(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-13
(54)【発明の名称】放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
C09J4/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560655
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2021085264
(87)【国際公開番号】W WO2022205417
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ディーガン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ブラナガン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー,ナイジェル
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンシア
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040FA131
4J040FA231
4J040JB07
4J040LA01
(57)【要約】
i)(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂;ii)多官能(メタ)アクリルモノマー成分;iii)単官能(メタ)アクリルモノマー成分;およびiv)光開始剤成分から本質的になる放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂;
ii)多官能(メタ)アクリルモノマー成分;
iii)単官能(メタ)アクリルモノマー成分;および
iv)光開始剤成分
を含む、または本質的に以下からなる放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物。
【請求項2】
(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、(メタ)アクリル化ポリ(C
4~C
8)ジエン樹脂から選択される1以上の樹脂である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、(メタ)アクリル化ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリペンタジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリイソプレン樹脂、(メタ)アクリル化ポリヘキサジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリヘプタジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリオクタジエン樹脂、及びそれらの混合物から選択される、好ましくは(メタ)アクリル化ポリブタジエン樹脂である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基、例えば2~4個の(メタ)アクリロイルオキシ基が、格子状に配置された(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、60℃で24,000cP未満、好ましくは60℃で10,000~23,000cPの粘度を有する、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
接着剤組成物は、(メタ)アクリル化ポリエーテル樹脂及び/又は(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を含有しない、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて10~65重量%、好ましくは30~55重量%、より好ましくは40~50重量%含まれる、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
多官能(メタ)アクリルモノマーは2~6官能(メタ)アクリルモノマーである、請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
多官能(メタ)アクリルモノマーは、二官能(メタ)アクリルモノマー、例えば1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリルオキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンチンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート;3官能モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート;4官能モノマー、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート;5官能モノマー、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;6官能性モノマー、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;およびそれらの混合物から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
多官能(メタ)アクリルモノマー成分は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて0.1~25重量%、好ましくは5~15重量%含まれる、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
