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特表2024-509161コンタクト接着剤を使用した環境に優しいブリスター包装
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  • 特表-コンタクト接着剤を使用した環境に優しいブリスター包装 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-29
(54)【発明の名称】コンタクト接着剤を使用した環境に優しいブリスター包装
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/36 20060101AFI20240221BHJP
【FI】
B65D75/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553447
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022018244
(87)【国際公開番号】W WO2022187179
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/156,018
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】フー、 ウィンストン
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA22
3E067AC01
3E067BA33A
3E067BB01A
3E067BB02A
3E067BB14A
3E067BB26A
3E067EA04
3E067EA32
3E067FA01
3E067FB02
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、環境に優しいブリスター包装と、コンタクト接着剤を使用した特殊な形状の物品用のブリスター包装を形成する方法を提供する。
【解決手段】
ブリスター包装は、リサイクル可能又は再生可能な基材から形成されている。コンタクト接着剤は、一緒に包装された物品を包含する他のすべての表面への接着を最小限に抑えながら、互いに強力な凝集結合を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)メタロセン触媒オレフィンブロックコポリマー、
(ii)ASTM D3954に従って測定して25℃で約5dmm未満の針入硬度値を有する、ポリエチレンワックスとフィッシャー・トロプシュワックスとの混合物、
(iii)可塑剤、及び
(iv)粘着付与剤、
を含むコンタクト接着剤;
(b)第1の基材と第2の基材を有する板紙基材、コンタクト接着剤が第1の表面に塗布される;
(c)第1の基材と第2の基材を有する紙基材、コンタクト接着剤が第2の表面に塗布される;並びに
(d)物品;
を含むブリスター包装であって、
前記物品は、前記板紙基材の第1表面に塗布されたコンタクト接着剤と、前記紙基材の第2の表面に塗布されたコンタクト接着剤との間に挟まれて接着される、ブリスター包装。
【請求項2】
前記コンタクト接着剤が、ポリプロピレンベースのポリマー及び/又はワックスを本質的に含まない、請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項3】
前記メタロセン触媒オレフィンブロックコポリマーがエチレン-オクテンブロックコポリマーである、請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項4】
前記ポリエチレンワックス及び/又はフィッシャー・トロプシュワックスが、ASTM D1321に従って測定して25℃で約3dmm以下の硬度値を有する、請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項5】
酸化防止剤、光沢剤、充填剤、接着促進剤、顔料及びそれらの混合物から成る群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項6】
前記板紙基材が、ボックスボード、ボール紙又はクラフトボード、段ボール、ライナーボード、及び媒体から成る群から選択される、請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項7】
前記紙基材が、約0.008インチ(8ポイント)~約0.024インチ(24ポイント)の厚さを有する、請求項1に記載のブリスター包装。
【請求項8】
(a)1つの表面に予め塗布されたコンタクト接着剤を有する第1の基材、
(b)1つの表面に予め塗布された同じコンタクト接着剤を有する第2の基材、及び
(c)物品、
を含むブリスター包装であって、
前記物品は、前記第1の基材の予め塗布されたコンタクト接着剤と、前記第2の基材の予め塗布されたコンタクト接着剤との間に挟まれて接着される、ブリスター包装。
【請求項9】
前記第1の基材が、ボックスボード、ボール紙又はクラフトボード、段ボール、ライナーボード、及び媒体から成る群から選択され、
前記第2の基材が、プラスチックフィルム、ホイル、紙、及びクラフト紙の混合物である、請求項8に記載のブリスター包装。
【請求項10】
予め塗布されたコンタクト接着剤が、(i)メタロセン触媒オレフィンブロックコポリマー、(ii)ASTM D3954に従って測定して25℃で約5dmm未満の針入硬度値を有する、ポリエチレンワックスとフィッシャー・トロプシュワックスとの混合物、(iii)可塑剤、及び(iv)粘着付与剤を含む、請求項8に記載のブリスター包装。
【請求項11】
(1)第1の表面と第2の表面を有する板紙基材を準備し、前記板紙基材の第1の表面上にコンタクト接着剤を塗布する工程と、
(2)第1の表面と第2の表面を有する紙基材を準備し、前記紙基材の第2の表面上にコンタクト接着剤を塗布する工程と、
(3)物品を板紙の第1の面に配置する工程と、
(4)前記紙面の第2の表面に塗布されたコンタクト接着剤を、前記板紙の第1の表面に塗布されたコンタクト接着剤上に適用する工程と、
を含み、
