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特表2024-509512親水性ホットメルト接着剤及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】親水性ホットメルト接着剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/08 20060101AFI20240226BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20240226BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240226BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
C09J123/08
A41D13/11 Z
C09J11/08
C09J11/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550204
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 CN2021077150
(87)【国際公開番号】W WO2022174437
(87)【国際公開日】2022-08-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 ジンユ
(72)【発明者】
【氏名】フー、 ユーホン
(72)【発明者】
【氏名】リンドナー、 トーステン
(72)【発明者】
【氏名】アーデム、 グルテキン
【テーマコード(参考)】
3B211
4J040
【Fターム(参考)】
3B211CE00
4J040DA031
4J040DA051
4J040JB01
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA38
4J040MA10
4J040MB02
4J040NA05
4J040NA06
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、水濡れ性が改善された親水性ホットメルト接着剤組成物を提供する。親水性ホットメルト接着剤は、使い捨て不織布製品の製造に特に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約20~約90重量%のエチレン酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレンオクテン、エチレンプロピレン、エチレンブテンプロピレン、及びそれらの混合物から成る群から選択されるエチレンコポリマー;並びに
(b)(i)ASTM D-127に従って測定した約70℃~約140℃の融点、(ii)完全に飽和した直鎖C20~C50合成アルコール、(iii)ASTM E222に従って測定した100mg KOH/g未満の酸価、及び(iv)約400~約5000ダルトンの分子量、を有する約1~約25重量%の非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤;
を含む親水性ホットメルト接着剤組成物であって、
60℃で15日間エージングする前後の両方で、蒸留水に対するフィルム接触角が70度未満である、親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
(a)約30~約70重量%のエチレンコポリマー;及び
(b)約20重量%以下のエトキシル化界面活性剤;
を含み、
蒸留水に対して50度未満のフィルム接触角を示す、請求項1に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
エチレンコポリマーがエチレン酢酸ビニルである、請求項1に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
(c)約20~約70重量%の粘着付与剤、
(d)約20重量%以下の可塑剤、及び
(e)約3重量%以下の酸化防止剤、
をさらに含む、請求項1に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
前記粘着付与剤が、炭化水素樹脂、ロジンエステル樹脂、又はテルペン樹脂である、請求項4に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
前記炭化水素樹脂が、C5脂肪族樹脂、C9芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂,及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
前記ロジンエステル樹脂が、ロジン酸、ロジンエステル、水添ロジン樹脂、二量化ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、及びそれらの混合物である、請求項5に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
前記可塑剤が、ナフテン系油、パラフィン系油、植物油、動物油、オレフィンオリゴマー、及びそれらの誘導体から成る群から選択される、請求項4に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
