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特表2024-5118991-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-15
(54)【発明の名称】1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4155 20060101AFI20240308BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240308BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240308BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240308BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A61K31/4155
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/32
A61P9/00
A61P9/10
A61P19/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563238
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 KR2022005451
(87)【国際公開番号】W WO2022220636
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049613
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソク・チョル・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュミュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ア・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ドヒョン・イム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC21
4C076DD22G
4C076DD27G
4C076DD29C
4C076DD29G
4C076DD38
4C076DD41C
4C076DD47C
4C076DD67
4C076EE16B
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32B
4C076EE38
4C076EE48B
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA10
4C086ZA36
4C086ZC31
(57)【要約】
本発明は、粒度累積分布において、最大粒度に対して90%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.9))が80μm以上300μm以下である1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを含有する経口用製剤に関する。
本発明による経口用製剤は、APIの粒度を特定の範囲に調節することにより、高含量のAPIを含むにも拘わらず、低摩耗度および増加した溶出率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択される活性製薬成分(API)を含む経口用製剤であって、前記APIは、粒度累積分布において、最大粒度に対して90%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.9))が80μm以上300μm以下である、経口用製剤。
【請求項2】
前記APIのD(0.9)は120μm以上270μm以下である、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項3】
経口用製剤は、希釈剤、崩壊剤、流動化剤および滑沢剤から選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項4】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして30~55重量%である、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項5】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして40~50重量%である、請求項4に記載の経口用製剤。
【請求項6】
前記APIの含有量は、単位剤形当たり50mg、100mg、200mgまたは300mgである、請求項1に記載の経口用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月16日付韓国特許出願第10-2021-0049613号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸)を高含有量で含みながらも、物性に優れた経口用製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
キサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase)は、ヒポキサンチン(hypoxanthine)をキサンチン(xanthine)に転換させ、また形成されたキサンチンを尿酸に転換させる酵素であり、前記キサンチンオキシダーゼの活性を阻害する物質は、高尿酸血症、痛風、心不全症、心血管系疾患などのような尿酸蓄積に関連する疾患を効果的に治療することができる。
【0004】
一方、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害する物質に関連して、韓国特許公報第1751325号(特許文献1)では、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(下記化学式1)及び前記化合物の製造方法を提供しており、韓国特許公報第1424013号(特許文献2)では、多様な溶媒を用いて得た多様な種類の結晶形及びその製造方法を提供している。
【化1】
【0005】
しかし、前記化学式1の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容される塩を活性製薬成分(API)として含む経口用製剤に対しては報告されたことがなく、特に、前記APIを高含有量で含む経口用製剤に関しては報告されたことがない。
【0006】
