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特表2024-507956試料優先度を管理する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-21
(54)【発明の名称】試料優先度を管理する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20240214BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20240214BHJP
【FI】
G16H10/40
G16H50/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023552061
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022054768
(87)【国際公開番号】W WO2022180204
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】21159589.7
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501196013
【氏名又は名称】エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN LA ROCHE AG
【住所又は居所原語表記】GRENZACHERSTRASSE 124, CH‐4070 BASEL, SWITZERLAND
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】ローバート,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ザクセ,リタ
(72)【発明者】
【氏名】アルドーフ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ラップ,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツォグ,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】八木 賢一
(72)【発明者】
【氏名】千田 悟
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA04
(57)【要約】
本方法は、試料に関連して受信された試料処理命令(10)に関連する、ホストシステム(200)と少なくとも1つの試料処理装置(100)との間の通信メッセージ(20)を生成することであって、メッセージ(20)が、受信された試料処理命令(10)にしたがってより低い優先度からより高い優先度までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子(R、S)のうちの1つを含む、通信メッセージ(20)を生成することを含む。本方法は、メッセージ(20)内の試料処理優先度(S、R)にしたがって、少なくとも1つの試料処理装置(100)によって試料を識別し(30)、少なくとも1つの試料処理装置(100)によって試料(31、32)を処理することをさらに含む。メッセージ(20)の送信後且つ試料が処理される前に、試料についての試料処理優先度のより低い優先度からより高い優先度への変更(40)を求める後続の要求を受信した場合、方法は、メッセージ(20)を変更すること(50)と、試料をより低い優先度の試料(32)としてではなくより高い優先度の試料(31)として処理することと、を含み、メッセージ(20)を変更することが、試料および試料処理命令をホストシステム(200)および少なくとも1つの試料処理装置(100)の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能に維持するために、より低い優先度の識別子(R)を、優先度の変更を示すが同等のより高い優先度の識別子(S)とは異なる識別子(CS)に変更することを含む。試料処理優先度を管理するためのそれぞれのシステムも本明細書に開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストシステム(200)に接続された少なくとも1つの試料処理装置(100)を備える診断検査室において試料処理優先度を管理するコンピュータ実装方法であって、
試料に関連して受信された試料処理命令(10)に関連する、前記ホストシステム(200)と前記少なくとも1つの試料処理装置(100)との間の通信メッセージ(20)を生成することであって、前記メッセージ(20)が、前記受信された試料処理命令(10)にしたがってより低い優先度からより高い優先度までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子(R、S)のうちの1つを含む、通信メッセージ(20)を生成することと、
前記メッセージ(20)内の前記試料処理優先度(S、R)にしたがって、前記少なくとも1つの試料処理装置(100)によって前記試料を識別し(30)、前記少なくとも1つの試料処理装置(100)によって前記試料(31、32)を処理することと、
を含み、
前記メッセージ(20)の送信後且つ前記試料が処理される前に、前記試料についての試料処理優先度のより低い優先度からより高い優先度への変更(40)を求める後続の要求を受信した場合、前記方法が、前記メッセージ(20)を変更すること(50)と、前記試料をより低い優先度の試料(32)としてではなくより高い優先度の試料(31)として処理することと、を含み、前記メッセージ(20)を変更することが、前記試料および前記試料処理命令を前記ホストシステム(200)および前記少なくとも1つの試料処理装置(100)の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能に維持するために、より低い優先度の識別子(R)を、優先度の変更を示すが同等のより高い優先度の識別子(S)とは異なる識別子(CS)に変更することを含む、ことを特徴とする、
方法。
【請求項2】
