(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-11
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置および照明均一性補正方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240304BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558450
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022054615
(87)【国際公開番号】W WO2022199969
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ソテロポロス、ニコラオス
(72)【発明者】
【氏名】ハージャーズ、アルベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】イプマ、マイケル、フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ステーフス、マルコ、マテウス、ルイス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197BA04
2H197BA10
2H197CA10
2H197CC14
2H197DA03
2H197DC03
2H197DC05
2H197DC15
2H197DC18
2H197GA03
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA11
2H197GA12
2H197GA14
2H197GA21
2H197GA22
2H197GA23
2H197HA03
(57)【要約】
【解決手段】リソグラフィ装置は、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、放射ビームの強度プロファイルを調整するように構成された均一性補正システムとを備える。リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置の一部の熱状態を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて均一性補正システムを制御するように構成された制御システムを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
前記放射ビームの強度プロファイルを調整するように構成された均一性補正システムと、
当該リソグラフィ装置の一部の熱状態を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記均一性補正システムを制御するように構成された制御システムと、
当該リソグラフィ装置の一部の熱変形を測定するように構成された測定システムと、
を備え、
前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み、前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって実行される測定値を含む、リソグラフィ装置。
【請求項2】
前記制御システムは、前記熱状態基準とリファレンス熱状態基準との間の比較に少なくとも部分的に基づいて、前記均一性補正システムを制御するように構成される、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記リファレンス熱状態基準は、所定の限界を含み、前記制御システムは、前記熱状態基準が前記所定の限界に達したときに、前記均一性補正システムに前記放射ビームの強度プロファイルを調整させるように構成される、請求項2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記熱状態基準は、予測コンポーネントを含む、請求項1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項4に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
当該リソグラフィ装置の一部の温度を測定するように構成された検知システムを備え、
前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み、前記監視対象コンポーネントは、前記検知システムによって実行される測定値を含む、請求項1~5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
当該リソグラフィ装置の一部を冷却するためのクーラントの流れを提供するように構成された冷却システムを備え、前記検知システムは、前記クーラントの温度を測定するように構成される、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記放射ビームと相互作用するように構成された光学素子と、
前記光学素子を支持するように構成された支持構造と、
を備え、
前記検知システムは、前記光学素子および/または前記支持構造の温度を測定するように構成される、請求項6または7に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
パターニングデバイスを保持するように構成された支持デバイスであって、前記パターニングデバイスが前記放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成するように構成された、支持デバイスと、
前記パターン付き放射ビームを選択的に遮断するように構成されたレチクル・マスキング・ブレード・システムであって、前記検知システムが前記支持デバイスおよび/または前記レチクル・マスキング・ブレード・システムの温度を測定するように構成された、レチクル・マスキング・ブレード・システムと、
を備える、請求項6から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記測定システムは、
前記放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射面と、前記反射面の反対側の面から延びるアームと、
検知装置と前記アームとの間のギャップを測定するように構成された検知装置が設けられた支持フレームと、を備え、
前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって測定されるギャップを含む、請求項1から9のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記測定システムは、
前記放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射器と、
前記放射ビームの反射部分の位置を測定するように構成されたセンサと、を備え、
前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって測定された放射ビームの反射部分の位置を含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含む、請求項1~11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記制御システムは、基板のリソグラフィ露光中に、前記熱状態基準を使用して前記均一性補正システムを制御するように構成される、請求項1から12のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
リソグラフィ用の放射ビームを制御する方法であって、
前記放射ビームを調整することと、
前記放射ビームによって生成される熱を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含み、
前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み、前記監視対象コンポーネントは、熱変形測定値を含む、方法。
【請求項15】
前記熱状態基準をリファレンス熱状態基準と比較することと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リファレンス熱状態基準は所定の限界を含み、前記熱状態基準が前記所定の限界に達したときに前記放射ビームの強度プロファイルを調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱状態基準は、予測コンポーネントを含む、請求項14~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含む、請求項14から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記放射ビームの強度プロファイルと前記熱状態基準との間の関係を決定することと、
前記関係を使用して、リファレンス熱状態基準を決定することと、
前記リファレンス熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含む、請求項14から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項14から20のいずれかに記載の方法を含む、パターン付き放射ビームを基板上に投影する方法。
【請求項22】
コンピュータに請求項14から21のいずれかに記載の方法を実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項23】
請求項22に記載のコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
プロセッサ可読命令を格納するメモリと、
前記メモリに格納された命令を読み取って実行するように構成されたプロセッサと、
を備えるコンピュータ装置であって、
