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特表2024-508455金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板
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  • 特表-金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20240219BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
C23C16/34
H01L21/285 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551964
(86)(22)【出願日】2022-03-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 KR2022003064
(87)【国際公開番号】W WO2022186644
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0028835
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0027866
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,チャン ボン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ ソン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ジ ヒョン
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030BA02
4K030BA09
4K030BA10
4K030BA12
4K030BA13
4K030BA17
4K030BA18
4K030BA22
4K030BA29
4K030BA38
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA44
4K030BA45
4K030BA46
4K030BB12
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA10
4K030LA15
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB06
4M104BB13
4M104BB14
4M104BB16
4M104BB17
4M104BB18
4M104BB30
4M104DD43
4M104DD45
4M104EE16
4M104FF18
4M104HH13
4M104HH16
(57)【要約】
本発明は、金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法及びこれから製造された半導体基板に関するものであって、金属薄膜前駆体化合物に、所定の末端基と構造を有する成長調節剤を含む金属薄膜前駆体組成物を提供するのであり、薄膜蒸着工程において、前記金属薄膜前駆体組成物を用いて副反応を抑制し、薄膜成長率を適切に制御し、さらに薄膜内の工程副産物を除去することにより、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合にも、段差被覆性(step coverage)、薄膜の厚さ均一性、及び比抵抗特性を大きく向上させることができるのであって、腐食や劣化が低減され、薄膜の結晶性が向上し、薄膜の電気的特性が改善される効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜前駆体化合物と、成長調節剤とを含み、
前記薄膜前駆体化合物は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記成長調節剤は、下記化学式2で表される直鎖状、分岐状、環状または芳香族の化合物であることを特徴とする、金属薄膜前駆体組成物。
[化学式1]
MxNnLm
(前記化学式1において、前記xは1~3の整数であり、前記Mは、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si,K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択されうるのであり、nは0~8の整数であり、前記Nは、F、Cl、BrまたはIであるか、またはF、Cl、Br及びIからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドであり、mは0~5の整数であり、Lは、H、C、N、O、PまたはSであるか、またはH、C、N、O及びPからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドである。)
[化学式2]
AnBmXoYiZj
(前記化学式1において、前記Aは炭素、ケイ素、窒素、リンまたは硫黄であり、前記Bは、水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数3~10のシクロアルキル、または炭素数1~10のアルコキシであり、前記Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(iodine)(I)のうちの1種以上であり、前記Y及びZは独立して酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択された1種以上であり、互いに等しくなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)
【請求項2】
前記化学式1において、nは1~6の整数であることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜前駆体組成物。
【請求項3】
前記化学式1において、Nは、F、ClまたはBrであるか、またはF、Cl及びBrからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドであることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜前駆体組成物。
【請求項4】
前記成長調節剤は、Cl、BrまたはIであるか、またはCl、BrまたはIからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるハライド末端基を有することを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜前駆体組成物。
【請求項5】
下記化学式40~化学式60で表される化合物の中から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜前駆体組成物。
[化学式40~化学式60]

(前記化学式40~化学式60において、線は結合であり、別途の元素を記載しない、結合と結合が交わる地点は、炭素であり、前記炭素の原子価を満たす数の水素は省略された。)
【請求項6】
前記金属薄膜前駆体組成物は、原子層蒸着(ALD)工程、プラズマ原子層蒸着(PEALD)工程、化学蒸着(CVD)工程またはプラズマ化学蒸着(PECVD)工程に使用されることを特徴とする、請求項1に記載の金属薄膜前駆体組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の金属薄膜前駆体組成物を、チャンバーの内部へと注入して、ローディング(loading)された基板の表面に吸着させる段階を含むことを特徴とする、薄膜形成方法。
【請求項8】
i) 成長調整剤を気化して、チャンバーの内部にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii) 前記チャンバーの内部をパージガスで1次パージする段階;
iii) 前記チャンバーの内部に、薄膜前駆体化合物を気化して、前記基板の成長調節剤が吸着された部分と異なる表面に吸着させるか、または基板に吸着された成長調節剤の末端に結合させる段階;
iv) 前記チャンバーの内部をパージガスで2次パージする段階;
v) 前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi) 前記チャンバーの内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項9】
i-1) 金属薄膜前駆体組成物を気化して、チャンバーの内部にローディングされた基板の表面にあって、前記基板の成長調節剤が吸着された部分とは異なる表面に、薄膜前駆体化合物を吸着させるか、または、基板に吸着された成長調節剤の末端に薄膜前駆体化合物を結合させる段階;
ii) 前記チャンバーの内部をパージガスで1次パージする段階;
v) 前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi-1) 前記チャンバーの内部をパージガスで追加パージする段階;を含むことを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項10】
i-2) 薄膜前駆体化合物を気化して、チャンバーの内部にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii) 前記チャンバーの内部をパージガスで1次パージする段階;
iii) 前記チャンバーの内部に成長調節剤を気化して、前記基板の成長調節剤を吸着された部分と異なる表面に吸着させるか、または基板に吸着された薄膜前駆体の末端に結合させる段階;
iv) 前記チャンバーの内部をパージガスで2次パージする段階;
v) 前記チャンバー内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi) 前記チャンバーの内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項11】
前記金属薄膜前駆体組成物は、VFC方式、DLI方式またはLDS方式でもって、ALDチャンバー、CVDチャンバー、PEALDチャンバー、またはPECVDチャンバーの内部へと移送されることを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項12】
前記反応ガスは、還元剤、窒化剤または酸化剤であることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載の薄膜形成方法。
【請求項13】
前記薄膜形成方法は、蒸着温度が50~700℃であることを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項14】
前記薄膜は酸化膜、窒化膜または金属膜であることを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項15】
前記薄膜は、2層または3層の多層構造を含むことを特徴とする、請求項7に記載の薄膜形成方法。
【請求項16】
請求項7による薄膜形成方法で製造されることを特徴とする、半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板に関したものであり、より詳細には、副反応を抑制し、薄膜内の不純物濃度を低減させるに伴い、薄膜の腐食や劣化を防ぎ、薄膜の電気的特性を向上させるのであって、薄膜の成長速度を適切に制御されることから、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)、薄膜の厚さ均一性、及び抵抗率を向上させるだけでなく、薄膜前駆体と混合使用しても分解されない金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メモリ及び非メモリ半導体素子の集積度は日増しに増加しており、その構造がますます複雑になるにつれて様々な薄膜を基板に蒸着させる場合に薄膜の膜質と段差被覆性(step coverage)の重要性がますます増大している。
【0003】
前記半導体用薄膜は、窒化金属、窒化ケイ素、酸化金属、酸化ケイ素、金属薄膜などからなる。前記窒化金属薄膜または窒化ケイ素薄膜としては、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)、AlN、TiSiN、TiAlN、TiBN、TiON、TiCN、SiNなどがあり、前記薄膜は、一般に、ドーピングされた半導体のシリコン層と、層間配線材料として使用されるアルミニウム(Al)、銅(Cu)などとの間の拡散防止膜(diffusion barrier)として使用される。ただし、タングステン(W)、モリブデン(Mo)の金属薄膜などを基板に蒸着する際には、接着層(adhesion layer)として使用される。前記酸化金属薄膜または窒化ケイ素薄膜としては、SiO2、ZrO2、HfO2、TiO2をはじめとする多様な種類が開発されており、前記金属薄膜としては、Ti、Mo、W、Coなどがあり、前記薄膜は、通常、誘電、絶縁、配線などの用途に使用される。
