(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-12
(54)【発明の名称】光学アセンブリ及びその製造方法、光学素子を変形させる方法、並びに投影露光装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240305BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 502
G03F7/20 503
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558243
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2022057120
(87)【国際公開番号】W WO2022200203
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】102021202769.5
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】エリック ロープシュトラ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス マンガー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴォグラー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ラーブ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス リッペルト
(72)【発明者】
【氏名】ザシャ ブライディステル
(72)【発明者】
【氏名】アクセル ウィット
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ラーバ
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197BA02
2H197CA06
2H197CA10
2H197CB12
2H197CB13
2H197CC12
2H197CC14
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB05
2H197GA01
2H197GA08
2H197GA23
2H197HA03
(57)【要約】
本発明は、光学的に活性な表側(3)及び表側(3)とは反対の裏側(4)を有する光学素子を備えた光学アセンブリ(1)に関する。光学アセンブリ(1)は、光学素子(2)の裏側(4)に沿って分配配置された複数の静電アクチュエータ(5)を備える。各アクチュエータ(5)は、電極対の電極(6、7)間の電気制御電圧(U1...n)により発生して光学素子(2)を変形させる働きをする静電力が光学素子(2)に伝達されるように、構成され且つ光学素子(2)の裏側(4)に機械的に結合される。誘電体(8)が、電極対の電極(6、7)間に配置されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に活性な表側(3)及び該表側(3)とは反対の裏側(4)を有する光学素子(2)と、それぞれが2つの離間した電極(6、7)の電極対を含み前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って分配配置された複数の静電アクチュエータ(5)とを備えた光学アセンブリ(1)であって、各アクチュエータ(5)は、前記電極対の前記電極(6、7)間の電気制御電圧(U
1...n)により発生して前記光学素子(2)を変形させる働きをする静電力が前記光学素子(2)に伝達されるように、構成され且つ前記光学素子(2)の前記裏側(4)に機械的に結合される、光学アセンブリ(1)において、誘電体(8)が前記電極対の前記電極(6、7)間に配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、固体又は液体誘電体(8)であることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、真空中の誘電率よりも大きな誘電率、好ましくは空気の誘電率よりも大きな誘電率を有することを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、空気の絶縁耐力よりも大きな絶縁耐力を有することを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の一方の電極は、制御電極(6)として設計され、前記制御電圧(U
1...n)を印加されることが可能であり、他方の電極は、基準電極(7)として設計され、少なくとも1つのさらなるアクチュエータ(5)の基準電極(7)と共に共通の基準電位(GND)を印加されることが可能であることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の一方の電極(6、7)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に機械的に結合され、他方の電極(7、6)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)から離間した基準体(9)に機械的に結合されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記光学素子(2)に直接取り付けられることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項8】
請求項6に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)から離間した中間素子(16)を介して前記光学素子(2)に間接的に接続されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項9】
請求項8に記載の光学アセンブリ(1)において、前記中間素子(16)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って分配配置されたスペーサ素子及び/又はスペーサストラット(17)により前記光学素子(2)に取り付けられることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記基準体(9)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って分配配置された支承ユニット及び/又は支承ストラット(10)を介して前記光学素子(2)に又は中間素子(16)上に取り付けられることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の光学アセンブリ(1)において、前記スペーサユニット又はスペーサストラット(17)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って支承ユニット又は支承ストラット(10)からオフセットすることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項12】
請求項6~11のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)と平行に延びることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項13】
請求項6~11のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記裏側(4)から前記光学素子(2)内に延びる凹部(19)の側壁に配置され、前記基準体(9)に結合された前記電極(7、6)は、前記基準体(9)から前記光学素子(2)の前記凹部(19)内に延びる突起(20)に配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の両方の電極(6、7)は、前記光学素子(2)に機械的に結合され、この目的で前記裏側(4)から前記光学素子(2)内に延びる凹部(19)の対向する側壁に配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、液体媒体、好ましくは蒸留水又はホルムアミドであることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の光学アセンブリ(1)において、前記アクチュエータ(5)間の前記液体媒体の交換を容易にするために、流体接続が隣接するアクチュエータ(5)の前記電極対の間に形成されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の光学アセンブリ(1)において、前記アクチュエータ(5)の1つ、複数の該アクチュエータ(5)、又は該アクチュエータ(5)の全てに流体的に接続されることで、前記液体媒体が膨張して入るのを容易にする少なくとも1つのバランス容器(15)を特徴とする光学アセンブリ。
【請求項18】
請求項15~17のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記液体媒体が前記アクチュエータ(5)の前記電極対を濯ぐことができるように前記アクチュエータ(5)に流体的に接続された、前記液体媒体のための少なくとも1つの流入口(13)及び少なくとも1つの流出口(14)を特徴とする光学アセンブリ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の前記電極(6、7)は、相互に平行に延びて配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記アクチュエータ(5)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って格子状に分配されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)を目標通りに変形させる目的で前記アクチュエータ(5)用の制御電圧(U
1...n)を発生させる制御デバイス(11)により特徴づけられる光学アセンブリ。
【請求項22】
請求項21に記載の光学アセンブリ(1)において、前記制御デバイス(11)は、変形の実際の状態を記録するために、変形動作に重要でない周波数範囲の前記制御電圧(U