(a)混合物を120℃~約190℃で混合し、(i)約20~約90重量%のエチレンコポリマー、(ii)1~約25重量%の非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤、(iii)約20~約70重量%の粘着付与剤、(iv)約20重量%以下の可塑剤、及び(v)約3重量%以下の酸化防止剤を含む溶融混合物を形成する工程、並びに
(b)前記溶融混合物をペレット化する又はブロックを形成することにより、親水性ホットメルト接着剤組成物を固化する工程、
を含む、親水性ホットメルト接着剤組成物の製造方法。
【請求項10】
(a)エチレンコポリマーが、エチレン酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレンオクテン、エチレンプロピレン、エチレンブテンプロピレン、及びそれらの混合物から成る群から選択され;
(b)非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤が、(i)ASTM D-127に従って測定した約70℃~約140℃の融点、(ii)完全に飽和した直鎖C20~C50合成アルコール、(iii)ASTM E222に従って測定した100mg KOH/g未満の酸価、及び(iv)約400~約5000ダルトンの分子量を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の親水性ホットメルト接着剤組成物、及びフィルム、不織布、木材、木材パルプ、セルロース、紙、ボール紙、ティッシュ又はコットンを含む基材を含む物品。
【請求項12】
マスク、ティッシュ、本、家具、フィルム、肉パッド、動物パッド、個人用保護具、断熱材、梱包材、家庭用ワイプである、請求項11に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性ホットメルト接着剤組成物及びその使用に関する。親水性ホットメルト接着剤は、水濡れ性を改善し、使い捨て不織布製品の製造に特に適している。
【背景技術】
【0002】
不織布は、断熱材、包装、家庭用ワイプ、手術用ドレープ、医療包帯、並びにおむつ、成人用失禁製品、及び生理用ナプキン等の使い捨て製品等、様々な用途に商業的に使用されている。
【0003】
前述の用途の多くでは、不織布を別の基材又は部品に接着する必要がある。第2の基材は、別の不織布、組織、又は無関係の材料であってもよい。アセンブリを接着するために一般的に使用される技術は、ホットメルト接着剤の使用である。ホットメルト接着剤は、水ベース又は溶剤ベースの接着剤系の場合のように蒸発工程が必要ないため、費用と時間の効率的な製造が可能である。適切なホットメルト接着剤は、関係する基材に対して優れた接着力を備えていなければならない。不織布の用途では、優れた柔軟性、汚れ又はにじみがないこと、適切な粘度、市販の装置で機能するためのセット速度及びオープンタイム、並びに許容可能な熱エージング特性も備えていなければならない。
【0004】
国際公開第00/00229号(リンドナーら)は、耐油性、親水性接着剤を含む衛生物品を開示している。しかしながら、接着剤の配合又はその耐久性は開示されていない。米国特許第6,380,292号(ボスティック)は、様々な接着剤成分を界面活性剤とブレンドすることによって調製される、不織使い捨て物品に適した親水性ホットメルト接着剤組成物を開示している。
【0005】
ホットメルト接着剤は、液体を不織布基材から超吸収性基材又は毛羽(fluff)コア基材に伝達する能力を有することが望ましい。この特性は、不織布が濡れた後、できるだけ早く水分を身体から引き離して吸収性コアに入れることが望まれる、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、及びベッドパッドの構造において重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/00229号
【特許文献2】米国特許第6,380,292号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水濡れ性が改善された親水性ホットメルト接着剤組成物を提供する。
【0008】
一態様では、本発明は、
(a)約20~約90重量%のエチレン酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレンオクテン、エチレンプロピレン、エチレンブテンプロピレン、及びそれらの混合物から成る群から選択されるエチレンコポリマー;並びに
(b)(i)ASTM D-127に従って測定した約70℃~約140℃の融点、(ii)完全に飽和した直鎖C20~C50合成アルコール、(iii)ASTM E222に従って測定した100mg KOH/g未満の酸価、及び(iv)約400~約5000ダルトンの分子量、を有する約1~約25重量%の非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤;
を含む親水性ホットメルト接着剤組成物であって、
60℃で15日間エージングする前後の両方で、蒸留水に対するフィルム接触角が70度未満である、親水性ホットメルト接着剤組成物を対象とする。
【0009】
別の態様では、本発明は、
(a)混合物を120℃~約190℃で混合し、(i)約20~約90重量%のエチレンコポリマー、(ii)1~約25重量%の非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤、(iii)約20~約70重量%の粘着付与剤、(iv)約20重量%以下の可塑剤、及び(v)約3重量%以下の酸化防止剤を含む溶融混合物を形成する工程、並びに
