(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置及び方法のためのペリクルメンブレン
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20240220BHJP
【FI】
G03F1/62
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547275
(86)(22)【出願日】2022-02-03
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2022052578
(87)【国際公開番号】W WO2022184373
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーミューレン,ポール,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ハウエリング,ゾマー,シルベスター
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BC33
2H195BC34
(57)【要約】
予め選択されたボンディング構成又は(m,n)キラリティを有するカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンであって、カーボンナノチューブメンブレンが、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、相当量のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブメンブレン。カーボンベースのメンブレンの処理のための装置、カーボンベースのメンブレンを処理するための方法、カーボンベースのメンブレンを含むペリクル、カーボンナノチューブメンブレンを備えるリソグラフィ装置、並びに、リソグラフィ装置及び方法におけるカーボンナノチューブメンブレンの使用も記述される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め選択されたボンディング構成又は(m,n)キラリティを有するカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンであって、前記カーボンナノチューブメンブレンが、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、相当量のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブメンブレン。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、カーボンナノチューブのおよそ65%より多くを含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有するカーボンナノチューブの、およそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くを含む、請求項2に記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、およそ1nmからおよそ15nm、好ましくはおよそ2nmからおよそ10nmの直径を有する、請求項1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項5】
アームチェア型(m,m)キラリティの任意のナノチューブは、耐エッチコーティングを含む、請求項1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項6】
前記メンブレンは、100nmより少ない厚みを有する、請求項1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項7】
前記メンブレンは、およそ90%より大きい、およそ92%より大きい、又はおよそ95%より大きい、EUV透過率を有する、請求項1から6のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項8】
前記メンブレンはホモキラルである、請求項1から7のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項9】
予め選択されたボンディング構成又はキラリティを取得するためのカーボンベースのメンブレンの処理のための装置であって、前記装置は熱源及びガス供給を含み、前記熱源及び前記ガス供給は、前記カーボンベースのメンブレンから、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを選択的に除去するために、反応性ガス又は前記反応性ガスから形成されるプラズマを用いて、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を処理するように構成されることを特徴とし、前記処理されたカーボンベースのメンブレンは、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むようになっている、装置。
【請求項10】
前記熱源は、レーザ及びオーブンのうちの少なくとも1つを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、カーボンベースのメンブレンを支持するためのサポートを更に含む、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記熱源は、前記カーボンベースのメンブレンを、前記反応性ガスと反応できるような十分な温度まで加熱するように構成される、請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記熱源は、カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、加熱するように動作可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記反応性ガスは還元ガスである、請求項9から13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記ガス供給は、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を提供するように構成される、請求項9から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記反応性ガスは、約1vol%までの酸素、約2vol%までの酸素、約3vol%までの酸素、約4vol%までの酸素、又は約5vol%までの酸素を含み、残りは水素である、請求項9から15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記レーザは、約1Wcm
-2から約40Wcm
-2の入射放射強度で前記カーボンベースのメンブレンを照明するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記オーブンは、前記カーボンベースのメンブレンを、約350℃から約1200℃の温度まで加熱するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項19】
カーボンベースのメンブレンを処理するための方法であって、
i)カーボンベースのメンブレンを提供すること、
ii)熱源を用いて前記カーボンベースのメンブレンを加熱すること、
iii)反応性ガスを提供すること、及び、
iv)前記処理されたカーボンベースのメンブレンが、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むように、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを前記カーボンベースのメンブレンから選択的に空乏化するために、前記反応性ガス又は前記反応性ガスから形成されるプラズマを、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部と反応させること、
を含む、方法。
【請求項20】
前記カーボンベースのメンブレンはカーボンナノチューブを含み、任意選択として、前記カーボンナノチューブメンブレンは異なるボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブを含み、及び/又は、前記カーボンナノチューブは単一壁及び/又は多層壁のカーボンナノチューブを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、好ましくは1200℃未満まで、加熱することを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記反応性ガスは還元ガスであり、及び/又は、前記反応性ガスは、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を含む、請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記熱源は、レーザ及びオーブンのうちの1つ又は両方を備え、任意選択として、前記方法は、前記カーボンベースのメンブレンを横切る前記レーザをスキャンすることを含む、請求項19から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、約1Wcm
