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特表2024-508932基板歳差運動を伴う基板研磨のための処理パラメータの制御
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  • 特表-基板歳差運動を伴う基板研磨のための処理パラメータの制御 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-28
(54)【発明の名称】基板歳差運動を伴う基板研磨のための処理パラメータの制御
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/005 20120101AFI20240220BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240220BHJP
   B24B 37/30 20120101ALI20240220BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20240220BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240220BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B24B37/005 Z
B24B37/005 A
B24B37/10
B24B37/30 E
B24B37/013
B24B49/12
H01L21/304 622D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553941
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022018014
(87)【国際公開番号】W WO2022187105
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,606
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ギャレットソン, チャールズ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン, ホワンボ
(72)【発明者】
【氏名】シュー, ジーザー
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ブライアン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】オスターヘルド, トーマス エイチ.
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA02
3C034CA22
3C034CB04
3C034CB14
3C034DD01
3C034DD07
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA01
3C158BA02
3C158BA05
3C158BA07
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB08
3C158BB09
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA13
3C158EB01
5F057AA19
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057EB30
5F057FA46
5F057GA13
5F057GB02
5F057GB13
(57)【要約】
研磨プロセスのための方策を生成することは、基板の中心周りで角度方向に離隔されている場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、キャリアヘッドに対する基板配向を時間の経過につれて提供する第1の関数を記憶することと、キャリアヘッドの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、ゾーンのうちの1つのゾーンの下での研磨レートを規定する第2の関数を記憶することと、複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、時間の経過につれて特定ゾーンの圧力を規定する方策を計算することと、を含む。方策を計算することは、研磨レートを規定する第2の関数と、時間の経過につれてゾーンに対する基板配向を提供する第1の関数とから、研磨後の予想厚さプロファイルを計算することと、予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を減少させる最小化アルゴリズムを適用することと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非一時的コンピュータ可読媒体上で符号化された、研磨システムを制御するための方策を生成するためのコンピュータプログラム製品であって、1つ又は複数のコンピュータに、
基板の中心周りで角度方向に離隔された複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、
時間の経過につれてキャリアヘッドに対する基板配向を提供する第1の関数を記憶することと、
前記キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、前記加圧可能ゾーンの下での研磨レートを規定する第2の関数を記憶することであって、前記複数の加圧可能ゾーンは、回転軸周りで角度方向に離隔されている、第2の関数を記憶することと、
前記複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、時間の経過につれて前記特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算することであって、前記方策を計算するための前記命令は、前記研磨レートを規定する前記第2の関数及び時間の経過につれて前記ゾーンに対する基板配向を提供する前記第1の関数から研磨後の予想厚さプロファイルを計算するための命令、並びに前記予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を減少させる最小化アルゴリズムを適用するための命令を含む、方策を計算することと、
を行わせるための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項2】
前記第1の関数は、前記ヘッドの物理ゾーンを前記基板上の場所にマッピングする、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項3】
前記第1の関数は、前記キャリアヘッドに対する前記基板の一定の歳差運動レートを仮定する、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項4】
前記第1の関数は、初期角度オフセット及び前記歳差運動レートに基づいて角度オフセットを計算することを含む、請求項3に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項5】
前記第1の関数は、キャリアヘッド回転レートに基づいて前記歳差運動レートを計算することを含む、請求項4に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項6】