【0004】
基板に蒸着された薄膜が、優れた均一な物性を得るためには、形成された薄膜の高い段差被覆性が必須である。したがって、気相反応を主として活用するCVD(chemical vapor deposition)工程よりも、表面反応を活用するALD(atomic layer deposition)工程が活用されているのであるが、100%の段差カバレッジの具現のためには、依然として問題が存在する。
【0005】
さらには、段差被覆性を向上させるための一つの方法として、薄膜の成長速度を下げる方法が提案されているが、薄膜の成長速度を下げるために蒸着温度を低下させる場合、薄膜内の炭素や塩素のような不純物の残留量が増加して膜質が大きく落ちることとなるという問題がある。
【0006】
また、前記窒化金属の中で代表的なものである窒化チタン(TiN)を蒸着させるために用いられる、四塩化チタン(TiCl)の場合、製造された薄膜内に、塩化物といった工程副産物が残留することとなり、アルミニウム等のような金属の腐食を誘発して、不揮発性副産物が生成されるという問題から、膜質の劣化を招く。
【0007】
したがって、複雑な構造の薄膜形成が可能であり、不純物の残留量が低く、層間配線材料を腐食させない薄膜の形成方法、及び、これから製造された半導体基板に対する開発が必要であり、128段、256段、512段等へと増加するVNANDの積層数による高アスペクト比(Aspect ratio)にも、均一な厚さと段差被覆性を提供でき、薄膜前駆体と混合使用しても分解が難しく効果発現が卓越した補助前駆体に対する開発が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2006-0037241号
【特許文献2】韓国公開特許第2018-0057059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、低いバンドギャップを提供し、これを含む薄膜の膜質が飛躍的に向上され、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に調節し、薄膜内の工程副産物を除去することにより腐食や劣化を防止し、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)薄膜の厚さ均一性、及び比抵抗特性を大きく向上させるだけでなく、薄膜前駆体と混合使用しても分解されない補助前駆体、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は薄膜の結晶性を向上させることにより、薄膜の密度、比抵抗などの電気的特性を改善することを目的とする。
【0011】
本発明の前記目的及び他の目的は、下記に説明された本発明によってすべて達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は薄膜前駆体化合物;及び、成長調節剤を含み、
前記薄膜前駆体化合物は、下記化学式1で表される化合物を含み、
前記成長調節剤は、下記化学式2で表される直鎖状、分岐状、環状または芳香族化合物であることを特徴とする金属薄膜前駆体組成物を提供する。
【0013】
[化学式1]
MxNnLm
【0014】
(前記化学式1において、前記xは1~3の整数であり、前記Mは、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si,K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択されうるのであって、nは0~8の整数であり、前記Nは、F、Cl、BrまたはIであるか、またはF、Cl、Br及びIからなる群から選択される2種以上の組み合わせからなるリガンドであり、mは0~5の整数であり、Lは、H、C、N、O、PまたはSであるか、またはH、C、N、O及びPからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドである。)
【0015】
[化学式2]
AnBmXoYiZj
【0016】
(前記化学式1において、前記Aは、炭素、ケイ素、窒素、リンまたは硫黄であり、前記Bは、水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数3~10のシクロアルキル、または炭素数1~10のアルコキシであり、前記Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(iodine)(I)のうちの1種以上であり、前記YとZは独立して酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択される1種以上であり、互いに等しくなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)
【0017】
前記nは1~6の整数であり得る。
【0018】
前記Nは、F、ClまたはBrであるか、またはF、Cl及びBrからなる群から選択される2種以上の組み合わせからなるリガンドであり得る。
【0019】
前記成長調節剤は、Cl、BrまたはIであるか、またはCl、BrまたはIからなる群から選択される2種以上の組み合わせからなるハライド末端基を有するものであり得る。
【0020】
前記薄膜前駆体化合物は、下記化学式3~化学式39で表される化合物の中から選択された1種以上であり得る。
【0021】
[化学式3~式20]
【0022】
[化学式21~化学式31]
【0023】
[化学式32~化学式39]
【0024】
(前記化学式3~化学式39において、線は結合であり、別途の元素を記載しない、結合と結合が交わる地点は、炭素であり、前記炭素の原子価を満たす数の水素は省略されているのであり、R’,R”は、それぞれ、水素、または炭素1~5のアルキル基であり、R’は隣接するR’と連結されうる。)
【0025】
前記成長調節剤と前記薄膜前駆体化合物とは、1:99~99:1の重量比を有するのであり得る。
【0026】
前記成長調節剤は、下記化学式40~化学式60で表される化合物の中から選択された1種以上であり得る。
【0027】
[化学式40~化学式60]
【0028】
(前記化学式40~化学式60において、線は結合であり、別途の元素を記載しない、結合と結合が交わる地点は、炭素であり、前記炭素の原子価を満たす数の水素は省略された。)
【0029】
前記薄膜前駆体組成物は、原子層蒸着(ALD)工程、プラズマ原子層蒸着(PEALD)工程、化学蒸着(CVD)工程、またはプラズマ化学蒸着(PECVD)工程に使用することができる。
【0030】
また、本発明は、前述した薄膜前駆体組成物をチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板の表面に吸着させる段階を含むことを特徴とする薄膜形成方法を提供する。
【0031】
また、本発明は
i) 成長調節剤を気化してチャンバーの内部にローディングされた基板表面に吸着させる段階;
ii) 前記チャンバーの内部をパージガスで1次パージする段階;
iii) 前記チャンバーの内部に薄膜前駆体化合物を気化して、前記基板の成長調節剤が吸着された部分と異なる表面に吸着させるか、または基板に吸着された成長調節剤の末端に結合させる段階;
iv) 前記チャンバーの内部をパージガスで2次パージする段階;
v) 前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi) 前記チャンバーの内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことができる。
【0032】
また、本発明は
i-1) 金属薄膜前駆体組成物を気化してチャンバー内にローディングされた基板表面にあって、前記基板の成長調節剤が吸着された部分と異なる表面に、薄膜前駆体化合物を吸着させるか、または基板に吸着された成長調節剤の末端に薄膜前駆体化合物を結合させる段階;
ii) 前記チャンバーの内部をパージガスで1次パージする段階;
v) 前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi-1) 前記チャンバーの内部をパージガスで追加パージする段階;を含むことができる。
【0033】
さらに、本発明は
i-2) 薄膜前駆体化合物を気化してチャンバー内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii) 前記チャンバーの内部をパージガスで1次パージする段階;
iii-1) 前記チャンバーの内部に、成長調節剤を気化して前記基板の成長調節剤を吸着された部分と異なる表面に吸着させるか、または基板に吸着された薄膜前駆体の末端に結合させる段階;
iv) 前記チャンバーの内部をパージガスで2次パージする段階;
v) 前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及び
vi) 前記チャンバーの内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことができる。
【0034】
前記金属薄膜前駆体組成物は、VFC方式、DLI方式またはLDS方式でALDチャンバー、CVDチャンバー、PEALDチャンバー、またはPECVDチャンバー内へ移送すされることがあり得る。
【0035】
前記金属薄膜前駆体組成物を構成する成長調節剤と薄膜前駆体化合物のチャンバー内の投入量(mg/cycle)比は、1:0.1~1:20であり得る。
【0036】
前記反応ガスは、還元剤、窒化剤または酸化剤であり得る。
【0037】
前記薄膜形成方法は、蒸着温度が50~700℃であり得る。
【0038】
前記薄膜は、酸化膜、窒化膜または金属膜であり得る。
【0039】
前記薄膜は、2層または3層の多層構造を含むことができる。
【0040】
また、本発明は、前述した薄膜形成方法により製造されることを特徴とする半導体基板を提供する。
【0041】
前記半導体基板は、低抵抗金属ゲートインターコネクト(low resistive metal gate interconnects)、高アスペクト比3D金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタ(high-aspect ratio 3D metal-insulator-metal capacitor)、DRAMトレンチキャパシタ(DRAM trench capacitor)、3Dゲート-オールアラウンド(GAA;Gate-All-Around)または3D NANDであり得る。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、蒸着速度を調節して薄膜成長率を適切に調節することで、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性と膜質を向上させる補助前駆体を提供するという効果がある。
【0043】
また、薄膜前駆体化合物に対して反応安定性を表すため、薄膜を形成する際における薄膜前駆体化合物の吸着構造と成長速度を調節するに伴い、工程副産物が減少し、腐食や劣化を防ぎ、薄膜の結晶性を改善させることにより、薄膜の比抵抗特性及び電気特性を改善させる薄膜形成用の成長調節剤を提供することができ、さらにこれを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】MoOClに、本発明にて提示した成長調節剤を後注入した実験と、当該成長調節剤を未使用の対照群実験とを対比した図面である。
図2】NbFに、本発明にて提示した成長調節剤を先注入した実験と、当該成長調節剤を未使用の対照群実験とを対比した図面である。左側図面は、対照群NbN薄膜についてのSIMS(二次イオン質量分析)デプスプロファイル(depth profile)を表すのであり、右側図面は、本発明にて提示した成長調節剤を先注入して製造されたNbN薄膜についてのSIMSデプスプロファイル(depth profile)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本記載の成長調整剤、金属薄膜前駆体組成物、これを用いた薄膜形成方法及びこれから製造された半導体基板を詳細に説明する。
【0046】
