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特表2024-513034リソグラフィ装置用パターニング装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】リソグラフィ装置用パターニング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/42 20120101AFI20240313BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240313BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20240313BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20240313BHJP
   G03F 1/70 20120101ALI20240313BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G03F1/42
G03F7/20 521
G03F7/20 503
G03F1/84
G03F1/24
G03F1/70
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560457
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022056003
(87)【国際公開番号】W WO2022207259
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】21166726.6
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ケルクホフ、マルクス、アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BE03
2H195BE04
2H195BE05
2H195BE07
2H195BE08
2H195CA09
2H197AA10
2H197BA04
2H197BA11
2H197CA10
2H197DC16
2H197EB22
2H197EB25
2H197EB27
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
【解決手段】パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスである。パターニングデバイスは、リソグラフィ装置の走査方向に平行に延びる対向する第1の辺と、リソグラフィ装置の走査方向に垂直に延びる対向する第2の辺とを有するイメージング領域と、イメージング領域の少なくとも1つの第2の辺に隣接して配置される少なくとも1つのセンシングマークと、を備える。少なくとも1つのセンシングマークは、イメージング領域の前記少なくとも1つの第2の辺から前記走査方向に所定の距離だけ離れて位置し、基板上に投影されたときに少なくとも1つのセンシングマークが基板上のスクライブライン内に収まるように、走査方向に幅が延在している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスであって、
前記リソグラフィ装置の走査方向に平行に延在する対向する第1の辺と、走査方向に垂直に延在する対向する第2の辺とを有するイメージング領域と、
前記イメージング領域の少なくとも1つの第2の辺に隣接して配置される少なくとも1つのセンシングマークと、を備え、
前記少なくとも1つのセンシングマークは、前記イメージング領域の前記少なくとも1つの第2の辺から前記走査方向に所定の距離だけ離れて位置し、前記基板上に投影されたときに前記少なくとも1つのセンシングマークが前記基板上のスクライブライン内に収まるように、前記走査方向に幅が延在している、パターニングデバイス。
【請求項2】
前記走査方向における前記所定の距離は、前記イメージング領域に隣接するブラックボーダの前記走査方向における幅および実質的に3mmのうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のパターニングデバイス。
【請求項3】
前記センシングマークの前記走査方向の幅は、200ミクロン未満および400ミクロン未満のうちの少なくとも1つである、請求項1または2に記載のパターニングデバイス。
【請求項4】
前記センシングマークはアライメントマークを含む、請求項1から3のいずれかに記載のパターニングデバイス。
【請求項5】
前記アライメントマークは、透過型イメージセンサ、TIS、アライメントマークを含む、請求項4に記載のパターニングデバイス。
【請求項6】
前記アライメントマークは、yおよびx微細アライメントマークを含む、請求項4または5に記載のパターニングデバイス。
【請求項7】
前記アライメントマークは、少なくとも1つの粗アライメントマークを備え、前記少なくとも1つの粗アライメントマークは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に配置される、請求項4から6のいずれかに記載のパターニングデバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの基準アライメントマークをさらに備え、前記少なくとも1つの基準アライメントマークは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に配置される、請求項4から7のいずれかに記載のパターニングデバイス。
【請求項9】
パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置であって、放射ビームを調整するように構成された照明システムを備え、前記照明システムは、前記放射ビームを前記パターニングデバイス上に投影するように構成され、請求項1から8のいずれかに記載のパターニングデバイスを備えるリソグラフィ装置。
【請求項10】
少なくとも1つのセンシングマークが基板上のスクライブライン内に収まるように、請求項1から8のいずれかに記載のパターニングデバイス上の少なくとも1つのセンシングマークを基板上に投影する方法。
【請求項11】
パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスであって、
前記リソグラフィ装置の走査方向に平行に延びる対向する第1の辺と、前記走査方向に垂直に延びる対向する第2の辺とを有するイメージング領域を備え、
前記イメージング領域は、前記イメージング領域の前記第2の辺の一方と前記パターニングデバイスの隣接エッジとの間の第1の間隔が、前記イメージング領域の前記第2の辺の他方と前記パターニングデバイスの対向する隣接エッジとの間の第2の間隔よりも小さくなるように、前記走査方向においてパターニングデバイス中心に対してシフトされる、パターニングデバイス。
【請求項12】
前記第1の間隔は、0.4mm~10mmの範囲内、および5mm~10mmの範囲内のうちの少なくとも1つである、請求項11に記載のパターニングデバイス。
【請求項13】
前記第1の間隔は約5mmである、請求項12に記載のパターニングデバイス。
【請求項14】
前記パターニングデバイスは、前記走査方向に別のパターニングデバイスに隣接して配置され、前記パターニングデバイスの隣接エッジは、2つのそれぞれのイメージング領域の間の距離が、それぞれのパターニングデバイスの前記第1の間隔を合計したものに等しくなるように、互いに接触している、請求項11から13のいずれかに記載のパターニングデバイス。