1...n)での励磁により、センサユニットとして前記アクチュエータを用いるよう構成されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項23】
それぞれが2つの離間した電極(6、7)の電極対を有する複数の静電アクチュエータ(5)により光学素子(2)を変形させる方法であって、前記光学素子(2)を変形させる目的で前記アクチュエータ(5)から前記光学素子(2)に伝達される静電力を発生させるために、前記電極対の前記電極(6、7)間に制御電圧(U
1...n)が印加される方法において、誘電体(8)が前記電極対の前記電極(6、7)間に配置されることを特徴とする方法。
【請求項24】
制御デバイス(11)で実行されると請求項23に記載の光学素子(2)を変形させる方法を実行するプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
光学的に活性な表側(3)及び該表側(3)とは反対の裏側(4)を有する光学素子(2)と、それぞれが2つの離間した電極(6、7)の電極対を有する複数の静電アクチュエータ(5)とを備えた光学アセンブリ(1)を製造する方法であって、前記アクチュエータ(5)は、前記電極対の前記電極(6、7)間の電気制御電圧(U
1...n)により発生して前記光学素子(2)を変形させる働きをする静電力を前記光学素子(2)に伝達することができるように、本発明による前記光学素子(2)の前記裏側(4)に機械的に結合される方法において、誘電体(8)が前記電極対の前記電極(6、7)間に導入されることを特徴とする方法。
【請求項26】
放射源(102)、照明光学ユニット(103)、及び投影光学ユニット(109、206)を含む照明系(101、201)を備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置(100、200)であって、前記照明光学ユニット(103)及び/又は前記投影光学ユニット(109、206)は、請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光学アセンブリを含むマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全体が参照により本明細書に援用されて本開示の一部を形成する2021年3月22日に出願された独国特許出願第10 2021 202 769.5号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、光学的に活性な表側及び表側とは反対の裏側を有する光学素子と、光学素子の裏側に沿って分配配置された複数の静電アクチュエータとを備えた光学アセンブリに関する。
【0003】
本発明はさらに、複数の静電アクチュエータにより光学素子を変形させる方法と、当該方法を実行するプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品とに関する。
【0004】
本発明は、光学的に活性な表側及び表側とは反対の裏側を有する光学素子と複数の静電アクチュエータとを備えた光学アセンブリを製造する方法にも関する。
【0005】
本発明はさらにまた、放射源、照明光学ユニット、及び投影光学ユニットを有する照明系を備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0006】
投影露光装置又はリソグラフィ装置は、高精度の集積回路の製造に用いられる。このとき、ミラー及び/又はレンズ素子等の光学素子により、放射源の光が露光対象のウェハに向けられる。光学素子の配置、位置、及び形状は、この場合に露光の品質に決定的に寄与する。
【0007】
半導体回路の小型化が進んでいることにより、投影露光装置の分解能及び精度の両方に課される要求はますます厳しくなっている。これに対応して、特にその光学素子及び光学素子の作動に厳しい要求が課される。
【0008】
投影露光装置の結像精度を高めるために、経験から示されるのは、作動可能なコンポーネントにより光学素子を目標通りに変形させて、投影露光装置内の結像収差を補正することである。通常、この目的で、圧電又は電歪原理に基づく作動を容易にする強誘電体アクチュエータが光学素子に取り付けられる。個々のアクチュエータを駆動することにより、光学素子の、例えばミラーの目標プロファイルを設定し、結果として光学系を補正することが最終的に可能である。
【0009】
十分に正確に動作可能とするために、既知の作動システムは、多くの場合は閉ループ動作を必要とし、したがって実際に実施された変形の一定の検出を必要とする。しかしながら、測定精度が十分に高いセンサの使用は、特にリソグラフィ装置内では常に可能とは限らない。こうした理由で、既知の作動システムは、フィードフォワード動作を有することが多い。この目的で、十分な精度には包括的なシステムモデリングが必要であり、これには、光学素子に対する個々のアクチュエータの影響についての深いシステム理解が必要である。考慮されない外乱及び非理想性の全てが、作動システムにより得ることができる性能に直接影響を及ぼす。
【0010】
この場合、温度変化が、最も重要な外乱変数の1つを表し得る。例として、投影露光装置内の光学素子の温度は、20℃~40℃の範囲で変わり得る。システムモデリングにおけるさらなる問題は、アクチュエータ固有の非再現性、例えばクリープ、ヒステリシス、熱ヒステリシス、挙動のばらつき、及び/又は熱膨張係数のばらつきに関係する。
【0011】
したがって、光学素子の高精度の位置決め又は変形を容易にするために、温度較正に加えて、電歪及び熱ヒステリシスとアクチュエータドリフトとをモデリングして較正する必要もある。これは、非常に大きな測定費用及び非常に包括的な測定機器によってのみ可能である。
【0012】
アクチュエータの材料固有の非再現性(例えば、ヒステリシス及びクリープ)及び大きな温度依存性の問題は、静電ベースのアクチュエータに切り替えることにより回避することができる。静電アクチュエータの動的効果は、2つの隣接する電極間に作用する電界の力に基づく。例として、ミラーを変形させるための静電アクチュエータの使用は、一般的な特許文献1で提案されている。
【0013】
しかしながら、静電アクチュエータによる光学素子の変形に関する問題は、従来のアクチュエータに比べて、例えば強誘電体アクチュエータに比べて動的効果が比較的限られることである。動的効果を高めるために、特許文献1は、例えば複雑なナノラミネート膜の使用を提案している。
【0014】
特許文献2も、ミラーを変形させるための静電アクチュエータの使用を考慮している。動的効果を高めるために、噛合する櫛歯を有する櫛形電極の使用が提案されている。
【0015】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2で提案されているミラーの変形のための静電アクチュエータの動的効果を高める方法は、比較的複雑である。さらに、上記文献で提案されている措置の場合でも、静電アクチュエータ自体の力は概して不十分であり、特に投影露光装置の光学素子を変形させるのに十分でないことが、意外にも分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7,692,838号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2016 209 847号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
既知の従来技術に鑑みて、本発明の目的は、高い精度且つ高い動的効果で光学素子の変形を容易にする光学アセンブリを提供することにある。
【0018】
本発明は、高い精度且つ高い動的効果で光学素子の変形を容易にする、光学素子を変形させる方法を提供するという目的にも基づく。最後に、本発明の目的は、上記方法を実行するための有利なコンピュータプログラム製品を提供することでもある。
【0019】
さらに、本発明の目的は、光学素子を変形させるための改良された光学アセンブリを製造することができる、光学アセンブリを製造する方法を提供することである。
【0020】
最後に、本発明の目的は、結像収差を補正するために少なくとも1つの静電アクチュエータにより高精度に変形可能な光学素子を有する少なくとも1つの光学アセンブリを備えた、マイクロリソグラフィ投影露光装置を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、光学アセンブリ、変形方法、コンピュータプログラム製品、光学アセンブリを製造する方法、及び投影露光装置について、各独立請求項により達成される。従属請求項及び以下に記載の特徴は、本発明の有利な実施形態及び変形形態に関するものである。
【0022】
光学的に活性な表側及び表側とは反対の裏側を有する光学素子を備えた光学アセンブリが提供される。
【0023】
例えば光学素子がレンズ素子の形態である場合、光学素子の裏側も、場合によっては光学的に活性な形態を有し得る。しかしながら、裏側は、光学的に活性でないことが好ましいか、又は少なくとも放射源からのビーム経路に影響を及ぼすためには用いられない。
【0024】
光学素子の光学的に活性な表側は、特にDUV(「深紫外」)又はEUV(「極紫外」)放射線のビーム経路を反射するか又はこれに影響を及ぼすミラー面の形態であることが好ましい。
【0025】
光学素子の裏側は、特に光学素子の非変形基本状態で、表側に対して平行平面状又は少なくとも実質的に平行平面状に延び得る。しかしながら、これは本発明の範囲内では必須ではない。表側及び/又は裏側は、弓状の形態も有し得る、特に凹状又は凸状でもあり得る。
【0026】
本発明によれば、光学アセンブリは、光学素子の裏側に沿って分配配置された複数の静電アクチュエータを備える。静電アクチュエータは、それぞれが2つの離間した電極の電極対を有する。
【0027】
電極は、平坦な形態を有することが好ましいが、弓状、段状、及び/又は櫛状の構造も有し得る。平面電極が、例えばスラブ、膜、又は蒸着層の様式で設けられることが好ましい。例として、個々の電極の厚さは、0.01μm~500μm、好ましくは0.01μm~100μm、非常に好ましくは0.01μm~10μmであり得る。
【0028】
共通の電極対の2つの電極は、それぞれが一体的に形成され得るが、場合によっては複数部分からなる実施形態を有してもよい。よって、本明細書の範囲内で「電極」に言及する限り、これは、原理上は単一電極又は合わせて電極を形成する複数の個別電極の群を言う。したがって、単一のアクチュエータは、3つ以上の個別電極を有するものから除外されない。さらに、個々のアクチュエータは、それぞれが2つの離間した電極からなる複数の電極対も含み得る。これは、本発明の範囲内では必ずしも重要ではなく、単純化のために、本発明は、本質的には厳密に1つの電極対又は厳密に2つの離間した電極を含むアクチュエータに基づいて以下で説明する。しかしながら、これは限定的なものと理解すべきでない。