前記プロセッサ可読命令は、請求項14から21のいずれかに記載の方法を実行するように当該コンピュータ装置を制御するように構成された命令を含む、コンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年3月25日に出願された欧州特許出願第21164836.5号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、照明均一性補正システムを備えるリソグラフィ装置および関連する方法に関する。本発明は、一般にリソグラフィに関し、より詳細には、熱効果によって引き起こされる均一性ドリフトを補償するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に与えるよう構成される機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばレチクルまたはマスク)のパターンを基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影させ得る。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用する場合がある。この放射の波長によって、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。4-20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を用いるリソグラフィ装置は、例えば波長193nmの放射を用いるリソグラフィ装置より小さなフィーチャを基板上に形成するために用いられ得る。
【0005】
リソグラフィ装置は、通常、放射がパターニングデバイスに入射する前に、放射源によって生成された放射を調整するように構成される照明システムを含む。照明システムは、例えば、偏光および/または照明モードなどの放射の1つまたは複数の特性を変更することができる。照明システムは、放射内に存在する不均一性、例えば強度の不均一性を補正または低減するように構成された均一性補正システムを含むことができる。均一性補正システムは、例えば、強度変動を補正するために放射ビームのエッジに挿入される作動フィンガー(actuated fingers)を使用することができる。
【0006】
パターニングデバイスおよび基板上で良好な結像品質を確保するために、放射ビームの制御された均一性が維持される。すなわち、パターニングデバイスから反射するか、パターニングデバイスを透過する前の放射ビームは、不均一な強度プロファイルを有する可能性がある。リソグラフィプロセス全体にとって、放射ビームが少なくともある程度均一に制御されることが望ましい。均一性は、放射ビーム全体にわたる一定の強度を指すこともあるが、目標の照明均一性になるように照明を制御する能力を指すこともある。目標の照明均一性は、平坦なプロファイルまたは非平坦なプロファイルを有することができる。パターニングデバイスは、放射ビームにパターンを与え、その後、そのパターンが基板上に結像される。この投影された放射ビームの画質は、放射ビームの均一性によって影響される。システムドリフトの補正は通常、基板ロットごとに一度実行される。基板ロットは、例えば20~30枚の基板、例えば25枚の基板、で構成される。既知の均一性補正システムおよび方法は、後続の基板ロットの露光間の約300msから約600msの間で利用される。
【0007】
基板スループットに対する悪影響を低減しながら、目標の照明プロファイルに対する放射ビームの不均一性を低減する均一性補正システムおよび方法を提供することが望ましい。本開示の目的は、本明細書または他の場所で特定されるかどうかに関係なく、1つまたは複数の問題に対処する、または少なくとも有用な代替案を提供する、照明均一性補正のためのリソグラフィ装置および方法を提供することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の目的は、照明均一性補正のためのリソグラフィ装置および方法の改良された概念を提供することである。この目的は、独立請求項の主題によって達成される。改良された概念のさらなる態様は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様によれば、放射ビームを調整するように構成された照明システムを備えるリソグラフィ装置が提供される。リソグラフィ装置は、放射ビームの強度プロファイルを調整するように構成された均一性補正システムを備える。リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置の一部の熱状態を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて均一性補正システムを制御するように構成された制御システムを備える。
【0010】
リソグラフィ装置は、支持デバイス、基板テーブル、および投影システムを備え得る。支持デバイスは、放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成するように構成されたパターニングデバイスを保持するように構成され得る。基板テーブルは、基板を保持するように構成され得る。投影システムは、パターン化された放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成され得る。
【0011】
照明システムは、放射ビームがパターニングデバイスに入射する前に、放射源によって生成される放射を調整するように構成され得る。照明システムは、放射ビームの偏光および/または照明モードなどの放射ビームの1つまたは複数の特性を変更するように構成され得る。
【0012】
均一性補正システムは、照明システムの一部を形成し得る。均一性補正システムは、放射ビーム内に存在する不均一性、例えば強度の不均一性を補正または低減するように構成され得る。均一性補正システムは、放射ビームのそれぞれの部分の強度を調整(例えば、補正)するために、放射ビームと交差する方向へ移動可能および交差する方向から移動可能に構成されたフィンガー(fingers)を備え得る。均一性補正システムは、1つ以上のフィンガーに結合され、対応するフィンガーを動かすように構成された作動装置を備え得る。
【0013】
リソグラフィ装置の1つ以上の部品の熱状態(例えば温度)の変化は、放射ビームの強度プロファイル(例えばスリットの均一性)に望ましくない変化を引き起こす可能性がある。放射ビームの強度プロファイルにおける望ましくない変化は、リソグラフィ装置のクリティカルディメンジョンの均一性に悪影響を与えるなど、リソグラフィエラーを引き起こす可能性がある。リソグラフィエラーにより、基板上に不正確なパターンが形成される可能性があり、その結果、リソグラフィ装置によって製造されるデバイスに欠陥が生じる可能性がある。制御システムは、リソグラフィ装置の一部の温度および/または温度変化を監視(例えば、直接的および/または間接的に測定および/または推定)および/または予測するために、熱状態基準を有利に使用する。制御システムは、熱基準を使用して均一性補正システムを制御し、それにより、熱の影響によって引き起こされる放射ビームの強度プロファイルの望ましくない変化を少なくとも部分的に考慮する。制御システムは、リソグラフィ装置のスループットを不当に低下させることなく、リソグラフィエラーを有利に低減する。
【0014】
熱状態基準は、放射ビームによって生成された熱を直接的または間接的に受け取るリソグラフィ装置の一部の熱状態を示し得る。熱状態基準は、リソグラフィ装置の一部の温度を含んでもよい。熱状態基準は、リソグラフィ装置の一部の温度に相関するパラメータを含んでもよい。熱状態基準は、所定のおよび/または監視された放射線量情報を含んでもよい。熱状態基準は、所定のおよび/または監視された放射パルス情報を含んでもよい。温度は絶対温度であってもよい。温度は相対温度であってもよい。例えば、温度は、同時または異なる時点のリソグラフィ装置の1つまたは複数の他の部分と関連していてもよい。別の例として、温度は、所定のリファレンス温度と関連していてもよい。
【0015】
制御システムは、フィードフォワード制御システムであってもよい。フィードバック制御システムは、出力が生成されたフィードバック信号に依存する制御システムと考えることができる。フィードフォワード制御システムは、外部負荷に信号を渡し、外乱が制御変数に影響を与える前に外乱を排除するシステムと考えることができる。つまり、フィードバック制御では、エラーに基づいて変数が調整される。フィードフォワード制御では、エラーを引き起こす可能性のあるパラメータ(熱状態基準など)の知識に基づいて変数が調整される。
【0016】
制御システムは、動的制御システムであってもよい。つまり、制御システムは、パラメータの変化に適応しない静的な制御レジームを単に適用するのではなく、パラメータの変化に積極的に反応してよい。言い換えれば、静的制御システムは、リソグラフィ露光中の結像性能に影響を与える特定の熱条件に反応することができない。基板ロットの露光中に固定数の静的均一性補正イベントを追加することができるが、静的制御レジームに従ってすべての基板ロットに対して追加の補償が実行されるため、これはリソグラフィ装置のスループットに悪影響を与える。動的制御システムは、必要な場合にのみ動的均一性補正イベントを有利に引き起こし、それにより、スループットへの悪影響を最小限に抑えながら、リソグラフィエラーを低減する。
【0017】
制御システムは、熱状態基準とリファレンス熱状態基準との間の比較に少なくとも部分的に基づいて、均一性補正システムを制御するように構成され得る。
【0018】
リファレンス熱状態基準は、リソグラフィ装置の一部のリファレンス温度を含んでよい。リファレンス熱状態基準は、リソグラフィ装置の一部の温度に相関するリファレンスパラメータを含んでもよい。リファレンス熱状態基準は、放射ビームの強度プロファイルと熱状態基準との間の関係を決定するための較正を実行することによって決定され得る。
【0019】
リファレンス熱状態基準は、所定の限界を含むことができる。制御システムは、熱状態基準が所定の限界に達したときに、均一性補正システムに放射ビームの強度プロファイルを調整させるように構成され得る。
