(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】投影システムの収差を予測する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240220BHJP
G01K 3/14 20060101ALI20240220BHJP
G02B 5/08 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G01K3/14
G02B5/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547355
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2022050118
(87)【国際公開番号】W WO2022167164
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ヴァル、マリヌス、マリア、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン ベルケル、コウス
(72)【発明者】
【氏名】ドルク、ヴィクター、セバスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ティッセン、ステイン、クライド、ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、マウリチウス、ゲラルドゥス、エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】クーフツ、アドリアヌス、ヘンドリック
【テーマコード(参考)】
2H042
2H197
【Fターム(参考)】
2H042DB13
2H042DD11
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2H197GA16
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2H197GA23
2H197HA03
2H197JA07
(57)【要約】
【解決手段】放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測する方法であって、当該方法は、放射ビームのパワーおよび照明源瞳から投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算することと、投影システムの少なくとも1つの光学素子について計算された放射照度プロファイルを使用して、投影システムの少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定することと、推定された温度分布および投影システムの少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張パラメータマップに基づいて、投影システムの熱誘起収差を計算することとを備える。熱膨張パラメータマップは、投影システムの少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップまたは均一マップである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測する方法であって、当該方法は、
前記放射ビームのパワーおよび照明源瞳から前記投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算することと、
前記投影システムの少なくとも1つの光学素子について計算された放射照度プロファイルを使用して、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定することと、
推定された温度分布および前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張パラメータマップに基づいて、前記投影システムの熱誘起収差を計算することと、を備え、
前記熱膨張パラメータマップは、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップ、または均一マップである、方法。
【請求項2】
パターニングデバイスにおける前記放射ビームの回折パターンを使用して前記放射照度プロファイルを計算することをさらに備え、前記投影システムは前記パターニングデバイスから放射を投影する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射ビームのパワー、前記放射ビームの照明源瞳、および前記パターニングデバイスの特性を使用して前記回折パターンを計算することをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1原理に基づく光学モデルを使用して前記回折パターンを計算することをさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
線形または非線形の微分方程式を使用して前記温度分布を計算することをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
第1原理に基づいた熱力学モデルを使用して前記温度分布を推定することをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
静的非線形関数を使用して前記熱誘起収差を計算することと、推定された温度分布から前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の構造歪みを計算することと、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子における計算された構造歪みに基づいて、前記投影システムの前記熱誘起収差を計算することと、計算された構造歪みを使用して前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の構造変形を計算し、計算された前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の構造変形を使用して前記投影システムの前記熱誘起収差を計算することと、前記熱誘起収差に対するマッピングを使用して前記熱誘起収差を計算することと、をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
推定温度分布のフィードバック補正と、熱ドリフト、熱擾乱、モデリング誤差、熱境界条件の変化および較正誤差のうちの少なくとも1つについての熱誘起収差の予測のために、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用することをさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
温度測定は、リアルタイムの温度測定またはサンプリングされた温度測定である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用して、前記少なくとも1つの光学素子の熱境界条件の変化を推定することと、前記少なくとも1つの光学素子の熱境界条件の影響の推定に基づいて、温度分布を推定し、前記投影システムの熱誘起収差を計算することと、をさらに備える、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記フィードバック補正は、温度測定値と推定温度との間の差に基づく、請求項8から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルと実際の放射照度プロファイルとの間の不一致を推定するために、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用することをさらに備え、前記放射照度プロファイルは、パターニングデバイスの特徴付けとは独立して計算され、複数の放射照度形状の係数を使用して計算され、前記放射照度プロファイルの不一致に基づいて前記投影システムの温度分布および熱誘起収差を推定する、請求項8から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
複数の光学素子の温度測定を使用することと、前記投影システムの複数の光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数を使用することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
複数の光学素子の温度測定を使用することと、前記少なくとも1つの光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数または係数のサブセットを推定することと、次に複数の放射照度形状の推定された係数または係数のサブセットを、公称入力として少なくとも1つの他の光学素子に供給することと、さらにを備える、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
複数の光学素子の複数の放射照度形状の係数を推定するために単一のフィードバックゲインを使用することをさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のセクターのヒーターまたはクーラーの印加電力の不確実性を推定することをさらに含む、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
温度分布の推定および熱誘起収差の予測のためのフィードバック補正のために前記投影システム内の圧力測定を使用することをさらに含む、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記投影システムにおける予測された熱誘起収差に基づいて、熱誘起収差を補正することをさらに含む、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
予測された熱誘起収差の補正には、少なくとも1つの光学素子、パターニングデバイス、または基板の平行移動および回転、照明源の瞳設定の適応、光源マスクの最適化、1つ以上のセクターヒーターまたはクーラーのパワーの変更、または変形可能なマニピュレータの形状の調整のうちの少なくとも1つが含まれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光学素子は、ミラーまたはレンズを備える、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記放射ビームがEUV放射線ビームを含む、請求項1から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測するように構成されたシステムであって、当該システムは、
放射ビームのパワーおよび照明源瞳から、前記投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算し、
