IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-509549変動的なエッジ制御を含む研磨キャリアヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】変動的なエッジ制御を含む研磨キャリアヘッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20240226BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
B24B37/30 E
H01L21/304 622G
H01L21/304 622R
H01L21/304 622K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553543
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022018344
(87)【国際公開番号】W WO2022187249
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/156,895
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ, スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲンガスト, アンドリュー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】グルサミー, ジェイ
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158BA05
3C158BA09
3C158BC01
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA13
3C158EB01
5F057AA02
5F057AA31
5F057BA11
5F057BA15
5F057CA11
5F057DA03
5F057EC24
5F057FA19
5F057FA20
5F057GA02
5F057GA12
5F057GA16
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB03
5F057GB13
5F057GB20
(57)【要約】
研磨システム内で基板を保持するためのキャリアヘッドが、ハウジングと、アクチュエータによってハウジングに対して垂直方向に移動可能な環状体と、環状体より下方に延在するよう固定されており第1の環状膜と環状体との間に少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバを形成する第1の環状膜と、少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバに接続された少なくとも1つの圧力供給線と、を含む。環状体が、上部と、上部から下方に突出する少なくとも1つの下側ポストと、を含み、少なくとも1つの下側ポストが、少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバの内部に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨システム内で基板を保持するためのキャリアヘッドであって、
ハウジングと、
アクチュエータによって前記ハウジングに対して垂直方向に移動可能な環状体であって、上部と、当該上部から下方に突出する少なくとも1つの下側ポストとを含む、環状体と、
前記環状体より下方に延在するよう固定された第1の環状膜であって、前記第1の環状膜と前記環状体との間に少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバを形成し、前記少なくとも1つの下側ポストが前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバの内部に位置する、第1の環状膜と、
前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバに接続された少なくとも1つの圧力供給線と、
を備えた、キャリアヘッド。
【請求項2】
前記アクチュエータが、前記ハウジングと前記環状体との間に設けられた加圧可能なブラダを含む、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項3】
前記加圧可能なブラダの底面が環状の凹部を含み、前記環状体が、前記環状の凹部内へと延びる上側環状ポストを含む、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項4】
前記加圧可能なブラダの前記底面が、前記環状体の前記上側環状ポストに対して下向きの圧力を印加するよう構成されている、請求項3に記載のキャリアヘッド。
【請求項5】
前記第1の環状膜の底面が、荷重領域内にある前記基板に圧力を印加するよう構成され、前記荷重領域が、前記ブラダ内の圧力及び前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバ内の圧力によって制御された大きさを含む、請求項2に記載のキャリアヘッド。
【請求項6】
前記環状体が、前記アクチュエータと係合するための上部と、当該上部に固定されており第1のチャンバを画定する第2の環状膜と、を含み、前記少なくとも1つの下側ポストが、前記第2の環状膜の底部に固定されおり、前記第2の環状膜が、前記第1のチャンバ内の圧力上昇に応じて下向きに変形して、前記少なくとも1つの下側ポストを、前記第1の環状膜の上面に接触して力を加えるために下方に変位させるよう構成されている、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項7】
前記アクチュエータが加圧可能なブラダを含み、上側ポストが、前記第2の環状膜の上面から前記ブラダ内へと上方に垂直方向に突出している、請求項6に記載のキャリアヘッド。
【請求項8】
前記少なくとも1つの下側ポストが、前記第1のチャンバ内の圧力が上昇したときに、前記第1の環状膜の前記上面と接触しない、請求項6に記載のキャリアヘッド。
【請求項9】
前記少なくとも1つの下側ポストが、前記環状体の端部に固定された第1の下側ポストと、前記第2の環状膜の底部に固定された第2の下側ポストと、を含む、請求項6に記載のキャリアヘッド。
【請求項10】
前記第1の下側ポストが、内方に突出するフランジを含む、請求項9に記載のキャリアヘッド。
【請求項11】
前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバが2つのチャンバを含み、前記2つのチャンバのそれぞれが、複数の前記圧力供給線のうちの1つを介して、それぞれの圧力供給部に接続されている、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項12】
前記少なくとも1つの下側ポストが、内方に突出するフランジを含む、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項13】
前記少なくとも1つの下側ポストが、前記環状体の端部に固定されている、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項14】
前記少なくとも1つの下側ポストが、内方に突出するフランジを含む、請求項13に記載のキャリアヘッド。
【請求項15】
前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバが3つのチャンバを含み、前記3つのチャンバのそれぞれが、前記少なくとも1つの下方ポストのうちの1つを取り囲み、前記3つのチャンバのそれぞれが、複数の前記圧力供給線のうちの1つを介して、それぞれの圧力供給部に接続されている、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項16】
複数の圧力供給部を含み、前記複数の圧力供給部のうちの各圧力供給部は、複数の前記圧力供給線のそれぞれの圧力供給線に結合されており、各圧力供給部は、前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバ内の圧力を別々に調整することが可能である、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項17】