本発明者らは、チャンバーの内部にローディングされた基板の表面に金属薄膜前駆体化合物を吸着させる場合に、前記金属薄膜前駆体化合物に所定の末端基と構造を有する成長調節剤を共に吸着させる場合、薄膜前駆体化合物の吸着構造と成長速度を調節するに伴い工程副産物が減少し、腐食や劣化を防ぎ、薄膜の結晶性を改善することにより、薄膜の比抵抗特性及び電気的特性が大きく改善されるという結果を確認した。また、チャンバーの内部にローディングされた基板の表面に、金属薄膜前駆体化合物と特定の成長調節剤とを含む組成物を吸着させた場合、チャンバーの内部にローディングされた基板の表面に、薄膜前駆体化合物を先に吸着させた後、前記成長調節剤を吸着させた場合、またはチャンバーの内部にローディングされた基板の表面に成長調節剤を先に吸着させた後、薄膜前駆体化合物を吸着させた場合、いずれも比抵抗特性が大きく改善されるという結果を確認し、これに基づいて研究に邁進して本発明を完成するに至った。
【0047】
前記薄膜形成方法は、好ましい一実施例として、i) 成長調整剤を気化してチャンバー内にローディングされた基板表面に吸着させる段階;ii) 前記チャンバー内部をパージガスで1次パージする段階;iii) 前記チャンバー内部に薄膜前駆体化合物を気化して、前記基板の成長調節剤が吸着された部分と異なる表面に吸着させるか、または基板に吸着された成長調節剤の末端に結合させる段階;iv) 前記チャンバー内部をパージガスで2次パージする段階;v) 前記チャンバー内部に反応ガスを供給する段階;及びvi) 前記チャンバーの内部をパージガスで3次パージする段階;を含みうるのであり、このような場合、薄膜成長率が制御され、薄膜を形成する際の蒸着温度が高くなっても、生成される工程副産物が効果的に除去されることから、薄膜の比抵抗が改善され、段差被覆性(step coverage)が大きく向上するという利点がある。
【0048】
好ましい別の実施例として、前記薄膜形成方法は、i-1) 金属薄膜前駆体組成物を気化して、チャンバー内にローディングされた基板の表面にあって、前記基板の成長調節剤が吸着された部分とは異なる表面に、薄膜前駆体化合物を吸着させるか、または、基板に吸着された成長調節剤の末端に薄膜前駆体化合物を結合させる段階;ii) 前記チャンバー内部をパージガスで1次パージする段階;v) 前記チャンバー内部に反応ガスを供給する段階;及びvi-1) 前記チャンバー内部をパージガスで追加パージする段階;を含むことができ、このような場合、薄膜成長率が制御され、薄膜形成時の蒸着温度が高くなっても、生成される工程副産物が効果的に除去されて薄膜の比抵抗が改善され、段差被覆性(step coverage)が大きく向上するという利点がある。
【0049】
また別の好ましい実施例として、前記薄膜形成方法は、i-2) 薄膜前駆体化合物を気化してチャンバー内にローディングされた基板表面に吸着させる段階;ii) 前記チャンバー内部をパージガスで1次パージする段階;iii-1) 前記チャンバー内部に、成長調節剤を気化して、前記基板の成長調節剤を吸着された部分と異なる表面に吸着させるか、または基板に吸着された薄膜前駆体の末端に結合させる段階;iv) 前記チャンバー内部をパージガスで2次パージする段階;v) 前記チャンバー内部に反応ガスを供給する段階;及びvi) 前記チャンバー内部をパージガスで3次パージする段階;を含むことができ、このような場合、薄膜成長率が制御され、薄膜形成時の蒸着温度が高くなっても生成される工程副産物が効果的に除去されて薄膜の比抵抗が改善され、段差被覆性(step coverage)が大きく向上するという利点がある。
【0050】
前記成長調節剤及び金属薄膜前駆体化合物を含む金属薄膜前駆体組成物は、独立して、好ましくは、VFC方式、DLI方式またはLDS方式で、チャンバー内へ移送することができ、より好ましくはLDS方式でチャンバー内へ移送されるのである。
【0051】
前記成長調節剤及び金属薄膜前駆体化合物を含む金属薄膜前駆体組成物は、好ましくは、原子層蒸着(ALD)工程、プラズマ原子層蒸着(PEALD)工程、化学蒸着(CVD)工程またはプラズマ化学蒸着(PECVD)工程に使用されうるのであり、より好ましくは、原子層蒸着(ALD)工程、またはプラズマ化学蒸着(PECVD)工程に使用されるのである。
【0052】
前記金属薄膜前駆体化合物は、下記化学式1で表される化合物を含みうるのであり、この場合、本発明が目的とする効果が良好に発現され、薄膜の比抵抗が改善されるという利点がある。
【0053】
[化学式1]
【0054】
(前記化学式1において、前記xは1~3の整数であり、前記Mは、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si,K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択されうるのであって、nは0~8の整数であり、前記Nは、F、Cl、BrまたはIであるか、またはF、Cl、Br及びIからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドであり、mは0~5の整数であり、Lは、H、C、N、O、PまたはSであるか、またはH、C、N、O及びPからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドである。)
【0055】
前記金属薄膜前駆体化合物は、一実施例として、前記化学式1において、前記xは1~2の整数であり、前記Mは、Li、Be、C、P、Na、Mg、Al、Si,K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Te、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ce、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Th、Pa、U、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Pt、At及びTnからなる群から選択されうるのであって、nは1~8の整数であり、前記Nは、F、Cl、BrまたはIであるか、またはF、Cl、Br及びIからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドであり、mは0~5の整数であり、Lは、H、C、N、O、PまたはSであるか、またはH、C、N、O及びPからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドでありえ、この場合、本発明が目的とする効果が良好に発現され、改善された比抵抗を表すという利点がある。
【0056】
前記nは、好ましくは1~7の整数でありうるのであって、より好ましくは1~6の整数でありうるのであり、この範囲内にて、工程副産物の減少及び基板への吸着力が、より優れるという利点がある。また、Nは、ハロゲン元素であって、好ましくはフッ素、塩素または臭素でありうるのであって、より好ましくはフッ素または塩素でありうるのであり、この範囲内にて、工程副産物が減少し、基板への吸着力が、より優れるという利点がある。また、前記Nは、一例として塩素でありえ、この場合に薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制して工程副産物の減少効果に優れた利点がある。
【0057】
前記化学式1において、Nは、別の好ましい一例として、ヨウ素(iodine)または臭素でありうるのであり、この場合、低温蒸着が要求される工程に、より適合するという利点がある。
【0058】
前記金属薄膜前駆体化合物は、好ましい一実施例として、前記化学式1にて、前記Aは炭素であり、前記Bは水素または炭素数1~10のアルキルであり、前記Xは臭素(Br)またはヨウ素(iodine)(I)であり、前記YとZは独立して酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択された1種以上であり、互いに同じでなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0である。)で表される分岐状または環状の化合物でありうるのであり、この場合に、本発明が目的する効果が良好に発現され、改善された比抵抗を表し、薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制し、工程副産物の減少効果が、より優れるという利点がある。
【0059】
前記金属薄膜前駆体化合物は、ハロゲンを含む化合物でありうるのであって、具体的な例としては、下記化学式3~化学式39で表される化合物が挙げられる。ここで、化学式3~化学式39で表される化合物は、互いに独立して選択されるか、またはこれらを混合して使用することができる。
【0060】
[化学式3~化学式20]
【0061】
[化学式21~化学式31]
【0062】
[化学式32~化学式39]
【0063】
(前記化学式3~化学式39において、線は結合であり、別途の元素を記載しない、結合と結合が交わる地点は、炭素であり、前記炭素の原子価を満たす数の水素は省略されたものであり、R’,R”はそれぞれ水素、または炭素1~5のアルキル基であり、R’は隣接するR’と連結されるのであり得る。)
【0064】
また、本発明の金属薄膜前駆体組成物は、薄膜前駆体化合物;及び、成長調節剤を含み、
前記薄膜前駆体化合物は、前述した化学式1で表される化合物を含み、
前記成長調節剤は、下記化学式2で表される直鎖状、分岐状、環状または芳香族の化合物であることを特徴とするが、この場合、目的とする効果が良好に発現され、薄膜の比抵抗を改善するという利点がある。
【0065】
[化学式2]
AnBmXoYiZj
【0066】
(前記化学式1において、前記Aは炭素、ケイ素、窒素、リンまたは硫黄であり、前記Bは、水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数3~10のシクロアルキル、または炭素数1~10のアルコキシであり、前記Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)及びヨウ素(iodine)(I)のうちの1種以上であり、前記Y及びZは、独立して酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択される1種以上であり、互いに同じでなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)
【0067】
前記成長調節剤と前記薄膜前駆体化合物とは、1:99~99:1の重量比、1:90~90:1の重量比、1:85~85:1の重量比、または1:80~80:1の重量比を有するものであり得る。
【0068】
前記成長調節剤は、一実施例として、前記化学式1において、前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは、水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数3~10のシクロアルキル、または炭素数1~10のアルコキシであり、前記Xは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(iodine)(I)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択された1種以上であり、互いに同じでなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0である。)で表される分岐状または環状の化合物でありうるのであり、この場合、本発明が目的とする効果が良好に発現され、改善された比抵抗を表すという利点がある。
【0069】
前記Xは、ハロゲン元素であって、好ましくは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素(iodine)でありうるのであって、より好ましくは塩素または臭素であり、この範囲内にて、工程副産物の減少及び基板への吸着力が、より優れるという利点がある。また、前記Xは、一例として塩素でありうるのであって、薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制し、工程副産物の減少効果に優れるという利点がある。
【0070】
前記化学式1において、Xは、別の好ましい一例として、ヨウ素(iodine)または臭素でありうるのであり、この場合、低温蒸着が要求される工程に、より適合するという利点がある。
【0071】
前記成長調節剤は、好ましい一実施例として、前記化学式1において、前記Aは炭素であり、前記Bは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、前記Xは臭素(Br)、またはヨウ素(iodine)(I)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択された1種以上であり、互いに同じでなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0である。)で表される分岐状または環状の化合物でありうるのであり、この場合、本発明が目的とする効果が良好に発現され、改善された比抵抗を表すという利点がある。
