(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】MALT1阻害剤及びBTK阻害剤を使用する併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4725 20060101AFI20240227BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240227BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240227BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240227BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240227BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240227BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240227BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240227BHJP
A61P 11/04 20060101ALI20240227BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240227BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240227BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240227BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240227BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240227BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K31/4725
A61K31/519
A61K31/496
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P37/02
A61P35/02
A61P25/00
A61P43/00 105
A61P15/00
A61P1/04
A61P1/02
A61P13/08
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P17/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P13/12
A61P21/00
A61P19/08
A61P13/10
A61P13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553333
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2022055156
(87)【国際公開番号】W WO2022184716
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】グレウェイ,アンソニー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フィリッパー,ウルリーケ
(72)【発明者】
【氏名】フェルビスト,ビーケ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルデ,トーマス シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィレミン,マリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】エルサイエド,ユスリ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲレチタノ,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA021
4C084ZA341
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA941
4C084ZA961
4C084ZB071
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB271
4C084ZC201
4C084ZC411
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC50
4C086CB05
4C086CB27
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、BTK阻害剤及び治療有効用量の1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(化合物A):
【化1】
又はその溶媒和物若しくは薬学的に許容される塩形態を投与することを含み、当該治療有効用量が本明細書に定義されている、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、前記対象に、約25~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mgの範囲の治療有効用量の1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(化合物A):
【化1】
又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療有効用量の化合物Aが、約50~1000mgのうちの1つから選択され、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~1000mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記治療有効用量の化合物Aが、約25~500mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~1000mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記治療有効用量の化合物Aが、約25~300mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記治療有効用量の化合物Aが、約25~250mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記治療有効用量の化合物Aが、約25~100mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約25~100mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記治療有効用量の化合物Aが、約75~150mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記治療有効用量の化合物Aが、約50~150mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記治療有効用量の化合物Aが、約50~350mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~350mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記治療有効用量の化合物Aが、約100~400mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~600mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記治療有効用量の化合物Aが、約150~300mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約150~1000mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記治療有効用量の化合物Aが、約200mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記治療有効用量の化合物Aが、約100~150mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~100mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記治療有効用量の化合物Aが、約150~200mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記治療有効用量の化合物Aが、約200~250mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~450mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記治療有効用量の化合物Aが、約250~300mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記治療有効用量の化合物Aが、約300~350mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~600mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記治療有効用量の化合物Aが、約350~400mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~700mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記治療有効用量の化合物A及び/又は前記BTK阻害剤が、半分に分割され、前記半分の用量が、1日2回(2度)投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記治療有効用量の化合物A及び/又は前記BTK阻害剤が、1日1回投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記治療有効用量の化合物A及び/又は前記BTK阻害剤が、連続28日サイクルで毎日投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療有効用量の化合物A及び/又は前記BTK阻害剤が、連続21日サイクルで毎日投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
化合物Aが、経口投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記障害又は状態が、がん及び/又は免疫疾患である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記障害又は状態が、リンパ腫、白血病、がん腫、及び肉腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳がん、結腸直腸/結腸がん、前立腺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、胃がん、子宮内膜がん、黒色腫、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、扁平上皮がん、卵巣がん、肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、精巣がん、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸がん、腎がん、尿路上皮がん、外陰がん、食道がん、唾液腺がん、上咽頭がん、口腔がん、口のがん、原発性及び二次性中枢神経系リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、API2-MALT1融合によって引き起こされる疾患/がん、並びにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記障害又は状態が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記障害又は状態が、リンパ腫である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記リンパ腫が、MALTリンパ腫である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記障害又は状態が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記障害又は状態が、慢性リンパ球性白血病(CLL)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記障害又は状態が、小リンパ球性リンパ腫(SLL)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記障害又は状態が、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記障害又は状態が、以前の治療に対して再発性又は難治性である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
化合物Aが、その水和物形態として使用される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物、及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記BTK阻害剤が、式(I):
【化2】
[式中、
R
1は、H又はC
1~6アルキルであり、
R
2は、任意選択で、NR
8-C(O)-C(R
3)=CR
4(R
5)、NR
6R
7、OH、CN、オキソ、O-C
1~6アルキル、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6alk-OH、C
3~6シクロアルキル、C
1~6アルカリル、SO
2C
1~6アルキル、SO
2C
2~6アルケニル、NR
8-C(O)-C
1~6alk-NR
6R
7、NR
8-C(O)-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-O-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
3~6シクロアルキル、NR
8-C(O)H、NR
8-C(O)-C
3~6シクロアルキル、NR
8-C(O)-C
1~6ハロアルキル、NR
8-C(O)-アルキニル、NR
8-C(O)-C
6~10アリール、NR
8-C(O)-ヘテロアリール、NR
8-C(O)-C
1~6alk-CN、
NR
8-C(O)-C
1~6alk-OH、NR
8-C(O)-C
1~6alk-SO
2-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
1~6alk-NR
6R
7、NR
8-C(O)-C
1~6alk-O-C
1~6アルキル(式中、前記C
1~6alkは、任意選択で、OH、OC
1~6アルキル、又はNR
6R
7で置換されている)からなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されているC
0~6alk-シクロアルキル、及びNR
8-C(O)-C
0~6alk-ヘテロシクロアルキル(式中、前記C
0~6alkは、任意選択で、オキソで置換されており、前記ヘテロシクロアルキルは、任意選択で、C
1~6アルキルで置換されている)からなる群から選択され、
ここで、R
6及びR
7は、各々独立して、H、C
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、C(O)H、及びCNからなる群から選択され、
R
3は、H、CN、ハロゲン、C
1~6ハロアルキル、及びC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
5は、各々独立して、H、C
0~6alk-NR
6R
7、C
1~6alk-OH、任意選択でC
1~6アルキルで置換されているC
0~6alk-C
3~6シクロアルキル、ハロゲン、C
1~6アルキル、OC
1~6アルキル、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、C
1~6alk-NH-C
0~6alk-O-C
1~6アルキル、任意選択でC(O)C
1~6アルキル又はC
1~6アルキルで置換されているC
0~6alk-ヘテロシクロアルキル、C
1~6alk-NHSO
2-C
1~6アルキル、
C
1~6alk-SO
2-C
1~6アルキル、-NHC(O)-C
1~6アルキル、及び-リンカー-PEG-ビオチンからなる群から選択され、
R
8は、H又はC
1~6アルキルであるか;
あるいはR
1及びR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒に、任意選択でNR
6R
7で置換されているピロリジニル環を形成し、ここで、R
6及びR
7は、各々独立して、H、C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
1~6アルキル、及びNR
8-C(O)-C(R
3)=CR
4(R
5)(式中、R
8はHであり、R
3は、H又はCNであり、R
4は、Hであり、R
5は、H又はシクロプロピルである)からなる群から選択され;
Aは、結合、ピリジル、フェニル、ナフタレニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、任意選択でハロゲンで置換されているベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ベンゾチオフェニル、及びピラゾリルからなる群から選択され、前記Aは、任意選択で、C
1~6アルキル、ハロゲン、SF
5、OC
1~6アルキル、C(O)-C
1~6アルキル、及びC
1~6ハロアルキルからなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されており、
Eは、O、結合、C(O)-NH、CH
2、及びCH
2-Oからなる群から選択され、
Gは、H、C
3~6シクロアルキル、フェニル、チオフェニル、C
1~6アルキル、ピリミジニル、ピリジル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、C
1~6ハロアルキル、酸素ヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル、フェニル-CH
2-O-フェニル、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、NR
6R
7、SO
2C
1~6アルキル、及びOHからなる群から選択され、式中、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、又はチオフェニルは、任意選択で、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、OC
1~6ハロアルキル、C
3~6シクロアルキル、OC
1~6アルキル、CN、OH、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、C(O)-NR
6R
7、及びC(O)-C
1~6アルキルからなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されている]
の化合物、その立体異性体及び同位体バリアント、並びにその薬学的に許容される塩である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記BTK阻害剤が、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記BTK阻害剤が、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記BTK阻害剤が、Roche BTKi RN486である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記方法が、1日当たり前記対象の体重1kg当たり約0.001~約200mgの前記BTK阻害剤を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、
治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を前記対象に投与することと、
治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を前記対象に投与することと、を含む、方法。
【請求項43】
前記治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、
治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を前記対象に投与することと、
治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を前記対象に投与することと、を含む、方法。
【請求項45】
前記治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療を必要とするにおいて、それを行う方法であって、
治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を前記対象に投与することと、
治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を前記対象に投与することと、を含む、方法。
【請求項47】
前記治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、前記治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、請求項48に記載の方法。
【請求項48】
前記がんが、単剤療法として投与される場合、両方の薬剤に対して非感受性である、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
化合物A及び/又はBTK阻害剤が、経口投与される、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記BTK阻害剤が、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記化合物A及びN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドが、相乗的に作用する、請求項52に記載の方法。
【請求項52】
前記BTK阻害剤が、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記BTK阻害剤が、Roche BTKi RN486である、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、「COMBINATION THERAPY USING A THERAPEUTICALLY EFFECTIVE DOSE OF 1-(1-OXO-1,2-DIHYDROISOQUINOLIN-5-YL)-5-(TRIFLUOROMETHYL)-N-(2-(TRIFLUOROMETHYL)PYRIDIN-4-YL)-1H-PYRAZOLE-4-CARBOXAMIDE AND A BTK inhibitor」という表題の、2021年3月3日に出願された米国仮出願第63/155,824号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、がん及び/又は免疫疾患を含むがこれらに限定されない疾患、症候群、状態、又は障害がMALT1の阻害によって影響を受ける、哺乳動物及び/又はヒトを含む対象における疾患、症候群、状態、又は障害を、そのような対象に、BTK阻害剤及び1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、又はその溶媒和物若しくは薬学的に許容される塩形態を投与することによって治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
MALT1(mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma translocation 1:粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座1)は、活性化B細胞の核内因子カッパ軽鎖エンハンサー(nuclear factor kappa-light-chain-enhancer of activated B cell、NF-κB)シグナル伝達経路の重要なメディエーターであり、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL)の活性化B細胞様(activated B cell-like、ABC)サブタイプを含む、異なるタイプのリンパ腫において重要な役割を果たすことが示されている。MALT1は、B細胞受容体(B cell receptor、BCR)及びT細胞受容体(T cell receptor、TCR)からのシグナルを変換する唯一のヒトパラカスパーゼである。MALT1は、受容体活性化の際に形成されるCBM複合体の活性サブユニットである。「CBM複合体」は、CARD11(カスパーゼ動員ドメインファミリーメンバー11)、BCL10(B細胞CLL/リンパ腫10)、及びMALT1という3つのタンパク質の複数のサブユニットからなる。
【0004】
MALT1は、2つの機序によってNF-κBシグナル伝達に影響を及ぼす。第一に、MALT1は、足場タンパク質として機能し、TRAF6、TAB-TAKl、又はΝΕΜO-ΙΚΚα/βなどのNF-κBシグナル伝達タンパク質を動員する。第二に、システインプロテアーゼとしてのMALT1は、RelB、A20、又はCYLDなどのNF-κBシグナル伝達の負の調節因子を切断し、それによってそれらを不活性化する。MALT1活性の最終エンドポイントは、FKB転写因子複合体の核転座、及びFKBシグナル伝達の活性化である(Jaworski et al.,Cell Mol Life Science 2016.73,459-473)。
【0005】
非ホジキンリンパ腫は、多様な疾患を表し、それらのうち60を超えるサブタイプが同定されている(https://www.cancer.net/cancer-types/lymphoma-non-hodgkin/subtypes)。世界的に、DLBCLは、NHLの最も一般的なサブタイプを表し、新たに診断された全症例のうちの30%~40%を占める(Sehn LH,Gascoyne RD.Blood.2015;125(1):22-32)。DLBCLは、典型的には、侵攻性リンパ腫として現れ、数ヶ月にわたって発達し、治療を行わないと致死的となる症候性疾患をもたらす(同書)。
【0006】
NF-κBシグナル伝達の構成的活性化は、DLBCLのより侵攻性の形態であるABC-DLBCL(活性化B細胞様サブタイプのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の特徴である。DLBCLは、リンパ腫症例のおよそ25%を占める非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)の最も一般的な形態であり、一方、ABC-DLBCLはDLBCLのおよそ40%を構成する。NF-κB経路活性化は、ABC-DLBCL患者において、CD79A/B、CARD11、MYD88、又はA20などのシグナル伝達構成要素の変異によって駆動される(Staudt,Cold Spring Harb Perspect Biol 2010,Jun;2(6)、Lim et al.,Immunol Rev 2012,246,359-378)。
【0007】
DLBCLにおける転帰は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン(R CHOP)へのリツキシマブの追加により、過去10年間にわたって劇的に改善した。このレジメンは、依然として現在の標準治療のままである。しかしながら、R CHOP治療は、DLBCLを有する患者の約30%~50%において失敗する(Coiffier B,et al.Hematology Am Soc Hematol Educ Program.2016;2016(1):366-378)。これらの患者の半数未満が、幹細胞移植で治癒し(Gisselbrecht et al.J Clin Oncol.2010;28(27):4184-4190)、治癒しない患者は、典型的には、その疾患が原因で死亡する(Crump M,et al.Blood.2017;130(16):1800-1808)。治癒の可能性が最も高いのは最先端治療であるため、R CHOPを改善する多くの試みがなされてきたが、これまでのところ、これらの治療は転帰を顕著に改善することができなかった(Goy A.J Clin Oncol.2017;35(31):3519-3522)。最近、いくつかの研究により、最先端治療におけるR CHOPへの標的化薬剤の追加が調査されている。これらの研究のいくつかにおける活性の有望な徴候は、選択された患者における標的化薬剤の治癒率を改善し得る組み合わせの更なる調査を促す(Chiappella A,et al.Hematological Oncology.2017;35(S2):419-428、Younes A,et al.Lancet Oncol.2014;15(9):1019-1026)。したがって、最先端療法の最適化並びにより効果的なサルベージ戦略の開発は、依然として重要な目標である。
