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特表2024-509159CMPにおける温度制御された除去速度
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】CMPにおける温度制御された除去速度
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/015 20120101AFI20240221BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240221BHJP
   B24B 37/013 20120101ALI20240221BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20240221BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20240221BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240221BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240221BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B37/00 H
B24B37/013
B24B49/14
B24B37/005 A
B24B49/12
H01L21/304 621D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553434
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022017261
(87)【国際公開番号】W WO2022187023
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/155,924
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミハイリチェンコ, エカテリーナ エー.
(72)【発明者】
【氏名】リー, クリストファー フンギュン
(72)【発明者】
【氏名】イアー, アーナンド エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】トラン, フェン
(72)【発明者】
【氏名】ヒガシ, パトリック エー.
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA02
3C034CA19
3C034CA22
3C034CB03
3C034CB14
3C034DD01
3C034DD07
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA01
3C158BA02
3C158BA05
3C158BA07
3C158BA08
3C158BB02
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB03
3C158CB05
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EA13
3C158EB01
3C158EB22
3C158ED10
3C158ED11
5F057AA14
5F057AA20
5F057BA15
5F057CA12
5F057DA03
5F057FA46
5F057GA13
5F057GB03
5F057GB13
(57)【要約】
基板から材料を除去するための方法は、研磨材スラリを研磨パッド上に分注することと、研磨剤上の相対電荷の指標を記憶することと、基板の表面をスラリが存在する研磨パッドに接触させることと、基板と研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、基板に対する除去速度を測定することと、測定された除去速度をターゲット除去速度と比較し、かつ比較に基づいて除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、研磨剤の相対電荷の指標、および除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかに基づいて、研磨パッドと基板との間のインターフェースの温度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、除去速度を修正するためにインターフェースの温度を判断されるように制御することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負に帯電した酸化セリアを含有する研磨スラリを研磨パッド上に分注することと、
基板の表面を前記スラリが存在する前記研磨パッドに接触させることと、
前記基板の前記表面を研磨するために前記基板と前記研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、
前記基板に対する除去速度を測定することと、
測定された前記除去速度がターゲット除去速度を下回るかを判断することと、
前記測定された除去速度が前記ターゲット除去速度を下回ると判断することに応えて、前記研磨パッドと前記基板との間のインターフェースの温度を低下させることと、を含む、研磨方法。
【請求項2】
