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特表2024-509835化合物半導体積層構造及びその調製プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-05
(54)【発明の名称】化合物半導体積層構造及びその調製プロセス
(51)【国際特許分類】
   B32B 9/00 20060101AFI20240227BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20240227BHJP
   C04B 35/569 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B32B9/00 A
C30B29/36 A
C04B35/569
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553358
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2022054964
(87)【国際公開番号】W WO2022184630
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】21159944.4
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21171992.7
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21209102.9
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ライトゲープ
(72)【発明者】
【氏名】ベン・デプイト
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・プフシュテルシュミード
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・シュミット
【テーマコード(参考)】
4F100
4G077
【Fターム(参考)】
4F100AA02E
4F100AA12E
4F100AA16A
4F100AA16B
4F100AA16C
4F100AA16D
4F100AA16E
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100BA14
4F100DJ00B
4F100DJ00C
4F100DJ00D
4F100EJ172
4F100EJ422
4F100EJ602
4F100JA11A
4F100YY002
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4G077AA03
4G077BE08
4G077DA01
4G077HA06
(57)【要約】
本発明は、最下層及び最上層を有する半導体基板と、当該半導体基板の上にある半導体膜とを含む化合物半導体積層構造であって、当該半導体膜が、最下層と、コアと、最上層とを含み、当該半導体膜の当該最下層が、当該半導体基板の当該上面と接触しており、当該最上層が、非多孔質である、化合物半導体積層構造を提供する。好ましい化合物半導体は、底面層及び上面層を有する半導体オーバーレイヤを更に含み、当該第2の半導体層の当該底面層が、当該半導体膜の当該最上層と接触している。本発明はまた、化合物半導体積層構造を調製するためのプロセスも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物半導体積層構造であって、
i.底面及び上面を有する炭化ケイ素半導体基板(1)と、
ii.前記炭化ケイ素半導体基板(1)の上にある炭化ケイ素半導体膜(2)であって、前記炭化ケイ素半導体膜(2)が、非多孔質最下層(21)と、多孔質コア(22)と、非多孔質最上層(23)とを含み、前記炭化ケイ素半導体膜(2)の前記最下層(21)が、前記炭化ケイ素半導体基板(1)の前記上面と直接接触している、炭化ケイ素半導体膜(2)と、を含む、化合物半導体積層構造。
【請求項2】
前記炭化ケイ素半導体基板(1)が、多結晶材料を含む、請求項1に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項3】
前記多孔質コア(22)が、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する、請求項1又は2に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項4】
前記多孔質コア(22)が、SEMによって測定すると最大で15%の多孔率を有する、請求項3に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項5】
前記炭化ケイ素半導体膜(2)の前記最下層(21)及び/又は前記最上層(23)が、少なくとも10nmかつ最大で250nmの厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項6】
前記炭化ケイ素半導体膜(2)が、0.5μm~40μmの厚さを有する、請求項1~5のいずれかに記載の化合物半導体積層構造。
【請求項7】
底面層及び上面層を有する半導体オーバーレイヤ(3)を更に含み、前記半導体オーバーレイヤ(3)の前記底面層が、前記炭化ケイ素半導体膜(2)の前記最上層(23)と直接接触している、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項8】
前記半導体オーバーレイヤ(3)が、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ケイ素ゲルマニウム、及び炭化ケイ素の群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項7に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項9】
化合物半導体積層構造を調製するプロセスであって、
i.(a)底面及び上面を有する炭化ケイ素半導体基板(1)と、(b)多孔質最下層(プレ21)、多孔質コア(プレ22)及び多孔質最上層(プレ23)を有する炭化ケイ素半導体膜(プレ2)と、を提供するステップと、
ii.前記炭化ケイ素半導体膜(プレ2)の前記最下層(プレ21)を、当該炭化ケイ素半導体基板(1)の前記上面に直接接触させるステップと、
iii.前記炭化ケイ素半導体膜(プレ2)及び前記炭化ケイ素半導体基板(1)を、5MPa~100MPaの圧力で一緒にプレスし、0.5MPa~100MPaの圧力で、不活性雰囲気下、1250℃~1750℃の温度で加熱するステップと、を含む、プロセス。
【請求項10】
ステップiで提供される前記炭化ケイ素半導体基板(1)が、原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定すると、最大で10nmの表面粗さを有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
半導体基板(1)と接触している前記多孔質炭化ケイ素半導体膜(2)が、1450℃~1650℃の温度で熱処理にかけられる、請求項9又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記不活性雰囲気が、ヘリウム又はアルゴンを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記炭化ケイ素半導体膜(プレ2)が、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する多孔質最下層(プレ21)と、SEMによって測定すると1.1~20%の多孔率を有する多孔質コア(プレ22)と、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する多孔質最上層(プレ23)とを有し、前記多孔質最下層(プレ21)の前記多孔率の、前記多孔質コア(プレ22)の前記多孔率に対する比率が、少なくとも1.1である、請求項9~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