前記方策を計算することは、前記第1の関数及び前記第2の関数を組み込むコスト関数を最小化することを含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項7】
前記コスト関数は、x[t]=B[t]*u[t]とされ、x[t]は時間の関数として前記基板上の圧力を表すベクトルであり、u[t]は研磨パラメータを時間の関数として表すベクトルであり、B[t]は前記第1の関数と整合した時間の経過につれて変化するセレクター行列である、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
B[t]は、時間(t)の関数として前記キャリアヘッド上のゾーンに対する前記基板上の領域の角度方向位置を計算する、請求項7に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記コスト関数は、x[t+1]=A*x[t]+B[t]*u[t]の発展制約を受ける、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
Aは、時間の経過につれて前記キャリアヘッドに対する基板配向の回転に基づいて座標位置を変換する行列である、請求項9に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
B[t]は、時間(t)の関数として、前記キャリアヘッド上のゾーンに対する前記基板上の領域の角度方向位置を計算する、請求項7に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記コスト関数は、制約x[t]=C[t]*y[t]を受け、ここでy[t]は原位置モニタシステムからの時間にわたる測定値を表す、請求項6に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
C[t]は、前記キャリアヘッド上のゾーンから前記基板上の場所までの個々の測定値のマッピングを提供する行列を表す、請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
研磨システムを制御するための方策を生成する方法であって、
基板の中心周りで角度方向に離隔された複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、
時間の経過につれてキャリアヘッドに対する基板配向を提供する第1の関数を記憶することと、
前記キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、前記加圧可能ゾーンの下での研磨レートを規定する第2の関数を記憶することであって、前記複数の加圧可能ゾーンは、回転軸周りで角度方向に離隔されている、第2の関数を記憶することと、
前記複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、時間の経過につれて前記特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算することであって、前記方策を計算することは、前記研磨レートを規定する前記第2の関数、及び時間の経過につれて前記ゾーンに対する基板配向を提供する前記第1の関数から、研磨後の予想厚さプロファイルを計算すること、並びに前記予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を減少させる最小化アルゴリズムを適用することを含む、方策を計算することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記方策に従って前記基板を研磨することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
研磨パッドを支持するプラテンと、
前記研磨パッドに当接して基板を保持するキャリアヘッドであって、前記キャリアヘッドの回転軸周りで角度方向に離隔された複数の加圧可能チャンバを含む、キャリアヘッドと、
基板の中心周りで角度方向に離隔された複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ること、
時間の経過につれて前記キャリアヘッドに対する基板配向を提供する第1の関数を記憶すること、
前記キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、前記加圧可能ゾーンの下での研磨レートを規定する第2の関数を記憶することであって、前記複数の加圧可能ゾーンは、前記回転軸周りで角度方向に離隔されている、第2の関数を記憶すること、
前記複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、前記研磨レートを規定する前記第2の関数と時間の経過につれて前記ゾーンに対する基板配向を提供する前記第1の関数とから、研磨後の予想厚さプロファイルを計算すること、及び前記予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を減少させる最小化アルゴリズムを適用することによって、時間の経過につれて前記特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算すること、並びに
前記複数の加圧可能チャンバのそれぞれのチャンバに前記方策に従って前記圧力を加えさせること、
を行うように構成されたコントローラと、
を含む、研磨システム。
【請求項17】
非一時的コンピュータ可読媒体上で符号化された、研磨システムを制御するための方策を生成するためのコンピュータプログラム製品であって、1つ又は複数のコンピュータに、
基板の中心周りで角度方向に分布している、前記基板上の複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、
キャリアヘッドの中心周りで角度方向に分布している、前記キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからのゾーンについて研磨レートを規定する第1の関数を記憶することであって、前記第1の関数は、前記キャリアヘッドの前記複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、前記ゾーンについての前記研磨レートを規定する、第1の関数を記憶することと、
前記複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、時間の経過につれて前記特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算することであって、前記方策を計算するための前記命令は、前記第1の関数を使用して研磨後の予想厚さプロファイルを計算するための命令、及び前記予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を表す第1項を組み込むコスト関数を最小化するための命令を含む、方策を計算することと、
を行わせるための命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項18】
一定の頻度で前記複数のゾーンのそれぞれのゾーンについての研磨レートを決定するための命令を含む、請求項17に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記第1項は、
