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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】光学的に透明なポリアミドイミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/14 20060101AFI20240306BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C08G73/14
C08J5/18 CFG
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553630
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2022070866
(87)【国際公開番号】W WO2022187797
(87)【国際公開日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/157,390
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366688
【氏名又は名称】ザイマージェン インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ホミャック,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ライオンズ,ベンジャミン マックス
(72)【発明者】
【氏名】パットン,ジェイムズ ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ズームベルト,アージャン
(72)【発明者】
【氏名】岡本 敏
(72)【発明者】
【氏名】松井 和也
(72)【発明者】
【氏名】桜井 孝至
(72)【発明者】
【氏名】霜山 岳呂
【テーマコード(参考)】
4F071
4J043
【Fターム(参考)】
4F071AA60
4F071AA81
4F071AA86
4F071AC12A
4F071AE19A
4F071AF15
4F071AF17
4F071AF20Y
4F071AF21Y
4F071AF30Y
4F071AF34Y
4F071AF35Y
4F071AF57Y
4F071AG34
4F071AH12
4F071BA02
4F071BB02
4F071BC01
4F071BC12
4J043QB15
4J043QB23
4J043QB26
4J043RA06
4J043RA35
4J043SA06
4J043SB03
4J043TA22
4J043TB01
4J043UA121
4J043UA122
4J043UA131
4J043UA132
4J043UB062
4J043UB401
4J043VA021
4J043VA022
4J043VA041
4J043VA062
4J043ZA32
4J043ZA52
4J043ZB47
(57)【要約】
ポリアミドイミド材料は、アミドフェニルエチルイミド部分、あるいは本開示の式(I)もしくは(II)に示されるようなイミドフェニルエチルアミド部分を含む。ポリアミドイミド材料は、少なくとも3.5GPaから少なくとも7.8GPaの間の引張弾性率、少なくとも180℃から少なくとも305℃の間のガラス転移温度、15%以下の、厚さ25μm(±5μm)を有する前記ポリアミドイミド材料のフィルムの破断伸度、又は少なくとも10,000回から少なくとも1,000,000回の間の、半径1mmのピン上の前記フィルムの耐折強さ等の選択された機械的特性を有することができる。ポリアミドイミドフィルムは、可視光の高い透明性、低い黄色度、及び低いヘイズを有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)又は式(II):
【化1】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の群から選択される]
の部分を含んでなるポリアミドイミド材料であって、
前記ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性と、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性とを有し、
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含んでなり;並びに
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含んでなる、ポリアミドイミド材料。
【請求項2】
は、
【化2】
から選択される、請求項1に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項3】
は、本質的に以下:
【化3】
からなる群から選択される、請求項2に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項4】
は、以下:
【化4】
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項5】
は、以下:
【化5】
からなる群から選択される、請求項4に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項6】
特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項7】
特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、光学フィルム。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料、及び無機粒子を含むフィラーを含んでなる、光学フィルム。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、光学スタック。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、電子デバイス。
【請求項12】
式(III):
【化6】
[式中、nは1、2、又は3である]
を含んでなる第1モノマー;以下
【化7】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの第2モノマー;以下
【化8】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの4価コモノマー;並びに以下
【化9】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの2価コモノマーから製造される、ポリアミドイミド。
【請求項13】
前記第1モノマーと前記第2モノマーは、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、3:2~2:3、4:3~3:4、5:4~4:5、6:5~5:6、7:6~6:7、8:7~7:8、9:8~8:9、又は10:9~9:10の範囲のモル比である、請求項12に記載のポリアミドイミド。
【請求項14】
前記4価コモノマーと前記2価コモノマーは、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、3:2~2:3、4:3~3:4、5:4~4:5、6:5~5:6、7:6~6:7、8:7~7:8、9:8~8:9、又は10:9~9:10の範囲のモル比である、請求項12及び13のいずれか1項に記載のポリアミドイミド。
【請求項15】
前記第1モノマーは、以下
【化10】
である、請求項12及び13のいずれか1項に記載のポリアミドイミド。
【請求項16】
前記4価コモノマーは、以下
【化11】
、又はそれらの任意の適切な誘導体から選択され;
前記2価コモノマーは、以下
【化12】
、及びそれらの任意の適切な誘導体から選択される、請求項12及び13のいずれか1項に記載のポリアミドイミド。
【請求項17】
前記第1モノマーは、以下
【化13】
であり、前記第2モノマーは、以下
【化14】
であり、前記4価コモノマーは、以下
【化15】
であり、前記2価コモノマーは、以下
【化16】
である、請求項12及び13のいずれか1項に記載のポリアミドイミド。
【請求項18】
前記第1モノマーと前記第2モノマーは1:2~2:1の範囲のモル比であり、前記4価コモノマーと前記2価コモノマーは1:5~5:1の範囲のモル比である、請求項17に記載のポリアミドイミド。
【請求項19】
式(IV):
【化17】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の第1群から選択され、Bは2価部分の第2群から選択され、xは1より大きい整数である]
に従うポリアミドイミド材料。
【請求項20】
以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性と、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性とを有し、
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含んでなり;並びに
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含んでなる、請求項19に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項21】
は、以下
【化18】
から選択される、請求項19及び20のいずれか1項に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項22】
は、以下
【化19】
から選択される、請求項19及び20のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項23】
Bは、以下:
【化20】
から各場合に独立して選択される、請求項19及び20のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項24】
