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特表2024-512124エアロゲルブランケットの製造装置および製造方法
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  • 特表-エアロゲルブランケットの製造装置および製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-18
(54)【発明の名称】エアロゲルブランケットの製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/16 20060101AFI20240311BHJP
【FI】
C01B33/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560165
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 KR2022007468
(87)【国際公開番号】W WO2022255724
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0070447
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミ・リ・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウ・パク
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウォン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】キュン・シル・オ
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA28
4G072BB04
4G072BB15
4G072CC08
4G072GG03
4G072GG04
4G072HH30
4G072LL07
4G072LL11
4G072MM31
4G072PP01
4G072RR12
4G072UU30
(57)【要約】
本発明は、エアロゲルブランケットの製造装置およびエアロゲルブランケットの製造方法に関し、本発明によるエアロゲルブランケットの製造装置は、エアロゲルブランケットの製造装置であって、ゾル(sol)を含有した繊維を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記繊維を移動させるコンベアベルトとを含み、前記コンベアベルトは、多段に備えられ、前記繊維を反転させながら移動させ、前記コンベアベルトが前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾル(sol)の流動性が完全に無くなる前に行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゲルブランケットの製造装置であって、
ゾル(sol)を含有した繊維を供給する供給部と、
前記供給部から供給される前記繊維を移動させるコンベアベルトとを含み、
前記コンベアベルトは、多段に備えられ、前記繊維を反転させながら移動させ、
前記コンベアベルトが前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾル(sol)の流動性が完全に無くなる前に行われる、エアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項2】
前記コンベアベルトが前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾル(sol)の流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前である、請求項1に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項3】
前記コンベアベルトは、上下方向に2段~5段に配置される、請求項1に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項4】
多段に備えられた前記コンベアベルトは、上下方向に配置され、この際、それぞれ水平に配置される、請求項1に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項5】
多段に備えられた前記コンベアベルトのうち少なくとも1段以上のコンベアベルトは、一側部または他側部が上部に屈曲した形態に備えられる、請求項1に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項6】
多段に備えられた前記コンベアベルトは、一側部および他側部が中央部に対して上側に交互にベンディングされた形態に備えられる、請求項5に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項7】
前記コンベアベルトの下側の角と所定の間隔離隔した距離に位置し、前記繊維の移動をガイドするガイド部をさらに含む、請求項1に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項8】
前記ガイド部は、前記コンベアベルトと対応する形態に形成され、前記繊維の下面と接触する、請求項7に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項9】
