(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】保持リングを分類するための機械学習
(51)【国際特許分類】
B24B 37/32 20120101AFI20240220BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20240220BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20240220BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240220BHJP
G05B 19/4155 20060101ALI20240220BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B24B37/32 Z
B24B37/30 Z
B24B37/005 Z
B24B49/12
G05B19/4155 V
H01L21/304 621D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553599
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022017538
(87)【国際公開番号】W WO2022187055
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲンガスト, アンドリュー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ギャレットソン, チャールズ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン, ホワンボ
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ジーザー
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
3C269
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA11
3C034CA30
3C034CB04
3C034CB14
3C034DD07
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA05
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158BB09
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA13
3C158EA23
3C158EA25
3C158EB01
3C269AB07
3C269BB03
3C269BB05
3C269MN44
5F057AA03
5F057AA19
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB30
5F057GA13
5F057GB02
5F057GB12
(57)【要約】
研磨を最適化する方法が、特定のキャリアヘッドに取り付けられた複数の保持リングのそれぞれの保持リングについて、三次元測定機を使用して、特定のキャリアヘッドに取り付けられたそれぞれの保持リングの底面の測定を行うことと、それぞれの保持リングを使用して研磨された基板のそれぞれの除去プロファイルを収集することと、を含む。機械学習モデルが、保持リングの底面の測定値及びそれぞれの除去プロファイルに基づいて訓練される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨を評価する方法であって、
特定のキャリアヘッドに取り付けられた複数の保持リングのそれぞれの保持リングについて、三次元測定機を使用して、前記特定のキャリアヘッドに取り付けられた前記それぞれの保持リングの底面の測定を行うことであって、前記測定値が前記底面の特性を表す、測定を行うことと、
前記複数の保持リングの前記測定値に基づいて、前記複数の保持リングのそれぞれを、それぞれのカテゴリに分類する教師なし学習アルゴリズムを実行することと、
前記教師なし学習アルゴリズムによって生成された分類を格納することと、
前記分類を研磨プロファイル測定値に対して評価して、プロファイルの差異をもたらすパラメータを決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記それぞれの保持リングの前記底面の測定を行うことが、
非対称的な曲率分布を決定することで、前記それぞれの保持リングの真円度の測定を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記それぞれの保持リングの前記底面の測定を行うことが、
様々な幅及び角度位置で前記底面にわたって複数回の測定を行うことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記底面にわたって複数回の測定を行うことが、
前記保持リングの前記底面を前記保持リングの複数の領域に分けることと、
前記複数の領域のそれぞれについて、前記領域の平面上の位置、及び前記領域の平均厚さを測定することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記底面の前記特性が、表面の高さ又はリング層の厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記教師なし学習アルゴリズムがK平均アルゴリズムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記K平均アルゴリズムを使用して、前記分類のためのカテゴリの数を決定することをさらに含み、前記分類のためのカテゴリの数を決定することが、
複数の想定される数のカテゴリのそれぞれについて、
カテゴリの総数を表す候補数を選択することと、
前記K平均アルゴリズムを使用して、前記複数の保持リングを前記候補数のカテゴリに分類するためのそれぞれの候補誤差を決定することと、
カテゴリの前記数として、最小候補誤差に基づいて前記候補数のうちの1つを選択することと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
全カテゴリ中で最多の保持リングを有する、保持リングのカテゴリを決定することと、
決定された前記カテゴリを基準カテゴリとして設定することと、
