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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】接続アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240305BHJP
   H05G 2/00 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555756
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022054228
(87)【国際公開番号】W WO2022199959
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21164821.7
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデルハリアン,イヴォ
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA05
2H197GA11
2H197GA12
2H197GA24
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB19
4C092AC09
(57)【要約】
EUV光源において使用される高圧液体金属供給システム用の接続アセンブリ(24)であって、モノリシックブロックを備え、モノリシックブロックは、液体金属を保持するように構成されたリザーバに接続するための少なくとも1つの接続部(21)と、少なくとも1つの接続部を少なくとも2つの液体金属出口/入口(22、23)と流体接続するように構成された内部通路(25)と、内部の液体金属を固化することによって通路を遮断するように構成された少なくとも2つの凍結弁(15、16、17)と、を備える接続アセンブリ(24)について記載する。また、このような接続アセンブリを含む液体金属貯蔵アセンブリ、このような液体金属貯蔵アセンブリ又はこのような接続アセンブリを含むリソグラフィ装置、並びに、リソグラフィ装置又は方法におけるこのようなアセンブリ又は装置の使用についても記載する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV光源において使用される高圧液体金属供給システム用の接続アセンブリであって、モノリシックブロックを備え、
前記モノリシックブロックは、
液体金属を保持するように構成されたリザーバに接続するための少なくとも1つの接続部と、
前記少なくとも1つの接続部を少なくとも2つの液体金属出口/入口と流体接続するように構成された内部通路と、
内部の液体金属を固化することによって通路を遮断するように構成された少なくとも2つの凍結弁と、
を備える、接続アセンブリ。
【請求項2】
前記凍結弁と熱的接続した1つ以上の熱調節要素を更に備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記1つ以上の熱調節要素は、1つ以上の冷却要素、及び/又は、前記凍結弁と熱的接続した1つ以上の加熱要素を含む、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記アセンブリは、前記1つ以上の熱調節要素を制御して前記凍結弁を選択的に開閉するように構成された1つ以上のコントローラを備える、請求項2又は3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記1つ以上の熱調節要素は、各凍結弁を内部の前記金属の融点未満に局所的に冷却し、及び/又は、各凍結弁を内部の前記金属の融点を超えて加熱するように構成される、請求項2から4の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記アセンブリは、約30kpsiまでの圧力、好ましくは少なくとも約3000psi、好ましくは少なくとも約4000psiの圧力で動作するように構成される、請求項1から5の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
各凍結弁は、他の凍結弁(複数も可)から少なくとも部分的に熱的に分離される、請求項1から6の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
各凍結弁は、断面積の低減された前記ブロックのセクションによって他の凍結弁(複数も可)から少なくとも部分的に熱的に分離される、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも2つの凍結弁のうちの第1の凍結弁は、液体金属を受容するように構成された前記少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの一方と流体連通し、
前記第1の凍結弁は、液体金属を保持するように構成されたリザーバに接続するため、前記少なくとも1つの接続部と流体連通し、