-2から約40Wcm
-2の入射放射強度で前記カーボンベースのメンブレンを照明することを含む、請求項19から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
請求項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレンを備えるか、又は請求項19から24のいずれかに記載の方法に従って処理された、ペリクル。
【請求項26】
請求項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレンを備えるか、又は請求項19から24のいずれかに記載の方法に従って処理された、リソグラフィ装置内で使用するためのペリクルアセンブリ。
【請求項27】
請求項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレンを備えるか、又は、請求項25又は26に記載のペリクル又はペリクルアセンブリを備える、リソグラフィ装置。
【請求項28】
請求項19から24のいずれかに記載の方法の使用、又は、請求項1から8、25、又は26のいずれかに従った、リソグラフィ方法又は装置内のペリクル又はカーボンナノチューブメンブレン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2021年3月5日出願の欧州出願第21160905.2号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、カーボンナノチューブメンブレン、カーボンナノチューブメンブレンの処理のための装置、カーボンナノチューブメンブレンを処理するための方法、カーボンナノチューブメンブレンを含むペリクル、ペリクル又はカーボンナノチューブメンブレンを備えるリソグラフィ装置、及び、方法、ペリクル、又はカーボンナノチューブメンブレンのリソグラフィ方法又は装置における使用に関する。本発明は特に、予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブを含む、カーボンナノチューブメンブレンに関する。本発明は、特にEUVリソグラフィ装置及び方法への適用性を有するが、限定されない。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造時に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)からのパターンを、基板上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上に投影し得る。
【0004】
[0004] パターンを基板上に投影するためにリソグラフィ装置によって使用される放射の波長は、その基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置は、従来のリソグラフィ装置(例えば、波長が193nmの電磁放射を使用し得る)よりも小さなフィーチャを基板上に形成するために使用され得る。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置は、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)を含む。放射は、基板上に像を形成するために、パターニングデバイスを介して、又はパターニングデバイスに反射して提供される。メンブレンアセンブリはペリクルとも呼ばれ、浮遊微小粒子及び他の形の汚染物質からパターニングデバイスを保護するために提供され得る。パターニングデバイスの表面上の汚染物質は、基板上に製造欠陥を生じさせる可能性がある。
【0006】
[0006] ペリクルは、パターニングデバイス以外の光学コンポーネントを保護するためにも提供され得る。ペリクルは、互いから封止されるリソグラフィ装置の領域間に、リソグラフィ放射の通路を提供するためにも使用され得る。ペリクルは、リソグラフィ装置のスペクトル純度フィルタなどのフィルタとして、又は動的ガスロックの一部としても使用され得る。
【0007】
[0007] マスクアセンブリは、パターニングデバイス(例えばマスク)を粒子汚染から保護するペリクルを含み得る。ペリクルは、ペリクルアセンブリを形成する、ペリクルフレームによって支持され得る。ペリクルは、例えば、ペリクル境界領域をフレームに接着又は他の方法で取り付けることによって、フレームに取り付けられ得る。フレームは、取り外せないように又は取り外せるように、パターニングデバイスに取り付けられ得る。
【0008】
[0008] EUV放射ビームの光路内のペリクルの存在に起因して、ペリクルは高いEUV透過率を有することが必要である。高いEUV透過率は、ペリクルを介して入射する放射の割合を大きくすることができる。加えて、ペリクルによって吸収されるEUV放射の量を減少させることで、ペリクルの動作温度を低下させ得る。透過率はペリクルの厚みに少なくとも部分的に依存するため、リソグラフィ装置内の、時として厳しい環境に十分に耐えるほどの確実な強さを維持しながら、できる限り薄いペリクルを提供することが望ましい。
【0009】
[0009] したがって、リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置の、過酷な環境に耐え得るペリクルを提供することが望ましい。以前よりも高いパワーに耐え得るペリクルを提供することが、特に望ましい。
【0010】
[00010] ペリクルは、リソグラフィ装置の光路内にあるため、ペリクルの透過率が使用中経時的に変動する場合、リソグラフィ装置の許容差範囲外となり、交換を必要とする場合がある。したがって、使用中、一貫した透過率を有するペリクル、又は、少なくとも以前より低い割合の透過率のドリフトを有するペリクルを、提供することが望ましい。
【0011】
[00011] メンブレン材料がリソグラフィ装置内でエッチングされるのを防ぐために、メンブレン材料に保護コーティングが印加され得る。しかしながら、保護コーティングは、異なる材料の熱膨張の差に起因して、損傷を受けるか又はメンブレンから分離される可能性がある。
【0012】
[00012] 本発明は、上記で識別された問題のうちの少なくともいくつかに対処するための試みにおいて考案されてきた。
【発明の概要】
【0013】
[00013] 本発明の第1の態様によれば、予め選択されたボンディング構成又は(m,n)キラリティを有するカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンが提供され、カーボンナノチューブメンブレンが、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、相当量のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする。カーボンナノチューブキラリティを決定することは、分光法を使用して実行可能であり、当分野では周知である。
【0014】
[00014] 相当量によって、カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、カーボンナノチューブのおよそ65%より多くを含み得ることが理解される。カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有するカーボンナノチューブの、およそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くを含み得る。量は、wt%として提供される。
【0015】
[00015] 予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有する相当量のカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンによって、いくつかの利点が提供される。
【0016】
[00016] 予め選択されたボンディング構成又はキラリティを伴うCNTは、リソグラフィ装置内の水素プラズマ環境において、異なる挙動をすることがわかっている。例えば、ジグザグ型キラリティ(m,0)を伴うCNTは、他のキラリティを伴うCNTよりも、水素プラズマ環境におけるエッチングへの高い耐性を示し、優れたEUV透過を有する未コーティングCNTの膜にとって、最も好適なものとする。それとは逆に、アームチェア型キラリティ(m,m)を伴うCNTは、他のキラリティを伴うCNTよりも良好な熱放射率を有し、優れた耐熱性を有するコーティングされたCNT適用例にとって、より好適なものとする。したがって、EUVリソグラフィ装置内の条件に依存して、ジグザグ型キラリティを伴うCNT、又はアームチェア型キラリティを伴うCNT、あるいは、環境条件に依存して特定の比率を有するジグザグ型キラリティ及びアームチェア型キラリティの組み合わせを、実質上含む、ペリクル又はメンブレンを有することが有利であり得る。別の利点は、本発明の第1の態様に従ったメンブレンの透過率におけるドリフトが、予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有さないカーボンナノチューブメンブレンのドリフトよりも少ないことである。異なるカーボンナノチューブは、リソグラフィ装置内での空乏化の影響をより受けやすい可能性があるため、メンブレンがリソグラフィ装置内で使用される前にこうしたカーボンナノチューブが空乏化される場合、メンブレンの透過性は経時的にそれほど変化しないことになる。