前記ホストシステム(200)が、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メッセージ(20)が、国際健康水準(HL7)または急速健康管理資源(FHIR)フォーマットのものである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記メッセージを変更することが、より高い優先度で処理される試料(401)または試料キャリアを選択するオプションと、前記選択された試料または試料キャリアに対する優先度変更コマンド(402)を選択するオプションとを有するユーザインターフェース(400)を提供することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
試料のならびに/または試料処理命令および/もしくは試料処理結果のリスト(404)において区別可能であるように優先度を変更した後に、前記選択された試料ならびに/または前記選択された試料に関連する試料処理命令および/もしくは試料処理結果を前記ユーザインターフェース(400)において強調表示またはマーキングすること(403)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
試料処理優先度の変更(40)がルーチン試料についてのみ許可されることにより、試料キャリアのタイプにかかわらず、より低い優先度を有するルーチン試料からより高い優先度を有する短検査所要時間(STAT)試料への変更がもたらされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ホストシステム(200)に接続された少なくとも1つの試料処理装置(100)を備える診断検査室において試料処理優先度を管理するためのシステム(300)であって、前記ホストシステム(200)が、試料に関連して受信された試料処理命令(10)に関連する、前記ホストシステムと前記少なくとも1つの試料処理装置(100)との間のメッセージ(20)を生成するように構成され、前記メッセージ(20)が、前記受信された試料処理命令(10)にしたがってより低い優先度からより高い優先度までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子(R、S)のうちの1つを含み、前記少なくとも1つの試料処理装置(100)が、前記メッセージ(20)内の前記試料処理優先度(S、R)にしたがって前記試料を識別して前記試料(31、32)を処理するように構成され(140)、前記システム(300)が、前記メッセージ(20)の送信後且つ前記試料が処理される前に、前記試料についての試料処理優先度のより低い優先度からより高い優先度への変更(40)を求める後続の要求を受信するようにさらに構成され、前記方法が、前記メッセージ(20)を変更すること(50)と、前記試料をより低い優先度の試料(32)としてではなくより高い優先度の試料(31)として処理することと、を含み、前記メッセージ(20)を変更することが、前記試料および前記試料処理命令を前記ホストシステム(200)および前記少なくとも1つの試料処理装置(100)の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能に維持するために、より低い優先度の識別子(R)を、優先度の変更を示すが同等のより高い優先度の識別子(S)とは異なる識別子(CS)に変更することを含む、システム。
【請求項8】
前記ホストシステム(200)が、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)を含む、請求項7に記載のシステム(300)。
【請求項9】
前記メッセージ(20)が、国際健康水準(HL7)または急速健康管理資源(FHIR)フォーマットのものである、請求項7または8に記載のシステム(300)。
【請求項10】
マルチマルチ(審査請求時補正要)
より高い優先度で処理される試料(401)または試料キャリアを選択するオプションと、前記選択された試料または試料キャリアに対する優先度変更コマンド(402)を選択するオプションとを有するユーザインターフェース(400)を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム(300)。
【請求項11】
前記ユーザインターフェース(400)が、試料のならびに/または試料処理命令および/もしくは試料処理結果のリスト(404)において区別可能であるように優先度を変更した後に、前記選択された試料および/または前記選択された試料に関連する試料処理命令および/もしくは試料処理結果を前記ユーザインターフェース(400)において強調表示またはマーキングする(403)ように構成されている、請求項10に記載のシステム(300)。
【請求項12】
前記システム(300)が、ルーチン試料についてのみ、試料処理優先度の変更(40)を可能にするように構成されていることにより、試料キャリアのタイプにかかわらず、より低い優先度を有するルーチン試料からより高い優先度を有する短検査所要時間(STAT)試料への変更がもたらされる、請求項7から11のいずれか一項に記載のシステム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断検査室における試料処理優先度を管理するためのコンピュータ実装方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
診断検査室、特に臨床検査室では、患者の医学的症状に関する情報を取得するために、患者試料に関する多数の分析試験が自動試料処理装置によって日常的に実行される。集中治療中の一部の患者にとって、そのような情報を可能な限り迅速に取得することは非常に重要であり、場合によっては生命に関わる重要性がある。少なくともより大きな検査室および/または介護機関のために、医師によって指示された分析試験は、典型的には、診断検査室および検査試料処理装置と通信する検査情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)などのホストシステムに集中的に登録される。試料の識別(ID)および処理に関連する全てのデータがホストシステム内に試料ごとに登録され、各試料が追跡され得るように標的試料処理装置に伝達され得、したがって、正しい順序の試料処理ワークフローまたは試験が実行され得、試料処理結果は、各試料、したがって試料が由来する患者に一意に関連付けられ得る。
【0003】