特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有するか、又は特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、請求項19及び20のいずれか一項に記載のポリアミドイミド材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1つの非対称ジイミド成分を含んでなる光学的に透明なポリアミドイミドに関する。
【背景技術】
【0002】
有機フィルムはガラスに比べて柔軟性が高く、割れにくく、軽量である。最近、フラットパネルディスプレイの基材として、有機フィルムを用いたフレキシブルディスプレイの開発を目指して研究が進められている。
【0003】
一般に有機フィルムに使用される樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、アクリル、エポキシなどが挙げられる。中でもポリアミドイミド樹脂は、耐熱性、機械的強度、耐摩耗性、寸法安定性、耐薬品性、絶縁性が高いため、電気・電子業界で広く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基材ガラスの代替として表示素子に使用されるポリアミドイミド樹脂には、高い透明性と低い複屈折性が要求される。これらの特性は鮮明な画像を得るために必要である。しかし、製造方法により樹脂にばらつきが生じ、性能特性の変動をもたらす。したがって、性能の一貫性をもたらす方法を考案し、改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で企図される様々な態様及び実施形態には、以下の1つ又は複数が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0006】
第1の態様では、ポリアミドイミド材料は、以下の式:
【化1】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の群から選択される]
の部分を含んでなる。
【0007】
部分Aは4価部分の群から選択される。部分Aは2価部分の群から選択できる。ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性を有する。ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性を有し得る。特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含むことができる。
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含むことができる。
【0008】
第2の態様では、光学スタックは、第1の態様によるポリアミドイミド材料を含むことができる。
【0009】
第3の態様では、電子デバイスは、上記第1の態様によるポリアミドイミド材料を含むことができる。
【0010】
第4の態様では、ポリアミドイミドは、式(III):
【化2】
[式(III)中、nは1、2、又は3であり得る]
を含んでなる第1モノマーから製造される。ポリアミドイミドは、以下:
【化3】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの第2モノマーにより製造できる。ポリアミドイミドは、さらに、以下
【化4】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの4価コモノマーから製造される。ポリアミドイミドはさらに、以下
【化5】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの2価コモノマーから製造される。
【0011】
第5の態様では、ポリアミドイミド材料は、式(IV):
【化6】
[式(IV)中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の第1群から選択される。Bは、2価部分の第2群から選択できる。パラメータxは1より大きい整数である]
を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の記載は、本明細書に開示される教示の理解を助けるために提供される。
【0013】
定義:
本明細書で使用される場合、「任意の適切な誘導体」という用語は、「任意の適切な誘導体」という用語を含む文中に列挙された化合物と同じ化学反応生成物を製造できる任意の化合物を意味する。 例えば、本開示の範囲を限定することなく、文章がポリアミドイミドの形成のためのコモノマーとして酸クロリド化合物Aを列挙している場合、任意の適切な誘導体は、酸ブロマイド、又は化合物Aのエステル誘導体等の同じポリアミドイミドを生成する化合物である。
【0014】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、列挙された任意の値の+/-10%を意味する。本明細書で使用される場合、この用語は、任意の列挙された値、値の範囲、又は1つ以上の範囲の終点を変更する。
【0015】
本明細書で使用される「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「より高い(upper)」、「より低い(lower)」、「上部に(above)」、及び「下部に(below)」という用語は、構造間の相対的な関係を提供するために使用される。これらの用語の使用は、特定の構造が装置内の特定の位置に配置されなければならないことを示したり、要求したりするものではない。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「含んでなる(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、又はそれらの任意の他の変形例は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴の列挙を含んでなるプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品もしくは装置に固有でない他の特徴を含み得る。さらに、そうではないと明示的に述べられていない限り、「又は(or)」は、包含的な又は(or)を指し、排他的な又は(or)を指すものではない。例えば、条件A又はBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真である(又は存在する)かつBが偽である(又は存在しない)、Aが偽である(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)、ならびにA及びBの両方が真である(又は存在する)。
【0017】
比率、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書では範囲形式で表現され得ることに留意されたい。このような範囲形式は、便宜的かつ簡潔に使用されるものであり、したがって、範囲の限界として明示的に記載された数値だけでなく、各数値又はサブ範囲が明示的に記載されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値又はサブ範囲も含むように、柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、「約0.1%~約5%」の濃度範囲は、明示された約0.1重量%~約5重量%の濃度だけでなく、個々の濃度(例えば、1%、2%、3%及び4%)及び示された範囲内のサブ範囲(例えば0.5%、1.1%、2.2%、3.3%及び4.4%)も含むと解釈すべきである。一実施形態では、「約」という用語は、数値の有効数字に従った従来の四捨五入を含むことができる。また、約x~yには、約x~約yも含まれる。
【0018】
この書面による説明は、最良の形態を含む実施形態を開示するため、また当業者が本発明を作成及び使用できるようにするために例を使用する。特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例も含まれる場合がある。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的な差異がない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0019】
一般的な記載又は実施例で記載したアクティビティのすべてが必要なわけではないこと、特定のアクティビティの一部が必要でない場合があること、及び記載したアクティビティに加えて1つ又は複数のさらなるアクティビティを実行できることに留意する。アクティビティがリストされている順序は、必ずしも実行される順序ではない。
【0020】
本明細書では、特定の実施形態を参照して概念を説明している。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきであり、そのような修正はすべて本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0021】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して本明細書に記載されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び利益、利点、又は解決策を発生させるか、又はより顕著にさせる可能性のある特徴は、いずれか又はすべての特許請求の範囲の重要な特徴、必要とされる特徴、又は必須の特徴として解釈されるものではない。
【0022】
本明細書を読んだ後、当業者は、明確にするために、本明細書では別個の実施形態に関連して記載される特定の特徴が、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解するであろう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される様々な特徴は、個別に、又は任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。さらに、範囲内に記載された値への言及には、その範囲内のあらゆる値が含まれる。