前記温度を低下させることは、冷却流体を前記研磨パッド上に分注することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却流体は、摂氏20度以下に冷やされたDI水である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
負に帯電した酸化セリアを含有する研磨スラリを研磨パッド上に分注することと、
基板の表面を前記スラリが存在する前記研磨パッドに接触させることと、
前記基板の前記表面を研磨するために前記基板と前記研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、
前記基板に対する除去速度を測定することと、
前記測定された除去速度がターゲット除去速度を上回るかを判断することと、
前記測定された除去速度が前記ターゲット除去速度を上回ると判断することに応えて、前記研磨パッドと前記基板との間のインターフェースの温度を増大させることと、を含む、研磨方法。
【請求項5】
前記温度を増大させることは、加熱流体を前記研磨パッド上に分注することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱流体を分注することは、蒸気をスプレーすることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板から材料を除去するための方法であって、
研磨パッドの表面上にスラリを分注することであって、前記スラリはキャリア液および研磨剤を含む、スラリを分注することと、
前記研磨剤上の相対電荷の指標を記憶することと、
基板の表面を前記スラリが存在する前記研磨パッドに接触させることと、
前記基板の前記表面を研磨するために前記基板と前記研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、
前記基板に対する除去速度を測定することと、
前記測定された除去速度をターゲット除去速度と比較し、前記比較に基づいて前記除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、
前記研磨剤の前記相対電荷の前記指標、および前記除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかに基づいて、前記研磨パッドと前記基板との間のインターフェースの温度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、
前記除去速度を修正するために前記インターフェースの温度を判断されるように制御することと、を含む、方法。
【請求項8】
1つまたは複数のコンピュータに、
研磨剤を有するスラリを使用して、研磨システムに研磨パッド上の基板を研磨させることと、
前記研磨剤上の相対電荷の指標を記憶することと、
インシトゥモニタシステムから受信した信号に基づいて前記基板に対する除去速度を計算することと、
測定された前記除去速度をターゲット除去速度と比較することと、
前記比較に基づいて前記除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、
前記研磨剤上の前記相対電荷の前記指標、および前記除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかに基づいて、前記研磨パッドと前記基板との間のインターフェースの温度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、
前記除去速度を修正するために温度制御システムに前記インターフェースの温度を判断されるように調節させることと、
を行わせるための命令を非一時的なコンピュータ可読媒体上に含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記インターフェースの前記温度を制御するための前記命令は、前記指標が正に帯電していることである場合は前記温度を増大させることによって前記研磨速度を上げるための命令、および、前記指標が負に帯電していることである場合は前記温度を低下させることによって前記研磨速度を上げるための命令を含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記インターフェースの前記温度を制御するための前記命令は、前記指標が正に帯電していることである場合は前記温度を低下させることによって前記研磨速度を下げるための命令、および、前記指標が負に帯電していることである場合は前記温度を増大させることによって前記研磨速度を下げるための命令を含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
研磨スラリを研磨パッド上に分注することによって基板上の層を研磨し、前記基板上の前記層の表面を前記スラリが存在する前記研磨パッドに接触させ、および前記基板と前記研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、
前記層の最初の研磨部分に対して、前記研磨の温度を第1の温度範囲内になるように制御することと、
終点時間前である温度遷移時間を得ることと、
前記温度遷移時間に達したと判断すると、前記研磨の前記温度を、前記第1の温度範囲より低い、より低い第2の温度範囲内になるように下げることと、
同じ層の後続の研磨部分に対して、推定される前記終点時間まで、前記研磨の温度を前記第2の温度範囲内になるように制御することと、を含む、研磨方法。
【請求項12】
前記研磨スラリは、シリカ研磨剤粒子または正に帯電したセリア粒子を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記温度遷移時間を得ることは所定の遷移時間を記憶することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