現在の実施によれば、緊急の処理を必要とする試料、それぞれ試料処理命令は、緊急または短検査所要時間(STAT)試料としてマークされる。STAT試料および関連するSTAT試料処理命令には、ルーチン試料および関連するルーチン試料処理命令に対してより高い試料処理優先度が与えられる。試料処理優先度は、通常、通常は試料タイプ、試料とともに行われる分析試験のリスト、および他の試料処理命令などの他のデータとともに試料IDに関連付けられた登録データの一部である。
【0004】
まだ試料処理が開始されていない時点で、既にルーチン試料として登録されている試料についての試料処理優先度を、ルーチン試料からSTAT試料に変更する必要がある場合がある。このケースは、例えば、患者の症状が突然悪化し、試料処理結果を早期に取得することが重要になった場合、または最初に予想されたよりも早期に試料処理結果を取得することが患者管理または他の何らかの理由で重要な役割を果たす可能性があるため、または単に初期の試料処理優先度が誤って割り当てられたか、もしくは試料の緊急性が誤って決定されたために発生し得る。
【0005】
しかしながら、例えばホストと試料処理装置との間の不一致を引き起こす、または2つの異なる試料間の混乱を引き起こすなど、一意の試料識別および追跡可能性に関する競合および問題が発生する可能性があるため、変更前のそれぞれの試料識別情報に関連付けられた唯一の違いが例えば試料処理優先度であった場合、登録後に試料処理優先度を変更することは通常不可能であるかまたは許可されない。
【発明の概要】
【0006】
上記の背景を考慮して、本明細書では、試料が処理される前に、試料処理の初期要求およびより低い試料処理優先度を有する初期試料登録に続いて、試料処理優先度をより低い優先度からより高い優先度に変更し、したがって、試料を一意に識別可能且つ追跡可能に維持しながら、より高い優先度の試料として試料を処理することを可能にする、診断検査室において試料処理優先度を管理するためのコンピュータ実装方法およびシステムが開示される。他の利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0007】
特に、ホストシステムに接続された少なくとも1つの試料処理装置を備える診断検査室において試料処理優先度を管理するコンピュータ実装方法が開示される。本方法は、試料に関連して受信された試料処理命令に関連するホストシステムと少なくとも1つの試料処理装置との間の通信メッセージを生成することであって、メッセージが、受信された試料処理命令にしたがってより低い優先度からより高い優先度までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子のうちの1つを含む、生成することを含む。本方法は、メッセージ内の試料処理優先度にしたがって、少なくとも1つの試料処理装置によって試料を識別し、少なくとも1つの試料処理装置によって試料を処理することをさらに含む。メッセージの送信後且つ試料が処理される前に、試料についての試料処理優先度のより低い優先度からより高い優先度への変更を求める後続の要求を受信した場合、方法は、メッセージを変更することと、試料をより低い優先度の試料としてではなくより高い優先度の試料として処理することと、を含み、メッセージを変更することが、試料および試料処理命令をホストシステムおよび少なくとも1つの試料処理装置の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能に維持するために、より低い優先度の識別子を、優先度の変更を示すが同等のより高い優先度の識別子とは異なる識別子に変更することを含む。
【0008】
「試料処理装置」は、体外診断のために試料処理命令を実行するように構成されたより大きな接続されたシステム内のスタンドアロン装置またはモジュールのいずれかとしての任意の検査室装置とすることができる。「試料処理」とは、診断目的のための試料の検出、例えば定性的および/または定量的評価、および/または検出前の試料の調製、または検出後の試料の保存および/または廃棄のいずれかを意味する。特に、検査室装置は、分析および/または分析前および/または分析後の試料処理ステップに関連し得る。試料処理装置は、互いに接続されていてもよく、少なくとも部分的に互いに依存していてもよく、例えば、それぞれが試料処理ワークフローの専用タスクを実行し、これは次の試料処理装置に進む前の前提条件であり得る。あるいは、試料処理装置は、互いに独立して動作してもよく、例えば、それぞれが別個のタスク、例えば、同じ試料または異なる試料に対する異なるタイプの分析を実行する。
【0009】
「分析試料処理装置」は、例えば、診断目的のための試料の定性的および/または定量的評価のための試料処理装置である。これは、検出システムを備えてもよく、特定のタイプの分析のために最適化されたワークフローを実行するように構成されてもよい。そのような分析試料処理装置の例は、典型的には試料を試薬によって処理することを含む化学的または生物学的反応の結果として、試料中の分析物または他の試料パラメータを検出するために使用される臨床化学分析装置、凝固化学分析装置、免疫化学分析装置、尿分析装置、血液学分析装置、分子診断分析装置、質量分析装置など(リストは網羅的ではない)である。分析試料処理装置は、試料および/または試薬および/またはシステム流体のピペッティングおよび/または圧送および/または混合のための液体処理ユニットなどの機能ユニットを備えることができ、分類、貯蔵、搬送、識別、分離、検出のための機能ユニットをさらに備えることができる。分析試料処理装置は、分析を実行するための試薬を保持するための試薬保持ユニットを備え得る。試薬は、例えば、個々の試薬または試薬のグループを含む容器またはカセットの形態で配置されてもよく、貯蔵区画またはコンベヤ、例えばロータ内の適切な容器または位置に配置されてもよい。これは、反応容器またはキュベット保持ユニットを備え得る。特に、試料および/または試薬を反応容器に送達するために、ピペッティングユニットなどの1つまたは複数の液体処理ユニットを備えてもよい。ピペットユニットは、再使用可能な洗浄可能な針、例えば鋼針、または使い捨てピペットチップを備えてもよい。分析試料処理装置は、例えば、液体を含むキュベットを振り動かすためのシェーカー、またはキュベットもしくは試薬容器内の液体を混合するための混合パドルもしくは撹拌器を含む1つまたは複数の混合ユニットをさらに備え得る。
【0010】