【0017】
[00017] カーボンナノチューブは、およそ1nmからおよそ15nm、好ましくはおよそ2nmからおよそ10nmの直径を有し得る。より大きな直径のカーボンナノチューブは、より小さな直径のカーボンナノチューブに比べて、水素プラズマへの耐性がより高い。
【0018】
[00018] アームチェア型(m,m)キラリティのカーボンナノチューブは、耐エッチコーティングを含み得る。アームチェア型カーボンナノチューブはより大きな放射率を有するため、異なるキラリティを有する他のカーボンナノチューブよりも低い温度で動作する。したがって、低温が好ましい場合、アームチェア型ナノチューブは、水素プラズマによってエッチングされる割合を保護するか又は少なくとも低減させるために、保護コーティングでコーティング可能である。当分野で既知の任意の好適な保護コーティングが使用され得、本発明は選択するコーティングによって特に限定されない。
【0019】
[00019] メンブレンは、100nmより少ない厚みを有し得る。メンブレンは放射ビームの経路内での使用が意図されるため、メンブレンは、最大量の放射が通過できるように薄いことが好ましい。
【0020】
[00020] メンブレンは、およそ90%より大きい、およそ92%より大きい、又はおよそ95%より大きい、EUV透過率を有し得る。
【0021】
[00021] メンブレンはホモキラルであり得る。ホモキラルによって、メンブレンは本質的に、カーボンナノチューブの1つのタイプのボンディング構成又はキラリティのみを含むことが理解される。
【0022】
[00022] 本発明の第2の態様によれば、予め選択されたボンディング構成又はキラリティを取得するためにカーボンベースのメンブレンの処理のための装置が提供され、装置は熱源及びガス供給を含み、熱源及びガス供給は、カーボンベースのメンブレンから、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを選択的に除去するために、反応性ガス又は反応性ガスから形成されるプラズマを用いて、カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を処理するように構成されることを特徴とし、処理されたカーボンベースのメンブレンは、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むようになっている。実施形態において、カーボンベースのメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有するカーボンナノチューブの、およそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くを含む。
【0023】
[00023] EUVリソグラフィ装置のパワーが増加すると、ペリクル及びメンブレンにかかる熱負荷も増加する。カーボンナノチューブ(CNT)メンブレンは、特に、十分な高EUV透過率及び良好な機械的ロバスト性のEUVリソグラフィにおいての使用に好適である。カーボンに基づくメンブレンは、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、及び、それらの派生物又は官能性変異体の形の、カーボンを含み得る。未コーティングカーボンナノチューブ(CNT)は、非常に高い耐熱性を有するが、リソグラフィ装置内でEUV放射によって誘導される水素プラズマによってエッチング可能である。このエッチングは、CNTの、したがってペリクルの、寿命を制限する。
【0024】
[00024] 異なるタイプのカーボンナノチューブは、異なる電子帯構造を有し、したがって、異なる導電率及び異なる放射率を有する。より高い放射率を有するカーボンナノチューブは、半導電又は非導電のカーボンナノチューブよりも低い温度で動作する。適用例に依存して、導電率、放射率、又はエッチング耐性などの特異性を有する、大量のCNTを含むCNT膜を製造することが望ましい。また、特異性を有する大量のCNTを選択的に維持するために、既製のCNT膜の処理のための装置を有することも望ましい。
【0025】
[00025] 単一壁カーボンナノチューブ(SWCNT)又は多重壁カーボンナノチューブ(MWCNT)の既存の合成方法は、平均を中心とするキラル指数(m,n)の分布を伴うCNTの混合物を生成する(m、nは正の整数)。次いで、互いに異なるナノチューブの分離を試行するために、合成後処理を適用することができる。使用される技法は、電気泳動法又は超遠心分離法に基づく、物理的分離技法、並びに、共有結合的又は非共有結合的官能化あるいは過酸化水素による酸化を含む、化学的経路を含む。しかしながら、これらの技法は、十分高い収率を有さず、十分スケーリングできない。
【0026】
[00026] すでに述べたように、予め選択されたボンディング構成又はキラリティを伴うCNTは、水素プラズマ環境において異なる挙動をする可能性がある。例えば、ジグザグ型キラリティ(m,0)を伴うCNTは、他のキラリティを伴うCNTよりも、水素プラズマ環境におけるエッチングへの高い耐性を示し、優れたEUV透過を有する未コーティングCNTの膜にとって、最も好適なものとする。それとは逆に、アームチェア型キラリティ(m,m)を伴うCNTは、他のキラリティを伴うCNTよりも良好な熱放射率を有し、優れた耐熱性を有するコーティングされたCNT適用例にとって、より好適なものとする。したがって、EUVリソグラフィ装置内の条件に依存して、ジグザグ型キラリティを伴うCNT、又はアームチェア型キラリティを伴うCNT、あるいは、環境条件に依存して特定の比率を有するジグザグ型キラリティ及びアームチェア型キラリティの組み合わせを、実質上含む、ペリクル又はメンブレンを有することが有利であり得る。
【0027】
[00027] 本発明の第2の態様に従った装置は、予め選択されたボンディング構成又はキラリティを伴う相当量のCNTを維持するように、カーボンナノチューブメンブレンを処理することができる。熱源は、レーザ及びオーブンのうちの少なくとも1つを備え得る。アームチェア型カーボンナノチューブは、ジグザグ型ナノチューブよりも水素プラズマによってより高速にエッチングされるため、装置は、例えば、レーザ加熱及び反応性ガスを伴う反応によって、又は、プラズマへの露光によって、メンブレンを処理する。こうした処理は、相当量のジグザグ型キラルCNTを含むメンブレンを取得するために使用可能である。代替において、装置は、例えばオーブン又はホットプレート加熱、及び反応性ガスとの反応によって、メンブレンを処理する。こうした処理は、相当量のアームチェア型キラルCNTを含むメンブレンを取得するために使用可能である。カーボンナノチューブメンブレンは、異なる導電性を有するナノチューブを含み、したがってカーボンナノチューブメンブレンは単一温度ではなく、むしろ、導電性が低くしたがって放射性の低いナノチューブは、導電性が高くしたがって放射性の高いナノチューブよりも、高い温度を達成する。したがって、反応性ガスは優先的により熱いカーボンナノチューブと反応し、結果としてカーボンナノチューブは反応の際に消耗する。臨界温度より下では、相対的に不活性のカーボンナノチューブと反応性ガスとの間に反応はないか、又は非常にゆっくりとした反応のみである。したがって、加熱手段を選択すること、及び、メンブレンの処理のためにプラズマが使用されるかどうかによって、保持されるか又はメンブレンから空乏化されるべき特定タイプのナノチューブを選択することが可能である。
【0028】
[00028] したがって、処理されたカーボンベースの、好ましくは放射性の低いカーボンナノチューブが除去された、カーボンナノチューブメンブレンを作成することが可能である。この利点は、結果として生じるメンブレンが、リソグラフィ装置、特にEUVリソグラフィ装置内でペリクルとして使用されるとき、より低い温度で動作し、リソグラフィ装置内でより長い存続期間を有することである。加えて、異なるタイプのカーボンナノチューブが除去されているという点で、メンブレンはより均一であるため、使用中、メンブレンの透過率は、処理されていないメンブレンに比べてドリフトの影響を受け難い。カーボンナノチューブがより低い温度で動作することになり、したがって、保護コーティングが損傷するリスクが減少するか又はなくなるため、カーボンナノチューブに保護コーティングを提供することも可能である。
【0029】