前記第1の環状膜がエラストマで作製される、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項18】
前記第1の環状膜がプラスチックで作製される、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項19】
前記第1の環状膜が、前記基板の上面上の或る領域に接触するよう構成されており、当該或る領域が、前記基板のエッジを起点とした幅が4~6mmのリング形状として径方向内側に広がる、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項20】
研磨システム内で基板を保持するためのキャリアヘッドであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの下方に延在する第1の環状膜と、
荷重の組み合わせが基板に掛けられる荷重領域の大きさを制御する手段であって、前記荷重の組み合わせが、圧力及び集中した力のうちの少なくとも1つを含む、荷重領域の大きさを制御する手段と、
前記荷重領域内で前記基板に印加される前記圧力を制御する手段と、
前記荷重領域内の集中領域内で前記基板に加えられる前記集中した力を制御する手段と、
を含む、キャリアヘッド。
【請求項21】
環状体より下方に延在するよう固定された第1の環状膜であって、前記第1の環状膜と前記環状体との間に少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバを形成し、少なくとも1つの下側ポストが前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバの内部に位置する、第1の環状膜をさらに含み、
前記荷重領域の前記大きさが、前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバの形状によって制御され、前記形状が、前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバ内の圧力に基づいて変更可能であり、
前記基板に加えられる前記集中した力が、前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバ内の前記圧力に少なくとも部分的に基づいて制御される、請求項20に記載のキャリアヘッド。
【請求項22】
前記少なくとも1つの下側ポストが、前記少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバ内の前記圧力に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の環状膜の上面に接触して、当該上面に対して前記集中した力を加えるよう構成されている、請求項21に記載のキャリアヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して化学機械研磨に関し、より詳細には基板エッジの近傍での研磨速度の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、通常、シリコンウエハ上に導電層、半導電層、又は絶縁層を連続的に堆積させ、これらの層を連続的に処理することによって、基板(例えば、半導体ウエハ)上に形成される。
【0003】
1つの製造ステップは、非平面の上に充填層を堆積させることと、充填層を平坦化することと、を含む。或る特定の用途について、充填層は、パターニングされた層の上面が露出するまで、又は所望の厚さが下層の上に残された状態になるまで平坦化される。加えて、平坦化は、リソグラフィのために、基板の表面、例えば誘電体層を平坦化するために使用されうる。
【0004】
化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)は、平坦化の1つの認められた方法である。この平坦化の方法では、通常、基板をキャリアヘッド上に取り付けることが必要となる。基板の露出表面が、回転する研磨パッドに当たるように配置される。キャリアヘッドは、基板を研磨パッドに押し付けるために、基板に対して制御可能な荷重を与える。幾つかの研磨機械では、キャリアヘッドが、複数の別々に加圧可能な径方向同心円状のチャンバを形成する膜を含み、ここで、各チャンバ内の圧力が、基板上の各対応する領域内の研磨速度を制御する。研磨粒子を含むスラリといった研磨液が、研磨パッドの表面に供給される。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、研磨システム内で基板を保持するためのキャリアヘッドが、ハウジングと、アクチュエータによってハウジングに対して垂直方向に移動可能な環状体と、環状体より下方に延在するよう固定されており第1の環状膜と環状体との間に少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバを形成する第1の環状膜と、少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバに接続された少なくとも1つの圧力供給線と、を含む。環状体が、上部と、上部から下方に突出する少なくとも1つの下側ポストと、を含み、少なくとも1つの下側ポストが、少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバの内部に位置する。
【0006】
特定の実施形態が、限定するものではないが、以下の想定される利点の1つ以上を含む。
【0007】
記載された技術によって、研磨中の基板の全体的な均一性を改善することが可能である。本システムは、様々な領域にわたって様々な分散された圧力を印加し、かつ基板のエッジ領域の様々な位置で1つ以上の集力させた力を加えることで、基板のエッジでの荷重分布を調整することが可能である。本システムは、第1の環状膜によって形成される1つ以上の加圧可能なチャンバ内の1つ以上の圧力を調整して、荷重領域と、基板にわたり分散される圧力の量と、を変更することが可能である。
【0008】
本システムはまた、1つ以上の下方に突出した下側ポストを有する環状体を含みうる。本システムは、様々な圧力供給部を使用することで第2の環状膜を変形させて、1つ以上の下側ポストを、基板の1つ以上の対応する集中領域に接触して1つ以上のそれぞれの集中した力を加えるために実質的に下方に変位させることが可能である。それぞれの集中した力が加えられる集中領域の位置は、環状体に取り付けられた下側ポストの形状、位置、数を変更することで調整することも可能である。
【0009】
従って、本システムは、様々なエッジ研磨プロファイルに容易に適合し、かつ、基板の環状エッジ領域に加えられる力の組み合わせを調整して、当該領域内の研磨速度をカスタマイズすることが可能である。幾つかの実施形態において、本システムは、上記領域の少なくとも1つの部分に対する有効圧力を上げ、上記領域の他の部分に対する有効圧力を下げて、基板における特定領域の研磨速度を調整することが可能である。従って、基板上の層の環状エッジ領域の研磨プロセスを、より高い精度で動的に制御することが可能である。
【0010】
より具体的には、エッジ領域の有効圧力及び有効面積の大きさが、各チャンバからの荷重の組み合わせ(即ち、分散した力、及び集中した力)に基づいて決定される。ウエハの外側部分に対して特定の圧力分布を適用するための、より大きなフレキシビリティが提供される。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付の図面及び以下の明細書において記載する。他の特徴、課題、及び利点が、明細書の記載及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研磨装置の一例の概略的な断面図を示す。
図2】キャリアヘッドの概略的な断面図を示す。
図3】基板のエッジ領域に対する圧力を制御するための圧力制御アセンブリの概略的な断面図である。
図4A-C】圧力制御アセンブリの他の例を示す。
図5A-C】圧力制御アセンブリがどのように基板の或る領域に有効な力を加えるかを概略的に示す。
図6A-C】様々な状態にある図3の圧力制御アセンブリの概略的な断面図を示す。
図7A-F】様々な状態にある図4Aの圧力制御アセンブリの概略的な断面図を示す。