【請求項15】
吸収体の堆積前にパターニングデバイスブランクの高解像度反射率測定を使用して、局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度フィーチャに補正を適用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年4月1日に出願された欧州特許出願第21166726.6号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、リソグラフィ装置用パターニングデバイスに関し、より詳細には、センシングマークを備えるパターニングデバイスおよびその動作方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に与えるよう構成される機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばレチクルまたはマスク)のパターンを基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影させ得る。
【0004】
基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用する場合がある。この放射の波長によって、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。4-20nmの範囲内、例えば6.7nmまたは13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を用いるリソグラフィ装置は、例えば波長193nmの放射を用いるリソグラフィ装置より小さなフィーチャを基板上に形成するために用いられ得る。
【0005】
EUVレチクルのイメージング領域は、中央を中心として104×132mm(走査方向に垂直なX方向、Y走査方向)であり得る。その周囲に、X方向に2mm、Y方向に3mmのブラックボーダ(blackborder)があり得る。
【0006】
レチクルアライメントマーク用の領域は、X方向に平行な画像フィールドの対向側に確保され、さらに、いわゆるレチクル形状補正(RSC:Reticle Shape Correction)マーク用の追加領域がY方向に平行な画像フィールドの対向側に確保される。
【0007】
NA(開口数)=0.33の場合、これは全フィールドに相当する。しかし、NA=0.55の場合、これは半フィールドのみに相当し、顧客の設計の柔軟性が制限され、リソグラフィ装置の実効スループットに影響を与える(ステッピングとターンアラウンドにより多くの時間を費やす必要がある)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術に関連する1つまたは複数の問題を克服または軽減する装置および方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスが提供される。パターニングデバイスは、リソグラフィ装置の走査方向に平行に延在する対向する第1の辺と、走査方向に垂直に延在する対向する第2の辺とを有するイメージング領域と、イメージング領域の少なくとも1つの第2の辺に隣接して配置される少なくとも1つのセンシングマークと、を備える。少なくとも1つのセンシングマークは、イメージング領域の少なくとも1つの第2の辺から走査方向に所定の距離だけ離れて位置し、基板上に投影されたときに少なくとも1つのセンシングマークが基板上のスクライブライン内に収まるように走査方向に幅が延在している。
【0010】
これには、センシングマークが基板上の隣接するフィールドと重ならないという利点があり得る。さらに、これは、レチクルマスキングYブレードによるセンシングマークの被覆を低減または回避するという利点を有し得る。これにより、レチクルマスキングYブレードの走査要件を取り除くことができる可能性がある。これにより、リソグラフィ装置LAのロードマップのスループットのボトルネックが解消され、レチクルマスキングモジュールのコストが削減される可能性がある。
【0011】
イメージング領域の少なくとも1つの第2の辺に隣接することは、走査方向にイメージング領域の少なくとも1つの第2の辺から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスの領域内に位置すると考えられる。
【0012】
センシングマークは、センサによって測定可能となるように基板上に投影されるパターニングデバイス上の(パッシブ)反射構造であると考えることができる。(アクティブ)センサは基板レベルに配置されている。
【0013】
走査方向における所定の距離は、イメージング領域に隣接するブラックボーダの走査方向における幅および実質的に3mmのうちの少なくとも1つであってもよい。
【0014】
センシングマークの走査方向の幅は、200ミクロン未満および400ミクロン未満のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0015】
センシングマークは、ブラックボーダによってイメージング領域から分離されてもよい。走査方向のブラックボーダの幅は3mmであってもよい。ブラックボーダがパターンを含まない場合は、クワイエット領域要件(quiet area requirement)が尊重されるべきである。
【0016】
スクライブラインは、例えばNA=0.33の場合、パターニングデバイスレベルで200ミクロンの走査方向の幅を有し得る。したがって、NA=0.33の場合、センシングマークの走査方向の幅は200ミクロン未満であり得る。
【0017】
パターニングデバイスから基板までの倍率は、NA=0.33の場合、Y方向に1/4倍であり得る。
【0018】
スクライブラインは、基板レベルで50ミクロンの幅を有し得る。
【0019】
スクライブラインは、例えばNA=0.55の場合、パターニングデバイスレベルで400ミクロンの走査方向の幅を有し得る。したがって、NA=0.55の場合、センシングマークの走査方向の幅は400ミクロン未満であり得る。
【0020】
パターニングデバイスから基板までの倍率は、NA=0.55の場合、Y方向に1/8倍であり得る。
【0021】
センシングマークはアライメントマークを含んでもよい。
【0022】
センシングマークは、光学収差測定マークを含んでもよい。
【0023】
アライメントマークは、透過型イメージセンサ(TIS)アライメントマークを含んでもよい。
【0024】
パターニングデバイスは、イメージング領域の第1の辺のうちの1つまたは複数にのみ隣接するレチクル形状補正マークを備えてもよい。すなわち、レチクル形状補正マークは、イメージング領域の第2の辺に隣接していなくてもよい。
【0025】
パターニングデバイスは、レチクル形状補正マークを備えていなくてもよい。
【0026】
アライメントマークは、yおよびx微細アライメントマークを含む。
【0027】
y微細アライメントマークは、走査Y方向のアライメントベクトルを測定する。y微細アライメントマークはX方向に向けることができる。すなわち、最長寸法はX方向にある。
【0028】
x微細アライメントマークは、走査Y方向のアライメントベクトルを測定する。y微細アライメントマークはX方向に向けることができる。すなわち、最長寸法はX方向にある。