前記ガイド部は、前記繊維と接触する接触部および前記接触部を支持する支持部を含み、
前記接触部は、ラウンド状に形成される、請求項7に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項10】
前記コンベアベルト上に位置し、前記繊維に熱を加えるヒータ部をさらに含む、請求項1に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項11】
前記コンベアベルトを収容し、前記コンベアベルトを介して移動する前記繊維を保温する保温カバー部をさらに含む、請求項10に記載のエアロゲルブランケットの製造装置。
【請求項12】
エアロゲルブランケットの製造方法であって、
ゾル(sol)を含有した繊維を供給する供給ステップと、
前記供給ステップにより供給される前記繊維をコンベアベルトを介して移動させる移動ステップとを含み、
前記移動ステップにおいて、前記コンベアベルトは、多段に備えられ、前記繊維を反転させながら移動させ、
前記移動ステップにおいて、前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾルの流動性が完全に無くなる前に行われる、エアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項13】
前記移動ステップにおいて、前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾル(sol)の流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前に行われる、請求項12に記載のエアロゲルブランケットの製造方法。
【請求項14】
前記移動ステップは、前記繊維を1回~4回反転させる、請求項12に記載のエアロゲルブランケットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月31日付けの韓国特許出願第10-2021-0070447号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、エアロゲルブランケットの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロゲル(aerogel)は、ナノ粒子で構成された高多孔性物質として、高い気孔率と比表面積、および低い熱伝導度を有して、高効率の断熱材、防音材などの用途として注目されている。このようなエアロゲルは、多孔性構造によって非常に低い機械的強度を有することから、既存の断熱繊維である無機繊維または有機繊維などの繊維状ブランケットにエアロゲルを含浸して結合したエアロゲル複合体が開発されている。一例として、シリカエアロゲルを用いたシリカエアロゲル含有ブランケットの場合、シリカゾルの製造工程、ゲル化工程、熟成(Aging)工程、表面改質工程および乾燥工程により製造される。
【0004】
ここで、繊維をシリカが含まれたゾル(sol)液体に含浸して移動させる時に、ゾルが含浸された繊維は、ゲル(gel)化する前に低い粘度のゾルが繊維の下方に沈み込む。
【0005】
これにより、繊維の上面と下面に位置したゾルの含浸量の差が発生して、不均一な断面が形成される問題がある。ここで、繊維の上面が露出して表面撥水度の低下が生じる。
【0006】
特に、重量が重い添加剤の場合、ゲル化(gelation)途中にゾル(sol)の底部に沈み込んで層を形成する。これにより、ダスト(dust)の発生がひどくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2011-0125773号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一つの観点は、繊維にゾルが均一に含浸されることができるエアロゲルブランケットの製造装置および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置は、エアロゲルブランケットの製造装置であって、ゾル(sol)を含有した繊維を供給する供給部と、前記供給部から供給される前記繊維を移動させるコンベアベルトとを含み、前記コンベアベルトは、多段に備えられ、前記繊維を反転させながら移動させ、前記コンベアベルトが前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾル(sol)の流動性が完全に無くなる前に行われることができる。
【0010】
一方、本発明の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法は、エアロゲルブランケットの製造方法であって、ゾル(sol)を含有した繊維を供給する供給ステップと、前記供給ステップにより供給される前記繊維をコンベアベルトを介して移動させる移動ステップとを含み、前記移動ステップにおいて、前記コンベアベルトは、多段に備えられ、前記繊維を反転させながら移動させ、前記移動ステップにおいて、前記繊維を反転させる開始時点は、前記ゾルの流動性が完全に無くなる前に行われることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、繊維を移動させるコンベアベルトを多段に配置して、繊維を反転させながら移動させることができ、ゾルが繊維に均一に含浸されることができる。
【0012】