【0008】
疾患の経過を通して療法を必要とする濾胞性リンパ腫(Follicular lymphoma、FL)、粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue、MALT)リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma、SLL)、マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma、MCL)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症(Waldenstrom macroglobulinemia、WM)は、ほとんどが不治のリンパ腫であると考えられている。現在、これらの疾患に利用可能な選択療法は限られており、細胞傷害性化学療法の使用を回避する治療が必要とされている。
【0009】
BTK阻害剤、例えばイブルチニブの使用は、ABC-DLBCLにおけるNFΚBシグナル伝達の阻害が有効であるとの臨床的な概念実証を提供する。MALT1は、NFKBシグナル伝達経路においてBTKの下流にあり、MALT1阻害剤は、イブルチニブに応答しないABC-DLBCL患者、主にCARD11変異を有する患者を標的化し、またイブルチニブに対する耐性を獲得した患者を治療し得る。
【0010】
MALT1プロテアーゼの小分子ツール化合物阻害剤は、ABC-DLBCLの前臨床モデルにおける有効性を実証した(Fontan et al.,Cancer Cell 2012,22,812-824、Nagel et al.,Cancer Cell 2012,22,825-837)。興味深いことに、MALT1プロテアーゼ機能の共有結合触媒部位及びアロステリック阻害剤が記載されており、このプロテアーゼの阻害剤が医薬品として有用であり得ることを示唆している(Demeyer et al.,Trends Mol Med 2016,22,135-150)。
【0011】
API2-MALT1融合がんタンパク質を生成する染色体転座は、MALT(粘膜関連リンパ組織)リンパ腫において同定される最も一般的な変異である。API2-MALT1は、NFΚB経路の強力な活性化因子である(Rosebeck et al.,World J Biol Chem 2016,7,128-137)。API2-MALT1は、リガンド結合TNF受容体を模倣し、標準的NFΚBシグナル伝達を活性化するための足場として作用するRIP1のTRAF2依存性ユビキチン化を促進する。更に、API2-MALT1は、NFΚB誘導キナーゼ(NFKB-inducing kinase、NIK)の安定な構成的に活性な断片を切断及び生成し、それによって非標準FKB経路を活性化することが示されている(Rosebeck et al.,Science,2011,331,468-472)。
【0012】
リンパ腫に加えて、MALT1は、先天性免疫及び適応免疫において重要な役割を果たすことが示されている(Jaworski M,et al.,Cell Mol Life Sci.2016)。MALT1プロテアーゼ阻害剤は、多発性硬化症のマウスモデルであるマウス実験用アレルギー性脳脊髄炎の疾患発症及び進行を減弱させることができる(McGuire et al.,J.Neuroinflammation 2014,11,124)。触媒不活性MALT1変異体を発現しているマウスは辺縁帯B細胞及びB1B細胞の喪失を示し、全身免疫不全はT細胞及びB細胞の活性化及び増殖の減少を特徴とする。しかしながら、これらのマウスはまた、9~10週齢で自然発症の多臓器自己免疫炎症を発達させた。MALT1プロテアーゼデッド(dead)ノックインマウスは耐性の崩壊を示すが、従来のMALT1 KOマウスはそれを示さないことの理由についてはまだ十分に理解されていない。1つの仮説は、MALT1プロテアーゼデッドノックインマウスにおける不均衡な免疫恒常性は、T細胞及びB細胞が不完全に欠損しているが、免疫調節細胞が著しく欠損していることによって引き起こされている可能性があることを示唆している(Jaworski et al.,EMBO J.2014、Gewies et al.,Cell Reports 2014、Bornancin et al.,J.Immunology 2015、Yu et al.,PLOS One 2015)。同様に、ヒトにおけるMALT欠損は、複合免疫不全障害に関連している(McKinnon et al.,J.Allergy Clin.Immunol.2014,133,1458-1462、Jabara et al.,J.Allergy Clin.Immunol.2013,132,151-158、Punwani et al.,J.Clin.Immunol.2015,35,135-146)。遺伝子変異と薬理学的阻害との間の差異を考慮すると、MALT1プロテアーゼデッドノックインマウスの表現型は、MALT1プロテアーゼ阻害剤で治療された患者の表現型に類似しない可能性がある。MALT1プロテアーゼ阻害による免疫抑制性T細胞の減少は、抗腫瘍免疫を増加させる可能性ことによってがん患者に有益となり得る。
【0013】
したがって、MALT1阻害剤は、がん及び/又は免疫疾患に罹患している患者に治療上の有益性を提供し得る。MALT1阻害は、ABC DLBCL及び他のDLBCLサブタイプ、MALTリンパ腫、並びにCLL、MCL、及びWM腫瘍(ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(Bruton tyrosine kinase inhibitor、BTKi)に耐性である腫瘍を含む)の治療において有効であり得る。
【0014】
加えて、BTKiと一緒に使用されたMALT1阻害剤は、がん及び/又は免疫疾患に罹患している患者に治療上の有益性を提供し得る。Nagelらは、「S-メパジンによるイブルチニブ及びMALT1による組み合わせたBTK阻害により、MALT1切断及びNF-κB生存促進因子の発現が相加的に障害された。したがって、イブルチニブ及びS-メパジンのコンビナトリアル治療により、CD79変異型ABC DLBCL細胞の死滅が増強される([c]ombined inhibition of BTK by Ibrutinib and MALT1 by S-Mepazine additively impaired MALT1 cleavage activity and expression of NF-κB pro-survival factors.Thereby,combinatorial Ibrutinib and S-Mepazine treatment enhanced killing of CD79 mutant ABC DLBCL cells)」と決定した。Nagel et al.,Oncotarget 2015,6,42232-42242の要約。具体的には、Nagelらは、「例えばBTK阻害剤とPI3K-AKT阻害剤との組み合わせについて観察される相乗効果[24]とは対照的に、BTK及びMALT1の同時治療により、MALT1活性及びCD79変異型ABC DLBCL細胞の死滅に対する相加的効果が得られた。これにより、両方の阻害剤が病的BCR-NFκBシグナル伝達を標的としていることが確認される([i]n contrast to the synergistic effects observed for instance by the combination of BTK and PI3K-AKT inhibitors[24],BTK and MALT1 co-treatment yielded additive effects on MALT1 activity and killing of CD79 mutant ABC DLBCL cells.It confirms that both inhibitors are primarily targeting pathological BCR-NFκB signaling)」ことを観察した。Nagel et al.,Oncotarget 2015,6,42239-42240。
【発明の概要】
【0015】
しかしながら、BTK阻害剤であるイブルチニブは、多くのB細胞悪性腫瘍において有益な抗腫瘍効果を示したが、耐性が生じ得(Shah et al.Trends Cancer.2018;4:197-206)、抗腫瘍活性を改善するために更なる併用療法の開発を必要としている。
【0016】
本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤、及び約25~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のMALT1阻害剤1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(化合物A):
【0017】
【化1】
又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法に関する。ある特定の実施形態では、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態は、BTKの阻害によっても影響を受ける。いくつかの実施形態では、化合物AとBTK阻害剤との組み合わせは、対象の治療において相乗効果を有する。
【0018】
BTK阻害剤は、式(I):
【0019】
【化2】
の化合物、又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは薬学的に許容される塩形態であり得る。ある特定の実施形態では、BTK阻害剤は、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミド(化合物B)である。
【0020】
【0021】
本発明はまた、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤に関する。加えて、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための、約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態、及び約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。加えて、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための医薬の製造における、約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態、及び約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤の使用に関する。
【0022】
本発明はまた、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、約25~100mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物B又は薬学的に許容される塩、及び約25~100mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態に関する。
【0023】
加えて、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための、約25~100mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のイブルチニブ、及び約25~1000mgの範囲、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。加えて、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための医薬の製造における、約25~100mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のイブルチニブ、及び約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態の使用に関する。
【0024】
一実施形態では、疾患又は状態は、がん及び/又は免疫疾患である。別の実施形態では、障害又は状態は、例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)又は小リンパ球性リンパ腫(SLL)などのリンパ腫である。更に別の実施形態では、障害又は状態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、及び粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫からなる群から選択される。別の実施形態では、障害又は状態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化B細胞様(ABC)サブタイプである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
発明の概要、並びに以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むことで、更に理解される。本発明を説明する目的で、図面には、本発明の例示的実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、図面の特定の開示に限定されない。
【
図1A】HSAモデルに基づくHBL1細胞における化合物A及びイブルチニブの相乗作用の評価を示すプロットである。赤色は、化合物Aで得られたデータを示す。金色は、イブルチニブで得られたデータを示す。灰色は、予想される組み合わせ効果を示す。黒色は、実際に測定された組み合わせ効果を示し、青色は、相乗作用の指標である。
【
図1B】HSAモデルに基づくOCI-Ly10細胞における化合物A及びイブルチニブの相乗作用の評価を示すプロットである。赤色は、化合物Aで得られたデータを示す。金色は、イブルチニブで得られたデータを示す。灰色は、予想される組み合わせ効果を示す。黒色は、実際に測定された組み合わせ効果を示し、青色は、相乗作用の指標である。
【
図2-1】Loewe及びHSAヌルモデルの両方について評価されたOCI-Ly10細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図2-2】Loewe及びHSAヌルモデルの両方について評価されたOCI-Ly10細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図3-1】Loewe及びHSAヌルモデルの両方について評価されたOCI-Ly10細胞モデルにおける相乗作用の三次元の視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図3-2】Loewe及びHSAヌルモデルの両方について評価されたOCI-Ly10細胞モデルにおける相乗作用の三次元の視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図4-1】HBL1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図4-2】HBL1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図5-1】HBL1細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図5-2】HBL1細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図6-1】TMD8細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図6-2】TMD8細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図7-1】TMD8細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図7-2】TMD8細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図8-1】OCI-Ly3細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図8-2】OCI-Ly3細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図9-1】OCI-Ly3細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図9-2】OCI-Ly3細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図10-1】REC-1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図10-2】REC-1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図11-1】REC-1細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図11-2】REC-1細胞モデルにおける相乗作用の三次元視覚化を示す。赤色のドットは化合物A単剤療法で得られたデータを表し、金色のドットは化合物B単剤療法で得られたデータを表し、灰色領域は予想される組み合わせ効果を示し、黒色のドットは組み合わせ実験で測定された実際のデータを表し、青色領域は統計的に有意な相乗作用を示す。
【
図12-1】JEKO-1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図12-2】JEKO-1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図13-1】MINO細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図13-2】MINO細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図14-1】MAVER-1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図14-2】MAVER-1細胞モデルにおけるMaxR検定統計の逐点値の視覚化を示す。青色は相乗作用を示し、赤色は拮抗作用を示す。ドットのサイズが大きいほど、相乗作用/拮抗作用の程度が大きくなり、一方で色の強度は、p値によって示される統計的有意性と相関する。
【
図15】実施例3の研究1におけるOCI-LY10腫瘍を有するNSGマウスの体重に対する化合物Bの効果を示す。SEM、平均の標準誤差;PEG400/PVP-VA6、ポリエチレングリコール400/1-ビニル-2-ピロリドン、及び酢酸ビニル64コポリマー。群の体重変化%を平均±SEMとしてグラフ化する。0日目に雌のマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍は移植の33日後に確立され、マウスを実験群に無作為化し、3週間、1日2回又は1日1回経口投与した(n=10/群)。
【
図16】実施例3の研究3におけるOCI-LY10腫瘍を有するNSGマウスの体重に対する化合物B QD、化合物A BID、及び両化合物の組み合わせの効果を示す。SEM、平均の標準誤差;PEG400、ポリエチレングリコール400。群の体重変化%を平均±SEMとしてグラフ化する。0日目に雌マウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍は移植の35日後に確立され、マウスを実験群に無作為化し、3週間、1日1回又は1日2回投与した(n=10/群)。
【
図17】実施例3の研究4におけるOCI-LY10腫瘍を有するマウスの体重に対する化合物B BID、化合物A BID、及び両化合物の組み合わせの効果を示す。SEM、平均の標準誤差;PEG400、ポリエチレングリコール400。群の体重変化%を平均±SEMとしてグラフ化する。0日目に雌のマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍は移植の32日後に確立され、マウスを実験群に無作為化し、3週間、1日2回投与した(n=10/群)。
【
図18】実施例3の研究3のマウスにおける確立されたOCI-LY10ヒトDLBCL異種移植片の成長に対する化合物Bの効果を示す。PEG400/PVP-VA64、ポリエチレングリコール400/1-ビニル-2-ピロリドン、及び酢酸ビニル64コポリマー;SEM、平均の標準誤差。群の腫瘍体積を平均±SEMとしてグラフ化する。x軸の下のバーは、処置期間を示す。動物の少なくとも2/3が研究に残っている間に群をプロットした。0日目にマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍は移植の33日後に確立され、マウスを実験群に無作為化し、3週間、1日2回又は1日1回経口投与した(n=10/群)。
【
図19】実施例3の研究3のマウスにおけるOCI-LY10腫瘍成長に対する化合物B QD及び化合物A BIDの組み合わせ処置の効果を示す。PEG400、ポリエチレングリコール400;SEM、平均の標準誤差。群の腫瘍体積を平均±SEMとしてグラフ化する。x軸の下のバーは、処置期間を示す。動物の少なくとも2/3が研究に残っている間に群をプロットした。0日目に雌のマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍は移植の35日後に確立され、マウスを実験群に無作為化し、3週間、QD又はBIDで経口投与した(n=10/群)。
【
図20】実施例3の研究4のマウスにおけるOCI-LY10腫瘍成長に対する化合物B BID及び化合物A BIDの組み合わせ処置の効果を示す。EG400、ポリエチレングリコール400;SEM、平均の標準誤差。群の腫瘍体積を平均±SEMとしてグラフ化する。x軸の下のバーは、処置期間を示す。動物の少なくとも2/3が研究に残っている間に群をプロットした。0日目に雌のマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍が移植の32日後に確立された後、マウスを実験群に無作為化し、3週間BIDで経口投与した(n=10/群)。
【
図21】BTK阻害剤化合物Bで処置したマウスの循環ヒトIL-10サイトカイン血清レベル。Il-10サイトカインレベルを、ビヒクル対照IL-10レベル±SEMに対して正規化された%としてグラフ化する。0日目に雌のNSGマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍が移植の39日後に確立された後、マウスを実験群に無作為化し、単一用量で経口投与した(n=5/用量レベル/時点)。血清試料を、化合物投与の2、4、8、12、16、及び24時間後に収集した。
【
図22】BTK阻害剤化合物Bで処置したNSGマウスのOCI-LY10 DLBCL腫瘍溶解物におけるBTKタンパク質占有率を示す。非占有BTKタンパク質レベルは、ビヒクル対照BTKレベル±SEMに対して正規化された%としてグラフ化する。0日目に雌のマウスの右側腹部にSC移植した。腫瘍は移植の39日後に確立され、実験群を無作為化し、単一用量で経口投与した(n=5/用量レベル/時点)。腫瘍試料を、化合物投与の4、12、及び24時間後に採取した。
【
図23】化合物A及び化合物Bを単剤療法又は組み合わせのいずれかとして投与した後のマウスPDXモデルにおける腫瘍体積成長曲線を示す。
【
図24】化合物A及び化合物Bを単剤療法又は組み合わせのいずれかとして投与した後の1日目の後の血清サイトカイン分泌レベル示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
「背景技術」において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文、及び特許が引用又は記載され、これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明に背景を与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0027】
本明細書に引用する全ての特許、公開された特許出願及び刊行物は、参照によってあたかもその全体が本明細書に記載されているように組み込まれる。
【0028】
別の定義がなされない限り、本明細書に使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。
【0029】
本開示は、MALT1阻害剤1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(化合物A):
【0030】
【化4】
を、BKT阻害剤と組み合わせて使用して、がん及び/又は免疫疾患などの障害又は状態を治療することに関する。特に、本開示は、化合物Aが、式(I):
【0031】
【化5】
のBKT阻害剤(N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドなど)と組み合わせて使用して、がんなどのある特定の状態を治療する場合、併用治療が相乗効果を提供するという驚くべき発見に基づく。
【0032】
ある特定の実施形態では、本開示は、化合物A及び式(I)の化合物(例えば、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドなど)を使用する併用療法を使用して、化合物A及びBTK阻害剤両方による単剤療法に対して感受性であるがんを治療する、がんを治療する方法に関する。特に、本開示は、化合物A及びカルボキサミドが相乗的に作用する、化合物A及びN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドを投与することによって、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する方法を提供する。
【0033】
定義
本明細書で与えられる量的表現の一部は、「約」という用語で修飾されていない。「約」という用語が明示的に用いられている/いないに関わらず、本明細書において与えられる全ての量は実際の所与の値を指すことを意味し、またこのような所与の値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような所与の値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0034】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」及び「含む(contain)」という用語並びにその変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」を意味し、その他の構成要素を排除することを意図しない(及び排除しない)。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈で明確に指示されない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の言及を含む。
【0035】
「アルキル」という用語は、単独で又は置換基の一部として使用される場合、1~12個の炭素原子(「C1~12」)、好ましくは1~6個の炭素原子(「C1~6」)を鎖中に有する直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me、C1アルキル)エチル(Et、C2アルキル)、n-プロピル(C3アルキル)、イソプロピル(C3アルキル)、ブチル(C4アルキル)、イソブチル(C4アルキル)、sec-ブチル(C4アルキル)、tert-ブチル(C4アルキル)、ペンチル(C5アルキル)、イソペンチル(C5アルキル)、tert-ペンチル(C5アルキル)、ヘキシル(C6アルキル)、イソヘキシル(C6アルキル)、並びに当業者及び本明細書に提供される教示に照らして、前述の例のうちのいずれか1つと同等であるとみなされるであろう基が挙げられる。
【0036】
「C1~6alk」という用語は、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有する脂肪族リンカーを指し、例えば、CH2、CH(CH3)、CH(CH3)-CH2、及びC(CH3)2-を含む。「-C0alk-」という用語は、結合を指す。いくつかの態様では、C1~6alkは、オキソ基又はOH基で置換され得る。
【0037】