【0029】
アライメントマークは、少なくとも1つの粗アライメントマークを備えてもよく、少なくとも1つの粗アライメントマークは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に配置されてもよい。
【0030】
少なくとも1つの粗アライメントマークは、走査方向においてイメージング領域の少なくとも1つの第2の辺から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスの領域内にも、走査方向に対して垂直な方向においてイメージング領域の少なくとも1つの第1の辺から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスの領域内にもない、パターニングデバイスの領域内に位置してもよい。すなわち、パターニングデバイスのコーナー領域である。
【0031】
レチクルマスキングXブレードは半固定であってもよい。つまり、パターニングデバイスの走査中にXブレードが動かなくてもよい。
【0032】
パターニングデバイスは、少なくとも1つの基準アライメントマークをさらに備えてもよく、少なくとも1つの基準アライメントマークは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に配置されてもよい。
【0033】
これは、アライメントされた位置に対するパターニングデバイスのイメージフィールド構造の考えられるあらゆる影響を回避してキャリブレーションを可能とするという利点を有し得る。
【0034】
本発明の第2の態様によれば、パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置が提供される。リソグラフィ装置は放射ビームを調整するように構成された照明システムを備える。照明システムは、放射ビームをパターニングデバイス上に投影するように構成される。リソグラフィ装置は、上述のパターニングデバイスを備える。
【0035】
放射はEUV放射であってもよく、リソグラフィ装置はEUVリソグラフィ装置であってもよい。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、少なくとも1つのセンシングマークが基板上のスクライブライン内に収まるように、上述したパターニングデバイス上の少なくとも1つのセンシングマークを基板上に投影する方法が提供される。
【0037】
センシングマークはアライメントマークを含んでもよい。この方法はさらに、アライメントマークを使用してパターニングデバイスを基板と位置合わせすることを含んでもよい。
【0038】
この方法は、パターニングデバイスから最も遠い値を最も正確な値として、Y方向に複数のオフセットを用いてXY整列位置を測定することをさらに含んでもよい。
【0039】
この方法は、最良のアライメント値を決定するためにフレアモデルで強化され得る。
【0040】
この方法は、補正フィードバックまたは他のオーバーレイプロセス制御スキームを使用して、残留パターニングデバイスアライメントオフセットを除去することをさらに含んでもよい。
【0041】
本発明の第4の態様によれば、パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスが提供される。パターニングデバイスは、リソグラフィ装置の走査方向に平行に延びる対向する第1の辺と、走査方向に垂直に延びる対向する第2の辺とを有するイメージング領域を備える。イメージング領域は、イメージング領域の第2の辺の一方とパターニングデバイスの隣接エッジとの間の第1の間隔が、イメージング領域の第2の辺の他方とパターニングデバイスの対向する隣接エッジとの間の第2の間隔よりも小さくなるように、走査方向においてパターニングデバイス中心に対してシフトされる。
【0042】
第1の間隔は、0.4mmから10mmの範囲、および5mmから10mmの範囲のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0043】
第1の間隔は約5mmであってもよい。
【0044】
パターニングデバイスは、走査方向に別のパターニングデバイスに隣接して配置され得る。パターニングデバイスの隣接エッジは、2つのそれぞれのイメージング領域の間の距離が、それぞれのパターニングデバイスの第1の間隔を合計したものに等しくなるように、互いに接触している。
【0045】
これには、開口数(NA)=0.55を有するリソグラフィ装置の基板上に全フィールドを結像できるという利点があり得る。その一方で、パターニングデバイスの中心にイメージング領域を有するパターニングデバイスと比較した場合、基板上に結像されるイメージング領域の損失%が低減される。
【0046】
本発明の第5の態様によれば、吸収体の堆積前にパターニングデバイスブランクの高解像度反射率測定を使用して、局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度フィーチャに補正を適用する方法が提供される。
【0047】
これらの測定は、ノミナルの光近接効果補正に加えて、光近接効果補正と同様であってもよい。
【0048】
これにより、反射率および中心波長関連アイテムが改善され得る。
【0049】
この方法は、パターニングデバイス上への吸収体の堆積後、高解像度反射率またはエリプソメトリ測定を使用して局所的な吸収体の厚さの変動を決定することと、これらの測定を使用して局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度アシストフィーチャに補正を適用することと、をさらに含んでよい。
【0050】
これらの測定は、ノミナルの光近接効果補正に加えて、同様の光近接効果補正であってもよい。
【0051】
これにより、吸収体および3D関連アイテムが改善され得る。
【0052】
パターニングデバイスは、リソグラフィ装置の走査方向に平行に延びる対向する第1の辺と、走査方向に垂直に延びる対向する第2の辺とを有するイメージング領域を備えてもよい。この方法は、イメージング領域の第2の辺の一方とパターニングデバイスの隣接エッジとの間の第1の間隔が、第2の辺の他方の間の第2の間隔よりも小さくなるように、走査方向においてパターニングデバイスの中心に対してイメージング領域をシフトすることをさらに備えてもよい。
【0053】
この方法により、必要とされるサブナノ厚さ精度を維持し、したがって反射率均一性について所望の仕様内に維持しながら、以前可能であったものよりもイメージング領域をパターニングデバイスのエッジに近づけることが可能になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明の実施の形態は、例示のみを目的として、以下の模式的な添付図面を参照しながら説明される。
図1】リソグラフィ装置および放射源を備えるリソグラフィシステムを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、パターニングデバイスの中心にイメージング領域を有するパターニングデバイスの概略図である。