前記第1の凍結弁は、前記少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁とも流体連通する、請求項1から8の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁は、第1の液体金属リザーバと接続するように構成された前記少なくとも1つの接続部、前記少なくとも2つの凍結弁のうちの第1の凍結弁、任意選択の第3の凍結弁、及び液体金属を排出するように構成された前記少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの一方と流体連通する、請求項1から9の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記アセンブリは、前記少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁と流体連通し、第2の液体金属リザーバに接続するように構成された接続部と流体連通し、液体金属を排出するように構成された前記少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの出口と連通する、第3の凍結弁を備える、請求項1から10の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
液体スズに耐性を示す材料から形成され、好ましくは、前記材料はモリブデン又はモリブデン合金である、請求項1から11の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載のアセンブリを含む、EUVリソグラフィ装置又はソース用の液体金属供給アセンブリ。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載のアセンブリを含む、リソグラフィ装置。
【請求項15】
リソグラフィ装置又は方法における、請求項1から14の何れか一項に記載のアセンブリ又は装置の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年3月25日出願のEP/US出願第21164821.7号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、EUV光源において使用される高圧液体金属供給システム用の接続アセンブリ、EUVリソグラフィ装置用の液体金属貯蔵アセンブリ、このような接続アセンブリ又は液体金属貯蔵アセンブリを備えたリソグラフィ装置、並びにリソグラフィソース、装置、又は方法におけるこのようなアセンブリ又は装置の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)でのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] ウェーハとも称され得る基板が、ウェーハテーブルによってリソグラフィ装置内に支持される。
【0006】
[0006] EUV放射を使用する特定のリソグラフィ装置では、ターゲット材料の液滴をレーザで照明することによって放射ビームを生成する。このような放射を生成するEUVソースは、レーザ生成プラズマ源と称されることもある。レーザは、ターゲット材料をプラズマに変換し、次いでプラズマがEUV放射を放出し、EUV放射が収集されて放射ビームに形成され得る。ターゲット材料の液滴は、液滴生成器アセンブリによって生成され、液滴生成器アセンブリには、ターゲット材料貯蔵アセンブリからターゲット材料が供給される。ターゲット材料の比較的高い圧力と、液体ターゲット材料自体の特性と、により、液体ターゲット材料の漏れのリスクがある。
【0007】
[0007] 本発明は、既存のシステムの欠点の少なくとも一部に対処することを目的として提供されている。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の第1の態様によると、EUV光源において使用される高圧液体金属供給システム用の接続アセンブリであって、モノリシックブロックを備え、モノリシックブロックは、液体金属を保持するように構成されたタンクへの接続のための少なくとも1つの接続部と、少なくとも1つの接続部を少なくとも2つの液体金属出口/入口と流体接続するように構成された内部通路と、内部の液体金属を固化することによって通路を遮断するように構成された少なくとも2つの凍結弁と、を備える接続アセンブリを提供する。
【0009】