単官能(メタ)アクリルモノマーは、アクリル酸、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-ペンチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキレン(2~4個の炭素原子を有する)グリコール(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
単官能(メタ)アクリルモノマー成分は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて1~40重量%、好ましくは7~39重量%、より好ましくは15~38重量%含まれる、請求項1~11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
光開始剤成分は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて0.1~10重量%、好ましくは0.3~5重量%、より好ましくは0.5~4.5重量%の量で含まれる、請求項1~12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
オルガノシラン、酸化防止剤、耐食剤、レベリング剤、表面潤滑剤、染料、顔料、消泡剤、充填剤、光安定剤、およびこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
接着剤組成物はイソシアノ含有化合物を含まない、請求項1~14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
第1の基材、
第2の基材、および
第1の基材と第2の基材との間の硬化した接着剤
を含む物品であって、
ここで、硬化した接着剤は、請求項1~15のいずれかに記載の接着剤組成物から得られる硬化物からなるか、または硬化物からなり、
少なくとも1つの基材は光透過性部分を含むか、または少なくとも1つの基材は光透過性である、物品。
【請求項17】
前記物品は、ウェアラブル電子機器、ハンドヘルド電子機器、眼鏡、電話、タブレット、サウンドプレーヤー、リモコン装置、マウス、時計バンド、薬剤投与用ポンプ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
2つの基材を貼り合わせる方法であって、該方法は、請求項1~15のいずれかに記載の基材接着剤組成物を基材の少なくとも一方に塗布すること、2つの基材をラミネートすること、その後、放射線、例えばLED源、電子ビーム、水銀アーク光源、UV光、可視光を接着剤組成物に照射することを含み、ここで、少なくとも1つの基材は光透過性部分を含むか、または少なくとも1つの基材は光透過性である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、硬化すると高温での良好な耐薬品性と良好な機械的特性の両方を有する放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
接着剤組成物は、多くの用途で広く使用されており、用途によっては、接着されたデバイスが落下した場合のような衝撃の場合に接着剤が強靭であること、および接着線が、手指消毒液中のエタノールまたは油含有組成物(個人の皮膚上に存在するような)のような化学的攻撃にさらされる場合に化学的耐性があることが必要である。
【0003】
放射線硬化型エポキシ接着剤のように、耐薬品性に優れた放射線硬化型接着剤も開発されているが、このような放射線硬化型エポキシ接着剤は脆く、伸びが著しく不十分である。
【0004】
また、放射線硬化型(メタ)アクリル系接着剤には、衝撃に強く強靭なものもあるが、一般的に耐薬品性、特に高温下での耐薬品性に劣る。
【0005】
機械的特性については、
図1に示すように、曲線下の面積が大きいほど靭性が高い。そのため、高いヤング率、高い引張強さ、高い伸びを同時に持つ材料を得ることは難しい。例えば、弾性率や引張強さは高いが伸びが低い材料(例えば、本発明の比較例)は、曲線下面積が大きくないため、強靭とは言えない。
【0006】
高温下での優れた耐薬品性と、引張強さ、伸び、ヤング率などの優れた機械的特性を併せ持つ放射線硬化型接着剤の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明者らは、鋭意検討の結果、(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂と多官能および単官能の(メタ)アクリルモノマーとを粘着剤組成物に併用することにより、高温下での良好な耐薬品性と、引張強さ、伸び、ヤング率などの良好な機械的特性とを併せ持つ放射線硬化型(メタ)アクリル系接着剤が得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、
i)(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂;
ii)多官能(メタ)アクリルモノマー成分;
iii)単官能(メタ)アクリルモノマー成分;および
iv)光開始剤成分
を含むか、または上記から本質的に構成される放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、本発明の放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物を使用して基材を接着する方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、本発明の放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物の硬化生成物で結合された物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】機械的特性については、
図1に示すように、曲線下の面積が大きいほど靭性が高い。
【
図2】実施例1~3の結果であるグラフは、それぞれ
図2~
図4に示されている。
【
図3】実施例1~3の結果であるグラフは、それぞれ
図2~
図4に示されている。
【
図4】実施例1~3の結果であるグラフは、それぞれ
図2~