図8A-C】様々な状態にある図4Bの圧力制御アセンブリの概略的な断面図を示す。
図8D-F】様々な状態にある図4Bの圧力制御アセンブリの概略的な断面図を示す。
図9A-C】様々な状態にある図4Cの圧力制御アセンブリの概略的な断面図を示す。
図10】研磨中の圧力制御アセンブリを使用した例示的なエッジプロファイル制御プロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における類似した参照符号及び記号表示は、類似した要素を示している。
【0014】
理想化されたプロセスでは、キャリアヘッド及びプラテンの回転に因り、基板上の研磨速度が、基板の回転軸から径方向に均一になるであろう。しかしながら実際は、研磨プロセスにおいて、研磨速度に径方向のばらつきが生じうる。その上、研磨される基板には初期の径方向の不均一性がある可能性があり、即ち、最上層は、初期の厚さが基板の回転軸から径方向に沿って変わる可能性がある。
【0015】
基板の様々な領域の間の研磨速度のばらつき、若しくは基板の不均一な初期プロファイル、又はその両方により、基板の様々な領域が、様々な時間に自身の目標厚さに達する可能性がある。
【0016】
より具体的には、基板の様々な領域は、当該領域の研磨が同時に停止された場合には所望の厚さに達しないこともあり、その結果、基板の厚さプロファイルが不均一になる。特に、幅が約10mmで、基板のエッジから約4~6mmの位置から始まる環状の領域(「チェックマーク領域(checkmark region)」とも呼ばれる)が、実質的に不均一性に悩まされる可能性がある。特に、チェックマーク領域は研磨速度がより遅く、又は研磨プロセス後の基板の中心領域と比べると、研磨が不十分である。
【0017】
チェックマーク領域内の研磨速度を修正するための或る手法は、キャリアヘッドの最も外側のチャンバ内の圧力を変更することである。これにより、基板のエッジ領域、例えば基板の外側15~20mmに対する圧力が変化する。しかしながら、最も外側のチャンバ内の圧力を上げると、結果的に、基板の外側1~2mmが重度に過剰に研磨される可能性がある。
【0018】
しかしながら、本明細書に記載の技術を採用したキャリアヘッドは、圧力分布への優れた制御を提供し、基板エッジ付近の不均一性を低減することが可能である。キャリアヘッドは、圧力制御アセンブリを含むことができ、この圧力制御アセンブリは、1つ以上の加圧可能なチャンバを形成する第1の環状膜と、下方に押し出される1つ以上の下側ポストを有する環状体と、を含む。任意選択的に、環状体が、他の加圧可能な環状チャンバを形成するための第2の環状膜を含みうる。実際には、本システムは、コントローラによって、環状膜により形成される各チャンバで圧力を調整し、上記アセンブリと基板との間の接触領域の大きさと、当該接触領域に対する圧力と、の両方を制御することが可能である。上記チャンバはまた、他の環状チャンバ内の異なる圧力に因り変形しうる。特に、他のチャンバは、1つ以上の下側ポストを、基板の重点領域に接触して力を加えるために下方に変位させるよう変形しうる。上記アセンブリは、基板における制御可能な接触領域の範囲内で分散した力を加えることが可能であり、若しくは、基板における制御可能な集中領域で集中した力を加えることが可能であり、又はその両方を対応して行うことが可能である。
【0019】
従って、本システムは、基板のエッジ領域において、分散した力と集中した力の様々な組み合わせを、精度が高く制御可能なやり方で適用することができる。このことから、本システムは、基板におけるエッジ領域の研磨を効果的に制御することができ、基板のエッジ領域における不均一性を低減することが可能となる。
【0020】
図1は、研磨装置100の一例を示している。研磨装置100は、回転可能な円盤状のプラテン120を含み、このプラテン120上に研磨パッド110が位置している。プラテン120は、軸125の周りを回転するよう動作可能である。例えば、モータ121が、駆動シャフト124を回してプラテン120を回転させることが可能である。研磨パッド110は、例えば接着層によって、プラテン120に取り外し可能に固定されうる。研磨パッド110は、外側研磨層112及びより軟性のバッキング層114を含む二層研磨パッドでありうる。
【0021】
研磨装置100は、研磨パッド110の上に研磨液132(研磨スラリなど)を供給するための分注ポート130を含みうる。研磨装置はまた、研磨パッド110を磨いて研磨パッド110を一貫した研磨状態に維持するための研磨パッドコンディショナも含みうる。
【0022】
研磨装置100は、研磨パッド110に当接して基板10を保持するよう動作可能なキャリアヘッド140を含む。キャリアヘッド140は、基板10上の複数のゾーンのそれぞれについて、例えば圧力などの研磨パラメータを独立して制御するよう構成されうる。
【0023】
キャリアヘッド140は、例えばカルーセルのような支持構造150から吊るされ、駆動シャフト152によってキャリアヘッド回転モータ154に接続されており、これにより、キャリアヘッドは軸155の周りで回転することが可能である。任意選択的に、キャリアヘッド140は、例えばカルーセル150上のスライダを、横方向に振動することが可能であり、又は、カルーセル自身の回転振動によって振動することが可能である。稼働中に、プラテンが自身の中心軸125周りに回転させられ、各キャリアヘッドが、自身の中心軸155周りに回転させられ、研磨パッドの上面を横切って横方向に移動する。
【0024】
キャリアヘッド140は、駆動シャフト152に接続可能なハウジング144と、可撓性の中央膜182の上方に延在する支持プレート184と、可撓性の中央膜182を取り囲む環状圧力制御アセンブリ195と、環状圧力制御アセンブリ195を取り囲み可撓性の中央膜182の下方で基板10を保持する保持リング142と、を含みうる。
【0025】
可撓性の中央膜182の下面が、基板10の取り付け面を提供する。可撓性の中央膜182は、支持プレート184に固定された1つ以上のフラップを含み、1つ以上の加圧可能なチャンバを形成することができる。上記のチャンバは、それぞれの圧力供給線183を介して1つ以上の圧力供給部181に接続されており、研磨の際には基板の内側領域(例えば、基板のエッジから少なくとも6mm離れた領域)に異なる圧力を印加し、これにより、本システムは、基板内のそれぞれの領域でのそれぞれの研磨速度を調整することが可能である。
【0026】
圧力制御アセンブリ195はまた、1つ以上の加圧可能なチャンバを形成することができる。各加圧可能なチャンバは、それぞれの圧力供給線183を介して異なる圧力供給部181に接続されている。圧力制御アセンブリ195の詳細な構造的説明については、以下で述べる。
【0027】
研磨装置は、バルブアセンブリ189、例えば、様々なチャンバを様々な圧力供給部に制御可能に接続する装置をさらに含みうる。例えば、バルブアセンブリは、図1に示すように、キャリアヘッド140のハウジング144の上に取り付けられうる。他の例について、バルブアセンブリは、キャリアヘッド140内の支持プレート184の上に取り付けられうる。代替的に、上述したように、各チャンバがまた、圧力供給線183を介して圧力供給部181に直接的に接続されうる。
【0028】
研磨装置は、圧力制御アセンブリ195内に形成される各チャンバ内の圧力を制御するコントローラ190を含みうる。例えば、圧力バルブアセンブリ189が使用されている場合には、圧力制御アセンブリの各チャンバは、それぞれの圧力出力線187を介してバルブアセンブリ189内の専用バルブに接続することが可能である。各圧力出力線187は、ハウジング144を貫通する通路、若しくは可撓性チューブ、又はその両方によって提供されうる。図1では、図示を容易にするために圧力出力線187が1つだけ示されているが、圧力制御アセンブリ195内のチャンバごとに別々の圧力出力線187が存在することになる。
【0029】
バルブアセンブリ189は、複数の圧力源181から複数の圧力供給線183を介して複数の圧力入力を受け取ることが可能である。繰り返しになるが、図1では、図示を容易にするために1つの圧力供給線183と1つの圧力源181のみが示されているが、より多くの圧力供給線、例えば8~16個の圧力供給線が存在することができ、より多くの圧力源、例えば8~16個の圧力源が存在することができる。圧力供給線183は、駆動シャフト152及び/又はハウジング144を通る通路及び/又は可撓性チューブ、及び、ハウジング144を通って延びるロータリユニオン214によって提供されうる。圧力は、定常型の構成要素、例えば圧力源183から、ロータリ空気圧ユニオン156を介して、キャリアヘッド140に送ることが可能である。