炭化ケイ素半導体膜(2)の上にエピタキシャル半導体オーバーレイヤ(3)を成長させるステップを更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる化合物半導体積層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体デバイスを調製するための新規な基板及びその作製方法に関する。具体的には、本発明は、炭化ケイ素半導体に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素は、特にパワーエレクトロニクスデバイスのための半導体材料として、ケイ素の最も有望な代替物として浮かび上がっている。これは、広い電子バンドギャップ及び高い熱伝導率などのその固有の材料特性によるものである。しかしながら、この数十年にわたる、材料品質及びデバイス製造の両方における多大な進歩にもかかわらず、単結晶炭化ケイ素基板の高いコストにより、広範な採用が依然として妨げられている。この高コストの一因となっている主な要因は、結晶成長プロセス、その後のインゴットスライシング、及び基板の研磨である。
【0003】
米国特許第9,738,991(B2)号は、炭化ケイ素結晶を形成する方法を開示しており、その方法は、炭化ケイ素シードを成長容器中に載置することと、成長容器を加熱することと、成長容器を排気することと、を含み、シードは、温度及び圧力勾配の結果として浮揚され、ガスは、シードの成長面から、シードの縁部の周囲、そしてシードの背後の容積の中に流れ、真空システムによって排気される。
【0004】
更に最近では、Leitgeb,M.et al.J.Electrochem.Soc.2017,164(12),E337は、フッ化水素酸中での光電気化学エッチングを適用して単結晶試料から多孔質4H-SiC層を調製するための新規な方法を記載した。得られる多孔度、多孔質の均一性、並びに細孔形態は、主に印加した電圧に依存することが見出された。重要なことに、そのアプローチは、多孔度が交互になっているいくつかのサブ層を備えた多孔質4H-SiC層を4H-SiC基板から分離することを可能にした。
【0005】
本発明の製作の詳細に関する従来技術に加えて、SiC基板からの層の分離、及び別の基板上への最終的なその後の接合のための代替経路が、文献に記載されている。これらのアプローチでは、イオン注入を利用することによってマザー基板の表面下に破断線が形成される。生成された破断線は、マザー基板から薄層を機械的に分離することを可能にし、その後、この薄層を多結晶基板に移すことができる。
【0006】
現在の方法は、一連の複数の複雑な加工ステップの使用に依然として依存している。そのため、それらの方法は材料経済性が乏しく、環境への影響が無視できない。本発明は、単結晶半導体を製造するための新しい方法を提供することを目的とし、これらの方法は、製造において、出発材料の経済的な使用、エネルギー効率及び柔軟性を可能にする。より具体的には、本発明は、コストの大幅な削減、エネルギーフットプリント(energy footprint)の改善、及び廃棄材料の削減を目的とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,738,991号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Leitgeb,M.et al.J.Electrochem.Soc.2017,164(12),E337
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、請求項1に記載の化合物半導体積層構造及びそれを調製するためのプロセスを提供することによって、上記課題のうちの少なくとも1つの解決策を提供するものである。本質的に、本発明の目的は、単一のマザー基板、例えば、炭化ケイ素基板から層を繰り返し分離し、その層を、比較的安価であるが電子的に適合性のある担体基板に接合することによって実現される。
【0010】
第1の態様では、本発明は、化合物半導体積層構造であって、
i.底面及び上面を有する半導体基板と、
ii.当該半導体基板の上にある半導体膜であって、当該半導体膜が、最下層と、多孔質コアと、最上層とを含み、当該半導体膜の当該最下層が、当該半導体基板の当該上面と接触している、半導体膜と、を含む、化合物半導体積層構造を提供する。
【0011】
これは、所望の組成及び形態を有する半導体膜を提供するために、すなわち、当該半導体膜上に単結晶半導体層を成長させるために、有利である。これは、高い二酸化炭素フットプリントを有する基板材料の1回限りの使用を回避し、半導体層を調製するための材料及びエネルギーが経済的なプロセスを可能にする。更に、ゲルマニウム又はインジウムリンなどの重要な材料に対するプロセスの依存性を減少させることができる。製造プロセス中の廃棄物発生を大幅に減少させることができ、二酸化炭素フットプリントの改善をもたらす。
【0012】
第2の態様では、本発明は、化合物半導体積層構造を調製するためのプロセスであって、半導体基板と接触している多孔質半導体膜を、1200℃を超える温度で熱処理して、化合物半導体積層構造を形成する、プロセスを提供する。
【0013】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を含む、パワーエレクトロニクスのための電子デバイスを提供する。
【0014】
更なるガイダンスによって、本発明の教示をよりよく理解するために、図面が含まれる。当該図面は、本発明の説明を助けることを意図したものであり、本明細書にて開示された発明を限定することを意図するものではない。
そこに含まれる図及び記号は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による化合物半導体積層構造の断面を概略的に示しており、当該化合物半導体は、半導体基板1と、当該半導体基板1の上にコア22を有する半導体膜2と、を含む。
図2】本発明による化合物半導体積層構造の断面を概略的に示しており、当該化合物半導体は、当該半導体膜2の上に半導体層3を更に含む。
図3】層の上側及び下側上において、ステップ関数を含む特定の多孔質プロファイルを有する多孔質単結晶層の断面SEM画像を示している。
図4】熱処理後の単結晶4H-SiCの上にある多孔質層の断面SEM画像を示している。
図5】PECE中の印加電圧を11.5ボルトから8.5ボルトに変化させることによって導入された多孔率の段階的な減少を示している多孔質4H-SiC層の断面SEM顕微鏡写真を示している。
図6】1600℃でアニールした後の図5に示された多孔質層の再編成を示している断面SEM顕微鏡写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特に定義されていない限り、技術用語及び科学用語を含む、本発明の開示に使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。更なるガイダンスによって、本発明の教示をよりよく理解するために、用語の定義が含まれる。
【0017】
本明細書で使用される場合、以下の用語は以下の意味を有する:
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、単数形及び複数形の両方の指示対象を指す。例として、「コンパートメント(a compartment)」は、1つ又は2つ以上のコンパートメントを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、パラメータ、量、時間長などの測定可能な値を指す「約」は、「実質的に」という用語と同義とみなされ、特定の値から±20%以下、好ましくは±10%以下、より好ましくは±5%以下、更により好ましくは±1%以下、なおより好ましくは±0.1%以下の変動を、開示された発明でそのような変動が実施に適切である限り、包含することを意味している。但し、「約」という修飾語が指す値自体も具体的に開示されていることを理解されたい。
【0019】
