(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】温度制御装置を有する原子状酸素及びオゾン洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H01L21/304 648L
H01L21/304 645D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555159
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022016332
(87)【国際公開番号】W WO2022191955
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, バンチエ
(72)【発明者】
【氏名】ダガン, エリ
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AC01
5F157BG03
5F157BG43
5F157BG72
5F157BG76
5F157BH19
5F157CE73
5F157CF38
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF90
5F157DB02
(57)【要約】
本開示の実施形態は、UV放射線発生装置の温度制御を備えた酸素洗浄チャンバ、及び基板を原子状酸素で洗浄する方法に関する。原子状酸素洗浄チャンバは、プロセスチャンバと、プロセスチャンバに結合された冷却チャンバと、プロセスチャンバを冷却チャンバから密閉的に分離するデバイダとを含む。紫外線(UV)放射線発生装置は冷却チャンバに配置され、デバイダを通してプロセスチャンバ内にUV放射線を供給する。ガス分配アセンブリは、プロセスチャンバのペデスタルの上面上にオゾンを分配し、冷却剤分配アセンブリは、UV放射線発生装置を冷却するために冷却チャンバ内に冷却ガスを分配する。UV放射線発生装置を積極的に冷却することにより、安定した波長で、すなわち、高出力のUV放射線発生装置の出力に通常伴う波長のドリフトなしに、より高い強度のUV放射線が発生する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子状酸素洗浄チャンバであって、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合された冷却チャンバと、
前記プロセスチャンバを前記冷却チャンバから密閉的に分離するデバイダと、
前記冷却チャンバに配置され、前記デバイダを通して前記プロセスチャンバ内にUV放射線を供給するように動作可能な紫外線(UV)放射線発生装置と、
前記プロセスチャンバに配置されたペデスタルと、
前記ペデスタルの上面上にオゾンを分配するように動作可能なガス分配アセンブリと、
前記UV放射線発生装置を冷却するために、前記冷却チャンバ内に冷却ガスを分配するように動作可能な冷却剤分配アセンブリと
を備える、原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項2】
前記UV放射線発生装置の温度を示す測定値を提供するように位置決めされた温度センサを更に備える、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項3】
プロセスチャンバに配置されたUV強度センサを更に備え、前記UV強度センサは、前記UV放射線発生装置から放出されたUV放射線のUV強度を示す測定値を提供するように動作可能である、請求項2に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項4】
コントローラを更に備え、前記コントローラは、冷却剤分配アセンブリと通信し、温度センサ及び前記UV強度センサに基づいて冷却チャンバに入る冷却ガスの流量を制御するように動作可能である、請求項3に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項5】
前記冷却チャンバの冷却剤ガス入口を前記冷却チャンバの冷却剤ガス出口に結合させて、前記冷却チャンバを通して冷却ガスを再循環させるように動作可能な冷却剤フローラインを更に備える、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項6】
前記冷却チャンバの冷却剤ガス入口と冷却剤ガス出口との間に結合された熱交換器
を更に備える、請求項5に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項7】
前記ガス分配アセンブリは、
前記プロセスチャンバに配置されたガス入口であって、前記ガス分配アセンブリに結合されたガス入口と、
前記プロセスチャンバに配置されたガス出口であって、ポンプに結合されたガス出口と