「分析前試料処理装置」は、場合によっては再フォーマット、アリコートなどのプロセスステップを含む、分析試料処理装置によってさらに処理される前の試料の分類および/または検査および/または調製のために典型的に構成されたより大きな接続されたシステム内のスタンドアロン装置またはモジュールのいずれかとすることができる。これは、例えば、分析のタイプおよび/または試料処理優先度にしたがって試料を分類するための再分類ユニット、試料管を遠心分離するための遠心分離機、試料管から試料を分注するためにピペッティングユニットが使用される分注ユニット、試料を特定の温度にさらすための熱処理ユニット、試料成分を分離するための分離ユニットなどのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0011】
「分析後試料処理装置」は、例えば分析作業セルによって処理された後の試料の保管および/または廃棄のために典型的に構成されたより大きな接続されたシステム内のスタンドアロン装置またはモジュールのいずれかである。これは、例えば、試料管を、例えば異なる貯蔵ラックおよび/または冷蔵室に送るための再分類または再フォーマットユニットを備えてもよい。
【0012】
「試料処理装置」という用語は、他の検査室装置間で試料を搬送するように構成された試料搬送装置またはモジュール、例えば機械的または誘導などの他の原理に基づいたコンベヤを備え、試料、典型的には試料管内の試料を単一管キャリアまたはラックなどの複数管キャリア上で移動させるように構成された試料搬送装置またはモジュールをさらに含み得る。
【0013】
「試料処理装置」という用語は、1つまたは複数の他の検査室装置と相互作用するように、例えば、自動化された方法で試料および/または消耗品を分析検査室装置に供給するか、または保守タスクを実行するようにプログラムされたロボット装置をさらに含み得る。
【0014】
試料処理装置は、必要に応じて、および/または所望の検査室ワークフローにしたがって、異なる構成を有してもよい。追加の構成は、複数の装置および/またはモジュールを互いに結合することによって取得され得て、各モジュールは、専用の機能を有し得る。したがって、各検査室は、ユーザの要求およびニーズに応じて、例えば、試料処理スループット、分析のタイプ、試料のタイプなどに関して、異なる方法で構成され得る。
【0015】
「試料」という用語は、1つまたは複数の目的の分析物を潜在的に含有し得る患者由来の任意の生物学的材料を指し得て、その試験による決定は、患者の症状を示し得る。患者試料は、血液、唾液、眼の水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、便、精液、母乳、腹水、粘液、滑液、腹腔液、羊水、組織、培養細胞などを含む生理液などの任意の生体供給源に由来する。試料は、血液からの血漿または血清の調製、粘性流体の希釈、溶解などの使用前に前処理され得る。処理の方法は、濾過、蒸留、濃縮、干渉成分の不活性化、および試薬の添加を含むことができる。試料は、場合によっては、採取元から得られたものをそのまま使用することもできるが、試料の特性を変更するための前処理および/または試料調製ワークフローの後に、例えば、1つまたは複数の体外診断検査の実施を可能にするために、すなわち、目的の分析物を濃縮(抽出/分離/濃縮)するために、および/または目的の分析物の検出を妨げうるマトリクス成分を除去するために、例えば、内部標準物質を添加した後に、他の溶液で希釈した後に、または試薬と混合した後に、使用されてもよい。試料は、例えば、一次管および二次管を含む試料管などの試料容器、またはマルチウェルプレート、または任意の他の試料運搬支持体中に開閉式で提供され得る。
【0016】
本明細書で使用される「試料処理命令」という用語は、典型的には特定の時間内に試料処理結果が返されることを期待して、少なくとも1つの試料処理装置によって特定の患者試料に対して実行される特定のプロセスの、典型的にはヘルスケア専門家によって開始される要求を指す。試料処理命令は、典型的には、分析試験のための順序を含むが、試料に対して実行される分析前および/または分析後処理ステップに加えて、または代替として参照することもできる。
【0017】
本明細書で使用される「試料処理結果」という用語は、試料処理命令の結果を記述する任意のデータを包含し得て、特に分析試験結果、すなわち試料中の分析物の決定、すなわち試料中の分析物の定性的および/または定量的測定、または他の試料パラメータの決定に関連し得る。「試料処理結果」という用語はまた、様々な臨床判断支援アルゴリズムを使用して計算されたリスクスコアまたは他の値として、試料中の1つまたは複数の分析物の測定に基づく計算結果を包含し得る。
【0018】
試料処理装置は、予め規定された最大の試料処理スループットと限られた容量を有するため、試料処理を優先することが重要である。したがって、試料は、典型的には、それらの試料処理優先度にしたがって、STAT試料またはルーチン試料のいずれかとして分類される。
【0019】
「短検査所要時間(STAT)試料」は、それぞれの試料処理結果がより緊急に必要とされるため、他の標準的なまたはルーチン試料よりも緊急に、すなわちより高い優先度で処理される必要がある試料である。例えば、医学的緊急事態を管理するために、または試料タイプもしくは試料処理タイプのために、または例えば、試料をルーチン試料として処理するのにかかる時間内の試料もしくは分析物の劣化のために、試料処理結果が可能な限り早く必要とされる様々な理由が考えられる。そのような場合、試料は、STAT試料として分類される。そのような分類は、例えば、試料タイプおよび/または分析試験タイプ、試料処理装置の利用可能性などに基づいて、例えば、ホストにおいて実装および/またはホストによって実行され得るルールのセットに基づいて、手動、自動または半自動であり得る。
【0020】
「ホスト」という用語は、本明細書では、1つまたは複数の試料処理装置と通信して、患者および/または検査情報を管理するための中央管理システムまたはミドルウェア層を意図するために使用され、典型的には、サーバまたはホストコンピュータ、データベースおよびデータベース管理システム、ならびに患者および/または検査情報を入力および処理するための、特に患者試料および患者試料に関連する試料処理命令を中央に登録するための、しかし場合によっては試料/試料処理命令の追跡、品質管理、コンプライアンス、在庫管理および保守、ならびに試料処理結果の受信および管理のためのアプリケーションソフトウェアまたはユーザインターフェースを含む。「ホスト」という用語は、特に、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)、ならびに場合によってはさらに、専用の在庫管理システム、保守管理、オペレータ管理システムなどのうちの任意の1つまたは複数を含み得る。