【0030】
図2は、キャリアヘッド140の概略的な断面図を示している。キャリアヘッド140は、支持プレート184と、複数の環状の又は角度が付いたフラップ204を有する中央膜182と、を含む。フラップは、クランプによって支持プレート184に固定されうる。中央膜182は、柔軟でやや弾性のある材料、例えばシリコーンゴム又はネオプレンといったゴムで作製することが可能である。上記膜は、金型を使用して熱硬化性材料から形成することができ、これにより、成形される膜は、単一の本体として形成される。
【0031】
幾つかの実施形態において、支持プレート184が、プラスチック又はゴム、例えばシリコーンゴム又はネオプレンなどで形成された撓み部210、例えば環状膜によって、ハウジング144に結合されうる。撓み部210の内側エッジは、支持プレート184の上部とクランプリング212との間でクランプすることができ、撓み部の外側エッジは、保持リング142とハウジング144との間でクランプすることができる。
【0032】
支持プレート184とハウジング144との間の領域を、拡張可能なシール220によって、例えば可撓性の膜又はベローズによってシールして、ハウジング144と支持プレート184との間に加圧可能な上部チャンバ222を形成することが可能である。
【0033】
代替的に、撓み部210がシールを提供することが可能であろう。上部チャンバ222内の圧力は、このようにして、支持プレート184の垂直方向のポジション、又は中央膜182に対する支持プレート184の下向きの力を制御することが可能である。幾つかの実施形態において、上部チャンバ222内の圧力は、研磨パッドに対する保持リング142の圧力を制御することが可能である。幾つかの実施形態において、中央膜182がハウジング144に直接的にクランプされ、即ち、別個の支持プレート184が省略されその機能がハウジング144によって提供される。
【0034】
キャリアヘッド140は、保持リング142と中央膜182との間に配置された環状圧力制御アセンブリ195をさらに含む。上記アセンブリ195は、ハウジング144の下方、例えば撓み部210の下方に位置するアクチュエータ256を含む。幾つかの実施形態において、アクチュエータ256の上部を、撓み部210の底面によって拘束することができ、これにより、アクチュエータ256の上部は垂直方向に移動することが出来ない。
【0035】
アクチュエータ256は、加圧可能なブラダ285を有することができ、加圧可能なブラダ285は、それぞれの圧力出力線187に接続され、又は圧力供給チェーン183(図示せず)と直接的に接続されている。バルブアセンブリ189又は圧力供給部181は、加圧可能なブラダ285のための圧力を供給又は変更することが可能である。ブラダ285は、プラスチックや又はゴムといった変形可能な材料、例えばシリコ-ンゴム又はネオプレンなどで作製されており、これにより、ブラダ285は、当該ブラダ内の圧力の変化に因り変形しうる。代替的に、アクチュエータ256はモータによって、例えば、リニアアクチュエータ、又は圧電デバイスによって提供されうるであろう。
【0036】
圧力制御アセンブリ195はまた、アクチュエータ256によってハウジング144に対して垂直方向に移動可能な環状体254も含む。環状体254は、上部254aと、当該上部254aから下方に突出する少なくとも1つの下側ポスト290と、を含む。環状体は、硬質プラスチック、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリフェニレンスルファイド(PPS)など、ヤング率が400~500ksi程度のもので作製され、又は、例えばアルミニウム又はステンレス鋼などの金属で作製されている。環状体の上部254aはアクチュエータ256に接続されている。例えば、環状体254の上側環状ポスト261は、加圧可能なブラダ285の底面によって形成された凹部内へと延びることができる。
【0037】
環状体254を移動させるために、制御部190は、ブラダ256内の圧力を上げてブラダを膨張させることができ、従って、上側環状ポスト261に対して実質的に下向きの圧力を加えて、環状体254をハウジング144に対して下方に変位させることが可能である。
【0038】
圧力制御アセンブリ195は、環状体254の上部に固定された第1の環状膜252であって、当該第1の環状膜252と環状体254との間に少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバ(例えば、281及び/又は283)を形成する第1の環状膜252をさらに含み、ここで、少なくとも1つの下側ポスト290は、少なくとも1つの加圧可能な下方チャンバの内部に位置している。第1の環状膜252は、クランプ、若しくは接着材料によって、環状体254の上部254aに固定することができ、又は当該膜のエラストマをオーバーモールド(overmold)することで、固定することができる。第1の環状膜252は、ヤング率が100psi程度の任意の適切な弾性材料又はプラスチック材料、例えば、シリコーンゴム又はネオプレンなどのゴムで作製されうる。
【0039】
稼働中には、様々なチャンバ222、285等が、第1の環状膜252の底面が中央膜182の底面と実質的に同じ高さになるように、加圧されうる。研磨中には、中央膜182と環状膜252とが連動して、実質的に基板10の上面全体を覆う。上記膜182、252はまた、基板のそれぞれの領域内で印加される圧力を調整して、局所的な研磨速度を修正することが可能である。幾つかの実施形態において、基板を研磨していないときには中央膜182と環状膜252との間に隙間が存在し得、この隙間は、基板を研磨するときには上記膜182及び252によって形成される各チャンバ内の適切な圧力によって塞がれる。
【0040】
第1の環状膜252によって形成される1つ以上の想定されるチャンバ281、283のそれぞれは、それぞれの圧力出力線187を介してバルブアセンブリ189に接続可能であり、又はそれぞれの圧力供給線183(図示せず)を介してそれぞれの圧力供給部に直接的に接続可能である。
【0041】
ブラダ285、及び各チャンバ281、283は、それぞれの圧力供給部に接続されているため、アセンブリ195によって圧力が印加される基板の領域が、上記チャンバへの圧力の全体的な組み合わせに従って制御されうる。例えば、第1の環状膜252と基板との接触面積、若しくは、それぞれのチャンバ内の少なくとも1つの下側ポスト290が膜の上面に接触して力を加えられるかどうか、又はその両方が、ブラダ内及び各チャンバ内の圧力条件に依存している。圧力条件とは、例えば、ブラダと、第1の環状膜によって形成されたチャンバと、の間の圧力の比率、又は、第1の環状膜によって形成された各チャンバ内の圧力の比率とすることができる。様々な圧力条件に因る様々な構成の詳細については、さらに後述する。
【0042】
第1の環状膜によって形成される加圧可能なチャンバは、2つ、3つ、又はそれより多くのチャンバを含みうる。代替的な構造の詳細については後述する。
【0043】
さらに、下側ポストの数は3、5、又はそれ以上とすることができ、下側ポストの形状は矩形、円筒形、又は、実質的に集中した領域内で力を加えることを可能にする他の適切な形状とすることができる。1つ以上の下側ポストは、実質的に水平方向に向いたフランジ部分をさらに含むことができ、例えば、フランジ部分の軸方向が水平方向にある。下側ポストの代替的な構造の詳細については、さらに後述する。
【0044】
図3は、基板のエッジ領域に対する圧力を制御するための圧力制御アセンブリ195の概略的な断面図である。
【0045】
圧力制御アセンブリ195は、基板10のエッジ領域の上に配置されるよう構成された環状体254を含む。環状体254は、1つ以上の下側ポスト290a、290b、290cと、上側ポスト261と、を含みうる。
【0046】
圧力制御アセンブリ195はまた、環状体254の上方に固定されたアクチュエータ256も含む。アクチュエータ256は、加圧可能なブラダ285を形成する膜又はシェル310を含む。膜310の一部分を通る通路又はパイプ325が、外部の圧力供給/出力線187bに接続するよう構成されている。圧力供給線187及び通路325を介して、加圧可能なブラダ285に特定の圧力を供給することが可能である。環状体254と接続するために、アクチュエータ256は、膜310の底面に凹部361を含みうる。凹部361は、例えばほんの数例を挙げると圧入又は接着剤によって、環状体の上側ポスト261と係合して当該上側ポスト261に固定されるよう構成されている。