【0020】
熱状態基準は、予測コンポーネントを含み得る。
【0021】
予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算し得る。
【0022】
リソグラフィ露光情報は、放射線量情報を含み得る。リソグラフィ露光情報は放射パルス情報を含み得る。
【0023】
熱状態基準は、監視対象コンポーネント(monitored component)を含み得る。
【0024】
リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置の一部の温度を測定するように構成された検知システムを備え得る。監視対象コンポーネントは、検知システムによって実行される測定値を含み得る。
【0025】
リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置の一部を冷却するためのクーラントの流れを提供するように構成された冷却システムを備え得る。検知システムは、クーラントの温度を測定するように構成され得る。
【0026】
冷却システムは、リソグラフィ装置のミラーアレイを冷却するように構成され得る。
【0027】
リソグラフィ装置は、放射ビームと相互作用するように構成された光学素子を備え得る。リソグラフィ装置は、光学素子を支持するように構成された支持構造を備え得る。検知システムは、光学素子および/または支持構造の温度を測定するように構成され得る。
【0028】
リソグラフィ装置は、パターニングデバイスを保持するように構成された支持デバイスを備え得る。パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成するように構成され得る。リソグラフィ装置は、パターン化された放射ビームを選択的に遮断するように構成されたレチクル・マスキング・ブレード・システムを備え得る。検知システムは、支持デバイスおよび/またはレチクル・マスキング・ブレード・システムの温度を測定するように構成され得る。
【0029】
リソグラフィ装置は、リソグラフィ装置の一部の熱変形を測定するように構成された測定システムを備え得る。監視対象コンポーネントは、測定システムによって実行される測定値を含み得る。
【0030】
熱変形は、リソグラフィ装置の一部の熱膨張を含み得る。熱変形は、リソグラフィ装置の一部の熱収縮を含み得る。
【0031】
測定システムは、反射面と、反射面の反対側の面から延びるアームとを備え得る。測定システムは、検知装置とアームとの間のギャップを測定するように構成された検知装置を備えた支持フレームを備え得る。監視対象コンポーネントは、測定システムによって測定されたギャップを含み得る。
【0032】
反射面は、ミラーアレイの一部を形成し得る。ミラーアレイは、照明システムの一部を形成し得る。ミラーアレイは、フィールドファセットミラーアレイであってもよい。
【0033】
検知装置は、検知装置とアームの端部との間のギャップを測定するように構成され得る。磁石材料および/または誘導材料をアームの端部に設けてもよい。検知装置は、渦電流センサを備えてもよい。
【0034】
測定システムは、放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射器を備え得る。測定システムは、放射ビームの反射部分の位置を測定するように構成されたセンサを備え得る。監視対象コンポーネントは、測定システムによって測定された放射ビームの反射部分の位置を含み得る。
【0035】
測定システムは、反射放射ビームの一部の検出位置に少なくとも部分的に基づいて、照明システムと放射ビーム源との間の位置合わせを決定するように構成されたプロセッサを備え得る。
【0036】
監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含み得る。
【0037】
リソグラフィ露光情報は、放射線量情報を含み得る。リソグラフィ露光情報は、放射パルス情報を含み得る。
【0038】
制御システムは、基板のリソグラフィ露光中に、熱状態基準を使用して均一性補正システムを制御するように構成され得る。
【0039】
本開示の第2の態様によれば、リソグラフィ用の放射ビームを制御する方法が提供される。この方法は、放射ビームを調整することと、放射ビームによって生成される熱を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて放射ビームの強度プロファイルを調整することとを含む。
【0040】
本方法は、熱状態基準をリファレンス熱状態基準と比較することを含み得る。この方法は、比較に少なくとも部分的に基づいて放射ビームの強度プロファイルを調整することを含んでもよい。
【0041】
リファレンス熱状態基準は、所定の限界を含むことができる。この方法は、熱状態基準が所定の限界に達したときに放射ビームの強度プロファイルを調整することを含んでもよい。
【0042】
熱状態基準は、予測コンポーネントを含み得る。
【0043】
予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算され得る。
【0044】
熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み得る。
【0045】
監視対象コンポーネントは、温度測定値および/または熱変形測定値を含み得る。
【0046】
監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含み得る。
【0047】
本方法は、放射ビームの強度プロファイルと熱状態基準との間の関係を決定することを含み得る。この方法は、前記関係を使用してリファレンス熱状態基準を決定することを含み得る。この方法は、リファレンス熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて放射ビームの強度プロファイルを調整することを含み得る。
【0048】
パターン化された放射ビームを基板上に投影する方法は、本開示の第2の態様の方法を含み得る。
【0049】
コンピュータプログラムは、コンピュータに本開示の第2の態様による方法を実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含み得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムを含み得る。
【0050】
コンピュータ装置は、プロセッサ可読命令を格納するメモリと、前記メモリに格納された命令を読み取って実行するように構成されたプロセッサとを備え得る。プロセッサ可読命令は、本開示の第2の態様による方法を実行するようにコンピュータを制御するように構成された命令を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
例示的な実施形態の図に関する以下の説明は、改良された概念の態様をさらに例示し、説明し得る。同じ構造および同じ効果を有するリソグラフィ装置の構成要素および部品は、同等の参照符号で示されている。リソグラフィ装置の構成要素および部分が、異なる図における機能に関して互いに対応する限り、以下の各図ではその説明は繰り返されない。
【0052】
本発明の実施の形態は、例示のみを目的として、以下の模式的な添付図面を参照しながら説明される。
【
図1】放射源およびリソグラフィ装置を備えるリソグラフィシステムを概略的に示す図である。
【
図2A】均一性補正システムを概略的に示す図であり、
【
図2B】
図2Aの均一性補正システムを使用した効果を概略的に示す図である。
【
図2C】
図2Aの均一性補正システムを使用した効果を概略的に示す図である。
【
図3】ファセットフィールドデバイスのミラーアセンブリを概略的に示す図である。
【
図4A】熱状態基準と、本開示によるリソグラフィ装置によって使用される放射ビームの強度プロファイルの不均一性との間の関係のグラフを示す図である。
【
図4B】本開示による3つの基板ロットのリソグラフィ露光中の放射ビームの不均一性および熱状態基準のグラフを示す図である。
【
図5】本開示による、リソグラフィ用の放射ビームを制御する方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、放射源SOと、本開示による均一性補正システム16および制御システム170を備えるリソグラフィ装置LAとを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、(EUV)放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えばレチクルまたはマスク)を支持するよう構成されるサポート構造MT、投影システムPS及び基板を支持するよう構成される基板テーブルWTを備える。
【0054】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調整するように構成されている。さらに、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11を含み得る。ファセットフィールドミラーデバイス10は、個別に制御可能なミラーで構成されるミラーアレイである。アレイのミラーは、関連するアクチュエータおよび検知装置(以下でより詳細に説明する)とともに、ミラーアセンブリと呼ばれる場合がある。コントローラ(図示せず)はミラーの向きを制御する(以下でさらに説明する)。ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11は共に、所望の断面形状および所望の強度分布を有するEUV放射ビームBを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、またはその代わりに、他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。照明システムILは、レチクルマスキングブレードシステム18を備える。レチクルマスキングブレードシステム18は、リソグラフィ装置LAの走査方向に移動可能な一対のブレードを備える。レチクルマスキングブレードシステム18は、所与のターゲット領域の露光中に、その所与のターゲット領域に対してy方向および/またはx方向に隣接するターゲット領域に放射が入射しないようにするために使用され得る。