前記分類に従って前記基準カテゴリとして分類されていない保持リングを調整することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
分類された保持リングを使用して研磨される基板の研磨後プロファイルを、前記分類された保持リングの前記分類に基づいて予測することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の保持リングが、慣らし運転された1つ以上の保持リングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
研磨を最適化する方法であって、
特定のキャリアヘッドに取り付けられた複数の保持リングのそれぞれの保持リングについて、
三次元測定機を使用して、前記特定のキャリアヘッドに取り付けられた前記それぞれの保持リングの底面の測定を行うことであって、前記測定値が前記底面の特性を表す、測定を行うことと、
前記それぞれの保持リングを使用して研磨された基板のそれぞれの除去プロファイルを収集することと、
前記保持リングの前記底面の前記測定値及び前記それぞれの除去プロファイルに基づいて、機械学習モデルを訓練することと、
を含む、方法。
【請求項12】
特定の保持リングの底面を測定することと、
訓練された前記機械学習モデルに前記測定値を入力して、予測される除去プロファイルを生成することと、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記底面の前記特性が、表面の高さ又はリング層の厚さである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記それぞれの保持リングを使用して研磨された基板の前記それぞれの除去プロファイルを収集することが、
訓練のために、前記それぞれの除去プロファイルについてそれぞれの除去プロファイルラベルを決定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記それぞれの除去プロファイルラベルが、前記基板のエッジ領域における速い除去速度を表す第1のラベルと、前記基板のエッジ領域における遅い除去速度を表す第2のラベルと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記機械学習モデルが、畳み込みニューラルネットワークを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
命令を含むコンピュータプログラムが記録された非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のコンピュータに、
基板を研磨する前に、保持リングの底面のプロファイルを表す複数の測定値を受信することと、
前記複数の測定値を訓練された機械学習モデルに提供して、前記基板の予測される除去プロファイルを生成することと、
前記基板の研磨均一性を改善するために、前記予測される除去プロファイルに応じて調整された研磨パラメータを生成することと、
を行わせ、かつ
研磨システムに、調整された前記研磨パラメータを用いて前記基板を研磨させる、非一過性のコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記研磨パラメータが、前記基板に対する圧力を含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記機械学習モデルがニューラルネットワークを含む、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記プロファイルが、表面の高さ又は層の厚さのプロファイルである、請求項17に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して化学機械研磨に関し、より詳細には、機械学習を使用した保持リングの分類に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を連続的に堆積させ、これらの層を連続的に処理することによって、基板(例えば、半導体ウエハ)上に形成される。
【0003】
1つの製造ステップは、非平面の上に充填層を堆積させることと、充填層を平坦化することと、を含む。或る特定の用途について、充填層は、パターニングされた層の上面が露出するまで、又は所望の厚さが下層の上に残された状態になるまで平坦化される。加えて、平坦化は、リソグラフィのために基板の表面、例えば誘電体層を平坦化するために使用されうる。
【0004】
化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)は、平坦化の1つの認められた方法である。この平坦化の方法では、典型的に、基板をキャリアヘッド上に取り付けることが必要となる。基板の露出表面が、回転する研磨パッドに当たるように配置される。キャリアヘッドは、基板に制御可能な荷重をかけて、基板を研磨パッドに押し当てる。幾つかの研磨機械では、キャリアヘッドが、複数の別々に加圧可能な径方向同心円状のチャンバを形成する膜を含み、ここで、各チャンバ内の圧力が、基板上の各対応する領域内の研磨速度を制御する。研磨粒子を含むスラリといった研磨液が、研磨パッドの表面に供給される。
【0005】
別の問題として、機械学習が、経験(例えば、履歴データ)を通して自動化を支援するために広く使用されており、例えば、項目を様々なカテゴリに分類するために使用されている。機械学習は、3つカテゴリに大別され、即ち、既知のカテゴリラベルを有する入力データを使用した教師あり学習と、既知のカテゴリラベルを含まない入力データを使用した教師なし学習と、環境をナビゲートし環境と相互作用することで特定のゴールに到達することを目指す強化学習と、に分けられうる。教師なし学習は、幾つか例を挙げると、マーケティング(例えば、顧客セグメンテーション)、生物学(例えば、DNAパターンのクラスタリング)、金融(例えば、異常検出又は不正検出)で使われてきた。
【0006】
機械学習の一分野が深層学習であり、通常ではニューラルネットワークが使用される。ニューラルネットワークは、受け取った入力について出力を予測するために一層以上の非線形ユニットを利用する機械学習モデルである。一部のニューラルネットワークは、出力層に加えて1つ以上の隠れ層を含む。各隠れ層の出力は、ネットワーク内の次の層への入力、即ち、次の隠れ層又は出力層への入力として使用される。ネットワークの各層は、それぞれのパラメータセットの現在の値に従って、受け取った入力から出力を生成する。
【発明の概要】
【0007】