【0047】
圧力制御アセンブリ195は、第1の環状膜252をさらに含み、第1の環状膜252は、環状体254の上部254aに固定されており、当該環状体の下部と共に1つ以上の加圧可能なチャンバ281、283を形成する。第1の環状膜252は、例えばクランプリング305又は接着剤など任意の適切な接続を介して、環状体254に固定されうる。第1の環状膜252によって形成されるチャンバの各チャンバ281、283は、環状体254から下方に延びる1つ以上の下側ポスト290a、290b、及び290cを囲みうる。
【0048】
初期状態の間、例えば研磨動作の前には、下側ポストは膜252の内面に接触していない。しかしながら、下側ポストのうち少なくとも1つは、膜252の内面の対応する部分の集中領域に接触して力を加えるために変位するよう構成されている。これにより研磨中に、基板裏面の狭い環状ゾーン内に集中した力が伝達される。下側ポスト290のうち少なくとも1つは、例えば、1つ以上のチャンバ281、283内の1つ以上の圧力変更、若しくはブラダ285内の圧力変更、又はその両方によって変位させることができる。
【0049】
各チャンバ281及び283は、各チャンバ内でそれぞれの圧力を印加するための対応する圧力供給/出力線187に接続するための通路、若しくはチューブ、又はその両方を含む。上記通路は、膜252又は環状体254の任意の適切な部分に通して配置することができる。例えば、通路315は、環状体254の上面から始まって、実質的に下向きに下側ポスト290aの下面まで形成されている。他の例として、通路320が環状体254の側面から始まって、第1の部分については水平方向に延び、第2の部分については実質的に下向きに、環状体254の底面まで延びて形成されている。任意選択的に、各通路は、それぞれの圧力供給線と接続するためのパイプ又はチューブを含みうる。
【0050】
研磨装置100がバルブアセンブリ189を含む状況については、各圧力供給線187a、187b、及び187cが、バルブアセンブリ189内のそれぞれのバルブと接続されており、それぞれのチャンバ281、283、及び285に特定の圧力を印加する。コントローラ190は、バルブアセンブリ190を通して、各チャンバ内の圧力変更を制御することが可能であり、アセンブリ195の最終的な構成は、これに対応して変更される。
【0051】
アセンブリ195の各構成要素について先に記載した材料、形状、及び構成は、説明を容易にするための純粋に例示的なものであり、他の適切な材料、設計、及び構成も採用されうる。
【0052】
図4A図4Cはそれぞれ、圧力制御アセンブリ195の他の実施例を示している。幾つかの実施形態において、図4Aに提示する構成を参照すると、圧力制御アセンブリ195の環状体254は、第2の環状膜254bを含むことができ、第2の環状膜254bは、環状体254に固定されており上方環状チャンバ450を画定する。少なくとも1つの下側ポスト290が、第2の環状膜の底面に固定されている。第2の環状膜254bは、上方環状チャンバ450内の圧力上昇に応じて下向きに変形して、少なくとも1つの下側ポスト、例えば290bを、第1の環状膜252の上面に接触して力を加えるために下方に変位させるよう構成されている。
【0053】
幾つかの実施形態において、第1の環状膜252が、単一の下部チャンバ481を画定するよう環状体254に固定されている。チャンバ285、450、及び481はそれぞれ別々に加圧可能であり、それぞれの通路又はチューブを介して圧力供給線に接続されている。例えば、上方環状チャンバ450は、環状体254の1の側面を貫通する通路内のパイプ413を用いて、圧力供給線と接続することが可能である。他の例として、チャンバ481が、環状体254の他の側面に位置する通路415を介して、圧力供給線と接続されている。
【0054】
さらに、下側ポストのうちの1つ、例えば径方向に最も外側のポスト290aが、径方向外向きに(キャリアヘッドの中心から径方向外向きに)チャンバ481内に延びるフランジ291aを含む。フランジ291aは、任意の適切な環状プロファイルを有しうる。例えば、フランジ291aの底面は、平面的でかつ水平である、又は平面的であるが水平に対して傾斜している、又は非平面的であるとすることができる。フランジ291aを有するポスト290aが、基板に接触して集中した力を加えるときには、加えられる力は、フランジが無いポストの力より小さくなるはずである。
【0055】
幾つかの実施形態において、図4Bに提示する構成を参照すると、第1の環状膜252は、図3について同様に記載したように、2つのチャンバ483及び485を形成することが可能である。第1のチャンバ483は、内方に延びるフランジ291aが付いた1つの下側ポスト290aを含み、第2のチャンバ485は、フランジのない2つの下側ポスト290b、290cを含む。各チャンバ285、450、483、及び485は、それぞれの通路又はパイプを介して、異なる圧力供給線に接続されている。
【0056】
各下側ポストは、それぞれの長さ、幅、奥行きを有し得る。代替的に、各下側ポストの形状が実質的に同一でありうる。1つ以上の下側ポストの底面が、初期状態では同一平面上にあるよう構成されうる。代替的に、下側ポストの底面が、様々な水平方向位置に位置しうる。特に、上方環状チャンバ450を含まない実施形態では、ポストのうち2つが、同一平面上の底面を有することができ、これにより、圧力が、上記2つのポストによって、2つの別個の環状領域内に印加される。一方、上方環状チャンバ450を含む実施形態では、第2の環状膜に取り付けられたポスト、例えば中央ポスト290bは、上方環状チャンバ250が加圧されていないときには僅かに短く若しくは僅かに凹む底面を有するとすることができる。
【0057】
幾つかの実施形態において、図4Cに提示された構成を参照すると、第1の環状膜252は、3つのチャンバ487、488、及び489を形成することが可能であり、ここでは、各チャンバがそれぞれの下側ポストを有している。同様に、各チャンバ285、487、488、及び489は、異なる圧力供給線に接続されている。
【0058】
図5A図5Cは、圧力制御アセンブリ195が、どのように基板の或る領域に有効な力を加えるかを概略的に示している。予備的な問題として、アセンブリ195は、システム500と同様のアプローチをとって、即ち、加えられる力の大きさを調整することで、基板515の様々な領域内で、様々な種類及び様々な大きさの力を加える。ニュートンの法則によれば、以下の図で示される力は反力であり、それぞれが同じ大きさだが、基板に加えられる対応する力とは反対方向である。簡単にするために、この反力は、基板に加えられる力とも呼ぶ。
【0059】
図5Aを参照すると、概略的なシステム500は、球状又は環状の膜520によって形成されており内包圧力Pを有する球状又は環状のブラダ520と、ブラダの上に配置されたクランプ形状部品510と、ブラダ520が初期状態で配置される基板515と、を含む。クランプ形状部品510は、水平部分510aと垂直部分510bとを含む。上記部品510の水平部分は、部品510とブラダ520との間の初期の接触領域501が、クランプ形状部519が円形であるか否かに従って実質的に点又は円形である集中領域になりうるように、ブラダの上部と接触する。上記部品510の垂直部分510bは、初期状態では基板515又はブラダ520と接触していないが、上記部品510の水平部分に加えられる力を受けて下向きに変位するよう構成されている。ブラダ520はまた、慣性圧力Pと外力の両方で変形可能である。
【0060】
最初に、下向きの力F、即ち実質的に重力に沿った力が、上記部品510の水平部分510aに加えられる。ブラダ520と基板515との間の接触領域501の領域内では、力Fにより基板に対して特定の圧力525が印加される。圧力525の大きさは、下向きの力の大きさと、ブラダ520と基板515との間の接触領域501の面積と、に依存する。以下の説明では、圧力525等を分散した力又は荷重と呼ぶ。
【0061】