【0072】
前記成長調節剤は、好ましい一実施例として、前記化学式1において、前記Aは炭素であり、前記Bは水素、または炭素数1~10のアルキルであり、前記Xは臭素(Br)またはヨウ素(iodine)(I)であり、前記Y及びZは、独立して酸素、窒素、硫黄及びフッ素(fluorine)からなる群から選択された1種以上であり、互いに同じでなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0である。)で表される分岐状または環状の化合物でありえ、この場合、本発明が目的とする効果が良好に発現され、改善された比抵抗を表し、薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制し、工程副産物の減少効果が、より優れるという利点がある。
【0073】
前記成長調節剤は、好ましい別の実施例として電子受容末端基を含む炭化水素化合物を含むのであるが、前記炭化水素化合物は、前記薄膜前駆体化合物との反応性がない物質でありうるのであって、前記成長調節剤を使用した際の薄膜前駆体化合物の吸着構造と成長速度を調節することで工程副産物が減少されるに伴い、蒸着速度を調節し薄膜成長率を適切に下げて、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性と膜質を向上させることができ、腐食や劣化を防ぎ、薄膜の結晶性を改善させることにより、薄膜の比抵抗特性及び電気的特性を改善させることができる。
【0074】
前記炭化水素化合物は、好ましくはアルカン及びシクロアルカンからなる群から選択された1種以上を電子受容末端基で置換した構造を有する化合物でありうるのであり、この場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易であるとともに、薄膜形成の際、高アスペクト比(aspect ratio)のトレンチ構造における段差被覆性(step coverage)が向上するという利点がある。
【0075】
より好ましい例として、前記炭化水素化合物は、C~C10のアルカン(alkane)、またはC~C10のシクロアルカン(cycloalkane)を含みうるのであって、好ましくはC~C10のシクロアルカン(cycloalkane)であり、この場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易であるという利点がある。
【0076】
本記載において、C、Cなどは炭素数を意味する。
【0077】
前記シクロアルカンは、好ましくはC~C10のモノシクロアルカンでありうるのであり、前記モノシクロアルカンのうちでシクロペンタン(cyclopentane)が常温で液体であり、最も蒸気圧が高いことから気相蒸着工程において好ましいが、これに限定されるものではない。
【0078】
本発明において、使用する用語「電子受容末端基」は、他に特定しない限り、薄膜前駆体化合物と結合する場合に膜質改善を提供することができる作用基(官能基;functional group)を指称する。
【0079】
前記電子受容末端基は、一例としてオルト(オルソ)-指向性及びパラ-指向性の活性減少基であり得る。
【0080】
前記用語「オルト-指向性及びパラ-指向性の活性減少基」は、他に特定しない限り、ベンゼン環を有する前駆体化合物を使用する場合、そのオルト位置、パラ位置に指向性を示す活性減少基を指称する。
【0081】
前記電子受容末端基は、別の例として電気陰性度(electronegativity)が2.0~4.0、好ましくは電気陰性度が2.0~3.0である電子受容体(electron accepter)であり得る。
【0082】
前記電気陰性度は、他に特定しない限り、ベンゼン環を有さない前駆体化合物を使用する場合、当該電気陰性度範囲を満たす作用基を有するのであり得る。
【0083】
前記電子受容末端基は、具体的な例としてハロゲン元素であって、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素(iodine)でありうるのであって、より好ましくは臭素またはヨウ素(iodine)でありうるのであり、この範囲内にて工程副産物の減少及び段差被覆性の改善効果が、より優れるという利点がある。また、前記Xは、一例としてヨウ素(iodine)でありうるのであって、この場合、低温蒸着が要求される工程に、より適合するという利点がある。特に、前記Xは、ヨウ素(iodine)を1種で使用することができ、この場合、不純物含量を過度に増やさないため、薄膜の膜質を改善するのにさらに効果的である。
【0084】
前記成長調節剤は、より好ましい一実施例としてCl、BrまたはIであるか、またはCl、BrまたはIからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるハライド末端基を含むことができるのであって、この場合に本発明が目的とする効果が良好に発現され、改善された比抵抗を表し、薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制し、工程副産物の低減効果が、より優れるという利点がある。
【0085】
前記成長調節剤は、さらに好ましい一実施例として3級炭素陽イオン(tert-carbocation)の骨格を有する場合に、薄膜製造後の不純物の残留を予防することができ、特に、炭素が残らない効果が、より優れるという利点がある。
【0086】
前記炭化水素化合物と前記薄膜前駆体化合物の反応性は、前記炭化水素化合物と薄膜前駆体化合物とを混合する前に測定したH-NMRスペクトルと、1:1モル比の混合物を1時間加圧して測定したH-NMRスペクトル(spectrum)とを対比して、生成したNMRピークのピーク積分値を不純物含量とするとき、前記不純物含量(%)が0.1%未満で表れるということにより、成長調節剤を使用した際に薄膜前駆体化合物の吸着構造と成長速度を調節することから工程副産物が減少するに伴い、蒸着速度を調節して薄膜成長率を適切に下げ、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも段差被覆性と膜質を向上させることができることから、腐食や劣化を防ぎ、薄膜の結晶性を改善させることにより、薄膜の比抵抗特性及び電気的特性を改善させることができる。
【0087】
前述した反応性により、前記成長調節剤は、薄膜前駆体化合物の粘度や蒸気圧を容易に調節するが、薄膜前駆体化合物の挙動を妨げないという利点がある。
【0088】
前述した反応性を表しながら、前記電子受容末端基を含む炭化水素化合物は、一例として、ハロゲン置換した直鎖もしくは分岐鎖のアルカン化合物またはシクロアルカン化合物であり得る。
【0089】
具体的な例として、tert-ブチルヨージド(tert-Butyl iodide; 2-Iodo-2-methyl propane)、1-ヨードブタン(1-Iodobutane)、2-ヨードブタン(2-Iodobutane)、2-ヨード-3-メチルブタン、3-ヨード-2,4-ジメチルペンタン(3-iodo-2,4-dimethylpentane)、シクロヘキシルヨージド(cyclohexyl iodide; iodo-cyclohexane)、シクロペンチルヨージド(cyclopentyl iodide; iodo-cyclopentane)、tert-ブチルブロマイド(tert-Butyl bromide; 2-bromo-2-methylpropane)、1-ブロモブタン(1-Bromobutane)、2-ブロモブタン(2-Bromobutane)、2-ブロモ-3-メチルブタン、3-ブロモ-2,4-ジメチルペンタン、シクロヘキシルブロマイド、シクロペンチルブロマイド、tert-ブチルクロライド、1-クロロブタン、2-クロロブタン、2-クロロ-3-メチルブタン、3-クロロ-2,4-ジメチルペンタン、シクロヘキシルクロライド、及びシクロペンチルクロライドからなる群から選択された1種以上であり、好ましくはtert-ブチルヨージド、tert-ブチルブロマイド、tert-ブチルクロライド、1-ヨードブタン、2-ヨードブタン、1-ブロモブタン、2-ブロモブタン、1-クロロブタン及び2-クロロブタンからなる群から選択された1種以上であり、この場合、薄膜前駆体化合物の吸着構造と成長速度を調節しながら成長調節剤として基板の表面を効果的に保護(protection)し、工程副産物を効果的に除去するという利点がある。
【0090】
前述したように、前記炭化水素化合物はハロゲン置換した炭化水素であり得るのであって、具体的な例としては下記化学式40~化学式60で表される化合物が挙げられる。ここで、化学式40~化学式60で表される化合物は、互いに独立して選択されるか、またはこれらを混合して使用することができる。
【0091】
[化学式40~化学式60]
【0092】
(前記化学式40~化学式60において、線は結合であり、別途の元素を記載しない、結合と結合が交わる地点は、炭素であり、前記炭素の原子価を満たす数の水素は省略された。)
【0093】
前記金属薄膜前駆体組成物、金属薄膜前駆体化合物、成長調節剤は、好ましくは原子層蒸着(ALD)工程、プラズマ原子層蒸着(PEALD)工程、化学蒸着(CVD)工程またはプラズマ化学蒸着(PECVD)工程に使用されるものであり、この場合、薄膜前駆体化合物の吸着を阻害することなく成長調節剤として基板の表面を効果的に保護(protection)し、工程副産物を効果的に除去するという利点がある。
【0094】
前記成長調節剤は、好ましくは常温(22℃)で液体であり、密度が0.8~2.5g/cmまたは0.8~1.7g/cmであり、蒸気圧(20℃)が0.1~300mmHgまたは1~300mmHgであり、水における溶解度(25℃)が200mg/L以下でありうるのであり、この範囲内で段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質改善に優れるという効果がある。
【0095】
より好ましくは、前記成長調節剤は密度が0.75~2.0g/cmまたは0.8~1.7g/cmであり、蒸気圧(20℃)が0.1~1000mmHgであり、水における溶解度(25℃)が2000mg/L以下でありえ、この範囲内で段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質改善に優れた効果がある。
【0096】
また、本発明の薄膜形成方法は、また別の好ましい例として前記金属薄膜前駆体組成物をALDチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板表面に吸着させる段階を含むことを特徴とし、この場合、薄膜成長率が適切に上昇し、薄膜形成時に生成する工程副産物が効果的に除去され、薄膜内の不純物が減少され、結晶性が大きく向上する利点がある。
【0097】
前記薄膜形成方法は、反応ガスとして還元剤、窒化剤または酸化剤を使用する。
【0098】
前記薄膜形成方法は、一例として蒸着温度が50~700℃であり、好ましくは250~500℃であり、具体的な例としては250~450℃、280~450℃、または350~420℃であり、この範囲内で薄膜比抵抗、ステップカバレッジなどが大きく改善される利点がある。
【0099】
前記化学式1において、前記Mはチタン、タングステン、モリブデン、ケイ素、ハフニウム、ジルコニウム、インジウム、ゲルマニウムまたはニオブであり、好ましくはチタン、タングステン、モリブデン、またはニオブである。
【0100】
前記化学式1において、Nはハロゲン元素であり、好ましくはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素(iodine)であり、より好ましくはフッ素、塩素または臭素でありえ、この範囲内で工程副産物の減少及び基材への吸着力がさらに優れた利点がある。また、前記Nは、一例としてフッ素または塩素でありえ、この場合、薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制し、工程副産物の減少効果がさらに優れた利点がある。
【0101】
前記化学式1において、LはH、C、N、O、PまたはSであるか、またはH、C、N、O及びPからなる群から選択された2種以上の組み合わせからなるリガンドでありえ、この場合、薄膜の結晶性が改善され、副反応を抑制し、工程副産物の低減効果がさらに優れた利点がある。
【0102】