【0055】
このように調整された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン化されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成されている。その目的のために、投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板テーブルWTによって保持される基板W上に投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することができ、これにより、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する画像を形成することができる。例えば、4または8の縮小係数が適用され得る。投影システムPSは、
図1では2つのミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば、6つまたは8つのミラー)を含んでもよい。
【0056】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含み得る。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン化されたEUV放射ビームB’によって形成される画像を、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0057】
相対真空、すなわち大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、および/または投影システムPS内に提供され得る。
【0058】
図1に示す放射源SOは、例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)源とも称される種類のものである。例えばCO
2レーザを含むレーザシステム1は、例えば燃料放出器3から供給されるスズ(Sn)などの燃料にエネルギーをレーザビーム2を介して蓄積させるよう構成される。 スズが以下の記載にて言及されるが、任意の適切な燃料が用いられてよい。燃料は、例えば液状であってもよく、例えば金属または合金であってもよい。燃料放出器3は、例えば液滴の形態でスズをプラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って案内するノズルを備えてもよい。レーザビーム2はプラズマ形成領域4にてスズに入射する。スズへのレーザエネルギーの蓄積は、プラズマ形成領域4にプラズマ7を形成する。EUV放射を含む放射は、電子とプラズマのイオンの脱励起および再結合中に、プラズマ7から放出される。
【0059】
プラズマからのEUV放射は、コレクタ5により収集および集光される。コレクタ5は、例えば、略垂直入射放射コレクタ5(より一般的には垂直入射放射コレクタと呼ばれることもある)を備える。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射させるよう構成される多層ミラー構造を有してもよい。コレクタ5は、二つの焦点を有する楕円体の構造を有してもよい。以下に説明されるように、焦点のうち第1焦点はプラズマ形成領域4に位置してもよく、焦点のうち第2焦点は中間焦点6に位置してもよい。
【0060】
レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離されてもよい。この場合、レーザビーム2は、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダおよび/または他の光学系を備えるビーム搬送システム(不図示)の助けにより、レーザシステム1から放射源SOに向けて通過してもよい。レーザシステム1、放射源SOおよびビーム搬送システムは、ともに放射システムであるとみなされてもよい。
【0061】
コレクタ5により反射される放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6で集束され、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6での画像を形成する。中間焦点6における画像は、照明システムILの仮想放射源として機能する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの包囲構造9の開口8またはその近傍に位置するように構成される。
【0062】
図1は、放射源SOをレーザ生成プラズマ(LPP)源として示しているが、放電生成プラズマ(DPP)源または自由電子レーザ(FEL)などの任意の適切な放射源を使用してEUV放射を生成することができる。
【0063】
照明システムILは、均一性補正システム16を備える。一例では、放射ビームがレチクル・マスキング・ブレード・システム18に入射する前に放射ビームが均一性補正システム16を通過することができるように、均一性補正システム16は、放射ビームBの経路においてレチクル・マスキング・ブレード・システム18の前に配置される。均一性補正システム16は、放射ビームBの強度を空間的に制御するように構成され得る。すなわち、均一性補正システム16は、基板W上に投影される放射の強度プロファイルを空間的に制御するように構成され得る。均一性補正システム16は、照明システムILの視野面内またはその近傍に配置することができる。一実施形態では、均一性補正システム16は、重なり合うフィンガーの少なくとも1つのアレイ(例えば、
図2Aに示すフィンガーのバンク22、23)および/または重なり合わないフィンガーの少なくとも1つのアレイを含む。フィンガーは、フィンガーに入射する放射線ビームと交差する方向に出入りすることができ、放射ビームの一部の強度を選択的に補正することができる。
図2Aの例では各バンクに7つのフィンガーが示されているが、任意の数のフィンガーを使用できることを理解されたい。フィンガーのバンク、フィンガーバンク、フィンガーバンクまたはバンクという用語は、本出願全体を通じて同じ意味で使用され得る。
【0064】
リソグラフィ装置LAは、均一性補正システム16を制御するように構成された制御システム170を備える。制御システム170は、所望の均一性仕様が満たされるように、均一性補正システム16のフィンガー(
図2Aに示す)の調整を決定するように構成され得る。制御システム170は、決定された調整に基づいて1つ以上の補正パラメータを決定し、これらのパラメータを均一性補正システム16に伝達するように構成され得る。補正パラメータは、均一性補正システム16内の調整可能な変数を制御し得る。制御システム170は、1つ以上の均一性測定装置(図示せず)から収集された照明視野データを受信し得る。補正パラメータに従って均一性補正システム16の調整可能な変数を操作することによって、放射ビームBの特性を変更することができる。より具体的には、補正パラメータは、所望の均一性プロファイル(例えば、リソグラフィプロセスにとって有益な最も平坦な均一性または形状)を達成するために均一性補正システム16の変数を調整する方法に関する詳細を提供することができる。例えば、補正パラメータは、1つまたは複数のフィンガーのバンク(例えば、
図2Aのフィンガーのバンク22、23)内のどのフィンガーを移動する必要があるか、および、均一性補正システム16に入射する放射ビームの部分の強度を選択的に補正するために、入射放射ビームとの交点に出入りするのに、それらがどのくらいの距離を移動する必要があるか、を表すことができる。
【0065】
制御システム170は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを含み得る。1つまたは複数のプロセッサは、均一性補正システム16に変数を調整させて放射ビームの所望の均一性基準を達成させるソフトウェアを実行することができる。コンピュータプログラムはメモリに格納されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、制御システム170内のプロセッサが、本明細書で説明される本開示の一実施形態の特徴を実行できるようにすることができる。均一性補正システム16を制御する方法がソフトウェアを使用して実装される場合、ソフトウェアはコンピュータプログラム製品に格納され、リムーバブル記憶装置、ハードドライブ、または通信インターフェースを使用して制御システム170にロードされ得る。あるいは、コンピュータプログラム製品は、通信経路を介して制御システム170にダウンロードされてもよい。制御システム170は、1つまたは複数のリモートプロセッサに接続されてもよい。制御システム170は、命令および/または動作パラメータを遠隔で受信および/または送信してもよい。
【0066】
図2Aは、均一性補正システム16を概略的に示し、
図2Bおよび
図2Cは、
図2Aの均一性補正システム16を使用した効果を概略的に示す。均一性補正システム16は、放射ビームと交差するようにY方向に移動可能なフィンガーの2つのバンク22および23を備え得る。このようにして、フィンガー22、23は、入射放射を選択的に遮断するために使用され得る。これは、例えば、放射強度が高すぎる放射ビームフィールドの位置における放射の強度を低減するために行われてもよい。フィンガー22、23は、作動装置(図示せず)に結合され得る。作動装置は、フィンガー22、23をY方向に移動させるように構成され得る。作動装置は、モータ、圧電装置、油圧装置などのうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0067】
図2Bおよび
図2Cは、均一性補正システム16の断面図を示す。
図2Bおよび