【0029】
本発明によれば、各アクチュエータは、電極対の電極間の電気制御電圧により発生して光学素子を変形させる働きをする静電力が光学素子に伝達されるように、構成され且つ光学素子の裏側に機械的に結合される。
【0030】
必要に応じて、光学アセンブリは、光学素子の目標変形用に厳密に1つのアクチュエータを有することができる。しかしながら、光学アセンブリは、複数のアクチュエータを有することが好ましく、特に好ましくは、光学アセンブリは、光学素子の目標変形用に、少なくとも2つのアクチュエータ、少なくとも10個のアクチュエータ、少なくとも50個のアクチュエータ、少なくとも100個のアクチュエータ、少なくとも500個のアクチュエータ、少なくとも1,000個のアクチュエータ、少なくとも5,000個のアクチュエータ、又は少なくとも10,000個のアクチュエータを含む。しかしながら、特に好ましくは、光学アセンブリは、はるかに多くのアクチュエータを有する。
【0031】
アクチュエータは、それぞれ直接隣接するアクチュエータから等距離にあるか又は光学素子の裏側にわたって均一に分配されることが好ましい。
【0032】
アクチュエータの結果として、光学素子は、弾性変形可能又は少なくとも実質的に可逆的に変形可能であり得る。光学素子の変形は、ヒステリシスなく実施されることが好ましい。
【0033】
「変形」は、例えば光学素子の材料の部分毎の長さ変化又は光学素子の部分毎の表面変形を引き起こし得る、光学素子の材料の変形を特に意味すると理解されたい。
【0034】
静電アクチュエータを用いる結果として、電極対の電極間の電界の力のみにより動的効果が決まるので、固有のアクチュエータ非再現性により生じる位置決め精度の問題を低減又は完全に回避することが可能である。
【0035】
静電駆動装置又は静電アクチュエータは、小さなプレート間隔で最大の動的効果を生じるので、電極対の電極間に設けられる距離を最小限にすることが好ましい。しかしながら、最大限の静電力は、静的に生じるイオン化が2つの電極間でイオン化電子雪崩をもたらす絶縁破壊電圧により制限され得る。絶縁破壊電圧が、パッシェンの法則により記述されることができ、各アクチュエータに応じて決まり得ることは既知である。
【0036】
本発明によれば、誘電体が電極対の電極間に配置される。
【0037】
固体又は液体誘電体が設けられることが好ましいが、気体誘電体も設けることができる(但し、空気又は水素ではないことが好ましい)。
【0038】
本発明の一発展形態において、特に、誘電体は、空気の絶縁耐力よりも大きな絶縁耐力を有するものとすることができる。
【0039】
誘電体(特に、固体又は液体誘電体)を用いる結果として、アクチュエータの絶縁耐力を高めることが可能であり、それに対応した高い誘電率の場合、アクチュエータの力を増大させることがさらに可能である。例として、本発明者らの認識では、誘電体として空気を用いた場合の電極対の電極間の最大力は、電極面積100mm2の場合に僅か3V/μmであり、したがって僅か約0.004Nである。電極対の電極間で好ましくは空気ではない誘電体を本発明により用いる結果として、実際に光学素子の変形を容易にするのに十分なほどこの力を増大させることができる。
【0040】
誘電体は、電極対の電極間の空間を完全に満たすものとすることができる。しかしながら、誘電体は、電極対の電極間の空間を部分的にしか満たさない、例えば電極対の電極間の中央に配置され、一方又は両方の電極から離間するものとすることもできる。アクチュエータの絶縁耐力を高めるために、電極対の一方又は両方の電極は、特に絶縁層の様式で、誘電体で覆われる、例えば誘電体でコーティングされるものとしてもよい。
【0041】
好ましくは、1.0よりも大きな(又は真空よりも大きな)誘電率を有する、好ましくは空気よりも大きな誘電率を有する、特に2よりも大きな誘電率を有する、特に好ましくは5よりも大きな誘電率を有する、特に非常に好ましくは10よりも大きな誘電率を有する、さらにより好ましくは50よりも大きな誘電率を有する、例えば100以上の誘電率も有する誘電体が設けられる。
【0042】
特に固体誘電体が設けられる場合、誘電体は、アクチュエータの動作中に電極対の電極間の距離の変化を容易にするために圧縮可能であることが好ましい。
【0043】
本発明の有利な一発展形態において、電極対の電極の一方は、制御電圧を印加されることが可能な制御電極として設計されるものとすることができる。他方の電極は、基準電位を印加されることが可能な基準電極として設計されることが好ましい。
【0044】
基準電極は、アース電極として具現されることが好ましい。基準電位は、アース電位であることが好ましい。
【0045】
特に、基準電位は、アクチュエータの基準電極とさらなるアクチュエータのうち少なくとも1つの、好ましくは全てのアクチュエータの基準電極とに印加可能であるものとすることができる。
【0046】
アクチュエータへの接触は、基準電極を組み合わせることにより、又は全ての基準電極の共通の接触により大幅に単純化することができる。
【0047】
本発明の一発展形態によれば、電極対の電極の一方は、光学素子の裏側に機械的に結合され、他方の電極は、光学素子の裏側から離間した基準体に機械的に結合されるものとすることができる。
【0048】
好ましくは、制御電極は、基準体に機械的に結合され、基準電極は、光学素子の裏側に機械的に結合される。これにより、駆動のため又は制御電圧の印加のための制御電極のアクセス性を容易に得ることができる。
【0049】
特に、基準体は、光学体の一部、光学素子のマウント、光学素子の取付フレーム(例えば、光学ユニット又は試験台の取付フレーム)、又は光学素子のハウジング部品であり得る。通常、基準体は、周囲のコンポーネントに静的に結合される。
【0050】
好ましくは、電極は、光学素子に、特に光学素子の裏側に材料的に接続される。原理上、電極は、任意所望の方法で、例えば圧入式に、又は形状嵌合式に光学素子に接続されることができる。しかしながら、特に、例えば光学素子への電極の接着又は光学素子への電極の蒸着による材料的な接続が特に適していることが分かった。電極と光学素子との一体的な実施形態を、例えば付加製造技術を用いて提供することもできる。基準体への他方の電極の取付けに同じ取付け技術を用いることができる。
【0051】
本発明の一発展形態によれば、光学素子に結合された電極は、光学素子に直接取り付けられるものとすることができる。
【0052】
これにより、変形を特に目標通りに光学素子に導入することができる。しかしながら、これは様々な用途に想定され得るとはいえ、これにより光学素子に大域モードを導入することはできない。
【0053】
この目的で、本発明の代替的な発展形態において、光学素子に結合された電極は、光学素子の裏側から離間した中間素子を介して光学素子に間接的に接続されるものとすることができる。
【0054】
光学素子への電極の取付けの範囲内で既に説明した取付け技術により、電極を中間素子に取り付け且つ/又は中間素子を光学素子に接続することができる。
【0055】
中間素子は、結果としてバランス板として働くことができ、したがって光学素子への大域モードの導入又は光学素子のより「長波長の」変形の実施を可能にする。したがって、アクチュエータの変形は、最初に中間素子に直接影響を及ぼし、続いて中間素子を介して光学素子に伝達され得る。
【0056】
用途に応じて、当業者は、中間素子を設けても設けなくてもよく、さらに必要に応じて中間素子の厚さ及び弾性又は材料特性を変えてもよい。
【0057】
本発明の一発展形態において、中間素子は、光学素子の裏側に沿って分配配置されたスペーサ素子及び/又はスペーサストラットにより光学素子に取り付けられるものとすることができる。
【0058】
光学素子への電極の取付けの範囲内で既に説明した取付け技術により、スペーサ素子/スペーサストラットを光学素子及び/又は中間素子に取り付けることができる。
【0059】
中間素子を介した光学素子へのアクチュエータの影響は、スペーサ素子及び/又はスペーサストラットの使用により、例えばスペーサ素子又はスペーサストラットの幾何学的形状及び/又はスペーサ素子又はスペーサストラットの材料特性を変えることにより、最適に設定することができる。
【0060】
例として、個々のスペーサ素子及び/又はスペーサストラットは、各アクチュエータの電極に対して(電極表面に対して)中間又は中央に配置されるものとすることができる。
【0061】
本発明の有利な一発展形態において、基準体は、光学素子の裏側に沿って分配配置された支承ユニット及び/又は支承ストラットを介して光学素子又は中間素子に取り付けられるものとすることができる。
【0062】
光学素子への電極の取付けの範囲内で既に説明した取付け技術により、支承ユニット/支承ストラットを光学素子及び/又は中間素子及び/又は基準体に取り付けることができる。
【0063】
好ましくは、各アクチュエータの電極は、個々の支承ユニット及び/又は支承ストラット間に配置される。このようにして、有利な力分布を促すことができる。
【0064】
本発明の一発展形態において、スペーサユニット又はスペーサストラットは、光学素子の裏側に沿って支承ユニット又は支承ストラットからオフセットするものとすることができる。
【0065】
このようにして、光学素子が基準体上に支承されていることによる制限なく、広範囲にわたって光学素子を変形させることができる。
【0066】
本発明の有利な一発展形態において、光学素子に結合された電極は、光学素子の裏側と平行に延びるものとすることができる。
【0067】
しかしながら、原理上、平行な範囲から逸脱した光学素子の裏側に対する電極の配置を設けることもできる。しかしながら、平行な範囲が特に適切であることが分かっており、技術的な観点から比較的容易に実施することもできる。
【0068】
本発明の有利な一発展形態において、光学素子に結合された電極(好ましくは制御電極)は、裏側から光学素子内に延びる凹部の側壁に配置されるものとすることができる。
【0069】
場合によっては、さらに、基準体に結合された電極(好ましくは基準電極)は、基準体から光学素子の凹部内に延びる突起に配置されるものとすることができる。場合によっては、基準体に結合された電極は、突起自体を形成してもよい。
【0070】
好ましくは、電極対の電極は、基本状態で凹部内に又は凹部を通って延びる場合に、光学素子の裏側及び/又は表側に対して直交して又は少なくとも実質的に直交して配置される。
