(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】プラズマ増強原子層堆積装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240308BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560057
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2022085234
(87)【国際公開番号】W WO2022213961
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202110380765.2
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン ハイフォン
(72)【発明者】
【氏名】ヂォン ブォ
(72)【発明者】
【氏名】シー シァォピン
(72)【発明者】
【氏名】ラン ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ウェンチィァン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】レン シァォイェン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明の実施例は、プラズマ増強原子層堆積装置及び方法を提供し、当該装置は、2つのプロセスチャンバの吸気構造に連通しており、前駆体又はパージガスを2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に供給するための前駆体供給装置と、2つのプロセスチャンバの吸気構造に連通しており、反応ガスを2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に供給するための反応ガス供給装置と、2つのプロセスチャンバに接続され、RF電力を2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に出力するRF装置と、2つのプロセスチャンバの排気口に連通しており、それぞれ独立して2つのプロセスチャンバのチャンバ圧力を制御するための圧力調整装置と、を含む。本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積装置及び方法は、プロセスのデバッグ手段を増加させ、しかも各チャンバに前駆体供給装置を配置する必要がなく、それにより装置コストを低減する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ増強原子層堆積装置であって、
2つのプロセスチャンバと、
2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、前駆体又はパージガスを2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に供給するための前駆体供給装置と、
2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、反応ガスを2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に供給するための反応ガス供給装置と、
2つの前記プロセスチャンバに接続され、RF電力を2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に出力するためのRF装置と、
2つの前記プロセスチャンバの排気口に連通しており、2つの前記プロセスチャンバのチャンバ圧力をそれぞれ独立して制御するための圧力調整装置と、を含むことを特徴とするプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項2】
前記前駆体供給装置は、前駆体ソースと、吸気管路群と、切替管路群と、抽気装置とを含み、
前記前駆体ソースは前記切替管路群を介して前記吸気管路群に連通しており、前記吸気管路群は2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、
前記前駆体ソースは、前記前駆体又はパージガスを供給するためのものであり、
前記切替管路群は、前記前駆体ソースを前記吸気管路群又は前記抽気装置に選択的に連通させるためのものであり、
前記吸気管路群は、前記前駆体ソースを2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に連通させるためのものである、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項3】
前記吸気管路群は、第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路を含み、前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路の排気端は、それぞれ2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通し、前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路の吸気端は、いずれも前記切替管路群に連通しており、且つ、前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路には、それぞれ第1開閉弁及び第2開閉弁が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項4】
前記吸気管路群は、第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路をさらに含み、前記第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路の吸気端は、いずれも希釈ガスを供給するための希釈ガスソースに連通しており、前記第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路の排気端は、それぞれ第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路に連通しており、且つ、前記第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路には、それぞれ第1流量コントローラー及び第2流量コントローラーが設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項5】
前記吸気管路群は、2つのガス混合構造をさらに含み、2つの前記ガス混合構造は、いずれも第1吸気端、第2吸気端及び排気端を有し、2つの前記ガス混合構造の前記第1吸気端は、それぞれ前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路の排気端に連通しており、2つの前記ガス混合構造の前記排気端は、それぞれ2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、2つの前記ガス混合構造の前記第2吸気端は、平衡ガスを供給する平衡ガスソース及び前記反応ガス供給装置に連通するためのである、ことを特徴とする請求項3に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項6】
各前記ガス混合構造は、いずれもガス混合ブロック及びガス混合管路を含み、前記ガス混合ブロックにはガス混合キャビティが設けられており、前記ガス混合ブロックの外面に前記第1吸気端及び前記第2吸気端が形成され、前記ガス混合ブロックの外面には、前記ガス混合管路の吸気端に連通している排気端がさらに形成され、前記ガス混合管路の排気端は、前記ガス混合構造の排気端として使用されて前記プロセスチャンバの吸気構造に連通している、ことを特徴とする請求項5に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項7】
前記切替管路群は第1切替分岐路及び第2切替分岐路を含み、前記第1切替分岐路の両端は、それぞれ前記前駆体ソース及び前記吸気管路群に連通しており、前記第2切替分岐路の両端は、それぞれ前記第1切替分岐路及び前記抽気装置に連通しており、且つ、前記第1切替分岐路及び第2切替分岐路には、それぞれ第3開閉弁及び第4開閉弁が設けられている、ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項8】
前記前駆体ソースは、キャリアガス主路、ソースボトル、第1キャリアガス分岐路及び第2キャリアガス分岐路を含み、前記キャリアガス主路の吸気端は、キャリアガスを供給するキャリアガスガスソースに連通するためのものであり、前記キャリアガス主路の排気端は前記切替管路群に連通しており、且つ、前記キャリアガス主路には第5開閉弁及び第3質量流量コントローラーが設けられており、
前記第1キャリアガス分岐路の吸気端と前記キャリアガス主路は前記第5開閉弁の上流位置で連通しており、前記第1キャリアガス分岐路の排気端は前記ソースボトルの吸気端に連通しており、前記第2キャリアガス分岐路の排気端と前記キャリアガス主路は前記第5開閉弁の下流位置で連通しており、前記第2キャリアガス分岐路の吸気端は前記ソースボトルの排気端に連通しており、且つ、前記第1キャリアガス分岐路及び第2キャリアガス分岐路にはそれぞれ第6開閉弁及び第7開閉弁が設けられており、
前記ソースボトルは、前駆体を貯蔵するためのものである、ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項9】