[0009] 本発明は、内部通路と凍結弁とがモノリシックブロックから形成されるモノリシック接続アセンブリを提供する。他のアセンブリにおいて、凍結弁は、液体金属を移送するパイプとは別個に形成される。例えば、2つの凍結弁と、凍結弁に接続する別個に形成された3つのパイプと、が存在し得る。別個に形成されたパイプは、別個の凍結弁に接続される必要がある。しかしながら、繰り返し使用した後、パイプと凍結弁との間の接続部にはひび割れが生じる可能性があるため、内部の液体金属に漏れが生じ得ることが分かっている。既存のシステムにおいて、パイプは、異なるコンポーネントがともに嵌合可能となる程度の可撓性を有する。更に、パイプが作成される材料は、液体金属、特に液体スズへの露出に安定である必要がある。したがって、パイプは、タンタル合金から形成される。このタンタル合金は、液体金属、特に液体スズへの露出に安定である一方、酸素脆化を受けやすい。これは、酸素がタンタル合金に入ってタンタル合金をより脆くすることが原因である。タンタル合金は、スズの融点を超えて加熱されるため、脆化が発生する確率は、周辺温度における確率よりも高い。更に、既存の設計の移送パイプは、非常に薄いため、取扱い及び製造が困難である。一方で、本発明によると、内部通路がモノリシックブロックから形成されるため、これらを製造するのがより容易となり、要求されるアセンブリが存在しないため、いずれかのパイプが捩れたり、さもなければ損傷したりするリスクがない。また本発明は、不活性保護雰囲気を要求する、タンタル合金の溶接を行う必要性を回避する。
【0010】
[00010] 本発明に係るアセンブリは、複数の別個の部品でなく、単一の部品を含むため、他のシステムと比較してアセンブリの構築が大幅に簡易化される。更に、凍結弁及び内部通路は、モノリシックブロックとして形成されるため、亀裂が入り得、又は漏れを生じ得るコンポーネント間の接続部又は接合部が存在しない。実際のところ、本発明のアセンブリによると、各々、漏れに晒され得る8つ以上の接合部又は接続部が存在する既存のシステムとは対照的に、より少ない数の接合部又は接続部が提供される必要がある。本発明ではまた、移送パイプと凍結弁との間の接続部又は接合部間にガスケットを有する必要がなくなる。ガスケットの材料は、経時的に分割し、更には蒸発が生じる可能性があり、漏れに繋がり得る。更に既存のシステムによると、液体金属が溶融時に膨張するため、装置が誤った順序で加熱又は冷却されると、ラインの破裂のリスクがあり、関連の凍結弁が閉鎖される一方で移送パイプ内の金属が溶融されると、移送パイプ内の圧力が上昇する可能性があり、別個に形成されたパイプと凍結弁との間の接合部又は接続部でラインの破裂又は漏れに繋がり得る。本発明は、連携がより容易となり、損傷を受けにくい、基本的に漏れ防止の接続アセンブリを提供することができる。本明細書に記載のとおり、液体金属は、スズであることが好ましい。接続アセンブリは、少なくとも1つの接続部を少なくとも2つの液体金属入口/出口と接続するように構成された内部通路を備える。このようにして、接続アセンブリは、液体金属リザーバと少なくとも2つの液体金属出口/入口との間で液体金属を移送するように構成される。少なくとも2つの液体金属出口/入口の間の一方は、スズプライミングアセンブリから液体スズを受容するためのものであってもよく、他方は、液滴生成器アセンブリに液体スズを排出するためのものであってもよい。このように、少なくとも2つの液体金属出口/入口は、液体金属の進入及び/又は退出ポイントとして機能し、液体金属が接続アセンブリを介して液体金属リザーバから出入りして移送される。
【0011】
[00011] アセンブリは、凍結弁と熱的接続した1つ以上の熱調節要素を含んでもよい。1つ以上の熱調節要素は、1つ以上の冷却要素を含み得る。追加又は代替として、1つ以上の熱調節要素は、1つ以上の加熱要素を含み得る。凍結弁の開閉は、固化を制御し、内部に収容された金属を溶融することによって制御される。凍結弁が開放されるとき、内部の金属の融点を超えて加熱されることで、金属が溶融し、弁を通じて流動可能となる。一方で、凍結弁が閉鎖されるとき、内部の金属の融点を下回って冷却され、固化し、流体流動を行わせないプラグを形成する。本発明は、使用される精密な加熱又は冷却手段によって特に限定されるものでなく、要求される程度の加熱及び/又は冷却を提供することができる任意の手段が使用され得る。一例において、加熱手段には、少なくとも1つのヒータが含まれる。ヒータには、ロッドヒータ、プレートヒータ、加熱ワイヤ、又は実際には、他の任意の好適なヒータが含まれ得る。一例において、冷却手段には、水冷却回路が含まれる。モノリシックブロックとしてアセンブリを構築することにより、調節要素は、既存のシステムの場合よりも簡単に取り付け可能である。
【0012】
[00012] アセンブリは、1つ以上の熱調節要素を制御して凍結弁を選択的に開閉するように構成された1つ以上のコントローラを備え得る。1つ以上のコントローラは、独立して別個に凍結弁を制御するように構成され得る。このようにして、凍結弁の開閉が制御されることにより、アセンブリ内の流体流動を可能にしたり、又は防止したりすることができる。
【0013】
[00013] 1つ以上の熱調節要素は、各凍結弁を内部の金属、好ましくはスズの融点未満に局所的に冷却するように構成され得る。1つ以上の熱調節要素は、各凍結弁を内部の金属、好ましくはスズの融点を超えて局所的に加熱するように構成され得る。
【0014】