前記化学式1で表される化合物は、中心金属にハロゲン作用基を有する化合物であり、具体的な例としてモリブデナム(V)クロライド(MoCl)、(モリブデナムオキシテトラクロライド(MoOCl)、モリブデナムジクロライドデオキシド(MoOCl)、モリブデナム(VI)フルオライド(MoF)、タングステン(VI)クロライド(WCl)、タングステン(VI)フルオライド(WF)、ニオブ(V)クロライド(NbCl)またはニオブ(V)フルオライド(NbF)からなる群から選ばれた1種以上であり、この場合、工程副産物の除去効果が大きく、段差被覆性の改善及び基板への吸着効果に優れる。
【0103】
前記化学式1で表される化合物は、ハロゲン置換されたターシャリーアルキル化合物であり、具体的な例としてテトラクロロチタン、2-クロロ-3-メチルチタン、2-クロロ-2-メチルチタン、テトラブロモチタン、3-ブロモ-3-メチルチタン、3-ブロモ-3-メチルチタン、テトラクロロチタン、2-クロロ-3-メチルタングステン、2-クロロ-2-メチルタングステン、テトラブロモタングステン、3-ブロモ-3-メチルタングステン、3-ブロモ-3-メチルタングステン、テトラクロロモリブデナム(モリブデン)、2-クロロ3メチルモリブデナム、2-クロロ-2-メチルモリブデナム、テトラブロモモリブデナム、3-ブロモ-3-メチルモリブデナム、3-ブロモ-3-メチルモリブデナム、テトラクロロハフニウム、2-クロロ-3-メチルハフニウム、2-クロロ-2-メチルハフニウム、テトラブロモハフニウム、3-ブロモ-3-メチルハフニウム、3-ブロモ-3-メチルハフニウム、テトラクロロハフニウム、2-クロロ-3-メチルジルコニウム、2-クロロ-2-メチルジルコニウム、テトラブロモジルコニウム、3-ブロモ-3メチルジルコニウム、3-ブロモ-3-メチルジルコニウム、テトラクロロインジウム、2-クロロ3メチルインジウム、2-クロロ-2-メチルインジウム、テトラブロモインジウム、3-ブロモ-3メチルインジウム、または3-ブロモ-3-メチルインジウムからなる群から選択された1種以上であり、この場合、工程副産物の除去効果が大きく、段差被覆性の改善及び基板への吸着効果に優れる。
【0104】
前記化学式1で表される化合物(または導電性化合物)は、具体的な例を挙げて記載したが、これに限定するものではなく、通常的にALD(原子層蒸着方法)に使用される薄膜前駆体化合物である場合、特別に制限されない。
【0105】
本発明において、使用する「導電性化合物」は、他に特定しない限り、電子ドナーまたはアクセプターを有する物質は導電度を有し、これらの構造及び電荷移動の酸化状態によって影響を及ぼし得る物質を指称する。
【0106】
具体例としては、金属薄膜前駆体化合物、金属酸化膜前駆体化合物、金属窒化膜前駆体化合物及びシリコン窒化膜前駆体化合物からなる群から選択された1種以上を含むことができ、前記金属は、好ましくはタングステン、コバルト、クロム、アルミニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、ゲルマニウム、ランタン族元素、アクチニウム族元素、ガリウム、タンタル、ジルコニウム、ルテニウム、銅、チタン、ニッケル、イリジウム、モリブデン、白金、ルテニウム、ニオブ及びイリジウムからなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0107】
前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、それぞれ一例として金属ハロゲン化物、金属アルコキシド、アルキル金属化合物、金属アミノ化合物、金属カルボニル化合物、及び置換または無置換シクロペンタジエニル金属化合物等からなる群から選択された1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0108】
前記金属酸化物膜前駆体は、一例として、PtO、PtO、RuO、IrO、SrRuO、BaRuO及びCaRuOからなる群から独立して選択されるのであり得る。
【0109】
具体的な例として、前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、それぞれテトラクロロチタン(tetrachlorotitanium)、テトラクロロゲルマニウム(tetrachloro germanium)、テトラクロロチン(tetrchlorotin)、トリス(イソプロピル)エチルメチルアミノゲル(tris(isopropyl) ethylmethyl aminogermanium)、テトラエロキシゲルマニウム(tetraethoxyl germanium)、テトラメチルチン(tetramethyltin)、テトラエチルチン(tetraethyl tin)、ビスアセチルアセトネートチン(bisacetyl acetonatetin)、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminum)、テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマニウム(tetrakis(dimethylamino) germanium)、ビス(n-ブチルアミノ)ゲルマニウム(bis(n-butylamino) germanium)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チン(tetrakis(ethylmethylamino)tin)、テトラキス(ジメチルアミノ)チン(tetrakis(dimethylamino)tin)、Co(CO)(dicobalt octacarbonyl)、Cp2Co(biscyclopentadienyl cobalt)、Co(CO)(NO)(cobalt tricarbonyl nitrosyl)、及びCpCo(CO)(cobalt dicarbonyl cyclopentadienyl)などからなる群から選択された1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0110】
前記シリコン窒化膜前駆体は一例としてSiH4, SiCl4, SiF4, SiCl2H2, Si2Cl6, TEOS, DIPAS, BTBAS, (NH2)Si(NHMe)3, (NH2)Si(NHEt)3, (NH2)Si(NHnPr)3, (NH2)Si(NHiPr)3, (NH2)Si(NHnBu)3, (NH2)Si(NHiBu)3, (NH2)Si(NHtBu)3, (NMe2)Si(NHMe)3, (NMe2)Si(NHEt)3, (NMe2)Si(NHnPr)3, (NMe2)Si(NHiPr)3, (NMe2)Si(NHnBu)3, (NMe2)Si(NHiBu)3, (NMe2)Si(NHtBu)3, (NEt2)Si(NHMe)3, (NEt2)Si(NHEt)3, (NEt2)Si(NHnPr)3, (NEt2)Si(NHiPr)3, (NEt2)Si(NHnBu)3, (NEt2)Si(NHiBu)3, (NEt2)Si(NHtBu)3, (NnPr2)Si(NHMe)3, (NnPr2)Si(NHEt)3, (NnPr2)Si(NHnPr)3, (NnPr2)Si(NHiPr)3, (NnPr2)Si(NHnBu)3, (NnPr2)Si(NHiBu)3, (NnPr2)Si(NHtBu)3, (NiPr2)Si(NHMe)3, (NiPr2)Si(NHEt)3, (NiPr2)Si(NHnPr)3, (NiPr2)Si(NHiPr)3, (NiPr2)Si(NHnBu)3, (NiPr2)Si(NHiBu)3, (NiPr2)Si(NHtBu)3, (NnBu2)Si(NHMe)3, (NnBu2)Si(NHEt)3, (NnBu2)Si(NHnPr)3, (NnBu2)Si(NHiPr)3, (NnBu2)Si(NHnBu)3, (NnBu2)Si(NHiBu)3, (NnBu2)Si(NHtBu)3, (NiBu2)Si(NHMe)3, (NiBu2)Si(NHEt)3, (NiBu2)Si(NHnPr)3, (NiBu2)Si(NHiPr)3, (NiBu2)Si(NHnBu)3, (NiBu2)Si(NHiBu)3, (NiBu2)Si(NHtBu)3, (NtBu2)Si(NHMe)3, (NtBu2)Si(NHEt)3, (NtBu2)Si(NHnPr)3, (NtBu2)Si(NHiPr)3, (NtBu2)Si(NHnBu)3, (NtBu2)Si(NHiBu)3, (NtBu2)Si(NHtBu)3, (NH2)2Si(NHMe)2, (NH2)2Si(NHEt)2, (NH2)2Si(NHnPr)2, (NH2)2Si(NHiPr)2, (NH2)2Si(NHnBu)2, (NH2)2Si(NHiBu)2, (NH2)2Si(NHtBu)2, (NMe2)2Si(NHMe)2, (NMe2)2Si(NHEt)2, (NMe2)2Si(NHnPr)2, (NMe2)2Si(NHiPr)2, (NMe2)2Si(NHnBu)2, (NMe2)2Si(NHiBu)2, (NMe2)2Si(NHtBu)2, (NEt2)2Si(NHMe)2, (NEt2)2Si(NHEt)2, (NEt2)2Si(NHnPr)2, (NEt2)2Si(NHiPr)2, (NEt2)2Si(NHnBu)2, (NEt2)2Si(NHiBu)2, (NEt2)2Si(NHtBu)2, (NnPr2)2Si(NHMe)2, (NnPr2)2Si(NHEt)2, (NnPr2)2Si(NHnPr)2, (NnPr2)2Si(NHiPr)2, (NnPr2)2Si(NHnBu)2, (NnPr2)2Si(NHiBu)2, (NnPr2)2Si(NHtBu)2, (NiPr2)2Si(NHMe)2, (NiPr2)2Si(NHEt)2, (NiPr2)2Si(NHnPr)2, (NiPr2)2Si(NHiPr)2, (NiPr2)2Si(NHnBu)2, (NiPr2)2Si(NHiBu)2, (NiPr2)2Si(NHtBu)2, (NnBu2)2Si(NHMe)2, (NnBu2)2Si(NHEt)2, (NnBu2)2Si(NHnPr)2, (NnBu2)2Si(NHiPr)2, (NnBu2)2Si(NHnBu)2, (NnBu2)2Si(NHiBu)2, (NnBu2)2Si(NHtBu)2, (NiBu2)2Si(NHMe)2, (NiBu2)2Si(NHEt)2, (NiBu2)2Si(NHnPr)2, (NiBu2)2Si(NHiPr)2, (NiBu2)2Si(NHnBu)2, (NiBu2)2Si(NHiBu)2, (NiBu2)2Si(NHtBu)2, (NtBu2)2Si(NHMe)2, (NtBu2)2Si(NHEt)2, (NtBu2)2Si(NHnPr)2, (NtBu2)2Si(NHiPr)2, (NtBu2)2Si(NHnBu)2, (NtBu2)2Si(NHiBu)2, (NtBu2)2Si(NHtBu)2, Si(HNCH2CH2NH)2, Si(MeNCH2CH2NMe)2, Si(EtNCH2CH2NEt)2, Si(nPrNCH2CH2NnPr)2, Si(iPrNCH2CH2NiPr)2, Si(nBuNCH2CH2NnBu)2, Si(iBuNCH2CH2NiBu)2, Si(tBuNCH2CH2NtBu)2, Si(HNCHCHNH)2, Si(MeNCHCHNMe)2, Si(EtNCHCHNEt)2, Si(nPrNCHCHNnPr)2, Si(iPrNCHCHNiPr)2, Si(nBuNCHCHNnBu)2, Si(iBuNCHCHNiBu)2, Si(tBuNCHCHNtBu)2, (HNCHCHNH)Si(HNCH2CH2NH), (MeNCHCHNMe)Si(MeNCH2CH2NMe), (EtNCHCHNEt)Si(EtNCH2CH2NEt), (nPrNCHCHNnPr)Si(nPrNCH2CH2NnPr), (iPrNCHCHNiPr)Si(iPrNCH2CH2NiPr), (nBuNCHCHNnBu)Si(nBuNCH2CH2NnBu), (iBuNCHCHNiBu)Si(iBuNCH2CH2NiBu), (tBuNCHCHNtBu)Si(tBuNCH2CH2NtBu), (NHtBu)2Si(HNCH2CH2NH), (NHtBu)2Si(MeNCH2CH2NMe), (NHtBu)2Si(EtNCH2CH2NEt), (NHtBu)2Si(nPrNCH2CH2NnPr), (NHtBu)2Si(iPrNCH2CH2NiPr), (NHtBu)2Si(nBuNCH2CH2NnBu), (NHtBu)2Si(iBuNCH2CH2NiBu), (NHtBu)2Si(tBuNCH2CH2NtBu), (NHtBu)2Si(HNCHCHNH), (NHtBu)2Si(MeNCHCHNMe), (NHtBu)2Si(EtNCHCHNEt), (NHtBu)2Si(nPrNCHCHNnPr), (NHtBu)2Si(iPrNCHCHNiPr), (NHtBu)2Si(nBuNCHCHNnBu), (NHtBu)2Si(iBuNCHCHNiBu), (NHtBu)2Si(tBuNCHCHNtBu), (iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHMe)2, (iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHEt)2, (iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHnPr)2, (iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHiPr)2, (iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHnBu)2, (iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHiBu)2,