前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子について計算された放射照度プロファイルを使用して、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定し、
計算された温度分布と、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張マップに基づいて、前記投影システムの熱誘起収差を計算する、ように構成され、
前記熱膨張マップは、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップ、または均一マップである、システム。
【請求項23】
推定温度分布のフィードバック補正と、熱ドリフト、熱擾乱、モデリング誤差、熱境界条件の変化および較正誤差のうちの少なくとも1つについての熱誘起収差の予測のために、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を行うための少なくとも1つの温度センサを備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの温度センサは、光学素子加熱制御温度センサ、セクターヒーター制御温度センサ、周囲温度センサ、出口および/または入口冷却チャネル温度センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
当該システムは、前記少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルと実際の放射照度プロファイルとの間の不一致を推定するために、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用し、前記放射照度プロファイルは、パターニングデバイスの特徴付けとは独立して計算され、複数の放射照度形状の係数を使用して計算され、前記放射照度プロファイルは、前記投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定とは独立して計算され、放射照度プロファイルの不一致に基づいて前記投影システムの温度分布および熱誘起収差を推定するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
当該システムは、複数の光学素子の温度測定を使用し、前記投影システムの複数の光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数を使用するように構成される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
光学素子当たり9個未満の温度センサ、および/または複数の光学素子に対して5個を超える温度センサを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
当該システムは、前記投影システム内の予測された熱誘起収差に基づいて、前記投影システムに関連する熱誘起収差を補正するように構成される、請求項22から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの光学素子は、ミラーまたはレンズを備える、請求項22から28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するために放射ビームを投影するように構成された投影システムを備えたリソグラフィ装置であって、請求項22から29のいずれかに記載のシステムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項31】
請求項1から21のいずれかに記載の方法をプロセッサに実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項32】
請求項31に記載のコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【請求項33】
プロセッサ可読命令を格納するメモリと、
前記メモリに格納された命令を読み取って実行するように構成されるプロセッサと、
を備えるコンピュータ装置であって、
前記プロセッサ可読命令は、請求項1から21のいずれかに記載の方法を実行するように当該コンピュータ装置を制御するように構成された命令を含む、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年2月5日に出願された欧州特許出願第21155372.2号、および2021年9月16日に出願された欧州特許出願第21197035.5号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、投影システムにおける収差を予測する方法およびシステムに関する。より具体的には、この方法は、熱的に誘起される収差を引き起こす投影システムの加熱をモデル化することに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に与えるよう構成される機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)でパターンを基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影させ得る。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用する場合がある。この放射の波長によって、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。4-20nmの範囲の波長、例えば6.7nmまたは13.5nm、を有する極端紫外線(EUV)放射を用いるリソグラフィ装置は、例えば波長193nmの放射を用いるリソグラフィ装置より小さなフィーチャを基板上に形成するために用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パターニングデバイスから基板上にパターンを結像するために使用される投影システムは、投影された像の波面に何らかの収差を誘発する。
【0006】
基板上へのパターンの投影中、投影システムは加熱され、これにより投影システムの結像特性(例えば、波面)がドリフトすることになる。EUVリソグラフィでは、この現象をミラー加熱(mirror heating)と呼ばれる。
【0007】
投影システム内のミラーはEUV放射伝送用に最適化されているが、EUV(ただし帯域外)エネルギーのかなりの部分がミラーで吸収され、熱に変換される。この加熱によりミラーの材料に熱応力が生じ、光学面の変形につながる。これらの変形は最終的に投影システムに収差を引き起こし、結像エラーを引き起こす。
【0008】
本発明の目的は、従来技術に関連する1つ以上の問題を回避または軽減する、収差を予測およびモデル化する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測する方法が提供される。この方法は、放射ビームのパワーおよび照明源瞳から投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算することと、投影システムの少なくとも1つの光学素子について計算された放射照度プロファイルを使用して、投影システムの少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定することと、推定された温度分布および投影システムの少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張パラメータマップに基づいて、投影システムの熱誘起収差を計算することと、を備える。ここで、熱膨張パラメータマップは、投影システムの少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップ、または均一マップである。
【0010】
これには、リソグラフィ装置における熱誘起光収差の予測精度を向上させることができるという利点があり得る。これにより、結像、オーバーレイ、およびフォーカスのパフォーマンスが向上し得る。さらに、顧客のアプリケーションごとに校正が必要なくなるため、生産性が向上し得る。
【0011】
放射照度プロファイルは、投影システムの少なくとも1つの光学素子に対する熱負荷の(回折に基づく)推定値を提供してよい。
【0012】
少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルは、光学モデルを使用して計算してよい。
【0013】
本方法は、熱モデルを使用して少なくとも1つの光学素子内の温度分布を推定することを含んでよい。
【0014】
これは、(ブラックボックスまたは機械学習モデリングとは対照的に)物理モデリングであると考えてよい。
【0015】
この方法は、パターニングデバイスにおける放射ビームの回折パターンを使用して放射照度プロファイルを計算することをさらに備えてもよく、投影システムはパターニングデバイスから放射を投影する。
【0016】
この方法は、放射ビームのパワー、放射ビームの照明源瞳、およびパターニングデバイスの特性を使用して回折パターンを計算することをさらに備えてもよい。
【0017】
パターニングデバイスの特徴付けは、パターニングデバイスのパターンであってもよい。パターニングデバイスパターンは、例えばEUVおよびIRなど、関連する波長が複数ある場合、複数のパターンを含んでもよい。これらは、マスクの切り替え、照明瞳の変更、EUVのオン/オフ切り替えなどにより、時間の関数として変化し得る。
【0018】
この方法は、第1原理に基づく光学モデルを使用して回折パターンを計算することをさらに含んでもよい。
【0019】
この方法は、線形または非線形の微分方程式を使用して温度分布を計算することをさらに含んでもよい。
【0020】
線形微分方程式は、高次の熱力学が含んでもよい。
【0021】
この方法は、第1原理に基づいた熱力学モデルを使用して温度分布を推定することをさらに含んでもよい。
【0022】
本方法は、静的非線形関数を使用して熱誘起収差を計算することと、推定された温度分布から投影システムの少なくとも1つの光学素子の構造歪みを計算することと、投影システムの少なくとも1つの光学素子における計算された構造歪みに基づいて、投影システムの熱誘起収差を計算することと、計算された構造歪みを使用して投影システムの少なくとも1つの光学素子の構造変形を計算し、計算された投影システムの少なくとも1つの光学素子の構造変形を使用して投影システムの熱誘起収差を計算することと、熱誘起収差に対するマッピングを使用して熱誘起収差を計算することと、をさらに備えてもよい。
【0023】
関数は、非線形かつ不均一であってよく、光学素子内の構造的な熱変形と、その結果生じる基板への波面の影響を表してよい。
【0024】
熱誘起収差に向けたマッピングには、光線追跡が含まれてもよい。
【0025】