本明細書で使用される「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、及び「で構成される(comprised of)」は、「含む(include)」、「含む(includes)又は「含有する(contain)」、「含有すること(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的又はオープンエンドの用語であり、例えば構成要素などの後に続くものの存在を指定するものであり、当技術分野で知られている、又はそこに開示されている、追加の、記載されていない構成要素、特徴、要素、部材、工程の存在を除外又は排除するものではない。
【0020】
端点による数値範囲の列挙には、列挙された端点だけでなく、その範囲に包含される全ての数値及び分数が含まれる。全てのパーセンテージは、他に定義されていない限り、又はその使用及び使用されている文脈から当業者にとって異なる意味が明らかでない限り、「重量%」と略記される重量パーセント、又は「体積%」と略記される体積パーセントとして理解される。
【0021】
「半導体」という用語は、絶縁体の導電率と、ほとんどの金属の導電率との間の導電率を有する任意の固体物質を指す。例示的な半導体層は、ケイ素から構成される。半導体層は、単一のバルクウェハ又は複数のサブ層を含むことができる。具体的には、半導体層、より好ましくは、炭化ケイ素半導体層は、複数の不連続な多孔質部分を含み得る。複数の不連続な多孔質部分は、異なる密度を有していてもよく、水平に分布していてもよいし、垂直に積層されていてもよい。半導体材料の例としては、アルミナ、炭化ケイ素、ガリウムヒ素、リン化インジウム、シリカ、二酸化ケイ素、ホウケイ酸ガラス、パイレックス(登録商標)、及びサファイアが挙げられるが、それらに限定されない。
【0022】
本発明の文脈において、化合物半導体は、III族及びV族元素並びにII族及びVI族元素などの少なくとも2つの異なる種の化学元素から構成される半導体である。これらの半導体は、典型的には、周期表13~15族(旧III~V族)における、例えば、ホウ素族(旧III族、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム)からの元素及び15族(旧V族、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス)からの元素で形成される。可能な配合の範囲は、これらの元素が二元(2つの元素、例えば、ガリウム(III)ヒ素(GaAs))、三元(3つの元素、例えば、インジウムガリウムヒ素(InGaAs))及び四元(4つの元素、例えばアルミニウムガリウムインジウムリン化物(AlInGaP))合金を形成することができるため、非常に広い。GaAs、InP及びInGaAlPは、高周波デバイス及び光電子デバイスの用途に使用されている。パワー半導体には、SiC及びGaN化合物半導体が用いられることが多い。典型的な化合物半導体は、以下の通りである:
II-VI族:ZnSe
III-V族:GaAs、GaN、InP、InGaAlP、InGaN
IV-IV族:SiC、SiGe
【0023】
本発明の文脈において、「基板」又は「半導体基板」という用語は、半導体材料、具体的には化合物半導体材料、より具体的には炭化ケイ素からなる材料を指し、その上に材料の堆積層が形成又は適用され得る。好ましくは、基板は、単結晶基板である。当該半導体基板は、スライス、基板又はウェハと呼ばれることもあり、当業者に知られている。そのような半導体基板は、典型的には、その上にマイクロエレクトロニクスデバイスを構築することができる基板として使用される。半導体基板は、ドーピング、イオン注入、エッチング、薄膜堆積又はリソグラフィパターニングなどの異なるプロセスにかけられ得る。例示的な基板としては、バルクゲルマニウムウェハ、バルクケイ素ウェハが挙げられるが、これらに限定されず、ウェハは、均一な厚さの単結晶ケイ素又はゲルマニウム;均一な厚さの単結晶又は多結晶化合物半導体材料を含む複合半導体ウェハ;バルクケイ素ハンドルウェハ上に配置されている二酸化ケイ素の層上に配置されているケイ素の層を含むケイ素オンインシュレータウェハなどの複合ウェハ;又は、多孔質ゲルマニウム、酸化物及びケイ素上のゲルマニウム、ケイ素上のゲルマニウム、パターニングされたゲルマニウム、ゲルマニウム上のゲルマニウムスズ、及び/又は同等物;又は、その上若しくは中にデバイスが形成されているベース層として機能する任意の他の材料を含む。好ましくは、当該半導体基板は、炭化ケイ素を含む。より好ましくは、当該半導体基板は、本質的に炭化ケイ素からなる。基板は、単一のバルクウェハ、又は複数のサブ層を有し得る。具体的には、基板(例えば、ケイ素、ゲルマニウムなど)は、複数の不連続な多孔質部分を含み得る。複数の不連続な多孔質部分は、異なる密度を有していてもよく、水平に分布していてもよいし、垂直に積層されていてもよい。本発明の文脈において、「基板」という用語は、概ね、少なくとも1μmの厚さを有する材料を指す。半導体基板は、概して、円筒形態を有し、当該円筒の直径は、ウェハサイズと呼ばれ、当該円筒の高さは、ウェハ厚さと呼ばれる。本発明の文脈において使用される半導体基板は、1インチ(25mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約275μmの厚さを有することができ;2インチ(51mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約275μmの厚さを有することができ;3インチ(76mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約375μmの厚さを有することができ;4インチ(100mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約525μmの厚さを有することができ;5インチ(125mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約625μmの厚さを有することができ;6インチ(150mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約675μmの厚さを有することができ;8インチ(200mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約725μmの厚さを有することができ;12インチ(300mm)のウェハサイズを有することができ、典型的には約775μmの厚さを有することができる。
【0024】
本発明の文脈において、「膜」又は「半導体膜」という用語は、表面を覆う材料の実質的に均一な厚さを有する半導体材料を指す。膜は、多孔質又は非多孔質構造を有することができる。本発明の文脈において、「膜」という用語は、0.01μm~50μmの厚さを有する材料を指す。
【0025】
本発明の文脈において、「層」又は「半導体層」という用語は、表面を覆う材料の実質的に均一な厚さを有する半導体材料を指す。層は、連続又は不連続(すなわち、材料の領域間にギャップを有する)のいずれかであることができる。例えば、層は、表面を完全に又は部分的に覆うことができるか、又は層を集合的に画定する別個の領域(すなわち、選択領域エピタキシを使用して形成された領域)に分割することができる。更に、層は、多孔質又は非多孔質構造を有することができる。本発明の文脈において、「層」という用語は、少なくとも0.1μmかつ最大でも800μmの厚さを有する材料を指す。また、本発明の文脈において、「コア」という用語は、用語「コア層」と同義であると理解されるべきである。
【0026】
第2の層又は第2の膜の「上に構成される」、「上に堆積される」、「上にある」、「上に」、又は「を覆って上に」として本明細書に説明及び/又は示される第1の層又は第1の膜は、第2の層に直接隣接してもよく、又は1つ以上の介在層が、第1の層と第2の層との間に存在してもよい。本発明の好ましい実施形態では、当該第1の層又は第1の膜は、当該第2の層又は当該第2の膜と直接接触しているか、又はそれと接合されているか、又はそれに直接接合されている。本発明の文脈において、「上に配置される」という用語は、下にある材料又は層「上に存在する」ことを意味している。この層は、好適な表面を確保するのに必要な遷移層などの中間層を含み得る。例えば、材料が「基板上に配置される」と記載されている場合、これは、材料が基板と密接に接触しているか、又は、材料が、基板上に存在する1つ以上の遷移層と接触していることのいずれかを意味している場合がある。