図5Bを参照すると、下向きの力Fの大きさが増大するにつれて、ブラダ520は楕円形に断面の輪郭が変形し、上記部品510及びその垂直部分510bが、基板515のより近くへと下方に変位する。ブラダを介して基板に印加される圧力545又分散した力は、下向きの力Fが増大するにつれて大きくなりうる。代替的又は追加的に、ブラダ520と基板515の間の接触面積501が増大しうる。ブラダと基板との接触面積の変化量は少なくとも部分的に、ブラダを作製する材料の機械的特性、内部圧力Pの大きさ、及び下向きの力Fの大きさに依存する。
【0062】
図5Cを参照すると、下向きの力Fの大きさがさらに増大して、ブラダ520がさらに変形しており、上記部品510の垂直部分510bがさらに下向きに変位して、最終的に、第2の接触領域502内で基板515に接触して力を直接的に加える。垂直部分510bの底面511の輪郭が狭く、例えば、幅が5mm以下、例えば幅が3mm以下、例えば幅が2mm以下である場合には、加えられる力は、集中させた力、又は集中した力、又はより一般的には、集中した圧力570と見做されうる。
【0063】
幾つかの実施形態において、外部からの同じ荷重Fを維持しながら、チャンバの異なる内部圧力Pを変更して、ブラダと基板と間の接触面積を変更することが可能である。従って、システム500は、下向きの力Fと内部圧力Pとの様々な組み合わせを使用して、より多くの様々な種類かつ大きさの、基板の様々な領域に加えられる力を有することができ、このアイデアは、以下に記載する技術でも同様に採用されている。
【0064】
図3、及び図4A図4Cに示したアセンブリ195の各例示的な構成の様々な状態が、以下の明細書において、図6A図6C図7A図7F図8A図8F、及び図9A図9Cに関連して記載される。様々なエッジ領域の研磨制御に関連する各状態の詳細については、以下に記載する。
【0065】
図6A図6Cは、様々な状態にある図3の圧力制御アセンブリ195の概略的な断面図を示している。
【0066】
図3に戻って参照すると、第1の例の圧力制御アセンブリ195は、3つのチャンバを含み、即ち、アクチュエータ256によって形成されるブラダと、第1の環状膜252によって形成される2つのチャンバ281及び283と、を含み、各チャンバはそれぞれの圧力供給部P1、P2、及びP3に接続される。圧力P1、P2、及びP3は、可変圧力供給タンクによって、又は、コントローラ190による制御下で、バルブアセンブリ189を介して様々な圧力供給部間で切り替えることで、変更可能である。圧力P1は、他の圧力P2及びP3と平衡状態にあるべきである。
【0067】
図6Aを参照すると、アセンブリ195は第1の状態にあり、この第1の状態では、下側ポストはいずれも変位しておらず、第1の膜と接触していない。従って、第1の状態では、アセンブリ195は、基板10に対して分散した圧力610及び620のみを印加しており、ここでは、圧力610及び620の大きさは、対応するチャンバ内の圧力P3及びP2と等しい。第1の状態は、広域接触パッチ(wide contact patch)とも呼ばれる。
【0068】
図6Bを参照すると、アセンブリ195は現在第2の状態にある。第1の状態から第2の状態に変更するために、アセンブリ195は、第1の環状膜と基板との間の接触面積が平衡状態において縮小するように、圧力P2及びP3を上げる。平衡状態では、増大した圧力P2とP3に、対応する縮小した接触面積を掛けたものが、P1に上側ポストの接触面積に掛けたものと等しくなる。幾つかの実現において、アセンブリ195は、P1に対する(P2+P3)の比率が上がる限り、P1、P2、及びP3を一緒に上げて第2の状態に達することが可能である。第2の状態では、アセンブリ195は、増大した量の圧力630及び640を、基板内のより小さい領域に印加することができ、当該より小さい領域内の研磨速度が上がる。圧力630及び640の大きさは、それぞれ各チャンバ内のP3及びP2に基づいている。第2の状態は、狭域接触パッチ(narrow contact patch)とも呼ばれる。
【0069】
図6Cを参照すると、アセンブリ195は現在第3の状態にある。第1の状態から第2の状態に変更するために、アセンブリ195は圧力P1を上げて、1つ以上の下側ポストを、第1の膜に接触して力を加えるよう下方に変位させる。下側ポストと第1の膜との間の接触面積は小さいため、アセンブリ195は最終的に、基板に対して比較的集中している力を加えることが可能である。例えば、環状体の中央ポストが第1の膜に接触し、その後、基板に集中した力660を加える。P1に対する(P2+P3)の比率が下がり、かつP1が、上記ポストのうちの1つを第1の膜と接触させるよう変位させるために、P2及びP3と比較して十分に大きい限り、アセンブリは、圧力P1、P2、及びP3を一緒に交互に上げることが可能である。基板に加えられる他の力は、分散した力650及び670であり、それぞれが各チャンバ内の内部圧力P3及びP2に依存する。第3の状態では、アセンブリ195は、エッジ領域に対して、分散した荷重と集中した力の両方を加えることが可能である。より具体的には、アセンブリ195は、集中している力660によって集中させた形態で、基板エッジの中心領域の研磨速度を制御する(例えば、上げる)ことが可能である。第3の状態は、中央重点広域接触パッチとも呼ばれる。
【0070】
図7A図7Fは、様々な状態にある図4Aの圧力制御アセンブリ195の概略的な断面図を示している。
【0071】
図4Aに戻って参照すると、第2の例示的な圧力制御アセンブリ195は、3つのチャンバ、即ち、アクチュエータ256によって形成されるブラダと、第1の膜によって形成される単一チャンバ481と、第2の環状膜(例えば、環状体254)によって形成されるチャンバ450と、を含む。各チャンバは、それぞれの圧力供給部P1、P2、P5に接続されており、圧力P1、P2、及びP5は、アセンブリ195が様々な状態に達することを可能とするよう互いに変更可能である。
【0072】
図7Aを参照すると、アセンブリ195は第1の状態にあり、この第1の状態では、下側ポストはいずれも変位しておらず、第1の膜と接触していない。従って、第1の状態では、アセンブリ195は、基板10に対して分散した圧力710のみを印加しており、ここでは、圧力710の大きさは、チャンバ481内の圧力P2と等しい。第1の状態は、広域接触パッチとも呼ばれる。
【0073】
図7Bを参照すると、アセンブリ195は第2の状態にある。第2の状態では、下側のポストのいずれも第1の膜に接触していないが、アセンブリは、(第1の状態と比較して)基板10のより小さい領域に均一な分布荷重715を加える。第1の状態から第2の状態に変更するために、アセンブリ195は、P2に対するP1の比率を下げ、かつP5をP2より小さく保つことが可能である。第2の状態は、研磨の際により小さいエッジ領域の研磨速度を制御するための狭域接触パッチとも呼ばれる。
【0074】
図7Cを参照すると、アセンブリ195は第3の状態にある。第3の状態では、最も外側の下側ポスト290aが下方に変位しており、最終的に、第1の膜に接触して集中した力720を加える。従って、アセンブリ195は、均一な分布荷重725と集中した力720の両方を基板10に対して加える。第1の状態から第3の状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2に対するP1の比率を上げ、かつ圧力P5を圧力P2より小さく保つ。第3の状態は、外側エッチ領域により高い圧力を印加しながら、なお広い領域にわたって圧力をかけるための、外側重点+広域接触パッチとも呼ばれる。
【0075】
図7Dを参照すると、アセンブリ195は第4の状態にある。第4の状態では、中央の下側ポスト290bが下方に変位し、最終的に、第1の膜に接触して集中した力730を加える。従って、アセンブリ195は、均一な分散荷重735と集中した力730の両方を基板10に対して加える。第1の状態から第4の状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2に対するP5の比率を上げる。第4の状態は、中央領域により高い圧力を印加しながら、なお広い範囲にわたって圧力をかけるための、中央重点+広域接触パッチとも呼ばれる。
【0076】
図7Eを参照すると、アセンブリ195は第5の状態にある。第5の状態では、最も外側の下側ポスト290aと、中央の下側ポスト290bの両方が下方に変位し、最終的に、第1の膜に接触して集中した力740、745を加える。従って、アセンブリ195は、エッジ領域内では均一な分布荷重750を印加し、外側エッジ領域では集中した力740を加え、基板10の中央エッジ領域では他の集中した力745を加える。第1の状態からこの状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2、又はP5、又はP2+P5に対する圧力P1の比率を上げ、圧力P2に対するP5の比率を上げる。第5の状態は、外側と中央のエッジ領域両方により集中した圧力を印加するための、外側及び中央重点広域接触パッチとも呼ばれる。