高含有量のAPIを含む製剤は、一般的に、硬度、打錠性などの基本物性に優れるとは言えないので、かかる欠点を克服するために、湿式顆粒あるいは乾式顆粒法を使用したり、賦形剤の量を増やしてAPIの割合を低下させる方法で製造することが一般的である。
【0007】
しかし、前記高含有量製剤の流動性の改善のための顆粒化工程を進むことにより、製造時間及び生産単価が高くなる可能性があるだけでなく、賦形剤の量を増加させることで、製剤の総重量及び体積を増加させて、生産単価の上昇及び患者の服用性を低下させるという問題がある。
【0008】
また、経口用製剤において、服用の利便性、生産単価などを考慮して経口用錠剤の形で提供される場合、生物学的利用能が非常に重要に求められる。前記生物学的利用能に影響を及ぼす重要な要因は、薬物の生体内での溶解過程であり、これは実験室での溶出試験を通じた溶出率として間接的に確認することができる。
【0009】
しかし、高含有量製剤は低含有量製剤に比べて賦形剤の含量が低下せざるを得ないので、物性が低下することが一般的である。
【0010】
したがって、高含有量の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含みながらも、優れた物性を有し、溶出率に優れた経口型製剤の開発が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許公報第1751325号(2017.06.21.)、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として効果的な新規化合物、その製造方法およびそれを含有する薬剤学的組成物
【特許文献2】韓国特許公報第1424013号(2014.07.22.)、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸の結晶形とその製造方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
過量の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含みながらも、物性に優れ、優れた溶出率を有する経口用製剤を導き出すことが本発明の解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPI、特に、特定の粒度範囲を有するAPIを含むことにより、優れた物性を有する経口用製剤及び前記経口用製剤の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の経口用製剤に含まれるAPIは、粒度累積分布において、最大粒度に対して90%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.9))が80μm以上300μm以下、または120μm以上270μm以下である。
【0015】
本発明の経口用製剤は、溶出媒質としてpH6.8の緩衝液900mlを使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、15分での溶出率が70%以上、30分での溶出率が85%以上、60分での溶出率が89%以上である。
【0016】
本発明の経口用製剤に含まれるAPIの含有量は、製剤総重量を基準にして30~50重量%である。
【0017】
本発明の経口用製剤のAPIの含量は95~105%である。
【0018】
本発明の経口用製剤は、高尿酸血症、痛風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、腎疾患、炎症および関節疾患、炎症性腸疾患からなる群より選択されるキサンチンオキシダーゼ関連疾患の治療または予防に使用される。
【発明の効果】
【0019】
本発明による1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含む経口用製剤は、APIの粒度を特定の範囲に調整することにより、高いAPIの含有量にも拘わらず物性に優れるため、製造工程中に発生する可能性のある問題を未然に防止することができる。
【0020】
また、本発明による経口用製剤は、APIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩を高含有量で含むことにより、経済的であるだけでなく、高い溶出率により増大した生物学的利用能が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】APIの粒度分布による裸錠の摩耗度(%)を分析した結果を示す図である。
図2】APIの粒度分布による裸錠の溶出率(%)を分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0023】
本発明で使用されるすべての技術用語は、別途定義されない限り、本発明の関連分野における通常の知識を有する者が一般的に理解するものと同じ意味で使用される。また、本明細書には好ましい方法や試料が記載されるが、これと類似または同等のものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載されるすべての刊行物の内容は、全体が本明細書に参考として統合される。
【0024】
本発明者らは、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含む経口用製剤において、APIの含有量を高め、物性を維持または高めるために、様々な方法で研究を持続した結果、APIの粒度を特定の範囲に調節する場合、物性に優れながらも、溶出率に優れた経口用製剤を開発した。
【0025】
この場合、APIの粒度を特定の範囲に調整することにより、流れ性などの物性を維持しながらも、錠剤(裸錠)に剤形化したとき、硬度、摩耗度などの物理的性質に優れて、経済的であるだけでなく、高含有量のAPIを含むにも拘わらず、物性を高めるための別途の賦形剤の含量を増やす必要がなく、前記錠剤は優れた含量および均一性を有し、高い溶出率を有するという利点がある。
【0026】
従って、本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIの粒度を特定の範囲に調整することにより、物性に優れ、高い溶出率を有する経口用製剤を提供する。
【0027】
本発明において「薬学的に許容される塩」とは、化合物が投与される有機体に深刻な刺激を引き起こさず、化合物の生物学的活性と物性を損なわない、化合物の塩の形態を意味する。本発明の経口用製剤に含まれたAPIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸は、通常の方法によりその塩に転換させることができる。
【0028】
錠剤または顆粒型カプセルなどの経口用製剤において、喉越しを容易にするために、高含有量のAPIを含んでも単位剤形当たりのサイズを最小化することが一般的であるが、APIを高含有量で含む場合、一般的に流動性および打錠性などの物性が阻害されるだけでなく、溶出率に代表される生物学的利用能に影響を及ぼす可能性があることが、この発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとっての技術常識である。