前記物品は、前記紙の第2の表面と前記板紙の第1の表面との間に固定される、環境に優しいブリスター包装を形成する方法。
【請求項12】
前記板紙基材が、ボックスボード、ボール紙又はクラフトボード、段ボール、ライナーボード、及び媒体から成る群から選択される、請求項11に記載の環境に優しいブリスター包装を形成する方法。
【請求項13】
前記紙基材が、約0.008インチ(8ポイント)~約0.024インチ(24ポイント)の厚さを有する、請求項11に記載の環境に優しいブリスター包装を形成する方法。
【請求項14】
前記コンタクト接着剤が、(i)エチレン-オクテンブロックコポリマー、(ii)ASTM D3954に従って測定して25℃で約5dmm未満の針入硬度値を有する、ポリエチレンワックスとフィッシャー・トロプシュワックスとの混合物、(iii)可塑剤、及び(iv)粘着付与剤を含む、請求項11に記載の環境に優しいブリスター包装を形成する方法。
【請求項15】
前記コンタクト接着剤が、ポリプロピレンベースのポリマー及び/又はワックスを本質的に含まない、請求項11に記載の環境に優しいブリスター包装を形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境に優しいブリスター包装、及びコンタクト接着剤を使用してブリスター包装を形成する方法に関し、これは、特殊な形状の物品の包装に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
丸い物品や特殊な形状の物品を包含する特殊な形状の物品は、保管が難しく、包装中に平らな面から転がり落ち得るため、保管及び包装が困難である。また、特殊な形状の包装は、輸送中にそれ自体が損傷したり、コンテナ内の他の物品に損傷を与えたりする可能性がある。
【0003】
特殊な形状の物品は、保管、輸送、及び(店舗での)棚配置のために、しばしば長方形の容器に梱包又は包装される。たとえば、ボールは保管と輸送を容易にするために正方形又は長方形の容器内に包装される。あるいは、特殊な形状の物品は、包装及び陳列のために少なくとも1つの平らな表面を有するように包装される。
【0004】
特殊な形状の消費財、食品、及び医薬品の多くは、ブリスター包装(blister package)又はブリスターパック(blister pack)で包装される。典型的なブリスター包装は、この製品を板紙と熱成形プラスチック部品との間に固定する。透明な熱成形プラスチック部品は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)からの環状オレフィンコポリマー(COC)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET)等の事前に形成されたプラスチックで作製されており、これらは最終的に埋め立て地に捨てられる可能性がある。プラスチック部品を紙基材に接着するには高い熱と圧力が必要であり、環境コストが高い。
【0005】
したがって、当該技術分野においては、特殊な形状の物を包装する環境に優しい方法が必要とされている。本発明は、この必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、環境に優しい包装、及び特殊な形状の物品用の環境に優しい包装を形成する方法を提供する。重要なのは、コンタクト接着剤が物品に残留しないように包装が形成されることである。
【0007】
本発明の1つの態様は、(a)1つの面にコンタクト接着剤を有する板紙基材;(b)1つの面に同じコンタクト接着剤を有する紙基材;及び(c)物品;を含む、環境に優しい包装に関し、前記物品は前記板紙基材と前記紙基材との間に固定され、前記板紙基材のコンタクト接着剤が紙基材のコンタクト接着剤上に接着される。
【0008】
本発明の別の態様は、(a)1つの面に予め塗布されたコンタクト接着剤を有する板紙基材;(b)1つの面に同じコンタクト接着剤が予め塗布された紙基材;及び(c)物品;を含む、環境に優しい包装に関し、前記物品は前記板紙基材と前記紙基材の間にあり、前記板紙基材の予め塗布されたコンタクト接着剤は、紙基材の予め塗布されたコンタクト接着剤上に接着される。
【0009】
コンタクト接着剤は、(a)メタロセン触媒オレフィンブロックコポリマー、(b)ASTM D3954に従って測定して25℃で約5dmm未満の針入硬度値を有する、ポリエチレンワックスとフィッシャー・トロプシュワックスとの混合物、(c)可塑剤、(d)粘着付与剤を含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、
(1)第1の表面と第2の表面を有する板紙基材を準備する工程と、
(2)前記板紙基材の第1の表面上にコンタクト接着剤を塗布する工程と、
(3)第1の表面と第2の表面を有する紙基材を準備する工程と、
(4)前記紙基材の第2の表面にコンタクト接着剤を塗布する工程と、
(5)物品を前記板紙の第1の表面に配置する工程と、
(6)前記板紙の第1の表面に前記紙面の第2の表面を貼り付けて物品を固定する工程と、
を含む、環境に優しい包装を形成する方法を対象とし、板紙に塗布されたコンタクト接着剤と紙に塗布されたコンタクト接着剤は、物品の周囲で互いに接合される。
【0011】
別の態様では、コンタクト接着剤は板紙基材の第1の表面に予め塗布され、同じコンタクト接着剤が紙基材の第2の表面に予め塗布される。物品は、板紙基材に予め塗布されたコンタクト接着剤の表面上に配置され、紙基材に予め塗布されたコンタクト接着剤の表面が物品の上に置かれ、圧力によって2つの基材を接合する。予め塗布されたコンタクト接着剤の表面が圧力によって接着し、物品を所定の位置に固定する。
【0012】
本発明のこれら及び他の態様については、以下の説明で説明する。いかなる場合においても、上記の概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものとして解釈されるべきではなく、本明細書に記載の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、環境に優しいブリスターパックの概略図である。
