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▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-04
(54)【発明の名称】ポリマー安定剤混合物のペレット化
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/20 20060101AFI20240226BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20240226BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20240226BHJP
   C08L 25/06 20060101ALI20240226BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20240226BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20240226BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20240226BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20240226BHJP
【FI】
C08J3/20 Z CES
C08J3/22
B29B9/06
C08L25/06
C08L23/06
C08K5/13
C08K5/524
C08L91/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555210
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2022053903
(87)【国際公開番号】W WO2022189113
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】21161644.6
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グフレーラー,トーマス ゲオルク
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F070AA15
4F070AB22
4F070AB23
4F070AB24
4F070AC37
4F070AC43
4F070AC55
4F070AE03
4F070FB03
4F070FC05
4F201AB06
4F201AB07
4F201AB19
4F201AQ01
4F201AR06
4F201AR20
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC13
4F201BL05
4F201BL13
4F201BL43
4J002AE032
4J002BB031
4J002BC031
4J002EC048
4J002EC058
4J002EJ016
4J002EW066
(57)【要約】
本発明は、ペレットミル中でペレットを製造する方法であって、
(A)ノズルを通してローラーによって圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップと、
(B)前記ストランドを粉砕して前記ペレットを得るステップと
を含み、ここで、圧縮用混合物は、
(i)圧縮用混合物の重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)前記ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)圧縮用混合物の重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含む方法に関する。
このペレットは、安定化ポリマーの製造において、そのポリマー安定剤混合物を無粉塵で取り扱うために有用である。さらに、ポリマーにペレットを投与することを含む、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーを安定化する方法が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラー及びノズルを備えたダイを含むペレットミル中でペレットを製造する方法であって、
(A)前記ノズルを通して前記ローラーによって圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップと、
(B)前記ストランドを粉砕して前記ペレットを得るステップと
を含み、ここで、前記圧縮用混合物が、次の成分、
(i)前記圧縮用混合物の重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)前記圧縮用混合物の重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、EN ISO 11357-3による示差走査熱量測定によって決定される、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含む方法。
【請求項2】
前記加工助剤が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、30000Daより高く60000Da未満の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
重量平均分子量が、ISO16014-4による高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)によって決定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加工助剤が、50℃より高く85℃未満の融解ピーク温度を有し、前記融解ピーク温度がEN ISO 11357-3による示差走査熱量測定によって決定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加工助剤が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される、10000Daより高く19000Da未満の数平均分子量を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記数平均分子量が、ISO16014-4による高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)によって決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー安定剤混合物中の前記ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の全体量が92~100重量%の範囲である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記加工助剤が、1000mPasより高く2500mPas未満のDIN 53019による170℃における粘度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記加工助剤が、ワックスであるプロピレン-エチレンコポリマーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記加工助剤の融解エンタルピーが8J/gより高く19J/g未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記圧縮用混合物が、
(i)89~96重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)4~11重量%の加工助剤
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ストランドが、その赤外線照射の測定によって決定される45℃より高く110℃未満の表面温度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
以下のステップ
(pre-A)粉末の形態である圧縮用混合物をペレットミルに供給するステップ
を含み、前記ステップ(pre-A)が、前記ステップ(A)の前に実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ペレットミルがリングダイペレットミルであって、前記ダイが内周側面及び外周側面を有するリングの幾何学的形状を有し、前記ノズルが前記内周側面から前記外周側面への経路を表すか、又は前記ペレットミルがフラットダイペレットミルであって、前記ダイが上部側面及び下部側面を有する平面板の幾何学的形状を有し、前記ノズルが上側面から下側面への経路を表す、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記リングダイペレットミルにおいて、前記リングが回転し、前記ローラーが、静止している回転軸を有し、前記フラットダイペレットミルにおいて、前記ダイは静止し、前記ローラーが、回転している回転軸を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ノズルがノズル径及びプレス長さを有し、前記ノズル径に対する前記プレス長さの比率が2~8である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ローラーの表面が波形である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ペレットミルがリングダイペレットミルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ペレットミルが2つ以上のローラーを含み、前記ダイが2つ以上のノズルを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
次の成分
(i)ペレットの重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)ペレットの重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、EN ISO 11357-3による示差走査熱量測定によって決定される、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含む、ペレット。
【請求項21】
2mm~4mmの円の直径を有する丸棒の形状を有する、請求項20に記載のペレット。
【請求項22】
円の直径の1~3倍の長さを有する、請求項21に記載のペレット。
【請求項23】
安定化ポリマーの製造において、その成分を無粉塵で取り扱うための請求項20~22のいずれか一項に記載のペレットの使用であって、前記ポリマーがポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物である使用。
【請求項24】
次のステップ
(AP)請求項20~22のいずれか一項に記載のペレットをポリマーに供給して、ペレット-ポリマー混合物を得るステップと、
(BP)前記ペレット-ポリマー混合物を機械的撹拌下で120~340℃の範囲の温度に曝露して安定化ポリマーを得るステップと
を含む安定化ポリマーの製造方法であって、前記ポリマーがポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物である方法。
【請求項25】
次の成分
(i)圧縮用混合物の重量に基づき87~97重量%の粉末の物理的形態のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)前記ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)前記ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)圧縮用混合物の重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、EN ISO 11357-3による示差走査熱量測定によって決定される、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する、粉末の物理的形態の加工助剤と
を含む圧縮用混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト及びテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタンを約1対1の重量比で含有するポリマー安定剤混合物と、加工助剤とを含む圧縮用混合物を、ペレットミルのノズルを通してプレスしてストランドを得るステップと、ストランドを粉砕してペレットを得るステップとを含む、ペレットの製造方法に関する。さらなる実施形態は、ポリマー安定剤混合物と加工助剤とを含むペレットである。さらなる実施形態は、安定化ポリマーの製造において、その成分を無粉塵で取り扱うためのペレットの使用である。さらなる実施形態は、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーにペレットを組み込み、安定化ポリマーを得るステップを含む、安定化ポリマーの製造方法である。さらなる実施形態は、粉末の物理的形態の圧縮用混合物である。
【背景技術】
【0002】
物品を構築するための、又は物品の一部である構成材料として使用される有機ポリマーは、酸化、熱、又は光による劣化を受けやすい。例えば、ポリマー合成から得られたポリマーが所望の最終物品又は中間物品に機械的に変換される場合、ポリマーの加工時に短時間劣化が生じる。中間物品は、多くの場合、ポリマー合成から得られたポリマーに特に所望の添加剤を組み込むためのプロセスの産物である。短時間劣化は、多くの場合、機械的応力と組み合わせて生じる、例えば、80℃より高く330℃までなどの比較的高いプロセス温度への比較的短時間の暴露によって特徴付けられる。短時間劣化とは対照的に、典型的には所望の最終物品の形態でのポリマーの長期的な分解は、予測された使用の間に生じる。所望の最終物品の予測された使用は、光、酸素、上昇温度、例えば、室温を超えるが80℃未満の温度、水又は攻撃的な化学物質に対するポリマーの長期的な暴露をもたらし得る。しばしば、ポリマー安定剤の混合物が利用されるが、単一ポリマー安定剤と比較して、ポリマー安定剤の混合物が相乗効果をもたらすことがある。