【0021】
ホストと試料処理装置との間の通信は、一方向または双方向とすることができ、ホストと1つまたは複数の試料処理装置との間で一方向または双方向に送信される「メッセージ」の形態で行われ、確認応答メッセージ対を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、略して「通信メッセージ」または「メッセージ」という用語は、特に、使用される通信プロトコルと互換性のある構文を使用して、コードまたは識別子の文字列を含む定義されたシーケンス内のセグメントのグループを指し、その目的に応じて異なるメッセージタイプを定義することができる。メッセージは、標準的な健康水準7(HL7)または急速健康管理資源(FHIR)など、検査室装置およびヘルスケア業界において一般的に使用されているプロトコルに基づくことができ、これらは、独自のホスト-検査室装置通信に固有の独自の方法で適合され得る。医療装置通信用のIEEE 1073規格または医療装置通信用に設計された専用プロトコルなどの他のプロトコルも同様に実装され得る。
【0023】
実施形態によれば、メッセージは、HL7またはFHIRフォーマットのものである。
【0024】
特に、試料および試料処理命令に関連する情報を入力すると、典型的にはホストによって生成されるメッセージは、試料処理および/または試料処理結果の報告に必要なセグメント内のいくつかのセグメントおよびそれぞれのコードまたは識別子を含み得る。したがって、例えば、患者IDおよび患者データ、試料ID、試料のタイプ、試料容器のタイプ、試料キャリアのタイプ、標的試料処理装置、試料によって実行される特定の分析試験、例えば分析試験を実行するのに必要な消耗品の実際の可用性に基づく分析試験の可用性、例えば選択された分析試験に固有の試料処理を実行するための一連のワークフローステップまたは命令、特に試料処理優先度を示す識別子に関連するセグメント内の様々なセグメントおよび識別子があり得る。この列挙は網羅的なものではない。さらに、メッセージは、セグメントと識別子との異なる組み合わせを異なる順序で含み得る。
【0025】
本開示によれば、メッセージは、受信された試料処理命令にしたがって、より低い優先度からより高い優先度までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子のうちの1つを含む。例えば、異なる程度の試料処理優先度が試料に割り当てられ得るが、例えば3以上、例えば1から3または1から5または1から10であり、1が最も高い優先度を示し、メッセージは、試料処理命令に関して初めて生成されたとき、より低い試料処理優先度を有するルーチン試料またはより高い試料処理優先度を有するSTAT試料の少なくともいずれかを示す識別子を含む。
【0026】
本方法は、メッセージにおいて定義された試料処理優先度にしたがって、少なくとも1つの試料処理装置によって試料を識別し、少なくとも1つの試料処理装置によって試料を処理することをさらに含む。少なくとも1つの試料処理装置によって試料を識別することは、例えば、試料容器および/または試料容器キャリア上のバーコード、RFIDラベルまたは他のタイプのラベルを読み取ることを含み得る。
【0027】
試料についての試料処理優先度のより低い優先度からより高い優先度への変更を求める後続の要求、例えば、ルーチン試料からSTAT試料への変更の要求を受信した場合、メッセージの送信後且つ試料が処理される前に、本方法は、メッセージを変更し、試料を、例えばルーチン試料としてのより低い優先度の試料としてではなく、例えばSTAT試料としてのより高い優先度の試料として処理することを含む。したがって、ルーチン試料は、少なくとも1つの試料処理装置による到着および識別時に、または到着および識別後であっても、例えば最初のプロセスステップの後に分析試料処理装置に到着したとき、前分析試料処理装置内の優先度の低い試料として、または例えばキューに入っているとき、スケジュールされた計画にしたがって、例えば試料バッファ内で、他のルーチン試料とともにその順序で待機するときに、STAT試料として再分類され、ラインをスキップし、最初にスケジュールされたよりも早く、且つ他のルーチン試料の前に処理される権利および順序が与えられ得る。しかしながら、メッセージを変更することは、より低い優先度識別子を、優先度の変更を示すが同等のより高い優先度識別子とは異なる識別子に変更することを含む。例えば、メッセージを変更することは、ルーチン試料を示すために使用される識別子を、ルーチン試料からSTAT試料への変更を示すが、STAT試料を示すために使用される識別子とは異なる識別子に変更することを含む。このようにして、ホストシステムおよび少なくとも1つの試料処理装置の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能な試料および試料処理命令を維持することが可能である。
【0028】
実施形態によれば、メッセージを変更することは、典型的にはホストシステムにおいて、より高い優先度で処理される試料または試料キャリアを選択するオプションと、選択された試料または試料キャリアに対する優先度変更コマンドを選択するオプションとをユーザインターフェースに提供することを含む。
【0029】
本明細書で使用される「ユーザインターフェース」という用語は、例えば試料および/または試料処理命令を入力するため、少なくとも1つの試料処理装置に命令を提供するため、試料処理命令の状態を監視するため、試料処理結果を検討するため、少なくとも1つの試料処理装置の動作状態および/または在庫状態を監視するため、特に上述したように試料処理優先度を変更するために、ホストおよび/または少なくとも1つの試料処理装置と相互作用する機能およびオプションをユーザに提供するハードウェアおよびソフトウェア層を指す。ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインターフェース、コマンド・ライン・インターフェース、メニュー駆動ユーザインターフェース、タッチユーザインターフェース、音声ユーザインターフェース、フォームベースのユーザインターフェース、仮想現実ユーザインターフェースなどの任意の種類のユーザインターフェースであってもよく、ディスプレイ画面、キーボード、マウス、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどのコンピューティング装置、またはスマートウォッチのようなウェアラブル装置、または例えばユーザ体験を促進および強化するように構成された眼鏡などの仮想現実装置の使用を含むことができる。