[00029] 本発明の第2の態様に従った装置は、望ましくないボンディング構成又はキラリティ(m,n)を有するカーボンナノチューブの、高速且つ効率的な選択的空乏化を可能にする。望ましくないキラリティの例は、ジグザグ型キラリティ(m,0)とは異なる任意のキラリティ(m,n)、又は、アームチェア型キラリティ(m,m)とは異なる任意のキラリティ(m,n)、又は、ジグザグ型(m,0)及びアームチェア型(m,m)とは異なる任意のキラリティ(m,n)であり得る。加えて、装置は、異なる直径を有するカーボンナノチューブの選択的空乏化を可能にする。例えば、より小さな直径を有するカーボンナノチューブは、より大きな直径を有するカーボンナノチューブよりも、高速で空乏化することができる。例えば、カーボンナノチューブは、およそ2nmからおよそ10nmの直径を有し得る。
【0030】
[00030] 加えて、カーボンナノチューブの実質上単分散の分布を生成するための既存の方法及び装置は、メンブレンの構造を破壊することになるため、メンブレン又はペリクルへの適用に好適ではない。導電性の金属カーボンナノチューブの割合が増加された、カーボンナノチューブメンブレンを製造可能にすることによって、メンブレンは、より高い熱放射率及び電子放射率を有し、結果的に使用中、同じレベルのEUV吸収での熱放射が増加することに起因して、カーボンナノチューブメンブレンの温度は低くなる。これは、メンブレンの寿命を増加させ得、プラズマエッチングを防ぐためのコーティングの使用を可能にし得る。アームチェア型キラリティ(m,m)カーボンナノチューブは、プラズマエッチングを防ぐか又は少なくとも減少させるためのコーティングに好適な放射性メンブレンを提供するために、特に好適である。以前には、カーボンナノチューブ上でのコーティングの使用は、コーティングへの損傷及びメンブレンの障害を生じさせる可能性があった。更に、こうした処理されたカーボンナノチューブメンブレンは、カーボンナノチューブ当たりより多くの電子を放出し、これが周囲のプラズマ電位を減少させ、それによってエネルギー及びエッチ歩留まりを減少させ、再度結果として、メンブレンの寿命を増加させる。他方で、未コーティングカーボンナノチューブがメンブレンを形成するために使用されるとき、より大きな直径を伴うジグザグ型カーボンナノチューブは、より小さな直径を有するそのカーボンナノチューブの水素プラズマエッチングへのより大きな耐性があるため、これが水素プラズマエッチングの割合を減少させ、より大きな直径を有する半導体(ジグザグ)カーボンナノチューブから作られるメンブレンを有することが、好ましい場合がある。
【0031】
[00031] 装置は、カーボンベースのメンブレンを支持するためのサポートを含み得る。カーボンベースのメンブレンがどのように作成されたかに依存して、自立型メンブレンの形であり得るか、又は基板によって支持され得る。サポートは、外周付近でカーボンベースのメンブレンを支持し得る。サポートは、カーボンベースのメンブレンが提供されるプレートの形であり得る。サポートは、CNT膜を支持するグリッドの形であり得る。
【0032】
[00032] 装置は、レーザビームをスキャンするように構成され得る。カーボンナノチューブメンブレンのサイズ及びレーザビームの直径に依存して、装置は、処理される任意のカーボンナノチューブメンブレンに関してレーザを移動させるように構成され得る。レーザ加熱は、メンブレンの所望の区域に精密に印加可能であるため、及び、メンブレンに含まれる特定のカーボンナノチューブを選択的にヒートアップさせるために使用可能であるため、有利である。レーザ加熱及びガスとの反応は、アームチェア型キラリティカーボンナノチューブを選択するために使用され得る。オーブン内などの他の形の加熱、及び/又はプラズマとの反応は、結果として、ジグザグ型キラリティカーボンナノチューブを選択することになる。
【0033】
[00033] レーザは、カーボンナノチューブの少なくとも一部を、反応性ガスと反応できるような十分な温度まで加熱するように構成され得る。レーザのパワーは、カーボンナノチューブメンブレンを所望の反応温度までヒートアップさせるように選択され得る。使用される正確なパワーは変動し得、レーザビームの直径及びカーボンナノチューブメンブレンの性質を含むが限定されない、要因に依存する。メンブレン内部の異なるカーボンナノチューブは、それらの間の物理的相違に起因して、異なる温度まで加熱され、したがって、カーボンナノチューブメンブレン全体ではなく、所望の温度まで加熱される必要のある空乏化することが意図されるカーボンナノチューブであることを理解されよう。実際にこれは、特定のカーボンナノチューブの選択的除去のために提供される、選択加熱である。任意の好適な波長の光は、カーボンナノチューブメンブレンを加熱するために使用され得る。一例は、810nmレーザであるが、本発明は、使用される特定の波長の光に特に限定されないことを理解されよう。
【0034】
[00034] 熱源は、カーボンナノチューブメンブレンの少なくとも一部を、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、加熱するように動作可能であり得る。再度、メンブレンのすべてをこれらの温度まで加熱する必要はなく、むしろ、メンブレンから除去される特定のナノチューブのみであることを理解されよう。これらの温度において、特定のナノチューブは反応性ガスと反応し、エッチング除去することが可能である。カーボンは、酸化炭素及び炭化水素を含む、気体状カーボン種の生成によって除去され得る。
【0035】
[00035] 反応性ガスは還元ガスであり得る。還元ガスは、基板上に全減少効果を有するガスである。
【0036】
[00036] 反応性ガスは、水素プラズマなどのプラズマでもあり得る。こうした場合、ガス供給によって供給されるガスは、不活性ガス(例えばH2)であり得、次いで、プラズマ(例えば水素プラズマ)の形の反応性ガスになるようにし得る。この代替は、下記で「反応性ガスから形成されるプラズマ」と言及される。
【0037】
[00037] ガス供給は、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を提供するように構成され得る。ガスは、アルゴン又はヘリウムなどの他の非反応性ガスを含み得る。好ましくは、ガスは水素及び酸素を含む。反応性ガスは、本質的に水素及び酸素からなり得る。不可避の不純物が存在し得る。場合によっては、ガスは水素及び酸素の混合物を含み得るが、酸素は、ガス混合物全体が減少するような量で提供され得る。水素及び酸素の混合物は、約1vol%までの酸素、約2vol%までの酸素、約3vol%までの酸素、約4vol%までの酸素、約5vol%までの酸素を含み得、残りは水素である。少量の酸素の存在は、カーボンナノチューブが選択的に空乏化される率を増加させる。しかしながら、ガス全体は減少され得るため、任意の酸素がカーボンナノチューブから除去される。減少環境の利点は、水素をメンブレン内に存在させるコストがかかるにもかかわらず、メンブレン内に存在する酸素が除去され得、水素プラズマによってエッチング速度を上げ得ることである。ある割合のカーボンナノチューブの除去の更なる利点は、結果として生じるメンブレンのEUV放射への透過率が、メンブレンからの材料の除去に起因して増加されることである。他の実施形態において、ガスは酸化ガスであり得る。酸化環境の恩恵は、酸素がメンブレン内に存在し、EUV透過率を減少させる欠点があるにもかかわらず、処理の後、メンブレンと共に存在する水素がないことである。
【0038】
[00038] レーザは、約1Wcm-2から約40Wcm-2の入射放射強度でカーボンベースのメンブレンを照明するように構成され得る。
【0039】
[00039] オーブンは、カーボンベースのメンブレンを、約350℃から約1200℃の温度まで加熱するように構成され得る。
【0040】
[00040] 本発明の第3の態様によれば、カーボンベースのメンブレンを処理するための方法が提供され、方法は、i)カーボンベースのメンブレンを提供すること、ii)熱源を用いてカーボンベースのメンブレンを加熱すること、iii)反応性ガスを提供すること、及び、iv)処理されたカーボンベースのメンブレンが、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを90%以上含むように、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブをカーボンベースのメンブレンから選択的に空乏化するために、反応性ガス又は反応性ガスから形成されるプラズマを、カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部と反応させること、を含む。
【0041】