【0071】
特に、凹部は、幅が小さいスロット、例えば幅が数マイクロメートルのスロットであり得る。
【0072】
記載したように、制御電圧を印加すると、凹部内で力を、ひいては光学素子内で変形を発生させることが可能であり、これはさらに、光学素子の光学的に活性な表側の変形につながり得る。このようにして、光学素子に大域的な変形を誘導することも可能である。
【0073】
本発明の有利な一発展形態において、電極対の両方の電極が、光学素子に機械的に結合され、この目的で、裏側から光学素子内に延びる凹部の対向する側壁に配置されるものとすることができる。
【0074】
特に、2つの電極は、2つの対向する側壁に蒸着又は接着することができる。
【0075】
本発明の一発展形態において、誘電体は液体媒体であるものとすることができる。
【0076】
液体媒体は、蒸留水又はホルムアミドであり得ることが好ましい。しかしながら、原理上、任意所望の誘電体媒体、特に高絶縁耐力及び高誘電率のものが設けられ得る。
【0077】
誘電体としての液体媒体の使用が特に適していることが分かった。
【0078】
異なる誘電体、特に異なる液体媒体を組み合わせる場合、各臨界電位差又は電界強度に最初に達する誘電体層により、全絶縁破壊電圧が決まり得ることに留意されたい。
【0079】
気体誘電体が設けられる場合、これは例えば六フッ化硫黄(SF6)であり得る。
【0080】
高真空も適するのが有利であり得る。
【0081】
本発明のこの発展形態によれば、アクチュエータ間の液体媒体の交換を容易にするために、隣接するアクチュエータの電極対間に流体接続が形成されるものとすることができる。
【0082】
非圧縮性の液体媒体の場合、アクチュエータの移動を容易にするために、作動時に電極間のギャップから確実に流出することができる。
【0083】
特に、アクチュエータ間の流体接続は、支承ユニット及び/又は支承ストラットにおける凹部、ボア等とすることができ、個々のアクチュエータ間に延びることが好ましい。
【0084】
この発展形態によれば、光学アセンブリは、アクチュエータの1つ、複数のアクチュエータ、又はアクチュエータの全てに流体的に接続されることで、液体媒体が膨張して入るのを容易にする少なくとも1つのバランス容器を有するものとすることができる。
【0085】
特に、バランス容器は、収容した流体媒体の量に応じて弾性的に伸縮可能であるバランスベローズであり得る。
【0086】
バランス容器は、特に、誘電体の熱膨張の結果として光学素子が変形しないことを確実にすることができる。バランス容器、特にバランスベローズは、液体媒体の熱膨張がある場合、又は作動により共通の電極対の電極間のギャップが減った場合に、余剰液を収容可能である。
【0087】
アクチュエータ間のクロストークを防止するために、アクチュエータ毎に又は個々のアクチュエータ群毎に別個のバランス容器を設けることが有利であり得る。
【0088】
一発展形態によれば、さらに、光学アセンブリは、液体媒体用の少なくとも1つの流入口及び少なくとも1つの流出口を有し、これらは、液体媒体がアクチュエータの電極対を濯ぐことができるようにアクチュエータに流体的に接続されるものとすることができる。
【0089】
さらに、ターボ機械、例えばポンプが、液体媒体の通過を容易にするために任意に設けられ得る。
【0090】
特に、流入口は、外部の液体供給源に接続することができる。この場合、バランス容器を場合によっては省くことができる。
【0091】
本発明の有利な一発展形態において、電極対の電極は、相互に平行に延びて配置されるものとすることができる。
【0092】
しかしながら、場合によっては、電極対の電極は、相互に対して斜めに配置されるものとしてもよい。しかしながら、これは好ましくない。
【0093】
本発明の有利な一発展形態において、アクチュエータは、光学素子の裏側に沿って格子状に分配されるものとすることができる。
【0094】
アクチュエータの格子状の分配の結果として、異なる変形プロファイルを設定可能であり得る。好ましくは、アクチュエータは、上記支承ユニット及び/又は支承ストラット間に分配配置される。
【0095】
例として、アクチュエータは、四角形のセグメントに配置され得る。さらに、1つの空間方向のみで個々の長手方向スロットに配置するという選択肢がある。三角形の形態の配置又は任意の他の格子状配置も設けることができる。
【0096】
本発明の一発展形態によれば、光学アセンブリは、光学素子を目標通りに変形させる目的で、アクチュエータ用の制御電圧を発生させる制御デバイスを備え得る。
【0097】
制御デバイスは、マイクロプロセッサの形態であり得る。マイクロプロセッサの代わりに、制御デバイスを実現する任意のさらに別のデバイス、例えばプリント回路板上の離散的な電気構成部品の1つ又は複数の配置、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は任意の他のプログラマブル回路、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、及び/又は市販のコンピュータを設けることができる。
【0098】
本発明の一発展形態によれば、制御デバイスは、変形の実際の状態を記録するために、変形動作に重要でない周波数範囲の制御電圧での励磁により、センサユニットとしてアクチュエータを用いるよう構成されるものとすることができる。
【0099】
したがって、場合によっては、アクチュエータは、変形の現状を共通の電極対の2つの電極の電気的挙動により推定することにより、センサユニットとして用いることもできる。センサユニットとしての動作用の制御電圧での作動は、例えば数メガヘルツ程度の高周波領域で実施することができる。アクチュエータとしての使用中の駆動は、概して数百ヘルツ程度の帯域幅で実施されるので、この場合は、概して相互の妨害がなく、アクチュエータ及びセンサの動作を並行して実施することができる。
【0100】
本発明は、それぞれが2つの離間した電極の電極対を有する複数の静電アクチュエータにより光学素子を変形させる方法にも関する。静電力を発生させるために電極対の電極間に制御電圧が印加され、静電力は、光学素子を変形させる目的でアクチュエータから光学素子に伝達される。さらに、誘電体が電極対の電極間に配置されるものとする。好ましくは、固体又は液体誘電体が設けられる。しかしながら、気体誘電体又は高真空が設けられてもよい。
【0101】
静電アクチュエータの場合、圧電又は電歪アクチュエータの場合に一般的であるように材料自体の特性により力又は伸張が発生するのではなく、電荷の引力に基づくので、上記静電アクチュエータの使用は特に有利であり得る。したがって、作動中に生じる力は、はるかに予想しやすく且つモデリングしやすい。
【0102】
静電アクチュエータは非再現性が非常に低く、本発明による電極対の電極間での誘電体の使用によりその動的効果は大幅に高くなり得るので、本発明による光学素子を変形させるための静電アクチュエータの使用により、高精度システムを提供することができる。
【0103】
制御電圧又は基準電位を電極に印加することにより、関与する電極間で引張力又は圧縮力を任意に発生させることができる。引張力を発生させることが好ましい。
【0104】
本発明はさらに、制御デバイス、特に上記光学アセンブリの制御デバイスでプログラムが実行されると、上述及び後述のような光学素子を変形させる方法を実行するプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム製品に関する。
【0105】
特に、本発明は、さらに後述する投影露光装置内での使用に、又は概してリソグラフィ光学系での使用に適している。しかしながら、原理上、本発明は、光学素子を変形させようとする任意所望の用途に、特に航空宇宙及び天文学の用途、及び軍事用途にも適している場合がある。
【0106】
本発明は、光学的に活性な表側及び表側とは反対の裏側を有する光学素子と、それぞれが2つの離間した電極の電極対を有する複数の静電アクチュエータとを備えた、光学アセンブリを製造する方法にも関する。アクチュエータは、電極対の電極間の電気制御電圧により発生して光学素子を変形させる働きをする静電力が光学素子に伝達されるように、光学素子の裏側に機械的に結合される。さらに、誘電体が電極対の電極間に導入されるものとする。好ましくは、固体又は液体誘電体が設けられる。しかしながら、気体誘電体又は高真空が設けられてもよい。
【0107】
光学素子、基準体、中間素子、スペーサ素子/スペーサストラット、支承ユニット/支承ストラット、及び/又は電極間の機械的接続を確立するための特許文献2に記載の技術は、本発明の範囲内で有利に用いることができる。特許文献2の開示を、この参照により本明細書に完全に援用する。
【0108】
特に、光学コンポーネントの個々の素子は、特に支承ユニット/支承ストラットと光学素子及び/又は基準体との間の接続に関して、シリケートボンディング又は直接接合により、あるいは接着接続、はんだ接続等により、相互に接続されるものとすることができる。
【0109】
光学素子、基準体、及び/又は中間素子への電極の塗布は、例えば導電層の蒸着により実施することができる。電極を塗布する他の技術を行うこともできる。原理上、いかなる材料的、形状嵌合的、且つ/又は圧入的な接続技術も可能であり得る。
【0110】
本発明は、放射源、照明光学ユニット、及び投影光学ユニットを有する照明系を備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置にも関する。照明光学ユニット及び/又は投影光学ユニットは、上述及び後述のような少なくとも1つの光学アセンブリを含む。
【0111】
本発明は、光学アセンブリの光学素子の変形により投影露光装置の結像収差を補正するのに特に適している。
【0112】
本発明は、特に、マイクロリソグラフィDUV投影露光装置での使用に適しているが、特にEUV投影露光装置での使用に適している。本発明の可能な用途は、液浸リソグラフィにも関する。
【0113】
本発明の主題の1つに関連して記載された、具体的には光学アセンブリ、光学素子を変形させる方法、コンピュータプログラム製品、光学アセンブリを製造する方法、及び投影露光装置により与えられた特徴は、本発明の他の主題についても実施可能であるのが有利である。同様に、本発明の主題の1つに関連して明記された利点は、本発明の他の主題に関するものとも理解することができる。
【0114】