研磨を評価する方法が、特定のキャリアヘッドに取り付けられた複数の保持リングのそれぞれの保持リングについて、三次元測定機を使用して、特定のキャリアヘッドに取り付けられたそれぞれの保持リングの底面の測定を行うことを含む。測定値は底面の特徴を表わしている。教師なし学習アルゴリズムが、複数の保持リングの測定値に基づいて、複数の保持リングのそれぞれをそれぞれのカテゴリに分類するために実行され、教師なし学習アルゴリズムによって生成された分類が格納され、分類が、研磨プロファイル測定値に対して評価され、プロファイルの差異をもたらすパラメータが決定される。
【0008】
他の態様において、研磨を最適化する方法が、特定のキャリアヘッドに取り付けられた複数の保持リングのそれぞれの保持リングについて、三次元測定機を使用して、特定のキャリアヘッドに取り付けられたそれぞれの保持リングの底面の測定を行うことと、それぞれの保持リングを使用して研磨された基板のそれぞれの除去プロファイルを収集することと、を含む。機械学習モデルが、保持リングの底面の測定値及びそれぞれの除去プロファイルに基づいて訓練される。
【0009】
特定の実施形態が、限定するものではないが、以下の想定される利点の1つ以上を含む。
【0010】
測定は、保持リングの底面にわたって、高分解能により、例えば保持リングの底面全体にわたるメッシュスキャンとして行われうる。これにより、保持リングの特性の解析を可能とするのに十分な形状情報が生成される。特定の保持リングの解析された特性は、保持リングを使用して研磨された基板の1つ以上の研磨プロファイルと関連付けることができ、研磨プロファイルの差異をもたらす保持リングに関する1つ以上のパラメータの決定が可能となる。
【0011】
さらに、メッシュスキャンによって収集された測定値に基づいて、研磨プロファイルを予測することが可能である。具体的には、1つ以上の保持リングが、教師なし機械学習アルゴリズムを使用して、複数のカテゴリのそれぞれのカテゴリに分類されうる。分類された各保持リングは、分類された保持リングを使用して研磨されたそれぞれの基板の1つ以上の研磨プロファイルと関連付けられうる。
【0012】
ニューラルネットワークモデルは、入力として、研磨プロファイルと関連付けられた分類された保持リングの形状情報を受信することによって訓練されうる。その後、ニューラルネットワークモデルを使用して、研磨プロファイルを予測することができ、即ち、保持リングの測定された底面プロファイルを入力として受け取る訓練されたニューラルネットワーク内で推論の演算を実行することによって、研磨プロファイルを予測することができる。
【0013】
生産までの時間を改善することが可能である。記載される技術を使用して、システムは、保持リングが、慣らしプロセス前又は慣らしプロセス後に、様々な研磨要件に従って基板を研磨するために使用可能であるかをより効率的に検出することが可能である。システムはまた、保持リングの慣らしが十分であるかを効率良く判定し、分類結果に基づいて、ユーザにさらなる慣らしプロセスのための情報又は案内を提供することが可能である。
【0014】
研磨プロセスの品質管理を改善し、スループットを向上させることが可能である。具体的には、欠陥のある保持リングを特定して交換することが可能である。研磨中の基板の1つ以上の領域内の研磨速度を、保持リングと関連付けられた予測された研磨プロファイルに基づいて調整することが可能であり、従って、研磨中のウエハ内の均一性が向上し、最終的により高いスループットが実現されうる。
【0015】
さらに、記載される技術は、低い計算コストで容易にスケールアップすることが可能である。システムは、後に測定された形状データ及び研磨プロファイルに基づいて、分類及びニューラルネットワークモデルを調整又は修正することがさらに可能であり、不必要な再計算を無くして計算コストを削減することが可能である。格納された分類データ及びニューラルネットワークモデルは、様々な位置にある1つ以上の研磨装置が同時に、再計算なしでアクセスして利用することが可能であり、これにより、複数の研磨装置からなるシステムを容易にスケールアップすることができる。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の明細書において記載する。他の特徴、課題、及び利点が、明細書の記載及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】保持リングを含む研磨装置の一例の概略的な断面図を示す。
【
図2A】例示的な保持リングの概略的な透視断面図を示す。
【
図2B】保持リングの拡大した概略的な断面図を示す。
【
図2C】例示的な保持リングの概略的な底面図を示す。
【
図3】三次元測定機を使用して測定される例示的な保持リングの概略的な上面図を示す。
【
図4】測定のための様々な種類のメッシュスキャンの概略的な上面図を示す。
【
図5】機械学習アルゴリズムを使用した保持リングのための例示的な分類プロセスを示すフロー図である。
【
図6】入力データに基づいて研磨プロファイルを予測するためにニューラルネットワークを訓練する例示的なプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
様々な図面における同様の参照番号及び記号表示は、同様の要素を示している。
【0019】
理想的には、研磨中の基板では基板表面にわたって研磨速度が実質的に均一であろう。しかしながら実際には、基板の様々な径方向の領域及び/又は様々な角度の領域で、研磨速度が異なっていることがある。さらに、研磨される基板には初期段階で、径方向及び/又は角度方向における不均一性がある可能性がある。
【0020】
研磨の不均一性の原因の1つは、保持リングの底面のプロファイルのばらつきである。つまり、2つの保持リングの底面プロファイルがわずかに異なるだけで、結果的に、エッジ領域内の研磨速度が異なることになりうる。保持リングの底面プロファイルと、基板の研磨プロファイルを相関させることで、研磨性能がより良く理解できる。さらに、研磨プロセスが、エッジ領域の研磨速度の均一性を向上させるために、例えば基板に印加される圧力を変更することで調整されうる。
【0021】
従来では、保持リングの底面プロファイルを確認する際に、測定点が保持リングの底面全体にわたって数箇所にしか設けられない。従って、先行技術では、保持リングの底面の特性を解析するのに十分な情報が得られない可能性がある。「リング慣らし(ring break-in)」といった技術が、集積回路の製造で使用される前の保持リングに対して適用されてきたが、精度要件がより厳しくなってきており、「リング慣らし」によって、機械のダウンタイム、従って製造コストも増大する。
【0022】
