(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-06
(54)【発明の名称】インジウムガリウム亜鉛酸化物のエッチング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556915
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022020421
(87)【国際公開番号】W WO2022197728
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウツァーン・アーロン・リン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】リル・ソーステン・ベルンド
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA03
5F004BB13
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB27
5F004BB28
5F004CA04
5F004CA06
5F004CA08
5F004DA00
5F004DA13
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DB13
5F004EA28
(57)【要約】
【解決手段】インジウムガリウム亜鉛酸化物の層を有するウェハを処理チャンバに提供し、ウェハを第1の温度に加熱し、フッ化物を含む第1の化学種を流してインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を作成し、アルキルアルミニウムハライド、アルミニウムアルカリド、有機アルミニウム化合物、ジケトン、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを含む第2の化学種を流すことによりインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を除去することによって、インジウムガリウム亜鉛酸化物はエッチングされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ウェハを処理チャンバに提供することであって、前記ウェハが、インジウムガリウム亜鉛酸化物の層を有しており、
前記ウェハを第1の温度に加熱することと、
前記ウェハが前記第1の温度にある間に、フッ化物を含む第1の化学種を前記ウェハ上に流すことによって前記インジウムガリウム亜鉛酸化物の層の表面を改質して、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を作成することと、アルキルアルミニウムハライド、アルミニウムアルカリド、有機アルミニウム化合物、ジケトン、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを含む第2の化学種を前記ウェハ上に流すことにより、前記インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を除去することと、によって、前記インジウムガリウム亜鉛酸化物の層をエッチングすることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記改質することが、前記第1の化学種を含む第1のプロセスガスを流すことを含み、
前記除去することが、前記第2の化学種を含む第2のプロセスガスを流すことを含む、
方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記ウェハ上に前記第1のプロセスガスを流すことが、前記ウェハ上に前記第2のプロセスガスを流すことと、少なくとも部分的に重複する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記第1のプロセスガスを流すことが、前記ウェハ上に前記第2のプロセスガスを流すことと重複しない、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記エッチングすることが、
前記第1のプロセスガスの流れを停止することと、
前記第1のプロセスガスの流れを停止した後に、前記ウェハ上にパージガスを流すことと、
前記パージガスを流すことの最中、又は後に、前記第2のプロセスガスの流れを開始することと
をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記エッチングすることが、前記第1のプロセスガスの前記停止の前、間、又は後に、前記パージガスの流れを開始することをさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1のプロセスガスを流すことが、第1の期間、実行され、
前記第2のプロセスガスを流すことが、前記第1の期間とは異なる第2の期間、実行される、
方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法であって、前記第1のプロセスガスを流すことと、前記第2のプロセスガスを流すことの両方が、実質的に同じ期間、実行される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記エッチングすることが、前記第1の化学種と前記第2の化学種の両方を含むプロセスガスを前記ウェハ上に流すことを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記改質することが、プラズマを使用することを含み、前記除去することが、プラズマを使用しない、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記プラズマがリモートプラズマである、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記プラズマが、前記処理チャンバで生成される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記改質すること及び前記除去することが、プラズマを使用しない、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記改質すること及び前記除去することが、前記ウェハが実質的に同じ温度で維持されている間になされる、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記改質することが、前記ウェハが前記第1の温度で維持されている間になされ、
前記除去することが、前記ウェハが前記第1の温度とは異なる第2の温度で維持されている間になされる、
方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記改質することの後に、前記第1の温度から、前記第1の温度より高い前記第2の温度に前記ウェハを加熱することをさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記改質することの後に、前記第1の温度から、前記第1の温度より低い前記第2の温度に前記ウェハを冷却することをさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記改質することが、前記ウェハが前記第1の温度から、前記第1の温度とは異なる第2の温度に変更されている間になされる、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、前記除去することが、前記ウェハが前記第1の温度から、前記第1の温度とは異なる第2の温度に変更されている間になされる、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、前記改質すること及び前記除去することが、前記処理チャンバが実質的に同じ圧力に維持されている間になされる、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記改質することが、前記処理チャンバが第1の圧力に維持されている間になされ、
前記除去することが、前記処理チャンバが前記第1の圧力とは異なる第2の圧力に維持されている間になされる、
方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、前記改質することが、前記処理チャンバの圧力が第1の圧力から、前記第1の圧力とは異なる第2の圧力に変更されている間になされる、方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、前記除去することが、前記処理チャンバの圧力が第1の圧力から、前記第1の圧力とは異なる第2の圧力に変更されている間になされる、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、前記第1の化学種が、フッ化水素、フッ化硫黄、フッ化窒素、及びフッ化キセノンの1つを含む、方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の化学種が、ジメチルアルミニウムクロリド、トリメチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、スズ(II)アセチルアセトナート、ヘキサフルオロアセチルアセトン、及びアセチルアセトンからなる群より選択される、方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、前記第2の化学種が、四塩化ケイ素(SiCl
4)、ジメチルジクロロシラン(SiCl
2(CH
3)
2)、トリメチルクロロシラン(SiCl(CH
3)
3)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、ジメチルクロロシラン(SiHCl(CH
3)
2)、テトラメチルシラン(Si(CH
3)
4)、及びSiに結合したCl、H、及びCH
3リガンドの他の組み合わせからなる群より選択される、方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法であって、
前記エッチングすることの後に、インジウム及びガリウムが前記ウェハの表面上に残留し、
前記方法が、前記エッチングすることの後に、前記ウェハの前記表面上に残留する前記インジウム及びガリウムを優先的に除去することをさらに含む、
方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法であって、前記エッチングすることの間に、前記処理チャンバの側壁、前記処理チャンバ内のガス分散デバイス、又は前記ガス分散デバイスに流体接続されたガス送達ラインの1つ又は複数を、少なくとも約40℃を超える第2の温度に加熱することをさらに含む、方法。
【請求項29】
半導体処理用の装置であって、
内部と、前記内部でウェハを支持するように構成されたウェハ支持体とを含む処理チャンバと、
前記ウェハ支持体によって支持されたウェハを加熱するように構成されたウェハ加熱ユニットと、
フッ化物を含む第1の化学種を前記処理チャンバ内で前記ウェハ上に流し、アルキルアルミニウムハライド、アルミニウムアルカリド、有機アルミニウム化合物、ジケトン、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを含む第2の化学種を前記処理チャンバ内で前記ウェハ上に流すように構成されたプロセスガスユニットと、
コントローラであって、
インジウムガリウム亜鉛酸化物の層を有する前記ウェハを前記処理チャンバに提供し、
前記ウェハを第1の温度に加熱し、
前記ウェハが前記第1の温度にある間に、前記第1の化学種を前記ウェハ上に流すことによって前記インジウムガリウム亜鉛酸化物の層の表面を改質して、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を作成することと、前記第2の化学種を前記ウェハ上に流すことにより、前記インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を除去することと、によって、前記インジウムガリウム亜鉛酸化物の層をエッチングする
ように構成された命令を有するコントローラと
を含む、装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、前記第2の化学種が、ジメチルアルミニウムクロリド、トリメチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、スズ(II)アセチルアセトナート、ヘキサフルオロアセチルアセトン、及びアセチルアセトンからなる群より選択される、装置。
【請求項31】
請求項29に記載の装置であって、前記第2の化学種が、四塩化ケイ素(SiCl
4)、ジメチルジクロロシラン(SiCl
2(CH
3)
2)、トリメチルクロロシラン(SiCl(CH
3)
3)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、ジメチルクロロシラン(SiHCl(CH
3)
2)、テトラメチルシラン(Si(CH
3)
4)、及びSiに結合したCl、H、及びCH
3リガンドの他の組み合わせからなる群より選択される、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
PCT出願願書が、本出願の一部として、本明細書と同時に提出されている。同時に提出されたPCT出願願書に特定され、本出願がその利益又は優先権を主張する各出願は、その全体が全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
半導体製造は、パターニングスキーム及び他のプロセスをしばしば伴い、これにより一部の材料が選択的にエッチングされ、基板の他の露出面のエッチングを防止する。デバイスの形状がますます小さくなるにつれて、他の材料をエッチングすることなく所望の材料の効果的なエッチングを達成するために、高いエッチング選択性のプロセスが望まれる。
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示又は暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、及びデバイスは各々、いくつかの革新的な態様を有し、本明細書で開示される望ましい属性に単独で全責任を負うものはない。これらの態様の中には、少なくとも以下の実施態様が含まれるが、さらなる実施態様が、詳細な説明に記載されているか、又は本明細書で提供される議論から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、開示された実施形態に従い動作を実行するためのプロセスフロー図の一例を描く。
【0006】
【
図2】
図2は、開示された実施形態に従い動作を実行するための第2のプロセスフロー図例を描く。
【0007】
【
図3】
図3は、開示された実施形態に従い原子層エッチングの概略図の一例を描く。
【0008】
【
図4】
図4は、開示された実施形態に従い動作を実行するための第3のプロセスフロー図例を描く。
【0009】
【
図5A】
図5Aは、様々な実施形態に係るガス流シーケンスの例を描く。
【
図5B】
図5Bは、様々な実施形態に係るガス流シーケンスの例を描く。
【
図5C】
図5Cは、様々な実施形態に係るガス流シーケンスの例を描く。
【0010】
【
図6】
図6は、開示された実施形態に従いエッチングの概略図の一例を描く。
【0011】
【
図7】
図7は、開示された実施形態に従い半導体処理用の装置の一例を描く。
【0012】
【
図8】
図8は、開示された実施形態に従い装置の一例の側面断面図を描く。
【0013】
【
図9】
図9は、複数のLEDsを有する基板ヒータの上面図を描く。
【0014】
【0015】
【
図11A】
図11Aは、本明細書に記載されるエッチング動作を実行するために使用され得る調整可能ギャップ容量結合閉込めRFプラズマリアクタの一実施形態を例示する。
【
図11B】
図11Bは、本明細書に記載されるエッチング動作を実行するために使用され得る調整可能ギャップ容量結合閉込めRFプラズマリアクタの一実施形態を例示する。
【
図11C】
図11Cは、本明細書に記載されるエッチング動作を実行するために使用され得る調整可能ギャップ容量結合閉込めRFプラズマリアクタの一実施形態を例示する。
【0016】
【
図12】
図12は、真空搬送モジュールと接続する様々なモジュールを有する半導体プロセスクラスタアーキテクチャを描く。
【0017】
【
図13】
図13は、インジウムガリウム亜鉛酸化物のエッチングの実験結果のグラフを描く。
【0018】
【
図14】
図14は、開示された実施形態に係るインジウムガリウム亜鉛酸化物の2つのALEエッチング手順後の基板の側面断面図を描く。
【0019】
【
図15】
図15は、マルチステーション処理ツールの一実施形態の概略図を描く。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、提示された実施形態の徹底的な理解を提供するために、多数の具体的詳細が記載される。開示された実施形態は、これらの具体的詳細の一部又は全てがなくとも、実施され得る。他の例では、周知のプロセス動作は、開示された実施形態を不必要に曖昧にすることのないように、詳細には説明されない。開示された実施形態は、特定の実施形態と関連して説明されるが、開示された実施形態を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0021】
本出願において、「半導体ウェハ」、「ウェハ」、「基板」、「ウェハ基板」、及び「部分的に製造された集積回路」という用語は、同じ意味で使用される。当業者であれば、「部分的に製造された集積回路」という用語が、シリコンウェハ上への集積回路製造の多くの段階のいずれかの間のシリコンウェハを指すことができることを理解するだろう。半導体デバイス産業で使用されるウェハ又は基板は、通常、200mm、又は300mm、又は450mmの直径を有する。以下の詳細な説明では、本発明がウェハ上で実装されることを想定している。ただし、本発明はそれほど限定的ではない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、及び材料のものであってもよい。半導体ウェハ以外にも、この発明を利用し得る他のワークピースとして、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどの様々な物品が挙げられる。
【0022】
導入と文脈
半導体製造プロセスは、導体、半導体、及び誘電体を含む様々な材料のパターニングとエッチングを含むことが多い。いくつかの例として、金属又は炭素などの導体、ケイ素又はゲルマニウムなどの半導体、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化ハフニウム、窒化ケイ素、及び窒化チタンなどの誘電体が挙げられる。原子層エッチング(「ALE」)プロセスは、逐次的な自己律速型の反応を用いて材料の薄層を除去する。一般的に、ALEサイクルは、単層のエッチングなど、エッチングプロセスを1回実行するために使用される最小限の動作のセットである。1回のALEサイクルの結果、基板表面上の膜層の少なくとも一部がエッチングされる。通常、ALEサイクルは、反応性層を形成する改質動作と、続いてこの反応性層のみを除去又はエッチングする除去動作とを含む。サイクルは、反応物又は副生成物の1つを除去する等の特定の補助動作と、処理チャンバの表面に蓄積した残留物を除去する洗浄動作とを含むことがある。一般に、1つのサイクルは、特有の一連の動作の1つのインスタンスを含む。