インシトゥモニタシステムによって研磨中の前記基板をモニタし、前記インシトゥモニタシステムからの信号に基づいて予想される前記終点時間を判断することを含み、前記温度遷移時間を得ることは、予想される終点時間に基づいて前記温度遷移時間を計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記温度遷移時間を計算することは、所定の期間を前記予想される終点から減算すること、または総研磨時間のある割合を前記予想される終点時間から減算することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
研磨スラリを研磨パッド上に分注することによって基板上の層を研磨し、前基板上の層の表面を前記スラリが存在する前記研磨パッドに接触させ、および、前記基板と前記研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、
前記層の最初の研磨部分に対して、前記研磨の温度を第1の温度範囲内になるように制御することと、
温度遷移時間が終点時間前であるかを判断することと、
前記温度遷移時間に達したと判断すると、前記研磨の前記温度を前記第1の温度範囲内になるように維持し続けるために冷却剤流量を増大させている間、前記基板上の圧力を増大させることと、
同じ層の後続の研磨部分に対して、増大させた前記圧力を維持し、かつ推定される前記終点時間まで前記研磨の温度を前記第1の温度範囲内になるように制御することと、を含む、研磨方法。
【請求項17】
前記研磨スラリは、シリカ研磨剤粒子または正に帯電したセリア粒子を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記温度遷移時間を得ることは所定の遷移時間を記憶することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステムによって研磨中の前記基板をモニタし、前記現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステムからの信号に基づいて予想される前記終点時間を判断することを含み、前記温度遷移時間を得ることは、予想される終点時間に基づいて前記温度遷移時間を計算することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記温度遷移時間を計算することは、所定の期間を前記予想される終点から減算すること、または総研磨時間のある割合を前記予想される終点時間から減算することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、酸化セリウムスラリを使用する化学機械研磨用途に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は典型的には、導電層、半導電層、または絶縁層を順次堆積させることによってシリコンウエハ上に形成される。1つの製造ステップは、非平面上に層を堆積させること、およびその層を平坦化することを伴う。いくつかの用途では、パターニングされた下層の上面が露出するまで、層は平坦化される。他の用途では、下層上に所定の厚さが残るまで層は平坦化される。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、1つの認められた平坦化方法である。この平坦化方法では、基板をキャリアヘッドに取り付け、基板の表面は回転する研磨パッドの表面に対して配置される。研磨材スラリなどの研磨液は、回転する研磨パッド上に分注されることによって、機械的手段および化学的手段によって基板上の層が研磨される。スラリにおける研磨材粒子は、酸化ケイ素および酸化セリウムであり得る。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様では、研磨方法は、負に帯電した酸化セリアを含有する研磨スラリを研磨パッド上に分注することと、基板の表面をスラリが存在する研磨パッドに接触させることと、基板の表面を研磨するために基板と研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、基板に対する除去速度を測定することと、測定された除去速度がターゲット除去速度を下回るかを判断することと、測定された除去速度がターゲット除去速度を下回ると判断することに応えて、研磨パッドと基板との間のインターフェースの温度を低下させることと、を含む。
【0005】
別の態様では、研磨方法は、負に帯電した酸化セリアを含有する研磨スラリを研磨パッド上に分注することと、基板の表面をスラリが存在する研磨パッドに接触させることと、基板の表面を研磨するために基板と研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、基板に対する除去速度を測定することと、測定された除去速度がターゲット除去速度を上回るかを判断することと、測定された除去速度がターゲット除去速度を上回ると判断することに応えて、研磨パッドと基板との間のインターフェースの温度を増大させることと、を含む。研磨剤は酸化セリウム粒子を含み得る。
【0006】