単独で又は置換基の一部として使用される場合、「アルケニル」という用語は、2~12個の炭素原子(「C2~12」)、好ましくは2~6個の炭素原子(「C2~6」)を有する直鎖状及び分岐炭素鎖を指し、炭素鎖は、少なくとも1つ、好ましくは1~2つ、より好ましくは1つの二重結合を含む。例えば、アルケニル部分としては、アリル、1-プロペン-3-イル、1-ブテン-4-イル、プロパ-1,2-ジエン-3-イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
単独で又は置換基の一部として使用される場合、「アルキニル」という用語は、2~12個の炭素原子(「C2~12」)、好ましくは2~6個の炭素原子(「C2~6」)を有する直鎖状及び分岐炭素鎖を指し、炭素鎖は、少なくとも1つ、好ましくは1~2つ、より好ましくは1つの三重結合を含む。例えば、アルキニル部分としては、ビニル、1-プロピン-3-イル、2-ブチン-4-イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「アリール」という用語は、フェニル、ナフチルなどの6~10個の炭素原子(「C6~10」)を有するカルボシリック芳香族基を指す。
【0040】
「シクロアルキル」という用語は、3~10個の炭素原子(「C3~10」)、好ましくは3~6個の炭素原子(「C3~6」)を有する単環式非芳香族炭化水素基を指す。シクロアルキル基の例としては、例えば、シクロプロピル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロヘキシル(C6)、1-メチルシクロプロピル(C4)、2-メチルシクロペンチル(C4)、アダマンタニル(C10)などが挙げられる。
【0041】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、O、N、及びSからなる群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む任意の5~10員単環式又は二環式飽和環構造を指す。ヘテロシクロアルキル基は、結果が安定な構造であるように、環の任意のヘテロ原子又は炭素原子で結合していてもよい。好適なヘテロシクロアルキル基としては、アゼパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、オキサゼパニル、オキシラニル、オキセタニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロ-5H-[1,4]ジオキシノ[2,3-c]ピロリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子、並びに窒素、酸素、及び硫黄から選択される4つ以下のヘテロ原子を含む単環式又は二環式芳香族環構造を指す。ヘテロアリール環は、合計で5、6、9、又は10個の環原子(「C5~10」)を含み得る。ヘテロアリール基の例には、ピロリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、プラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、フラザニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリニル、インダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、プテリジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
「ハロアルキル」という用語は、1つ又は2つ以上の水素原子が1つ又は2つ以上のハロゲン原子で置換されているアルキル部分を指す。1つの例示的な置換基は、フルオロである。本開示の好ましいアルキル基としては、トリフルオロメチル基などのトリハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0044】
「薬学的に許容される」は、連邦政府若しくは州政府の規制当局又は米国以外の国の該当する当局により承認された又は承認可能であること、あるいは動物における、より具体的にはヒトにおける使用について米国薬局方又は他の一般的に認知されている薬局方に列挙されていることを意味する。好適な薬学的に許容される塩としては、例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、又はリン酸などの薬学的に許容される酸の溶液と混合することにより形成され得る酸付加塩が挙げられる。更に、化合物が酸性部分を有する場合、その好適な薬学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、及び四級アンモニウム塩などの好適な有機リガンドと形成される塩を挙げてもよい。したがって、代表的な薬学的に許容される塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ハイドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモン酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド、及び吉草酸塩が挙げられる。
【0045】
「対象」という用語は、本発明の実施形態による方法によって治療される、又は治療された任意の動物、詳細には哺乳動物、最も詳細にはヒトを意味する。本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル又は類人猿などの非ヒト霊長類(non-human primate、NHP)、より詳細にはヒトが挙げられる。
【0046】
「治療有効用量」という用語は、酵素若しくはタンパク質活性の減少若しくは阻害、又は症状の改善、状態の緩和、疾患進行の減速若しくは遅延、あるいは疾患の予防を含む、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医が求めている生物学的又は医薬的応答を組織系、動物、又はヒトにおいて誘発する、本発明の活性化合物又は医薬品(結晶形態を含む)の量を指す。
【0047】
「相乗作用」という用語は、個々の化合物の予想される相加的生物学的活性よりも大きい、2つ(又はそれ以上)の薬物の組み合わせからの効果を指す。ある特定の実施形態では、得られる/予想される効果は、選択されたヌルモデルに依存し、一般的なヌルモデルは、HSA、Loewe、及びBlissである。
【0048】
本発明の用量が対象の体重に関連して表される場合、「mg/kg」を使用して、対象の体重の各キログラムに対する化合物のミリグラムを特定する。
【0049】
一実施形態では、「治療有効用量」という用語は、対象に投与された場合、状態、又は障害若しくは疾患を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防、及び/又は改善するのに有効な化合物A又はBTK阻害剤、及びそれらのそれぞれのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、又はそれらの薬学定に許容される塩形態の量を指す。
【0050】
「組成物」という用語は、治療有効量の特定の成分を含む生成物、並びに特定の量の特定の成分の組み合わせから直接又は間接的にもたらされる任意の生成物を意味する。
【0051】
「投与する」又は「投与された」又は「投与すること」という用語は、本開示を考慮して当業者に公知の任意の方法によって、例えば、筋肉内、皮下、経口、静脈内、皮膚、粘膜内(例えば、腸)、鼻腔内、又は腹腔内の投与経路によって、化合物A若しくはBTK阻害剤、及びそれらのそれぞれの溶媒和物若しくはそれらの薬学的に許容される塩形態、又はそれらの医薬組成物を対象に投与することを指す。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口的に対象に投与される。
【0052】
障害又は疾患の文脈における「MALT1の阻害によって影響を受ける」という用語は、MALT1の非存在下で起こる可能性があるが、MALT1の存在下で起こり得る、任意の疾患、症候群、状態、又は障害を指す。MALT1の阻害によって影響を受ける疾患、症候群、状態、又は障害の好適な例としては、リンパ腫、白血病、がん腫、及び肉腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳がん、結腸直腸/結腸がん、前立腺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、胃がん、子宮内膜がん、黒色腫、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、扁平上皮がん、卵巣がん、肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、精巣がん、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸がん、腎がん、尿路上皮がん、外陰がん、食道がん、唾液腺がん、上咽頭がん、口腔がん、口のがん、原発性及び二次性中枢神経系リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、API2-MALT1融合によって引き起こされる疾患/がん、並びにGIST(消化管間質腫瘍)が挙げられるが、これらに限定されない。追加の例としては、自己免疫及び炎症性障害、例えば、関節炎、関節リウマチ(rheumatoid arthritis、RA)、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis、PsA)、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性又は慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用される場合、「状態」という用語は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医によって検出又は診断される任意の疾患、症候群、又は障害を指し、当該研究者、獣医、医師、又は他の臨床医は、動物組織系、特に哺乳動物又はヒト組織系において生物学的又は医学的応答を求めることが望ましいと決定する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「障害」という用語は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床医によって検出又は診断された任意の疾患、症候群、又は状態を指し、当該研究者、獣医、医師、又は他の臨床医は、動物組織系、特に哺乳動物又はヒト組織系において生物学的又は医学的応答を求めることが望ましいと決定する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「MALT1阻害剤」という用語は、MALT1の少なくとも1つの状態、症状、障害、及び/又は疾患を阻害又は低減する薬剤を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、特に注記しない限り、「影響」又は「影響を受ける」という用語は(MALT1の阻害によって影響を受ける疾患、症候群、状態、又は障害を指す場合)、当該疾患、症候群、状態、若しくは障害のうちの1つ又は2つ以上の症状若しくは出現の頻度及び/若しくは重症度を減少させることを含み、かつ/あるいは当該疾患、症候群、状態、若しくは障害の1つ又は2つ以上の症状若しくは出現の発達、又は疾患、状態、症候群、若しくは障害の発達を予防することを含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、任意の疾患、状態、症候群、又は障害を「治療する」、「治療すること」、又は「治療」という用語は、一実施形態では、疾患、症状、症候群、又は障害を改善すること(すなわち、疾患又はその臨床症状のうちの少なくとも1つの発達を減速又は阻止又は低減すること)を指す。別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、患者によって認識可能でない場合がある身体的パラメータを含む、少なくとも1つの身体的パラメータを緩和又は改善することを指す。更なる実施形態では、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、身体的(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、身体的パラメータの安定化)、又はこれらの両方において、疾患、状態、症候群、又は障害を調節することを指す。更に別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、疾患、状態、症候群、又は障害の発症又は発達又は進行を予防する又は遅延させることを指す。
【0058】
当業者は、化合物A及びBTK阻害剤(例示されたBTK阻害剤、例えば、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミド、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブなどを含む)はまた、明示的に言及されない場合であっても、それらのそれぞれのエナンチオマー、ジアステレオマー、若しくは溶媒和物、又はそれらの薬学的に許容される塩形態を指す場合があり、それらも本発明の範囲に含まれることを理解する。
【0059】
実施形態
組成物
本発明の実施形態の化合物は、単独で投与することができる場合であっても、全般的には、意図された投与経路及び標準的な薬学的又は獣医学的な慣行の観点から選択される、薬学的に許容される担体、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は薬学的に許容される希釈剤との混合物において投与される。このため、本発明の実施形態は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物、並びに少なくとも1つの薬学的に許容される担体、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、医薬組成物及び獣医学的組成物を対象とする。
【0060】
一例として、本発明の実施形態の医薬組成物では、化合物A及び/又はBTK阻害剤を、任意の好適な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤、及びそれらの組み合わせと混合してもよい。
【0061】
化合物A及び/又はBTK阻害剤を含む固体経口剤形、例えば、錠剤又はカプセルを、必要に応じて1回に少なくとも1つの投与形態で投与することができる。持続放出性製剤で化合物Aを投与することも可能である。あるいは、化合物A及び/又はBTK阻害剤は、スプリンクル製剤として投与されてもよい。
【0062】
化合物A及び/又はBTK阻害剤が投与され得る追加の経口形態としては、エリキシル剤、溶液、シロップ剤、及び懸濁液が挙げられ、各々任意選択で香味剤及び着色剤を含有する。
【0063】
口腔又は舌下投与では、本発明の医薬組成物を錠剤又はトローチ剤の形態で投与してもよく、これは従来法で製剤化することができる。
【0064】
更なる例として、化合物A及び/又はBTK阻害剤を医薬品有効成分として含有する医薬組成物は、化合物A及び/又はBTK阻害剤を通常の薬学的配合技法に従う薬学的に許容される担体、薬学的に許容される希釈剤、及び/又は薬学的に許容される賦形剤と混合することにより調製することができる。担体、賦形剤、及び希釈剤は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口、筋肉内、皮下、静脈内、皮膚、粘膜内、鼻腔内、又は腹腔内など)に応じ、広範な形態をとることができる。それゆえに、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤、及び溶液などの液体経口製剤の場合、好適な担体、賦形剤、及び希釈剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。散剤、カプセル剤、及び錠剤などの固体経口製剤の場合、好適な担体、賦形剤、及び希釈剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。吸収及び崩壊の主要部位を調節するために、固体経口製剤を糖などの物質により任意選択でコーティングするか、又は腸溶性コーティングを施すことができる。通常、非経口投与のための担体、賦形剤及び希釈剤は滅菌水を含み、及び溶解性の向上及び組成物の保存のために他の成分を加えることができる。注射用懸濁剤又は溶剤はまた、水性担体を、適切な添加剤、例えば、可溶化剤及び保存剤と共に使用して、調製することもできる。
【0065】
化合物A
「化合物A」という用語は、以下の構造を有する、1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドを指す:
【0066】
【0067】
本発明はまた、化合物A又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、又は薬学的に許容される塩を企図し、それらは本発明の範囲内であるとみなされる。
【0068】
化合物Aは、例えば、国際公開第2018/119036号の実施例158及び国際公開第2020/169736号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように調製することができる。実施例158の手順を、化合物A水和物を提供するものとして決定した。
【0069】
化合物Aは、溶媒和物として存在してもよい。「溶媒和物」は、水(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物であり得る。薬学的に許容される溶媒和物の使用(当該溶媒和物は水和物を含み、当該水和物は一水和物を含む)は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0070】
化合物Aは、非晶質形態又は溶解状態で製剤化することができる。例えば、限定するものではないが、化合物Aは、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)ポリマーを有する非晶質形態で製剤化され得る。
【0071】
当業者であれば、化合物Aが互変異性体として存在することができることを認識するであろう。全ての互変異性体形態は、具体的に示されていない場合であっても、化合物の群の1つの可能な互変異性配置が記載されている構造によって包含されることが理解される。
【0072】
例えば、
【0073】
【化7】
は、以下の構造も包含することを理解されたい。
【0074】
【0075】
任意の好都合な互変異性配置を、化合物を説明する際に利用することができる。
【0076】
治療有効用量の化合物A
本発明の一実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約25~1000mgである。別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約25~200mgである。更に別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約25~150mgである。代替的な実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約25~250mgである。本発明の別の代替的な実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約25~350mgである。
【0077】
本発明の別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約50~500mgである。代替的な実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約50~200mgである。本発明の更に別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約50~150mgである。
【0078】
本発明の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約100~200mgである。本発明の別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約110mgである。本発明の更に別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約100~400mgである。本発明の更に別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約150~300mgである。本発明の代替的な実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約200mgである。
【0079】
本発明の別実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約100~150mgである。本発明の追加の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約150~200mgである。本発明の更なる実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約200~250mgである。本発明の更に別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約250~300mgである。本発明の代替的な実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約300~350mgである。本発明の更に別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、約350~400mgである。
【0080】
本発明の別の実施形態では、治療有効用量は、化合物Aの血漿レベルを約4,500ng/mL~約4,750ng/mLに維持するのに十分な量である。本発明の別の実施形態では、治療有効用量は、約4,640ng/mLの化合物Aの血漿レベルを維持するのに十分な量である。更に別の実施形態では、治療有効用量は、約4,550~4,700ng/mLの化合物Aの血漿レベルを維持するのに十分な量である。別の実施形態では、治療有効用量は、約4,600~4,700ng/mLの化合物Aの血漿レベルを維持するのに十分な量である。代替的な実施形態では、治療有効用量は、約4,550~4,680ng/mLの化合物Aの血漿レベルを維持するのに十分な量である。
【0081】
本発明の別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、1日2回(2度)投与される。本発明の別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって1日2回投与され(負荷用量)、続いて1日1回投与される。
【0082】
本発明の別の実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、連続28日サイクルで投与される。本発明の代替的な実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、連続21日サイクルで投与される。
【0083】
BTK阻害剤
様々なBTK阻害剤が、化合物Aと組み合わせて使用され得る。BTK阻害剤は、化合物Aのための治療有効用量、投与間隔、及び投与サイクルのうちの任意のものを使用して、化合物Aと組み合わせて使用され得る。BTK阻害剤は、本明細書に記載の疾患又は状態のいずれかを治療するために、化合物Aと組み合わせて使用され得る。
【0084】
ある特定の実施形態では、BTK阻害剤及び化合物Aを使用して、がんを治療することができる。特に、BTK阻害剤及び化合物Aを使用して、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化B細胞様(ABC)サブタイプを治療することができる。
【0085】
一実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である。別の実施形態では、BTK阻害剤は、Roche BTKi RN486である。更に別の実施形態では、BTK阻害剤は、アカラブルチニブ(4-[8-アミノ-3-[(2S)-1-but-2-イノイルピロリジン-2-イル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル]-N-ピリジン-2-イルベンズアミド)である。更に別の実施形態では、BTK阻害剤は、ザヌブルチニブ(S)-7-(1-アクリロイルピペリジン-4-イル)-2-(4-フェノキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである。化合物Aと組み合わせて使用され得る他のBTK阻害剤は、CT-1530、DTRMWXHS-12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS-986142、ARQ-531、LOU-064、PRN-1008、ABBV-599、AC-058、BIIB-068、BMS-986l95、HWH-486、PRN-2246、TAK-020、GDC-0834、BMX-IN-l、RN486、SNS-062、LFM-A13、及びPCI-32765である。
【0086】
別の実施形態では、BTK阻害剤は、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミド(化合物B)である。
【0087】
【化9】
N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドは、例えば、国際公開第2018/103060号の実施例298、国際公開第2017/100662号、米国特許出願公開第2017/0283430号、及び米国特許出願公開第2019/0276471号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように調製することができる。
【0088】
併用療法の代替的な実施形態では、BTK阻害剤は、式(I):
【0089】
【化10】
[式中、
R
1は、H又はC
1~6アルキルであり、
R
2は、任意選択で、NR
8-C(O)-C(R
3)=CR
4(R
5)、NR
6R
7、OH、CN、オキソ、O-C
1~6アルキル、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6alk-OH、C
3~6シクロアルキル、C
1~6アルカリル、SO
2C
1~6アルキル、SO
2C
2~6アルケニル、NR
8-C(O)-C
1~6alk-NR
6R
7、NR
8-C(O)-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-O-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
3~6シクロアルキル、NR
8-C(O)H、NR
8-C(O)-C
3~6シクロアルキル、NR
8-C(O)-C
1~6ハロアルキル、NR
8-C(O)-アルキニル、NR
8-C(O)-C
6~10アリール、NR
8-C(O)-ヘテロアリール、NR
8-C(O)-C
1~6alk-CN、NR
8-C(O)-C
1~6alk-OH、NR
8-C(O)-C
1~6alk-SO
2-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
1~6alk-NR
6R
7、NR
8-C(O)-C
1~6alk-O-C
1~6アルキル(式中、C
1~6alkは、任意選択で、OH、OC
1~6アルキル、又はNR
6R
7で置換されている)からなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されているC
0~6alk-シクロアルキル、及びNR
8-C(O)-C
0~6alk-ヘテロシクロアルキル(式中、C
0~6alkは、任意選択で、オキソで置換されており、ヘテロシクロアルキルは、任意選択で、C
1~6アルキルで置換されている)からなる群から選択され、
ここで、R
6及びR
7は、各々独立して、H、C
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、C(O)H、及びCNからなる群から選択され、
R
3は、H、CN、ハロゲン、C
1~6ハロアルキル、及びC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
5は、各々独立して、H、C
0~6alk-NR
6R
7、C
1~6alk-OH、任意選択でC
1~6アルキルで置換されているC
0~6alk-C
3~6シクロアルキル、ハロゲン、C
1~6アルキル、OC
1~6アルキル、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、C
1~6alk-NH-C
0~6alk-O-C
1~6アルキル、任意選択でC(O)C
1~6アルキル又はC
1~6アルキルで置換されているC
0~6alk-ヘテロシクロアルキル、C
1~6alk-NHSO
2-C
1~6アルキル、
C
1~6alk-SO
2-C
1~6アルキル、-NHC(O)-C
1~6アルキル、及び-リンカー-PEG-ビオチンからなる群から選択され、
R
8は、H又はC
1~6アルキルであるか;
あるいはR
1及びR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒に、任意選択でNR