【0023】
一例として、ALEサイクルは、以下の動作を含んでもよい:(i)反応ガスである第1のプロセスガスの送達、(ii)チャンバからの反応ガスのパージ、(iii)除去ガスである第2のプロセスガス及び任意選択のプラズマの送達、並びに(iv)チャンバのパージ。いくつかの実施形態では、エッチングは、非コンフォーマルに行われてもよい。場合によっては、処理チャンバの表面に蓄積した残留物を除去するために、1つ又は複数のサイクル後に洗浄動作が行われてもよい。改質動作(上記項目(ii))は、一般に、薄い反応性の表層を形成し、その厚さは、未改質材料よりも薄い、例えば、1、2、若しくは3原子層厚などであり、又は1サイクルで全原子層未満である。
【0024】
本明細書に記載されるエッチング及び/又はALEプロセスのいくつかの実施態様は、併せて化学反応に依存する場合があり、基板を特定の温度又は温度範囲に維持して、「熱ALE」又は「熱エッチング」と見なしてよい改質動作及び/又は除去動作における化学反応を促進する。いくつかの実施形態では、熱ALEは、等方性エッチングと考えてよい。いくつかの実施形態では、基板の1つ又は複数の層は、基板が第1の温度で維持されている間に、プラズマを用いず、化学的な吸着(以下、「化学吸着」という)により改質されてもよく、その後、基板の1つ又は複数の改質層は、基板が第2の温度にある間に、プラズマを用いず、脱着により除去されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の温度と第2の温度は同じであってもよく、いくつかの他の実施形態では、互いに異なってもよい。化学吸着及び脱着は、温度依存性の化学反応であり、別々の温度状態で発生することもあれば、部分的に重なる温度状態で発生することもあり、又は同じ温度状態で発生することもある。このため、本明細書に記載される熱ALE技術の一部は、改質動作及び除去動作の間、基板の温度を同じ、又は実質的に同じ(例えば、互いの約10%又は5%以内)温度に維持する。いくつかの他の実施形態は、改質動作のためにある温度で発生する化学吸着を可能にして利用し、かつ除去動作のために異なる温度で発生する脱着を可能にして利用するために、改質動作と除去動作の間で基板の温度を調節する。
【0025】
熱ALEのいくつかの実施形態では、プラズマは、改質動作中に使用され、除去動作中には使用されなくてもよい。
【0026】
いくつかの熱ALEプロセスでは、材料の1つ又は複数の表層は、基板が第1の温度で維持されている間に化学吸着によって改質される。この結果として、基板の1つ又は複数の改質された表層が形成されることがある。基板は、材料の均一な層であってもよいし、異なる分子及び元素を含む不均一な層であってもよい材料の層と露出面とを含む。改質分子を有する第1のプロセスガスは、第1の温度で維持された基板上に流されてもよい。いくつかの実施形態では、改質分子は、基板上の露出した分子をハロゲン化するために、後述のようにフッ素などのハロゲンを含んでもよい。第1のプロセスガスはまた、N2、Ar、He、及びNeなどのキャリアガスを含んでもよい。この第1の温度は、改質分子と、材料の露出面(複数可)内の分子の少なくとも一部との間の化学吸着を可能にする。
【0027】
改質動作と除去動作が異なる温度で行われる実施形態のいくつかでは、改質動作の後に、基板の温度は、第2の温度にされてもよく、かつ任意選択のパージ動作が行われてもよい。この第2の温度は、1つ又は複数の改質された表層に対して脱着が発生する温度であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度より高くてもよく、かつ基板の温度は、第1の温度から第2の温度に上げられてもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は、第1の温度より低くてもよく、これらの実施形態では、基板の温度は、第1の温度から第2の温度に、アクティブに冷却されてもよい。基板は、放射加熱、対流加熱、固体間熱伝達、又はプラズマを用いて加熱されてもよい。さらに、基板の上部、底部、又はそれら両方を加熱してもよい。基板の加熱はまた、いくつかの実施形態では、非直線的になされてもよく、基板は、様々な手法でアクティブに冷却されてもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、改質動作と除去動作が同じ、又は実質的に同じ温度で行われるように、第2の温度は第1の温度と同じ、又は実質的に同じ(例えば、互いの約10%又は5%以内)であってもよい。
【0028】
1つ又は複数の改質された表層は、基板が第2の温度で維持されている間に除去されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度のみが、基板からの改質された分子の脱着を可能にし、かつ引き起こし、それによって基板から改質された分子を除去してもよい。いくつかの他の実施形態では、除去分子を有する第2のプロセスガスが、基板の露出面上を含む基板上に流されてもよい。第2のプロセスガスはまた、上述したキャリアガスを含んでもよい。これらの除去分子は、改質された分子と反応して異なる揮発性分子を形成してもよく、揮発性分子は、揮発化分子と考えてよい。この揮発化分子は次に、基板が第2の温度にあるときに、脱着によって基板から除去されてもよい。いくつかの実施形態では、この第2のプロセスガスを流すことは、除去動作の一部であってもよく、又は基板の加熱前、加熱後、若しくは加熱中になされる別個の動作であってもよい。
【0029】
いくつかの他のALEプロセスでは、プラズマからなどのイオンエネルギーが、改質動作及び/又は除去動作を引き起こすために使用されてもよい。改質動作の一例では、基板は、チャンバ内に塩素を導入することによって、塩素で処理されてもよい。塩素は、エッチャント種又はエッチングガスの一例として使用されるが、異なるエッチングガスがチャンバ内に導入されてもよいことが理解されよう。エッチングガスは、エッチングされる基板の種類及び化学的性質に応じて選択されてもよい。エッチングプロセスのために、プラズマが点火されてもよく、かつ塩素は基板と反応する。塩素は、基板と反応してもよいし、基板の表面上に吸着してもよい。プラズマから発生する種は、基板を収容する処理チャンバ内でプラズマを形成することによって直接生成でき、又は基板を収容しない処理チャンバ内で遠隔に生成して、基板を収容する処理チャンバ内に供給できる。
【0030】
いくつかの実施形態では、ALEは、等方性であり、したがって無指向性であってもよい。いくつかの他の実施形態では、指向性イオンが改質動作中など、エッチングプロセスにおいて使用される場合、ALEは等方性ではない。
【0031】
場合によっては、エッチングに先立ち、基板は、ケイ素又はゲルマニウムなどの材料のブランケット層を含んでもよい。基板は、基板上にあらかじめ堆積され、パターニングされたパターニングマスク層を含んでもよい。例えば、マスク層は、ブランケットアモルファスシリコン層を含む基板上に堆積され、パターニングされてもよい。基板上の層もまた、パターニングされてもよい。基板は、ビア又はコンタクトホールなどの「フィーチャ」を有してもよく、フィーチャは、1つ又は複数の狭い、かつ/又は再入型の開口部、フィーチャ内部の狭窄、及び高アスペクト比を特徴としてもよい。フィーチャの一例は、半導体基板又は基板上の層の穴又はビアである。別の例は、基板又は層内のトレンチである。種々の例において、フィーチャは、バリア層又は接着層などの下地層を有してもよい。下地層の非限定的な例として、誘電体層及び導電体層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び金属層が挙げられる。フィーチャの別の例は、指向性イオンではアクセスできないこともある場所でのエッチングを必要とし得るオーバーハング又は棚を含み得る。
【0032】
改質分子及び除去分子が基板上に少なくとも並行して流され、したがって改質動作と除去動作が少なくとも部分的に重複する他のエッチングが行われてもよい。改質分子と除去分子の両方を含む1つ又は複数のプロセスガスが、このような処理中にウェハ上に同時に流されてもよい。このエッチングの多くの実施態様において、改質分子及び除去分子は、互いに対する有害な反応には限定されないため、それらは基板上に並行して流されてもよい。場合によっては、この並行する流れは、エッチングの全てに関して発生してもよく、他の例では、並行する流れは、エッチングの一部のみに関して発生してもよい。部分的にのみ重複する流れを有するいくつかの例では、除去分子が基板上に流される前に、改質分子が基板上に流されてもよく、その後、改質分子と除去分子の両方が、同時に基板上に流されてもよい。場合によっては、改質分子と除去分子の両方の流れは、実質的に同じ時間に停止してもよく(例えば、互いの約10%又は5%以内)、他の例では、改質分子の流れは停止してもよく、かつ除去分子は基板上に流されてもよい。
【0033】
いくつかの半導体プロセスは、薄膜トランジスタ(すなわち、TFTs)として含むこの薄膜構造において様々な目的で半導体インジウムガリウム亜鉛酸化物(本明細書では、「IGZO」又は「InGaZnO」として使用)を利用し、望ましい構造を作成するために、IGZOを堆積することと、トレンチ又はビア内からIGZOの一部を除去するなど、ウェハから堆積されたIGZOの一部分を除去することとの両方を必要とする。望ましい不均一性の許容範囲内で、ウェハ上に残す予定のIGZO材料の組成を損なわず、かつ/又は変化させることなく、かつウェハ上の他の材料に悪影響を及ぼすことなく、IGZOをエッチングするのが望ましい。
【0034】
しかしながら、ウェハからのIGZOの除去は、独特で困難な課題と考察をもたらし、従来のエッチングでは、望ましい不均一性の許容範囲内で、ウェハ上のIGZO材料及び他の材料の組成を損なわず、かつ/又は変化させることなく、IGZOをエッチングすることはできない。例えば、各元素、インジウム、ガリウム、及び亜鉛では、表面から分離する中間生成物の結合エネルギーが異なり、したがって、これらのIGZO元素の各々を除去するために使用される様々なハロゲン化物に関して、異なるエネルギー量で異なる除去点、例えば温度を有する。例えば、各元素、インジウム、ガリウム、及び亜鉛は、他の元素とは異なる温度で分離する。この結果、不必要にも、ウェハからのIGZOの不均一かつ不規則な除去をもたらし、不均一性を増大させ、材料の性能を低下させる可能性があり、また、IGZO元素のインサイチュでの残留物の蓄積を招き、除去はより遅く、より少量になる。この残留物は、ウェハ上の欠陥や、残留物のフレーキングによって引き起こされる粒子汚染に起因する、後に処理されるウェハ上の欠陥につながる可能性があり、また、エッチングプロセスを汚染し、エッチング停止につながる可能性もある。さらに、一部のIGZO元素のこの優先的枯渇は、ウェハ上に残留する材料の組成を根本的に変化させ、したがって、IGZOとは異なるこの材料の物理的特性及び属性を根本的に変化させる可能性がある。
【0035】
これらの不利益に加えて、IGZOを除去するための従来の技術の一部は、さらにウェハに悪影響を及ぼす場合がある。例えば、プラズマを使用する反応性イオンエッチング(「RIE」)は、結果として不十分なエッチング均一性と、IGZOの組成を変化させ、かつその特性を低下させる可能性のあるプラズマからの不要な注入とをもたらす。いくつかのそのような例では、IGZOのRIEエッチングに使用されるハロゲン又は水素が、IGZOに取り込まれる可能性があり、その特性を不必要に低下させる。RIEエッチングにおけるプラズマはまた、等方性ではなく指向性であるため、その能力は基板表面に対して垂直な方向へのエッチングに制限され、棚又はオーバーハングの下でのエッチングを妨げる。
【0036】
インジウムガリウム亜鉛酸化物をエッチングするための技術
IGZO材料の組成及び構造を損なわず、かつ/又は変化させることなく、さらにウェハ上の他の材料に悪影響を及ぼすことなく、望ましい不均一性の許容範囲内でIGZOをエッチングするための技術及び方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施態様は、熱ALEを含む、IGZOの等方性エッチングを含んでもよい。いくつかの他の実施態様は、少なくとも改質動作の一部の間にプラズマを使用する熱ALEを含んでもよい。本明細書に記載されるエッチングは、フッ化水素などのフッ化物を含有する第1の化学種をウェハ上に流して、IGZOの層の表面を改質し、IGZOの改質層を形成することによって、改質動作を実行し、フッ化物を有する第1の化学種は、本明細書に記載される改質分子と見なされてよい。この改質は、IGZOの層を、特定の化学物質に反応するインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層(すなわち、IGZOの改質層)に変換する。IGZOの改質層であるインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物は、反応性であり、かつアルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを含有する第2の化学種をウェハ上に流すことによって選択的に除去可能であり、第2の化学種は、本明細書に記載される除去分子と見なされてよい。これらのアルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドは、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物と反応して、ウェハから脱着する揮発性分子を形成する。いくつかの実施形態は、例えば、アルミニウムアルカリド、ジメチルアルミニウムクロリド(DMAC)及びジエチルアルミニウムクロリドなどの有機アルミニウム化合物、トリメチルアルミニウム(TMA)、又はスズ(II)アセチルアセトナート(Sn(acac)2)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac)、及びアセチルアセトン(Hacac)などのジケトンを含有する第2の化学種を使用してもよい。いくつかの実施形態は、四塩化ケイ素(SiCl4)などのハロゲン化ケイ素、ジメチルジクロロシラン(SiCl2(CH3)2)又はトリメチルクロロシラン(SiCl(CH3)3)などのハロゲン化シラン、ジクロロシラン(SiH2Cl2)又はジメチルクロロシラン(SiHCl(CH3)2)などのアルキルシリコンハライド、テトラメチルシラン(Si(CH3)4)などのシラン、又はSiに結合したCl、H、及びCH3リガンドの他の組み合わせを含有する第2の化学種を使用してもよい。
【0037】
図1は、開示された実施形態に従い動作を実行するためのプロセスフロー図の一例を描く。ブロック101で、ウェハのエッチングを行うように構成された処理チャンバにウェハが提供される。ウェハは、その上に堆積されたIGZOの層を有してもよく、場合によっては、IGZOの層の表面は、処理チャンバ環境に曝露されてもよい。ウェハ上で、このIGZOはまた、側壁及び/又は穴、ビア、若しくはトレンチの底部に沿って、棚又はフィーチャの下側に、かつ/又はフィーチャの上面上に配置されてもよい。いくつかのそのような実施態様では、等方性熱ALEは、無指向性の見通し外エッチングを実行して、高アスペクト比を有するエリアと、棚又はオーバーハングの下などの見えないエリアとに到達できるため、有利である。
【0038】
ブロック103で、ウェハは第1の温度に加熱され、第1の温度は、本明細書に提供されるように、特定の温度と見なされてもよいし、又は温度範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の温度は、例えば、約20℃から500℃、約20℃から150℃、約20℃から100℃、約20℃から80℃、約200℃から600℃、約200℃から500℃、約200℃から350℃、又は約350℃から500℃の間であってもよい。より詳細に以下で論じるように、ウェハは、エッチング、改質動作、及び/又は除去動作の全て、又は実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、又は95%)の間、第1の温度で維持されてもよい。
【0039】
ブロック105で、フッ化物を有する第1の化学種をウェハ上に流してインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を作成することによってIGZOの層の表面を改質し、かつアルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを有する第2の化学種をウェハ上に流すことによってインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を除去することによって、ウェハ上のIGZOの層がエッチングされる。いくつかの実施態様は、場合によってはパージ動作によって分離されてもよい別々の改質動作と除去動作とを有してもよい。これらの実施態様は、自己律速型のエッチングと考えてよい。いくつかの他の実施態様は、少なくとも部分的に重複する改質動作と除去動作とを有してもよく、これらの動作は、いくつかの実施形態では、第1の種(すなわち、改質分子)と第2の種(すなわち、除去分子)をウェハ上に並行して流すことによって実行されてもよい。
【0040】
フッ化物を有する第1の化学種は、以下の非限定的な例の1つ又は複数を含んでもよい:HFなどのフッ化水素、テトラフルオロ硫黄又は六フッ化硫黄などのフッ化硫黄、三フッ化窒素などのフッ化窒素、及び二フッ化キセノンなどのフッ化キセノン。他のハロゲンとは対照的に、IGZOの層の表面を改質するためのフッ素種の使用は、結果として独特な反応性化合物、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物をもたらし、これにより、アルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドなどの除去分子の存在時に、IGZOの全成分、つまり、インジウム、ガリウム、及び亜鉛の除去を可能にし、かつ許容する。第1の化学種は、蒸気の形態でウェハ上に流されてもよく、かつ例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、又はネオンなどのキャリアガスを任意選択で含み得るプロセスガスの一部として流されてもよい。
【0041】