【0027】
本発明の文脈において、「直接接触している」という用語は、「直接付着している」、「直接接合されている」、「直接接触している」と同義であり、同じ組成、結晶化度、多孔率を有し得るが、層境界によって、例えば、断面SEM画像分析から区別可能であり、それによって当該2つの別個の層が、有機又は無機粘着剤などの接合剤を使用せずに、互いに接続又は互いに接合されている、2つの別個の層として理解されるべきである。
【0028】
本発明の文脈において、材料の多孔率は、体積パーセントとして表され、「体積%」又は「%」と略される。本発明の文脈において、層又は膜の多孔率は、電気化学エッチングプロセスの複数の段階における当該層又は膜のSEM分析によって決定することができる。多孔質ケイ素エッチングのためのAMMT GmbH製のエッチングチャンバにおいて、150mLの48重量%HF、150mLのエタノール及び1200mLの脱イオン水を含む電解質溶液でエッチングし、前面照明用に250ワットの水銀アークランプを使用することによって、層又は膜のSEM画像分析が得られる。使用される電気化学エッチングプロセスパラメータは、(i)C面に関しては、1分11.5V、6分8.5V、1分11.5V、0.05分60Vを、基板から箔を剥離するために印加し、(ii)Si面に関しては、1分11.5V印加、9分8.5V印加、1分11.5V印加、0.05分60Vを、基板から箔を剥離するために印加する。多孔度は、多孔度を決定するために、ノイズ除去及び適応ガウス画像閾値化(adaptive Gaussian image thresholding)を使用して、OpenCV画像解析ライブラリで解析される。本発明の文脈において、「多孔質」という用語は、細孔を含む層又は膜であって、当該層又は膜の空隙容積が、当該層又は膜の総体積の少なくとも1体積%である、層又は膜を指す。典型的には、多孔質層の空隙容積は、最大30%、40%、50%、60%、又は更に最大70%である。本発明の文脈において、「非多孔質」という用語は、好ましくは細孔がない層若しくは膜、又は最大で1%、好ましくは最大で0.8%、より好ましくは最大で0.5%、最も好ましくは0%の多孔率を有する層若しくは膜を指す。
【0029】
本発明の文脈において、「表面」という用語は、物体又は物体の一部、例えば、層の二次元外面又は外部境界を指し、「表面領域」という用語は、当該表面の大きさを指し、「表層」という用語は、物体又は物体の一部、例えば、層の三次元外層又は外部境界を指す。したがって、本発明の文脈において、「表面」という用語は、用語「表面領域」及び用語「表層」と区別される。
【0030】
本明細書に示され記載される構造のいずれも、示されるものの上及び/又は下に追加の層を有するより大きな構造の一部であり得る。明確にするために、本明細書の図は、これらの追加の層を省略することがあるが、これらの追加の層が、開示される構造の一部であってもよい。更に、図示した構造は、その繰り返しが図に示されていない場合であっても、ユニット単位で繰り返すことができる。
【0031】
本明細書に記載の成長及び/又は堆積は、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)、有機金属化学蒸着(metalorganic chemical vapor deposition、MOCVD)、有機金属気相エピタキシ(organometallic vapor phase epitaxy、OMVPE)、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)、分子線エピタキシ(molecular beam epitaxy、MBE)、ハロゲン化物気相エピタキシ(halide vapor phase epitaxy、HVPE)、パルスレーザ堆積(pulsed laser deposition、PLD)、及び/又は物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)のうちの1つ以上を使用して実行され得る。
【0032】
第1の態様では、本発明は、化合物半導体積層構造であって、
i.底面及び上面を有する半導体基板と、
ii.当該半導体基板の上にある半導体膜であって、当該半導体膜が、最下層と、コアと、最上層とを含み、当該半導体膜の当該最下層が、当該半導体基板の当該上面と接触している、半導体膜と、を含む、化合物半導体積層構造を提供する。
【0033】
図1は、本発明による化合物半導体積層構造の断面を概略的に示しており、当該化合物半導体は、半導体基板1と、当該半導体基板1の上にある半導体膜2と、を含む。半導体膜2は、最下層21、コア22及び最上層23を含む。
【0034】
好ましくは、本発明は、当該半導体基板及び当該半導体膜が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムからなる群から選択される材料を含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。第1の実施形態では、当該半導体基板及び当該半導体膜は、炭化ケイ素を含む。好ましくは、当該炭化ケイ素は、4H-炭化ケイ素(4H-SiC)を含む。より好ましくは、当該炭化ケイ素は、4H-炭化ケイ素(4H-SiC)から本質的になる。第2の実施形態では、当該半導体基板及び当該半導体膜は、窒化ガリウムを含む。
【0035】
好ましくは、本発明は、当該半導体膜の当該最上層が、非多孔質である、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。換言すれば、当該最上層は、不浸透性であるか、高密度であるか、緻密であるか、又は閉鎖されている。これは、当該膜の断面のSEMによって容易に識別される。多孔質コアの場合、そのような最上層は、多孔質コアの密度に比べて、密度が高いことを特徴とする。好ましくは、当該半導体膜の当該最上層は、単結晶である。単結晶最上層を有することにより、当該最上層の上に直接ホモエピタキシャル層を成長させることが可能となる。第1の好ましい実施形態では、当該半導体膜の当該最下層は、多孔質であり、当該半導体膜の当該最上層は、非多孔質である。これは、多結晶基板、例えば、多結晶SiC基板への改善された接着又は接合を可能にするのに有利である。第2の好ましい実施形態では、当該半導体膜の当該最下層及び当該最上層は、非多孔質である。これは、当該膜の断面のSEMによって容易に識別される。多孔質コアの場合、そのような最下層及び/又は最上層は、多孔質コアの密度に比べて、密度が高いことを特徴とする。好ましくは、当該最下層は、単結晶である。
【0036】
単結晶多孔質化合物半導体膜は、Leitgeb,M.et al.Stacked Layers of Different Porosity in 4H SiC Substrates Applying a Photoelectrochemical Approach.J.Electrochem.Soc.2017,164(12),E337,https://doi.org/10.1149/2.1081712 jes;Leitgeb,M.et al.Metal Assisted Photochemical Etching of 4H Silicon Carbide.J.Phys.Appl.Phys.2017,50(43),435301,https://doi.org/10.1088/1361-6463/aa8942に記載されている実験手順に従って電気化学的多孔質化技術によって得ることができる。当業者は、剥離された化合物半導体膜の多孔率が、電気化学プロセスパラメータの変化によって容易に変更され得ることを理解するであろう。剥離された半導体膜の表層が、当該半導体膜のコアと比較して、より高い多孔率を有することを確保することにより、緻密化と、より高い多孔率の領域からより低い多孔率の領域への材料の移動との結果として、当該半導体基板上への剥離半導体膜の最適な融着が確保される。好ましくは、当該剥離半導体膜は、多孔率が30%未満のコア部分と、多孔率が30%を超える表層部分とを有する。本発明者らは、更に、そのような電気化学的多孔質化手順が、元の半導体材料の結晶性を維持することを見出した。