【0003】
酸化、熱又は光による劣化に対する安定化のために、有機ポリマー中にポリマー安定剤を組み込むことは古くから知られている。ポリマー安定剤の組み込みは、典型的に、熱可塑性ポリマーの場合、ポリマーの加工中に行われ、加熱されたポリマーは粘度が低下しているか、又は液体状態に近いため、ポリマー中のポリマー安定剤の均質な分布が支持される。ポリマー安定剤は室温で固体であることが多く、合成の仕上げ後に粉末の形で得られる。粉末形態のポリマー安定剤を実際に組み込む際に、実用上の問題が生じる。粉末の取り扱いは、粉塵が発生しやすくなる傾向がある。粉塵は、製造工場で働く作業員の労働衛生の観点からも、粉塵爆発などの工場安全の観点からも、工場設備の粉塵汚れなどの工場清潔の観点からも、非常に重大である。さらに、ポリマー中への粉末の組み込みは、典型的に、バッチ式では行われない。その代わりに、例えば、押出機中で連続的に処理されるポリマーに、ポリマーの重量に対して典型的に0.5%未満である量の粉末を連続的に投与することが行われるが、これは、特定の瞬間に実際に組み込まれる量が変動しやすくなる傾向がある。したがって、ポリマーの全体量が多くても、その後、統計的に同量のポリマー安定剤が含まれるのだが、これはポリマーの全体量のうちの単一単位については必ずしも当てはまらない。ポリマー安定剤の混合物がポリマーに組み込まれる場合、ポリマー安定剤の混合物の追加的な脱混合が生じると、前述の投与に関する話題はより問題となる可能性がある。例えば、特定の瞬間に実際に組み込まれる量が同一であっても、互いに対する個々のポリマー安定剤の相対的な比率が変動する可能性がある。
【0004】
ポリマー安定化剤の適切な無粉塵剤形を提供するために、いくつかのアプローチが知られている。一つの方向は、さらなる成分、すなわち、ポリマー安定剤として必要とされない成分を添加することなく、適切な無粉塵剤形を提供することである。例えば、粉末形態のポリマー安定剤をロール圧縮によってプレス凝集させてフレークを得る。別のアプローチは、粉末形態のポリマー安定剤を融解させ、その融解物の単一の液滴を冷却表面上で固化させることによって、粉末形態のポリマー安定剤からパスティルを形成することである。別のアプローチは、ポリマー安定剤の軟化点より高い温度で、押出機内で粉末形態のポリマー安定剤を加熱及び混練し、加熱された塊を、ダイを通して押出して、温ストランドを形成し、温ストランドをペレットに切断することによって、粉末形態のポリマー安定剤からペレットを形成することである。もう一つの方向は、さらなる成分、すなわちポリマー安定剤として必要とされない成分を添加することによって、適切な無粉塵剤形を提供することである。さらなる成分は、圧縮助剤、バインダー又は加工助剤と呼ばれることもあり、ポリマー性のさらなる成分の場合は、マスターバッチポリマー又はキャリアポリマーとも呼ばれ、典型的に、ポリマー安定剤粉末のそれぞれの粒子のための一種のホットメルト接着剤として作用する。ポリマー安定剤自体が少なくとも主要部分まで融解するかどうかは、適用温度及びポリマー安定剤に対するさらなる成分の化学的性質、特に一種の相互溶解性が存在するかどうかに依存する。ポリマー安定剤の剤形中のさらなる成分の添加には利点がある。特に、ポリマー安定剤の剤形は、単にその製造の最後に粉塵をふるい分けすることによって、最初に無粉塵で得られ得る。しかしながら、初期に無粉塵の剤形の耐摩耗性は、剤形の輸送及びそれに伴う粉塵の形成を考慮すると関連する特性である。
【0005】
米国特許第5298540号明細書は、立体障害フェノールとホスファイト又はホスホナイトとの組合せを添加することによって熱酸化劣化に対して安定化させた家庭廃棄物及び商業廃棄物からの再生混合プラスチックに関する。その実施例1は、0.05%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、0.2%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン、及び6%のエチレン-プロピレンコポリマーをベースとする相溶化剤を含有する、ポリオレフィンとポリスチレンとの混合物を開示している。
【0006】
国際公開第94/07946A1号パンフレットは、家庭廃棄物、商業廃棄物及び産業廃棄物からの再生プラスチック、主に熱可塑性プラスチックに関するものであり、これらのプラスチックは、立体障害フェノールと有機ホスファイト又はホスホナイト及び脂肪酸の金属塩との組合せを添加することによって熱酸化劣化に対して安定化させることができる。その多くの発明例では、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニル-オキシメチル]メタン及びステアリン酸カルシウムの重量比2:1:2の安定剤混合物が、高密度ポリエチレン及び/又はポリプロピレンの安定化で示されている。その記載中、安定剤混合物の添加は、圧縮、押出形態で、支持材料上で、又は直接、混合物として、又は粉末の形態で行われることが提案されている。
【0007】
特開平06-254845号公報は、熱安定剤の粉末と、熱安定剤よりも融点又は軟化点の低い有機配合剤の粉末とを所定の割合で混合した後、この混合物をリング状の格子板に供給し、回転ローラーによって格子板から顆粒状に押出する方法による、優れた耐粉末性及び分散性が記載される顆粒状安定剤に関する。鉛塩、ゼオライト及び金属石鹸などの熱安定剤の100重量部粉末と、ワックス及び高級脂肪酸などの有機配合剤の2~60重量部粉末とを混合器1に投入し、有機配合剤の融点又は軟化点付近の温度で緊密に混合する。この混合物を容器10に移し、有機配合剤の少なくとも融点又は軟化点の温度で加熱する。撹拌翼11による撹拌は、混合物に剪断力が実質的に作用しないように行う。混合物が均一に加熱された後、成形装置14に移される。成形装置14内には、多数の貫通孔20を有する格子板16がリング状に設けられ、ローラーがその軸上で回転し、格子板16上を回転する。加熱された混合物は貫通孔20に押し込まれ、押出されて顆粒状物品21となる。
【0008】
国際公開第95/25767A1号パンフレットは、加工中に分子量が低下し、Ziegler-Natta型の触媒によって得ることができる高密度ポリエチレン(HDPE)に関する。HDPEは、立体障害フェノールと有機ホスファイト又はホスホナイトと酸化カルシウムとの組合せの添加によって熱酸化劣化に対して安定化させることができる。その比較例Cでは、重量比2:1:2のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン及びステアリン酸カルシウムによるHDPEの安定化が示されている。その発明例1では、重量比2:1:2のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニル-オキシメチル]メタン及び酸化カルシウムによるHDPEの安定化が示されている。その記載中、ポリマーへの安定剤混合物の組み込みは、粉末形態、顆粒状形態又は圧縮形態として提案されている。或いは、不活性支持体としてLDPEを用いたマスターバッチの調製が提案されている。
【0009】
米国特許第5846656号明細書は、紫外線及び熱酸化劣化に対して重合体を安定化するための安定化系に関し、この安定化系はペレットの形態である。このペレットは、少なくとも1種の安定剤と、安定剤の融解を防止する薬剤との実質的に乾燥した均一混合物から形成される。安定剤化合物は混合物の約50重量%~約98重量%を占める。安定剤は、ホスファイト及びヒンダードフェノール又はヒンダードアミンUV安定剤などの酸化防止剤、又はそれらの組合せである。融解防止剤は、脂肪酸若しくは脂肪アルコールから誘導される化合物、又は脂肪酸若しくは脂肪アルコール、又は脂肪酸若しくは脂肪アルコールの組合せであってよく、これらは均質混合物の約3%~約10%を占める。脂肪酸、脂肪アルコール、及びそれから誘導される化合物は、好ましくは50~100℃、好ましくは50~約80℃の範囲の低い融点を有する。融解防止剤は、代わりに、均一混合物の約2~50重量%を占める小さな粒径を有する潤滑剤であってもよい。その実施例1では、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト及びテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタンの重量比1対1の混合物では、California Pellet Mill Companyの実験室用ペレットミルモデルCL-3ではペレットが得られない。その実施例21では、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニル-オキシメチル]メタン及び低密度ポリエチレンの重量比45:45:10の混合物ではペレットが得られる。その実施例27では、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン及びグリセリルモノステアレートの重量比45:45:10の混合物ではペレットが得られる。
【0010】
米国特許出願公開第2008/0119606号明細書は、A)1%~25%(重量%)の、ISO11357に従って示差走査熱量測定(DSC)により決定される160℃以下の融点を有する1種又は複数種のポリオレフィンを含むポリオレフィンマトリックスと、B)75%~99%(重量%)のポリマー用の1種又は複数種の固体添加剤とを含む、プラスチック用添加剤組成物に関する。
【0011】
米国特許第6033600号明細書は、安定剤ブレンド組成物及び圧縮された粒子を提供する方法に関する。圧縮された粒子は、粉塵レベルの減少を示し、取り扱い中に耐久性がある。この組成物は、ペンタエリスリトールホスファイト、ヒンダードフェノール系イソシアヌレート、脂肪酸の金属塩、及びハイドロタルサイトを含む。
この方法は、上記の成分をブレンドすること、及び加圧下でそれらを圧縮し、ペレットなどの圧縮された粒子を形成することを含む。この圧縮された粒子は、ポリマー組成物の安定化のための添加剤として有用である。
【0012】
米国特許出願公開第2001/0044518A1号明細書は、a)フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト又はホスホナイト、ホスホネート、立体障害アミン又はUV吸収剤の単独、又はこれらの化合物の混合物と、b)室温で固体である少なくとも1種のエポキシ化合物とを含む、プラスチック添加剤の低粉塵顆粒に関する。この顆粒は、ポリマー、特にポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィンの安定化に特に適切である。その発明例A12では、ビスフェノールAジグリシジルエーテル Araldit GT 7072、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン、ステアリン酸カルシウム及び酸化カルシウムの重量比約47:5:5:2:8の組成物をコニーダーで押出することによって圧縮して顆粒にする。その発明例B12では、ビスフェノールAジグリシジルエーテル Araldit GT7072、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン、ステアリン酸カルシウム、酸化カルシウム及びポリエチレンワックスPE520の重量比約47:5:5:2:8:7の組成物をコニーダーで押出することによって圧縮して顆粒にする。その発明例B13では、ビスフェノールAジグリシジルエーテル Araldit GT 7072、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート及びステアリン酸カルシウムの重量比約12:2:1:2の組成物をコニーダーで押出することによって圧縮して顆粒にする。その比較例2では、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニル-オキシメチル]メタン、ステアリン酸カルシウム及び酸化カルシウムの重量比5:5:2:8の圧縮安定剤混合物をPP/EPDMポリマーの安定化のために、ビスフェノールAジグリシジルエーテル Araldit GT 7072(相対重量47)と一緒に使用する。その比較例C1及びC2では、ビスフェノールAジグリシジルエーテル Araldit GT 7072、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン、ステアリン酸カルシウム及び酸化カルシウムを約47:5:5:2:8の重量比で含む安定剤顆粒をPP/EPDMポリマーの安定化のために利用する。その記載中、顆粒はまた、熱可塑性ポリマー(例えば、ポリオレフィン又はポリオレフィンワックス)などの追加物質を含んでもよいことが提案されている。
【0013】
米国特許第6596198号明細書は、良好なペレット収率、好ましくは少なくとも約90重量%を有するペレット化安定剤添加剤系及びその製造方法に関する。安定剤添加剤系は、少なくとも安定剤及び加工助剤、好ましくは離型剤を含む。加工助剤は安定剤よりも低い溶融温度を有する。安定剤は、安定剤と離型剤との合計重量の50重量%未満である。
【0014】
国際公開第2004-063268A1号パンフレットは、(a)合成ポリマー、(b)ナノ粒子の天然又は合成フィロシリケート又はそのようなフィロシリケートの混合物、(c)フェノール系酸化防止剤及び/又は加工安定剤、並びに(d)エポキシド、オキサゾリン、オキサゾロン、オキサジン、イソシアネート及び/又は無水物からなるクラスから選択される単官能性又は多官能性化合物を含むナノ複合材料に関する。その実施例1dは、重量比1対1のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト及びテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]-メタンによるポリプロピレンの安定化を開示している。
【0015】
国際公開第2006-010718A1号パンフレットは、本質的に結晶形態のフェノール系酸化防止剤を含む固体粒子を調製するためのプロセス、及びフェノール系酸化防止剤をさらに処理するためのプロセスステップに関する。固体粒子は、フェノール系酸化防止剤の溶融物から調製され、有機水混和性溶媒と水との混合物中に化合物(I)の固体粒子を含む分散液に添加され、分散液から得られた結晶が分離される。その実施例3には、重量比1対1のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト及びテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタンからなる混合物の結晶が開示されている。
