(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-08
(54)【発明の名称】物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子を低減する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/00 20060101AFI20240301BHJP
C23C 14/06 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C23C14/00 B
C23C14/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023556495
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022020412
(87)【国際公開番号】W WO2022197723
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トウ, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】カオ, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】リー, ミントン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴァン, シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ラマリンガム, ジョーティーリンガム
(72)【発明者】
【氏名】リュウ, チョンユイ
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BA35
4K029BA58
4K029BB02
4K029BB10
4K029CA05
4K029DA01
4K029DA04
4K029DA10
4K029DA12
4K029DC34
4K029DC35
4K029DC45
4K029EA01
4K029EA03
4K029EA09
4K029JA01
4K029KA01
(57)【要約】
物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減するための方法および装置の実施形態が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、PVDチャンバにおける粒子形成を低減する方法は、PVDチャンバにおける基板支持体上に配置された対応する一連の基板上で複数の第1の堆積プロセスを行うことであって、PVDチャンバは、基板支持体の周りに配置されかつテクスチャ加工外面を有するカバーリングを含み、第1の厚さを有する窒化ケイ素(SiN)層は、複数の第1の堆積プロセスのそれぞれの間にテクスチャ加工外面上に堆積する、複数の第1の堆積プロセスを行うことと、第2の厚さを有するアモルファスシリコン層を下地の窒化ケイ素(SiN)層上に堆積させるために複数の第1の堆積プロセスのサブセット間においてカバーリング上で第2の堆積プロセスを行うこととを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減する方法であって、
前記PVDチャンバにおける基板支持体上に配置された対応する一連の基板上で複数の第1の堆積プロセスを行うことであって、前記PVDチャンバは、前記基板支持体の周りに配置されかつテクスチャ加工外面を有するプロセスキットを含み、第1の厚さ以下である厚さを有する窒化ケイ素層は、前記複数の第1の堆積プロセスのそれぞれの間に前記テクスチャ加工外面上に堆積する、複数の第1の堆積プロセスを行うことと、
前記複数の第1の堆積プロセスのサブセット間において前記プロセスキット上で第2の堆積プロセスを行い、第2の厚さを有するアモルファスシリコン層を、前記複数の第1の堆積プロセス中に堆積した前記窒化ケイ素層の最後の窒化ケイ素層上に堆積させることとを含む、方法。
【請求項2】
前記複数の第1の堆積プロセスの前記サブセットは、約10個の基板~約20個の基板を処理することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の堆積プロセス中、前記PVDチャンバの内部容積を約10ミリトル~約20ミリトルの圧力に加圧することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の厚さは、約100ナノメートル~約300ナノメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の厚さは、約1マイクロメートル~約4マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の第1の堆積プロセスの第2のサブセット間において前記プロセスキット