【0037】
好ましくは、本発明は、当該半導体膜の当該最下層及び/又は当該最上層が、SEM画像分析によって測定すると、少なくとも1nm、少なくとも2nm、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも15nm、少なくとも20nm、又は更に少なくとも25nmの厚さを有する、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。当該半導体膜の当該最下層及び/又は当該最上層は、20nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、500nm、1000nmの厚さ、又はこれらの間の任意の厚さを有し得る。最適化された加工条件は、当該最下層及び/又は最上層のより高い厚さを更に可能にし得る。
【0038】
好ましくは、当該半導体膜は、当該半導体基板と直接接触している。より具体的には、当該半導体膜の当該最下層は、当該半導体基板の当該上面と直接接触している。同様に、当該半導体膜の当該最下層は、当該半導体基板の当該上面に直接接合又は融着されているとも言える。本発明の第1の態様による構造は、所望の組成及び形態を有する半導体膜を提供することができるという利点、すなわち、当該半導体膜上に単結晶半導体層を成長させるために、好ましくは当該半導体膜上に半導体層を成長させるために、提供することができるという利点を提供する。これは、材料及びエネルギーが経済的な半導体基板の上に半導体層を調製するためのプロセスを可能にする。そうすることにより、高価で高カーボンフットプリントのバルク基板への依存が減少する。製造プロセス中の廃棄物発生を大幅に低減することができ、二酸化炭素フットプリントの改善に寄与する。好ましい実施形態では、当該半導体基板は、化合物半導体基板である。好ましい実施形態では、当該半導体膜は、化合物半導体膜である。
【0039】
当該半導体基板と直接接触する半導体膜は、直接接合又は融着によって得ることができる。直接接合又は融着は、半導体及び化合物半導体加工の分野の当業者に知られている、十分に確立された加工方法である。それは、いかなる追加の中間層もない層接合プロセスを指す。接合は、十分に清浄で、平坦で、平滑かで、官能化された2つの表面間の化学結合から本質的になる。直接接合又は融着プロセスは、概して、ウェハ前加工、室温での予備接合、及び高温でのアニーリングからになる。
【0040】
好ましくは、本発明は、当該化合物半導体積層構造が、底面及び上面を有するオーバーレイヤとも呼ばれる半導体層を更に含み、当該第2の半導体層の当該底面が当該半導体膜の当該最上層と接触している、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該第2の半導体層の当該底面は、当該半導体膜の当該最上層と直接接触している。異なる品質の半導体基板の上にある所定の品質の半導体膜を使用することにより、基板材料としてより容易に入手可能な材料を使用することが可能になる。実際、半導体膜は、当該膜の上に半導体結晶層を容易に成長させる目的で主に選択されるが、基板は、本発明の概念の範囲内で、その上にある半導体膜との熱機械的及び電気的適合性に次いで、主に機械的及びコスト関連特性に基づいて、選択され得る。当該半導体オーバーレイヤは、アルミナ、炭化ケイ素、ガリウムヒ素、リン化インジウム、シリカ、二酸化ケイ素、ホウケイ酸ガラス、パイレックス、及びサファイアから選択される1つ以上を含むが、これらに限定されない。好ましくは、当該半導体オーバーレイヤは、炭化ケイ素を含み、より好ましくは、当該半導体オーバーレイヤは、炭化ケイ素から本質的になる。
【0041】
図2は、本発明による化合物半導体積層構造の断面を概略的に示しており、当該化合物半導体は、当該半導体膜2の上に半導体層3を更に含む。
【0042】
好ましい実施形態では、当該半導体層は、エピタキシャル成長した半導体層であり、「オーバーレイヤ」とも呼ばれる。本発明の文脈において、これは、結晶半導体膜に対して1つ以上の明確な配向で新しい結晶層が形成されるタイプの結晶成長又は材料堆積プロセスにおいて半導体層が成長することを意味している。堆積された結晶半導体層はエピタキシャル層と呼ばれる。結晶膜に対するエピタキシャル層の相対的配向は、各材料の結晶格子の配向に関して規定される。エピタキシャル成長の場合、新しい層は結晶性であるべきであり、オーバーレイヤの各結晶学的ドメインは、膜結晶構造に対して明確な配向を有しているべきである。
【0043】
好ましくは、本発明は、当該半導体基板が多結晶材料又は非晶質材料を含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。より好ましくは、当該半導体基板は、多結晶材料を含む。好ましくは、当該半導体基板は、当該基板上にある化合物半導体膜と同じ化合物材料を含む。代替の好ましい実施形態では、当該半導体基板は、ケイ素半導体材料を含む。これは、当該半導体基板と当該半導体膜との間の良好な融合の利点、並びに半導体基板-膜アセンブリの良好な熱的及び機械的安定性の利点を提供する。
【0044】
好ましくは、本発明は、当該半導体膜が多結晶材料を含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。より具体的には、当該半導体膜の最上層は、単結晶構造を有し、当該最上層は非多孔質である。当該単結晶半導体膜、より具体的には当該膜の当該最上層は、単結晶半導体層を成長させるための望ましいシード層を提供する。当該半導体膜の当該最上層上に成長した、オーバーレイヤとも呼ばれる単結晶半導体層は、単結晶最上層の結晶性に従って成長する。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、本発明は、当該半導体膜が多孔質コアを含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該半導体膜の当該多孔質コアは、SEM画像分析によって測定すると、最大で500nmの平均孔径を有する。好ましくは、当該半導体膜の当該多孔質コアは、50nm~500nm、より好ましくは100nm~400nm、更により好ましくは150nm~350nmの平均孔径を有する。最も好ましくは、当該半導体膜の当該多孔質コアは、160nm、170nm、180nm、190nm、200nm、210nm、220nm、230nm若しくは240nm、又はそれらの間の任意の値の平均孔径を有する。
【0046】
本発明の特定の実施形態では、本発明は、当該半導体膜が多孔質コアを含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該半導体膜の当該多孔質コアは、SEM画像分析によって決定すると、最大で50%の多孔率を有する。当該半導体膜の当該多孔質コアは、1%~40%、又は5%~35%、更には10%~30%、例えば、10%、15%、20%、25%若しくは30%、又はこれらの間の任意の値の多孔率を有し得る。好ましくは、当該半導体膜の当該多孔質コアは、最大で40%、最大で30%、又は更に最大で20%の多孔率を有する。更により好ましくは、当該半導体膜の当該多孔質コアは、15%以下、12%以下、又は更に10%以下の多孔率を有する。多孔質ケイ素エッチングのためのAMMT GmbH製のエッチングチャンバにおいて、150mLの48重量%HF、150mLのエタノール及び1200mLの脱イオン水を含む電解質溶液でエッチングし、前面照明用に250ワットの水銀アークランプを使用することによって、多孔質コアのSEM画像分析が得られる。使用される電気化学エッチングプロセスパラメータは、(i)C面に関しては、1分11.5V、6分8.5V、1分11.5V、0.05分60Vを、基板から箔を剥離するために印加し、(ii)Si面に関しては、1分11.5V印加、9分8.5V印加、1分11.5V印加、0.05分60Vを、基板から箔を剥離するために印加する。多孔度は、多孔度を決定するために、ノイズ除去及び適応ガウス画像閾値化を使用して、OpenCV画像解析ライブラリで解析される。