図1B図1Bは、包装された環境に優しいブリスターパックの概略図である。
図2A図2Aは、包装された環境に優しいブリスターパックの写真である。
図2B図2Bは、最小限の紙基材で包装された環境に優しいブリスターパックの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、定義を包含する本明細書が優先される。好ましい方法及び材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を本開示の実践又は試験に使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的とするものであり、限定することを意図したものではない。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む」には、実施形態「~から成る」及び「本質的に~から成る」が包含されてよい。本明細書で使用される場合、「含む」、「包含する」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる」、「含有する」という用語、及びその変形は、指定された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容する、制限のない移行句、用語、又は単語であることを意図している。しかしながら、こうした記載は、組成物又は方法を、列挙された成分/工程から「成る」及び「本質的に成る」ものとして記載するものとも解釈されるべきであり、この場合、指定された成分/工程と、そこから生じる可能性のある不純物の存在のみが許可され、他の成分/工程は除外される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「凝集結合」、「凝集力」及び「凝集性」という用語は、互換的に使用され、接着剤内の様々な相互作用の結果として生じる接着剤の内部強度である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「接着結合」、「接着」、及び「接着性」という用語は、互換的に使用され、考えられる様々な相互作用による、ある材料と別の材料の結合、すなわち接着剤と基材の結合を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、ブロッキングとは、保管中又は使用中に中程度の圧力下でコンタクト接着剤と接触層、例えば基材との間の接着であり、典型的にはASTM D907-06によって記載及び測定される。
【0019】
本出願の明細書及び特許請求の範囲における数値は、特にポリマー又はポリマー組成物に関する場合、異なる特性の個々のポリマーを含有してよい組成物の平均値を反映する。さらに、特に断りのない限り、数値は、同じ有効数字に換算すると同じになる数値、及び値を決定するために本出願に記載される種類の従来の測定技術の実験誤差未満だけ、記載された値と異なる数値を包含すると理解されるべきである。
【0020】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙された終点を包含し、独立して組み合わせることができる(例えば、「2~10」の範囲には、終点2と10、及び全ての中間値が包含される)。本明細書に開示される範囲の終点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されない。これらは、これらの範囲及び/又は値に近似する値を包含するには十分に不正確である。本明細書で使用される場合、近似言語は、関連する基本機能の変更をもたらさずに、変化する可能性のある定量的表現を修正するために適用してよい。したがって、「約」等の用語によって修飾された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応してよい。修飾語「約」も、2つの終点の絶対値によって定義される範囲を開示するとみなされる必要がある。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示する。「約」という用語は、示された数値のプラス又はマイナス10%を指す場合がある。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示す場合があり、「約1」は0.9~1.1を意味する場合がある。「約」の他の意味は文脈から明らかであり(四捨五入等)、例えば「約1」は0.5~1.4を意味する場合もある。
【0021】
本発明は、環境に優しいブリスター包装又はブリスターパックの形成を提供する。好ましい実施形態では、コンタクト接着剤は両方の基材に予め塗布され、コンタクト接着剤を互いに塗布することによって物品が基材間に固定される。コンタクト接着剤はそれ自体にのみ接着を形成するため、製品を包含する他の基材には接着しない。これにより、時間、費用、及び設備、特にブリスターパックの熱成形プラスチック部分を最小限に抑えるために典型的に使用されるヒートシールツールが最小限に抑えられる。
【0022】
コンタクト接着剤を使用して基材間の製品を固定することには、いくつかの利点がある。迅速な処理が可能である。コンタクト接着剤は基材上に事前に塗布することができる。予め塗布されたコンタクト接着剤はべたつきが最小限であるか、ほとんどないため、他の基材への接着を心配することなく、適用後すぐに基材を積み重ねることができる。予め塗布されたコンタクト接着剤はべたつきを生じず、汚れや埃がコンタクト接着剤に付着しない。
【0023】
図1において、紙基材100は2つの表面を有し、物品に面する1つの表面はコンタクト接着剤110でコーティングされている。コンタクト接着剤は予め塗布されていてもよい。板紙基材300は2つの表面を有し、物品に面する1つの表面はコンタクト接着剤310でコーティングされている。ここでも、コンタクト接着剤は予め塗布されてもよい。物品200は2つのコンタクト接着剤の間に固定されている。
【0024】