上で第3の堆積プロセスを行い、前記第2の厚さを上回る第3の厚さを有するアモルファスシリコン層を堆積させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のサブセットは約900個~約1500個の基板を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の厚さは約3~約6マイクロメートルである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の堆積プロセスは、約250キロワットアワー~350キロワットアワーごとに行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記窒化ケイ素(SiN)層は圧縮応力層であり、前記アモルファスシリコン層は引張り応力層である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の堆積プロセスは、プロセスガスとしてアルゴンを使用することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の第1の堆積プロセスは、窒素およびアルゴンを含むプロセスガスを使用することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の堆積プロセス中に前記基板支持体上にシャッタディスクを設置することをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記テクスチャ加工外面は、約0.5ミリメートル~約4.5ミリメートルの間隔を有する複数の突出部を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記テクスチャ加工外面は、約0.2ミリメートル~約1.5ミリメートルの高さを有する複数の突出部を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の厚さは前記第1の厚さを上回る、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の堆積プロセスは、約20キロワットアワー~60キロワットアワーごとに行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プロセスキットはカバーリングである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
コントローラを使用し、前記方法を行うことをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の第1の堆積プロセスは、前記第2の堆積プロセスと同じチャンバにおいて行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的に、基板処理装置に関し、より具体的には、基板処理装置における粒子形成を低減することに関する。
【背景技術】
【0002】
物理気相堆積(PVD)としても知られているスパッタリングは、集積回路における特徴を形成する方法である。スパッタリングによって、材料の層が基板上に堆積する。ターゲットなどのソース材料は、ターゲットから材料を排出するためにイオンによって衝撃を与えられる。材料は次いで基板上に堆積する。本発明者は、堆積プロセス中、材料または汚染物質がチャンバ構成要素上に堆積し得ることを観測した。チャンバ構成要素上に堆積した材料は、それぞれの連続した堆積プロセス中に一連の堆積層を形成し得る。堆積層は、特に、PVDチャンバでプロセス中およびその間に熱サイクルが行われる時にフレーキングを起こしやすく、これによって、PVDチャンバ内に不要な粒子および汚染物質が生成される場合がある。
【発明の概要】
【0003】
従って、本発明者は、改善されたPVD処理チャンバ、および該チャンバにおける不要な粒子を低減するための使用方法を提供している。
【0004】
物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減するための方法および装置の実施形態が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、PVDチャンバにおける粒子形成を低減する方法は、PVDチャンバにおける基板支持体上に配置された対応する一連の基板上で複数の第1の堆積プロセスを行うことであって、PVDチャンバは、基板支持体の周りに配置され、かつテクスチャ加工外面を有するプロセスキットを含み、第1の厚さを有する窒化ケイ素(SiN)層は、複数の第1の堆積プロセスのそれぞれの間にテクスチャ加工外面上に堆積する、複数の第1の堆積プロセスを行うことと、第2の厚さを有するアモルファスシリコン層を下地の窒化ケイ素(SiN)層上に堆積させるために複数の第1の堆積プロセスのサブセット間においてプロセスキット上で第2の堆積プロセスを行うこととを