[00014] アセンブリは、約30kpsiまで、約25kpsiまで、約20kpsiまで、約15kpsiまで、約10kpsiまで、約5kpsiまでの圧力で動作するように構成され得る。アセンブリは、少なくとも約3kpsi、少なくとも約4kpsi、又は少なくとも約5kpsiの圧力で動作するように構成されることが好ましい。液体スズ供給システムは、十分な速度でEUV放射を生成すべく、レーザビームによって照明されるスズ液滴を提供するのに要求されるため、典型的に、高圧下で作動される。アセンブリをモノリスとして形成することにより、アセンブリは、そうでない場合に比較してより高い圧力に耐えることができる。液体金属がパイプを介して移送される場合、少ない体積の液体金属が移送されるため、外径は数ミリメートル、内径は1ミリメートル程度である。したがって、このようなパイプを製造するのは困難且つコストがかかる。対照的に、本発明では、穿孔(drilling)によって移送導管の形成が可能となる。
【0015】
[00015] 各凍結弁は、他の凍結弁(複数も可)から少なくとも部分的に熱的に分離され得る。各凍結弁は、断面積の低減されたブロックのセクションによって他の凍結弁(複数も可)から少なくとも部分的に分離され得る。凍結弁はすべて、同一のモノリシックブロックにおいて形成されるため、最終的に互いに熱的接続されるものの、凍結弁の開閉を個別に制御することが依然として可能である。これは、調節要素によって達成され得る一方、断面の低減されたモノリシックブロックの領域によって凍結弁を互いに分離することで支援可能となるのは、1つの凍結弁から他の凍結弁への熱エネルギの移送を制御することであることが分かっている。実施形態において、凍結弁には、内部通路の断面積に比較して断面積の低減された通路を含み得る。
【0016】
[00016] アセンブリは、液体金属を受容するように構成された少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの一方と流体連通した少なくとも2つの凍結弁のうちの第1の凍結弁を含んでもよく、第1の凍結弁は、液体金属を保持するように構成されたリザーバに接続するため、少なくとも1つの接続部と流体連通し、第1の凍結弁は、少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁とも流体連通する。液体金属は、任意の好適なソースから受容され得る。一例において、液体金属は、汚染粒子の少ない固形物から流体ターゲット材料を作製するように構成されたプライミングシステムからのものである。液体金属は、濾過されて、望ましくない酸化スズ粒子を除去してもよい。液体金属は、スズであってもよい。
【0017】
[00017] アセンブリは、第1の液体金属リザーバと接続するように構成された少なくとも1つの接続部、少なくとも2つの凍結弁のうちの第1の凍結弁、任意選択の第3の凍結弁、及び液体金属を排出するように構成された少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの一方と流体連通した少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁を含んでもよい。液体スズを排出するように構成された出口は、液体金属の液滴を生成するように構成された液滴生成器アセンブリに接続され得る。液体金属の液滴は、その後、レーザで照明され、要求される波長を有する放射ビームを最終的に提供することができる。
【0018】
[00018] アセンブリは、少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁と流体連通し、第2の液体金属リザーバに接続するように構成された接続部と流体連通し、液体金属を排出するように構成された少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの出口と連通した、第3の凍結弁を含み得る。
【0019】
[00019] アセンブリは、液体スズに耐性を示す材料から形成され得る。アセンブリは、モリブデン又はモリブデン合金から形成され得る。モリブデンは、液体スズへの露出に耐えることができ、酸素脆化しない。あるいは、アセンブリは、硬質クロム化層又はホウ化層等、保護層を備えたステンレス鋼から形成され得る。
【0020】
[00020] 接続アセンブリは、付加製造(additive manufacturing)によって形成され得る。3D印刷としても知られる付加製造により、液体金属が流動するための導管と凍結弁とを備えた内部構造を備えたモノリシックブロックの作成を可能にする。凍結弁又は流体接続等、接続アセンブリの内部フィーチャは、ビレットから形成され得る。内部フィーチャは、穿孔によって作成され得る。
【0021】
[00021] 本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様に係る、アセンブリを含むEUVリソグラフィ装置又はソース用の液体金属供給アセンブリを提供する。
【0022】