別の態様では、基板から材料を除去するための方法は、研磨パッドの表面上にキャリア液および研磨剤を含むスラリを分注することと、研磨剤上の相対電荷の指標を記憶することと、基板の表面をスラリが存在する研磨パッドに接触させることと、基板の表面を研磨するために基板と研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、基板に対する除去速度を測定することと、測定された除去速度をターゲット除去速度と比較しかつその比較に基づいて除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、研磨剤の相対電荷の指標、および除去速度を増大させるまたは低下させるかどうかに基づいて、研磨パッドと基板との間のインターフェースの温度を増大させるまたは低下させるかどうかを判断することと、除去速度を修正するためにインターフェースの温度を判断されるように制御することと、を含む。
【0007】
別の態様では、研磨方法は、研磨スラリを研磨パッド上に分注することによって基板上の層を研磨し、基板上の層の表面をスラリが存在する研磨パッドに接触させ、および、基板と研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、層の最初の研磨部分に対して、研磨の温度を第1の温度範囲内になるように制御することと、終点時間前である温度遷移時間を得ることと、温度遷移時間に達したと判断すると、研磨の温度を、第1の温度範囲より低い、より低い第2の温度範囲内になるように下げることと、同じ層の後続の研磨部分に対して、推定される終点時間まで研磨の温度を第2の温度範囲内になるように制御することと、を含む。
【0008】
別の態様では、研磨方法は、研磨スラリを研磨パッド上に分注することによって基板上の層を研磨し、基板上の層の表面をスラリが存在する研磨パッドに接触させ、および、基板と研磨パッドとの間に相対運動を生成することと、層の最初の研磨部分に対して、研磨の温度を第1の温度範囲内になるように制御することと、温度遷移時間が終点時間前であるかを判断することと、温度遷移時間に達したと判断すると、研磨の温度を第1の温度範囲内になるように維持し続けるために冷却剤流量を増大させている間、基板上の圧力を増大させることと、同じ層の後続の研磨部分に対して、増大させた圧力を維持し、かつ推定される終点時間まで研磨の温度を第1の温度範囲内になるように制御することと、を含む。
【0009】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含み得る。冷却流体を分注することは、中細(a convergent-divergent)ノズルを通して冷却流体をスプレーすることを含んでよい。除去速度を測定することは、その場(in-situ;インシトゥ)光学モニタシステムによって研磨中の基板をモニタすることを含んでよい。基板の表面は酸化物層、例えば、酸化ケイ素を含んでよい。インターフェースの温度を制御することは、指標が正に帯電していることである場合は温度を増大させることによって研磨速度を上げること、指標が負に帯電していることである場合は温度を低下させることによって研磨速度を上げること、指標が正に帯電していることである場合は温度を低下させることによって研磨速度を下げること、または指標が負に帯電していることである場合は温度を増大させることによって研磨速度を下げることを含んでよい。
【0010】
利点として、以下のうちの1つまたは複数が含まれ得るが、これらに限定されない。CMPシステムは、顧客の生産需要に合わせるために高研磨速度を実現することができる。本明細書に説明される方法は、それぞれの基板を研磨するために必要とされる時間を短縮することによってさらにシステムのスループットを改善する。これによって、基板の出力が増大し、かつ1基板当たりの消耗材料費が低下することになる。帯電したセリアを適用することと併せたCMPプロセス温度の最適化によって、研磨パッドの寿命が延びて顧客に対する費用を低下させることが可能になる。
【0011】
1つまたは複数の実施形態の詳細については、添付の図面および以下の説明に示されている。他の特徴、態様、および利点は、本明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】化学機械研磨システムの概略的な断面図である。
図2】研磨方法のフローチャートである。
図3】研磨方法の別の実装形態のフローチャートである。
図4】研磨方法のさらに別の実装形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
さまざまな図面における同様の参照番号および記号表示は同様の要素を示す。
【0014】
CMPプロセスの材料除去速度は、研磨剤および研磨流体の他の構成要素の選択、基板に加えられる圧力、研磨パッドと基板との間の相対速度、および基板と研磨パッドとの間のインターフェースにおける温度に左右される。従来、化学反応プロセス、例えば、研磨プロセスでは、温度を増大させる。よって、温度を増大させることは除去速度を増大させるための1つの技術であり得る。
【0015】
しかしながら、研磨速度の温度への実際の依存関係は、研磨パッドに対する温度の効果、例えば、研磨パッドの弾性係数と、温度によって決定される反応速度との間の相互作用をより複雑にする可能性がある。その上、いくつかの研磨プロセスでは、研磨材粒子の静電ポテンシャルはこの相互作用における構成要素である。
【0016】
酸化セリウム(例えば、セリア)は、いくつかの研磨プロセスに対する研磨液における研磨材料である。研磨液において、研磨セリア粒子の表面は、研磨材粒子の表面上に、正の静電ポテンシャル、負の静電ポテンシャル、またはごくわずかな静電ポテンシャルを有することができる。このポテンシャルは、合成技術に左右される場合がある。セリア粒子を有する研磨液を使用する研磨プロセスは、スラリ中の粒子の表面における正のポテンシャルまたは負のポテンシャルに応じて異なって温度に反応する研磨速度を示す。
【0017】