【0047】
好ましくは、本発明は、SEM画像分析によって測定すると、当該半導体膜が、0.05~100μm、好ましくは0.05~75μm、より好ましくは0.05~50μmの膜厚を有する、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、本発明は、SEM画像分析によって測定すると、当該半導体膜が、0.05μm~30μmの膜厚を有する、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該半導体膜は、0.1μm~25μm、より好ましくは0.5μm~16μm、更により好ましくは1μm~10μmの厚さを有する。最も好ましくは、当該半導体膜は、1μm~5μmの厚さを有し、特に好ましくは1μm、2μm、3μm、4μm若しくは5μm、又はこれらの間の任意の値に等しい。特に好ましくは、当該半導体膜は、1μmの厚さを有する。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明は、当該化合物半導体積層構造が1cm~50cmの直径を有する、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。より好ましくは、当該化合物半導体積層構造は、5cm~35cmの直径を有する。最も好ましくは、当該直径は、約100mm若しくは4インチ、約150mm若しくは6インチ、約200mm若しくは8インチ、又は約300mm若しくは12インチ、又はこれらの間の任意の直径である。
【0049】
好ましくは、本発明は、当該半導体基板が、次の群:すなわち、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、ケイ素ゲルマニウム(SiGe)、ケイ素(Si)及び炭化ケイ素(SiC)から選択される1つ以上の材料を含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該半導体基板は、ケイ素又は炭化ケイ素、より好ましくは炭化ケイ素を含む。
【0050】
好ましくは、本発明は、当該半導体膜が、次の群:すなわち、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、ケイ素ゲルマニウム(SiGe)、ケイ素(Si)及び炭化ケイ素(SiC)から選択される1つ以上の材料を含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該半導体膜は、ケイ素又は炭化ケイ素、より好ましくは炭化ケイ素を含む。
【0051】
好ましくは、本発明は、当該半導体層が、次の群:すなわち、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、ケイ素ゲルマニウム(SiGe)、及び炭化ケイ素(SiC)から選択される1つ以上の材料を含む、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。好ましくは、当該半導体層又はオーバーレイヤは、窒化ガリウム又は炭化ケイ素、より好ましくは炭化ケイ素を含む。
【0052】
第1の好ましい実施形態では、本発明は、当該半導体基板層、当該半導体膜、及び存在する場合には当該オーバーレイヤが、SiC、好ましくは4H-SiCからなる、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。
【0053】
第2の好ましい実施形態では、本発明は、当該半導体基板層がAlNからなり、当該半導体膜がGaNからなり、存在する場合には当該オーバーレイヤがGaNからなる、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。
【0054】
第3の好ましい実施形態では、本発明は、当該半導体基板層が、複合セラミック材料からなり、当該セラミック材料が、GaNに実質的に適合する熱膨張係数を有し、当該半導体膜がGaNからなり、存在する場合、当該オーバーレイヤがGaNからなる、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を提供する。
【0055】
第2の態様では、本発明は、化合物半導体積層構造を調製するためのプロセスであって、半導体基板と接触している多孔質半導体膜を、1200℃を超える温度で熱処理して、化合物半導体積層構造を形成する、プロセスを提供する。好ましくは、本発明は、当該半導体基板及び当該半導体膜が、炭化ケイ素及び窒化ガリウムからなる群から選択される材料を含む、本発明の第2の態様によるプロセスを提供する。第1の実施形態では、当該半導体基板及び当該半導体膜は、炭化ケイ素を含む。好ましくは、当該炭化ケイ素は、4H-炭化ケイ素(4H-SiC)を含む。より好ましくは、当該炭化ケイ素は、4H-炭化ケイ素(4H-SiC)から本質的になる。第2の実施形態では、当該半導体基板及び当該半導体膜は、窒化ガリウムを含む。好ましくは、本発明の第2の態様による本発明のプロセスは、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造の調製のために使用される。より具体的には、本発明の第2の態様によるプロセスは:
i.(a)底面及び上面を有する炭化ケイ素半導体基板(1)と、(b)多孔質最下層(プレ21)、多孔質コア(プレ22)及び多孔質最上層(プレ23)を有する炭化ケイ素半導体膜(プレ2)と、を提供するステップと、
ii.当該炭化ケイ素半導体膜(プレ2)の当該最下層(プレ21)を、当該炭化ケイ素半導体基板(1)の上面に直接接触させるステップと、
iii.当該炭化ケイ素半導体膜(プレ2)及び当該炭化ケイ素半導体基板(1)を、5MPa~100MPaの圧力で一緒にプレスし、不活性雰囲気下、1250℃~1750℃の温度で加熱するステップと、を含む。好ましくは、当該加圧加熱ステップは、0.5MPa~10MPaの圧力で10分~8時間行う。
【0056】
加熱ステップの後、炭化ケイ素膜及び炭化ケイ素基板を、室温まで冷却する。膜が基板に付着していることが見出される。多孔質最下層(プレ21)は、炭化ケイ素半導体基板(1)の上面に付着する非多孔質最下層(21)を形成するための圧力及び温度処理から生じる再組織化を受けたことが見出される。好ましくは、本発明の第2の態様によるプロセスは、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を調製するのに好適である。
【0057】
好ましくは、当該多孔質半導体膜は、Leitgeb,M.et al.Stacked Layers of Different Porosity in 4H SiC Substrates Applying a Photoelectrochemical Approach.J.Electrochem.Soc.2017,164(12),E337,https://doi.org/10.1149/2.1081712jes;Leitgeb,M.et al.Metal Assisted Photochemical Etching of 4H Silicon Carbide.J.Phys.Appl.Phys.2017,50(43),435301,https://doi.org/10.1088/1361-6463/aa8942に記載されている実験手順に従って電気化学的多孔質化技術によって得ることができる。好ましくは、半導体基板と接触している当該多孔質半導体膜は、1400℃超、1450℃超、又は更に1500℃超、かつ3000℃未満、2500℃未満、2000℃未満、1800℃未満、1700℃未満、又は更に1600℃未満の温度で熱処理にかけられる。好ましくは、半導体基板と接触している当該多孔質半導体膜は、少なくとも10分間、より好ましくは少なくとも15分間、少なくとも20分間、又は少なくとも30分間、当該熱処理にかけられる。好ましくは、当該熱処理は、最大で8時間、最大で4時間、最大で2時間、又は更に最大で1時間にわたって実行される。最も好ましくは、当該熱処理は、約30~45分間実行される。あるいは、当該熱処理は、半導体基板と接触している当該多孔質半導体膜を所定の温度まで加熱し、その後すぐに室温まで冷却することからなり得る。好ましくは、当該半導体基板は、当該剥離された半導体膜と接触する前に研磨される。