図2は、物品200が板紙300と紙基材100との間に固定された包装状態を示す。コンタクト接着剤が互いに接触する領域400のみが接着を実現する。片面のみにコンタクト接着剤を有する箇所、又はコンタクト接着剤同士が接触していない箇所には接着力がない。紙と板紙が接触しないため、物品周囲との接着がない。物品は固定され、動かないが、コンタクト接着剤による物品への接着やべたつきはない。
【0025】
図3はブリスター包装の写真である。物品200は円筒形であり、紙基材100と板紙基材300との間に固定される。物品は、板紙基材と紙基材からのコンタクト接着剤の領域400を合わせることによって固定される。
【0026】
図4は、コンタクト接着剤310が露出したブリスター包装の写真である。板紙基材300は、予め塗布されたコンタクト接着剤310を含有する。紙基材100は、同じコンタクト接着剤で板紙上に合わせられる。2つのコンタクト接着剤が合わせられる領域400は接着力を有し、円筒状物品200を固定する。
【0027】
物品は、包装中及び箱詰めの容器又は封筒での輸送中に転がる可能性が低くなる。図2A及び図2Bに示すように、紙基材及び板紙基材は、環境への影響を最小限に抑えるために様々な形状及びサイズで選択することができ、しかも物品を固定するために適切なサイズにすることができる。
【0028】
板紙基材は、包装された物品に剛性を与える。これは、包装された物品を水平面上に、あるいは容器又は封筒に対して置くための平らな表面を提供する。板紙基材は、折畳み段ボール、チップボード、又はクラフトボード等の段ボールから形成されてよい。これらの板紙基材は、厚さ約0.18インチ(18ポイント)以上の厚紙ストック又は重紙パルプから作製される。板紙基材はまた、媒体を有する段ボール板又は媒体を有さないライナーボード等の段ボール原紙から形成されてもよい。段ボールは、A、B、C、E又はFフルートを有する単壁ボード、二重壁ボード、又は三重壁ボードであってよい。板紙基材の厚さ及びサイズは、固定される物品の重量及び形状に応じて、当業者によって選択され得る。
【0029】
紙基材は板紙基材よりも薄い。板紙基材が安定性を提供する一方で、この薄い紙基材は物品の形状によく適合し、コンタクト接着剤で板紙基材に保持できる。好ましくは、紙基材はクラフト紙である。紙基材は、好ましくは、約0.008インチ(8ポイント)~約0.024インチ(24ポイント)の厚さを有する。紙基材の厚さ及びサイズも、物品の重量及び形状に応じて当業者によって選択され得る。紙基材及び板紙基材のサイズ、形状、及び重量は、物品を確保するために変更できる。図2Bに示すように、紙基材が物品の表面全体を覆い隠さなくてよいことも想定される。実際、環境への影響を最小限に抑えるために、物品を固定するために紙基材の複数のストリップが使用されてよい。
【0030】
他の基材を使用して板紙基材に接着してよいことが想定される。熱成形可能なプラスチック基材を紙基材と組み合わせて、板紙基材に接着してもよい。しかしながら、環境に優しい包装を実現するには、こうした熱成形可能なプラスチック基材を最小限に抑える必要がある。さらに、水遮断性又は耐水性を有するホイル、金属化紙又はコート紙を紙基材と組み合わせてブリスターパックを形成してもよい。繰り返しになるが、環境に優しい包装を実現するには、エネルギー集約型の材料を最小限に抑える必要がある。
【0031】
ブリスター包装はコンタクト接着剤で接着されている。コンタクト接着剤はそれ自体にのみ粘着性をもたらし、物品を含む他の基材には接着しない。接着は手の圧力だけで形成でき、追加の活性化(水、光、熱、放射線、機械の圧力)は必要でない。
【0032】
予めコンタクト接着剤が塗布された板紙基材及び紙基材は両方とも、保管及び輸送のために積み重ねることができ、又はコンタクト接着剤の接着に影響を与えることなく機械及び組み立てにおいてさらに加工することができるため、柔軟性を提供する。コンタクト接着剤が別のコンタクト接着剤と接触しない限り、それらは活性化されず、非粘着性を保つことができる。さらに、本発明のコンタクト接着剤は、プラスチックフィルム、金属、及び金属化紙に予め塗布することもできる。紙基材は、同じコンタクト接着剤を合わせることにより、プラスチックフィルム、金属、及び金属化紙に接着できる。
【0033】
一実施形態では、コンタクト接着剤は、オレフィンブロックコポリマー、粘着付与剤、可塑剤、及びワックスを含む。別の実施形態は、オレフィンブロックコポリマー、粘着付与剤、可塑剤、及びワックスを含むコンタクト接着剤の層を対象とし、層の厚さは約2~約150g/mであり、コンタクト接着剤層の表面は、非粘着性である。
【0034】
「オレフィンブロックコポリマー」又は「OBC」という用語は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーであり、エチレンと、重合した形態の1つ又は複数の共重合可能なα-オレフィンコモノマーを包含し、化学的又は物理的特性が異なる2つ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメントを特徴とする。いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは次の式で表すことができる。
【0035】
(AB)
【0036】
式中、nは少なくとも1であり、好ましくは1より大きい、例えば2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれ以上の整数である。「A」はハードブロック又はセグメントを表し、「B」はソフトブロック又はセグメントを表す。好ましくは、A及びBは、実質的に分岐した又は実質的に星形の様式ではなく、実質的に直線的な様式で結合される。他の実施形態では、Aブロック及びBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。つまり、ブロックコポリマーは通常、以下のような構造を有さない。
【0037】
AAA-AA-BBB-BB
【0038】
さらに他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロックを有さない。さらに他の実施形態では、ブロックA及びブロックBのそれぞれは、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。換言すれば、ブロックAもブロックBも、ブロックの残りの部分とは実質的に異なる組成を有する先端セグメント等、異なる組成の2つ以上のサブセグメント(又はサブブロック)を含まない。