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減する方法は、PVDチャンバにおける基板支持体上に配置された対応する一連の基板上で複数の第1の堆積プロセスを行うことであって、PVDチャンバは、基板支持体の周りに配置され、かつテクスチャ加工外面を有するカバーリングを含み、第1の厚さを有する窒化ケイ素(SiN)層は、複数の第1の堆積プロセスのそれぞれの間にテクスチャ加工外面上に堆積する、複数の第1の堆積プロセスを行うことと、第2の厚さを有するアモルファスシリコン層を下地の窒化ケイ素(SiN)層上に堆積させるために複数の第1の堆積プロセスのサブセット間においてカバーリング上で第2の堆積プロセスを行うことであって、第2の厚さは第1の厚さを上回る、第2の堆積プロセスを行うことと、第2の厚さを上回る第3の厚さを有するアモルファスシリコン層を堆積させるために複数の第1の堆積プロセスの第2のサブセット間においてカバーリング上で第3の堆積プロセスを行うこととを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減する方法は、PVDチャンバにおける基板支持体上に配置された基板上で第1の堆積プロセスを行うことであって、PVDチャンバは、基板支持体の周りに配置され、かつテクスチャ加工外面を有するカバーリングを含み、第1の厚さを有する窒化ケイ素(SiN)層は、第1の堆積プロセス中にテクスチャ加工外面上に堆積する、第1の堆積プロセスを行うことと、PVDチャンバにおける約10~約20の後続の対応する基板上で第1の堆積プロセスを繰り返すことと、第2の厚さを有するアモルファスシリコン層を下地の窒化ケイ素(SiN)層上に堆積させるためにPVDチャンバにおけるカバーリング上で第2の堆積プロセスを行うこととを含む。
【0007】
本開示の他のおよびさらなる実施形態については、以下に記載する。
【0008】
上記に簡潔に要約され、かつ以下により詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解可能である。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみ例示しているため、範囲を限定するものとみなされるべきではなく、本開示では、他の等しく効果的な実施形態が認められ得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の少なくともいくつかの実施形態による物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減する方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の少なくともいくつかの実施形態によるPVDチャンバの概略的な断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットの一部の詳細な等角図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットの一部の概略的な側面図である。
【
図5】本開示の少なくともいくつかの実施形態による複数の堆積プロセスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするように、図に共通する同一の要素を指定するために、可能な限り同一の参照記号が使用されている。図は正確な比率で描かれておらず、明確にするために簡略化され得る。1つの実施形態の要素および特徴は、有益には、さらに詳述することなく他の実施形態に組み込まれる場合がある。
【0011】
本明細書において、物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減するための方法および装置の実施形態が提供される。PVDチャンバに配置された基板上の堆積プロセスを行う間、材料は、プロセスキットなどのチャンバ構成要素上に堆積する。チャンバ構成要素上に堆積した材料は、それぞれの連続した堆積プロセス中に一連の圧縮層を形成し得る。圧縮層は、特に、PVDチャンバにおいて熱サイクルが行われる時にフレーキングを起こしやすいと思われる。本明細書に提供される方法は、例えばフレーキングによる、PVDチャンバにおける不要な粒子生成を防止するために、1つまたは複数の圧縮材料層上に材料の引張り層を追加することを容易にする。
【0012】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による物理気相堆積(PVD)チャンバにおける粒子形成を低減する方法100のフローチャートを示す。102において、方法100は、