によって少なくとも部分的に表され得、ここで、B[t]はセレクター行列であり、u[t]は時間の関数として研磨パラメータを表すベクトルであり、Rはターゲット厚さ除去プロファイルであり、Δtは加算における時間ステップである、請求項18に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記選択器行列B[t]は、時間の経過につれて前記キャリアヘッドに対する前記基板の配向を表す、請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
研磨システムを制御するための方策を生成するための方法であって、
基板の中心周りで角度方向に分布している、前記基板上の複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、
キャリアヘッドの中心周りで角度方向に分布している、前記キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからのゾーンについての研磨レートを規定する第1の関数を記憶することであって、前記第1の関数は、前記キャリアヘッドの前記複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として前記ゾーンについての前記研磨レートを規定する、第1の関数を記憶することと、
前記複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、前記第1の関数を使用して研磨後の予想厚さプロファイルを計算すること、及び前記予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を表す第1項を組み込むコスト関数を最小化することによって、時間の経過につれて前記特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算することと、
を含む、方法。
【請求項22】
研磨パッドを支持するプラテンと、
前記研磨パッドに当接して基板を保持するキャリアヘッドであって、前記キャリアヘッドの回転軸周りで角度方向に離隔された複数の加圧可能チャンバを含む、キャリアヘッドと、
基板の中心周りで角度方向に分布している、前記基板上の複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ること、
前記キャリアヘッドの中心周りで角度方向に分布している、前記キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンのそれぞれのゾーンについての研磨レートを規定する第1の関数を記憶することであって、前記第1の関数は、前記キャリアヘッドの前記複数の加圧可能チャンバからの1つ又は複数のチャンバの1つ又は複数の圧力の関数として前記ゾーンについての前記研磨レートを規定する、第1の関数を記憶すること、並びに
前記複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、前記第1の関数を使用して研磨後の予想厚さプロファイルを計算すること、及び前記予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を表す第1項を組み込むコスト関数を最小化することによって、時間の経過につれて前記特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算すること、
を行うように構成されたコントローラと、
を含む、研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、化学機械研磨についての処理パラメータの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、典型的には、シリコンウエハ上に導電性、半導電性又は絶縁性の層を順次堆積させることによって、基板上に形成される。1つの製造工程が、非平面の表面にわたって充填層を堆積させることと、充填層を、例えば、パターニングされた層の頂面が露出されるか、又は所定の厚さが非平面の表面にわたって残るまで平坦化させることと、を含む。加えて、フォトリソグラフィには、通常、基板表面の平坦化が必要である。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの受け入れられている方法である。この平坦化方法は、典型的には、基板がキャリアヘッド上に取り付けられることを必要とする。基板の露出された表面は、典型的には、耐久性のある粗面化された表面を有する回転研磨パッドに当接して配置される。キャリアヘッドは、基板上に制御可能な荷重を提供して、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨粒子を有するスラリのような研磨液が、典型的には、研磨パッドの表面に供給される。
【0004】
CMPにおける1つの課題は、望ましいプロファイル、例えば、所望の平坦度若しくは厚さまで平坦化された基板層、又は除去された材料の所望の量を達成する適切な研磨レートを選択することである。加えて、基板層の初期厚さや、スラリ組成物、研磨パッド状態、研磨パッドと基板との間の相対速度、及び基板にかかる荷重の変化が、基板にわたる及び基板から基板までの材料除去レートに変化を生じさせ得る。これらの変化は、研磨終点に到達するのに必要な時間、及び除去される量に変化を生じさせる。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、研磨プロセスのための方策を生成することは、基板の中心周りで角度方向に離隔された複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、ゾーンに対する基板配向を時間の経過につれて提供する第1の関数を記憶することと、基板の中心周りで角度方向に離隔された、キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、ゾーンのうちの1つのゾーンの下での研磨レートを規定する第2の関数を記憶することと、複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、時間の経過につれて特定ゾーンについての圧力を規定する方策を計算することと、を含む。方策を計算することが、研磨レートを規定する第2の関数、及び時間の経過につれてゾーンに対する基板配向を提供する第1の関数から、研磨後の予想厚さプロファイルを計算することと、予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を減少させる最小化アルゴリズムを適用することと、を含む。
【0006】
別の一態様では、研磨システムを制御するための方策を生成することは、基板の中心周りで角度方向に分布している、基板上の複数の場所について除去するべきターゲット厚さを含むターゲット除去プロファイルを受け取ることと、キャリアヘッドの中心周りで角度方向に分布している、キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからのゾーンの研磨レートを規定する第1の関数を記憶することと、を含む。第1の関数は、キャリアヘッドの複数の加圧可能ゾーンからの1つ又は複数のゾーンの1つ又は複数の圧力の関数として、ゾーンについての研磨レートを規定する。複数のゾーンのそれぞれの特定ゾーンについて、時間の経過につれて特定ゾーンについて圧力を規定する方策は、第1の関数を使用して研磨後の予想厚さプロファイルを計算すること、及び予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を表す第1項を組み込むコスト関数を最小化すること、によって計算される。