図4に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
当業者であれば、本考察は例示的な実施形態のみを説明するものであり、本発明のより広範な態様を限定するものではないと理解すべきである。そのように説明された各態様は、特に反対のことが明確に示されない限り、他の任意の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の任意の特徴と組み合わせることができる。
【0013】
特に明記しない限り、本発明の文脈において、使用される用語は以下の定義に従って解釈されるべきである。
【0014】
他に指定しない限り、本明細書で引用されるすべてのwt.%または重量%の値は重量パーセンテージである。
【0015】
特に明記しない限り、本明細書で使用する「a」、「an」、および「the」という用語は、単数および複数の両方の指示対象を含む。
【0016】
本明細書で使用される「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」という用語は、「含んでいる(including)」、「含む(includes)」または「含有している(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的または無制限であり、列挙されていない追加のメンバー、要素またはプロセスのステップを排除するものではない。
【0017】
本明細書で使用される「本質的に構成される(consisting essentially of)」という用語は、列挙された成分が組成物の主要部分、例えば、組成物の少なくとも80重量%、組成物の少なくとも85重量%、または組成物の少なくとも90重量%を構成することを意味する。
【0018】
本明細書で使用される「からなる(consisting of)」という用語は限定的なものであり、列挙されていない追加の部材、要素、またはプロセスステップを除外する。
【0019】
本明細書において使用される「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」と「メタクリル」の両方を意味するものであり、1以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を示す。
【0020】
本明細書で使用する「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を意味するものであり、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物を示す。
【0021】
成分を定義するために本明細書で使用される「少なくとも1つの」または「1以上の」という用語は、分子の絶対的な数値を指すのではなく、成分の種類を指す。例えば、「1以上のモノマー」は、1種類のモノマーまたは複数の異なるモノマーの混合物を意味する。
【0022】
数値に関して本明細書で使用される「約(about)」、「約(around)」などの用語は、数値±10%、好ましくは±5%を指す。本明細書におけるすべての数値は、「約」という用語によって修飾されるものとして解釈されるべきである。
【0023】
別段の指定がない限り、数値終点の記載には、記載された終点だけでなく、数値のすべておよびそれぞれの範囲内に包含される端数が含まれる。
【0024】
本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
他に定義しない限り、技術用語および科学用語を含む本発明で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0026】
以下、放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物を詳細に説明する。
本発明の放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物は、
i)(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂;
ii)多官能(メタ)アクリルモノマー成分;
iii)単官能(メタ)アクリルモノマー成分;および
iv)光開始剤成分
を含むか、またはこれらから本質的に構成される。
【0027】
成分i)
本発明の接着剤組成物には、第1必須成分として1以上の(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂を含有できる。ここで、(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂とは、ポリジエンを主鎖とし、1以上の(メタ)アクリロイルオキシ基がグラフトされた樹脂を意味する。
【0028】
ポリジエン骨格としては、ポリ(C4~C8)ジエン、例えば、ポリブタジエン、ポリペンタジエン、ポリイソプレン、ポリヘキサジエン、ポリヘプタジエン、ポリオクタジエン及びそれらの異性体が好ましい。より好ましくは、ポリジエン主鎖は、蓄積されたジエンに由来しない。より好ましくは、ポリジエン主鎖は、末端に二重結合を有するジエンに由来する。さらに、ポリジエン主鎖は1以上のジエンから誘導できる。ポリジエン主鎖は、1種類のジエンに由来することが好ましく、ポリブタジエンに由来することがより好ましい。
【0029】
ここで使用される(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、(メタ)アクリル化ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリペンタジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリイソプレン樹脂、(メタ)アクリル化ポリヘキサジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリヘプタジエン樹脂、(メタ)アクリル化ポリオクタジエン樹脂、およびそれらの混合物から選択できる。好ましい実施形態において、本明細書で使用される(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、(メタ)アクリル化ポリブタジエン樹脂である。