(b)前記溶融混合物をペレット化する又はブロックを形成することにより、親水性ホットメルト接着剤組成物を固化する工程、
を含む、親水性ホットメルト接着剤組成物の製造方法を対象とする。
【0010】
エチレンコポリマーは、エチレン酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレンオクテン、エチレンプロピレン、エチレンブテンプロピレン、及びそれらの混合物から成る群から選択される。非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤は、(i)ASTM D-127に従って測定した約70℃~約140℃の融点、(ii)完全に飽和した直鎖C20~C50合成アルコール、(iii)ASTM E222に従って測定した100mg KOH/g未満の酸価、及び(iv)約400~約5000ダルトンの分子量を有する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、上記の親水性ホットメルト接着剤組成物と、フィルム、不織布、木材、木材パルプ、セルロース、紙、ボール紙、ティッシュ、綿、超吸収性粒子等を含む基材と、を含む物品に関する。物品としては、使い捨て吸収性物品、マスク、ティッシュ、本、家具、フィルム、肉パッド、動物パッド、個人用保護具、断熱材、包装、家庭用ワイプ等が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、定義を含む本明細書が優先される。好ましい方法及び材料を以下に説明するが、本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を本開示の実践又は試験に使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的とするものであり、限定することを意図したものではない。
【0013】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「含む」という用語には、「~から成る」及び「本質的に~から成る」という実施形態が包含されてよい。本明細書で使用される「含む」、「包含する」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる」、「含有する」という用語、及びその変形は、指定された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容する、制限のない移行句、用語、又は単語であることを意図している。しかしながら、こうした記載は、組成物又は方法を、列挙された成分/工程「から成る」及び「本質的にから成る」とも記載しているものと解釈されるべきであり、これは、指定された成分/工程と、そこから生じる可能性のある不純物の存在のみを許可し、他の成分/工程は除外する。
【0014】
本出願の明細書及び特許請求の範囲における数値は、特にポリマー又はポリマー組成物に関する場合、異なる特性の個々のポリマーを含有してよい組成物の平均値を反映する。さらに、特に断りのない限り、数値は、同じ有効数字に換算した場合に同じ数値、及び本出願に記載される種類の従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載された値と異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0015】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙された終点を包含し、独立して組み合わせることができる(例えば、「2~10」の範囲には、終点2と10、及び全ての中間値が包含される)。本明細書に開示される範囲の終点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されない。これらは、これらの範囲及び/又は値に近似する値を包含するには十分に不正確である。本明細書で使用されるように、近似言語は、関連する基本機能の変更をもたらすことなく、変化する可能性のある任意の定量的表現を修正するために適用されてよい。したがって、「約」等の用語によって修飾された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応してよい。修飾語「約」も、2つの終点の絶対値によって定義される範囲を開示するとみなされる必要がある。例えば、「約2~約4」という表現は、「2~4」の範囲も開示する。「約」という用語は、示された数値のプラス又はマイナス10%を指してよい。例えば、「約10%」は9%~11%の範囲を示してよく、「約1」は0.9~1.1を意味してよい。「約」の他の意味(四捨五入等)は文脈から明らかであり、例えば「約1」は0.5~1.4を意味してよい。
【0016】
本発明の衛生用品の特に好ましい態様は、使い捨て吸収性物品である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「吸収性物品」という用語は、体滲出液を吸収し収容する装置を指し、より具体的には、使用者の身体から排出される様々な滲出液を吸収し収容するために使用者の皮膚に対して配置される装置を指す。使い捨て吸収性物品の例としては、生理用ナプキン及びパンティライナー等の女性用衛生衣類、おむつ、成人用失禁用具、おむつホルダー、トレーニングパンツ等が挙げられる。