【0058】
好ましくは、当該半導体膜は、当該半導体基板と直接接触している。より具体的には、当該半導体膜の当該最下層は、当該半導体基板の当該上面と直接接触している。本発明者らは、驚くべきことに、多孔質半導体膜が、所定の温度を超える熱処理によって半導体基板上に直接融着されて、熱的特性及び機械的特性などの優れた特性を有する半導体二重層をもたらすことができることを見出した。当該融着膜上に半導体オーバーレイヤを更に成長させることは、単純ではあるが信頼性があり経済的に有利なプロセスを可能にするが、現在のプロセスは、エネルギー集約的かつ材料集約的である。製造プロセス中の廃棄物発生を大幅に低減することができ、二酸化炭素フットプリントの改善に寄与する。好ましい実施形態では、当該半導体基板は、化合物半導体基板である。好ましい実施形態では、当該半導体膜は、化合物半導体膜である。
【0059】
好ましくは、当該半導体基板の接触表面、すなわち、当該半導体膜と接触する表面は、原子間力顕微鏡法(Atomic Force Microscopy、AFM)によって測定すると、最大50nmの表面粗さを有する。Siナノ構造の表面粗さを測定するための好適なAFM手順は、Nagase et al.Metrology of Atomic Force Microscopy for Si Nano-Structures.Jpn.J.Appl.Phys.1995,34,3382,https://iopscience.iop.org/article/10.1143/JJAP.34.3382/meta.に記載されている。より好ましくは、当該半導体基板の当該接触表面は、最大で20nm、最大で10nm、最大で5nm、最大で2nm、又は更に最大で1nmの表面粗さを有する。最も好ましくは、当該接触表面は、約0.9nm、0.8nm、0.7nm、0.6nm、0.5nm、0.4nm、0.3nm、0.2nm、若しくは0.1nm、又はこれらの間の任意の値の表面粗さを有する。本発明者らは、半導体膜と基板とを融着した後、当該半導体基板の接触面の表面粗さが小さくなるにつれ、当該半導体基板に対する半導体膜の付着性が向上することを見出した。当該半導体基板の当該接触表面のより低い表面粗さは、研磨、例えば、機械的研磨、化学機械的研磨、電気化学的研磨又は光電気化学的研磨によって達成することができる。
【0060】
好ましくは、本発明は、半導体基板と接触している当該多孔質半導体膜が、1500℃~1600℃の温度、好ましくは1550℃を超える温度、例えば1560℃、1570℃、1580℃、1590℃又は1600℃で熱処理にかけられる、本発明の第2の態様による方法を提供する。好ましくは、半導体基板と接触している当該多孔質半導体膜は、ヘリウム、アルゴン又は水素ガスなどの不活性雰囲気下で熱処理にかけられる。本発明の文脈において、Nガス及びOガスは不活性ガスとみなされない。
【0061】
好ましくは、本発明は、当該熱処理中に、当該多孔質半導体膜が、半導体基板(1)と直接接触しており、5MPa~100MPaのホットプレス圧力で当該半導体基板(1)に押し付けられる、本発明の第2の態様によるプロセスを提供する。このようなプロセスは、ホットプレスで容易に行われる。好ましくは、当該熱処理は、10MPa~75MPa、より好ましくは15MPa~60MPa、更により好ましくは20MPa~50MPaのホットプレス圧力で実行される。最も好ましくは、当該熱処理は、約20MPa、25MPa、30MPa、35MPa、40MPa、45MPa若しくは50MPa、又はこれらの間の任意の圧力のホットプレス圧力で実行される。融着プロセス中に圧力を加えることにより、得られた半導体積層構造の接合特性が向上することが分かった。
【0062】
好ましくは、本発明は、当該半導体膜(プレ2)が、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する多孔質最下層(プレ21)と、SEMによって測定すると1.1~20%の多孔率を有する多孔質コア(プレ22)と、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する多孔質最上層(プレ23)と、を有し、当該多孔質最下層(プレ21)の多孔率の、当該多孔質コア(プレ22)の多孔率に対する比率が、少なくとも1.1である、本発明の第2の態様によるプロセスを提供する。好ましくは、当該比率は、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、又は更に少なくとも1.5である。好ましくは、当該比率は、最大で5に等しい。
【0063】
好ましくは、本発明は、半導体膜の上にエピタキシャル半導体オーバーレイヤを形成するステップを更に含む、本発明の第2の態様によるプロセスを提供する。
【0064】
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造を含む、パワーエレクトロニクスのための電子デバイスを提供する。本発明の第3の態様によるパワーエレクトロニクスデバイスは、DC太陽光電力を家庭用のAC電力に変換する用途、及びハイブリッド電動ビークルにおけるバッテリーパワーに関する機能を調整する用途における使用に好適である。本発明による化合物半導体積層構造のより高いバンドギャップにより、それを使用する電子機器は、より小さくなり、はるかにエネルギー効率的に作動することができる。本発明による化合物半導体は、いくつかの従来技術の半導体よりも高い温度、高い電圧、及び高い周波数で機能する。更に、本発明の第1の態様による化合物半導体積層構造は、a)圧電層とケイ素基板との間のSAWデバイスにおける界面層として、及びb)過酷な環境用途のためのSi基板上のSiCからのカンチレバー又はメンブレインの製造のためのMEMSにおいて、有利に使用することができる。
【実施例
【0065】
以下の実施例は、本発明を更に明確にすることを意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0066】
実施例1
多結晶炭化ケイ素基板1が、融着によって、薄い16μmの単結晶多孔質炭化ケイ素箔2に融合する。薄い多孔質箔は、Leitgeb,M.et al.Stacked Layers of Different Porosity in 4H SiC Substrates Applying a Photoelectrochemical Approach.J.Electrochem.Soc.2017,164(12),E337,https://doi.org/10.1149/2.1081712 jes;Leitgeb,M.et al.Metal Assisted Photochemical Etching of 4H Silicon Carbide.J.Phys.Appl.Phys.2017,50(43),435301,https://doi.org/10.1088/1361-6463/aa8942に記載されている実験手順に従って、メタルアシストされた電気化学的エッチング(metal assisted photochemical etching、MAPCE)と電気化学的エッチング(photoelectrochemical etching、PECE)との組み合わせを利用することによって、得られる。参考文献における手順において印加電圧(8.5~11.5V)を変化させることによって、当業者は、より高い電圧がより高い多孔度をもたらすことから、所定の多孔度を得ることができる(図5を参照されたい)。更に印加電圧を所定の閾値レベルを超えて上昇させることにより、多孔質膜がマザー基板から剥離される。
【0067】
この手順は複数回行うことができ、これにより、所与の4H-SiCマザー基板から複数の多孔質膜を調製することが可能になる。箔の特性は、容易かつ正確に制御される。最初のMAPCEステップは、まさに最初のPECEプロセスのための初期の細孔形成を強化するだけである。典型的には、多孔質層の剥離後のマザー基板表面の粗さは約100nmであり、これはPECEの開始時における細孔形成を十分に助ける。したがって、第1の剥離手順の後にMAPCEは必要とされない。
【0068】