【0023】
上に記載したように、ポリアミドイミド材料は、以下の式:
【化7】
の部分を含んでなる。
【0024】
部分Aは4価部分の群から選択される。部分Aは2価部分の群から選択できる。ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性を有する。ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性を有し得る。特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含むことができる。
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含むことができる。
【0025】
一実施形態では、上記第1の態様によるポリアミドイミド材料は、以下:
【化8】
から選択される部分Aを有することができる。
【0026】
さらなる一実施形態では、第1の態様によるポリアミドイミド材料は、本質的に以下:
【化9】
からなる群から選択される部分Aを有することができる。
【0027】
別の実施形態では、第1の態様によるポリアミドイミド材料は、以下:
【化10】
から選択される部分Aを有することができる。
【0028】
さらなる一実施形態では、Aは以下:
【化11】
からなる群から選択される。
【0029】
一実施形態では、ポリアミドイミド材料は、特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有し得る。別の実施形態では、ポリアミドイミド材料は、特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有し得る。
【0030】
前述の第2の態様では、光学スタックは、第1の態様又はその実施形態によるポリアミドイミド材料を含むことができる。例えば、ポリアミドイミド材料は、光学スタックの背面層又はバッキング層又はカバー層を形成できる。別の実施形態では、ポリアミド材料は、光スタックのナノ回路に対する基材とできる。さらに別の実施形態では、ポリアミドイミド材料は、光学スタックの水平偏光子又は垂直偏光子又は液晶層に隣接する層を形成できる。さらなる一実施形態では、光学スタックはLED又はOLEDアセンブリである。ポリアミドイミド層は、LED又はOLEDアセンブリの基材又はカバー層とすることができる。
【0031】
上述の第3の態様では、電子デバイスは、第1の態様によるポリアミドイミド材料を含む。電子機器には、電話、携帯電話、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータ、プリンタ、フラットスクリーンテレビ、音楽プレーヤー、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオゲーム機、リモコン、スマート家電、自動車制御ディスプレイ、海洋及び航空輸送制御システムを含むことができるが、これらに限定されない。
【0032】
第4の態様では、ポリアミドイミドは、式(III):
【化12】
[式(III)中、nは1、2、又は3であり得る]
を含んでなる第1モノマーから製造される。ポリアミドイミドは、以下:
【化13】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの第2モノマーにより製造できる。ポリアミドイミドはさらに、以下:
【化14】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの4価コモノマーから製造される。
【0033】
ポリアミドイミドはさらに、以下
【化15】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの2価コモノマーから製造される。
【0034】
一実施形態では、前述の第4の態様によるポリアミドイミドは、第1モノマーと第2モノマーが、約10:1~約1:10、例えば約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約3:2~約2:3、約4:3~約3:4、約5:4~約4:5、約6:5~約5:6、約7:6~約6:7、約8:7~約7:8、約9:8~約8:9、又は約10:9~約9:10の範囲のモル比であることを含み得る。
【0035】
さらに別の実施形態では、前述の第4の態様及びその実施形態によるポリアミドイミドは、4価コモノマーと2価コモノマーが、約10:1~約1:10、約5:1~約1:5、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、約3:2~約2:3、約4:3~約3:4、約5:4~約4:5、約6:5~約5:6、約7:6~約6:7、約8:7~約7:8、約9:8~約8:9、又は約10:9~約9:10の範囲のモル比であることを含み得る。
【0036】
さらなる一実施形態では、前述の第4の態様及びその実施形態によるポリアミドイミドは、第1モノマーが4-アミノフェニルエチルアミン(「APEA」):
【化16】
であることを含み得る。
【0037】
他の一実施形態では、前述の第4の態様及びその実施形態によるポリアミドイミドは、4価コモノマーが以下
【化17】
、及びそれらの任意の適切な誘導体から選択されることを含み得る。別の実施形態では、2価コモノマーは以下
【化18】
、及びそれらの任意の適切な誘導体から選択できる。
【0038】
さらに、一実施形態では、前述の第4の態様及びその実施形態によるポリアミドイミドは、第1モノマーがAPEA
【化19】
であり、第2モノマーが2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(「TFMB」)
【化20】
であり、4価コモノマーが4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(「6FDA」)
【化21】
であり、及び2価コモノマーがテレフタロイルクロリド(「TPC」)
【化22】
であることを含み得る。
【0039】
さらに、一実施形態では、前述の第4の態様及びその実施形態によるポリアミドイミドは、第1モノマーと第2モノマーが1:2~2:1の範囲のモル比であり、4価コモノマーと2価コモノマーが1:5~5:1のモル比であることを含み得る。一実施形態では、6FDA:TPC:APEA:TFMBのモル比は、以下の比:10:90:50:50、15:85:50:50、15:85:30:70、17.5:82.5:35:65、20:80:50:50、20:80:60:40、20:80:30:70、20:80:40:60、25:75:25:75、25:75:50:50、30:70:60:40、30:70:80:20から選択できる。
【0040】
第5の態様では、ポリアミドイミド材料は式(IV)
【化23】
を含んでなる。
式(IV)中、Aは4価部分の群から選択される。部分Aは2価部分の第1群から選択され、Bは2価部分の第2群から選択される。パラメータxは1より大きい整数である。
【0041】
一実施形態において、第5の態様によるポリアミドイミド材料は、以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性を有し得る。一実施形態において、第5の態様によるポリアミドイミド材料は、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性を有し得る。
【0042】
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含むことができる。
【0043】
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含むことができる。
【0044】
一実施形態では、第5の態様によるポリアミドイミド材料は、以下
【化24】
から選択されるAを有し得る。
【0045】
別の実施形態では、第5の態様によるポリアミドイミド材料は、以下
【化25】
から選択されるAを有し得る。
【0046】
さらに1つのさらなる実施形態において、第5の態様によるポリアミドイミド材料は、以下
【化26】
から各場合に独立して選択されるBを有し得る。
【0047】
別の実施形態では、第5の態様によるポリアミドイミド材料は、特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、もしくは少なくとも4つの特性を有するか、又は特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、もしくは少なくとも4つの特性を有することができる。
【0048】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。それらの態様及び実施形態のいくつかが本明細書に記載されている。本明細書を読んだ後、当業者であれば、それらの態様及び実施形態が単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙する項目の任意の1つ以上に従ってよい。
【0049】
実施形態1
式(I)又は式(II):
【化27】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の群から選択される]
の部分を含むポリアミドイミド材料であって、
前記ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性と、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性とを有し、
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含み;並びに