しかしながら、本明細書に記載の技術によって、スループットを向上させ、製造コストを削減し、研磨品質を向上させる(例えば、基板のエッジ近傍の不均一性を低減する)ことが可能である。
【0023】
保持リングの底面を、三次元測定機(CMM:coordinate measurement machine)を使用して高精度で測定して、さらなる解析のために高品質の底面プロファイルを生成することが可能である。複数の保持リングのそれぞれを、教師なし機械学習アルゴリズムを使用して、それぞれのカテゴリに分類することが可能であり、分類情報を使用して、研磨プロファイルの差異に関連するパラメータを得ることが可能である。
【0024】
各保持リングの分類、及びそれぞれの分類された保持リングを使用した基板の研磨プロファイルを、入力として受け取るニューラルネットワークモデルが訓練されうる。訓練後に、ニューラルネットワークは、保持リングを使用して研磨される基板の研磨プロファイル(例えば、エッジの研磨プロファイル)の予測を生成することが可能であり、即ち、保持リングの形状情報の入力を用いて、訓練されたニューラルネットワークを推定することによって、上記予測を生成することが可能である。
【0025】
従って、本技術を導入したシステムは、保持リングの測定された底面形状に基づいて保持リングに欠陥があるかどうかを検出し、得られたパラメータに基づいて、保持リングを使用する際の研磨プロセスを調整し、保持リングを用いて研磨される基板の研磨プロファイルを予測することが可能である。本システムは、研磨後のウエハ内均一性を改善し、研磨のスループットを向上させることが可能である。
【0026】
図1は、研磨装置100の一例を示している。研磨装置100は、回転可能な円盤状のプラテン120を含み、このプラテン120上に研磨パッド110が位置している。
【0027】
プラテン120は、軸125の周りで回転するよう動作可能である。例えば、モータ121が、駆動シャフト124を回してプラテン120を回転させることが可能である。研磨パッド110は、例えば接着層によって、プラテン120に取り外し可能に固定されうる。研磨パッド110は、外側研磨層112及びより軟性のバッキング層114を含む二層研磨パッドでありうる。
【0028】
研磨装置100は、研磨パッド110の上に研磨液132(研磨スラリなど)を供給するための分注ポート130を含みうる。
【0029】
研磨装置はまた、研磨パッド110を磨いて研磨パッド110を一貫した研磨状態に維持するための研磨パッドコンディショナも含みうる。
【0030】
研磨装置100は、研磨パッド110に当接して基板10を保持するよう動作可能なキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、基板10上の複数のゾーンのそれぞれについて、例えば圧力などの研磨パラメータを独立して制御するよう構成されうる。
【0031】
キャリアヘッド140は、例えばカルーセルのような支持構造150から吊るされ、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154に接続されており、これにより、キャリアヘッドは軸155の周りで回転することが可能である。任意選択的に、キャリアヘッド140は、例えばカルーセル150上のスライダを、横方向に振動することが可能であり、又は、カルーセル自身の回転振動によって振動することが可能である。稼働時に、プラテンは自身の中心軸125周りを回転する。各キャリアヘッドは、自身の中心軸155周りを回転し、研磨パッドの上面を横方向に移動する。
【0032】
キャリアヘッド140は、駆動シャフト152に接続可能なハウジング144と、可撓性の中央膜182の上方に延在する支持プレート184と、可撓性の中央膜182を取り囲む環状圧力制御アセンブリ195と、環状圧力制御アセンブリ195を取り囲み可撓性の中央膜182の下方で基板10を保持する保持リング142と、を含みうる。
【0033】
可撓性の中央膜182の下面が、基板10の取り付け面を提供する。可撓性の中央膜182は、支持プレート184に固定された1つ以上のフラップを含み、1つ以上の加圧可能なチャンバを形成することができる。上記のチャンバチャンバは、それぞれの圧力供給線183を介して1つ以上の圧力供給部181に接続されており、研磨の際には基板の内側領域(例えば、基板のエッジから少なくとも6mm離れた領域)に異なる圧力を印加し、これにより、本システムは、基板内のそれぞれの領域でのそれぞれの研磨速度を調整することが可能である。
【0034】
図2Aは、例示的な保持リング142の概略的な斜視断面図を示す。
【0035】
先に記載したように、保持リング142は通常、研磨装置100のキャリアヘッド140に固定可能な環状のリングである。
【0036】
図2Aに示すように、保持リング100の上部205が、円筒状の内面265と、円筒状の外面250と、内面と外面の両方に対してほぼ直交した上面215と、を有する。上面は、保持リング142とキャリアヘッド140とを一緒に固定するための機械的なファスナ(図示せず)、例えば、ボルト、ねじ、又は他のハードウェア(例えば、ねじ用シース又はインサート)を収容するための孔220を含む。加えて、1つ以上の位置合わせ開口225が、保持リング142とキャリアヘッド140とを適切に位置合わせするために、上部205の上面215に配置されうる。
【0037】
上部205は、金属、セラミック、又は硬質プラスチックといった、剛性材料又は張力係数が高い材料から形成されうる。上部を形成するのに適した金属には、ステンレス鋼、モリブデン、チタン、又はアルミニウムが含まれる。さらに、複合セラミックといった複合材料が使用されうる。
【0038】
保持リング142の第2の部分、即ち下部210は、CMPプロセスに対して化学的に不活性な材料から形成することができ、上部205の材料より軟質でありうる。下部210の材料は、基板のエッジが保持リング142に対して接触しても基板に傷又は亀裂を生じせない十分な圧縮性及び弾性を有するべきである。下部210はまた、当該下部210が磨滅することは許容されうるが、耐久性があり、高い耐摩耗性を有すべきである。例えば、下部130はプラスチックで作製することができ、例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、カーボン充填PEEK、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルイミド(PEI)、又は複合材料で作製することができる。
【0039】