[00041] 本発明の第3の態様に従った方法は、カーボンベースのメンブレン、好ましくは、カーボンナノチューブメンブレンを、メンブレンを含むカーボンナノチューブのうちのいくつかを選択的に空乏化することによって、処理するための方法を提供する。これは、放射性の低いカーボンナノチューブを選択的に加熱するために、レーザ光を用いてカーボンナノチューブメンブレンを照明することによって、及び、より熱いカーボンナノチューブと反応し、それらを選択的に空乏化することが可能な反応性ガスを提供すること、又は、アームチェア型キラリティカーボンナノチューブを選択的に空乏化する水素プラズマへの露光によって、達成される。好ましくは、方法は、実質上単分散のカーボンナノチューブメンブレンを提供する。異なるカーボンナノチューブを分離する以前の方法は、必然的に結果としてメンブレンを破壊し、次いで、異なるプロセスにおいて再形成しなければならないため、カーボンナノチューブメンブレンを処理するのに好適ではない。このプロセスは、カーボンナノチューブメンブレンからカーボンナノチューブを効率的に選択的に除去することができ、結果的に、放射性カーボンナノチューブの著しく増加された割合を含むメンブレンを生じさせる。この結果として、こうしたメンブレンを含むペリクルの動作温度は、他のすべての条件が同じであれば、未処理のカーボンナノチューブメンブレンを含むペリクルの動作温度よりも低い。これはリソグラフィ装置の外部で、及びメンブレンがリソグラフィ装置内にインストールされる前に、行うことができる。カーボンナノチューブメンブレンは、導電性及び非導電性のカーボンナノチューブの混合物を含み得る。カーボンナノチューブメンブレンの加熱は、特定のカーボンナノチューブを反応性ガスと反応する温度を上回るまで選択的に加熱する一方で、他のカーボンナノチューブはその温度を下回ったままであり、それによって、より高い温度に到達する特定のカーボンナノチューブの選択的除去を可能にする。メンブレンは(ペリクルの一部として)、結果としてカーボンナノチューブのエッチングを生じさせるために必要な温度を大幅に上回るまで加熱されるため、EUVリソグラフィ装置内ではこうした選択的除去は存在しない。他方で、プラズマが印加される場合、アームチェア型キラリティカーボンナノチューブは優先的に空乏化され得、結果として、プラズマエッチングへの耐性がより大きい、ジグザグ型キラリティカーボンナノチューブの割合が増加したメンブレンが生じる。
【0042】
[00042] カーボンベースのメンブレンは、カーボンナノチューブを含み得る。カーボンナノチューブは、異なるボンディング構成又はキラリティを有し得る。カーボンナノチューブは、放射性及び非放射性の単一壁又は多重壁のカーボンナノチューブ(二重壁カーボンナノチューブなど)を含み得る。カーボンナノチューブは、その構造に依存して、一般に、放射性又は非放射性として分類される。これは、カーボンナノチューブが導電性(放射性)であるか又は非導電性(非放射性)であるかに依存する。方法は、カーボンナノチューブメンブレンから非導電性カーボンナノチューブを選択的に除去すること、又は、カーボンナノチューブメンブレンから導電性カーボンナノチューブを選択的に除去することを含む。
【0043】
[00043] 方法は、カーボンナノチューブメンブレンの少なくとも一部を、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、好ましくは1200℃未満まで、加熱することを含み得る。再度、これは、特定のナノチューブを選択的に空乏化する能力を提供する、ナノチューブの選択加熱であるため、これらの温度まで加熱されるナノチューブは、すべてのナノチューブではなく、特定のナノチューブのみであることを理解されよう。メンブレンは、高過ぎる温度まで加熱された場合、損傷する可能性があるため、温度はおよそ1200℃未満までに維持することが好ましい。
【0044】
[00044] 反応性ガスは還元ガスであり得る。反応性ガスは、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を含み得る。反応性ガスは、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物であり得る。実施形態において、ガスは酸化ガスであり得る。
【0045】
[00045] 方法は、カーボンナノチューブメンブレンを横切るレーザをスキャンすることを含み得る。本発明は、これが、他方に関して移動される、レーザ及びカーボンナノチューブメンブレンのうちの1つ又は両方であるかどうかに特に限定されない。レーザをスキャンすることによって、カーボンナノチューブメンブレンの特定の部分は、ヒートアップ可能であり、特定のタイプのカーボンナノチューブを選択的に空乏化するように処理可能である。したがって、方法は、カーボンナノチューブメンブレンのうちの1つ以上のカーボンナノチューブを、選択的に空乏化することを含み得る。特定のナノチューブを空乏化することによって、より高い放射率を有し、したがって所与のパワーに対してより低い温度で動作する、より均一なメンブレンを提供することが可能である。加えて、リソグラフィ装置内で使用する間、こうしたメンブレンを含むペリクルの透過率において、より少ない量のドリフトが存在する。
【0046】
[00046] 方法は、約1Wcm-2から約40Wcm-2の入射放射強度でカーボンナノチューブメンブレンを照明することを含み得る。好ましくは、入射レーザ強度は、非放射性カーボンナノチューブを十分に加熱するために、約8.4Wcm-2より上である。本発明の任意の態様で言及されるレーザは、こうした強度でレーザエネルギーを提供するように構成され得ることを理解されよう。40Wcm-2よりも高い強度は、メンブレンを過熱させる傾向があるが、循環される場合は使用可能である。
【0047】
[00047] 本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様に従うか、又は本発明の第3の態様の方法に従って処理された、カーボンナノチューブメンブレンが提供される。
【0048】
[00048] 本発明の第3の態様に従った方法によって処理されることによって、実質上すべての望ましくないボンディング構成又はキラリティ(m,n)カーボンナノチューブは、メンブレンから除去され得る。本開示全体を通じて、ほぼすべてによって、この場合には、望ましくないボンディング構成又はキラリティ(m,n)を有するカーボンナノチューブの量であると見なされるフィーチャの、およそ65%より多く、好ましくはおよそ75%より多くの、更により好ましくはおよそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、およそ99%より多くが、除去されることを理解されよう。したがって、処理されたCNTメンブレンは、ジグザグ型及び/又はアームチェア型キラリティを伴うカーボンナノチューブの、70%より多く、好ましくは80%より多く、より好ましくは90%より多く、95%より多く、98%より多く、又は、99%より多くを含む。
【0049】
[00049] 前述のように、リソグラフィ装置内でペリクルとして使用するためのカーボンナノチューブメンブレンが提供され得、カーボンナノチューブメンブレンは、実質上、予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブを含む。したがって、カーボンナノチューブメンブレンはホモキラルであり得る。
【0050】
[00050] 実質上含むことによって、メンブレンのおよそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くは、所望の予め選択されたボンディング構成又はキラリティ、例えばジグザグ型キラリティを有するカーボンナノチューブを含む。アームチェア型キラリティの場合、「実質上含むことによって」という用語は、メンブレンのおよそ35%より多く、およそ50%より多く、およそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くは、所望の予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブを含むことを理解されよう。
【0051】
[00051] 予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブを実質上含むことによって、リソグラフィ装置内でペリクルとして使用されるとき、有利である。
【0052】
[00052] カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティを有するカーボンナノチューブを実質上含み得る。ジグザグ型キラリティを有するカーボンナノチューブは半導体であり、したがって非放射性として分類される。したがって、ジグザグ型キラリティを有するカーボンナノチューブを含むペリクルは、より放射性タイプのカーボンナノチューブを含むペリクルよりも放射性が低い。これは、他のすべての条件が同じであれば、動作温度が、放射性カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンの動作温度よりも高くなることを意味する一方で、ジグザグ型カーボンナノチューブは、より高い動作温度に耐えることができる。したがって、こうしたペリクルの利点は、例えば1900Kまでの高い動作温度に耐えられること、また加えて、ペリクルは本質的に1つのタイプのカーボンナノチューブからなるため、ペリクルが異なるタイプのカーボンナノチューブの混合物を含む場合よりも、透過率におけるドリフトが少ないことである。加えて、半導体カーボンナノチューブは、導電性カーボンナノチューブよりも遅い速度でエッチングされる。
【0053】