図2に関して以下に論じられるプロセスチャンバ200などのPVDチャンバにおいて、該PVDチャンバにおける基板支持体(例えば、基板支持体230)上に配置された対応する一連の基板(例えば、基板204)上で複数の第1の堆積プロセスを行うことを含む。PVDチャンバは、基板支持体の周りに配置され、かつテクスチャ加工外面を有するプロセスキット(例えば、プロセスキット250)を含む。プロセスキットは、カバーリング(例えば、カバーリング255)、堆積リング(例えば、堆積リング254)、下部シールド(例えば、下部シールド252)、または上部シールド(例えば、上部シールド251)のうちの1つまたは複数を含み得る。テクスチャ加工外面は、例えば、ビードブラスト加工、アーク溶射、または3次元印刷などの付加製造による任意の適した方法によってテクスチャ加工され得る。いくつかの実施形態において、テクスチャ加工外面は、間に約0.5ミリメートル~約4.5ミリメートルの間隔を有する複数の突出部を含む。いくつかの実施形態において、テクスチャ加工外面は、約0.2ミリメートル~約1.5ミリメートルの高さを有する複数の突出部を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、複数の第1の堆積プロセスは、窒素、または窒素およびアルゴンの組み合わせを含むプロセスガスを使用すること、およびガス供給部(例えば、ガス供給部266)を介してプロセスガスを供給することを含む。使用中、いくつかの実施形態において、第1の厚さを有する窒化ケイ素(SiN)層は、複数の第1の堆積プロセスのそれぞれの間にプロセスキットのテクスチャ加工外面上に堆積する。いくつかの実施形態において、第1の厚さは約100ナノメートル~約300ナノメートルである。いくつかの実施形態において、SiN層は圧縮応力層である。例えば、SiN層は、約-2.0GPa~約-1.0GPaの圧縮応力を有し得る。複数の第1の堆積プロセス中、複数のSiN層はプロセスキット上に堆積する。連続した第1の堆積プロセス間で、プロセスチャンバ200において熱サイクルが行われることで、複数のSiN層が割れかつ剥離する場合がある。
【0014】
104において、方法100は、複数の第1の堆積プロセスのサブセット間においてプロセスキット上で第2の堆積プロセスを行うことを含む。いくつかの実施形態において、
図4に示されるように、第2の厚さを有するアモルファスシリコン層(例えば、アモルファスシリコン層404)は、下地の窒化ケイ素(SiN)層(例えば、窒化ケイ素層402)上に堆積する。アモルファスシリコン層は、有利には、SiN層を覆い、かつSiN層の圧縮応力を打ち消すことができるため、プロセスチャンバを汚染する可能性があるSiNの割れおよび剥離が低減または軽減される。いくつかの実施形態において、アモルファスシリコン層は引張り応力層である。いくつかの実施形態において、方法100は、第2の堆積プロセス中、PVDチャンバの内部容積を約10ミリトル~約20ミリトルの圧力に加圧することをさらに含み、この圧力において、堆積したアモルファスシリコン層は、有利には、より高い引張り応力を有する。例えば、アモルファスシリコン層は、約0.05GPa~約0.3GPaの引張り応力を有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、複数の第1の堆積プロセスのサブセットは、処理される基板の数、または使用時のキロワットアワーなどに基づいてもよい。例えば、複数の第1の堆積プロセスのサブセットは、約10個の基板~約20個の基板を処理することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、複数の第1の堆積プロセスのサブセットは、約12個の基板~約15個の基板を処理することを含む。いくつかの実施形態において、第2の堆積プロセスは、約20キロワットアワー~60キロワットアワーごとに行われる。いくつかの実施形態において、第2の厚さは、それぞれのサブセットにおける複数の第1の堆積プロセスの組み合わせられた厚さを上回る。いくつかの実施形態において、第2の厚さは、約1マイクロメートル~約4マイクロメートルである。いくつかの実施形態において、第2の堆積プロセスは、プロセスガスとしてアルゴンを使用して行われる。いくつかの実施形態において、基板の代わりに、第2の堆積プロセス中に基板支持体上にシャッタディスクが設置される。複数の第1の堆積プロセスおよび第2の堆積プロセスは、プロセスキットの寿命の終わりまで繰り返されてもよい。
【0016】
オプションとして、106において、第2の厚さを上回る第3の厚さを有するアモルファスシリコン層を堆積させるために、複数の第1の堆積プロセスの第2のサブセット間においてプロセスキット上で第3の堆積プロセスが行われる。いくつかの実施形態において、第3の厚さは約3~約6マイクロメートルである。いくつかの実施形態において、第2のサブセットは約900個~約1500個の基板を含む。いくつかの実施形態において、第2のサブセットは約1000個~約1200個の基板を含む。第3の堆積プロセスは、プロセスキットの寿命の終わりまで第2のサブセットごとに繰り返されてもよい。
【0017】