下部はまた、円筒状の内面235と、円筒状の外面230と、底面255と、を有しうる。保持リング142の底面255は、最初は平面的であるが、慣らし運転の後又は使用後には、下部の底面255が、典型的に、非平面のプロファイルを有する。特定の実施形態において、底面255の径方向プロファイルは、湾曲した区分、円錐台状の区分、又は平坦な区分を含みうる。保持リング100の底面255の径方向プロファイルが、基準プロファイルと実質的に一致していて、ウエハ間の均一性を可能とすることが有利であろうが、このことは、製造中若しくは慣らし運転中のばらつき、又は研磨中の異なる摩耗パターンに因り、可能ではない場合もある。
【0040】
図2Bは、一目瞭然であるように底面255の歪みが非常に誇張された保持リング142の概略断面図を示す。実際には、各保持リングは、基準プロファイルとはわずかに異なる底面プロファイルを有する可能性があり、このことで、研磨中の基板のエッジ領域にわたる望まれぬ不均一性、又はウエハ間のばらつきが引き起こされる可能性がある。
【0041】
図2Cは、例示的な保持リング142の概略的な底面図を示す。保持リングの底面プロファイルの特性は、先に記載したように、底面255の高さ分布(又は同等に、下部210の厚さ分布)、及び底面255の平坦度(即ち、底面255の高さ又は厚さのばらつき)、及び保持リングの真円度を含む。
【0042】
図2Cに示すように、保持リングは内径260及び外径280を有する。リングが完全に丸い場合には、保持リングの幅は、内径と外径との差分を取ることで決定されうる。しかしながら実際には、保持リング142は、内側と外側の両方の境界の異なる角度位置で異なる曲率を有する可能性があり、その結果真円度は不完全となる。例えば、位置290A、290B、290C、及び290Dでの外側境界の曲率が互いに異なりうる。他の例として、位置291A及び291Bでの内側境界の曲率が実質的に同じでありうる。
【0043】
図3は、三次元測定機300を使用して測定される例示的な保持リング142の概略的な上面図を示す。保持リング142は、底面を上向きにして配置されている。
【0044】
保持リングの底面の測定を行うために、保持リングがキャリアヘッドに取り付けられ、三次元測定機(CMM:coordinate measurement machine)300が、保持リングの底面の測定を行う。本システムは、保持リングの底部の測定を行うことが可能である。
【0045】
CMM300は、保持リングの底面上の複数の点のそれぞれの垂直方向位置を測定するよう構成されたセンサ310を含みうる。センサ310は、例えばレーザセンサ、接触プローブといった任意の適切なセンサでありうる。幾つかの実施形態において、センサ310が、保持リングの底面上の各測定点で、高さ又は厚さの座標(Z方向の座標)の測定を行うことが可能である。
【0046】
CMM300は、センサ310を取り付けることが可能なアクチュエータ350及び355を含むことができ、センサ310は、保持リングの底面の高さ情報を取得するために周りを移動することが可能である。例えば、センサ310がアクチュエータ355に取り付けられている。2つのアクチュエータのそれぞれが、相関しない方向(例えば、平行ではない方向)に移動することができ、これにより、センサ310は、X-Y平面全体をカバーするよう動かされうる。例えば、アクチュエータ355は、X方向にレール360に沿って移動することができ、アクチュエータ350は、X方向に直交するY方向に、他のレール370に沿って移動することができる。
【0047】
CMM300は、コントローラ390も含むことができ、コントローラ390は、アクチュエータ350、355をそれぞれ制御するための制御線380a、380bと、センサの動作を制御し、測定領域の得られた高さ情報(Z座標)を受信するためのデータ又は制御線380cと、を含む。
【0048】
図4A及び
図4Bは、異なる種類のメッシュグリッドの概略図である。測定が、例えば
図4Aに示すような放射状のメッシュ410において、又は例えば
図4Bに示すような矩形のメッシュ420において分散されうる。各メッシュは、それぞれの測定密度に基づく任意の適切な大きさでありうる。CMM300は、ミリメートルからセンチメートル単位で領域の測定を行うことが可能である。例えば、
図4Aの各放射状メッシュは、約1mmの大きさのエッジ、端面エッジを持しうる。CMM300は、保持リングの底面にわたって1,000~10,000個の測定値を生成することが可能である。例えば、
図4Bのメッシュの総数は約3000である。
【0049】
図5は、例えば機械学習アルゴリズムを使用した、保持リングの例示的な分類プロセス500を示すフロー図である。
【0050】
CMM300が、それぞれの保持リングの底面の測定を行う。各測定値は、測定の位置での垂直方向の高さ又は厚さを表す(502)。先に記載したように、測定を行う前に、各保持リングが、対応するキャリアヘッドに取り付けられる。幾つかの実施形態では、システムが、以前に慣らし運転された1つ以上の保持リングの測定を行う。
【0051】
コントローラ390は、測定値を受信することができ、かつ測定値を、測定された位置での底面の特性、例えば、それぞれの保持リングについて底面の全体的な平坦度、リングのテーパ状のすり減り(ring taper)、真円度、及び平均的な内径又は外径に変換することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、コントローラ390は、回転軸に対する保持リングの底面の対称性のレベルを表すデータを生成することで、真円度を決定することが可能である。例えば、対称性のレベルが、保持リングの境界での曲率分布を表すデータを含みうる。従って、システムは、測定された曲率データに基づいて非対称的な曲率分布を決定することで、保持リングの真円度を測定し決定することが可能である。
【0053】
保持リングの平坦度、真円度、リングのテーパ状のすり減りを解析するために、システムは最初に、デカルト座標のフレームでの測定値に基づいて保持リングの空間マッピングを一般化する。その後、システムは、適切な数値技術を利用して空間マッピングを処理し、様々な保持リングの様々な測定にわたって一貫性のあるマッピングを生成する。より具体的には、各測定データが、それぞれの基準平面及びそれぞれの基準中心点を含み、各測定データが、それぞれの基準平面及び基準中心点に対する各測定点の高さ情報を表す。システムは、各測定データを正規化するために様々な技術を使用することが可能である。例えば、システムは、空間マッピングのために測定データを正規化するために、「最良適合平面(best fit plane)」又は「最小包含円(smallest enclosed circle)」といった数値技術を使用して、測定データごとの共有中心を生成することが可能である。他の例として、システムは、1つ以上のデータフィルタを使用して、外れたデータを選別して各測定の完全性を向上させることが可能である。