を含む、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項8】
前記ガス分配アセンブリは更に、
酸素含有ガス源と、
前記酸素含有ガス源と通信しているオゾン発生装置と、
フローコントローラであって、前記プロセスチャンバに入るオゾンの流量を制御するように動作可能であり、前記オゾン発生装置と通信しているフローコントローラと
を含む、請求項7に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項9】
前記冷却チャンバに形成された出口に結合された冷却剤ポンプを更に備える、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項10】
リフレクタが前記冷却チャンバに配置され、前記UV放射線発生装置の上方に配置されている、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項11】
前記デバイダは溶融シリカ材料である、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項12】
前記ペデスタルは、前記UV放射線発生装置から前記ペデスタルの上面までの距離に対応する処理位置を含む、請求項1に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項13】
原子状酸素洗浄チャンバであって、
プロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバに結合された冷却チャンバと、
前記プロセスチャンバを前記冷却チャンバから密閉的に分離するデバイダと、
前記冷却チャンバに配置され、前記デバイダを通して前記プロセスチャンバ内にUV放射線を供給するように動作可能な紫外線(UV)放射線発生装置と、
前記プロセスチャンバに配置されたペデスタルと、
前記ペデスタルの上面上にオゾンを分配するように動作可能なガス分配アセンブリと、
冷却剤分配アセンブリであって、冷却剤ガス入口と、冷却剤ガス出口と、前記冷却チャンバ全体にわたって冷却ガスを分配するように動作可能な冷却剤ガス源と、前記冷却チャンバ全体にわたって前記冷却剤ガス出口まで冷却ガスを送るように動作可能な冷却剤ポンプとを有する冷却剤分配アセンブリと
を備える、原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項14】
前記冷却チャンバの冷却剤ガス入口を前記冷却チャンバの冷却剤ガス出口に結合させ、前記冷却チャンバを通して冷却ガスを再循環させるように動作可能な冷却剤フローラインを更に備える、請求項13に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項15】
前記冷却チャンバの冷却剤ガス入口と冷却剤ガス出口との間に結合された熱交換器
を更に備える、請求項14に記載の原子状酸素洗浄チャンバ。
【請求項16】
基板を原子状酸素で洗浄する方法であって、
プロセスチャンバに配置されたペデスタルの上面に基板を位置決めすることと、
前記基板上にオゾンを分配するために、前記プロセスチャンバ内にオゾンを流すことと、
UV放射線発生装置の温度を所定の温度未満に維持するために、冷却チャンバ内に冷却ガスを流すことと、
前記冷却チャンバに配置されたUV放射線発生装置から前記プロセスチャンバに配置されたオゾンに、約240ナノメートル(nm)から約310nmの波長の放射線を供給することと
を含む方法。
【請求項17】
前記冷却チャンバを通して前記冷却ガスを再循環させることを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記冷却ガスを再循環させる前に、前記冷却チャンバから出る前記冷却ガスを熱交換器を通して流すことを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線を供給することは更に、前記冷却チャンバを前記プロセスチャンバから密閉的に分離するデバイダに放射線を通過させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の温度は約30℃から約40℃である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、機器を洗浄する装置及び方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、UV放射線発生装置の温度制御を備えた酸素洗浄チャンバ、及び基板を原子状酸素で洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体デバイスの洗浄では、基板の表面から汚染物質を除去して、清浄な表面を残すことが望ましい場合が多い。洗浄を行わないと、半導体デバイスの性能に悪影響を及ぼす汚染物質が存在する場合がある。半導体デバイス及びチャンバ構成要素の清浄度は、製品の歩留まり、チャンバの稼働時間、顧客のコストに影響を与える。
