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特表2024-510872統合型エピタキシ及び前洗浄システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】統合型エピタキシ及び前洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240305BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20240305BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240305BHJP
   C23C 16/02 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/302 105B
H01L21/302 201A
H01L21/304 645B
C23C16/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543332
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022026366
(87)【国際公開番号】W WO2022250825
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,325
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/463,966
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フアン, イー-チャウ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェライカル, マーノィ
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チェン-イン
(72)【発明者】
【氏名】デービー, エリック
(72)【発明者】
【氏名】チョプラ, ソーラブ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5F157
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA05
4K030AA06
4K030BA02
4K030BA08
4K030BA09
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4K030BA29
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5F157BG06
5F157BG23
5F157BG24
(57)【要約】
本開示の実施形態は、概して、基板表面を洗浄し、続いてその上にエピタキシャル堆積プロセスを実行するための統合型基板処理システムに関する。処理システムは、膜形成チャンバと、膜形成チャンバに結合された移送チャンバと、移送チャンバに結合され、基板支持体を有する酸化物除去チャンバとを含む。処理システムは、酸化物除去チャンバ内に、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスを導入するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、基板から酸化膜を除去するために、基板支持体上に位置決めされた基板をプロセス混合ガスに暴露するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理システムであって、
膜形成チャンバと、
前記膜形成チャンバに結合された移送チャンバと、
前記移送チャンバに結合され、基板支持体を有する酸化物除去チャンバと、
コントローラであって、
前記酸化物除去チャンバ内に、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスを導入し、
基板から酸化膜を除去するために、前記基板支持体上に位置決めされた基板を前記プロセス混合ガスに暴露する
ように構成されたコントローラと
を備える、処理システム。
【請求項2】
前記アルコールは、第一級アルコールを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記アルコールは、メチルアルコール及びエチルアルコールのうちの少なくとも一方を含む、請求項2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記アルコールは、C1-C3アルコールを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記フッ素含有ガスは、フッ化水素、フッ化窒素、フッ化炭素、フッ化硫黄、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記プロセス混合ガスは、アンモニアを含まない、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記蒸気の濃度は、前記プロセス混合ガス全体の約5%wt/wtから約75%wt/wtであってよい、請求項1に記載の処理システム。
【請求項8】
前記基板支持体は、各々が別個の冷却チャネルを有する2つ以上の独立した温度制御ゾーンを含む、請求項1に記載の処理システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記基板を前記プロセス混合ガスに曝露している間、前記基板支持体の温度を約0℃以下に維持するように構成される、請求項1に記載の処理システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記膜形成チャンバに配置された基板に膜を形成するように構成される、請求項1に記載の処理システム。
【請求項11】
基板の処理方法であって
基板を、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスに曝露することにより、第1のプロセスチャンバに配置された前記基板から酸化物を除去することと、
真空又は不活性環境下で、前記第1のプロセスチャンバから第2のプロセスチャンバに前記基板を移送することと、
前記第2のプロセスチャンバに配置された前記基板に膜を形成することと
を含む方法。
【請求項12】
第1のガス源から前記第1のプロセスチャンバに前記フッ素含有ガスを導入することと、
第2のガス源から前記第1のプロセスチャンバに前記蒸気を導入することと、