【0007】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含んでもよい。コスト関数は、研磨パラメータによって提供される予想厚さプロファイルとターゲット厚さ除去プロファイルとの差に基づく因子を含んでもよい。コスト関数の最小化は、
の最小化によって少なくとも部分的に表し得、ここで、Rはターゲット厚さ除去プロファイルであり、u[t]は時間の関数として研磨パラメータを表すベクトルであり、B[t]は第1の関数と整合した時間の経過につれて変化するセレクター行列であり、Δtは加算における時間ステップである。第2の関数は、プレストンの式に基づく行列であってもよい。第2項は、特定ゾーンによって加えられる連続した圧力同士の間の圧力差の合計であってもよい。方策についての圧力は、一定の周波数下で決定されてもよい。
【0008】
実施形態は、以下の潜在的利点のうちの1つ又は複数を含み得る。
【0009】
これらの基板の中心周りで角度方向に変化する研磨レートが、より確実に制御されることにより、研磨された基板における角度方向非対称性の低減を可能にし得る。
【0010】
キャリアヘッドに対する基板回転について理解することは、所望(又はターゲット)の厚さプロファイルを達成するのを助ける、動作パラメータ、例えば、チャンバ圧力についての制御を可能にする。
【0011】
研磨器についての動作パラメータ、例えば、チャンバ圧力、プラテン回転レート等は、予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を単に最小化すること以外の1つ又は複数の目的を含む複数の目的について同時に「最適化され」得る。最適化(又は「最小化」)は、処理電力又は時間等の、アルゴリズムにおける計算上の制約を受けることを理解されたい。
【0012】
研磨レートに影響を及ぼし、キャリアヘッドに対する基板配向の発展を組み込む動作パラメータ、例えば、圧力を有する記憶された関数を使用することによって、研磨処理の固有の非対称性、又は入って来る基板の厚さの非対称性のいずれかのための非対称性補正を可能にする方策が生成され得る。
【0013】
1つ又は複数の実施形態の詳細が、添付図面及び以下の説明に記載されている。別の特徴、目的、及び利点が、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】研磨装置の一例についての概略断面図である。
図2】複数の場所に分割された基板に対する運ばれるヘッドの移動についての概略上面図である。
図3】時間の経過につれて変化する研磨パラメータ、例えば、圧力を含む研磨方策を生成する方法についての流れ図である。
図4A】キャリアヘッドの異なるゾーンについての異なる圧力プロファイルを示す分布図の例を示す図である。
図4B】予想圧力プロファイルとターゲット圧力プロファイルとの間の関係を示す分布図の一例を示す図である。
図5A】研磨パッドの上面図を示し、その場(in-situ)測定が基板上で行われる領域を示す。
図5B】基板の複数の場所に対してその場(in-situ)測定が行われる複数の場所の分布についての概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
様々な図面中の同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0016】
従来のCMPシステムは、キャリアヘッドの回転軸に関して対称的に材料を除去するように設計されている。これは、キャリアヘッドと回転するプラテンの両方によって、ウエハをわたる除去レートが理想的には角度対称になるからである。しかしながら、入って来るウエハが、角度非対称な堆積を伴う膜を有する可能性があり、研磨プロセス自体が、角度非対称な除去をもたらす可能性がある。この角度非対称性を補償するための1つの提案は、キャリアヘッドの中心軸周りで角度方向に離隔された複数の制御可能なゾーンを提供することである。これらの複数のゾーンは、異なる圧力を加えることにより、角度非対称性を相殺し得ることがある。
【0017】
複雑化の要因は、研磨が進行するにつれて、基板がキャリアヘッドに対して回転し得ることである。この相対回転は、ときには「歳差運動」と呼ばれる。CMPシステムが歳差運動を考慮しない場合、角度を付けて配設されたゾーンによって加えられる異なる圧力は、非対称性を補正しないことがあり、実際には非対称性を悪化させることがある。
【0018】
そのため、キャリアヘッドに対する基板配向について理解し、基板配向に基づいてキャリアヘッドのゾーンの下での研磨レートを設定することは、基板の対称でない研磨を修正するのを助け得る。非対称性を補正する技術は、ターゲット厚さプロファイルに到達するように、キャリアヘッドに対する基板配向に基づいて圧力差を時間の経過につれて選択することである。
【0019】
キャリアヘッドに対する基板配向の経時的な変化を考慮する研磨制御モデルが、より確実に予測研磨プロファイルを生成し得、したがって、研磨パラメータを選択又は制御するために使用されて、基板をより確実にターゲットプロファイルまで研磨させ得る。特に、研磨パラメータを研磨レートプロファイルに関連付けるプレストン行列が時間の経過につれて変化し得る。
【0020】
研磨制御モデルのアルゴリズムは、研磨パラメータから得られるであろう予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を最小化する研磨パラメータ、例えば、圧力の値を時間の経過につれて見つける。予想厚さプロファイルの計算は、キャリアヘッドに対する基板配向を時間の経過につれて提供する関数を含む。
【0021】
非対称性補正技術は、入って来る基板を所望の開始角度配向に向けるための命令を含む方策の生成を含み得る。所望の開始角度配向は、予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を最小化するように選択され得る。
【0022】
図1を参照すると、研磨装置20の例が示されている。研磨装置20は、研磨パッド30が上にある回転可能な円板形状プラテン22を含み得る。プラテンは、軸23の周りに回転するように動作可能である。例えば、モータ24は、プラテン22を回転させるようにドライブシャフト26を回転させ得る。研磨パッド30は、例えば、接着剤の層によってプラテン22に取り外し可能に固定され得る。研磨パッド30は、外側研磨層32及びより柔らかいバッキング層34を有する2層研磨パッドであり得る。
【0023】
研磨装置20は、研磨パッド30上に研磨剤スラリ等の研磨液42を分注するための研磨液供給口40を含み得る。研磨装置20はまた、研磨パッド30を研磨して研磨パッド30を一定の研磨状態に維持するための研磨パッドコンディショニングディスクを含み得る。
【0024】
キャリアヘッド50が、研磨パッド30に当接して基板10を保持するように動作可能である。キャリアヘッド50は、研磨中に基板10を保持する保持リング56を含み得る。
【0025】
キャリアヘッド50は、複数の、独立して制御可能な加圧ゾーン53a~53d、例えば、チャンバ52a~52dによって提供されるようなものを含み得、これは、基板10(図2参照)の関連する部分に独立して制御可能な圧力を加え得る。2つのチャンバ52a、52cと、関連するゾーン53a、53cのみが、断面図によって図1に示されている。しかしながら、別の数のゾーン、例えば、5つ以上のゾーンが存在し得、ゾーンは、別のパターンで配列され得、例えば、キャリアヘッドの底部は、半径方向及び角度方向にゾーンに分割され得る。図2は、一様な大きさで、回転軸周りで角度方向に等しい離隔されたゾーン53a~53dを示している。しかし、これは必須なことではない。
