(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-27
(54)【発明の名称】固体蒸発器
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
C23C16/448
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551980
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 US2022017925
(87)【国際公開番号】W WO2022183003
(87)【国際公開日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カードーゾ, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA12
4K030EA01
4K030FA01
4K030HA01
4K030KA25
4K030KA45
4K030KA46
4K030KA47
4K030LA15
(57)【要約】
蒸発器容器は、蒸発器容器を充填するときなどは垂直の向きにおいて容器の内部空間の分割手段としての役割を果たす1つまたは複数の試薬支持パネルを含み、水平の向きに回転されると、パネルは、パネルおよび容器の内壁によって形成される1つまたは複数のチャンバ内に配置されている蒸発可能固体材料を支持し、それらの固体材料に熱を伝達することを可能にする。チャンバは、蒸発可能固体材料を充填される任意のまたはすべてのチャンバが、加熱されたときに固体材料が蒸発することを可能にし、ガスが蒸発器容器を通じて移動することを可能にし、固体材料の効果的な蒸発を可能にし、さらに、固体材料から生じる蒸気が、プロセスの一部として提供され得る容器の出口へと移動することを可能にするための空隙を提供するようにするものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器であって、
内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体と、
担体ガスが内部容積を通って流れて蒸発可能固体源材料と接触して、担体ガス/固体源蒸気混合物を形成するために、蒸発器容器の内部容積に担体ガスを導入するように構成されている入口と、
蒸発器容器から担体ガス/固体源蒸気混合物を放出させるように構成されている出口と、
内部容積内に配置され、熱伝導性ジョイントにより内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、蒸発器容器本体が充填配向に配向されるときに、第1の垂直方向に延在し、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、第2の使用方位にあるときに、蒸発可能固体源材料の一部分を支持するように水平に延在している、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルと
を含む、蒸発器容器。
【請求項2】
蒸発器容器が、複数の熱伝導性試薬支持パネルを含む、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項3】
複数の熱伝導性試薬支持パネルの各々が、各々が互いに平行である、請求項2に記載の蒸発器容器。
【請求項4】
複数の熱伝導性試薬支持パネルの各々が、蒸発器容器本体の内面から内部容積の中心線まで延在する、請求項2に記載の蒸発器容器。
【請求項5】
複数の熱伝導性試薬支持パネルが、内部容積の中心線の周りで半径方向に均等に分配されている、請求項4に記載の蒸発器容器。
【請求項6】
蒸発器容器が、4つの熱伝導性試薬支持パネルを含む、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項7】
熱伝導性試薬支持パネルのいずれかと任意の隣接する熱伝導性試薬支持パネルとの間の角度が90°である、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項8】
熱伝導性ジョイントが、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの全長にわたって延在している、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項9】
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が、複数の熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体の内面に接合される、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項10】
複数の熱伝導性ジョイントの間に、熱伝導性試薬支持パネルと蒸発器容器本体の内面との間に間隙が存在する、請求項9に記載の蒸発器容器。
【請求項11】
熱伝導性ジョイントが溶接である、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項12】
開口部が充填ポートを含み、充填ポートは、充填ポートが少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルによって画定されるすべての空間と連通するように、熱伝導性試薬支持パネルから離されている、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項13】
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルが、前記試薬支持パネルを貫通する1つまたは複数の開口部を含む、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項14】
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの材料が、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、およびグラファイトから成る群から選択される、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項15】
蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器を充填する方法であって、
蒸発器容器は蒸発器容器本体を含み、蒸発器容器本体は、充填ポートを含む端部、および内部容積を画定する内面を含み、かつ
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル容器が内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されており、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在し、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体に接合されており、
方法は、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が垂直方向に延在し、かつ、充填ポートが蒸発器容器の上部に設けられるように、蒸発器容器を配向することと、
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルと内面によって画定される各空間内に存在するように、充填ポートによって蒸発器容器の内部容積に少なくとも蒸発可能固体源材料を加えることと
を含む、方法。
【請求項16】
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、タングステン前駆体材料またはモリブデン前駆体材料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が蒸発器容器の内部容積に加えられるときには粉末の形態である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
蒸発可能固体源材料を蒸発させる方法であって、
固体が中に入れられる蒸発器容器を配向することであって、蒸発器容器は、
内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体、
入口、
出口、および
内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在する、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル
を含み、
蒸発器容器が、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が水平方向に延在し、蒸発可能固体源材料の少なくとも一部が少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルのうちの1つまたは複数の上に載るように配向される、蒸発器容器を配向することと、
蒸発器容器本体を加熱することと、
熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体から少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルへと熱を伝達することであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、蒸発器容器本体の内面に接合されている、熱を伝達することと、
蒸発可能固体源材料を蒸発させるために、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々から、前記熱伝導性試薬支持パネルと接触している蒸発可能固体源材料へと熱を伝達することと
を含む方法。
【請求項19】