前記基板を前記プロセス混合ガスに曝露する前に、前記フッ素含有ガス及び前記蒸気を混合して前記プロセス混合ガスを形成するために、前記第1のプロセスチャンバに配置されたデュアルチャネルシャワーヘッドを通して前記フッ素含有ガス及び前記蒸気を流すことと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセス混合ガスは、アンモニアを含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
酸化物除去中に、前記基板を約0℃以下の温度に冷却することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセス混合ガスとの反応により、固体副生成物が形成されることなく、前記基板から前記酸化物が除去される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のプロセスチャンバに前記フッ素含有ガス及び前記蒸気を別々に供給することと、
前記第1のプロセスチャンバに到着後、前記フッ素含有ガス及び前記蒸気を混合することと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記フッ素含有ガス対前記蒸気の流量比は、約1:10から約10:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
処理システムであって、
膜形成チャンバと、
前記膜形成チャンバに結合された第1の移送チャンバと、
前記第1の移送チャンバに結合された通過ステーションと、
前記通過ステーションに結合された第2の移送チャンバと、
前記第2の移送チャンバに結合された第1の酸化物除去チャンバであって、前記第1の酸化物除去チャンバ、前記第2の移送チャンバ、前記通過ステーション、前記第1の移送チャンバ、及び前記膜形成チャンバは真空又は不活性環境下に維持され、前記第1の酸化物除去チャンバは第1の基板支持体を含む、第1の酸化物除去チャンバと、
コンピュータ可読媒体であって、前記処理システムのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
第1の基板を、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスに曝露することにより、前記第1の酸化物除去チャンバに配置された前記第1の基板から酸化物を除去することと、
前記膜形成チャンバに前記第1の基板を移送することと、
前記膜形成チャンバに配置された前記第1の基板に膜を形成することと
を行わせる命令を記憶したコンピュータ可読媒体と、
前記第1の酸化物除去チャンバに結合されたロードロックチャンバと
を備える、処理システム。
【請求項19】
前記第2の移送チャンバに結合され、真空又は不活性環境下に維持される第2の酸化物除去チャンバを更に備え、前記第2の酸化物除去チャンバは第2の基板支持体を含み、前記コンピュータ可読媒体に記憶された命令は更に、前記システムに、
第2の基板を前記プロセス混合ガスに暴露することにより、前記第2の酸化物除去チャンバに配置された前記第2の基板から酸化物を除去すること
を行わせる、請求項18に記載の処理システム。
【請求項20】
前記処理システムの内部容積は周囲環境から分離される、請求項18に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、基板の表面を洗浄するための装置及び方法に関する。より詳細には、本明細書に開示される実施形態は、基板表面を洗浄し、続いてその上にエピタキシャル堆積プロセスを実行するための統合型基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路は、シリコン及びその他の半導体基板内及びシリコン及びその他の半導体基板上に形成される。単結晶シリコンの場合、基板は、溶融シリコンの溶液からインゴットを成長させ、次に固化したインゴットを複数の基板に鋸引きすることによって製造される。その後、単結晶シリコン基板上にエピタキシャルシリコン層を形成し、ドープされていてよい又はドープされていなくてよい無欠陥シリコン層を形成することができる。このエピタキシャルシリコン層から、トランジスタ等の半導体デバイスを製造することができる。形成されたエピタキシャルシリコン層の電気的特性は、一般に単結晶シリコン基板の特性よりも優れている。
【0003】
[0003]単結晶シリコン及びエピタキシャルシリコン層の表面は、典型的な基板製造設備の周囲条件に暴露されると汚染されやすい。例えば、単結晶シリコン表面には、基板のハンドリング及び/又は基板処理設備の周囲環境への暴露により、エピタキシャル層の堆積前に自然酸化物層が形成されることがある。更に、周囲環境に存在する炭素及び酸素種等の外来の汚染物質が単結晶表面に堆積することもある。単結晶シリコン表面に自然酸化物層又は汚染物質が存在すると、続いて単結晶表面に形成されるエピタキシャル層の品質に悪影響を及ぼす。従来の前洗浄プロセスは、1又は複数の独立型真空プロセスチャンバで実施されることが多く、基板のハンドリング時間が長引く場合があり、基板が周囲環境に暴露される可能性が上がり得る。
【0004】
[0004]従って、当技術分野では、基板のハンドリング時間及び周囲環境への曝露を最小限にする、エピタキシャル堆積プロセスを実行する前に基板表面を洗浄するための改善された基板処理システムを提供する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示では、膜形成チャンバと、膜形成チャンバに結合された移送チャンバと、移送チャンバに結合され、基板支持体を有する酸化物除去チャンバとを含む処理システムが記載される。処理システムは、酸化物除去チャンバ内に、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスを導入するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、基板から酸化膜を除去するために、基板支持体上に位置決めされた基板をプロセス混合ガスに暴露するように構成される。
【0006】
[0006]また、本明細書には、基板を、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスに曝露することにより、第1のプロセスチャンバに配置された基板から酸化物を除去することを含む、基板の処理方法が記載される。本方法は、真空又は不活性環境下で第1のプロセスチャンバから第2のプロセスチャンバに基板を移送することと、第2のプロセスチャンバに配置された基板に膜を形成することとを含む。
【0007】