【0018】
「使い捨て」という用語は、本明細書では、一度使用した後、洗濯又は他の方法で衛生物品として修復又は再利用することを意図していない衛生物品を説明するために使用される。
【0019】
使い捨て吸収性物品は、通常、液体透過性トップシート、トップシートに接合された液体不透過性バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性コアを含む。
【0020】
トップシートは液体透過性であり、液体(例えば、月経及び/又は尿)がその厚さを通して容易に浸透することができる。適切なトップシートは、織布材料及び不織材料(例えば、繊維の不織ウェブ)などの広範囲の材料から製造され得る。適切なトップシートは、織布材料及び不織材料(例えば、繊維の不織ウェブ);孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム、及びハイドロフォーミング熱可塑性フィルム等のポリマー材料;多孔質フォーム;網状フォーム;網状熱可塑性フィルム;及び熱可塑性スクリム等の広範囲の材料から製造されてよい。適切な織布及び不織布材料は、天然繊維(例えば、木材又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、若しくはポリエチレン繊維等のポリマー繊維)、又は天然繊維と合成繊維の組み合わせから構成することができる。トップシートが不織ウェブを含む場合、ウェブは多数の既知の技術によって製造されてよい。例えば、ウェブは、スパンボンド、カード、ウェットレイド、メルトブローン、水流交絡、これらの組み合わせ等であってもよい。
【0021】
一般に、吸収性コアは、液体(例えば、月経、尿、及び/又は他の体滲出液)を吸収又は保持することができる。吸収性コアは、多種多様なサイズ及び形状(例えば、長方形、楕円形、砂時計形、「T」字形、ドッグボーン形、非対称形等)で製造されてよい。本発明の吸収性複合材料に加えて、吸収性コアは、吸収性物品に一般的に使用される多種多様な液体吸収性材料のいずれかを包含されてよい。
【0022】
バックシートは、液体(例えば、月経及び/又は尿)に対して不浸透性であり、好ましくは薄いプラスチックフィルムから製造されるが、他の柔軟な液体不浸透性材料も使用されてよい。バックシートは、吸収性コアに吸収されて含有される滲出液が、ベッドシーツ、パンツ、パジャマ、及び下着等の吸収性物品に接触する物品を濡らすのを防ぐ。したがって、バックシートは、織布又は不織布材料、ポリエチレン又はポリプロピレンの熱可塑性フィルム等のポリマーフィルム、あるいはフィルムでコーティングされた不織布材料等の複合材料を含んでもよい。適切なバックシートは、約0.012mm(0.5ミル)~約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有するポリエチレンフィルムである。バックシートは、より布地のような外観を提供するために、好ましくはエンボス加工及び/又はマット仕上げされる。さらに、バックシートは、滲出液がバックシートを通過するのを防ぎながらも、吸収性コアから蒸気を逃がす可能性がある(すなわち、バックシートは通気性がある)。バックシートのサイズは、吸収性コアのサイズ及び選択された正確な吸収性物品の設計によって決定される。
【0023】
バックシート及びトップシートは、それぞれ吸収性コアの衣服表面及び身体表面に隣接して配置される。吸収性コアは、当技術分野で周知のものなどの取り付け手段によって知られる任意の方法で、トップシート、バックシート、又はその両方と結合されることが好ましい。しかしながら、本発明の実施形態では、吸収性コア全体の一部がトップシート、バックシート、又はその両方に取り付けられていないことが想定される。
【0024】
例えば、バックシート及び/又はトップシートは、接着剤の均一な連続層によって吸収性コアに、または相互に固定されてもよい。本発明の使い捨て吸収性物品の効率的な製造を可能にするために、本発明にはホットメルト接着剤が好ましい。接着剤は、パターン化された接着剤層、又は接着剤の別個の線、螺旋、又は点の配列内にある。フィラメントの開放パターンネットワークの例示的な取り付け手段は、螺旋パターンに渦巻き状に巻かれた接着フィラメントの数本のラインを含む。あるいは、取り付け手段は、当技術分野で知られている熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械接着、若しくは他の任意の適切な取り付け手段又はこれらの取り付け手段の組み合わせを含んでもよい。
【0025】
ホットメルト接着剤は、関連する基材に対して中程度~優れた接着力を備えていなければならない。従来のホットメルト接着剤は、本質的に疎水性である。それらは、典型的に、上層とコアとの間に障壁を提供し、水分、水、血液、尿、月経等の親水性物質がコアに流入するのを妨げる。本発明の親水性ホットメルト接着剤は、接触角が低いため、トップシートから超吸収性コア又は毛羽コア基材への水性材料の透過を促進する。親水性ホットメルト接着剤は、物品の異なる層又は構成要素の間、例えばトップシートと獲得層の間、獲得層と吸収性コアの間、又は吸収性材料とトップコアラップ層の間の建築用接着剤として使用してよい。本発明のホットメルト接着剤は、トップシート上に存在してよい、又は介護者によって使用される典型的なスキンケアローションとも適合性がある。