出口によって蒸発器容器から蒸発可能固体源材料の少なくとも一部を含む蒸気を抽出することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、タングステン前駆体材料またはモリブデン前駆体材料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、蒸発器容器が配向されるときには粉末の形態である、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体材料のための蒸発器に関し、特に、蒸発器が水平の向きにあるときに固体材料を支持するように構成されている1つまたは複数のパネルを含む容器を有する蒸発器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子層堆積(ALD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、減圧化学気相成長(LPCVD)、もしくは任意の他の適切な堆積方法、または、それらの組合せなどの、いくつかの製造プロセスは、蒸発材料の流れを利用する場合がある。例えば、化学気相成長は、蒸発材料の流れを利用して、その材料の固体層または膜を基板の表面上に形成するプロセスである。別の製造プロセスにおいて、蒸発材料の流れは、材料を基板内へと注入するために利用される。この材料は、試薬として参照される場合がある。半導体製造において、化学気相成長は、固体源材料の1つまたは複数の精密な薄膜を基板上に形成するために使用することができる。蒸発容器は、固体源材料を担体ガスの流れによって蒸発させることによって、蒸発試薬の流れを提供するように構成することができる。固体源材料は、例えば、焼結されたまたは焼結されていない顆粒などの粒子、または液体の形態であり得る。蒸発容器は、固体材料を分配し、材料を蒸発させるために固体材料に熱を伝導するための、個々に充填される複数のトレーを含むことができる。これらの容器は、送達される蒸気の高度な一貫性、および、含有される材料の利用の高い性能を提供するが、内部にある各個々のトレーを充填し、トレーを積み重ねるかまたは他の様態で組み立てることを必要とし、それによって、充填プロセスに時間、コスト、および汚染のリスクが追加される。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、固体材料のための蒸発器に関し、特に、蒸発器が水平の向きにあるときに固体材料を支持するように構成されている1つまたは複数のパネルを含む容器を有する蒸発器に関する。
【0004】
1つまたは複数の支持パネル(以降、「支持パネル」または「試薬支持パネル」として参照される場合がある)を使用して容器を分割することによって、蒸発可能な固体材料が、支持パネルが垂直に延在する第1の向きにおいて単純な充填プロセスを通じて容器に加えられることを可能にし、同時に、それらの同じ支持パネルが、支持パネルが水平に延在する第2の向きにあるときに材料を支持し、材料に熱を伝達することを可能にする。第2の向きにおいて、支持パネルはまた、それらの支持パネルの各々に載っている固体の蒸発を容易にするのに十分な空隙を画定する。
【0005】
そのような容器は、標準的な蒸発器容器の充填に関与する難度および労力を低減することができる。標準的な蒸発器容器において、個々のトレー(典型的には6~16個のトレー)は、各々、別個に充填され、容器内に設置される必要がある。トレーは、標準的な蒸発器容器の内径のそれに近い外径を有することができ、これには、詰まることなく挿入するために大きな精度が必要である。さらに、標準的な蒸発器容器によって必要とされる精密な動作は、蒸発器容器に対する清浄度要件によってより複雑になる可能性があり、したがって、充填のために多大な熟練を要する労働(数年以上の訓練を含む)および/または自動化が必要である。対照的に、個々のトレーの代わりに支持パネルを使用する本発明の蒸発器容器は、単一の充填操作においてバルク充填することができ、多くの用途にとって許容可能な蒸発性能を依然として提供しながら、充填のコストが大幅に低減される。支持パネルを使用する蒸発器容器はまた、個々のトレーに必要とされる高い精度を排除することによって、より大きいサイズにおいてよりコスト効率的でもあり得る。トレーの代わりに固定試薬支持パネルを使用することによってまた、別個のトレーが清浄化される必要がなく、それらの特徴部の構造がより単純であり得るため、充填前の蒸発器容器の清浄化プロセスを合理化することもできる。固定試薬支持パネルは、構造強度をさらに向上させることができ、輸送中の衝撃により良好に抵抗することができ、物流がさらに単純化され、専門的な訓練および容器の取り扱い中に要求される配慮の量が低減する。
【0006】
一実施形態において、蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器は、内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体と、担体ガスが蒸発可能固体源材料と接触して内部容積を通じて流れて、担体ガス/固体ソース蒸気混合物を形成するために、蒸発器容器の内部容積に担体ガスを導入するように構成されている入口と、蒸発器容器から担体ガス/固体ソース蒸気混合物を放出することを可能にするように構成されている出口とを含む。容器は、内部容積内に配置され、熱伝導ジョイントを用いて内面において蒸発器容器本体に接合される少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルをさらに含む。少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、出口が長手方向における容器の端部にあるように蒸発器容器本体が向けられているときに、水平方向において内部容積を通じて延在し、結果、蒸発可能固体源材料の少なくとも一部分が、蒸発可能固体源材料の当該一部分の上面と蒸発器容器の内面または少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルのうちのもう1つとの間に空隙が存在する状態で熱伝導性試薬支持パネルに載ることができる。少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体に接合される。少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、ステンレス鋼(例えば、304、316)、ニッケル、アルミニウム、グラファイト、または他の適切な材料であってもよい。
【0007】
一実施形態において、蒸発器容器は、複数の熱伝導性試薬支持パネルを含む。いくつかの実施形態において、蒸発器容器は、単一の熱伝導性試薬支持パネルを含む。他の実施形態において、蒸発器容器は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはより多い熱伝導性試薬支持パネルを含む。一実施形態において、蒸発器容器は、最大20個の熱伝導性試薬支持パネルを含む。熱伝導性試薬支持パネルは、例えば、蒸発器容器が充填方位にあるときは垂直、蒸発器容器が使用方位にあるときは水平など、共通の方向に延在し得る。熱伝導性試薬支持パネルは、蒸発容器とともに使用される前駆体に対し不活性であり得、前駆体の重量を支持することが可能であり得、様々な温度における使用中に蒸発容器の温度に耐えることが可能であり得る。いくつかの実施形態において、蒸気温度は、150℃超、200℃超、250℃超、300℃超、または350℃超であり得る。
【0008】
一実施形態において、複数の熱伝導性試薬支持パネルの各々は、各々が互いに平行である。熱伝導性試薬支持パネルは、試薬を包含するための複数のチャンバを形成する。複数のチャンバは、同様のサイズまたは異なるサイズであってもよい。
【0009】
一実施形態において、複数の熱伝導性試薬支持パネルの各々は、蒸発器容器本体の内面から内部容積の中心線まで延在する。熱伝導性試薬支持パネルは、試薬を包含するための複数の同様のチャンバを形成し得る。各チャンバは、例えば、熱伝導性試薬支持パネルが垂直であるときなど、充填方位にあるときに、実質的に均一な水平断面を有し得る。いくつかの実施形態において、チャンバは、共通の水平断面を共有する。他の実施形態において、チャンバは、互いに異なる水平断面を有する。
【0010】
一実施形態において、複数の熱伝導性試薬支持パネルは、内部容積の中心線の周りで半径方向において均等に分配される。一実施形態において、蒸発器容器は、4個の熱伝導性試薬支持パネルを含む。一実施形態において、熱伝導性試薬支持パネルのいずれかと任意の隣接する熱伝導性試薬支持パネルとの間の角度は90°である。他の数の試薬支持パネルおよび異なる角度も開示される。1つの実施形態において、2個の熱伝導性試薬支持パネルが、15°~180°の角度を形成してもよい。例えば、2個の熱伝導性試薬支持パネルが、45°~120°の角度を形成してもよい。別の例において、熱伝導性試薬支持パネルは、60°~90°の角度を形成してもよい。熱伝導性試薬支持パネルによって形成される角度は、熱伝導性試薬支持パネルの数、それらの構成、蒸発器容器とともに使用される試薬の種類、蒸発器容器のサイズなどに基づいて変化してもよい。いくつかの実施形態において、熱伝導性試薬支持パネルは、同一の角度を形成する。他の実施形態において、試薬支持パネルは、それらの間に、たとえば90°および45°または60°および120°などの、異なる角度を形成する。
【0011】
熱伝導性試薬支持パネルは、コーティングを有してもよい。一実施形態において、コーティングは、アルミニウムコア上のステンレス鋼などの、金属クラッドである。一実施形態において、コーティングは、熱伝導性試薬支持パネル表面の熱放射率を増大させて、熱伝導性試薬支持パネルの表面から熱伝導性試薬支持パネル上の試薬への熱伝達を増大させる。いくつかの実施形態において、コーティングは、熱伝導性試薬支持パネルの化学的不活性を増大させるか、または、熱伝導性試薬支持パネルの他の特性を増大させる。例示的なコーティングは、フッ化マグネシウム(MgF2)、窒化アルミニウム、炭化モリブデン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、および陽極酸化を含む。