前記RF装置は、第1整合器、第2整合器、第1RF電源及び第2RF電源を含み、前記第1RF電源は前記第1整合器を介して1つの前記プロセスチャンバに電気的に接続され、前記第2RF電源は前記第2整合器を介して別の前記プロセスチャンバに電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項10】
前記圧力調整装置は、第1排気分岐路及び第2排気分岐路を含み、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路の吸気端は、それぞれ2つの前記プロセスチャンバの排気口に連通しており、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路の排気端は、いずれも抽気装置に連通しており、且つ、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路には、それぞれ第1遮断弁及び第2遮断弁が設けられており、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路には、それぞれ第1流量調整弁及び第2流量調整弁がさらに設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項11】
遠隔プラズマ洗浄装置、第1洗浄管路及び第2洗浄管路をさらに含み、2つの前記ガス混合構造はいずれも第3吸気端を有し、前記第1洗浄管路及び第2洗浄管路の吸気端は、いずれも前記遠隔プラズマ洗浄装置に連通しており、前記第1洗浄管路及び第2洗浄管路の排気端は、それぞれ2つの前記第3吸気端に連通しており、且つ、前記第1洗浄管路及び第2洗浄管路には、それぞれ第3遮断弁及び第4遮断弁が設けられており、
前記遠隔プラズマ洗浄装置は、前記プロセスチャンバを洗浄可能なプラズマを供給するためのものである、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のプラズマ増強原子層堆積装置。
【請求項12】
プラズマ増強原子層堆積方法であって、請求項1~11のいずれか1項に記載のプラズマ増強原子層堆積装置を用いて、膜層を2つのウェハ上に同時に堆積し、
前記前駆体を2つの前記プロセスチャンバのうちの第1プロセスチャンバに導入し、及び前記反応ガスを2つの前記プロセスチャンバのうちの第2プロセスチャンバに導入し、RF電力を前記第2プロセスチャンバに出力するステップS1と、
前記前駆体供給装置及び2つの前記プロセスチャンバをパージするステップS2と、
前記前駆体を前記第2プロセスチャンバに導入し、及び前記反応ガスを前記第1プロセスチャンバに導入し、RF電力を前記第1プロセスチャンバに出力するステップS3と、
前記前駆体供給装置及び2つの前記プロセスチャンバをパージするステップS4と、を含み、
2つの前記ウェハ上に堆積された前記膜層の厚さが目標厚さに達すまで、前記ステップS1~前記ステップS4を繰り返し行うことを特徴とするプラズマ増強原子層堆積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造の分野に関し、特にプラズマ増強原子層堆積装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子層堆積(Atomic Layer Deposition、以下ALDと略称する)は、1種の膜層堆積の方法として、良好な共形性、精密な厚さ制御能力及び高いアスペクト比の図形構造に対する優れた被覆能力などの優位性を有しているが、プラズマ増強原子層堆積(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition、以下PEALDと略称する)は、比較的高いプロセス温度の採用を避けることができ、しかも前駆体の選択範囲は比較的広く、ALD方法についてよく補足する。
【0003】
しかし、ALD装置もPEALD装置も生産能力の低さという顕在化した問題を抱えている。PEALD装置の生産能力を向上させるために、従来の方法としては、2つのプロセスチャンバを用いて2つのウェハに対して同時にプロセスを行うことであるが、各プロセスチャンバがプロセス要件を満すことに加えて、2つのプロセスチャンバ間のプロセスの繰り返し性(薄膜の厚さ、厚さの均一性、薄膜の緻密性などを含む)が求められている。例えば、2つのプロセスチャンバで同時に堆積される薄膜の厚さの差が設定された閾値(例えば1オングストローム未満)未満である必要がある。
【0004】
しかし、実際の使用では2つのプロセスチャンバを備えた従来のPEALD装置は、以下の問題が避けられない。
【0005】
第1に、2つのプロセスチャンバの圧力、RF関連パラメータはすべて、個別に制御することができず、プロセスのデバッグの限定性をもたらす。例えば、2つのプロセスチャンバで成膜される薄膜の厚さなどに差がある場合、各プロセスチャンバのチャンバ圧力及びRF関連パラメータ(例えば、RF電力、周波数、点灯時間など)を個別に調整することにより、上記差を解消することができず、その結果、プロセスのデバッグ手段の柔軟性が低下する。
【0006】
第2に、2つのプロセスチャンバでプラズマ反応ステップを同時に行わなければならないため、他のステップ(前駆体の導入、パージなど)も同期して行わなければならず、その結果、プロセス形態が単一であり、チャンバ間のプロセス整合性が悪くなってしまう。 しかも、2つのプロセスチャンバへの前駆体の同期的な導入を実現するために、各チャンバに個別に前駆体ソース(ソースボトルなど)を配置する必要があるが、これは前駆体ソースのコストとチャンバ構造の複雑さを増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決するために、各プロセスチャンバのチャンバ圧力及びRF関連パラメータを個別に調整できるため、プロセスのデバッグ手段を増加させ、プロセス整合性及びプロセス形態がより多様化し、各チャンバに前駆体供給装置を配置する必要がなく、装置コストが低減するプラズマ増強原子層堆積装置及び方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、2つのプロセスチャンバと、
2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、前駆体又はパージガスを2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に供給するための前駆体供給装置と、
2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、反応ガスを2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に供給するための反応ガス供給装置と、
2つの前記プロセスチャンバに接続され、RF電力を2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に出力するためのRF装置と、
2つの前記プロセスチャンバの排気口に連通しており、2つの前記プロセスチャンバのチャンバ圧力をそれぞれ独立して制御するための圧力調整装置と、を含むプラズマ増強原子層堆積装置を提供する。
【0009】
任意選択的に、前記前駆体供給装置は、前駆体ソースと、吸気管路群と、切替管路群と、抽気装置とを含み、前記前駆体ソースは前記切替管路群を介して前記吸気管路群に連通しており、前記吸気管路群は2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、
前記前駆体ソースは、前記前駆体又はパージガスを供給するためのものであり、
前記切替管路群は、前記前駆体ソースを前記吸気管路群又は前記抽気装置に選択的に連通させるためのものであり、
前記吸気管路群は、前記前駆体ソースを2つの前記プロセスチャンバのうちの少なくとも1つに選択的に連通させるためのものである。
【0010】
任意選択的に、前記吸気管路群は、第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路を含み、前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路の排気端は、それぞれ2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通し、前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路の吸気端は、いずれも前記切替管路群に連通しており、且つ、前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路には、それぞれ第1開閉弁及び第2開閉弁が設けられている。
【0011】
任意選択的に、前記吸気管路群は、第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路をさらに含み、前記第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路の吸気端は、いずれも希釈ガスを供給するための希釈ガスソースに連通しており、前記第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路の排気端は、それぞれ第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路に連通しており、且つ、前記第1希釈分岐路及び第2希釈分岐路には、それぞれ第1流量コントローラー及び第2流量コントローラーが設けられている。
【0012】
任意選択的に、前記吸気管路群は、2つのガス混合構造をさらに含み、2つの前記ガス混合構造は、いずれも第1吸気端、第2吸気端及び排気端を有し、2つの前記ガス混合構造の前記第1吸気端は、それぞれ前記第1吸気分岐路及び第2吸気分岐路の排気端に連通しており、2つの前記ガス混合構造の前記排気端は、それぞれ2つの前記プロセスチャンバの吸気構造に連通しており、2つの前記ガス混合構造の前記第2吸気端は、平衡ガスを供給する平衡ガスソース及び前記反応ガス供給装置に連通するためのである。