【0026】
親水性ホットメルト接着剤組成物は、
(a)約20~約90重量%のエチレン酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレンオクテン、エチレンプロピレン、エチレンブテンプロピレン、及びそれらの混合物から成る群から選択されるエチレンコポリマー;並びに
(b)(i)ASTM D-127に従って測定した約70℃~約140℃の融点、(ii)完全に飽和した直鎖C20~C50合成アルコール、(iii)ASTM E222に従って測定した100mg KOH/g未満の酸価、及び(iv)約400~約5000ダルトンの分子量、を有する約1~約25重量%の非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤;
を含む。
【0027】
この組成物は、60℃で15日間エージングする前後の両方で、蒸留水に対するフィルム接触角が70度未満を示す。
【0028】
親水性ホットメルト接着剤のポリマーはエチレンコポリマーである。エチレンコポリマーは、エチレン酢酸ビニル、エチレンn-ブチルアクリレート、エチレンオクテン、エチレンプロピレン、エチレンブテンプロピレン、又はそれらの混合物であってよい。エチレンモノマーの含有量はコポリマーの3重量%程度であってもよい。しかしながら、エチレンホモポリマーは、親水性ホットメルト接着剤にとって好ましいポリマーではない。
【0029】
エチレンコポリマーは、親水性接着剤組成物中に約20重量%~約90重量%、好ましくは約30重量%~約70重量%の量で存在する。
【0030】
親水性ホットメルト接着剤の非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤は、固体のポリマー添加剤及び湿潤剤である。それは、約400~約5000ダルトン、好ましくは約500~約3000ダルトンの範囲の高分子量を有する。エトキシル化界面活性剤の融点は、70~約120℃、好ましくは約80~約100℃、より好ましくは約85~約95℃の範囲である。エトキシル化界面活性剤は、完全に飽和した長い直鎖C20~C50の合成アルコールである。この長いポリマー鎖により、接着剤のポリマー系への組み込みが容易になり、その熱安定性が大幅に向上する。ポリマー乳化剤はバルク強度を提供し、良好な湿潤特性を可能にする。エトキシル化界面活性剤ポリマー乳化剤は、20未満の親水性親油性バランス(HLB)数を有し、得られる接着剤の接触角が70°以下、好ましくは約50°未満となるように組み込まれる。
【0031】
非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤は、従来の非イオン性エトキシレートアルコール及びフェノールとは異なる。従来の非イオン性エトキシレートアルコール及びフェノールはR(OCOHに変換される(nの範囲は1~10である)。これらは低分子量の乳化剤であり、鎖が短く、融解温度がはるかに低く、典型的に周囲温度で融解する。これらの従来の低分子量非イオン性材料としては、クローダのアトメル688が挙げられ、国際公開第97/48779号及び米国特許第6380292号に記載されているが、低い接触角を提供していない。したがって、従来の非イオン性エトキシレートアルコール及びフェノールは非常に移動しやすく、ポリマーマトリックス中で安定化することができない。その結果、それらは室温でもポリマーマトリックスの表面に容易に移動し、マトリックスから相分離する。さらに、系内でのそれらの運動性を考慮すると、接触角を減少させる能力は不安定であり、持続時間が短い。逆に、高分子量、長鎖、及び高融点を有する非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤を添加すると、ポリマーマトリックスに安定性がもたらされ、その結果、加速されたエージング試験後の接触角の変化から明らかなように、接触角の減少は一貫して耐久性がある。
【0032】
非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤は、親水性接着剤組成物中に約1重量%~約25重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%の量で存在することができる。
【0033】
エトキシル化界面活性剤は、接着剤の施工性能に悪影響を及ぼさないように、ホットメルト接着剤に使用される他の原料と適度に適合しなければならない。一方、エトキシル化界面活性剤は、接触角を下げて接着剤の親水性を高めるために、接着剤の表面に「ブルーム」する必要がある。したがって、互換性の微妙なバランスを維持する必要がある。したがって、互換性の微妙なバランスを維持する必要がある。
【0034】
親水性接着剤には、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤等の任意の成分をさらに添加してもよい。
【0035】