【0003】
[0003]ほとんどの基板洗浄技法は、紫外線(UV)放射線に曝露され、基板の表面を酸化させる酸素含有洗浄剤を利用する。原子状酸素は、他の酸素含有洗浄剤と比較して、最も高い反応速度と酸化能力を有するため、基板の表面をより速い速度で洗浄して、スループットを高める。しかし、原子状酸素は寿命が短く、一旦形成されると酸素含有洗浄剤のO2及び他の分子と結合してしまう。更に、原子状酸素の形成効率を高めることは、UV放射線発生装置からのUV放射線の強度に依存する。しかし、強度を上げるとUV放射線発生装置から放射される熱が増加し、UV放射線の放射スペクトルのシフトにつながる。
【0004】
[0004]従って、改良された酸素洗浄チャンバ及び基板を原子状酸素で洗浄する方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]一実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバが提供される。原子状酸素洗浄チャンバは、プロセスチャンバを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、プロセスチャンバに結合された冷却チャンバと、プロセスチャンバを冷却チャンバから密閉的に分離するデバイダとを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、冷却チャンバに配置され、デバイダを通してプロセスチャンバ内にUV放射線を供給するように動作可能な紫外線(UV)放射線発生装置と、プロセスチャンバに配置されたペデスタルとを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、ペデスタルの上面上にオゾンを分配するように動作可能なガス分配アセンブリと、UV放射線発生装置を冷却するために、冷却チャンバ内に冷却ガスを分配するように動作可能な冷却剤分配アセンブリとを含む。
【0006】
[0006]別の実施形態では、原子状酸素洗浄チャンバが提供される。原子状酸素洗浄チャンバは、プロセスチャンバを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、プロセスチャンバに結合された冷却チャンバと、プロセスチャンバを冷却チャンバから密閉的に分離するデバイダとを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、冷却チャンバに配置され、デバイダを通してプロセスチャンバ内にUV放射線を供給するように動作可能な紫外線(UV)放射線発生装置と、プロセスチャンバに配置されたペデスタルとを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、ペデスタルの上面上にオゾンを分配するように動作可能なガス分配アセンブリと、冷却剤分配アセンブリとを含む。冷却剤分配アセンブリは、冷却剤ガス入口と、冷却剤ガス出口と、冷却チャンバ全体にわたって冷却ガスを分配するように動作可能な冷却剤ガス源と、冷却チャンバ全体にわたって冷却剤ガス出口まで冷却ガスを送るように動作可能な冷却剤ポンプとを含む。
【0007】
[0007]更に別の実施形態では、基板を原子状酸素で洗浄する方法が提供される。基板を原子状酸素で洗浄する方法は、プロセスチャンバに配置されたペデスタルの上面に基板を位置決めすることを含む。基板を原子状酸素で洗浄する方法は更に、基板上にオゾンを分配するために、プロセスチャンバ内にオゾンを流すことを含む。基板を原子状酸素で洗浄する方法は更に、UV放射線発生装置の温度を所定の温度未満に維持するために、冷却チャンバ内に冷却ガスを流すことを含む。基板を原子状酸素で洗浄する方法は更に、冷却チャンバに配置されたUV放射線発生装置からプロセスチャンバに配置されたオゾンに、約240ナノメートル(nm)から約310nmの波長の放射線を供給することを含む。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】実施形態に係る原子状酸素洗浄チャンバの概略断面図である。
【
図1B】実施形態に係る原子状酸素洗浄チャンバの概略断面図である。
【
図2】実施形態に係る基板を原子状酸素で洗浄する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0011]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0011】