この用途は、研磨材粒子の電荷特性に基づいて温度制御を行うための技術を表す。CMPシステムは、基板と研磨パッドとのインターフェースにおける温度を制御するためのヒータまたは冷却器を含む。研磨プロセスの温度を変更することによって、材料除去速度は、スラリ中に懸濁しているセリアの表面電荷に応じて増大するまたは減少する。負に帯電したセリアスラリについて、冷却によって研磨速度が増大する可能性があり、トポグラフィが改善され得る。いずれの特定の理論にも限定されることなく、負に帯電したセリアを使用する冷却は、硬度を増大させ、かつパッドの上面の凹凸構造を修正することによって材料除去速度を改善することができる。いくつかの正に帯電したセリアスラリについて、加熱と冷却との組み合わせは、研磨プロセスの開始時に加熱することによって研磨速度を改善することができ、研磨終点近くの冷却はトポグラフィを改善することができる。他の正に帯電したセリアスラリについて、冷却と増大した圧力との組み合わせを使用して研磨速度を改善し、増大した圧力は研磨速度を増大させ、冷却は、パッドの過熱を防ぎ、かつトポグラフィを維持する。
【0018】
図1は、研磨システム20の一例を示す。研磨システム20は、研磨パッド30が位置している回転可能な円板状プラテン22を含むことができる。プラテンは、軸23を中心に回転するように動作可能である。例えば、モータ24は、ドライブシャフト26を回動させてプラテン22を回転させることができる。研磨パッド30は、例えば、接着剤層によって、プラテン22に着脱可能に留められる。研磨パッド30は、外側研磨層32およびより柔らかいバッキング層34を有する2層研磨パッドであり得る。
【0019】
研磨システム20は、研磨材スラリなどの研磨液42を研磨パッド30上に分注するための研磨液供給ポート40を含むことができる。研磨システム20は、研磨パッド30を一貫した研磨状態で維持するために研磨パッド30を研磨するための研磨パッドコンディショナも含むことができる。
【0020】
キャリアヘッド50は、研磨パッド30に対して基板10を保持するように動作可能である。それぞれのキャリアヘッド50は、基板10上の関連のゾーンに独立して制御可能な加圧を加えることができる複数の独立して制御可能な加圧可能チャンバ、例えば、3つのチャンバ52a~52cも含む。チャンバ52a~52cは、基板10が取り付けられる底面を有する可撓性膜54によって画定され得る。キャリアヘッド50はまた、可撓性膜54より下の基板10を保持するための保持リング56を含むことができる。例証を容易にするために3つのチャンバのみが図1および図2に示されているが、2つのチャンバ、または4つもしくはそれ以上のチャンバ、例えば5つのチャンバがある可能性がある。さらに、基板に加えられる圧力を調節するための他の機構、例えば、圧電アクチュエータは、キャリアヘッド50において使用可能である。
【0021】
それぞれのキャリアヘッド50は、キャリアヘッドが軸51を中心に回転することができるように、支持構造60、例えばカルーセルまたはトラックから吊り下げられ、ドライブシャフト62によってキャリアヘッド回転モータ64に接続される。オプションとして、それぞれのキャリアヘッド50は、例えば、カルーセル上のスライダ上で、トラックに沿った移動によって、またはカルーセル自体の回転振動によって、横方向に振動し得る。動作中、プラテン22はその中心軸23を中心に回転し、キャリアヘッド50はその中心軸51を中心に回転し、研磨パッド30の上面を横切って横方向に並進する。
【0022】
研磨システムはまた、研磨パラメータ、例えば、チャンバ52a~52cのうちの1つまたは複数において加えられた圧力を制御するために使用可能である現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステム70を含む。現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステム70は、とりわけ、基板上の酸化物層の研磨のための光学モニタシステム、例えば、分光モニタシステムであり得る。代替的には、現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステム70は、とりわけ、基板上の金属層の研磨のための渦電流モニタシステムであり得る。
【0023】
光学モニタシステムとして、現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステム70は、光源72と、光検出器74と、コントローラ90、例えばコンピュータと、光源72および光検出器74との間で信号を送受信するための回路76とを含むことができる。1つまたは複数の光ファイバ78は、光源72から、研磨パッド30における窓36に光を透過させるために、および基板10から反射した光を検出器74に透過させるために使用可能である。分光システムとして、光源72は、白色光を発するように動作可能であり得、検出器74は分光計であり得る。測定されたスペクトルは、ゾーンのそれぞれにおいて研磨される層の厚さを示す特性値に変換可能である。
【0024】
回路76の出力は、ドライブシャフト26における回転結合器28、例えばスリップリングを通ってコントローラ90まで通過するデジタル電子信号であり得る。代替的には、回路76は、無線信号によってコントローラ90と通信することが可能である。コントローラ90は、マイクロプロセッサ、メモリ、および、入出力回路を含むコンピューティングデバイス、例えば、プログラマブルコンピュータであり得る。単一のブロックで示されているが、コントローラ90は、複数のコンピュータにわたって分散された機能を有するネットワークシステムであり得る。
【0025】