アルキルアルミニウムハライドを有する第2の化学種は、例えば、ジメチルアルミニウムクロリド(DMAC)、又はエチル基からなどの他のアルキルアルミニウムハライド置換基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第2の化学種はまた、例えば、アルキルアルミニウムハライド、アルミニウムアルカリド、TMA並びにDMACとジエチルアルミニウムクロリドを含む有機アルミニウム化合物、又はスズ(II)アセチルアセトナート(Sn(acac)2)、ヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac)、及びアセチルアセトン(Hacac)などのジケトンを含む金属前駆体などの、別のクラスの材料であってもよい。ケトンは、二重結合を介して炭素を酸素に結合した分子であり、ジケトンはこの結合を2つ有する。いくつかの実施形態では、第2の化学種は、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを含んでもよく、例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)、ジメチルジクロロシラン(SiCl2(CH3)2)、トリメチルクロロシラン(SiCl(CH3)3)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、ジメチルクロロシラン(SiHCl(CH3)2)、テトラメチルシラン(Si(CH3)4)、又はSiに結合したCl、H、及びCH3リガンドの他の組み合わせを含む。本明細書で提供される技術は、これらの第2の化学種のいずれかを使用してもよい。
【0042】
アルキルアルミニウムハライドの実施形態を再度参照すると、アルキルアルミニウムハライドは、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物と反応して、各金属元素、すなわちインジウム、ガリウム、及び亜鉛を揮発性にし、ウェハから脱着させる。ここで、この交換反応はエネルギー的に有利であるため、これらのアルキルアルミニウムハライドは、例えば、ハロゲン化物基とアルキル基の組み合わせの転移により揮発性化合物を形成することにより、又は結合してアルキルアルミナハライドとIGZO-フッ化物の組み合わせを含有する揮発性金属化合物を形成することにより、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物を伴う揮発性化合物を形成できる。酸素は、改質、除去、又はそれら両方の間に除去されてもよい。第2の化学種もまた、蒸気の形態でウェハ上に流されてもよく、かつ例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、又はネオンなどのキャリアガスを任意選択で含み得るプロセスガスの一部として流されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ブロック105のエッチングは、そのようなエッチングを可能にする様々なプロセス条件下で実行されてもよい。上述の温度範囲に加えて、いくつかの実施態様は、エッチング中に基板を約150℃から約400℃の間の温度で維持してもよい。また、処理チャンバが、例えば、約20mTorrから600mTorr、約30mTorrから500mTorr、及び約40mTorrから400mTorrの間、並びに約3Torrから8Torr、約4Torrから8Torr、2Torrから10Torr、及び100Torrから760Torrの間を含む、約20ミリトール(mTorr)から760Torr(1atm)の間の圧力に維持されている間に、エッチングが実行されてもよい。より詳細に以下で論じるように、いくつかの実施態様は、実質的に一定のプロセス条件(例えば、設定条件の約10%又は5%の偏差などの、軽微な偏差)でブロック105のエッチングを実行するが、他の実施態様では、エッチング中に1つ又は複数のプロセス条件が変動してもよい。
【0044】
いくつかの実施態様は、別々の改質動作と除去動作とを使用してIGZOをエッチングしてもよい。
図2は、開示された実施形態に従い動作を実行するための第2のプロセスフロー図例を描く。ここで、ブロック201及び203は、
図1のブロック101及び103と同じである。
図2では、ブロック105の改質動作及び除去動作は、それぞれブロック205A及び205Bという別々の動作として実行される。これは、自己律速型のエッチング、及びALE又は熱ALEと考えてよい。
【0045】
ブロック203に続いて、IGZOの層の表面は、ブロック205Aで改質され、つまり、このブロックは改質動作を表わす。ここではブロック205Aが、フッ化物を有する第1の化学種を含む第1のプロセスガスをウェハ上に流すことを含むことを除いて、IGZOの層は、
図1のブロック105に関して上述したように改質される。ブロック105でのように、第1の化学種をウェハ上に流すことで、IGZOの層の表面を改質し、かつインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層を作成し、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物の層は、第2の化学種、例えば、アルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、及びアルキルシリコンハライドへの曝露及びそれとの反応によって除去できる。第1のプロセスガス中のこの第1の化学種は、以下の非限定的な例の1つ又は複数を含む、本明細書に提供されるもののいずれかであってもよい:HFなどのフッ化水素、テトラフルオロ硫黄又は六フッ化硫黄などのフッ化硫黄、三フッ化窒素などのフッ化窒素、及び二フッ化キセノンなどのフッ化キセノン。第1のプロセスガスはまた、蒸気の形態でウェハ上に流されてもよく、かつ任意選択で、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、又はネオンなどのキャリアガスを含んでもよい。ブロック205Aの改質動作は、ウェハへの第1のプロセスガスの流れを止めることによって停止されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、改質分子が活性化障壁を克服してウェハ上に吸着するのを助けるために、活性化エネルギーが提供されてもよい。この活性化エネルギーには、熱エネルギー、ラジカルエネルギー、及び/又はUV光子が提供されてもよく、場合によっては、ウェハを加熱すること、及び/又はプラズマ若しくは光子を発生させることを含んでもよい。この改質分子の第1の材料への吸着は、エネルギー依存(例えば、温度依存)化学反応である化学的な吸着、すなわち「化学吸着」と考えてよい。一部の熱ALE技術について、改質動作中のこの化学吸着は、材料層中の分子と入ってくる改質分子の活性化障壁の克服を可能にして、これらの分子と改質分子中の吸着物との間の解離及び化学結合を可能にする特定の温度範囲でのみ発生する場合がある。この温度範囲外では、化学吸着が発生しないか、望ましくない(例えば、遅い)速度で発生する場合がある。
【0047】
したがって、ブロック205Aのいくつかの実施態様は、プラズマではなく、熱活性化エネルギーのみを使用してIGZOの表層を改質する。第1のプロセスガスは、活性化エネルギーを提供する第1の温度で維持されているウェハ上に流され、IGZOは、化学吸着によって改質されて、IGZOの改質層である反応性インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物を形成する。第1の温度は、例えば、約20℃から500℃、約20℃から150℃、約20℃から100℃、約20℃から80℃、約100℃から500℃、約100℃から450℃、約150℃から500℃、約150℃から450℃、又は約150℃から400℃の間などの、本明細書に提供される任意の温度又は温度範囲であってもよい。さらに、ウェハは、改質動作の全て、又は実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、又は95%)の間、第1の温度で維持されてもよい。改質動作の持続時間は、基板上の所望の露出分子の実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、又は95%)の改質がなされる持続時間であってもよい。これは、例えば、約0.5秒から約600秒、約0.5秒から約400秒、約0.5秒から約300秒、約0.5秒から約10秒、約0.5秒から約5秒、約1秒から約5秒、又は約5秒から約300秒の範囲であってもよい。
【0048】
いくつかの実施態様では、プラズマからなどのイオンエネルギーが、ブロック205Aの改質動作を引き起こすために使用されてもよい。場合によっては、プラズマが点火されてもよく、かつフッ素がウェハと反応してもよく、又はウェハの表面上に吸着してもよい。プラズマから発生する種は、ウェハを収容する処理チャンバ内でプラズマを形成することによって直接生成でき、又はウェハを収容しない処理チャンバ内で遠隔に生成して、ウェハを収容する処理チャンバ内に供給できる。
【0049】
ブロック205Aの改質動作後、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物は、ブロック205Bでウェハから除去される。ここではブロック205Bが、アルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを有する第2の化学種を含む第2のプロセスガスをウェハ上に流すことを含むことを除いて、この除去は、
図1のブロック105に関して上述したように実行される。ブロック105でのように、第2の種は、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物と反応して、少なくとも金属成分であるインジウム、ガリウム、及び亜鉛をウェハから脱着させ、すなわち除去する。第2のプロセスガス中のこの第2の化学種は、DMAC、TMA、別の有機アルミニウム化合物、ジエチルアルミニウムクロリド、エチル基からなどの他のアルキルアルミニウムハライド置換基、又は他の金属前駆体などの、本明細書に提供されるもののいずれかであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のプロセスガス中の第2の化学種は、四塩化ケイ素(SiCl
4)、ジメチルジクロロシラン(SiCl
2(CH
3)
2)、トリメチルクロロシラン(SiCl(CH
3)
3)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、ジメチルクロロシラン(SiHCl(CH
3)
2)、テトラメチルシラン(Si(CH
3)
4)、又はSiに結合したCl、H、及びCH
3リガンドの他の組み合わせなどの、本明細書に提供されるもののいずれかであってもよい。第2のプロセスガスはまた、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、又はネオンなどのキャリアガスを含んでもよい。ブロック205Bの除去動作は、ウェハへの第2のプロセスガスの流れを止めることによって停止されてもよい。
【0050】
脱着のために、特定の温度範囲は、改質された分子の活性化障壁の克服を可能にして、ウェハからの改質層の解放を可能にしてもよい。場合によっては、化学吸着及び脱着が発生する温度範囲は重複せず、他の例では、部分的又は完全に重複してもよい。したがって、化学吸着と脱着を使用してウェハから分子を除去するために、いくつかの実施態様は、除去動作及び改質動作の間、ウェハを同じ、又は実質的に同じ(例えば、互いの約10%又は5%以内)温度で維持してもよい。異なる温度状態で発生する化学吸着と脱着を使用してウェハから分子を除去するために、ブロック205Aの改質動作は、第1の温度範囲でなされてもよく、かつブロック205Bの除去動作は、第1の温度よりも高いか、低くてもよい第2の異なる温度範囲でなされてもよい。いくつかのそのような実施形態は、除去動作及び改質動作の間にウェハを同じ、又は実質的に同じ温度で維持することによって材料の複数の層を除去するために、複数のサイクルを実行してもよく、他の実施形態は、化学吸着及び脱着のための2つの温度状態間でウェハを繰り返し加熱かつ冷却してもよい。
【0051】
ブロック205Bの間又は前に異なる温度状態を使用する実施形態のいくつかでは、ウェハの温度は、ブロック205Aの改質動作中にウェハが維持される第1の温度とは異なる第2の温度にされてもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じ、又は実質的に同じ(例えば、互いの約10%又は5%以内)温度である。この第2の温度は、1つ又は複数の改質された表層に対して脱着が発生する温度であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度より高くてもよく、これらの実施形態では、ブロック205Bは、ウェハを第1の温度から第2の温度に加熱することを含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は、第1の温度より低くてもよく、これらの実施形態では、ウェハは、第1の温度から第2の温度にアクティブに冷却されてもよい。ウェハは、放射加熱、対流加熱、固体間熱伝達、又はプラズマを使用して加熱されてもよい。さらに、ウェハの上部、底部、又はそれら両方が、加熱されてもよい。ウェハの加熱はまた、以下でさらに論じるように、いくつかの実施形態では、非直線的になされてもよい。また後述するように、ウェハは、様々な手法でアクティブに冷却されてもよい。場合によっては、ウェハは、各々が互いに異なる温度で維持されている加熱された台座などの2つの別個の基板支持体上にウェハを配置することによって、2つの異なる温度に加熱されてもよい。したがって、ウェハは、これら2つの異なる基板支持体間で移送され、かつそれらに配置されることによって、2つの異なる温度に加熱されてもよい。
【0052】
ブロック205Bで、1つ又は複数の改質された表層は、ウェハが第2の温度で維持されている間に除去されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度のみが、ウェハからの改質された分子の脱着を可能にし、かつ引き起こし、それによってウェハから改質された分子を除去してもよい。いくつかの他の実施形態では、除去分子を有する第2のプロセスガスが、ウェハの露出面上を含むウェハ上に流されてもよい。第2のプロセスガスはまた、上述したキャリアガスを含んでもよい。これらの除去分子は、改質された分子と反応して異なる揮発性分子、例えば揮発化分子を形成してもよい。この揮発化分子は次に、ウェハが第2の温度にあるときに、脱着によってウェハから除去されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、例えば、約20℃から500℃、約20℃から150℃、約20℃から100℃、約20℃から80℃、約100℃から500℃、約100℃から450℃、約150℃から500℃、約150℃から450℃、又は約150℃から400℃の間であってもよい。さらに、ウェハは、除去動作の全て、又は実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、又は95%)の間、その温度で維持されてもよい。除去動作の持続時間は、ウェハ上で所望の分子の実質的に全て(例えば、少なくとも80%、90%、又は95%)の脱着が発生する持続時間であってもよい。これは、例えば、約0.5秒から約600秒、約0.5秒から約400秒、約0.5秒から約300秒、約0.5秒から約10秒、約0.5秒から約5秒、約1秒から約5秒、又は約5秒から約300秒の範囲であってもよい。
【0054】
ブロック205A及び205Bの実行は、単一のALEサイクルと考えてよい。いくつかの実施態様では、これらのブロック205A及び205Bは、複数サイクルを実行し、かつIGZOの原子単層及び複数の層を除去するために、繰り返されてもよい。一部のエッチング速度は、エッチングされている材料の格子定数より低い場合があるため、いくつかの実施形態は、1サイクルで単層のほんの一部を除去する。これは、例えば、約1~約1,000サイクル、約1~約500サイクル、約1~約100サイクル、約1サイクル~約30サイクル、又は約1~約20サイクルを実行することを含んでもよい。任意の適切な数のALEサイクルが、所望の量のIGZO膜をエッチングするために含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ALEは、ウェハ上の層の表面の約1オングストローム(Å)から約50Åをエッチングするために、周期的に実行される。いくつかの実施形態では、ALEのサイクルは、ウェハ上の層の表面の約2Åから約50Åの間をエッチングする。いくつかの実施形態では、各ALEサイクルは、少なくとも約0.1Å、0.5Å、1Å、2Å、又は3Åをエッチングしてもよい。さらに
図2に例示されるように、ブロック205A及び205B、並びにいくつかの実施態様では、ブロック207の任意選択のパージは、N回のALE又はエッチングのサイクル、繰り返されてもよい。決定ステップ209が、N回のALEサイクルが実行されたと判定すると、エッチングは終了してもよく、したがって完了してもよい。
【0055】
一部の動作では、ブロック207の任意選択のパージ動作は、ブロック205Aの改質動作の後かつブロック205Bの除去動作の前に実行されてもよい。パージ動作では、フッ素種、及び/又は他の残渣若しくは微粒子などの非表面結合活性改質分子が、処理チャンバ、チャンバ壁、チャンバガス容積、及び/又は基板から除去されてもよい。これは、吸着層を除去することなく、活性種又は他の元素を除去するために、処理チャンバをパージ及び/又は排気することによって行うことができる。プラズマ中で発生した種は、任意選択でチャンバのパージ及び/又は排気と組み合わせて、プラズマを停止し、かつ残存する種を崩壊させることによって除去できる。パージは、N2、Ar、Ne、He、及びそれらの組み合わせなどの任意の不活性ガスを使用して行うことができる。パージはまた、改質動作の後、除去動作の後、又はそれら両方を含む、本明細書に提供される任意の動作、ブロック、又はステップの後に行われてもよい。パージが任意選択であるため、いくつかの実施態様は、いかなるパージも有さなくてもよい。
【0056】
いくつかの実施態様は、各動作の持続時間、温度、及び圧力などの、ブロック205Aの改質動作及びブロック205Bの除去動作のプロセス条件をそれぞれ変更する。いくつかの実施形態では、ブロック205A及び205Bは、実質的に同じ程度の時間(例えば、互いの約10%又は5%以内)、実行されてもよく、他の実施形態では、異なる時間、実行されてもよい。例えば、ブロック205Aは、ブロック205Bよりも短い、又は長い期間、実行されてもよい。各ブロックの種々の期間は、例えば、約0.5秒から約600秒、約0.5秒から約400秒、約0.5秒から約300秒、約0.5秒から約10秒、約0.5秒から約5秒、約1秒から約5秒、又は約5秒から約300秒の範囲であってもよい。
【0057】
いくつかの実施態様では、ブロック205Aの改質動作及びブロック205Bの除去動作は、異なる圧力で実行されてもよい。例えば、ブロック205Aの改質動作は、第1の圧力又は第1の圧力範囲で実行されてもよく、かつブロック205Bの除去動作は、ブロック205Aの改質動作とは異なる第2の圧力又は第2の圧力範囲で実行されてもよい。
図2には描かれていないが、いくつかの実施態様は、第1の圧力から第2の圧力に圧力を変更する圧力調整動作を含んでもよい。この圧力調整は、例えば、ブロック205Aと205Bの間になされてもよい。上記と同様に、第1及び第2の圧力は、例えば、約20mTorrから600mTorr、約30mTorrから500mTorr、及び約40mTorrから400mTorrの間、並びに約3Torrから8Torr、約4Torrから8Torr、2Torrから10Torr、及び100Torrから760Torrの間を含む、約20ミリトール(mTorr)から760Torr(1atm)の間であってもよい。いくつかの他の実施形態では、ブロック205Aの改質動作とブロック205Bの除去動作の両方が、本明細書に記載される任意の圧力又は圧力範囲などの、実質的に同じ圧力(例えば、互いの約10%又は5%以内)で実行されてもよい。