図2Cに示されるように、均一性補正システム16のフィンガーのバンク22および23は、リソグラフィ装置のフィールド面FP1に配置されている。この面FP1では、放射ビーム36は仮想放射源30のアレイを含む。レチクルマスキングブレード18において、複数のサブビームによって表される放射ビーム36は発散する。
図2Bの例では、フィンガーのバンク22、23内のフィンガーは、放射ビーム36と交差しないように位置決めされている。
図2Cでは、フィンガーのバンク22、23内のフィンガーは、放射ビーム36と交差するようにY方向に移動されている。放射ビーム36の強度プロファイルは、フィンガーのバンク22、23内の1つまたは複数のフィンガを選択的に移動させて放射ビーム36の部分の強度を選択的に補正し、補正された放射ビームを形成することによって調整される。フィンガーは、目標の均一性を達成するために、放射ビーム36によって形成される照明スリットの強度を変更するために個別に制御され得る。
【0068】
再び
図1を参照すると、放射源1からの出力されるパワーの量は時間の経過とともに変化し得る。リソグラフィ装置LAの1つ以上の部分の熱状態は、時間の経過とともに変化し得る。例えば、基板Wの露光中に、リソグラフィ装置LAの1つ以上の部分の温度が上昇し得る。露光間に、リソグラフィ装置LAの1つまたは複数の部分の温度が低下し得る。放射源1のパワーを増加させると、リソグラフィ装置LAの動作可能な速度が増加し、それによりリソグラフィ装置LAによって1時間当たりに露光される基板Wの数(スループットと呼ばれる場合がある)が増加する。しかしながら、放射源1のパワー出力を増大させると、リソグラフィ装置LAの1つ以上の部分が到達する最高温度が上昇し、温度変化の勾配が大きくなる可能性がある。
【0069】
リソグラフィ装置LAの1つ以上の部分の温度変化は、放射ビームBの強度プロファイル(例えば、スリットの均一性)に望ましくない変化を引き起こす可能性がある。放射ビームBの強度プロファイルにおける望ましくない変化は、リソグラフィ装置LAのクリティカルディメンジョンの均一性に悪影響を与えるなど、リソグラフィエラーを引き起こす可能性がある。例えば、ファセットフィールドミラーデバイス10は、基板Wの露光中に放射ビームBから熱を受け、熱変形(例えば、熱膨張)を受けることがある。ファセットフィールドミラーデバイス10の熱変形は、ファセットフィールドミラーデバイス10から反射する放射ビームBの強度プロファイルに望ましくない変化をもたらす可能性がある。
【0070】
制御システム170は、リソグラフィ装置LAの一部の熱状態を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて、均一性補正システム16を制御するように構成されている。リソグラフィ装置LAの一部は、放射ビームBから直接(例えば、放射ビームBの部分吸収を通じて)エネルギーを受け取ることができる。リソグラフィ装置LAの一部は、間接的に(例えば、リソグラフィ装置のある部分から別の部分への熱の伝達を通じて)放射ビームBからエネルギーを受け取ることができる。例えば、追加の均一性補正(例えば、各基板ロットの開始時に実行されるデフォルトの均一性補正に加えて)は、熱状態基準(リソグラフィ装置LAの1つまたは複数の部分の熱状態に相関する)がリファレンス熱状態基準に達するか超えるとき、トリガーされてもよい。これにより、制御システム170は、リソグラフィ装置LAの1つ以上の部分の熱ドリフトにもかかわらず、放射ビームBの所望の強度プロファイルを維持する。制御システム170は、放射ビームBの所望の強度プロファイルを維持するために必要な場合にのみ、均一性補正システム16に追加の均一性補正を実行させることができる。すなわち、所望のスリット均一性を維持するために必要な追加の均一性補正を最小限に抑えることができ、それにより、リソグラフィ装置LAのスループットへの影響を最小限に抑えながら、リソグラフィエラーを低減することができる。
【0071】
多くの異なるパラメータが熱状態基準に寄与し得る。例えば、熱状態基準は、リソグラフィ装置LAの一部の温度を含んでもよい。リソグラフィ装置LAは、放射ビームBから熱を受けるリソグラフィ装置LAの1つまたは複数の部分の温度を測定するように構成された検知システムを備えてもよい。
図1の例では、検知システムは、4つの温度センサ201~204を備える。第1温度センサ201は、ファセットフィールドデバイス10および/またはファセットフィールドデバイス10を支持するように構成された支持構造の温度を測定するように構成されている。第2温度センサ202は、レチクルマスキングブレードシステム18の温度を測定するように構成されている。第3温度センサ203は、レチクルMAを保持する支持装置MTの温度を測定するように構成されている。第4温度センサ204は、ファセット瞳ミラーデバイス11の温度を制御するように構成された冷却システム210の一部を形成するクーラント215の温度を測定するように構成されている。リソグラフィ装置LAのこれらの部分のそれぞれは、直接的または間接的に放射ビームBにより生成された熱を受け取る。検知システムの温度センサ201~204によって測定された温度は、熱状態基準として使用され得る。例えば、温度センサ201~204のうちの1つまたは複数が、所定の限界を超える温度および/または温度変化を検出した場合、制御システム170は、均一性補正システム16に放射ビームBの強度プロファイルを調整させて、関連する熱ドリフト効果を補償することができる。検知システムは、より多くのまたはより少ない数の温度センサ201~204を備え得る。検知システムは、例えば、ファセットフィールドデバイス10を冷却するように構成された別の冷却システム(図示せず)の一部を形成するクーラントなど、リソグラフィ装置LAの他の部分に関連付けられた他の温度センサを含んでもよい。
【0072】
別の例として、熱状態基準は、放射ビームBによって生成された熱を受けるリソグラフィ装置LAの一部の温度に相関するパラメータを含んでもよい。リソグラフィ装置LAは、リソグラフィ装置LAの一部の温度に相関する1つ以上のパラメータを測定するように構成された測定システムを含んでもよい。例えば、測定システムは、放射ビームBによって生成された熱を受けるリソグラフィ装置LAの一部の熱変形を測定するように構成されてもよい。リソグラフィ装置LAの一部の熱変形(例えば、熱膨張および/または熱収縮)は、熱の影響によって生じる放射ビームBの強度プロファイルの望ましくない変化に相関する可能性がある。リソグラフィ装置LAの1つ以上の部分の熱変形を監視および/または予測することは、均一性補正システム16を制御するために使用される熱状態基準に寄与し得る。
【0073】
図1の例では、測定システムは、ファセットフィールドデバイス10と、ファセット瞳ミラーデバイス11における放射ビームBの反射部分の位置を測定するように構成されたセンサ220とを備えるアライメントシステムを備える。アライメントシステムは、典型的には、放射源SOと照明システムILとの間の位置合わせを決定するために使用され得る。しかしながら、アライメントシステムによって生成される情報は、均一性補正システム16を制御するために使用される熱状態基準に有益に寄与し得る。例えば、ファセットフィールドデバイス10が放射ビームBによって生成される熱により熱変形するとき、ファセットフィールドデバイス10が放射ビームBの一部を反射する方向は変化し得る。センサ220は、ファセット瞳ミラーデバイス11における放射ビームBの部分の位置の対応する変化を検出し得る。ファセットフィールドデバイス10の温度変化が大きくなるほど、放射ビームBの部分の方向の変化が大きくなり、センサ220による放射ビームBの検出位置の変化も大きくなる。したがって、センサ220によって測定される放射ビームBの位置の変化は、ファセットフィールドデバイス10の温度の変化に相関し、これは、次に放射ビームBの強度プロファイルの望ましくない変化に相関する。したがって、センサ220によって実行される測定は、制御システム170によって使用されて、均一性補正システム16に、ファセットフィールドデバイス10の熱変形を考慮して放射ビームBの強度プロファイルを調整させることができる。測定システムは、ファセットフィールドデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に限定されないことが理解されるであろう。すなわち、他の反射面が使用されてもよく、および/またはリソグラフィ装置LAに導入されてもよく、センサ220はリソグラフィ装置LAの他の場所に配置されてもよい。
【0074】
測定システムは、リソグラフィ装置LAの一部の熱変形を示す異なるパラメータまたは追加のパラメータを測定するように構成されてもよい。
図3は、ファセットフィールドデバイス10のミラーアセンブリ19(ミラーアレイの一例である)を概略的に示す。ミラー20の外面22は、EUV放射に対して反射性であり、例えば、交互の反射率の層から形成された多層構造を有する。アーム24は、反射面22とは反対側のミラーの表面26から延びている。表面26は、ミラーの裏面と呼ばれる場合がある。アーム24は、ミラーの裏面26の中心に接続されている(ただし、ミラーの裏面の他の点に接続されていてもよい)。アーム24とミラー20との間の接続は固定されており、アーム24の動きがミラー20の動きを引き起こす。板ばね28もミラー20の裏面から延びている。コネクタ34は板バネ28を受け入れ、次に支持構造30に接続されている。したがって、板ばね28は、コネクタ34を介して支持構造30に接続され、それによってミラー20を支持する。アーム24は支持構造30に接続されておらず、代わりに支持構造の開口32を貫通している。任意の数の板バネ28を設けることができる。他の形式の接続が提供されてもよい。異なる形式の弾性接続が提供されてもよい(例えば、何らかの他の形式のバネ)。同様に、コネクタは他の形状および/または構成を有していてもよい。コネクタ34は省略されてもよい。
【0075】