【0012】
一実施形態において、熱伝導性ジョイントは、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの全長にわたって延在する。この構成は、蒸発器容器の壁から熱伝導性試薬支持パネルへの熱伝達を向上させることができる。
【0013】
一実施形態において、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、複数の熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体の内面に接合される。一実施形態において、複数の熱伝導性ジョイントの間で、熱伝導性試薬支持パネルと蒸発器容器本体の内面との間に間隙が存在する。間隙は、蒸発器容器のチャンバの間での担体ガスの循環を可能にする役割を果たすことができる。
【0014】
一実施形態において、熱伝導性ジョイントは溶接である。熱伝導性ジョイントは、ろう付け接合であってもよい。熱伝導性ジョイントは、蒸発器容器本体の内面に対する熱伝導性試薬支持パネルの圧入であってもよい。熱伝導性ジョイントの目的は、蒸発器容器本体の内側表面から熱伝導性試薬支持パネル内へと熱を伝達させることであり、その後、熱は、試薬を加熱し、蒸着システムによる最終的な蒸着のために、出口に提供される蒸気を生成するために使用される。熱伝導性ジョイントを通じた熱伝達は、熱伝導性試薬支持パネルと蒸発容器本体の内面とを接触させることによって増大させることができる。いくつかの実施形態において、熱伝導性ジョイントは、熱伝導性試薬支持パネルと蒸発容器本体の内面との間の接触面積を増大させるためのタブまたはフランジを含む。一実施形態において、熱伝導性ジョイントおよび熱伝導性試薬支持パネルは、三次元印刷または鋳造されて、蒸発器容器の内部構造を形成する。
【0015】
一実施形態において、蒸発器容器本体は、充填ポートを含む開口部を有し、充填ポートは、充填ポートが少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルによって画定されるすべての空間と連通するように、熱伝導性試薬支持パネルから離間される。充填ポートは、熱伝導性試薬支持パネルによって画定される複数のチャンバが同時にまたは順次充填されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、すべてのチャンバが同時に充填されてもよい。
【0016】
一実施形態において、複数の熱伝導性試薬支持パネルのうちの少なくとも1つは、上記試薬支持パネルを貫通する1つまたは複数の開口部を含む。開口部は、蒸発器容器の異なるチャンバ間にガス流(例えば、担体ガス流、試薬蒸気)を提供することができる。開口部は、スリット、孔、および/または他の形状を含んでもよい。
【0017】
一実施形態において蒸発器容器を充填する方法が提供される。蒸発器容器は、蒸発器容器本体を含む。蒸発器容器本体は、充填ポートを含む端部と、内部容積を画定する内面とを含み、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル容器が、内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されており、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在する。少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体に接合される。本方法は、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が垂直方向に延在し、充填ポートが蒸発器容器の上部に設けられるように蒸発器容器を配向することと、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルおよび内面によって画定される各空間内に存在するように、充填ポートによって蒸発器容器の内部容積に少なくとも1つの蒸発可能固体源材料を加えることとを含む。
【0018】
一実施形態において、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料は、タングステン前駆体材料またはモリブデン前駆体材料を含む。他の適切な材料は、限定ではないが、ジメチルヒドラジン、トリメチルアルミニウム(TMA)、塩化ハフニウム(HfCl4)、塩化ジルコニウム(ZrCl4)、三塩化インジウム、三塩化アルミニウム、ヨウ化チタン、タングステンカルボニル、Ba(DPM)2、ビスジピバロイルメタナトストロンチウム(Sr(DPM)2)、TiO(DPM)2、テトラ(ジピバロイルメタナト)ジルコニウム(Zr(DPM)4)、デカボラン、ホウ素、マグネシウム、ガリウム、インジウム、アンチモン、銅、リン、ヒ素、リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、アルキルアミジネートリガンドを組み込んだ前駆体、有機金属前駆体、ジルコニウムtert-ブトキシド(Zr(t-OBu)4)、テトラキスジエチルアミノジルコニウム(Zr(Net2)4)、テトラキスジエチルアミノハフニウム(Hf(Net2)4)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、tert-ブチルイミノトリス(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル(PDMAT)、ペンタキス(エチルメチルアミノ)タンタル(PEMAT)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(Zr(NMe2)4)、ハフニウムtert-ブトキシド(Hf(tOBu)4)、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化キセノン(XeF4)、六フッ化キセノン(XeF6)、限定ではないがMoO2Cl2、MoO2、MoOCl4、MoCl5、Mo(CO)6を含むモリブデンの形成物、限定ではないがWCl5およびWCl6、W(CO)6を含むタングステンの形成物、ならびに、上記のうちの2つ以上の適合性のある組合せおよび混合物を含む。
【0019】
一実施形態において、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料は、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が蒸発器容器の内部容積に加えられるときには粉末の形態である。少なくとも1つの蒸発可能固体源材料は、蒸発器容器が第1の向きにあるときは蒸発器容器の内部容積に注がれてもよく、次いで、蒸発器容器は第2の向きに回転されてもよく、第2の向きにおいて、蒸発可能固体源材料は、熱伝導性試薬支持パネル上にあるようにシフトする。いくつかの実施形態において、蒸発器容器の内部は、熱伝導性試薬支持パネルおよび/または蒸発器容器の内面によって画定される複数のチャンバを含む。複数のチャンバは、同時にまたは順次充填されてもよい。蒸発器容器は、次いで、第2の向きにおいて加熱されてもよく、熱伝導性試薬支持パネルは、蒸発可能固体源材料と接触して熱を伝導してもよい。
【0020】
一実施形態において、蒸発可能固体源材料を蒸発させる方法は、固体が包含される蒸発器容器を配向することを含む。蒸発器容器は、内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体と、入口と、出口と、内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルとを含む。少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在する。蒸発器容器は、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が水平方向に延在し、蒸発可能固体源材料の少なくとも一部が少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルのうちの1つまたは複数の上に載るように、配向される。本方法は、蒸発器容器本体を加熱することと、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体から少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルへと熱を伝達することであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、蒸発器容器本体の内面に接合されている、熱を伝達することとを含む。本方法は、蒸発可能固体源材料を蒸発させるために、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々から、上記熱伝導性試薬支持パネルと接触している蒸発可能固体源材料へと熱を伝達することをさらに含む。
【0021】
一実施形態において、本方法は、出口によって蒸発器容器から蒸発可能固体源材料の少なくとも一部を含む蒸気を抽出することをさらに含む。抽出された蒸気は、蒸着プロセスに使用することができる。
【0022】
一実施形態において、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料は、タングステン前駆体材料またはモリブデン前駆体材料を含む。固体源材料は、上述したような他の前駆体材料であってもよい。代替的に、前駆体材料は、室温および/または使用温度にある液体であってもよい。
【0023】
一実施形態において、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料は、蒸発器容器が使用方位に配向されるときは粉末の形態である。粉末は、支持パネル上に載り、粉末の蒸発を誘導するために支持パネルから熱を受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態による蒸発器容器の斜視図である。