【0013】
任意選択的に、各前記ガス混合構造は、いずれもガス混合ブロック及びガス混合管路を含み、前記ガス混合ブロックにはガス混合キャビティが設けられており、前記ガス混合ブロックの外面に前記第1吸気端及び前記第2吸気端が形成され、前記ガス混合ブロックの外面には、前記ガス混合管路の吸気端に連通している排気端がさらに形成され、前記ガス混合管路の排気端は、前記ガス混合構造の排気端として使用されて前記プロセスチャンバの吸気構造に連通している。
【0014】
任意選択的に、前記切替管路群は第1切替分岐路及び第2切替分岐路を含み、前記第1切替分岐路の両端は、それぞれ前記前駆体ソース及び前記吸気管路群に連通しており、前記第2切替分岐路の両端は、それぞれ前記第1切替分岐路及び前記抽気装置に連通しており、且つ、前記第1切替分岐路及び第2切替分岐路には、それぞれ第3開閉弁及び第4開閉弁が設けられている。
【0015】
任意選択的に、前記前駆体ソースは、キャリアガス主路、ソースボトル、第1キャリアガス分岐路及び第2キャリアガス分岐路を含み、前記キャリアガス主路の吸気端は、キャリアガスを供給するキャリアガスガスソースに連通するためのものであり、前記キャリアガス主路の排気端は前記切替管路群に連通しており、且つ、前記キャリアガス主路には第5開閉弁及び第3質量流量コントローラーが設けられており、
前記第1キャリアガス分岐路の吸気端と前記キャリアガス主路は前記第5開閉弁の上流位置で連通しており、前記第1キャリアガス分岐路の排気端は前記ソースボトルの吸気端に連通しており、前記第2キャリアガス分岐路の排気端と前記キャリアガス主路は前記第5開閉弁の下流位置で連通しており、前記第2キャリアガス分岐路の吸気端は前記ソースボトルの排気端に連通しており、且つ、前記第1キャリアガス分岐路及び第2キャリアガス分岐路にはそれぞれ第6開閉弁及び第7開閉弁が設けられており、
前記ソースボトルは、前駆体を貯蔵するためのものである。
【0016】
任意選択的に、前記RF装置は、第1整合器、第2整合器、第1RF電源及び第2RF電源を含み、前記第1RF電源は前記第1整合器を介して1つの前記プロセスチャンバに電気的に接続され、前記第2RF電源は前記第2整合器を介して別の前記プロセスチャンバに電気的に接続される。
【0017】
任意選択的に、前記圧力調整装置は、第1排気分岐路及び第2排気分岐路を含み、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路の吸気端は、それぞれ2つの前記プロセスチャンバの排気口に連通しており、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路の排気端は、いずれも抽気装置に連通しており、且つ、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路には、それぞれ第1遮断弁及び第2遮断弁が設けられており、前記第1排気分岐路及び第2排気分岐路には、それぞれ第1流量調整弁及び第2流量調整弁がさらに設けられている。
【0018】
任意選択的に、前記プラズマ増強原子層堆積装置は、遠隔プラズマ洗浄装置、第1洗浄管路及び第2洗浄管路をさらに含み、2つの前記ガス混合構造はいずれも第3吸気端を有し、前記第1洗浄管路及び第2洗浄管路の吸気端は、いずれも前記遠隔プラズマ洗浄装置に連通しており、前記第1洗浄管路及び第2洗浄管路の排気端は、それぞれ2つの前記第3吸気端に連通しており、且つ、前記第1洗浄管路及び第2洗浄管路には、それぞれ第3遮断弁及び第4遮断弁が設けられており、
前記遠隔プラズマ洗浄装置は、前記プロセスチャンバを洗浄可能なプラズマを供給するためのものである。
【0019】
別の技術的解決手段として、本発明の実施例は、プラズマ増強原子層堆積方法をさらに提供し、本発明の実施例に係る上記プラズマ増強原子層堆積装置を用いて2つのウェハ上に同時に膜層を堆積し、前記プラズマ増強原子層堆積方法は、
前記前駆体を2つの前記プロセスチャンバのうちの第1プロセスチャンバに導入し、及び前記反応ガスを2つの前記プロセスチャンバのうちの第2プロセスチャンバに導入し、RF電力を前記第2プロセスチャンバに出力するステップS1と、
前記前駆体供給装置及び2つの前記プロセスチャンバをパージするステップS2と、
前記前駆体を前記第2プロセスチャンバに導入し、及び前記反応ガスを前記第1プロセスチャンバに導入し、RF電力を前記第1プロセスチャンバに出力するステップS3と、
前記前駆体供給装置及び2つの前記プロセスチャンバをパージするステップS4と、を含み、
2つの前記ウェハ上に堆積された前記膜層の厚さが目標厚さに達すまで、前記ステップS1~前記ステップS4’を繰り返し行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以下の有益な効果を有する。
本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積装置及び方法では、2つのプロセスチャンバの排気口に連通している圧力調整装置を利用して、それぞれ独立して2つのプロセスチャンバのチャンバ圧力を制御することができ、且つ、2つのプロセスチャンバに接続されたRF装置を利用して、RF電力を2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つプロセスチャンバに選択的に出力することによって、各プロセスチャンバのRF関連パラメータを個別に調整することができ、それによりプロセスのデバッグ手段を増加させ、プロセス整合性を向上させるだけでなく、2つのプロセスチャンバは各プロセスのステップを同期して行う必要がなく、それによりプロセス形態はより多様化し、しかも各チャンバに前駆体供給装置を配置する必要がなく、すなわち、前駆体供給装置と2つのプロセスチャンバの吸気構造との連通により、前駆体又はパージガスを2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つプロセスチャンバに選択的に供給し、それにより装置コストを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは従来のプラズマ増強原子層堆積装置の構造図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積装置の原理ブロック図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積装置の構造図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例に用いた前駆体ソースの拡大図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例に用いた吸気管路群の拡大図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積方法の1種のフローブロック図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積方法の別種のフローブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者が本発明の技術的手段をよりよく理解するために、以下、図面を参照して本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積装置及び方法を詳細に説明する。
【0023】
図1Aを参照して、従来のプラズマ増強原子層堆積(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition、以下PEALDと略称する)装置は、ウェハに対して堆積プロセスを同時に行う2つのプロセスチャンバ(1a、1b)を含んでもよく、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)からそれぞれ排出された排気ガスは、主排気管路11内に合流し、当該主排気管路11によって排気ガスを抽気装置(図示せず)に輸送する。且つ、主排気管路11には、主排気管路11をオンオフにするための遮断弁12、及び主排気管路11のうちのガス流量を調整するための流量調整弁13がさらに設けられることより、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)のうちのガス圧力を同時に制御することを実現する。
【0024】
しかも、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)は、その吸気管路によってガス供給装置16及び遠隔プラズマ洗浄装置17にそれぞれ連通しており、ガス供給装置16は、プロセスガス(前駆体、反応ガス及びパージガスを含むが、これらに限定されない)を2つのプロセスチャンバ(1a、1b)に同時に供給するためのものであり、遠隔プラズマ洗浄装置17は、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)内の薄膜の累積厚さが一定の厚さになった後に、プロセスチャンバを洗浄可能なプラズマ(例えばNF3ガスのイオン化によるプラズマ)を2つのプロセスチャンバ(1a、1b)に同時に供給するためのものである。
【0025】
また、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)は、1つの整合器14及びRF電源15を共用し、当該RF電源15は、同時に整合器14を介してRF電力を2つのプロセスチャンバ(1a、1b)に印加し、これにより2つのプロセスチャンバ(1a、1b)のうちの反応ガスを励起してプラズマを形成する。