[00022] 液体金属貯蔵アセンブリは、一次リザーバと、再充填リザーバと、を含み得る。一次リザーバと再充填リザーバとは、液体金属、好ましくは液体スズを収容するように構成される。リザーバは、アルゴン及び水素を含む形成ガス等のガスによって加圧されるように構成され得る。リザーバは、内部に収容された液体金属が接続アセンブリを通じて排出され、液体金属を液滴生成器アセンブリに提供するように加圧され得る。リザーバはまた、本発明の接続アセンブリを介して液体金属が再充填されるように構成され得る。
【0023】
[00023] 本発明の第3の態様によると、本発明の第1又は第2の態様に係るアセンブリを含む、リソグラフィ装置、好ましくはEUVリソグラフィ装置が提供される。
【0024】
[00024] 本発明の第4の態様によると、リソグラフィ装置又は方法における本発明の第1、第2、又は第3の態様のいずれかに係るアセンブリ又は装置の使用が提供される。
【0025】
[00025] 本発明のいずれの態様のフィーチャも、フィーチャが互いに相互互換可能でない場合を除いて組み合わせ可能であり、このような組み合わせもすべて、明示的に考慮及び開示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
[00026] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0027】
図1】リソグラフィ装置と放射源とを備えるリソグラフィシステムを示す。
図2】別個に形成された凍結弁と移送パイプとを備えるアセンブリの概略図である。
図3】本発明に係るアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[00027] 図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えたリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、このEUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTと、を備える。
【0029】
[00028] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。そのため、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布とを与える。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることができる。
【0030】
[00029] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン付きEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成される。この目的のため、投影システムPSは、基板テーブルWTにより保持された基板Wにパターン付きEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し、これによってパターニングデバイスMAにおける対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成することができる。例えば、4又は8の縮小係数を適用することができる。投影システムPSは、図1では2つのミラー13、14のみを有するものとして示されているが、投影システムPSは様々な数のミラー(例えば6個又は8個のミラー)を備えることができる。
【0031】
[00030] 基板Wは、前もって形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’により形成された像を、基板W上に前もって形成されたパターンと位置合わせする。
【0032】
[00031] 相対真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)を、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内に供給することができる。
【0033】
[00032] 図1に示されている放射源SOは例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)放射源と呼ぶことがあるタイプである。例えばCOレーザを含み得るレーザシステム1は、レーザビーム2を介して、例えば燃料放出器3から与えられるスズ(Sn)のような燃料にエネルギを堆積するよう配置されている。以下の記載ではスズに言及するが、任意の適切な燃料を使用すればよい。燃料は、例えば液体の形態とすることや、例えば金属又は合金とすることが可能である。燃料放出器3は、例えば小滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4へ向かう軌道に沿って誘導するよう構成されたノズルを備えることができる。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズに入射する。レーザエネルギのスズへの堆積は、プラズマ形成領域4においてスズプラズマ7を生成する。プラズマイオンによる電子の脱励起及び再結合の間に、プラズマ7からEUV放射を含む放射が放出される。燃料放出器3は、液滴生成器アセンブリ(図示せず)の一部であり得る。液滴生成器アセンブリには、本発明に係る接続アセンブリを介して、液体スズが供給され得る。