なお、繊維を移動させるコンベアベルトを上下方向に対して多段に配置して、コンベアベルトが占める水平空間を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置を例示的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置においてガイド部の設置部分を拡大して示す正面図である。
図3】本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置を例示的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、特定の利点および新規の特徴は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明と好ましい実施形態からより明白になる。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付けるに際し、同じ構成要素に限っては、異なる図面上に表示されていても、できるだけ同じ番号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明は、様々な相違する形態に実現されることができ、ここで説明する実施形態に限定されない。また、本発明を説明するに際し、本発明の要旨を不明瞭にし得る関連する公知の技術に関する詳細な説明は省略する。
【0015】
一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置
図1は、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置を例示的に示す正面図である。
【0016】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置100は、エアロゲルブランケットの製造装置100であって、ゾル(sol)を含有した繊維10を供給する供給部Sと、供給部Sから供給される繊維10を移動させるコンベアベルト130とを含み、コンベアベルト130は、多段に備えられて、繊維10を反転させながら移動させる。また、本発明の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置100は、ガイド部141、142、143、144と、ヒータ部150と、保温カバー部160とをさらに含むことができる。
【0017】
より詳細には、供給部Sは、ゾル(sol)を含有した繊維を供給することができる。ここで、供給部Sは、ゾル(sol)に含浸された繊維10をコンベアベルト130に移動可能に供給することができる。
【0018】
供給部Sは、繊維10をかみ合って移動させる一対の移動ローラ110と、繊維10がゾル(sol)に含浸するようにする含浸部120とを含むことができる。
【0019】
一対の移動ローラ110は、第1ローラ111および第2ローラ112を含むことができる。ここで、一対の移動ローラ110は、互いに対向する方向に回転し、対向するローラの間に繊維10を通過させながら移動させることができる。すなわち、供給ステップは、第1ローラ111と第2ローラ112との間に繊維10を通過させながら移動させることができる。
【0020】
含浸部120は、繊維10にゾル(sol)を噴射して繊維10をゾルに含浸させることができる。ここで、含浸部120は、一対の移動ローラ110の上側に位置し、一対の移動ローラ110の間に注入される繊維10の上部にゾルを噴射して、一対の移動ローラ110の間の空間までゾルが流れ落ちるようにすることができる。
【0021】
しかし、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置100の含浸部120がゾルを噴射して繊維10をゾルに含浸させることに必ずしも限定されるものではなく、様々な含浸手段が使用されることができ、例えば、ゾルを収容された含浸容器に繊維10を通過させながら繊維10にゾルが含浸するようにすることができる。
【0022】
ゾル(sol)は、例えば、シリカゾル(Silica sol)および添加剤が含まれた前駆体溶液で構成されることができる。
【0023】
シリカゾルは、例えば、TEOS(tetraethyl orthosilicate、エチルシリケート)、エタノール、HO、および塩化水素(HCL)を混合して製造することができる。
【0024】
添加剤は、例えば、難燃剤および不透明化剤などを含むことができる。
【0025】
一方、ゾルには、繊維に含浸されたゾルのゲル化を誘導する塩基触媒がさらに含まれることができる。
【0026】
ここで、塩基触媒によりゲルタイム(Gel time)が所定の時間になるようにすることができる。
【0027】
ここで、塩基触媒は、例えば、NaOH(水酸化ナトリウム、sodium hydroxide)であることができるが、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置100に使用される塩基触媒の種類がNaOHに必ずしも限定されるものではない。
【0028】
また、塩基触媒は、例えば、ゾルのPHが6~8になるように使用することができる。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置においてガイド部の設置部分を拡大して示す正面図である。
【0030】
図1および図2を参照すると、コンベアベルト130は、多段に備えられて供給部Sから供給される繊維10を反転させながら移動させることができる。
【0031】