【0026】
引き続き図2を参照すると、基板は、複数の領域10a~10dに角度方向に分割されている。図示及び理解を容易にするために、ゾーン53a~53dは、キャリアヘッドの底部の異なる部分を網羅する四分円として示されているが、領域10a~10dは、基板の異なる部分を網羅する同様の大きさの四分円である。同様に、別の数の領域、例えば、5つ以上の領域が存在し得、その領域は、別のパターンで配列され得、例えば、基板の表面は、半径方向及び角度方向に領域が分割され得る。
【0027】
図1に戻ると、チャンバ52a~52d及びそれから生じるゾーン52a~53dは、基板10が取り付けられる底面を有する可撓性膜54によって画定され得る。しかしながら、基板に加えられる圧力を調整する別の機構、例えば、圧電アクチュエータが、キャリアヘッド50内で使用され得る。
【0028】
それぞれのキャリアヘッド50は、支持構造体60、例えば、カルーセル又はトラックから吊り下げられ、ドライブシャフト62によってキャリアヘッド回転モータ64に接続されることにより、キャリアヘッドが軸51の周りで回転し得る。任意選択で、それぞれのキャリアヘッド50は、軌道に沿った運動によって又はカルーセル自体の回転振動によって、横方向に、例えば、カルーセル上のスライダ上で振動し得る。動作中に、プラテン22は、その中心軸23の周りに回転させられ、キャリアヘッド50は、その中心軸51の周りに回転させられて、研磨パッド30の頂面にわたって横方向に並進させられる。
【0029】
研磨装置はまた、後述するように、原位置モニタシステム70を含み得、これは、研磨レートを調整するかどうか又は研磨レートについての調整を決定するために使用され得る。現場(in-situ)モニタシステム70は、光学モニタシステム、例えば、分光器モニタシステム、又は渦電流モニタシステムを含み得る。
【0030】
一実施形態では、モニタシステム70は、光学モニタシステムである。研磨パッドを通る光アクセスが、開孔(すなわち、パッドを貫通する孔)又は中実窓71を含むことによって提供される。中実窓71は、研磨パッド30に、例えば、研磨パッド内の開孔を塞ぐ、例えば、研磨パッドに成形され又は研磨パッドに接着剤で固定されるプラグとして固定され得るが、いくつかの実施形態では、中実窓は、プラテン22上に支持されて研磨パッド内の開孔中に突出し得る。
【0031】
光学モニタシステム70は、光源68、光検出器72、及び遠隔コントローラ90、例えばコンピュータと、光源68及び光検出器72との間で信号を送受信するための回路66を含み得る。1つ又は複数の光ファイバが使用されて、光を光源68から研磨パッド内の光アクセスまで伝送し、基板10から反射された光を検出器72まで伝送し得る。例えば、分岐型光ファイバ74が使用されて、光源68からの光を基板10まで、及び検出器72まで戻して伝達し得る。分岐型光ファイバ74は、光アクセスに近接して配置された幹線76と、光源68及び検出器72にそれぞれ接続された2つの支線78及び80と、を含み得る。
【0032】
いくつかの実装形態では、プラテンの頂面は、分岐ファイバの幹線の1つの端部を保持する光学ヘッドをその中に嵌合する凹部を含み得る。光学ヘッドは、幹線の最上部と中実窓との間の垂直距離を調整するための機構を含み得る。
【0033】
回路66の出力は、ドライブシャフト26内の回転カプラ、例えば、スリップリングを通って光学モニタシステムのためのコントローラ90まで通過するデジタル電子信号であり得る。同様に、光源は、コントローラ90から回転カプラを通って光学モニタシステム70まで通過するデジタル電子信号内の制御コマンドに応じて点灯又は消灯され得る。代替として、回路66は、無線信号によってコントローラ90と通信し得る。
【0034】
光源68は、白色光を放出するように動作可能であり得る。一実装形態では、放出された白色光は、200~800ナノメートルの波長を有する光を含む。好適な光源は、キセノンランプ又はキセノン水銀ランプである。
【0035】
光検出器72は、分光器であり得る。分光器は、電磁スペクトルの一部分にわたって光の強度を測定するための光学機器である。好適な分光器は、格子分光器である。分光器の典型的な出力は、波長(又は周波数)の関数としての光の強度である。
【0036】
上記のように、光源68及び光検出器72は、コンピューティングデバイス、例えば、コントローラ90に接続され得、それらの動作を制御し、それらの信号を受信するように動作可能である。コンピューティングデバイスは、研磨装置、例えば、プログラム可能なコンピュータの近くに位置するマイクロプロセッサを含み得る。制御に関して、コンピューティングデバイスは、例えば、光源の活性化をプラテン22の回転と同期させ得る。
【0037】
いくつかの実装形態では、現場(in-situ)モニタシステム70の光源68及び検出器72は、プラテン22内に設置されてこれと共に回転する。この場合、プラテンの動作は、センサにそれぞれの基板にわたって走査させる。特に、プラテン22が回転すると、コントローラ90は、それぞれの基板10が光アクセスの上を通過する直前に開始し、その直後に終了する一連のフラッシュを光源68に放出させ得る。代替として、コンピューティングデバイスは、それぞれの基板10が光アクセスの上を通過する直前に開始し、その直後に終了する光を光源68に連続的に放出させ得る。いずれの場合においても、検出器からの信号が使用されて、十分に高い周波数で、例えば、2~20秒毎に制御入力を修正して、研磨プロセスにわたって複数の調整を可能にし得る。
【0038】
動作中に、コントローラ90は、例えば、光源の特定のフラッシュ又は検出器の時間枠の間に光検出器によって受け取られた光のスペクトルを記述する情報を伝達する信号を受け取り得る。したがって、このスペクトルは、研磨中に原位置で測定されたスペクトルである。
【0039】
いくつかの実装形態では、コントローラは、現場(in-situ)モニタシステムによるそれぞれの測定値について、キャリアヘッドの下の角度方向(及び任意選択で半径方向)位置を計算する。このことが、それぞれの測定が基板の領域10a~10dのうちの1つに関連付けられることを可能にする。
【0040】
コントローラ90は、中央処理装置(CPU)、メモリ、及びサポート回路、例えば、入出力回路、電源、クロック回路、キャッシュ等を含み得る。メモリは、CPUに接続されている。メモリは、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であり、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク、又は別の形式のデジタルストレージ等の1つ又は複数の容易に利用可能なメモリであり得る。加えて、単一のコンピュータとして図示されているが、コントローラ90は、例えば、複数の、独立して動作するプロセッサ及びメモリを含む、分散システムであり得る。
【0041】
コントローラ90は、それぞれのゾーンについて時間にわたる研磨パラメータ値、例えば、圧力値を含む方策を記憶する。例えば、動作中に、コントローラ90は、チャンバ52a~52dに連結された圧力源を作動させて、チャンバ52a~52dが方策によって示されるように時間の経過につれて圧力を加える。歳差運動がない場合、異なるチャンバ内の圧力が、研磨動作の過程にわたって容易に一定に保たれてもよく、圧力が、静的プレストン行列に基づいて選択されて、所望の研磨プロファイルを達成し得る。その結果、研磨方策は、時間の経過につれて一定であるチャンバ圧力を含み得る。しかしながら、この技術は、基板が歳差運動を受ける場合には十分ではない。