【
図2】一実施形態による蒸発器容器の正面図である。
【
図3】一実施形態による蒸発器容器の断面図である。
【
図4】一実施形態による蒸発器容器の別の断面図である。
【
図5A】様々な実施形態による蒸発器容器の断面図である。
【
図5B】様々な実施形態による蒸発器容器の断面図である。
【
図5C】様々な実施形態による蒸発器容器の断面図である。
【
図5D】様々な実施形態による蒸発器容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、固体材料のための蒸発器に関し、特に、蒸発器が水平の向きにあるときに固体材料を支持するように構成されている1つまたは複数のパネルを含む容器を有する蒸発器に関する。
【0026】
図1は、一実施形態による蒸発器容器100の斜視図を示す。蒸発器容器100は、容器本体102を含む。容器本体102は、内面104を有する。試薬支持パネル106が、内面104によって画定される空間内に配置される。試薬支持パネル106は、ジョイント108によって内面104に接合される。試薬支持パネル106と内面104との間に、間隙110を含むことができる。内面104によって画定される内部空間を閉じるために、容器本体102に蓋(
図2に示す)を取り付けることができる。
【0027】
蒸発器容器100は、蒸発可能固体材料を包含するための容器であり、蒸発可能固体材料は、堆積プロセスなどのプロセスに使用するための蒸気を提供するために蒸発することができる。蒸発器容器100はまた、固体蒸発器、アンプル、または他のそのような用語として参照することもできる。蒸発器容器100は、加熱され、蒸気を生成するために蒸発可能固体材料に熱を伝達するように構成されている。蒸発器容器100は、原子層堆積(ALD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、減圧化学気相成長(LPCVD)、もしくは任意の他の適切な堆積方法、または、それらの組合せなどの堆積プロセスのための蒸着ツールなどのツールとともに使用されるように構成することができる。
【0028】
容器本体102は、蒸発器容器100の一部を形成する。容器本体102は熱伝導性であり、結果、例えば、加熱ジャケットまたはオーブンから容器本体102の外部に加えられる熱が、内面104に伝達される。容器本体102は、例えば、鋼、ステンレス鋼(例えば、304、316)、ニッケル、アルミニウムなどのような金属材料を含むことができる。容器本体102は、例えば、円筒形、矩形、角柱形などの、任意の適切な形状を有することができる。一実施形態において、容器本体102は、円筒形状である。容器本体102は、内面104を含む。内面104は、容器本体102内の空間を画定する容器本体102の表面である。内面104は、試薬支持パネル106と組み合わさって、容器本体102内の空間内に複数のチャンバを画定することができる。容器本体102の材料および厚さは、限定ではないが、蒸発器容器100が、例えば、さらに何重もの梱包を使用することなく、そのような容器に対する米運輸省(DOT)規格などの、落下試験および/または圧力試験の規格に従うように選択することができる。いくつかの実施形態において、蒸発器容器100の構築は、U.N./DOT CFR 49 parts 171-180およびA.S.M.E. code & addendaの最新改訂を順守する。他の実施形態において、容器本体102の材料および厚さは、少なくとも一部は熱伝達特性に基づいて、容器本体102が、加熱ジャケットまたはオーブンから内面104によって画定される内部空間へと、および、試薬支持パネル106へと熱を伝導することができるように選択することができる。一実施形態において、容器本体102は、限定ではないが、厚さが2mm~10mmであってもよい。例えば、容器本体102は、約5mm厚であってもよい。実施形態において、容器本体102は、ステンレス鋼(例えば、304、316)、アルミニウム、グラファイト、および/またはニッケルまたはそれらの合金を含むことができる。容器本体102の内面104は、コーティングを含んでもよい。一実施形態において、コーティングは、内面104から内面104によって形成されるチャンバおよび蒸発容器100の内部の試薬支持パネル106への熱伝達を増大させる。例示的なコーティングは、限定ではないが、金属、セラミック、フッ化物、炭化物、窒化物、および酸化物を含む。
【0029】
試薬支持パネル106は、内面104によって画定される空間内に含まれるパネルである。試薬支持パネル106は、蒸発プロセスにおける蒸発器容器100の使用中に蒸発可能固体を支持するように構成されている。試薬支持パネル106は、平坦であり得るか、成形され得るか、または、湾曲し得る。一実施形態において、試薬支持パネル106は、内面104によって画定される空間内に配置されているチューブの形態で提供される。試薬支持パネル106は、蒸発器容器100が第1の向きにあるときに試薬支持パネルが垂直方向に延在し、蒸発器容器100が第2の向きにあるときに試薬支持パネル106が水平方向に延在するような方向に延在することができる。試薬支持パネル106は、例えば、例として304もしくは316ステンレス鋼などの鋼、および/または、ニッケル、アルミニウム、グラファイト、もしくは他の適切な材料などの他の材料などの熱伝導性材料を含むことによって熱伝導性とすることができ、結果、試薬支持パネル106は、容器本体102から、蒸発可能固体材料などの試薬支持パネル106と接触している材料に熱を伝導することができる。一実施形態において、試薬支持パネル106は、例えば、試薬支持パネル106と、
図2に示し、後述する蓋204などの蓋を容器本体102に取り付けることができる端部などの、開いている容器本体102の端部との間に間隙を残すことによって、容器本体102の内面104によって画定される空間の全高にわたって延在しない。試薬支持パネル106は、上述したような容器本体102の構造強度および圧力ならびに落下性能に寄与するサポートとして作用するように構成することができる。
【0030】
試薬支持パネル106は、蒸発器容器100が、試薬支持パネル106が水平方向に延在する所定の向きにあるときに、試薬支持パネルが蒸発可能固体材料を支持することができるような任意の適切な数および構成において含めることができる。例えば、試薬支持パネル106は、格子またはハニカムパターンなどの構造を形成することができる。
図1に示す実施形態において、試薬支持パネル106は、各々が、容器本体102の内面104から、試薬支持パネル106の各々が他の試薬支持パネル106に行き当たる容器本体102の中心に向かって延在する複数の平坦なシートである。一実施形態において、試薬支持パネル106は、隣接する試薬支持パネルの各対によって形成される角度が同じであるように、容器本体102の中心の周りで半径方向において均等に分配される。
図1に示す実施形態において、試薬支持パネル106は、4つのパネルを含み、隣接するパネルは、互いに90度の角度を形成する。実施形態において、試薬支持パネル106からの熱の放散を増加させるために、それらの試薬支持パネル上にコーティングを提供することができる。コーティングは、任意の適切な熱放射コーティングとすることができ、非限定例は、原子層堆積(ALD)によって提供されるアルミナコーティングである。コーティングの他の例は、限定ではないが、MgF
2、窒化アルミニウム、炭化モリブデン、酸化ケイ素、酸化イットリウム、および陽極酸化を含む。試薬支持パネルに含まれる蒸発可能固体材料は、蒸発器容器100内に含まれる蒸発可能固体材料に関する内部の清浄性を損なわないように選択される。例えば、蒸発可能固体材料は、蒸発可能固体と反応しないか、または、内部に包含される固体が蒸発されているときにガス抜きを経験しないように選択することができる。
【0031】
試薬支持パネル106および内面104は、組み合わさって、内面104によって画定される空間を分割して、例えば、タングステン前駆体、モリブデン前駆体などの、1つまたは複数の蒸発可能固体材料を各々が保持することができる複数のチャンバを提供することができる。チャンバは、格子もしくはハニカムパターンのセグメント、チューブ内の空間、または、試薬支持パネル106によって画定される任意の他の適切な空間とすることができる。蒸発可能固体材料の非限定例は、AlCl3、限定ではないがWCl5、WCl6およびWOCl4を含むタングステンハロゲン化物およびそれらのオキシハロゲン化物、限定ではないがMoCl5、MoOCl4、およびMoO2Cl2を含むモリブデンハロゲン化物およびそれらのオキシハロゲン化物、限定ではないがZrCl4およびZrOCl2を含むジルコニウム塩化物またはそれらのオキシハロゲン化物、HfOCl2に限定されずHfCl4を含むハフニウム塩化物またはそれらのオキシハロゲン化物、ならびにそれらの組合せを含むことができる。蒸発可能固体材料は、例えば、蒸着プロセスなどの製造プロセスに使用される蒸気の原材料とすることができる。蒸発可能固体材料は、蒸発器容器100の向きが変更されるときにシフトするかまたは流れることができるような形態とすることができる。一実施形態において、試薬支持パネル106が垂直方向に延在する向きにおいて、チャンバには各々、チャンバの各々を分離する分割手段としての役割を果たす試薬支持パネルを充填することができる。一実施形態において、蒸発器容器100の充填プロセスは、内面104および試薬支持パネル106によって画定されるチャンバのすべての間で蒸発可能固体材料を分配することができる。一実施形態において、蒸発器容器100が、試薬支持パネル106が水平方向に延在し、蒸発可能固体が試薬支持パネル106上に載るように配向されるときに、蒸発可能固体材料がない、蒸発可能固体材料の有孔性を別とした空隙を、蒸発可能固体材料の質量の上方に形成することができるように、チャンバの各々は、例えば、容量の約80%~約90%など、蒸発器容器100内の容積の100%未満まで充填される。蒸発器容器100の充填は、別個のトレーを充填し、その後、各トレーを容器内に設置する必要なしに、単一の充填ステップにおいて実施することができる。記載されている実施形態は、充填動作を単純化し、コストを低減し、充填時間を低減し、汚染のリスクを低減することができる。