板バネ28は、ミラー20およびアーム24を平衡姿勢(equilibrium orientation)に弾性的に付勢する。平衡姿勢は、支持構造の表面と実質的に平行であるミラー20の反射面22に対応し、支持構造の開口部32の中心を通過するアーム24に対応する。板バネ28は、ミラー20を他の平衡姿勢に付勢することができる。磁石40は、アーム24の端部に配置されている。誘導性材料42の層が磁石40上に設けられていてもよい。磁石40は、アームおよびミラー20を異なる姿勢に移動させるためにアーム24に力を加えられるように構成されてもよい。誘導性材料42は、アーム24(およびミラー20)の姿勢を測定できるように構成されてもよい。磁石40および誘導性材料42は、任意の適切な材料を含んでもよい。磁石40および誘導性材料42は、単一の材料(例えば、磁性および誘導性の両方である鉄材料)を含んでもよい。
【0076】
電磁石44a、44cは、第2支持構造46によって支持される。第2支持構造46は、全体として単一の支持構造が提供されるように、ミラー20を支持する支持構造30に接続され得る。電磁石44a、44cはy方向に分離されている。さらに2つの磁石(図示せず)を設けることができ、x方向に分離することができる。この説明では理解を容易にするためにデカルト座標が使用されており、放射ビームの方向がz方向であるという通常のリソグラフィの慣例が使用されている。電磁石44a、44cおよびアーム24上の磁石40は、ミラーアクチュエータの一例である。他の形式のミラーアクチュエータ、例えば他の形式の電磁アクチュエータ、または機械的アクチュエータによって動かされる永久磁石を使用することもできる。各電磁石44a、44cの端部には渦電流センサ48a、48cが設けられている。渦電流センサ48a、48cは、検知装置の一例である。他の形式の検知装置が使用されてもよい。例えば、検知装置は、磁石40の表面から反射された放射ビームの位置および/または位相を測定するように構成された光学センサを備え得る。コントローラ(図示せず)は、電磁石44a、44cに電流を供給して、磁石40に所望の力を加える磁場を生成し、それによって磁石を所望の位置に移動させる。これにより、アーム24が回転し、ミラー20が所望の姿勢に移動する。コントローラは、アレイのミラー20の姿勢を制御するために使用され得る。コントローラは、ミラーに関連付けられた渦電流センサ48a、48cから測定値を受信し、電磁石44a、44cに供給される電流を制御する際に、これらの測定値をフィードバックとして使用し得る。
【0077】
図3に示されるミラーアセンブリ19は、ミラーのアレイの一部である。ミラーのアレイは、(
図1に示されるような)ファセットフィールドミラーデバイス10であってもよい。使用中、上でさらに述べたように、ファセット瞳ミラーデバイス11に特定の照明モードを形成することが望ましい場合がある。これは、放射ビームがファセット瞳ミラーデバイス11の特定の所望の位置に方向付けられるようにファセットフィールドミラーデバイス10のミラー20の姿勢を選択することによって達成できる。例えば、ミラー20は、双極モードを形成するためにファセット瞳ミラーデバイス11上の2つのゾーンに放射を導くように方向付けされてもよく、または四極モードを形成するために、ファセット瞳ミラーデバイス上の4つのゾーンに放射を導くように方向付けられてもよい。
【0078】
ミラー20はEUV放射を反射するが、完全な反射体ではなく、代わりに入射EUV放射の約60%を反射してもよい。したがって、かなりの量のEUV放射がミラー20によって吸収され、ミラーの加熱を引き起こす。アーム24は、金属(例えば、鋼、銅、または合金)で形成され、ミラー20に熱的に接続される。アーム24とミラー20との間の熱的接続は、ミラーが所与の温度に加熱されると、アームも実質的に同じ温度に加熱されるようなものであってもよい。アーム24は、数センチメートル(例えば約5センチメートルと約10センチメートルの間、例えば約7センチメートル)の長さを有し得る。アーム24は、かなりの熱膨張係数を有する可能性がある。したがって、アーム24が熱くなると、アームは熱膨張する。アーム24の熱膨張により、磁石40および誘導性材料42が渦電流センサ48a、48cおよび電磁石44a、44cに向かって移動する。放射ビームがミラーに入射しなくなると(例えば、基板および/または基板ロットの露光間)、アーム24の温度が低下し、熱収縮する可能性がある。アーム24は、支持構造30に固定されていないため、熱により自由に膨張および収縮する。アーム24の熱膨張および/または熱収縮により、磁石40と渦電流センサ48、48cとの間のギャップ60が変化する。
【0079】
ファセットフィールドミラーデバイス10の熱変形は、放射ビームの強度プロファイルの望ましくない変化に寄与する可能性がある。アーム24の熱変形(例えば、膨張および/または収縮)はアーム24の温度によって決定され、その温度はミラー20の温度によって決定され得る。ミラー20の温度は、ミラーによって吸収される放射ビームからのエネルギー量によって決定され得る。アーム24の熱変形を測定すると、放射ビームの強度プロファイルの望ましくない変化を示す出力が得られる。アーム24の熱膨張および/または熱収縮は、誘導性材料42と渦電流センサ48a、48cとの間の距離の変化を測定することによって測定することができる。これは、誘導性材料42と渦電流センサ48a、48cとの間のギャップ60の変化を測定すると参照される。ギャップ60は、渦電流センサ48a、48cの間の点で示されており、目を誘導するために点線が含まれている。誘導性材料42と渦電流センサ48a、48cとの間のギャップ60は、渦電流センサを使用して測定することができる。渦電流センサ48a、48cからの出力信号は、ギャップ60を測定するために使用され得る。制御システム170は、測定されたギャップ60を熱状態基準として使用し、測定されたギャップ60に少なくとも部分的に依存して均一性補正システム16を制御し得る。出力信号は、ファセットフィールドミラーデバイス10を形成する複数またはすべてのセンサアレイから取得され、熱状態基準として使用され得る。
【0080】
図4Aは、熱状態基準と、リソグラフィ装置によって使用される放射ビームの強度プロファイルの不均一性との間の関係のグラフを示す。熱状態基準は、例えば、温度(例えば、
図1に示される温度センサ201~204のうちの1つ以上によって測定される)および/または温度に相関するパラメータ(例えば、
図1に示されるセンサ220および/または
図3に示されるセンサ装置48a、48cによって実行される熱変形測定)などの監視対象コンポーネントを含んでもよい。熱状態基準は、追加的にまたは代替的に、予測コンポーネントを含んでもよい。予測コンポーネントは、リソグラフィ装置の使用中に放射ビームによってどの程度の熱が生成されるかを示す所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。リソグラフィ露光情報は、例えば、放射線量情報(例えば、放射ビームBによって基板Wおよび/または基板ロットに伝達されるエネルギー量)、放射線パルス情報(例えば、放射線ビームBを形成するパルスのパワーおよび/または持続時間)、リソグラフィ露光時間、露光される基板の数などを含むことができる。リソグラフィ装置の1つ以上の部分の熱特性(例えば、熱膨張係数)は既知であり、リソグラフィ装置の熱挙動をモデル化するために使用され得る。
【0081】
放射ビームの均一性と熱状態基準との間の関係300を決定するために、較正を実行することができる。例えば、リソグラフィ装置の1つ以上の部品の温度が変化するにつれて、放射ビームの均一性が測定され、リソグラフィ露光全体にわたって熱状態基準が監視され得る。限界(例えば、放射ビームの最大許容不均一性310)は、(例えば、基板上に印刷される所与のパターンに対するクリティカルディメンジョンの均一性の最大許容変化に基づいて)事前に決定することができる。放射ビームの最大許容不均一性310に対応するリファレンス熱状態基準320は、リソグラフィ装置LAの使用中の参照のために制御システム170のメモリに提供および/または保存され得る。制御システム170は、熱状態基準とリファレンス熱状態基準320との間の比較に少なくとも部分的に基づいて均一性補正システム16を制御するように構成され得る。
【0082】
例えば、熱状態基準は、リソグラフィ装置の一部の予測温度を含んでもよい。リソグラフィ装置の一部の予測温度は、所与のリソグラフィ露光に対してモデル化することができる。たとえば、リソグラフィ装置の一部の予測温度は、次のような指数関係を使用してモデル化できる。
【数1】
ここで、T
1は期間tの開始時のリソグラフィ装置の一部の温度、T
2は期間tの終了時のリソグラフィ装置の一部の温度、τは熱時定数である。T
2は、所与のパワー入力(例えば放射線量)に対して熱平衡に達したときのリソグラフィ装置の一部の温度を表すことができ、tは、熱平衡に達するまでにかかる時間を表すことができる。τの値および基準値T
2(例えば、公称パワー電力入力後にリソグラフィ装置の所与の部分が到達する温度)は、例えば、較正測定により決定され得る。上記の方程式は単純な熱モデルを表しており、より精巧な熱モデリング(例えば、熱モデリングソフトウェア)を使用してリソグラフィ装置の一部の温度を予測できることが理解されるであろう。リソグラフィ装置の一部の温度と放射ビームの不均一性との間の関係を決定することができる(例えば、熱状態基準がリソグラフィ装置の一部の温度である場合の
図4Aのグラフ)。放射ビームの最大許容不均一性310に対応する基準温度320を決定することができる。熱モデルは、基準温度320にいつ到達するかを予測するために使用され、従って、動的均一性補正イベントをいつトリガーすべきかを予測することができる。
【0083】