さらに、「備える」、「有する」、又は「含む」等の用語は、他の特徴又はステップを除外するものではないことに留意されたい。さらにまた、個別のステップ又は特徴を示す「a(n)」又は「the」等の語は、複数の特徴又はステップを排除するものではなく、その逆も同様である。
【0115】
しかしながら、本発明の純粋主義的な実施形態において、用語「備える」、「有する」、又は「含む」を用いて本発明に導入された特徴は、網羅的な列挙であるものとすることもできる。したがって、特徴の1つ又は複数の列挙は、例えば請求項毎にそれぞれ考慮した場合、本発明の範囲内で完全であるとみなすことができる。例として、本発明は、請求項1に記載の特徴のみからなり得る。
【0116】
「第1」又は「第2」等の表記は、主に各装置又は方法の特徴間を区別可能にするために用いられ、必ずしも特徴が相互に必要とし合うこと又は関連し合うことを示すためのものではない。
【0117】
さらに強調すべきは、本明細書に記載の値及びパラメータが、各指定値又はパラメータから±10%以下、好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±1%以下、特に非常に好ましくは±0.1以下の偏差又は変動も含むが、これらの偏差が本発明の実践時に排除されない場合に限られることである。開始値及び終了値による範囲の指定には、各指定範囲に含まれる全ての値及び小数部、特に開始値及び終了値並びに各平均値も包含される。
【0118】
本発明は、光学素子と少なくとも2つの離間した電極を有する少なくとも1つの静電アクチュエータとを備えた請求項1とは別の光学アセンブリであって、アクチュエータは、光学素子を変形させ、位置合わせし、且つ/又は位置決めするためにアクチュエータの電極間で発生した静電力が光学素子に伝達されるように構成され且つ光学素子に機械的に結合される、光学アセンブリにも関する。請求項1及び従属請求項のさらなる特徴と本明細書に記載の特徴とは、この光学アセンブリの有利な実施形態及び変形形態に関係する。
【0119】
本発明の例示的な実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【0120】
図はそれぞれ、本発明の個々の特徴を相互に組み合わせて示す好ましい例示的な実施形態を示す。例示的な実施形態の特徴は、同じ例示的な実施形態の他の特徴とは別に実施可能でもあり、したがって当業者により容易に組み合わせられて、他の例示的な実施形態の特徴とさらに好都合なコンビネーション及びサブコンビネーションを形成することができる。
【0121】
図中、機能的に同一の要素には同じ参照符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図1】EUV投影露光装置の子午線断面を概略的に示す。
【
図3】光学素子、基準体、基準体と光学素子との間に配置された固体誘電体を有する複数の静電アクチュエータを備えた光学アセンブリの側断面図を概略的に示す。
【
図4】光学素子の裏側に沿ったアクチュエータの格子状配置を表す、
図3の切断線IVに沿った断面図の一部を概略的に示す。
【
図5】液体誘電体用の流入口及び流出口とアクチュエータ間の流体接続とを有する、さらに別の例示的な実施形態による光学アセンブリの側断面図を概略的に示す。
【
図6】液体誘電体用のバランス容器とアクチュエータ間の流体接続とを有する、さらに別の例示的な実施形態による光学アセンブリの側断面図を概略的に示す。
【
図7】液体誘電体用の複数のバランス容器とアクチュエータ間の流体接続とを有する、さらに別の例示的な実施形態による光学アセンブリの側断面図を概略的に示す。
【
図8】液体誘電体用のバランス容器と、アクチュエータ間の流体接続と、アクチュエータと光学素子との間に配置された中間素子とを有する、さらに別の例示的な実施形態による光学アセンブリの側断面図を概略的に示す。
【
図9】光学素子の裏側の凹部内に配置された電極を有するさらに別の例示的な実施形態による光学アセンブリの側断面図をアクチュエータの非撓み状態で概略的に示す。
【
図10】
図9の光学アセンブリをアクチュエータの撓み状態で概略的に示す。
【
図11】
図9に示す光学アセンブリのアクチュエータの格子配置の例を概略的に示す。
【
図12】
図9に示す光学素子のアクチュエータのさらに別の格子配置の例を概略的に示す。
【
図13】光学素子の裏側の凹部内に配置された電極を有する、さらに別の例示的な実施形態による光学アセンブリの側断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
まず
図1を参照して、マイクロリソグラフィEUV投影露光装置100の必須構成部品を以下で例示的に説明する。EUV投影露光装置100及びその構成部品の基本構造の説明は、ここでは限定的と解釈すべきではない。
【0124】
EUV投影露光装置100の照明系101は、放射源102に加えて、物体面105の物体視野104の照明用の照明光学ユニット103を有する。ここで、物体視野104に配置されたレチクル106が露光される。レチクル106は、レチクルホルダ107により保持される。レチクルホルダ107は、レチクル変位ドライブ108により特に走査方向に変位可能である。
【0125】
図1には、説明を助けるために直交xyz座標系を示す。x方向は図の平面に対して垂直に延びる。y方向は水平に延び、z方向は鉛直に延びる。
図1では、走査方向はy方向に延びる。z方向は物体面105に対して垂直に延びる。
【0126】
EUV投影露光装置100は、投影光学ユニット109を備える。投影光学ユニット109は、物体視野104を像面111の像視野110に結像する働きをする。像面111は、物体面105と平行に延びる。代替として、物体面105と像面111との間では0°以外の角度も可能である。
【0127】
レチクル106上の構造が、像面111の像視野110の領域に配置されたウェハ112の感光層に結像される。ウェハ112は、ウェハホルダ113により保持される。ウェハホルダ113は、ウェハ変位ドライブ114により特にy方向に変位可能である。一方ではレチクル変位ドライブ108によるレチクル106の変位と、他方ではウェハ変位ドライブ114によるウェハ112の変位とは、相互に同期するように行われ得る。
【0128】
放射源102は、EUV放射源である。放射源102は、特に以下で使用放射線又は照明放射線とも称するEUV放射線115を出射する。特に、使用放射線115は、5nm~30nmの範囲の波長を有する。放射源102は、プラズマ源、例えばLPP源(「レーザ生成プラズマ」)又はGDPP源(「ガス放電プラズマ」)であり得る。これは、シンクロトロンベースの放射源でもあり得る。放射源102は自由電子レーザ(FEL)であり得る。
【0129】
放射源102から出る照明放射線115は、コレクタ116により集束される。コレクタ116は、1つ又は複数の楕円反射面及び/又は双曲反射面を有するコレクタであり得る。コレクタ116の少なくとも1つの反射面に、照明放射線115が斜入射(GI)で、すなわち45°よりも大きな入射角で、又は垂直入射(NI)で、すなわち45°よりも小さな入射角で入射し得る。コレクタ116は、第1に使用放射線115に対する反射率を最適化するために、第2に外来光を抑制するために構造化且つ/又はコーティングされ得る。
【0130】
コレクタ116の下流で、照明放射線115は中間焦点面117の中間焦点を伝播する。中間焦点面117は、放射源102及びコレクタ116を有する放射源モジュールと照明光学ユニット103との間の分離を表し得る。
【0131】
照明光学ユニット103は、偏向ミラー118と、ビーム経路でその下流に配置された第1ファセットミラー119とを備える。偏向ミラー118は、平面偏向ミラーであり得るか、あるいは純粋な偏向効果を超えたビーム影響効果を有するミラーであり得る。代替として又は追加として、偏向ミラー118は、照明放射線115の使用光波長をそこから逸脱する波長の外来光から分離する分光フィルタの形態であり得る。第1ファセットミラー119が、視野平面として物体平面105と光学的に共役な照明光学ユニット103の平面に配置される場合、これを視野ファセットミラーとも称する。第1ファセットミラー119は、以下で視野ファセットとも称する複数の個別の第1ファセット120を含む。これらの第1ファセット120のいくつかのみを
図1に例示的に示す。
【0132】
第1ファセット120は、巨視的なファセットの形態で、特に矩形ファセットの形態で、又は弧状の周辺輪郭又は部分円の周辺輪郭を有するファセットの形態とすることができる。第1ファセット120は、平面ファセット、あるいは凸状又は凹状に湾曲したファセットの形態であり得る。
【0133】
例えば独国特許出願公開第10 2008 009 600号から既知のように、第1ファセット120自体も、それぞれ複数の個別ミラー、特に複数のマイクロミラーから構成することができる。第1ファセットミラー119は、特に微小電気機械システム(MEMSシステム)として形成され得る。詳細は独国特許出願公開第10 2008 009 600号を参照されたい。
【0134】
照明放射線115は、コレクタ116と偏向ミラー118との間で水平に、すなわちy方向に沿って進む。
【0135】
照明光学ユニット103のビーム経路で、第1ファセットミラー119の下流に第2ファセットミラー121が配置される。第2ファセットミラー121が照明光学ユニット103の瞳面に配置される場合、これを瞳ファセットミラーとも称する。第2ファセットミラー121は、照明光学ユニット103の瞳面から離れて配置することもできる。この場合、第1ファセットミラー119及び第2ファセットミラー121の組み合わせを鏡面反射器とも称する。鏡面反射器は、米国特許出願公開第2006/0132747号、欧州特許第1 614 008号、及び米国特許第6,573,978号から既知である。
【0136】
第2ファセットミラー121は、複数の第2ファセット122を含む。瞳ファセットミラーの場合、第2ファセット122を瞳ファセットとも称する。
【0137】
第2ファセッ122も同様に、例えば円形、矩形、又は六角形の周囲を有し得る巨視的なファセットであり得るか、あるいはマイクロミラーから構成されたファセットであり得る。この点に関して、独国特許出願公開第10 2008 009 600号を同様に参照されたい。
【0138】
第2ファセット122は、平面反射面、あるいは凸状又は凹状に湾曲した反射面を有し得る。
【0139】
照明光学ユニット103は、結果として二重を形成する。この基本原理は、フライアイインテグレータとも称する。
【0140】
第2ファセットミラー121を投影光学ユニット109の瞳面と光学的に共役な平面に正確に配置しないことが有利であり得る。