【0032】
試薬支持パネル106は、板金から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、試薬支持パネル106は、例えば、ステンレス鋼クラッドを有するアルミニウムなどの、クラッド材料から形成される。試薬支持パネル106の材料は、それらのコスト、成形性、熱伝導性、および/または不活性に基づいて選択されてもよい。試薬支持パネル106は、試薬支持パネル106が容器本体102の内面104を押圧するように、ばね構成を伴って形成されてもよい。いくつかの実施形態において、試薬支持パネル106は、複数の材料シートから形成される。
【0033】
チャンバは、すべてのチャンバがほぼ同じ容積であり、ほぼ同じ量の蒸発可能固体材料を保持するように、実質的に均一な容積を有してもよい。これによって、チャンバにわたる蒸発可能固体材料のより均一な蒸発を促進することができ、結果、同様の長さの使用の後にすべてのチャンバが空になる。他の実施形態において、チャンバは、平行な試薬支持パネル106の間で均一な高さを有してもよい。いくつかの実施形態において、蒸発器容器100のチャンバは、100グラム~数キログラムの蒸発可能固体材料を包含してもよい。1つの実施形態において、蒸発器容器100は、約20リットルの体積を包含してもよく、充填するのに約30分かかり得る。より大きいまたはより小さい蒸発器容器100も企図される。例えば、蒸発器容器100は、10リットル以下~90リットル以上を包含してもよい。より大きい蒸発器容器100は、より大量の試薬を収容することができ、補充の間の時間をより長くすることができる。いくつかの実施形態において、より大きい蒸発器容器100は、より多くの試薬支持パネル106を含む。蒸発器容器100を充填する時間は、蒸発器容器100のサイズ、試薬の流動特性、充填ポートのサイズなどに依存し得る。
【0034】
ジョイント108は、内面104と試薬支持パネル106との間の熱伝導性接続である。ジョイント108は、容器本体102の加熱が試薬支持パネル106に伝達されることを可能にすることができ、結果、熱は、その後、それぞれの試薬支持パネル106上の蒸発可能固体材料に伝達されて、材料の蒸発を容易にすることができる。ジョイント108は、試薬支持パネル106の内面104への任意の適切な熱伝導性接続とすることができる。1つの非限定例は、溶接である。一実施形態において、間隙110が、ジョイント108のうちのいくつかの間に延在してもよい。間隙110は、容器100内のガスの移動、チャンバ間の固体源材料の小粒子の通過などを可能にするために設けることができる。間隙110は、ジョイント108の部分に沿ったまたはそれらの間の点にあってもよい。一実施形態において、間隙110は、試薬支持パネル106のうちの1つまたは複数の中の開口部として設けることができる。間隙110は、容器100が使用方位にあるときにチャンバ間のガス流を可能にするように位置付けられてもよい。ジョイント108は、熱伝導性試薬支持パネル106を容器本体102に固定するためのねじまたは同様のハードウェアを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ジョイント108は、容器本体102の内面104に対する試薬支持パネル106の圧入である。
【0035】
図2は、一実施形態による蒸発器容器200の正面図を示す。蒸発器容器200は、容器本体202および蓋204を含む。蒸発器容器200は、充填ポート206を含む。蒸発器容器200は、担体ガス入口208をさらに含むことができる。蒸発器容器200はまた、出口210をも含む。
【0036】
容器本体202は、内部空間を含む容器を画定する。容器本体202は、蓋204によって封止することができる開放端を含むことができる。容器本体202は、任意選択的に、蓋204と係合し、および/または、蓋204を容器本体202に接合するための機械的締結具を受け入れるための1つまたは複数の特徴部を含むことができる。容器本体202は、例えば、上述し、
図1に示したような試薬支持パネル106などの、容器本体202内の試薬支持パネル106を含むことができる。
図2に示す容器本体202の向きにおいて、容器本体202内に包含される試薬支持パネル106は、垂直方向に延在し、容器本体202内に画定される複数のチャンバの間の分割手段として作用することができる。容器本体202は、熱伝導性とすることができ、結果、例えば、容器本体202の外部に与えられる加熱を、試薬支持パネルを使用して容器本体202内の内部空間に容易に伝達することができる。容器本体202内の内部空間は、1つまたは複数の蒸発可能固体材料、例えば、蒸発可能固体源材料、例えば、蒸着プロセスに使用される前駆体などを包含することができる。
【0037】
蓋204は、容器本体202の端部に設けることができる。蓋204は、蓋204が取り付けられる端部において容器本体202を封止するように構成することができる。蓋204は、容器本体202を封止するための任意の適切な形状とすることができる。蓋204は、材料が容器本体202および蓋204によって画定される内部空間に加えられることおよび/またはそこから除去されることを可能にする複数のポートを含むことができる。蓋204は、内部空間を出入りするすべての流れが、充填ポート206、任意選択の担体ガス入口208、および/または出口210などの、蓋204または容器本体202上に設けられた1つまたは複数の開口部を通じて行われるように、容器本体202に対してシールすることができる。蓋204は、ねじ切り、ボルトなどの機械的締結具、フランジまたはリップなどの係合特徴部、接着剤、または任意の他の適切な接続などの、任意の適切な接続によって容器本体202に固定することができる。一実施形態において、蓋204の容器本体202への固定は、例えば、容器本体202および蓋204によって画定される内部空間をシールするためのガスケット、Oリング、または他のシール部材などを含むことによって、シールすることができる。
【0038】
充填ポート206は、蒸発可能固体源材料などの任意の適切な蒸発可能固体を容器本体202の内側の空間に導入することを可能にするポートである。充填ポート206は、試薬支持パネルが垂直方向に延在するように容器本体202が向けられたときに、蒸発器容器200の上部にある、蒸発器容器200の端部に設けることができる。充填ポート206は、蓋204の上端または上面に設けることができる。充填ポート206は、蒸発可能固体が充填ポート206を通じて加えられるときに、チャンバの各々がそれらの少なくとも一部を受け入れるようなサイズにすることができ、および/または、試薬支持パネル106に対してそのように位置付けることができる。一実施形態において、充填ポート206は、試薬支持パネルが容器本体202の中心に行き当たるときに、試薬支持パネルの中心に置かれ、試薬支持パネル106が垂直方向に延在するように容器本体202が向けられるときに、平面視で見たときに充填ポート206の面積の一部分がチャンバの各々の上に設けられるようなサイズにされる。したがって、例えば、充填ポート206が蒸発器容器200の上端にあり、試薬支持パネルが垂直方向に延在しており、蒸発可能固体源材料などの蒸発可能固体を充填ポート206によって容器本体202内の各チャンバへと導入しているように、蒸発器容器200を配向することによって、蒸発器容器200を充填することができる。充填ポート206は、複数のトレーを充填し、設置することなく、単一のステップにおいて蒸発器容器200を充填することを可能にすることができる。充填ポート206は、蓋204を蒸発器容器200から取り外すことなく蒸発器容器200を充填することを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、蓋204は、チャンバの充填の一部として取り外される。蓋204は、蒸発器容器200を使用方位に向ける前に再び取り付けられてもよい。
【0039】
一実施形態において、蒸発器容器200は、担体ガス入口208を含むことができる。担体ガス入口208は、蒸発器容器200上の任意の適切な位置に設けることができる。一実施形態において、担体ガス入口208は、容器本体202の底部または一面に設けられる。一実施形態において、担体ガス入口208は、蓋204上に設けられる。一実施形態において、担体ガス入口208および出口210は、蒸発器容器200の同じ端部に設けられる。担体ガス入口208は、担体ガスが容器本体202内の内部空間へと導入されることを可能にするガス入口である。担体ガスは、例えば、不活性ガスとすることができる。一実施形態において、担体ガスは、反応性ガス、または、不活性ガスと反応性ガスとの混合物を含むことができる。担体ガスは、容器本体202内に包含される蒸発可能固体材料からの蒸気を含むガスの生成および/または抽出を容易にするために使用することができる。担体ガス入口208は、容器本体202内の空間への担体ガスの流入を制御するための弁を含むことができる。担体ガス入口208は、担体ガスのタンク、堆積ツール上に含まれる担体ガス出力、または、任意の他の適切な担体ガス源などの担体ガス源への担体ガス入口208の接続を可能にする治具または接続具を含むことができる。担体ガス入口208は、容器本体202内の内部空間との連通を提供する。一実施形態において、担体ガス入口208は、1つまたは複数の所定の位置において担体ガスを容器本体202内の空間に送達するように構成されている1つまたは複数のチューブに接続することができる。例えば、担体ガスは、容器本体202内の内部空間内の複数のチャンバの各チャンバに送達されてもよい。
【0040】