【0030】
ポリジエン骨格と(メタ)アクリロイルオキシ基との結合は特に限定されない。好ましい実施形態では、結合はウレタン結合である。すなわち、(メタ)アクリロイルオキシ基は、ウレタン結合を介してポリジエン主鎖上に配置(grated)されている。
【0031】
好ましい実施形態では、本発明で有用な(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、ポリジエン主鎖上に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基、例えば2~4個の(メタ)アクリロイルオキシ基が配置(grated)した樹脂である。より好ましい実施形態では、本発明で有用な(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、ポリジエンの主鎖上に2つの(メタ)アクリロイルオキシ基が配置(grated)した樹脂である。例えば、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基をそれぞれポリジエン主鎖の2つの末端に配置(grated)できる。
【0032】
より好ましい実施形態では、本発明で有用な(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、ウレタン基を介してポリブタジエン主鎖上に格子状に配置(grated)された2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル化ポリブタジエン樹脂である。例えば、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基をポリブタジエン主鎖の2つの末端にそれぞれグラフトさせることができる。
【0033】
好ましい実施形態では、本発明で有用な(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、60℃で24,000cP未満、好ましくは60℃で10,000~23,000cPの粘度を有する。本明細書の粘度値は、当技術分野で従来から使用されている任意の適切な粘度測定方法を用いて決定できる。
【0034】
本発明で使用できる市販の(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂の製品としては、例えば、Dymax社のBomar 641Dが挙げられ、これはポリブタジエン主鎖上にウレタン基を介して2つのアクリロイルオキシ基が配置(grated)された二官能アシル化ポリブタジエンである。
【0035】
好ましい実施形態では、接着剤組成物は、(メタ)アクリル化ポリエーテル樹脂および/または(メタ)アクリル化ウレタン樹脂を含まない。換言すれば、接着剤組成物には、ポリエーテルおよび/またはポリウレタンを主鎖とし、その上に(メタ)アクリロイルオキシ基がグラフトされた樹脂は含まれていない。
【0036】
本発明において、(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂は、接着剤組成物中に、接着剤組成物の総重量に基づいて10~65重量%、好ましくは30~55重量%、より好ましくは40~50重量%含有させることができる。
【0037】
成分ii)
本発明の接着剤組成物には、第2の必須成分として1以上の多官能(メタ)アクリルモノマーを含有させることができる。
【0038】
多官能(メタ)アクリルモノマーとは、(メタ)アクリロイル基を1個超有するモノマー、例えば(メタ)アクリロイル基を2~6個有するモノマーを意味する。すなわち、多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、2~6官能(メタ)アクリルモノマーを好ましく用いることができる。
【0039】
従来、(メタ)アクリル接着剤組成物に多官能(メタ)アクリルモノマー成分を添加すると、架橋度が高くなり、接着剤の耐薬品性が向上する一方、接着剤が脆くなると考えられてきた。しかしながら、本発明では、(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂と多官能(メタ)アクリルモノマーとを組み合わせることにより、高温での良好な耐薬品性と、ヤング率、伸びおよび引張強さを含む良好な機械的特性との両方を達成できることが意外にも見出された。
【0040】
本発明において、多官能(メタ)アクリルモノマーの種類は特に限定されず、従来から使用されている多官能(メタ)アクリルモノマーを接着剤組成物に使用できる。
【0041】
多官能(メタ)アクリルモノマーの例としては、これらに限定されないが以下のものが挙げられる:2官能(メタ)アクリルモノマー、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンチンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなど;3官能性モノマー、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなど;4官能性モノマー、例えばペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなど;5官能モノマー、例えばジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;6官能モノマー、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、など。
【0042】
多官能(メタ)アクリルモノマー成分は、接着剤組成物の総重量に基づいて、0.1~25重量%、好ましくは5~15重量%の量で接着剤組成物中に含有され得る。多官能(メタ)アクリルモノマー成分の含有量が0.1wt%未満であると、所望の耐薬品性が得られない場合があり、多官能(メタ)アクリルモノマー成分の含有量が25wt%を超えると、所望の伸びなどの機械物性が得られない場合がある。