【0026】
上記プラズマ増強原子層堆積装置は、実際の使用で以下の問題が避けられない。
【0027】
第一に、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)が1つの遮断弁12及び流量調整弁13を共用するため、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)のチャンバ圧力を個別に制御することができず、プロセスのデバッグの限定性をもたらす。例えば、2つのプロセスチャンバで堆積された薄膜の厚さなどに差がある場合、各プロセスチャンバのチャンバ圧力を個別に調整することにより上記差を解消することができず、それによりプロセスのデバッグ手段のフレキシビリティを低減する。また、遮断弁12が開く際に、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)は、依然として排気管路を介して互いに連通する可能性があり、それにより、本当の意味での物理的分離が実現されず、1つのプロセスチャンバに破片が発生したり、粒子数が増加したりするなどの異常場合には、別のプロセスチャンバに悪影響を与える可能性が高い。
【0028】
第二に、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)は、1つの整合器14及びRF電源15を共用するため、2つのプロセスチャンバで堆積された薄膜の厚さなどに差がある場合、各プロセスチャンバのRF関連パラメータ(例えば電力、周波数、点灯時間など)を個別に調整することにより上記差を解消することができず、それによりプロセスのデバッグ手段のフレキシビリティを低減する。また、
図1Bに示すように、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)はプラズマ反応ステップを同時に行わなければならないため、他のステップ(前駆体、パージなどを導入する)も同期して行わなければならず、それによりプロセス形態が単一であり、しかもチャンバ間のプロセス整合性が悪くなる。しかも、2つのプロセスチャンバのプロセス整合性が要件を満たすために、各チャンバに1つの前駆体ソース(例えばソースボトル)を個別に配置する必要があり、これにより前駆体を2つのプロセスチャンバ(1a、1b)に同期して導入し、しかし前駆体ソースのコスト及びチャンバ構造の複雑さを増加させる。
【0029】
第三に、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)と遠隔プラズマ洗浄装置17との間に切替制御構造が設けられていないため、2つのプロセスチャンバ(1a、1b)を同時に洗浄するしかなく、個別に洗浄ことができず、それにより洗浄方式が単一である。また、遠隔プラズマ洗浄装置17とガス供給装置16との間に同一の吸気管路を共用し、両者間に物理的分離が行われていないため、プロセスガスが遠隔プラズマ洗浄装置17に拡散する恐れがあり、それによりプロセス制御の難しさを増加させる。
【0030】
上記PEALD装置に存在している少なくとも1つの問題を解決するために、
図2及び
図3を併せて参照して、本発明の実施例は、プラズマ増強原子層堆積装置をさらに提供し、それは2つのプロセスチャンバ(2a、2b)、前駆体供給装置3、反応ガス供給装置6、RF装置8及び圧力調整装置7を含み、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はいずれも物理的に分離された独立したチャンバであり、各プロセスチャンバはいずれも吸気構造21を有し、当該吸気構造21は、例えばチャンバの上部に設けられたガス分配装置であり、プロセスガスをチャンバ内部に均一に輸送するためのものであり、且つ、各プロセスチャンバには、ウェハSを載置し、ウェハSの温度を制御するためのベース22がさらに設けられている。
【0031】
上記前駆体供給装置3は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に接続され、前駆体又はパージガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つに選択的に供給するためのものである。つまり、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)は1つの前駆体供給装置3を共用する。実際の使用では、上記前駆体は、堆積対象膜層材料の成分及び特性に応じて選択され、キャリアガスを使用するか又は使用しない場合、当該前駆体は、ガス状でプロセスチャンバに輸送することができる。例えば、堆積対象膜層材料がシリカ(SiO2)である場合、前駆体としてSAM24(ビス(ジエチルアミン)シラン)を選択することができる。
【0032】
本実施例では、任意選択的に、上記前駆体供給装置3は、前駆体ソース30、吸気管路群5、切替管路群4及び抽気装置10bを含み、前駆体ソース30は切替管路群4を介して吸気管路群5に連通しており、当該吸気管路群5は2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に連通しており、前駆体ソース30は上記前駆体又はパージガスを供給するためのものであり、切替管路群4は、前駆体ソース30を吸気管路群5又は抽気装置10bに選択的に連通させるためのものであり、吸気管路群5は、前駆体ソース30を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つに選択的に連通させるためのものである。
【0033】
切替管路群4によって前駆体ソース30を吸気管路群5に連通させる場合、前駆体ソース30によって供給された前駆体は、吸気管路群5に輸送され得るとともに、吸気管路群5を介して2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つに輸送され得、切替管路群4によって前駆体ソース30を抽気装置10bに連通させる場合、前駆体ソース30によって供給された前駆体は、いずれかのプロセスチャンバを流れることなく、抽気装置10bに直接放出される。
【0034】
本実施例では、任意選択的に、
図3に示すように、切替管路群4は、第1切替分岐路41a及び第2切替分岐路41bを含み、第1切替分岐路41aの両端は、それぞれ前駆体ソース30及び吸気管路群5に連通しており、第2切替分岐路41bの両端は、それぞれ第1切替分岐路41a及び抽気装置10bに連通しており、且つ、第1切替分岐路41a及び第2切替分岐路41bには、それぞれ第3開閉弁42a及び第4開閉弁42bが設けられている。第3開閉弁42aが開くとともに、第4開閉弁42bが閉じる際に、第1切替分岐路41aはオンになり、第2切替分岐路41bはオフになり、この際に、前駆体ソース30から送り出される前駆体は第1切替分岐路41aを通して吸気管路群5に流入し、第3開閉弁42aが閉じるとともに、第4開閉弁42bが開く際に、第1切替分岐路41aはオフになり、第2切替分岐路41bはオンになり、この際に、前駆体ソース30から送り出される前駆体は第2切替分岐路41bを通して抽気装置10bに流入する。
【0035】
本実施例では、任意選択的に、
図4に示すように、上記前駆体ソース30は、キャリアガス主路31、ソースボトル32、第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bを含み、キャリアガス主路31の吸気端(
図4には左側に向き)は、キャリアガスC1を供給するキャリアガスガスソース(図示せず)に連通するためのものであり、キャリアガス主路31の排気端(
図4には右側に向き)は、上記切替管路群4(すなわち、
図3に示される第1切替分岐路41aの吸気端)に連通しており、且つ、キャリアガス主路31には第5開閉弁33及び第3質量流量コントローラー34が設けられており、第5開閉弁33はキャリアガス主路31をオンオフにするためのものであり、第3質量流量コントローラー34は、キャリアガス主路31のうちのキャリアガスC1の流量を制御するためのものである。
【0036】
第1キャリアガス分岐路35aの吸気端とキャリアガス主路31は第5開閉弁33の上流位置で連通しており、第1キャリアガス分岐路35aの排気端はソースボトル32の吸気端に連通しており、第2キャリアガス分岐路35bの排気端とキャリアガス主路31は第5開閉弁33の下流位置で連通しており、第2キャリアガス分岐路35bの吸気端はソースボトル32の排気端に連通しており、且つ、第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bにはそれぞれ第6開閉弁36及び第7開閉弁37が設けられている。第6開閉弁36は第1キャリアガス分岐路35aをオンオフにするためのものであり、第7開閉弁37は第2キャリアガス分岐路35bをオンオフにするためのものである。
【0037】
ソースボトル32は前駆体を貯蔵するためのものである。ソースボトル32に貯蔵される前駆体の初期状態は、液体、固体、又はガスであってもよく、プロセスを行う際に、ソースボトル32のうちの前駆体は、キャリアガスを使用するか使用しない場合でガス状で送り出される。具体的には、第5開閉弁33が開くとともに、第6開閉弁36及び第7開閉弁37が閉じる際に、キャリアガス主路31はオンになり、第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bはオフになり、この際に、キャリアガスC1は、ソースボトル32を通過せずに、キャリアガス主路31を介して切替管路群4に向けて流れ、すなわち、ソースボトル32のうちの前駆体は送り出されない。この状態で、キャリアガスC1を利用してそれが通過する管路及びプロセスチャンバをパージし、この際に、キャリアガスC1は上記パージガスとして使用される。
【0038】