図3】パターニングデバイスの中心にイメージング領域を有する2つのパターニングデバイスの概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る、パターニングデバイス内でイメージング領域がシフトされた2つのパターニングデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、放射源SOと、リソグラフィ装置LAとを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、(EUV)放射ビームBを生成し、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するよう構成されるサポート構造MT、投影システムPS及び基板を支持するよう構成される基板テーブルWTを備える。
【0056】
照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調整するように構成されている。さらに、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11を含み得る。ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11は共に、所望の断面形状および所望の強度分布を有するEUV放射ビームBを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10およびファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、またはその代わりに、他のミラーまたはデバイスを含んでもよい。
【0057】
このように調整された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果、パターン化されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成されている。その目的のために、投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’を基板テーブルWTによって保持される基板W上に投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることができる。投影システムPSは、パターン化されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することができ、これにより、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する画像を形成することができる。例えば、4または8の縮小係数が適用され得る。投影システムPSは、図1では2つのミラー13、14のみを有するように示されているが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば、6つまたは8つのミラー)を含んでもよい。
【0058】
基板Wは、以前に形成されたパターンを含み得る。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン化されたEUV放射ビームB’によって形成される画像を、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0059】
相対真空、すなわち大気圧よりかなり低い圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、および/または投影システムPS内に提供され得る。
【0060】
図1に示す放射源SOは、例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)源とも称される種類のものである。例えばCOレーザを含むレーザシステム1は、例えば燃料放出器3から供給されるスズ(Sn)などの燃料にエネルギーをレーザビーム2を介して蓄積させるよう構成される。 スズが以下の記載にて言及されるが、任意の適切な燃料が用いられてよい。燃料は、例えば液状であってもよく、例えば金属または合金であってもよい。燃料放出器3は、例えば液滴の形態でスズをプラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って案内するノズルを備えてもよい。レーザビーム2はプラズマ形成領域4にてスズに入射する。スズへのレーザエネルギーの蓄積は、プラズマ形成領域4にプラズマ7を形成する。EUV放射を含む放射は、電子とプラズマのイオンの脱励起および再結合中に、プラズマ7から放出される。
【0061】
プラズマからのEUV放射は、コレクタ5により収集および集光される。コレクタ5は、例えば、略垂直入射放射コレクタ5(より一般的には垂直入射放射コレクタと呼ばれることもある)を備える。コレクタ5は、EUV放射(例えば13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射させるよう構成される多層ミラー構造を有してもよい。コレクタ5は、二つの焦点を有する楕円体の構造を有してもよい。以下に説明されるように、焦点のうち第1焦点はプラズマ形成領域4に位置してもよく、焦点のうち第2焦点は中間焦点6に位置してもよい。
【0062】
レーザシステム1は、放射源SOから空間的に分離されてもよい。この場合、レーザビーム2は、例えば適切な方向付けミラーおよび/またはビームエキスパンダおよび/または他の光学系を備えるビーム搬送システム(不図示)の助けにより、レーザシステム1から放射源SOに向けて通過してもよい。レーザシステム1、放射源SOおよびビーム搬送システムは、ともに放射システムであるとみなされてもよい。
【0063】
コレクタ5により反射される放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6で集束され、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの中間焦点6での画像を形成する。中間焦点6における画像は、照明システムILの仮想放射源として機能する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの包囲構造9の開口8またはその近傍に位置するように構成される。
【0064】
図1は、放射源SOをレーザ生成プラズマ(LPP)源として示しているが、放電生成プラズマ(DPP)源または自由電子レーザ(FEL)などの任意の適切な放射源を使用してEUV放射を生成することができる。
【0065】
図2は、パターニングデバイスMAの中心にイメージング領域20があるパターニングデバイスMA(例えば、マスクまたはレチクル)を示している。パターニングデバイスMAは、パターン面を下にして示されている。リソグラフィ装置LAは、図示の走査方向(Y方向)、すなわち紙面上で上下にパターニングデバイスMAを走査することができる。X方向は、図に示すようにY方向に対して垂直に、つまり紙面上で左右に取られる。
【0066】
この実施形態では、イメージング領域20は長方形である。イメージング領域20は、リソグラフィ装置LAの走査(Y)方向に平行に延びる対向する第1の辺22と、走査方向に垂直に(すなわち、X方向に)延びる対向する第2の辺24とを有する。図2において、第1の辺22は左側と右側に位置し、第2の辺24は上側と下側に位置する。第1の辺22は、第2の辺24よりも長い。図2の距離基準XおよびYは、露光フィールドサイズXmax=52mm、Ymax=66mmである。したがって、イメージング領域20は、104×132mm(X、Y)となる。イメージング領域20の周囲にはブラックボーダ26がある。X方向では、ブラックボーダ26は1mm~4mmの間であり得る。Y方向では、ブラックボーダ26は1mm~4mmの間であり得る。他の実施形態では、イメージング領域20は異なる形状およびサイズであってもよいことが理解されるであろう。