【0039】
好ましくは、エチレンはブロックコポリマー全体の大部分のモル分率を構成し、すなわちエチレンはポリマー全体の少なくとも50モル%を構成する。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、又は少なくとも80モル%を構成し、ポリマー全体の実質的な残りは、好ましくは3個以上の炭素原子を有するアルファオレフィンである少なくとも1つの他のコモノマーを含む。多くのエチレン-オクテンブロックコポリマーにとって、好ましい組成は、ポリマー全体の80モル%を超えるエチレン含有量と、ポリマー全体の10~15モル%、好ましくは15~20モル%のオクテン含有量とを含む。
【0040】
オレフィンブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを包含する。「ハード」セグメントは、エチレンが92モル%~99モル%、96モル%~98モル%、又は95モル%~98モル%の量で存在する重合単位のブロックである。換言すれば、ハードセグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)は、1モル%~8モル%、2モル%~5モル%、又は2モル%~4モル%である。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が10モル%~15モル%、10モル%~13モル%、又は11モル%~12モル%である重合単位のブロックである。換言すれば、エチレン含有量は、85モル%~90モル%、86モル%~89モル%、又は87モル%~88モル%である。少なくとも0.5モル%の差は統計的に有意である。ハードセグメントは、ブロックコポリマーの20重量%~45重量%、好ましくは25重量%~40重量%、より好ましくは30重量%~40重量%の量でOBC中に存在することができ、ソフトセグメントは、残りを構成する。ソフトセグメントの重量%及びハードセグメントの重量%は、DSC又はNMRから得られるデータ、及びそこから計算されるモル%に基づいて計算することができる。こうした方法及び計算は、例えば、米国特許第7,608,668号(表題「エチレン/α-オレフィンブロックインターポリマー」、2006年3月15日出願、ダウ・グローバル・テクノロジーズ社、コリン・L・P・シャン、ロニー・ハズリットら)に開示されており、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。特に、ハードセグメント及びソフトセグメントの重量%及びコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄から第63欄に記載されているように決定されてよい。
【0041】
オレフィンブロックコポリマーは、好ましくは直線状に結合した2つ以上の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダント又はグラフト様式ではなく、重合したエチレン官能基に関して端と端で結合した化学的に区別された単位を含むポリマーである。一実施形態では、ブロックは、組み込まれるコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度、こうした組成のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性(アイソタクチック又はシンジオタクチック)の種類若しくは程度、領域規則性若しくは領域不規則性、分岐(長鎖分岐又は超分岐を包含する)の量、均質性又は他の化学的若しくは物理的特性が異なる。逐次モノマー添加、フラクショナル触媒、又はアニオン重合技術によって製造されるインターポリマーを包含する、従来技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明のOBCは、一実施形態では、調製に使用される複数の触媒と組み合わせたシャトリング剤の効果に起因する、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn又はMWD)、ブロック長分布、及び/又はブロック数分布の両方の独特の分布を特徴とする。
【0042】
一実施形態では、OBCは連続プロセスで製造され、1.7~3.5、又は1.8~3、又は1.8~2.5、又は1.8~2.2の多分散指数PDIを有する。バッチ又はセミバッチプロセスで製造される場合、OBCは1.0~3.5、又は1.3~3、又は1.4~2.5、又は1.4~2のPOIを有する。
【0043】
さらに、オレフィンブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなくシュルツ-フローリー分布に適合するPDIを有する。現在のOBCは、多分散ブロック分布とブロックサイズの多分散分布の両方を有する。これにより、改良された識別可能な物理的特性を有するポリマー製品が形成される。多分散ブロック分布の理論上の利点は、ポテムキン、Physical Review E(1998)57(6)、第6902頁~6912頁、及びドブリニン、J.Chem.Phvs.(1997)107(21)、第9234~9238頁で以前にモデル化及び議論されている。
【0044】
一実施形態において、本発明のオレフィンブロックコポリマーは、ブロック長の最も可能性の高い分布を有する。
【0045】
一実施形態において、オレフィンブロックコポリマーは、以下を有するものとして定義される:
(A)TREFを使用して分別した場合に40℃~130℃で溶出する分子画分であって、ブロックインデックスが少なくとも0.5~1であり、分子量分布Mw/Mnが1.3超過であることを特徴とする分子画分;及び/又は