【0058】
説明されたエッチングのいくつかの実施態様を、
図3を用いてさらに説明する。
図3は、開示された実施形態に従い原子層エッチングの概略図の一例を描く。
図302a~302eでは、IGZO材料の単層がウェハからエッチングされる。302aでは、ウェハが提供され、ウェハは、IGZOの1つ又は複数の層を有し、各IGZO分子は、影無しの円で表される。
図3の凡例にさらに示されるように、各影無しの円は、影付きの円及び
図302dに識別子316で表されるインジウムと、影付きの三角形及び
図302dに識別子318で表されるガリウムと、影付きのひし形及び
図302dに識別子320で表される亜鉛と、影無しの長方形及び
図302dに識別子321で表される酸素とを含む単一のIGZO分子を表す。IGZOの最上層を、表層306と見なしてよい。
【0059】
302bでは、改質分子308(黒塗りの円、その一部が識別子308で識別される)を有する第1のプロセスガスが、ウェハに導入され、IGZO表層306を改質してインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物を形成する。302bの概略図は、改質分子308の一部が、表層306のIGZO分子304上に吸着して、改質された分子312(302bでは、1つの改質された分子312が、点線の楕円の中に識別されている)、例えばインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物を含む改質された表層310を作成することを示す。上述したように、改質分子308は、フッ化水素などのフッ素を有する種であってもよい。場合によっては、概略
図302bでウェハから除去されている水素分子323(影付きの正方形)と結合した酸素長方形321によって示されるように、IGZOの酸素は、フッ化水素などの水素を含有する改質分子由来の水素と結合することによって、改質動作中にウェハから除去されてもよい。一部の熱ALE技術に関して、この
図302bは、例えば、IGZO材料の表面上への改質分子の化学吸着を可能にする、上述の第1の温度でウェハが維持されている間に発生してもよい。いくつかの他の実施態様では、この改質動作は、プラズマアシストによるものであってもよい。
【0060】
302cでは、改質された分子312(例えば、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物)及び改質された表層310が302bで作成された後に、上述し、かつ
図2のブロック207に表したように、第1のプロセスガスが任意選択でチャンバからパージされてもよい。
【0061】
302dでは、除去分子314が処理チャンバ内に導入され、いくつかの実施形態では、これは、第2の種を有する、つまり除去分子314を有する第2のプロセスガスをウェハ上に流すことによって発生してもよく、かつ第2の種は、例えば、アルキルアルミニウムハライド、アルミニウムアルカリド、DMAC及びジエチルアルミニウムクロリドなどの有機アルミニウム化合物、TMA、又は(Sn(acac)
2)、Hhfac、及びHacacなどのジケトン、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライド、例えば、四塩化ケイ素(SiCl
4)、ジメチルジクロロシラン(SiCl
2(CH
3)
2)、トリメチルクロロシラン(SiCl(CH
3)
3)、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)、ジメチルクロロシラン(SiHCl(CH
3)
2)、テトラメチルシラン(Si(CH
3)
4)、又はSiに結合したCl、H、及びCH
3リガンドの組み合わせなどを含んでもよい。概略
図302dは、IGZOの金属成分の各々が、ウェハから脱着され、したがって除去されることをさらに例示する。ウェハ上に流れ、かつIGZOの改質された層310、例えばインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物312と反応している除去分子314、例えば、アルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、シラン、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを有する第2の種に応答して、インジウム316、ガリウム318、及び亜鉛320がウェハから脱着しているのが見られる。場合によっては、IGZOの酸素の一部は、概略
図302dでウェハから除去されている水素分子323(影付きの正方形)と結合した酸素長方形321によって示されるように、改質動作においてフッ化水素などの水素を含有する改質分子由来の水素と結合した後に、酸素長方形321によって示されるように、除去動作中にウェハから脱着してもよい。
【0062】
いくつかの熱ALE実施形態では、この除去動作は、改質された表層310の改質された分子312のウェハからの脱着が発生する第2の温度で行われてもよく、これらの除去動作の一部では、プラズマは使用されなくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じ、又は実質的に同じ(例えば、互いの約10%又は5%以内)である。他の実施形態では、第1及び第2の温度は、互いに異なってもよく、これらの実施形態では、基板を加熱又は冷却することによって温度が第1の温度から第2の温度へ変更されてもよい。場合によっては、動作の1つ又は複数における温度を上昇させてもよい。
【0063】
302eでは、改質された分子312、したがって改質された表層310は、ウェハから除去されている。
【0064】
上述したように、いくつかの実施態様は、改質種と除去種の少なくとも部分的に重複する流れ、例えば、HFとDMACの重複流などを有してもよい。
図4は、開示された実施形態に従い動作を実行するための第3のプロセスフロー図例を描く。ここで、ブロック401及び403は、
図1のブロック101及び103と同じである。
図4では、ブロック105の改質動作及び除去動作の少なくとも一部は、同時になされるブロック405A及び405Bに見られるように、同時に行われる。ブロック405Aの改質動作とブロック405Bの除去動作は、ウェハ上への第1及び第2の種の流れのタイミングと重複を含む顕著な違いを除いて、本明細書で上述したのと同じであってもよい。例えば、ブロック405Aの第1の種は、IGZOの層の表面上に流され、かつIGZO表面を改質してインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物などの改質された表層を作成するフッ化物を有する。さらに、ブロック405Bの第2の種は、IGZOの改質された表層と反応してウェハからそれを除去するアルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、及びアルキルシリコンハライドを有する。他のプロセス条件及び実施態様については、後述する。各プロセスガスはまた、上述したキャリアガスを含んでもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、ブロック405Aの改質動作とブロック405Bの除去動作は、エッチングの一部のみに関して重複する。他の実施形態では、これらのブロック405A及び405Bは、エッチングの実質的に全てに関して重複し(例えば、互いの約10%又は5%以内)、これらの実施態様のいくつかは、ウェハ上に流される同じプロセスガス中に第1及び第2の化学種を有し、いくつかの他の実施態様は、ウェハ上に並行して流されるか、又は同時に流される別々のプロセスガス中にこれらの種を有する。
【0066】
図5A~5Cは、様々な実施形態に係るガス流シーケンスの例を描く。
図5Aでは、第1の種を有する第1のプロセスガス及び第2の種を有する第2のプロセスガスが、なんらの重複なしにウェハ上に流されており、
図2及び
図3に関して説明したガス流と見なされてよい。ここで、第1のプロセスガスは、時間t1から時間t2まで流され、その後に止められ、これは、ブロック205A及び概略
図302bの改質動作と見なされてよい。場合によっては、任意選択のパージ動作が、任意選択のブロック207及び概略
図302cのように、時間t2と時間t3の間に実行されてもよい。時間t3において、第2のプロセスガスが、停止されるまで、時間t4までウェハ上に流され、この期間は、ブロック205B及び概略
図302dの除去動作と見なされてよい。
【0067】
図5Bでは、第1のプロセスガスと第2のプロセスガスは、エッチングの一部のみに関して重複する。時間t1において、第1のプロセスガスがウェハ上に流されるが、第2のプロセスガスはウェハ上に流されず、これは時間t2まで続く。これもまた、ブロック205A及び概略
図302bの改質動作と見なされてよい。時間t2において、第2のプロセスガスがウェハ上に流される一方で、第1のプロセスガスが同時にウェハ上に流される。第1及び第2のプロセスガスの両方が、時間t2と時間t3の間にウェハ上に流され、これは、第1及び第2のプロセスガスが重複して、又は並行して流れる期間と見なされてよい。
図4に戻ると、この重複期間は、ブロック405A及び405Bの同時実行と見なされてよい。
図5Bの時間t3において、第1のプロセスガス流が停止され、かつ第2のプロセスガスは、時間t4で停止されるまで流れ続ける。この時間もまた、ブロック205B及び概略
図302dの除去動作と見なされてよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、ウェハの温度は、
図5Bに例示されるエッチング中に調節されてもよい。例えば、ウェハは、時間t1とt2の間、第1の温度で維持され、時間t2において第2の温度に調節され、時間t3又はt4までその第2の温度で維持されてもよい。いくつかのそのような実施態様では、温度は、時間t3から時間t4まで第3の温度に調節されてもよい。いくつかの他の実施形態では、温度は、時間t1から時間t3まで第1の温度で保持され、その後、第2の温度に調節されてもよい。これは、いくつかの実施形態では、第1の温度より高いか低い第2の温度と、適用できる場合は、第2の温度より高いか低い第3の温度とを伴う温度ランプアップ又はランプダウンシーケンスと見なされてよい。これらの温度は、本明細書で上述したもののいずれかであってもよい。本明細に提供されるエッチングのいずれかの間に温度を調節することで、化学吸着及び脱着の追加の制御及び使用を可能にしてもよい。いくつかの他の実施形態では、ウェハは、
図5Bのエッチング中、実質的に一定の温度で維持されてもよい(例えば、設定温度の約10%又は5%以内)。
【0069】
同様に、ウェハ温度は、改質、除去、又はそれら両方の間に、増減されてもよい。例えば
図5Aを参照すると、ウェハ温度は、時間t1と時間t2の間の改質動作中に、第1の温度からより高い第2の温度へ上げられ、又は第1の温度からより低い第3の温度へ下げられてもよい。この代わりに、又はこれに加えて、時間t3とt4の間の除去動作中にも、ウェハ温度は増減されてよい。
【0070】
代替的又は付加的に、チャンバ圧力は、
図5Bのエッチング中に調整されてもよい。例えば、チャンバは、時間t1とt2の間、第1の圧力に維持され、時間t2において第2の圧力に調整され、時間t3又はt4までその第2の圧力に維持されてもよい。いくつかのそのような実施態様では、圧力は、時間t3から時間t4まで第3の圧力に調整されてもよい。いくつかの他の実施形態では、圧力は、時間t1から時間t3まで第1の圧力で保持され、その後、第2の圧力に調整されてもよい。これは、いくつかの実施形態では、第1の圧力より高いか低い第2の圧力と、適用できる場合は、第2の圧力より高いか低い第3の圧力を伴う圧力ランプアップ又はランプダウンシーケンスと見なされてよい。これらの圧力は、本明細書で上述したもののいずれかであってもよい。本明細に提供されるエッチングのいずれかの間に圧力を調整することで、化学吸着及び脱着の追加の制御及び使用を可能にしてもよく、かつチャンバ内での不要な残留物の蓄積を低減する。いくつかの他の実施形態では、圧力は、
図5Bのエッチング中、実質的に一定であってもよい(例えば、設定圧力の約10%又は5%以内)。
【0071】
同様に、チャンバ圧力の増減は、改質、除去、又はそれら両方の間に行われてもよい。例えば
図5Aを参照すると、チャンバ圧力は、時間t1と時間t2の間の改質動作中に、第1の圧力からより高い第2の圧力へ上げられ、又は第1の圧力からより低い第2の圧力へ下げられてもよい。この代わりに、又はこれに加えて、時間t3とt4の間の除去動作中にも、チャンバ圧力は増減されてよい。
【0072】
図5Cでは、第1の種と第2の種は、エッチングの実質的に全てに対して、ウェハ上に並行して流されるか、又は同時に流される。ガス送達システムの設計、実装、許容範囲、及び動作の不完全さゆえに、これらのガスは、全く同じ時間、並行して流されることを意図され得るが、実際には、本当に全く同じではないこともある。ここで、
図5Cでは、第1の種と第2の種は、時間t1からt2まで、ウェハ上に同時に流され、その後、共に停止される。いくつかの実施態様では、第1及び第2の種は、ウェハ上に流される任意選択のキャリアガスと共に、同じプロセスガス中にあってもよい。いくつかの他の実施態様では、上述のように、第1の種は、第1のプロセスガスの一部であってもよく、第2の種は、別個の第2のプロセスガスの一部であってもよく、かつこれらの第1及び第2のプロセスガスの両方が、時間t1から時間t2までウェハ上に並行して流される。
【0073】
いくつかの実施態様では、第1及び第2の種が処理チャンバに入るまで、それらを分離したままにしておくと有利な場合がある。これは、第1の種と第2の種の間の交差反応を回避する場合がある。したがって、第1及び第2の種は、例えば、デュアルプレナムシャワーヘッドを介して、又は別々のノズルを介して等、別々のラインで、かつ別々のポートを介して処理チャンバ内に流されてもよい。これにより、2つの化学物質がウェハ表面でのみ出会うことを可能にしてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、ウェハの温度は、
図5C及び
図4に例示されるエッチング中に調節されてもよい。例えば、ウェハは、時間t1とtaの間、第1の温度で維持され、時間taにおいて第2の温度に調節され、時間t2までその第2の温度で維持されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、温度は、このエッチングを通じて第3の温度又は他の温度に調節されてもよい。これは、いくつかの実施形態では、例えば、第1の温度より高いか低い第2の温度と、適用できる場合は、第2の温度より高いか低い第3の温度を伴う温度ランプアップ又はランプダウンシーケンスと見なされてよい。これらの温度は、本明細書で上述したもののいずれかであってもよい。いくつかの他の実施形態では、ウェハは、
図5Cのエッチング中、実質的に一定の温度で維持されてもよい。
【0075】
代替的又は付加的に、チャンバ圧力は、
図5Cのエッチング中に調整されてもよい。例えば、チャンバは、時間t1とt2の間、第1の圧力に維持され、時間t2において第2の圧力に調整され、時間t3までその第2の圧力に維持されてもよい。これは、いくつかの実施形態では、第1の圧力よりも高いか低い第2の圧力を伴う圧力ランプアップ又はランプダウンシーケンスと見なされてよい。これらの圧力は、本明細書で上述したもののいずれかであってもよい。いくつかの他の実施形態では、圧力は、
図5Cのエッチング中、実質的に一定であってもよい。
【0076】
重複する流れを有する改質動作と除去動作が、
図6にさらに例示され、
図6は、開示された実施形態に従いエッチングの概略図の一例を描く。
図602aは、上述の
図302aに対応し、ここでウェハが提供され、かつウェハは1つ又は複数のIGZOの層を有し、各IGZO分子は、影無しの円で表される。各影無しの円は、影付きの円で表されるインジウムと、影付きの三角形で表されるガリウムと、影付きのひし形で表される亜鉛と、影無しの長方形で表される酸素とを含む単一のIGZO分子を表わす。IGZOの最上層を、表層606と見なしてよい。
【0077】
602bでは、第1の種、すなわち改質分子608(黒塗りの円、その一部が識別子608で識別される)と、第2の種、すなわち除去分子614とが、同時に処理チャンバ内に導入され、これは、
図4、
図5B、及び
図5Cなどに関して上述した並行する流れ又は同時の流れを表わしてもよい。ここで、改質分子608の一部は、表層606のIGZO分子604上に吸着して、改質された分子612(602bでは、1つの改質された分子612が、点線の楕円の中に識別されている)、例えばインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物を含む改質された表層610を作成する。上述したように、改質分子608は、フッ化水素などのフッ素を含んでもよい。除去分子614もウェハ上に並行して流され、第2の種は、本明細書に提供されるように、アルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを含んでもよい。これらの除去分子614は、改質された分子612、例えばインジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物と反応して、IGZOの金属成分の各々をウェハから脱着させ、すなわち除去する。ウェハ上に流され、かつIGZOの改質層610、例えば、インジウムガリウム亜鉛オキシフッ化物612と反応している除去分子614、例えば、アルキルアルミニウムハライド、ハロゲン化ケイ素、ハロゲン化シラン、又はアルキルシリコンハライドを有する第2の種に応答して、インジウム616、ガリウム618、亜鉛620、及び酸素621がウェハから脱着しているのが見られる。上述したように、酸素621は、概略
図602bでウェハから除去されている水素分子623(影付きの正方形)と結合した酸素長方形621によって示されるように、フッ化水素などの水素を含有する改質分子由来の水素と結合することによって除去される。いくつかの実施形態では、第1の種及び第2の種は、別々のガスライン及び/又は別々のポート(例えば、同じシャワーヘッド内の別々の噴射ノズル又はポート)を介して処理チャンバ内に別々に流されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1の種及び第2の種として、例えば、改質分子及び除去分子がウェハ上に流され、IGZOの追加の層がエッチングされてもよい。例えば、
図602bは、IGZOの第2の層622が同様に改質されて、改質された分子612aを形成してもよく、改質された分子612aもまた、除去分子614に曝露され、かつそれと反応したときにウェハから除去されてもよいことを例示する。
【0079】
図602bは、ウェハ上へ第1及び第2の種を同時に流している間のエッチングの例示と見なしてよい。
図5Bに関して上述したように、一部の改質は、この