【0043】
成分iii)
本発明の接着剤組成物には、第3の必須成分として、1種以上の単官能(メタ)アクリルモノマーを含有させることができる。
【0044】
本発明では、接着剤組成物の粘度制御と同時に、(メタ)アクリル化ポリジエン樹脂と架橋可能な官能基を有する希釈モノマーとして、単官能(メタ)アクリルモノマーを使用する。
【0045】
本発明において、単官能(メタ)アクリルモノマーの種類は特に限定されず、従来から使用されている単官能(メタ)アクリルモノマーを接着剤組成物に使用できる。その例としては、特に、ヒドロキシル基を有しない単官能(メタ)アクリルモノマー、ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリルモノマー、またはそれらの混合物を挙げることができる。
【0046】
ヒドロキシル基を有さない単官能(メタ)アクリルモノマーの例としては、以下に限定されないが、以下を挙げることができる:アクリル酸、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-ペンチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート。
【0047】
ヒドロキシル基を有する単官能(メタ)アクリルモノマーの例としては、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない:2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキレン(2~4個の炭素原子を有する)グリコール(メタ)アクリレート。
【0048】
単官能(メタ)アクリルモノマー成分の量は、接着剤の粘度に対する実用的な要求に応じて調整してよい。好ましい実施形態において、単官能(メタ)アクリルモノマー成分は、接着剤組成物の総重量に基づいて、1~40重量%、好ましくは7~39重量%、より好ましくは15~38重量%の量で接着剤組成物中に含有され得る。
【0049】
成分iv)
光重合開始剤は、接着剤組成物を十分に硬化させるための成分であり、その種類や種は特に限定されない。本発明では、一般に知られている光重合開始剤を使用できる。
【0050】
光開始剤の例として以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ヒドロキシジメチルアセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、3-メチルアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、4-ヒドロキシシクロフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシル-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、β-クロロアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ジフェニルケトンベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、ベンジルジフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、またはエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、ホスフィンオキシドフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)、ヨードニウム(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェート(1-)等。前述の光重合開始剤は、単独または組み合わせて使用できる。
【0051】
本発明において、光開始剤成分は、接着剤組成物の全重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.3~5重量%、より好ましくは0.5~4.5重量%の量で接着剤組成物中に含有され得る。光重合開始剤の含有量が0.1wt%未満の場合、硬化速度が遅くなりすぎることがある。一方、光重合開始剤の含有量が10wt%を超えると、黄変が生じたり、耐久性が低下したりする場合がある。
【0052】
その他の成分
本発明の接着剤組成物は、上記成分i)~iv)に加えて、当該技術分野において従来使用されている他の添加剤、例えば、オルガノシラン、酸化防止剤、耐食剤、レベリング剤、表面潤滑剤、染料、顔料、消泡剤、充填剤、光安定剤などを任意に含んでいてもよい。
【0053】
本発明の接着剤組成物には、接着力を向上させるためにオルガノシランを任意に含有させることができる。オルガノシランの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:ビニルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、任意の組み合わせで用いてもよい。
【0054】
好ましい実施形態において、オルガノシランは、接着剤組成物の総重量に基づいて、0~10重量%、例えば0.005~5重量%の量で含有されてよい。カップリング剤の含有量が10wt%を超える場合、耐久性が低下することがある。
【0055】
有用な酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。
【0056】
充填剤は、例えば粒子(球状粒子、ビーズ、細長い粒子)、繊維、およびそれらの組み合わせを含む様々な形態であり得る。充填剤の例としては、タルク、クレー、シリカおよびその処理物、カーボンブラック、マイカなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
有用な顔料の例としては、無機顔料、有機顔料、反応性顔料、非反応性顔料、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