[00053] カーボンナノチューブメンブレンは、アームチェア型キラリティを有するカーボンナノチューブを実質上含み得る。アームチェア型キラリティを有するカーボンナノチューブは伝導性であり、したがって、放射性として分類される。したがって、アームチェア型キラリティを有するカーボンナノチューブを含むペリクルは、放射性の低いタイプのカーボンナノチューブを含むペリクルよりも放射性が高い。これは、他のすべての条件が同じであれば、動作温度が、非放射性カーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンよりも低くなることを意味する。したがって、こうした放射性カーボンナノチューブは高温に耐えることができなくなる一方で、より低温で動作することができる。加えて、ペリクルは本質的に1つのタイプのカーボンナノチューブからなるため、ペリクルが異なるタイプのカーボンナノチューブの混合物を含む場合よりも、透過率におけるドリフトが少ない。
【0054】
[00054] カーボンナノチューブメンブレンのキラリティは、所与の(m,n)キラリティの成長を促進させるテンプレート結晶の適切な選択によって、予め決定することもできる。
【0055】
[00055] 本発明の第5の態様によれば、本発明の第1又は第4の態様に従った、あるいは、本発明の第2又は第3の態様の装置又は方法で処理された、カーボンナノチューブメンブレンを含むペリクルが提供される。
【0056】
[00056] 本質的に予め選択されたボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブメンブレンを含むペリクル材料を有することによって、リソグラフィ装置内での動作中の透過率におけるドリフトの率が低下する。ペリクル材料は、より低い放射率及びしたがってより高い動作温度を有するが、高温(例えば1900Kまで)に耐えるより高い能力を伴うように、あるいは、より高い放射率及びしたがってより低い動作温度を有するが、より高い温度(例えば1200K(およそ927℃)まで)に耐えるより低い能力を伴うように、選択可能である。より高い温度変異体は、そのキラリティに起因して、よりプラズマ耐性があるが、より低い温度変異体は、保護コーティングが印加されたときに好ましい。
【0057】
[00057] 本発明の第6の態様によれば、本発明の第1から第5の態様のうちのいずれかに従ったペリクル又はカーボンナノチューブメンブレンを含む、リソグラフィ装置が提供される。
【0058】
[00058] 本発明の第7の態様によれば、本発明の第1又は第4から第6の態様のうちのいずれかに従ったペリクル又はカーボンナノチューブメンブレンのリソグラフィ方法又は使用において、本発明の第3の態様に従った方法の使用が提供される。
【0059】
[00059] 一実施形態について説明するフィーチャは、別の実施形態について説明する任意のフィーチャと組み合わせ可能であり、すべてのこうした組み合わせは、本明細書において明示的に考慮及び開示されることを理解されよう。
【0060】
[00060] 次に、添付の概略図を参照しながら単なる例として本発明の実施形態を説明し、概略図において参照記号は対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】[00061]本発明の一実施形態に従ったリソグラフィ装置を示す図である。
【
図2】[00062]本発明の一実施形態に従った装置を示す概略図である。
【
図3】[00063]本発明の一実施形態に従った方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
[00064] 本発明のフィーチャ及び利点は、図面と共に下記に示される詳細な説明から、より明らかとなり、図面では、同様の参照文字は全体を通じて対応する要素を識別する。図面において、同様の参照番号は、概して同一の、機能的に類似の、及び/又は構造的に類似の、要素を示す。
【0063】
[00065]
図1は、本発明の一態様に従った、カーボンナノチューブメンブレンを含むペリクル15を含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射源SOは、極端紫外線(EUV)放射ビームBを生成するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MT、投影システムPS、及び、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTを備える。照明システムILは、放射ビームBがパターニングデバイスMA上に入射する前に放射ビームBを調節するように構成される。投影システムは、放射ビームB(次に、マスクMAによってパターン付与される)を基板W上に投影するように構成される。基板Wは、事前に形成されたパターンを含み得る。これが当てはまる場合、リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームBを、基板W上で以前に形成されたパターンと位置合わせする。この実施形態において、ペリクル15は、放射の経路内に示され、パターニングデバイスMAを保護している。ペリクル15は、任意の必要な位置に配置され得、リソグラフィ装置内の任意のミラーを保護するために使用され得ることを理解されよう。
【0064】
[00066] 放射源SO、照明システムIL、及び投影システムPSは、すべて、外部環境から隔離できるように構築及び配置され得る。大気圧より低い圧力でのガス(例えば水素)が、放射源SO内に提供され得る。真空が、照明システムIL及び/又は投影システムPS内に提供され得る。大気圧をかなり下回る圧力での少量のガス(例えば水素)が、照明システムIL及び/又は投影システムPS内に提供され得る。
【0065】
[00067]
図1に示される放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ばれ得るタイプである。例えばCO
2レーザであり得るレーザは、レーザビームを介して、燃料放出器から提供されるスズ(Sn)などの燃料内にエネルギーを蓄積させるように配置される。下記の説明ではスズに言及するが、任意の好適な燃料が使用され得る。燃料は、例えば液体の形であり得、また例えば金属又は合金であり得る。燃料放出器は、例えば液滴の形のスズを、軌道に沿ってプラズマ形成領域に向けて誘導するように構成されたノズルを備え得る。レーザビームは、プラズマ形成領域においてスズ上に入射される。レーザエネルギーのスズ内への蓄積が、プラズマ形成領域においてプラズマを作り出す。EUV放射を含む放射は、脱励起中及びプラズマのイオン再結合中に、プラズマから放出される。
【0066】
[00068] EUV放射は、近法線入射放射コレクタ(時には、より一般的に、法線入射放射コレクタと呼ばれる)によって収集及び合焦される。コレクタは、EUV放射(例えば、13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された、多層構造を有し得る。コレクタは2つの楕円焦点を有する、楕円構成を有し得る。下記で考察するように、第1の焦点はプラズマ形成領域にあり得、第2の焦点は中間焦点にあり得る。
【0067】
[00069] レーザは、放射源SOから分離され得る。この場合、例えば、好適な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ、及び/又は、他の光学系を備える、ビームデリバリシステム(図示せず)の助力により、レーザビームはレーザから放射源SOへと渡され得る。レーザ及び放射源SOは、まとめて、放射システムであると見なし得る。
【0068】
[00070] コレクタによって反射される放射は、放射ビームBを形成する。放射ビームBは、プラズマ形成領域の像を形成するためにある点で合焦され、照明システムILのための仮想放射源として作用する。放射ビームBが合焦される点は、中間焦点と呼ぶことができる。放射源SOは、中間焦点が放射源の閉鎖構造内の開口又は開口近くに位置するように、配置される。
【0069】
[00071] 放射ビームBは、放射源SOから、放射ビームを調節するように構成された照明システムIL内へと渡る。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含み得る。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は、まとめて、所望の断面形状及び所望の角度分布を伴う放射ビームBを提供する。放射ビームBは、照明システムILから渡り、支持構造MTによって保持されるパターニングデバイスMA上に入射する。パターニングデバイスMAは放射ビームBを反射し、パターン付与する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含み得る。
【0070】
[00072] パターニングデバイスMAからの反射に続き、パターン付与された放射ビームBは投影システムPSに入る。投影システムは、基板テーブルWTによって保持される基板W上に、放射ビームBを投影するように構成された、複数のミラー13、14を備える。投影システムPSは、放射ビームに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを伴う像を形成し得る。例えば、縮小係数4が適用され得る。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13、14を有するが、投影システムは任意数のミラー(例えば6つのミラー)を含み得る。