【0016】
国際公開第2008-033410A1号パンフレットは、安定性を高めるために様々な重合プロセスで使用することができる、高濃度ペレット化添加剤濃縮物又はポリマー安定化剤又はブレンド物及びそれらの調製に関する。ペレット化添加剤濃縮物は、少なくとも10重量%のキャリアポリマーを含み、実施例では、添加剤混合物をキャリアポリマーと一緒に押出機中でキャリアポリマーの溶融温度より高いが主要添加剤の溶融温度より低い温度で加熱し、次いで温ストランドをペレットに切断することによって得られる。その実施例4では、70重量%の全ポリマー安定剤含量及び30重量%のキャリアポリマーとしてのポリエチレンの含量のペレットで、48重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト及び10重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタンの含量を有するペレットが得られる。
【0017】
国際PCT出願国際公開第2021/048061号パンフレットは、ペレットミルでペレットを製造するための方法に関し、この方法は、
(A)ノズルを通してローラーによって圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップと、
(B)ストランドを粉砕してペレットを得るステップと
を含み、ここで、圧縮用混合物は、
(i)87~97重量%の、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)であるポリマー安定剤と、
(ii)3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで100J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含む。
【0018】
このペレットは、そのポリマー安定化剤を安定化ポリマーの製造時に無粉塵で取り扱うために有用である。さらに、ポリマーにペレットを投与することを含む、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーを安定化する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
出発物質として元々は粉末の形態であるポリマー安定剤混合物のさらなる固体剤形に対する必要性が依然として存在する。第1の態様において、剤形ユニットのそれぞれの剤形の製造は、理想的にはポリマー安定剤の加温なしに行われるか、又は少なくともそれを最小にすべきである。第一に、これによって、直接加熱又は間接加熱(すなわち、機械的応力が熱エネルギーに変換され、その結果、処理されたポリマー安定剤混合物の温度が明らかに上昇する)のいずれかによってポリマー安定剤混合物を加温するために必要となるプロセスエネルギーが節約される。また第二に、これによってポリマー安定剤混合物の不必要な温度上昇への暴露が回避される。不必要な暴露は一般に回避されるが、個々のポリマー安定剤が相変化を起こす可能性もあり、例えば、元々は結晶質の材料が粘性状態に移行する。さらに、剤形の製造は、不完全な生成物を発生させずに行われるべきであり、すなわち、ポリマー安定剤混合物の使用される出発材料は、1回の運転で高い割合で剤形に加工されるべきである。言い換えると、生成される不合格品の量は、たとえ不合格品が再び出発材料として直接再使用できる形態であっても、少なくなければならない。不合格品を除去する例としては、所望の剤形をふるい分けして、初期に無粉塵の剤形を得ることが挙げられる。第2の態様において、ポリマー安定剤混合物の剤形は、その製造後、貯蔵及び輸送の間安定であるべきである。特に、最初に粉無塵の剤形は、例えば、袋への充填時、充填された袋の輸送時、又は安定化されるべきポリマーへの組み込みのための剤形単位の供給操作時などの振動への曝露時に、剤形ユニットの互いに対する摩耗によって、それぞれ微粉を再び生成する可能性がある。したがって、剤形の一定レベルの耐摩耗性が望ましい。第3の態様において、安定化されるべきポリマーへの組み込みの際の剤形単位のより正確な供給を可能にするために、剤形の単位は、理想的には、その形状及び重量があまり多様であるべきではない。より正確な供給の結果として、特に、安定化されるポリマーへの連続投与において、ポリマー安定剤混合物及びその個々のポリマー安定剤の濃度が安定化ポリマー中で変動しにくくなる。言い換えると、安定化ポリマーの特定の部分におけるポリマー安定剤の局所的濃度は、安定化ポリマー全体におけるポリマー安定剤の平均濃度から少ない偏差を示す。剤形単位の供給が、安定化されるべきポリマーの中に、ポリマー自体がまだ固体単位、例えばペレットとして存在する段階で組み込まれる際に行われる場合、剤形単位がポリマーの固体単位と形状及び重量が比較的類似していることが有利である。これによって、剤形単位及び安定化されるべきポリマーの固体単位の混合物が、混合物として輸送される間に分離することが防がれる。このような輸送の例としては、安定化されるべきポリマーとポリマー安定剤混合物との混合物を貯蔵設備からポリマーに組み込むための装置、例えば押出機へと空気輸送することが挙げられる。第4の態様において、ポリマー安定剤混合物の剤形は、低含有量の補助成分を含有するべきである。補助成分は、例えば溶媒の添加など、剤形の製造中にのみ存在し、その後除去される。補助成分は永続的に存在してもよく、すなわち、剤形の組成物は補助成分を含み、それは安定化されるポリマーに組み込まれる。第5の態様において、ポリマーの安定化は、安定化されるべきポリマー全体に個々のポリマー安定剤分子が理想的に均質に分布することによって支持される。或いは、ポリマー安定剤が安定化されるべきポリマー中に個々の分子として溶解しない場合、不溶性ポリマー安定剤の個々の分子の凝集体、又は個々のポリマー安定剤分子の凝集体からのさらに大きな粒子が、安定化されるべきポリマー中に均質に分布する。ポリマー安定剤の分布に対する剤形の潜在的な影響は、当初は全てのポリマー安定剤分子が剤形中に濃縮されているのに対して、その後は全てのポリマー安定剤分子が安定化されるべきポリマー中に理想的に均質に分布していることを考慮すれば明らかである。安定化されるポリマー中のポリマー安定剤の不均一な分布は、ポリマー及びポリマー安定剤の粉末を混合する場合のように、より完全な初期分布によって安定化されたポリマーと比較して、安定化されたポリマーの劣化に対する安定性の低下とは異なって注目され得る。例えば、安定化ポリマー中に不均一に分布しているポリマー安定剤は、安定化ポリマーから薄いポリマーフィルムを製造する場合には表面特性を乱す可能性があり、或いは、安定化ポリマーをスピン押出する場合にはフィルター又はノズルの目詰まりを引き起こす可能性がある。安定化されるポリマーの性質は、適切なポリマー安定剤と相互作用する。例えば、ポリアミドは融解状態になる過程でジメチルスルホキシドに匹敵する種類の溶媒に変化するが、ポリオレフィンは、典型的に、融解状態になる過程でn-ヘキサン又はデカリンなどの種類の溶媒にしか変化しない。したがって、ポリアミドよりもポリオレフィンの方が、高温での加工中にポリマー安定剤の分布を修正する可能性が少ない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
今や、ローラー及びノズルを備えたダイを含むペレットミル中でペレットを製造する方法が見出され、この方法は、
(A)ノズルを通してローラーによって圧縮用混合物をプレスしてストランドを得るステップと、
(B)ストランドを粉砕してペレットを得るステップと
を含み、ここで、圧縮用混合物は、
(i)圧縮用混合物の重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)圧縮用混合物の重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図11】ミリメートル紙に載せた、実施例D-11-1から得られたフレーク。
図12】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-2から得られたペレット。
図13】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-3から得られたペレット。
図14】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-4から得られたペレット。
図15】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-5から得られたペレット。
図16】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-6から得られたペレット。
図17】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-7から得られたペレット。
図18】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-8から得られたペレット。
図19】ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-9から得られたペレット。
【発明を実施するための形態】
【0022】
圧縮用混合物の成分(i)及び(ii)の重量%は、圧縮用混合物の重量に基づいている。したがって、成分(i)及び(ii)を含む圧縮用混合物に含まれる全成分の重量%を合計すると、全体として100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。全成分の合計は、成分(i)及び(ii)の下に潜在的なさらなる成分も含む。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0023】
ポリマー安定剤混合物のポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の重量%は、ポリマー安定剤混合物の重量に基づいている。したがって、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)を含むポリマー安定剤混合物に含まれる全成分の重量%を合計すると、全体として100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の合計は100重量%以下である。ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の全体量は、90~100重量%の範囲、好ましくは92~100重量%の範囲、より好ましくは94~100重量%の範囲、非常に好ましくは95~100重量%の範囲、特に好ましくは96~100重量%、より特に97~100重量%の範囲、非常に特に98~100重量%の範囲、特に99~100重量%の範囲であり、より特に、ポリマー安定剤混合物は、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)から構成される。
【0024】
ポリマー安定剤混合物中のポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の全体量が92重量%~100重量%の範囲である方法が好ましい。
【0025】
ポリマー安定剤混合物中のポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の全体量が95重量%~100重量%の範囲である方法が好ましい。
【0026】
ポリマー安定剤は、酸化、熱又は光による劣化を受けやすいポリマーを、酸化、熱又は光による劣化に対して安定化させる役割を果たす。
【0027】
トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)を以下に示す。
【化1】
これは、例えば、市販のポリマー安定剤Irgafos 168(TM BASF)に含まれる。これは主にポリマー中の短時間加工ポリマー安定剤として機能する。短時間加工ポリマー安定剤は、多くの場合、機械的応力との組合せで発生する、例えば80℃より高く330℃までの比較的高い加工温度へのポリマーの比較的短時間の暴露によって特徴付けられる短時間劣化に対して利用される。
【0028】
ペンタエリスリトールテトラキス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート](CAS-No.6683-19-8)と呼ばれることもある、テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)を以下に示す。
【化2】
これは、例えば、Irganox 1010(TM、BASF SEから市販されている)に含まれている。これは、ポリマーの長時間熱安定剤として機能する。
【0029】
好ましくは、ポリマー安定剤混合物は、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)を(i-1):(i-2)=1:1の相対重量比で含む。
【0030】
好ましくは、ポリマー安定剤混合物は、以下のポリマー安定剤
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき46~54重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき46~54重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含み;より好ましくは、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき47~53重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき47~53重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含み;非常に好ましくは、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき48~52重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき48~52重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含み;特に、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき49~51重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき49~51重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含む。