(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHtBu)2, (iPrNCHCHNiPr)Si(NHMe)2, (iPrNCHCHNiPr)Si(NHEt)2, (iPrNCHCHNiPr)Si(NHnPr)2, (iPrNCHCHNiPr)Si(NHiPr)2, (iPrNCHCHNiPr)Si(NHnBu)2, (iPrNCHCHNiPr)Si(NHiBu)2及び(iPrNCHCHNiPr)Si(NHtBu)2からなる群から選択された1種以上であり得るが、これに制限されるものではない。
【0111】
前記Prはn-プロピルを意味し、Prはiso-プロピルを意味し、Buはn-ブチルを、Buはiso-ブチルを、Buはtert-ブチルを意味する。
【0112】
前記薄膜前駆体化合物は、好ましい一実施例として、TiCl、(Ti(CpMe)(OMe))、Ti(CpMe)(OMe)、Ti(OMe)、Ti(OEt)、Ti(OtBu)、Ti(CpMe)(OiPr)、TTIP(Ti(OiPr)、TDMAT(Ti(NMe)、Ti(CpMe){N(Me}、Pt、Ru、Ir、PtO、PtO、RuO、IrO、SrRuO、BaRuO及びCaRuOからなる群から選択された1種以上を含みうるのであり、この場合、本発明で達成しようとする効果を十分に得ることができる。
【0113】
前記テトラハロゲン化チタンは、薄膜形成用組成物の金属前駆体として使用することがあり得る。前記テトラハロゲン化チタンは、一例としてTiF、TiCl、TiBr及びTiIからなる群から選択される少なくともいずれかでありうるのであって、例えばTiClであることが経済的観点から好ましいが、これに限定されるものではない。
【0114】
一例として、前記テトラハロゲン化チタンは、熱的な安定性に優れ、常温で分解せず液体状態で存在するため、ALD(原子層蒸着法)の前駆体として使用して薄膜を蒸着させるのに有用に使用することがあり得る。
【0115】
前記薄膜前駆体化合物は、一例として非極性溶媒(前記炭化水素化合物と重なる種類は除く)と混合してチャンバー内に投入されうるのであって、この場合、薄膜前駆体化合物の粘度や蒸気圧を容易に調節できるという利点がある。
【0116】
前記非極性溶媒は、好ましくはアルカン及びシクロアルカンからなる群から選択された1種以上でありうるのであって、このような場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易な有機溶媒を含有しつつ、薄膜形成時の蒸着温度が増加しても段差被覆性(step coverage)が向上するという利点がある。
【0117】
より好ましい例として、前記非極性溶媒は、C~C10のアルカン(alkane)、またはC~C10のシクロアルカン(cycloalkane)を含みうるのであり、好ましくはC~C10のシクロアルカン(cycloalkane)であり、この場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易であるという利点がある。
【0118】
本記載において、C、Cなどは炭素数を意味する。
【0119】
前記シクロアルカンは、好ましくはC~C10のモノシクロアルカンでありうるのであり、前記モノシクロアルカンのうちで、シクロペンタン(cyclopentane)が常温にて液体であり、最も蒸気圧が高く、気相蒸着工程において好ましいが、これに限定されるものではない。
【0120】
前記非極性溶媒は、一例として水における溶解度(25℃)が200mg/L以下、好ましくは50~200mg/L、より好ましくは135~175mg/Lであり、この範囲内にて薄膜前駆体化合物に対する反応性が低く、水分管理が容易であるという利点がある。
【0121】
本記載において、溶解度は、本発明が属する技術分野で通常的に使用する測定方法や基準に基づく場合、特別に制限されず、一例として、飽和溶液をHPLC法で測定することができる。
【0122】
前記非極性溶媒は、好ましくは薄膜前駆体化合物及び非極性溶媒を合わせた総重量に対して5~95重量%を含みうるのであって、より好ましくは10~90重量%を含みうるのであり、さらに好ましくは40~90重量%を含みうるのであって、さらにより好ましくは70~90重量%を含みうる。
【0123】
もし、前記非極性溶媒の含量について、前記上限値を超過して投入されると、不純物を誘発することから抵抗と薄膜内の不純物の数値とが増加し、前記有機溶媒の含量が前記下限値未満で投入される場合、溶媒添加による段差被覆性の向上効果及び塩素(Cl)イオンのような不純物の低減効果が少ないという欠点がある。
【0124】
好ましくは、前記化学式1で表される化合物または導電性化合物は、好ましくは常温(22℃)で液体であり、密度が0.8~2.5g/cmまたは0.8~1.5g/cmであり、蒸気圧(20℃)が0.1~300mmHgまたは1~300mmHgでありうるのであり、この範囲内にて段差被覆性、薄膜の厚さ均一性、及び膜質改善に優れるという効果がある。
【0125】
より好ましくは、前記化学式1で表される化合物または導電性化合物は、密度が0.7~2.0g/cmまたは0.8~1.8g/cmであり、蒸気圧(20℃)が0.1~1000mmHgでありうるのであり、この範囲内にて段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質改善に優れるという効果がある。
【0126】
前記成長調節剤と、前記薄膜前駆体化合物のチャンバー内の投入量(mg/cycle)との比は、好ましくは1:0.1~1:20でありうるのであって、より好ましくは1:0.2~1:15でありうるのであり、さらに好ましくは1:0.5~1:12であって、さらにより好ましくは1:0.7~1:10であり、この範囲内にて段差被覆性の向上効果及び工程副産物の低減効果が大きい。
【0127】
前記成長調節剤と薄膜前駆体化合物からなる前駆体組成物は、好ましくは原子層蒸着(ALD)工程、プラズマ原子層蒸着(PEALD)工程、化学蒸着(CVD)工程、またはプラズマ化学蒸着(PECVD)工程に使用されるものであり、この場合、工程副産物の低減効果が大きく、段差被覆性に優れ、薄膜密度の向上効果及び薄膜の電気的特性に優れるという利点がある。
【0128】
本発明の薄膜形成方法は、前記前駆体組成物をチャンバー内に注入してローディング(loading)された基板表面に吸着させる段階を含むことを特徴とし、このような場合、薄膜形成時の副反応を抑制し、薄膜成長率を調節することができ、薄膜内の工程副産物が低減され、腐食や劣化が低減され、薄膜の結晶性が向上され、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の電気的特性を大きく向上させる効果がある。
【0129】
前記前駆体組成物を基板表面に吸着させる段階は、基板表面に、薄膜前駆体組成物、薄膜前駆体組成物を構成する金属薄膜前駆体化合物または成長調節剤を供給する時間(Feeding Time)が、サイクル当たり好ましくは0.01~10秒、より好ましく0.02~5秒、さらに好ましくは0.04~3秒、一層好ましくは0.05~2秒であり、この範囲内にて薄膜成長率が低く、段差被覆性及び経済性に優れるという利点がある。
【0130】
本記載において、前駆体組成物の供給時間(Feeding Time)は、チャンバーの体積15~20L及び流量0.5~100mg/sを基準とし、より具体的にはチャンバーの体積18L及び流量1~25mg/sを基準とする。
【0131】
前記薄膜形成方法は、好ましい一実施例としてi) 前記前駆体組成物を気化してチャンバー内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;ii) 前記チャンバーの内部をパージガスでもって1次パージする段階;iii) 前記チャンバーの内部に反応ガスを供給する段階;及びiv) 前記チャンバー内部をパージガスでもって2次パージする段階を含むのでありうる。この際、前記i)段階~iv)段階を単位サイクル(cycle)として、目的する厚さの薄膜が得られるまで前記サイクルを繰り返し行いうるのであって、このように、1サイクル内にて本発明の成長調節剤を薄膜前駆体化合物と共に投入して基板に吸着させる場合に、低温で蒸着しても、生成される工程副産物が効果的に除去され、薄膜の比抵抗が改善され、段差被覆性が大きく向上するという利点がある。
【0132】
本発明の薄膜形成方法は、好ましい一例として、1サイクル内で本発明の成長調節剤を薄膜前駆体化合物と共に投入して基板に吸着させることができ、この場合、低温で薄膜を蒸着しても、薄膜成長率を適切に減少させることにより、工程副産物が大きく減少され、段差被覆性が大きく向上されうるのであって、薄膜の結晶性が増加し、薄膜の比抵抗が改善されうる、アスペクト比が大きい半導体素子に適用しても、薄膜の厚さ均一性が大きく向上され、半導体素子の信頼性を確保するという利点がある。
【0133】
前記薄膜形成方法は、一例として、前記成長調節剤を薄膜前駆体化合物の蒸着と同時に吸着させる場合、必要に応じて、単位サイクルを1~99,999回繰り返し行うことができ、好ましくは単位サイクルを10~10,000回、より好ましくは50~5,000回、さらに好ましくは100~2,000回繰り返し行うことができ、この範囲内で目的する薄膜の厚さを得られるとともに、本発明にて達成しようとする比抵抗をはじめとする物性改善効果を十分に得ることができる。
【0134】
また、後述する実施例で示すように、前記成長調節剤を薄膜前駆体化合物の蒸着前に吸着させるか、または薄膜前駆体化合物の蒸着の後に吸着させた場合には、成長調節剤と薄膜前駆体化合物とを同時に投入して蒸着させた場合に得られる、比抵抗をはじめとする物性の改善効果もまた得ることができる。
【0135】
基板上に前記成長調節剤と薄膜前駆体化合物を共に、または順次吸着させる場合、前記未吸着の前駆体組成物をパージする段階で、前記チャンバー内部に投入されるパージガスの量は、前記未吸着の前駆体組成物を除去するのに十分である量であれば特別に制限されないが、一例として10~100,000倍でありうるのであって、好ましくは50~50,000倍、より好ましくは100~10,000倍でありうるのであり、この範囲内で、未吸着の前駆体組成物を十分に除去することから薄膜が均一に形成され、膜質の劣化を防ぐことができる。ここで、前記パージガス及び前駆体組成物の投入量は、それぞれ1サイクルを基準とし、前記前駆体組成物の体積は、気化した金属薄膜前駆体組成物の蒸気の体積を意味する。
【0136】
具体的な一例として、前記前駆体組成物を流速1.66mL/s及び注入時間0.5secで注入(1サイクル当たり)し、未吸着の前駆体組成物をパージする段階にてパージガスを流量166.6mL/s及び注入時間3secで注入(1サイクル当たり)する場合、パージガスの注入量は金属薄膜前駆体組成物の注入量の602倍である。
【0137】
また、前記反応ガス供給段階の直後に行うパージ段階にて前記チャンバー内部に投入されるパージガスの量は、一例として、前記チャンバーの内部に投入された反応ガスの体積を基準として10~10,000倍でありうるのであって、好ましくは50~50,000倍、より好ましくは100~10,000倍でありうるのであって、この範囲内にて所望の効果を十分に得ることができる。ここで、前記パージガス及び反応ガスの投入量は、それぞれ1サイクルを基準とする。
【0138】
前記の金属薄膜前駆体組成物及び薄膜前駆体化合物は、好ましくは、VFC方式、DLI方式またはLDS方式でALDチャンバー、CVDチャンバー、PEALDチャンバー、またはPECVDチャンバー内へ移送することがありうるのであって、より好ましくはLDS方式でALDチャンバー内へ移送されるのである。
【0139】