【0030】
実施形態によれば、本方法は、試料のならびに/または試料処理命令および/もしくは試料処理結果のリストにおいて区別可能であるように優先度を変更した後に、選択された試料ならびに/または選択された試料に関連する試料処理命令および/もしくは試料処理結果をユーザインターフェースにおいて強調表示またはマーキングすることを含む。
【0031】
実施形態によれば、試料処理優先度の変更がルーチン試料についてのみ許可されることにより、試料キャリアのタイプにかかわらず、より低い優先度を有するルーチン試料からより高い優先度を有するSTAT試料への変更がもたらされる。この場合、例えば制御および較正器の優先度の変更を選択するオプションは除外される。換言すれば、優先度の変更は、そうすることが効果的に必要である場合には一部のルーチン試料に対してのみ許可され得るが、試料処理および品質管理手順のスケジュールに対する他のいかなる変更も許可され得ない。
【0032】
本明細書では、ホストシステムに接続された少なくとも1つの試料処理装置を備える診断検査室において試料処理優先度を管理するためのシステムがさらに開示される。システムは、試料に関連して受信された試料処理命令に関連する、ホストシステムと少なくとも1つの試料処理装置との間のメッセージを生成するように構成され、メッセージは、受信された試料処理命令にしたがって低い優先度から高い優先度までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子のうちの1つを含む。少なくとも1つの試料処理装置は、試料を識別し、メッセージ内の試料処理優先度にしたがって試料を処理するように構成されている。システムは、メッセージの送信後且つ試料が処理される前に、試料の試料処理優先度のより低い優先度からより高い優先度への変更を求める後続の要求を受信するようにさらに構成され、メッセージを変更することと、試料をより低い優先度の試料としてではなくより高い優先度の試料として処理することとを含み、メッセージを変更することは、試料および試料処理命令をホストシステムと少なくとも1つの試料処理装置の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能に維持するために、より低い優先度の識別子を優先度の変更を示すが同等のより高い優先度の識別子とは異なる識別子に変更することを含む。
【0033】
本明細書で使用される「試料処理優先度を管理するためのシステム」という用語は、任意の物理的または仮想的な処理装置、特に、動作計画にしたがって動作を実行する命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラマブルロジックコントローラを含み得る。これは、プロセッサ、コントローラ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、または本明細書に記載された機能/方法の1つまたは複数を実行するように構成された他の回路またはプロセッサを含み得る。特に、試料処理優先度を管理するためのシステムは、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレットなどのコンピューティング装置上に実装されるデータ管理システムと一体であってもよく、サーバコンピュータによって構成されてもよく、および/または複数の装置にわたって/複数の装置間で分散/共有されてもよい。さらに、試料処理優先度を管理するためのシステムは、有線または無線(例えば、赤外線、セルラー、Bluetooth(登録商標))を介して通信するリモート装置、サーバおよびクラウドベースの要素、またはリモートPC/サーバまたはクラウドベースのシステムを含むことができる。特に、試料処理優先度を管理するためのシステムは、ホスト、少なくとも1つの試料処理装置に統合されてもよく、またはホストと少なくとも1つの試料処理装置とに分散されてもよく、例えば、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)に統合されてもよい。
【0034】
ホストおよび少なくとも1つの試料処理装置は、ネットワークインターフェース装置を介して、直接接続、有線もしくは無線を介して、または広域ネットワーク、例えば、インターネットもしくは医療提供者のローカルエリアネットワークもしくはイントラネットなどの有線もしくは無線の通信ネットワークを介して間接的に通信することができる。
【0035】
「通信ネットワーク」という用語は、WiFi(商標)、GSM(商標)、UMTS、LTE、5G、または他の無線デジタルネットワーク、またはEthernet(商標)などのケーブルベースのネットワークなどの任意のタイプの無線ネットワークも包含する。特に、通信ネットワークは、インターネットプロトコル(IP)を実装することができる。例えば、通信ネットワークは、ケーブルベースのネットワークと無線ネットワークとの組み合わせを含む。
【0036】
実施形態によれば、ホストシステムは、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)を含む。
【0037】
実施形態によれば、メッセージは、HL7またはFHIRフォーマットのものである。
【0038】
実施形態によれば、試料処理優先度を管理するためのシステムは、より高い優先度で処理される試料または試料キャリアを選択するオプションと、試料処理優先度を変更するために、選択された試料または試料キャリアに対する優先度変更コマンドを選択するオプションとを有するユーザインターフェースを備える。
【0039】
実施形態によれば、ユーザインターフェースは、試料のリストならびに/または試料処理命令および/もしくは試料処理結果において区別可能であるように、優先度の変更後に、ユーザインターフェース内の選択された試料ならびに/または選択された試料に関連する試料処理命令および/もしくは試料処理結果を強調表示またはマークするように構成されている。
【0040】
実施形態によれば、試料処理優先度を管理するためのシステムは、ルーチン試料についてのみ試料処理優先度の変更を許可することにより、試料キャリアのタイプにかかわらず、より低い優先度を有するルーチン試料からより高い優先度を有するSTAT試料への変更がもたらされるように構成されている。
【0041】