【0067】
アライメントマーク28は、第2の辺24に隣接して配置される。図2では、アライメントマーク28は、第2の辺24の隣、すなわち、下方の第2の辺24の下側および上方の第2の辺24の上側に示されている。アライメントマーク28は、走査(Y)方向に第2の辺24から仮想的に延びるパターニングデバイスMAの領域30(破線で示す)内のブラックボーダ26の外側に位置する。
【0068】
この実施形態では、下方の第2の辺24の隣に3つのアライメントマーク28が配置され、上方の第2の辺24の隣に3つのアライメントマーク28が配置されている。他の実施形態では、異なる数のアライメントマーク(例えば、少なくとも1つの第2の辺24に隣接するアライメントマークが1つだけ)があってもよいことが理解されるであろう。この実施形態では、3つのアライメントマーク28のセットが2つあるが、簡潔にするために、以下では単一のアライメントマークおよび第2の辺24について言及する。しかしながら、このアライメントマークに関して説明した任意の特徴は、残りのアライメントマーク28にも同様に適用できることが理解されるであろう。
【0069】
この実施形態では、アライメントマーク28は、透過型イメージセンサ(TIS)アライメントマークである。しかしながら、他の実施形態では、それらは、他のタイプのアライメントマーク、またはより一般的には、他のタイプのセンシングマークであってもよい。例えば、センシングマークは、光学収差測定マークを含んでもよい。「収差」という用語は、完全な球面波面からの波面の逸脱のあらゆる形態を含むものとする。つまり、「収差」という用語は、画像の配置(例えば、2次、3次および4次のゼルニケ係数)、および/または5次以上のNoll指数を有するゼルニケ係数に関連するような高次の収差に関連し得る。
【0070】
実施形態では、アライメントマーク28は、イメージング領域20から1mm~4mm(Y方向)離れて位置する(すなわち、ブラックボーダ26の幅(Y方向))。アライメントマーク28は、ブラックボーダ26がパターンを含んでいない限り、ブラックボーダ26に隣接して(接触して)配置されてもよく、この場合、クワイエット領域要件(quiet area requirement)が尊重されるべきである。より一般的には、アライメントマーク28は、イメージング領域20から所定の距離だけ離れて配置されてもよい。他の実施形態では、ブラックボーダはY方向に異なる幅、すなわち4mmを超えるか1mm未満の幅を有してもよいことが理解されるであろう。
【0071】
重要なことは、アライメントマーク28は、基板W上に投影されたときに、アライメントマーク28が基板W上のスクライブライン(図示せず)内に収まるように、走査(Y)方向に幅を有することである。
【0072】
アライメントマーク28は、X方向に向きをつけられてもよい(すなわち、最長寸法がX方向)。アライメントマーク28は、2つの微細アライメントマーク(x微細アライメントマークおよびy微細アライメントマーク)を含んでもよい。xおよびy微細アライメントマークは、X方向に向きをつけられてもよい(すなわち、最長寸法がX方向)。アライメントマーク28は、単一の反射構造であってもよいし、セグメントに分割されていてもよい。アライメントマーク28は、反射領域と吸収領域を有してもよい。アライメントマーク28は、50ミクロンと500ミクロンとの間のX方向の寸法を有してもよい(あるいは、それより大きくても小さくてもよい)。x微細アライメントマークは、y微細アライメントマークのY方向の幅より小さいY方向の幅を有してもよく、あるいはその逆でもよい。全体として、アライメントマーク28は、Y方向に200ミクロン未満の最大幅を有してもよい。また、アライメントマーク28の全長は、x、y微細アライメントマークのX方向の長さと、それらの間のギャップとから構成されてもよい。
【0073】
実施形態では、アライメントマークの最大幅は、走査(Y)方向において200ミクロン未満であるため、アライメントマーク28は、基板W上のスクライブライン内に収まることができる、すなわちNA=0.33の場合、パターニングデバイスMAレベルのスクライブラインは、Y方向に200ミクロンの幅を有する。基板W上のスクライブラインは、走査(Y)方向に50ミクロンの幅を有し、すなわち、NA=0.33の場合、パターニングデバイスMAから基板Wまでの倍率が1/4倍である。NA=0.55の場合、パターニングデバイスMAレベルのスクライブラインは、Y方向に400ミクロンの幅を有する。したがって、この実施形態では、アライメントマーク28のY方向の最大幅は400nm未満であってもよい。基板W上のスクライブラインは、走査(Y)方向に50ミクロンの幅を有し、すなわち、NA=0.55の場合、パターニングデバイスMAから基板Wまでの倍率が1/8倍である。実施形態では、アライメントマーク28のY方向の幅は、アライメントマーク28が基板W上に投影されたときに基板W上のスクライブライン内に収まるようなサイズに設定され得ることが理解されるであろう。
【0074】
以前は、アライメントマークは、微細アライメントマークとともに位置する粗アライメントマーク(すなわち、粗いキャプチャフィーチャをサポートする)などの他のアライメントマークを含んでいた。これらの粗アライメントマークでは、アライメントマークのY方向の全幅は、パターニングデバイスレベルでのスクライブラインのY方向の幅よりも大きい(例えば、200ミクロンより大きい)可能性がある。アライメントマークは、吸収体のクワイエットゾーン(absorber quiet zone)によって囲まれている可能性がある。
【0075】
実施形態では、図2に示すように、粗アライメントマーク32は、パターニングデバイスMAのコーナー領域34(点線で示す)に配置され得る。より具体的には、少なくとも1つの粗アライメントマーク32は、走査(Y)方向にイメージング領域20の少なくとも1つの第2の辺24から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスMAの領域30内にも、走査方向に垂直な方向(すなわち、X方向)にイメージング領域20の少なくとも1つの第1の辺22から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスMAの領域36(破線で示す)内にもないパターニングデバイスMAのコーナー領域34内に配置されてもよい。明確にするために、1つのコーナー領域34と1つの粗アライメントマーク32のみが示されているが、粗アライメントマーク32を有する4つのコーナー領域34があってもよいことが理解されよう。センサパターンは、コーナーにおいてX方向(すなわち最長寸法がX方向)に方向づけられた2つのアライメントマークがスループットを最適化するために同時に測定されるように、設計され得る。フィールドが第1の辺22のブラックボーダ26から<1mmしか外側に広がっていないため、Y方向に方向づけられたマーク、すなわち、最長寸法がY方向にあるマークのみが必要とされる場合がある。Y方向に方向づけられたこれらのマークは、通常、アライメント用ではなく、レチクル形状補正(RSC)用に使われる。
【0076】