本方法は、推定温度分布のフィードバック補正と、熱ドリフト、熱擾乱、モデリング誤差、熱境界条件の変化および較正誤差のうちの少なくとも1つについての熱誘起収差の予測のために、投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用することをさらに備えてもよい。
【0026】
これにより、経時的なドリフトに対するロバスト性が提供され得る。温度測定は、波面誤差を推定するために使用されてもよい。
【0027】
熱擾乱は、照射負荷の不確実性であり得る。
【0028】
モデリング誤差は、熱モデルパラメータの不確実性であり得る。
【0029】
熱ドリフトは、(i)EUV放射およびEUV源(例えば、DUVおよびIR)で生成される関連するオフバンド波長による実効熱負荷のドリフト、(ii)IRレーザおよび光学素子加熱制御システムの光学系におけるドリフト、および/または(iii)光学素子と投影システムのフレーム/容器の間の圧力変動による光学素子表面での熱伝達のドリフト、であってよい。
【0030】
温度測定は、リアルタイムの温度測定であっても、サンプリングされた温度測定であってもよい。
【0031】
本方法は、投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用して、少なくとも1つの光学素子の熱境界条件の変化を推定することと、少なくとも1つの光学素子の熱境界条件の影響の推定に基づいて、温度分布を推定し、投影システムの熱誘起収差を計算することと、をさらに備えてもよい。
【0032】
温度センサが、ミラーの側面および背面に、またはその近くに配置されてもよい。
【0033】
熱境界条件の影響を推定するための温度センサは、熱誘起収差を予測するためのフィードバック補正のための温度センサに追加されてもよい。
【0034】
熱境界条件は、環境への熱損失であり得る。
【0035】
フィードバック補正は、温度測定値と推定温度との間の差に基づいてもよい。推定温度は、温度センサの位置にあってもよい。
【0036】
フィードバック補正におけるフィードバックゲインは、熱力学モデルに基づくカルマンフィルタを使用するなど、さまざまな方法で決定されてもよい。
【0037】
本方法は、少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルと実際の放射照度プロファイルとの間の不一致を推定するために、投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用することをさらに備えてもよい。放射照度プロファイルは、パターニングデバイスの特徴付けとは独立して計算され、複数の放射照度形状の係数を使用して計算され、放射照度プロファイルの不一致に基づいて投影システムの温度分布および熱誘起収差を推定する。
【0038】
パターニングデバイスの特徴付けは、少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算するために必要とされなくてもよい。
【0039】
温度センサは、光学素子の上面の下方に配置されてもよい。
【0040】
放射照度不一致を計算するための温度センサは、熱誘起収差の予測のためのフィードバック補正のための温度センサに追加されてもよい。
【0041】
係数の計算により、放射照度プロファイルの不一致に対応してもよい。
【0042】
放射照度形状および対応する係数は、擾乱モデルと考えてもよい。
【0043】
放射照度形状は固定セットであってもよい。
【0044】
放射照度形状ごとに1つの温度センサがあってもよい。
【0045】
単一セクターのヒーターによってカバーされるセグメントごとに1つの温度センサがあってもよい。
【0046】
本方法は、複数の光学素子の温度測定を使用することと、投影システムの複数の光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数を使用することとをさらに含んでもよい。単一の放射照度形状に対して単一の係数が存在し得る。
【0047】
本方法は、複数の光学素子の温度測定を使用することと、少なくとも1つの光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数または係数のサブセットを推定することと、次に複数の放射照度形状の推定された係数または係数のサブセットを、公称入力として少なくとも1つの他の光学素子に供給することと、を備えてもよい。
【0048】
本方法は、複数の光学素子の複数の放射照度形状の係数を推定するために単一のフィードバックゲインを使用することをさらに含んでもよい。
【0049】
本方法は、1つ以上のセクターのヒーターまたはクーラーの印加電力の不確実性を推定することをさらに含んでもよい。
【0050】
本方法は、温度分布の推定および熱誘起収差の予測のためのフィードバック補正のために投影システム内の圧力測定を使用することをさらに含んでもよい。
【0051】
圧力測定値は、投影システムの圧力変動、すなわち時間の経過に伴う変化を示し得る。
【0052】
圧力と熱伝達係数の関係を使用して、フィードバック補正を計算してもよい。
【0053】
本方法は、投影システムにおける予測された熱誘起収差に基づいて、熱誘起収差を補正することをさらに含んでもよい。
【0054】
予測された熱誘起収差の補正には、少なくとも1つの光学素子、パターニングデバイス、または基板の平行移動および回転、照明源の瞳設定の適応、光源マスクの最適化、1つ以上のセクターヒーターまたはクーラーのパワーの変更、または変形可能なマニピュレータの形状の調整のうちの少なくとも1つが含まれ得る。
【0055】
少なくとも1つの光学素子は、ミラーまたはレンズを備えてもよい。
【0056】
放射ビームは、EUV放射ビームを含んでもよい。
【0057】
本発明の第2の態様によれば、放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測するように構成されたシステムが提供される。このシステムは、放射ビームのパワーおよび照明源瞳から、投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算し、投影システムの少なくとも1つの光学素子について計算された放射照度プロファイルを使用して、投影システムの少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定し、計算された温度分布と、投影システムの少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張マップに基づいて、投影システムの熱誘起収差を計算するように構成される。ここで、熱膨張マップは、投影システムの少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップ、または均一マップである。
【0058】
このシステムは、推定温度分布のフィードバック補正と、熱ドリフト、熱擾乱、モデリング誤差、熱境界条件の変化および較正誤差のうちの少なくとも1つについての熱誘起収差の予測のために、投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定を行うための少なくとも1つの温度センサを備えてもよい。
【0059】
少なくとも1つの温度センサは、光学素子加熱制御温度センサ、セクターヒーター制御温度センサ、周囲温度センサ、出口および/または入口冷却チャネル温度センサのうちの少なくとも1つを備えてもよい。このシステムは、少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルと実際の放射照度プロファイルとの間の不一致を推定するために、投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用し、放射照度プロファイルは、パターニングデバイスの特徴付けとは独立して計算され、複数の放射照度形状の係数を使用して計算され、放射照度プロファイルは、投影システムの少なくとも1つの光学素子の温度測定とは独立して計算され、放射照度プロファイルの不一致に基づいて投影システムの温度分布および熱誘起収差を推定するように構成されてもよい。
【0060】
このシステムは、複数の光学素子の温度測定を使用し、投影システムの複数の光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数を使用するように構成されてもよい。複数の光学素子に対して複数の温度センサがあってもよい。
【0061】
このシステムは、光学素子当たり9個未満の温度センサ、および/または複数の光学素子に対して5個を超える温度センサを備えてもよい。
【0062】
このシステムは、投影システム内の予測された熱誘起収差に基づいて、投影システムに関連する熱誘起収差を補正するように構成されてもよい。
【0063】
少なくとも1つの光学素子は、ミラーまたはレンズを備えてもよい。
【0064】
本発明の第3の態様によれば、パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するために放射ビームを投影するように構成された投影システムを備えたリソグラフィ装置が提供され、当該リソグラフィ装置は上述のシステムを備える。
【0065】
本発明の第4の態様によれば、プロセッサに上述の方法を実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0066】
本発明の第5の態様によれば、上述のコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0067】
本発明の第6の態様によれば、プロセッサ可読命令を格納するメモリと、メモリに格納された命令を読み取って実行するように構成されるプロセッサとを備えるコンピュータ装置が提供される。プロセッサ可読命令は、上述の方法を実行するようにコンピュータを制御するように構成された命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本発明の実施の形態は、例示のみを目的として、以下の模式的な添付図面を参照しながら説明される。
【
図1】リソグラフィ装置および放射源を備えるリソグラフィシステムを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による投影システムのミラー加熱モデルの概略図を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、投影システムにおける熱誘起収差を予測および補正する方法を示すフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態による投影システムのミラー加熱モデルの一部の概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による投影システムのミラー加熱モデルの一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、放射源SOとリソグラフィ装置LAを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MT、投影システムPS、および基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTを備える。