その他およびさらなる目的、特徴および利点は、原理をより詳細に説明する例示の実施形態の以下の説明おおび添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】試料処理優先度を管理するコンピュータ実装方法を概略的に示している。
図2A図1の方法にかかる試料処理優先度を管理するためのシステムおよび試料処理優先度を管理する第1の例を概略的に示している。
図2B図2Aと同じ試料処理優先度を管理するためのシステムを示すが、異なるユースケースを示している。
図2C図2Aおよび図2Bと同じ試料処理優先度を管理するためのシステムを示すが、さらに異なるユースケースを示している。
図2D図2Cに表されたケースの変形例を示している。
図3】ユーザインターフェースのいくつかの特徴を示している。
図4図3の同じユーザインターフェースのいくつかの追加の特徴を示している。
図5図3および図4の同じユーザインターフェースのいくつかの追加の特徴を示している。 当業者は、図中の要素が単純化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解している。例えば、図中の一部の要素の寸法は、他の要素に対して誇張されている場合がある一方で、他の要素は、明瞭性を高め、本開示の実施形態の理解を向上させるために、省かれているか、または数が減らされて表されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、ホストシステム200に接続された少なくとも1つの試料処理装置100を備える診断検査室において試料処理優先度を管理するコンピュータ実装方法を概略的に示している。本方法は、試料に関連して受信された試料処理命令10に関連する、ホスト200と少なくとも1つの試料処理装置100との間の通信メッセージ20を生成することであって、メッセージ20が、受信された試料処理命令10にしたがって、より低い優先度(ルーチン)からより高い優先度(STAT)までのそれぞれの試料処理優先度を示す少なくとも2つの優先度識別子R、Sのうちの1つを含む、生成することを含む。本方法は、試料処理優先度30にも基づいて、少なくとも1つの試料処理装置100によって試料を識別することと、メッセージ20内の試料処理優先度30にしたがって少なくとも1つの試料処理装置100によって試料を処理すること、特に、試料がより高い試料処理優先度識別子Sに関連付けられている場合、試料をSTAT試料31として処理すること、または試料がより低い試料処理優先度識別子Rに関連付けられている場合、試料をルーチン試料32として処理することと、をさらに含む。メッセージ20の送信後且つ試料が処理される前に、試料の試料処理優先度のより低い優先度(ルーチン)からより高い優先度(STAT)への変更を求める後続の要求40を受信した場合、本方法は、メッセージ20を変更し、試料を、より低い優先度の試料32としてではなく、より高い優先度の試料31として処理することを含み、メッセージを変更することは、ホストシステム200および少なくとも1つの試料処理装置100の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能な試料およびその試料に関連付けられた試料処理命令10を維持するために、より低い優先度の識別子R(ルーチン)を、優先度の変更(STATに変更)を示すが同等のより高い優先度の識別子S(STAT)とは異なる識別子CSに変更すること50を含む。この例のホストシステム200は、検査室情報システム(LIS)および/または病院情報システム(HIS)を含む。この例のメッセージ20は、health level seven international(HL7)フォーマットのものである。
【0044】
図2A図2Dは、共同で見ると、ホストシステム200に接続された少なくとも1つの試料処理装置100を備える診断検査室において試料処理優先度を管理するためのシステム300を概略的に示しており、個別に見ると、図1の方法にかかる試料処理優先度を管理する例も概略的に示している。
【0045】
特に、図2Aは、一例にかかる試料処理装置100のさらなる詳細およびワークフローの態様を示している。試料処理装置100は、異なるモジュールであって、STAT試料キャリア中のより高い試料処理優先度[S]を有するSTAT試料をロードするためのSTAT試料入力ポート111と、ルーチン試料キャリア中のより低い試料処理優先度[R]を有するルーチン試料をロードするためのルーチン試料入力区画112と、試料処理後の任意のタイプの試料キャリアをアンロードするための試料出力区画113と、第1の分析試料処理モジュール121および第2の分析試料処理モジュール122と、2つの分析試料処理モジュール121、122のうちの一方による分析試料処理前の少なくともいくつかの試料キャリアを一時的に受け取るための試料バッファ区画123と、試料処理装置100内で試料キャリアを搬送するための試料搬送モジュール130と、を備える。試料処理装置100は、ホストシステム200に接続され、試料処理命令10に関連するメッセージ20を交換する。この図2Aの場合、より試料処理優先度の低い試料処理命令10が試料に対応付けて受信され、ホストシステム200に登録される。メッセージ20は、より低い試料処理優先度を示す優先度識別子[R]を含むホストシステム200によって生成され、標的試料処理装置100に伝達される。試料が試料処理装置100に到着すると、試料は、ルーチンの試料入力区画112を介してロードされ、最終的に例えばバーコードリーダ140によって識別され、試料処理優先度識別子[R]を含む以前に受信したメッセージ20に含まれる情報は、試料、この場合はルーチン試料32を処理するために使用される。特に、試料処理装置100が既に他の試料の処理においてビジーであり、および/または他の試料が既にキュー内にあり、最初に処理されるのを待機している場合、例えば最初に到着したため、それらは同じ試料処理優先度識別子を有し得るが、または直後にSTAT試料が到着したため、試料は、キューに追加され、例えば試料バッファ区画123に送られ、そこでその順序で待機し得る。そうでなければ、それは一度に処理されてもよく、例えば、利用可能な分析試料処理モジュール122に送られてもよい。処理されると、処理結果は、ホストシステム200に戻されてもよい。
【0046】