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含む、ポリアミドイミド材料。
【0050】
実施形態2
は、以下
【化28】
から選択される、実施形態1に記載のポリアミドイミド材料。
【0051】
実施形態3
は、本質的に以下:
【化29】
からなる群から選択される、前記実施形態のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0052】
実施形態4
は、以下:
【化30】
から選択される、前記実施形態のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0053】
実施形態5
は、以下:
【化31】
からなる群から選択される、前記実施形態のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0054】
実施形態6
特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、前記実施形態のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0055】
実施形態7
特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、前記実施形態のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0056】
実施形態8
実施形態1~7に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、光学フィルム。
【0057】
実施形態9
実施形態1~8に記載のポリアミドイミド材料、及び無機粒子を含むフィラーを含んでなる、光学フィルム。
【0058】
実施形態10
実施形態1~9に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、光学スタック。
【0059】
実施形態11
実施形態1~10に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、電子デバイス。
【0060】
実施形態12
式(III):
【化32】
[式中、nは1、2、又は3である]
を含んでなる第1モノマー;以下
【化33】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの第2モノマー;以下
【化34】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの4価コモノマー;並びに以下
【化35】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの2価コモノマーから製造される、ポリアミドイミド。
【0061】
実施形態13
前記第1モノマーと前記第2モノマーは、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、3:2~2:3、4:3~3:4、5:4~4:5、6:5~5:6、7:6~6:7、8:7~7:8、9:8~8:9、又は10:9~9:10の範囲のモル比である、実施形態12に記載のポリアミドイミド。
【0062】
実施形態14
前記4価コモノマーと前記2価コモノマーは、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、3:2~2:3、4:3~3:4、5:4~4:5、6:5~5:6、7:6~6:7、8:7~7:8、9:8~8:9、又は10:9~9:10の範囲のモル比である、実施形態12及び13のいずれか一つに記載のポリアミドイミド。
【0063】
実施形態15
前記第1モノマーは、以下
【化36】
である、実施形態12~14のいずれか一つに記載のポリアミドイミド。
【0064】
実施形態16
前記4価コモノマーは、以下
【化37】
、又はそれらの任意の適切な誘導体から選択され;
前記2価コモノマーは、以下
【化38】
、及びそれらの任意の適切な誘導体から選択される、実施形態12~15のいずれか一つに記載のポリアミドイミド。
【0065】
実施形態17
前記第1モノマーは、以下
【化39】
であり、前記第2モノマーは、以下
【化40】
であり、前記4価コモノマーは、以下
【化41】
であり、及び前記2価コモノマーは、以下
【化42】
である、実施形態12~16のいずれか一つに記載のポリアミドイミド。
【0066】
実施形態18
前記第1モノマーと前記第2モノマーは1:2~2:1の範囲のモル比であり、前記4価コモノマーと前記2価コモノマーは1:5~5:1の範囲のモル比である、実施形態17に記載のポリアミドイミド。
【0067】
実施形態19
式(IV):
【化43】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の第1群から選択され、Bは2価部分の第2群から選択され、xは1より大きい整数である]
に従うポリアミドイミド材料。
【0068】
実施形態20
以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性と、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性とを有し、
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含み;並びに
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含む、実施形態19に記載のポリアミドイミド材料。
【0069】
実施形態21
は、以下
【化44】
から選択される、実施形態19及び20のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0070】
実施形態22
は、以下
【化45】
から選択される、実施形態19~21のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0071】
実施形態23
Bは、以下:
【化46】
から各場合に独立して選択される、実施形態19~22のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0072】
実施形態24
特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有するか、又は特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、実施形態19~23のいずれか一つに記載のポリアミドイミド材料。
【0073】
本発明の一実施形態において、本発明の光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有してよい。本発明の光学フィルムは、ポリアミドイミド樹脂を含有するため、紫外線吸収剤を含有していても低位相差、低ヘイズ、及び低黄色度であることに加え、機械的特性及び耐熱性に優れている。したがって、紫外線吸収剤を用いて、紫外領域の光吸収を低減することにより、紫外線カット性、低位相差、透明性、機械的特性、及び耐熱性をバランスよく発揮できる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール誘導体(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤)及び1,3,5-トリフェニルトリアジン誘導体等のトリアジン誘導体(トリアジン系紫外線吸収剤)、ベンゾフェノン誘導体(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)、サリチル酸誘導体(サリチル酸系紫外線吸収剤)が挙げられ、これらから構成される群から選択される少なくとも1つを使用できる。300~400nm、例えば320~360nmの付近に紫外線吸収を有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、可視光領域の透過率を低下させることなく、光学フィルムの紫外線カット性を向上できる。特定の実施形態において、紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から構成される群から選択される少なくとも1つである。より特定の実施形態では、紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。
【0074】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、住友化学(株)製の商品名:Sumisorb(登録商標)250(2-[2-ヒドロキシ-3-(3),4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メトジイル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾール)、BASFジャパン(株)製の商品名:Tinuvin(登録商標)360(2,2’-メチレンビス[6-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール])、Tinuvin 213(メチル 3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート及びPEG300(との反応生成物))に代表される化合物が挙げられ、これらは単独で又は2つ以上を組み合わせて用いることができる。