[0012]本開示の実施形態は、概して、機器を洗浄する装置及び方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、UV放射線発生装置の温度制御を備えた酸素洗浄チャンバ、及び基板を原子状酸素で洗浄する方法に関する。原子状酸素洗浄チャンバは、プロセスチャンバを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、プロセスチャンバに結合された冷却チャンバと、プロセスチャンバを冷却チャンバから密閉的に分離するデバイダとを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、冷却チャンバに配置され、デバイダを通してプロセスチャンバ内にUV放射線を供給するように動作可能な紫外線(UV)放射線発生装置と、プロセスチャンバに配置されたペデスタルとを含む。原子状酸素洗浄チャンバは更に、ペデスタルの上面上にオゾンを分配するように動作可能なガス分配アセンブリと、UV放射線発生装置を冷却するために、冷却チャンバ内に冷却ガスを分配するように動作可能な冷却剤分配アセンブリとを含む。
【0012】
[0013]
図1A及び
図1Bは、原子状酸素洗浄チャンバ100の概略断面図である。原子状酸素洗浄チャンバ100は、原子状酸素を使用して基板を洗浄するのに適している。
図1Bの原子状酸素洗浄チャンバ100は、冷却剤再循環アセンブリ168を含む。
図1Bの原子状酸素洗浄チャンバ100は、
図1Aの原子状酸素洗浄チャンバ100の全要素を含み、冷却剤再循環アセンブリ168が追加されている。原子状酸素洗浄チャンバ100は、冷却チャンバ102とプロセスチャンバ103とを含む。冷却チャンバ102は、プロセスチャンバ103に結合されている。冷却チャンバ102及びプロセスチャンバ103は、デバイダ104によって分離されている。冷却チャンバ102は、プロセスチャンバ103に隣接して積み重ねられている。デバイダ104は、プロセスチャンバ103を冷却チャンバ102から分離及び隔離するシールを提供する。冷却チャンバ102及びプロセスチャンバ103は、隣接して積み重ねられた2つの別体であってよい。また、冷却チャンバ102及びプロセスチャンバ103は一体であってよい。冷却チャンバ102は、冷却領域106を含む。冷却領域106は、冷却チャンバ102及びデバイダ104によって画定された空間である。プロセスチャンバ103は、処理領域108を含む。処理領域108は、プロセスチャンバ103及びデバイダ104によって画定された空間である。
【0013】
[0014]処理領域108は、プロセスチャンバ103内で基板101を支持するためのペデスタル110を含む。ペデスタル110はステム112によって支持される。ペデスタル110は、プロセスチャンバ103を貫通して延在するステム112によって処理領域108内に移動可能に配置される。ステム112は、ペデスタル110を処理位置(図示の通り)と、プロセスチャンバ103を貫通して形成されたスリットバルブ114を通して処理領域108内外への基板の移送を容易にする移送位置との間で移動させるリフトシステム(図示せず)に接続されている。処理位置は、紫外線(UV)放射線発生装置118からペデスタル110の上面120までの距離116に対応する。
【0014】
[0015]プロセスチャンバ103は、ガス分配アセンブリ122を含む。ガス分配アセンブリ122は、ガス入口124、酸素含有ガス源126、オゾン(O3)発生装置128、及びフローコントローラ130を含む。ガス入口124は、プロセスチャンバ103に配置されている。オゾン発生装置128は、第1の導管132を介して酸素含有ガス源126と流体連結している。オゾン発生装置128は、酸素含有ガスからオゾンを生成し、オゾンを所望の圧力及び濃度に維持することができる。第2の導管134を介してオゾン発生装置128と流体連結している、マスフロー制御(MFC)装置等のフローコントローラ130は、オゾン発生装置128からのオゾンの流量を制御する。原子状酸素洗浄チャンバ100は、コントローラ138を含む。コントローラ138は、中央処理装置(CPU)、メモリ、及びCPUの支援回路を含む。コントローラ138は、処理領域108に入るオゾンの流量を制御するために、フローコントローラ130と通信している。コントローラ138は、原子状酸素洗浄チャンバ100の動作パラメータ及び基板101を原子状酸素で洗浄する方法200等の工程の制御を可能にする。
【0015】
[0016]オゾンは、オゾン発生装置128からガス入口124及びフローコントローラ130を介してプロセスチャンバ103内に流される。ガス入口124は、第3の導管136を介してフローコントローラ130に接続されている。オゾンの流れは、ペデスタル110の上面120上に分布する。ガス出口140がプロセスチャンバ103に配置されている。ポンプ143がガス出口140に結合され、処理領域108内の圧力を制御して、第4の導管141を介してガス出口140を通して処理領域108からの副生成物を排気する。処理領域108は、その中に配置されたUV強度センサ148を含む。UV強度センサ148は、UV放射線発生装置118によって放出されたUV放射線のUV強度を測定するように動作可能である。