より一般的には、粗アライメントマーク32は、レチクルマスキングXブレード(図示せず)でカバー可能な領域に配置されてもよい。レチクルマスキングXブレードは半固定であってもよい。すなわち、Xブレードは、パターニングデバイスMAが走査されているときに移動しなくてもよい。原則として、粗アライメントマーク32は、領域36内における第1の辺22上、またはその領域を少し超えたところに配置されてもよい(この領域は依然としてレチクルマスキングXブレードによってブレードされている可能性があるため)。ただし、実際には、コーナーマーク間のX方向の間隔は、平行測定をサポートするために現在のセンサレイアウトによって固定され得るため、新しいレチクル設計でもこれを維持することが望ましい場合がある。
【0077】
200ミクロン未満のY方向の幅を有するアライメントマーク28を有し、イメージング領域20に十分近くに配置される(例えば、Y方向においてイメージング領域20から約3mmの所定距離離れている)ことは、アライメントマーク28が基板W上のスクライブラインと一致することを意味する。これには、アライメントマーク28が基板W上の隣接するフィールドと重ならないという利点があり得る。さらに、これには、レチクルマスキングYブレードによるアライメントマーク28の被覆を軽減または回避するという利点がある。
【0078】
以前は、TIS構造(例えば、TISアライメントマーク)が隣接するフィールドにプリントされるのを避けるために、それらをレチクルマスキングブレードによって完全にシールドする必要があった。これにより、走査レチクルのYブレードの動的走査トレランスが、リソグラフィ装置LAのイメージング機能にとってクリティカルとなる。増加し続ける光源パラーに伴って走査速度が増加するため、特に高NAリソグラフィ装置LAでは、これがボトルネックになると考えられる。
【0079】
パターニングデバイスMAの非画像領域の反射率を0.5%未満に低減できるとすると(これは、いくつかのブラックボーダプロセスにおける最近の改善を考えると現実的であると考えられる)、実施形態では、レチクルマスキングYブレードの走査要件を取り除くことができる。これにより、リソグラフィ装置LAのロードマップのスループットのボトルネックが解消され、レチクルマスキングモジュールのコストが削減され得る。
【0080】
これがEUVの数少ない固有の利点の1つであることに留意されたい。ブラッグ反射器などの特別な構造を形成しない限り、反射率はほとんどすべての材料で本質的に非常に低い。したがって、上記の0.5%未満の要件を満たすことは比較的非常に簡単であり、パターニングデバイスMA上のTISアライメントマークをシールドすることを除いて、同期走査レチクルマスキングは必要ない場合がある。
【0081】
パターニングデバイスMAは、アライメントマーク28を使用して位置合わせされ得る。実施形態では、改良として、アライメントされた位置に対するパターニングデバイスMAの画像フィールド構造のあらゆる考えられる影響が補正され得る。これは、パターニングデバイスMAから最も遠い値を最も正確な値として、Y方向に複数のオフセットを用いてXY整列位置を測定することによって行うことができる。別のオプションは、補正フィードバックまたは他のオーバーレイプロセス制御スキームを使用して、残留パターニングデバイスMAアライメントオフセットを除去することであってもよい。さらなるオプションは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に少なくとも1つの基準アライメントマーク(クワイエット領域を含む)を含めることであってもよい。より具体的には、コーナー領域34のうちの1つ以上において、である。
【0082】
先に、いわゆるレチクル形状補正(RSC)マークが、パターニングデバイスの左側および右側(および下部および上部)(すなわち、4辺のそれぞれ)に配置されてもよい。ただし、RSCマークはリソグラフィ装置の主要な機能ではなく、実際には必要ない場合がある。また、これらのRSCマークは、左側/右側のRSCマークのみに限定されてもよい。すなわち、実施形態では、パターニングデバイスMAは、イメージング領域20の第1の辺22の1つ以上にのみ隣接するレチクル形状補正マーク(図示せず)を備え得る。すなわち、X方向にイメージング領域20の第1の辺22から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスMAの領域36内のみである。レチクル形状補正マークは、イメージング領域20の第2の辺24に隣接していなくてもよい。すなわち、Y方向に第2の辺24から離れて仮想的に延在するパターニングデバイスMAの領域30内ではない。他の実施形態では、図2に示すように、パターニングデバイスMAはレチクル形状補正マークを備えなくてもよい。
【0083】
RSCマークがイメージング領域20の第1の辺22の1つ以上にのみ隣接するか、またはパターニングデバイスMA上にまったく存在しないことは、それらは、隣接するフィールドに印刷されないか、または、レチクルマスキングYブレードによってシールドする必要がないことを意味する。
【0084】
図2のパターニングデバイスMAは、開口数(NA)=0.33の場合、全フィールドに対応する。しかし、NA=0.55の場合、これは半フィールドのみに相当し、設計の柔軟性が制限され、リソグラフィ装置LAの実効スループットに影響を与える(ステッピングとターンアラウンドにより多くの時間が必要となる)。
【0085】
NA=0.55の場合、拡張されたクランプ上で2つのパターニングデバイスMAを使用することによって、この全体損失を軽減することが提案される。しかしながら、これには後述するような問題が生じる可能性がある。
【0086】
イメージング領域の第2の辺からパターニングデバイスの隣接するエッジまでの距離は、Y方向に10mmである(すなわち、1mm~4mmのブラックボーダと他の6mm~9mmであり、アライメントマークはこの6mm~9mmの距離、例えば7mmの距離の部分に配置され得る)。したがって、Y方向に沿って、パターニングデバイスは、エッジ/TIS(6mm~9mm)-ブラックボーダ(1mm~4mm)-イメージング領域(132mm)-エッジ/TIS(6mm~9mm)を有し得る。したがって、Y方向に合計152mmとなる。
【0087】
図3に示すように、両方のパターニングデバイス上のイメージング領域の周囲のY方向のボーダが10mmであり、倍率が1/8倍であることを考えると、これは、パターニングデバイス(マスク)が接触している場合でも、基板Wレベルでこれら2つのフィールドの間に(通常の約~50μmのスクライブラインとは対照的に)2.5mmのギャップがあることを意味する。2.5mmののギャップは、イメージング領域の第2の辺からパターニングデバイスの隣接エッジまでの距離の2倍(つまり、2*10mm=20mm)に倍率1/8倍を掛けたものである(20/8=2.5mm)。これにより、有効ウェハ(基板)領域が~8%減少する(2.5mm/33mm=7.6%)。これは、コーティング、現像、エッチング、堆積など、ウェハスタックにおけるすべての並行プロセスのネットコストが増加するため、望ましくない。
【0088】
この大きなボーダの理由は、実際には、多層および吸収体コーティングプロセスを必要とされるサブナノメートルの厚さの精度でレチクルの物理的エッジまで拡張することができず、そのため、高品質イメージング領域は、反射率の均一性に関する厳しい仕様を確保するために、レチクルの物理的なエッジに対して十分なマージンを維持する必要があるからである。
【0089】
別の問題は、これらの大きなマージンがあっても、レチクル全体で多層膜と吸収体層の両方に変動があり、局所的な反射率の変動につながり、ひいてはCD(臨界寸法)の変動(局所的と全体的の両方)の増加につながることである。