研磨システム20は、研磨プロセスの温度、例えば、研磨パッド30および/もしくは研磨パッド上の研磨液42の、または基板の温度をモニタするための温度センサ80を含む。例えば、温度センサ80は、研磨パッド30の上に位置付けられ、かつ研磨パッド30および/または研磨パッド上の研磨液42の温度を測定するように構成された赤外線(IR)センサ、例えばIRカメラであり得る。とりわけ、温度センサ64は、半径方向の温度プロファイルを生成するために、研磨パッド30の半径に沿った複数の点で温度を測定するように構成可能である。例えば、IRカメラは、研磨パッド30の半径に及ぶ視野を有することができる。
【0026】
いくつかの実装態様では、温度センサは、非接触センサではなく接触センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24上またはプラテン24内に位置付けられた熱電対またはIR温度計であり得る。さらに、温度センサ64は、研磨パッドと直接接触することができる。
【0027】
いくつかの実装態様では、研磨パッド30の半径に沿った複数の点における温度をもたらすために、研磨パッド30を横切って異なる半径方向位置に複数の温度センサが間隔を置いて配置され得る。この技術は、IRカメラの代替または追加で使用可能である。
【0028】
温度センサ64は、研磨パッド30および/またはパッド30上の研磨液42の温度をモニタするように位置付けられたものとして図1に示されているが、基板10の温度を測定するためにキャリアヘッド50の内に位置付けられる可能性がある。温度センサ64は、基板10の半導体ウエハと直接接触し得る(すなわち、接触センサ)。いくつかの実装態様では、例えば、異なる構成要素の温度を測定するために、複数の温度センサが研磨システム20に含まれる。
【0029】
研磨システム20はまた、研磨パッド30および/または研磨パッド上の研磨液42の温度を制御するための温度制御システム100を含む。温度制御システム100は、冷却システムおよび/または加熱システムを含む。いくつかの実装形態では、冷却システムおよび/または加熱システムは両方共、温度制御された媒体、例えば、液体、蒸気、またはスプレーを、研磨パッド30の研磨面36上に(または、研磨パッド上に既に存在している研磨液上に)供給することによって動作する。
【0030】
図1に示されるように例示の温度制御システム100は、プラテン22および研磨パッド30に及ぶアーム110を含む。複数のノズル120はアーム110から吊り下げられ、それぞれのノズル120は、温度制御流体を研磨パッド上にスプレーするように構成される。アーム110は、ノズル120が間隙126によって研磨パッド30から分離されるようにベース112によって支持され得る。それぞれのノズル120は、例えば、コントローラ12を使用して、それぞれのノズル120での流体の流れを開始および停止するように構成可能である。それぞれのノズル120は、スプレー122におけるエアロゾル化水を研磨パッド30の方に向けるように構成可能である。
【0031】
冷却システムとして動作させるように、温度制御流体は冷却液である。冷却液は、気体、例えば空気、または液体、例えば水である。冷却液は、室温であり得、または室温未満、例えば、摂氏5~15度に冷やされ得る。いくつかの実装形態では、冷却システムは、空気および液体のスプレー、例えば、水といった液体のエアロゾル化スプレーを使用する。とりわけ、冷却システムは、室温未満に冷やされる水のエアロゾル化スプレーを生成するノズルを有することができる。いくつかの実装形態では、固体材料を気体および/または液体と混合することができる。固体材料は、冷やされた材料、例えば氷、または水中で溶解された時に、例えば化学反応によって、熱を吸収する材料であり得る。この冷却液は、分注される時、室温未満、例えば、摂氏-100度~20度、例えば、摂氏0度未満であり得る。
【0032】
加熱システムとして動作させるように、温度制御流体は加熱流体である。加熱流体は、気体、例えば蒸気もしくは熱風、または液体、例えば温水、または気体と液体との組み合わせであり得る。加熱流体は、室温を上回る、例えば、摂氏40~120度、例えば、摂氏90~110度である。流体は、実質的に純粋な脱イオン水などの水、または、添加物または化学薬品を含む水であり得る。いくつかの実装形態では、加熱システムは蒸気のスプレーを使用する。蒸気は添加物または化学薬品を含むことができる。
【0033】
温度制御システム100は、冷却液または加熱流体のどちらかを分注するための単一アーム、または冷却液および加熱流体をそれぞれ分注するための2つの専用アームを含むことができる。
【0034】
研磨プロセスの温度を制御するために、代替または追加で他の技術を温度制御システム100によって使用可能である。例えば、加熱流体または冷却流体、例えば、蒸気または冷水は、研磨液42が分注される前に研磨液42の温度を上げるまたは下げるために研磨液42(例えば、スラリ)に注入可能である。別の例として、研磨パッド30を加熱するためのプラテン22において、および/または基板10を加熱するためのキャリアヘッド50において、抵抗加熱器を支持することができる。
【0035】
層の研磨中のスラリおよび研磨パッドの温度を緩和することによって、酸化セリウムなどの電荷を帯びた研磨材の間の相互作用を高めることが可能になる。温度制御を使用することによって、材料除去速度は、有益には、研磨パッドの物理パラメータを調整すること、および、帯電したセリアと充填層との間の化学的相互作用の特性を変えることの両方によって増大可能である。
【0036】