[0007]また、本明細書には、膜形成チャンバと、膜形成チャンバに結合された第1の移送チャンバと、第1の移送チャンバに結合された通過ステーションと、通過ステーションに結合された第2の移送チャンバと、第2の移送チャンバに結合された第1の酸化物除去チャンバと、第1の酸化物除去チャンバに結合されたロードロックチャンバとを含む処理システムが記載される。第1の酸化物除去チャンバ、第2の移送チャンバ、通過ステーション、第1の移送チャンバ、及び膜形成チャンバは、真空又は不活性環境下に維持される。第1の酸化物除去チャンバは、第1の基板支持体を含む。本システムは、コンピュータ可読媒体であって、処理システムのプロセッサによって実行されると、システムに、第1の基板を、フッ素含有ガスと、水、アルコール、有機酸、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む蒸気とを含むプロセス混合ガスに曝露することにより、第1の酸化物除去チャンバに配置された第1の基板から酸化物を除去することを行わせる命令を記憶したコンピュータ可読媒体を含む。
【0008】
[0008]添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することによって、上記に要約し、以下により詳細に説明する本開示の実施形態を理解することができる。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、従って、その範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうるものであることを留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】特定の実施形態に係る処理方法を示す図である。
図2】特定の実施形態に係る、図1の洗浄プロセスの少なくとも一部を実行するために使用される処理チャンバの断面図である。
図3】特定の実施形態に係る、エピタキシャル堆積プロセスを実行するためのプロセスチャンバを示す概略断面図である。
図4】本明細書に記載の洗浄及び堆積プロセスを実行するための例示的な統合型真空処理システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。図面は縮尺どおりに描かれておらず、わかりやすくするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0011】
[0014]本明細書に開示される実施形態は、基板表面を洗浄し、続いてその上にエピタキシャル堆積プロセスを実行するための統合型基板処理システムに関する。
【0012】
[0015]本明細書に開示される特定の実施形態は、基板を、フッ素含有ガスと、水、アルコール、及び/又は有機酸を含む蒸気との混合物に曝露することによる表面酸化物の除去を提供する。本明細書に開示される気相混合物は、アンモニア(NH)を含む従来のプロセス混合ガスとの反応に特徴的な固体副生成物の形成を回避する。例えば、フッ素含有プロセスガス中にNHが存在すると、固体アンモニウム塩(例えば、(NHSiF、又はケイフッ化アンモニウム)が形成される。ケイフッ化アンモニウムは固体結晶を形成し、基板表面に形成された特徴内に堆積する。統合型システムは、基板表面の酸化ケイ素(例:SiO)等の自然酸化物の成長を低減させる又は防止するために、基板が真空又は不活性環境下に維持されるように設計されている。しかしながら、従来のプロセスガスによる固体結晶の形成は、このようなシステムの使用によって得られるであろう効率向上の多くを無効にしてしまう。有益なことに、本明細書に開示される特定の実施形態は、塩等の固体副生成物が形成されることなく表面酸化物の除去を可能にする。
【0013】
[0016]基板表面に形成された特徴内から固体副生成物を除去するには、熱処理(例えば、塩の結晶を分解するための加熱)が必要な場合があり、これは処理時間及び処理の複雑さを増加させる。より小さい特徴サイズ(例えば、約10nmから約25nm等の約25nm以下の臨界寸法を有する、又は約10から約25等の約25以下のアスペクト比(すなわち、幅に対する深さの比)を有する)の場合、固体副生成物の除去は、従来の技法では対処できない可能性のある更に大きな課題を提示する。本明細書で開示されるプロセス混合ガスは、固体副生成物の形成を完全に回避することができ、熱処理の必要性を回避し、洗浄効率及びスループットを向上させる。
【0014】
[0017]本明細書に開示される特定のプロセス混合ガス及びプロセスパラメータは、プラズマ形成の有無にかかわらず、従来のフッ素及びアンモニア含有プロセスガスと比較すると、特に、低誘電率誘電体材料、シリコン、シリコンゲルマニウム、及び窒化ケイ素(例えば、SiN)等の他の材料と比較して、自然酸化物の除去を強化するためのエッチング選択性を改善する。
【0015】
[0018]図1は、特定の実施形態に係る処理方法100を示す図である。工程102において、洗浄プロセスを用いて半導体基板の表面から酸化物が除去される。工程102における酸化物の除去は、「前洗浄」又は「エッチング」とも称され得る。基板は、シリコン含有材料を含んでいてよく、表面は、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)又はシリコンゲルマニウム合金(SiGe)等の材料を含んでいてよい。幾つかの例では、Si、Ge、又はSiGe表面は、自然酸化物層等の酸化物層と、その上に配置された汚染物質を有する可能性がある。エピタキシャル堆積プロセスは酸化物及び炭素含有汚染物質等の汚染物質に対して敏感であるため、クリーンルーム環境に数時間暴露された結果生じた表面汚染は、蓄積された酸化物及び汚染物質が、続いて形成されるエピタキシャル層の品質に影響を与えるほど重大になる可能性がある。
【0016】
[0019]基板表面は、酸化物除去プロセス及び汚染物質除去プロセスを実行することによって洗浄され得る。一例では、酸化物は、洗浄プロセス(工程102)を用いて基板の表面から除去され、炭素含有汚染物質等の汚染物質は、還元プロセスを用いて基板の表面から除去される。洗浄プロセスは蒸気を含み得る。幾つかの例では、洗浄プロセスは、プラズマを形成することなく、及び/又は基板をラジカル又はラジカル種に暴露することなく実行され得る。幾つかの例では、プロセスガスはアンモニアを含まない場合がある。プロセスガスは、蒸気と混合されたフッ素含有ガスを含んでいてよい。幾つかの例では、プロセスガスは、1又は複数のパージガス又はキャリアガス(例えば、水素、ヘリウム、及び/又はアルゴン)を更に含み得る。
【0017】