【0031】
好ましくは、ポリマー安定剤(i-1)又は(i-2)は粉末の形態である。より好ましくは、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)は粉末の形態である。粉末の嵩密度は、DIN EN ISO 17892-3に従って測定される。好ましくは、ポリマー安定剤(i-1)は粉末の形態であり、DIN EN ISO 17892-3によって決定される300g/Lより高く900g/L未満、より好ましくは350g/Lより高く600g/L未満、非常に好ましくは380g/Lより高く550g/L未満、特に好ましくは400g/Lより高く500g/L未満の嵩密度を有する。好ましくは、ポリマー安定剤(i-2)は粉末の形態であり、DIN EN ISO 17892-3によって決定される300g/Lより高く900g/L未満、より好ましくは450g/Lより高く700g/L未満、非常に好ましくは480g/Lより高く680g/L未満、特に好ましくは500g/Lより高く650g/L未満の嵩密度を有する。
【0032】
加工助剤は、101.32kPaにおいて20J/g未満の融解エンタルピー、融解ピーク温度及び融解範囲を有する。融解エンタルピーは、EN ISO 11357-3による示差走査熱量測定(DSC)により、好ましくは大気圧、例えば101.32kPaで決定される。融解温度及び融解範囲もまた、EN ISO 11357-3による示差走査熱量測定によって、好ましくは大気圧、例えば101.32kPaで決定される。好ましくは、大気圧でのEN ISO 11357-3は、(a)10℃/分及び30mL/分のNで0℃から200℃まで、(b)10℃/分及び30mL/分のNで200℃から0℃まで、(c)10℃/分及び30mL/分のNで0℃から200℃までの3回の連続加熱サイクルで実施される。
【0033】
好ましくは、加工助剤の融解エンタルピーは、101.32kPaで5J/gより高く20J/g未満、より好ましくは8J/gより高く19J/g未満、非常に好ましくは9J/gより高く18J/g未満、特に好ましくは10J/gより高く17J/g未満、より特に11J/gより高く16J/g未満、非常に特に11J/gより高く15J/g未満、特に12J/gより高く14J/g未満である。
【0034】
加工助剤の融解エンタルピーが101.32kPaで20J/g未満である方法が好ましい。
【0035】
加工助剤の融解エンタルピーが8J/gより高く19J/g未満である方法が好ましい。
【0036】
好ましくは、加工助剤の融解ピーク温度は、50℃より高く85℃未満、より好ましくは55℃より高く83℃未満、非常に好ましくは60℃より高く81℃未満、特に65℃より高く80℃未満、より特に68℃より高く76℃未満、非常に特に70℃より高く75℃未満、特に72℃より高く74℃未満である。
【0037】
加工助剤が50℃より高く85℃未満の融解ピーク温度を有する、ペレットの製造方法が好ましい。
【0038】
好ましくは、加工助剤の融解範囲は、20℃~100℃、より好ましくは25℃~99℃、非常に好ましくは30℃~98℃、特に好ましくは33℃~97℃、より特に好ましくは35℃~96℃、非常に特に好ましくは38℃~96℃、特に好ましくは42℃~96℃、より特に好ましくは45℃~95℃である。
【0039】
プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤は、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及びMwとMnとの比である多分散性指数(PD)を有する。好ましくは、重量平均分子量、数平均分子量及び多分散性指数は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、非常に好ましくはISO 16014-4に従って高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)により決定される。ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて、検出器は好ましくは屈折率検出器(RI検出器)である。溶媒は、好ましくはトリクロロベンゼンである。カラム温度は好ましくは150℃である。校正標準物質は、好ましくはポリスチレンを含む。
【0040】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の重量平均分子量は、30000Daより高く60000Da未満、より特に33000Daより高く47000Da未満、非常に特に35000Daより高く45000Da未満である。
【0041】
加工助剤が30000Daより高く60000Da未満の重量平均分子量を有する方法が好ましい。
【0042】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の数平均分子量は、10000Daより高く19000Da未満、より特に13000Daより高く18000Da未満、非常に特に15000Daより高く17000Da未満である。
【0043】
加工助剤が10000Daより高く19000Da未満の数平均分子量を有する方法が好ましい。
【0044】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の多分散性指数は、1.3より高く7未満、より好ましくは1.5より高く5未満、非常に好ましくは1.7より高く4未満、特に好ましくは1.9より高く3.5未満、より特に好ましくは2.1より高く3未満、非常に特に好ましくは2.3より高く2.7未満、特に好ましくは2.3より高く2.5未満である。
【0045】
好ましくは、重量平均分子量は30000Daより高く60000Da未満であり、数平均分子量は10000Daより高く19000Da未満であり、より好ましくは、重量平均分子量は33000Daより高く47000Da未満であり、数平均分子量は13000Daより高く18000Da未満であり、非常に好ましくは、重量平均分子量は35000Daより高く45000Da未満であり、数平均分子量は15000Daより高く17000Da未満である。
【0046】
好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の多分散性指数は1.9より高く3.5未満であり、重量平均分子量は30000Daより高く60000Da未満であり、より好ましくは、多分散性指数は2.1より高く3未満であり、重量平均分子量は33000Daより高く47000Da未満であり、非常に好ましくは、多分散性指数は2.3より高く2.7未満であり、重量平均分子量は35000Daより高く45000Da未満である。
【0047】
多分散性指数は、重量平均分子量及び数平均分子量と数学的に相関することが理解される。したがって、以下において、多分散性指数について提供される範囲は、重量平均分子量について提供される範囲から適切な特定の重量平均分子量を選択することによって、及び数平均分子量について提供される範囲から適切な特定の数平均分子量を選択することによって達成することが可能である、特定の多分散性指数のみが意図されることを意味する。好ましくは、プロピレン-エチレンコポリマーである加工助剤の多分散性指数は1.9より高く3.5未満であり、重量平均分子量は30000Daより高く60000Da未満であり、数平均分子量は10000Daより高く19000Da未満である。より好ましくは、多分散性指数は2.1より高く3未満であり、重量平均分子量は33000Daより高く47000Da未満であり、数平均分子量は13000Daより高く18000Da未満である。非常に好ましくは、多分散性指数は2.1より高く3未満であり、重量平均分子量は35000Daより高く45000Da未満であり、数平均分子量は15000Daより高く17000Da未満である。
【0048】
好ましくは、加工助剤は粉末形態である。粉末の嵩密度は、DIN EN ISO 17892-3によって決定される。好ましくは、加工助剤は粉末の形態であり、DIN EN ISO 17892-3によって決定される200g/Lより高く800g/L未満、非常に好ましくは250g/Lより高く600g/L未満、特に好ましくは280g/Lより高く400g/L未満、非常に特に好ましくは300g/Lより高く400g/L未満の嵩密度を有する。
【0049】
好ましくは、加工助剤は、ワックスであるプロピレン-エチレンコポリマーである。好ましくは、加工助剤はプロピレン-エチレンコポリマーワックスであり、これはプロピレン及びエチレンからメタロセン触媒を用いて合成される。好ましくは、加工助剤はプロピレン-エチレンコポリマーであり、これは、ポリマー長鎖が短鎖(-CH)によって分岐しており、非常に好ましくは本質的に短鎖のみによって分岐しており、特に短鎖のみによって分岐している。好ましくは、加工助剤はプロピレン-エチレンコポリマーワックスであり、ISO 1183による23℃における密度が0.85g/cmより高く0.90g/cm未満であり、非常に好ましくは0.87g/cmである。好ましくは、加工助剤はプロピレン-エチレンコポリマーワックスであり、ASTM D 3954による滴点が80℃より高く100℃未満であり、より好ましくは80℃より高く95℃未満であり、非常に好ましくは85℃より高く94℃未満であり、特に滴点が83℃~90℃の範囲にある。好ましくは、加工助剤はプロピレン-エチレンコポリマーワックスであり、このワックスのDIN 53019による170℃における粘度は1000mPasより高く2500mPas未満であり、より特に1300mPasより高く2300mPas未満であり、非常に特に、粘度は1500~2100mPasの範囲にある。好ましくは、加工助剤はプロピレン-エチレンコポリマーワックスであり、これはLicocene PP 1502(TM Clariant)である。
【0050】
加工助剤がDIN53019による170℃における粘度が1000mPasより高く2500mPas未満である方法が好ましい。
【0051】
加工助剤がワックスであるプロピレン-エチレンコポリマーである、ペレットの製造方法が好ましい。
【0052】
圧縮用混合物が、
(i)88~97重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)3~12重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0053】
圧縮用混合物が、
(i)90~97重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)3~10重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0054】
圧縮用混合物が、
(i)91~97重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)3~9重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0055】
圧縮用混合物が、
(i)89~96重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)4~11重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0056】
圧縮用混合物が、
(i)90~96重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)4~10重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0057】
圧縮用混合物が、
(i)91~96重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)4~9重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0058】
圧縮用混合物が、
(i)87~94重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)6~13重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0059】
圧縮用混合物が、
(i)88~94重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)6~12重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0060】
圧縮用混合物が、
(i)87~93重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)7~13重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0061】
圧縮用混合物が、
(i)88~93重量%のポリマー安定剤混合物、及び
(ii)7~12重量%の加工助剤
を含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0062】
ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)、並びに加工助剤とは異なるさらなる成分を、任意選択的に圧縮用混合物中に含有させることができる。さらなる成分は、複数のさらなる成分を含む。その場合、さらなる成分は、一般に成分(iii)、複数のさらなる成分の場合にはそれに応じて成分(iv)などと命名することができる。さらなる成分は、好ましくは、圧縮用混合物の全重量に基づいて17重量%まで(=0~17重量%)の量でのみ含有される。より好ましくは、さらなる成分は、15重量%まで(=0~15重量%)の量、非常に好ましくは13重量%まで(=0~13重量%)の量、特に好ましくは11重量%まで(=0~11重量%)の量、より特に好ましくは9重量%まで(=0~9重量%)、特に7重量%まで(=0~7重量%)の量で、特に5重量%まで(=0~5重量%)の量で、より特に3重量%まで(=0~3重量%)の量で、非常に特に1重量%まで(=0~1重量%)の量でのみ含有される。最も特に、圧縮用混合物はさらなる成分を含まない。
【0063】