6R
7で置換されているピロリジニル環を形成し、ここで、R
6及びR
7は、各々独立して、H、C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
1~6アルキル、及びNR
8-C(O)-C(R
3)=CR
4(R
5)(式中、R
8はHであり、R
3は、H又はCNであり、R
4は、Hであり、R
5は、H又はシクロプロピルである)からなる群から選択され;
Aは、結合、ピリジル、フェニル、ナフタレニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、任意選択でハロゲンで置換されているベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ベンゾチオフェニル、及びピラゾリルからなる群から選択され、Aは、任意選択で、C
1~6アルキル、ハロゲン、SF
5、OC
1~6アルキル、C(O)-C
1~6アルキル、及びC
1~6ハロアルキルからなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されており、
Eは、O、結合、C(O)-NH、CH
2、及びCH
2-Oからなる群から選択され、
Gは、H、C
3~6シクロアルキル、フェニル、チオフェニル、C
1~6アルキル、ピリミジニル、ピリジル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、C
1~6ハロアルキル、酸素ヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル、フェニル-CH
2-O-フェニル、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、NR
6R
7、SO
2C
1~6アルキル、及びOHからなる群から選択され、式中、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、又はチオフェニルは、任意選択で、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、OC
1~6ハロアルキル、C
3~6シクロアルキル、OC
1~6アルキル、CN、OH、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、C(O)-NR
6R
7、及びC(O)-C
1~6アルキルからなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されている]の化合物、
その立体異性体、溶媒和物、及び同位体バリアント、並びにその薬学的に許容される塩である。
【0090】
これらのBTK阻害剤は、国際公開第2018/103060号、国際公開第2017/100662号、米国特許出願公開第2017/0283430号、及び米国特許出願公開第2019/0276471号に開示されており、これらの各々の開示は、BTK阻害剤及びそれらの合成に関するため、本明細書に組み込まれる。
【0091】
BTK阻害剤の治療有効用量
本開示のBTK阻害剤の有効量又は用量は、モデリング、用量漸増研究、又は臨床試験などの常法によって、並びに日常的な要因、例えば、投与又は薬物送達の形態又は経路、化合物の薬物動態、疾患、障害、又は状態の重症度及び経過、対象が以前に受けていた又は現在受けている療法、対象の健康状態及び薬物に対する応答、並びに治療する医者の判断を考慮することによって確定され得る。用量の例は、単一又は分割用量単位(例えば、BID、TID、QID)で、1日当たり対象の体重1kg当たり約0.001~約200mgのBTK阻害剤、あるいは1日当たり対象の体重1kg当たり約0.005~150mgのBTK阻害剤、あるいは約0.05~150mg/kg/日、あるいは約0.05~約125mg/kg/日、あるいは約1~約50mg/kg/日、あるいは約0.05~100mg/kg/日、又は約1~35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトの場合、好適な投与量の例示的な範囲は、約0.05~約7g/日又は約0.2~約2.5g/日である。
【0092】
本発明の一実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約25~1000mgである。別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約25~200mgである。更に別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約25~150mgである。代替的な実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約25~250mgである。本発明の別の代替的な実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約25~350mgである。
【0093】
本発明の別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約50~500mgである。代替的な実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約50~200mgである。本発明の更に別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約50~150mgである。
【0094】
本発明の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約100~200mgである。本発明の別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約110mgである。本発明の更に別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約100~400mgである。本発明の更に別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約150~300mgである。本発明の代替的な実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約200mgである。
【0095】
本発明の別実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約100~150mgである。本発明の追加の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約150~200mgである。本発明の更なる実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約200~250mgである。本発明の更に別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約250~300mgである。本発明の代替的な実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約300~350mgである。本発明の更に別の実施形態では、BTK阻害剤の治療有効用量は、約350~400mgである。
【0096】
障害又は状態
障害又は状態は、がん及び/又は免疫疾患であり得る。
【0097】
一実施形態では、障害又は状態は、造血器起源のがん、又は慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、及び他のB細胞リンパ腫などの固形腫瘍から選択される。
【0098】
別の実施形態では、障害又は状態としては、リンパ腫、白血病、がん腫、及び肉腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳がん、結腸直腸/結腸がん、前立腺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、胃がん、子宮内膜がん、黒色腫、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、扁平上皮がん、卵巣がん、肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、精巣がん、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸がん、腎がん、尿路上皮がん、外陰がん、食道がん、唾液腺がん、上咽頭がん、口腔がん、口のがん、原発性及び二次性中枢神経系リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、API2-MALT1融合によって引き起こされる疾患/がん、並びにGIST(消化管間質腫瘍)などのがんが挙げられるが、これに限定されない。
【0099】
別の実施形態では、障害又は状態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、及び粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫から選択される。
【0100】
本発明の別の実施形態では、障害又は状態は、リンパ腫である。
【0101】
本発明の別の実施形態では、障害又は病態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化B細胞様(ABC)サブタイプである。
【0102】
本発明の別の実施形態では、障害又は状態は、慢性リンパ球性白血病(CLL)である。
【0103】
本発明の別の実施形態では、障害又は状態、小リンパ球性リンパ腫(SLL)。
【0104】
本発明の別の実施形態では、対象は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)で以前に治療を受けている。
【0105】
本発明の別の実施形態では、リンパ腫は、MALTリンパ腫である。
【0106】
本発明の別の実施形態では、障害又は病態は、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である。
【0107】
本発明の別の実施形態では、障害又は状態は、以前の治療に対して再発性又は難治性である。
【0108】
本発明の別の実施形態では、対象は、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)での以前の治療に対して再発性又は難治性である。
【0109】
ある特定の実施形態では、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態は、BTKの阻害によっても影響を受ける。
【0110】
別の実施形態では、障害又は状態は、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、自己免疫及び炎症性障害、例えば、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性又は慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎からなる群から選択される免疫疾患、症候群、障害、又は状態である。
【0111】
別の実施形態では、障害又は状態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、及び粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、乾癬(psoriasis、Pso)、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis、UC)、クローン病、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus、SLE)、喘息、並びに慢性閉塞性肺疾患(COPD)からなる群から選択される。
【0112】
別の実施形態では、障害又は状態は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症からなる群から選択される。
【0113】
別の実施形態では、障害又は状態は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である。更なる実施形態では、非ホジキンリンパ腫(NHL)は、B細胞NHLである。
【0114】
治療方法
本発明の一態様は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、治療有効用量のBTK阻害剤及び治療有効用量の化合物Aを投与することを含む、方法を対象とする。いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書に開示されるがん又は免疫疾患の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、治療有効用量のBTK阻害剤及び治療有効用量の化合物Aを投与することを含む、方法を対象とする。いくつかの実施形態では、化合物AとBTK阻害剤との組み合わせは、対象におけるがん又は免疫疾患の治療において相乗効果を有する。
【0115】
当業者であれば、「治療方法」のセクションにおける化合物A及びBTK阻害剤への言及は、明示的に言及されていなくても、そのそれぞれのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、又は薬学的に許容される塩形態も指す場合があり、それらも本発明の範囲に含まれることを理解するであろう。
【0116】
治療有効量の化合物A又はBTK阻害剤は、平均的(70kg)なヒトの1日当たり約1~約(4(回)のレジメンにおいて、約100mg~約1000mgの用量範囲又はその中の任意の特定の量若しくは範囲、特に約100mg~約400mg又はその中の任意の特定の量若しくは範囲の医薬品有効成分を含む。
【0117】
代替的な実施形態では、治療有効量の化合物A又はBTK阻害剤は、平均的(70kg)なヒトの1日当たり約1~約(4(回)のレジメンにおいて、約25mg~約1000mgの用量範囲又はその中の任意の特定の量若しくは範囲、特に約25mg~約400mg又はその中の任意の特定の量若しくは範囲の医薬品有効成分を含む。
【0118】
化合物A又はBTK阻害剤は、1日1回用量で投与され得るか、又は総1日投与量が、1日に2回、3回、及び4回の分割用量で投与され得る。
【0119】
一実施形態では、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法を含む。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物A及びBKT阻害剤を異なる組成物で提供することを含む。
【0120】
一実施形態では、本発明は、化合物A及びBTK阻害剤各々を、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で対象に投与することにより、当該対象におけるMALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を含む。
【0121】
一実施形態では、本発明は、対象に、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び当該対象に、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を投与することにより、当該対象におけるMALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物A及びBKT阻害剤を異なる組成物で提供することを含む。
【0122】
一実施形態では、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明は、化合物A及びBTK阻害剤を含有する組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物A及びBKT阻害剤を異なる組成物で提供することを含む。
【0123】
一実施形態では、本発明は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態及び化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を含み、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態は、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量で投与され、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態は、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量で投与される。ある特定の実施形態では、本発明は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物A及びBKT阻害剤を異なる組成物で提供することを含む。
【0124】
一実施形態では、本発明は、対象におけるMALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療する方法において使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を含み、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤各々を、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で当該対象に投与することを含む。
【0125】
一実施形態では、本発明は、対象に、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び当該対象に、約25~1000mg、あるいは約25~750mg、あるいは約25~500mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を投与することにより、当該対象におけるMALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療する方法において使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を含む。ある特定の実施形態では、本発明は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、化合物A及びBKT阻害剤を異なる組成物で提供することを含む。
【0126】
一実施形態では、本発明は、対象におけるMALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療に使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容されるその塩形態を含み、ここで、化合物Aは、1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド:
【0127】
【化11】
又はその薬学的に許容される塩形態であり、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で投与され、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態は、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で投与される。
【0128】
一実施形態では、本発明は、がん又は免疫疾患の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその水和物若しくは薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法を含む。
【0129】
一実施形態では、本発明は、化合物A及びBTK阻害剤各々を、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で対象に投与することにより、当該対象におけるがん又は免疫疾患の治療に使用するための、化合物A又はその水和物若しくは薬学的に許容される塩形態、及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を含む。
【0130】
一実施形態では、本発明は、対象におけるがん又は免疫障害を治療する方法において使用するための、化合物A又はその水和物若しくは薬学的に許容される塩形態、及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を含み、本方法は、当該対象に、化合物A及びBTK阻害剤各々を、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で投与することを含む。
【0131】
一実施形態では、本発明は、対象におけるがん又は免疫疾患の治療における使用のための、化合物A又はその水和物若しくは薬学的に許容される塩形態、及びBTK阻害剤、薬学的に許容される塩形態を含み、ここで、化合物Aは、1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド:
【0132】
【化12】
又はその水和物若しくは薬学的に許容される塩形態であり、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で投与され、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態は、当該対象に、約25~1000mg、あるいは約50~1000mg、あるいは約100~1000mgの量で投与される。
【0133】
本発明の別の実施形態では、対象はヒトである。
【0134】
本発明の別の実施形態では、化合物Aは、その水和物形態として使用される。本発明の別の実施形態では、化合物Aは、その一水和物形態として使用される。本発明の更に代替的な実施形態では、対象は、薬学的に許容される担体、薬学的に許容される賦形剤、及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、化合物A又はその溶媒和物若しくは薬学的に許容される塩形態の医薬組成物を投与される。
【0135】
化合物AとBTK阻害剤との組み合わせの特定の実施形態
ある特定の実施態様では、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される形態と組み合わせて、化合物A又はその薬学的に許容される形態を含む医薬組成物が、本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、組み合わせは、治療有効量である。ある特定の実施形態では、組み合わせは、相乗的治療有効量である。ある特定の実施形態では、組み合わせは、相乗的である。ある特定の実施形態では、組み合わせは、相乗効果を有する。ある特定の実施形態では、組み合わせは、相乗的な抗がん効果を有する。ある特定の実施形態では、組み合わせは、相乗的治療効果を有する。
【0136】
ある特定の実施形態では、化合物Aは、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、化合物A及びBTK阻害剤は、異なる組成物中にある。組成物の一実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である。組成物の別の実施形態では、BTK阻害剤は、Roche BTKi RN486である。更に別の実施形態では、BTK阻害剤は、アカラブルチニブ(ベンズアミド、4-[8-アミノ-3-[(2S)-1-(1-オキソ-2-ブチン-1-イル)-2-ピロリジニル]イミダゾ[1,5-a]ピラジン-1-イル]-N-2-ピリジニル-)である。更に別の実施形態では、BTK阻害剤は、ザヌブルチニブ(S)-7-(1-アクリロイルピペリジン-4-イル)-2-(4-フェノキシフェニル)-4,5,6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドである。別の実施形態では、BTK阻害剤は、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミド(化合物B)である。
【0137】
【0138】
他の実施形態では、以下の表1に示される治療有効用量、投与間隔、及び投与サイクルの組み合わせのいずれかが使用され得る。
【0139】
【0140】
【0141】
本発明の別の実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療に使用するための、各々約25~約1000mg、あるいは約100~1000mg、あるいは約100~400mgから、あるいは約150~300mg、あるいは約200mg、あるいは約100~150mg、あるいは約150~200mg、あるいは約200~250mg、あるいは約250~300mg、あるいは約300~350mg、あるいは約350~400mgの範囲の治療有効用量の化合物A及びBTK阻害剤である。
【0142】
本発明の更に別の実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための、各々約25~約1000mg、あるいは約100~1000mg、あるいは約100~400mgから、あるいは約150~300mg、あるいは約200mg、あるいは約100~150mg、あるいは約150~200mg、あるいは約200~250mg、あるいは約250~300mg、あるいは約300~350mg、あるいは約350~400mgの範囲の治療有効用量の化合物A及びBTK阻害剤の使用である。
【0143】
本発明の代替的な実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療に使用するための医薬の製造における、各々約25~約1000mg、あるいは約100~1000mg、あるいは約100~400mg、あるいは約150~300mg、あるいは約200mg、あるいは約100~150mg、あるいは約150~200mg、あるいは約200~250mg、あるいは約250~300mg、あるいは約300~350mg、あるいは約350~400mgの範囲の治療有効用量の化合物A及びBTK阻害剤の使用である。
【0144】
本発明の代替的な実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための医薬の製造における、各々約25~約1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~250mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約25~150mg、あるいは約25~200mg、あるいは約25~300mg、あるいは約25~350mg、あるいは約35~400mg、あるいは約35~500mgの範囲の治療有効用量の化合物A及びイブルチニブの使用である。
【0145】
したがって、一実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤、及び約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物Aを含む組成物を投与することを含む、方法である。ある特定の実施形態では、障害又は状態は、BTK阻害剤及び化合物Aの両方による治療に感受性である。
【0146】
本発明の別の実施形態では、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程Pと、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。
【0147】
本発明の別の実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療において使用するための、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態である。加えて、本発明の実施形態は、がん又は免疫疾患を治療するための、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態の使用を対象とする。
【0148】
本発明の他の実施形態は、MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態を治療するための医薬の製造における、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態の使用を対象とする。特定の実施形態では、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ又はRoche BTKi RN486である。あるいは、BTK阻害剤は、アカラブルチニブ又はズヌブルチニブである。更に別の実施形態では、BTK阻害剤は、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミド(化合物B)である。