【0016】
[0017]UV放射線発生装置118からのUV放射線は、冷却領域106からデバイダ104を通って処理領域108に通過することができる。デバイダ104は、プロセスチャンバ103の温度をより効果的に制御できるように、冷却チャンバ102のUV放射線発生装置118によって放散される熱を保持する。デバイダ104は、UV放射線を通過させることを可能するように動作可能な透明材料である。例えば、デバイダ104は、溶融石英、溶融シリカ、それらの組み合わせ、又は他の適切な材料である。
【0017】
[0018]UV放射線発生装置118は、冷却領域106に配置される。UV放射線発生装置118は、1又は複数のUV放射線源を含み得る。各UV放射線源は、低圧水銀ランプであってよい。UV放射線発生装置118は、UV放射線を発生させる。UV放射線発生装置118は、約240nmから約310nmの波長の放射線を放出するように構成されたランプ、LEDエミッタ、又は他のUVエミッタを含み得る。例えば、UV放射線発生装置118は、約253nmの波長の放射線を放出する。
【0018】
[0019]基板101の表面上に分配されたオゾン発生装置128からのオゾンが、UV放射線発生装置118からのUV放射線に曝露され、酸素ガス(O2)及び原子状酸素(O)に変換される。酸素ガスと原子状酸素は、基板101表面の炭化水素等の無機材料を酸化させ、副生成物として二酸化炭素(CO2)及び水(H2O)を発生させる。ポンプ143は、副生成物を処理領域108から排気する。原子状酸素は、他の酸素含有洗浄剤と比較して、反応速度及び酸化能力が最も高いため、基板101の表面をより速い速度で洗浄し、スループットを向上させる。例えば、原子状酸素は、基板101の表面でSO2を瞬時にSO3に酸化させることができる。SO3は、水ベースの洗浄ステップによって基板101から容易に除去することができる。SO3はポンプ143によって除去され得る、又は後の洗浄プロセスで除去され得る。基板101を原子状酸素で洗浄することによってSO2が除去されると、ヘイズ欠陥の蓄積が遅くなる。上述したように、原子状酸素は寿命が短く、一旦形成されるとO2及び他の分子と結合する。オゾン発生装置128は、処理領域108にオゾンを連続的に供給することができ、UV放射線発生装置118によって発生したUV放射線がオゾンをインシトゥ(その場)で原子状酸素に変換する。処理領域108におけるインシトゥでの原子状酸素の発生により、基板101の表面に高濃度の原子状酸素が供給される。冷却剤再循環アセンブリ168は、UV放射線の強度が低下する原因となる発光スペクトルのドリフトを防止するために、UV放射線発生装置118を一定の温度に維持する。冷却剤再循環アセンブリ168は、原子状酸素洗浄プロセスの効率を高めるために、UV放射線発生装置118からのUV放射線の強度を向上させる。UV放射線発生装置118からペデスタル110の上面120までの距離116によって、基板101の表面に供給される原子状酸素の濃度が制御される。
【0019】
[0020]冷却チャンバ102は、リフレクタ150を含む。リフレクタ150は、冷却領域106に配置され、冷却チャンバ102に結合されている。リフレクタ150は、UV放射線発生装置118によって放出されるUV放射線を反射するように動作可能であり、これにより、UV放射線がデバイダ104を通って処理領域108内により効率的に導かれるようになる。一実施形態では、リフレクタ150は、UV放射線発生装置118の上方に配置される。
【0020】
[0021]冷却チャンバ102は、冷却剤分配アセンブリ152を含む。冷却剤分配アセンブリ152は、冷却剤ガス入口154、冷却剤源156、及び冷却剤フローコントローラ158を含む。冷却剤ガス入口154は冷却チャンバ102に配置されている。マスフロー制御(MFC)装置等の冷却剤フローコントローラ158は、第1の冷却剤導管160を介して冷却剤源156と流体連結している。冷却剤フローコントローラ158は、冷却剤源156からの冷却ガスの流量を制御する。冷却剤源156は、空気、窒素ガス(N2)、又は他の適切なガス等の冷却ガスを含む。デバイダ104は、冷却ガスが処理領域108に配置されたオゾンと混合するのを防止する。冷却剤源156からの冷却ガスは、冷却剤フローコントローラ158を通り、第2の冷却剤導管162を介して冷却剤ガス入口154に移動する。冷却剤ガス入口154を出た冷却ガスは、UV放射線発生装置118上を冷却剤ガス出口164まで流れて、UV放射線発生装置118によって発生した熱を除去する。
【0021】