式(I)によって表される化合物の具体的な例としては、住友化学(株)製の商品名:Sumisorb200(2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、Sumisorb300(2-(3)-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、Sumisorb340(2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、Sumisorb350(2-(2)-ヒドロキシ 3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、及びBASFジャパン(株)の商品名:Tinuvin327(2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、Tinuvin571(2-(2H-ベンゾトリアゾ-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール)、Tinuvin234(2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール)、及びADEKA(株)の製品名:Adecastab(登録商標)LA-31(2,2’-メチレンビス[6-(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール])が挙げられる。一実施形態において、紫外線吸収剤は、式(I)で表される化合物及びTinuvin213(メチル 3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート)である。それは、PEG300との反応生成物であり、より特に、住友化学(株)製の商品名:Sumisorb200(2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、Sumisorb300(2-(3-tert)-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)、Sumisorb340(2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、Sumisorb350(2-(2-ヒドロキシ)3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、ADEKA(株)の製品名:Adecastab LA-31(2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール])、BASFジャパン(株)の商品名: Tinuvin 327(2- (2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール)及びTinuvin571(2-(2H-ベンゾトリアゾ-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノール)、とりわけ、住友化学(株)の商品名:Sumisorb340(2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、Sumisorb350(2-(2-ヒドロキシ3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール)、ADEKA(株)の製品名:Adecastab LA-31(2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール])である。
【0075】
他の実施形態に係る紫外線吸収剤としては、ポリアミドイミド系樹脂を含有する光学フィルムにトリアジン系紫外線吸収剤が用いられる。具体例としては、ADEKA(株)の製品名:Adecastab LA-46(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチル)ヘキサンウロキシ)エトキシ]フェノール)、BASFジャパン(株)製の商品名:Tinuvin400(2-[4-[2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル]オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)、2-[4-[2-ヒドロキシ-3-ジデシルオキシプロピル]オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)、Tinuvin405(2-[4(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン)、Tinuvin460(2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-(2,4-ビス)-ブチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン)、Tinuvin479(ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)、ケミプロ化成(株)の製品名:KEMISORB(登録商標)102(2-[4,6)-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(n-オクチルオキシ)フェノール)等を、単独で、又は2つ以上組み合わせて使用してよい。
【0076】
特定の実施形態では、紫外線吸収剤は、300~400nmの光吸収、例えば320~360nmの光吸収を有し、より特定の実施形態では、約350nmの光吸収を有する。
【0077】
本発明の光学フィルムが紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して0.1質量部以上、例えば0.5質量部以上、さらには0.8質量部以上である。紫外線吸収剤の含有量は、質量以上、特に1質量部以上、例えば10質量部以下、例えば8質量部以下、さらには5質量部以下である。
【0078】
本発明の光学フィルムは、少なくとも1つのフィラーを含有してよい。フィラーを含有させると、光学フィルムの光学特性、耐熱性及び機械的特性が向上する傾向がある。フィラーとしては、有機粒子及び無機粒子が挙げられ、特定の実施形態では、無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、フッ化物が挙げられる。その例としては、ナトリウム薬品などの金属フッ化物粒子が挙げられ、これらの中でも、光学フィルムの光学特性、耐熱性及び機械的特性の良好なバランスをとりやすい観点から、シリカ粒子が特に好ましい。特定の実施形態では、フィラーはシリカ粒子を含む。これらのフィラーは、単独で又は2つ以上組み合わせて使用できる。
【0079】
シリカ粒子などのフィラーの平均一次粒度は、通常、1nm以上、例えば5nm以上、例えば10nm以上、例えば15nm以上、例えば20nm以上、さらに100nm以下である。一実施形態では、フィラーの平均一次粒度は、80nm以下、例えば60nm以下、さらに40nm以下である。シリカ粒子の平均一次粒度が上記範囲内であると、シリカ粒子の凝集が抑制され、得られる光学フィルムの光学特性、耐熱性及び機械的特性を向上しやすい。フィラーの平均一次粒度は、BET法により測定できる。平均一次粒度は、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡の画像解析により測定できる。
【0080】
本発明の光学フィルムがシリカ粒子などのフィラーを含有する場合、フィラーの含有量は、通常、光学フィルムの質量に基づいて0.1質量%以上、例えば1質量%以上、例えば5質量%である。上述したように、一実施形態において、フィラーの含有量は、10質量%以上、例えば60質量%以下、例えば50質量%以下、例えば40質量%以下である。フィラーの含有量が上記範囲内であると、光学フィルムの光学特性、耐熱性及び機械特性を向上しやすい。
【0081】
本発明の光学フィルムは、紫外線吸収剤及びフィラー以外の添加剤をさらに含有してよい。他の添加剤としては、酸化防止剤、離型剤、安定剤、醸造剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤、レベリング剤などが挙げられる。他の添加剤が存在する場合、その含有量は、光学フィルムの質量に基づいて、典型的には0.001~20質量%、例えば0.01~15質量%、例えば0.1~10質量%である。
【0082】
本発明の光学フィルムの用途は特に限定されず、タッチセンサー用基材、フレキシブルディスプレイデバイス用材料、保護フィルム、ベゼル印刷用フィルム、半導体用途、スピーカー振動板、IRカットフィルター等、様々な用途に使用される。上述したように、本発明の光学フィルムは、単層であっても積層体であってもよく、本発明の光学フィルムをそのまま用いてもよいし、他のフィルムとの積層体としてもよい。光学フィルムが積層体である場合には、光学フィルムの片面又は両面に積層される全ての層を含めて光学フィルムと称する。
【0083】
本発明の光学フィルムが積層体である場合、光学フィルムの少なくとも一方の表面に、1つ以上の機能層が存在していてよい。機能層としては、ハードコート層、プライマー層、ガスバリア層、紫外線吸収層、接着層、色相調整層、屈折率調整層などが挙げられる。機能層は、単独で又は2つ以上組み合わせて使用できる。
【0084】
本発明の一実施形態において、光学フィルムは、少なくとも一方の側(片側又は両側)に保護フィルムを有していてよい。例えば、光学フィルムの一方の側に機能層が設けられている場合には、保護フィルムは光学フィルム側の表面もしくは機能層側の表面に積層体してもよいし、又は光学フィルム側と機能層側との両方に積層してもよい。光学フィルムが両側に機能層を有する場合、保護フィルムは、一方の機能層側の表面に積層されてもよいし、両方の機能層側の表面に積層されてもよい。保護フィルムは、光学フィルム又は機能層の表面を一時的に保護するためのフィルムであり、光学フィルム又は機能層の表面を保護できる剥離可能なフィルムであれば特に限定されない。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレンフィルム、及びポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルムなど、並びにポリオレフィン樹脂フィルム、ポリエチレンが挙げられる。特定の実施形態では、保護フィルムは、テレフタレート樹脂フィルム及びアクリル樹脂フィルムを構成する群から選択される。光学フィルムが2枚の保護フィルムを有する場合、各保護フィルムは同じであっても異なっていてもよい。