【0149】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、DLBCLは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、DLBCLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化B細胞様(ABC)サブタイプである。いくつかの実施形態では、DLBCLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の胚中心B細胞様(GCB)サブタイプである。いくつかの実施形態では、DLBCLは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の非胚中心B細胞様(非GCB)サブタイプである。いくつかの実施形態では、本方法は、DLBCLと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0150】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、WMは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)を治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、WMと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0151】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、非ホジキンリンパ腫(NHL)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、NHLは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、NHLを治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、NHLと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0152】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、マントル細胞リンパ腫(MCL)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、MCLは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、MCLを治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、MCLと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0153】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、辺縁帯リンパ腫(MZL)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、MZLは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、MZLを治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、MZLと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する
【0154】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、濾胞性リンパ腫を治療する方法である。いくつかの実施形態では、濾胞性リンパ腫は、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、濾胞性リンパ腫を治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、濾胞性リンパ腫と診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0155】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、形質転換濾胞性リンパ腫を治療する方法である。いくつかの実施形態では、形質転換濾胞性リンパ腫は、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、形質転換濾胞性リンパ腫を治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、形質転換濾胞性リンパ腫と診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0156】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、CLLは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、CLLと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0157】
本発明の一実施形態は、治療有効用量の化合物Aを治療有効用量のBTK阻害剤と組み合わせて投与することを含む、小リンパ球性リンパ腫(SLL)を治療する方法である。いくつかの実施形態では、SLLは、以前の治療に対して再発性又は難治性である。ある特定の実施形態では、本方法は、化合物A及びBTK阻害剤を含む組成物を提供することを含む。一実施形態では、SLLを治療する方法は、治療有効用量の化合物Aを投与する工程と、治療有効用量のBTK阻害剤を投与する工程と、を含む。BTK阻害剤は、化合物Aの前に、化合物Aの後に、又は化合物Aと同時に投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤は、約25~1000mg、あるいは約25~500mg、あるいは約25~400mg、あるいは約25~300mg、あるいは約50~1000mgである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは、7日間にわたって約100~300mg BD、続いて100~300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は、約140~560mg BDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約560mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約200mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約300mg QDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約420mg QDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約280mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約100mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。いくつかの実施形態では、治療有効用量の化合物Aは約150mg BIDであり、治療有効用量のBTK阻害剤は約210mg BIDである。他の実施形態では、本明細書に記載の治療有効用量、投与間隔、及び/又は投与サイクルのうちの任意のものを使用することができる。これらの実施形態のいずれかでは、これらの方法で使用されるBTK阻害剤は、イブルチニブ、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、又はN-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。いくつかの実施形態では、本方法は、SLLと診断された対象群において少なくとも約30%のORRを達成する。
【0158】
いくつかの実施形態では、対象は、化合物A及びBTK阻害剤の投与前に、少なくとも2つの選択療法を以前に受けていてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、化合物A及びBTK阻害剤の投与前に、第一選択化学療法、及び少なくとも1つの後続選択の全身療法(自家幹細胞移植(autologous stem cell transplantation、ASCT)を含む)を受けていてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、化合物A及びBTK阻害剤の投与前に、標準的な抗CD20抗体を含む、少なくとも2つの選択全身療法を以前に受けていてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、化合物A及びBTK阻害剤の投与前に、ASCTを受けていてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、ASCTに適格でないことがある。いくつかの実施形態では、化合物A及びBTK阻害剤の組み合わせは、最先端療法として使用される。
【0159】
本発明の別の実施形態では、化合物A及びBTK阻害剤は、1つ又は2つ以上の他の薬剤と組み合わせて、より具体的には、他の抗がん剤、例えば、化学療法剤、抗増殖剤若しくは免疫調節剤、又はがん治療における補助剤、例えば、免疫抑制剤若しくは抗炎症剤と組み合わせて用いられてもよい。
【0160】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるBTK阻害剤及び化合物Aは、薬物間相互作用の可能性により、一緒に投与される場合、異なるPKプロファイルを示し得る。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤が化合物Aと組み合わせて投与される場合、単独で投与されたBTK阻害剤のCmaxと比較したとき、BTK阻害剤のCmaxは、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%増加し得る。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤が化合物Aと組み合わせて投与される場合、単独で投与されたBTK阻害剤のAUCと比較したとき、BTK阻害剤のAUCは、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%増加し得る。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、イブルチニブである。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、化合物Bである。
【0161】
いくつかの実施形態では、対象におけるがんを治療する方法は、約300mgの化合物AをBTK阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含み、投与されるBTK阻害剤の量は、約150mg、約175mg、約200mg、約210mg、約225mg、約250mg、約280mg、又は約300mgを超えない。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、化合物B又はイブルチニブである。いくつかの実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症から選択される。
【0162】
いくつかの実施形態では、対象におけるがんを治療する方法は、約200mgの化合物AをBTK阻害剤と組み合わせて対象に投与することを含み、投与されるBTK阻害剤の量は、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約210mg、約225mg、約250mg、280mg、又は約300mgを超えない。いくつかの実施形態では、BTK阻害剤は、化合物B又はイブルチニブである。いくつかの実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症から選択される。
【0163】
本発明の前述の実施形態に対する変形は、依然として本発明の範囲内にありながら行うことができることが理解されよう。本明細書に開示された各特徴は、特に明記しない限り、同じ、同等、又は同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えられてもよい。したがって、特に明記しない限り、開示された各特徴は、一般的な一連の同等又は類似の特徴の一例にすぎない。
【0164】
上記の実施形態の全ての可能な組み合わせは、本発明の範囲内に包含されると考えられる。
【0165】
実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載される組み合わせを提供する。
【0166】
実施形態によれば、本発明は、医薬として使用するための、本明細書に記載される組み合わせを提供する。
【0167】
実施形態によれば、本発明は、医薬の製造のための本明細書に記載される組み合わせを提供する。
【0168】
実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載の障害又は状態のうちのいずれか1つを治療するための医薬を製造するための、本明細書に記載される組み合わせを提供する。
【0169】
実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載される障害又は状態のうちのいずれか1つの治療において使用するための、本明細書に記載される組み合わせを提供する。
【0170】
実施形態によれば、本発明は、本明細書に記載される障害又は状態のうちのいずれか1つの治療において使用するための、本明細書に記載される組み合わせを提供する。
【0171】
治療のための方法について本明細書に記載される全ての実施形態は、治療における使用にも適用可能である。
【0172】
障害又は状態を治療するための方法について本明細書に記載される全ての実施形態は、当該障害又は状態の治療における使用にも適用可能である。
【0173】
障害又は状態の治療における使用のための本明細書に記載の全ての実施形態は、当該障害又は状態を治療するための方法にも適用可能である。
【0174】
障害又は状態を治療するための方法について本明細書に記載される全ての実施形態は、当該障害又は状態を治療するための方法における使用にも適用可能である。
【0175】
障害又は状態を治療するための方法における使用のための本明細書に記載の全ての実施形態は、当該障害又は状態を治療するための方法にも適用可能である。
【0176】
本発明を以下の実施例を参照して記載する。これらの実施例は、単に図示の目的のために提供され、これらの実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆる変形例を包含すると解釈されるべきである。
【0177】
更なる説明を行わずとも、当業者であれば、上記の説明及び以下の例示的な実施例を使用することで、本発明の化合物を作製及び利用し、特許請求される方法を実施することが可能であるものと考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘するものであって、本開示の残りの記載をいかなる意味においても限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0178】
以下の本発明の実施例は、本発明の本質を更に説明するためのものである。当業者であれば、上記の説明及び以下の例示的な実施例を利用することで、本発明を製造及び使用し、特許請求される方法を実施することが可能であるものと考えられる。以下の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求項によって定められる点を理解されたい。
【0179】
上記の「化合物A」という用語の使用と一致して、これらの実施例を通して使用される「化合物A」は、1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドである。
【0180】
実施例2及び3で使用される「化合物B」は、BTK阻害剤N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである。
【0181】
実施例1:ABC-DLBCL細胞株におけるMALT1阻害剤のBTK阻害剤とのインビトロ組み合わせ
イブルチニブと組み合わせて化合物Aで処理した後のABC-DLBCL細胞株の生存率をインビトロで評価した。ABC-DLBCL細胞株(OCI-Ly10、TMD8、及びHBL1)を、96ウェルプレート中で成長させ、7つのスカラー濃度の化合物A(20~0.027μM)及び6つのスカラー濃度のイブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)(6.4~0.026nM)のマトリックスで処理した。
【0182】
可能性のある組み合わせ効果を、Cell Titer Gloを使用して、処理の4日後に評価した。3回以上の反復からのデータを組み合わせ、拡張BIGLパッケージを使用するHSA又は一般化Loeweモデルを使用して(モデリング差異)相乗作用評価のために解析した。
【0183】
相乗効果は、両方のモデルを使用して、OCI-Ly10の特定の濃度のイブルチニブ及び化合物Aで観察された。HSAモデルについてのデータを
図1Bに示す。
図1A及び1Bを参照して、イブルチニブ及び化合物Aの濃度をX軸(μM)に示す。わずかな相乗効果がHBL1細胞において見られた(HSAモデルについてのデータを
図1Aに示す)が、TMD8細胞における相乗効果は、あまりストリンジェントでないHSAモデルを使用した場合にのみ同定された(データは示さず)。同様の相乗効果(データは示さず)が、化合物Aと組み合わせてRoche BTKi RN486を使用して観察された。
【0184】
実施例2:化合物AとBTK阻害剤N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドとの組み合わせのインビトロ活性
この実施例における研究は、インビトロでのBTK阻害剤化合物BとMALT1阻害剤化合物Aとの組み合わせの特徴付けを提供する。研究の目的は、インビトロでのBTK阻害剤化合物BとMALT1阻害剤化合物Aとの組み合わせによる処理後の抗増殖活性の評価であった。DLBCL及びMCL細胞株のパネルを、化合物B若しくは化合物Aのいずれかの単剤療法、又は両方の薬剤の組み合わせによる処理後の細胞増殖について用量応答で評価した。相加効果又は相乗効果も評価した。
【0185】
化合物B(N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミド)は、強力で選択的かつ不可逆的な共有結合BTK阻害剤である経口活性の小分子である。化合物Bは、細胞アッセイにおいてBTKキナーゼ活性を強力に阻害する。化合物Bは、インビトロでのCD79b変異DLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)細胞株の成長を阻害する。
【0186】
化合物Aは、混合型機序を有するMALT1プロテアーゼのアロステリック阻害剤である。化合物Aは、生化学的及び細胞アッセイにおいてMALT1プロテアーゼ活性を強力に阻害する。化合物Aは、インビトロでのCD79b変異DLBCL、及びBTK C481S又はCARD11変異を有するイブルチニブ耐性DLBCLの成長を阻害する。以下に示されるように、化合物Bと化合物Aとの組み合わせは、CD79b変異DLBCL及びMCL(マントル細胞リンパ腫)細胞モデルのサブセットにおいて相乗的活性をもたらす。
【0187】
材料及び方法
活性のインビトロ及び細胞評価を通して、化合物A及び化合物Bを使用した。全ての小分子は、示されるように、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)ストックとして調製した。最終濃度0.25%のDMSOを対照として使用した。高対照=細胞+DMSO0.25%。
【0188】
試験は、以下の試薬を使用した:L-グルタミン(カタログ番号G7513)(Gibco)、RPMI1640(カタログ番号R0883)(Gibco)、DMSO D2650)(Gibco)、RPMI Glutamax(カタログ番号2183129)(Gibco)、ゲンタマイシン(Cat#カタログ番号15750-037)(Gibco)、FBS(カタログ番号S1810-500)(Biowest)、透明な平底黒色96ウェル(カタログ番号3904)(Corning)、CellTiter-Glo(登録商標)発光細胞生存率アッセイ(G7573)(緩衝液カタログ番号G756B、及び基質カタログ番号G755B)(Promega)。
【0189】
以下の細胞株を使用した:OCI-LY-3及びHBL-1(Dr.Miguel A Piris、Hospital Universitario Marques de Valdecilla、Santander,Spain)、OCI-LY-10(UHN(University Hospital Network)、TMD-8(Tokyo University)、REC-1(DSMZ ACC 584)、JEKO-1(DSMZ ACC 553)、MINO(DSMZ ACC 687)、及びMAVER-1(ATCC CRL-3008)。細胞株と共に使用した培養培地を以下に記載する。
【0190】
DLBCLがん増殖の阻害を評価するためのプロトコル
化合物Bと組み合わせて化合物Aで処理した後のABC-DLBCL細胞株の生存率をインビトロで評価した。4つのB細胞リンパ腫株のパネルを、異なる用量の両方の化合物で処理した。以下のABC-DLBCL細胞株を試験した:OCI-Ly10、TMD8、OCI-Ly3、及びHBL1。細胞株を96ウェルプレート中で成長させ、7つのスカラー濃度の化合物A(20~0.027μM)及び6つのスカラー濃度の化合物B(0.5~0.002μM)、並びにそれらの全ての組み合わせのマトリックスで処理した。このチェッカーボードデザインを、最大4つの別個のプレートで繰り返した。DMSOの最終濃度は0.25%であった。37℃、5%のCO2での4日間のインキュベーション後、細胞生存率を、CellTiter-Glo(登録商標)を添加することによって決定した。発光をEnvision装置で読み取り、読み取り値を使用して、可能性のある組み合わせ効果を計算した。2~4つの独立した実験からのデータを組み合わせ、拡張BIGLパッケージを使用するHSA又は一般化Loeweモデルを使用して(モデリング差異)相乗作用評価のために解析した。
【0191】
MCLがん細胞増殖の阻害を評価するためのプロトコル
化合物Bと組み合わせて化合物Aで処理した後のマントル細胞リンパ腫(MCL)細胞株の生存率を、DLBCL細胞に使用した同じ方法でインビトロで評価した。4つのMCL細胞株のパネルを、両方の化合物について異なる用量で(上記と同じ投与を使用して)処理した。以下のMCL細胞株を試験した:REC-1、JEKO-1、MINO、及びMAVER-1。NF-κB経路に依存することが知られているREC-1を評価すると、インビトロでBTK及びMALT1阻害剤単剤療法に感受性であることが示された。
【0192】
データ解析
DLBCL又はMCLがん細胞増殖に対する組み合わせ効果の評価について、観察された組み合わせ効果を、単剤療法に由来するある特定のヌルモデルに対して変動性の存在下で、データにおける証拠を測定する公的に入手可能なBIGL(Biochemically Intuitive Generalized Loewe Model)Rパッケージを使用して評価した。第1の工程において、2つの薬剤間の共通ベースラインの追加制約を有する4PLモデルと単剤療法を適合させた。活性が観察されなかった場合、単剤療法データを通して直線を当てはめた。第2の工程では、基本的に、組み合わせ実験の観察された読み出しを、HSA(最高単剤)17及び一般化Loewe18の両方がこれらの研究について評価された単剤療法に由来するヌルモデルから予測された読み出しと対比する、仮説検定を5%の有意水準で実施した。
【0193】
結果
DLBCLがん細胞増殖の阻害
BTK阻害剤化合物B及び化合物Aの組み合わせ効果を、複数のインビトロ実験から解析した。具体的には、組み合わせ効果を以下の細胞株において評価した:OCI-Ly10、HBL1、TMBD8、及びOCI-Ly3。
【0194】
OCI-Ly10細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する4つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法は最大75%の増殖阻害をもたらすことが観察されたが、化合物Aは、試験した最高濃度でOCI-Ly10細胞においておよそ50%の増殖阻害をもたらした。CD79b変異OCI-Ly10細胞モデルにおいて、強い相乗作用が、両方の阻害剤の中用量又は高用量の条件で観察された。一般化Loewe及びHSAの両方の解析方法を使用して、統計的に有意な相乗作用が観察された(
図2及び
図3)。
【0195】
HBL1細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する3つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法及び化合物Aの単剤療法は、試験した最高濃度で、HBL1細胞において最大75%の増殖阻害をもたらすことが観察された。第4の実験は、BTK阻害剤化合物Bの単剤療法の用量応答が、おそらく技術的誤差に起因して抗増殖効果を示さない明らかな外れ値であったため、解析から除外した。CD79b変異HBL1細胞モデルにおいて、相乗作用が、両方の阻害剤の中用量又は高用量の条件で観察された。一般化Loewe及びHSAの両方の解析方法を使用して、統計的に有意な相乗作用が観察されたが、よりストリンジェントなLoeweモデルについては、あまり顕著ではないか、又はいくつかの用量濃度に限定された(
図4及び
図5)。
【0196】
TMD8細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する2つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法は最大80%の増殖阻害をもたらすことが示されたが、化合物Aは、試験した最高濃度でTMD8細胞においておよそ55%の増殖阻害をもたらした。他の2つの実験は、BTK阻害剤化合物Bの単剤療法の用量応答が、おそらく技術的誤差に起因して抗増殖効果を示さないか、又は非常に強い活性のいずれかを示す明らかな外れ値であったため、解析から除外した。CD79b変異TMD8細胞モデルにおいて、相乗作用が、化合物Aの中用量又は高用量、及び化合物Bの低用量又は中用量の条件で観察された。HSA解析方法を使用して、統計的に有意な相乗作用が観察された(
図6及び
図7)。異なる独立した実験間のより高い変動性に起因して、相乗作用評価はより困難であった。個々の実行が別々に解析される場合、統計的に有意な相乗作用は、一般化Loeweモデルでも観察される。
【0197】
OCI-Ly3細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する2つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法は増殖を阻害しなかったが、化合物Aは、試験した最高濃度で、OCI-Ly3細胞において最大95%の増殖阻害をもたらした。いくらかの相乗作用が観察されたが、これは、CARD11変異OCI-Ly3細胞モデルにおける高用量の化合物A及び高用量の化合物Bに限定された(
図8)。興味深いことに、特にHSA解析方法を使用して、アンタゴニスト活性が観察された領域もいくつかあった。観察された効果は統計的に有意である(HSA及びLoewe)が、3Dプロットに見られるように、相乗効果又は拮抗効果はわずかであり(
図9)、CD79b変異細胞株における他の明らかな相乗作用コールと比較してはるかに小さい。
【0198】
MCLがん細胞増殖の阻害
BTK阻害剤化合物B及び化合物Aの組み合わせ効果を、複数のインビトロ実験から解析した。具体的には、組み合わせ効果を以下のMCLがん細胞株において評価した:REC-1、JEKO-1、MINO、及びMAVER-1。
【0199】
REC-1細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する3つの独立した実験を組み合わせた。化合物B及び化合物Aの両方の単剤療法は、試験した最高濃度で、REC-1細胞において最大95%の増殖をもたらした。第4の実験は、BTK阻害剤化合物B及びMALT1阻害剤化合物Aの単剤療法の用量応答が、化合物Bの最大効果減少への強いシフト及び化合物Aの効力減少における全体的なシフトを伴う明らかな外れ値であったため、解析から除外した。相乗作用は、REC-1細胞モデルにおける両方の阻害剤の中用量又は高用量の条件において観察された。HSA解析方法を使用して、及び一般化Loewe解析方法を用いたいくつかの濃度について、統計的に有意な相乗作用が観察された(
図10及び
図11)。
【0200】
JEKO-1細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する3つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法は増殖のわずかな阻害(約25%)のみを示したが、化合物Aは、JEKO-1細胞において、最大60%の増殖阻害をもたらし、顕著な阻害は試験した最高濃度でのみ見られた。JEKO-1細胞モデルにおいて、相乗効果又は拮抗効果は、いずれの条件においても観察されなかった(