ここで、コンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、ゾルの流動性が完全に無くなる前に行われることができる。
【0032】
また、コンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、ゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前であることができる。ここで、ゾルの流動性が完全に無くなる時点とは、液状のゾルのゲル化(gelation)が完了する時点であることができる。ここで、コンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、繊維10がゾルに含浸された後、9分が経過する前であることができる。
【0033】
一方、多段に構成されたコンベアベルト130において、それぞれのコンベアベルト130は、複数個のローラ131a、131b、132bと、複数個のローラ131a、131b、132bに装着されたベルト(belt)とを含むことができる。
【0034】
また、多段に備えられたコンベアベルト130は、それぞれ水平に配置されることができる。
【0035】
なお、コンベアベルト130は、上下方向に、2~5段に配置されることができる。ここで、コンベアベルト130は、上下方向に2段以上備えられて繊維10を反転させることができ、5段以下に備えられて装置が無駄に複雑になることを防止し、過剰な空間を占めて空間効率性が低下することを防止することができる。
【0036】
一方、コンベアベルト130は、一例として、2段に備えられる時に、第1コンベアベルト131と、第2コンベアベルト132とを含むことができる。
【0037】
また、コンベアベルト130は、他の例として、5段に備えられる時に、第1コンベアベルト131と、第2コンベアベルト132と、第3コンベアベルト133と、第4コンベアベルト134と、第5コンベアベルト135とを含むことができる。
【0038】
ガイド部141、142、143、144は、コンベアベルト130の下側の角と所定の間隔離隔した距離に位置して繊維10の移動をガイドすることができる。ここで、ガイド部141、142、143、144は、コンベアベルト130の端部で反転する繊維10から離脱して下部に落下するゾルを繊維10に再吸収させることができる。すなわち、例えば、多段のコンベアベルト130において上段に位置する第1コンベアベルト131の端部を通過しながら繊維10が反転する時に離脱して下部に落下するゾルをガイド部141、142、143、144が下端に位置した第2コンベアベルト132の上部に流し込むようになり、第2コンベアベルト132を通過する繊維10の部分に再吸収することができる。
【0039】
また、ガイド部141、142、143、144は、コンベアベルト130と対応する形態に形成され、繊維10の下面と接触することができる。
【0040】
なお、ガイド部141、142、143、144は、繊維10と接触する接触部141aと、接触部141aを支持する支持部141bとを含み、接触部141aは、ラウンド状に形成されることができる。ここで、接触部141aの下部は、下端に位置するコンベアベルト130の上部に向かって備えられることができる。
【0041】
ヒータ部150は、コンベアベルト130上に位置して、繊維10に熱を加えることができる。これにより、繊維10に含浸されたゾルのゲル化が促進されることができる。
【0042】
保温カバー部160は、コンベアベルト130を収容し、コンベアベルト130を介して移動する繊維10を保温することができる。これにより、ヒータ部150を介して繊維10に加えられる熱の損失を防止し、繊維10に均一に熱が伝わるようにすることができる。
【0043】
一方、繊維10に含浸されたゾルは、コンベアベルト130を通過しながら時間が経過するにつれてゲル化することができる。次に、ゾルのゲル化が完了した繊維10は、コンベアベルト130を通過して巻き取りロールに巻き取られることができる。
【0044】
前記のように構成された本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置100は、繊維10を移動させるコンベアベルト130を多段に配置して、繊維10を反転させながら移動させることができ、ゾルが繊維10の両面に均一に含浸されることができ、製品均一度が増加する効果がある。また、ダスト(Dust)の発生が約80%減少することができ、表面水分含浸率が50%以下に低下して表面撥水度が向上し、撥水性を維持することができる。
【0045】
なお、繊維10を移動させるコンベアベルト130を上下方向に対して多段に配置して、コンベアベルト130が占める水平空間を減少させることができ、空間効率性が高い効果がある。
【0046】
他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置
図3は、本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置を例示的に示す正面図である。
【0047】
図3を参照すると、本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置200は、エアロゲルブランケットの製造装置200であって、ゾルに含浸された繊維10を供給する供給部Sと、供給部Sから供給される繊維10を移動させるコンベアベルト230とを含み、コンベアベルト230は、多段に備えられて繊維10を反転させながら移動させる。また、本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置200は、ガイド部141と、142、143、144と、ヒータ部150と、保温カバー部160とをさらに含むことができる。