【0042】
上述したように、研磨中に、基板がキャリアヘッド内で歳差運動を受けることにより、基板配向(キャリアヘッドに対する)が時間の経過につれて変化する。その結果、圧力の特定ゾーンが作用する基板の部分は、時間の経過につれて変化する。例えば、図2に示すように、ゾーン52aが最初に圧力を基板上の領域10aに加えると、十分な歳差運動(矢印で示す)の後に、ゾーン52aは最終的に領域10b等に圧力を加え得る。CMPシステムが基板配向のこれらの変化を考慮しない場合、角度方向に配設されたゾーンによって加えられる異なる圧力は、基板の既存の角度非対称性を補正しない可能性がある。そのため、材料除去はまた、非対称であり、望ましくない場合がある。研磨プロセスをより良好に制御し、ターゲットウエハプロファイルを達成するために、基板の変化する配向を考慮するモデルが説明される。
【0043】
歳差運動を考慮する研磨方策を生成する技術は、関数を最適化する圧力値を時間の経過につれて見つけることを含み、この関数は、ターゲット除去プロファイル、キャリアヘッドに対する基板配向、及びキャリアヘッドの下の複数のゾーンについての1つ又は複数の研磨パラメータ、例えば、圧力の関数として予想された研磨レートを含む。
【0044】
図3を参照すると、例示的なプロセス300が、図4A~4Bに示す例示的なデータと関連して示されている。最初に、コンピュータ、例えば、コントローラが、ターゲット角度除去プロファイル(例えば、基板の中心周りで角度方向に離隔された複数の場所について除去するべき目標ターゲット厚さ)を受け取る(302)。
【0045】
コンピュータは、キャリアヘッドに対する基板配向を時間の経過につれて提供する関数を記憶し(304)、1つ又は複数の研磨パラメータ、例えば、圧力の関数として、キャリアヘッドのそれぞれのゾーンについての予想研磨レートを規定する別の関数を記憶する(306)。ターゲット角度除去プロファイルに基づいて、コンピュータは、時間の経過につれてそれぞれの特定ゾーンについて規定された圧力による除去についての方策を計算する(308)。方策は、アルゴリズムを使用して計算され、アルゴリズムは、研磨レートを規定する関数と、キャリアヘッドに対する基板配向を時間の経過につれて提供する関数とに基づいて、研磨から生じる予想厚さプロファイルを計算する。特に、アルゴリズムは、調整されるべき変数として時間にわたる圧力値を用いて最小化手順を実行することにより、予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を最小化する。
【0046】
方策は、コスト関数を最初に規定することによって生成される。コスト関数は、チャンバ(したがってゾーン)に加えられる圧力と、基板の領域に加えられる圧力との間の時間に基づく関係を使用する。例えば、x(t)が、基板上での様々な場所(領域)において加えられた圧力を表すベクトルであり、u(t)が、キャリアヘッドのそれぞれのゾーンによって出力された圧力を表すベクトルである場合、ベクトルu及びxは、
x[t]=B[t]*u[t]
によって関連付けられ、ここで、B[t]は、時間(t)の関数としてキャリアヘッドに対する基板の角度方向位置を考慮する選択器行列を表す。
【0047】
より具体的には、チャンバに加えられた圧力と、基板の領域に加えられた圧力との間の関係式が、
ρ(θ,r,t)=B(θ,r,t)u(θ,r,t,P)
によって与えられ得、ここでB(θ,r,t)は、任意の所与の時点に圧力が加えられる基板上の(すなわち、基板の基準フレーム内の)場所に圧力が加えられている(キャリアヘッドの基準フレーム内の)位置に関連して示すセレクター行列である。ρ(θ,r,t)は、角度方向位置θ、半径方向位置r及び時間tによって与えられる場所位置で基板によって見られる圧力である。
【0048】
いくつかの実施形態では、コスト関数は、予想厚さプロファイルとターゲット厚さプロファイルとの差を含む。すなわち、コスト関数は、
として表され得、ここでTは全研磨時間であり、R(θ,r)は所望の除去プロファイルである。
【0049】
上記のコスト関数の最小化は、
を最小化するという問題に変換され得、ここで、Δtは、加算におけるステップ同士の間の時間差であり、u(t)は、最小化プロセス中に調整されるべきプロセスパラメータ、例えば、時間tの関数としての圧力である。ダブルバー表記の内側の表現は、ベクトルのそれぞれの要素が基板上の場所であり、要素の値が基板を研磨する過程にわたるその場所での所望の除去と実際の除去との差である、ベクトルである。ダブルバー表記は、ベクトルの2ノルムをとること、したがって、基板の全てにわたる(二乗)除去誤差を有効に合計することを示す。
【0050】
記載された最適化問題を解決することによって、時間の関数としての研磨パラメータ、例えば、時間の関数としての圧力が生成され得、それにより方策を提供する。
【0051】
上記のアプローチに伴う潜在的な問題は、圧力が最小圧力と最大圧力との間で急速に振動する「バン-バン」圧力制御をもたらし得るということである。
【0052】
いくつかの実装形態では、最適化問題は、圧力を急速に変化させることを考慮する因子をコスト関数内に含むことによって更に調整される。例えば、急速に圧力を変化させることは、連続した時間に加えられる圧力同士の差に依存する項をコスト関数に加えることによって表され得る。予想厚さプロファイルと所望厚さとの差の影響に関連しているこの項についての重みは、ラムダ項(λ)によって提供され得る。
【0053】
特に、いくつかの実施形態では、コスト関数は、
の最小化によって表され得る。
【0054】
ラムダ(λ)の値は、経験的に決定され得る。例えば、ラムダ(λ)は、約0.01から0.1であり得る。
【0055】
再び、u(t)は、最小化プロセス中に調整されるべきプロセスパラメータ、例えば、時間tの関数としての圧力である。そして、最適化問題を解くことは、時間の関数として研磨パラメータ、例えば、時間の関数としての圧力を生成し、それにより方策を提供する。
【0056】
図4Aは、基板10上の異なる場所10a~10dにわたる圧力変化の結果を示す分布図の例を示す。その結果は、上記のモデルを使用して生成されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、研磨パラメータは、現場測定に応じて、処理中にリアルタイムで計算され得る。単純な解決策として、基板の現在プロファイルは、現場モニタシステムからの測定値に基づいて測定され得る。現在厚さプロファイルと所望プロファイルとの差は、修正厚さ除去プロファイルRを提供する。コスト関数は、次に最新の測定厚さプロファイルが与えられる一定の間隔で最小化され得、それにより研磨プロセスにおいて進行する実行されるべき新たな研磨方策を提供する。
【0058】
しかしながら、現場測定に基づいてリアルタイムで角度非対称性を補正することによって所望の厚さプロファイルを達成するための別の技術は、状態発展の制約を考慮するコスト関数を使用することである。例えば、状態発展は、
x[t+l]=A*x[t]+B[t]*u[t]
x[t]=C[t]*y[t]
として表現され得、ここで、u(t)は時間の関数としての研磨パラメータ、例えば、圧力であり、x(t)は、時間の関数としての状態パラメータ、例えば、厚さであり、y[t]は、センサ測定値である。行列Aは、圧力の変化が存在しない場合に、除去中の基板配向の変化を考慮し、B[t]は、基板配向を時間と関連付ける関数に基づいて時間の経過につれて変化するプレストン行列であり、C[t]は、キャリアヘッド上のゾーンから基板上の場所までの個々の測定値のマッピングを提供する。