接着剤組成物において有用な粘着付与樹脂は、炭化水素樹脂、合成ポリテルペン、ロジンエステル、天然テルペン等であり得る。より具体的には、特定のベースポリマーに応じて、有用な粘着付与樹脂には、(1)天然ロジン及び変性ロジン、例えばガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、及び重合ロジン等;(2)天然ロジン及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリスリトールエステル、例えば、ペールウッドロジンのグリセリンエステル、水添ロジンのグリセリンエステル、重合ロジンのグリセリンエステル、水添ロジンのペンタエリスリトールエステル、ロジンのフェノール変性ペンタエリスリトールエステル;(3)天然テルペンのコポリマー及びターポリマー、例えば、スチレン/テルペン及びαメチルスチレン/テルペン;(4)ASTM法E28-58Tにより測定される軟化点が約80℃~150℃であるポリテルペン樹脂;後者のポリテルペン樹脂は、一般に、ピネンとして知られる二環式モノテルペン等のテルペン炭化水素を、適度に低い温度でフリーデルクラフト触媒の存在下で重合させることによって得られる;水素化ポリテルペン樹脂も包含される;(5)フェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体、例えば、酸性媒体中での二環式テルペンとフェノールの縮合から得られる樹脂生成物;(6)約70℃~135℃のボールアンドリング軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;後者の樹脂は、主にオレフィンとジオレフィンからなるモノマーの重合から得られる;水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も包含される;(7)芳香族石油炭化水素樹脂及びその水素添加誘導体;並びに(8)脂環式石油炭化水素樹脂及びその水素添加誘導体;等の任意の相溶性樹脂又はそれらの混合物が包含されてよい。いくつかの配合物には、上記の粘着付与樹脂の2つ以上の混合物が必要な場合がある。
【0036】
粘着付与剤は接着剤の約70%以下を構成してもよいが、一般に約20~50重量%の量で使用される。
【0037】
接着強度、接着剤の使用温度、及び接着剤の親水性を実質的に低下させることなく所望の粘度制御を提供するために、本発明の組成物中に接着剤の総重量に基づいて、約20重量%以下の、好ましくは約10重量%以下の量で可塑剤を存在させることができる。適切な可塑剤は、鉱物油、ナフテン系、パラフィン系、ガス・トゥ・リキッド(GTL)油等の通常の可塑化油だけでなく、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、並びに植物油及び動物油及びその誘導体を含む群から選択されてよい。使用してよい石油由来の油は、芳香族炭化水素を少量しか含有しない比較的高沸点の物質である。この点に関して、芳香族炭化水素は、好ましくは油の30重量%未満、より具体的には15重量%未満であるべきである。あるいは、油は完全に非芳香性であってもよい。オリゴマーは、約350~約10,000の平均分子量を有するポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ブタジエン等であってもよい。適切な植物油及び動物油としては、通常の脂肪酸のグリセロールエステル及びその重合生成物が挙げられる。本発明において有用である可塑剤は、任意の数の異なる可塑剤であり得るが、本発明者らは、ウィトコによって製造されるケイドル等の鉱油が本発明において特に有用であることを発見した。ベルシコル製のジプロピレングリコールジベンゾエートであるベンゾフレックス9-88も適切な可塑剤であることがわかっている。シェルのガス・トゥ・リキッド油であるリサラX409も可塑剤として適している。理解されるように、可塑剤は、典型的には、接着剤の接着強度及び/又は使用温度を実質的に低下させることなく、接着剤組成物全体の粘度を低下させるために使用されてきた。可塑剤の選択は、特定の最終用途(湿潤強度強化コア用途等)の設計に有用である。
【0038】
本明細書に包含されてよい適用可能な安定剤又は酸化防止剤の中には、高分子量ヒンダードフェノール並びに硫黄及びリン含有フェノール等の多官能性フェノールがある。代表的なヒンダードフェノールとしては、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4´-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4´-チオビス(6-tert-ブチル-o-クレゾール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート;2-(n-オクチルチオ)-エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及びソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。使用する場合、安定剤は約0.1~3重量%のレベルで存在する。
【0039】
ホットメルト組成物の特定の特性を改変するために、任意の添加剤をホットメルト組成物に組み込んでよい。これらの添加剤には、ワックス、二酸化チタン等の着色剤、タルク及び粘土等の充填剤が包含されてよい。
【0040】
水、尿、又は他の水ベースの排出物が「ビーズ状になる」のではなく「湿潤する」ように、接触角が低いことが望ましく、その結果、流体がコア内に誘導され、トップシートから離れることになる。接着剤の親水性は、後述する接着剤の接触角の測定により定量化することができる。本発明の吸収性物品に適するためには、接着剤は蒸留水に対する接触角が70°未満、より好ましくは50℃未満でなければならない。
【0041】