【0090】
実施形態では、吸収体の堆積前のパターニングデバイスブランクの高解像度反射率測定を使用して、局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度アシストフィーチャに補正を適用する。これらの測定は、ノミナルの光近接効果補正に加えて、光近接効果補正と同様であってもよい。これにより、反射率と中心波長(EUVの場合は13.5nm)関連アイテムが改善され得る。
【0091】
さらに、実施形態では、パターニングデバイス上に吸収体を堆積した後、高解像度の反射率またはエリプソメトリ測定を使用して、局所的な吸収体の厚さの変動を決定し、これらの測定値を使用して、局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度アシストフィーチャに補正を適用する。これらの測定は、ノミナルの光近接効果補正に加えて、同様の光近接効果補正であってもよい。これにより、吸収体および3D関連アイテムが改善され得る。
【0092】
これらの方法により、必要とされるサブナノメートルの厚さ精度を維持し、したがって反射率の均一性について望ましい仕様内に維持しながら、以前は可能であったものよりも、イメージング領域をパターニングデバイスのエッジに近づけることが可能になる(レチクルの物理的なエッジに近づくにつれて、コーティングの変動がますます大きくなる)。
【0093】
図4は、走査(Y)方向に別のパターニングデバイスMAに隣接するパターニングデバイスMAの実施形態を示す。
【0094】
パターニングデバイスMAは、リソグラフィ装置LAの走査(Y)方向に平行に延びる対向する第1の辺22Aと、走査(X)方向に垂直に延びる対向する第2の辺24A、24Bとを有するイメージング領域20Aを含む。実施形態では、両方のパターニングデバイスMAについて、イメージング領域20Aは、イメージング領域20Aの第2の辺24AとパターニングデバイスMAの隣接エッジ38Aとの間の第1の間隔が、イメージング領域20Aの他方の第2の辺24BとパターニングデバイスMAの対向する隣接エッジ38Bとの間の第2の間隔よりも小さくなるように、パターニングデバイス中心に対して走査(Y)方向にシフトされる。この実施形態では、第1の間隔は両方とも~5mmである。
【0095】
図からわかるように、パターニングデバイスMAの隣接エッジ38Aは、2つのそれぞれのイメージング領域20Aの間の距離が、それぞれのパターニングデバイスMAの第1の間隔を足したものと等しくなるように、互いに接触している。この実施形態では、第1の間隔は両方とも~5mmであり、したがって、隣接するパターニングデバイスMAの2つのそれぞれのイメージング領域20Aの間の距離は~10mmである。他の実施形態では、それぞれのイメージング領域20Aの間の距離は、~10mmとは異なってもよく、例えば10mm未満であってもよいことが理解されるであろう。好ましくは、第1の間隔はできるだけ小さくすべきである。したがって、0.4mmの第1の間隔がターゲットとなり得る。実際には、レジストコーティングにおけるスペーシング、レチクルのベベル(bevel)、およびエッジ効果を考慮して、第1の間隔は5mm~10mmの間にしてもよい。しかし、これらはすべて将来的には改善される可能性がある。
【0096】
図4の(拡張レチクルステージ上の)2つのパターニングデバイスMAは、図3の2つのパターニングデバイスの2つのフィールド間のギャップよりも小さい、2つのフィールド(イメージング領域20A)間のギャップを有する。例えば、12mm-3mm-132mm-3mm-2mm(エッジ/TIS-ブラックボーダ-イメージング-ブラックボーダ-エッジ/TIS)の2つのレチクルでは、基板W上のイメージ間のギャップはわずか1.25mmまたは<4%の領域損失になる。1.25mmのギャップは、2*5mm=10mmに倍率1/8を掛けた値(10/8=1.25mm)である。これにより、有効ウェハ(基板)領域が約~3~4%(1.25mm/33mm=3.8%)減少する。
【0097】
2mmは、透過型画像センサ(TIS)(反射率や吸収体の変動にも敏感ではない)にとって十分なスペースであり、TISは重複考慮の影響を受けない(一度に1枚のレチクルを測定し、レチクルマスキングモジュールによってブレード処理されるため)ことに留意すべきである。また、3mmのブラックボーダが維持される限り、レチクルマスキングブレード機能に変更はない。
【0098】
図4の2つのパターニングデバイスMAはまた、NA=0.55のリソグラフィ装置LA(33×26mm)上でクラシカルな全フィールドのエミュレーションを可能にし、これにより、他のリソグラフィ装置LAとのフルスループットの互換性が生まれ、ウェハスタック全体の全体的なコストが削減される。これにより、中央に~1mmのスペースを確保するために、基板W上の半フィールドの両方に~0.5×26mmが使われる。
【0099】
利点は、開口数(NA)=0.55を有するリソグラフィ装置LAの場合、基板W上に全フィールド視野を結像できると同時に、
パターニングデバイスの中心にイメージング領域を有するパターニングデバイスと比較した場合、基板W上に結像されるイメージング領域20Aの損失%を低減できることである。
【0100】
局所的および全体的なクリティカルディメンジョン均一性の改善、およびエッジ配置エラーの改善もあり得る。リソグラフィ装置LAについては、基板領域カバレッジが~4%改善され、および/またはスループットが向上し得る。
【0101】
本明細書では、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及されているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることを理解されたい。その他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用の誘導および検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が挙げられる。
【0102】
本明細書では、リソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態を具体的に参照することができるが、本発明の実施形態は他の装置でも使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、あるいはウェハ(または他の基板)またはマスク(または他のパターニングデバイス)などの物体を測定または処理する任意の装置の一部を形成することができる。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件または周囲(非真空)条件を使用する場合がある。
【0103】
上記では、光リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用について具体的に言及してきたが、文脈が許す限り、本発明は光リソグラフィに限定されず、例えばインプリントリソグラフィなどの他の用途にも使用できることが理解されるであろう。
【0104】