出口210は、例えば、蒸発可能固体材料の蒸発によって生成される蒸気、および、任意選択に、担体ガスを包含するガスなどの流体が、容器本体202内の内部空間を出ることを可能にするように構成されているポートである。出口210は、出口210において与えられる蒸気を利用する堆積ツールなどのツールに接続するように構成することができる。出口210は、出口210によって容器本体202内の内部空間を出る流体の流れを制御するための弁を含むことができる。出口210は、蒸発器容器200がともに使用されるツールへの接続のための接続具または固定具を含むことができる。出口210は、容器本体202または蓋204上の任意の位置に含めることができる。出口210は、蒸発可能固体材料を含む蒸気などの流体を容器本体202の外側の点へと連通するための任意の適切な位置にあることができる。一実施形態において、出口210は、容器本体202の閉鎖端に設けられる。一実施形態において、出口210は、容器本体202の側面に沿って設けられる。一実施形態において、出口210は、試薬支持パネル106が水平方向に延在しているように蒸発器容器200が向けられるときに、出口210が、容器本体202内の試薬支持パネル106上に載っている蒸発可能固体のレベルよりも低いか、同じであるか、またはそれよりも上方である位置にある。一実施形態において、出口210は、蒸気の流れおよび/または蒸発固体の量などの蒸気の特性を測定するように構成されているセンサ212を含むことができる。センサ212は、例えば、蒸発器容器200からの蒸発固体の送達の一貫性を向上させるように、蒸気の生成を制御するためのフィードバックループ(図示せず)に含めることができる。実施形態において、センサ212は、例えば、出口210に接続されている線に沿って出口210の下流に、または、蒸発器容器200から与えられる蒸気を使用するツールの入口に配置することができる。フィードバックループは、担体ガスの流れの制御および/または蒸発器容器200の加熱を含むことができる。
【0041】
図3は、一実施形態による蒸発器容器300の断面図を示す。蒸発器容器300は、容器本体302および複数の試薬支持パネル304を含む。蒸発可能固体材料306は、容器本体302および試薬支持パネル304によって画定されるチャンバの各々の中に載る。チャンバは各々、蒸発可能固体材料306によって占有されない部分内の空隙308をさらに含む。空隙308は、充填方位においてチャンバを部分的に充填し、次いで、蒸発可能固体材料306が重力下でシフトしてチャンバの底部部分を占有するように使用方位へと向きを調整することによって、形成されてもよい。
【0042】
蒸発器容器300は、蒸発可能固体材料306を包含するための蒸発器容器である。容器本体302は、内部空間を画定する連続的な周縁を形成する。
図3に示す実施形態において、容器本体302は、
図3に見られる円形断面を与える例示的な円筒形状を有する。容器本体302は、ジャケット(図示せず)またはオーブン(図示せず)などによって与えられる加熱(図示せず)を容器本体302内の内部空間に伝導することができるように、熱伝導性とすることができる。容器本体302は、上述し、
図1および
図2に示した容器本体102および202に関して上述したような蒸発器容器の任意の適切な材料から作成することができる。
【0043】
試薬支持パネル304は、容器本体302によって画定される内部空間を通じて延在する。
図3に示す実施形態の断面図において、試薬支持パネルは、紙面の内外に延在する。試薬支持パネル304は、平坦であり得る。
図3に示す実施形態において、試薬支持パネルは、複数の平行な平面である。試薬支持パネル304のうちの2つ以上は、互いに非平行に配置することができる。試薬支持パネル304は、蒸発可能固体306に熱を伝えることができるように、熱伝導性とすることができる。試薬支持パネル304は、例えば、加熱ジャケットを使用して、または、オーブン内に配置することによって容器本体302が加熱されたときに、熱が試薬支持パネル304へと、次いで、蒸発可能固体材料306へと伝達されて、蒸発可能固体材料306の蒸発が容易になるように、上述し、
図1に示したジョイント108などの熱伝導性ジョイントによって容器本体302に接合することができる。
【0044】
容器本体302および試薬支持パネル304は、容器本体302によって画定される内部空間内に複数のチャンバを画定する。
図3に示す実施形態において、チャンバは、容器本体302に側壁を提供させ、試薬支持パネル304にチャンバの各々のそれぞれの床および天井を提供させることによって画定される一連の容積である。
【0045】
蒸発可能固体材料306は、蒸発器容器が
図3に示すように向けられたときに、容器本体302および/または1つもしくは複数の試薬支持パネル304上に載る。蒸発可能固体材料306は、タングステン前駆体、モリブデン前駆体などを含む前駆体材料などの、蒸発のための任意の適切な固体とすることができる。蒸発可能固体材料の非限定例は、AlCl
3、限定ではないがWCl
5、WCl
6およびWOCl
4を含むタングステンハロゲン化物およびオキシハロゲン化物、限定ではないがMoCl
5、MoOCl
4、およびMoO
2Cl
2を含むモリブデンハロゲン化物およびオキシハロゲン化物、ZrCl
4を含むジルコニウム塩化物またはオキシハロゲン化物、HfCl
4を含むハフニウム塩化物またはオキシハロゲン化物、ならびにそれらの組合せを含むことができる。一実施形態において、蒸発可能固体材料306は、蒸発可能固体材料306が蒸発器容器300の向きの変化に応答してシフトするかまたは流れることを可能にする形態とすることができる。一実施形態において、蒸発可能固体材料306は、粉末の形態である。一実施形態において、蒸発可能固体材料306は、粉末以外の形態である。一実施形態において、蒸発可能固体材料306は、複数のペレットまたは他の成形された形状の形態である。蒸発可能固体材料306は、例えば、結晶および/または団粒構造として構造化することができる。蒸発可能固体材料306は、例えば、蒸着プロセスに使用される前駆体などの適切な蒸発可能固体源材料を含むことができる。一実施形態において、蒸発器容器300は、例えば、蒸発可能固体材料306を試薬支持パネル304に沿っておよび/または容器本体302の内面に沿って分配するために振とうまたは振動させることによって、撹拌することができる。
【0046】
空隙308は、各チャンバ内で蒸発可能固体材料306の上方に形成される開放空間である。空隙308は、蒸発可能固体材料306を、蒸発するときに受容することができ、出口に向かう蒸気の流れを容易にする。一実施形態において、空隙308は、さらに、担体ガスが蒸発可能固体材料306の上を通過することを可能にすることができる。蒸発器容器300には、空隙308の形成に対する充填の程度の影響に基づいて、蒸発可能固体材料306を充填することができる。一実施形態において、蒸発器容器300が水平の向きに配置されるときに空隙308を形成することができるように、蒸発器容器内に開放空間が残るように、蒸発器容器300には、例えば、容量の約80%~約90%など、容量の100%未満まで蒸発可能固体材料306を充填することができる。蒸気および/または担体ガスが、例えば、蒸気に含まれる少なくとも1つの材料の堆積などのプロセスに使用するために抽出されるように、空隙308を通過して、上述し、
図2に示した出口210などの出口に達して、蒸発器容器300を出ることができる。一実施形態において、チャンバの各々は、同じ量の蒸発可能固体材料306を包含または支持する。一実施形態において、チャンバの各々または一部は、異なる量の蒸発可能固体材料306を包含または支持することができる。一実施形態において、各チャンバ内の空隙308の量は同じである。一実施形態において、チャンバの各々または一部の中の空隙308の量は異なることができる。
【0047】
図4は、一実施形態による蒸発器容器の断面図を示す。蒸発器容器400は、容器本体402および複数の試薬支持パネル404を含む。蒸発可能固体材料406は、容器本体402および試薬支持パネル404によって画定されるチャンバのうちの1つまたは複数のいずれかまたはすべての中に載ることができる。蒸発可能固体材料406を含むチャンバは、蒸発可能固体材料406によって占有されないチャンバの部分内に、空隙408をさらに含む。
【0048】
蒸発器容器400は、蒸発可能固体材料406を包含するための蒸発器容器である。容器本体402は、内部空間を画定する連続的な周縁を形成する。
図4に示す実施形態において、容器本体402は、例えば、
図4に見られる円形断面を与える円筒形状を有する。容器本体402は、ジャケット(図示せず)またはオーブン(図示せず)などによって与えられる加熱(図示せず)を容器本体402内の内部空間に伝導することができるように、熱伝導性とすることができる。容器本体402は、上述し、
図1および
図2に示した容器本体102および202に関して上述したような蒸発器容器の任意の適切な材料とすることができる。
【0049】
試薬支持パネル404は、容器本体402によって画定される内部空間を通じて延在する。
図4に示す実施形態の断面図において、試薬支持パネルは、紙面の内外に延在する。試薬支持パネル404は、平坦であり得る。
図4に示す実施形態において、試薬支持パネル404は、各々が、容器本体402の内面から、試薬支持パネル404の各々が他の試薬支持パネル404に行き当たる容器本体402の中心に向かって延在する複数の平坦なシートである。一実施形態において、試薬支持パネル404は、隣接する試薬支持パネル404の各対によって形成される角度が同じであるように、容器本体402の中心の周りで半径方向において均等に分配される。
図4に示す実施形態において、試薬支持パネル404は、
図1に示し、上述した実施形態と同様に、4つのパネルを含み、隣接するパネルは、互いに90度の角度を形成する。しかしながら、隣接する試薬支持パネル404の対によって形成される角度は、容器本体402内で異なることができる。試薬支持パネル404は、蒸発可能固体材料406に熱を伝えることができるように、熱伝導性とすることができる。試薬支持パネル404は、例えば、加熱ジャケットを使用して、または、オーブン内に配置することなどによって容器本体402が加熱されたときに、熱が試薬支持パネル404へと、次いで、蒸発可能固体材料406へと伝達されて、蒸発可能固体材料406の蒸発が容易になるように、上述し、