図2Bは、図2Aと同じ試料処理優先度を管理するためのシステム300を示すが、異なるユースケースを示している。特に、より高い試料処理優先度を有する試料処理命令10が試料に関連して受信され、ホストシステム200に登録される。メッセージ20は、より高い試料処理優先度を示す優先度識別子[S]を含むホストシステム200によって生成され、標的試料処理装置100に伝達される。試料が試料処理装置100に到着すると、試料はSTAT試料入力ポート111を介してロードされ、例えばバーコードリーダ140によって識別され、試料処理優先度識別子[S]を含む以前に受信したメッセージ20に含まれる情報は、試料を処理するために使用され、この場合はSTAT試料31として使用される。特に、STAT試料入力ポート111を介して入力された試料は、ルーチン試料入力区画112を介して入力された試料に対して優先度が与えられ、最初に識別される。次いで、試料は、第1の利用可能な分析試料処理モジュール122に直ちに送られ、いずれの場合も、最初に到着した可能性があり既にキューに入っている他のルーチン試料の前に処理される。
【0047】
図2Cは、図2Aおよび図2Bと同じ試料処理優先度を管理するためのシステム300を示すが、異なるユースケースを示している。特に、図2Aの場合と同様に、より試料処理優先度の低い試料処理命令10が試料に対応付けて受信され、ホストシステム200に登録される。メッセージ20は、より低い試料処理優先度を示す優先度識別子[R]を含むホストシステム200によって生成され、標的試料処理装置100に送信される。試料が試料処理装置100に到着すると、通常の試料入力区画112を介して試料がロードされる。試料がまだルーチン試料入力区画112内にあるとき、したがって、メッセージ20の送信後且つ試料が処理される前に、試料処理優先度の変更を求める後続の要求40が受信される。この場合、メッセージ20は、ホストシステム200と試料処理装置100の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能なその試料に関連付けられた試料および試料処理命令10を維持するために、低い優先度の識別子[R](ルーチン)を、優先度の変更(STATに変更)を示すが同等の高い優先度の識別子[S](STAT)とは異なる識別子[CS]に変更すること(50)によって変更される。試料が、例えばバーコードリーダ140によって最終的に識別されると、試料処理優先度識別子[CS]を含む変更されたメッセージ20に含まれる情報が、試料を処理するために使用される。特に、図2Bの場合と同様に、試料処理優先度が低いルーチン試料32ではなく、試料処理優先度が高いSTAT試料31として処理される。
【0048】
図2Dは、試料優先度の変更を求める後続の要求40が受信されたときに、試料が試料処理装置100によってルーチン試料[R]として既に識別されているが、試料バッファ区画123内に依然として待機しているという点が異なる、図2Cと同様のケースを示している。この場合も、メッセージ20は、ホストシステム200と試料処理装置100の双方によって一意に識別可能且つ追跡可能な試料およびその試料に関連付けられた試料処理命令10を維持するために、より低い優先度識別子[R](ルーチン)を優先度の変更(STATに変更)を示すが同等のより高い優先度識別子[S](STAT)とは異なる識別子[CS]に変更すること(50)によって変更され、試料処理優先度識別子[CS]を含む変更されたメッセージ20に含まれる情報は、試料を処理するために使用される。特に、スケジュールされた計画にしたがってその順序で列に並んでいた試料は、他のルーチン試料とともに、STAT試料として再分類され、最初にスケジュールされたよりも早く、例えば図2Bおよび図2Cに示された場合と同様に、第1の利用可能な分析試料処理モジュール122に一度に送られる他のルーチン試料よりも前に、ラインをスキップしてSTAT試料31として処理される権利および順序が与えられる。
【0049】
図3は、より高い優先度によって処理される試料または試料キャリアを選択するためのオプション401を有するユーザインターフェース400の例を示している。
【0050】
図4は、メッセージ50の変更がもたらされる、選択された試料または試料キャリアの優先度変更コマンド402を選択するオプションを有する図3のユーザインターフェース400の同じ例を示している。
【0051】
図5は、試料のならびに/または試料処理命令および/もしくは試料処理結果のリスト404において区別可能であるように優先度を変更した後に、ユーザインターフェース内の選択された試料ならびに/または選択された試料に関連する試料処理命令および/もしくは試料処理結果を強調表示またはマークする(403)ように構成された図3および図4のユーザインターフェース400の同じ例を示している。
【0052】
上記の明細書では、本開示の十分な理解を提供するために、多くの特定の詳細が記載されている。しかしながら、本教示を実施するために特定の詳細が使用される必要がないことが当業者にとって明らかになるであろう。他の例では、本開示を曖昧にすることを回避するために、周知の材料または方法は詳細に説明されていない。
【0053】
開示された実施形態の変更および変形は、上記の説明に照らして確かに可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、上記の例に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施され得ることを理解されたい。
【0054】
特に、図面は概略的なものにすぎず、単なる例として提供されていることを理解されたい。また、要素間の関係は、図示されたもの以外であってもよい。特に、識別子R、S、CSは任意であり、同じそれぞれの機能および意味を有する任意の識別子が原則として使用され得る。
【0055】
また、本明細書全体を通して「一実施形態」、「実施形態」、「一例」または「例」への言及は、実施形態または例に関して説明される特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「一実施形態では」、「実施形態では」、「一例」または「例」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態または例を指すとは限らない。
【0056】
さらにまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせおよび/またはサブ組み合わせで組み合わせられ得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
【国際調査報告】