さらなる成分は、例えば別のポリマー安定剤、別の加工助剤又は充填剤である。別のポリマー安定剤は、例えば、ポリマー安定剤(i-2)とは異なるフェノール系酸化防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、金属不活性化剤、ポリマー安定剤(i-1)とは異なるホスファイト、ホスホナイト、ヒドロキシルアミン又はアミンN-オキシド、チオシナジスト、酸捕捉剤又は過酸化物捕捉剤である。別の加工助剤は、例えばオレアミド、エルカミド、ベヘナミド又はモノステアリン酸グリセリルである。充填剤は、例えば、シリカ、タルク又はウォラストナイトである。好ましくは、さらなる成分は、380nm未満、より好ましくは350nm未満、非常に好ましくは300nm未満、特に好ましくは280nm未満、より特に好ましくは260nm未満の波長で光吸収極大を有し、非常に特に好ましくは250nmより高い波長で光吸収極大を有さない。好ましくは、さらなる成分は固体の形態である。好ましくは、さらなる成分は粉末の形態である。粉末の嵩密度は、DIN EN ISO 17892-3によって決定される。より好ましくは、さらなる成分は粉末の形態であり、200g/Lより高く950g/L未満の嵩密度を有する。
【0064】
エポキシド化合物は、本明細書において、少なくとも1種のエポキシド基、すなわち、2個の炭素原子と1個の酸素原子とが互いに共有結合した3員環構造を含有する分子として定義される。この3員環構造は、オキシラン又はオキサシクロプロパンとも呼ばれる。エポキシド化合物の中には、2個以上のエポキシド基を含むものもあり、したがって、多官能性エポキシド化合物と考えることが可能であり、又は多官能性エポキシドと簡略化されることもある。エポキシド化合物をエポキシ化合物と呼ぶこともある。室温で固体であるエポキシド化合物もある。好ましくは、圧縮用混合物中の室温で固体であるエポキシド化合物の量は、圧縮用混合物の重量に基づく重量%で10重量%以下(=0~10重量%)のみである。より好ましくは、室温で固体であるエポキシド化合物の量は、多くとも5重量%以下(=0~5重量%)、非常に好ましくは多くとも2重量%以下(=0~2重量%)、特に多くとも1重量%以下(=0~1重量%)であり、さらに特に、圧縮用混合物は室温で固体であるエポキシド化合物を含まない。好ましくは、圧縮用混合物中のエポキシド化合物の量は、圧縮用混合物の重量に基づく重量%で多くとも10重量%以下(=0~10重量%)である。より好ましくは、エポキシド化合物の量は多くとも5重量%以下(=0~5重量%)、非常に好ましくは多くとも2重量%以下(=0~2重量%)、特に多くとも1重量%以下(=0~1重量%)であり、より特に、圧縮用混合物はエポキシド化合物を含まない。
【0065】
ポリマー安定剤混合物は、好ましくは固体の形態である。より好ましくは、ポリマー安定剤混合物は粉末の形態である。加工助剤は、好ましくは固体の形態である。より好ましくは、加工助剤は粉末の形態である。好ましくは、圧縮用混合物は固体の形態である。より好ましくは、圧縮用混合物は粉末の形態である。
【0066】
好ましくは、圧縮用混合物は、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)、加工助剤、及び任意選択的なさらなる成分の一段階での物理的混合によって得られる。より好ましくは、粉末の形態の圧縮用混合物は、粉末の形態のポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)、粉末の形態の加工助剤、及び任意選択的な粉末の形態のさらなる成分との物理的混合によって得られる。物理的混合は、好ましくは、全てのポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは、ポリマー安定剤(i-2)の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは、加工助剤の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは、任意選択的なさらなる成分の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは0℃~50℃、より好ましくは5℃~45℃、非常に好ましくは10℃~40℃、特に好ましくは15℃~35℃、より特に好ましくは20℃~30℃、非常に特に好ましくは室温で行われる。圧縮用混合物の物理的混合は、好ましくは、ポリマー安定剤(i-1)、(i-2)及び加工助剤の少なくとも1種の溶媒中での溶解を含まない。ポリマー安定剤(i-1)、(i-2)及び加工助剤の粉末の固体粒子は、圧縮用混合物中に均一に分散している。物理的混合は、例えばブレンダーを使用して、バッチ式で又は連続的に実施することができる。二段階で混合する別の選択肢は、第1にポリマー安定剤混合物を得、次に第2にポリマー安定剤混合物と加工助剤との物理的混合によって圧縮用混合物を得ることである。好ましくは、ポリマー安定剤混合物は、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)、並びに任意選択的なさらなる成分の物理的混合によって得られる。より好ましくは、粉末の形態のポリマー安定剤混合物は、粉末の形態のポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)と、任意選択的な粉末の形態のさらなる成分との物理的混合によって得られる。物理的混合は、好ましくは、全てのポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは、ポリマー安定剤(i-2)の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは、任意選択的なさらなる成分の完全な融解を伴わない。物理的混合は、好ましくは0℃~50℃、より好ましくは5℃~45℃、非常に好ましくは10℃~40℃、特に好ましくは15℃~35℃、より特に好ましくは20℃~30℃、非常に特に好ましくは室温で行われる。圧縮用混合物の物理的混合は、好ましくは、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の少なくとも1種の溶媒中での溶解を含まない。好ましくは、ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)の粉末の固体部分は、ポリマー安定剤混合物中に均一に分散している。ポリマー安定剤混合物の物理的混合は、例えばブレンダーを使用して、バッチ式で又は連続的に実施することができる。別の選択肢は、最初にポリマー安定剤混合物を得、次いでポリマー安定剤混合物と加工助剤との物理的混合によって圧縮用混合物を得ることである。ポリマー安定剤(i-1)及び(i-2)、加工助剤及び任意選択的なさらなる成分の一段階での物理的混合により、圧縮用混合物を得ることは好ましい。
【0067】
圧縮用混合物は、ペレットミルでペレットを製造する方法における供給材料である。圧縮用混合物は、典型的に、重力によって、ローラーを備えたダイ及びノズルを含むペレットミルのセクションに連続的に供給される。ノズルを備えたダイ及びローラーを含むペレットミルのセクションに供給される際の圧縮用混合物の温度が高すぎると、ローラー部分にペースト状の塊が形成され、これは製造方法の失敗につながる。供給時の圧縮用混合物の温度は、好ましくは40℃未満、より好ましくは0℃~38℃の間、非常に好ましくは5℃~36℃の間、特に10℃~35℃の間、より特に15℃~32℃の間、非常に特に20℃~30℃の間であり、特に供給は室温で行われる。ローラーは供給材料を予備圧縮し、脱気し、ノズルを通して供給材料をプレスする。円筒状のストランドが形成される。より詳細には、供給材料としての圧縮用混合物は、ノズルの供給ゾーンでさらに圧縮されて、円錐形になることが可能であり、またノズルの表面での摩擦によって、ノズルの、典型的には円筒形に形成された細長い流路内で加熱され、焼結し始める。ノズルの関連する表面は、流路の最小径に沿ったノズルの、典型的には円筒形の流路の表面である。ここでは、ノズルの最小径をノズル径と定義する。プレス長さは、ここでは、円筒状流路の最小直径が適用される距離として定義される。ノズルの円筒状流路は、プレス長さを超えると拡大する可能性があるが、円筒状流路の拡大部分は、供給材料による摩擦の蓄積には寄与しない。ノズルの直径及びプレス長さは、焼結の程度を左右するパラメータである。ペレットを得るためのストランドの粉砕は、例えば、ダイの外側から調整された距離にある粉砕装置としてのカッティングナイフで行われる。カッティングナイフは、ストランドを典型的にノズル直径の1~3倍の様々な長さのペレットにそれぞれ切断する。その後、ペレットは冷却され、例えば1.6mmのふるいを用いてふるいにかけることができるが、これは例えば、振動ふるい中で実行される。ふるい分けされた微粉フラクションは、部分的に圧縮された形態の圧縮用混合物から本質的になり、供給原料として直接再利用され得るか、又は粉砕後に再利用され得る。より詳細な説明は、E)項の実験に記載されている。ステップ(B)の前に2つ以上のステップ(A)を行うことができること、すなわち、形成されたストランドの粉砕の前に2つ以上のプレスが行われることに留意されたい。これに関するパラメータは、プレス長さの終端と粉砕装置、例えば切断ナイフとの間の距離である。
【0068】
ステップ(A)の前に、圧縮用混合物は、ローラーを備えたダイ及びノズルを含むペレットミルのセクションに供給される。圧縮用混合物は、好ましくは粉末の状態でペレットミルに供給される。これは好ましくは重力によって行われる。
【0069】
以下のステップ
(pre-A)粉末の形態である圧縮用混合物をペレットミルに供給するステップ
を含むペレットの製造方法であって、ステップ(pre-A)が、ステップ(A)の前に実行される方法が好ましい。
【0070】
形成されたストランドは表面温度を有し、この表面温度はノズルを出た後、発生した摩擦によって周囲の温度に対して上昇する。ストランドの表面温度は、例えば、赤外線照射の測定によって決定される。好ましくは、ストランドの表面温度は45℃より高く110℃未満、より好ましくは50℃より高く80℃未満、特に53℃より高く75℃未満、非常に特に55℃より高く73℃未満である。
【0071】
ストランドが45℃より高く110℃未満の表面温度を有する、ペレットの製造方法が好ましい。
【0072】
ペレットミルは、好ましくは、リングダイペレットミル又はフラットダイペレットミルである。ギア式ペレットミルでは、2つのギアホイールがローラーとして作用し、ギアホイール間のスパーギア状況によってノズル及びダイ相当物を形成し、これにより混合物を圧縮して圧縮する。
【0073】
フラットダイペレットミルには、回転フラットダイ及び固定ローラーを備えた変形も存在する。
【0074】
好ましいのは、ペレットの製造方法であって、ペレットミルがリングダイペレットミルであって、ダイが内周側面及び外周側面を有するリングの幾何学的形状を有し、ノズルが内周側面から外周側面への経路を表す方法であるか、又はペレットミルがフラットダイペレットミルであって、ダイが上部側面及び下部側面を有する平面板の幾何学的形状を有し、ノズルが上側面から下側面への経路を表す方法である。
【0075】
リングダイペレットミルにおいて、リングが回転し、ローラーが回転軸を有し、この回転軸が静止しており、フラットダイペレットミルにおいて、ダイが静止し、ローラーが回転軸を有し、この回転軸が回転している、ペレットの製造方法が好ましい。
【0076】
機械的エネルギー投入量の主な要因は、ノズルのノズル径に対するノズルのプレス長さの比率である。例えば、表面温度は、選択されたノズルのプレス長さ及びノズル径によって左右される。好ましくは、ノズル径に対するプレス長さの比率は2~8、非常に好ましくは3~7、特に好ましくは4~6、非常に特には5である。
【0077】
ノズルがノズル径及びプレス長さを有し、ノズル径に対するプレス長さの比率が2~8である、ペレットの製造方法が好ましい。
【0078】
ローラー、好ましくは2つ以上のローラー、非常に好ましくは2つ又は3つのローラーは、典型的に、ローラー、圧縮用混合物及びダイの間の摩擦によって駆動される。ローラーの表面が平滑であると、ローラーのスリップがもたらされる可能性がある。スリップの程度が高すぎると、製造方法の失敗につながる可能性があるため、ローラーの表面を波形にすることによってこれを低減する。フラットダイペレットミルでは、ローラーを一種のギアによって駆動し、スリップの程度を制御するか、又はスリップを回避するという選択肢もある。
【0079】
ローラーの表面が波形である、ペレットの製造方法が好ましい。
【0080】
リングダイペレットミルでは、機械的エネルギー投入量のもう一つの要因は、リングダイの回転速度、それぞれその回転周波数である。フラットダイペレットミルでは、機械的エネルギー投入量のもう一つの要因は、固定ダイに対するローラーの回転速度、それぞれ回転軸周囲のローラーの回転周波数である。フラットダイペレットミルのローラーは丸形ダイの上を動くので、ダイと全く同じ速度(相対速度=0)を有するローラー上の線は1本のみである。円の内側上のローラーの部分は速く動き、円の外側上の部分は遅く動く。つまり、ローラーとダイとの間の相対速度が小さいため、この部分で材料が粉砕されることを意味する。
【0081】
ペレットミルがリングダイペレットミルである、ペレットの製造方法が好ましい。
【0082】
ペレットミルのダイの数は、その構造設計及び工学的考察によって決定される。好ましくは、ペレットミルは1つのダイを含む。ペレットミルのローラーの数は、その構造設計及び工学的考察によって決定される。ローラーの数が多いほど、ダイにおいて互いに対向して配置された2つ以上のノズルを有するダイの場合、ステップ(A)及び(B)は、ペレットミルにおいて特定の時間にわたってより頻繁に発生することが可能となる。ペレットミルは、好ましくは2つ以上のローラー、非常に好ましくは2つ、3つ又は4つのローラー、特に2つ又は3つのローラー、非常に特に2つのローラーを含む。ダイのノズルの数は、その構造設計及び工学的考察によって決定される。ダイにおけるノズルの数が多いほど、ステップ(A)が個々のノズルで並行して、又はその後に起こり、これにより2本以上のストランドが並行して形成されることが可能となる。その後とは、ステップ(A)が最初のノズルで再び繰り返される前に、ステップ(A)が別のノズルで発生することを意味する。ステップ(B)は原則として並行して行われ、すなわち2本以上のストランドの粉砕は原則として並行して行われる。こうして、2つ以上のペレットが原則的に並行して得られる。したがって、特定の時間内に得られるペレットの数は著しく増加する。ペレットミルのダイは、好ましくは2つ以上のノズルを含み、非常に好ましくは48~20000、特に96~16000、非常に特に360~14000、特に720~12000、非常に特に1440~11000、最も特に3600~10000を含む。