図1に示したジョイント108などの熱伝導性ジョイントによって容器本体402に接合することができる。
【0050】
容器本体402および試薬支持パネル404は、容器本体402によって画定される内部空間内に複数のチャンバを画定する。
図4に示す実施形態において、チャンバは、チャンバの周縁を提供する2つの試薬支持パネル404および容器本体402の内面の一部分によって画定される一連の容積である。他の実施形態は、チャンバを画定するために異なる数の試薬支持パネル404を使用してもよい。いくつかの実施形態において、チャンバは、容器本体402の内面の一部分によってではなく、試薬支持パネル404によって画定されてもよい。例えば、チャンバは、円形、矩形、または六角形であってもよい。
【0051】
蒸発可能固体材料406は、蒸発器容器400が
図4に示すように向けられたときに、容器本体402および/または1つもしくは複数の試薬支持パネル404上に載る。蒸発可能固体材料406は、例えば、蒸着プロセスに使用される前駆体などの任意の蒸発可能固体源材料とすることができる。蒸発可能固体の非限定例は、タングステン前駆体、モリブデン前駆体などを含む。蒸発可能固体材料の非限定例は、AlCl
3、限定ではないがWCl
5、WCl
6およびWOCl
4を含むタングステンハロゲン化物およびオキシハロゲン化物、限定ではないがMoCl
5、MoOCl
4、およびMoO
2Cl
2を含むモリブデンハロゲン化物およびオキシハロゲン化物、ZrCl
4を含むジルコニウム塩化物またはオキシハロゲン化物、HfCl
4を含むハフニウム塩化物またはオキシハロゲン化物、ならびにそれらの組合せを含むことができる。一実施形態において、蒸発可能固体材料406は、蒸発可能固体材料406が蒸発器容器400の向きの変化に応答してシフトするかまたは流れることを可能にする形態とすることができる。例えば、蒸発可能固体材料406は、蒸発器容器400が充填方位から使用方位に変更されるときに、それらのチャンバ内の位置をシフトしてもよい。一実施形態において、蒸発可能固体材料406は、粉末の形態である。一実施形態において、蒸発可能固体材料406は、粉末以外の形態である。一実施形態において、蒸発可能固体材料406は、ペレットまたは他の成形された形状の形態である。蒸発可能固体材料406は、例えば、結晶および/または団粒構造として構造化することができる。蒸発可能固体材料406は、例えば、蒸着プロセスに使用される前駆体などの適切な蒸発可能固体源材料を含むことができる。一実施形態において、蒸発器容器400は、例えば、蒸発可能固体材料406を試薬支持パネル404に沿っておよび/または容器本体402の内面に沿って分配するために振とうまたは振動させることによって、撹拌することができる。
【0052】
空隙408は、各チャンバ内で蒸発可能固体材料406の上方に形成される開放空間である。空隙408は、蒸発可能固体材料406を、蒸発するときに受容することができ、出口に向かう蒸気の流れを可能にすることができる。一実施形態において、空隙408は、さらに、担体ガスが蒸発可能固体材料406の上を通過することを可能にすることができる。蒸発器容器400には、空隙408の形成に対する充填の程度の影響に基づいて、蒸発可能固体材料406を充填することができる。一実施形態において、蒸発器容器400が水平の向きに配置されるときに空隙408を形成することができるように、蒸発器容器内に開放空間が残るように、蒸発器容器400には、例えば、蒸発器容器400内の容積の約80%~約90%など、蒸発器容器400内の容積の100%未満になるように、蒸発可能固体406を充填することができる。蒸気および/または担体ガスが、例えば、蒸気に含まれる少なくとも1つの材料の堆積などのプロセスに使用するために抽出されるように、空隙408を通過して、上述し、
図2に示した出口210などの出口に達して、蒸発器容器400を出ることができる。
【0053】
記載されている蒸発器容器400の充填プロセスは、蒸発器容器400を、熱伝導性試薬支持パネル404がチャンバの充填を可能にするように垂直に向いている第1の向きに配向することを含んでもよい。チャンバは、充填ポートを使用して80%~90%いっぱいまで充填されてもよい。蒸発器容器400は、熱伝導性試薬支持パネル404が水平方向に延在する使用方位に配向されてもよい。蒸発可能固体材料406は、熱伝導性試薬支持パネル404上に載るように、向きの変化に応答してシフトする。
【0054】
図5A~
図5Dは、様々な実施形態による蒸発器容器500のいくつかの断面図を示す。蒸発器容器500は、処理中に試薬を支持する複数の熱伝導性試薬支持パネル502を含む。熱伝導性試薬支持パネル502は、直線状であってもよく、または、湾曲していてもよい。熱伝導性試薬支持パネル502は、ジグザグであってもよい。熱伝導性試薬支持パネル502の様々な異なる構成が示されている。熱伝導性試薬支持パネル502の設計は、熱伝導性、形成されるチャンバの容積、試薬特性または形態(例えば、ペレット、粒子)、および他の設計考慮事項を考慮し得る。熱伝導性試薬支持パネル502の設計は、蒸発器容器500内の試薬のレベルが様々である、試薬の蒸発をもたらすように選択することができる。例えば、蒸発器容器500内の試薬の量が減少すると、試薬と接触している熱伝導性試薬支持パネル502の表面積の量は低減し得る。他の実施形態において、熱伝導性試薬支持パネル502との試薬の接触面積は、試薬レベルが低減するときに、合理的に一定のままであり得る。
【0055】
態様:
【0056】
態様1~14のいずれかは、実現可能な程度まで、態様15~17または18~21のいずれかと組み合わせることができることが理解される。態様15~17のいずれかは、実現可能な程度まで、態様18~21のいずれかと組み合わせることができることが理解される。
【0057】
態様1.蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器であって、
内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体と、
担体ガスが内部容積を通って流れて蒸発可能固体源材料と接触して、担体ガス/固体源蒸気混合物を形成するために、蒸発器容器の内部容積に担体ガスを導入するように構成されている入口と、
蒸発器容器から担体ガス/固体源蒸気混合物を放出させるように構成されている出口と、
内部容積内に配置され、熱伝導性ジョイントにより内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、蒸発器容器本体が充填配向に配向されるときに、第1の垂直方向に延在し、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、第2の使用方位にあるときに、蒸発可能固体源材料の一部分を支持するように水平に延在している、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルと
を含む、蒸発器容器。
【0058】
態様2.蒸発器容器が、複数の熱伝導性試薬支持パネルを含む、態様1に記載の蒸発器容器。
【0059】
態様3.複数の熱伝導性試薬支持パネルの各々が、各々が互いに平行である、態様2に記載の蒸発器容器。
【0060】
態様4.複数の熱伝導性試薬支持パネルの各々が、蒸発器容器本体の内面から内部容積の中心線まで延在する、態様2または3に記載の蒸発器容器。
【0061】
態様5.複数の熱伝導性試薬支持パネルが、内部容積の中心線の周りで半径方向に均等に分配されている、態様4に記載の蒸発器容器。
【0062】
態様6.蒸発器容器が、4つの熱伝導性試薬支持パネルを含む、態様1から5のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0063】
態様7.熱伝導性試薬支持パネルのいずれかと任意の隣接する熱伝導性試薬支持パネルとの間の角度が90°である、態様6に記載の蒸発器容器。
【0064】
態様8.熱伝導性ジョイントが、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの全長にわたって延在している、態様1から7のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0065】
態様9.少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が、複数の熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体の内面に接合される、態様1から8のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0066】
態様10.複数の熱伝導性ジョイントの間に、熱伝導性試薬支持パネルと蒸発器容器本体の内面との間に間隙が存在する、態様9に記載の蒸発器容器。
【0067】
態様11.熱伝導性ジョイントが溶接である、態様1から10のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0068】
態様12.蒸発器容器が、充填ポートを含む開口部をさらに含み、充填ポートは、充填ポートが少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルによって画定されるすべての空間と連通するように、熱伝導性試薬支持パネルから離されている、態様1から11のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0069】
態様13.少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルが、上記試薬支持パネルを貫通する1つまたは複数の開口部を含む、態様1から12のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0070】