第5開閉弁33が閉じるとともに、第6開閉弁36及び第7開閉弁37が開く際に、キャリアガス主路31はオフになり、第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bはオンになり、この際に、キャリアガスC1は、キャリアガス主路31の第5開閉弁33の上流に位置する前部及び第1キャリアガス分岐路35aを介してソースボトル32に向けて流れ、すなわち、キャリアガスC1は、ソースボトル32を通過して、ソースボトル32のうちの前駆体を搬送し、第2キャリアガス分岐路35b及びキャリアガス主路31の第5開閉弁33の下流に位置する後部を介して送り出され得る。この状態で、切替管路群4によって前駆体ソース30を吸気管路群5に連通させる場合、前駆体を搬送しているキャリアガスC1は、吸気管路群5内に輸送され得るとともに、吸気管路群5を介して2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つに輸送され得る。
【0039】
任意選択的に、対応する管路の高速開閉を実現するように、上記第5開閉弁33、第6開閉弁36及び第7開閉弁37は、いずれも高速オンオフ弁である。もちろん、実際の使用では、異なるプロセス要件に応じて、他の開閉弁を用いることもでき、本発明の実施例はこれに特に限定されない。
【0040】
任意選択的に、第1キャリアガス分岐路35aと第2キャリアガス分岐路35bとの間に中間管路35cが接続され、且つ、当該中間管路35cに第1自動開閉弁39cが設けられており、第1自動開閉弁39cが開く際に、中間管路35cはオンになり、この場合、第6開閉弁36及び第7開閉弁37が開く際に、キャリアガスC1はソースボトル32を通過しないが、ソースボトル32のうちの前駆体は送り出され、切替管路群4に向けて流れ得る。また、任意選択的に、第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bにおいて、それぞれソースボトル32の送り込み端及び送り出し端に近い位置にそれぞれ第2自動開閉弁39a及び第3自動開閉弁39bが設けられることで、第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bの自動御御を実現することもできる。第1キャリアガス分岐路35a及び第2キャリアガス分岐路35bには、それぞれ第1手動弁38a及び第2手動弁38bが設けられてもよい。上記自動開閉弁及び手動弁の設置はいずれも制御のフレキシビリティ及び信頼性の向上に有利である。上記第1自動開閉弁39c、第2自動開閉弁39a及び第3自動開閉弁39bは例えば空気圧弁である。
【0041】
本実施例では、任意選択的に、ソースボトル32に十分な前駆体が存在することを確保し、プロセスの要件を満たすために、ソースボトル32は、液体の前駆体を補充する液体輸送システムに接続するための注入端をさらに有し、具体的には、上記注入端は、例えば、注入管路321を介して液体輸送システム(図示せず)に接続され、且つ、当該注入管路321の注入端に近い箇所には、第8開閉弁322が設けられている。
【0042】
なお、本実施例では、上記前駆体ソース30はソースボトル32及びキャリアガスC1を利用して前駆体の供給を実現するが、本発明の実施例はこれに限定されるものではなく、実際の使用では、前駆体ソースは、ガスホルダーなどの他の任意のガス供給構造を用いてもよい。
【0043】
本実施例では、任意選択的に、
図5に示すように、吸気管路群5は、第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bを含み、第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bの排気端は、それぞれ2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に連通しており、具体的には、2つのガス混合構造(55a、55b)を介して2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に連通していてもよく、当該2つのガス混合構造(55a、55b)は、前駆体(及び/又はキャリアガス)及び他のガス(例えば希釈ガス、平衡ガスなど)を輸送するための管路に連通しており、これらのガスを個別で、又は混合後、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)にそれぞれ導入するためのものである。もちろん、実際の使用では、特定の場合に応じて、上記ガス混合構造が設けられなくてもよく、この場合、第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bの排気端は2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に直接連通することができる。
【0044】
第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bの吸気端は、いずれも切替管路群4(すなわち、
図3に示される第1切替分岐路41a)の排気端に連通しており、且つ、
図5に示すように、第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bにはそれぞれ第1開閉弁52a及び第2開閉弁52bが設けられている。第1開閉弁52a及び第2開閉弁52bのうちの少なくとも1つを選択的に開くことにより、第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bのうちの少なくとも1つをオンにすることができ、それにより前駆体ソース30を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つに連通させることを実現する。
【0045】
本実施例では、任意選択的に、上記2つのガス混合構造(55a、55b)は、いずれも第1吸気端、第2吸気端及び排気端を有し、2つのガス混合構造(55a、55b)の第1吸気端は、それぞれ第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bの排気端に連通しており、2つのガス混合構造(55a、55b)の排気端は、それぞれ2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に連通しており、2つのガス混合構造(55a、55b)の第2吸気端は、平衡ガスを供給する平衡ガスソース及び反応ガス供給装置6に接続するためのものである。
【0046】
具体的には、2つのガス混合構造(55a、55b)の第2吸気端は、それぞれ2つの平衡ガス輸送ユニット(18a、18b)を介して当該平衡ガスソースに接続され、2つの平衡ガス輸送ユニット(18a、18b)は、それぞれ独立して平衡ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に輸送するためのものである。前駆体を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)内に交互に輸送する形態で堆積プロセスを行う場合、2つのプロセスチャンバを切り替える時点に、前駆体の輸送を停止するプロセスチャンバのうちの吸気量に大きな変動が生じ、その結果、チャンバ圧力に大きな変動が生じるとともに、プロセスガスの安定性が悪くなり、そのため、2つのプロセスチャンバを切り替える時に、平衡ガスを、前駆体の輸送を停止したプロセスチャンバに輸送し始め、且つ、当該平衡ガスの吸気量が前駆体的吸気量に相当するようにし、それにより、吸気量に変動が生じることによるチャンバ圧力に大きな変動が生じることを回避し、プロセスガスの流れ場の安定性を向上させることができる。平衡ガスは、例えばアルゴンガス(Ar)又は他の不活性ガスである。
【0047】
図3及び
図5には、2つの平衡ガス輸送ユニット(18a、18b)のみを概略的に示しており、両者の特定の構造を示しておらず、当該特定の構造は、例えば平衡ガス吸気管路及び当該平衡ガス吸気管路に設けられる開閉弁を含み、平衡ガス吸気管路の吸気端は、平衡ガスソースに接続するためのものであり、平衡ガス吸気管路の排気端は、対応するガス混合構造に接続される。また、平衡ガス吸気管路のうちのガス流量を制御するように、平衡ガス吸気管路に流量コントローラーが設けられてもよい。もちろん、実際の使用では、上記2つの平衡ガス輸送ユニット(18a、18b)は、ガス混合構造(55a、55b)を介さずにそれぞれ2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に直接接続されてもよい。
【0048】
本実施例では、
図3に示すように、上記反応ガス供給装置6は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に連通しており、同時に或いはそれぞれ反応ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に選択的に供給するためのものである。当該反応ガスで形成されたプラズマ(遊離基を含むがこれに限定されない)は、ウェハSに吸着された前駆体と化学反応し、それによりウェハSの表面上に必要な膜層を形成することができる。例えば、堆積対象膜層材料がシリカ(SiO2)であり、SAM24(ビス(ジエチルアミン)シラン)を前駆体とすると、反応ガスとして酸素(O2)を選択することができる。
【0049】
本実施例では、任意選択的に、反応ガス供給装置6は、第1反応ガス輸送ユニット6a及び第2反応ガス輸送ユニット6bを含み、両者は、2つのガス混合構造(55a、55b)を介して2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に連通することがき、それぞれ独立して反応ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に輸送するためのものである。