図4Bは、3つの基板ロット401~403のリソグラフィ露光中の放射ビーム不均一性301および熱状態基準302のグラフを示す。第1基板ロット401の露光の開始時、リソグラフィ装置LAが「冷たい」熱状態で開始し、放射ビームの存在により急速に加熱されるため、放射ビームの不均一性301は急激に増加する。熱状態基準302もまた、急激に増加する。なぜなら、熱状態基準はリソグラフィ装置の熱状態を示し、従って放射ビームの不均一性301と相関があるからである。熱状態基準302がリファレンス熱状態基準320に達すると、動的均一性補正イベント410がトリガーされ、制御システムが均一性補正システムに放射ビームの強度プロファイルを調整させ、放射ビームの不均一性を低減する。それにより、放射ビーム不均一性301は最大許容不均一性310未満に留まる。放射ビーム不均一性301は上昇し続けるが、リソグラフィ装置が加熱し続けるにつれてその速度は遅くなる。熱状態基準302は、第1基板ロット401中に再びリファレンス熱状態基準320に達し、制御システムが均一性補正システムに放射ビームの強度プロファイルを調整させて放射ビームの不均一性を軽減する別の動的均一性補正イベント410をトリガーする。リソグラフィ装置が放射ビームによって生成される熱の存在下で新たな熱平衡に近づくにつれて、放射線ビーム不均一性301は増加し続けるが、速度は再び遅くなる。熱状態基準302がリファレンス熱状態基準320に到達する前に、第1基板ロット401が終了し、第1静的均一性補正イベント421がトリガ-される。静的均一性補正イベント421、422は、標準として各基板ロット401~403の終了時にトリガ-されてもよい。第2基板ロット402の露光中に、リソグラフィ装置の熱安定性が高まるため、熱状態基準302は再び遅い速度でリファレンス熱状態基準320に達する。動的均一性補正イベント410がトリガーされ、制御システムが均一性補正システムに放射ビームの強度プロファイルを調整させ、放射ビームの不均一性を低減する。熱状態基準302が再びリファレンス熱状態基準320に達する前に、第2基板ロット402が終了し、第2静的均一性補正イベント422がトリガーされる。第3基板ロット403の露光は、最大許容不均一性310を十分に下回る放射ビーム不均一性301、およびリファレンス熱状態基準320を十分に下回る熱状態基準302で始まる。リソグラフィ装置が新しい熱平衡に達するにつれて、放射ビーム不均一性および熱状態基準の時間の経過に伴う増加率は減少する。
【0084】
図4Bのプロセスは、任意の所望の熱状態基準に使用することができる。熱状態基準は継続的に監視することができる。あるいは、熱状態基準は、所定の間隔で決定されてもよい。例えば、熱状態基準は、各基板のリソグラフィ露光前に決定されてもよい。連続する各基板間の熱状態基準の変化を決定することができる。熱状態基準の変化が所定の限界に達すると、動的均一性補正イベントが可能な限り早い時点(例えば、次の基板のリソグラフィ露光前)にトリガーされて、放射ビームの均一性を許容可能なレベルに維持することができる。動的均一性補正イベントが発生した後、熱状態基準を再度測定し、その後の熱状態基準の測定のための基準点として使用することができる。
【0085】
図5は、リソグラフィのための放射ビームを制御する方法を示す。本方法の第1ステップ501は、放射ビームを調整することを含む。第1ステップ501は、所望の断面形状および所望の強度分布を有する放射ビームを提供することを含んでもよい。本方法の第2ステップ502は、放射ビームによって生成される熱を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて、放射ビームの強度プロファイルを調整することを含む。第2ステップ502は、放射ビームの強度プロファイルを空間的に制御することを含んでもよい。第2ステップ502は、放射ビームの一部の強度を選択的に補正するために、放射ビームの一部を選択的に遮断することを含んでもよい。放射ビームによって生成される熱は、放射ビームを調整するために使用される1つまたは複数の光学部品によって放射ビームから吸収されるエネルギーを含み得る。
【0086】
要約すると、本開示の装置および方法により、均一性補正システムは、リソグラフィ装置の動作中に変化する熱条件に動的に応答することができ、それにより、スループットへの影響を最小限に抑えながらリソグラフィエラーを低減することができる。
【0087】
本発明は、以下の項によって要約することもできる。
1.リソグラフィ装置であって、
放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
前記放射ビームの強度プロファイルを調整するように構成された均一性補正システムと、
当該リソグラフィ装置の一部の熱状態を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記均一性補正システムを制御するように構成された制御システムと、
を備えるリソグラフィ装置。
2.前記制御システムは、前記熱状態基準とリファレンス熱状態基準との間の比較に少なくとも部分的に基づいて、前記均一性補正システムを制御するように構成される、項1に記載のリソグラフィ装置。
3.前記リファレンス熱状態基準は、所定の限界を含み、前記制御システムは、前記熱状態基準が前記所定の限界に達したときに、前記均一性補正システムに前記放射ビームの強度プロファイルを調整させるように構成される、項2に記載のリソグラフィ装置。
4.前記熱状態基準は、予測コンポーネントを含む、上記項のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
5.前記予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算される、項4に記載のリソグラフィ装置。
6.前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含む、上記項のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
7.当該リソグラフィ装置の一部の温度を測定するように構成された検知システムを備え、前記監視対象コンポーネントは、前記検知システムによって実行される測定値を含む、項6に記載のリソグラフィ装置。
8.当該リソグラフィ装置の一部を冷却するためのクーラントの流れを提供するように構成された冷却システムを備え、前記検知システムは、前記クーラントの温度を測定するように構成される、項7に記載のリソグラフィ装置。
9.前記放射ビームと相互作用するように構成された光学素子と、
前記光学素子を支持するように構成された支持構造と、を備え、
前記検知システムは、前記光学素子および/または前記支持構造の温度を測定するように構成される、項7または項8に記載のリソグラフィ装置。
10.パターニングデバイスを保持するように構成された支持デバイスであって、前記パターニングデバイスが前記放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成するように構成された、支持デバイスと、
前記パターン付き放射ビームを選択的に遮断するように構成されたレチクル・マスキング・ブレード・システムであって、前記検知システムが前記支持デバイスおよび/または前記レチクル・マスキング・ブレード・システムの温度を測定するように構成された、レチクル・マスキング・ブレード・システムと、
を備える、項7から項9までのいずれかに記載のリソグラフィ装置。
11.当該リソグラフィ装置の一部の熱変形を測定するように構成された測定システムを備え、前記監視対象コンポーネントが前記測定システムによって実行される測定値を含む、項6から10のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
12.前記測定システムは、
前記放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射面と、前記反射面の反対側の面から延びるアームと、
検知装置と前記アームとの間のギャップを測定するように構成された検知装置が設けられた支持フレームと、を備え、
前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって測定されるギャップを含む、項11に記載のリソグラフィ装置。
13.前記測定システムは、
前記放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射器と、
前記放射ビームの反射部分の位置を測定するように構成されたセンサと、を備え、
前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって測定された放射ビームの反射部分の位置を含む、項11または項12に記載のリソグラフィ装置。
14.前記監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含む、項6から13のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
15.前記制御システムは、基板のリソグラフィ露光中に、前記熱状態基準を使用して前記均一性補正システムを制御するように構成される、上記項のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
16.リソグラフィ用の放射ビームを制御する方法であって、
前記放射ビームを調整することと、
前記放射ビームによって生成される熱を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含む方法。
17.前記熱状態基準をリファレンス熱状態基準と比較することと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含む項16に記載の方法。
18.前記リファレンス熱状態基準は所定の限界を含み、前記熱状態基準が前記所定の限界に達したときに前記放射ビームの強度プロファイルを調整することを含む、項17に記載の方法。
19.前記熱状態基準は、予測コンポーネントを含む、項16から18のいずれかに記載の方法。
20.前記予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算される、項19に記載の方法。
21.前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含む、項16から20のいずれかに記載の方法。
22.前記監視対象コンポーネントは、温度測定値および/または熱変形測定値を含む、項21に記載の方法。
23.監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含む、項21または項22に記載の方法。