図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態によるPVDチャンバ(例えば、プロセスチャンバ200)の概略的な断面図を示す。しかしながら、他の処理チャンバも、本明細書に開示される本発明の装置から利益が得られ得る。プロセスチャンバ200は、処理容積208および非処理容積209を有する内部容積を囲むチャンバ壁206を含む。チャンバ壁206は、側壁216、底壁220、および天井224を含む。天井224は、内部容積を密封するためのチャンバリッドまたは同様のカバーを含んでもよい。プロセスチャンバ200は、独立型チャンバ、またはさまざまなチャンバの間で基板204を移送する基板移送機構(例えば、基板移送ロボット)によって接続される相互接続されたチャンバ群を有するマルチチャンバプラットフォーム(図示せず)の一部とすることができる。プロセスチャンバ200は、基板204上に材料をスパッタ堆積させることができるPVDチャンバであり得る。スパッタ堆積に適した材料の非限定的な例には、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO2)、アモルファスSi、オキシ炭化ケイ素(SiOC)、酸窒化ケイ素(SiON)が含まれる。
【0018】
プロセスチャンバ200は、基板204を支持するためのペデスタル234を含む基板支持体230を含む。ペデスタル234は、プロセスチャンバ200の上部分に配置されたスパッタリングターゲット240のスパッタリング表面239に実質的に平行な平面を有する基板支持面238を有する。ペデスタル234の基板支持面238は、処理中に基板204を受け取りかつ支持する。ペデスタル234は、静電チャックまたはヒータ(抵抗加熱ヒータ、熱交換器、または他の適切な加熱装置など)を含んでもよい。動作中、基板204は、プロセスチャンバ200の側壁216における基板投入口242を通してプロセスチャンバ200の非処理容積209に導入され、かつ基板204の積載中に非処理位置にある基板支持体230上に設置される。支持リフト機構によって基板支持体230を上昇または下降させることができ、リフトフィンガアセンブリを使用して、ロボットアームによって基板204を基板支持体230上に設置する間に基板支持体230上へと基板204を上昇または下降させることができる。ペデスタル234は、プラズマ動作中、電気的浮遊電位で維持可能である、または接地可能である。
【0019】
プロセスチャンバ200は、基板支持体230に結合され得るベースプレート289を介してペデスタル234に結合される密封装置290を含み得る。密封装置190は、基板204の処理中に非処理容積209から処理容積208を流体的に隔離するように構成されることで、処理容積208において、プロセス圧力およびプロセスガス供給までのポンプダウンのみが生じる。その結果、処理容積208へのポンプダウンおよびガスの供給に必要とされる時間が低減される。
【0020】
プロセスチャンバ200は、プロセスキット250も含有し、プロセスキット250は、例えば、構成要素表面からスパッタリング堆積物を除くために、腐食した構成要素を取り替えるもしくは修理するために、またはプロセスチャンバ200を他のプロセスに適応させるために、プロセスチャンバ200から容易に取り外し可能であるさまざまな構成要素を含む。プロセスキット250は、アルミニウム、ステンレス鋼、またはセラミック材料などの任意の適した材料から作られ得る。ガス供給部266は、処理中に1または複数のプロセスガスを処理容積208に供給するように構成される。ガス供給部266は、処理容積208への1または複数のプロセスガスの供給を容易にするガス供給チャネル281に結合されてもよい。さらに、プロセスチャンバ200は、処理容積208に流体的に結合されるポンピングプレナム280を含むことができる。ポンピングプレナム280は、処理容積108を空にするためにポンプ285に結合される。
【0021】
いくつかの実施形態において、プロセスキット250は、上部シールド251および下部シールド252を含む。上部シールドは、スパッタリングターゲット240のスパッタリング表面239および基板支持体230を囲うような大きさである直径(例えば、スパッタリング表面239より大きくかつ基板支持体230の支持表面より大きい直径)を有する。上部シールドは、下部シールド252の上に配置された上部257、および上部257から下方に延在し、かつ下部シールド252の半径方向内面に対して間隔をあけて下部シールド252の少なくとも一部を垂直方向に重なる(例えば、下部258と下部シールド252との間の間隙を画定する)下部258を有し得る。
【0022】