【0034】
[00033] プラズマからのEUV放射は、コレクタ5によって収集され集束される。コレクタ5は、例えば近法線入射放射コレクタ5を含む(より一般的に法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nm等の所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層ミラー構造を有し得る。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円構成を有し得る。焦点のうち第1のものはプラズマ形成領域4にあり、焦点のうち第2のものは中間焦点6にあり得る。これについては以下で検討する。
【0035】
[00034] レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離してもよい。これが当てはまる場合、レーザビーム2は、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダ及び/又は他の光学系を含むビームデリバリシステム(図示せず)によって、レーザシステム1から放射源SOへ渡すことができる。レーザシステム1、放射源SO、及びビームデリバリシステムは、共に放射システムと見なすことができる。
【0036】
[00035] コレクタ5によって反射された放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6で集束されて、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6での像を形成する。中間焦点6の像は、照明システムILの仮想放射源として作用する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの閉鎖構造9の開口8に又は開口8の近くに位置付けられるように配置されている。
【0037】
[00036] 図2は、EUV光源において使用される液体金属供給システム用の既存のアセンブリの概略図である。アセンブリは、第1の凍結弁15と、第2の凍結弁16と、第3の凍結弁17と、を含む。アセンブリはまた、液体金属を受容するように構成された、一次リザーバ18と、再充填リザーバ19と、を含む。凍結弁15、16、17、一次リザーバ18、及び再充填リザーバ19を接続するのは、別個に形成された移送パイプ20である。接続部21は、移送パイプ20と、凍結弁15、16、17、一次リザーバ18、及び再充填リザーバ19と、の接合部に設けられる。概略図からわかるように、多数の接続部21(そのすべてに番号が付されていない)が存在し、漏れやすくなる。アセンブリは、ノズル供給システム(図示せず)への出力22を含み、ノズル供給システムが、最終的に、所望の波長の放射の生成のための液体金属の液滴を形成する。アセンブリはまた、プライミングシステムからの入力23を含み、プライミングシステムは、固形物から液体ターゲット材料を作製するように構成される。
【0038】
[00037] 図3は、本発明の一実施形態に係る接続アセンブリ24の概略図である。一次リザーバ18及び再充填リザーバ19が図示されているが、これらは必ずしも本発明の装置の一部を形成する必要はない。更に、概略図のジオメトリは、特定のジオメトリを示すことが意図されるものでなく、他のジオメトリも可能である。接続アセンブリ24は、第1の凍結弁15と、第2の凍結弁16と、任意選択の第3の凍結弁17と、を備える。いくつかの実施形態においては、第3の凍結弁17がないことが理解される。図示のとおり、第1、第2、及び第3の凍結弁15、16、17は、内部通路25によって接続される。凍結弁15、16、17は、内部通路25と一体形成されることで、漏れの傾向を有する接続部の数を低減する。図示の実施形態において、4つの接続部、すなわち、プライミングアセンブリから第1の凍結弁15までの液体金属入力の間、再充填リザーバと第1の凍結弁15及び第2の凍結弁16を接続する内部通路25との間、一次リザーバ18と任意選択の第3の凍結弁17との間、内部通路25とノズル供給システム22への液体金属出力との間がある。対照的に、別個に形成された移送パイプを有するアセンブリは、2倍を超える数の接続部を有する。
【0039】