図3及び
図5には、第1反応ガス輸送ユニット6a及び第2反応ガス輸送ユニット6bのみを概略的に示しており、両者の特定の構造を示しておらず、当該特定の構造は、例えば反応ガス吸気管路及び当該反応ガス吸気管路に設けられる開閉弁を含み、反応ガス吸気管路の吸気端は、反応ガスソースに連通するためのものであり、反応ガス吸気管路の排気端は、対応するガス混合構造に連通している。また、反応ガス吸気管路のうちのガス流量を制御するように、反応ガス吸気管路に流量コントローラーが設けられてもよい。もちろん、実際の使用では、上記第1反応ガス輸送ユニット6a及び第2反応ガス輸送ユニット6bは、ガス混合構造(55a、55b)を介さずに2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に直接連通していてもよい。
【0050】
各ガス混合構造は、様々であってもよく、例えば、本実施例では、
図5に示すように、各ガス混合構造は、いずれもガス混合ブロック551及びガス混合管路552を含み、ガス混合ブロック551内においてガス混合キャビティ(図示せず)が設けられており、当該ガス混合ブロック551の外面に上記第1吸気端、第2吸気端及び排気端が形成され、当該排気端はガス混合管路552の吸気端に連通しており、ガス混合管路552の排気端は、ガス混合構造の排気端として使用されてプロセスチャンバの吸気構造21に連通している。なお、上記ガス混合構造の吸気端の数は、プロセスチャンバに導入する必要があるプロセスガスの数に対応する。実際の使用では、特定のニーズに応じて、上記ガス混合構造を通過することなく、上記平衡ガス及び/又は反応ガスを導入する。
【0051】
本実施例では、任意選択的に、
図5に示すように、吸気管路群5は、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bをさらに含み、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bの吸気端は、いずれも希釈ガスを供給するための希釈ガスソース(図示せず)に連通しており、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bの排気端は、それぞれ第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51bに連通しており、且つ、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bには、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bのうちのガス流量をそれぞれ制御する第1流量コントローラー54a及び第2流量コントローラー54bがそれぞれ設けられている。希釈ガスソースから送り出された希釈ガスは、希釈作用を発揮するように、それぞれ第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを介して第1吸気分岐路51a及び第2吸気分岐路51b内に流入し、前駆体と混合することができる。希釈ガスは、例えばアルゴンガス(Ar)又は他の不活性ガスである。
【0052】
RF装置8は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に接続され、RF電力を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つのプロセスチャンバに選択的に出力するためのものである。具体的には、本実施例では、
図3に示すように、RF装置8は、第1整合器81a、第2整合器81b、第1RF電源82a及び第2RF電源82bを含み、第1RF電源82aは、第1整合器81aを介して1つのプロセスチャンバ(すなわち、第1プロセスチャンバ2a)に電気的に接続され、第2RF電源82bは、第2整合器81bを介して別つのプロセスチャンバ(すなわち、第2プロセスチャンバ2b)に電気的に接続される。
【0053】
2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に整合器及びRF電源を個別に配置することにより、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のRF関連パラメータ(例えばRF電力、周波数、点灯時間など)を個別に調整することができ、それによりプロセスのデバッグ手段を増加させ、プロセス整合性を向上させる。しかも、異なる時点に2つのプロセスチャンバ(2a、2b)それぞれのRF電源をオンにすることができるため、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)は各プロセスステップを同期して行う必要がなく、それによりプロセス形態はより多様化する。しかも、各チャンバに前駆体供給装置を配置する必要がなく、本実施例に用いた上記前駆体供給装置を利用して異なる時点に前駆体を対応する1つのプロセスチャンバに導入し、すなわち、前駆体を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に交互に輸送することができ、プロセス整合性の要件を満たすとともに、装置コストを低減することができる。
【0054】
なお、本実施例では、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に整合器及びRF電源を個別に配置するが、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、実際の使用では、1つの整合器及びRF電源のみを設け、対応するスイッチング装置を設けることにより、整合器及びRF電源をそのうちの1つのプロセスチャンバに選択的に接続し、同様に、異なる時点に2つのプロセスチャンバ(2a、2b)にRF電力を印加することができ、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)は、同期に各プロセスステップを行う必要がなく、それによりプロセス形態はより多様化する。
【0055】
圧力調整装置7は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の排気口に連通しており、それぞれ独立して2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のチャンバ圧力を制御するためのものである。このように、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の堆積した薄膜の厚さなどに差がある場合、圧力調整装置7によって各プロセスチャンバのチャンバ圧力を個別に調整することにより、上記差を解消することができ、それによりプロセスのデバッグ手段のフレキシビリティを向上させる。
【0056】
具体的には、本実施例では、圧力調整装置7は、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bを含み、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bの吸気端は、それぞれ2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の排気口に連通しており、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bの排気端は、いずれも抽気装置10aに連通しており、且つ、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bには、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bの開閉をそれぞれ独立して制御するための第1遮断弁72a及び第2遮断弁72bがそれぞれ設けられており、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bには、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bのうちのガス流量をそれぞれ独立して調整するための第1流量調整弁73a及び第2流量調整弁73bがそれぞれ設けられている。
【0057】
第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bには第1遮断弁72a及び第2遮断弁72bがそれぞれ設けられることにより、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の物理的分離を確かに実現することができ、それにより1つのプロセスチャンバに破片が発生したり、粒子数が増加したりするなどの異常場合には、別のプロセスチャンバに悪影響を与えることを回避することができる。同時に、第1排気分岐路71a及び第2排気分岐路71bには第1流量調整弁73a及び第2流量調整弁73bがそれぞれ設けられることにより、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の排気速度を独立して制御することができ、このように、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の堆積した薄膜の厚さなどに差がある場合、第1流量調整弁73a及び第2流量調整弁73bを個別に調整することにより、各プロセスチャンバのチャンバ圧力への独立制御を実現することができ、上記差を解消し、それにより、プロセスのデバッグ手段のフレキシビリティを向上させ、さらに2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のプロセス整合性を向上させる。