図12)。
【0201】
MINO細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する3つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法は、増殖のわずかな阻害(約30%)のみを示したが、化合物Aは、MINO細胞において、最大45%の増殖阻害をもたらし、有意な阻害は、試験した最高濃度でのみ見られた。MINO細胞モデルにおいて、明らかな相乗効果又は拮抗効果は、いずれの条件においても観察されなかった(
図13)。
【0202】
MAVER-1細胞における組み合わせ効果を解析するために、同様の単剤療法活性を有する3つの独立した実験を組み合わせた。化合物Bの単剤療法は、増殖の阻害を全く又はほとんど示さなかった。化合物Aは、MAVER-1細胞において、最大50%の増殖阻害をもたらし、有意な阻害は試験した最高濃度でのみ見られた。HSAモデルを用いた解析後の両方の阻害剤の最高用量にもかかわらず、MAVER-1細胞モデルにおいて、いずれの条件においても明らかな相乗効果又は拮抗効果は観察されず、これはオフターゲット活性によって引き起こされ得る(
図14)。
【0203】
考察
活性化B細胞の古典的核内因子カッパ軽鎖エンハンサー(NF-κB)シグナル伝達経路は、多くのB細胞リンパ腫において構成的に活性化され、ABC-DLBCL(活性化B細胞びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の特徴である。ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)及び粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座タンパク質1(MALT1)は両方とも、活性化B細胞の古典的核内因子カッパ軽鎖エンハンサー(NF-κB)シグナル伝達経路の重要なメディエーターであり、活性化B細胞サブタイプびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)において重要な役割を果たす。BTK阻害剤は、B細胞血液悪性腫瘍の治療のために広く研究されており、2つの小分子阻害剤であるイブルチニブ及びアカラブルチニブは、複数のB細胞悪性腫瘍のための抗がん剤として現在市販されている。
【0204】
化合物Bは、強力で、選択的かつ不可逆的な共有結合BTK阻害剤である経口活性小分子である。化合物Aは、MALT1プロテアーゼのアロステリック阻害剤である。この実施例は、複数のABC-DLBCL及びMCL細胞株における用量応答において化合物B及び化合物Aの組み合わせを評価するインビトロ研究を提供する。単剤療法において両方の薬剤に感受性であるCD79b変異ABC-DLBCL細胞株(OCI-Ly10、HBL1、及びTMD8)において、相乗効果が観察された。わずかな相乗効果がCARD11-変異ABC-DLBCL細胞株OCI-Ly3において観察された。単剤療法において両方の薬剤に感受性であるMCL細胞株REC1において、相乗効果が更に観察された。単剤療法として両方の薬剤に対して限られた応答しか示さないMCL細胞株(JEKO-1、MINO、及びMAVER-1)において、相乗効果又は拮抗効果は観察されなかった。生成されたインビトロデータは、CD79b変異及びMCL患者のサブセットによって駆動されるABC-DLBCLリンパ腫を有する患者における化合物Bと化合物Aとの組み合わせの最初のヒトでの試験を支持する。
【0205】
したがって、BTK阻害剤化合物BとMALT1阻害剤化合物Aとの組み合わせを使用することは、ABC-DLBCLリンパ腫、特に、CD79b変異によって駆動されるそのようなリンパ腫を有する患者、及びMCL患者を治療するための有効な戦略である。
【0206】
実施例3:NSGマウスにおけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫異種移植片におけるBTK阻害剤単剤療法及び化合物Aとの組み合わせの有効性。
BTKは、B細胞抗原受容体シグナル伝達経路の一部であり、B細胞成熟、分化、及び成熟B細胞の機能において不可欠な役割を果たす。Abdalla et al.,Immunol Rev,2009;228(1):58-73。BTKは、発がん性シグナル伝達において重要な役割を果たし、多くのB細胞悪性腫瘍における腫瘍形成細胞の増殖及び生存に重要である。Rudi et al.,Nat Rev Cancer,2014;14(4):219-32。BTK阻害剤であるイブルチニブは、多くのB細胞悪性腫瘍において有益な抗腫瘍効果を示したが、耐性が生じ得(Shah et al.Trends Cancer.2018;4:197-206)、抗腫瘍活性を改善するために更なる併用療法の開発を必要としている。
【0207】
化合物Bは、経口共有結合ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤である。BTK阻害は、下流のB細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達遮断をもたらし、多くのB細胞悪性腫瘍において増殖の妨害及び腫瘍細胞死滅をもたらす。化合物Bは、表面抗原分類(CD)79b変異を有するABC-DLBCL細胞株の増殖を阻害し、OCI-LY10に関してIC50は18nMである。化合物Bは、NSGマウスにおいて中程度のクリアランス及び短い0.7時間)半減期で経口で生物学的に利用可能である。
【0208】
MALT1は、古典的NF-κBシグナル伝達経路の重要なメディエーターであり、ABC-DLBCLにおいて重要な役割を果たすことが示されている。12 Libermann et al.Mol Cell Biol.1990 May;10(5):2327-34。MALT1は、B細胞受容体及びT細胞受容体からのシグナルを変換する固有のヒトパラカスパーゼである。MALT1は、2つの機能:NF-κBシグナル伝達タンパク質を動員する足場機能並びにNF-κBシグナル伝達経路の阻害剤を切断及び不活性化するプロテアーゼ機能を有する。MALT1阻害は、CD79又はカスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質11(CARD11)変異、並びにDLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及びマントル細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、並びにIMBRUVICA(登録商標)(イブルチニブ)などのBTK阻害剤に対する獲得耐性を有するABC-DLBCL腫瘍を標的とする。Cao et al.,J Biol Chem.2006 Sep 8;281(36):26041-50、Fontan et al.,Cancer Cell.2012;22(6):812-24、Hailfinger et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2009;106(47):19946-51、Nagel et al.,Cancer Cell.2012;22(6):825-37、及びShatet al.(上記)。
【0209】
化合物Aは、古典的NF-κBシグナル伝達経路に依存するB細胞リンパ腫を標的とするために開発されたアロステリックMALT1プロテアーゼ阻害剤である。化合物Aは、CD79b又はCARD11変異を有するABC-DLBCL細胞株の増殖を阻害し、OCI-LY10細胞に関してIC50は0.332μMである。化合物Aは、経口で生物学的に利用可能であり(マウスにおいて%F>90)、マウスにおけるクリアランス及び半減期は遅い~中程度であり、5時間を超える(NSGマウスにおいて、T1/2=5.74時間)。
【0210】
BTK阻害剤化合物BとMALT1阻害剤化合物Aとの組み合わせを、複数のABC-DLBCL細胞株における用量応答において評価した(上記の実施例2を参照されたい)。単剤療法において両方の薬剤に感受性であるCD79b変異ABC-DLBCL細胞株(OCI-Ly10、HBL1、及びTMD8)において、相乗効果が観察された。
【0211】
この実施例に示される研究の目的は、OCI-LY10 ABC-DLBCL異種移植片モデルにおける化合物B単独及び化合物Aとの組み合わせのインビボ薬力学的効果及び抗腫瘍有効性の評価であった。このモデルは、CD79b変異によって駆動されるNF-κBシグナル伝達経路の構成的活性化によって特徴付けられる。マウス腫瘍モデルにおいて最適な血清曝露に達するために、本研究では、化合物AをBID投与するが、化合物BについてはQD及びBID投与スケジュールの両方を試験した。特に、単剤療法として、又は粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座タンパク質1(MALT1)阻害剤(化合物A)のアロステリックプロテアーゼ阻害剤の経口投与との組み合わせのいずれかで、化合物Bの薬力学的効果(PD)及び抗腫瘍有効性を、NODNOD.Cg-Prkdcscid IL2rgtmlWjl/SzJガンマ(NSG)マウスにおけるヒト活性化B細胞サブタイプびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)異種移植片モデルにおいて評価した。
【0212】
材料及び方法
化合物B(小BTK阻害剤、二水和物塩)及びを、PEG400、又は1-ビニル-2-ピロリドン及び酢酸ビニル(PVP-VA64)の10%の6:4線状ランダムコポリマーを含むPEG400中の経口(PO)投与のための溶液として製剤化した。化合物は、必要量のPEG400又はPEG400/PVP-VA64を、予め量った化合物に添加し、溶解するまで撹拌することによって毎週製剤化した。PEG-400の量を制限するために、5mL/kgの投与体積を、研究1、研究2、及び研究3において投与し、一方、2.5mL/kgの投与体積を、研究4において化合物Bに使用した。化合物A(小分子MALT1阻害剤、一水和物塩)を、PEG400中の経口(PO)投与のための溶液として製剤化した。化合物は、必要量のPEG400を、予め量った化合物に添加し、溶解するまで撹拌することによって毎週製剤化した。MALT1阻害剤について投与された投与体積は、全ての組み合わせ研究にわたって3.33mL/kgであった。両方の製剤化された化合物を光から保護して室温で保存した。
【0213】
動物
全ての研究について、雌のNSGマウス(Jackson Laboratory)を、およそ6~8週齢及び体重およそ20グラムのときに使用した。全ての動物を順化させ、最低でも実験使用前の5日間、輸送関連ストレスから回復させた。オートクレーブ処理した水及び照射した食餌(NIH 31 Modified and Irradiated Lab Diet(登録商標))を自由に与え、動物を12時間の明暗サイクルで維持した。使用前にケージ、床敷き、及び給水瓶をオートクレーブ処理し、毎週交換した。全ての実験は、The Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って行われ、Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認された。全ての研究は、Johnson and Johnsonの外部動物研究方針に従って行った。
【0214】
重要な試薬
表2及び3は、この実施例の研究に使用した重要な試薬を示す。
【0215】
【0216】
【0217】
細胞培養方法
ヒトABC-DLBCL細胞株OCI-LY-10を、University Hospital Network,Ontario Cancer Instituteから入手した。OCI-LY10細胞を、懸濁細胞として、加湿雰囲気下(5%のCO2、95%の空気)で、37℃で、2mMのグルタミン、100単位/mLのペニシリンGナトリウム、100μg/mLのストレプトマイシン硫酸塩、及び25μg/mLのゲンタマイシンを含む10%のウシ胎仔血清(57℃で2時間熱不活化)を補充したRPMI-1640培地中で維持した。細胞を週に1回継代し、T225培養フラスコ中に0.2×106細胞/mLで播種し、3~4日後に培地を交換した。各マウスは、総体積0.1mLで、50%のMatrigel(商標)(BD Biosciences)を含むダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)中1x×106又は5×106のOCI-LY10細胞を受けた。細胞を、1mLシリンジ及び26ゲージ針を使用して右側腹部にSC移植した。腫瘍移植日を0日目と指定した。
【0218】
研究デザイン
化合物Bの抗腫瘍有効性のために選択された用量は、単一用量PK/PDデータに基づいた。化合物Bと化合物Aとの組み合わせ処置について選択された用量は、単一化合物処置から得られた抗腫瘍有効性データに基づいた。試験デザインを表4に要約し、以下に記載する。
【0219】
【0220】
研究1において、50%のMatrigel(商標)を含むPBS中の5×106のOCI-LY10細胞を、雌のNSGマウスの右後側腹部に皮下(SC)注射した。腫瘍成長を経時的に測定し、腫瘍がおよそ525mm3の体積に達したら、マウスを15の群に無作為化し、処置スケジュールに従って化合物Bの単一用量で経口処置した(表4を参照されたい)。血液を、群当たり時点当たり5匹の動物から下顎静脈サンプリングによって連続的に収集して、単回投与2、4、8、12、16、及び24時間後の循環化合物濃度及びIL10レベルを決定した。血液をEDTA中に採取し、血漿を3000rpmで10分間遠心分離することによって得た。加えて、腫瘍試料を、単回投与の4、12、及び24時間後に、BTK占有率研究のための処置群当たり時点当たり5匹の動物から採取した。
【0221】
有効性研究の研究2において、NSGの雌の動物に、50%のMatrigel(商標)を含むPBS中の5×106のOCI-LY10細胞を右発見腹部にSC注射した。32日目に、マウスを、腫瘍体積(207mm3の平均腫瘍体積)に基づいて無作為化し、21日間にわたって、上記の処置スケジュールに従って(表4を参照されたい)BTK阻害剤化合物Bで1日1回又は2回経口処置した。53日目の最後の投与後、血液を、投与2、4、12、及び24時間後に、処置群当たり時点当たり5匹の動物から顎下静脈サンプリングを介して連続的に採取した。血液をEDTA中に収集し、血漿を3000rpmで10分間遠心分離することによって得た。試料を急速凍結し、将来の解析の可能性のために-800℃で保存した。
【0222】
腫瘍進行(転移及び後肢麻痺)による研究2における早期動物ドロップアウトの後に、研究3及び研究4のNSGの雌のマウスに、50%のMatrigel(商標)を含むPBS中のより少ない細胞数(1×106のOCI-LY10細胞)で右側腹部にSC注射した。35日目(研究3)又は32日目(研究4)に、マウスを腫瘍体積に基づいて無作為化し(表4を参照されたい)、21日間にわたって、上記の処置スケジュールに従って様々な用量濃度で、マウスに、化合物BをQD日、そして化合物AをBID経口投与する(研究3)か、又は両方の化合物についてBID(研究4)経口投与した(表4を参照されたい)。
【0223】
動物モニタリング
PEG400及びPVP-VAビヒクルに関する既知の忍容性の問題により(Hermansky et al.,Food Chem.Toxicol.1995;33:139-149)、有効性研究において、処置の最初の5日間にわたって、全ての動物の体重を毎日追跡した。続いて、動物の体重及び腫瘍体積を週に2~3回モニターした。動物を、化合物毒性又は腫瘍量のいずれかに関連する臨床徴候(すなわち、後肢麻痺、無気力、呼吸困難など)について毎日モニターした。個々の動物が、陰性臨床徴候を示した場合、初期体重と比較して20%超の体重減少に達した場合、又は2,000mm3の最大腫瘍体積エンドポイントに近づいた場合、研究から除外し、人道的に安楽死させた。
【0224】
PD法
NF-κBシグナル伝達は、インターロイキン-10(IL-10)を含む複数のサイトカインの分泌を調節する。BTK及びMALT1阻害は、IL-10の転写及び分泌の減少をもたらすNF-kBシグナル伝達をもたらす。循環ヒトIL-10サイトカインレベルは、Mesoscale Discoveryアッセイ(MSD)を使用して、OCI-LY10 ABC-DLBCL腫瘍を有するNSGマウスの血清において測定した。25μLのマウス血清を、MSDプレート(V-Plex Proinflammation Panel 1[ヒト]キット)に移し、25μlの希釈剤2(MSD;R51BB-3)と一緒に室温で2時間インキュベートし、続いてIL-6/-10抗体溶液と2時間インキュベートした。SECTORイメージャーでプレートを読み取った。
【0225】
化合物Bは、BTKに不可逆的に結合する共有結合の経口で生物学的に利用可能な阻害剤であり、BTKへの化合物結合及び新しいBTKタンパク質の合成速度を考慮して、化合物投与後のシグナル伝達停止の持続時間及びBTKタンパク質の占有率を評価することを可能にする。標的結合は、BTK占有率アッセイ(ELISAアッセイ形式)を使用して、様々な投与濃度の化合物Bで処置したマウスのOCI-LY10 DLBCL腫瘍溶解物中の遊離BTKタンパク質の量を測定することによって決定した。ビオチンに化学的に結合した共有結合BTK阻害剤プローブ(CNX-500プローブ)を、腫瘍溶解物を含むPBS/BT(PBS+1%のBSA+0.05%のtween-20)中で、28℃で1時間インキュベートした。インキュベートしたBTK標準物及び試料を、ストレプトアビジンコーティング96ウェルプレートに移し、振盪しながら室温で30分間混合した。次いで、BTK抗体を添加し、4℃で一晩インキュベートした。洗浄後、ヤギ抗マウスHRPを添加し、室温で1時間インキュベートした。テトラメチルベンジジン(TMB)、続いて硫酸(停止溶液)を添加してELISAを展開し、Envision装置で光学密度450nmで読み取った。
【0226】
算出
個々のマウスの体重変化は、式:([W-W0]/W0)×100(式中、「W」は特定の日の平均体重を表し、「W0」は処置開始時の体重を表す)を使用して計算した。体重を平均体重変化±SEMとしてグラフ化した。毒性は、所与の群におけるマウスの20%以上が20%以上の体重減少及び/又は死亡を示すこととして定義された。
【0227】
SCモデルにおける腫瘍体積は、式:腫瘍体積(mm3)=(D×d2/2)(式中、「D」は、キャリパー測定によって決定される、腫瘍のより大きい直径を表し、「d」は、より小さい直径を表す)を使用して計算した。腫瘍体積データは、平均腫瘍体積±SEMとしてグラフ化した。
【0228】
ΔTGIパーセントを、以下の式:([(TVc-TVc0)-(TVt-TVt0)]/(TVc-TVc0))×100(式中、「TVc」は、所与の対照群の平均腫瘍量であり、「TVc0」は、所与の対照群の平均初期腫瘍量であり、「TVt」は、処置群の平均腫瘍量であり、「TVt0」は、処置群の平均初期腫瘍量である)を使用して計算される、処置群の平均腫瘍量と対照群の平均腫瘍量との間の差と定義した。腫瘍成長阻害(TGI)パーセントを、処置群の平均腫瘍体積と対照群の平均腫瘍体積との間の差と定義し、((TVc-TVt)/TVc)×100(式中、「TVc」は、対照群の平均腫瘍体積であり、「TVt」は、処置群の平均腫瘍体積である)のように算出した。National Cancer Institute(NCI)基準によって定義されるように、60%以上のTGIは、生物学的に有意であると考えられる。Johnson et al.,Br J Cancer.2001;84(10):1424-1431。
【0229】
処置群における平均腫瘍量が、同じ処置群の処置開始時の腫瘍量よりも小さい場合に、腫瘍退縮を算出した。対照群から独立したベースラインと比較した腫瘍体積の処置関連減少を反映するように定量化された腫瘍退縮(tumor regression、TR)%を、以下の式:TR%=(1-平均(TVti/TVt0i))×100(式中、「TVti」は、処置群における個々の動物の腫瘍量であり、「TVt0i」は、動物の初期腫瘍量である)を使用して算出した。
【0230】
SC腫瘍モデルのCRは、完全な腫瘍退縮として定義され、解析の日に触知可能な腫瘍はなかった。
【0231】
データ解析
腫瘍体積及び体重データを、Prismソフトウェア(GraphPad、バージョン8)を使用してグラフ化した。ほとんどの研究の統計的有意性は、各群に2/3又はそれ以上のマウスが残った研究の最終日にビヒクル処置対照と比較して化合物B及び化合物A処置群について評価した。p≦0.05のとき、群間の差は有意であるとみなした。
【0232】
全てのSC腫瘍研究の動物の腫瘍体積及び体重の統計的有意性は、処置及び時間を固定効果とし、動物を変量効果として、Rソフトウェアバージョン3.4.2(内部で開発したShinyアプリケーションバージョン4.0を使用)における線形混合効果(linear mixed-effects、LME)解析を使用して計算した。Pinheiro J,Bates D.Mixed-effects models in S and S-Plus;Heidelberg,Germany:Springer;2000。個々の縦方向の応答軌跡が線形でない場合、対数変換(基数10)を実施した。このモデルから導出された情報を使用して、対照群に対する、又は全ての処置群間の動物の体重又は腫瘍体積の一対処置比較を行った。薬物組み合わせデータを、Bliss独立モデルを使用して解析した。この方法において、観察された薬物組み合わせ応答は、薬物間相互作用の効果がないという仮定に基づいて得られた予測された薬物組み合わせ応答と比較される。組み合わせは、観察された応答が予測された応答より大きい場合に相乗的であると宣言される。
【0233】
結果
体重
化合物B及び化合物Aは、げっ歯類において下痢を引き起こすことが知られている、PEG400又はPEG400/PVP-VA64(研究1及び研究2)に製剤化される。Hermansky et al.,Food Chem.Toxicol.1995;33:139-149。全体として、化合物B及び化合物Aは、試験した全ての用量レベル(化合物Bについては最大50mg/kg BID又は100mg/kg QD、及び化合物Aについては30mg/kg BID)でNSGマウスにおいて忍容性良好であり、個々の動物は、研究2における20%の最大体重減少エンドポイントに達しなかった。
【0234】
有効性研究の研究2において、体重減少は、化合物Bでの3週間の処置中に観察されなかった(
図15)。複数の動物を、腫瘍進行:最大許容腫瘍体積エンドポイントに達するか、又は腫瘍転移の臨床徴候(後肢麻痺)を示すかのいずれかにより、ビヒクル、QD、及び低用量BID化合物B処置群から研究を通して除外した。
【0235】
21日処置期間の17日目までに、ビヒクルQD対照における動物の半数、ビヒクルBID対照のマウス4匹、10mg/kgの化合物B QD投与の動物2匹、及び100mg/kgの化合物B QD投与群のマウスは、疾患負荷に屈した。
【0236】
処置の21日目までに、腫瘍進行のために、7/10の動物をビヒクル(QD)及び10mg/kg(化合物B QD)処置群から除外し、ビヒクル(BID)対照群からの9/10のマウスを研究から除外した。興味深いことに、2/10、3/10、4/10、及び1/10のマウスのみが、それぞれ、30mg/kg QD、100mg/kg QD、5mg/kg BID、及び15mg/kg BIDの化合物B処置群から除外された。これは、BTK阻害が、転移を含む腫瘍進行からマウスを保護することを示した。
【0237】
組み合わせ有効性研究の研究3(
図16)及び研究4(
図17)において、毒性体重減少は観察されなかったが、陰性臨床徴候、過剰な体重減少、又は孤発する死亡により、個々の動物が除外された。加えて、いくらかの低レベルの一過性の体重減少も、ビヒクル対照、化合物B、化合物A、又は組み合わせでの3週間の処置中に観察された。これらの観察は、ビヒクル、単剤療法、及び組み合わせ処置群にわたって同様の頻度でなされ、下痢を引き起こすことが知られている頻繁な投与/取り扱い(1日に3~4回)+ビヒクルが寄与した可能性があることを示唆する。
【0238】
研究3において、1匹の動物のみが20%の最大許容体重減少に達し、これは、腫瘍移植後の56日目、及び30mg/kg QDの化合物B+10mg/kg BIDの化合物Aでの処置の3週間後であった。
【0239】
研究3からの一部の個々の動物が死亡して発見されたか、又は陰性臨床徴候のために研究から除外された:ビヒクルにおいて2匹の動物、30mg/kg QDの化合物Bにおいて1匹の動物、30mg/kg BIDの化合物Aにおいて1匹の動物、30mg/kg QDの化合物B+10mg/kg BIDの化合物Aにおいて1匹の動物、及び100mg/kg QDの化合物B+30mg/kg BIDの化合物A投与群において1匹のマウス。腫瘍進行の臨床徴候により、複数の動物もまた、研究を通してQDビヒクルから除外され、30mg/kg QDの化合物B処置群において1匹の動物が除外された。
【0240】
研究4において、15mg/kgの化合物B、15mg/kgの化合物B+10mg/kgの化合物A、及び15mg/kgの化合物B+30mg/kgの化合物A投与群及びビヒクル処置群において各1匹の、4匹の動物が20%の最大許容体重減少に達したため研究から除外された。各群の1匹のマウスがこれらの有害作用を示し、これらの事象が化合物又は用量に関連せず、むしろPEG400ビヒクル毒性又は過剰な取り扱い(4回の強制経口投与/日)に関連したことを示した。
【0241】
ビヒクルにおいて1匹のマウス、50mg/kgの化合物Bにおいて1匹の動物、10mg/kgの化合物Aにおいて4匹の動物、15mg/kgの化合物B+10mg/kgの化合物Aにおいて2匹の動物、及び15mg/kgの化合物B+30mg/kgの化合物A投与群において1匹の動物が研究中に死亡した。
【0242】
有効性
BTK阻害剤単独及びMALT1阻害剤との組み合わせでの抗腫瘍有効性を、雌のNSGマウスにおいて確立されたSC OCI-LY10ヒトCD79b変異DLBCL異種移植片を有するマウスにおいて評価した。
【0243】
研究2において、化合物Bの抗腫瘍有効性を、1日1回(QD)又は2回(BID)のいずれかで投与された、OCI-LY10異種移植片を有するマウスにおいて単剤療法として評価した。ビヒクル対照の2/3が研究に残った最終日だったため、21日の処置期間の14日目(45日目)に腫瘍成長阻害の解析を実施した。化合物Bは、全ての用量レベルで、OCI-LY10モデルにおいて低レベルの腫瘍成長阻害を誘導した。QD投与された10、30、及び100mg/kgの化合物Bでの処置は、ビヒクル処置対照マウスと比較して、それぞれ、24%、35%、及び51%のTGI(30、45、及び65%ΔTGI)で腫瘍成長を阻害した(p<0.05)。5、15、及び50mg/kgのBTK阻害剤化合物BでのBID処置は、ビヒクル対照で処置したマウスと比較して、それぞれ、26%、51%、及び78%のTGI(34、66、及び102%ΔTGI)(p<0.05)の、わずかにより顕著な腫瘍成長阻害を誘発した(
図18)。全体として、50mg/kg BIDの化合物Bで処置した群のみが、生物学的有意性の最小NCI閾値基準を満たした(≧60%TGI)。Johnson et al.,Br J Cancer.2001;84(10):1424-1431。
【0244】
MALT1阻害剤(化合物A)と組み合わせて投与した場合、QD又はBIDいずれかのBTK阻害剤化合物Bは、試験した全ての用量レベルで相加的/ほぼ相加的であったいずれかの単剤療法を上回る抗腫瘍利益の増強をもたらし、部分的な腫瘍退縮がより高い用量レベルの組み合わせで観察された(研究3及び4)。最も顕著な抗腫瘍有効性及び腫瘍退縮が、10又は30mg/kgのいずれかの化合物Aと組み合わせた50mg/kgの化合物B BIDで観察された。
【0245】
研究3において、2/3超の動物がまだ全ての処置群に存在した計画された21日処置の19日目(53日目)に、抗腫瘍活性の解析を実施した。研究2と一致して、研究3において、30mg/kgのQDで与えられたBTK阻害剤化合物Bは、50%のTGI(65%ΔTGI)を誘発し、より高い100mg/kg QD用量レベルの化合物Bは、ビヒクル処置対照と比較して、59%のTGI(77%ΔTGI)の生物学的に有意な抗腫瘍有効性に非常に近かった(
図19)。同様に、MALT1阻害剤化合物A単剤療法は、ビヒクル群と比較して、10mg/kg BIDで42%のTGI(54%ΔTGI)、及び30mg/kg BIDで61%のTGI(79%ΔTGI)をもたらし、これは、生物学的に有意であるとみなされた。有効性は、MALT1阻害剤(化合物A)で以前に観察されたものに匹敵した。
【0246】
化合物A(10mg/kg BID)を化合物B(30mg/kg QD)と組み合わせて投与し、69%のTGI(90%ΔTGI)の抗腫瘍活性の増強が観察された(
図19)。更に、腫瘍静止は、BTK阻害剤化合物B(30mg/kg QD)を30mg/kg BIDのMALT1阻害剤化合物Aと組み合わせたときに、78%のTGI(103%ΔTGI)で達成された。
【0247】
100mg/kgの化合物Bのより高いQDレジメンと、10又は30mg/kgのいずれかのMALT1阻害剤化合物AのBID処置との組み合わせでは、それぞれ、86%のTGI(113%ΔTGI)及び90%のTGI(118%ΔTGI)を誘発した。更に、それぞれ43%及び57%のTR値の退縮が、初期腫瘍量と比較して、100mg/kgの化合物Bと10又は30mg/kgのいずれかの化合物Aとの組み合わせで観察された(