【0054】
上記のデータ処理の後で、システムは、解析のために、保持リングの底面プロファイルの1つ以上の特性を表す処理されたデータを格納する。
【0055】
その後、システムは、複数の保持リングの測定値に基づいて複数の保持リングのそれぞれをそれぞれのカテゴリに分類するために、教師なし学習アルゴリズムを実行する(504)。複数の保持リングのそれぞれを分類するために、システムは最初に、ステップ502で格納されたデータから、1つ以上の特性を生成する。1つ以上の特性は、底面プロファイルを表す測定データの1つ以上の特徴を表す任意の適切なタイプでありうる。例えば、底面を表す測定データの特性は、平均化された全体的な厚さ、角度方向、径方向、又はその両方における厚さの変化(即ち、平坦度)、内側の境界、外側の境界、又はその両方の真円度、又は対称性のレベルとすることができる。特徴タイプのそれぞれが、解析のためのそれぞれの特徴マップを有する。
【0056】
システムは、分類のために任意の適切な教師なし学習アルゴリズムを使用することが可能である。好適な実施形態のうちの1つでは、システムは、K平均法を利用する。具体的には、測定された保持リングのための幾つかのカテゴリ(例えば、K平均のためのスカラ値K)を仮定し、特定の特徴マップにおいてカテゴリごとにクラスタ中心を仮定し、最も近いカテゴリに各保持リングを割り当てる(即ち、保持リングが、特定の特徴マップにおいて当該保持リングの特性タイプに最も近いクラスタ中心を含むカテゴリに割り当てられる)ことが可能である。システムは、各保持リングをそれぞれのカテゴリに割り当てるための大域誤差(例えば、ユークリッド距離の二乗)を一般化し、上記割り当てを調整することで大域誤差を最小化することが可能である。システムはまた、各割り当ての調整の後で、それぞれのカテゴリに割り当てられた保持リングのそれぞれの特性に基づいて、カテゴリのそれぞれのクラスタ中心を更新することが可能である。
【0057】
システムは、カテゴリの数を決定することができる。決定するために、システムは最初に、K平均アルゴリズムのための複数のカテゴリ候補数を選択し、当該複数のカテゴリ候補数(即ち、様々なK)のうちの1つに保持リングを割り当てるためのそれぞれの候補誤差(即ち、それぞれの最小化された大域誤差)を得ることが可能である。例えば、システムは、2個のカテゴリ(即ち、K=2)、3個のカテゴリ(即ち、K=3)、及び10個のカテゴリ(即ち、K=10)に対して分類を実行し、それぞれの最小化された大域誤差を得ることが可能である。システムは、保持リングを分類するためのK平均アルゴリズムのカテゴリ数として、最小候補誤差に基づいて複数のカテゴリ候補数のうちの1つを選択することが可能である。例えば、システムは、最小候補誤差を有するカテゴリの数となるようKを設定することが可能である。他の例として、システムは、計算時間のコストが最小で2番目に小さな候補誤差を有するカテゴリの数となるようKを設定することが可能である。
【0058】
システムは、教師なし学習アルゴリズムによって生成された分類を格納する(506)。例えば、システムは、決定されたカテゴリ数K、それぞれの特徴マップにおける各カテゴリのクラスタ中心、及び各保持リングの分類タグを格納する。幾つかの実施形態では、システムは、最多の保持リングが割り当てられたカテゴリを、基準カテゴリとして格納することが可能である。
【0059】
その後、分類が、研磨プロファイル測定値に対して評価され、プロファイルの差異をもたらすパラメータが決定されうる(508)。例えば、ユーザは、システムに、様々なリングの特性に対する様々な性能指標値をグラフ化させることができる。例えば、エッジの均一性を、内側エッジの丸さの形状の関数としてグラフ化して、内側エッジの形状が研磨プロファイルに影響するかどうか、かつどのように影響するかを判定することが可能である。
【0060】
システムは、1つ以上の事前設定されたカテゴリには分類されない保持リングを調整するために使用可能である。例えば、システムは、幾つかのカテゴリが研磨時に許容可能な結果をもたらすことを示すデータを格納することが可能である。その後、サンプルリングがCMMシステムによって測定され、分類アルゴリズムが施される。サンプルリングが、示されたカテゴリに入らない場合には、是正アクションを取ることが可能である。例えば、保持リングを、或る期間の間さらに「慣らし運転」に供することができ、この「慣らし運転」された底面の測定を行うことが可能である。保持リングが許容範囲に分類されるまで、上記のプロセスが繰り返されうる。
【0061】
システムは、分類された保持リングを使用して、基板の研磨後のプロファイルを予測することが可能である。予測するために、システムは特定のカテゴリ内の保持リングを使用して、複数の研磨プロファイルを収集し、当該カテゴリに分類された保持リングを使用して研磨される基板の予測される研磨後のプロファイルとして、平均的な研磨プロファイルを生成することが可能である。
【0062】
図6は、入力データに基づいて研磨プロファイルを予測するためのニューラルネットワークを訓練する例示的なプロセス600を示すフロー図である。プロセス600は、1つ以上の箇所に位置する1つ以上のコンピュータによって実行されうる。代替的に、プロセス600は、命令として1つ以上のコンピュータに格納することが可能である。実行されると、命令は、研磨装置の1つ以上の構成要素、CMMの1つ以上の構成要素、又は1つ以上のコンピュータに、本プロセスを実行させることが可能である。例えば、本プロセスの少なくとも幾つかのステップが、
図1に示すようなコントローラ190によって実行される。
【0063】
同様に、
図5のステップ502について記載したように、それぞれの保持リングの底面の測定が、三次元測定機を使用して行われる。測定値は底面の特性を表わす(602)。底面の特性は、表面の高さ又は表面の厚さでありうる。より具体的には、システムは、保持リングごとに特有のマッピングマッピングを生成し、測定データをメモリに格納することが可能である。幾つかの実施形態では、システムが、以前に「慣らし運転」された1つ以上の保持リングに対して測定を行う。
【0064】
システムは、その後、それぞれの保持リングを使用して研磨された基板のそれぞれの除去プロファイルを収集し(604)、保持リングの底面の測定値、及びそれぞれの除去プロファイルに基づいて機械学習モデルを訓練する(606)。
【0065】