図602bの前になされてもよく、
図302bによって表されてもよい。さらに、
図5Bのように場合によっては、
図602bのこの並行して流すことの後に、追加の除去が、いかなる同時の改質もなしになされてもよく、これは、
図302dによって表されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、
図5Bのエッチングは、
図302b、602b、及び302dのシーケンスによって例示されてもよい。
【0080】
図4に戻ると、ある持続時間のブロック405A及び405Bの実行は共に、単一のALEサイクルと見なされてよい。いくつかの実施態様では、ブロック405A及び405Bは、複数サイクルを実行し、かつIGZOの複数の層を除去するために、停止され、その後に繰り返されてもよい。これは、例えば、約1~1,000サイクル、約1~約500サイクル、約1~約100サイクル、約1サイクル~約30サイクル、又は約1~約20サイクルを実行することを含んでもよい。任意の適切な数のALEサイクルが、所望の量のIGZO膜をエッチングするために含まれてもよい。いくつかの実施形態では、ALEは、ウェハ上の層の表面の約1オングストローム(Å)から約50Åをエッチングするために、周期的に実行される。いくつかの実施形態では、ALEのサイクルは、ウェハ上の層の表面の約2Åから約50Åの間をエッチングする。いくつかの実施形態では、各ALEサイクルは、少なくとも約0.1Å、0.5Å、1Å、2Å、又は3Åをエッチングしてもよい。
【0081】
本明細書に提供される実施形態のいくつかでは、第1のプロセスガスの流量は、一定のままでもよく、かつ第2のプロセスガスの流量は、一定のままでもよい。いくつかの他の実施形態では、第1及び第2のプロセスガスは、同じ又は異なる流量で流されてもよい。いくつかの他の実施形態では、第1及び/又は第2のプロセスガスの流量を変化させると有利なこともある。これは、例えば、除去動作が進行するにつれてより多くの除去分子を提供するために、除去動作中に第2のプロセスガスの流量を増加させることを含んでもよい。いくつかの流量の例として、約50sccmから1000sccmの間を含んでもよい。
【0082】
本明細書に記載されるエッチングのいくつかの実施態様は、処理チャンバ表面上又はガス送達システム内での不要な反応又は堆積を減らすために、チャンバ及び/又は送達システムの1つ又は複数の表面又は態様を加熱することを含んでもよい。これらの機構の温度を上げることで、処理チャンバ内での処理ガス及び蒸気の不要な凝縮を防止する。例えば、プロセスガスの中には、基板上に吸着する水蒸気及び/又はアルコール蒸気などの蒸気を基板上で使用するものもあるが、それらはチャンバの内面に不必要に吸着することもある。これは、チャンバ内面(例えば、チャンバ壁、シャワーヘッド、又は台座若しくは静電チャック)での不要な堆積及びエッチングにつながる可能性があり、これによりチャンバ表面が損傷し、微粒子が基板上に剥がれ落ちて、基板欠陥をもたらす可能性がある。チャンバの内面における不要な凝縮を低減し防止するために、チャンバの壁、上部、及び底部の温度は、処理動作に使用される化学物質の凝縮が生じない温度に維持されてもよい。これらの表面は、例えば、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、又は少なくとも約150℃などの周囲温度より高い温度に加熱されてもよい。したがって、本明細書に提供される技術はまた、処理チャンバの1つ又は複数の表面、及び/又はガス送達システムの1つ又は複数の態様を、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、又は少なくとも約150℃などの高温に加熱して維持することを含んでもよい。場合によっては、約60℃を超える温度は、安全上の問題であることもあり、チャンバ又は装置の外側部分を断熱する必要があることもある。
【0083】
同様に、ガスラインなどのガス送達システム、及びフェースプレート又はシャワーヘッドなどのガス分配装置の態様はまた、このシステム及び処理チャンバにおいて不要な堆積及び反応を減らすために、加熱されてもよい。例えば、ガスライン及び混合チャンバは、内部を流れる蒸気及びガスの不要な凝縮を防ぐために加熱されてもよい。これらのライン及びガス送達システムは、少なくとも約40℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、又は少なくとも約150℃に加熱されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるエッチングは、一部のエッチング後にウェハの表面に残留するIGZO成分を除去するために、追加の選択的エッチングステップを使用してもよい。例えば、本明細書に記載される一部のそのようなエッチングは、インジウム及びガリウムよりも高いエッチング速度で亜鉛を除去してもよく、この結果、エッチングプロセス後に、亜鉛よりもインジウム及びガリウムが多くウェハの表面上に残る場合がある。これらの残留するIGZO成分をウェハの表面から除去できる選択的エッチング、又は洗浄動作が行われてもよい。いくつかの実施形態では、これは、1つ又は複数のALEサイクル、又はブロック105、205A、205B、405A及び405Cなどの本明細書に記載される改質動作及び除去動作の実行後に、行われてもよい。
【0085】
ALE装置
ここで
図7を参照すると、本開示に係る、材料を選択的にエッチングするための基板処理チャンバの一例が示される。具体的な基板処理チャンバが示され、説明されるが、本明細書に記載される方法は、他の種類の基板処理システム上で実施されてもよい。
図7は、熱原子層エッチングを含む、本開示に係る半導体処理用の装置720の一例を描き、この装置720は、処理チャンバ722と、プロセスガスユニット724と、基板加熱ユニット726と、基板冷却ユニット728とを含む。処理チャンバ722は、少なくとも部分的にチャンバ内部732(プレナム容積と見なしてよい)の境界を示し、かつ画定するチャンバ壁730を有する。プロセスガスユニット724は、チャンバ内部732で基板734上にプロセスガスを流すように構成され、プロセスガスは、反応物、改質分子、変換分子、又は除去分子などの液体及び/又は気体を含んでもよい。プロセスガスユニット724はまた、第1のプロセスガスを基板734上に流すように構成された、穴、ノズル(そのうち2つが描かれている)、又はシャワーヘッドなどの、1つ又は複数の流れ機能部742を含む。1つ又は複数の流れ機能部742は、例えば、処理チャンバの壁、上部、及び底部などの、チャンバ内部732内の、上、下、側面、又は位置の組み合わせに配置されてもよい。プロセスガスユニット724は、チャンバ内部732への送達のためにプロセスガスを混合し、かつ/又はその状態を調整するための混合容器を含んでもよい。1つ又は複数の混合容器吸気弁は、混合容器へのプロセスガスの導入を制御してもよい。
【0086】
プロセスガスユニット724は、第1のプロセスガス源736と、第1のプロセス液体源738と、第1の液体を気体に気化し得る気化ポイント(図示せず)と、キャリアガス源740とを含んでもよい。一部の反応物は、気化の前かつ処理チャンバ722への送達後に液体の形態で保管されてもよい。第1のプロセスガスは、酸化性ガス、ハロゲン化ガス、又は、いくつかの実施形態では、プラズマを使用せずに基板上の材料の1つ又は複数の層を改質するように構成された別のガスを含んでもよい。いくつかの実施態様では、気化ポイントは、加熱された液体注入モジュールであってもよい。いくつかの他の実施態様では、気化ポイントは、加熱された気化器であってもよい。いくつかの他の実施形態では、液体試薬を含む容器の上を真空にすることによって、蒸気が発生してもよい。さらに他の実施態様では、気化ポイントは、プロセスステーションから排除されてもよい。いくつかの実施態様では、気化及びチャンバ内部732への送達のために液体の質量流量を制御するために、気化ポイント上流の液体流コントローラ(LFC)が設けられてもよい。キャリアガス源740は、処理ガスと共に流されてもよい1つ又は複数のキャリアガス又は液体を含み、これらは、N2、Ar、Ne、Heなどの不活性ガスであってもよい。装置720はまた、チャンバ内部の気体を排出して、例えば1mTorr又は10Torrの圧力を有する真空などの低圧にするように構成された真空ポンプ733を含んでもよい。
【0087】
チャンバ内部732は、チャンバ内で基板734を支持し、かつ熱的に浮かせるように構成された基板支持機能部735を含む。基板支持機能部735は、例えば、チャンバ内部732で基板734を支持する、クランプ、水平ピン又は支持体、垂直ピン又は支持体、及び半円形リングを含んでもよい。これらの機能部は、基板734の熱質量が基板のみの熱質量まで可能な限り低減されるように、基板734を支持するように構成される。したがって、各基板支持機能部735は、基板734との最小限の接触を有してもよく、かつ処理中に基板を適切に支持するために(例えば、基板の重量を支持し、かつ基板の非弾性変形を防止するために)必要な最小数の機能部であってもよい。例えば、基板と接触する1つの基板支持機能部735の表面積は、基板の裏面の全表面積の約1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%未満であってもよく、また、例えば、2、3、又は4つの機能部が利用されてもよい。
【0088】
一例では、支持機能部735は、垂直の長手方向軸に沿って巻き付けられ、又は螺旋状になった溝を有し、かつ長手方向軸から様々な距離でオフセットされ、基板を支持するように構成された2つ以上の垂直ピンを含んでもよい。垂直ピンがその長手方向軸に沿って回転し、かつ基板のエッジが溝内に配置される場合、溝のエッジ、したがって基板のエッジは、長手方向軸から遠ざかるように動く。複数の垂直ピンを使用して基板を支持する場合、垂直ピンの回転により、溝は、長手方向軸に垂直な方向に基板を支持する力を加える。
【0089】
いくつかの実施形態では、チャンバ722は、基板リフトピンを含むウェハ支持台座を含んでもよい。熱ALE処理中、リフトピンは、台座と基板の間に熱エネルギーの伝達が実質的にないように(例えば、両者間での10%、5%、1%、0.5%、又は0.1%未満のエネルギー伝達)、台座から離して基板を支持し、配置してもよい。いくつかの他の実施形態では、チャンバ722は、台座を有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、約20℃から500℃の間などの本明細書で提供される温度に基板を加熱するように構成された基板加熱ユニット726を含む静電チャック(ESC)が使用されてもよい。
【0090】
基板加熱ユニット726は、基板を複数の温度に加熱し、かつそのような温度を、例えば、少なくとも1秒、5秒、10秒、30秒、1分、2分、又は3分間維持するように構成される。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、少なくとも2つの温度範囲間で基板を加熱するように構成され、第1の温度範囲は約20℃から150℃の間であり、第2の温度範囲は約200℃から600℃の間であり、さらに基板をこれらの範囲内のある温度で、例えば、少なくとも1秒、5秒、又は10秒間維持するように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、基板を第1の温度範囲から第2の温度範囲に、例えば、約250ミリ秒、150ミリ秒、100ミリ秒、又は50ミリ秒未満で加熱するように構成される。
【0091】
基板加熱ユニット726は、放射加熱、対流加熱、レーザ加熱、プラズマ加熱、固体間熱伝達(例えば、加熱された静電チャック又は台座内の1つ又は複数の加熱素子によって発生した熱を、そのチャック若しくは台座によって、又はその上に支持された基板に伝達すること)、又はこれらの項目の組み合わせを利用してもよい。放射加熱に関して、基板加熱ユニット726は、発光加熱、紫外線加熱、マイクロ波加熱、高周波加熱、及び誘導加熱のために使用されてもよい。例えば、基板加熱ユニット726は、400ナノメートル(nm)から800nmの間の範囲を含み得る波長を有する可視光を発する発光ダイオード(LEDs)を含んでもよい。これはまた、例えば、赤外線ランプ、発光ダイオード(例えば、LEDs)、セラミックヒータ、石英ヒータ、又は光エネルギー源に接続された複数の屈折率分布型(GRIN)レンズを含んでもよい。GRINレンズは、光エネルギー源から基板に熱エネルギー(熱又は光)を均一に送達するように構成されており、光源は、光ファイバーケーブルなどの導管を通してGRINレンズに熱エネルギーを伝達するレーザ又は高輝度光源であってもよい。基板加熱ユニット726により使用される加熱素子は、基板734の上、下、側面、又は位置の組み合わせに配置されてもよく、かつチャンバ内部732の内側、外側、又はそれら両方に配置されてもよい。
図7では、基板加熱ユニット726により使用される加熱素子は、基板734の上と下の両方に配置された複数のLEDs726Aを含み、下側の加熱素子は、チャンバ内部732の内側に配置され、上側の加熱素子は、チャンバ内部732の外側に配置される。いくつかの実施形態では、チャンバ722の外側に配置された加熱素子のいくつかに対し、チャンバ722は、チャンバ内部732の中かつ基板734の上への放射の伝達を可能にするウィンドウ754を有してもよい。いくつかの実施形態では、このウィンドウ754は、オプティカルグレード石英プレートであってもよく、他の実施形態では、透明なインジウムスズ酸化物(ITO)ウィンドウであってもよい。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、基板734の下のみに配置されてもよい複数のLEDs726Aを含み、ウィンドウを含んでもよい台座又はESCを内部に含んでもよく、ウィンドウを通って、LEDsによって発せられた光が基板の裏面に到達してもよい。
【0092】
固体間熱伝達のために、基板加熱ユニット726は、チャンバ内部で基板と接触し、かつ基板を加熱するように構成された、1つ又は複数の加熱表面を有してもよい。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、基板の裏面に接触し、かつ基板を加熱するように構成された、平坦な表面又は基板台座の表面などの加熱プラテンを有してもよい。この加熱プラテンは、加熱プラテンの表面を加熱し得る、加熱コイル、加熱流体、又は上述した放射加熱などの加熱素子を有してもよい。基板の裏面が加熱プラテンに直接接触している場合、又は加熱プラテンからオフセットされているが、加熱プラテンから熱エネルギーを受け取るのに十分に近い場合、基板は加熱され得る。この固体間熱伝達を使用して基板を加熱する場合、基板が冷却されると、基板は加熱プラテンから分離される。一部の従来のALE装置は、加熱素子と冷却素子の両方を含む基板台座を有する場合があるが、これらの装置は、繰り返し加熱かつ冷却される台座の大きな熱質量ゆえに、熱ALEの温度間で素早い(例えば、250ミリ秒未満)サイクルを成すことができない。例えば、台座を第1の温度範囲(例えば、20℃から100℃)から第2の温度範囲(例えば、200℃から500℃)に加熱し、かつ台座を第2の温度範囲から、第1の温度範囲に基板を冷却できるより低い温度へと冷却するには、数秒又は数分かかることもある。したがって、この固体間加熱技術を使用した後、加熱プラテンと基板は互いに分離され、これは、例えば、基板及び/又は加熱プラテンを互いに離すように動かすことによって達成されてもよい。この分離がないと、冷却は、基板と加熱プラテンの両方の熱質量で生じ、これは冷却時間を増加させ、スループットを低下させる。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニットと冷却用のペルチェ素子とを有するESC又は台座は、速い加熱及び冷却時間(基板を所望の温度に冷却するのに約30秒など)を可能にすることもある。いくつかの実施形態では、これは、例えば50mTorr未満を含む1Torr未満などの低圧で行われてもよい。
【0093】
図7の基板冷却ユニット728は、基板をアクティブに冷却するように構成される。いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット728は、冷却ガスを基板734上に流し、基板734をアクティブに冷却する。基板冷却ユニット728は、冷却流体(気体又は液体)を含み得る冷却流体源748と、例えば、0℃、-50℃、-100℃、-150℃、-170℃、-200℃、及び-250℃以下などの所望の温度に冷却流体を冷却するように構成されたクーラ750とを含んでもよい。基板冷却ユニット728は、管と、チャンバ内部732にクーラント液を流すように構成されたクーラント流機能部752(例えば、ノズル又は穴)とを含む。いくつかの実施形態では、例えばチャンバ内部732が、例えば1Torrなどの低圧状態である場合、流体は、チャンバ722に流されるときは液体状態でもよく、かつチャンバ内部732に到達したときに気体状態に変えられてもよい。冷却流体は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性元素であってもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ内部732への冷却流体の流量は、例えば、少なくとも10リットル/秒、50リットル/秒、100リットル/秒、150リットル/秒、200リットル/秒、250リットル/秒、及び300リットル/秒であってもよい。
【0094】
種々の要因により、基板を冷却する冷却流体の能力が増大する場合がある。様々な実験を通じて、冷却流体の流量が高いほど、基板は速く冷却されることがわかっている。実験の一例では、1リットル/秒の流量で基板上に流された約-196℃の冷却ガスは、基板の温度を約5,000ミリ秒で約220℃から約215℃に下げたことがわかったが、同じ冷却ガスの10リットル/秒の流量は、基板の温度を約5,000ミリ秒で約220℃から約195℃に下げた。また、基板とチャンバの上部との間のギャップ(
図10の1052)もまた、基板の冷却に影響する場合があり、ギャップが小さいほど、冷却が高いことがわかった。一例では、約50マイクロメートルのギャップによりチャンバの上部から分離された基板は、約-196℃の冷却ガスを使用して、約5,000ミリ秒で約220℃から約215℃に冷却されたが、約5ミリメートルのギャップによりチャンバの上部から分離された基板は、同じ冷却ガスを使用して、約5,000ミリ秒で約220℃から約209℃に冷却されたことがわかった。したがって、流量が高く、かつギャップが小さいほど、基板は速く冷却されることがわかった。
【0095】
いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット728は、基板734をアクティブに冷却するために固体間熱伝達を使用してもよい。これらの実施形態のいくつかでは、平坦な冷却された表面などの冷却プラテンが、基板の底部に接触して基板を冷却するために使用されてもよい。このプラテンは、プラテンの上、中、又は下に冷却流体を流すことによって冷却されてもよい。この固体間冷却を使用する場合、上述の固体間加熱と同様に、基板は、例えばリフトピンで持ち上げることによって冷却プラテンから基板を離すことなどにより、基板の加熱中に冷却プラテンから分離される。この分離がないと、基板と冷却プラテンの両方の熱質量が冷却され、より多くの冷却を要し、今度はプロセス時間を増加させ、かつスループットを減少させる。いくつかの実施形態では、基板の上部の放射加熱又は基板の底部のプラズマ加熱が、固体間冷却と共に使用されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット728は、基板を冷却するためにレーザ冷却を使用してもよい。これにより、逆ナビエ・ストークス反応を利用して、基板の少なくとも露出面にツリウム分子を含む基板を冷却できる。例えば、基板の温度は光子に現れ、レーザ冷却は、基板表面に光子を放出し、この光子は、ツリウムの光子と相互作用し、かつそれをピックアップし、その後、より高いエネルギーレベルでツリウムからの光子と共に基板から離れる。これらの光子の除去は、基板の温度の低下を引き起こす。このレーザ冷却を可能にするために、ツリウムが基板の表面上にドープされてもよく、かつこのドープは、除去動作などの任意の動作前又は後に発生するなど、上述の技術に組み込まれてもよい。
【0097】
上述したように、装置のいくつかの実施形態は、チャンバ内部でプラズマを発生するように構成されたプラズマ源を含んでもよい。これらのプラズマ源は、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、上部リモートプラズマ、及び下部リモートプラズマであってもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置は、本明細書に記載される技術を実行するために装置の様々な態様を制御するように構成されたコントローラを含んでもよい。例えば、
図7では、装置720は、処理チャンバと通信可能に接続され、かつ処理チャンバの動作の一部又は全てを制御するコントローラ766(1つ又は複数の物理又は論理コントローラを含んでもよい)を含む。システムコントローラ766は、1つ又は複数のメモリデバイス768と、1つ又は複数のプロセッサ770とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、開示された実施形態が実行される場合、装置は、流量及び持続時間を制御するためのスイッチングシステムと、基板加熱ユニットと、基板冷却ユニットと、チャンバでの基板の搬入出と、基板の熱的浮遊と、プロセスガスユニットとを含む。いくつかの実施形態では、装置は、最大約500ms又は最大約750msのスイッチング時間を有してもよい。スイッチング時間は、フローケミストリ、選択されたレシピ、リアクタアーキテクチャ、及び他の要因に依存してもよい。
【0099】
いくつかの実施態様では、コントローラ766は、装置又はシステムの一部であり、装置又はシステムは上述の例の一部であり得る。このようなシステム又は装置は、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理コンポーネント(ガス流システム、基板加熱ユニット、基板冷却ユニットなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後にそれらの動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ばれることもあり、1つ又は複数のシステムの様々なコンポーネント又は子部品を制御してもよい。コントローラ766は、処理パラメータ及び/又はシステムの種類に応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置及び動作設定、ツールへのウェハの搬入出、並びに、特定のシステムに接続又は連動する他の搬送ツール及び/又はロードロックへのウェハの搬入出を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。
【0100】
大まかに言えば、コントローラ766は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義され得る。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されるチップ、及び/又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ又は複数のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、半導体ウェハに対して、半導体ウェハのために、又はシステムに対して、特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義する、様々な個々の設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であってもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、及び/又はウェハのダイの製造中に1つ又は複数の処理動作を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0101】
コントローラ766は、いくつかの実施態様において、システムに統合された、システムに接続された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、又はそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であり、又はそのようなコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」、すなわちファブホストコンピュータシステムの全体又は一部であってもよく、これによりウェハ処理の遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、製造動作の現在の進行状況を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向又は性能基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、処理動作を設定して現在の処理を追跡し、又は新たなプロセスを開始するために、システムへの遠隔アクセスを可能にしてもよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供でき、ネットワークはローカルネットワーク又はインターネットを含んでもよい。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよく、パラメータ及び/又は設定は次いで遠隔コンピュータからシステムへと伝達される。いくつかの例では、コントローラ766は、1つ又は複数の動作中に実施される処理動作のそれぞれのパラメータを指定する、データの形式の命令を受け取る。パラメータは、実施されるプロセスの種類と、コントローラがインタフェース接続する又は制御するように構成されたツールの種類とに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラ766は、共にネットワーク化され、本明細書に記載のプロセス及び制御などの共通の目的にむけて動作する1つ又は複数の個別のコントローラを含むことなどにより、分散されてもよい。そのような目的のための分散型コントローラの一例は、遠隔地に設置され(プラットフォームレベルで、又は遠隔コンピュータの一部としてなど)、チャンバでのプロセスを協同で制御する1つ又は複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つ又は複数の集積回路である。
【0102】
上述のように、装置によって実行される1つ又は複数のプロセス動作に応じて、コントローラ766は、他の装置回路又はモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートへウェハの容器を搬入出する材料搬送に用いられるツールの、1つ又は複数と通信してもよい。
【0103】
また、上述したように、コントローラは、上述したいずれかの技術を実行するように構成される。例えば、
図7の装置720及び
図1の技術を参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ766は、基板加熱ユニット726に、基板支持機能部735上に配置されたウェハ734を第1の温度にさせる(つまり、加熱)、かつプロセスガスユニット724に、第1のプロセスガスをウェハ734に流させるように構成される。上述したように、第1のプロセスガスは、ウェハ734が第1の温度で維持されている間に、いくつかの実施形態ではプラズマを使用せずに、化学的な吸着によってウェハ734上のIGZOの1つ又は複数の表層を改質するように構成される。コントローラ766は、プロセスガスユニット724に、本明細書に記載されるように第2のプロセスガスを基板上に流させて、IGZOの改質層を除去するようにさらに構成されてもよい。
【0104】
上述したように、本明細書で実行される一部のエッチングは、処理チャンバ、例えば、その側壁、上部、及び/又は底部など、並びにシャワーヘッド及びガス送達システムの温度制御された機能であってもよい。
図8は、開示された実施形態に従い装置の一例の側面断面図を描く。以下に詳述するように、この装置800は、基板の温度を急速かつ正確に制御でき、熱エッチング動作を行うことを含む。装置800は、処理チャンバ802と、基板ヒータ806と基板818を支持するように構成された複数の基板支持体808とを有する台座804と、ガス分配ユニット810とを含む。
【0105】
処理チャンバ802は、側壁812Aと、上部812Bと、底部812Cとを含み、これらは、プレナム容積と見なしてよいチャンバ内部814を少なくとも部分的に画定する。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、処理チャンバの壁812A、上部812B、及び底部812Cの温度を、それらの表面上での不要な凝縮を防ぐために、アクティブに制御するのが望ましいこともある。最新の一部の半導体処理動作は、基板上に水蒸気及び/又はアルコール蒸気などの蒸気を流し、蒸気は基板上に吸着するが、チャンバの内面にも不必要に吸着する場合がある。これは、チャンバ内面での不要な堆積及びエッチングにつながる可能性があり、これによりチャンバ表面が損傷し、微粒子が基板上に剥がれ落ちて、基板欠陥をもたらす可能性がある。チャンバの内面における不要な凝縮を低減し防止するために、チャンバの壁、上部、及び底部の温度は、処理動作に使用される化学物質の凝縮が生じない温度に維持されてもよい。
【0106】
チャンバ表面のこのアクティブな温度制御は、ヒータを使用してチャンバ壁812A、上部812B、及び底部812Cを加熱することによって達成されてもよい。
図8に例示されるように、チャンバヒータ816Aは、チャンバ壁812Aに配置され、かつチャンバ壁812Aを加熱するように構成され、チャンバヒータ816Bは、上部812Bに配置され、かつ上部812Bを加熱するように構成され、チャンバヒータ816Cは、底部812Cに配置され、かつ底部812Cを加熱するように構成される。チャンバヒータ816A~816Cは、電流が抵抗素子を通って流れるときに熱を発生するように構成された抵抗ヒータであってもよい。チャンバヒータ816A~816Cはまた、流体導管であってもよく、流体導管を通って、加熱水を含み得る加熱流体などの伝熱流体が流されてもよい。場合によっては、チャンバヒータ816A~816Cは、加熱流体と抵抗ヒータの両方の組み合わせであってもよい。チャンバヒータ816A~816Cは、チャンバ壁812A、上部812B、及び底部812Cの各々の内面を所望の温度にするために熱を発生するように構成され、所望の温度は、例えば、約80℃から約130℃の間、約90℃又は約120℃を含む約40℃から約150℃の間の範囲であってもよい。いくつかの条件下では、約90℃以上に保たれた表面上では水蒸気及びアルコール蒸気は凝縮しないことがわかっている。
【0107】
チャンバ壁812A、上部812B、及び底部812Cはまた、処理技術で使用される化学物質に耐えられる様々な材料で構成できる。これらのチャンバ材料は、例えば、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、プラスチックなどのポリマーを有するアルミニウム、イットリアコーティングを有する金属又は金属合金、ジルコニアコーティングを有する金属又は金属合金、及び酸化アルミニウムコーティングを有する金属又は金属合金を含んでもよい。場合によっては、コーティングの材料は、異なる材料の組み合わせの混合又は層、例えば、酸化アルミニウムとイットリア、若しくは酸化アルミニウムとジルコニアの交互層などであってもよい。これらの材料は、無水HF、水蒸気、メタノール、イソプロピルアルコール、塩素、フッ素ガス、窒素ガス、水素ガス、ヘリウムガス、及びそれらの混合物などの、処理技術で使用される化学物質に耐えるように構成される。
【0108】
装置800はまた、約0.1Torrから約100Torr、又は約20Torrから約200Torr、又は約0.1Torrから約10Torrの圧力などの真空又は真空付近で処理動作を実行するように構成されてもよい。これは、約0.1Torrから約10Torrを含む約0.1Torrから約100Torr、及び約20Torrから約200Torr、又は約0.1Torrから約10Torrの圧力を有する真空などの低圧に、チャンバ内部814の気体を排出するように構成された真空ポンプ884を含んでもよい。
【0109】
ここで、台座804の様々な特徴を論じる。台座804は、450nmを含む400nmから800nmの間の波長を有する可視光を発するように構成された複数のLEDs824を有するヒータ822(
図8では、破線の長方形で囲まれている)を含む。ヒータLEDsは、この可視光を基板の裏面に放射し、これにより基板を加熱する。約400nmから800nmの波長を有する可視光は、迅速かつ効率的に、シリコンウェハを周囲温度、例えば、約20℃から約600℃に加熱でき、これはシリコンがこの範囲内の光を吸収するためである。これに対し、赤外線放射を含む放射加熱は、最大約400℃の温度でシリコンを非効果的に加熱する場合があり、これはシリコンが、約400℃よりも低い温度では赤外線に対し透明になる傾向があるためである。加熱コイルを有する台座などの、基板と加熱プラテンの間の固体間熱伝達に依存する従来の「ホットプレート」ヒータは、比較的遅い加熱速度と冷却速度を有し、基板の反り及び加熱プラテンとの一貫性のない接触によって引き起こされ得る不均一な加熱を提供する。例えば、従来の台座を所望の温度に、かつ第1の温度からより高い第2の温度に加熱すると共に、台座をより低い温度に冷却するには、数分かかることもある。
【0110】
ヒータの複数のLEDsは、種々の手法で配置され、電気的に接続され、かつ電気的に制御されてもよい。各LEDは、可視青色光及び/又は可視白色光を発するように構成されてもよい。特定の実施形態では、白色光(EMスペクトルの可視部分における波長の範囲を使用して生成)が使用される。一部の半導体処理動作では、白色光は、不要な薄膜干渉を低減又は防止できる。例えば、一部の基板は、様々な量で異なる光の波長を反射する背面膜を有し、それにより、不均一かつ潜在的に非効率的な加熱をもたらす。白色光を使用することで、白色光によって提供される幅広い可視スペクトルにわたる薄膜干渉を平均化することによって、この不要な反射の変動を低減できる。場合によっては、基板の裏面上の材料によっては、白色光よりも狭帯域の波長をよく吸収し得る一部の基板に対して、より効率的、強力かつ直接的な加熱を提供し得る単一帯域又は狭帯域の波長を提供するために、例えば450nmの波長を有する青色光などの可視非白色光を使用すると有利な場合がある。
【0111】
様々な種類のLEDが採用されてもよい。例として、チップオンボード(COB)LED又は表面実装ダイオード(SMD)LEDが挙げられる。SMD LEDsの場合、LEDチップは、チップ上の各ダイオードの制御を可能にする複数の電気接点を有し得るプリント回路基板(PCB)に融合されてもよい。例えば、単一のSMDチップは、通常、例えば異なる色を生成するために個別に制御可能な3つのダイオード(例えば、赤、青、又は緑)を有するものに限定される。SMD LEDチップは、2.8x2.5mm、3.0x3.0mm、3.5x2.8mm、5.0x5.0mm、及び5.6x3.0mmなどの範囲のサイズであってもよい。COB LEDsに関しては、各チップは、同じPCB上に印刷された、9、12、数十、数百、又はそれ以上などの、3つより多くのダイオードを有することができる。COB LEDチップは、通常、ダイオードの数に関わらず1つの回路と2つの接点とを有し、それによりシンプルな設計と効率的な単色用途を提供する。基板を加熱するためのLEDsの能力及び性能は、各LEDによって発せられる熱のワットにより測定されてもよく、これらの熱のワットは、基板の加熱に直接寄与してもよい。
【0112】
図9は、複数のLEDsを有する基板ヒータの上面図を描く。この基板ヒータ822は、プリント回路基板826と複数のLEDs824とを含み、その一部がラベル付けされている。この描かれた複数のLEDsは、およそ1,300のLEDsを含む。外部接続部828は、トレースによって接続されて、複数のLEDs824に電力を提供する。
図9に例示されるように、LEDsは、異なる半径だけ基板ヒータ822の中心830から半径方向にオフセットされた多数の円弧に沿って配置されてもよく、各円弧において、LEDsは、互いに等間隔に配置されてもよい。例えば、1つの円弧832は、部分的に陰影を付けた点線形状で囲まれており、16のLEDs824を含み、かつ中心830の周りに延びる半径Rを有する円の一部である。16のLEDs824は、この円弧832に沿って互いに等間隔に配置されていると考えてよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、複数のLEDsは、例えば、約1,200、1,500、2,000、3,000、4,000、5,000、又は6,000より多くを含む、少なくとも約1,000のLEDsを含んでもよい。各LEDは、場合によっては、100%の電力で3ワット、及び100%の電力で1ワットを含む、100%の電力で4ワット以下を使用するように構成されてもよい。これらのLEDsは、基板全体の温度調節と微調整を可能にするために、個々に制御可能なゾーンに配置され、かつ電気的に接続されてもよい。場合によっては、LEDsは、例えば、少なくとも約25、50、75、80、85、90、95、又は100のゾーンを含む、少なくとも20の、例えば独立して制御可能なゾーンに分類されてもよい。これらのゾーンは、半径方向及び方位角(すなわち角度)方向の温度調節を可能にしてもよい。これらのゾーンは、矩形グリッド、六角形グリッド、又は所望の温度プロファイルを生成するための他の適切なパターンなどの、定義されたパターンで配置できる。ゾーンはまた、正方形、台形、長方形、三角形、長円形、楕円形、円形、環状(例えば、リング)、部分環(すなわち、環状セクタ)、円弧、セグメント、及びヒータの中心を中心とし、基板ヒータのPCBの全半径以下の半径を有するセクタなどの、様々な形状を有してもよい。これらのゾーンは、より均一な温度分布と、基板の中心よりも基板のエッジ付近で温度が高いなど、所望の温度プロファイルとを作り出すために、ウェハ全体にわたる多数の位置で温度を調節できる。これらのゾーンの独立制御はまた、各ゾーンの電力出力を制御する能力を含んでもよい。例えば、各ゾーンは、少なくとも15、20、又は25の調節可能な電力出力を有してもよい。場合によっては、各ゾーンは、1つのLEDを有し、それによって各LEDを個別に制御かつ調整できるようにしてもよく、これにより、基板上でのより均一な加熱プロファイルがもたらされる。したがって、いくつかの実施形態では、基板ヒータの複数のLEDsの各LEDは、個々に制御可能であってもよい。