24.前記放射ビームの強度プロファイルと前記熱状態基準との間の関係を決定することと、
前記関係を使用して、リファレンス熱状態基準を決定することと、
前記リファレンス熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含む、項16から23のいずれかに記載の方法。
25.項16から24のいずれかに記載の方法を含む、パターン付き放射ビームを基板上に投影する方法。
26.コンピュータに項16から25のいずれかに記載の方法を実行させるように構成されたコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム。
27.項26に記載のコンピュータプログラムを担持するコンピュータ可読媒体。
28.プロセッサ可読命令を格納するメモリと、
前記メモリに格納された命令を読み取って実行するように構成されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサ可読命令は、項16から25のいずれかに記載の方法を実行するようにコンピュータを制御するように構成された命令を含む、コンピュータ装置。
【0088】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及されているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解されたい。その他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用の誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が挙げられる。
【0089】
本明細書では、リソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は他の装置でも使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、あるいはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用する場合がある。
【0090】
状況が許せば、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。本発明の実施形態は、機械可読媒体に格納された命令として実装することもでき、この命令は、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られて実行され得る。機械読み取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を保存または送信するための任意の機構を含み得る。たとえば、機械可読媒体には読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学記憶メディア、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、またはその他の形式の伝播信号(搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などが含まれ得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、本明細書では特定の動作を実行するものとして説明される場合がある。ただし、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのような動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスから生じ、その際にアクチュエータまたは他のデバイスが物理世界と相互作用し得ることを理解されたい。
【0091】
本発明の特定の実施の形態を上述してきたが、本発明は記載と異なる態様で実施されてもよいことが理解されよう。上述の記載は例示を意図しており、限定を意図していない。したがって、当業者であれば、以下に記述される請求項の範囲を逸脱しない範囲で、上述した発明に対する変形がなされてもよいことが理解されよう。本明細書で開示または図示される各特徴は、単独で、または本明細書で開示または図示される他の特徴との適切な組み合わせで、任意の実施形態に組み込むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置であって、
放射ビームを調整するように構成された照明システムと、
前記放射ビームの強度プロファイルを調整するように構成された均一性補正システムと、
当該リソグラフィ装置の一部の熱状態を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記均一性補正システムを制御するように構成された制御システムと、
当該リソグラフィ装置の一部の熱変形を測定するように構成された測定システムと、
を備え、
前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み、前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって実行される測定値を含む、リソグラフィ装置。
【請求項2】
前記制御システムは、前記熱状態基準とリファレンス熱状態基準との間の比較に少なくとも部分的に基づいて、前記均一性補正システムを制御するように構成される、請求項1に記載のリソグラフィ装置。
【請求項3】
前記リファレンス熱状態基準は、所定の限界を含み、前記制御システムは、前記熱状態基準が前記所定の限界に達したときに、前記均一性補正システムに前記放射ビームの強度プロファイルを調整させるように構成される、請求項2に記載のリソグラフィ装置。
【請求項4】
前記熱状態基準は、予測コンポーネントを含む、請求項1から3のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項5】
前記予測コンポーネントは、所定のリソグラフィ露光情報に少なくとも部分的に基づいて計算される、請求項4に記載のリソグラフィ装置。
【請求項6】
当該リソグラフィ装置の一部の温度を測定するように構成された検知システムを備え、
前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み、前記監視対象コンポーネントは、前記検知システムによって実行される測定値を含む、請求項1~5のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項7】
当該リソグラフィ装置の一部を冷却するためのクーラントの流れを提供するように構成された冷却システムを備え、前記検知システムは、前記クーラントの温度を測定するように構成される、請求項6に記載のリソグラフィ装置。
【請求項8】
前記放射ビームと相互作用するように構成された光学素子と、
前記光学素子を支持するように構成された支持構造と、
を備え、
前記検知システムは、前記光学素子および/または前記支持構造の温度を測定するように構成される、請求項6または7に記載のリソグラフィ装置。
【請求項9】
パターニングデバイスを保持するように構成された支持デバイスであって、前記パターニングデバイスが前記放射ビームの断面にパターンを与えてパターン付き放射ビームを形成するように構成された、支持デバイスと、
前記パターン付き放射ビームを選択的に遮断するように構成されたレチクル・マスキング・ブレード・システムであって、前記検知システムが前記支持デバイスおよび/または前記レチクル・マスキング・ブレード・システムの温度を測定するように構成された、レチクル・マスキング・ブレード・システムと、
を備える、請求項6から8のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項10】
前記測定システムは、
前記放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射面と、前記反射面の反対側の面から延びるアームと、
検知装置と前記アームとの間のギャップを測定するように構成された検知装置が設けられた支持フレームと、を備え、
前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって測定されるギャップを含む、請求項1から9のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項11】
前記測定システムは、
前記放射ビームの少なくとも一部を反射するように構成された反射器と、
前記放射ビームの反射部分の位置を測定するように構成されたセンサと、を備え、
前記監視対象コンポーネントは、前記測定システムによって測定された放射ビームの反射部分の位置を含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
【請求項12】
前記監視対象コンポーネントは、リソグラフィ露光情報を含む、請求項1~11のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項13】
前記制御システムは、基板のリソグラフィ露光中に、前記熱状態基準を使用して前記均一性補正システムを制御するように構成される、請求項1から12のいずれかに記載のリソグラフィ装置。
【請求項14】
リソグラフィ用の放射ビームを制御する方法であって、
前記放射ビームを調整することと、
前記放射ビームによって生成される熱を示す熱状態基準に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含み、
前記熱状態基準は、監視対象コンポーネントを含み、前記監視対象コンポーネントは、熱変形測定値を含む、方法。
【請求項15】
前記熱状態基準をリファレンス熱状態基準と比較することと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて前記放射ビームの強度プロファイルを調整することと、
を含む請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】