(B)平均ブロックインデックスは0より大きく1.0までであり、分子量分布Mw/Mnが1.3超過である。ブロックインデックスは、米国特許第7,608,668号に詳細に記載されているように決定することができ、この目的のために参照により本明細書に組み込まれる。特性(A)~(B)を決定するための分析方法は、例えば、米国特許第7,608,668号、31欄26行~35欄44行に開示されており、この目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
本発明のOBCの調製に使用するのに適したモノマーとしては、エチレン及びエチレン以外の1つ以上の付加重合性モノマーが挙げられる。適切なコモノマーの例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、及び1-エイコセン等の炭素原子3~30、好ましくは3~20の直鎖又は分枝鎖のα-オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン等の炭素原子3~30、好ましくは3~20のシクロオレフィン;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、及び5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン等のジオレフィン及びポリオレフィン;並びに3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、及び3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンが挙げられる。
【0047】
オレフィンブロックコポリマーは、0.850g/cc~0.880g/cc又は0.850g/cc~0.879g/ccの密度を有する。一実施形態において、オレフィンブロックコポリマーは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)で測定して5g/10分~1000g/10分、又は15g/10分~50g/10分、又は20g/10分~40g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。オレフィンブロックコポリマーは、配合物の総重量に基づいて10重量%~45重量%、好ましくは15重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~35重量%の量で存在する。オレフィンブロックコポリマーは、15,000~100,000g/mol又は好ましくは20,000~75,000g/molのMwを有する。オレフィンブロックコポリマーは、DSCで測定して、60℃~115℃、80℃~110℃、又は90℃~105℃のTmを有する。オレフィンブロックコポリマーはまた、DSCで測定して、45℃~100℃、60℃~90℃、又は70℃~80℃のTcを有する。いくつかの実施形態では、オレフィンブロックコポリマーの全結晶化度は5重量%~30重量%、好ましくは10重量%~25重量%、より好ましくは15重量%~20重量%である。オレフィンブロックコポリマーは、米国特許第7,858,706号で記載されているような連鎖往復プロセスを介して製造され、この特許は参照により本明細書に組み込まれる。特に、適切な連鎖往復剤及び関連情報は、第16欄の39行目から第19欄の44行目に列挙されている。適切な触媒は第19欄の45行目から第46欄の19行目に記載されており、適切な助触媒は第46欄の20行目から第51欄の28行目に記載されている。このプロセスは文書全体で説明されているが、特に51列29行目から54列56行に記載されている。このプロセスは、たとえば次の文献にも記載されている:米国特許第7,608,668号;米国特許第7,893,166号;並びに米国特許第7,947,793号及び米国特許出願公開第2010-0197880号に記載されている。
【0048】
オレフィンブロックコポリマーは、オレフィンランダムコポリマー又はインターポリマーとは異なる。エチレン/α-オレフィンコポリマーは、第1の均一分岐ランダムエチレン/α-オレフィンコポリマーと第2の均一分岐ランダムエチレン/α-オレフィンコポリマーとを含む。「ランダムコポリマー」又は「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーが不均一な順序で配置されているコポリマーを意味する。「ランダムコポリマー」及び「インターポリマー」という用語は、特にブロック、OBC、コポリマーを除外する。エチレンポリマーを説明するために使用される「均質なエチレンポリマー」という用語は、エルストンによる米国特許第3,645,992号における最初の開示に従って従来の意味で使用され、その開示は参照により本明細書に組み込まれるが、コモノマーが所与のポリマー分子内にランダムに分布し、実質的にすべてのポリマー分子が実質的に同じエチレン対コモノマーのモル比を有するエチレンポリマーを指す。
【0049】
コンタクト接着剤は、ポリプロピレンベースのポリマー又はワックスを本質的に含まないことが重要である。典型的なポリマーは、約10,000ダルトンを超える重量平均分子量(Mw)を有し、典型的なワックスは、約10,000ダルトン未満のMwを有する。特定の理論に束縛されるものではないが、コンタクト接着剤にポリプロピレンベースのポリマーを添加すると結晶化が起こり、これにより長時間にわたってべたつきが低下する。
【0050】
別の実施形態では、コンタクト接着剤は、10,000ダルトンを超える重量平均分子量を有する他のポリマーを本質的に含まない。これにより、べたつきが低下し、及び/又は塗布温度で粘度が増加する。
【0051】
コンタクト接着剤は、軟質ワックスの混合物も含む。ワックス混合物は、軟質ポリエチレンワックスと軟質フィッシャー・トロプシュワックスの組合せである。ワックスは、個別に及び混合物として、ASTM D1321に従って測定して25℃で約5dmm以下、好ましくは約4dmm以下、最も好ましくは約3dmm以下の針入硬度値を有する。
【0052】
ワックスの滴点(ASTM D3954に従って測定)は、個別に又は混合物として、約60~160℃、好ましくは約80~120℃である。ワックスの重量平均分子量(Mw)は、個別に又は混合物として、約200~約7000ダルトンの範囲である。ワックスは、接着剤の総重量に基づいて約0.5~約15重量%のレベルで添加される。