【0085】
保護フィルムの厚さは特に限定されないが、10~120μm、例えば15~110μm、例えば20~100μmであってよい。光学フィルムが2枚の保護フィルムを有する場合、各保護フィルムの厚みは同じであっても異なっていてもよい。
【0086】
以下の実施例は、本発明のプロセス及び組成物をより良く開示及び教示するために提供される。これらは例示のみを目的としており、特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲に実質的な影響を与えることなく、軽微な修正及び変更を行うことができることを認識しなければならない。
【実施例
【0087】
本開示によるポリアミドイミド材料は、ランダムタイプ又は制御タイプの手順に従って調製できる。ランダムタイプの手順では、反応を開始する前にすべてのモノマーとコモノマーが反応容器に追加される。制御タイプの手順では、反応は限られた数のモノマーとコモノマーで開始され、その後で追加のモノマー及び/又はコモノマーが添加される。
【0088】
反応温度は、特に限定されず、例えば5℃~200℃であってよく、反応時間も特に限定されず、例えば約30分~72時間であってよい。本発明の特定の実施形態では、反応温度は5℃~200℃、例えば50℃~190℃、例えば100℃~180℃であり、反応時間は3時間~24時間であってよい。特定の実施形態では、反応時間は5時間~20時間である。
【0089】
特定の実施形態では、反応は溶媒中で行われる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさない限り特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール等、ブトキシエタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の2-アルコール溶媒;フェノール及びクレゾール等のフェノール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン環式炭化水素溶媒等の脂肪;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒を含んでいてよい。その例としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の硫黄含有溶媒;エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒;N-メチル-2-ピロリジノン等のラクタム溶媒;及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、溶媒は、望ましい溶解度のため、フェノール溶媒及びアミド溶媒であってよい。
【0090】
本発明の特定の実施形態では、反応に使用される溶媒は、水分含量が700ppm以下になるまで厳密に脱水された溶媒であってよい。このような溶媒を使用すると、得られる光学フィルムの光学特性、耐熱性及び機械的特性を向上しやすい。
【0091】
反応は、必要に応じて不活性雰囲気(窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等)又は減圧条件下で行ってもよいし、不活性雰囲気(窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等)下で行ってもよい。以下、厳密に制御された脱水溶媒中で撹拌しながら行うことが好ましい。このような条件下では、得られる光学特性、耐熱性及び機械的特性を向上しやすい。
【0092】
ポリアミドイミド樹脂は、公知の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段、あるいはこれらを組み合わせた分離手段により単離(分離精製)できる。特定の実施形態では、樹脂を含む反応溶液にメタノール、エタノール、n-プロパノール、又はイソプロパノール等のアルコール溶媒を大量に添加して樹脂を沈殿させ、濃縮、濾過又は乾燥により樹脂を単離できる。
【0093】
実験例1(標準合成)-40/60-80/20組成
窒素入口及び出口、ビグロー還流コンデンサー、添加口、熱電対、及びオーバーヘッドメカニカルスターラー(トルク表示付き)を備えた1Lの4つ口丸底フラスコに、4-アミノフェニル-エチルアミン(APEA)(14.630g、107.42mmol、0.8当量)、2、2’-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジジン(TFMB)(8.601g、26.853mmol、0.2当量)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(23.862g、53.712mmol、0.4当量)、イソキノリン(0.57g、4.41mmol、無水物量に対して0.08当量)及び240mLのn,n-ジメチルアセトアミド(DMAc)を加えた。フラスコを150℃で2時間加熱した。
【0094】
2時間後、フラスコを70℃に冷却した。240mLのDMAcを添加し、続いてテレフタロイルクロリド(TPC)(16.364g、80.603mmol、0.6当量)を添加した。1時間後、フラスコを50℃に冷却した。次いで、トリエチルアミン(TEA)(21.741g、214.85mmol、2当量のTPC量)を添加した。1時間撹拌後、フラスコ内容物を4LのEtOH/HO混合物中に沈殿させた。沈殿物を収集し、新鮮なEtOH/HOに混合し、濾過して、ポリアミドイミド(PAI)の微細な白色無色粉末が生成した。
【0095】
表1に従って調整されたAPEA、TFMB、6FDA、及びTPCの量で反応を繰り返した。
【0096】
ポリアミドイミドフィルムの製造に関しては溶媒キャスト法を使用できる。ポリアミドイミド材料は、1~30重量%、例えば5~25重量%、例えば10~20重量%の範囲の濃度で溶媒に溶解して、ワニスを形成できる。このような溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド(DEAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルイソブチルアミド、N,N-ジメチルプロパンアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド(MDMPA)等のアミド溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン(CPN)、シクロヘキサノン(CHN)、アセトフェノン(PhAc)、2-ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン等のラクトン溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド及びスルホラン等の硫黄含有溶媒;エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒;及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2つ以上組み合わせて使用できる。さらに、ワニスには、水、アルコール溶媒、非環式エステル溶媒、エーテル溶媒等が含まれていてよい。
【0097】
ワニスは、ガラス板又はフレキシブルキャリア基材等の平らな表面にコートし、その後乾燥させることができる。最初の乾燥工程の後、フィルムを平らな表面から剥離し、さらに加工できる。
【0098】
実験例2-ポリアミドイミドフィルムの調製
実験例1の粉末のPAIフィルムは、最初に粉末の一部を約10~20重量%のおよその濃度で溶媒(DMAc)に溶解して、無色の粘稠なワニスを生成することによって調製した。次いで、ワニスをドクターブレードを介してガラス基材上にコートし、80℃の温度で30分間加熱して、「湿った(wet)」PAIフィルムを製造した。
【0099】
次いで、フィルムをプレートから取り外し、ステンレス鋼のフレームに取り付け、真空下で250℃で12時間焼き付け、乾燥した最終的な無色のPAIフィルムを製造した。
【0100】
ポリアミドイミドフィルムの特性評価
実験例2に記載した方法を使用して得られたポリマーフィルムは、以下の方法を使用して光学的、熱的、及び機械的特性について特性評価した。
【0101】
フィルムの厚さ-ポリアミドイミドフィルムの厚さは、Mahr、2057551 Marameter XLI-57B-15ポータブル厚さ計を使用して測定した。典型的には、フィルム全体に渡って6~21回の測定を行い、平均値を報告した。
【0102】
色及び光学的透明性-ポリアミドイミドフィルムの光学的特性(例えば、%透過率、色、ヘイズ、Rth)は、分光測色法を使用して測定した。ポリアミドイミドフィルムの%透過率は、積分球(ISR-2600)を備えた島津UV-2700を使用して測定した。典型的には、フィルムをフィルムサンプルホルダーに挿入し、5nmのスリット幅で800nmから200nmまでの透過率を測定し、380nm及び400nmの透過率(T380%及びT400%)を報告する。ポリアミドイミドフィルムの色及びヘイズは、X-rite Ci7800分光測色計で測定した。典型的には、フィルム試料を25mmの試料ホルダーに入れ、クラスI連続波532nmレーザーを試料に照射し、直接透過率、全透過率、並びにヘイズを測定する。3回の測定の平均値を報告する。黄色度(YI)はASTM E313-20に従って測定した。ヘイズはASTM D1003-13に従って測定した。ポリアミドイミドフィルムのRthは、ASTM F218-20に従って、Axometrics AxoScanTM Mueller Matrix Polarimeterを用いて測定した。典型的には、フィルムのRthは、波長550nmで2軸面外リターダンス測定を10°刻みで最大傾斜角50°まで行うことで測定する;フィルム1枚につき複数のスポットを測定し、最も低いRth値を報告する。