[0022]冷却剤分配アセンブリ152は、UV放射線発生装置118の温度を制御するために利用される。原子状酸素の形成効率を高めるために、処理領域108に入る約254nmの波長のUV放射線発生装置118からのUV放射線の強度が高いことが望ましい。UV放射線発生装置118によって放射されるUV放射線の強度を高めるために、UV放射線発生装置118に供給される電力を増加させる。電力の増加は、UV放射線発生装置118の熱の放出を引き起こす。放熱は、UV放射線の発光スペクトルのドリフトを引き起こす。発光スペクトルのドリフトは、254nmにおけるUV放射線の強度を低下させる。冷却剤分配アセンブリ152は、冷却領域106を約30℃から約40℃に維持するために、冷却領域106内に冷却ガスを流す。冷却剤源156からの冷却ガスは、UV放射線発生装置118上を流れて、UV放射線発生装置118を一定温度に維持する。
【0022】
[0023]温度センサ166は、UV放射線発生装置118の冷却の有効性を決定するために使用される情報を提供する。一実施例では、温度センサ166は、冷却領域106を出る冷却ガスの温度が決定され、冷却領域106及び/又はUV放射線発生装置118の温度を決定するためにそれが使用され得る情報を取得する。温度センサ166は、冷却剤フローコントローラ158及びコントローラ138と通信している。流量は、測定値に基づいて、UV放射線発生装置118の温度を上昇させるか低下させるかのいずれかに、冷却剤フローコントローラ158によって調整され得る。更に、UV強度センサ148は、冷却剤フローコントローラ158及びコントローラ138と通信している。UV強度センサ148のUV強度の測定値に基づき、冷却領域106に入る冷却剤の流量は、UV放射線発生装置118の動作状態又はUV強度センサ148によって感知されたUV放射線の量に基づいて、温度を上昇させるか低下させるかのいずれかに、冷却剤フローコントローラ158によって調整され得る。温度センサ166及びUV強度センサ148の一方又は両方は、原子状酸素洗浄チャンバ100に配置され得る。
【0023】
[0024]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる
図1Aに示すように、原子状酸素洗浄チャンバ100は、冷却剤ポンプ153を含む。冷却剤ポンプ153は冷却剤ガス出口164に結合され、冷却領域106内の冷却ガス圧力を制御し、第3の冷却剤導管155を介して冷却剤ガス出口164を通して冷却領域106から過剰の冷却ガスを排気する。
【0024】
[0025]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる
図1Bに示すように、原子状酸素洗浄チャンバ100は、冷却剤再循環アセンブリ168を含む。冷却剤再循環アセンブリ168は、冷却剤ガス入口154と冷却剤ガス出口164との間に結合されている。冷却剤再循環アセンブリ168は、冷却剤フローライン170と熱交換器172とを含む。冷却剤フローライン170は、第3の冷却剤導管155を介して冷却剤ガス出口164と流体連結している。ポンプ(図示せず)によって冷却ガスは冷却領域106から出て冷却剤再循環アセンブリ168に入る。冷却ガスは冷却剤フローライン170を通って熱交換器172に流れる。熱交換器172は、冷却ガスから外部環境又は別の冷却流体へ熱を除去する。冷却ガスは、熱交換器172から冷却剤フローライン170を通って冷却剤フローコントローラ158に流れ、そこで再循環した冷却ガスが冷却領域106に再導入される。冷却ガスは、冷却剤源156から第1の冷却剤導管160を介して冷却剤フローライン170に供給される。冷却ガスは、冷却剤フローコントローラ158を通り、第2の冷却剤導管162を介して冷却剤ガス入口154まで移動する。
【0025】
[0026]
図2は、基板101を原子状酸素で洗浄する方法200のフロー図である。説明を容易にするために、
図2を
図1A及び
図1Bを参照して説明する。しかしながら、原子状酸素洗浄チャンバ100以外の原子状酸素洗浄チャンバを利用して方法200を実行することができることに留意されたい。
【0026】
[0027]工程201において、基板101が原子状酸素洗浄チャンバ100に移送される。原子状酸素洗浄チャンバ100は、プロセスチャンバ103と冷却チャンバ102とを含む。基板101は、スリットバルブ114を通ってプロセスチャンバ103の処理領域108に入る。基板101は、処理領域108に配置されたペデスタル110に位置決めされる。基板101の第1の表面は、冷却チャンバ102の冷却領域106に配置された紫外線(UV)放射線発生装置118の方に配向される。UV放射線発生装置118からペデスタル110の上面120までの距離116は、約7ミリメートル(mm)から約30mmである。
【0027】