【0048】
本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置200は、上述の本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置と比較して、コンベアベルト230の両側部が屈曲状の形態に備えられる差がある。したがって、本エアロゲルブランケットの製造装置200に対する他の実施形態は、上述の実施形態と重複する内容は省略するか簡単に記述し、差異を中心に記述する。
【0049】
より詳細には、コンベアベルト230は、多段に備えられて、供給部Sから供給される繊維10を反転させながら移動させることができる。
【0050】
ここで、コンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、ゾルの流動性が完全に無くなる前に行われることができる。
【0051】
また、コンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、ゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前であることができる。ここで、ゾルの流動性が完全に無くなる時点とは、液状のゾルのゲル化(gelation)が完了する時点であることができる。ここで、コンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、繊維10がゾルに含浸された後、9分が経過する前であることができる。
【0052】
なお、コンベアベルト230は、上下方向に2~5段に配置されることができる。
【0053】
ここで、多段に構成されたコンベアベルト230において、それぞれのコンベアベルト230は、複数個のローラと、複数個のローラに装着されたベルトとを含むことができる。
【0054】
また、多段に備えられたコンベアベルト230のうち少なくとも1段以上のコンベアベルト230は、一側部または他側部が上部に屈曲した形態に備えられることができる。ここで、多段に備えられたコンベアベルト230は、一側部および他側部が中央部に対して上側に交互にベンディング(Bending)された形態に備えられることができる。ここで、例えば、コンベアベルト230の一側部は、コンベアベルト230において一側O方向の端部であり、他側部は、コンベアベルト230において他側I方向の端部であることができる。すなわち、コンベアベルト230の一側部または他側部は、例えば、図3を参照すると、右側端部および左側端部であることができる。また、多段コンベアベルト230において上部にベンディングされた一側部および他側部は、上端に位置したコンベアベルト230の端部よりさらに延長形成されることができる。すなわち、コンベアベルト230のベンディング部分が延長形成されることができる。
【0055】
これにより、多段コンベアベルト230において上側に位置するコンベアベルト230の端部で反転される繊維10から離脱するゾルは、下側に備えられたコンベアベルト230の上面に落下し、下側に備えられたコンベアベルト230を通過する繊維10の部分に再吸収されることができる。
【0056】
一方、コンベアベルト230は、一例として、2段に備えられる時に、第1コンベアベルト231と、第2コンベアベルト232とを含むことができる。ここで、2段に備えられたコンベアベルト230において最上側に位置した第1コンベアベルト231は、水平に位置し、第1コンベアベルト231の下部に位置した第2コンベアベルト232は、一側部が上部にベンディングされた形態に備えられることができる。また、コンベアベルト230は、他の例として、5段に備えられる時に、第1コンベアベルト231と、第2コンベアベルト232と、第3コンベアベルト233と、第4コンベアベルト234と、第5コンベアベルト235とを含むことができる。ここで、5段に備えられたコンベアベルト230において最上側に位置した第1コンベアベルト231は、水平に位置し、第1コンベアベルト231の下部に位置した第2コンベアベルト232は、一側部が上部にベンディングされた形態に備えられ、第2コンベアベルト232の下部に位置した第3コンベアベルト233は、他側部が上部にベンディングされた形態に備えられ、第3コンベアベルト233の下部に位置した第4コンベアベルト234は、一側部が上部にベンディングされた形態に備えられ、第4コンベアベルト234の下部に位置した第5コンベアベルト235は、他側部が上部にベンディングされた形態に備えられることができる。
【0057】
ガイド部141、142、143、144は、コンベアベルト230の下側の角と所定の間隔離隔した距離に位置して繊維10の移動をガイドすることができる。ここで、ガイド部141、142、143、144は、コンベアベルト230の端部で反転される繊維10から離脱して下部に落下するゾルを繊維10に再吸収させることができる。
【0058】
一方、繊維10に含浸されたゾルは、コンベアベルト230を通過しながら時間が経過するにつれてゲル化することができる。次に、ゾルがゲル化が完了した繊維10は、コンベアベルト230を通過して巻き取りロール270に巻き取られることができる。
【0059】
一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法