[0020]幾つかの例では、フッ素含有ガスは、フッ化水素(例えば、HF)、無水フッ化水素、フッ素(F)、フッ化窒素(例えば、三フッ化窒素(NF))、フッ化炭素(例えば、四フッ化炭素(CF)、ヘキサフルオロエタン(C)、トリフルオロメタン(CHF)、ジフルオロメタン(CH)、オクトフルオロプロパン(C)、オクトフルオロシクロブタン(C)、オクトフルオロ[1-]ブタン(C)、オクトフルオロ[2-]ブタン(C)、又はオクトフルオロイソブチレン(C))、フッ化硫黄(例:六フッ化硫黄(SF))、又はそれらの組み合わせを含み得る。幾つかの例では、フッ素含有ガスの流量は、300mmの基板に対して約50sccmから約500sccmであってよい。幾つかの例では、処理チャンバ内(例えば、基板表面と接触している)のフッ素含有ガスの濃度は、他の全ての成分(例えば、キャリアガス又はパージガス)を含む全プロセス混合ガスの約5%wt/wtから約75%wt/wtであってよい。
【0018】
[0021]幾つかの例では、蒸気は、水(例えば、蒸留水)、第一級アルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、又はイソブチルアルコール)、第2級アルコール(例えば、イソプロピルアルコール又はsec-ブチルアルコール)、第3級アルコール(例えば、tert-ブチルアルコール)、環状アルコール(例えば、シクロヘキシルアルコール)、複合アルコール(例えば、4-エチル-3-ヘキサノール)、C1アルコール、C2アルコール、C3アルコール、C1-C2アルコール、C1-C3アルコール、C1-C4アルコール、有機酸、又はそれらの組み合わせを含み得る。幾つかの例では、蒸気はフッ素含有ガスと表面酸化物との間の反応速度を増加させ得る。幾つかの例では、炭素数の低いアルコールは、炭素数の高いアルコールと比較して、反応速度をより大きく増加させ得る(例えば、相対的な反応速度は、C1アルコール>C2アルコール>C3アルコールであり得る)。幾つかの例では、蒸気の流量は、300mmの基板に対して約5sccmから約500sccmであってよい。幾つかの例では、フッ素含有ガス対蒸気の流量比(蒸気に対するフッ素含有ガスの流量比)は、約10:1から約1:10であってよい。幾つかの例では、蒸気の濃度は、他の全ての成分(例えば、キャリアガス又はパージガス)を含む全プロセス混合ガスの約5wt/wtから約75wt/wtであってよい。
【0019】
[0022]工程中、フッ素含有ガスは、プロセスチャンバに充満させるために蒸気と混合させることができる。幾つかの他の例では、ガスは、異なる経路を通じて(すなわち、別々に)プロセスチャンバに供給され、プロセスチャンバに到着後、基板と接触する前に混合され得る。ガスの混合は、基板が配置される処理領域から空間的に分離されていてよい。本明細書で説明する「空間的に分離されている」という用語は、1又は複数のチャンバ構成要素、あるいは混合チャンバと基板処理チャンバとの間の導管によってでも基板処理領域から分離された混合領域を指す場合がある。幾つかの例では、処理チャンバ内の混合プロセスガスの温度(例えば、基板表面と接触する混合プロセスガスの温度)を指していてよい処理温度は、約-50℃から-約40℃等の約0℃以下であってよい。幾つかの例では、処理チャンバの圧力は、約0.5Torrから約20Torrの範囲内であってよい。
【0020】
[0023]前洗浄プロセスは、大部分が共形性であり、酸化物層に対して選択的であるため、層がアモルファス、結晶性、又は多結晶性であるかにかかわらず、シリコン(例えば、低誘電率スペーサ又は他の誘電体材料)、ゲルマニウム、又は窒化物層を容易にエッチングしない。シリコン又はゲルマニウムと比較した酸化物に対するプロセスガスの選択性は、少なくとも約3:1、例えば約5:1以上、例えば約10:1以上である。プロセスガスはまた、窒化物に比べて酸化物の選択性が高い。窒化物と比較したプロセスガスの選択性は、少なくとも約3:1、例えば約5:1以上、例えば約10:1以上である。
【0021】
[0024]幾つかの実施形態では、前洗浄プロセスの間又は前洗浄プロセスの実行後のいずれかにおいて、熱エネルギーが、生じた全ての副生成物の除去を助けるために処理された基板に印加され得る。幾つかの実施形態では、熱エネルギーは、基板表面上に見出される不要な副生成物を昇華させる放射、対流及び/又は伝導性熱伝達プロセスを介して供給される。
【0022】
[0025]オプションの工程104において、基板の表面から炭素汚染物質を除去することによって、第2の洗浄プロセスが実行され得る。工程104を工程102の後に示したが、幾つかの他の実施例では、工程104は工程102の前であってよい。洗浄プロセスは、プラズマ洗浄チャンバで実行されるプラズマプロセスを含み得る。プラズマプロセスは、水素(H)、ヘリウム(He)、アンモニア(NH)、フッ素含有ガス、又はそれらの組み合わせを含むガスから形成されるプラズマを使用し得る。プラズマは、誘導結合又は容量結合であってよく、プラズマは、処理チャンバのマイクロ波源によって形成され得る、又はプラズマは、遠隔プラズマ源によって形成され得る。
【0023】
[0026]工程106において、基板の表面にエピタキシャル層が形成される。上述したように、事前に洗浄すれば、基板表面は均一に酸化され、汚染物質がなく、基板表面に続いて形成される層の品質が向上する。例示的なエピタキシャルプロセスは、約800℃未満、例えば約450℃から約650℃の温度で実行される選択エピタキシャルプロセスであってよい。エピタキシャル層は、高温化学気相堆積(CVD)プロセスを用いて形成され得る。エピタキシャル層は、結晶シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、又はIII-V族化合物又はII-VI族化合物等の任意の適切な半導体材料であってよい。1つの例示的な熱CVDプロセスでは、エピタキシャル層を形成するために、クロロシランSiHCl4-x(モノ、ジ、トリ、テトラ)、シランSi2X+2(シラン、ジシラン、トリシラン等)、ゲルマンGe2x+2(ゲルマン、ジゲルマン等)、塩化水素HCl、塩素ガス(Cl)、又はそれらの組み合わせ等の処理ガスが使用される。処理温度は800℃未満、例えば約300℃から約600℃、例えば約450℃であり、処理圧力は約5Torrから約600Torrの範囲内である。エピタキシャル堆積プロセスを実行するために使用できる例示的な処理チャンバは、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なCentura(商標)Epiチャンバである。他のメーカーのチャンバも使用可能である。
【0024】
[0027]工程102、104及び106は、図4に図示し、更に以下に説明する処理システム等の1つの処理システムにおいて実行され得る。全ての残留副生成物又は汚染物質を除去し、表面をアニールして全ての表面欠陥を除去するために、オプションの熱処理を、工程102と104との間又は工程102と104の後に、106の層形成プロセスを実行する前に実行することもできる。このようなアニールは、オプションでアルゴン又はヘリウム等の不活性ガスを含む水素雰囲気下で実行することができ、約400℃から約800℃の温度及び約1Torrから約300Torrの圧力で実行することができる。