いくつかの実装形態では、温度センサは、研磨プロセスの、例えば、研磨パッドもしくは研磨パッド上の研磨液または基板の温度を測定し、コントローラ90は、研磨プロセスを所望の温度で維持するように、温度制御システム、例えば、冷却液または加熱流体の流量もしくは温度をそれぞれ制御するために閉ループ制御アルゴリズムを実行する。
【0037】
いくつかの実装形態では、インシトゥモニタシステムは基板に対する研磨速度を測定し、コントローラ90は、研磨速度を所望の速度で維持するように、温度制御システム、例えば、冷却液または加熱流体の流量もしくは温度をそれぞれ制御するために閉ループ制御アルゴリズムを実行する。
【0038】
図2は、帯電したセリアスラリに適用可能である、この技術を実行するための方法を示す。オプションとして、コントローラ90は、使用されているスラリが負に帯電した研磨セリア粒子または正に帯電した研磨セリア粒子を含有するかどうかの指標を記憶する(202)。研磨セリア粒子を有するスラリが研磨パッド上に分注されるように、研磨が行われる(204)。コントローラ90は、例えば、研磨レシピの一部として、所望の温度または温度範囲を記憶することができる。それによって、研磨中、コントローラ90は、例えば、開ループまたは閉ループアルゴリズムを使用して、研磨プロセスの温度を所望の温度または温度範囲で維持するように動作することができる(206)。研磨中、研磨プロセスは、現場(in-situ;インシトゥ)モニタシステムによってモニタされ、除去速度は取得されたデータから計算される(208)。さまざまな原因により、除去速度は所望の研磨速度から離れる場合がある(210)。例えば、コントローラ90は、除去速度が閾値量を上回ってターゲット研磨速度から変化するかどうかを検出することができる。これが生じる場合、コントローラ90は、温度制御システムに、除去速度を補償しかつ所望の研磨速度に戻すようにプロセス温度を修正させることができる。しかしながら、どんな対応策を取るべきかは研磨セリア粒子の電荷に左右され得る。
【0039】
とりわけ、表1を参照すると、負に帯電した研磨セリア粒子のスラリについて、除去速度が所望の研磨速度より低い場合、研磨速度を増大させるために温度を下げることができるのに対し、以下のように、除去速度が所望の研磨速度より高い場合、研磨速度を低下させるために温度を上げることができる。対照的に、正に帯電した研磨セリア粒子のスラリについて、除去速度が所望の研磨速度より低い場合、研磨速度を増大させるために温度を上げることができるのに対し、以下のように、除去速度が所望の研磨速度より高い場合、研磨速度を低下させるために温度を下げることができる。
【0040】
除去速度が所望の研磨速度から離れる場合にどのように温度を調節するかを判断するために、このデータは記憶可能であり、かつ、例えば、制御論理またはルックアップテーブルとして、コントローラ90によってアクセス可能である(212)。代替的には、温度を増大させるまたは低下させるかどうかの決定プロセスは、コントローラによって与えられる特定のスラリと関連付けられたプロセス方策に埋め込まれ得る。
【0041】
コントローラ90は次いで、例えば、プロセス温度、例えば、パッド温度を修正するために温度制御流体の温度および/または流量を増大または低下させることによって、温度制御システムに温度を調節させる(214)。
【0042】
処理温度を増大させることに関して、最大の望ましい温度は、研磨パッドのためのガラス転移温度に左右される。パッドが熱くなり過ぎる場合、パッドは過度の粘弾性を有することになり得、研磨プロセスは予想通りに進行しない場合があり、例えば、研磨速度が降下し得る、または欠陥が増大し得る。一般的に、コントローラは、研磨層の融点の2/3未満の温度(摂氏0度と比較して)を保つように構成可能である。
【0043】
研磨速度の温度への依存性に対する静電荷の影響の問題とは別に、多くの研磨用途では、過研磨を回避しかつ非均一性を低減するために研磨プロセスが研磨終点に近づくと研磨速度を低減することは有用である。他方では、厚い層のバルク研磨中に研磨速度を高く保つことは、有益である。提案されている研磨速度を低減するための1つの手法として、基板上の圧力を低減することがある。しかしながら、これは、いくつかの用途では、例えば、脆化層の研磨などのために、キャリアヘッドが加えられる低圧で既に動作している場合、実用的ではない場合がある。
【0044】
研磨終点近くでの加えられた圧力の低減の代わりにまたはこれに加えて使用可能である手法は、研磨速度を低減するようにプロセス温度を修正することである。例えば、従来のシリカスラリについて、または正に帯電したセリアスラリについて、研磨速度を低減するために研磨終点の前に温度を低減することができる。
【0045】
図3は、この技術を実行するための方法を示す。層の最初の研磨部分に対して、研磨プロセスの温度は第1の温度範囲内になるように制御される(302)。この最初の部分は研磨プロセスの開始から実行可能である。
【0046】
センサ60から温度測定値を受信し、かつ温度制御システム100の動作を調節するフィードバックループを使用してコントローラ90による制御が行われ得る。スラリまたは基板の特定の位置における研磨パッドの温度が研磨プロセスの温度の代わりになり得ることは理解されるであろう。
【0047】
研磨開始前または後のどちらについても、温度遷移時間が、予想される終点時間の前であるかが判断される(304)。温度遷移時間は、方策に基づく既定値であり得、この場合、温度遷移時間は、研磨が開始する前にユーザによって判断され得る。代替的には、研磨プロセスは、現場(in-situ;インシトゥ)インシトゥモニタシステムによってモニタされ得る。現場(in-situ;インシトゥ)インシトゥモニタシステムは、基板の測定された研磨速度に基づいて推定される終点時間を予測することができ、遷移時間は、推定される終点時間、例えば、既定時間、例えば、10秒、または、推定される終点時間の前の総研磨時間のある割合、例えば、5~10%に基づいて計算可能である。