[0028]工程202において、オゾンの流れが処理領域108に供給される。オゾンガスは、約50sccmから約20000sccmの速度で処理領域108内に流される。処理領域108の圧力は、約0psiから約15psiに維持される。オゾンの流れは、処理領域108の基板101の第1の表面上に分配される。処理領域108に入るオゾンの流量は、コントローラ138と通信するフローコントローラ130によって制御される。
【0028】
[0029]工程203において、UV放射線発生装置118が放射線を放出する。放射線は、冷却チャンバ102の冷却領域106から処理領域10へデバイダ104を通過する。UV放射線発生装置118は、約240nmから約310nmの波長を有する放射線を放出するように構成されている。処理領域108の基板101の第1の表面上に分配されたオゾンの流れは、放射線に曝露され、酸素ガス(O2)及び原子状酸素(O)に変換される。酸素ガス及び原子状酸素は、基板101の第1の表面上の炭化水素等の有機材料を酸化させ、副生成物として二酸化炭素(CO2)及び水(H2O)を発生させる。
【0029】
[0030]工程204において、冷却ガスが冷却領域106に入る。冷却ガスは、冷却剤源156から供給され得る、及び/又は熱交換器172を通って冷却領域106に再循環され得る。冷却ガスは、冷却剤源156から冷却剤ガス入口154を通して冷却領域106に放出される。冷却ガスはUV放射線発生装置118上を流れ、冷却領域106及び/又はUV放射線発生装置118を所定の温度未満に維持する。所定の温度は、約30℃から約40℃である。冷却領域106内への冷却ガスの流量は、約1lpmから約10lpmである。冷却領域106の圧力は、約0psiから約15psiである。原子状酸素洗浄チャンバ100が冷却剤ポンプ153を含む場合、冷却ガスは冷却剤ポンプ153を用いて冷却領域106から除去される。原子状酸素洗浄チャンバ100が冷却剤再循環アセンブリ168を含む場合、冷却ガスは冷却剤フローライン170を通って熱交換器172に移動する。熱交換器172は、冷却剤ガス入口154を通って冷却領域106に再び入る前に、冷却ガスから熱を除去する。
【0030】
[0031]UV放射線発生装置118及び/又は冷却領域106の温度は、コントローラ138、冷却剤フローコントローラ158、並びに温度センサ166及びUV強度センサ148の一方又は両方を用いて制御される。温度センサ166及び/又はUV強度センサ148は、コントローラ138と通信している。温度センサ166及びUV強度センサ148は、冷却ガスの温度又は放射線のUV強度をそれぞれ決定し得る測定値を取得するように動作可能である。温度センサ166及びUV強度センサ148は、温度及び強度情報を中継する信号をコントローラ138に送信する。冷却ガスの温度又は放射線のUV強度は、UV放射線発生装置118の温度を確認するために使用され得る。冷却剤フローコントローラ158と通信しているコントローラ138は、UV放射線発生装置118を所望の温度に維持するように、温度センサ166及びUV強度センサ148の測定値に基づいて、冷却チャンバ102内に流される冷却ガスの流量を制御するように動作可能である。
【0031】
[0032]工程205において、副生成物が処理領域108から除去される。ポンプ143がガス出口140に結合され、ガス出口140を通して処理領域108から副生成物を排気する。オプションの工程206において、工程202、203、204、及び205が、基板101の後続の表面に対して繰り返される。例えば、基板101の反対側の面がプロセスチャンバ103内で露出し得るように、基板101を反転させることができる。方法200の終了時に、基板101を、更なる処理のために原子状酸素洗浄チャンバ100から取り出すことができる。
【0032】
[0033]まとめると、本明細書では、UV放射線発生装置の温度制御を備えた原子状酸素洗浄チャンバ、及び基板を原子状酸素で洗浄する方法が記載されている。UV放射線発生装置を積極的に冷却することによって、安定した波長で、すなわち、高出力のUV放射線発生装置の出力に通常伴う波長のドリフトなしに、より高い強度のUV放射線を発生させるように、UV放射線発生装置を動作させることができる。高強度の出力により、他の酸素含有洗浄剤と比較して、より多くの原子状酸素が速い反応速度と酸化能力を実現し、基板表面が迅速かつ効率的に洗浄される。原子状酸素洗浄チャンバは、UV放射線発生装置によって発生した放射線がインシトゥでオゾンを原子状酸素に変換するように、処理領域にオゾンを連続的に供給するオゾン発生装置を含む。
【0033】
[0034]前述の内容は本開示の実施例を対象としているが、以下の特許請求の範囲によって決定されるその基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他のさらなる実施例を考案することが可能である。
【国際調査報告】