状況が許せば、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。本発明の実施形態は、機械可読媒体に格納された命令として実装することもでき、この命令は、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られて実行され得る。機械読み取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を保存または送信するための任意の機構を含み得る。たとえば、機械可読媒体には読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学記憶メディア、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、またはその他の形式の伝播信号(搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)などが含まれ得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、本明細書では特定の動作を実行するものとして説明される場合がある。ただし、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのような動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスから生じ、その際にアクチュエータまたは他のデバイスが物理世界と相互作用し得ることを理解されたい。
【0105】
本発明の特定の実施の形態を上述してきたが、本発明は記載と異なる態様で実施されてもよいことが理解されよう。上述の記載は例示を意図しており、限定を意図していない。したがって、当業者であれば、以下に記述される請求項の範囲を逸脱しない範囲で、上述した発明に対する変形がなされてもよいことが理解されよう。
【0106】
項(clauses)
1.パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスであって、
前記リソグラフィ装置の走査方向に平行に延在する対向する第1の辺と、走査方向に垂直に延在する対向する第2の辺とを有するイメージング領域と、
前記イメージング領域の少なくとも1つの第2の辺に隣接して配置される少なくとも1つのセンシングマークと、を備え、
前記少なくとも1つのセンシングマークは、前記イメージング領域の前記少なくとも1つの第2の辺から前記走査方向に所定の距離だけ離れて位置し、前記基板上に投影されたときに前記少なくとも1つのセンシングマークが前記基板上のスクライブライン内に収まるように、前記走査方向に幅が延在している、パターニングデバイス。
2.前記走査方向における前記所定の距離は、前記イメージング領域に隣接するブラックボーダの前記走査方向における幅および実質的に3mmのうちの少なくとも1つである、項1に記載のパターニングデバイス。
3.前記センシングマークの前記走査方向の幅は、200ミクロン未満および400ミクロン未満のうちの少なくとも1つである、項1または2に記載のパターニングデバイス。
4.前記センシングマークはアライメントマークを含む、項1から3のいずれかに記載のパターニングデバイス。
5.前記アライメントマークは、透過型イメージセンサ、TIS、アライメントマークを含む、項4に記載のパターニングデバイス。
6.前記アライメントマークは、yおよびx微細アライメントマークを含む、項4または5に記載のパターニングデバイス。
7.前記アライメントマークは、少なくとも1つの粗アライメントマークを備え、前記少なくとも1つの粗アライメントマークは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に配置される、項4から6のいずれかに記載のパターニングデバイス。
8.少なくとも1つの基準アライメントマークをさらに備え、前記少なくとも1つの基準アライメントマークは、レチクルマスキングXブレードでカバー可能な領域に配置される、項4から7のいずれかに記載のパターニングデバイス。
9.パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置であって、放射ビームを調整するように構成された照明システムを備え、前記照明システムは、前記放射ビームを前記パターニングデバイス上に投影するように構成され、項1から8のいずれかに記載のパターニングデバイスを備えるリソグラフィ装置。
10.少なくとも1つのセンシングマークが基板上のスクライブライン内に収まるように、項1から8に記載のパターニングデバイス上の少なくとも1つのセンシングマークを基板上に投影する方法。
11.前記センシングマークはアライメントマークを含み、前記アライメントマークを使用して前記パターニングデバイスを基板と位置合わせすることを含む、項10に記載の方法。
12.前記パターニングデバイスから最も遠い値を最も正確な値として、Y方向に複数のオフセットを用いてXY整列位置を測定することをさらに含む、項11に記載の方法。
13.補正フィードバックまたは他のオーバーレイプロセス制御スキームを使用して、残留パターニングデバイスアライメントオフセットを除去することをさらに含む、項11または12に記載の方法。
14.パターニングデバイスから基板上にパターンを投影するように構成されたリソグラフィ装置用のパターニングデバイスであって、
前記リソグラフィ装置の走査方向に平行に延びる対向する第1の辺と、前記走査方向に垂直に延びる対向する第2の辺とを有するイメージング領域を備え、
前記イメージング領域は、前記イメージング領域の前記第2の辺の一方と前記パターニングデバイスの隣接エッジとの間の第1の間隔が、前記イメージング領域の前記第2の辺の他方と前記パターニングデバイスの対向する隣接エッジとの間の第2の間隔よりも小さくなるように、前記走査方向においてパターニングデバイス中心に対してシフトされる、パターニングデバイス。
15.前記第1の間隔は、0.4mm~10mmの範囲内、および5mm~10mmの範囲内のうちの少なくとも1つである、項14に記載のパターニングデバイス。
16.前記第1の間隔は、約5mmである、項15に記載のパターニングデバイス。
17.前記パターニングデバイスは、前記走査方向に別のパターニングデバイスに隣接して配置され、前記パターニングデバイスの隣接エッジは、2つのそれぞれのイメージング領域の間の距離が、それぞれのパターニングデバイスの前記第1の間隔を合計したものに等しくなるように、互いに接触している、項14から16のいずれかに記載のパターニングデバイス。
18.吸収体の堆積前にパターニングデバイスブランクの高解像度反射率測定を使用して、局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度フィーチャに補正を適用する方法。
19.前記パターニングデバイス上への吸収体の堆積後、高解像度反射率またはエリプソメトリ測定を使用して局所的な吸収体の厚さの変動を決定することと、これらの測定を使用して局所的な線幅および/または光近接効果補正フィーチャおよび/またはサブ解像度アシストフィーチャに補正を適用することと、をさらに含む、項18に記載の方法。
20.前記パターニングデバイスは、リソグラフィ装置の走査方向に平行に延びる対向する第1の辺と、走査方向に垂直に延びる対向する第2の辺とを有するイメージング領域を備え、前記イメージング領域の前記第2の辺の一方と前記パターニングデバイスの隣接エッジとの間の第1の間隔が、前記第2の辺の他方の間の第2の間隔よりも小さくなるように、前記走査方向においてパターニングデバイス中心に対して前記イメージング領域をシフトすることをさらに含む、項18または19に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】