図19)。
【0248】
研究4において、ほとんど残っていなかった低MALT1阻害剤10mg/kg投与群を除いて、2/3超の動物がまだ処置群全てにおいて存在した21日処置の完了時(52日目)に、抗腫瘍活性の解析を行った。しかしながら、10mg/kg群の抗腫瘍有効性は、研究3及びMALT1阻害剤についての研究(データは示さず)からの結果と同等であった。研究2と一致して、ビヒクル処置対照と比較して、BID投与された15mg/kgのBTK阻害剤化合物Bは49%のTGI(56%ΔTGI)を誘発し、より高い50mg/kg BID用量レベルの化合物Bは生物学的に有意な90%のTGI(102%ΔTGI)を誘発した(
図20)。MALT1阻害剤化合物A単剤療法は、ビヒクル群と比較して、10mg/kg BIDで39%のTGI(44%ΔTGI)、及び30mg/kg BIDで51%のTGI(58%ΔTGI)をもたらし、これは、ビヒクル処置マウスと比較して生物学的有意性に達しなかった。
【0249】
化合物A(10mg/kg BID)を化合物B(15mg/kg BID)と組み合わせて投与した場合、82%のTGI(93%ΔTGI)の抗腫瘍活性の増強が観察された(P<0.05)(
図20)。同様の抗腫瘍活性は、ビヒクル対照群と比較して、84%のTGI(95%ΔTGI)で、30mg/kg BIDのMALT1阻害剤化合物Aと組み合わせた15mg/kg BIDのBTK阻害剤化合物Bとでも達成された(p<0.05)。
【0250】
50mg/kgの化合物Bのより高いBIDレジメンと、10又は30mg/kgのいずれかのMALT1阻害剤化合物AのBID処置との組み合わせでは、それぞれ、95%のTGI(108%ΔTGI)及び96%のTGI(109%ΔTGI)を誘発した(
図20)。部分的なTRが、初期腫瘍量と比較して、より低い(10mg/kg)及びより高い30mg/kgの両方のMALT1と50mg/kgの化合物Bとの組み合わせで観察され、それぞれ、59%及び71%のTR(p<0.05)であった。
【0251】
BTK阻害剤のPD効果
NFκBシグナル伝達に対する化合物Bの効果を評価するために、単一用量投与の2、4、8、12、16、及び24時間後に、0、1、3、10、30、及び100mg/kgの化合物Bで処置したOCI-LY10 DLBCL腫瘍を移植したNSGマウスの血清中の循環ヒトIL-10レベルを解析した。ヒトIL-10レベルは、投与の2時間後にビヒクル対照のおよそ50%に低下し、4時間後に、10mg/kg、30mg/kg、及び100mg/kgの化合物B処置群において、それぞれ、ビヒクル対照IL-10の20%、10%、及び5%未満に更により低下し、最大12時間低いままであった。化合物投与の16時間後に、30mg/kg及び100mg/kg投与群では、ビヒク対照レベルの23%へのいくらかのリバウンド、そして10mg/kg投与群では、39%へのリバウンドが観察されたが、IL-10レベルは、24時間後に正常化する(
図21)。
【0252】
化合物投与後のシグナル伝達停止の持続時間及びBTKタンパク質の占有率を評価するために、BTK占有率アッセイを使用して研究1から採取したOCI-LY10 DLBCL腫瘍溶解物中の遊離BTKタンパク質の量を決定した。1及び3mg/kgの化合物Bを投与した動物のOCI-LY10 DLBCL腫瘍溶解物において、BTK占有は観察されなかった。しかしながら、10、30、及び100mg/kgの用量レベルでの化合物B投与の4時間後に、54%、90%、及び95%のBTKタンパク質占有率が観察された。BTKタンパク質占有レベルは高いままであり、12時間でそれぞれ71%、94%、及び96%であり、24時間後にそれぞれ70%、91%、及び85%後であった(
図22)。
【0253】
考察
化合物BのPD及び抗腫瘍有効性を、単剤療法として、又はMALT1阻害剤化合物Aと組み合わせてのいずれかで、NSGマウスにおけるヒトABC-DLBCL異種移植片モデルにおいて評価した。表5は、これらの研究の概要を提供する。
【0254】
【0255】
確立された皮下(SC)OCI-LY10 DLBCLモデル(研究2)において、化合物Bは、毎日(QD)又は1日2回(BID)のいずれかで投与された全ての用量レベルで、統計的に有意な抗腫瘍有効性を誘導した。ビヒクル対照処置マウスと比較して、10、30、及び100mg/kg QDでマウスを処置した場合、それぞれ、24%、35%、及び51%の腫瘍成長阻害(TGI)が観察され、5、15、及び50mg/kg BIDで処置した場合、26%、51%、及び78%のTGIが観察された。
【0256】
SC OCI-LY10腫瘍モデル(研究1)において、30mg/kgほど低い化合物Bの単一用量が、血清インターロイキン(IL)-10分泌を完全に阻害し、腫瘍内で完全なBTK占有を示し、単回投与後最大24時間効果を持続した。
【0257】
MALT1阻害剤化合物Aと組み合わせて投与した場合、QD又はBIDのいずれかのBTK阻害剤化合物Bは、試験した全ての用量レベルで相加的/ほぼ相加的であったいずれかの単剤療法を上回る抗腫瘍利益の増強をもたらし、部分的な腫瘍退縮がより高い用量レベルの組み合わせで観察された(研究3及び4)。最も顕著な抗腫瘍有効性及び腫瘍退縮が、10又は30mg/kgのいずれかの化合物Aと組み合わせた50mg/kgの化合物B BIDで観察された。
【0258】
確立されたSC OCI-LY10 DLBCLモデルにおいて、化合物B QD+化合物A BIDの組み合わせ処置は、全ての組み合わせ用量レベルで統計的に有意な抗腫瘍有効性を誘導した(p<0.05)。30mg/kg QDの化合物Bを10mg/kg BIDの化合物Aと組み合わせた場合、69%の増強されたTGI(90% ΔTGI)が観察された(化合物B及び化合物A単剤療法について、それぞれ、50%のTGI(65% ΔTGI)及び42%のTGI(54% ΔTGI)に対して)。更に、30mg/kg QDの化合物Bを30mg/kg BIDの化合物Aと組み合わせた場合、78%のTGI(103%ΔTGI)で腫瘍静止が達成された(化合物A単剤療法での61%のTGI(79%ΔTGI)に対して)。より高い100mg/kg QD用量レベルの化合物B単剤療法で、59%のTGI(76%ΔTGI)を誘導し、化合物Aの10又は30mg/kg BID処置との組み合わせは、それぞれ、86%のTGI(113%ΔTGI)及び90%のTGI(118%ΔTGI)を誘発し、43%及び57%の腫瘍退縮(TR)が観察された。
【0259】
同様に、研究4において、化合物B BID+化合物A BIDの組み合わせ処置は、全ての組み合わせ用量レベルにおいて統計的に有意な抗腫瘍有効性を誘導した(p<0.05)。ビヒクル処置動物と比較して、82%及び84%のTGIが、それぞれ、15mg/kgの化合物B BID+10mg/kg及び30mg/kgの化合物A BIDで観察された(それぞれ、15mg/kg化合物B BID、10mg/kg及び30mg/kgの化合物A BID単剤療法での49%、39%、及び51%のTGIに対して)。より高い50mg/kg BID用量レベルの化合物B単剤療法では、90%のTGI(102%ΔTGI、8%TR)を誘導し、10又は30mg/kgの化合物A BID処置との組み合わせは、それぞれ、95%のTGI(108%ΔTGI)及び96%のTGI(109%ΔTGI)を誘発し、59%及び71%のTRであった。
【0260】
毒性体重減少はこれらの研究では観察されなかったが、陰性臨床徴候、過剰な体重減少、又は孤発する死亡により、個々の動物が除外された。加えて、いくらかの低レベルの一過性の体重減少も、ビヒクル対照、化合物B、化合物A、又は組み合わせでの3週間の処置中に観察された。これらの観察は、ビヒクル、単剤療法、及び組み合わせ処置群にわたって同様の頻度でなされ、下痢を引き起こすことが知られている頻繁な投与/取り扱い(1日に3~4回)+ビヒクルが寄与した可能性があることを示唆する。実施例1及び2に示される相乗的な腫瘍細胞死滅を実証するインビトロデータと合わせると、この実施例における研究は、ABC-DLBCL及び他のB細胞悪性腫瘍の治療のためのBTK阻害剤化合物B及びMALT1阻害剤化合物Aでの併用療法の臨床調査に対する支持を提供する。
【0261】
実施例4:化合物Aと化合物Bとの組み合わせは、ABC様DLBCL患者由来異種移植片LY2298において腫瘍退縮をもたらす
一緒に投与された化合物A及び化合物Bのインビボ治療有効性を、雌のNOD/SCIDマウスにおけるB細胞リンパ腫患者由来異種移植片(PDX)モデルLY2298において更に評価した。この腫瘍は、ABC様DLBCLを有する患者に由来し、CD79b、MYD88、及びTP53に変異を有することが遺伝的に特徴付けられている。化合物A及び化合物Bを一緒にLY2298腫瘍保持マウスに、それぞれ、100mg/kg QD及び30mg/kg BIDで経口投与した。処置の12日後に、ビヒクルと比較して、化合物Aと化合物Bとの組み合わせは、ベースラインから108.7%のTGIを有する有意なインビボ有効性を示した(p<0.0001)。対照的に、投与された化合物B100mg/kg QD又は化合物A30mg/kg BID単独は、等用量で、それぞれ、59.2%(p=0.03)及び30.9%(p=有意でない)のTGIを実証した。7匹全ての処置マウスは、処置の12日後に腫瘍退縮を経験したが、これは単剤療法群では観察されなかった。一緒に投与された化合物A及び化合物Bでの処置後の腫瘍成長曲線及び個々の腫瘍体積を
図23に示す。これらの結果は、化合物A及び化合物Bが、患者リンパ腫のマウスPDXモデルにおいて相乗的であることを確認する。組み合わせを含む処置群のいずれについても、5%超の体重減少はなく、化合物が忍容性良好であったことを示す。
【0262】
LY2298腫瘍保持マウスの血清試料からのサイトカイン分泌を、化合物A及び化合物B処置後に測定した。処置の1日後に、ビヒクルと比較して、化合物A又は化合物Bでの単剤療法処置は、3NF-κB駆動サイトカイン:インターロイキン(IL)10、腫瘍壊死因子α(TNFα)、及びIL12p70のLY2298腫瘍保持マウスにおける血清分泌を顕著に下方制御した。化合物A及び化合物Bを一緒に投与した場合、下方制御の増加が観察され(
図24)、単剤療法群と比較して、IL-10について統計的有意性に達した。同様に、IL-10、TNFα、及びIL12p70も、有効性研究において12日間の療法後に単剤と同じか又はより大きな程度に下方制御された(データは示さず)。
【0263】
実施例5:化合物AとBTK阻害剤との間の薬物間相互作用予測
生理学的薬物動態(Physiological Based Pharmacokinetic、PBPK)モデリングは、集団における薬物動態を特徴付けるために使用されるアプローチである。PBPKモデルは、薬物曝露をシミュレートしてPK(吸収、代謝、及び排出)を説明し、可能性のある薬物間相互作用(DDI)を予測し、仮想集団における投与戦略を正確に知らせるツールである。PBPKモデルを使用して、研究集団及び実験条件を超えてPK評価を外挿することができ、実世界で遭遇し得る様々な臨床問題に対処するのに役立ち得る。
【0264】
化合物A及びイブルチニブのPBPKモデルを開発し(SimCYP v19)、別々の投与後に観察されたインビボ動態データを用いて十分に検証した。化合物Aの観察された相互作用インビトロデータと組み合わせて、これらのモデルを使用して、100人の仮想集団において、イブルチニブの単回投与に対する化合物Aの複数回投与後(定常状態濃度に達した後)の可能性のあるDDIを評価した。以下の表6に示されるように、イブルチニブのCmax及びAUC値は、化合物Aと組み合わせて投与された場合に増加すると予測された。420mgのイブルチニブ及び200mgの化合物Aの用量で、イブルチニブ単独と比較して、イブルチニブの平均Cmaxは43%増加すると予測され、イブルチニブのAUCは60%増加すると予測される。同様に、560mgのイブルチニブ及び300mgの化合物Aの用量で、イブルチニブ単独と比較して、イブルチニブの平均Cmaxは50%増加すると予測され、イブルチニブのAUCは70%増加すると予測される。
【0265】
【0266】
臨床研究からの予備データは、予測モデリングデータを密接に反映した。予備研究からのデータ(n=3~6)は、22日間の420mgのイブルチニブ及び200mgの化合物Aの投与後、イブルチニブのAUC(平均値)が58%増加したことを示唆する。同様に、22日間の420mgのイブルチニブ及び300mgの化合物Aの投与後、イブルチニブのAUC(平均値)は、75%増加した。
【0267】
実施例6:非ホジキンリンパ腫及び慢性リンパ球性白血病を有する参加者における化合物Aと組み合わせた化合物Bの安全性、薬物動態、及び薬力学の第1b相非盲検研究
ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達経路を介したB細胞活性化において重要な役割を果たす細胞質チロシンキナーゼである。BTKは、正常なB細胞活性化及びB細胞悪性腫瘍の病態生理学にとって重要であり、いくつかのBTK阻害剤は、非ホジキンリンパ腫(NHL)及び慢性リンパ球性白血病(CLL)において臨床活性を実証している。化合物Bは、経口活性の不可逆的共有結合BTK阻害剤である。現在までの非臨床データと共に、そのBTK阻害効力を考慮すると、JNJ-64264681は、既に承認されたBTK阻害剤と同様の抗リンパ腫活性を有する可能性が高い。
【0268】
粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座タンパク質1(MALT1)は、BTKの下流に位置するBCRシグナル伝達経路の重要なメディエーターである。MALT1は、MCL、WM、及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)などのB細胞リンパ様悪性腫瘍にとって重要である、活性化B細胞の古典的核内因子カッパ軽鎖エンハンサー(NF-κB)シグナル伝達経路の活性化において重要な役割を果たす。したがって、MALT1は、DLBCLの活性化B細胞様サブタイプ(ABC-DLBCL)を含む、異なるタイプのリンパ腫における腫瘍成長の支持において重要な役割を果たすことが示されている。化合物Aは第1相研究において有望な臨床活性及び好ましい毒性プロファイルを実証したMALT1の、経口で生物学的に利用可能で強力なアロステリック阻害剤である。この研究は、NHL及びCLLの最初のヒトでの研究において化合物Bと組み合わせた化合物Aを評価する。
【0269】
目的及び評価項目
研究の主な目的は、B細胞NHL及びCLLを有する参加者において組み合わせて投与された場合の化合物A及び化合物Bの安全性(パートA及びパートB)及び推奨される第2相の用量(RP2D)(パートAにおいて)を決定することである。
【0270】
第2の目的は、パートAにおいて決定されたRP2Dで投与された場合の、焦点を絞った組織学/参加者集団におけるこの組み合わせの安全性を決定することである。第2の目的は、研究薬物の薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を評価すること(パートA及びパートB)、並びにパートAにおいて決定されたRP2Dで投与された場合の、焦点を絞った組織学/参加者集団における組み合わせの予備的な臨床活性を決定すること(パートB)である。
【0271】
研究の主要エンドポイントは、用量制限毒性(dose-limiting toxicity、DLT)を含む有害事象のタイプ及び重症度である。研究の副次的エンドポイントは、血漿濃度-時間プロファイル、PKパラメータ、BTK受容体占有率、並びにサイトカイン及びT細胞プロファイリング、全体的な奏効率、最初の奏効までの時間及び奏効の持続期間を含む。
【0272】
研究デザイン
これは、治療を必要とする再発性又は難治性疾患を有するB細胞NHL及びCLLを有する参加者において組み合わせて投与した化合物A及び化合物Bの非盲検多施設第1b相研究である。化合物A及び化合物Bは、以下に概説される用量漸増又はコホート拡大戦略に従う連続21日サイクルで経口投与される。
【0273】
研究は2つのパートで実施される:研究のパートAは、B細胞NHL及びCLLを有する参加者において一緒に投与した場合の化合物A及び化合物BのRP2Dを決定するために設計される。用量漸増は、表7に示される開始用量で、用量漸増コホート1から開始する。1つ又は2つ以上のRP2Dは、パートBにおける更なる探索のために決定され得る。
【0274】
【0275】
パートBは、B細胞NHLの特定のサブタイプ(例えば、DLBCL、マントル細胞リンパ腫[MCL]、濾胞性リンパ腫[FL]、粘膜関連リンパ組織[MALT]リンパ腫、辺縁帯リンパ腫[MZL]、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症[WM]、小リンパ球性リンパ腫[SLL])、又はCLLを有する参加者において一緒に投与された場合の化合物A及び化合物BのRP2Dの安全性及び予備的な臨床有効性を更に評価するために設計される。パートAで観察されたデータ、又は対象の組織学における予想された活性に基づくデータを確認するために、コホート当たりおよそ20人の参加者がRP2Dに登録され得る。
【0276】
進行中の参加者の用量漸増は、用量漸増規則によって導かれ、安全性、臨床活性、PK、PD、及び他の関連データの再考察に基づいて研究評価チーム(Study Evaluation Team、SET)によって決定される。研究終了は、最後の研究参加者に対する最後のスケジュールされた研究評価として定義される。
【0277】
参加者数
目標のおよそ135人の参加者がこの研究に登録される。参加できるコホートの数は、本明細書及び他のデータによる情報に基づき、その影響を受けるため、最終的な試料サイズは135とは異なる場合がある。
【0278】
治療群及び継続期間
参加者は、疾患の進行、耐えられない毒性、同意の撤回、又は治験責任医師が、研究薬物治療を中止することが参加者の最も利益になると決定するまで、一緒に投与される化合物A及び化合物Bを受ける。例外は、臨床的利益を得続ける参加者に認められ得る。
【0279】
有効性評価
治験責任医師は、組織学/集団に適した対応する応答評価基準に従って、療法に対する応答を決定するための評価を行う。
【0280】
PK/PDの評価
腫瘍、血液、及び血漿試料を収集して、一緒に投与した場合の化合物A及び化合物Bの初回用量、単一用量、及び複数回用量の効果を評価する。試料を複数の時点で収集し、化合物Aの生物学的活性(NF-kBアッセイによって測定される)又は末梢血単核細胞(PBMC)若しくは腫瘍組織における化合物BのBTK占有率などの異なるPDアッセイに供する。
【0281】
安全性評価
一緒に投与した場合の化合物A及び化合物Bの安全性は、病歴、身体検査、Eastern Cooperative Oncology Group(Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス、臨床検査、バイタルサイン、心電図(electrocardiogram、ECG)、及び有害事象モニタリングによって評価される。併用薬が記録される。有害事象の重症度は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Eventsバージョン5.0(CTCAE V5.0)を使用して評価される。
【0282】
統計方法
この試験において公式な統計的仮説検定は実施しない。用量漸増は、Bayesian Optimal Interval(BOIN)デザインに従う。用量漸増及びコホート拡大のためのデータは、主に記述統計学を使用して要約される。
【0283】
予備結果
24人のNHL及びCLL患者を、200mg又は300mg QDの化合物Aと組み合わせて140mg QD化合物Bで治療する。応答は23人の患者について評価し、12人の患者(52%)が、部分奏効又は完全奏効を有した(PR10人、CR2人)。24人の患者において、10人の患者がCLL/SLLを有し、9人を奏効について評価し、6人の患者(67%)が部分奏効(PR)を示した。これらの患者の大部分について、サイクル3での最初の治療後疾患評価において奏効が示された。
【0284】
化合物Bが単剤療法として投与される別の臨床試験が同じ患者集団で行われている。等用量(140mg QD)及びより高い用量(140mg BID)では、7人の治療された患者のいずれもPR又はCRを有しなかった。2人の患者(MCL1人、CLL1人)は、それぞれ、サイクル7及び9で、280mg BIDへの用量漸増直後にPRを達成した。少数の患者ではあるが、これらの結果は、140mg QD又は140mg BID用量は、化合物Aとの併用療法からの結果とは対照的に、化合物Bが単剤療法として使用される場合、最適以下である可能性が高いことを示唆した。加えて、化合物Aが単剤として投与される場合(50mg~300mg)、10人のCLL/SLL患者において部分奏効又は完全奏効は観察されなかった。したがって、組み合わせ研究においてCLL/SLL患者で見られる奏効は、化合物A又は化合物B単独のいずれかに起因する可能性は低い。
【0285】
例示的な実施形態
本開示の技術の例示的な実施形態が本明細書で提供される。これらの実施形態は、例示のみを目的としており、本開示又は添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0286】
実施形態1.MALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、対象に、約25~1000mgの治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mgの範囲の治療有効用量の1-(1-オキソ-1,2-ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)-N-[2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(化合物A):
【0287】
【化14】
又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法。
【0288】
実施形態1a:対象におけるMALT1の阻害によって影響を受ける障害又は状態の治療に使用するための、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び1(1オキソ-1,2ジヒドロイソキノリン-5イル)-5(トリフルオロメチル)-N-[2(トリフルオロメチル)ピリジン-4イル]-1H-ピラゾール-4カルボキサミド(化合物A):
【0289】
【化15】
又はその薬学的に許容される塩形態であって、当該対象に、約25~1000mgの範囲の治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び約25~1000mgの範囲の治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態、及び化合物A。
【0290】
実施形態2.対象がヒトである、実施形態1に記載の方法。
【0291】
実施形態2a:対象が、ヒトである、実施形態1aに記載の使用。
【0292】
実施形態3.治療有効用量の化合物Aが、約50~1000mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~1000mgである、実施形態2に記載の方法。
【0293】
実施形態3a:治療有効用量の化合物Aが、約50~1000mgのうちの1つから選択され、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~1000mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0294】
実施形態4.治療有効用量の化合物Aが、約25~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~1000mgである、実施形態2に記載の方法。
【0295】
実施形態4a:治療有効用量の化合物Aが、約25~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~1000mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0296】
実施形態5.治療有効用量の化合物Aが、約25~300mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態2に記載の方法。
【0297】
実施形態5a:治療有効用量の化合物Aが、約25~300mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0298】
実施形態6.治療有効用量の化合物Aが、約25~250mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、実施形態2に記載の方法。
【0299】
実施形態6a:治療有効用量の化合物Aが、約25~250mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0300】
実施形態7.治療有効用量の化合物Aが、約25~100mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約25~100mgである、実施形態2に記載の方法。
【0301】
実施形態7a:治療有効用量の化合物Aが、約25~100mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約25~100mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0302】
実施形態8.治療有効用量の化合物Aが、約75~150mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、実施形態2に記載の方法。
【0303】
実施形態8a:治療有効用量の化合物Aが、約75~150mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0304】
実施形態9.治療有効用量の化合物Aが、約50~150mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、実施形態2に記載の方法。
【0305】
実施形態9a:治療有効用量の化合物Aが、約50~150mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~300mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0306】
実施形態10.治療有効用量の化合物Aが、約50~350mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~350mgである、実施形態2に記載の方法。
【0307】
実施形態10a:治療有効用量の化合物Aが、約50~350mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~350mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0308】
実施形態11.治療有効用量の化合物Aが、約100~400mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~600mgである、実施形態2に記載の方法。
【0309】
実施形態11a:治療有効用量の化合物Aが、約100~400mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~600mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0310】
実施形態12.治療有効用量の化合物Aが、約150~300mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約150~1000mgである、実施形態2に記載の方法。
【0311】
実施形態12a:治療有効用量の化合物Aが、約150~300mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約150~1000mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0312】
実施形態13.治療有効用量の化合物Aが、約200mg~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~400mgである、実施形態2に記載の方法。
【0313】
実施形態13a:治療有効用量の化合物Aが、約200mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~400mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0314】
実施形態14.治療有効用量の化合物Aが、約100~150mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~100mgである、実施形態2に記載の方法。
【0315】
実施形態14a:治療有効用量の化合物Aが、約100~150mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~100mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0316】