以下、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法について説明する。
【0060】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法は、エアロゲルブランケットの製造方法であって、ゾル(sol)を含有した繊維10を供給する供給ステップと、供給ステップにより供給される繊維10をコンベアベルト130を介して移動させる移動ステップとを含み、移動ステップにおいて、コンベアベルト130は、多段に備えられて繊維10を反転させながら移動させることができる。また、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法において、移動ステップは、ガイド工程およびヒーティング工程を含むことができる。
【0061】
本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法は、上述の本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置によりエアロゲルブランケットを製造する方法である。したがって、本エアロゲルブランケットの製造方法に対する実施形態は、上述のエアロゲルブランケットの製造装置に関する一実施形態と重複する内容は省略するか簡単に記述し、差異を中心に記述する。
【0062】
より詳細には、供給ステップは、ゾル(sol)を含有した繊維10を供給することができる。ここで、供給ステップは、ゾルに含浸された繊維10を供給部Sを介してコンベアベルト130に移動可能に供給することができる。
【0063】
供給部Sは、繊維10をかみ合って移動させる一対の移動ローラ110と、繊維10がゾルに含浸するようにする含浸部120とを含むことができる。
【0064】
一対の移動ローラ110は、第1ローラ111と、第2ローラ112とを含むことができる。ここで、一対の移動ローラ110は、互いに対向する方向に回転し、対向するローラの間に繊維10を通過させながら移動させることができる。すなわち、供給ステップは、第1ローラ111と第2ローラ112との間に繊維10を通過させながら移動させることができる。
【0065】
また、供給ステップは、例えば、含浸部120を介して繊維10にゾルを噴射して繊維10をゾルに含浸させることができる。ここで、供給ステップは、含浸部120を一対の移動ローラ110の上側に位置させ、一対の移動ローラ110の間に注入される繊維10の上部にゾルを噴射して、一対の移動ローラ110の間の空間までゾルが流れ落ちるようにすることができる。しかし、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法において、含浸部120がゾルを噴射して繊維10をゾルに含浸させることに必ずしも限定されるものではなく、様々な含浸方法が使用されることができ、例えば、ゾルを収容された含浸容器に繊維10を通過させながら繊維10にゾルが含浸するようにすることができる。
【0066】
ゾル(sol)は、例えば、シリカゾル(Silica sol)および添加剤が含まれた前駆体溶液で構成されることができる。
【0067】
シリカゾルは、例えば、TEOS(tetraethyl orthosilicate、エチルシリケート)、エタノール、HO、および塩化水素(HCL)を混合して製造することができる。
【0068】
添加剤は、例えば、難燃剤および不透明化剤などを含むことができる。
【0069】
一方、ゾルは、繊維に含浸されたゾルのゲル化を誘導する塩基触媒がさらに含まれることができる。
【0070】
ここで、塩基触媒を介してゲルタイム(Gel time)が所定の時間になるようにすることができる。
【0071】
ここで、塩基触媒は、例えば、NaOH(水酸化ナトリウム、sodium hydroxide)であることができるが、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造装置100に使用される塩基触媒の種類がNaOHに必ずしも限定されるものではない。
【0072】
また、塩基触媒は、例えば、ゾルのPH7~9になるように使用することができる。
【0073】
移動ステップは、供給ステップにより供給される繊維10をコンベアベルト130を介して移動させることができる。
【0074】
また、移動ステップでコンベアベルト130は、多段に備えられて繊維10を反転させながら移動させることができる。
【0075】
ここで、移動ステップにおいて、繊維10を反転させる開始時点は、ゾルの流動性が完全に無くなる前に行われることができる。
【0076】
なお、移動ステップにおいて、コンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、ゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分30秒~30秒前であることができる。ここで、移動ステップにおいて、繊維10を反転させる開始時点は、具体的には、例えば、ゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前に行われることができる。ここで、ゾルの流動性が完全に無くなる時点とは、液状のゾルのゲル化(gelation)が完了する時点であることができる。これにより、移動ステップにおいて、繊維10を反転させる開始時点がゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前に行われて、繊維10の両面にゾルが均一に浸透するようにすることができる。