【0083】
ペレットミルが2つのローラーを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0084】
ペレットミルが2つ以上のノズルを有するリングを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0085】
ペレットミルが2つ以上のノズルを有するフラットダイを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0086】
ペレットミルが1つのリングを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0087】
ペレットミルが1つのフラットダイを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0088】
ペレットミルが2つ以上のローラーを含み、ダイが2つ以上のノズルを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0089】
ペレットミルが、1つのダイ及び2つ以上のローラーを含み、ダイが2つ以上のノズルを含む、ペレットの製造方法が好ましい。
【0090】
ペレットミルが、1つのダイ、2つ以上のローラーを含み、ダイが2つ以上のノズルを含み、ステップ(A)が、2つ以上のノズルのうちの第1のノズルで行われ、同時に又はその後、ステップ(A)が2つ以上のノズルのうちの第1のノズルで再び行われる前に、2つ以上のノズルのうちの第2のノズルで行われる、ペレットの製造方法が好ましい。
【0091】
圧縮のための方法から得られるペレットは、
(i)ペレットの重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)ペレットの重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含む。
【0092】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量%は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含むペレットに含まれる全成分の重量%を合計すると100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。全成分の合計は、成分(i)及び(ii)の下に潜在的なさらなる成分も含む。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0093】
ペレットは、好ましくは丸棒の形状を有する。丸棒の形状は、理想的には円柱であるが、円柱の2つの底面積は、ペレットの場合、必ずしも平面的で互いに平行ではなく、特に平面的で互いに平行ではない。これは、ステップ(B)でのストランドの粉砕によるものであり、110℃より高い温度まで均質に温められたストランドがナイフでホットカットされる場合よりも、より多くの破断要素を含んでいる。丸棒は円の直径を有する。好ましくは、丸棒の直径は2mm~4mm、非常に好ましくは3mmである。ペレットの長さは、ここでは、ノズル内のストランド形成方向における最長距離、すなわちペレットの軸として理解され、これは、ストランドを粉砕することによって生じるペレット表面の点を除くペレット表面の点に対して平均して同じ距離を有することによって定義される。丸棒の場合、ペレットの軸は丸棒の回転軸である。ペレットは、好ましくは、円の直径の1~3倍の長さを有する。1つのペレットは特定の長さの値を有するが、複数のペレットはペレットの平均的な長さを有することができる。これは(B)のステップが破断要素による切断によって起こるためである。ステップ(B)での粉砕デバイスの距離の下では、ノズル及びそのノズル流路の設計が役割を果たす。一つの選択肢は、ノズルのプレス長さの後に、ノズルの直径よりも大きな直径を有するセクションが続くことである。したがって、ノズルは、プレス長セクション、及びプレス長セクションの後に続く拡大セクションを有する流路を含む。拡大セクションによって、ダイの所望の厚さをノズルのプレス長さより大きくすることが可能である。ダイの特定の厚さは、ダイの機械的強度の理由から、例えばダイの破損を避けるために望ましくなり得る。
【0094】
可能なステップ(C)は、ステップ(B)からのペレットの、例えば1.6mmのふるいによる、ふるい分けである。これによって、例えば、そのステップ(B)において、ペレットの製造方法に由来する微粉が除去される。
【0095】
可能なステップ(D)は、ペレットの冷却である。例えば、冷却によって、ペレットの温度はペレットミルの周囲温度と同一になる。ペレットミルの周囲温度は、好ましくは、室温、より好ましくは23℃である。この冷却は、可能なステップ(C)を実施している間に、既に部分的に又は完全に行われてもよい。冷却は空気流によって行うことができる。
【0096】
或いは、ステップ(B)からのペレットの冷却は、ペレットのふるい分け前に行われる。可能なステップ(C’)は、ステップ(B)からのペレットの冷却である。例えば、冷却によって、ペレットの温度はペレットミルの周囲温度と同一になる。ペレットミルの周囲温度は、好ましくは、室温、より好ましくは23℃である。可能なステップ(D’)は、ステップ(C’)からのペレットの、例えば1.6mmのふるいによるふるい分けである。
【0097】
ペレットミル中でペレットを製造する方法、圧縮用混合物、ポリマー安定剤混合物、及びペレットについて上記した定義及び好ましさは、ペレットミル中でペレットを製造する方法について記載されたものである。これらの定義及び好ましさは、本発明のさらなる実施形態にも適用される。
【0098】
本発明のさらなる実施形態は、
(i)圧縮用混合物の重量に基づき87~97重量%の粉末の物理的形態のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)圧縮用混合物の重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する、粉末の物理的形態の加工助剤と
を含む圧縮用混合物である。
【0099】
圧縮用混合物の成分(i)及び(ii)の重量%は、圧縮用混合物の重量に基づいている。したがって、成分(i)及び(ii)を含む圧縮用混合物に含まれる全成分の重量%を合計すると、全体として100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。全成分の合計は、成分(i)及び(ii)の下に潜在的なさらなる成分も含む。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0100】
圧縮用混合物は、好ましくは粉末の形態である。
【0101】
本発明のさらなる実施形態は、
(i)ペレットの重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)ペレットの重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含むペレットである。
【0102】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量%は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含むペレットに含まれる全成分の重量%を合計すると100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。全成分の合計は、成分(i)及び(ii)の下に潜在的なさらなる成分も含む。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0103】
2mm~4mmの円の直径を有する丸棒の形状を有するペレットが好ましい。
【0104】
円の直径の1~3倍の長さを有するペレットが好ましい。
【0105】
本発明のさらなる実施形態は、
(AP)ペレットをポリマーに供給して、ペレット-ポリマー混合物を得るステップと、
(BP)ペレット-ポリマー混合物を機械的撹拌下で120~340℃の範囲の温度に曝露して安定化ポリマーを得るステップと
を含む、安定化ポリマーの製造方法であって、ポリマーが、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であり、
ペレットが、
(i)ペレットの重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)ペレットの重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含むペレットである、安定化ポリマーの製造方法である。
【0106】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量%は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含むペレットに含まれる全成分の重量%を合計すると100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。全成分の合計は、成分(i)及び(ii)の下に潜在的なさらなる成分も含む。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0107】
ステップ(AP)において、大きすぎるペレットでは、ポリマーへの供給、ブレンド及び分散がより困難であるため、ペレットの大きさは、好ましくは、良好に適合する大きさである。
【0108】
ステップ(BP)において、ペレット成分は、機械的撹拌下で、安定化されるべきポリマー中に均質に分散及び/又は溶解される。これは、ペレット-ポリマー混合物の熱暴露によって支持され、これにより、一方ではポリマーの粘度の低下が導かれ、他方では、成分のそれぞれの融解範囲に達した場合、ペレット成分の融解が導かれる。好ましくは、ステップ(BP)における温度は、135℃~330℃、非常に好ましくは150℃~310℃、特に180℃~300℃、非常に特に190℃~290℃、特に200℃~280℃、非常に特に210℃~260℃の範囲である。
【0109】
ポリオレフィンとしては、例えば、以下が挙げられる。
1.モノ-オレフィン及びジ-オレフィンのホモポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-ブト-1-エン、ポリ-4-メチルペント-1-エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、並びにシクロオレフィンのポリマー、例えば、シクロペンテン又はノルボルネンのポリマー、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、又はそれらの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)、又は異なる種類のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
2.モノオレフィン又はジオレフィンの互いとの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、プロピレン/ブト-1-エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト-1-エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロレフィンコポリマー、例えば、エチレン/ノルボルネン、COC、エチレン/1-オレフィンコポリマー(1-オレフィンはその場で生成される)、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー及びその塩(イオノマー)並びにエチレンと、プロピレン及びヘキサジエン、ジシクロペンタジエン若しくはエチリデンノルボルネンなどのジエンとのターポリマー並びにそのようなコポリマーと互いの混合物、又は他のポリオレフィンとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、又はLDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)。
【0110】
モノオレフィンのポリオレフィン、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、種々の、特に以下の方法によって調製することが可能である:
a)ラジカル重合(通常、高圧下、上昇温度で)。
b)周期律表の4族、5族、6族(例えばクロム)又は7族の金属を通常1種又は複数個含む触媒を用いた触媒重合。これらの金属は、通常、1個又は複数個の配位子、典型的にはパイ-又はシグマ-配位であってもよいオキシド、ハライド、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離形態であり得るか、又は基材、典型的には活性化された塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ若しくは酸化ケイ素上に固定され得る。これらの触媒は、重合媒体に可溶性又は不溶性であり得る。触媒は、重合において単独で使用することができるか、又はさらなる活性化剤が使用され得、典型的には金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンが使用され得、前記金属は、周期律表の1、2及び/又は3族に属する元素である。活性化剤は、さらなるエステル基、エーテル基、アミン基又はシリルエーテル基で都合よく変性され得る。これらの触媒系は、通常、Phillips、Standard Oil Indiana、Ziegler(-Natta)、TNZ(DuPont)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0111】
ポリスチレンとしては、例えば、以下が挙げられる。
1.スチレンのホモポリマー。