機械学習モデルは、訓練例を使用して訓練することが可能な畳み込みニューラルネットワークモデルを含む。訓練例は、各保持リングの入力底面プロファイルといった訓練入力と、各保持リングを使用して研磨された基板の研磨プロファイルと、各研磨プロファイルの訓練ラベルと、を含む。
【0066】
幾つかの実施形態では、システムは、各研磨プロファイルにラベルを付けることが可能である。例えば、システムは、基準プロファイルと比べてエッジ除去速度がそれぞれ速い複数の研磨プロファイルに対して、第1のラベル(例えば、「エッジ高速」)を割り当て、エッジ除去速度がそれぞれ遅い複数の研磨プロファイルに対して、「エッジ低速」というラベルを割り当てることができる。
【0067】
システムは、訓練例に基づいて大域的な誤分類誤差を最小化することで、ニューラルネットワークモデルを訓練することが可能である。訓練中に、システムは、逆伝播によってニューラルネットワークの各層の重みを更新し、大域誤差を最小化する。
【0068】
ニューラルネットワークを訓練した後で、システムは、訓練されたニューラルネットワークを使用して基板の除去プロファイルを予測することが可能である。より具体的には、システムは、保持リングの底面プロファイルを測定するか、又は保持リングの測定された底面プロファイルを表す保存されたデータを訓練済みのニューラルネットワークに提供して、訓練された重みを有する訓練済みニューラルネットワークを使用して推論の演算を実行し、保持リングを使用した研磨プロファイルの予測を生成することが可能である。代替的又は追加的に、システムは、訓練済みのニューラルネットワークを使用して、予測された研磨プロファイルのラベルを予測することが可能である。
【0069】
システムは、入ってくる測定値を用いてニューラルネットワークを訓練し続けることができ、これにより、ニューラルネットワークの重みが、より新しい測定データに基づいて更新されうる。システムは、1つ以上の位置にある1つ以上のコンピュータのメモリに、更新された重みを有する訓練済みのニューラルネットワークを格納することが可能である。訓練済みのニューラルネットワークに、1つ以上のコンピュータ又は計算ユニットがアクセスして、推論の演算を高速化することが可能である。
【0070】
本明細書では、基板という用語は、例えば、製品基板(例えば、複数のメモリ又はプロセッサダイを含む)、テスト基板、ベア基板、及びゲーティング基板を含みうる。基板は、集積回路製造の様々な段階のものであってよく、例えば、基板はベアウエハであってよく、又は、基板は1つ以上の堆積された及び/又はパターンされた層を含みうる。基板という用語は、円板及び矩形薄板を含みうる。
【0071】
先に記載の研磨装置及び研磨方法は、様々な研磨システムにおいて適用されうる。研磨パッドとキャリアヘッドのいずれか又は両方が、研磨面と基板との間の相対運動を与えるよう動きうる。例えば、プラテンは、回転するのではなく、周回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形の(又は他の何らかの形状の)パッドでありうる。終点検出システムの幾つかの態様は、例えば研磨パッドが、リニアに移動する連続ベルト又はオープンリールベルトであるリニアな研磨システムに適用可能でありうる。研磨層は、標準的な(例えば、フィラーを含む又は含まないポリウレタンの)研磨材料、軟質材料、又は固定研磨材料(fixed-abrasive material)でありうる。相対的な配置に関する用語が使用されているが、研磨面及び基板は、垂直方向の配向で、又は他の何らかの配向で保持されうると理解されたい。
【0072】
本明細書で記載された様々なシステム及びプロセス、又はこれらの一部の制御は、コンピュータプログラム製品であって、1つ以上の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に格納され1つ以上の処理デバイス上で実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品で実現することが可能である。本明細書に記載のシステム、又はこれらの一部は、本明細書に記載の工程を実行するための1つ以上の処理デバイス及び実行可能な命令を格納するメモリを含みうる装置、方法、又は電子システムとして実現されうる。
【0073】
本明細書に記載された分類、及び機械学習モデルの訓練は、本明細書で開示された構造、及びその構造的均等物、又はこれらの1つ以上の組み合わせを含め、デジタル電気回路において、有形で具現化されたコンピュータのソフトウェア又はファームウェア、コンピュータのハードウェアにおいて実現することが可能である。本明細書に記載される主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラムとして、即ち、データ処理装置によって実行するための又はデータ処理装置の動作を制御するための、有形の非一過性記憶媒体上に記録されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実現することが可能である。コンピュータ記憶媒体は、機械可読ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、ランダムアクセスメモリデバイス若しくはシリアルアクセスメモリデバイス、又はこれらの1つ以上の組み合わせでありうる。代替的又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、機械生成された電気信号、光信号、又は電磁信号上に符号化することができ、当該信号は、データ処理装置による実行のために適切な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される。
【0074】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリ(app)、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとも称される)は、コンパイラ型言語、又はインタープリタ型言語、又は宣言型言語、又は手続き型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくは計算環境での使用に適した他のユニットとしてなど、任意の形態で展開することができる。プログラムは、ファイルシステムのファイルに対応しうるが、対応している必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部に格納することができ、例えば、1つ以上のスクリプトが、マークアップ言語のドキュメントに、当該のプログラム専用の単一ファイルに、又は複数の協調ファイルに、例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイルに格納することができる。コンピュータプログラムは、1つのサイトに位置する1つのコンピュータ上で、又は複数のサイトにわたって分散しておりデータ通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開させることができる。