下部シールド252は、円筒部267と、円筒部267の底部から半径方向内方に延在するレッジ268と、レッジ268の半径方向最内部から上方に延在し、かつ基板支持体230を取り囲むリップ269とを含む。上部シールド251および下部シールド252は別個の要素であるとして図示されているが、いくつかの実施形態では、上部シールド251および下部シールド252は一体構造として形成されてもよい。上部シールド251および下部シールド252は、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、またはセラミックなどの同じ材料または異なる材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態において、上部シールド251の上部257および円筒部267の上部は、両方が処理容積208に流体的に結合されるポンピングプレナム180およびガス供給チャネル281を形成するために、環状アダプタ259と整合する。いくつかの実施形態では、環状アダプタ259およびチャンバ壁をバッキング板261から電気的に絶縁するために、環状アダプタ259とバッキング板261との間にインシュレータリング263が配置されてもよい。
【0023】
プロセスキット250は、リップ269の上に配置されるカバーリング255と、カバーリング255の下に配置される堆積リング254とを含み得る。カバーリング255の底面は堆積リング254と整合する。カバーリング255は、堆積リング254を少なくとも部分的に覆う。堆積リング254およびカバーリング255は互いに協働して、基板支持体230の周壁、および基板204の張り出し縁部253上のスパッタ堆積物の形成を低減する。
【0024】
プロセスチャンバ200は、ペデスタル134が処理位置にある時、処理容積108を非処理容積109から密封するためにペデスタル134に結合される密封装置190をさらに含む。密封装置190は、ペデスタル134が処理位置にある時、処理容積108を非処理容積109から選択的に密封するように構成されて、ペデスタル134が非処理位置にある時、例えば、より低い投入位置にある時、処理容積108および非処理容積109が流体的に結合できるようにする。
【0025】
スパッタリングターゲット240は、DC電源246およびRF電源248のうちの1つまたはこの両方に接続される。DC電源246は、スパッタリングプロセス中に電気的に浮遊し得るバイアス電圧を、上部シールド251に対してスパッタリングターゲット240に加えることができる。DC電源246がスパッタリングターゲット240、上部シールド251、ペデスタル234、およびDC電源246に接続される他のチャンバ構成要素に電力を供給する間、RF電源248は、スパッタリングガスを活性化して、スパッタリングガスのプラズマを形成する。形成されたプラズマは、スパッタリングターゲット240のスパッタリング表面239に衝突してこれに衝撃を与えて、スパッタリング表面139からの材料を基板204上にスパッタする。いくつかの実施形態では、RF電源248によって供給されたRFエネルギーは、周波数の範囲が約2MHz~約60MHzであり得る、または例えば、2MHz、13.56MHz、27.12MHz、または60MHzなどの非限定的な周波数が使用可能である。いくつかの実施形態において、複数の上記の周波数でRFエネルギーを提供するために、複数の(すなわち、2またはそれ以上の)RF電源が提供され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、プロセスチャンバ200は、スパッタリングターゲット240のスパッタリングを改善するようにスパッタリングターゲット240の周りに磁界を成形するためにスパッタリングターゲット240の上に配置された磁界発生器264を含んでもよい。容量的に生成されたプラズマは、磁界発生器264によって強化され得、磁界発生器264では、例えば、永久磁石または電磁石コイルが、基板204の平面に垂直である回転軸を有する回転磁界を有する磁界をプロセスチャンバ200において提供し得る。プロセスチャンバ200は、さらにまたは代替的に、磁界発生器264を含み、磁界発生器264は、プロセスチャンバ200のスパッタリングターゲット240の近くに磁界を生成して、スパッタリングターゲット240に隣接する高密度プラズマ領域のイオン密度を増大させることで、ターゲット材料のスパッタリングを改善する。いくつかの実施形態において、スパッタリングターゲット240は、スパッタリングターゲット240と磁界発生器264との間に配置されるバッキング板246に結合される。
【0027】
いくつかの実施形態において、プロセスチャンバ200は排気部270をさらに含んでもよい。排気部270は、一部使用済みプロセスガスを受け得る排気口271を含み、その使用済みガスを、スロットルバルブ279を有する排気コンジット272まで通して、プロセスチャンバ200におけるガスの圧力を制御する。排気コンジット272は1つまたは複数の排気ポンプ273に接続される。
【0028】