【0058】
なお、圧力調整装置7は、上記実施例に係る手段に限定されるものではなく、実際の使用では、各プロセスチャンバのチャンバ圧力への独立制御を実現するために、他の任意構造を用いてもよい。
【0059】
さらに、なお、実際の使用では、上記抽気装置10a及び抽気装置10bは、同一の抽気装置であってもよく、すなわち、切替管路群4は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)とともに同一の抽気装置を共有する。当該抽気装置は例えば真空ポンプである。
【0060】
本実施例では、プラズマ増強原子層堆積装置は、遠隔プラズマ洗浄装置9、第1洗浄管路91a及び第2洗浄管路91bをさらに含み、2つのガス混合構造(55a、55b)はいずれも第3吸気端をさらに有し、第1洗浄管路91a及び第2洗浄管路91bの吸気端は、いずれも遠隔プラズマ洗浄装置9に連通しており、第1洗浄管路91a及び第2洗浄管路91bの排気端は、それぞれ2つのガス混合構造(55a、55b)の上記第3吸気端に連通している。もちろん、実際の使用では、特定の場合に応じて、第1洗浄管路91a及び第2洗浄管路91bの排気端は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気構造21に直接連通するようにしてもよい。
【0061】
且つ、第1洗浄管路91a及び第2洗浄管路91bの排気端には、第3遮断弁92a及び第4遮断弁92bがそれぞれ設けられており、遠隔プラズマ洗浄装置9は、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)内の薄膜の累積厚さが一定の厚さになった後に、プロセスチャンバを洗浄可能なプラズマ(例えばNF3ガスのイオン化によって形成されたプラズマ)を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)のうちの少なくとも1つのプロセスチャンバに供給するためのものである。
【0062】
上記第3遮断弁92a及び第4遮断弁92bを利用して、いずれかのプロセスチャンバを個別に洗浄したり、2つのプロセスチャンバを同時に洗浄したりすることを実現でき、それにより洗浄方式のフレキシビリティを向上させることができる。同時に、堆積プロセスを行う場合、上記第3遮断弁92a及び第4遮断弁92bを閉じることにより、プロセスガスの遠隔プラズマ洗浄装置9への拡散を阻止することができ、それによりプロセスガスの利用率を向上させ、プロセスガスの安定性を改善する。
【0063】
なお、実際の使用では、実際の状況に応じて、上記遠隔プラズマ洗浄装置9が設けられなくてもよい。
【0064】
別の技術的手段として、本発明の実施例は、プラズマ増強原子層堆積方法をさらに提供し、該方法は、本発明の実施例に係る上記プラズマ増強原子層堆積装置を用いて、2つのウェハ上に同時に膜層を堆積する。
【0065】
具体的には、
図3に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、
図6に示すように、プラズマ増強原子層堆積方法は、ステップS1~ステップS4を含み、
【0066】
ステップS1、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS11及びステップS12を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0067】
ステップS11、前駆体を第1プロセスチャンバ2aに導入し、前駆体吸をウェハSの表面に吸着させる。
【0068】
ステップS12、反応ガスを励起してプラズマを形成するように、反応ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入し、RF電力を第2プロセスチャンバ2bに出力し、当該プラズマは、ウェハSの表面上に吸着された前駆体と反応して、ウェハSの表面上に必要な膜層を形成することができる。
【0069】
具体的には、
図2~
図5に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、ステップS11及びステップS12を行う過程において、第4開閉弁42b、第5開閉弁33及び第2開閉弁52bを閉じるとともに、第3開閉弁42a、第6開閉弁36、第7開閉弁37及び第1開閉弁52aを開くことにより、前駆体(キャリアガスC1によって搬送される)を第1プロセスチャンバ2aに個別に導入することを実現する。なお、上記ステップS11を行う過程において、前駆体を第1プロセスチャンバ2aに導入することにかかる時間が一般的に短く、ステップS11のプロセス時間よりも短く、この場合、第3開閉弁42aは、ステップS11を行う過程においてつねに開いたままではなく、例えば、ステップS11を開始する際に、第3開閉弁42aが開くとともに、第4開閉弁42bが閉じ、この際に、前駆体を第1プロセスチャンバ2aに導入し、一定の時間を経た後(ステップS11のプロセス時間に達していない)に、第3開閉弁42aが閉じるとともに、第4開閉弁42bが開き、この際に、前駆体が第2切替分岐路41bを通して抽気装置10bに流入する。もちろん、実際の使用では、様々なニーズに応じて第3開閉弁42aがステップS11を行う過程においてつねに開いたままにしてもよく、本発明の実施例は、これに特に限定されない。
【0070】
それと同時に、任意選択的に、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを利用して希釈ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に同時に導入し、平衡ガス輸送ユニット18bを利用して平衡ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入し、これにより2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気量が同じくらいであることを確保し、第2反応ガス輸送ユニット6bを利用して反応ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入し、第2RF電源82bを開き、これにより第2整合器81bを介してRF電力を第2プロセスチャンバ2bに印加し、それにより反応ガスを励起してプラズマを形成する。
【0071】
ステップS2、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS21及びステップS22を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0072】
ステップS21及びステップS22は、いずれもプラズマ増強原子層堆積装置のうちの前駆体供給装置及び2つのプロセスチャンバ(2a、2b)をパージするためのである。
【0073】
具体的には、
図2~
図5に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、ステップS21及びステップS22を行う過程において、第4開閉弁42b、第5開閉弁33、第1開閉弁52a、第2開閉弁52b、第3開閉弁42aを開くとともに、第6開閉弁36及び第7開閉弁37を閉じ、これにより管路及び2つのプロセスチャンバ(2a、2b)をパージすることを実現する。
【0074】
それと同時に、任意選択的に、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを利用して同時に希釈ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に導入することは、パージ役割を果たすこともでき、2つの平衡ガス輸送ユニット(18a、18b)を利用して平衡ガスをそれぞれ第1プロセスチャンバ2a及び第2プロセスチャンバ2bに同時に導入することは、同様に、パージ役割を果たすこともでき、反応ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入することを停止する。
【0075】
ステップS3、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS31及びステップS32を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0076】
ステップS31、反応ガスを励起してプラズマを形成するように、反応ガスを第1プロセスチャンバ2aに導入し、RF電力を第1プロセスチャンバ2aに出力し、当該プラズマは、ウェハSの表面上に吸着された前駆体と反応して、ウェハSの表面上に必要な膜層を形成することができる。
【0077】
ステップS32、前駆体を第2プロセスチャンバ2bに導入し、前駆体をウェハSの表面に吸着させる。
【0078】
具体的には、
図2~
図5に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、ステップS31及びステップS32を行う過程において、第4開閉弁42b、第5開閉弁33及び第1開閉弁52aを閉じるとともに、第3開閉弁42a、第6開閉弁36、第7開閉弁37及び第2開閉弁52bを開き、これにより前駆体を第2プロセスチャンバ2bに個別に導入することを実現する(キャリアガスC1によって搬送される)。
【0079】
それと同時に、任意選択的に、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを利用して希釈ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に同時に導入し、平衡ガス輸送ユニット18aを利用して平衡ガスを第1プロセスチャンバ2aに導入し、これにより2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気量が同じくらいであることを確保し、第1反応ガス輸送ユニット6aを利用して反応ガスを第1プロセスチャンバ2aに導入し、第1RF電源82aを開き、これにより第1整合器81aを介してRF電力を第1プロセスチャンバ2aに印加し、それにより反応ガスを励起してプラズマを形成する。