【0070】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調整するように構成されている。さらに、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11は共に、所望の断面形状および所望の強度分布を有するEUV放射ビームBを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、またはその代わりに、他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。
【0071】
このように調整された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン化されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成される。その目的のために、投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を、基板テーブルWTによって保持される基板W上に投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することができ、これにより、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する像を形成することができる。たとえば、4または8の縮小係数を適用できる。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば、6つまたは8つのミラー)を含んでもよい。
【0072】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含んでもよい。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン化されたEUV放射ビームB’によって形成される像を、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0073】
相対真空、すなわち大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、および/または投影システムPS内に提供され得る。
【0074】
放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、またはEUV放射を生成できる任意の他の放射源であってもよい。
【0075】
光学的表面変形が、EUVリソグラフィ装置LAの投影システムPS内のミラーで発生する可能性がある。以下の説明は一般に、EUVリソグラフィ装置LA内の投影システムPS内の1つまたは複数のミラーに関するが、説明される方法は、EUVリソグラフィ装置LA内の他の光学素子およびDUVリソグラフィ装置などの他のリソグラフィ装置内の他の光学素子にも適用可能であることが理解されよう。例えば、光学素子はミラーまたはレンズであってもよい。説明した方法は、計測製品におけるミラーおよびレンズの加熱にも適用可能であり得る。
【0076】
パターン化されたEUV放射ビームの露光は、通常、投影システムミラーの非常に不均一な加熱を引き起こし、光学ミラー表面の変形を引き起こし、その結果、オーバーレイ、焦点、および結像性能に影響を及ぼす波面誤差が生じる。
【0077】
投影システムPS内で収差を引き起こす変形を低減するために、ミラー材料は、超低膨張(ULE)材料を使用して変形が最小になるように最適化される。この材料は温度と二次膨張関係を示し、ゼロ交差温度(TzcまたはZCT)として知られる設計温度付近でほぼゼロの膨張特性を示します。変形を最小限に抑えるために、ミラーの上面(放射ビームB’が入射する面)を可能な限りこのTzcに近づける必要がある。より激しい熱負荷(より高い出力、より極端な(つまり、より不均一な)照明プロファイル)により、このスイートスポットの周囲に完全なミラー表面を維持することは不可能である。ミラー材料は、例えばZERODURやCordieriteなどの比較的低いまたは非常に低い熱膨張係数(CTE)を有する他の材料で作られていてもよい。光学面の変形は、局所的な(通常は不均一な)放射照度(熱負荷)と(局所的な)ゼロ交差温度(Tzc)に非常に敏感である。
【0078】
図2は、EUVリソグラフィ装置LAの投影システムPSのミラー加熱モデル(MHM)の概略図を示す。投影システムPSのミラーは、EUV放射ビームB’が投影システムPSを通過する際に加熱し、モデルは、その結果生じる投影システムPSの熱誘起収差を予測する。
【0079】
より具体的には、波面誤差(WFE)に対する熱効果の影響は、多数のサブモデルから順次構築される。これらのモデルには、熱力学サブモデル(TD1)、熱弾性マッピングサブモデル(TE1)、および収差に関するマッピングサブモデル(AM1)が含まれる。熱弾性マッピングサブモデル(TE1)には、空間マップ(Tzc)が含まれている。収差に関するマッピングサブモデル(AM1)には、光線追跡が含まれ得る。
【0080】
投影システムPSは、6つのミラー(M1~M6)を有することができる。したがって、ミラー加熱モデルMHMには、各ミラーM1~M6、つまりTD1~TD6、TE1~TE6およびAM1~AM6のサブモデルがある。明確にするために、
図2にはサブモデルTD1、TE1、AM1、およびAM6のみが示されているが、すべてのミラーM1~M6に対応するサブモデルがあることが理解される。ミラーM1のサブモデルTD1、TE1、およびAM1を参照するが、説明される特徴は他のミラーM2~M6のサブモデルにも同様に適用できることが理解されるであろう。他の実施形態では、ミラー(またはより一般的には光学素子)の数が6つより多くても少なくてもよく、従って、対応するサブモデルの数より多くても少なくてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、ミラー加熱モデル(MHM)で使用される単一の光学素子があってもよい。
【0081】
サブモデルTE1で使用されるTzc空間マップは、さまざまな方法で計算(またはより具体的には較正)することができる。Tzc空間マップは、光学素子内のゼロ交差温度の空間変化を示す。他の実施形態では、空間マップは、より一般的には、光学素子(すなわち、ミラーM1)の熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップであると考えられ得る。いくつかの実施形態では、空間マップは、代わりに均一なマップ、すなわち空間的に変化する熱膨張パラメータを持たないマップであってもよい。より一般的には、投影システムの熱誘起収差を計算するための熱膨張パラメータマップが提供され得る。
【0082】
熱機械特性は、温度センサトレースおよびミラー加熱システムMHからのレーザ出力を使用して、ミラーごとに計算(較正)することができる。EUVリソグラフィ装置LAの動作中、(投影システムPS内の)ミラーM1~M6はEUV放射にさらされ得る。ヒーターは、EUV放射の存在および空間分布(照明モード)に関係なく、ミラーM1~M6に対して一定または時間変化する熱負荷を確立することができる。
【0083】
通常、EUV放射は、空間的に不均一な熱負荷が存在するように、ミラーM1~M6上の異なる位置に入射する。EUV放射は、ミラーM1~M6の特定の部分がEUV放射に当たらないように、例えば双極子照明モードを使用することができる。さらに、EUV放射は、ある時はオンになり、他の時はオフになり得る。
【0084】
ミラー表面における空間熱負荷分布が時間の経過とともにより安定する、または比較的安定するように、ミラーM1~M6を加熱するためにヒーターを使用することができる。ある特定の空間熱負荷分布は均一である場合もあれば、別の空間熱負荷分布は不均一である場合もある。一部のヒーターは、ミラーの光フットプリント、つまり使用中にEUV放射を受け取り反射するミラーの光学面の部分の平均温度を、所定の値に維持しようとする場合がある。EUV放射が存在しない場合、フットプリント内の温度は均一になるため、境界条件を考慮すると空間的に不均一な放射照度が必要になる。このミラー加熱は、ミラーM1~M6の光フットプリントの平均温度を制御して収差を最小限に抑えようとする。ヒーターは、放射が基板W上の結像に影響を及ぼさないように、IRヒーターであってもよい。複数のヒーターがあってもよく、各ミラーまたはより一般的には各光学素子に対して1つまたは複数のヒーターがあってもよいことが理解されるであろう。
【0085】
ミラー加熱モデルMHMはまた、イメージングサブモデルI1を含む。サブモデルI1からの出力は、ミラーM1の放射照度プロファイルである。イメージングモデルI1への入力は、EUV放射ビーム(PEUV)のパワー(スイッチがオンかオフかを含む)、EUV放射ビーム(IPEUV)の照明プロファイル、およびパターニングデバイスMAの特徴付けPDであってもよい。パターニングデバイスMAの特性PDは、パターニングデバイスMAのパターンであると考えられ得る。いくつかの実施形態では、後述するように、パターニングデバイスMAの特徴付けPDは必要とされない場合がある。
【0086】
サブモデルI1は、複数の光学モデルを含むことができる。パターニングデバイスレベルでの回折パターンは、イメージングシミュレーションで取得できる。これは、計算モデリングに基づいたソースマスクの最適化の結果であり得る。パターニングデバイスMAにおける回折パターンは、サブモデルI1内の光学モデルを使用する照明源瞳およびパターニングデバイスMAのパターンを使用して計算することができる。パターニングデバイスMAにおける回折パターンは、ミラーM1における放射照度プロファイルを計算するために使用され得る。これは、サブモデルI1内の別の光学モデルを使用することにより得る。
【0087】
ミラーM1の放射照度プロファイルは、投影システムPSのミラーM1上の熱負荷の回折に基づく推定値を提供することができる。ミラーM1の放射照度プロファイルは、ミラーM1上の放射照度パターンと考えることができる。
【0088】
ミラーM1の熱測定値は、熱モデルTD1への入力として使用され得る。熱測定値は、熱センサ(すなわち、温度センサ)からのものであってもよい。熱測定には、熱の吸収、伝導、対流、または放射が含まれ得る。
【0089】
サブモデルTD1への入力には、例えばMHフィードバック制御を介した、ミラー加熱システム(PMH)のパワー、イメージングサブモデルI1から計算されたミラーM1の放射照度プロファイル、およびセンサ(Tsens)の温度が含まれる。したがって、熱力学的同定(単一ミラー)の場合、T1(t)(より一般的にはTi(t))は、PMH、PEUV、IPEUV、PDおよびTsensを使用して求められる。温度センサは、ミラーM1の表面上または表面下に配置されてもよい。