【0077】
図7Fを参照すると、アセンブリ195は第6の状態にある。中央の下側ポスト290bのみが下方に変位し、第1の膜に接触して集中した力755を加える。従って、アセンブリ195は、エッジ領域内では均一な分布荷重760を加え、基板10の中央エッジ領域内では集中した力755を加える。この状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2及びP5両方に対する圧力P1の比率を下げ、かつ圧力P2に対する圧力P5の比率を上げる。第6の状態は、中央エッジ領域により高い圧力を印加するが全体的な制御領域が(図7Dと比べて)より狭い、中央重点+狭域接触パッチとも呼ばれる。
【0078】
図8A図8Fは、様々な状態にある図4Bの圧力制御アセンブリ195の概略的な断面図を示している。
【0079】
図4Bに戻って参照すると、第3の例示的な圧力制御アセンブリ195は、4つのチャンバ、即ち、アクチュエータ256によって形成されるブラダと、第1の膜によって形成されるチャンバ483及び485と、第2の環状膜254b(例えば、環状体254)によって形成されるチャンバ450と、を含む。各チャンバは、それぞれの圧力供給部P1、P2、P3、及びP5に接続されており、圧力P1、P2、P3、及びP5は、アセンブリ195が様々な状態に達することを可能とするよう互いに変更可能である。
【0080】
図8Aを参照すると、アセンブリ195は第1の状態にあり、この第1の状態では、下側ポストはいずれも変位しておらず、第1の膜と接触していない。従って、第1の状態では、アセンブリ195は、基板10の外側エッジ領域内及び内側エッジ領域内で、分散した圧力805及び810のみ加える。各圧力805と810の大きさは、対応する圧力P3とP2と等しい。第1の状態は、広域接触パッチとも呼ばれる。
【0081】
図8Bを参照すると、アセンブリ195は第2の状態にある。第2の状態では、下側ポストのいずれも第1の膜と接触していない。従って、アセンブリは、基板10のより小さい内側領域及び外側領域に対して、分布荷重815及び820を加える。第1の状態から第2の状態に変更するために、アセンブリ195は、P1に対するP2+P3の比率を上げ、かつP5をP2+P3より小さく保つことが可能である。第2の状態は、研磨の際により小さいエッジ領域の研磨速度を制御するための狭域接触パッチとも呼ばれる。
【0082】
図8Cを参照すると、アセンブリ195は第3の状態にある。第3の状態では、最も外側の下側ポスト290aが下方に変位し、最終的に、第1の膜に接触して集中した力825を加える。従って、アセンブリ195は、外側のエッジ領域内及び内側のエッジ領域内で均一な分布荷重830、835を加え、かつ、基板10に対して集中した力825を加える。第1の状態からこの状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2、又はP3、又はP2+P3に対する圧力P1の比率を上げ、圧力P5を圧力P2より小さく保つ。第3の状態は、外側エッチ領域により高い圧力を印加しながら、なお広い領域にわたって圧力をかけるための、外側重点+広域接触パッチとも呼ばれる。
【0083】
図8Dを参照すると、アセンブリ195は第4の状態にある。第4の状態では、中央の下側ポスト290bが下方に変位し、最終的に、第1の膜に接触して集中した力845を加える。従って、アセンブリ195は、外側のエッジ領域内及び内側のエッジ領域内で均一な分布荷重840、850を加え、かつ、基板10に対して集中した力845を加える。第1の状態からこの状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2、P3、又はP2+P3に対する圧力P5の比率を上げる。第4の状態は、中央領域により高い圧力を印加しながら、なお広い範囲にわたって圧力をかけるための、中央重点+広域接触パッチとも呼ばれる。
【0084】
図8Eを参照すると、アセンブリ195は第5の状態にある。第5の状態では、最も外側の下側ポスト290aと、中央の下側ポスト290bの両方が下方に変位し、第1の膜に接触して集中した力855、865を加える。従って、アセンブリ195は、基板10の外側のエッジ領域内及び内側のエッジ領域内では均一な分布荷重860、870を印加し、外側エッジ領域内では集中した力855を加え、中央エッジ領域では他の集中した力865を加える。第1の状態からこの状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2及びP3の両方に対して圧力P1の比率を上げ、P2、又はP3、又はP2とP3の両方に対する圧力P5の比率を上げる。第5の状態は、外側と中央のエッジ領域両方により集中した圧力を印加するため、外側及び中央重点広域接触パッチとも呼ばれる。
【0085】
図8Fを参照すると、アセンブリ195は第6の状態にある。第6の状態では、中央の下側ポスト290bが下方に変位し、第1の膜に接触して集中した力880を加える。従って、アセンブリ195は、基板10の外側のエッジ領域内及び内側のエッジ領域内で均一な分散荷重7875、885を加え、かつ、基板10の中央エッジ領域内で集中した力880を加える。第1の状態からこの状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2及びP3の両方に対して圧力P1の比率を下げ、P2、又はP3、又はP2とP3の両方に対する圧力P5の比率を下げる。第6の状態は、中央のエッジ領域により高い圧力を印加するが全体的な制御領域が(図8Dと比べて)より狭い、中央重点+狭域接触パッチとも呼ばれる。
【0086】
図9A図9Cは、様々な状態にある図4Cの圧力制御アセンブリ195の概略的な断面図を示している。
【0087】
図4Cに戻って参照すると、第4の例示的な圧力制御アセンブリ195は、4つのチャンバ、即ち、アクチュエータ256によって形成されるブラダと、第1の膜によって形成されるチャンバ487、488、及び489と、を含む。任意選択的に、アセンブリ195は、環状体254の第2の膜254bによって形成される他のチャンバ(図示せず)を含みうる。各チャンバは、それぞれの圧力供給部P1、P2、P3、及びP4に接続されており、圧力P1、P2、P3、及びP4は、アセンブリ195が様々な状態に達することを可能にするよう互いに変更可能である。
【0088】
図9Aを参照すると、アセンブリ195は第1の状態にあり、この第1の状態では、下側ポストはいずれも変位しておらず、第1の膜と接触していない。従って、第1の状態では、アセンブリ195は、基板10の3つのエッジ領域内で、分散した圧力905、910、及び915のみ印加する。各圧力905、910、及び915の大きさは、対応する圧力P4、P3、P2と等しい。第1の状態は、広域接触パッチとも呼ばれる。
【0089】
図9Bを参照すると、アセンブリ195は第2の状態にある。第2の状態では、下側ポストはいずれも第1の膜と接触しておらず、中央のチャンバ488は基板10と接触していない。従って、アセンブリ195は、面積が小さい基板10の2つの領域(即ち、内側領域及び外側領域)に、分布荷重940及び945を加える。第1の状態から第2の状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2、又はP4、又はP2+P4に対する圧力P1の比を下げることが可能である。任意選択的に、アセンブリ195は、圧力P1、若しくはP2、若しくはP4、又はP1、P2、及びP4の任意の組み合わせに対する圧力P3の比率を下げることも可能である。第2の状態は、研磨の際により小さいエッジ領域の研磨速度を制御するための狭域接触パッチとも呼ばれる。
【0090】
図9Cを参照すると、アセンブリ195は第3の状態にある。第3の状態では、最も外側の下側ポストが下方に変位し、第1の膜に接触して集中した力925を加える。従って、アセンブリ195は、基板10の外側エッジ領域内、中央エッジ領域内、及び内側エッジ領域内で均一な分布荷重920、930、及び935を加え、かつ、基板10の外側エッジ領域に対して集中した力825を加える。第1の状態からこの状態に変更するために、アセンブリ195は、圧力P2に対するP1と比率を上げ、任意選択的に、圧力P3又はP4に対して圧力P1の比率を上げる。第3の状態は、外側エッジ領域により集中した圧力を印加するための、外側重点広域接触パッチとも呼ばれる。