【0080】
ステップS4、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS41及びステップS42を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0081】
ステップS41及びステップS42は、上記ステップS21及びステップS22と同様であり、ここで繰り返し説明しない。
【0082】
2つのウェハ上に堆積された膜層の厚さが目標厚さに達すまで、上記ステップS1~ステップS4を繰り返し行う。
【0083】
本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積方法では、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)は、各プロセスのステップを同期して行う必要がなく、それによりプロセス形態はより多様化する。しかも、各チャンバに前駆体供給装置を配置する必要がなく、本実施例に用いた上記前駆体供給装置を利用して異なる時点に前駆体を対応する1つのプロセスチャンバに導入し、すなわち、前駆体を2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に交互に輸送することができ、プロセス整合性の要件を満たすとともに、装置コストを低減することができる。
【0084】
本発明の実施例は、プラズマ増強原子層堆積方法をさらに提供し、具体的には、
図7に示すように、当該方法は、ステップS1’~ステップS4’を含み、
【0085】
ステップS1’、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS11’及びステップS12’を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0086】
ステップS11’、反応ガスを励起してプラズマを形成するように、反応ガスを第1プロセスチャンバ2aに導入し、RF電力を第1プロセスチャンバ2aに出力し、当該プラズマはウェハSの表面上に吸着された前駆体と反応して、ウェハSの表面上に必要な膜層を形成することができる。
【0087】
ステップS12’、前駆体を第2プロセスチャンバ2bに導入し、前駆体をウェハSの表面に吸着させる。
【0088】
具体的には、
図2~
図5に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、ステップS11’及びステップS12’を行う過程において、第4開閉弁42b、第5開閉弁33及び第1開閉弁52aを閉じるとともに、第3開閉弁42a、第6開閉弁36、第7開閉弁37及び第2開閉弁52bを開き、これにより第2プロセスチャンバ2bに前駆体を個別に導入することを実現する(キャリアガスC1によって搬送される)。
【0089】
それと同時に、任意選択的に、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを利用して希釈ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に同時に導入し、平衡ガス輸送ユニット18aを利用して平衡ガスを第1プロセスチャンバ2aに導入し、これにより2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気量が同じくらいであることを確保し、第1反応ガス輸送ユニット6aを利用して反応ガスを第1プロセスチャンバ2aに導入し、第1RF電源82aを開き、これにより第1整合器81aを介してRF電力を第1プロセスチャンバ2aに印加し、それにより反応ガスを励起してプラズマを形成する。
【0090】
ステップS2’、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS21’及びステップS22’を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0091】
ステップS21’及びステップS22’は、いずれもプラズマ増強原子層堆積装置のうちの前駆体供給装置及び2つのプロセスチャンバ(2a、2b)をパージするためのものである。
【0092】
具体的には、
図2~
図5に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、ステップS21’及びステップS22’を行う過程において、第4開閉弁42b、第5開閉弁33、第1開閉弁52a、第2開閉弁52b、第3開閉弁42aが開くとともに、第6開閉弁36及び第7開閉弁37を閉じ、これにより管路及び2つのプロセスチャンバ(2a、2b)をパージすることを実現する。
【0093】
それと同時に、任意選択的に、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを利用して同時に希釈ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に導入することは、パージ役割を果たすこともでき、2つの平衡ガス輸送ユニット(18a、18b)を利用して平衡ガスをそれぞれ第1プロセスチャンバ2a及び第2プロセスチャンバ2bに同時に導入することは、同様にパージ役割を果たすこともでき、反応ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入することを停止する。
【0094】
ステップS3’、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS31’及びステップS32’を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0095】
ステップS31’、前駆体を第1プロセスチャンバ2aに導入し、前駆体をウェハSの表面に吸着させる。
【0096】
ステップS32’、反応ガスを励起してプラズマを形成するように、反応ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入し、RF電力を第2プロセスチャンバ2bに出力し、当該プラズマはウェハSの表面上に吸着された前駆体と反応して、ウェハSの表面上に必要な膜層を形成することができる。
【0097】
具体的には、
図2~
図5に示されるプラズマ増強原子層堆積装置を例にして、ステップS31’及びステップS32’を行う過程において、第4開閉弁42b、第5開閉弁33及び第2開閉弁52bを閉じるとともに、第3開閉弁42a、第6開閉弁36、第7開閉弁37及び第1開閉弁52aを開き、これにより第1プロセスチャンバ2aに前駆体を個別に導入することを実現する(キャリアガスC1によって搬送される)。
【0098】
それと同時に、任意選択的に、第1希釈分岐路53a及び第2希釈分岐路53bを利用して希釈ガスを2つのプロセスチャンバ(2a、2b)に同時に導入し、平衡ガス輸送ユニット18bを利用して平衡ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入し、これにより2つのプロセスチャンバ(2a、2b)の吸気量が同じくらいであることを確保し、第2反応ガス輸送ユニット6bを利用して反応ガスを第2プロセスチャンバ2bに導入し、第2RF電源82bを開き、これにより第2整合器81bを介してRF電力を第2プロセスチャンバ2bに印加し、それにより反応ガスを励起してプラズマを形成する。
【0099】
ステップS4’、2つのプロセスチャンバ(2a、2b)はそれぞれステップS41’及びステップS42’を行い、両者は同期してもよいし、異なる時点にそれぞれ実行されてもよい。
【0100】
ステップS41’及びステップS42’は、上記ステップS21’及びステップS22’と同様であり、ここで繰り返し説明しない。
【0101】
2つのウェハ上に堆積された膜層の厚さが目標厚さに達すまで、上記ステップS1’~ステップS4’を繰り返し行う。
【0102】
要するに、本発明の実施例に係るプラズマ増強原子層堆積装置及び方法では、2つのプロセスチャンバの排気口に連通している圧力調整装置を利用して、それぞれ独立して2つのプロセスチャンバのチャンバ圧力を制御することができ、且つ、2つのプロセスチャンバに接続されたRF装置を利用して、RF電力を2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つプロセスチャンバに選択的に出力することによって、各プロセスチャンバのRF関連パラメータを個別に調整することができ、それによりプロセスのデバッグ手段を増加させ、プロセス整合性を向上させるだけでなく、2つのプロセスチャンバは各プロセスのステップを同期して行う必要がなく、それによりプロセス形態はより多様化し、しかも各チャンバに前駆体供給装置を配置する必要がなく、すなわち、前駆体供給装置と2つのプロセスチャンバの吸気構造との連通により、前駆体又はパージガスを2つのプロセスチャンバのうちの少なくとも1つプロセスチャンバに選択的に供給し、それにより装置コストを低減する。
【0103】
理解できるように、以上の実施形態は、本発明の原理を説明するために採用された例示的な実施形態に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。当業者にとっては、本発明の原理を逸脱せずに種々の改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本発明の保護範囲に属すると見なすべきである。
【国際調査報告】