【0048】
温度遷移時間に達すると、コントローラ90は、温度制御システムに、研磨温度を、第1の温度範囲より低い、より低い第2の温度範囲内になるように下げさせる(306)。より低い第2の温度範囲は、第1の温度範囲と重複していない可能性がある、または第1の温度範囲のわずか25%重複している可能性がある。第2の温度範囲の中間点は、第1の温度範囲の中間点より摂氏20~40度低い可能性がある。いくつかの実施形態では、研磨表面36の温度は、摂氏30度以下、例えば、摂氏20度以下に下げられ得る。
【0049】
研磨プロセスの温度が第2の温度範囲に達すると、同じ層の研磨プロセスの後続部分に対して、コントローラ90は、温度制御システム100に、研磨プロセスの温度を第2の温度範囲内に維持させる(308)。研磨プロセスの後続部分は、層に対する推定される終点時間まで続く可能性がある。
【0050】
研磨終点近くの加えられた圧力の低減の代わりに使用可能である別の手法は、非均一性を低減するように基板上の圧力を増大させる一方で、温度制御システムが所望の温度を維持するように温度制御流も増大させることである。例えば、従来のシリカスラリについて、または正に帯電したセリアスラリについて、基板上の圧力および/またはプラテンの回転速度を増大させることができ、研磨速度を犠牲にすることなくより高い非均一性を実現するために研磨終点の前に冷却液の流量を増大させることできる。
【0051】
図4は、この技術を実行するための方法を示す。層の最初の研磨部分に対して、研磨プロセスの温度は第1の温度範囲内になるように制御される(402)。研磨開始前または後のどちらについても、温度遷移時間が、予想される終点時間の前であるかが判断される(404)。これら2つのステップは、ステップ302および304について上記に論じられるように実行可能である。
【0052】
温度遷移時間に達すると、コントローラ90は、基板上の圧力を増大させるためにキャリアヘッド50における1つまたは複数のチャンバ内の圧力を調節する(406)。それと併せて、コントローラ90は、温度が第1の温度範囲内に維持されるように、温度制御システムに、温度制御流体、例えば、シリカスラリ用のまたは正に帯電したセリアスラリ用の冷却液の流量を増大させる(408)。研磨プロセスの後続部分は、層に対する推定される終点時間まで続く可能性がある。
【0053】
処理温度を増大させることに関して、最大の望ましい温度は、研磨パッドのためのガラス転移温度に左右される。パッドが熱くなり過ぎる場合、パッドは過度の粘弾性を有することになり得、研磨プロセスは予想通りに進行しない場合があり、例えば、研磨速度が降下し得る、または欠陥が増大し得る。一般的に、コントローラは、研磨層の融点の2/3未満の温度(摂氏0度と比較して)を保つように構成可能である。
【0054】
より一般的には、従来のシリカスラリに対してまたは正に帯電したセリアスラリに対して、研磨速度を最大化するために、研磨パッドの粘弾性により研磨の性能が劣る前に、最大可能温度で研磨プロセスを実行することが望ましい場合がある。よって、基板と研磨パッドとの間の摩擦により温度を上昇させるのではなく、温度制御システムによって研磨プロセスの開始時に所望の温度まで温度を上げてよい。さらにまた、温度を所望の温度範囲内に、例えば、研磨層の融点の約50~66%の温度で(摂氏0度と比較して)維持可能である。
【0055】
本明細書は多くの具体的な実装の詳細を含有しているが、これらは、任意の発明の範囲を、または、主張され得るものの範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴についての記述として解釈されるべきである。本明細書において別々の実施形態の文脈で説明されるある特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装可能である。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されるさまざまな特徴はまた、複数の実施形態において別々に、または任意の適した部分的組み合わせで実装可能である。その上、特徴は、ある特定の組み合わせで作用するものとして上述され得、さらにまた最初にそのように主張され得るが、主張された組み合わせからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、その組み合わせから削除可能であり、主張される組み合わせは、部分的組み合わせまたは部分的組み合わせの変形を対象とし得る。
【0056】
同様に、動作について、特定の順序で図面に示されかつ特許請求の範囲に列挙されているが、このことは、望ましい結果を実現するために、そのような動作が示された特定の順序でまたは連続した順序で実行される必要がないとして、または、示された全ての動作が実行される必要がないとして理解されるべきである。
【0057】
本発明の主題の特定の実施形態について説明してきたが、他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。例えば、特許請求の範囲に列挙された作用は、異なる順序で実行しても、望ましい結果を実現することができる。1つの例として、添付の図に示されたプロセスは、必ずしも、望ましい結果を実現するために、示される特定の順序または連続した順序であることを必要としない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】