【0059】
コントローラは、線形二次レギュレータ(LQR)手法を使用して総コスト関数を最小化し得る。コントローラの積極性は、A、B[t]及びC[t]によって規定される。
【0060】
図5Aに示すように、検出器がプラテン内に設置されている場合、プラテンの回転(矢印504によって示す)に起因して、窓71が1つのキャリアヘッド(例えば、基板10を保持するキャリアヘッド)の下を移動するとき、サンプリング周波数で圧力測定を行う原位置モニタシステムは、基板10を横切る円弧内の場所501で圧力測定値が採取されるようにする。例えば、点501a~501kのそれぞれは、基板10のモニタシステムによる圧力測定の場所(点の数は例示であり、サンプリング周波数に応じて、図示よりもより多いか又はより少ない測定値が採取され得る)を表している。示すように、プラテンの1回転にわたって、圧力が基板10上の異なる半径から取得される。すなわち、いくつかの圧力は、基板10の中心により近い場所から取得され、いくつかはエッジにより近い場所からである。したがって、計時、モータエンコーダ情報、並びに基板及び/又は保持リングのエッジの光学検出に基づく基板10にわたる現場モニタシステムの任意の所与の走査について、コントローラ90は、走査からのそれぞれの測定圧力について半径方向位置(基板10の中心に対する)を計算し得る。研磨システムはまた、回転位置センサ、例えば、固定光学遮断器を通過することになるプラテンのエッジに取り付けられたフランジを含むことにより、測定圧力の基板上の位置を決定するための追加データを提供し得る。コントローラ90はしたがって、様々な測定圧力を基板10上の場所10a~10d(図2を参照)と関連付け得る。いくつかの実装形態では、圧力測定の時間は、半径方向位置の正確な計算の代替として使用され得る。
【0061】
例として、図5Bを参照すると、プラテンの1回転において、異なる領域503a~503oに対応する圧力が光検出器72によって収集される。領域503a~503oの半径方向位置に基づいて、領域503a~503b及び503m~503oにおいて収集された5つの圧力がそれぞれ、外側の場所10c及び10dと関連付けられ、領域503k~503lにおいて収集された5つのスペクトルは、場所10bと関連付けられ、領域503f~503gにおいて収集された5つのスペクトルは、位置10aと関連付けられる。この例は、それぞれの場所が同じ数の圧力測定値と関連付けられることを示しているが、場所は、現場測定値に基づいて、異なる数の圧力と関連付けられてもよい。それぞれの場所と関連付けられた圧力の数は、プラテンの1つの回転から別の回転まで変化してもよい。もちろん、上述した領域の数は、単なる例示であり、それぞれの場所と関連付けられた圧力の実際の数は、少なくともサンプリングレート、プラテンの回転レート、及びそれぞれの場所の半径方向幅に依存する。
【0062】
任意の特定の理論に限定されることなく、基板10から反射された測定値は、最外層の厚さの変化に基づく研磨が進行する(例えば、プラテンの複数の回転にわたるが、基板を横切る単一の掃引中ではない)と変化し、それにより一連の時間的に変化する測定値をもたらす。
【0063】
それぞれの測定圧力について、コントローラ90は、特徴値を計算し得る。これらの特徴値は、次いでy[t]を提供する。特徴値は、典型的には外層の厚さであるが、除去された厚さ等の関連する特徴であり得る。加えて、特徴値は、厚さ以外の物理的特性、例えば導電性であり得る。加えて、特徴値は、研磨プロセスを経る基板の進行のより一般的な表現、例えば、所定の進行に続く研磨工程において観測されることが予想される圧力におけるプラテン回転の時間又は数を表す指標値であり得る。
【0064】
本明細書で使用されるように、基板という用語は、例えば、製品基板(例えば、複数のメモリ又はプロセッサダイを含む)、試験基板、ベア基板、及びゲーティング基板を含み得る。基板は、集積回路製造の様々な段階にあってもよく、例えば、基板は、ベアウエハであってもよく、或いは、1つ又は複数の堆積された及び/又はパターニングされた層を含んでもよい。基板という用語は、円形ディスク及び矩形シートを含み得る。
【0065】
上記の研磨装置及び方法は、様々な研磨システムに適用され得る。研磨パッド若しくはキャリアヘッドのいずれか、又はその両方は、研磨面と基板との間の相対移動を提供するように移動し得る。例えば、プラテンは、回転するのではなく、軌道を周回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は何らかの別の形状)パッドであり得る。終点検出システムのいくつかの態様が、例えば、研磨パッドが、直線的に移動する連続した又はオープンリール型ベルトであるところの線形研磨システムに適用可能であってもよい。研磨層は、標準的な(例えば、充填剤の有無にかかわらないポリウレタンの)研磨材料、軟質材料、又は固定式摩耗材料であってもよい。相対的位置決めという用語が使用され、研磨面及び基板が垂直方向配向又は何らかの別の配向に保持され得ることを理解されたい。
【0066】
上記の説明は、化学機械研磨システムの制御に重点がおかれてきたが、イン―シーケンス計測ステーションは、別のタイプの基板処理システム、例えば、エッチング又は堆積システムに適用可能であり得る。
【0067】
本明細書中に記載された主題及び機能動作のフィルタリングプロセス等の実施形態は、デジタル電子回路内に、有形に具現化されたコンピュータソフトウェア若しくはファームウェア内に、本明細書に開示された構造及びそれらの構造的等価物を含むコンピュータハードウェア内に、又はそれらのうちの1つ若しくは複数の組合せ内に実装され得る。本明細書に記載された主題の実施形態は、1つ又は複数のコンピュータプログラムとして、すなわちデータ処理装置による実行のための又はデータ処理装置の動作を制御するための、有形の非一時的記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールとして実装され得る。その代替又は追加として、プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号、例えば、コンピュータで生成された電気的、光学的又は電磁的な信号に符号化され得、伝搬信号は、データ処理装置による実行に適切な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶装置、コンピュータ可読記憶基板、ランダム若しくはシリアルアクセスメモリデバイス、又はそれらのうちの1つ若しくは複数の組合せであってもよい。
【0068】
「データ処理装置」という用語は、データ処理ハードウェアを指し、例として、プログラム可能なデジタルプロセッサ、デジタルコンピュータ、又は複数のデジタルプロセッサ若しくはコンピュータを含む、データを処理するための全ての種類の装置、デバイス、及び機械を包含する。装置はまた、特殊用途ロジック回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)であってもよく、又はそれらを更に含んでもよい。装置は、ハードウェアに加えて、コンピュータプログラムの実行環境を生成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらのうちの1つ若しくは複数の組合せを構成するコードを任意選択で含み得る。
【0069】
コンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、若しくはコードとも呼ばれ、又はそのようなものとして記述され得るが、コンパイルされた若しくは解釈された言語、又は宣言型若しくは手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述され得、またコンピュータプログラムは、スタンドアローンプログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境内での使用に適した別のユニットとして含む任意の形式で配備され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応してもよいが、そうである必要はない。プログラムは、別のプログラム又はデータに保持されたファイルの一部分に保持され得、例えば、1つ又は複数のスクリプトは、マークアップ言語文書に、問題のプログラム専用の単一のファイルに、又は複数の調整ファイル、例えば、1つ若しくは複数のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの部分を記憶するファイルに記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータにおいて、或いは1つのサイトに位置しているか、又は複数のサイトにわたって分散している及びデータ通信ネットワークによって相互接続されている複数のコンピュータにおいて実行されるように配備され得る。
【0070】
本明細書に記載されたプロセス及び論理フローは、1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラム可能なコンピュータによって実行されることにより、入力データ上で動作して出力を生成することによって機能を実行し得る。プロセス及び論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実行され得、装置はまた、専用論理回路として実装され得る。1つ又は複数のコンピュータのシステムについて、特定の動作又は作用を実行するように「構成される」ということは、システムがそれに、動作中にシステムに動作又は作用を実行させるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの組合せをインストールしていることを意味する。1つ又は複数のコンピュータプログラムについて、特定の動作又は作用を実行するように構成されるということは、1つ又は複数のプログラムが、データ処理装置によって実行されると、装置に動作又は作用を実行させるための命令を含んでいることを意味する。
【0071】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、例として、汎用若しくは専用のマイクロプロセッサ又はその両方、或いは任意の別の種類の中央処理装置に基づいてもよい。一般に、中央処理装置は、読出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの主要な要素は、命令を実施又は実行するための中央処理装置、並びに命令及びデータを記憶するための1つ又は複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ又は複数の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクを含むか、或いは大容量記憶装置からデータを受け取る若しくは大容量記憶装置にデータを伝送する、又はその両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのような装置を有していなくてもよい。更に、コンピュータは、別のデバイス、ほんの数例を挙げると、例えば、携帯電話、パーソナル携帯情報機器(PDA)、モバイルオーディオ若しくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、グローバル位置決定システム(GPS)受信機、又は携帯用記憶装置、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ内に組み込まれ得る。
【0072】
コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスを含む、全ての形式の不揮発性メモリ、媒体及びメモリデバイスと、内部ハードディスク又はリムーバブルディスクなどの磁気ディスクと、光磁気ディスクと、CD ROM及びDVD-ROMディスクと、を含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途論理回路によって補足されるか又は特殊用途論理回路の中に組み込まれ得る。
【0073】
本明細書に記載された様々なシステム及びプロセスの制御、又はそれらの部分は、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され、1つ又は複数の処理装置において実行可能である命令を含むコンピュータプログラム製品内に実装され得る。本明細書に記載されたシステム又はそれらの部分は、装置、方法、又は本明細書に記載された動作を実行するために実行可能な命令を記憶する1つ又は複数の処理装置及びメモリを含んでもよい電子システムとして実装され得る。
【0074】
本明細書は多くの具体的な実施詳細を含んでいるが、これらは、任意発明の範囲又は特許請求され得るものについての限定としてではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴についての説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書に記載された特定の特徴もまた、単一の実施形態内で組み合わせて実装され得る。逆に、単一の実施形態の文脈において説明された様々な特徴はまた、複数の実施形態において、別個に又は任意の適切な部分的組合せで実装され得る。更に、特徴が特定の組合せで作用するように上記で説明され、更にそのようなものとして最初に特許請求されている可能性があるが、特許請求された組合せからの1つ又は複数の特徴は、いくつかの場合には、組合せから削除され得、特許請求された組合せは、部分的組合せ又は部分的組合せの変形形態を対象としてもよい。
【0075】
同様に、動作が特定の順序で図面に示されているが、このことは、そのような動作が、示された特定の順序又は連続した順序で実行されること、又は望ましい結果を達成するために全ての図示された動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、多重タスク処理及び並列処理が有利であり得る。更に、上述した実施形態における様々なシステムモジュール及び構成要素の分離は、全ての実施形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記述されたプログラム構成要素及びシステムは、概して単一のソフトウェア製品内で一緒に統合されるか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0076】
本主題の特定の実施形態が説明されてきた。別の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に記載された作用は、異なる順序で実行されて、それでも望ましい結果を達成し得る。一例として、添付図面に示されたプロセスは、望ましい結果を達成するために、必ずしも示された特定の順序、又は連続した順序を必要としない。場合によっては、多重タスク処理及び並列処理が有利である場合がある。
【0077】
別の実施形態が、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【国際調査報告】