【0025】
[0028]図2は、工程102の洗浄プロセスの少なくとも一部を実行するように適合され、それにより基板の表面から酸化物等の汚染物質を除去するように構成された処理チャンバ200の断面図である。
【0026】
[0029]処理チャンバ200は、気相洗浄プロセスを実行するために特に有用であり得る。処理チャンバ200は、概して、チャンバ本体202と、リッドアセンブリ204と、支持アセンブリ206とを含む。リッドアセンブリ204は、チャンバ本体202の上端に配置され、支持アセンブリ206は、少なくとも部分的にチャンバ本体202内に配置される。処理チャンバ200からガスを除去するために真空システムを使用することができる。真空システムは、チャンバ本体202に配置された真空ポート210に結合された真空ポンプ208を含む。
【0027】
[0030]リッドアセンブリ204は、チャンバ200内の処理領域212にガスを供給するように構成された複数の積層構成要素を含む。リッドアセンブリ204は、第1のガス源214及び第2のガス源216に接続される。第1のガス源214及び第2のガス源216からのガスは、ガスポート218を通してリッドアセンブリ204に導入される。幾つかの例では、第1のガス源214は、プロセスガスの少なくとも第1の部分(例えば、図1の工程102に関して上述したプロセスガスのフッ素含有成分)を供給し得る。幾つかの例では、第2のガス源216は、プロセスガスの第2の部分(例えば、図1の工程102に関して上述したプロセスガスの蒸気成分)を供給し得る。幾つかの例では、1又は複数のパージガス又はキャリアガスもまた、第1のガス源214、第2のガス源216から、又は別のガス源から処理領域212に供給され得る。
【0028】
[0031]リッドアセンブリ204は、概して、第1のプレート220と、第1のプレート220の下方の第2のプレート222と、第2のプレート222の下方であって処理領域212の上方のシャワーヘッド224とを含む。第1のプレート220、第2のプレート222、及びシャワーヘッド224の各々は、それらを貫通して形成され、それぞれの各部品の上方及び下方のガス領域を接続する複数の開孔を含む。従って、ガスポート218を通してリッドアセンブリ204に導入されたガスは、リッドアセンブリ204の各部品をこの順序で流れる。図2に示す実施例では、シャワーヘッド224は、チャネル228の第1のセットとチャネル230の第2のセットとを有するデュアルチャネルシャワーヘッドである。デュアルチャネルシャワーヘッドは、第1のガス源214及び第2のガス源216から来る異なるガスの混合を改善するために特に有利であり得る。
【0029】
[0032]支持アセンブリ206(「ペデスタル」とも呼ばれる)は、処理中に基板をその上に支持するための基板支持体232を含む。基板支持体232は、平坦な、又は実質的に平坦な基板支持面を有する。図示のように、基板支持体232は、中心からエッジまでの処理の均一性と調整のために基板温度を制御する2つの独立した温度制御ゾーン(「デュアルゾーン」と呼ばれる)を含む。図2に示す例では、基板支持体232は、内側ゾーン232iと、内側ゾーン232iを取り囲む外側ゾーン232oとを有する。他の幾つかの例では、基板支持体232は、2つを超える独立した温度制御ゾーン(「マルチゾーン」と呼ばれる)を有する場合がある。
【0030】
[0033]基板支持体232は、チャンバ本体202の底部に形成された中央に位置する開口部を通って延びるステム236によって、アクチュエータ234に結合される。アクチュエータ234は、ステム236周囲の真空漏れを防止するベローズ238によってチャンバ本体202にフレキシブルに密封される。アクチュエータ234は、基板支持体232をチャンバ本体202内で処理位置とローディング位置との間で垂直に移動させることができる。ローディング位置は、チャンバ本体202の側壁に形成された基板開口部240の少し下方にある。
【0031】
[0034]処理チャンバ200は、処理される基板の温度を低下させるための超低温キット242も含み、これは、特に、低誘電率誘電体材料及び窒化ケイ素(例えば、SiN)等の他の材料と比較して、酸化物除去(例えば、自然酸化物除去)の選択性を向上させることができる。幾つかの例では、処理される基板の温度及び/又は基板支持体232の温度を約-30℃から約10℃まで低下させ得る。超低温キット242は、基板支持体232を所望の温度に冷却する超低温冷却剤の連続流を基板支持体232に供給する。幾つかの例では、超低温冷却剤は、パーフルオロ化不活性ポリエーテル流体(例えば、Galden(登録商標)流体)を含み得る。図2に示す例では、超低温冷却剤は、それぞれ内側冷却剤チャネル244i及び外側冷却剤チャネル244oを通して基板支持体232の内側ゾーン232i及び外側ゾーン232oに供給される。冷却剤チャネルは図2に概略的に描かれており、図示とは異なる配置を有する場合がある。例えば、各冷却剤チャネルはループ状であってよい。
【0032】
[0035]プログラマブルコンピュータ等のシステムコントローラ250が、処理チャンバ200又はその構成要素を制御するために処理チャンバ200に結合される。例えば、システムコントローラ250は、支持アセンブリ206、真空ポンプ208、第1のガス源214、第2のガス源216、アクチュエータ234、及び/又は超低温キット242の直接制御を使用して、又はそれに関連する他のコントローラの間接制御を使用して、処理チャンバ200の動作を制御することができる。作動中、システムコントローラ250は、処理チャンバ200での処理を調整するために、それぞれの構成要素からのデータ収集及びフィードバックを可能にする。
【0033】
[0036]システムコントローラ250は、メモリ254(例えば、不揮発性メモリ)及び支援回路256と共に動作可能なプログラマブル中央処理ユニット(CPU)252を含む。支援回路256は、従来、CPU252に結合され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源等、及び処理チャンバ200の様々な構成要素に結合されたそれらの組み合わせを含む。
【0034】
[0037]幾つかの実施形態では、CPU252は、様々なモニタリングシステム構成要素及びサブプロセッサを制御するための、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等の、産業環境で使用される汎用コンピュータプロセッサの任意の形態の1つである。CPU252に結合されたメモリ254は、非一過性であり、典型的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、又はローカルもしくはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージ等の容易に利用可能なメモリの1又は複数である。