【0075】
本明細書に記載のプロセス及び論理フローは、入力データで作動し出力を生成することで機能を実行するための1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルコンピュータによって実行可能である。プロセス及び論理フローはまた、特殊用途向け論理回路、例えばFPGA若しくはASICによって、又は、特殊用途向け論理回路と1つ以上のプログラムされたコンピュータとの組み合わせによっても実行することが可能である。
【0076】
コンピュータプログラムの実行のために適したコンピュータは、汎用の若しくは特殊用途向けのマイクロプロセッサ、又はこの両方、又は任意の他の種類の中央処理ユニットに基づくものであってよい。一般に、中央処理ユニットは、読み取り専用メモリ、又はランダムアクセスメモリ、又はこの両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実施又は実行するための中央処理ユニットと、命令及びデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスと、である。中央処理ユニット及びメモリは、特定用途向けの論理回路によって補完し又は当該論理回路に組み込むことが可能である。一般に、コンピュータはまた、データの受信、若しくはデータの送信、若しくは送受信の両方を行うために、データを格納するための1つ以上の大容量ストレージデバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含むことができ、又はこれらに動作可能に接続されうる。しかしながら、コンピュータはこのようなデバイスを有する必要はない。
【0077】
コンピュータプログラム命令及びデータを格納するために適したコンピュータ可読媒体は、あらゆる形態による不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスを含み、例えば、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスク真又は着脱可能なディスク)、光磁気ディスク、並びにCD ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む。
【0078】
機械学習モデルを実現するためのデータ処理装置がまた、例えば、機械学習の訓練又は生産の一般的でかつ計算集約的な部分、すなわち推論、作業負荷を処理するための特定用途向けハードウェアアクセラレータユニットを含みうる。
【0079】
機械学習モデルは、機械学習のフレームワークを使用して、例えば、TensorFlowフレームワーク、Microsoft Cognitive Toolkitフレームワーク、Apache Singaフレームワーク、Apache MXNetフレームワークなどを使用して、実装及び展開することが可能である。
【0080】
本明細書に記載される主題の実施形態は、計算システムであって、例えばデータサーバとしてバックエンド構成要素を含み、又は、例えばアプリケーションサーバとしてミドルウェア構成要素を含み、又は、フロントエンド構成要素、例えば、ユーザが本明細書に記載の主題の実施形態と相互作用することが可能なグラフィカルユーザインタフェース、ウェブブラウザ、若しくはアプリを有するクライアントコンピュータを含み、又は、1つ以上のそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、若しくはフロントエンド構成要素の任意の組合せを含む計算システムで実現することが可能である。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体によって、例えば通信ネットワークによって相互接続することが可能である。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)、及びワイドエリアネットワーク(WAN)、例えばインタネットが含まれる。
【0081】
計算システムは、クライアント及びサーバを含みうる。クライアントとサーバは通常互いに離れており、典型的に通信ネットワークを通じて相互作用する。クライアントとサーバの関係は、コンピュータプログラムがそれぞれのコンピュータ上で実行され互いにクライアントとサーバの関係を有することで発生する。幾つかの実施形態では、例えば、クライアントとして機能するデバイスと相互作用しているユーザにデータを表示し、ユーザからユーザ入力を受信するために、サーバが、例えばHTMLページをユーザデバイスに送信する。ユーザデバイスで生成されたデータ、例えばユーザとの相互作用の結果は、当該デバイスからサーバにおいて受信することが可能である。
【0082】
本明細書は、数多くの特定の実現の詳細を含んでいるが、これらは、いかなる本発明の範囲、又は特許請求されうるものの範囲においても限定するものとして解釈すべきでなく、特定の発明の特定の実施形態に特有でありうる特徴の説明として解釈すべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書で記載された特定の特徴を、組み合わせて1つの実施形態で実現することも可能である。反対に、1つの実施形態の文脈で記載された様々な特徴を、別々に又は任意の適切なサブコンビネーション(subcombination)で、複数の実施形態において実現することも可能である。さらに、特徴は、特定の組み合わせにおいて作用するものとして上記で説明されてもよく、そのようなものとして特許請求されてもよいが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、その組み合わせから除外されてよく、特許請求される組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形例を対象としてよい。
【0083】
本発明の特定の実施形態を説明してきた。
【0084】
他の実施形態が、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】