【0103】
熱特性-不完全なイミド化、残留溶媒及び熱安定性T(1%)は、TA Instruments Discovery TGA550を利用した熱重量分析を使用して評価した。典型的には、数ミリグラムのポリマーフィルムをTGAパンに入れ、40~60mL/分の窒素パージ下、10℃/分の速度で550℃に加熱する。1%の質量損失が達成される温度はT(1%)として記録する。ドライフィルム(つまり、完全にイミド化され、残留溶媒がない)の場合、これは典型的に、これらの材料の375~450℃の温度範囲で起こる。ポリアミドイミドフィルムのガラス転移(Tg)は、フィルム/ファイバーアクセサリを備えたTA Instruments Discovery DMA850を利用した動的機械分析を使用して測定した。典型的には、5×30mmの試料を型抜きし、フィルム/ファイバーアクセサリクランプに装着する;フィルムは窒素パージ雰囲気中、1Hzで振動させた0.1%のひずみ下で5℃/分の速度で350~400℃まで加熱する。ガラス転移測定は、貯蔵弾性率の低下の開始及び/又はtanδの最大値から決定する。ポリアミドイミドフィルムのガラス転移及び熱膨張係数(CTE)は、フィルム/ファイバーアクセサリを備えたTA Instruments TMA Q400を利用した熱機械分析を使用して測定した。典型的には、5×30mmの試料は試験のために使用する。試料を、50mL/分の窒素パージ下で、膜厚1μm当たり0.5gの荷重をかけて、3℃/分で350~400℃に加熱する。CTEは100~200℃の間の直線の傾きを使用して計算できる。Tgは、試料の伸びが起こる温度を測定することによって計算する。
【0104】
機械的特性-引張弾性率、引張強度、及び破断伸度は、500Nロードセルを備えたInstron 5967を使用して測定した。典型的には、試験片はASTM 1708に従って試験する。試料の寸法はASTM 1708に記載されているものに従い、Mahr GmbH 1086Ri 25/0,0005mm(1”/.00002”)を利用して各フィルムの厚さを測定する。インストロンでは測定される力と試料の変位を使用して、弾性率、引張強度及び破断伸度を計算する。破断伸度はASTM D638-14に従って試験し、引張弾性率はASTM D638-14に従って試験した。
【0105】
【表1】
【0106】
組成1:6FDA/TPC-APEA/TFMB、組成2:6FDA/TPC-APPA/TFMB、比率-モノマーのモル比;IV-極限粘度;res. sol.-残留溶媒;T380-380nmでの透過率;T400-400nmでの透過率;Tmax-最大透過率(~550nm);YI-黄色度;H-ヘイズ;ヤング率;Tg-ガラス転移温度。
【0107】
実験例3-窒素入口及び出口、還流冷却器、添加口、熱電対、及びオーバーヘッドメカニカルスターラーを備えた反応容器に、4-アミノフェニルエチルアミン(APEA)(1.158kg)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(1.888kg)、イソキノリン(0.082kg)及びN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)(44.85kg)を加えた。反応容器を16時間120℃まで加熱し、反応容器を70℃に冷却した。2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジジン(TFMB)(4.083kg)、トリエチルアミン(TEA)(3.440kg)、DMAc(37.83kg)を加え、続いてテレフタロイルクロリド(TPC)(3.458kg)を加えた。1時間後、反応容器を20℃に冷却し、メタノール(248.06kg)を加えた。得られた沈殿物を濾過し、メタノールで5回洗浄し、114℃のオーブンで12時間乾燥させた。ポリアミドイミド(PAI)の粉末が得られた(8.2kg)。得られたPAIの重量平均分子量(Mw)は157,000であった。
【0108】
実験例4-窒素入口及び出口、還流冷却器、添加口、熱電対、及びオーバーヘッドメカニカルスターラーを備えた反応容器に、4-アミノフェニル-エチルアミン(APEA)(2.724g)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)(4.442g)、イソキノリン(0.194g)及びN-メチルピロリドン(NMP)(105.54g)を加えた。反応容器を4時間150℃に加熱し、反応容器を10℃に冷却した。2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)(9.607g)、トリエチルアミン(TEA)(8.095g)、NMP(26.39g)を加え、続いてテレフタロイルクロリド(TPC)(7.309g)を加えた。1時間後、NMP(62.63g)を加え、反応容器を70℃に加熱し、TPC(0.827g)を加えた。1時間後、反応容器を20℃に冷却し、メタノール(583.67g)を加えた。得られた沈殿物を濾過し、メタノールで3回洗浄し、140℃のオーブンで12時間乾燥させた。ポリアミドイミド(PAI)の粉末が得られた(19.31g)。得られたPAIの重量平均分子量(Mw)は334,000であった。
【0109】
<重量平均分子量(Mw)>
実施例及び比較例で得られたポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCを用いて以下の条件で測定した。
(GPC条件)
装置:島津LC-20A
カラム:TSKgel GMHHR-M(ミックスカラム、排除限界分子量:400万)
ガードカラム:TSKゲルガードカラムHHR-H
移動相:N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)10mM LiBr添加
*NMPはHPLCグレードを使用、LiBrは第一級試薬(無水物)を使用
流速:1mL/分
測定時間:20分
カラムオーブン:40℃
検出:UV275nm
洗浄溶剤:NMP
サンプル濃度:1mg/mL(20重量%の反応質量を分析用に移動相で5mg/mLに希釈)
分子量校正:Polymer Laboratoriesの標準ポリスチレン(分子量5~400万の17個の分子量)
【0110】
<光学フィルム>
実施例3-得られたPAI樹脂を固形分濃度が11質量%となるようにN,N-ジエチルアセトアミド(DEAc)に溶解し、紫外線吸収剤(UVA)としてSumisorb340を3phr添加してワニスを調製した。次に、得られたワニスをPET基材に適用し、100℃で15分間、及び120℃で7分間加熱し、さらに140℃で15分間加熱し、PET基材から剥離した。剥離したフィルムを200℃のオーブンで40分間乾燥させ、厚さ50μmの光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの残留溶媒量は2.07質量%であった。
【0111】
実施例4-得られたPAI樹脂を固形分濃度が12質量%となるようにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、シリカ(粒度:12nm)30%、Sumisorb340 3phrを添加し、ワニスを調製した。次に、得られたワニスをPET基材に適用し、100℃で15分間及び120℃で7分間加熱し、さらに140℃で15分間加熱し、PET基材から剥離した。剥離したフィルムを200℃のオーブンで30分間乾燥させ、厚さ50μmの光学フィルムを得た。
【0112】
<圧縮弾性率>
圧縮弾性率は、Berkovich圧子を備えたiMicro(KLA)を使用して測定した。典型的には、試験片はISO 14577-1に従って試験する。サンプル寸法と測定条件は以下の通りであった。
サンプル寸法:1cmx1cmx1cm
測定荷重:30mN
負荷適用時間:15秒
荷重保持時間:60秒
ポアソン係数:0.35
測定点数:9点
【0113】
【表2】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)又は式(II):
【化1】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の群から選択される]
の部分を含んでなるポリアミドイミド材料であって、
前記ポリアミドイミド材料は、以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性と、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性とを有し、
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含んでなり;並びに
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含んでなる、ポリアミドイミド材料。
【請求項2】
は、
【化2】
から選択される、請求項1に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項3】
は、本質的に以下:
【化3】
からなる群から選択される、請求項2に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項4】
は、以下:
【化4】
から選択される、請求項1に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項5】
は、以下:
【化5】
からなる群から選択される、請求項4に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項6】
特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、請求項1に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項7】
特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、請求項1に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項8】