【0029】
実際、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸をAPIとして含む経口用製剤において、薬学的に許容される物性を有する経口用製剤(特に、錠剤)において、APIの許容可能な含有量は30%前後に過ぎず、それ以上の含有量を含む場合、打錠性などの物理的性質が急激に低下するという問題があった。
【0030】
本発明では、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを高含有量で含みながらも、物理的安定性および溶出率に代表される生物学的利用能が優秀または良好な経口用製剤について多角的な研究を行った。
【0031】
APIの粒度分布は、打錠工程中の圧縮性(compressibility)に影響を及ぼす因子であり、製造工程に重要な特性の一つとして知られている。また、APIの粒度分布は溶解度に影響を及ぼす因子であり、完製品の溶出に影響を及ぼす重要な特性であって、完製品で所望の溶出パターンを確保するために、本発明ではAPIの粒度分布を調整した。
【0032】
その結果、APIの粒度分布を調整することにより、高含有量のAPIを含むにも拘わらず、物理的安定性に優れるだけでなく、溶出率も優れた経口用製剤を開発した。
【0033】
本発明の一実施態様は、i)1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして、ii)前記APIの粒度(D(0.9))が80μm以上300μm以下である経口用製剤を提供する。
【0034】
本発明において、APIの粒度累積分布において、最大粒度に対して90%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.9))が80μm以上300μm以下、90μm以上 300μm以下、100μm以上300μm以下、110μm以上300μm以下、120μm以上300μm以下、130μm以上300μm以下、140μm以上300μm以下、150μm以上300μm以下、80μm以上 270μm以下、90μm以上 270μm以下、100μm以上 270μm以下、110μm以上 270μm以下、120μm以上 270μm以下、130μm以上 270μm以下、140μm以上 270μm以下、150μm以上 270μm以下、80μm以上250μm以下、90μm以上250μm以下、100μm以上250μm以下、110μm以上250μm以下、120μm以上250μm以下、130μm以上250μm以下、140μm以上250μm以下、150μm以上250μm以下、80μm以上230μm以下、90μm以上230μm以下、100μm以上230μm以下、110μm以上230μm以下、120μm以上230μm以下、130μm以上230μm以下、140μm以上230μm以下、または 150μm以上230μm以下であってもよい。
【0035】
また、APIの粒度累積分布において、最大粒度に対して50%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.5))が30μm以上150μm以下、40μm以上150μm以下、50μm以上150μm以下、60μm以上150μm以下、70μm以上150μm以下、80μm以上150μm以下、30μm以上140μm以下、40μm以上140μm以下、50μm以上140μm以下、60μm以上 140μm以下、70μm以上 140μm以下、80μm以上 140μm以下、30μm以上 130μm以下、40μm以上 130μm以下、50μm以上 130μm以下、60μm以上 130μm以下、70μm以上 130μm以下、または 80μm以上 130μm以下であってもよい。
【0036】
さらに、APIの粒度累積分布において、最大粒度に対して10%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.1))が、10μm以上90μm以下、20μm以上90μm以下、30μm以上90μm以下、40μm以上90μm以下、50μm以上90μm以下、10μm以上80μm以下、20μm以上80μm以下、30μm以上80μm以下、40μm以上80μm以下、50μm以上80μm以下であってもよい。
【0037】
本発明の経口用製剤は、APIのD(0.9)が80μm以上300μm以下の粒度を有するため、優れた硬度及び低い摩耗度を有する。その結果、本発明の粒度調整されたAPIを含む経口用製剤(錠剤)を製造するにあたり、裸錠のハンドリング及びコーティング工程で錠剤の磨耗の可能性を低下することにより、経口用製剤の生産性を高めることができるという利点がある。
【0038】
本発明の経口用製剤は、95%以上の優れた含量及び均一性を有し、崩壊時間も優れている。
【0039】
本発明の経口用製剤は、溶出媒質としてpH6.8の緩衝液900mlを使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、15分での溶出率が70%以上、30分での溶出率が85%以上、60分での溶出率が89%以上であって、D(0.9) 325μm以上のAPIを有する経口用製剤に比べて優れた溶出率を示す。
【0040】
また、本発明の経口用製剤は、溶出媒質としてpH6.8の緩衝液900 mlを使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、60分での溶出率が89%以上である。
【0041】
したがって、本発明の経口用製剤は優れた溶出率を有するので、生物学的利用能もこれを反映して優れると予想できる。
【0042】
本発明において、前記経口用製剤は、賦形剤として、薬学的に許容可能な希釈剤(diluent)、崩壊剤(disintegrant)、流動化剤(glidant)、滑沢剤(lubricant)などから選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む。
【0043】
前記希釈剤、崩壊剤、流動化剤及び滑沢剤などの賦形剤は、当該技術分野において通常使用されるものと公知されている任意のものを使用してもよい。前記希釈剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、30~50重量%、40~50重量%、または45~50重量%の含量で使用されてもよい。前記崩壊剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、1~10重量%または1~5重量%の範囲の含量で使用されてもよい。前記流動化剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、0.1~5重量%、0.2~3重量%、または0.3~2重量%の範囲の量で使用されてもよい。前記滑沢剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、0.1~10重量%、0.3~5重量%、または0.5~4重量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0044】