【0053】
コンタクト接着剤には、可塑剤も添加される。適切な可塑剤としては、エステル又はポリオキシアルキレンが挙げられ、薬用ホワイトオイル、ナフテン系、脂肪族又は芳香族鉱油、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレン及び/又はポリブタジエンオリゴマーが特に適切である。水素化可塑剤は、例えば、パラフィン系炭化水素油の群から選択される。特に、ホワイトオイル、鉱油、ポリイソブチレン及び水素化炭化水素が適している。約200~5000g/モルの分子量を有する可塑剤が好ましい。長期間安定して保存するためには、沸点が200℃以上の可塑剤が好ましい。可塑剤の量は15重量%以下、特に約3~約10%であるべきである。
【0054】
コンタクト接着剤は、粘着付与樹脂をさらに含む。粘着付与樹脂は接着力を高め、接着剤中の様々な成分の混和性と相溶性を改善する。それは一般に、接着剤の総重量に基づいて、約20~約70重量%、特に約25~約60重量%の量で使用される。
【0055】
適した粘着付与樹脂としては、芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂、及び変性又は水素添加された天然樹脂が挙げられる。例えば、テルペンのコポリマー等のテルペン樹脂;変性天然樹脂、例えばガムロジン、トール油ロジン又はロジンからの樹脂酸、場合によりヒドロカルビル及びそのエステル;スチレン-アクリル酸コポリマー、エチレン、アクリル酸エステル及び無水マレイン酸のコポリマー等のアクリル酸コポリマー;あるいはあるいは機能性炭化水素樹脂をベースとした樹脂が挙げられる。粘着付与樹脂としては、上述のエチレン/プロピレン-α-オレフィンポリマーからなる低分子量反応生成物が適している。適切なオレフィンポリマーの樹脂等の分子量は通常2000g/mol未満であり、軟化点は80~140℃(ASTM法E28)である。特に好ましい樹脂は、完全に若しくは部分的に水素化された炭化水素樹脂、又はロジン及びトール油ロジンをベースとする天然樹脂である。
【0056】
コンタクト接着剤は、安定剤、カップリング剤、酸化防止剤、充填剤及び/若しくは顔料又は他のポリマーを包含する任意成分を含む。添加剤の量は約0.01~約30重量%の範囲である。
【0057】
本発明のコンタクト接着剤は、既知の方法により、溶融物中で混合することにより調製される。この場合、すべての成分を同時に加熱して均質化することもでき、又は容易に溶融する成分を最初に加えて混合し、次にさらなる樹脂成分を加える。コンタクト接着剤を押出機で連続的に製造することも可能である。
【0058】
コンタクト接着剤は、165.6℃(330°F)で測定して500~20,000mPas、好ましくは300~10,000mPasの粘度を有する(ブルックフィールド、EN ISO2555、示された温度で測定)。
【0059】
塗布されるコンタクト接着剤の厚さは、例えば約2~約150ミクロン(2~150g/m)である。特に、コンタクト接着剤の厚さは75ミクロン未満である必要がある。接着剤は、約250~約350°Fの溶融状態で所定の基材に塗布してよく、冷却すると、コンタクト接着剤は非粘着性となる。次いで、コンタクト接着剤が塗布された基材を、この塊状でない(非粘着性の)形態で保管してよい。
【0060】
本発明のコンタクト接着剤は、塗布時に基材への接着性のバランスをとり、凝集特性を維持し、輸送及び保管段階を通じて塊状にならず、基材を完全に接着するエージング条件の後でも強い凝集力を維持する。
【0061】
この状態で、コンタクト接着剤層はその凝集特性を失うことなく保管されることになる。接着は、同じコンタクト接着剤を有する別の基材に押し付けることによって後で達成される。接着のために、本発明によるコンタクト接着剤層を有するコーティングされた基材は、第2の基材とともに互いに押し付けられるが、これはまた、接着される本体上に対応するコンタクト接着剤層を有していなければならない。プレスは、例えば手で軽い圧力で行ってよい。
【0062】
接着剤は、保管及び輸送中に接着強度を維持する。板紙と紙の接合領域の表面積が増加すると、接着強度も増加する。二酸化炭素排出量を最小限に抑えるには、ブリスターパックの形成に使用する基材を最小限にする必要がある。本発明のコンタクト接着剤は、特に板紙基材及び紙基材上において、約1ミル~約1.5ミルでコーティングされた1インチ×1インチの正方形の領域に基づいて、7、8、9、又は10重量ポンド毎平方インチ(ポンド/インチ)超過の接着強度を維持することができる。この即時剪断強度は、板紙基材と紙基材とを接着するために単なる手の圧力によって形成され、少なくとも約10ポンド/インチ、好ましくは少なくとも約11、12、13、14又は15ポンド/インチである。コンタクト接着剤の強度と最小限の基材量により、環境に優しいブリスターパックが提供される。包装されたブリスターパックは輸送中に移動することが少なく、パック及び/又は同じ容器内の他の内容物への損傷を最小限に抑えることができる。ブリスターパックの輸送中の損傷を軽減するための、容器内の追加の緩衝材を最小限に抑えることができる。
【0063】
さらに、せん断強度が約30、25又は20ポンド/インチ未満であるため、消費者がブリスターパックから紙基材又は板紙基材を開梱又は取り外すことは簡単である。板紙及び紙はリサイクルでき、廃棄物を最小限に抑えることができる。
【0064】
瞬間コンタクト接着剤でコーティングされた基材は保管可能である。製造及び冷却後すぐに瞬間コンタクト接着剤を使用して基材を積層することが可能である。本発明のコンタクト接着剤層が相互に支持されるのではなく、コンタクト接着剤なしで他の基材層に対して支持されることを保証することが重要である。本発明のコンタクト接着剤層は非粘着性であるため、積層された基材のコンタクト接着剤による貼り付きやブロッキングは観察されない。後で使用するときは、簡単に互いに分離できる。基材はコンタクト接着剤から簡単に分離することができるため、非粘着性の事前省スペース保管が可能である。
【実施例
【0065】