【0071】
[00073]
図1に示される放射源SOは、図示されていない構成要素を含み得る。例えば、スペクトルフィルタが放射源内に提供され得る。スペクトルフィルタは、EUV放射に対しては実質上透過性であり得るが、赤外線放射などの他の波長の放射は実質上ブロックする。
【0072】
[00074] 一実施形態において、メンブレンアセンブリ15は、EUVリソグラフィ向けのパターニングデバイスMAのためのペリクルである。本発明のメンブレンアセンブリ15は、動的ガスロック又はペリクル又は別の目的のために使用可能である。一実施形態において、メンブレンアセンブリ15は、入射EUV放射の少なくとも90%を透過させるように構成された、少なくとも1つのメンブレン層から形成されるメンブレンを含む。最大化されたEUV透過及び最少化された結像性能に与える影響を保証するために、メンブレンは境界においてのみ支持されることが好ましい。
【0073】
[00075] パターニングデバイスMAが保護されないまま残された場合、汚染はパターニングデバイスMAをクリーニングするか又は廃棄することを必要とする可能性がある。パターニングデバイスMAをクリーニングすることは貴重な製造時間を中断させ、パターニングデバイスMAを廃棄することは費用が掛かる。パターニングデバイスMAを交換することも、貴重な製造時間を中断させる。
【0074】
[00076]
図2は、本発明の一態様に従った装置の概略図である。装置は支持構造16を備える。支持構造16は、カーボンナノチューブメンブレンを支持するための任意の好適な構成とすることができる。したがって、支持構造16は、メンブレンの外周を支持するように構成され得るか、あるいは、メンブレンが置かれているプレート又はグリッドの形であり得る。支持構造16に向かってレーザビーム18を誘導するように構成されたレーザ17が提供される。したがって、カーボンナノチューブメンブレンが存在するとき、レーザ光はメンブレンを照明する。装置は、反応性ガス20を提供するガス供給19も含む。ガス供給19の正確な場所及び配向は、
図2に示されたもの以外であってもよい。装置は、装置の残りの構成要素が配設されるチャンバ(図示せず)を含み得る。チャンバは、内部に被制御大気を提供するように構成され得る。
【0075】
[00077]
図3aから
図3cは、本発明の一実施形態に従った方法を示す。
図3aは、放射性及び非放射性の両方の単一壁カーボンナノチューブを含む、カーボンナノチューブメンブレンを示す。
図3bに示されるような次のステップでは、レーザビーム18は、非放射性ナノチューブを選択的に加熱させるように、カーボンナノチューブメンブレンを照明するために使用される。レーザビーム18によって加熱されるジグザグ型以外のキラリティを有するカーボンナノチューブメンブレンを空乏化する、反応性ガス20のストリームも提供される。レーザビーム18は、メンブレン21の異なる部分を加熱するために、カーボンナノチューブメンブレン21に関して移動可能である。
図3cに示されるように、メンブレンが処理された後、非放射性カーボンナノチューブは、放射性単一壁カーボンナノチューブを含むメンブレンを残して、選択的に除去されている。他の実施形態では、メンブレンを加熱するためにオーブンが使用され得る。本発明の一実施形態によれば、カーボンナノチューブメンブレンは、放射性及び非放射性の両方の多重壁カーボンナノチューブ、例えば、二重壁カーボンナノチューブを含む。好ましくは、本発明のカーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する多重壁カーボンナノチューブのおよそ65%より多くを含む。
【0076】
[00078] 本発明は、EUVリソグラフィ装置内のカーボンナノチューブメンブレンの安定性を向上させるための手段を提供し、放射性及び非放射性の両方のカーボンナノチューブを含むメンブレンからの、特定タイプのカーボンナノチューブの選択的空乏化を可能にする。
【0077】
[00079] 本発明の特定の実施形態を上記で説明してきたが、本発明は、説明とは異なる方法で実施され得ることを理解されよう。
【0078】
[00080] 上記の説明は、例示的であり限定的ではないことが意図される。したがって、当業者であれば、下記に示される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明した本明細書に対する改変が実行され得ることが明らかとなろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め選択されたボンディング構成又は(m,n)キラリティを有するカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンであって、前記カーボンナノチューブメンブレンが、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、相当量のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブメンブレン。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、カーボンナノチューブのおよそ65%より多くを含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有するカーボンナノチューブの、およそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くを含む、請求項2に記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項4】
アームチェア型(m,m)キラリティの任意のナノチューブは、耐エッチコーティングを含む、請求項1から
3のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項5】
前記メンブレンは、およそ90%より大きい、およそ92%より大きい、又はおよそ95%より大きい、EUV透過率を有する、請求項1から
4のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項6】
前記メンブレンはホモキラルである、請求項1から
5のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
【請求項7】
予め選択されたボンディング構成又はキラリティを取得するためのカーボンベースのメンブレンの処理のための装置であって、前記装置は熱源及びガス供給を含み、前記熱源及び前記ガス供給は、前記カーボンベースのメンブレンから、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを選択的に除去するために、反応性ガス又は前記反応性ガスから形成されるプラズマを用いて、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を処理するように構成されることを特徴とし、前記処理されたカーボンベースのメンブレンは、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むようになっている、装置。
【請求項8】
前記熱源は、レーザ及びオーブンのうちの少なくとも1つを備える、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、カーボンベースのメンブレンを支持するためのサポートを更に含む、請求項
7又は
8に記載の装置。
【請求項10】
前記熱源は、前記カーボンベースのメンブレンを、前記反応性ガスと反応できるような十分な温度まで加熱するように構成される、請求項
7から
9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記反応性ガスは還元ガスである、請求項
7から
10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記ガス供給は、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を提供するように構成される、請求項
7から
11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記反応性ガスは、約1vol%までの酸素、約2vol%までの酸素、約3vol%までの酸素、約4vol%までの酸素、又は約5vol%までの酸素を含み、残りは水素である、請求項
7から
12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記レーザは、約1Wcm
-2から約40Wcm
-2の入射放射強度で前記カーボンベースのメンブレンを照明するように構成される、請求項
8に記載の装置。
【請求項15】
カーボンベースのメンブレンを処理するための方法であって、