例えば、前記希釈剤は、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose; MCC)、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、乳糖、澱粉、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、F-melt、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記流動化剤は、タルク、二酸化ケイ素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0045】
前記経口用製剤は、1日1回投与することができ、毎日服用できる。
【0046】
前記経口用製剤に含まれるAPIの含有量は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、30~50重量%、35~50重量%、40~50重量%、45~50重量%、30~45重量%、35~45重量%、40~45重量%、30~40重量%、または35~40重量%である。
【0047】
前記APIは、単位剤形当たり、50~500mg、50~400mg、50~300mg、50~200mg、50~100mg、100~500mg、100~400mg、100~300mg、100~200mg、200~500mg、200~400mg、200~300mg、300~500mg、または300~400mgを含んでもよい。
【0048】
前記APIは、単位剤形当たり、例えば50mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mgまたは455mgを含んでもよい。
【0049】
本発明の製剤に含まれるAPIの含量は、95%~105%、96%~105%、97%~105%、98%~105%、99%~105%、100%~105%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、または99%~100%で含まれてもよい。また、前記APIの含量は、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上で含まれてもよく、105%以下、104%以下、103%以下、102%以下、101%以下、または100%以下で含まれてもよい。
【0050】
本発明の経口用製剤は、当該技術分野に公知の任意の方法で、前述したD(0.9)の粒度分布を有する1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択される活性製薬成分(API)を製造することができる。
【0051】
本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして、流動化剤を含む経口用製剤を用いたヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防するための薬学的組成物を提供する。
【0052】
本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして、流動化剤を含む経口用製剤を用いたヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防するための方法を提供する。
【0053】
本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして、ヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防するための薬学的組成物を製造するための用途を提供する。
【0054】
本発明の「ヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患」とは、ヒトキサンチンオキシダーゼを阻害することによって治療または予防できる疾患であり、例えば、高尿酸血症、通風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、糖尿病関連合併症、腎疾患、関節疾患、炎症性腸疾患などが挙げられるが、これらに限定されない。前記糖尿病関連合併症の例としては、高脂血症、動脈硬化、肥満、高血圧、網膜症、腎不全症などが挙げられる。
【0055】
前記「治療」とは、発病症状を示すオブジェクトに使用されるとき、疾患の進行を中断または遅延させることを意味し、前記「予防」とは、発病症状を示さないが、そういう危険性の高いオブジェクトに使用されたとき、発症兆候を中断または遅延させることを意味する。
【0056】
別途示さない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用されるすべての数字は、言及有無に関係なく、すべての場合に、用語「約」により修飾できるものと理解されるべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲に使用される精密な数値は、本開示内容の追加の実施態様を形成するものと理解されるべきである。実施例に開示された数値の精度を保証するための努力を傾けた。しかし、測定されたすべての数値は、内在的に、それぞれの測定手法で実測された標準偏差から生じる特定の誤差を含有する可能性がある。
【0057】
実施例及び比較例における各種評価は次の通り行った。
【0058】
[粒度の分析]
実施例及び比較例で使用されたAPIの粒度分布は、laser diffraction particle size analyzerを用いて乾式方法で測定した。ここで、D(0.1)、D(0.5)、D(0.9)は、測定した粒子を粒径が小さいものから大きいもの順に並べるとき、全体の粒子数のうち、それぞれ10%、50%、90%の順位に該当する粒子の粒径を意味する。
【0059】
[硬度・摩耗度の分析]
硬度および摩耗度は、打錠後の錠剤(裸錠)のハンドリングおよびコーティング工程における錠剤の摩耗などを予測できる指標として使用される。
【0060】
磨耗度試験の場合、約5gに近い量を取り、錠剤に付着している粉を除去し、質量を精密に測定した後、磨耗度試験機のドラムに入れる。ドラムを100回転させた後、錠剤を取り出して最初と同様に錠剤に付着している粉を除去した後、質量を精密に測定する。
摩耗度(%)=(試験前の質量-試験後の質量)/(試験前質量)×100