【0077】
一方、移動ステップにおいてコンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、繊維10がゾルに含浸された後、9分が経過する前であることができる。ここで、移動ステップにおいてコンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、繊維10がゾルに含浸された後、7分が経過する前であることができる。ここで、移動ステップにおいてコンベアベルト130が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、繊維10がゾルに含浸された後、4分が経過する前であることができる。
【0078】
一方、移動ステップにおいてコンベアベルト130が繊維10を反転させる最後の時点は、例えば、20~30分内であることができる。
【0079】
一方、多段に構成されたコンベアベルト130において、それぞれのコンベアベルト130は、複数個のローラ131a、131b、132bと、複数個のローラ131a、131b、132bに装着されたベルト(belt)とを含むことができる。
【0080】
また、多段に備えられたコンベアベルト130は、それぞれ水平に配置されることができる。
【0081】
なお、コンベアベルト130は、上下方向に2~5段に配置されることができる。
【0082】
なお、移動ステップは、繊維10を1~4回反転させることができる。
【0083】
一方、移動ステップは、ガイド工程と、ヒーティング工程とを含むことができる。
【0084】
ガイド工程は、ガイド部141、142、143、144をコンベアベルト130の下側の角と所定の間隔離隔した距離に位置させて繊維10の移動をガイドすることができる。
【0085】
ここで、ガイド工程は、ガイド部141、142、143、144を介してコンベアベルト130の端部で反転する繊維10から離脱して下部に落下するゾルを繊維10に再吸収させることができる。
【0086】
ヒーティング工程は、ヒータ部150をコンベアベルト130上に位置させて繊維10に熱を加えることができる。これにより、繊維10に含浸されたゾルのゲル化が促進されることができる。
【0087】
一方、移動ステップにおいて保温カバー部160をコンベアベルト130が収容されるように位置させて、コンベアベルト130を介して移動する繊維10を保温することができる。これにより、ヒーティング工程においてヒータ部150を介して繊維10に加えられる熱の損失を防止し、繊維10に均一に熱が伝わるようにすることができる。
【0088】
一方、移動ステップで繊維10に含浸されたゾルは、コンベアベルト130を通過しながら時間が経過するにつれてゲル化することができる。すなわち、移動ステップは、ゲル化工程を含むことができる。
【0089】
一方、本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法は、移動ステップの後、ゾルがゲル化が完了した繊維10は、コンベアベルト130を通過して巻き取りロールに巻き取られる巻取ステップをさらに含むことができる。
【0090】
他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法
図3を参照すると、本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法は、エアロゲルブランケットの製造方法であって、ゾル(sol)を含有した繊維10を供給する供給ステップと、供給ステップにより供給される繊維10をコンベアベルト230を介して移動させる移動ステップとを含み、移動ステップでコンベアベルト230は、多段に備えられて繊維10を反転させながら移動させることができる。また、本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法において、移動ステップは、ガイド工程と、ヒーティング工程とを含むことができる。
【0091】
本発明の他の実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法は、上述の本発明の一実施形態によるエアロゲルブランケットの製造方法と比較して、移動ステップにおいてコンベアベルト230の両側部が屈曲状の形態に備えられる差がある。したがって、本エアロゲルブランケットの製造方法に関する他の実施形態は、上述の実施形態と重複する内容は省略するか簡単に記述し、差異を中心に記述する。
【0092】
より詳細には、移動ステップは、供給ステップにより供給される繊維10をコンベアベルト130を介して移動させることができる。
【0093】
また、移動ステップにおいてコンベアベルト230は、多段に備えられて供給部Sから供給される繊維10を反転させながら移動させることができる。
【0094】
ここで、移動ステップにおいて、コンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、ゾルの流動性が完全に無くなる前に行われることができる。
【0095】
また、移動ステップにおいて、コンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、ゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分30秒~30秒前であることができる。ここで、移動ステップにおいてコンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、具体的には、例えば、ゾルの流動性が完全に無くなる時点から1分(min)前であることができる。