【0141】
第2ファセットミラー121を用いて、個々の第1ファセット120が物体視野104に結像される。第2ファセットミラー121は、物体視野104の上流のビーム経路で最後のビーム整形ミラー又は実際に照明放射線115に対する最終ミラーである。
【0142】
照明光学ユニット103のさらに別の実施形態(図示せず)において、特に物体視野104への第1ファセット120の結像に寄与する転写光学ユニットが、第2ファセットミラー121と物体視野104との間のビーム経路に配置され得る。転写光学ユニットは、厳密に1つのミラー、あるいは照明光学ユニット103のビーム経路に前後に並んで配置された2つ以上のミラーを有することができる。特に、転写光学ユニットは、1つ又は2つの垂直入射用のミラー(NIミラー、「垂直入射」ミラー)及び/又は1つ又は2つの斜入射用のミラー(GIミラー、「斜入射」ミラー)を含むことができる。
【0143】
図1に示す実施形態において、照明光学ユニット103は、コレクタ116の下流に厳密に3つのミラー、具体的には偏向ミラー118、視野ファセットミラー119、及び瞳ファセットミラー121を含む。
【0144】
照明光学ユニッ103のさらに別の実施形態では、偏向ミラー118を省くこともできるので、照明光学ユニット103は、その場合はコレクタ116の下流に厳密に2つのミラー、具体的には第1ファセットミラー119及び第2ファセットミラー121を有することができる。
【0145】
通常、第2ファセット122による、又は第2ファセット122及び転写光学ユニットを用いた、物体面105への第1ファセット120の結像は、近似的な結像にすぎない。
【0146】
投影光学ユニット109は、複数のミラーMiを含み、これらにはEUV投影露光装置100のビーム経路におけるそれらの配置に従って番号を付す。
【0147】
図1に示す例において、投影光学ユニット109は、6個のミラーM1~M6を含む。4個、8個、10個、12個、又は任意の他の数のミラーMiでの代替も同様に可能である。最後から2番目のミラーM5及び最終ミラーM6はそれぞれ、照明放射線115の通過開口を有する。投影光学ユニット109は、二重遮蔽光学ユニットである。投影光学ユニット109は、0.5よりも大きく、0.6よりも大きくてもよく、例えば0.7又は0.75であり得る像側開口数を有する。
【0148】
ミラーMiの反射面は、回転対称軸のない自由曲面として具現され得る。代替として、ミラーMiの反射面は、反射面形状の回転対称軸が厳密に1つである非球面として設計することができる。照明光学ユニット103のミラーと同様に、ミラーMiは、照明放射線115に対して高反射コーティングを有することができる。これらのコーティングは、特にモリブデン及びケイ素の交互層を有する多層コーティングとして設計することができる。
【0149】
投影光学ユニット109は、物体視野104の中心のy座標と像視野110の中心のy座標との間にy方向の大きな物体-像オフセットを有する。y方向では、この物体-像オフセットは、物体面105と像面111との間のz距離と略同じサイズであり得る。
【0150】
特に、投影光学ユニット109は、アナモルフィックな形態を有することができる。特にこれは、x方向及びy方向に異なる結像スケールβx、βyを有する。投影光学ユニット109の2つの結像スケールβx、βyは、好ましくは(βx,βy)=(+/-0.25,+/-0.125)である。正の結像スケールβは、像反転のない結像を意味する。結像スケールβの負の符号は、像反転のある結像を意味する。
【0151】
投影光学ユニット109は、結果として、x方向に、すなわち走査方向に対して垂直な方向に4:1の比でサイズを縮小させる。
【0152】
投影光学ユニット109は、y方向に、すなわち走査方向に8:1でサイズを縮小させる。
【0153】
他の結像スケールも同様に可能である。x方向及びy方向で同じ符号及び同じ絶対値の、例えば0.125又は0.25の絶対値の結像スケールも可能である。
【0154】
物体視野104と像視野110との間のビーム経路におけるx方向及びy方向の中間像面の数は、同じであってもよく、又は投影光学ユニット109の実施形態に応じて異なっていてもよい。x方向及びy方向のこのような中間像の数が異なる投影光学ユニットの例は、米国特許出願公開第2018/0074303号から既知である。
【0155】
瞳ファセット122のそれぞれが、物体視野104を照明する照明チャネルをそれぞれ形成するために視野ファセット120の厳密に1つに割り当てられる。特に、これにより、ケーラーの原理に従った照明を得ることができる。遠視野は、視野ファセット120を用いて複数の物体視野104に分解される。視野ファセット120は、それぞれに割り当てられた瞳ファセット122に中間焦点の複数の像を生成する。
【0156】
それぞれ割り当てられた瞳ファセット122により、視野ファセット120は、物体視野104を照明する目的で重なり合ってレチクル106に結像される。物体視野104の照明は、特にできる限り均一である。その均一性誤差は2%未満であることが好ましい。異なる照明チャネルを重ね合わせることにより、視野均一性を得ることができる。
【0157】
投影光学ユニット109の入射瞳の照明は、瞳ファセットの配置により幾何学的に規定することができる。導光する照明チャネル、特に瞳ファセットのサブセットを選択することにより、投影光学ユニット109の入射瞳における強度分布を設定することができる。この強度分布を照明設定とも称する。
【0158】
照明光学ユニット103の照明瞳の規定の照明部分の領域における同様に好ましい瞳均一性を、照明チャネルの再分配により達成することができる。
【0159】
物体視野104の、特に投影光学ユニット109の入射瞳の照明のさらなる態様及び詳細を、以下で説明する。
【0160】
特に、投影光学ユニット109は共心入射瞳を有し得る。これはアクセス可能とすることができる。これはアクセス不可能とすることもできる。
【0161】
投影光学ユニット109の入射瞳は、常に瞳ファセットミラー121で正確に照明することはできない。瞳ファセットミラー121の中心をウェハ112にテレセントリックに結像する投影光学ユニット109の結像の場合、開口光線は一点で交わらないことが多い。しかしながら、開口光線の対で求められた距離が最小になる面を見つけることが可能である。この面は、入射瞳又はそれと共役な実空間面を表す。特に、この面は有限の曲率を有する。
【0162】
投影光学ユニット109は、タンジェンシャルビーム経路とサジタルビーム経路とで入射瞳の位置が異なる場合がある。この場合、結像素子、特に転写光学ユニットの光学コンポーネントを、第2ファセットミラー121とレチクル106との間に設けるべきである。この光学コンポーネントを用いて、タンジェンシャル入射瞳及びサジタル入射瞳の相対位置の相違を考慮することができる。
【0163】
図1に示す照明光学ユニット103のコンポーネントの配置において、瞳ファセットミラー121は、投影光学ユニット109の入射瞳と共役な面に配置される。視野ファセットミラー119は、物体面105に対して傾斜するように配置される。第1ファセットミラー119は、偏向ミラー118により画定された配置面に対して傾斜するように配置される。
【0164】
第1ファセットミラー119は、第2ファセットミラー121により画定された配置面に対して傾斜するように配置される。
【0165】
図2は、例示的なDUV投影露光装置200を示す。DUV投影露光装置200は、照明系201と、ウェハ204上のその後の構造を決定するレチクル203を収容し且つ正確に位置決めするレチクルステージ202として知られる装置と、ウェハ204を保持し、移動させ、且つ正確に位置決めするウェハホルダ205と、複数の光学素子、特にレンズ素子207を有する結像装置、具体的には投影光学ユニット206とを備えており、レンズ素子207は、投影光学ユニット206のレンズハウジング209にマウント208により保持される。
【0166】
図示のレンズ素子207の代替として又はこれに加えて、様々な屈折、回折、及び/又は反射光学素子、特にミラー、プリズム、終端板等も設けることができる。
【0167】
DUV投影露光装置200の基本的な機能原理では、レチクル203に導入された構造がウェハ204に結像される。
【0168】
照明装置201は、ウェハ204へのレチクル203の結像に必要な電磁放射線の形態の投影ビーム210を供給する。レーザ、プラズマ源等を、この放射線の供給源として用いることができる。放射線は、投影ビーム210がレチクル203への入射時に直径、偏光、波面の形状等に関して所望の特性を有するように光学素子により照明系201で整形される。
【0169】
レチクル203の像は、投影ビーム210により生成され、適当な縮小形態で投影光学ユニット206からウェハ204に転写される。この場合、レチクル203及びウェハ204を同期して移動させることができるので、レチクル203の各領域が、いわゆる走査プロセス中に事実上連続してウェハ204の対応領域に結像される。
【0170】
最終レンズ素子207とウェハ204との間の空隙を、屈折率が1.0を超える液体媒体で任意に置き換えることができる。液体媒体は、例えば高純度水であり得る。このような構成は、液浸リソグラフィとも称し、高いフォトリソグラフィ解像度を有する。
【0171】
本発明の使用は、投影露光装置100、200での使用にも、特に記載の構成を有する投影露光装置にも限定されない。本発明及び以下の例示的な実施形態は、特定の設計に限定されるものと理解すべきではない。以下の図は、本発明を単なる例として非常に概略的に示す。
【0172】
投影露光装置の、例えば投影露光装置100、200の光学素子118、119、120、121、122、Mi、207の目標変形が、上記装置の結像収差の補正に特に適し得る。これが、本発明の出発点である。
【0173】
図3~
図13は、本発明による光学アセンブリ1の様々な例示的な実施形態を例示的且つ非常に概略的に示す。光学アセンブリ1は、特に投影露光装置100、200における結像収差を補正するために、光学素子2の目標変形を容易にする。変形させる光学素子2は、特に、投影露光装置100、200の照明光学ユニット103及び/又は投影光学ユニット109、206内に配置され得る。
【0174】
例示的な実施形態において、光学素子2は、ミラーとして例示的に図示されているが、これは限定的なものと解釈すべきではない。光学素子2は、光学的に活性な表側3及び表側とは反対の裏側4を有する。特にビーム経路を導くために、光学素子2に入射すると、照明放射線115又は投影ビーム210は、光学的に活性な表側3により所定の影響を受ける。