【0090】
サブモデルTD1は、MHフィードバック制御を含む、ミラーM1内の過渡温度分布を記述する。各ミラーM1~M6は、実際のミラー幾何学的形状の第一原理に基づいた熱有限要素モデル(FEM)によって記述され得る。他の実施形態では、サブモデルTD1は、経験的モデルなどの異なるタイプのモデルを含むことができる。
【0091】
各ミラーの完全な状態のサーマルフットプリント(すなわち、温度分布)を、時間T(t)の関数として決定することができる。サーマルフットプリントは、3D熱状態、つまり、特定の時点でのミラー内の各位置の温度であってよい。言い換えれば、それは時間の関数としてのミラー内の3D温度分布である。より一般的には、ミラー(光学素子)内の温度分布は、サブモデルTD1を使用して時間の関数として計算される。ミラー1(M1)の場合、完全な状態のサーマルフットプリントはT1(t)である。
【0092】
完全な状態のサーマルフットプリントT1(t)は、サブモデルTE1に入力される。
【0093】
サブモデルTE1は、温度と構造ひずみとの間の非線形かつ不均一な関係の非線形静的マッピングであってもよく、ミラー位置ごとの空間ゼロ交差温度(ZCT)によってパラメータ化され、これは、各ミラーM1~M6内で通常数ケルビンの範囲で変化し得る。
【0094】
熱膨張サブモデルTE1の式は、L(T1(t),Tzc,i(p))とすることができる。ここで、Lは非線形関数を示し、T1(t)は時間の関数としてのミラーM1のサーマルフットプリントであり、Tzc,i(p)は熱弾性マッピングである。
【0095】
サブモデルTE1からの出力は、ミラーの上面(u1,top)の変形を示す。上面は、EUV放射ビームが反射される表面である。各ミラーM1~M6の各サブモデルTE1~TE6からの出力(u1,top~u6,top) は、サブモデルAM1~AM6に入力される。
【0096】
モデルAM1は、投影システムPSの全(ミラー加熱誘起)波面誤差に対するミラーM1の変形した光学面の寄与を記述する線形静的マッピングを備えることができる。
【0097】
サブモデルAM1~AM6は放射ビームの光線追跡をシミュレートし、各ミラーM1~M6の結果が組み合わされて(合計されて)、すべてのミラーM1~M6について経時的な波面誤差(WFE(t))が提供される。つまり、波面がシミュレートされ、波面誤差WFE(t)は、シミュレートされた波面収差から取得される。他の実施形態では、波面誤差WFE(t)が6枚より多いまたは少ないミラーに対して計算され得ることが理解されるであろう。例えば、波面誤差WFE(t)(またはより一般的には光学測定誤差)は、単一のミラー(またはより一般的には単一の光学素子)の加熱モデルで計算され得る。
【0098】
波面誤差(WFE)は、ミラーi(例えば、M1~6)ごとの変形/温度を示す。波面誤差(WFE)は次のように表すことができる。
【数1】
ここで、M
iははミラー (例えばM1~M6)、T
iは温度フィールドであり、すべてのミラーM
iの合計が計算される。
【0099】
空間マップは、サブモデルI1、TD1、およびAM1と組み合わせてサブモデルTE1で使用され、光学測定装置による実際の波面測定を必要とせずにシミュレートされた波面を提供する。
【0100】
図2のMHMのリアルタイムシミュレーション用の高速ソルバーにより、リアルタイム計算が可能になり、これを使用して十分な熱状態(例えばミラーごとに1000、10000または100000)をモデル化して、波面誤差への非線形マッピングを計算できる。さらに、空間的に不均一なZCTの較正方法を使用して、較正を有効にすることもでき、これは、モデル誤差の重要な寄与因子となり得る。較正はリアルタイムで行われる場合もあるが、これは一般的なものではない。
【0101】
熱誘起収差を予測するために、別のモデル(すなわち、経験的予測モデル)を用いることもできる。ただし、経験的モデルには精度の制限があり、それによりイメージング、オーバーレイ、およびフォーカスのパフォーマンスに影響が生じる可能性がある。さらに、顧客のアプリケーションごとに新しい調整が必要になり、生産性に影響を及ぼす可能性がある。
【0102】
経験的モデルの問題は、数秒から数時間の時間スケールで熱動的挙動を特徴付けるために、アプリケーションごとに比較的時間のかかるキャリブレーションが必要になる可能性があることです。一方、(非線形かつ不均一な)熱弾性挙動は、光学素子のどの部分が加熱するかによって決まる。
【0103】
図2のMHMは、ドリフトに対するロバスト性のために温度センサおよび/または波面測定を使用する。MHMは、以前の波面測定との波面の差を予測する。したがって、基準、つまり以前の測定は、新しい測定ごとに変化する。MHMは、リアルタイムの温度測定を使用して、(i)熱ドリフトおよび(ii)モデリングおよび較正誤差を補正する。投影システムPSの温度分布および熱誘起収差を予測するためのMHMへのフィードバック補正は、温度センサ位置での真の測定温度とその推定温度との差に基づいて行われる。この推定誤差に対するフィードバックゲインは、さまざまな方法で設計できる。たとえば、カルマンフィルタは、モデルベースの予測と測定値(ノイズを含む)のバランスをとる。
【0104】
より一般的には、
図2のMHMは、投影システムPSの熱誘起収差を予測するためのフィードバック補正のために投影システムPSのミラーM1の温度測定を使用する。温度測定を提供するために、さまざまな温度センサが使用され得る。
【0105】
例えば、MH制御に使用できるものと同じ温度センサを使用することができる。これらは、例えば光学面から約1~10ミリメートル下など、特定の投影システムミラーの構造に統合することができる。MHのないミラーの場合は、追加の温度センサを使用できる。
図2に示す実施形態では、センサからの温度(Tsens)が間接的に、すなわちMHを介してTD1に入力されることが示されていることが理解されよう。しかしながら、実施形態において、センサの温度は、MHコントローラ(MH)の入力として使用できるだけでなく、モデルTD1の入力として直接使用することもできることが理解されるであろう。したがって、実施形態では、センサ(Tsens)からの温度は、TD1への入力として直接、すなわちミラー加熱コントローラ(MH)を介さずに渡されてもよい。
【0106】
別の例として、セクターヒーターを備えたミラー(すなわち、ミラーごとに単一のヒーターではなく、複数の独立して制御される部分、例えば10個のそのような部分またはセクターに分割されたヒーター)を備えたミラーの場合、セクターヒーター制御のために各ヒーターセグメントに関連付けられた温度センサを使用することもできる。これにより、より多くの擾乱源を識別できるようになり、したがって、より高い精度が可能になり得る。典型的には、すべての(例えば10)セクタに対して合計10個の温度センサ、すなわち、セクタごとに1つの温度センサが存在し得る。しかしながら、実施形態では、セクタ当たり2つ以上のセンサがあってもよく、これは単なる例であるため、センサの数は10とは異なる場合、例えば1より大きい別の数値があることが理解されるであろう。
【0107】
さらなる例として、水冷を備えたミラーの場合、冷却チャネルと温度センサの両方を光学面から数mm下に製造するという製造上の困難を回避するために、冷却チャネルの出口(および入口)に温度センサを使用することができる。冷却水チャネルのセグメント化は、個々のミラーセグメントの温度検知を可能にするために考慮できる。
【0108】
経験的モデルに関する別の問題は、より長い時間スケールで、(i)EUV源(すなわちDUVおよびIR)で生成される関連するオフバンド波長による実効熱負荷のドリフト、(ii)IRレーザおよびミラー加熱(MH)制御システムの光学系におけるドリフト、および(iii)ミラーとPOB(投影光学系ボックス)のフレーム/容器との間の圧力変動によるミラー表面での熱伝達のドリフト、などの熱ドリフトの影響を受けやすいことであり得る。熱測定フィードバックを備えた
図2のMHMの利点は、熱ドリフトが抑制されることであり得る。これにより、熱履歴の追跡が改善され得る。さらに、これにより、頻繁な較正の必要性が回避され、つまり、必要な較正の数が減少する可能性がある。
【0109】
温度センサは、
図2のMHMへのフィードバックに使用される。したがって、温度センサは、(波面測定間の)波面誤差を推定するために使用され得る。
【0110】
さらに、波面測定値Mは、光学測定装置によって測定することができる。
【0111】
Tzc空間マップを含むミラー加熱モデルMHMの光学性能は、波面測定からの測定データと一致させることができる。
【0112】
時間(t)に対する波面誤差WFE(nm)は、異なるゼルニケ、すなわちZ2からZ25について示され得る。熱誘起収差は、たとえば、ゼルニケのセットとして表現され得る。例えば、ゼルニケ係数Z5~Z25を用いて収差を表現してもよい。他の例では、他の範囲のゼルニケ係数が使用されてもよい。たとえば、Z2からZ64まで、Z77まで、またはZ100までのゼルニケ係数が使用されてよい。
【0113】
光学測定装置の露光スリット内のいくつかの異なる位置(例えば、3、7、または13)で測定を行うことができる。
【0114】
一部のリソグラフィ装置LAでは、波面誤差測定(ゼルニケで表される)が各ロットの後に利用可能になる場合がある。その後、これらの誤差は、レンズ補正によって、投影システムPSのミラーおよび/またはステージの向きを調整することによって補償することができる。
【0115】
他のリソグラフィ装置LAについても、同様の補償が対象となるが、より高速な光学測定装置からの波面誤差測定を使用することにより、ロットごとではなくウェハ(基板)ごとに補償することができる。このウェハごとのレンズ補正は、「ウェハ間レンズ補正」と呼ばれることがある。
【0116】
他のリソグラフィ装置の場合、1つのウェハ内の比較的速いミラー加熱効果によって引き起こされる波面誤差を、波面測定の間に、後続のフィールドの露光の間に調整可能な「ステッピング投影システムPSミラー」を使用することによって補償することが望ましい場合がある。このようなフィールドごと(またはフィールドのセットごと)のレンズ補正は、「ウェハ内レンズ補正」と呼ばれることがある。実際の波面誤差は光学測定装置によって(フィールドごとではなく)ウェハごとにのみ測定されるため、ウェハ内レンズ補正の場合は波面誤差のモデルベースの推定を使用することが有益であり得る。
【0117】
ウェハ内補正は、特にロット内の最初のウェハについて、ウェハ間ンズ補正と比較して大幅な改善をもたらすことが示されている。このソリューションは、ウエハ内の時間スケールであっても、リソグラフィ装置LAのパフォーマンスを大幅に向上させる。さらに、熱履歴を追跡することが重要であることが示され得る。
【0118】
図2のMHMは、物理モデルと考えることができる。MHMは、スイッチがオフになるまで熱履歴を追跡するため、アプリケーション間でモデルの状態を切り替えたりリセットしたりしないことが重要である。
【0119】