【0091】
図10は、研磨中に圧力制御アセンブリを使用した例示的なエッジプロファイル制御プロセス1000を示すフロー図である。プロセス1000は、1つ以上の箇所に位置する1つ以上のコンピュータによって実行されうる。代替的に、プロセス1000は、命令として1つ以上のコンピュータ内に格納することも可能である。一旦実行されると、命令は、研磨装置の1つ以上の構成要素にプロセスを実行させることが可能である。例えば、図1に示すようなコントローラ190、又はコントローラ190を含む現場(in-situ)監視システム160は、プロセス1000を実行することが可能である。幾つかの実施形態において、現場監視システム160は、光学的な監視システム、例えば、分光学的な監視システムを含みうる。他の実施形態において、現場監視システム160は、渦電流監視システムを含みうる。
【0092】
図1に示すように、現場監視システム160は、センサ164と、コントローラ190、例えばコンピュータとの間で信号を送受信するためにセンサに接続された回路166と、を含む。センサ164は、例えば、光学的監視システムのために光を集める光ファイバの末端、又は、渦電流監視システムのコア及びコイルとすることができる。回路166の出力は、デジタル電子信号であってよく、このデジタル電子信号は、駆動シャフト124内の回転結合器129(スリップリングなど)を通過して、コントローラ190に達する。代替的に、回路166は、無線信号によってコントローラ190と通信することが可能であろう。
【0093】
システムは最初に、研磨後の基板の所望の厚さプロファイルを表すデータを受信する。所望の厚さプロファイルは、ユーザ入力インタフェースを介したユーザの要求によって指定することができ、又は、コントローラ190によって実行されるコンピュータプログラムで符号化することができる。従って、コントローラ190は、受信したデータに従って、基板のエッジ領域の所望の厚さを決定する(1002)ことが可能である。
【0094】
システムは、基板のエッジ領域の測定された厚さを決定する(1004)。より具体的には、各測定について、コントローラ190は、特性値を計算することが可能である。特性値とは、典型的に、研磨される層の厚さであるが、除去される厚さなど関連する特性値とすることができる。加えて、特性値は、例えば金属線抵抗などの厚さ以外の物理的性質とすることができる。加えて、特性値は、研磨プロセスを経た基板の進捗をより一般的に表すものとすることができ、例えば、既定の進捗に従った研磨プロセスにおいてスペクトルが観測されることが予期される時間又はプラテンの回転数を表す指標値でありうる。システムはその後、現在の研磨速度と、研磨後に基板のエッジ領域内で所望の厚さプロファイルに到達するための所望の研磨速度と、の間の差異を決定することが可能である。
【0095】
これに応じて、システムは、研磨速度の調整を定期的に行うことが可能である。幾つかの実施形態において、システムは、所定のレート、例えば、所与の回転数毎、例えば、5~50回転毎、又は所与の秒数毎、例えば、2~20秒毎に研磨速度を調整するようスケジュールする。一部の理想的な状況では、あらかじめ予定された調整時間において、調整がゼロになることもある。他の実施形態において、上記調整は、現場(in-situ)で決定される或る特定のレートで行われうる。例えば、エッジ領域の測定された厚さが、所望の厚さプロファイルと大きく異なる場合には、コントローラ190及び/又はコンピュータは、研磨速度の頻繁な調整を決定することができる。
【0096】
研磨中の基板のエッジ領域での研磨速度を所与の調整レートで調整するために、コントローラ190は、様々な種類及び大きさの荷重の様々な組み合わせを、当該組み合わせを決定した後に適用することが可能である。
【0097】
従って、上記の差異を決定したことに応じて、システムは、基板のエッジ領域の荷重領域に適用する荷重の組み合わせを決定する(1006)。より具体的には、システムは、荷重の種類(集中した力及び分散した力)又はアセンブリのモード(例えば、先に記載の広域接触パッチ、狭域接触パッチ、中央重点広域接触パッチ、外側重点広域接触パッチ、又は外側中央重点広域接触パッチ)の組み合わせを決定して、研磨後の実質的なウエハ内均一性を実現するよう基板のそれぞれのエッジ領域の研磨速度を調整することが可能である。
【0098】
荷重の大きさ、荷重の種類、又はアセンブリのモードを決定した後で、コントローラ190は、バルブアセンブリ189又は圧力供給タンク181を制御して、決定された荷重又はアセンブリのモードを実現するよう1つ以上のチャンバ内の1つ以上の圧力を変更する(1008)。従って、基板を研磨する際に、エッジ領域のそれぞれの部分の研磨速度を精確に制御することが可能である。
【0099】
本明細書では、基板という用語は、例えば、製品基板(例えば、複数のメモリ又はプロセッサダイを含む)、テスト基板、ベア基板、及びゲーティング基板を含みうる。基板は、集積回路製造の様々な段階のものであってよく、例えば、基板はベアウエハであってよく、又は、基板は1つ以上の堆積された及び/又はパターンされた層を含みうる。基板という用語は、円板及び矩形薄板を含みうる。
【0100】
先に記載の研磨装置及び研磨方法は、様々な研磨システム内で適用されうる。研磨パッドとキャリアヘッドのいずれか又は両方が、研磨面と基板との間の相対運動を与えるよう動きうる。例えば、プラテンは、回転するのではなく、周回してもよい。研磨パッドは、プラテンに固定された円形の(又は他の何らかの形状の)パッドでありうる。終点検出システムの幾つかの態様は、例えば研磨パッドが、リニアに移動する連続ベルト又はオープンリールベルトであるリニアな研磨システムに適用可能でありうる。研磨層は、標準的な(例えば、フィラーを含む又は含まないポリウレタンの)研磨材料、軟質材料、又は固定研磨材料(fixed-abrasive material)でありうる。相対的な配置に関する用語が使用されているが、研磨面及び基板は、垂直方向の配向で、又は他の何らかの配向で保持されうると理解されたい。
【0101】
本明細書で記載された様々なシステム及びプロセス、又はこれらの一部の制御は、コンピュータプログラム製品であって、1つ以上の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に格納され1つ以上の処理デバイス上で実行可能な命令を含むコンピュータプログラム製品で実現することが可能である。本明細書に記載のシステム、又はこれらの一部は、本明細書に記載の工程を実行するための1つ以上の処理デバイス及び実行可能な命令を格納するメモリを含みうる装置、方法、又は電子システムとして実現されうる。
【0102】
本明細書は、数多くの特定の実現の詳細を含んでいるが、これらは、いかなる本発明の範囲、又は特許請求されうるものの範囲においても限定するものとして解釈すべきでなく、特定の発明の特定の実施形態に特有でありうる特徴の説明として解釈すべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書で記載された特定の特徴を、組み合わせて1つの実施形態で実現することも可能である。反対に、1つの実施形態の文脈で記載された様々な特徴を、別々に又は任意の適切なサブコンビネーション(subcombination)で、複数の実施形態において実現することも可能である。さらに、特徴は、特定の組み合わせにおいて作用するものとして上記で説明されてもよく、そのようなものとして特許請求されてもよいが、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、その組み合わせから除外してもよく、特許請求される組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形例を対象としてよい。
【0103】
本発明の特定の実施形態を説明してきた。
【0104】
他の実施形態が、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4A-C】
図5A-C】
図6A-C】
図7A-F】
図8A-C】
図8D-F】
図9A-C】
図10
【国際調査報告】