【0114】
特定の実施形態では、基板ヒータ822は、複数の温度まで基板を加熱し、かつ様々な持続時間の間、そのような各温度を維持するように構成される。これらの持続時間は、以下の非限定的な例、すなわち、少なくとも約1秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約120秒、少なくとも約150秒、又は少なくとも約180秒を含んでもよい。基板ヒータは、例えば、約130℃を含む約50℃から150℃の間、又は約150℃から350℃の間を含む約50℃から600℃の間まで基板を加熱するように構成されてもよい。基板ヒータは、以下の非限定的な例を含む様々な持続時間の間、これらの範囲内の温度で基板を維持するように構成されてもよい:例えば、少なくとも約1秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約30秒、少なくとも約60秒、少なくとも約90秒、少なくとも約120秒、少なくとも約150秒、又は少なくとも約180秒。さらに、いくつかの実施形態では、基板ヒータ822は、例えば、約60秒未満、約45秒未満、約30秒未満、又は約15秒未満、これらの範囲内の任意の温度に基板を加熱するように構成される。特定の実施形態では、基板ヒータ822は、例えば、少なくとも約0.1℃/秒から少なくとも約20℃/秒の間などの、1つ又は複数の加熱速度で基板を加熱するように構成される。
【0115】
基板ヒータは、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約100%の電力を含む1つ又は複数の電力レベルでLEDsに可視光を放射させることによって、基板の温度を上昇させてもよい。いくつかの実施形態では、基板ヒータは、少なくとも約10W、少なくとも約30W、少なくとも約0.3キロワット(kW)、少なくとも約0.5kW、少なくとも約2kW、少なくとも約3kW、又は少なくとも約4kwを含む、約10Wから4000Wの間で放射するように構成される。装置は、台座に約0.1kwから9kWの間の電力を供給するように構成され、電源は、図示しないが、台座を介して基板ヒータに接続される。温度ランプの間、基板ヒータは、加熱された基板の温度を維持するために、高い電力で動作してもよく、かつより低い電力レベル(例えば、約5Wから約0.5kWの間を含む)で動作してもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、基板ヒータはまた、複数のLEDsによって発生した熱をLEDsから台座クーラに伝達できるように、LEDsに熱的に接続されている台座クーラを含んでもよい。この熱的接続は、複数のLEDsから台座クーラに、これらのコンポーネント間の1つ又は複数の熱流通路に沿って熱を伝導できるようになっている。場合によっては、台座クーラは、基板ヒータの1つ又は複数の素子と直接接触し、他の例では、(例えば、金属を含む)熱伝導プレートなどの他の伝導素子が、基板ヒータと台座クーラの間に介在する。
図8に戻ると、基板ヒータは、PCB826の底部と直接接触する台座クーラ836を含む。熱は、LEDsからPCB826へ、そして台座クーラ836へ流れるように構成される。台座クーラ836はまた、複数の流体導管838を含み、熱を受け取ることで基板ヒータ822のLEDsを冷却するために、水などの伝熱流体が流体導管838を通って流れるように構成されている。流体導管838は、チャンバの外部に配置されたタンク及びポンプ(図示せず)に接続されてもよい。場合によっては、台座クーラは、約5℃から20℃の間などの冷却された水を流すように構成されてもよい。
【0117】
本明細書に提供されるように、処理チャンバ802の外面をアクティブに加熱すると有利なことがある。場合によっては、その外面上での不要な凝縮及び堆積を防ぐために、台座804の外面を加熱することも同様に有利なことがある。
図8に例示されるように、台座804は、台座804の外面を加熱するように構成された台座ヒータ844を台座804内部にさらに含んでもよく、その側面842A及び底部842Bを含む。台座ヒータ844は、1つ又は複数の抵抗加熱素子などの1つ又は複数の加熱素子と、加熱流体がその内部を流れるように構成された流体導管とを含んでもよい。場合によっては、台座クーラと台座ヒータは共に、同じ伝熱流体が台座クーラと台座ヒータの両方を流れ得るように互いに流体的に接続されている流体導管を有してもよい。これらの実施形態では、流体は、約90℃及び120℃を含む、50℃から130℃の間に加熱されてもよい。
【0118】
台座はまた、処理動作中に使用される処理化学物質及び圧力への曝露によって引き起こされる損傷から複数のLEDsを含む基板ヒータを保護するために、ウィンドウを含んでもよい。
図8に例示されるように、チャンバ内部から流体的に隔離されているプレナム容積を台座内部に作成するために、ウィンドウ850は、基板ヒータ822の上に配置されてもよく、かつ台座804の側壁849にシールされてもよい。このプレナム容積はまた、ボウル846の内部と見なされてよい。ウィンドウは、400nmから800nmの範囲の波長を有する光を含む、LEDsによって発せられる可視光に対して光学的に透明な1つ又は複数の材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、この材料は、石英、サファイア、サファイアコーティングを有する石英、又はフッ化カルシウム(CaF)であってもよい。ウィンドウはまた、その内部に穴や開口部を有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、ヒータは、20mm及び25mmを含む15~30mmの厚さであってもよい。
【0119】
図8に示すように、台座804の基板支持体808は、ウィンドウ850及び基板ヒータ822の上で、それらからオフセットして基板818を支持するように構成される。特定の実施形態では、基板の温度は、チャンバ内で基板を熱的に浮かせる、又は熱的に隔離することによって、急速かつ正確に制御できる。基板の加熱及び冷却は、基板の熱質量と、基板と接触している他のアイテムの熱質量の両方を対象とする。例えば、多くの従来のエッチング装置でのように、基板の裏面全体が台座又は静電チャックの大きな表面上に載っている等、基板が大きな物体と熱的に接触する場合、この物体は、基板温度を正確に制御する能力に影響を与え、かつ基板を加熱かつ冷却する速さを減少させる基板用のヒートシンクとして作用する。したがって、最小の熱質量が加熱かつ冷却されるように基板を配置するのが望ましい。この熱的浮遊は、チャンバ内の他の物体と最小限の熱接触(直接、及び放射を含む)を有するように基板を配置するように構成される。
【0120】
したがって、台座804は、いくつかの実施形態では、チャンバ内部814で基板を熱的に浮かせる、又は熱的に隔離することによって基板818を支持するように構成される。台座804の複数の基板支持体808は、基板818の熱質量が基板818のみの熱質量まで可能な限り低減されるように、基板818を支持するように構成される。各基板支持体808は、基板818との最小限の接触を提供する基板支持体表面820を有してもよい。基板支持体808の数は、少なくとも3から、例えば少なくとも6又はそれ以上の範囲であってもよい。支持体表面820の表面積も、処理動作中に基板を適切に支持するために必要な最小面積であってもよい(例えば、基板の重量を支持し、かつ基板の非弾性変形を防止するために)。いくつかの実施形態では、ある支持体表面820の表面積は、例えば、約0.1%未満、約0.075%未満、約0.05%未満、約0.025%未満、又は約0.01%未満であってもよい。
【0121】
基板支持体はまた、台座の表面及び表面の下の機能部を含む台座の他の要素と基板が接触するのを防ぐように構成される。基板818はまた、基板818の加熱の多数の態様に影響し得る距離だけ、基板ヒータ822からオフセットされる(場合によっては、LEDs824の上面であり得る基板ヒータ822の上面から測定)。
【0122】
記載したように、基板支持体808は、ウィンドウの上で基板818を支持するように構成される。いくつかの実施形態では、これらの基板支持体は、静止しており、かつ所定位置に固定されており、リフトピンや支持リングでなくてもよい。いくつかの実施形態では、支持体表面820を含む各基板支持体808の少なくとも一部は、少なくともLEDs824によって発せられる光に対して透明である材料で構成されてもよい。この材料は、場合によっては、石英又はサファイアであってもよい。これらの基板支持体808の透明性は、基板ヒータ822のLEDsによって発せられた可視光が、基板支持体808を通過し、基板818まで達することを可能にしてもよく、したがって基板支持体808はこの光を遮断せず、かつ基板818を、それが支持されている領域内で加熱できる。これは、可視光に対して不透明な材料を含む基板支持体を用いるよりも、基板818のより均一な加熱を提供する場合がある。いくつかの他の実施形態では、基板支持体808は、二酸化ジルコニウム(ZrO2)などの不透明な材料で構成されてもよい。
【0123】
図8に戻ると、いくつかの実施形態では、台座はまた、垂直方向に動くように構成される。これは、ガス分配ユニット810のフェースプレート876と基板818の間のギャップ886を2mmから70mmの範囲にできるように台座を動かすことを含んでもよい。以下でより詳細に提供されるように、台座を垂直方向に動かすことは、ガス分配ユニット810と基板818の間に形成された低容積により、基板のアクティブな冷却と、ガスを流すこと及びパージを含む処理動作の迅速なサイクル時間とを可能にし得る。この移動はまた、基板とガス分配ユニットの間に小さなプロセス容積の形成を可能にしてもよく、結果として、より小さなパージ及びプロセス容積をもたらすことができ、したがって、パージとガス移動の時間を減らし、かつスループットを増加させる。
【0124】
ガス分配ユニット810は、チャンバ内部814の基板818上にプロセスガスを流すように構成され、プロセスガスは、反応物、改質分子、変換分子、又は除去分子などの液体及び/又は気体を含んでもよい。
図8に見られるように、ガス分配ユニット810は、1つ又は複数のガス源872及び/又は1つ又は複数の蒸気源874に流体的に接続された1つ又は複数の流体入口870を含む。いくつかの実施形態では、ガスライン及び混合チャンバは、内部を流れる蒸気又はガスの不要な凝縮を防ぐために加熱されてもよい。これらのラインは、少なくとも約40℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、又は少なくとも約150℃に加熱されてもよい。1つ又は複数の蒸気源は、ガス及び/又は気化される液体の1つ又は複数のソースを含んでもよい。気化は、直接噴射式気化器、フローオーバー気化器、又はそれら両方であってもよい。ガス分配ユニット810はまた、ガス分配ユニット810をチャンバ内部814に流体的に接続する複数の貫通孔878を含むフェースプレート876を含む。これらの貫通孔878は、1つ又は複数の流体入口870に流体的に接続され、さらにフェースプレート876の前面877を通って延び、前面877は、基板818に面するように構成されている。いくつかの実施形態では、ガス分配ユニット810は、トッププレートと見なされてよく、いくつかの他の実施形態では、シャワーヘッドと見なされてよい。
【0125】
貫通孔878は、基板上に均一なガス流を送達するために、様々な方法で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの貫通孔は全て、0.04インチ(1.016mm)を含む、約0.03インチ(0.762mm)から0.05インチ(1.27mm)の間などの同じ外径を有してもよい。これらのフェースプレート貫通孔はまた、フェースプレートからの均一な流出を作り出すために、フェースプレート全体にわたって配置されてもよい。
【0126】
図8に戻ると、ガス分配ユニット810はまた、フェースプレート876とユニットヒータ880の間で熱を伝達できるようにフェースプレート876に熱的に接続されたユニットヒータ880を含んでもよい。ユニットヒータ880は、流体導管を含んでもよく、その中を伝熱流体が流れてもよい。上記と同様に、伝熱流体は、例えば、約20℃から120℃の温度範囲に加熱されてもよい。場合によっては、ユニットヒータ880は、ガス分配ユニット810を加熱して、蒸気及びガスの不要な凝縮を防ぐために使用されてもよく、いくつかのそのような例では、この温度は、少なくとも約90℃又は120℃であってもよい。
【0127】
いくつかの実施形態では、ガス分配ユニット810は、フェースプレート876を加熱するように構成された第2のユニットヒータ882を含んでもよい。この第2のユニットヒータ882は、1つ又は複数の抵抗加熱素子、加熱流体を流すための流体導管、又はそれら両方を含んでもよい。ガス分配ユニット810で2つのヒータ880及び882を使用することで、ガス分配ユニット810内で様々な伝熱を可能にしてもよい。これは、ガス分配ユニット810の素子上での不要な凝縮を低減又は防止するために、上述のように、温度制御されたチャンバを提供するために、第1のユニットヒータ880及び/又は第2のユニットヒータ882を使用してフェースプレート876を加熱することを含んでもよい。
【0128】
装置800はまた、基板を冷却するように構成されてもよい。この冷却は、冷却ガスを基板上に流すこと、基板とフェースプレートの間の伝熱を可能にするためにフェースプレート近くに基板を移動させること、又はそれら両方を含んでもよい。基板をアクティブに冷却することで、より正確な温度制御と、より速い温度間遷移が可能になり、これにより処理時間を減らし、スループットを改善する。いくつかの実施形態では、流体導管に伝熱流体を流す第1のヒータユニット880は、基板819から伝達される熱をフェースプレート876から逃がすことによって基板818を冷却するために使用されてもよい。基板818は、したがって、5mm又は2mm以下のギャップ886などによってフェースプレート876に近接して配置されることによって冷却されてもよく、その結果、基板818の熱が放射によりフェースプレート876に伝達され、第1のユニットヒータ880の伝熱流体によってフェースプレート876から逃がされる。フェースプレート876は、したがって、基板818を冷却するための、基板818用のヒートシンクと考えてよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、装置800は、冷却流体源873をさらに含んでもよく、冷却流体源873は、冷却流体(気体又は液体)と、例えば、少なくとも約90℃、少なくとも約70℃、少なくとも約50℃、少なくとも約20℃、少なくとも約10℃、少なくとも約0℃、少なくとも約-50℃、少なくとも約-100℃、少なくとも約-150℃、少なくとも約-190℃、少なくとも約-200℃、又は少なくとも約-250℃以下などの所望の温度に冷却流体を冷却するように構成されたクーラ(図示せず)とを含んでもよい。装置800は、冷却流体を1つ又は複数の流体入口870に送達するための管と、冷却流体を基板上に流すように構成されたガス分配ユニット810とを含む。いくつかの実施形態では、例えばチャンバ内部814が、上述したように、例えば、約0.1Torrから10Torrの間、又は約0.1Torrから100Torrの間、又は約20Torrから200Torrの間などの低圧状態である場合、流体は、チャンバ802に流されるときに液体状態でもよく、かつチャンバ内部814に到達したときに蒸気の状態にされてもよい。冷却流体は、窒素、アルゴン、又はヘリウムなどの不活性元素であってもよい。場合によっては、冷却流体は、水素ガスなどの不活性でない元素又は混合物を含んでもよく、又はそれのみを有してもよい。いくつかの実施形態では、冷却流体のチャンバ内部814への流量は、例えば、少なくとも約0.25リットル/分、少なくとも約0.5リットル/分、少なくとも約1リットル/分、少なくとも約5リットル/分、少なくとも約10リットル/分、少なくとも約50リットル/分、又は少なくとも約100リットル/分であってもよい。特定の実施形態では、装置は、少なくとも約5℃/秒、少なくとも約10℃/秒、少なくとも約15℃/秒、少なくとも約20℃/秒、少なくとも約30℃/秒、又は少なくとも約40℃/秒などの1つ又は複数の冷却速度で基板を冷却するように構成されてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態では、装置800は、フェースプレート近くに基板を移動させることと、基板上に冷却ガスを流すことの両方によって、アクティブに基板を冷却してもよい。場合によっては、アクティブな冷却は、基板がフェースプレートに近接している間に冷却ガスを流すことで、より効果的である場合がある。冷却ガスの有効性もまた、使用されるガスの種類に依存する場合がある。
【0131】
本明細書で提供される装置は、したがって、迅速に基板を加熱かつ冷却できる。
図10は、温度制御シーケンスの一例を提供する。時間0において、基板は、およそ20又は25℃であり、かつ本明細書で提供される基板ヒータのLEDsは、400nmから800nmの間の波長を有する可視光を発して、基板温度をおよそ30秒で約400℃に上昇させる。この加熱は、基板ヒータへのおよそ9kWの供給電力によって提供される、1kWから2kWの間の加熱電力を使用して達成された。約30秒から約95秒の間、基板ヒータ822は、およそ2kWの供給電力によって提供された0.3から約0.5kWの加熱電力などのより低い電力を使用して、基板を400℃で保持した。約30~60秒の間、基板は、基板上に流された冷却ガス(例えば、水素又はヘリウム)と、フェースプレートへの伝熱の両方を使用してアクティブに冷却された。一旦冷却されると、基板ヒータは、約100Wの供給電力によって提供された約10~30Wの間の加熱電力を使用して、基板を加熱して、その温度をおよそ70℃で保持した。種々の処理技術が、基板を処理するために、この種のシーケンスを1回又は繰り返し使用してもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、装置800は、流体入口870に到達する前に、送達用にプロセスガスを混合し、かつ/又はその状態を調整するための混合プレナムを含んでもよい。1つ又は複数の混合プレナ厶吸気弁は、混合プレナムへのプロセスガスの導入を制御してもよい。いくつかの他の実施形態では、ガス分配ユニット810は、ガス分配ユニット810内部に1つ又は複数の混合プレナムを含んでもよい。ガス分配ユニット810はまた、貫通孔878に流体接続された1つ又は複数の環状流路を含んでもよく、基板上への均一な流れを提供するために、受け取った流体を貫通孔878に均等に分配してもよい。
【0133】