2.スチレンと、例えば、エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニル、アクリル誘導体及びそれらの混合物であるコモノマーとのコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート、スチレンとコモノマーとのブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン、又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン。
3.スチレンのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン-スチレン又はポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー上のスチレン、ポリブタジエン上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート、ポリブタジエン上のスチレン及び無水マレイン酸、ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びマレイミド、ポリブタジエン上のスチレン及びマレイミド、ポリブタジエン上のスチレン及びメチルメタクリレート以外のアルキルアクリレート又はメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル。
【0112】
ポリオレフィンのコポリマーでは、少なくとも2種の異なるモノマーが共重合される。重合されたオレフィン性モノマーの重量含有量が、全ての重合されたモノマーの重量に基づいて50%以上であるポリオレフィンのコポリマーが好ましい。ポリスチレンのコポリマーでは、少なくとも2種の異なるモノマーが共重合されるか、又は1種のモノマーが、重合された少なくとも1種の異なるモノマー上にグラフト重合される。重合又はグラフト化されたスチレンの重量含有量が、全ての重合又はグラフト化されたモノマーの重量に基づいて50%以上であるポリスチレンのコポリマーが好ましい。
【0113】
好ましくは、ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーは、熱可塑性であり、すなわち、高温、例えば120℃~340℃の範囲、特に135℃~330℃の範囲の温度で新しい形状に成形することができる。
【0114】
ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーは、酸化、熱又は光による劣化を受けやすい。
【0115】
ポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であるポリマーに供給されるペレットの量は、特定のポリマー及び酸化、熱又は光誘導劣化に対する所望の保護の程度によって異なる。好ましくは、ペレットの重量パーセントでの量は、ポリマーの重量に基づいて0.01~5重量%、非常に好ましくは0.02~3重量%、特に0.04~2重量%、非常に特に0.05~1重量%、特に0.08~0.8重量%、非常に特に0.1~0.4重量%である。
【0116】
ステップ(BP)が押出機又はコニーダーで行われる安定化ポリマーの製造方法が好ましい。
【0117】
ステップ(AP)において、ペレットは、既に120~340℃の範囲のポリマー温度を有するポリマーに供給することができる。例えば、ペレットは、押出機又はコニーダー内で既に加温されたポリマーに供給される。例えば、ペレットは、例えば押出機である供給装置によって、安定化されるべき既に加温された粘性のあるポリマー中に導入される。したがって、ペレット-ポリマー混合物は、直ちに120~340℃の範囲のポリマー温度を有し、ペレットは崩壊し始める。
【0118】
ステップ(AP)においてペレットが供給されるポリマーが、120~340℃の範囲のポリマー温度を有する安定化ポリマーの製造方法が好ましい。
【0119】
ステップ(AP)において、ペレットは、40℃未満のポリマー温度を有するポリマーに供給されることが可能である。ポリマーがペレットの形態で存在する場合、成分(a)ペレット及び(b)ポリマーペレットを含むペレット-ポリマー混合物が生成される。ポリマーのペレットは、例えば、円柱の幾何学的形状を有し、例えば、押出された温ポリマーストランドをホットカットし、次いで水冷することによって得られる。ステップ(AP)で得られるペレット-ポリマー混合物(ここでポリマーはペレットの形態である)は、ステップ(BP)から独立して調製及び貯蔵することも、又はステップ(BP)の前に直接調製することもできる。
【0120】
ステップ(AP)においてペレットが供給されるポリマーがペレットの形態で存在し、40℃未満のポリマー温度を有する安定化ポリマーの製造方法が好ましい。
【0121】
安定化ポリマーの製造方法又はそれに適用する方法について記載された定義及び好ましさは、本発明のさらなる実施形態においても適用される。
【0122】
本発明のさらなる実施形態は、安定化ポリマーの製造におけるその成分の無粉塵での取り扱い用のペレットの使用であって、ポリマーがポリオレフィン、ポリスチレン又はそれらの混合物であり、ペレットが、
(i)ペレットの重量に基づき87~97重量%のポリマー安定剤混合物であって、以下のポリマー安定剤、
(i-1)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%のトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)、及び
(i-2)ポリマー安定剤混合物の重量に基づき45~55重量%の
テトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-No.6683-19-8)
を含むポリマー安定剤混合物と、
(ii)ペレットの重量に基づき3~13重量%の、プロピレン-エチレンコポリマーであり、101.32kPaで20J/g未満の融解エンタルピーを有する加工助剤と
を含むものである。
【0123】
ペレットの成分(i)及び(ii)の重量%は、ペレットの重量に基づく。したがって、成分(i)及び(ii)を含むペレットに含まれる全成分の重量%を合計すると100重量%となる。すなわち、全成分の合計は100重量%である。全成分の合計は、成分(i)及び(ii)の下に潜在的なさらなる成分も含む。成分(i)及び(ii)の合計は100重量%以下である。
【0124】
図11は、ミリメートル紙に載せた、実施例D-11-1から得られたフレークである。
【0125】
図12は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-2から得られたペレットである。
【0126】
図13は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-3から得られたペレットである。
【0127】
図14は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-4から得られたペレットである。
【0128】
図15は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-5から得られたペレットである。
【0129】
図16は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-6から得られたペレットである。
【0130】
図17は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-7から得られたペレットである。
【0131】
図18は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-8から得られたペレットである。
【0132】
図19は、ミリメートル紙に載せた、実施例E-11-9から得られたペレットである。
【0133】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、さらに説明するものである。なお、%は特に断りのない限り重量%である。
【実施例
【0134】
A)特性評価の方法
平均粒径は、特に断りのない限り、デジタル画像分析により、Company Retsch Technology GmbHからのCamsizer P4により決定される。測定原理は、ISO 13322-2に従う動的画像分析である。
【0135】
嵩密度は、DIN EN ISO 17892-3に従って測定される。
【0136】
ポリマーのメルトフローインデックスは、ISO 1133に準拠し、Goettfert MI-Roboを用いて、特に指定されたパラメータを用いて測定する。
【0137】
示差走査熱量測定(DSC)は、大気圧下でEN ISO 11357-3に従って測定する。加熱サイクルは、(a)10℃/分で0℃から200℃、及び30mL/分のN、(b)10℃/分で200℃から0℃、30mL/分でN、(c)10℃/分で0℃から200℃、30mL/分でNである。融解範囲、融解ピーク温度及び融解エンタルピーは、加熱サイクル(c)で決定される。
【0138】
高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT-GPC)は、ISO 16014-4に従って測定する。装置として、RI検出器付きのAgilent PL-GPC220を使用する。プレカラムとして、Agilent PFgel Olexis Guard 50×7.5mmカラム(部品番号PL1110-1400)を1本使用する。カラムとして、Agilent PLgel Olexis 13μm 300×7.5mmカラム(部品番号PL1110-6400)3本を使用する。カラム温度は150℃である。校正標準は、Agilentからのポリスチレン及びHigh EasiVial GPC/SEC校正標準(部品番号PL2010-0201及びPL2010-0202)である。流速1mL/分、試料濃度3mg/mL、注入量200μLでトリクロロベンゼンを溶離液として使用する。決定された数平均分子量Mn及び決定された重量平均分子量Mwを使用して、Mw及びMnの比として多分散性指数(PD)を算出する。
【0139】
ふるい分析は、Retsch Technology GmbHからのCamsizer P4により、デジタル画像解析によって行われる。測定原理は、ISO 13322-2に従う動的画像分析であり、D10、D50及びD90の値が用いられる。
【0140】
Norner摩耗試験は、振動ふるい振とう機及びガラスビーズを使用し、試験片を機械的に処理する試験である。初期のふるい分析は1分間実行され、その後、ふるいデッキ上のガラス球を使用してさらなるふるい分けを行い、材料に機械的衝撃を与えて、5分後、10分後及び20分後のふるい分けフラクションの変化を測定する。選択されるふるいは、底から200μm、500μm、1mm、1.6mm、2.5mm及び4mmである。使用したガラス球(Sigmund Lindner GmbH、タイプP)は、16mm±0.02mm、重量5.36g/ガラス球であり、ソーダ石灰ガラス製であり、微細マット表面を有する。
【0141】
試験手順は以下の通りである:
1.ガラスビーズを含まないふるい振とう機に試料50gを入れ、振幅1mmでふるい分けを1分間実行する。ふるいトレイ及びふるい皿のそれぞれの質量を測定する。
2.500μmふるい上にガラス球8個、1.0mmふるい上にガラス球9個、1.6mmふるい上にガラス球10個、2.5mmふるい上にガラス球11個を加える。ふるい分けを5分間実行し、ふるいトレイ及びふるい皿のそれぞれの質量を測定する。
3.ふるい分けをさらに5分間実行し、計量手順を繰り返す。
4.ふるい分けをさらに10分間実行し、計量手順を繰り返す。
【0142】
Retsch GmbHからのRetschふるい振とう機AS200コントロールをふるい振とう機として使用する。
【0143】
全微粉は、底板及び200μmメッシュのふるいから回収された全物質の合計である。したがって、摩耗応力下で発生し、500μmメッシュのふるいを通過した試料の断片(<500μm)は微粉とみなされる。20分後の500μm未満の粒度フラクション(重量%)が、試験品の耐摩耗性及び耐衝撃性を決定する重要な結果(Norner値)である。結果の範囲は、極めて安定な0%から極めて不安定な100%まで様々である。
【0144】
ペレットの平均重量は、一定個数(60個前後)のペレットを採取し、一定個数のペレットの重量を測定して全体重量を求め、全体重量を一定個数のペレットで割ることによって測定する。
【0145】
ペレットの平均長さは、ペレットの平均重量に想定密度0.95g/cmを乗じ、ペレットの直径3mmの円の面積で割ることによって算出する。
【0146】
B)出発材料
SM-PS-1:Irgafos 168
Irgafos 168(TM、BASF SEから商業的に入手可能、融点180~183℃)は、以下に示すトリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイト(CAS-No.31570-04-4)
【化3】
を粉末の形態で含有し、すなわち、467g/Lの嵩密度及び400μmの平均粒子径を有するルーズバルク材料である。
【0147】
SM-PS-2:Irganox 1010
Irganox 1010(TM、BASFSEから商業的に入手可能、融点113~126℃)は、以下に示すテトラキス-[3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)-プロピオニルオキシメチル]メタン(CAS-NO.6683-19-8)
【化4】
を粉末の形態で含有し、すなわち、530~630g/Lの嵩密度及び141μmの平均粒径を有するルーズバルク材料である。
【0148】
SM-PA-1:Licocene PP 1302
Licocene PP 1302(TM、Clariantから商業的に入手可能、利用された商業的技術的形態は細粒)は、プロピレン及びエチレンからメタロセン触媒を用いて合成されるプロピレン-エチレンコポリマーワックス(CAS-No.9010-79-1)である。ポリマー長鎖の分岐は短鎖(-CH)によって生じる。いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0149】
技術データシートによると、0.87g/cmのISO 1183による23℃での密度が報告される。
【0150】
技術データシートによると、87~93℃のASTM D 3954による滴点が報告される。
【0151】
技術データシートによると、150~250mPasのDIN 53019による170℃における粘度が報告される。
【0152】