【0175】
最初に、本発明による光学アセンブリ1の例示的な第1実施形態を
図3及び
図4に基づいて説明する。
【0176】
光学アセンブリ1は、光学素子2の裏側4に沿って分配配置された複数の静電アクチュエータ5を備える。特に、アクチュエータ5は、
図4に基づいて特によく認識できるように、光学素子2の裏側4に沿って格子状に分配配置され得る。アクチュエータ5のそれぞれが、2つの離間した電極6、7の電極対を有する。
【0177】
好ましくは、共通の電極対の電極6、7は、全ての例示的な実施形態に示すように、(非撓み状態で)相互に平行に延びて配置される。しかしながら、原理上、相互に対して傾斜した配置を設けることもできる。
【0178】
各アクチュエータ5は、電極対の電極6、7間の電気制御電圧U
1...nにより発生して光学素子2を変形させる働きをする静電力が光学素子2に伝達されるように、構成され且つ光学素子2の裏側4に機械的に結合される。
図3及び後続の
図5~
図7はそれぞれ、撓み状態のアクチュエータ5の1つを示し、したがって部分的に変形した状態の光学素子2を示す。
【0179】
十分に高い動的効果を得ると共に電極6、7間の絶縁耐力を高めるために、固体又は液体誘電体8が電極対の電極6、7間に配置される。場合によっては、気体誘電体8、但し好ましくは空気ではない気体誘電体8を設けてもよい。
図3の例示的な実施形態では、固体媒体が誘電体8として設けられるが、
図4では説明のために隠れている。これに対して、後続の例示的な実施形態では液体媒体が設けられる。
【0180】
好ましくは、
図3及び
図4の例示的な実施形態による固体媒体は、アクチュエータ5の撓み状態で電極6、7間の距離の短縮を容易にするために変形可能である。しかしながら、代替として、誘電体8が電極6、7間の隙間を完全に満たさないものとすることもできる。例として、誘電体8が2つの電極6、7の一方のみに配置されるか、又は電極6、7が誘電体8の絶縁層でコーティングされるものとすることができる。このようにして、アクチュエータ5の絶縁耐力及び力を増大させることができる。
【0181】
例示的な実施形態において、電極対の電極の一方が、制御電圧U1...nを印加される制御電極6として設計されるものとする。他方の電極は、基準電極7の形態であり、他のアクチュエータ5のさらなる基準電極7と共に共通の基準電位GNDを印加されることが可能である。
【0182】
図3~
図8及び
図13の例示的な実施形態において、電極6、7の一方、好ましくは図示の基準電極7は、光学素子2の裏側4に機械的に結合される。他方の電極6、7、好ましくは図示の制御電極6は、光学素子2の裏側4から離間した基準体9に機械的に結合される。
【0183】
例として、基準体9は、光学素子2のマウント、光学素子2の取付フレーム、又は光学素子2自体でさえあり得る。
【0184】
図3~
図7の例示的な実施形態において、基準体9は、光学素子2の裏側4に沿って分配配置された長手方向のストラット10(特に、
図4も参照)により光学素子2に取り付けられる。個々のアクチュエータ5は、個々の支承ストラット10間に配置される。
図3~
図8の例示的な実施形態において、アクチュエータ5は、光学素子2の裏側4と平行に位置合わせされる。
【0185】
図3に破線を用いて示す制御デバイス11が、アクチュエータ5のための制御電圧U
1...nを発生させるために設けられ得る。制御デバイス11は、光学素子2を目標通りに変形させるよう構成され得る。
【0186】
しかしながら、制御デバイス11は、変形動作に重要でない周波数範囲の制御電圧U1...nでの励磁により、センサユニットとしてアクチュエータ5を用いるよう構成されてもよい。このようにして、例えばより高い周波数帯域で光学素子2の変形の実際の状態を捕捉することが可能である。上述及び後述の光学素子2を変形させる方法は、制御デバイス11上でプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品として実行することができる。
【0187】
誘電体8は、液体媒体、特に蒸留水又はホルムアミドであるものとすることが好ましい。対応する実施形態を例えば
図5に示す。アクチュエータ5間の液体媒体の交換を容易にするために、
図5~
図13の例示的な実施形態では、隣接するアクチュエータ5の電極対間に各流体接続が確立される。
図5~
図8の例示的な実施形態では、アクチュエータ5間の流体接続は、アクチュエータ5間に配置された支承ストラット10を通る各ボア12により実現される。液体媒体用の流入口13及び流出口14を設けることができ、これらは、
図5に示すように、アクチュエータ5の電極対が液体媒体により濯がれるようにアクチュエータ5に流体的に接続される。この目的で、さらに場合によっては、ターボ機械、例えばポンプ(図示せず)を設けることができる。
【0188】
しかしながら、以下の例示的な実施形態で示すように、特に好ましい実施形態では閉鎖系が提供される。この場合、特にアクチュエータ5が撓んだ場合に誘電体8の熱膨張及び/又は変形を容易にするために、液体媒体を膨張可能であるものとすることができることが好ましい。この点で、アクチュエータ5の1つに流体的に接続されることで、液体媒体が(流体接続ネットワークを介して)膨張して入るのを容易にするバランス容器15を例えば設けることができる。バランスベローズが例示的に図示されている。アクチュエータ5同士の分離を容易にするために、複数のバランス容器15、例えば
図7に示すようにアクチュエータ5毎に1つのバランス容器15を設けることも可能である。
【0189】
図3~
図7に示す例示的な実施形態において、電極対の一方の電極6、7、この場合は各基準電極7が、光学素子2に直接取り付けられる。これにより、図示のように光学素子2の局所的な又は短波長の変形を容易にすることができる。しかしながら、大局的な変形又はより長い波長の変形が望まれる限り、光学素子2に結合された電極6、7(特に基準電極7)が、光学素子2の裏側4から離間した中間素子16を介して光学素子2に間接的に接続されるものとすることができる。これを
図8に基づいて示す。
【0190】
この場合、基準体9は、支承ストラット10を介して中間素子16に取り付けることができ、中間素子16自体は、光学素子2の裏側4に沿って分配配置されたスペーサストラット17を介して光学素子2に取り付けられる。支承ストラット10及びスペーサストラット17は、光学素子2の裏側4に沿ってオフセットして配置することができ、スペーサストラット17は、アクチュエータ表面又は電極表面の下のできる限り中央で光学素子2に配置される。このようにして、光学素子2に特に有利に影響を及ぼすことができる。
【0191】
図8の例示的な撓みに基づいて認識できるように、中間素子16は、光学素子2からの個々のアクチュエータ5の一定量の分離をもたらすことができ、その結果として、光学素子2の大域的な変形又は長波長の変形が可能となる。これは、用途によっては有利であり得る。
【0192】
光学アセンブリ1の代替的な実施形態を
図9~
図12に示す。
図9は、アクチュエータ5の非撓み状態で光学アセンブリ1を示し、
図10は、純粋に例示的であり単に概略的であるものと理解されたいアクチュエータ5の撓み状態の上記光学アセンブリを示す。
【0193】
図11及び
図12は、光学素子2の裏側4に沿ったアクチュエータ5の分布に関する可能な格子配置を示す。
図9~
図12に示す変形形態は、矩形的な分布の配置(
図11参照)又は線状の配置(
図12参照)に特に適している。
【0194】
誘電体8は、図示の単純化のために
図9~
図13では隠れている。この場合も、液体媒体が設けられることが好ましい。
図9~
図13の例示的な実施形態では、アクチュエータ5間の流体接続は、基準体9の適宜の間隔及びその結果として形成されるチャネル18により設けられる。純粋に例として、共通のバランス容器15が設けられる。
【0195】
図9及び
図10に基づいて分かるように、電極対の両方の電極6、7が光学素子2に機械的に結合されてもよい。この目的で、電極6、7は、光学素子2の裏側4からの凹部19、例えばスロットの対向する側壁に特に配置され得る。側壁は、例えば導電性媒体で(完全に又は部分的に)コーティングすることができる。適切な電気制御電圧U
1...nが電極対に印加されると、引張力及び/又は圧縮力が光学素子2に直接導入されて、光学素子2の光学的に活性な表側3で変形を引き起こし得る。中間素子16を有する
図8の例示的な実施形態と同様に、比較的長い波長の又は大域的な変形もこのようにして達成可能であり得る。
【0196】
図13は、光学アセンブリ1のさらに別の例示的な実施形態を示す。この場合も、電極7は、光学素子2に結合され、この目的で、裏側4から光学素子2内に延びる凹部19の側壁に配置されるものとする。これに対して、基準体9に結合された電極6は、基準体9から光学素子2の凹部19内に延びる突起20に配置される(又は突起20自体を形成する)。これも、
図9及び
図10の例示的な実施形態に基づいて説明したのと同様に、力を光学素子2に直接導入することができるのが有利である。アクチュエータ5間のチャネルに加えて、ボア12を突起20に設けて流体接続を提供することができる。
【0197】
場合によっては、
図13の例示的な実施形態では、図示のように、1つの電極対の代わりに2つの電極対が設けられ、制御電極6が相互に電気的に接続され、同じ制御電圧U
1...nを印加され、それぞれ凹部19の側壁の一方に位置合わせされれば、個々のアクチュエータ5の力をさらに増大させることができる。このようにして、有効電極面積を2倍にすることができる。
【0198】
当然ながら、基準電極7が基準体9から凹部19内に突出する構造を設けることも可能である。
【0199】
なお、技術的な観点から除外されないならば、原則として図示の例示的な実施形態は常に相互に組み合わせることが可能である。さらに、アクチュエータ5及び電極対の電極6、7の位置合わせ/配置のさらなる実施形態を提供することができる。特に、図示の幾何学的関係及びスケールは、純粋に概略的且つ例示的なものであり、一定の縮尺と解釈すべきではない。
【0200】
静電力を増大させるためのさらなる選択肢は、共通の電極対の電極6、7の噛合及び/又は個々の電極6、7の複数の個別電極への分割にもあり得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に活性な表側(3)及び該表側(3)とは反対の裏側(4)を有する光学素子(2)と、それぞれが2つの離間した電極(6、7)の電極対を含み前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って分配配置された複数の静電アクチュエータ(5)とを備えた光学アセンブリ(1)であって、各アクチュエータ(5)は、前記電極対の前記電極(6、7)間の電気制御電圧(U