本発明の親水性ホットメルト接着剤組成物は、当技術分野で知られている技術を使用して製剤化されてよい。例示的な手順は、全てのポリマー、界面活性剤、粘着付与剤、可塑剤及び安定剤をジャケット付き混合ケトル、好ましくはローターを備えたジャケット付き強力ミキサーに入れた後、温度を約120℃から約120℃~約190℃の範囲に上昇させることを包含する。樹脂が溶融した後、温度を100~165℃に下げる。滑らかで均質な塊が得られるまで混合と加熱を続ける。
【0042】
親水性ホットメルト接着剤は、フィルム、不織布、セルロース若しくは合成繊維、又は超吸収性粒子を包含する様々な基材上に塗布されてよい。親水性ホットメルト接着剤は、特に不織布である第1の構成要素を収性吸物品の第2の構成要素(第2の不織布、セルロース繊維、超吸収性粒子、又はそれらの組合せであってよい)に接着するために使用されてよい。親水性ホットメルト接着剤は、その親水性により、物品の使用中に尿等の液体が1つの構成要素から次の構成要素に移動しやすくなり、これには数時間かかり、いくつかの液体の損傷(insults)をカバーする場合がある。親水性ホットメルト接着剤は、例えば、トップシートを獲得層に、獲得層を分配層に、獲得層又は分配層を吸収性コアに取り付けるために使用されてよく、トップシートを吸収性コアに直接的又は間接的に取り付け、コアラップ、特にコアラップの上側の内面も、本発明のホットメルト接着剤によって吸収層に取り付けられ、コアラップの表面から吸収層への液体の移動を促進し得る。吸収層は、セルロース繊維と超吸収性粒子の混合物、又はセルロース繊維を実質的に含まない超吸収性粒子であってもよい。吸収層、特にセルロース繊維を含まない超吸収性粒子から成る吸収層は、本発明によるホットメルト接着剤によってコアラップ内に固定されてもよい。
【0043】
親水性ホットメルト接着剤組成物を、フィルム、不織布、木材、木材パルプ、セルロース、紙、ボール紙、ティッシュ、綿、超吸収性粒子等を包含する様々な基材上に塗布してよい。
【0044】
上で述べたように、得られる接着剤は、当技術分野で知られているように、広範囲の用途に使用されてよい。特に、接着剤は、少なくとも1つの液体透過性基材が少なくとも1つのティッシュ、不織布、ポリオレフィン又は他の柔らかいポリマーフィルム基材に接着される、マルチライン、スプレー、又はスロットコーティング構築技術を使用する使い捨て物品の組み立てに有用である。さらに、接着剤は、弾性材料をポリエチレン、ポリプロピレン、又は不織基材に接着して、それらに耐伸長性ギャザーを与えるのに有用である可能性がある。可塑剤を配合して得られる接着剤は、生理用ナプキン、紙おむつ、病院用ガウン、ベッドパッド等が挙げられるがこれらに限定されない様々な使い捨て用途の組み立て又は構築に使用されてよい。この接着剤は、端部又は周囲のシール等、需要の少ない使い捨て構造用途にも利用してよい。これらは、ワイプ、ティッシュ、ラベル、ペーパータオル、トイレットペーパー、家庭用ワイプ、個人用保護具、マスク、肉パッド、動物パッド、家具、及び他の消費者又は産業の最終用途、例えば、フィルム、断熱材等で使用されるような、ティッシュ及び/又はスクリーンで強化されたティッシュ層を積層又はコーティングするために使用されてもよい。接着剤は、様々な包装及びカートンの封止用途に効果的に利用してよい。また接着剤は、広範囲の製本作業、断熱材及び家具において複数のシートを結合するために使用されてよい。
【0045】
さらに、得られた接着剤は、基材の接触角を低減し、基材表面の親水性を向上するための親水性コーティングとしても使用できる。この親水性コーティングは、多くの用途を有する。このコーティングは、水滴を平らにし、ビーズの形成を防ぐために、あらゆる表面に防曇コーティングとして適用できる。別の例では、コーティングは、生物学的システム、特に体液と接触する基材上に塗布される。体液中の水素は、親水性コーティングの水素結合部位に結合する。また、油の吸着を防ぐことができるため、落書き防止コーティングとしても有用である。さらに、親水性コーティングは、電池及びイオン伝導用途におけるポリマー電解質として接着フィルムに適用できる。
【0046】
当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に記載される特定の実施形態は、例としてのみ提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語及びそのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲によってのみ限定されるべきである。
【実施例
【0047】
粘度:ASTM 3236-88に従って、ブルックフィールド粘度計、スピンドル#27を用いて、150℃で粘度を測定した。
【0048】
接触角試験:液体の一滴が固体表面に接触すると、独特の形状になる。形状とその形状を保持する時間は、固体表面の力、液体の表面張力、及び固体/液体界面の力の3つの界面張力によって決定される。接触角(θ)は、次の式に従って組み合わせられたベクトル力に対する相対的な測定値である。
【0049】
【数1】
【0050】
ここで、γは液体/空気境界の界面張力、γは固体/空気境界の界面張力、γSLは固体/液体境界の界面張力、θは液滴の角度である。
【0051】
ゴニオメーターには、正確な液滴サイズを分散させるためのマイクロシリンジと、液滴が固体の表面に接触するときの角度を撮影するためのカメラが装備されている。接触角は、基材と(界面における)液滴の接線の間の角度として測定される。