細粒の技術的形態の材料のふるい分析を測定し、表B-2に示す。338g/Lの嵩密度が測定される。細粒の技術的形態の材料は圧縮用に利用される。
【0153】
SM-PA-2:Petrolite EP-700
Petrolite EP-700(TM、Baker Hughesから商業的に入手可能)は、プロピレン-エチレンコポリマーワックス(CAS-No.9010-79-1)である。ポリマー長鎖の制御された分岐は、プロピレン(-CH)からの短鎖によって生じる。いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0154】
技術データシートによると、96℃のASTM D-127による滴融点が報告される。
【0155】
技術データシートによると、12pcs(120mPas)の99℃における粘度が報告される。
【0156】
ペトロライトEP-700は、PallmannからのディスクミルPF 300で粉砕される。得られた粉砕物のふるい分析を測定し、表B-2に示す。473g/Lの粉砕物の嵩密度が測定される。この粉砕物は圧縮用に利用される。
【0157】
SM-PA-3:Dow PG 7008
Dow PG 7008(TM、Dow Chemicalsから商業的に入手可能)は、低密度ポリエチレン(CAS-No.9002-88-4)である。いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0158】
技術データシートによると、0.918g/cmのASTM D-792による23℃での密度が報告される。
【0159】
技術データシートによると、106℃の融解温度(DSC)が報告される。
【0160】
技術データシートによると、89.0℃のISO 306/Aによるビカット軟化温度が報告される。
【0161】
技術データシートによると、7.7g/10分のISO 1133によるメルトインデックス(190℃/2.16kg)が報告される。
【0162】
Dow PG 7008はPallmannからのディスクミルPF 300で粉砕される。得られた粉砕物のふるい分析を測定し、表B-2に示す。285g/Lの粉砕物の嵩密度が測定される。この粉砕物は圧縮用に利用される。
【0163】
SM-PA-4:Luwax AL-3
Luwax AL-3(TM、BASFから粉末として商業的に入手可能)は、高圧重合によって合成されるポリエチレンワックス(CAS-No.9002-88-4)である。ポリマー長鎖の分岐は、長鎖(-[CH-CH-]-H)によって生じる。いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0164】
技術データシートによると、0.91~0.925g/cmのDIN 53479及びASTM D-792による23℃での密度が報告される。
【0165】
技術データシートによると、101~112℃のDIN 51801及びASTM D-3954による滴点(Ubbelohde)が報告される。
【0166】
技術データシートによると、102~108℃のDIN 51007及びASTM D-3418による融点(DSC)が報告される。
【0167】
技術データシートによると、135~240mm/sのDIN 51562及びASTM D-2162による120℃における融解粘度が報告される。
【0168】
粉末の技術的形態の材料のふるい分析を測定し、表B-2に示す。495g/Lの嵩密度が測定される。その技術的形態の材料は、圧縮用に利用される。
【0169】
SM-PA-5:Licocene PP 1502
Licocene PP 1502(TM、Clariantから商業的に入手可能、技術的形態は細粒)は、プロピレン及びエチレンからメタロセン触媒を用いて合成されるプロピレン-エチレンコポリマーワックス(CAS-No.9010-79-1)である。細粒)は、プロピレン及びエチレンからメタロセン触媒を用いて合成されるプロピレン-エチレンコポリマーワックス(CAS-No.9010-79-1)である。ポリマー長鎖の分岐は短鎖(-CH)によって生じる。いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0170】
技術データシートによると、0.87g/cmのISO 1183による23℃での密度が報告される。
【0171】
技術データシートによると、83~90℃のASTM D 3954による滴点が報告される。
【0172】
技術データシートによると、1500~2100mPasのDIN 53019による170℃における粘度が報告される。
【0173】
細粒の技術的形態の材料のふるい分析を測定し、表B-2に示す。374g/Lの嵩密度が測定される。細粒の技術的形態の材料は圧縮用に利用される。
【0174】
SM-PA-6:Pluriol E 3350プリル
Pluriol E 3350(TM、BASF Pharma Solutionsから商業的に入手可能、固体プリルの形態で得られる)は、cGMP Pharmaceutical Gradeのポリエチレングリコール(CAS-No.25322-68-3)であり、平均分子量は3350であり、低分子量PEGと組み合わせて無水親水性軟膏を形成する。いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0175】
安全データシートによると、1.013hPaにおいて59℃の凝固点が報告される。
【0176】
安全データシートによると、99℃において76~110mPa・sの動的粘度が報告される。
【0177】
安全データシートによると、0.61~0.65g/mLの嵩密度が報告される。
【0178】
プリルの技術的形態の材料のふるい分析を測定し、表B-2に示す。650g/Lの嵩密度が測定される。このプリルの技術的形態の材料は圧縮用に利用される。
【0179】
SM-PA-7:GMS 90
GMS 90は、それぞれ、Glyceryl-Monostearate 90-95(INCI名:モノステアリン酸グリセリル、Faci SPAから商業的に入手可能、CAS-No.91052-47-0、粉末の技術的形態で得られる)であり、市販のステアリン酸のモノ-、ジ-及びトリグリセリドの混合物であり、すなわち、主にC18脂肪酸及びわずかにC16脂肪酸を含有し、約97%のモノグリセリドを含有する。これは、オクタデカン酸の1,2,3-プロパントリオールモノエステル(CAS-NO.31566-31-1)としても同定されている。2,3-ジヒドロキシプロピルオクタデカノエートを以下に示す。
【化5】
【0180】
いくつかの物理化学的特性を測定し、表B-1に示す。
【0181】
安全データシートによると、54~70℃の融点が報告される。
【0182】
安全データシートによると、70℃において0.95~0.96g/cmの密度が報告される。
【0183】
粉末の技術的形態のふるい分析を測定し、表B-2に示す。590g/Lの嵩密度が測定される。粉末の技術的形態の材料は圧縮用に利用される。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
【0186】
C)圧縮用混合物の調製
ポリマー安定剤及び加工助剤を含む圧縮用混合物は、100L MTIブレンダーで表C-11に示す出発材料を室温で5分間ブレンドすることにより調製される。
【0187】
【表3】
【0188】
実施例D-11-1については、圧縮用混合物C-M-11をロール圧縮プロセスでプレス凝集させて、比較用のフレークを得る。ホッパー内の粉末形態のポリマー安定剤混合物は、供給スクリューを介して圧縮ゾーンに強制的に供給される。圧縮ゾーンは、わずかに傷が付けられた表面を有する2本のロールの間に残された隙間によって形成され、ロールは互いに対して回転する。ロールを冷水で冷却し、室温に近い温度に保持する。適切な実験室用ロール圧縮機は、例えば、ドイツのAlexanderwerk GmbHからのモデルWP 50N/75(ロール直径:150mm、ロール長さ:75mm、最大プレス能力:12.8t、最大線形荷重:1.71t/cm)である。圧縮された出発材料は、プレートとして圧縮ゾーンから排出され、1.6mmのふるいを備えたふるい造粒機(例えば、スイスのFrewitt Ltd社からのモデルGLA-ORV-0215が適切である)で造粒され、流動性フレーク(=D-11-1のフレーク)が作成される。D-11-1のフレークについてNorner摩耗試験を実施し、その結果を表E-11に示す。実施例D-11-1で得られたフレークの写真を図11に示す。
【0189】
E)リングダイペレットミルを用いた圧縮によるペレット化
リングダイペレットミル、すなわち、Muench Pelletizer RMP 250を表E-11に記載の材料の圧縮試験に使用した。Muenchリングダイペレットミルは、例えば、「Produktgestaltung ueber mechanisches Agglomerieren von Pulvern」,W.Raehse,Chemie Inge-neur Technik,2015,87,No.7,881-902,p.898の写真18に示されている。Muench Pelletizer RMP 250は、回転可能なリングダイを有し、このリングダイは、ノズル、例えば、ノズル径3mm及びプレス長15mmのノズルを備えている。リングダイの内径は250mm、幅は約4cmである。この幅に2本又は3本のノズル列が収まる。ノズルはリングダイの内側に対して60°の角度で拡大する。ここでは、ノズル径をノズルの円筒形流路の最小径と定義し、プレス長さを最小直径が適用される距離と定義する。ノズルの円筒状流路は、プレス長を超えると拡大する可能性があるが、拡大した円筒状流路の部分は、圧縮される材料による摩擦の蓄積には寄与しない。ここでは、ノズルの流路は拡大しない。具体的に適用されるノズル径及びプレス長さは、表E-11に示す通りである。圧縮用材料は、リングダイペレットミルのペレットプレス部の上方に設置された容積式シングルスクリューフィーダーによって、ノズルを備えたダイ及び2本のローラーを含むペレットプレス部に重量測定によって室温で供給される。ローラーは、それぞれ、96mmの直径及び30mmの幅を有し、波型表面を有する。ペレットプレス部では、2本のローラーが、回転リングダイのノズルに材料を押し込み、そこで材料が圧縮され、剪断力によって、加工助剤が軟化し始める温度まで加熱され、そして焼結プロセスにおいて、圧縮された材料は円柱状ペレットに造粒される。プロセスを開始するために、リングダイの回転は、リングダイの内面、すなわち、リングダイの回転軸から12.5cmの位置で、約1m/秒の周速度に設定される。圧縮用材料は粉末としてプレス部に供給される。プロセスの安定運転が達成されるまで、約15分間の初期開始段階が必要である。最初は圧縮用材料の粉末がノズルを通って流れているが、圧縮用材料によってはストランドを形成する方向に変化し、リングダイ、ローラー及びノズルが安定した温度に達する。圧縮用材料に関して高すぎる温度は、ペースト状の塊の発生をもたらす可能性があり、圧縮用材料のさらなる供給を妨げる。ノズルの出口で、ストランドは、リングダイまでの距離を調節できる2つのナイフによって、ペレットの直径の約1~3倍、すなわち約3mm~9mmの長さを有するペレットに切断/破断される。理想的には、長さのばらつきは最小であるが、切断/破壊のために一定のばらつきは避けられない。表E-11は、ペレットが得られたかどうか、したがって、ストランドが形成されたかどうかを示す。プロセスが安定運転されたら、ダイのノズルから出た材料の温度は、放射IR照射を非接触で測定するIR温度センサーによって測定され、ストランドの表面温度として表E-11に記載される。統計的には、リング外表面の放射IR照射も含まれる。しかしながら、プロセス運転状態において、リングダイはストランドの表面温度付近まで加温されている。リングダイ自体は加熱又は冷却はされないが、圧縮用材料の摩擦が発生するため、温度が上昇する。得られたペレットを1.6mmのふるい(直径200mmの振動実験室用ふるい)でふるい分けし、得られたペレットから微粉を分離する。圧縮用材料の全体量に基づき、ふるい分けによって除去された微粉の量は、表E-11に記載される。除去された微粉は、圧縮用材料として直接再利用することができる。ペレットは室温まで冷却されている。ペレットが得られた場合、ふるい分け後のペレットのNorner摩耗試験を実施し、その結果を表E-11に示す。得られたペレットのさらなる特徴を表E-12に示す。実施例E-11-2~E-11-9で得られたペレットの写真を図12図19に示す。
【0190】
【表4】
【0191】
【表5】
【0192】
表E-11の結果から:
-加工助剤を含まない圧縮用混合物C-M-11は、ペレット化できず、実施例D-11-1からのフレークの摩耗に関するNorner試験の結果は良好でない;
-実施例E-11-2、E-11-3、E-11-4及びE-11-5は、プロピレン-エチレンコポリマーワックスを含むが、SM-PA-5の特定のプロピレン-エチレンコポリマーワックスが、摩耗に関する最良のNorner試験結果をもたらす;
-実施例E-11-6は、低密度ポリエチレンSM-PA-3を含むが、摩耗に関するNorner試験結果は、実施例E-11-4におけるSM-PA-5の特定のプロピレン-エチレンコポリマーワックスに関するものほど良好ではない;
-実施例E-11-7は、ポリエチレンワックスSM-PA-4を含むが、摩耗に関するNorner試験結果は、実施例E-11-4におけるSM-PA-5の特定のプロピレン-エチレンコポリマーワックスに関するものほど良好ではない;
-実施例E-11-8は、ポリエチレングリコールSM-PA-6を含むが、そのようなペレットが得られるにもかかわらず、摩耗に関するNorner試験の結果は良好ではない;
-実施例E-11-9は、グリセリルモノステレートSM-PA-7を含むが、摩耗に関するNorner試験結果は、実施例E-11-4におけるSM-PA-5の特定プロピレン-エチレンコポリマーワックスに関するものほど良好ではない。
【0193】
【表6】
【0194】
表E-12の結果から:
-実施例E-11-2~E-11-9は、平均ペレット重量に大きな差は示されず、平均ペレット重量は、ここでは、摩耗に関する有益なNorner試験結果の信頼できる指標ではない;
図12図19の写真は、ペレットの外観に大きな差は示されず、ペレットの外観は、ここでは、摩耗に関する有益なNorner試験結果の信頼できる指標ではない。
図11
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図18
図19
【国際調査報告】