1...n)により発生して前記光学素子(2)を変形させる働きをする静電力が前記光学素子(2)に伝達されるように、構成され且つ前記光学素子(2)の前記裏側(4)に機械的に結合される、光学アセンブリ(1)において、誘電体(8)が前記電極対の前記電極(6、7)間に配置され
、前記誘電体(8)は、固体又は液体誘電体(8)であることを特徴と
し、前記光学素子(2)を目標通りに変形させる目的で前記アクチュエータ(5)用の制御電圧(U
1...n
)を発生させる制御デバイス(11)により特徴づけられる光学アセンブリ。
【請求項2】
請求項
1に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、真空中の誘電率よりも大きな誘電率、好ましくは空気の誘電率よりも大きな誘電率を有することを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項3】
請求項1
又は2のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、空気の絶縁耐力よりも大きな絶縁耐力を有することを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の一方の電極は、制御電極(6)として設計され、前記制御電圧(U
1...n)を印加されることが可能であり、他方の電極は、基準電極(7)として設計され、少なくとも1つのさらなるアクチュエータ(5)の基準電極(7)と共に共通の基準電位(GND)を印加されることが可能であることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の一方の電極(6、7)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に機械的に結合され、他方の電極(7、6)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)から離間した基準体(9)に機械的に結合されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項6】
請求項
5に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記光学素子(2)に直接取り付けられることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項7】
請求項
5に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)から離間した中間素子(16)を介して前記光学素子(2)に間接的に接続されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項8】
請求項
7に記載の光学アセンブリ(1)において、前記中間素子(16)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って分配配置されたスペーサ素子及び/又はスペーサストラット(17)により前記光学素子(2)に取り付けられることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項9】
請求項
5~
8のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記基準体(9)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って分配配置された支承ユニット及び/又は支承ストラット(10)を介して前記光学素子(2)に又は中間素子(16)上に取り付けられることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載の光学アセンブリ(1)において、前記スペーサユニット又はスペーサストラット(17)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って支承ユニット又は支承ストラット(10)からオフセットすることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項11】
請求項
5~
10のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)と平行に延びることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項12】
請求項
5~
10のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記光学素子(2)に結合された前記電極(6、7)は、前記裏側(4)から前記光学素子(2)内に延びる凹部(19)の側壁に配置され、前記基準体(9)に結合された前記電極(7、6)は、前記基準体(9)から前記光学素子(2)の前記凹部(19)内に延びる突起(20)に配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項13】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の両方の電極(6、7)は、前記光学素子(2)に機械的に結合され、この目的で前記裏側(4)から前記光学素子(2)内に延びる凹部(19)の対向する側壁に配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記誘電体(8)は、液体媒体、好ましくは蒸留水又はホルムアミドであることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項15】
請求項
14に記載の光学アセンブリ(1)において、前記アクチュエータ(5)間の前記液体媒体の交換を容易にするために、流体接続が隣接するアクチュエータ(5)の前記電極対の間に形成されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項16】
請求項
14又は
15に記載の光学アセンブリ(1)において、前記アクチュエータ(5)の1つ、複数の該アクチュエータ(5)、又は該アクチュエータ(5)の全てに流体的に接続されることで、前記液体媒体が膨張して入るのを容易にする少なくとも1つのバランス容器(15)を特徴とする光学アセンブリ。
【請求項17】
請求項
14~
16のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記液体媒体が前記アクチュエータ(5)の前記電極対を濯ぐことができるように前記アクチュエータ(5)に流体的に接続された、前記液体媒体のための少なくとも1つの流入口(13)及び少なくとも1つの流出口(14)を特徴とする光学アセンブリ。
【請求項18】
請求項1~
17のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記電極対の前記電極(6、7)は、相互に平行に延びて配置されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項19】
請求項1~
18のいずれか1項に記載の光学アセンブリ(1)において、前記アクチュエータ(5)は、前記光学素子(2)の前記裏側(4)に沿って格子状に分配されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項20】
請求項
1に記載の光学アセンブリ(1)において、前記制御デバイス(11)は、変形の実際の状態を記録するために、変形動作に重要でない周波数範囲の前記制御電圧(U
1...n)での励磁により、センサユニットとして前記アクチュエータを用いるよう構成されることを特徴とする光学アセンブリ。
【請求項21】
それぞれが2つの離間した電極(6、7)の電極対を有する複数の静電アクチュエータ(5)により光学素子(2)を変形させる方法であって、前記光学素子(2)を変形させる目的で前記アクチュエータ(5)から前記光学素子(2)に伝達される静電力を発生させるために、前記電極対の前記電極(6、7)間に制御電圧(U
1...n)が印加される方法において、誘電体(8)が前記電極対の前記電極(6、7)間に配置され
、前記誘電体(8)は、固体又は液体誘電体(8)であることを特徴とし、前記光学素子(2)を目標通りに変形させる目的で前記アクチュエータ(5)用の制御電圧(U1...n)を発生させる制御デバイス(11)により特徴づけられる方法。
【請求項22】
制御デバイス(11)で実行されると請求項
21に記載の光学素子(2)を変形させる方法を実行するプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
光学的に活性な表側(3)及び該表側(3)とは反対の裏側(4)を有する光学素子(2)と、それぞれが2つの離間した電極(6、7)の電極対を有する複数の静電アクチュエータ(5)とを備えた光学アセンブリ(1)を製造する方法であって、前記アクチュエータ(5)は、前記電極対の前記電極(6、7)間の電気制御電圧(U
1...n)により発生して前記光学素子(2)を変形させる働きをする静電力を前記光学素子(2)に伝達することができるように、本発明による前記光学素子(2)の前記裏側(4)に機械的に結合される方法において、誘電体(8)が前記電極対の前記電極(6、7)間に導入され
、前記誘電体(8)は、固体又は液体誘電体(8)であることを特徴とし、前記光学素子(2)を目標通りに変形させる目的で前記アクチュエータ(5)用の制御電圧(U1...n)を発生させる制御デバイス(11)により特徴づけられる方法。
【請求項24】
放射源(102)、照明光学ユニット(103)、及び投影光学ユニット(109、206)を含む照明系(101、201)を備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置(100、200)であって、前記照明光学ユニット(103)及び/又は前記投影光学ユニット(109、206)は、請求項1~
20のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光学アセンブリを含むマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【国際調査報告】