態様14.少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの材料が、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、およびグラファイトから成る群から選択される、態様1から13のいずれかに記載の蒸発器容器。
【0071】
態様15.蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器を充填する方法であって、
蒸発器容器は蒸発器容器本体を含み、蒸発器容器本体は、充填ポートを含む端部、および内部容積を画定する内面を含み、かつ
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル容器が内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されており、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在し、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体に接合されており、
方法は、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が垂直方向に延在し、かつ、充填ポートが蒸発器容器の上部に設けられるように、蒸発器容器を配向することと、
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルと内面によって画定される各空間内に存在するように、充填ポートによって蒸発器容器の内部容積に少なくとも1つの蒸発可能固体源材料を加えることと
を含む、方法。
【0072】
態様16.少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、タングステン前駆体材料またはモリブデン前駆体材料を含む、態様15に記載の方法。
【0073】
態様17.少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が蒸発器容器の内部容積に加えられるときには粉末の形態である、態様15または16に記載の方法。
【0074】
態様18.蒸発可能固体源材料を蒸発させる方法であって、
蒸発可能固体源材料が中に入れられる蒸発器容器を配向することであって、蒸発器容器は、
内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体、
入口、
出口、および
内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在する、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル
を含み、
蒸発器容器が、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が水平方向に延在し、蒸発可能固体源材料の少なくとも一部が少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルのうちの1つまたは複数の上に載るように配向される、蒸発器容器を配向することと、
蒸発器容器本体を加熱することと、
熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体から少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルへと熱を伝達することであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、蒸発器容器本体の内面に接合されている、熱を伝達することと、
蒸発可能固体源材料を蒸発させるために、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々から、前記熱伝導性試薬支持パネルと接触している蒸発可能固体源材料へと熱を伝達することと
を含む方法。
【0075】
態様19.出口によって蒸発器容器から蒸発可能固体源材料の少なくとも一部を含む蒸気を抽出することをさらに含む、態様18に記載の方法。
【0076】
態様20.少なくとも1つの蒸発可能固体源材料は、タングステン前駆体材料またはモリブデン前駆体材料を含む、態様18または19に記載の方法。
【0077】
態様21.少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、蒸発器容器を配向するときには粉末の形態である、態様18から20のいずれかに記載の方法。
【0078】
本出願に開示されている実施例は、すべての点において限定ではなく例示として解釈されるべきである。本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内に入るすべての変更が受け入れられるように意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器であって、
内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体と、
担体ガスが内部容積を通って流れて蒸発可能固体源材料と接触して、担体ガス/固体源蒸気混合物を形成するために、蒸発器容器の内部容積に担体ガスを導入するように構成されている入口と、
蒸発器容器から担体ガス/固体源蒸気混合物を放出させるように構成されている出口と、
内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルであって、
蒸発可能固体源材料の少なくとも一部が、蒸発可能固源材料の前記一部の上面と、蒸発器容器または少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルのうちの別のパネルとの間に空隙が存在する状態で熱伝導性試薬支持パネル上に載せられるように、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、
出口が容器の長手方向の端部にあるように蒸発器容器本体が配向されたときに、内部容積を通って水平方向に延在している、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルと
を含
み、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体に接合されている、蒸発器容器。
【請求項2】
蒸発器容器が、複数の熱伝導性試薬支持パネルを含む、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項3】
充填ポートをさらに含み、充填ポートは、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルによって画定されるすべての空間と連通するように、熱伝導性試薬支持パネルから離されている、請求項1に記載の蒸発器容器。
【請求項4】
蒸発可能固体源材料のための蒸発器容器を充填する方法であって、
蒸発器容器は蒸発器容器本体を含み、蒸発器容器本体は、充填ポートを含む端部、および内部容積を画定する内面を含み、かつ
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル容器が内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されており、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在し、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体に接合されており、
方法は、
少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が垂直方向に延在し、かつ、充填ポートが蒸発器容器の上部に設けられるように、蒸発器容器を配向することと、
少なくとも1つの蒸発可能固体源材料が、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルと内面によって画定される各空間内に存在するように、充填ポートによって蒸発器容器の内部容積に少なくとも蒸発可能固体源材料を加えることと
を含む、方法。
【請求項5】
蒸発可能固体源材料を蒸発させる方法であって、
固体が中に入れられる蒸発器容器を配向することであって、蒸発器容器は、
内部容積を画定する内面を含む蒸発器容器本体、
入口、
出口、および
内部容積内に配置され、内面において蒸発器容器本体に接合されている少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々は、内部容積を通じて延在する、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネル
を含み、
蒸発器容器が、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々が水平方向に延在し、蒸発可能固体源材料の少なくとも一部が少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルのうちの1つまたは複数の上に載るように配向される、蒸発器容器を配向することと、
蒸発器容器本体を加熱することと、
熱伝導性ジョイントによって蒸発器容器本体から少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルへと熱を伝達することであって、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルは、蒸発器容器本体の内面に接合されている、熱を伝達することと、
蒸発可能固体源材料を蒸発させるために、少なくとも1つの熱伝導性試薬支持パネルの各々から、前記熱伝導性試薬支持パネルと接触している蒸発可能固体源材料へと熱を伝達することと
を含む方法。
【国際調査報告】