角度が小さいほど、コーティングは接着剤層を介して液体を透過させるのに効果的である。新しいフィルム試料とエージング後のフィルム試料の接触角は次のように測定される。
新しい試料:120℃(必要に応じて温度を調整)でホットメルトコーターラミネーター(例えば、HLCL-1000、ケミインスツルメンツ)を使用して、PETフィルム上に厚さ50マイクロメートルの接着剤コーティングのフィルムを作成し、実験室の周囲条件まで冷却する(21~23℃、40%~60%RH)。接着剤コーティングの作成から24時間後の接着剤表面に対して、接触角試験が行われる。
エージング後の試料:新しい試料を対流式オーブン(例えば、ブルーMコンベクションオーブン、Stabil-Therm)に入れ、15日間エージングさせる。オーブンの温度を60℃に設定する。エージング後、試料をオーブンから取り出し、実験室の周囲条件(21~23℃、40%~60%RH)で24時間調整してから、接着面の接触角を測定する。
【0052】
インストロン試験:接着強度をインストロンテスターで評価した。ホットメルト接着剤で接着されたラミネートを端部で分離し、引張試験機のジョーに配置した。次に、試料を12インチ/分のクロスヘッド速度で引っ張り、試験した各製品の平均剥離値をグラム又はポンドで記録した。接着破壊があった場合は、剥離値の代わりに破壊の種類を記録した。
【0053】
表1に、実施例で使用したエトキシレート界面活性剤とその特性を列挙する。
【0054】
【表1】
【0055】
表2に、実施例で使用した全てのポリマーとそれらの特性を列挙する。
【0056】
【表2】
【0057】
表3は、様々なポリマーと各配合物の接触角を明示した。
【0058】
実施例で使用される代表的な粘着付与剤は、エクソンモービル製の軟化点90.5℃の芳香族変性脂環式炭化水素樹脂エスコレス5690である。
【0059】
実施例で使用される代表的な可塑剤は、カルメット製のナフテン系オイルであるカルソル5550である。
【0060】
実施例で使用される代表的な酸化防止剤は、エバースプリングのエバーノックス10である。
【0061】
試料作成後24時間(「新しい」試料)及び60℃で15日間エージング後(「エージング」試料)に測定したフィルム接触角を表3に示す。エージング前後のフィルムの蒸留水に対する接触角が70°未満であれば合格(P)とする。注釈に記載されているように、接触角が70°を超える場合は不合格(F)とみなされる。
【0062】
【表3】
【0063】
純粋なポリマーは全て、80°超過の比較的高い接触角を有する。例えば、例1のアテバ2842単独は、新しい状態で82°の接触角を有し、160℃で15日間エージング後では87°の接触角を有する。非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤がないと、接触角は高いままである(例4)。このポリマーをエトキシレート界面活性剤と混合すると(例2)、その薄膜接触角は、新しい試料では37°、高温でのエージング後(エージング)では34°に実質的に減少する。
【0064】
エチレンベースのポリマーは、非イオン性エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤との相溶性が良好で、端部接着剤の安定した湿潤特性にとって重要な均一な系をもたらす。示されるように、新しい薄膜とエージングした薄膜の両方は、EVA(例2、3、5)、EnBA(例6)、PE-オクテン(例10)、PP-E(例7)及びPP/B/E(例9)に対して低い接触角(<70°)を維持するが、PP-B(例8)では不合格である。PP-Bは相互の混和性が低いため、ユニトックス450とは相性が悪い。
【0065】
表4は、ユニトックス450及びエスコレス5690と共に、異なるVA含有量のEVAを使用した配合を示している。示されるように、EVAの種類が異なると粘度範囲が調整される可能性があるが、系の接触角には実質的な影響はなく、新しい状態とエージング後の状態の両方で全て70°未満である。
【0066】
【表4】
【0067】
表5は、接触角に対するエトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤の影響を示している。ユニトックス420、450及び480は全て、ホットメルト接着剤の接触角が非常に低い。
【0068】
【表5】
【0069】
表6は、可塑剤を含む配合物を示す(例17~19)。可塑剤を添加すると、濡れ性が向上する。理想的には、可塑剤の総含有量は接着剤の20重量%未満である。
【0070】
【表6】
【0071】
表7は、汎用のトップシート不織布上に、接着剤をスロットコーティング又はスパイラルコーティングした後、コア不織布に接着することによって作成された、ラミネートの接着強度を示す。コート重量は8グラム/平方メートル、ライン速度は300メートル/分である。接着強度は、ポリマーと界面活性剤の含有量を調整することで最適化できる可能性がある。
【0072】
【表7】
【0073】
表8の例20、21及び22は、国際公開第97/48779号及び米国特許第6380292号に記載されている従来の低分子量非イオン性界面活性剤ブレンド(クローダインターナショナルのアトメル688)の効果を示す。例20、21及び22のフィルム接触角は全て、新鮮な状態及びエージング後の状態の両方で70°超過である。対照的に、エトキシレート界面活性剤ポリマー乳化剤であるユニトックス450を用いて製造された例9及び13は、新しい接触角が70°未満である。
【表8】
【国際調査報告】