【0061】
硬度試験の場合、テーブル硬度計に錠剤1錠を入れて硬度を測定し、この方法で10錠を繰り返し、その平均硬度を使用する。
【0062】
[崩壊時間の分析]
崩壊時間は、剤形摂取後の体内での溶出及び吸収に影響を及ぼす指標である。
【0063】
崩壊試験機に精製水を十分に満たした後、37±2℃に合わせる。検体4錠を崩壊試験機のガラス各管にそれぞれ入れ、規定された方法で作動させ、錠剤が完全に崩壊して消える時点の時間をそれぞれ測定し、その平均値を使用する。
【0064】
[含量の分析]
製剤化された製剤の含量を評価するために含量試験を行った。含量は最終製品の重要な品質特性であり、裸錠のAPI平均含量を測定した。
【0065】
<分析条件>
移動相の調製:アセトニトリル(500ml)+精製水(500ml)+ TFA(1ml)
希釈液の調製:メタノール(900ml)+精製水(100ml)
標準液及び検液の調製:標準品及び検体を希釈液で完全に溶解した後、下記UPLC分析方法に従って分析する。
カラム: Waters CSH C18(2.1mm I.D. ×100mm L, Particle size 1.7μm)
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/H2O/TFA = 500/500/1(v/v/v)
流速:0.35ml/min
検出:258 nm uv
サンプル量:1μl
分析時間:6分
【0066】
[溶出率の分析]
大韓薬典第10改正溶出試験法によって下記実施例及び比較例の裸錠を溶出試験した。溶出法はパドル法を使用し、攪拌速度は50rpm、溶出温度は37±0.5℃で行った。溶出液はpH 6.8のリン酸塩緩衝液900mlで行った。
【0067】
分析条件は、前記溶出試験で得られた液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した液をUPLC法を用いてAPIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸の濃度を分析した。
【0068】
<分析条件>
分析条件は含量分析方法と同一である。
【0069】
[実施例及び比較例]
実施例及び比較例の錠剤は、下記表1に記載された成分を該当含有量で使用して製剤(裸錠)で製造した。
【0070】
それぞれの粒度分布を有する1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(API)及び流動化剤を混合(mixing)した後、ミーリング(milling)して第1の混合物を製造する。その後、第1の混合物に含まれない成分である希釈剤、崩壊剤及び滑沢剤を混合した後、ミーリングして第2の混合物を製造する。
【0071】
第1の混合物と第2の混合物を混合した後、ロータリー打錠機(Modul P, GEA, Belgium)を用いて、予圧:5.0kN、本圧:14~15kNの条件で打錠を行い、裸錠を製造する。
【0072】
滑沢剤として使用したPRUVは商品名であり、Sodium stearyl fumarate成分である。
【0073】
【表1】
【0074】
試験例1.粒度分布による製剤の特性分析
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸をAPIとして含む経口用製剤において、前記APIの粒度分布による物性を前述した分析方法により分析した。
【0075】
具体的には、表1に記載された成分を当該含有量で使用して製造された製剤(裸錠)の物性(硬度、摩耗度、崩壊時間、含量及び溶出率)を分析し、その結果を下記表2及び図1図2にまとめた。
【0076】
裸錠の硬度は粒度が減少するにつれて増加し、摩耗度はそれとは逆に粒度が増加するにつれて増加した。したがって、D(0.9)が325μm以上の場合(比較例1)、裸錠の硬度および摩耗度を勘案すると、錠剤として剤形化するには不適合であった(図1)。
【0077】
粒子分布による平均含量の差はなかった。しかし、溶出率の場合、比較例1の錠剤は15分、30分及び60分での平均溶出率が全て実施例1、2に比べて低い溶出率を示した(46.1%、59.4%、67.8%)。
【0078】
また、実施例1、2のいずれも比較的良好な溶出率を示すものの、実施例1、2は時間帯別に微差を示すが、15分の平均溶出率の場合、実施例1は78.5%、実施例2は71.8%として粒子が小さい実施例1の錠剤が多少高い平均溶出率を示すが、30分及び60分の溶出率では実施例2がより高い平均溶出率を示す。
【0079】
【表2】
【0080】
以上、本発明について好ましい実施例を主にして説明した。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形で具現できることを理解できるだろう。したがって、前記開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に表れており、それと同等の範囲内にあるすべての相違点は、本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択される活性製薬成分(API)を含む経口用製剤であって、前記APIは、粒度累積分布において、最大粒度に対して90%に相当する顆粒に対する粒度(D(0.9))が100μm以上300μm以下であり、
前記経口用製剤は、希釈剤、崩壊剤、流動化剤および滑沢剤から選択される少なくとも1つをさらに含み、
前記希釈剤は、微結晶セルロース、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、乳糖、澱粉、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記流動化剤は、タルク、二酸化ケイ素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、
前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、経口用製剤。
【請求項2】
前記APIのD(0.9)は120μm以上270μm以下である、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項3】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして30~55重量%である、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項4】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして40~50重量%である、請求項3に記載の経口用製剤。
【請求項5】
前記APIの含有量は、単位剤形当たり50mg、100mg、200mgまたは300mgである、請求項1に記載の経口用製剤。
【国際調査報告】