前記前駆体組成物を構成する成長調節剤と薄膜前駆体化合物とのチャンバー内への投入量(mg/サイクル)の比は、好ましくは1:0.1~1:20でありうるのであって、より好ましくは1:0.2~1:15、さらに好ましくは1:0.5~1:12であり、さらり一層好ましくは1:0.7~1:10であり、この範囲内で、段差被覆性の向上効果及び工程副産物の低減効果が大きい。
【0140】
前記薄膜形成方法は、一例として、前記前駆体組成物を使用する場合、下記数式1で算出される比抵抗(μΩ・cm)改善度が-50%以下であり、好ましくは-50%~-10%であり、この範囲内で、段差被覆性、抵抗率特性及び膜の厚さ均一性が優れる。
【0141】
[数式1]
比抵抗改善度(%)=[(成長調節剤を使用したときの比抵抗-成長調節剤を使用しなかったときの比抵抗)/成長調節剤を使用しなかったときの比抵抗]X100
【0142】
前記数式1において、成長調節剤を使用したとき、及び使用しなかったときの比抵抗の改善度は、それぞれの導電性の特性、すなわち比抵抗(μΩ・cm)を意味し、前記比抵抗は、一例として四端子法(four-point probe)の方式で測定して面抵抗を求めた後、前記薄膜の厚さの値から求めることができる。
【0143】
前記数式1において、「成長調節剤を使用したとき」は、薄膜蒸着工程にて、基板上に、成長調節剤と薄膜前駆体化合物とを共に吸着させて薄膜を製造する場合を意味し、「成長調節剤を使用しなかったとき」は、薄膜蒸着工程にて、基板上に、成長調節剤を未使用のまま、薄膜前駆体化合物を吸着させて薄膜を製造する場合を指す。
【0144】
前記薄膜形成方法は、XPSに基づいて測定された、薄膜厚さ100Å(10nm)を基準とした薄膜内の残留ハロゲン強度(c/s)が、好ましくは100,000以下、より好ましくは90,000以下、さらに好ましくは80,000以下、さらにより好ましくは76,000以下でありうるのであり、この範囲内で、腐食及び劣化が防止される効果が優れる。
【0145】
前記薄膜形成方法は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry;二次イオン質量分析)に基づいて測定された薄膜厚さ100Å(10nm)基準薄膜内の残留ハロゲン強度(c/s)が好ましくは100,000以下、より好ましくは90,000以下、さらに好ましくは80,000以下、一層好ましくは76,000以下でありうるのであり、この範囲内で、腐食及び劣化が防止される効果が優れる。
【0146】
本記載においてパージは、好ましくは1,000~50,000sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)、より好ましくは2,000~30,000sccm、さらに好ましくは2,500~15,000sccmであり、この範囲内でサイクル当たりの薄膜成長率が適当に制御されることから、単一原子層(atomic mono-layer)に、またはこれに近いように、蒸着が行われ、膜質の側面から有利であるという利点がある。
【0147】
前記ALD(原子層蒸着工程)またはPEALD(プラズマ原子層蒸着工程)は、高いアスペクト比が要求される集積回路(IC:Integrated Circuit)製作において極めて有利であり、特に自己制限的な薄膜成長メカニズムにより、優れた段差塗布性(conformality)、均一な被覆性(uniformity)及び精密な厚さ制御などのような利点がある。
【0148】
前記薄膜形成方法は、一例として50~700℃の範囲の蒸着温度で行うことができ、好ましくは300~700℃の範囲の蒸着温度で、より好ましくは400~650℃の範囲の蒸着温度で行うものであり、さらに好ましくは400~600℃の範囲の蒸着温度で行うものであり、この範囲内で、ALD工程の特性を具現しつつ優れた膜質の薄膜に成長させるという効果がある。
【0149】
前記薄膜形成方法は、一例として0.01~20Torrの範囲の蒸着圧力で行うことができ、好ましくは0.1~20Torrの範囲の蒸着圧力で、より好ましくは0.1~10Torrの範囲の蒸着圧力で、最も好ましくは0.1~7Torrの範囲の蒸着圧力で行うのであるが、この範囲内で均一な厚さの薄膜を得る効果がある。
【0150】
本記載において、蒸着温度及び蒸着圧力は、蒸着チャンバー内に形成される温度及び圧力で測定されるか、または蒸着チャンバー内の基板に加えられる温度及び圧力で測定されるのであり得る。
【0151】
前記薄膜形成方法は、好ましくは、前記薄膜前駆体組成物、もしくは前記薄膜前駆体組成物を構成する成長調節剤または金属薄膜前駆体化合物を、チャンバーの内部に投入する前に、チャンバーの内部の温度を蒸着温度に昇温する段階;及び/または、前記前駆体組成物をチャンバーの内部に投入する前に、チャンバーの内部に不活性ガスを注入してパージする段階を含むことができる。
【0152】
また、本発明は、前記薄膜製造方法を具現することができる薄膜製造装置として、ALDチャンバーと、成長調整剤を気化する第1の気化器と、気化された成長調整剤をALDチャンバー内へと移送する第1移送手段と、薄膜前駆体化合物を気化する第2の気化器と、気化した薄膜前駆体化合物をALDチャンバー内へと移送する第2移送手段と、を含む薄膜製造装置を含むのでありうる。
【0153】
また、本発明は、前記薄膜製造装置に、前記気化された成長調整剤と前記気化された薄膜前駆体化合物とを混合ミキシングするミキシング手段を含み、前駆体組成物を予めミキシングした後、チャンバー内へ移送させることもあり得る。
【0154】
ここで、チャンバー、気化器、移送手段、またはミキシング手段は、本発明が属する技術分野で通常使用されるチャンバー、気化器、移送手段またはミキシング手段である場合、特別に制限されない。
【0155】
具体的な例として、前記ALD工程を使用した薄膜形成方法について説明すると、まず、上部に薄膜が形成される基板を、原子層蒸着が可能な蒸着チャンバーの内部に位置させる。
【0156】
前記基板は、シリコン基板、シリコンオキシドなどの半導体基板を含むことができる。
【0157】
前記基板は、その上部に、導電層または絶縁層がさらに形成されているのでありうる。
【0158】
前記蒸着チャンバーの内部に位置させた基板上に薄膜を蒸着するために、上述した成長調整剤と、薄膜前駆体化合物またはこれと非極性溶媒の混合物とをそれぞれ準備する。
【0159】
その後、それぞれを気化器の内部に注入した後、蒸気状に変化させて、蒸着チャンバーに順次伝達することで基板上に吸着させるか、または、薄膜形成用組成物を予め製造した後、一つの気化器を使用し蒸気状に変化させて、蒸着チャンバーに伝達し、基板上に吸着させることができ、続いてパージ(purging)することで未吸着の前駆体組成物(薄膜形成用組成物)を除去する。
【0160】
本発明の一実施例によれば、金属薄膜前駆体化合物と反応しない成長調節剤を使用するため、パージの際に成長調節剤は大部分が除去されうる。
【0161】
本記載において、成長調節剤及び金属薄膜前駆体化合物等(薄膜形成用組成物)を蒸着チャンバーに伝達する方式は、一例として、気体状流量制御(Mass Flow Controller;MFC)法を活用して、揮発した気体を移送する方式(Vapor Flow Control;VFC)、または、液体状の流量制御(Liquid Mass Flow Controller;LMFC)法を活用して液体を移送する方式(Liquid Delivery System;LDS)を使用することができ、好ましくはLDS方式を使用するものである。
【0162】
この際、成長調節剤及び金属薄膜前駆体化合物等を基板上に移動させるための、輸送ガスまたは希釈ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)からなる群から選択される1つまたは2つ以上の混合気体を使用することができるが、制限されるものではない。
【0163】
本記載において、パージガスとしては、一例として、不活性ガスが使用されうるのであり、好ましくは前記の輸送ガスまたは希釈ガスを使用することができる。
【0164】
次に、反応ガスを供給する。前記反応ガスとしては、本発明が属する技術分野で通常的に使用される反応ガスである場合、特別に制限されないのであり、好ましくは、還元剤、窒化剤または酸化剤を含むことができる。前記還元剤と、基板に吸着された薄膜前駆体化合物とが反応して金属薄膜が形成されるのであって、前記窒化剤によるならば金属窒化物薄膜が形成され、前記酸化剤によるならば金属酸化物薄膜が形成される。
【0165】
好ましくは、前記還元剤は、アンモニアガス(NH)または水素ガス(H)でありうるのであって、前記窒化剤は、窒素ガス(N)、ヒドラジンガス(N)、または窒素ガス及び水素ガスの混合物でありうるのであり、前記酸化剤は、HO、H、O、O及びNOからなる群から選択された1種以上であり得る。
【0166】
次に、不活性ガスを用いて、反応しない残留反応ガスをパージさせる。これにより、過量の反応ガスだけでなく生成された副産物も共に除去することができる。
【0167】
前記のように、前記薄膜形成方法は、一例として、前駆体組成物を基板上に吸着させる段階、未吸着の前駆体組成物をパージする段階、反応ガスを供給する段階、残留反応ガスをパージする段階を、単位サイクルとし、所望する厚さの薄膜を形成するために、前記単位サイクルを繰り返すことができる。
【0168】
前記薄膜形成方法は、また別の例として、金属薄膜前駆体化合物を基板上に吸着させる段階、未吸着の金属薄膜前駆体化合物をパージする段階、成長調節剤を基板上に吸着させる段階、未吸着の成長調節剤または物理的に吸着した成長調節剤をパージする段階、反応ガスを供給する段階、残留反応ガスをパージする段階を、単位サイクルとし、所望の厚さの薄膜を形成するため、前記単位サイクルを繰り返すことができる。
【0169】
前記薄膜形成方法は、また別の例として、成長調節剤を基板上に吸着させる段階、未吸着の成長調節剤をパージする段階、金属薄膜前駆体化合物を基板上に吸着させる段階、未吸着の金属薄膜前駆体化合物と、延いては物理的に吸着された成長調節剤をパージする段階、反応ガスを供給する段階、残留反応ガスをパージする段階を単位サイクルとし、所望の厚さの薄膜を形成するため、前記単位サイクルを繰り返すことができる。
【0170】
前記単位サイクルは、一例として1~99,999回、好ましくは10~1,000回、より好ましくは50~5,000回、さらに好ましくは100~2,000回繰り返すことができ、この範囲内で、目的する薄膜特性が良好に発現されるという効果がある。
【0171】
本発明は、また半導体基板を提供し、前記半導体基板は、本記載の薄膜形成方法で製造されることを特徴とし、このような場合、薄膜の段差被覆性(step coverage)、薄膜の厚さ均一性、及び比抵抗特性が大きく優れ、薄膜の密度及び電気的特性に優れるという効果がある。
【0172】
前記製造された薄膜は、好ましくは、厚さが30nm以下であり、薄膜厚さ10nm基準の比抵抗値が5~2000μΩ・cmであり、ハロゲン含量が10,000ppm以下であり、段差被覆率が80%以上であり、この範囲内で拡散防止膜、誘電膜、または絶縁膜として性能に優れ、金属配線材料の腐食が低減されるという効果があるが、これに限定するものではない。
【0173】
前記薄膜は、厚さが一例として1~30nm、好ましくは2~27nm、より好ましくは3~25nm、さらに好ましくは5~23nmでありうるのであって、この範囲内で薄膜特性に優れた効果がある。
【0174】
前記薄膜は、一例として、薄膜厚さ10nm基準比抵抗値が5~2000μΩ・cm、好ましくは5~1900μΩ・cmでありうるのであって、この範囲内で薄膜特性に優れた効果がある。
【0175】
前記薄膜は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)によって分析したハロゲン含量が、好ましくは10,000ppm以下、または0.001~8,000ppm、より好ましくは0.001~5,000ppm、さらに好ましくは0.001~1000ppmでありうるのであって、この範囲内で薄膜特性に優れつつ金属配線材料の腐食が低減されるという効果がある。ここで、前記薄膜に残留するハロゲンは、一例としてCl、Cl、またはClでありうるのであって、薄膜内のハロゲン残留量が低いほど膜質が優れて好ましい。
【0176】
また、前記薄膜は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)に基づいて測定された、薄膜厚さ100Å(10nm)基準の薄膜内の残留ハロゲン強度(c/s)が、好ましくは100,000以下、より好ましくは90,000以下、さらに好ましくは 80,000以下、一層好ましくは76,000以下でありうるのであり、このような範囲内で腐食及び劣化が防止される効果が優れる。ここで、前記薄膜に残留するハロゲンは、一例としてF、F、またはFでありうるのであって、薄膜内のハロゲン残留量が低いほど膜質が優れることから好ましい。
【0177】