装置800は、処理チャンバと通信可能に接続され、かつ処理チャンバの一部又は全ての動作を制御するコントローラ831(1つ又は複数の物理又は論理コントローラを含んでもよい)を含み、かつ本明細書に記載のプロセスのいずれかを実行できる。システムコントローラ831は、1つ又は複数のメモリデバイス833と、1つ又は複数のプロセッサ835とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、開示された実施形態が実行される場合、装置は、流量及び持続時間を制御するためのスイッチングシステムと、基板加熱ユニットと、基板冷却ユニットと、チャンバでの基板の搬入出と、基板の熱的浮遊と、プロセスガスユニットとを含む。いくつかの実施形態では、装置は、最大約500ms又は最大約750msのスイッチング時間を有してもよい。スイッチング時間は、フローケミストリ、選択されたレシピ、リアクタアーキテクチャ、及び他の要因に依存してもよい。
【0134】
図11A~11Cは、本明細書に記載されるエッチング動作を実行するために使用され得る調整可能ギャップ容量結合閉込めRFプラズマリアクタ1100の一実施形態を例示する。描かれているように、真空チャンバ1102は、下部電極1106を収容する内部空間を取り囲むチャンバハウジング1104を含む。チャンバ1102の上部分では、上部電極1108が、下部電極1106から垂直に間隔を空けて配置されている。上部電極1108及び下部電極1106の平らな表面は、実質的に平行であり、かつ電極間の垂直方向に対して直交している。好ましくは、上部電極1108及び下部電極1106は円形であり、かつ垂直軸と同軸である。上部電極1108の下面は、下部電極1106の上面に面している。間隔を空けて対向する電極表面は、その間に調整可能なギャップ1110を画定する。動作中、下部電極1106には、RF電源(マッチ)1120によってRF電力が供給される。RF電力は、RF供給導管1122と、RFストラップ1124と、RF電力部材1126とを介して下部電極1106に供給される。接地シールド1136は、より均一なRFフィールドを下部電極1106に提供するために、RF電力部材1126を取り囲んでもよい。その全内容が参照により本明細書に組み込まれる共有の米国特許第7,732,728号に記載されているように、ウェハは、ウェハポート1182から挿入され、処理のために下部電極1106上のギャップ1110内で支持され、プロセスガスがギャップ1110に供給されて、RF電力によってプラズマ状態に励起される。上部電極1108に電力を供給したり、或いは上部電極1108を接地させることもできる。
【0135】
図11A~11Cに示す実施形態では、下部電極1106は、下部電極支持プレート1116上で支持される。下部電極1106と下部電極支持プレート1116の間に介在する絶縁体リング1114は、下部電極1106を支持プレート1116から絶縁する。
【0136】
RFバイアスハウジング1130は、下部電極1106をRFバイアスハウジングボウル1132上で支持する。ボウル1132は、RFバイアスハウジング1130のアーム1134によって、チャンバ壁プレート1118の開口部を介して導管支持プレート1138に接続される。好ましい一実施形態では、RFバイアスハウジングボウル1132及びRFバイアスハウジングアーム1134は、1つのコンポーネントとして一体的に形成されるが、アーム1134及びボウル1132は、共にボルト止め又は接合された2つの別個のコンポーネントとすることもできる。
【0137】
RFバイアスハウジングアーム1134は、下部電極1106の裏側の空間において、真空チャンバ1102の外側から真空チャンバ1102の内部に、気体冷却剤、液体冷却剤、RFエネルギー、リフトピン制御用ケーブル、電気的な監視及び動作信号などの、RF電力及び設備を通すための1つ又は複数の中空通路を含む。RF供給導管1122は、RFバイアスハウジングアーム1134から絶縁されており、RFバイアスハウジングアーム1134は、RF電源1120へのRF電力の戻り経路を提供する。設備導管1140は、設備コンポーネントのための通路を提供する。設備コンポーネントのさらなる詳細は、米国特許第5,948,704号及び第7,732,728号に記載されており、説明を簡潔にするためにここでは示さない。ギャップ1110は、好ましくは、閉込めリングアセンブリ又はシュラウド(図示せず)によって囲まれ、その詳細は、参照により本明細書に組み込まれる共有の公開された米国特許第7,740,736号に見出すことができる。真空チャンバ1102の内部は、真空ポータル1180を介した真空ポンプへの接続により、低圧に維持される。
【0138】
導管支持プレート1138は、作動機構1142に取り付けられている。サーボ機械モータ、ステッピングモータなどの作動機構1142は、例えば、ボールねじなどのねじ歯車1146と、ボールねじを回転させるためのモータとによって、垂直リニアベアリング1144に取り付けられている。ギャップ1110の大きさを調整するための動作中、作動機構1142は、垂直リニアベアリング1144に沿って移動する。
図11Aは、作動機構1142がリニアベアリング1144に対して高い位置にあり、その結果、ギャップ1110aが小さくなっている配置を例示する。
図11Bは、作動機構1142がリニアベアリング1144に対して中間位置にあるときの配置を例示する。示されるように、下部電極1106、RFバイアスハウジング1130、導管支持プレート1138、RF電源1120はすべて、チャンバハウジング1104及び上部電極1108に対してより低く移動しており、その結果、ギャップ1110bは中程度の大きさになる。
【0139】
図11Cは、作動機構1142がリニアベアリングに対して低い位置にあるときの、大きなギャップ1110cを例示する。好ましくは、上部電極1108及び下部電極1106は、ギャップ調整の間、同軸のままであり、ギャップを横切る上部電極及び下部電極の対向表面は、平行のままである。
【0140】
この実施形態は、例えば、300mmウェハ又はフラットパネルディスプレイなどの大径基板にわたって均一なエッチングを維持するために、マルチステップのプロセスレシピ(BARC、HARC、及びSTRIPなど)中に、CCPチャンバ1102内の下部電極1106と上部電極1108の間のギャップ1110を調整することを可能にする。特に、このチャンバは、下部電極1106と上部電極1108の間に調整可能なギャップを提供するのに必要な線形運動を可能にする機械的配置に関係する。
【0141】
図11Aは、近位端で導管支持プレート1138に、遠位端でチャンバ壁プレート1118の段付きフランジ1128にシールされた、横方向にたわんだベローズ1150を例示する。段付きフランジの内径は、RFバイアスハウジングアーム1134が通過するチャンバ壁プレート1118の開口部1112を画定する。ベローズ1150の遠位端は、クランプリング1152によって固定される。
【0142】
横方向にたわんだベローズ1150は、真空シールを提供し、同時にRFバイアスハウジング1130、導管支持プレート1138、及び作動機構1142の垂直移動を可能にする。RFバイアスハウジング1130、導管支持プレート1138、及び作動機構1142は、カンチレバーアセンブリと呼ぶことができる。好ましくは、RF電源1120は、カンチレバーアセンブリと共に移動し、導管支持プレート1138に取り付け可能である。
図11Bは、カンチレバーアセンブリが中間位置にあるときのニュートラル位置にあるベローズ1150を示す。
図11Cは、カンチレバーアセンブリが低位置にあるときに、横方向にたわんだベローズ1150を示す。
【0143】
ラビリンスシール1148は、ベローズ1150とプラズマ処理チャンバハウジング1104の内部との間に粒子バリアを提供する。固定シールド1156は、ラビリンス溝1160(スロット)を提供するように、チャンバ壁プレート1118においてチャンバハウジング1104の内側内壁に不動に取り付けられており、可動シールドプレート1158は、カンチレバーアセンブリの垂直移動に対応するためにラビリンス溝1160(スロット)内を垂直に移動する。可動シールドプレート1158の外側部分は、下部電極1106の全ての垂直位置でスロット内に留まる。
【0144】
示された実施態様では、ラビリンスシール1148は、ラビリンス溝1160を画定するチャンバ壁プレート1118の開口部1112の周縁で、チャンバ壁プレート1118の内面に取り付けられた固定シールド1156を含む。可動シールドプレート1158は、RFバイアスハウジングアーム1134に取り付けられ、かつそこから半径方向に延びており、アーム1134は、チャンバ壁プレート1118の開口部1112を通過する。可動シールドプレート1158は、固定シールド1156から第1のギャップだけ離間し、かつチャンバ壁プレート1118の内面から第2のギャップだけ離間しながら、ラビリンス溝1160内に延び、カンチレバーアセンブリの垂直移動を可能にする。ラビリンスシール1148は、ベローズ1150から剥離された粒子の真空チャンバ内部1105への移動を阻止し、かつプロセスガスプラズマからのラジカルがベローズ1150に移動するのを阻止する。ベローズ1150において、ラジカルは、その後に剥離される堆積物を形成する可能性がある。
【0145】
図11Aは、カンチレバーアセンブリが高い位置にあるとき(小さなギャップ1110a)に、RFバイアスハウジングアーム1134の上方のラビリンス溝1160内でより高い位置にある可動シールドプレート1158を示す。
図11Cは、カンチレバーアセンブリが低い位置にあるとき(大きなギャップ1110c)に、RFバイアスハウジングアーム1134の上方のラビリンス溝1160内でより低い位置にある可動シールドプレート1158を示す。
図11Bは、カンチレバーアセンブリが中間位置にあるとき(中程度のギャップ1110b)の、ラビリンス溝1160内でニュートラル又は中間位置にある可動シールドプレート1158を示す。ラビリンスシール1148は、RFバイアスハウジングアーム1134に対して対称であるように示されているが、他の実施形態では、ラビリンスシール1148は、RFバイアスハウジングアーム1134に対して非対称であってもよい。
【0146】
図12は、真空搬送モジュール1238(VTM)と接続する様々なモジュールを有する半導体プロセスクラスタアーキテクチャを描く。複数の保管施設及び処理モジュールの間で基板を「搬送」するための搬送モジュールの配置は、「クラスタツールアーキテクチャ」システムと呼ばれることもある。ロードロック又は搬送モジュールとしても知られるエアロック1230は、4つの処理モジュール1220a~1220dを有するVTM1238内に示され、4つの処理モジュールは、様々な製造プロセスを実行するように個々に最適化されてもよい。例として、処理モジュール1220a~1220dは、基板のエッチング、成膜、イオン注入、基板の洗浄、スパッタリング、及び/又は他の半導体プロセス、並びにレーザ計測、他の欠陥検出及び欠陥同定方法を実行するように実装されてもよい。処理モジュールの1つ又は複数(1220a~1220dのいずれか)は、本明細書に開示されるように、つまり、基板に凹型フィーチャをエッチングするために、実装されてもよい。エアロック1230及びプロセスモジュール1220a~1220dは、「ステーション」と呼ばれることもある。各ステーションは、ステーションをVTM1238に接続するファセット1236を有する。ファセット内では、それぞれのステーション間で移動される際に基板1226の通過を検出するために、センサ1~18が使用される。
【0147】
ロボット1222は、ステーション間で基板を搬送する。一実施態様では、ロボットは1つのアームを有してもよく、別の実施態様では、ロボットは2つのアームを有してもよく、各アームは、移送のために基板をつかむエンドエフェクタ1224を有する。フロントエンドロボット1232は、雰囲気搬送モジュール(ATM)1240内で、基板をロードポートモジュール(LPM)1242内のカセット又はFOUP(Front Opening Unified Pod)1234からエアロック1230へと搬送するために使用されてもよい。プロセスモジュール1220a~1220d内部のモジュールセンタ1228は、基板を配置するための1つの場所であってもよい。ATM1240内のアライナ1244は、基板を位置合わせするために使用されてもよい。
【0148】
処理方法の例において、基板は、LPM1242内のFOUPs1234の1つに配置される。フロントエンドロボット1232は、基板をFOUP1234からアライナ1244に搬送し、これにより、基板1226がエッチングされ、その上への成膜を受け、又は他の処理を受ける前に、基板1226を適切にセンタリングできる。位置合わせされた後、基板は、フロントエンドロボット1232によってエアロック1230の中に運ばれる。エアロックモジュールは、ATMとVTMの間の環境を一致させる能力を有するため、基板は、損傷を受けることなく2つの圧力環境間を移動できる。基板は、エアロックモジュール1230から、ロボット1222によって、VTM1238を介してプロセスモジュール1220a~1220dの1つ、例えば、プロセスモジュール1220aの中に運ばれる。この基板移動を達成するために、ロボット1222は、その各アーム上のエンドエフェクタ1224を使用する。プロセスモジュール1220aにおいて、基板は、説明したようにエッチングを受ける。次に、ロボット1222は、基板を処理モジュール1220aから出し、次の所望の位置に移動させる。
【0149】
基板の移動を制御するコンピュータは、クラスタアーキテクチャに属することができ、又は製造フロアにおいてクラスタアーキテクチャの外部に配置可能であり、又は遠隔地にあって、ネットワークを介してクラスタアーキテクチャに接続可能であることに留意されたい。
【0150】
マルチステーション処理ツールの一実施形態の概略図を描く
図15などに示されるように、複数のプロセスステーションが、マルチステーション処理ツール環境に含まれてもよいことが理解されよう。処理装置1500は、複数の製造プロセスステーションを含む集積回路製造チャンバ1563を採用し、複数の製造プロセスステーションの各々は、特定のプロセスステーションで、台座などのウェハホルダ内に保持された基板上で処理動作を実行するために使用されてもよい。これらの処理動作は、本明細書に記載のエッチングのいずれかを含む。
図15の実施形態では、集積回路製造チャンバ1563は、4つのプロセスステーション1551、1552、1553、及び1554を有するように示される。各プロセスステーションは、本明細書に記載のエッチングを実行するように構成された
図7~10に関するものを含む、上述の処理ステーションの1つであってもよい。他の同様のマルチステーション処理装置は、実施態様と、例えば、並行ウェハ処理の所望のレベル、サイズ/空間制約、コスト制約などとに応じて、より多いか、又はより少ないプロセスステーションを有してもよい。任意の適切なウェハ処理システムが採用されてもよいことが理解されよう。非限定的な例として、ウェハカルーセル及びウェハ処理ロボットが挙げられる。
図15に示されているのは、システムコントローラ1590の制御下で動作し得る基板ハンドラロボット1575であり、基板をウェハカセット(
図15には示さず)から、ローディングポート1580から集積回路製造チャンバ1563内へ、そしてプロセスステーション1551、1552、1553、及び1554の1つへと移動させるように構成されている。システムコントローラ1590は、本明細書に記載されるコントローラのいずれかであってもよく、かつ本明細書に提供される技術のいずれかを実施するように構成されてもよい。
【0151】
装置1500はまた、RF電力を生成し、高周波入力ポート1567を介して集積回路製造チャンバ1563に運び得るRFサブシステム1595を含んでもよい。特定の実施形態では、集積回路製造チャンバ1563は、高周波入力ポート1567の他にも入力ポートを含んでもよい(追加の入力ポートは、
図15には示さない)。したがって、集積回路製造チャンバ1563は、8つのRF入力ポートを使用してもよい。特定の実施形態では、集積回路製造チャンバ1563のプロセスステーション1551~1554は、各々、第1及び第2の入力ポートを使用してもよく、ここで第1の入力ポートは、第1の周波数を有する信号を運んでもよく、かつ第2の入力ポートは、第2の周波数を有する信号を運んでもよい。2周波の使用は、強化されたプラズマ特性をもたらす場合がある。
【0152】
装置1500はまた、プロセスステーション1551、1552、1553、及び1554の各々に流体接続された、1つ又は複数のガス源1572、1つ又は複数の蒸気源1574、及び/又は1つ又は複数の冷却ガス源1573を含む。各ステーションはまた、加熱された台座とガスライン入口とを有してもよく、各ステーションはまた、本明細書に記載されるようにそのステーションでウェハを加熱するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる又は複数の目的を有してもよいことが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスステーションは、プラズマアシストエッチングプロセスと熱エッチングプロセスの間で切り替え可能であってもよい。付加的又は代替的に、いくつかの実施形態では、処理チャンバ1563は、ALEプロセスステーションの1つ又は複数の対対応を含んでもよい。
【0153】
結果
本明細書に提供される技術の使用は、結果として、他の利点に加えて、低い不均一性でのIGZOエッチングをもたらし、場合によっては、実行されたALEサイクルの数とエッチングされたIGZOの量との直線関係をもたらす。
図13は、IGZOのエッチングの実験結果のグラフを描く。ここでは、IGZOの厚さは、10のALEサイクル、20のALEサイクル、及び30のALEサイクル(x軸)を実行した後に測定された(そして、y軸に正規化されている)。各ALEサイクルは、改質動作と除去動作を別々の動作として、
図2及び
図3に従い実行された。見られるように、本明細書に提供されるALEエッチングに係るIGZOのエッチングは、結果として、サイクルの数と除去されるIGZOの量との直線関係をもたらす。IGZOが均一に、したがって容易に予測可能な方法で除去されるため、この直線関係は有利である。
【0154】
図14は、開示された実施形態に係るIGZOの2つのALEエッチング手順後の基板の側面断面図を描く。ここでは、
図13と同様に、IGZOの厚さは、改質動作と除去動作を別々の動作として、
図2及び
図3に係るN回のALEサイクル及びY回のALEサイクルを実行した後に測定されたものとして描いた。基板は、灰色の物質であり、その上に堆積されたIGZOは、白色の物質である。左側の第1の画像では、エッチングは行われていない。中央の画像は、N回のALEサイクル後のIGZO材料であり、右側の画像は、Y回のALEサイクル後のIGZO材料である。見られるように、IGZO材料は、N回のALEサイクルとY回のALEサイクルの両方を実行した後に、有利に均一なままであり、つまり低い不均一性を有する。
【0155】
本明細書に開示された主題は、例示された実施形態に関して特に説明されたが、種々の変更、変形、及び適応が本開示に基づいてなされてもよく、かつ本発明の範囲の範囲内であることを意図していることが理解されよう。説明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲の範囲内に含まれる種々の変形及び同等の取り合わせをカバーすることを意図していることが理解されよう。
【国際調査報告】