温度フィードバックと組み合わせた物理モデル(例えば、カルマンフィルタを使用)は、特に熱履歴のないフィードフォワードモデルについてだけでなく、熱履歴のあるフィードフォワードモデルについても、フィードフォワード(物理)モデルよりも優れていることが示され得る。これは特に最初のウェハの場合に当てはまる。熱履歴がある場合、カルマンフィルタで温度センサを使用すると、温度フィードバックがない場合と比較して、リソグラフィ装置のパフォーマンスエラーが減少する。カルマンフィルタの温度フィードバックにより、HTC(熱伝達係数)パラメータのモデル誤差に対するロバスト性も向上する。追加されたセンサフィードバックは、避けられないモデリング誤差(熱モデルパラメータの不確実性など)や無視された擾乱(照射負荷の不確実性など)を補償する効果的な手段である。放射照度の不確実性は、1)パワー較正の不確実性とドリフトによる公称放射照度形状に関連する不確実な放射照度パワー、2)DUV放射照度負荷に関連する不確実な放射照度形状、3)回折放射照度負荷に関連する不確実な放射照度パワー、および/または4)MPH放射照度負荷に関連する不確実な放射照度パワーであり得る。
【0120】
予測された熱誘起収差は、リソグラフィ装置LA内で補正することができる。光学素子の種類に応じて、これは、例えば、少なくとも1つの光学素子(例えば、ミラーまたはレンズ)、パターニングデバイス、または基板を平行移動および回転させること、照明源瞳設定を適合させ、セクターヒーターまたはクーラーのパワーを変更すること、または変形可能なマニピュレーターの形状を適合させることによる。適応照明の場合、光源マスクの最適化も使用できる。ソースマスクの最適化は、リソグラフィのパフォーマンスを向上させるために、照明パターンを変更し、マスク内に補助フィーチャを配置することに関連する。ヒーターは、例えば光学素子に埋め込まれ得る赤外線ヒータまたは抵抗線を備え得る。クーラーは水またはガスを含んでもよい。変形可能なマニピュレータは、光学素子、パターニングデバイスクランプ、基板クランプ、または基板テーブル内の圧電アクチュエータを備え得る。
【0121】
図3は、投影システムPSの熱誘起収差を予測および補正する方法のフロー
図100を示す。すなわち、リソグラフィ装置LA内の投影システムPSの光学素子に関連する熱誘起収差を予測し、補正することである。
【0122】
ステップ102では、光学素子の放射照度プロファイルが、イメージングモデルI1を使用して計算される。
【0123】
ステップ104では、光学素子の温度測定値が、例えばMHフィードバック制御を介して熱モデルTD1にフィードバックされ、熱誘起収差の予測を修正する。温度測定値を、熱モデルTD1に直接フィードバックすることも、MHフィードバック制御を通じてフィードバックすることもできる。MHフィードバック制御に温度センサを使用することと、熱誘起収差の予測を補正するために温度センサを使用することは、2つの異なることであり得る。温度測定は、1つまたは複数の温度センサによって取得され得る。温度測定値は、温度分布を補正するためにフィルタ(例えば、カルマンフィルタ)を介してフィードバックされてもよい。
【0124】
ステップ106では、光学素子内の温度分布(すなわちサーマルフットプリント)が、熱モデルTD1と光学素子の計算された放射照度プロファイルを使用して計算される。
【0125】
ステップ108では、光学素子に関連する熱誘起収差が、Tzc空間マップを含む熱弾性モデルTE1を使用して予測される。
【0126】
ステップ110では、光学素子に関連する予測された熱誘起収差に対して補正が行われる。この補正またはこれらの補正には、少なくとも1つの光学素子の移動、放射源およびパターニングデバイスの最適化、およびヒーター、クーラー、または変形可能なマニピュレーターの制御のうちの少なくとも1つが含まれ得る。
【0127】
図2のMHMの主な入力(つまり、サブモデルI1への入力)は、レチクル(パターニングデバイスMA)レベルでの回折パターンの推定値である。回折パターンは、リソグラフィ装置LAで利用可能な照明設定である光源瞳とマスク(パターニングデバイスMA)パターンを使用して計算することができる。パターニングデバイスMAのパターンは機密情報である可能性があるため、この情報を使用するには、光線追跡ソフトウェアとリソグラフィ装置LAとの間に安全なインフラストラクチャが必要となる可能性があり、これは実現可能ではあるが比較的複雑になる可能性がある。パターニングデバイスMAのパターンは、より一般的には、パターニングデバイスMAの特徴付けであると考えられ得る。次に、
図2のMHM(より具体的にはサブモデルI1)は、光学モデルを使用して光学素子ごとの放射照度パターンを計算することができる。
【0128】
図2のMHMは、温度センサ測定値を使用して、各ミラーM1~M6内の温度分布を推定することができる。いくつかの実施形態では、MHMには、パターニングデバイスMAに依存する回折パターンの正確な推定値が提供されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、ミラーM1の温度測定値を、ミラーM1の放射照度プロファイルと実際の放射照度プロファイルとの間の不一致を推定するために使用することができる。これは、パターニングデバイスMAの情報(すなわち、パターニングデバイスMAの特徴付け)が必要でない可能性があることを意味する。この場合、ミラーM1の放射照度プロファイルは、パターニングデバイスMAの特徴付けとは独立して計算することができる。パターニングデバイスMAの特徴付けは、ミラーM1の放射照度プロファイルを計算するために必要とされない場合がある。投影システムPSの熱誘起収差は、放射照度プロファイルの不一致の推定に基づくことができる。
【0129】
温度測定は、温度分布を推定するために使用される温度センサ(つまり、前述のサブモデルTD1への温度フィードバック)または追加の温度センサを使用して実行できる。放射照度プロファイルの不一致推定のための温度センサは、ミラーM1の上面の下に配置されてもよい。目的によって、センサをどこに配置するのが望ましいかが決まる。例えば、ミラーM1の上面近くでは放射照度をより適切に推定し、ミラーの側面近くでは周囲への伝導をより適切に推定する。
【0130】
放射照度プロファイルの不一致を再構成するには、
図2のMHMを擾乱モデルで拡張して、拡張されたMHMが提供されるようにする。この擾乱モデルは、放射照度形状と対応する係数の固定セットを含んでもよい。動作中、拡張MHMは、放射照度プロファイルの不一致に対応するために、ミラーM1の温度分布に加えてこれらの係数を推定してもよい。したがって、擾乱モデル内の放射照度形状の固定セットは、使用事例に依存する広範囲の放射照度プロファイルの不一致がこれらの形状の線形結合によって近似できるように設計することができる。擾乱モデル内の形状の数は、利用可能なセンサの数によって制限され得る。
【0131】
投影システムPSのミラーは、セクターヒーター/センサセグメンテーション(たとえば、合計10個のセンサ) を備えてよい。ミラーは、セグメントごとに1つの温度センサを有してよい。これは、擾乱モデルの放射照度形状の固定セットにとって適切な選択であることが示され得る。ミラーは、セグメントごとに複数の温度センサを備えていてもよい(たとえば、セグメントごとに2つの温度センサ)。
【0132】
パターニングデバイスMAの情報が推定モデルで使用されない場合、ミラーの放射照度を推定するための(追加の)温度センサと、回折によって引き起こされる放射照度の不一致の再構築を可能にする拡張モデルMHMが光学性能に有益であることが示され得る。より具体的には、これらの温度センサ(例えば、追加の温度センサ)がパターニングデバイスMAの情報の要件を置き換えることができることが示され得る。
【0133】
図4は、拡張されたMHMの一部の概略図を示す。
図4は、以下の関係で
図2のMHMと比較され得る。
図4では、y
iは、
図2のT
sensに対応する温度測定値(ミラーごと)である。u
iは、
図2のP
MHに対応するMH(ミラー加熱)制御コマンドである。
【数2】
は、各ミラーの温度フィールドの推定値であり、
図2のT
1(t)に対応する。
【数3】
は、不確実な放射照度負荷に関連する係数の推定値である(
図2のMHMに関連して明示的に示されていない、または説明されていない)。
図4の波面推定器(WE)ブロックは、TE1~TE6(熱弾性マッピングサブモデル)と
図2の破線ボックス(つまり、収差サブモデル(AM1~AM6)へのマッピングを含む)の組み合わせに対応する。
図4では、各ミラーM
1~M
N(例えば、M
Nは6個のミラーを示すM
6であってもよい)に対して個別のオブザーバ(またはサブモデル)OBS
1~OBS
Nが示されている。L
1~L
Nは、オブザーバゲイン(フィードバックゲイン)である。TD
1~TD
Nは、
図2に示すTD
1の拡張バージョンであり得る。熱力学モデルTD
1~TD
Nは、推定出力(例えば温度分布)を提供するために(例えば、温度センサからの)フィードバックを使用するサブモデルである。
図2のMHMと
図4の拡張MHMは、オブザーバと考えることができる。また、熱力学モデルとオブザーバゲインの組み合わせもオブザーバとみなすことができる。拡張MHMの使用は、投影システムPSのミラー温度
【数4】
の推定を改善することである(その後、波面誤差を表すゼルニケ
【数5】
の推定を改善する)。動作中、拡張MHM、つまりこれらのオブザーバOBS
1~OBS
Nは、放射照度プロファイルの不一致に対応するために、各ミラーの温度
【数6】
(一次推定値)に加えて、モデルに含まれる複数の不確実な放射照度形状の係数
【数7】
(二次推定値)を推定する。各
【数8】
(各
【数9】
はスカラーである必要はなく、列行列にすることもできる)の係数の数は、モデルに組み込まれている不確実な放射照度形状の数と等しくなる。1つのミラー(たとえばM
1)のサブモデル(例えばTD
1)内のそのような不確実な放射照度形状の最大数は、最大でも対応するミラーのセンサの数に等しくてもよい。
【0134】
拡張MHMの放射照度形状の数、したがって推定できる
【数10】
の対応する係数の数は、yのセンサの数によって制限され得る。拡張MHMのミラーごとのアプローチの場合、これは、ミラーごとにセンサの数が推定される擾乱の数と少なくとも等しい必要があることを意味する。
【数11】
ここで、i=1、…、Nは、オブザーバを備えた投影システムPS内のミラーの数である(例えば、最大でもN=6)。
【0135】
許容可能なパフォーマンス向上のためには、推定される放射照度形状係数
【数12】
の数が「相当(substantial)」である必要があり、したがってセンサの量
【数13】
も相当である必要がある。特定のミラーは、たとえば10個のセンサが設けられており、これは相当であると見なされる。さらに、この文脈での「相当」とは、ミラーあたり5個を超えるセンサとみなされてもよい。
【0136】