【0035】
[0038]本明細書において、メモリ254は、CPU252によって実行されると、処理チャンバ200の動作を促進する命令を含むコンピュータ可読記憶媒体(例えば、不揮発性メモリ)の形態である。メモリ254の命令は、本開示の方法を実施するプログラム(例えば、ミドルウェアアプリケーション、機器ソフトウェアアプリケーション等)等のプログラム製品の形態である。プログラムコードは、多数の異なるプログラミング言語のいずれか1つに準拠していてよい。一例では、本開示は、コンピュータシステムと共に使用するためにコンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム製品として実施され得る。プログラム製品のプログラム(複数可)は、実施形態の機能(本明細書に記載の方法を含む)を定義する。
【0036】
[0039]例示的なコンピュータ可読記憶媒体には、(i)情報が恒久的に記憶される書込不可記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読み取り可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、又は任意のタイプの固体不揮発性半導体メモリ等のコンピュータ内の読出し専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶される書込可能記憶媒体(例えば、ディスケットドライブ又はハードディスクドライブ内のフロッピーディスク、又は任意のタイプの固体ランダムアクセス半導体メモリ)が含まれるが、これらに限定されない。本開示の実施形態は、本明細書に記載の方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持する、このようなコンピュータ可読記憶媒体である。
【0037】
[0040]図3は、特定の実施形態に係る、エピタキシャル堆積プロセスを実行するためのプロセスチャンバ300の概略断面図である。プロセスチャンバ300は、基板325の上面への材料の堆積を含む、1又は複数の基板を処理するために使用され得る。プロセスチャンバ300は、構成要素の中でも特に、プロセスチャンバ300内に配置された基板支持体306の裏側304を加熱するための放射加熱ランプ302のアレイを含む。基板支持体306は、図示のようなディスク状の基板支持体306であってよい、又はランプ302の熱放射に基板が暴露されやすいように基板のエッジから基板を支持するリング状の(中央開口部を有する)基板支持体であってよい。
【0038】
[0041]基板支持体306は、プロセスチャンバ300内の上部ドーム328と下部ドーム314との間に位置する。上部ドーム328、下部ドーム314、及び上部ドーム328と下部ドーム314との間に配置されたベースリング336は、概して、プロセスチャンバ300の内部領域を画定する。基板325(縮尺なし)は、プロセスチャンバ300内に移送され、ローディングポートを通して基板支持体306上に位置決めされる。
【0039】
[0042]基板支持体306は、ローディング及びアンローディングの間、ならびに場合によっては基板325の処理の間、基板325を垂直方向334に移動させる中央ステム332によって支持される。基板支持体306を、図3では上昇した処理位置に示したが、中央ステム332に結合されたアクチュエータによって、処理位置の下方のローディング位置まで垂直に横切ることができる。処理位置の下方に下げられると、リフトピンが基板325に接触し、基板325を基板支持体306から持ち上げることができる。その後、ロボットがプロセスチャンバ300に入り、ローディングポートを通して基板325と係合し、そこから取り出すことができる。その後、基板支持体306を処理位置まで垂直に作動させて、デバイス側316が上方に向いた基板325を基板支持体306の表側310に配置することができる。
【0040】
[0043]基板支持体306は、処理位置に位置している間、プロセスチャンバ300の内部容積を、基板325の上方にあるプロセスガス領域356と、基板支持体306の下方にあるパージガス領域358とに分割する。基板支持体306は、中央ステム332によって処理中に回転し、プロセスチャンバ300内の熱及びプロセスガス流の空間異常の影響を最小限に抑え、基板325の均一な処理を容易にする。基板支持体306は、炭化ケイ素又は炭化ケイ素でコーティングされたグラファイトから形成され、ランプ302からの放射エネルギーを吸収し、放射エネルギーを基板325に伝導することができる。
【0041】
[0044]一般に、上部ドーム328の中央窓部分及び下部ドーム314の底部は、石英等の光学的に透明な材料から形成される。上部ドーム328の厚さ及び湾曲の程度は、プロセスチャンバにおける均一な流れの均一性のために、より平坦な形状寸法を提供するように構成され得る。
【0042】
[0045]ランプ302のアレイは、中央ステム332の周りに所定の方法で下部ドーム314に隣接してかつその下方に配置され、プロセスガスが通過する際に基板325の様々な領域における温度を独立して制御し、これにより基板325の上面上への材料の堆積を促進する。ここでは詳述しないが、幾つかの実施例では、堆積される材料は、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、又は窒化アルミニウムガリウムを含み得る。幾つかの実施例では、ランプ302等の放射加熱ランプのアレイが、上部ドーム328の上に配置され得る。
【0043】
[0046]ランプ302は、基板325を約200℃から約1600℃の範囲内の温度に加熱するように構成された電球を含む。各ランプ302は配電盤に接続され、それを通してランプに電力が供給される。ランプ302は、ランプヘッド345内に位置決めされ、このランプヘッド345は、例えば、ランプ302の間に位置するチャネル349内に導入された冷却液によって、処理中又は処理後に冷却される。ランプヘッド345は、ランプヘッド345が下部ドーム314に近接していることもあって、下部ドーム314を伝導的かつ放射的に冷却する。ランプヘッド345はまた、ランプの周囲のランプ壁及びリフレクタ壁も冷却し得る。幾つかの例では、下部ドーム314は対流によって冷却され得る。用途に応じて、ランプヘッド345は下部ドーム314と接触していてよい、又は接触していなくてよい。
【0044】
[0047]円形シールド367は、基板支持体306の周囲に配置され、ライナアセンブリ363によって取り囲まれる。シールド367は、プロセスガス用の予熱ゾーンを提供しながら、ランプ302から基板325のデバイス側316への熱/光ノイズの漏れを防止又は最小限に抑える。シールド367は、CVD SiC、SiCでコーティングされた焼結グラファイト、成長SiC、不透明石英、コーティングされた石英、又はプロセスガス及びパージガスによる化学破壊に耐性のある他の類似の適切な材料から作製することができる。