請求項1に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、光学フィルム。
【請求項9】
請求項1に記載のポリアミドイミド材料、及び無機粒子を含むフィラーを含んでなる、光学フィルム。
【請求項10】
請求項1に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、光学スタック。
【請求項11】
請求項1に記載のポリアミドイミド材料を含んでなる、電子デバイス。
【請求項12】
式(III):
【化6】
[式中、nは1、2、又は3である]
を含んでなる第1モノマー;以下
【化7】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの第2モノマー;以下
【化8】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの4価コモノマー;並びに以下
【化9】
、及びそれらの任意の適切な誘導体からなる群から選択される少なくとも1つの2価コモノマーから製造される、ポリアミドイミド。
【請求項13】
前記第1モノマーと前記第2モノマーは、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、3:2~2:3、4:3~3:4、5:4~4:5、6:5~5:6、7:6~6:7、8:7~7:8、9:8~8:9、又は10:9~9:10の範囲のモル比である、請求項12に記載のポリアミドイミド。
【請求項14】
前記4価コモノマーと前記2価コモノマーは、10:1~1:10、5:1~1:5、3:1~1:3、2:1~1:2、3:2~2:3、4:3~3:4、5:4~4:5、6:5~5:6、7:6~6:7、8:7~7:8、9:8~8:9、又は10:9~9:10の範囲のモル比である、請求項12に記載のポリアミドイミド。
【請求項15】
前記第1モノマーは、以下
【化10】
である、請求項12に記載のポリアミドイミド。
【請求項16】
前記4価コモノマーは、以下
【化11】
、又はそれらの任意の適切な誘導体から選択され;
前記2価コモノマーは、以下
【化12】
、及びそれらの任意の適切な誘導体から選択される、請求項12に記載のポリアミドイミド。
【請求項17】
前記第1モノマーは、以下
【化13】
であり、前記第2モノマーは、以下
【化14】
であり、前記4価コモノマーは、以下
【化15】
であり、前記2価コモノマーは、以下
【化16】
である、請求項12に記載のポリアミドイミド。
【請求項18】
前記第1モノマーと前記第2モノマーは1:2~2:1の範囲のモル比であり、前記4価コモノマーと前記2価コモノマーは1:5~5:1の範囲のモル比である、請求項17に記載のポリアミドイミド。
【請求項19】
式(IV):
【化17】
[式中、Aは4価部分の群から選択され、Aは2価部分の第1群から選択され、Bは2価部分の第2群から選択され、xは1より大きい整数である]
に従うポリアミドイミド材料。
【請求項20】
以下の特性群Mから選択される少なくとも1つの特性と、以下の特性群Oから選択される少なくとも1つの特性とを有し、
特性群Mは、
(i)ASTM規格D638-14に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の引張弾性率が、少なくとも3.5GPa、少なくとも3.8GPa、少なくとも4.0GPa、少なくとも4.3GPa、少なくとも4.5GPa、少なくとも4.8GPa、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.3GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも5.8GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.3GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも6.8GPa、少なくとも7.0GPa、少なくとも7.3GPa、少なくとも7.5GPa、もしくは少なくとも7.8GPaであること;
(ii)熱機械分析によって測定される前記ポリアミドイミド材料のガラス転移温度が、少なくとも180℃、少なくとも185℃、少なくとも190℃、少なくとも195℃、少なくとも200℃、少なくとも205℃、少なくとも210℃、少なくとも215℃、少なくとも220℃、少なくとも225℃、少なくとも230℃、少なくとも235℃、少なくとも240℃、少なくとも245℃、少なくとも250℃、少なくとも255℃、少なくとも260℃、少なくとも265℃、少なくとも270℃、少なくとも275℃、少なくとも280℃、少なくとも285℃、少なくとも290℃、少なくとも295℃、少なくとも300℃、もしくは少なくとも305℃であること;
(iii)ポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されるピーク分子量が、少なくとも50kDa、少なくとも100kDa、少なくとも150kDa、少なくとも200kDa、少なくとも250kDa、少なくとも300kDa、少なくとも350kDa、少なくとも400kDa、少なくとも450kDa、少なくとも500kDa、少なくとも550kDa、少なくとも600kDa、少なくとも650kDa、もしくは少なくとも700kDaであるか、あるいはポリスチレン標準に対するサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される重量平均分子量が、少なくとも50k、少なくとも100k、少なくとも150k、もしくは少なくとも200kであること;
(iv)ASTM D638-14によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの破断伸度が、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10%以下、9%以下、8.5%以下、8%以下、7.5%以下、7%以下、6.5%以下、6%以下、5.5%以下、5%以下、もしくは4.5%以下であること;
(v)半径1mmのピン上で、ASTM D2176-16に従って測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの耐折強さが、少なくとも10,000回、少なくとも20,000回、少なくとも50,000回、少なくとも80,000回、少なくとも100,000回、少なくとも150,000回、少なくとも180,000回、少なくとも200,000回、少なくとも250,000回、少なくとも300,000回、少なくとも500,000回、もしくは少なくとも1,000,000回であること;又は
(vi)ISO 14577-1に従って測定される前記ポリアミドイミド材料の圧縮弾性率が、少なくとも5.0GPa、少なくとも5.5GPa、少なくとも6.0GPa、少なくとも6.5GPa、少なくとも7.0GPa、もしくは少なくとも7.5GPaであること
を含んでなり;並びに
特性群Oは、
(i)400nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、もしくは少なくとも44%であること;
(ii)550nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも94%、もしくは少なくとも96%であること;
(iii)330nmにおけるUV-Vis分光法によって測定される厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムの光透過性が、50%以下、48%以下、46%以下、44%以下、42%以下、40%以下、38%以下、36%以下、34%以下、32%以下、30%以下、28%以下、26%以下、24%以下、22%以下、20%以下、18%以下、もしくは16%以下であること;
(iv)ASTM F218-20に従う光学的な厚み位相差Rthが、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、28nm以下、26nm以下、24nm以下、22nm以下、もしくは20nm以下であること;
(v)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM E313-20に従う黄色度が、4.0以下、3.5以下、3.2以下、3.0以下、2.8以下、2.6以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、もしくは1.4以下であること;又は
(vi)厚さ25μm(±5μm)の前記ポリアミドイミド材料を有するフィルムのASTM D1003-13に従って測定されるヘイズが、1.5%以下、1.3%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、もしくは0.3%以下であること
を含んでなる、請求項19に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項21】
は、以下
【化18】
から選択される、請求項19に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項22】
は、以下
【化19】
から選択される、請求項19に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項23】
Bは、以下:
【化20】
から各場合に独立して選択される、請求項19に記載のポリアミドイミド材料。
【請求項24】
特性群Mの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有するか、又は特性群Oの少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は少なくとも4つの特性を有する、請求項19に記載のポリアミドイミド材料。
【国際調査報告】