しかしながら、投影システムPS内のミラー当たりの温度センサの数は制限され得る。たとえば、投影システムPSのミラーには、合計で2個のセンサしかない場合があり得る。センサが2個未満、例えばセンサが1個または0個のミラーもあり得る。この文脈では、ミラーごとのセンサの数は相当であるとは考えられない。各ミラーのセンサの数が限られているため、拡張MHMで提案されているミラーごとのアプローチでは満足のいくパフォーマンスの利点が得られない可能性がある。
【0137】
投影システムPS内のミラーM1~M6当たりのセンサの数が比較的少ないにもかかわらず、投影システムPS内のすべてのミラーM1~M6を合わせたセンサの総数は、例えばセンサが合計6個以上であり、依然として比較的大きい可能性がある。この文脈では、この数のセンサは合わせて「相当」であると考えられる。
【0138】
投影システムPSのミラー加熱については、ミラーM1~M6に作用する擾乱は通常独立していないため、すべてのミラーM1~M6(またはより一般的にはMN)に同じ擾乱係数
【数14】
を使用できることが認識されている。より一般的には、複数の放射照度形状の係数
【数15】
のうちの1つの係数
【数16】
が、投影システムPSの2つ以上のミラーM1~M6に使用され得る。単一の放射照度形状に対して単一の係数がある。
【0139】
図4を参照すると、「N」個の異なるミラーに対して「N」個の独立したオブザーバ(つまり、OBS
1~OBS
N)が存在する。たとえば、6つの異なるミラーに対して6つの独立したオブザーバがある。各オブザーバOBS
1~OBS
Nは、2セットの入力を使用する。1)
【数17】
の温度測定値と
【数18】
の既知のシステム入力。ミラー加熱アプリケーションの場合、入力
【数19】
は通常2つの部分:ミラープレヒーター(MPH)コントローラからの制御コマンド
【数20】
と、放射負荷の完全に既知の(公称)部分
【数21】
とで構成される。さらに、
【数22】
は、
図2のMHMのP
MHに対応するが、
【数23】
は
図2に明示的に存在しない。実施形態では、
図2と同様に、拡張MHM、またはオブザーバOBS
1~OBS
Nは、
図2のサブモデルI1または同様のモデルを使用して、照射プロファイルを計算してもよい。実施形態では、ミラー(例えば、M
1~M
N)の照射プロファイルは、例えば入力
【数24】
の一部として、サブモデルOBS
1~OBS
Nに供給され得る。各オブザーバOBS
1~OBS
Nは、2つの出力セット:1)推定温度フィールド
【数25】
と、2)放射負荷の未知/不確実な部分の推定係数
【数26】
とを有する。
【数27】
とともに
【数28】
を推定することは、一次温度推定を改善するためにのみ使用され、後者のみが波面推定(WE)ブロックに入力されることに注意する。説明を簡単にするために、N=2、つまりオブザーバを備えたミラーが2つだけであると仮定する。すると、
図4のシステムは次のようになる。
【数29】
【数30】
【0140】
式1と式2において、L1とL2はオブザーバゲイン(フィードバックゲイン)であり、たとえば、システムと制御理論でよく知られている技術であるカルマンフィルタの概念や極配置法によって計算できる。
【0141】
行列B
d,i の列は、係数
【数31】
が推定される不確実な放射照度負荷の仮定された形状を表す。これらの形状は、放射負荷の不確実な公称部分または放射負荷の不確実な赤外線(IR)関連部分の場合のように、物理的に現実的な形状として選択され得る。これらの場合、形状は既知であるが、パワー
【数32】
を推定する必要があるからである。あるいは、形状もパワーも不明であり、
【数33】
を推定する必要がある放射照度負荷の不確実な回折関連部分の場合のように、これらの形状を架空の形状として選択することもできる。
【0142】
公称放射照度やIR放射照度などの物理的に現実的な形状の場合、残りの情報は
【数34】
に含まれるため、すべてのミラーに対して同じ係数、つまり
【数35】
を仮定できる。回折放射照度のような架空の形状の場合、対応する行列B
d,1およびB
d,2が適切に設計されており、ミラーごとの特定の吸収損失を適切に考慮していることを条件として、すべてのミラーに対して同じ係数を仮定することもできる。すなわち、
【数36】
である。
【0143】
複数のミラー係数
【数37】
が同じであると仮定すると、推定されるパラメータの数が減り、したがって必要なセンサーの数
【数38】
が減る。たとえば、元々10個の係数
【数39】
がN=5のミラーのそれぞれに必要な場合、5×10=50個のセンサが必要になるが、上記の仮定では合計10個のセンサのみが必要になる。その場合、モデルのパフォーマンスを適度に向上させるには、投影システム内のすべてのミラーに10個以上の温度センサがあれば十分である。実施形態では、モデルの性能を合理的に向上させるために、投影システム内のすべてのミラーに対して異なる数のセンサが存在してもよい。たとえば、投影システム内のすべてのミラーに対して5つを超えるセンサが存在してもよい。
【0144】
図5は、改良された拡張MHMの一部の概略図を示す。すなわち、ミラーM
1~M
Nのすべてに対する単一のオブザーバOBSであり、例えばミラーM
Nは6つのミラーを示すM
6であってもよい。
温度測定値
【数40】
から
【数41】
のそれぞれが入力される単一のオブザーバゲイン(L)がある。
図5では、各ミラーM
1~M
NのサブモデルTD
1~TD
Nが示されている。TD
1~TD
Nは、
図2に示されているTD1の拡張バージョンである。
【0145】
複数の放射照度形状の係数のうちの1つの(すなわち、同じ)係数が投影システムの複数のミラー(例えば、ミラーM1~M6)に使用され得るという仮定の下で、式1および式2は、単一の大きな式3に結合され得る。
【数42】
【0146】
式3では、通常、推定される擾乱係数
【数43】
が小さくなる(同様に、このような結合式はN>2に対して導出できる)。
【0147】
式3には、単一のオブザーバゲインLがある。すなわち、2つのミラー(より一般的には複数のミラー)に対する複数の放射照度形状の係数を推定するための単一のフィードバックゲインがある。この行列は、異なるミラーに対して異なる
【数44】
を設計するのではなく、組み合わせたミラーに対して設計する必要がある。基本的には、これに違いはない。実際には、結合オブザーバゲインの計算は、投影システムPSの個々のミラーM1~M6ではなく、投影システムPSの結合ミラーM1~M6のより大きなシステムモデル(より多くの状態変数)に基づいているため、より高価になる。ただし、オブザーバゲインLの計算はオフラインで実行できるため、オブザーバの機械実装に基本的な複雑さが追加されることはないことに注意する。
【0148】
改良された拡張MHMには、ミラーごとに使用できる温度センサの数が少なくなる、例えばミラーごとに10個未満、という利点があり得る。これにより、製造上および信頼性に関する潜在的な問題が軽減されるだけでなく、コストも削減される可能性がある。既存のハードウェアを変更する必要がないためである。
【0149】
上記の実施形態では、必要なセンサの数を減らすために、投影システムPSの複数の(おそらくすべての)ミラーM
1~M
N(例えばN=6)に対して単一のオブザーバの設計が提案されている。しかしながら、他の実施形態では、異なるアプローチが使用されてもよい。たとえば、単一ミラー(例えばM1)に対して単一の係数
【数45】
または係数のサブセット
【数46】
推定し、その後、推定された
【数47】
を公称入力として(つまりuの一部として)他のミラーにフィードスルーすることができる(例えばM2~M6)。これらの他のミラー内の温度センサは、他の関連する擾乱係数(すなわち、複数の放射照度形状の他の係数)を推定し、これらを他のミラーに供給するために使用することができる。たとえば、不確実なIR放射照度負荷をミラーM1で推定し、公称入力としてM2~M6に供給することができる(つまり、
図4および
図5のu
iの一部になる)。一方、M2~M6の残りのセンサを使用して、他の放射照度の不確実性を推定する。ここでも、擾乱は異なるミラーに対して独立していないものと仮定される。どのフィードスルーシナリオが最適に機能するかは、特定のアプリケーションに依存し得る。
【0150】
さらに、MPH(ミラープレヒーター)制御コマンドには不確実性があり、これにより、ミラーにさらに不確実な放射照度負荷が発生する可能性がある。この場合、通常、形状はわかっているが、パワー(「外乱係数」)は部分的に不確かである。ここで説明する方法は、必要なセンサの数を制限しながら、EUV放射照度の不確実性以外にMPH制御の不確実性を推定するために使用することもできる。これは、他の放射照度負荷の場合と本質的に同じ方法で行うことができます。つまり、式1,2,3における行列[A Bd;0 0] の行列「Bd,i」にミラー「i」のミラープレヒーターの形状に関する情報を含め、温度Tiとともに対応する不確実係数diを推定する。より一般的には、この方法は、1つまたは複数のセクタヒーターまたはクーラーの印加電力の不確実性を推定することを含み得る。
【0151】
投影システムPSのミラーM1~M6の側面および背面の熱伝達係数は、投影システムPS内の圧力変動に敏感である。一部のリソグラフィ装置LAでは、圧力は±~5%(0.2Pa)以内で安定すると予想され、これは以前に提案された温度センサのフィードバックで補正され得る。ただし、ペリクルの有無による使用、リソグラフィ装置のフロー構成の変更、ソースの流入の変更、ターボ分子ポンプの故障などに対処するには、およそ10倍を超えるはるかに大きな圧力範囲をサポートする必要があり得る。これがパフォーマンスに重大な影響を与えることが示され得る。
【0152】
圧力に対する熱伝達係数(HTC)の感度が示され得る。略真空では、熱伝達係数(HTC)は、圧力と環境(すなわちPOBフレーム)までの距離の関数であり、Sherman-Lees式で説明できる。熱伝達係数は、所定のPOB圧力1~10Paの場合、ミラーとその環境の間の比較的小さなギャップ(<10mm)での圧力に敏感である。
【0153】
いくつかの実施形態では、熱誘起収差を予測するためのフィードバック補正のために、投影システムPS内で圧力測定が行われてもよい。つまり、POB内の圧力変動を測定し、圧力と熱伝達係数の関係を使用して、例えば第一原理に基づいたモデルを使用して、
図2のMHM(つまり物理モデル)にフィードバックすることができる。圧力測定値は、投影システムPSの圧力変動、すなわち時間の経過に伴う変化を示し得る。たとえば、製造時のHTCは、較正時のHTCと異なる場合がある。このようにして、投影システムPS内の圧力変動を補償することができる。
図2のMHMまたは拡張MHMの圧力フィードバックにより、ウェハ内補正および波面ベースのセクターヒーター制御の波面誤差の推定精度が向上し得る。
【0154】
熱境界条件、つまり伝導と放射は、大きな不確実性を持つモデル要素である。圧力に加えて、実効HTCは、周囲の材料の温度、ミラーM1および/または他のミラーと汚染されやすい周囲の材料の両方の表面状態、表面依存の放射率と形態係数の関数としての放射熱伝達にも依存する。
【0155】