【0045】
[0048]ライナアセンブリ363は、ベースリング336の内周内に入れ子式に配置されるように、又はベースリング336の内周によって取り囲まれるようにサイズ設定される。ライナアセンブリ363は、前駆体と反応して処理容積での汚染を引き起こす可能性のあるプロセスチャンバ300の金属壁から処理容積(すなわち、プロセスガス領域356及びパージガス領域358)を遮蔽する。ライナアセンブリ363を単一の本体として示したが、ライナアセンブリ363は、異なる構成を有する1又は複数のライナを含み得る。
【0046】
[0049]光高温計318を、温度測定及び制御に使用することができる。図示の例では、光高温計318は、基板325のデバイス側316の温度を測定するために上部ドーム328の上方に位置する。この位置決めにより、基板支持体306からの熱を伝導する基板325の放射感知が得られ、ランプ302からのバックグラウンド放射が光高温計318に直接到達することが最小限に抑えられる。他の実施例では、光高温計は基板支持体306の裏側304の下方に位置し、裏側304の温度を測定することができる。
【0047】
[0050]リフレクタ322が上部ドーム328の外側に位置し、基板325から放射される光を基板325上に反射させる。リフレクタ322は、クランプリング330を使用して上部ドーム328に固定される。リフレクタ322は、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属で形成されていてよい。反射の効率は、金等の高反射コーティングをリフレクタ領域に施すことで改善することができる。リフレクタ322は、冷却源に接続された一対のチャネル326を有する。チャネル326は、リフレクタ322を冷却するためにリフレクタ322の側面に形成された通路に接続している。通路は、水等の流体の流れを運ぶことができ、リフレクタ322の側面に沿って水平に、リフレクタ322の一部又は全面を覆う任意の所望のパターンで走っていてよい。
【0048】
[0051]プロセスガス供給源372から供給されるプロセスガスは、ベースリング336の側壁に形成されたプロセスガス入口374を通してプロセスガス領域356に導入される。プロセスガス入口374は、プロセスガスを概ね半径方向内向きに方向づけするように構成される。膜形成プロセス中、基板支持体306は、プロセスガス入口374に隣接し、プロセスガス入口374とほぼ同じ高さにある処理位置に位置していてよく、プロセスガスが層流で基板325の上面を横切ってチャネル373に沿って上方及び周囲に流れることを可能にする。プロセスガスは、プロセスチャンバ300のプロセスガス入口374とは反対側の側面に位置するガス出口378を通して(チャネル375に沿って)プロセスガス領域356から出ていく。ガス出口378を通るプロセスガスの除去は、ガス出口378に連結された真空ポンプ380によって促進され得る。プロセスガス入口374とガス出口378は、互いに位置合わせされ、ほぼ同じ高さ(例えば、同一平面上)に配置される。このような位置合わせにより、より平坦な上部ドーム328と組み合わされた場合、基板325を横切る概ね平面的で均一なガス流が可能になる。基板支持体306を通る基板325の回転によって、さらなる半径方向の均一性を得ることができる。
【0049】
[0052]パージガスは、パージガス源362から、ベースリング336の側壁に形成されたパージガス入口364(又はプロセスガス入口374)を通してパージガス領域358に供給され得る。パージガス入口364は、プロセスガス入口374よりも低い高さに配置される。円形シールド367は、プロセスガス入口374とパージガス入口364との間に配置される。幾つかの例では、予熱リングがプロセスガス入口374とパージガス入口364との間に配置され得る。パージガス入口364は、パージガスを概ね半径方向内側に方向づけするように構成される。膜形成プロセス中、基板支持体306は、パージガスが層流で基板支持体306の裏側304を横切ってチャネル365に沿って流れ落ち、回り込むような位置に位置し得る。パージガスの流れは、プロセスガスの流れがパージガス領域358内に入るのを防止し得る、又は実質的に減少させ得る、あるいはパージガス領域358(すなわち、基板支持体306の下方の領域)に入るプロセスガスの拡散を減少させることができる。パージガスは、パージガス領域358を(チャネル366に沿って)出て、プロセスチャンバ300のパージガス入口364とは反対側の側面に位置するガス出口378を通ってプロセスチャンバの外に排気される。幾つかの実施例では、プロセスチャンバ300又はその構成要素を制御するために、コントローラ(例えば、図2に示すコントローラ250又は別の同様のコントローラ)がプロセスチャンバ300に結合され得る。
【0050】
[0053]図4は、特定の実施形態に係る、図1に示す処理シーケンス100を完了するために使用され得る例示的な統合型真空処理システム400を示す図である。真空処理システム400は、周囲環境から分離された内部容積を有する。図4に示すように、複数の処理チャンバ402a、402b、402c、402dが、第1の移送チャンバ404に結合されている。処理チャンバ402a~402dは、アニール、化学気相堆積、物理的気相堆積、エピタキシャルプロセス、エッチングプロセス、熱酸化又は熱窒化プロセス、ガス抜き等の任意の基板関連プロセスを実行するために使用することができる。ある実施例では、処理チャンバ402aは、結晶シリコン又はシリコンゲルマニウムを形成することができる気相エピタキシャル堆積チャンバ、例えばカリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なEpiチャンバ等の膜形成チャンバであってよい。幾つかの例では、処理チャンバ402aは、図3に記載のプロセスチャンバ300等のエピタキシャル堆積チャンバであってよい。
【0051】
[0054]処理チャンバ402bは、急速熱処理チャンバ(RTP)であってよい。処理チャンバ402cは、プラズマエッチングチャンバ又はプラズマ洗浄チャンバであってよい。処理チャンバ402dは、ガス抜きチャンバであってよい。第1の移送チャンバ404は、少なくとも1つの移行ステーション、例えば一対の通過ステーション406、408にも結合される。通過ステーション406、408は、基板が第1の移送チャンバ404と第2の移送チャンバ410との間で移送されるのを可能にしながら、真空又は不活性環境条件を維持する。第1の移送チャンバ404は、通過ステーション406、408と処理チャンバ402a~402dのいずれかの間で基板を移送するためのロボット基板ハンドリング機構を有していてよい。図示した処理チャンバ402a~402dは、図4では特定順序で構成されているが、処理チャンバ402a~402dは、任意の所望の順序で構成され得る。