表1は、本発明のコンタクト接着剤の成分を記載する(実施例)。成分を加熱下で均質化した。均質化するとコンタクト接着剤は透明な白色であった。
【0066】
【表1】
【0067】
コーティングされた基材に対するコンタクト接着剤の耐ブロッキング性を測定するために、厚さ1.5ミルの実施例1のコンタクト接着剤をクラフト紙上に塗布し、冷却した。第2のコーティングしていないクラフト紙を冷却した接着剤の上に置き、そのスタックの上に1kgの重りを置いた。これを相対湿度84%、72°Fのチャンバー内に72時間保管した。72時間の終了時に、コーティングしていないクラフト紙を、接着剤でコーティングしたクラフト紙から手で剥がし、前者を、接着剤が第2のコーティングしていないクラフト紙に接着するかどうかを調べるために検査した。実施例の第2のコーティングしていないクラフト紙では繊維の付着のみが観察され、繊維の汚染物のみが接着剤上に見え、コンタクト接着剤はブロッキングしていないことを示した。
【0068】
実施例1のコンタクト接着剤をクラフト紙上に330°Fで塗布した後、装置を冷却した。冷却した接着剤の上に第2のコーティングしていないクラフト紙を置き、そのスタックの上に1kgの重りを置くことによって、耐ブロッキング性試験を実施した。140°Fでのブロッキングでは、第2のコーティングしていないクラフト紙で繊維の付着が観察された。これは、繊維の汚染物のみが接着剤上に見えたことを意味する。また、コーティングしていないクラフト紙には油汚れは見られなかった。次いで、実施例の試料のコーティングされた接着剤を、2.3kgのローラープレスを用いて互いに押し付けた。次に基材を引き離したところ、平均繊維引裂き率は92%であった。
【0069】
【表2】
【0070】
装置を、1インチ×4インチのクラフト紙基材(基材A)と1インチ×4インチの段ボール板紙基材(基材B)を使用して作成した。以下に示すように、1インチ×1インチの接着が重なり、3インチの各基材が突き出すように、実施例1のコンタクト接着剤を、300~320°Fで基板Bの一端の1インチ×1インチの領域、基板Aの1インチ×1インチの領域に、1ミル又は1.5ミルのいずれかで塗布した。
【0071】
装置を室温で24時間放置した。約1インチのサイズを有するマスキングテープを装置の両端(接着されていない端)に貼り付けた。各マスキングテープの端をシンテック/インストロンに固定し、各端を180°の角度で、1インチ/分で引っ張り、接着のせん断強度を測定した。平均して、1インチ×1インチ試料のせん断接着力は約13~約19ポンド/インチの範囲であった。
【0072】
【表3】
【0073】
当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に記載される特定の実施形態は、例としてのみ提供されており、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語及びこうした特許請求の範囲に権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定されるものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図1A図1Aは、環境に優しいブリスターパックの概略図である。
図1B図1Bは、包装された環境に優しいブリスターパックの概略図である。
図2A図2Aは、包装された環境に優しいブリスターパックの写真である。
図2B図2Bは、最小限の紙基材で包装された環境に優しいブリスターパックの写真である。
図3図3は、1インチ×1インチの重なりと各基材の3インチの突き出しを示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
図1において、紙基材100は2つの表面を有し、物品に面する1つの表面はコンタクト接着剤110でコーティングされている。コンタクト接着剤は予め塗布されていてもよい。板紙基材300は2つの表面を有し、物品に面する1つの表面はコンタクト接着剤310でコーティングされている。ここでも、コンタクト接着剤は予め塗布されてもよい。物品200は2つのコンタクト接着剤の間に固定されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
1Bは、物品200が板紙300と紙基材100との間に固定された包装状態を示す。コンタクト接着剤が互いに接触する領域400のみが接着を実現する。片面のみにコンタクト接着剤を有する箇所、又はコンタクト接着剤同士が接触していない箇所には接着力がない。紙と板紙が接触しないため、物品周囲との接着がない。物品は固定され、動かないが、コンタクト接着剤による物品への接着やべたつきはない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
2Aはブリスター包装の写真である。物品200は円筒形であり、紙基材100と板紙基材300との間に固定される。物品は、板紙基材と紙基材からのコンタクト接着剤の領域400を合わせることによって固定される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
2Bは、コンタクト接着剤310が露出したブリスター包装の写真である。板紙基材300は、予め塗布されたコンタクト接着剤310を含有する。紙基材100は、同じコンタクト接着剤で板紙上に合わせられる。2つのコンタクト接着剤が合わせられる領域400は接着力を有し、円筒状物品200を固定する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
装置を、1インチ×4インチのクラフト紙基材(基材A)と1インチ×4インチの段ボール板紙基材(基材B)を使用して作成した。図3に示すように、1インチ×1インチの接着が重なり、3インチの各基材が突き出すように、実施例1のコンタクト接着剤を、300~320°Fで基板Bの一端の1インチ×1インチの領域、基板Aの1インチ×1インチの領域に、1ミル又は1.5ミルのいずれかで塗布した。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】追加
【補正の内容】
図3
【国際調査報告】