止してよい。このエッチング処理は、パターンを下地の基板124にエッチングするハードマスク287として使用可能な第1の共重合体286をエッチング又は除去しない。
【0082】
図13Hに、ハードマスク287により基板124をパターニングし、次いで残ったハードマスク287があれば中性層290及びBCP相容層295等の下地層と共に除去した後で加工される素子を示す。DSAコーティング処理全体を通じて、且つDSA溶媒アニール焼成中にDSA処理を精密に制御することはケミオエピタキシDSA処理にとり極めて重要である。
【0083】
実施形態の方法は、コーティングトラックシステム100、200内のコントローラが、光学センサ144及び揮発性有機化合物センサ146等の膜処理監視センサからデータを収集し、当該データを用いて、コーティング及び焼成処理全体を通じて、特にDSAコーティング及びDSA溶媒アニール焼成処理の実行中にコーティングトラックシステム100、200の様々な態様を制御することを記述している。
【0084】
本発明の例示的な複数の実施形態をここで要約する。他の複数の実施形態もまた本明細書の全体及び本明細書に収めた特許請求の範囲から理解できよう。
【0085】
例1.複数の基板を処理する方法は、基板をコーティングトラックに装填することと、当該基板をコーティングトラックのモジュール内へ移動させることと、当該基板を覆って形成された膜を修正する処理を実行することと、コントローラ側で光学センサから光学センサデータを取得することとを含む。光学センサデータは、膜の特性の測定値を含む。本方法は、膜の特性に基づいて乾燥度を判定することと、判定された乾燥度に基づいて当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【0086】
例2.例1の方法において、処理パラメータを調整することが、後続の基板を処理すべく処理パラメータを調整するフィードバック信号を提供することと、処理の終了点を判定して処理を終了することと、基板に対する後続の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供することと、現在の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供することとを含む。
【0087】
例3.例1又は2のいずれか一つの方法において、モジュールがコーティングモジュール、焼成モジュール、又は溶媒アニール焼成機を含む。
【0088】
例4.例1~3のいずれか一つの方法において、当該処理を実行することが、誘導自己組織化(DSA)コーティング処理を実行することを含み、当該処理の処理パラメータを調整することが溶媒飽和時間、溶媒飽和温度、溶媒飽和濃度、溶媒排出開始時点、溶媒排出率、溶媒排出持続時間、DSA排気条件、DSA処理スピン速度、周囲ガス流、溶媒排出温度、DSAアニール温度、DSAアニール時間、又はDSA処理条件を調整することを含む。
【0089】
例5.例1~4のいずれか一つの方法において、コントローラが光学センサデータを障害検出補正(FDC)システムへ送信し、FDCシステムから返送された処理済み光学センサデータを受信する。
【0090】
例6.例1~5のいずれか一つの方法において、光学センサがレーザートランシーバであり、光学センサデータが一列の干渉縞であり、コントローラ側で光学センサデータを膜の特性に変換することを更に含む。
【0091】
例7.例1~6のいずれか一つの方法において、乾燥度を判定することが、光学センサデータに基づいて膜内の成分の蒸発率を判定することを含む。
【0092】
例8.例1~7のいずれか一つの方法において、光学センサが、基板の上方に間隔を空けて配置された複数の光学センサを含み、光学センサデータを取得することが、複数の光学センサから光学センサデータを受信することを含み、本方法が更に、光学センサデータを基板全体にわたる膜特性の均一性に変換することを含む。
【0093】
例9.複数のウエハを処理する方法は、揮発性有機化合物(VOC)センサを備えたモジュール内に基板を装填することと、モジュール内で基板を処理して基板を覆って形成された膜を修正することと、処理中にVOCセンサからVOCセンサデータを取得することと、VOCセンサデータに基づいてコントローラ側で当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【0094】
例10.例9の方法において、処理パラメータを調整することが、後続の基板を処理すべく処理パラメータを調整するフィードバック信号を提供すること、処理の終了点を判定して処理を終了すること、基板に対する後続の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供すること、又は現在の処理のためのレシピを調整するフィードフォワード信号を提供することを含む。
【0095】
例11.例9又は10のいずれか一つの方法において、処理中に光学センサから光学センサデータを取得することを更に含み、光学センサはモジュール内に配置されていて、処理パラメータを調整することが光学センサデータに基づいて処理パラメータを調整することを含む。
【0096】
例12.例9~11のいずれか一つの方法において、光学センサデータとVOCセンサデータとの相関を求めること、及びコントローラ側でVOCセンサデータから取得される揮発性有機物の濃度と光学センサデータから取得される膜の特性との第1の相関を求めること、又は揮発性有機物の濃度の変化と膜の特性の変化との第2の相関を求めること、又は揮発性有機物の濃度の変化と処理における処理ステップの持続時間との第3の相関を求めることを更に含む。
【0097】
例13.例9~12のいずれか一つの方法において、当該処理の処理パラメータを調整することが、VOCセンサデータを処理中のモジュール内の周囲条件又は膜の特性に変換することと、周囲条件又は膜の特性に基づいて処理パラメータを調整することとを含む。
【0098】
例14.例9~13のいずれか一つの方法において、モジュールがコーティングモジュールを含み、処理パラメータを調整することがコーティングモジュールのコーティング処理パラメータを調整することを含む、又はモジュールが焼成モジュールを含み、且つ処理パラメータを調整することが焼成モジュールの焼成処理パラメータを調整することを含む。
【0099】
例15.例9~14のいずれか一つの方法において、基板を処理することがスピンコーティング処理を実行することを含む。
【0100】
例16.例9~15のいずれか一つの方法において、コントローラ側でVOCセンサデータを保存されたゴールデンセンサデータ又は保存された終了点閾値と比較することを更に含み、当該処理の処理パラメータを調整することは、保存されたゴールデンセンサデータとVOCセンサデータの差が所定値を超えたとの判定に応答して処理を調整すること、又はVOCセンサデータが保存された終了点閾値を超えたとの判定に応答して処理を終了することを含む。
【0101】
例17.複数のウエハを処理する方法は、エッジビードセンサを備えたモジュールに基板を装填することと、モジュール内で基板を処理して基板を覆って形成された膜を修正することとを含む。膜は基板の縁にエッジビードを含む。本方法は更に、処理中にエッジビードセンサからエッジビードセンサデータを取得することと、エッジビードセンサデータに基づいてコントローラ側で当該処理の処理パラメータを調整することとを含む。
【0102】
例18.例17の方法において、エッジビードセンサが光学センサを含む。
【0103】
例19.例17又は18のいずれか一つの方法において、当該処理の処理パラメータを調整することが、後続の基板に対する当該処理の処理パラメータを調整することを含む。
【0104】
例20.例17~19のいずれか一つの方法において、当該処理の処理パラメータを調整することが、処理により除去される膜の部分の幅、エッジビード瘤の幅、エッジビード瘤の高さ、又はエッジビード瘤の傾斜を調整することを含む。
【0105】
本発明について例示的な実施形態を参照しながら記述してきたが、この記述は限定的な意味で解釈されることを意図していない。当業者には、例示的な実施形態及び本発明の他の実施形態の様々な修正及び組み合わせが、本明細書を参照すれば明らかであろう。従って、添付の請求項がそのような修正又は実施形態を包含することを意図している。
【国際調査報告】