得られた多孔質膜は、多結晶SiC基板の上面に載置され、不活性Heガス雰囲気(1atm)下、温度1600℃、圧力約35MPaで、ホットプレス熱処理にかけられる。このような熱処理中に、多孔質膜の高多孔率最下層は、局所的な自己拡散を促進し、その後、多孔質箔の高密度化及び多結晶SiC基板への融着を引き起こすことが企図される。これを図3及び図4に示す。更に、熱処理中に、半導体基板における全ての細孔は、表面エネルギーの最小化により、再編成する。その結果、図3及び図4に示すように、多孔質膜における細孔は、外部雰囲気との接続を有していない単結晶マトリックス内に封入される。
【0069】
多結晶SiC基板と、当該半導体基板の上にある半導体膜とからなる化合物半導体積層構造が得られる。続いて、4H-SiCの単結晶エピタキシャル層3が、化学蒸着によって当該半導体膜上に堆積する。他の堆積方法が企図され得る。
【0070】
実施例2
多結晶炭化ケイ素基板1が、ホットプレスにおける融着によって、薄い34μmの単結晶多孔質炭化ケイ素箔2に融合する。
【0071】
薄い多孔質箔は、実施例1に記載のように得られる。得られた多孔質膜は、研磨した多結晶SiC基板の上面に載置され、ホットプレス装置を使用して、不活性Arガス雰囲気(1atm)下、1600℃の温度で熱処理にかけられ、約35MPaの圧力を二重層に加える。全ての他のプロセスパラメータは、実施例1に記載した通りである。
【0072】
多結晶SiC基板と、当該半導体基板の上にある半導体膜とからなる化合物半導体積層構造が得られる。続いて、4H-SiCの単結晶エピタキシャル層3が、化学蒸着によって当該半導体膜上に堆積する。他の堆積方法が企図され得る。
【0073】
実施例3
多結晶窒化ガリウム基板が、ホットプレスにおける融着によって薄い18μm単結晶多孔質窒化ガリウム箔に融合する。
【0074】
実施例1に記載のものと同様に、薄い多孔質窒化ガリウム箔が得られる。得られた多孔質膜は、研磨した多結晶窒化ガリウム基板の上面に載置され、ホットプレス装置を使用して、不活性Heガス雰囲気下、1550℃の温度で熱処理にかけられ、約35MPaの圧力を二重層に加える。全ての他のプロセスパラメータは、実施例1に記載した通りである。
【0075】
多結晶窒化ガリウム基板と、当該半導体基板の上にある半導体膜とからなる化合物半導体積層構造が得られる。続いて、窒化ガリウムの単結晶エピタキシャル層が、化学蒸着によって当該半導体膜上に堆積する。
【0076】
実施例4
多結晶窒化アルミニウム基板が、ホットプレスにおける融着によって薄い18μm単結晶多孔質窒化ガリウム箔に融合する。実施例1に記載のものと同様に、薄い多孔質窒化ガリウム箔が得られる。得られた多孔質膜は、研磨した多結晶窒化アルミニウム基板の上面に載置され、ホットプレス装置を使用して、不活性Heガス雰囲気(1atm)下、1550℃の温度で熱処理にかけられ、約35MPaの圧力を二重層に加える。全ての他のプロセスパラメータは、実施例1に記載した通りである。
【0077】
多結晶窒化アルミニウム基板と、窒化アルミニウム基板上にある窒化ガリウム膜とからなる化合物半導体積層構造が得られる。続いて、窒化ガリウムの単結晶エピタキシャル層が、化学蒸着によって当該半導体膜上に堆積する。
【0078】
実施例5
多結晶窒化アルミニウム基板が、複合セラミック材料によって置き換えられ、当該セラミック材料は、GaNに適合する熱膨張係数を有する、実施例4による方法。
【符号の説明】
【0079】
1 炭化ケイ素半導体基板
2 炭化ケイ素半導体膜
3 半導体オーバーレイヤ
21 最下層
22 多孔質コア
23 最上層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物半導体積層構造であって、
i.底面及び上面を有する炭化ケイ素半導体基板(1)と、
ii.前記炭化ケイ素半導体基板(1)の上にある炭化ケイ素半導体膜(2)であって、前記炭化ケイ素半導体膜(2)が、非多孔質最下層(21)と、多孔質コア(22)と、非多孔質最上層(23)とを含み、前記炭化ケイ素半導体膜(2)の前記最下層(21)が、前記炭化ケイ素半導体基板(1)の前記上面と直接接触している、炭化ケイ素半導体膜(2)と、を含む、化合物半導体積層構造。
【請求項2】
前記炭化ケイ素半導体基板(1)が、多結晶材料を含む、請求項1に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項3】
前記多孔質コア(22)が、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する、請求項1又は2に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項4】
前記多孔質コア(22)が、SEMによって測定すると最大で15%の多孔率を有する、請求項3に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項5】
前記炭化ケイ素半導体膜(2)の前記最下層(21)及び/又は前記最上層(23)が、少なくとも10nmかつ最大で250nmの厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項6】
前記炭化ケイ素半導体膜(2)が、0.5μm~40μmの厚さを有する、請求項1~5のいずれかに記載の化合物半導体積層構造。
【請求項7】
底面層及び上面層を有する半導体オーバーレイヤ(3)を更に含み、前記半導体オーバーレイヤ(3)の前記底面層が、前記炭化ケイ素半導体膜(2)の前記最上層(23)と直接接触している、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項8】
前記半導体オーバーレイヤ(3)が、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ケイ素ゲルマニウム、及び炭化ケイ素の群から選択される1つ以上の材料を含む、請求項7に記載の化合物半導体積層構造。
【請求項9】
化合物半導体積層構造を調製するプロセスであって、
i.(a)底面及び上面を有する炭化ケイ素半導体基板(1)と、(b)多孔質最下層(プレ21)、多孔質コア(プレ22)及び多孔質最上層(プレ23)を有する炭化ケイ素半導体膜(プレ2)と、を提供するステップと、
ii.前記炭化ケイ素半導体膜(プレ2)の前記最下層(プレ21)を、当該炭化ケイ素半導体基板(1)の前記上面に直接接触させるステップと、
iii.前記炭化ケイ素半導体膜(プレ2)及び前記炭化ケイ素半導体基板(1)を、5MPa~100MPaの圧力で一緒にプレスし、0.5MPa~100MPaの圧力で、不活性雰囲気下、1250℃~1750℃の温度で加熱するステップと、を含む、プロセス。
【請求項10】
ステップiで提供される前記炭化ケイ素半導体基板(1)が、原子間力顕微鏡法(AFM)によって測定すると、最大で10nmの表面粗さを有する、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
半導体基板(1)と接触している前記多孔質炭化ケイ素半導体膜(2)が、1450℃~1650℃の温度で熱処理にかけられる、請求項9又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記不活性雰囲気が、ヘリウム又はアルゴンを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記炭化ケイ素半導体膜(プレ2)が、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する多孔質最下層(プレ21)と、SEMによって測定すると1.1~20%の多孔率を有する多孔質コア(プレ22)と、SEMによって測定すると1~50%の多孔率を有する多孔質最上層(プレ23)とを有し、前記多孔質最下層(プレ21)の前記多孔率の、前記多孔質コア(プレ22)の前記多孔率に対する比率が、少なくとも1.1である、請求項9~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
炭化ケイ素半導体膜(2)の上にエピタキシャル半導体オーバーレイヤ(3)を成長させるステップを更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】