i)カーボンベースのメンブレンを提供すること、
ii)熱源を用いて前記カーボンベースのメンブレンを加熱すること、
iii)反応性ガスを提供すること、及び、
iv)前記処理されたカーボンベースのメンブレンが、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むように、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを前記カーボンベースのメンブレンから選択的に空乏化するために、前記反応性ガス又は前記反応性ガスから形成されるプラズマを、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部と反応させること、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
[00080] 上記の説明は、例示的であり限定的ではないことが意図される。したがって、当業者であれば、下記に示される特許請求の範囲及び条項から逸脱することなく、説明した本明細書に対する改変が実行され得ることが明らかとなろう。
[条項1]
予め選択されたボンディング構成又は(m,n)キラリティを有するカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブメンブレンであって、前記カーボンナノチューブメンブレンが、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、相当量のカーボンナノチューブを含むことを特徴とする、カーボンナノチューブメンブレン。
[条項2]
前記カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有する、カーボンナノチューブのおよそ65%より多くを含む、条項1に記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項3]
前記カーボンナノチューブメンブレンは、ジグザグ型(m,0)キラリティ及び/又はアームチェア型(m,m)キラリティを有するカーボンナノチューブの、およそ70%より多く、およそ75%より多く、およそ80%より多く、およそ85%より多く、およそ90%より多く、およそ95%より多く、およそ98%より多く、又はおよそ99%より多くを含む、条項2に記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項4]
前記カーボンナノチューブは、およそ1nmからおよそ15nm、好ましくはおよそ2nmからおよそ10nmの直径を有する、条項1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項5]
アームチェア型(m,m)キラリティの任意のナノチューブは、耐エッチコーティングを含む、条項1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項6]
前記メンブレンは、100nmより少ない厚みを有する、条項1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項7]
前記メンブレンは、およそ90%より大きい、およそ92%より大きい、又はおよそ95%より大きい、EUV透過率を有する、条項1から6のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項8]
前記メンブレンはホモキラルである、条項1から7のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレン。
[条項9]
予め選択されたボンディング構成又はキラリティを取得するためのカーボンベースのメンブレンの処理のための装置であって、前記装置は熱源及びガス供給を含み、前記熱源及び前記ガス供給は、前記カーボンベースのメンブレンから、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを選択的に除去するために、反応性ガス又は前記反応性ガスから形成されるプラズマを用いて、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を処理するように構成されることを特徴とし、前記処理されたカーボンベースのメンブレンは、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むようになっている、装置。
[条項10]
前記熱源は、レーザ及びオーブンのうちの少なくとも1つを備える、条項9に記載の装置。
[条項11]
前記装置は、カーボンベースのメンブレンを支持するためのサポートを更に含む、条項9又は10に記載の装置。
[条項12]
前記熱源は、前記カーボンベースのメンブレンを、前記反応性ガスと反応できるような十分な温度まで加熱するように構成される、条項9から11のいずれかに記載の装置。
[条項13]
前記熱源は、カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、加熱するように動作可能である、条項12に記載の装置。
[条項14]
前記反応性ガスは還元ガスである、条項9から13のいずれかに記載の装置。
[条項15]
前記ガス供給は、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を提供するように構成される、条項9から14のいずれかに記載の装置。
[条項16]
前記反応性ガスは、約1vol%までの酸素、約2vol%までの酸素、約3vol%までの酸素、約4vol%までの酸素、又は約5vol%までの酸素を含み、残りは水素である、条項9から15のいずれかに記載の装置。
[条項17]
前記レーザは、約1Wcm
-2
から約40Wcm
-2
の入射放射強度で前記カーボンベースのメンブレンを照明するように構成される、条項10に記載の装置。
[条項18]
前記オーブンは、前記カーボンベースのメンブレンを、約350℃から約1200℃の温度まで加熱するように構成される、条項10に記載の装置。
[条項19]
カーボンベースのメンブレンを処理するための方法であって、
i)カーボンベースのメンブレンを提供すること、
ii)熱源を用いて前記カーボンベースのメンブレンを加熱すること、
iii)反応性ガスを提供すること、及び、
iv)前記処理されたカーボンベースのメンブレンが、ジグザグ型及び/又はアームチェア型のキラリティを有するカーボンナノチューブを65%以上含むように、(m,0)及び(m,m)キラリティ以外の(m,n)キラリティを伴うカーボンナノチューブを前記カーボンベースのメンブレンから選択的に空乏化するために、前記反応性ガス又は前記反応性ガスから形成されるプラズマを、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部と反応させること、
を含む、方法。
[条項20]
前記カーボンベースのメンブレンはカーボンナノチューブを含み、任意選択として、前記カーボンナノチューブメンブレンは異なるボンディング構成又はキラリティを有するカーボンナノチューブを含み、及び/又は、前記カーボンナノチューブは単一壁及び/又は多層壁のカーボンナノチューブを含む、条項19に記載の方法。
[条項21]
前記方法は、前記カーボンベースのメンブレンの少なくとも一部を、少なくとも350℃まで、好ましくは少なくとも380℃まで、好ましくは1200℃未満まで、加熱することを含む、条項19又は20に記載の方法。
[条項22]
前記反応性ガスは還元ガスであり、及び/又は、前記反応性ガスは、クリーンな乾燥した空気、水素、水素及び酸素の混合物、水素及び窒素の混合物、又は、水素、窒素、及び酸素の混合物を含む、条項19から21のいずれかに記載の方法。
[条項23]
前記熱源は、レーザ及びオーブンのうちの1つ又は両方を備え、任意選択として、前記方法は、前記カーボンベースのメンブレンを横切る前記レーザをスキャンすることを含む、条項19から22のいずれかに記載の方法。
[条項24]
前記方法は、約1Wcm
-2
から約40Wcm
-2
の入射放射強度で前記カーボンベースのメンブレンを照明することを含む、条項19から23のいずれかに記載の方法。
[条項25]
条項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレンを備えるか、又は条項19から24のいずれかに記載の方法に従って処理された、ペリクル。
[条項26]
条項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレンを備えるか、又は条項19から24のいずれかに記載の方法に従って処理された、リソグラフィ装置内で使用するためのペリクルアセンブリ。
[条項27]
条項1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブメンブレンを備えるか、又は、条項25又は26に記載のペリクル又はペリクルアセンブリを備える、リソグラフィ装置。
[条項28]
条項19から24のいずれかに記載の方法の使用、又は、条項1から8、25、又は26のいずれかに従った、リソグラフィ方法又は装置内のペリクル又はカーボンナノチューブメンブレン。
【国際調査報告】