プロセスチャンバ200のさまざまな構成要素は、コントローラ274によって制御されてもよい。コントローラ274は、本明細書に説明される方法を実行するように構成要素を動作させるための命令セットを有するプログラムコードを含む。例えば、コントローラ274は、ペデスタル234および基板移送機構を動作させるための基板位置付け命令セット、処理される基板の数に基づいて第2の堆積プロセスまたは第3の堆積プロセスを行うための命令、プロセスチャンバ200へのスパッタリングガスの流量を設定するためにガス流量制御バルブを動作させるためのガス流量制御命令セット、プロセスチャンバ200内の圧力を維持するように動作させるためのガス圧力制御命令セット、ガス活性化電力レベルを設定するためにRF電源248を動作させるためのガスエナジャイザ制御命令セット、ペデスタル234における温度制御システムを制御するための温度制御命令セット、およびプロセスチャンバ200におけるプロセスをモニタするためのプロセスモニタリング命令セットを含むがこれらに限定されないプログラムコードを含むことができる。
【0029】
図3は、本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキット150の一部の詳細な等角図を示す。プロセスキット150の外面300は、有利には、堆積した材料の接着を促進するためにテクスチャ加工される。例えば、
図3は、付加製造技術によってテクスチャ加工される外面300であって、外面300から延在し、かつ間に複数の谷間306を形成する複数の突出部302を含む外面300を示す。付加製造は、一般的に、材料の連続した薄層を敷設することによって3次元構成要素を製造する技術である。複数の突出部302は、約0.6ミリメートル~約1.4ミリメートルの直径312を有する上面308を有し得る。複数の突出部320は、第1の距離314によって分離され得る。いくつかの実施形態において、第1の距離314は約0.5ミリメートル~約4.5ミリメートルである。いくつかの実施形態において、第1の距離314は、複数の突出部302の各々の突出部の上面から測定されてもよい。いくつかの実施形態において、複数の突出部302は、プロセスキット250の外面300から複数の突出部302の上面308までの約0.2ミリメートル~約1.5ミリメートルの高さ316を有する。
【0030】
図4は、複数の第1の堆積プロセスおよび第2の堆積プロセスの後の、本開示のいくつかの実施形態によるプロセスキットの概略的な断面図を示す。
図4に示されるように、プロセスキット250は複数のSiN層402を有し、この場合、SiN層のそれぞれ(例えば、402a、402b、…402n)は第1の堆積プロセスに対応する。いくつかの実施形態において、複数のSiN層402は約10~約20の層を含む。いくつかの実施形態において、複数のSiN層402のそれぞれのSiN層の第1の厚さ406は、約100ナノメートル~約300ナノメートルの第1の厚さである。アモルファスシリコン層404は複数のSiN層402上に配置される。いくつかの実施形態において、アモルファスシリコン層404は、約1マイクロメートル~約4マイクロメートルの第2の厚さ410を有する。
【0031】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による複数の堆積プロセス500のブロック図を示す。いくつかの実施形態において、複数の堆積プロセス500は複数のサブセット502(例えば、サブセット502a~502n)を含む。複数のサブセット502のそれぞれは複数の第1の堆積プロセス504(例えば、第1の堆積プロセス504a~504n)を含み、この場合、SiN層はプロセスキット250上に堆積する。いくつかの実施形態において、第1の堆積プロセス504nは、複数のサブセット502のうちの各々のサブセットにおける10番目~約20番目の第1の堆積プロセスに対応する。それぞれのサブセットの第1の堆積プロセス504nの後、アモルファスシリコン堆積を含む第2の堆積プロセス510がプロセスキット250上で行われる。
【0032】
いくつかの実施形態において、複数の堆積プロセス500は複数の第2のサブセット506を含む(明確にするために、
図5には1つのみが示されている)。複数の第2のサブセット506のそれぞれは、複数のサブセットの複数の第1の堆積プロセス504を含む。例えば、第2のサブセット506aは、サブセット502a~502nに対して複数の第1の堆積プロセス504a~504nを含む。アモルファスシリコン堆積を含む第3の堆積プロセス520は、複数の第2のサブセット506のそれぞれの後にプロセスキット250上で行われてもよい。いくつかの実施形態において、第3の堆積プロセス520は、約900個~約1500個の基板の処理後に行われてもよい。それ故に、第2の堆積プロセス510および第3の堆積プロセス520は、プロセスキット250の寿命の終わりまで繰り返されてもよい。いくつかの実施形態において、プロセスキット250の寿命の終わりは、約2000個~約4000個の基板を処理することに対応する。
【0033】
前述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態は、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよい。
【国際調査報告】