実施形態15.治療有効用量の化合物Aが、約150~200mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~400mgである、実施形態2に記載の方法。
【0317】
実施形態15a:治療有効用量の化合物Aが、約150~200mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~400mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0318】
実施形態16.治療有効用量の化合物Aが、約200~250mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~450mgである、実施形態2に記載の方法。
【0319】
実施形態16a:治療有効用量の化合物Aが、約200~250mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~450mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0320】
実施形態17.治療有効用量の化合物Aが、約250~300mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態2に記載の方法。
【0321】
実施形態17a:治療有効用量の化合物Aが、約250~300mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0322】
実施形態18.治療有効用量の化合物Aが、約300~350mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~600mgである、実施形態2に記載の方法。
【0323】
実施形態18a:治療有効用量の化合物Aが、約300~350mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~600mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0324】
実施形態19.治療有効用量の化合物Aが、約350~400mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~700mgである、実施形態2に記載の方法。
【0325】
実施形態19a:治療有効用量の化合物Aが、約350~400mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~700mgである、実施形態1a又は2aに記載の使用。
【0326】
実施形態20.治療有効用量の化合物Aが、7日間にわたって1日2回、続いて1日1回投与され、治療有効用量のBTK阻害剤が、1日2回投与される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
実施形態20a:治療有効用量の化合物Aが、7日間にわたって1日2回、続いて1日1回投与され、治療有効用量のBTK阻害剤が、1日2回投与される、実施形態1a~19aのいずれか1つに記載の使用。
【0328】
実施形態21.治療有効用量の化合物Aが、7日間にわたって1日2回、続いて1日1回投与され、治療有効用量のBTK阻害剤が、1日1回投与される、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0329】
実施形態21a:治療有効用量の化合物Aが、7日間にわたって1日2回、続いて1日1回投与され、治療有効用量のBTK阻害剤が、1日1回投与される、実施形態1a~19aのいずれか1つに記載の使用。
【0330】
実施形態22.治療有効用量の化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤が、1日1回投与される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0331】
実施形態22a:治療有効用量の化合物A及び治療有効用量のBTK阻害剤が、1日1回投与される、実施形態1a~21aのいずれか1つに記載の使用。
【0332】
実施形態23.治療有効用量の化合物Aが、1日1回投与され、治療有効用量のBTK阻害剤が、1日2回投与される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0333】
実施形態23a:治療有効用量の化合物Aが、1日1回投与され、治療有効用量のBTK阻害剤が、1日2回投与される、実施形態1a~21aのいずれか1つに記載の使用。
【0334】
実施形態24.当該障害又は状態が、がん及び/又は免疫疾患である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0335】
実施形態24a:当該障害又は状態が、がん及び/又は免疫疾患である、実施形態1a~23aのいずれか1つに記載の使用。
【0336】
実施形態25.がんが、リンパ腫、白血病、がん腫、及び肉腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳がん、結腸直腸/結腸がん、前立腺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、胃がん、子宮内膜がん、黒色腫、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、扁平上皮がん、卵巣がん、肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、精巣がん、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸がん、腎がん、尿路上皮がん、外陰がん、食道がん、唾液腺がん、上咽頭がん、口腔がん、口のがん、原発性及び二次性中枢神経系リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、API2-MALT1融合によって引き起こされる疾患/がん、並びにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0337】
実施形態25a:当該障害又は状態が、リンパ腫、白血病、がん腫、及び肉腫、例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、B細胞NHL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳がん、結腸直腸/結腸がん、前立腺がん、非小細胞肺がんを含む肺がん、胃がん、子宮内膜がん、黒色腫、膵臓がん、肝臓がん、腎臓がん、扁平上皮がん、卵巣がん、肉腫、骨肉腫、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、精巣がん、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸がん、腎がん、尿路上皮がん、外陰がん、食道がん、唾液腺がん、上咽頭がん、口腔がん、口のがん、原発性及び二次性中枢神経系リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、API2-MALT1融合によって引き起こされる疾患/がん、並びにGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択される、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0338】
実施形態26.免疫疾患が、自己免疫及び炎症性障害、例えば、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性又は慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎からなる群から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0339】
実施形態26a.免疫疾患が、自己免疫及び炎症性障害、例えば、関節炎、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎(PsA)、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性又は慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎からなる群から選択される、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0340】
実施形態27.当該障害又は状態が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症からなる群から選択される、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0341】
実施形態27a:当該障害又は状態が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症からなる群から選択される、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0342】
実施形態28.当該障害又は状態が、リンパ腫である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0343】
実施形態28a:当該障害又は状態が、リンパ腫である、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0344】
実施形態29.当該障害又は状態が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
実施形態29a:当該障害又は状態が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0346】
実施形態30.当該障害又は状態が、慢性リンパ球性白血病(CLL)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0347】
実施形態30a:当該障害又は状態が、慢性リンパ球性白血病(CLL)である、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0348】
実施形態31.当該障害又は状態が、小リンパ球性リンパ腫(SLL)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0349】
実施形態31a:当該障害又は状態が、小リンパ球性リンパ腫(SLL)である、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0350】
実施形態32.当該対象が、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)で以前に治療を受けている、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0351】
実施形態32a.当該対象が、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)で以前に治療を受けている、実施形態1a~31aのいずれか1つに記載の使用。
【0352】
実施形態33.当該リンパ腫が、MALTリンパ腫である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0353】
実施形態33a.当該リンパ腫が、MALTリンパ腫である、実施形態1a~28aのいずれか1つに記載の使用。
【0354】
実施形態34.当該障害又は状態が、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0355】
実施形態34a.当該障害又は状態が、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)である、実施形態1a~24aのいずれか1つに記載の使用。
【0356】
実施形態35.当該障害又は状態が、以前の治療に対して再発性又は難治性である、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0357】
実施形態35a.当該障害又は状態が、以前の治療に対して再発性又は難治性である、実施形態1a~34aのいずれか1つに記載の使用。
【0358】
実施形態36.化合物Aが、その水和物形態として使用される、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
実施形態36a.化合物Aが、その水和物形態として使用される、実施形態1a~35aのいずれか1つに記載の使用。
【0360】
実施形態37.当該対象が、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物、及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を投与される、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
実施形態37a.当該対象が、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物、及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を投与される、実施形態1a~35aのいずれか1つに記載の使用。
【0362】
実施形態38.BTK阻害剤が、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0363】
実施形態38a.BTK阻害剤が、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である、実施形態1a~37aのいずれか1つに記載の使用。
【0364】
実施形態39.BTK阻害剤が、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、又はザヌブルチニブである、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0365】
実施形態39a.BTK阻害剤が、Roche BTKi RN486、アカラブルチニブ、又はザヌブルチニブである、実施形態1a~37aのいずれか1つに記載の使用。
【0366】
実施形態40.BTK阻害剤が、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0367】
実施形態40a.BTK阻害剤が、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである、実施形態1a~37aのいずれか1つに記載の使用。
【0368】
実施形態41.方法が、1日当たり対象の体重1kg当たり約0.001~約200mgのBTK阻害剤を含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の方法。
【0369】
実施形態42.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及び治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法。
【0370】
実施形態42a.対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の治療において使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態であって、当該対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及び治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態。
【0371】
実施形態43.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態42に記載の方法。
【0372】
実施形態43a.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態42aに記載の使用。
【0373】
実施形態44.ワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を投与することと、対象に、治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することと、を含む、方法。
【0374】
実施形態44a:ワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療を必要とする対象において、その治療に使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態であって、当該対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及び治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態。
【0375】
実施形態45.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態44に記載の方法。
【0376】
実施形態45a.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態44aに記載の使用。
【0377】
実施形態46.マントル細胞リンパ腫の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、当該対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及び治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、方法。
【0378】
実施形態46a:マントル細胞リンパ腫の治療を必要とする対象において、その治療に使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態であって、当該対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及び治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態。
【0379】
実施形態47.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態46に記載の方法。
【0380】
実施形態47a.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態46aに記載の使用。
【0381】
実施形態48.慢性リンパ球性白血病の治療を必要とする対象において、それを行う方法であって、対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態を投与することと、対象に、治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することと、を含む、方法。
【0382】
実施形態48a:慢性リンパ球性白血病の治療を必要とする対象において、その治療に使用するための、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態であって、対象に、治療有効用量の化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及び治療有効用量のBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態を投与することを含む、化合物A又はその薬学的に許容される塩形態及びBTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態。
【0383】
実施形態49.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態48に記載の方法。
【0384】
実施形態49a.治療有効用量の化合物Aが、約50~500mgであり、治療有効用量のBTK阻害剤が、約50~500mgである、実施形態48aに記載の使用。
【0385】
実施形態50.BTK阻害剤が、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である、実施形態42~49のいずれか1つに記載の方法。
【0386】
実施形態50a.BTK阻害剤が、イブルチニブ(1-[(3R)-3-[4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル]ピペリジン-1-イル]プロパ-2-エン-1-オン)である、実施形態42a~49aのいずれか1つに記載の使用。
【0387】
実施形態51.BTK阻害剤が、Roche BTKi RN486である、実施形態42~49のいずれか1つに記載の方法。
【0388】
実施形態51a.BTK阻害剤が、Roche BTKi RN486である、実施形態42a~49aのいずれか1つに記載の使用。
【0389】
実施形態52.BTK阻害剤が、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである、実施形態42~49のいずれか1つに記載の方法。
【0390】
実施形態52a.BTK阻害剤が、N-((1R,2S)-2-アクリルアミドシクロペンチル)-5-(S)-(6-イソブチル-4-メチルピリジン-3-イル)-4-オキソ-4,5-ジヒドロ-3H-1-チア-3,5,8-トリアザアセナフチレン-2-カルボキサミドである、実施形態42a~49aのいずれか1つに記載の使用。
【0391】
実施形態53.BTK阻害剤及び/又は化合物Aが、経口投与される、実施形態42~49のいずれか1つに記載の方法。
【0392】
実施形態53a.BTK阻害剤及び/又は化合物Aが、経口投与される、実施形態42a~49aのいずれか1つに記載の使用。
【0393】
実施形態54.BTK阻害剤が、式(I):
【0394】
【化16】
[式中、
R
1は、H又はC
1~6アルキルであり、
R
2は、任意選択で、NR
8-C(O)-C(R
3)=CR
4(R
5)、NR
6R
7、OH、CN、オキソ、O-C
1~6アルキル、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、C
1~6alk-OH、C
3~6シクロアルキル、C
1~6アルカリル、SO
2C
1~6アルキル、SO
2C
2~6アルケニル、NR
8-C(O)-C
1~6alk-NR
6R
7、NR
8-C(O)-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-O-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
3~6シクロアルキル、NR
8-C(O)H、NR
8-C(O)-C
3~6シクロアルキル、NR
8-C(O)-C
1~6ハロアルキル、NR
8-C(O)-アルキニル、NR
8-C(O)-C
6~10アリール、NR
8-C(O)-ヘテロアリール、NR
8-C(O)-C
1~6alk-CN、
NR
8-C(O)-C
1~6alk-OH、NR
8-C(O)-C
1~6alk-SO
2-C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
1~6alk-NR
6R
7、NR
8-C(O)-C
1~6alk-O-C
1~6アルキル(式中、C
1~6alkは、任意選択で、OH、OC
1~6アルキル、又はNR
6R
7で置換されている)からなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されているC
0~6alk-シクロアルキル、及びNR
8-C(O)-C
0~6alk-ヘテロシクロアルキル(式中、C
0~6alkは、任意選択で、オキソで置換されており、ヘテロシクロアルキルは、任意選択で、C
1~6アルキルで置換されている)からなる群から選択され、
ここで、R
6及びR
7は、各々独立して、H、C
1~6アルキル、C
3~6シクロアルキル、C(O)H、及びCNからなる群から選択され、
R
3は、H、CN、ハロゲン、C
1~6ハロアルキル、及びC
1~6アルキルからなる群から選択され、
R
4及びR
5は、各々独立して、H、C
0~6alk-NR
6R
7、C
1~6alk-OH、任意選択でC
1~6アルキルで置換されているC
0~6alk-C
3~6シクロアルキル、ハロゲン、C
1~6アルキル、OC
1~6アルキル、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、C
1~6alk-NH-C
0~6alk-O-C
1~6アルキル、任意選択でC(O)C
1~6アルキル又はC
1~6アルキルで置換されているC
0~6alk-ヘテロシクロアルキル、C
1~6alk-NHSO
2-C
1~6アルキル、C
1~6alk-SO
2-C
1~6アルキル、-NHC(O)-C
1~6アルキル、及び-リンカー-PEG-ビオチンからなる群から選択され、
R
8は、H又はC
1~6アルキルであるか;
あるいはR
1及びR
2は、それらが結合する窒素原子と一緒に、任意選択でNR
6R
7で置換されているピロリジニル環を形成し、ここで、R
6及びR
7は、各々独立して、H、C
1~6アルキル、NR
8-C(O)-C
1~6アルキル、及びNR
8-C(O)-C(R
3)=CR
4(R
5)(式中、R
8はHであり、R
3は、H又はCNであり、R
4は、Hであり、R
5は、H又はシクロプロピルである)からなる群から選択され;
Aは、結合、ピリジル、フェニル、ナフタレニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、任意選択でハロゲンで置換されているベンゾ[d][1,3]ジオキソリル、ベンゾチオフェニル、及びピラゾリルからなる群から選択され、Aは、任意選択で、C
1~6アルキル、ハロゲン、SF
5、OC
1~6アルキル、C(O)-C
1~6アルキル、及びC
1~6ハロアルキルからなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されており、
Eは、O、結合、C(O)-NH、CH
2、及びCH
2-Oからなる群から選択され、
Gは、H、C
3~6シクロアルキル、フェニル、チオフェニル、C
1~6アルキル、ピリミジニル、ピリジル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、C
1~6ハロアルキル、酸素ヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル、フェニル-CH
2-O-フェニル、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、NR
6R
7、SO
2C
1~6アルキル、及びOHからなる群から選択され、式中、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、又はチオフェニルは、任意選択で、ハロゲン、C
1~6アルキル、C
1~6ハロアルキル、OC
1~6ハロアルキル、C
3~6シクロアルキル、OC
1~6アルキル、CN、OH、C
1~6alk-O-C
1~6アルキル、C(O)-NR
6R
7、及びC(O)-C
1~6アルキルからなる群から各々独立して選択される、1、2、又は3つの置換基で置換されている]の化合物、
その立体異性体及び同位体バリアント、並びにその薬学的に許容される塩である、実施形態1a~53aのいずれか1つに記載の使用。
【0395】
本明細書に記載の実施形態のうちのいずれか1つの方法において使用するための、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態及び化合物A又はその薬学的に許容される塩形態。
【0396】
本明細書に記載の実施形態のうちのいずれか1つの方法のための医薬を製造するための、BTK阻害剤又はその薬学的に許容される塩形態及び化合物A又はその薬学的に許容される塩形態の使用。
【0397】
非ホジキンリンパ腫(NHL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療における同時、別個、又は連続的な使用のための組み合わせ調製物として化合物A及び化合物Bを含む、医薬組成物。
【0398】
障害又は状態を治療する方法について本明細書に記載される全ての実施形態は、当該障害又は状態の治療における使用にも適用可能である。
【0399】
障害又は状態を治療する方法について本明細書に記載される全ての実施形態は、障害又は状態を治療する方法における使用にも適用可能である。
【0400】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、記載しているが、そのような実施形態は単なる例として提示されていることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する様々な代替物が本発明を実施する際に使用されてもよく、これらの特許請求の範囲内の実施形態及びそれらの均等物がそれによって包含されることが理解されるべきである。
【国際調査報告】