本発明の(メタ)アクリル接着剤組成物は、例えば、LED光源、電子ビーム、水銀アーク光源、紫外線、可視光線などの光照射により硬化させることができる。
好ましい実施形態において、本発明の(メタ)アクリル接着剤組成物は、イソシアノ含有化合物を含まない。
【0059】
基材の接合方法
本発明は、本発明の放射線硬化型(メタ)アクリル接着剤組成物を用いて基材を貼り合わせる方法を提供する。この方法は、本発明の接着剤組成物を基材の少なくとも一方に塗布し、次いで基材同士を嵌合し、次いで接着剤組成物が硬化するまで活性放射線に曝すことを含む。一実施形態では、少なくとも1つの基材は光透過性部分を含むことができ、または少なくとも1つの基材は光透過性である。さらなる実施形態では、少なくとも1つの基材は、紫外線または可視光線に対して透明なプラスチック材料またはガラス材料を含み得る。
【0060】
接着剤組成物は、例えば、自動細線塗布、ジェット塗布、スロットダイ塗布、ロール塗布、パターン塗布、スクリーン印刷、スプレー塗布、フィラメント塗布、エアナイフ、トレーリングブレード、刷毛塗り、浸漬、ドクターブレード、およびそれらの組み合わせを含む任意の適切な塗布方法を使用して基材に塗布できる。接着剤組成物は、連続的または不連続的なコーティングとして、単層または複数の層で、およびそれらの組み合わせで塗布できる。
【0061】
接着された物品
本発明は、本発明の放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物の硬化物で接着された物品を提供する。
【0062】
本発明の接着剤組成物は、例えば、ウェアラブル電子デバイス(例:腕時計、眼鏡)、ハンドヘルド電子デバイス(例えば、電話(携帯電話やスマートフォンなど)、カメラ、タブレット、電子リーダー、モニター(例:病院、医療従事者、スポーツ選手、個人が使用するモニターなど)、時計、電卓、マウス、タッチパッド、およびジョイスティック)、コンピュータ(例:デスクトップ・コンピューターとラップトップ・コンピューター)、コンピュータモニター、テレビ、メディアプレーヤー、電化製品(例:冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブン、電子レンジ)、電球(例:白熱灯、発光ダイオード、蛍光灯など)、および可視透明または透明部品、ガラスハウジング構造、ディスプレイまたは他の光学部品のための保護透明被覆を含む、様々な電子デバイスに有用である。
【実施例】
【0063】
実施例
次に、本発明を以下の実施例により説明する。以下の実施例は、当業者が本発明をより良く理解し、実施するのを助けることを意図している。本発明の範囲は実施例によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。特に断りのない限り、すべての部とパーセンテージは重量に基づく。
【0064】
放射線硬化性(メタ)アクリル接着剤組成物(実施例1~3及び比較例1)
接着剤組成物は、表1に記載の各成分を混合して調製した。
【0065】
耐薬品性試験
125μmのスペーサービーズを使用して、ソーダガラス上に3mm×25mmのオーバーラップで結合を作成した。これらはすべて、375nm LEDで100mW/cm2で20秒間、その後160℃で90分間硬化された。
各組成物で20個の結合を作成し、そのうち5個を初期ラップせん断強度についてテストし、各5個をイソプロパノール(IPA):水溶液、エタノール:水溶液、およびオレイン酸にそれぞれ65℃で72時間入れた。
【0066】
ラップせん断強度は、引張試験機を使用し、引張速度10mm/minで試験した。記録された平均強度を表1に示す。
【0067】
機械的特性試験
機械的特性は、上記の耐薬品性試験用の接着剤と同じ方法で硬化させた厚さ1mmのASTM D638 Type IVドッグボーンを使用して試験し、引張強度、伸び、ヤング率を100mm/分の引張速度で測定した。平均値を表1に示す。実施例1~3の結果であるグラフは、それぞれ
図2~
図4に示されている。
【0068】
【0069】
表1から分かるように、本発明による接着剤組成物は、高温での良好な耐薬品性と、引張強さ、伸びおよびヤング率を含む良好な機械的特性の両方を達成したが、メタクリル化ポリブタジエン樹脂の代わりにウレタンジメタクリレートを含む比較例1(CE1)の接着剤組成物は、極めて低い伸びを示し、硬化した生成物の脆性を示している。
【0070】
比較例2(CE2)
CE2の接着剤組成物は、表2に示した各成分を混合して調製した。
【0071】
125μmのスペーサービーズを使用して、ソーダガラス上に3mm×25mmのオーバーラップで結合を作成した。これらはすべて、375nm LEDで100mW/cm2で20秒間、その後160℃で90分間硬化された。
【0072】
この組成物を用いて35個の結合を形成し、そのうち5個を初期ラップせん断強度について試験し、各5個をそれぞれIPA:水溶液、エタノール:水溶液、およびオレイン酸中に室温(RT)で72時間入れ、また、各5個をそれぞれIPA:水溶液、エタノール:水溶液、オレイン酸中に65℃で90時間入れた。ラップせん断強度は、引張試験機を使用し、引張速度10mm/minで試験した。記録された平均強度を表2に示す。
【0073】
機械的特性は、ASTM D882-09に従って、膜厚500μm、幅6mmを使用して試験された。フィルムを上記の結合(bonds)と同じ方法で硬化させ、10mm/分の引張速度を使用して引張強さ、伸びおよびヤング率を測定した。平均値を表2に示す。
【0074】
【0075】
メタクリル化ポリブタジエン樹脂の代わりにメタクリル化ポリエーテル樹脂(メタクリル化ポリテトラヒドロフラン樹脂)を含む接着剤組成物CE2の硬化生成物は、高温での耐薬品性が極めて低く、引張強度が比較的低い。
【0076】
いくつかの好ましい実施形態を説明してきたが、上記の教示に照らして、多くの修正および変形をそれらに加えることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に説明した以外の方法でも実施できることが理解されるべきである。
【国際調査報告】