前記薄膜は、一例として、段差被覆率が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、この範囲内で、複雑な構造の薄膜でも容易に基板に蒸着させることができ、次世代の半導体装置に適用可能であるという利点がある。
【0178】
前記製造された薄膜は、モリブデンのもの、例えば、具体的な例として、モリブデン薄膜、モリブデン窒化膜(MoxNy、ここで0<x≦1.2,0<y≦1.2、好ましくは0.8≦x≦1,0.8≦y≦1、より好ましくはそれぞれ1であり得る)及びモリブデン酸化膜(MozOw、ここで0<x≦1.2,0<y≦1.2、好ましくは0.8≦x≦1,0.8≦y≦1、より好ましくはそれぞれ1であり得る)からなる群からの1種または2種を含みうるのであって、好ましくはモリブデン窒化膜を含みうるのであり、この場合、半導体素子の拡散防止膜、エッチング停止膜または配線(electrode)として有用であるという利点がある。
【0179】
本発明で提示された他の金属薄膜、金属窒化膜及び金属酸化膜も該当されうるのであり、一例として、前記製造された薄膜は、反応ガスとして酸素、オゾンをはじめとした酸化剤を使用する場合、下記化学式61で表される薄膜を形成することができる。
【0180】
[化学式61]
(M1-aM”a)Ob
【0181】
前記化学式61において、aは0≦a<1であり、bは0<b≦2であり、Mは4族またはチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ストロンチウム(Sr)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、またはタンタル(Ta)の原子から選択されたものである。
【0182】
前記薄膜は、一例として、必要によって2層または3層の多層構造であり得る。前記2層構造の多層膜は、具体的な一例として、下層膜-中層膜の構造でありうるのであって、前記3層構造の多層膜は、具体的な一例として、下層膜-中層膜-上層膜の構造であり得る。
【0183】
前記下層膜は、誘電膜でありうるのであって、一例としてSiO、MgO、Al3、CaO、ZrSiO、ZrO、HfSiO、Y、HfO、LaLuO、LaAlO、BaZrO、SrZrO、SrTiO、BaTiO、Si、SrO、La、Ta、BaO、TiOからなる群から選択された1種以上を含んで形成され得る。
【0184】
前記中層膜は、一例としてTixNy、好ましくはTiNを含んで形成され得る。
【0185】
前記上層膜は、一例としてW、Moからなる群から選択された1種以上を含んで形成され得る。
【0186】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例及び図面を提示するが、下記実施例及び図面は、本発明を例示するだけであり、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形、及び修正が添付された特許請求範囲に属することも当然なものである。
【0187】
[実施例]
[実施例1~5、比較例1~3、参考例1~2]
下記実施例1~5、比較例1~3、参考例1~2で使用する成長調節剤と金属薄膜前駆体化合物として、下記表1に示した組み合わせを選定した。
【0188】
【表1】
【0189】
<実施例1~3>
成長調節剤として、前記表1に記載の化合物のうち、成長調節剤としてtert-ブチルヨージド(tert-butyl iodide)と金属薄膜前駆体化合物としてMoOClをそれぞれ準備した。準備した成長調節剤と薄膜前駆体化合物とをそれぞれキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で150℃に加熱された気化器に供給した。
【0190】
気化器にて蒸気状に気化された成長調節剤及び薄膜前駆体化合物を、それぞれ1秒間、基板がローディングされた蒸着チャンバーに、1:1の投入量比で投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給することでアルゴンパージを行った。この際、反応チャンバー内の圧力は2.5Torrに制御した。
【0191】
次に、反応性ガスとしてアンモニア1000sccmを3秒間、前記反応チャンバーに投入した後、3秒間アルゴンパージを行った。この際、金属薄膜が形成される基板を下記表2に示した温度に加熱した。このような工程を200~400回繰り返して、10nm厚さの自己制限の原子層であるMoN薄膜を形成した。
【0192】
<比較例1~3>
前記実施例1~3において成長調節剤を含まないものを除いては、前記実施例1~3と同様の工程を繰り返した。
【0193】
結果的に、10nm厚さの自己制限の原子層であるMoN薄膜を形成した。
【0194】
<実施例4>
前記実施例1において、気化器で蒸気状に気化した成長調節剤と薄膜前駆体化合物をそれぞれ1秒間基板がローディングされた蒸着チャンバーに1:1の投入量比で順次投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを行ったことを除いては、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0195】
具体的には、気化器で蒸気状に気化された成長調整剤を1秒間基板がローディングされた蒸着チャンバーに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを行った後、気化器で蒸気状に気化した金属薄膜前駆体化合物を1秒間基板がローディングされた蒸着チャンバーに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを行った。
【0196】
その結果、200~400回繰り返して、10nm厚さの自己‐制限の原子層であるMoN薄膜を形成した。
【0197】
<実施例5>
前記実施例1において、気化器で蒸気状に気化された成長調節剤と薄膜前駆体化合物をそれぞれ1秒間基板がローディングされた蒸着チャンバーに1:1の投入量比で順次投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを行ったことを除いては、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0198】
具体的には、気化器で蒸気状に気化された金属薄膜前駆体化合物を1秒間基板がローディングされた蒸着チャンバーに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを行った後、気化器で蒸気状に気化した成長調整剤を1秒間基板がローディングされた蒸着チャンバーに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを行った。
【0199】
その結果、200~400回繰り返して、10nm厚さの自己‐制限の原子層であるMoN薄膜を形成した。
【0200】
<参考例1>
前記実施例1において、成長調節剤でtert-butyl iodideを3-iodo butaneに代替したことを除いては、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0201】
その結果、10nm厚さの自己‐制限の原子層であるMoN薄膜を形成した。
【0202】
[実験例]
1)蒸着評価(サイクル当たりの蒸着速度、GPC)
製造された薄膜について、光の偏光特性を用いて、薄膜の厚さや屈折率などのような光学特性を測定できる装置である、エリプソメータ(Ellipsometer)で測定した薄膜の厚さを、サイクル回数で割って、1サイクル当たり蒸着する薄膜の厚さを計算して蒸着速度を評価し、その結果を下記表2に示した。
【0203】
2)薄膜抵抗評価(比抵抗)
製造された薄膜の表面抵抗を四端子法(four-point probe)の方式で測定して面抵抗を求めた後、前記薄膜の厚さ値から比抵抗値を算出した。
【0204】
前記比抵抗(μΩ・cm)の改善度は、下記数式1によって計算した。
【0205】
[数式1]
比抵抗改善度(%)=[(前駆体組成物を使用した時の比抵抗-成長調節剤を使用しなかった時の比抵抗)/成長調節剤を使用しなかった時の比抵抗]X 100
【0206】
【表2】
【0207】
前記表2に示したように、本発明のtert-ブチルヨージド(tert-butyl iodide)を成長調節剤として薄膜前駆体化合物と併用した場合(実施例1~3)は、成長調節剤を未使用の場合(比較例1~3)と同等ないし類似の蒸着速度を提供しつつ、比抵抗は919~1884μΩ・cmに減少したことが示されたのであり、薄膜成長速度が適切に制御され、電気的特性が向上したことを確認することができた。
【0208】
3) 不純物の低減特性
製造された厚さ10nmの薄膜の不純物、すなわち工程副生成物の低減特性を比較するために、チタン(Ti)、窒素(N)、Cl(塩素)、カーボン(C)及び酸素(O)の元素について、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析を行ったのであり、その結果は、以下の表3に示した。
【0209】
【表3】
【0210】
前記表3に示したように、本発明による成長調節剤を薄膜前駆体化合物と同時に使用した場合(実施例1)は、成長調節剤を未使用の場合(比較例1)と同等・類似のレベルを示すというだけでなく、他の成長調節剤を使用した場合(参考例1)に比べて、Cl及びCの強度がいずれも0.01%の水準まで減少し、不純物の低減特性に優れることを確認できた。
【0211】
特に、比較例1の場合、成長調節剤を未投入したため、理論上は炭素が検出されないべきであるが、薄膜前駆体化合物、パージガス及び反応ガスに含まれる微量のCO及び/またはCOから起因したと思われる炭素が検出されることを確認することができるが、本発明の実施例1では、薄膜蒸着の際に炭化水素化合物である成長調節剤を投入したにもかかわらず、比較例1に比べて炭素強度が減少したことを確認することができたのであり、これは、本発明の成長調節剤が、不純物の低減特性に優れるということを意味する。
【0212】
特に、参考例1は、本発明の成長調節剤と類似するようにハライド系構造の化合物を投入したが、実施例1、延いては比較例1よりも不純物強度が過度に高く表れ、膜質改善効果がないことが確認できた。
【0213】
さらに、成長調節剤の注入段階別効果を確認するために、以下の実験を追加で行った。
【0214】
<追加の実施例1>
MoOClをMo前駆体として活用し、VFC供給方式を活用してALD蒸着評価を行った。
【0215】
MoOClのキャニスター加熱温度は90℃であり、蒸着評価温度は380℃、400℃、420℃でそれぞれ行った。工程圧力は6torrであり、アンモニア反応ガスとArパージガスの流量はいずれも1000sccmであった。
【0216】
比抵抗及びGPC改善効果を確認するためにMoN薄膜を蒸着して比較した。
【0217】
具体的には、MoOClの注入後、Arパージした後に、tert-ブチルヨージド(tert-butyl iodide)を注入し、Arを注入し、NH反応ガスを注入した後、Ar注入してALD蒸着実験を行う実験(後注入)と、tert-ブチルヨージド(tert-butyl iodide)を注入しArを注入した後、MoOClを注入しAr注入した後、NH反応ガスを注入してAr注入するように順序を変えてALD蒸着実験を行う実験(先注入)とを、それぞれ行った後、先に実験例で提示した方式で比抵抗と蒸着速度を測定し、対照群として成長調節剤の投入を省略して製造されたMoN薄膜に対しても同様に比抵抗と蒸着速度を測定した。
【0218】
それぞれの測定結果を下記図1に示した。
【0219】
下記図1は、MoOClに本発明において提示した成長調節剤を後注入した実験と、成長調節剤を未使用の対照実験を対比した図面である。
【0220】
下記図1に示すように、対照群と対比した比抵抗は35%減少され、蒸着速度は34%増加した。
【0221】
具体的な測定結果を添付はしないが、成長調節剤tert-ブチルヨージド(Tert-butyl iodide)を先注入する場合に、後注入よりも比抵抗改善の側面で、より優れていることを確認した。
【0222】
<追加の実施例2>
前記追加実施例1において、MoOClをNbFに置き換えてNbN薄膜を製造したことを除いては、前記追加実施例1と同様の工程を繰り返した。
【0223】
それぞれの測定結果を、下記表4及び図2に示した。
【0224】
下記の表4及び図2は、NbFに本発明で提示した成長調節剤を先注入した実験と、成長調節剤を未使用の対照群実験とを対比した図面である。
【0225】
下記表4及び図2に示すように、不純物フッ素(F impurity)及び不純物炭素(C impurity)が、対照群、及びNbN薄膜と対比して改善されたことを、SIMS分析により確認することができた。
【0226】
【表4】
図1
図2
【国際調査報告】