【0052】
[0055]通過ステーション406、408の一端は、第2の移送チャンバ410に結合されている。従って、第1の移送チャンバ404と第2の移送チャンバ410とは、通過ステーション406、408によって分離され且つ接続される。第2の移送チャンバ410は、第1の前洗浄チャンバ414及び第2の前洗浄チャンバ416に結合され、これらは各々、基板の表面から酸化物を除去するための工程102のプロセスの少なくとも一部を実行するように適合された、図2に記載の処理チャンバ200等の酸化物除去チャンバであってよい。一例では、第1の前洗浄チャンバ414及び第2の前洗浄チャンバ416の各々は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なSiconi(商標)又はSelectra(商標)チャンバであってよい。
【0053】
[0056]一例では、少なくとも1つの移行ステーション、例えば通過ステーション406、408のうちの1つは、プラズマ洗浄チャンバであってよい。あるいは、プラズマ洗浄チャンバは、基板の表面から汚染物質を除去するために、通過ステーション406、408のうちの1つに結合され得る。従って、処理システム400は、通過ステーション406、408のうちの1つである、又は通過ステーション406、408のうちの1つに接続されたプラズマ洗浄チャンバを有していてよい。プラズマ洗浄チャンバは、基板の表面から汚染物質を除去するための工程102のプロセスの少なくとも一部を実行するように適合され得る。一実施例では、プラズマ洗浄チャンバは、通過ステーション406、408の両方に結合され得る。
【0054】
[0057]第2の移送チャンバ410は、一組のロードロックチャンバ412と第1の前洗浄チャンバ414又は第2の前洗浄チャンバ416との間で基板を移送するためのロボット基板ハンドリング機構も有していてよい。ロードロックチャンバ412によって、第2の移送チャンバ410にファクトリインターフェース420が接続されている。ファクトリインターフェース420は、ロードロックチャンバ412の反対側にある1又は複数のポッド430に接続される。ポッド430は、クリーンルームからアクセス可能な前方開口型統一ポッド(FOUP)であってよい。
【0055】
[0058]2つの移送チャンバを示したが、移送チャンバのいずれかを省略することができると考えられる。第2の移送チャンバ410が省略された1つの実施例では、第1の前洗浄チャンバ414及び第2の前洗浄チャンバ416は、通過ステーション406及び408によって占有されている現在図示の位置において、第1の移送チャンバ404内に配置され得る、又は第1の移送チャンバ404に結合され得る。第1の移送チャンバ404は、結晶シリコン又はシリコンゲルマニウムを形成することができる1又は複数の処理チャンバ、例えば、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なCentura(商標)Epiチャンバ等のエピタキシチャンバに結合され得る。あるいは、第1の移送チャンバ404を省略することができ、第2の移送チャンバ410を、結晶シリコン又はシリコンゲルマニウムを形成できる1又は複数の処理チャンバに結合されるように構成することができる。
【0056】
[0059]作動中、基板が、ポッド430から一度に1枚ずつ取り出され、真空処理システム400に移送される。各基板は、最初に、ポッド430に結合されたファクトリインターフェース420を通して移動され、ロードロックチャンバ412のうちの1つに配置される。第2の移送チャンバ410内のロボット輸送機構は、ロードロックチャンバ412から第1の前洗浄チャンバ414又は第2の前洗浄チャンバ416に基板を一度に1枚ずつ輸送し、そこで、工程102に関して説明した酸化物洗浄等の洗浄プロセスが実行され、基板の表面から酸化物が除去される。いったん酸化物が基板表面から除去されると、第2の移送チャンバ410内に配置されたロボット輸送機構は、第1の前洗浄チャンバ414又は第2の前洗浄チャンバ416から通過ステーション406に基板を移送する。次に、第1の移送チャンバ404内に配置されたロボット輸送機構が、通過ステーション406から1又は複数の処理チャンバ402a~402dに基板を移送する。1又は複数の処理チャンバ402a~402dは、工程102に関して説明したエピタキシャル堆積等の層形成プロセスが実行されるエピタキシプロセスチャンバを含み得る。
【0057】
[0060]1又は複数の処理チャンバ402a~402dでの処理が完了すると、第1の移送チャンバ404内に配置されたロボット輸送機構が、処理チャンバ402のいずれか1つから通過ステーション408に基板を移送する。その後、基板は、第2の移送チャンバ410内に配置されたロボット輸送機構によって通過ステーション408から取り出され、他のロードロックチャンバ412に移送され、それを通して基板が真空処理システム400から取り出される。上述した例示的な基板移動シーケンスは、説明のみを目的として提供されるものであり、他の基板移動シーケンスも考えられる。
【0058】
[0061]図1の3つの工程102、104及び106全てのプロセスが同じ真空処理システム400内で実行されるため、基板がチャンバ間を移動する際に真空が破られることがなく、汚染の可能性が減少し、堆積させたエピタキシャル膜の品質が向上する。幾つかの例では、真空処理システム400又はその構成要素を制御するために、コントローラ(例えば、図2に示すコントローラ250又は別の同様のコントローラ)を真空処理システム400に結合することができる。コントローラは、真空処理システム400を通る基板の移動を、用途に応じて変更可能である所望のシーケンスプログラムに従ってスケジューリングするために使用され得る。
【0059】
[0062]本開示の利点には、同じ真空処理システム上に前洗浄プロセスチャンバとエピタキシャルプロセスチャンバとを統合させた、改善された真空処理システムが含まれる。統合型真空処理システムにより、酸化物除去からエピタキシャル堆積までの間、基板を真空又は不活性環境に維持することができ、基板が周囲に暴露される時間が短縮され、基板を別個の処理チャンバ又はシステムで前洗浄する必要がなくなる。
【0060】
[0063]上記は本開示の実施形態を対象としたものであるが、本開示の他の及び更なる実施形態を、その基本的範囲から逸脱することなく考案することが可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】