【0096】
ここで、ゾルの流動性が完全に無くなる時点とは、液状のゾルのゲル化(gelation)が完了する時点であることができる。ここで、コンベアベルト230が繊維10を反転させる開始時点は、例えば、繊維10がゾルに含浸された後、9分が経過する前であることができる。
【0097】
なお、コンベアベルト230は、上下方向に2~5段に配置されることができる。
【0098】
ここで、多段に構成されたコンベアベルト230において、それぞれのコンベアベルト230は、複数個のローラと、複数個のローラに装着されたベルトとを含むことができる。
【0099】
また、多段に備えられたコンベアベルト230のうち少なくとも1段以上のコンベアベルト230は、一側部または他側部が上部に屈曲した形態に備えられることができる。ここで、多段に備えられたコンベアベルト230は、一側部および他側部が中央部に対して上側に交互にベンディングされた形態に備えられることができる。また、多段コンベアベルト230において上部にベンディングされた一側部および他側部は、上端に位置したコンベアベルト230の端部よりさらに延長形成されることができる。すなわち、コンベアベルト230のベンディング部分が延長形成されることができる。これにより、移動ステップにおいて多段コンベアベルト230のうち上側に位置するコンベアベルト230の端部で反転する繊維10から離脱するゾルは、下側に備えられたコンベアベルト230の上面に落下し、下側に備えられたコンベアベルト230を通過する繊維10部分に再吸収されることができる。
【0100】
<実施例1>
シリカゾル(Silica sol)および添加剤が含まれた前駆体溶液であるゾル(sol)溶液を製造した。ここで、TEOS(tetraethyl orthosilicate)、エタノール、HO、およびHCLを混合してシリカゾル(Silica sol)を製造し、電極体溶液に難燃剤および不透明化剤などの添加剤を投入した。
【0101】
ゲルタイム(Gel time)が10分になるように、触媒を前駆体溶液に投入した。
【0102】
繊維にゾルを含浸(浸漬)した後、コンベアベルトの上で繊維の総滞留時間を20分に仮定し、3段コンベアベルトで2回繊維を7分、14分に覆した。
【0103】
次に、エージング(aging)過程、疎水化表面改質過程、超臨界乾燥過程を経てエアロゲルブランケットを製造した。
【0104】
<実施例2>
繊維にゾル(sol)溶液浸漬後、4段コンベアベルトで繊維を5分、10分、15分に3回覆した以外は、実施例1と同一過程を行った。
【0105】
<実施例3>
繊維にゾル(sol)溶液浸漬後、5段コンベアベルトで繊維を4分、8分、12、16分に4回覆した以外は、実施例1と同一過程を行った。
【0106】
<比較例1>
繊維にゾル(sol)溶液浸漬後、コンベアベルトの上で繊維を覆していない以外は、実施例1と同一過程を行った。
【0107】
<比較例2>
繊維にゾル(sol)溶液浸漬後、2段コンベアベルトの上で繊維を10分に1回覆した以外は、実施例1と同一過程を行った。
【0108】
<実験例1>
実施例および比較例により製造されたエアロゲルブランケットの熱伝導度、水分含浸率、ダストを測定した。
【0109】
熱伝導度は、HFM 436(Netzsch社製)装置を用いて、常温(25℃)で測定した。
【0110】
水分含浸率は、ASTMC1511に準じて行った。
【0111】
ダストは、試験片サイズ100*100mm、24Hz、上下振幅3mm、12hr振動後、重量の変化測定をした。
【0112】
実験例1の実験により測定された熱伝導度、水分含浸率、ダストは、下記表1に示した。
【0113】
【表1】
【0114】
表1を参照すると、実施例1~3は、水分含浸率が5~7(wt%)に過ぎないのに対し、比較例1および2は、水分含浸率が11~12(wt%)と高いことが分かる。すなわち、実施例1~3は、比較例1および2よりもエアロゲルブランケットの撥水性が著しく優れていることが分かる。また、実施例1~3は、ダストが0.17~0.22(wt%)に過ぎないのに対し、比較例1および2は、ダストが1.1~1.3(wt%)と著しく高いことが分かる。すなわち、実施例1~3は、比較例1および2よりもダスト(dust)の発生が著しく低いことが分かる。つまり、繊維を覆していない比較例1および最初繊維を覆す時点がゲルタイム(Gel time、solの流動性が完全に無くなる時点)後である比較例2の場合、物性の改善効果がほとんどないことが分かる。
【0115】
以上、本発明について具体的な実施例により詳細に説明しているが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであって、本発明は、これに限定されない。本発明の技術的思想内で当該分野において通常の知識を有する者によって様々な実施が可能であると言える。
【0116】
また、発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって明確になる。
【符号の説明】
【0117】
10 繊維
100、200 エアロゲルブランケットの製造装置
110 一対の移動ローラ
111 第1ロール
112 第2ロール
120 含浸部
130 コンベアベルト
131a、131b、132b ローラ
141、142、143、144 ガイド部
141a 接触部
141b 支持部
150 ヒータ部
160 保温カバー部
S 供給部
図1
図2
図3
【国際調査報告】