これらの不確実性は、圧力フィードバックからは決定できない可能性があるが、例えば上述のように拡張されたMHMを使用して、ミラーM1の背面および側面の温度を測定することによって大幅に低減することができる。より一般的には、ミラーM1の温度測定は、ミラーM1の熱境界条件の影響を推定するために使用され得る。これにより、波面誤差推定を熱境界条件の不確実性から独立させることができる。
【0156】
温度測定は、温度分布を推定するために使用される温度センサ(すなわち、上述のサブモデルTD1への温度フィードバック)、放射照度の不一致を計算するための温度センサ、または追加の温度センサを使用して行うことができる。熱境界条件の影響(すなわち変化)を推定するための温度センサは、ミラーの側面および/または背面(例えば1~30mmの間)またはその近くにあってもよい。
【0157】
図2のMHMまたは拡張MHMの圧力フィードバック、またはミラー境界での追加の温度センサを使用して、ミラー境界での熱伝達係数をより適切に推定すると、推定方法におけるHTC変動の影響が低減される可能性があることが示され得る。より具体的には、これらの温度センサ(例えば、追加の温度センサ)および/または圧力フィードバックにより、圧力範囲の問題を解決できることが示され得る。
【0158】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及されているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解されたい。その他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用の誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が挙げられる。
【0159】
本明細書では、リソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は他の装置でも使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、あるいはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用する場合がある。
【0160】
上記では、光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及してきたが、文脈が許す限り、本発明は光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィなどの用途にも使用できることが理解されるであろう。
【0161】
状況が許せば、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。本発明の実施形態は、機械可読媒体に格納された命令として実装することもでき、この命令は、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られて実行され得る。機械読み取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を保存または送信するための任意の機構を含み得る。たとえば、機械可読媒体には読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学記憶メディア、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、またはその他の形式の伝播信号(搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などが含まれ得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、本明細書では特定の動作を実行するものとして説明される場合がある。ただし、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのような動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスから生じ、その際にアクチュエータまたは他のデバイスが物理世界と相互作用し得ることを理解されたい。
【0162】
本発明の特定の実施の形態を上述してきたが、本発明は記載と異なる態様で実施されてもよいことが理解されよう。上述の記載は例示を意図しており、限定を意図していない。したがって、当業者であれば、以下に記述される請求項の範囲を逸脱しない範囲で、上述した発明に対する変形がなされてもよいことが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測する方法であって、当該方法は、
前記放射ビームのパワーおよび照明源瞳から前記投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算することと、
前記投影システムの
前記少なくとも1つの光学素子について計算された
前記放射照度プロファイルを使用して、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定することと、
推定された
前記温度分布および前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張パラメータマップに基づいて、前記投影システムの
前記熱誘起収差を計算すること
であって、前記熱膨張パラメータマップは、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップ、または均一マップである
ことと、
前記投影システム内の圧力測定を使用して、前記温度分布の推定および前記熱誘起収差の予測のためのフィードバック補正を行うことと、を備える、方法。
【請求項2】
パターニングデバイスにおける前記放射ビームの回折パターンを使用して前記放射照度プロファイルを計算することをさらに備え、前記投影システムは前記パターニングデバイスから放射を投影する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射ビームのパワー、前記放射ビームの照明源瞳、および前記パターニングデバイスの特性を使用して前記回折パターンを計算することをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1原理に基づく光学モデルを使用して前記回折パターンを計算することをさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用して、熱ドリフト、熱擾乱、モデリング誤差、熱境界条件の変化および較正誤差のうちの少なくとも1つについて
、推定された前記温度分布および前記熱誘起収差の予測のため
のフィードバック補正を行うことをさらに備える、請求項1から
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
放射ビームを投影するための投影システムの熱誘起収差を予測するように構成されたシステムであって、当該システムは、
前記放射ビームのパワーおよび照明源瞳から、前記投影システムの少なくとも1つの光学素子の放射照度プロファイルを計算し、
前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子について計算された放射照度プロファイルを使用して、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子内の温度分布を時間の関数として推定し、
計算された温度分布と、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子に関連付けられた熱膨張マップに基づいて、前記投影システムの
前記熱誘起収差を計算
し、前記熱膨張マップは、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子における熱膨張パラメータの空間変化を示す空間マップ、または均一マップであ
り、
前記投影システム内の圧力測定を使用して、前記温度分布の推定および前記熱誘起収差の予測のためのフィードバック補正を行う、ように構成される、システム。
【請求項7】
熱ドリフト、熱擾乱、モデリング誤差、熱境界条件の変化および較正誤差のうちの少なくとも1つについて
、推定された前記温度分布および前記熱誘起収差の予測のため
のフィードバック補正を行うために、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を行うための少なくとも1つの温度センサを備える、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの温度センサは、光学素子加熱制御温度センサ、セクターヒーター制御温度センサ、周囲温度センサ、出口および/または入口冷却チャネル温度センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
当該システムは、
前記少なくとも1つの光学素子の
前記放射照度プロファイルと実際の放射照度プロファイルとの間の不一致を推定するために、前記投影システムの前記少なくとも1つの光学素子の温度測定を使用し、前記放射照度プロファイルは、パターニングデバイスの特徴付けとは独立して計算され、複数の放射照度形状の係数を使用して計算され
、
前記放射照度プロファイルの不一致に基づいて前記投影システムの
前記温度分布および
前記熱誘起収差を推定するように構成されている、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
当該システムは、複数の光学素子の温度測定を使用し、前記投影システムの複数の光学素子に対する複数の放射照度形状の係数のうちの1つの係数を使用するように構成される、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
光学素子当たり9個未満の温度センサ、および/または
前記複数の光学素子に対して5個を超える温度センサを備える、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するために放射ビームを投影するように構成された投影システムを備えたリソグラフィ装置であって、請求項
6から
11のいずれかに記載のシステムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項13】
請求項1から
5のいずれかに記載の方法をプロセッサに実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項
13に記載のコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
プロセッサ可読命令を格納するメモリと、
前記メモリに格納された命令を読み取って実行するように構成されるプロセッサと、
を備えるコンピュータ装置であって、
前記プロセッサ可読命令は、請求項1から
5のいずれかに記載の方法を実行するように当該コンピュータ装置を制御するように構成された命令を含む、コンピュータ装置。
【国際調査報告】