[00038] 接続アセンブリ24は、3D印刷とも称される付加製造を使用して製造され得る。これにより、凍結弁及び内部通路等、所望の内部フィーチャを備えた単一本体の製造が可能となる。接続アセンブリ24は、ビレットから製造され得る。内部通路及び凍結弁は、穿孔によって製造され得る。穿孔では、要求される内部フィーチャを作成するためにビレット内に追加の穴が存在することを要求し得るが、このような追加の穴は、プラグ及び封止され得る。モノリシックブロックの外観内に任意の穴を封止するように構成されたプラグ又はキャップが提供されてもよい。プラグ又はキャップは、任意の好適な材料を含むことができるが、この材料は、モノリシックブロックと同一の材料であることが好ましい。
【0040】
[00039] 凍結弁15、16、17に隣接する領域は、モノリシックブロックの他の領域よりも小さな断面積を有する。この目的は、1つの凍結弁から他の凍結弁へのモノリシックブロックを通じた熱エネルギの移送を制御することである。このようにして、凍結弁は、互いに効果的に分離されることで、凍結弁の開閉をより簡便に制御できるようにする。追加又は代替として、内部通路の直径を低減することができる。
【0041】
[00040] 接続アセンブリ24は、1つ以上の凍結弁と熱的連通した調節要素又はユニット(図示せず)を含んでもよい。調節要素又はユニットの動作の制御のために、1つ以上のコントローラ(図示せず)も設けられてよい。
【0042】
実施形態は、以下の番号を付した条項に記載される。
1.EUV光源において使用される高圧液体金属供給システム用の接続アセンブリであって、モノリシックブロックを備え、
モノリシックブロックは、
液体金属を保持するように構成されたリザーバに接続するための少なくとも1つの接続部と、
少なくとも1つの接続部を少なくとも2つの液体金属出口/入口と流体接続するように構成された内部通路と、
内部の液体金属を固化することによって通路を遮断するように構成された少なくとも2つの凍結弁と、
を備える、接続アセンブリ。
2.凍結弁と熱的接続した1つ以上の熱調節要素を更に備える、条項1に記載のアセンブリ。
3.1つ以上の熱調節要素は、1つ以上の冷却要素、及び/又は、凍結弁と熱的接続した1つ以上の加熱要素を含む、条項2に記載のアセンブリ。
4.アセンブリは、1つ以上の熱調節要素を制御して凍結弁を選択的に開閉するように構成された1つ以上のコントローラを備える、条項2又は3に記載のアセンブリ。
5.1つ以上の熱調節要素は、各凍結弁を内部の金属の融点未満に局所的に冷却し、及び/又は、各凍結弁を内部の金属の融点を超えて加熱するように構成される、条項2から4のいずれかに記載のアセンブリ。
6.アセンブリは、約30kpsiまでの圧力、好ましくは少なくとも約3000psi、好ましくは少なくとも約4000psiの圧力で動作するように構成される、条項1から5のいずれかに記載のアセンブリ。
7.各凍結弁は、他の凍結弁(複数も可)から少なくとも部分的に熱的に分離される、条項1から6のいずれかに記載のアセンブリ。
8.各凍結弁は、断面積の低減されたブロックのセクションによって他の凍結弁(複数も可)から少なくとも部分的に熱的に分離される、条項7に記載のアセンブリ。
9.少なくとも2つの凍結弁のうちの第1の凍結弁は、液体金属を受容するように構成された少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの一方と流体連通し、第1の凍結弁は、液体金属を保持するように構成されたリザーバに接続するため、少なくとも1つの接続部と流体連通し、第1の凍結弁は、少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁とも流体連通する、条項1から8のいずれかに記載のアセンブリ。
10.少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁は、第1の液体金属リザーバと接続するように構成された少なくとも1つの接続部、少なくとも2つの凍結弁のうちの第1の凍結弁、任意選択の第3の凍結弁、及び、液体金属を排出するように構成された少なくとも2つの液体金属出口/入口、のうちの一方と流体連通する、条項1から9のいずれかに記載のアセンブリ。
11.アセンブリは、少なくとも2つの凍結弁のうちの第2の凍結弁と流体連通し、第2の液体金属リザーバに接続するように構成された接続部と流体連通し、液体金属を排出するように構成された少なくとも2つの液体金属出口/入口のうちの出口と連通する、第3の凍結弁を備える、条項1から10のいずれかに記載のアセンブリ。
12.液体スズに耐性を示す材料から形成され、好ましくは、材料はモリブデン又はモリブデン合金である、条項1から11のいずれかに記載のアセンブリ。
13.条項1から12のいずれかに記載のアセンブリを含む、EUVリソグラフィ装置又はソース用の液体金属供給アセンブリ。
14.条項1から13のいずれかに記載のアセンブリを含む、リソグラフィ装置。
15.リソグラフィ装置又は方法における、条項1から14のいずれかに記載のアセンブリ又は装置の使用。
【0043】
[00041] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0044】
[00042] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】