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特表2024-513135マイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーを製造する方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-21
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーを製造する方法。
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240313BHJP
   G02B 19/00 20060101ALI20240313BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20240313BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G02B19/00
G02B5/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561884
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022056931
(87)【国際公開番号】W WO2022214290
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021203475.6
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ツァツェック
(72)【発明者】
【氏名】エリック ロープシュトラ
(72)【発明者】
【氏名】エリック エヴァ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H052
2H197
【Fターム(参考)】
2H042DC00
2H052BA03
2H052BA06
2H052BA12
2H197AA06
2H197AA10
2H197BA03
2H197BA30
2H197CA10
2H197CB18
2H197CC16
2H197DB19
2H197FB03
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA10
2H197GA11
2H197GA12
2H197GA14
2H197GA21
2H197GA23
(57)【要約】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置(1)のミラー(26)を製造する方法であって、第1接続面(29)を有する第1ミラー部品(27)を用意し、第2接続面(30)を有する第2ミラー部品(28)を用意する方法に関する。冷却チャネル(32)及び/又は補助チャネル(40)を、第2ミラー部品(28)に形成する。第1ミラー部品(27)と第2ミラー部品(28)とを、最初に第1接続面(29)の部分領域と第2接続面(30)の部分領域とが接触して共通の接触面(38)を形成するように接近させ、第1ミラー部品(27)と第2ミラー部品(28)とを冷却チャネル開口(32)又は補助チャネル(40)に対して横断方向(39)に接近させ続けることにより、接触面(38)を拡大する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ投影露光装置(1)のミラー(26)を製造する方法であって、
第1接続面(29)を有する第1ミラー部品(27)を用意し、
第2接続面(30)を有する第2ミラー部品(28)を用意し、
冷却チャネル(32)及び/又は補助チャネル(40)を前記第2ミラー部品(28)に形成し、
前記第1ミラー部品(27)と前記第2ミラー部品(28)とを、最初に前記第1接続面(29)の部分領域と前記第2接続面(30)の部分領域とが接触して共通の接触面(38)を形成するように接近させ、前記第1ミラー部品(27)と前記第2ミラー部品(28)とを前記冷却チャネル(32)又は補助チャネル(40)に対して横断方向(39)に接近させ続けることにより、前記接触面(38)を拡大する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1ミラー部品(27)の前記第1接続面(29)及び/又は前記第2ミラー部品(28)の前記第2接続面(30)は、曲率を有する方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記第1接続面(29)の曲率は凸面状に形成されて前記第2接続面(30)の曲率は凹面状に形成されるか、又は前記第1接続面(29)の曲率は凹面状に形成されて前記第2接続面(30)の曲率は凸面状に形成され、前記第1ミラー部品(27)と前記第2ミラー部品(28)との接近中に、凸曲率は、凹曲率の平均曲率半径の絶対値よりも小さな絶対値の平均曲率半径を有する方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の方法において、前記第1ミラー部品(27)の前記第1接続面(29)の曲率は回転対称に形成されず種々の平均曲率半径を有する、且つ/又は前記第2ミラー部品(28)の前記第2接続面(30)の曲率は回転対称に形成されず種々の平均曲率半径を有する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1ミラー部品(27)と前記第2ミラー部品(28)とを、前記第1ミラー部品(27)の前記第1接続面(29)及び/又は前記第2ミラー部品(28)の前記第2接続面(30)の平均曲率半径の絶対値が最小である方向に沿って接近させ続ける方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法において、前記第1ミラー部品(27)の前記第1接続面(29)に向かって開口するように形成された冷却チャネル(32)を、前記第1ミラー部品(27)に配置する方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法において、前記第2ミラー部品(28)の前記冷却チャネル(32)及び/又は前記補助チャネル(40)を、前記第2ミラー部品(28)の前記第2接続面(30)に向かって開口するように形成する方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において、前記補助チャネル(40)を、前記第2ミラー部品(28)のうち光学面(31)を形成するために設けられる側に向かって開口するように形成する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記補助チャネル(40)に、前記第1ミラー部品(27)と前記第2ミラー部品(28)との接近中に前記第2ミラー部品(28)の材料とは異なる材料を充填する方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の方法において、前記補助チャネル(40)を、前記光学面(31)の形成前に平坦化する方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法において、前記冷却チャネル(32)及び/又は前記補助チャネル(40)は、直線状のプロファイルを有する方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法において、前記冷却チャネル(32)及び/又は前記補助チャネル(40)は、リング状の形状を有するか又はリングセグメントに従って形成される方法。
【請求項13】
マイクロリソグラフィ投影露光装置(1)のミラー(26)を製造するための中間製品であって、該中間製品は、第1ミラー部品(27)の第1接続面(29)にオプティカルコンタクト接合できるように形成された第2接続面(30)を有する第2ミラー部品(28)の形態であり、該第2ミラー部品(28)は、前記第2接続面(30)とは反対側に補助チャネル(40)を有する中間製品。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法に従って且つ/又は請求項13に記載の中間製品を用いて製造されたミラー(26)を含む照明光学ユニット。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法に従って且つ/又は請求項13に記載の中間製品を用いて製造されたミラー(26)を含む投影光学ユニット。
【請求項16】
請求項14に記載の照明光学ユニット(4)及び/又は請求項15に記載の投影光学ユニット(10)を備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーを製造する方法に関する。本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーを製造するための中間製品、照明光学ユニット、投影光学ユニット、及びマイクロリソグラフィ投影露光装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィ投影露光装置は、特に半導体の製造に用いられ、概して照明光学ユニット及び投影光学ユニットを有する。照明光学ユニットは、マスクとも称することが多いレチクルの照明に望ましい光分布を光源の光から生成する。光は、この場合は一般的な放射線の意味と理解されたく、すなわち特定の波長に制限されない。したがって、用語「光」及び「放射線」は、以下では同義に用いられ、すなわち光源を放射源とも称する場合があり、光分布を放射線分布とも称する場合があり、以下同様である。投影光学ユニットを用いて、レチクルは、特に半導体材料のウェハ又は別の基板に例えば塗布された感光材料に結像される。このようにして、感光材料は、レチクルによる所定のパターンに構造化して露光される。レチクルは、基板への高精度の転写が意図される微細構造要素を有するので、照明光学ユニットは、所望の光分布を精密に且つ再現性よく生成する必要があり、投影光学ユニットによる結像は、精密に且つ再現性よく行われる必要がある。
【0003】
さらに他の光学素子に加えて、照明光学ユニット及び投影光学ユニットは、光学面での反射により光を指定されたように偏向する少なくとも1つのミラーを光路に有し得る。光の具体的な偏向の仕方は、光学面の形成、特にその形態に応じて変わる。光学面は、例えば、金属層として又は反射率が交互に変わる一連の層として形成され得る。
【0004】
例えば、ミラーが冷却チャネルを有すること該当される場合、又はミラーをミラーの製造に利用可能な材料ブランクよりも大きくすることが意図される場合、ミラーを2つ以上の部品から形成することが有利又は必要でさえあり得る。
【0005】
冷却チャネルを有する多部品ミラーが、未公開の特許文献1から既知である。
【0006】
2つ以上の部品から形成されたミラーで問題となるのは、リソグラフィ光学部品に対する高い要件を満たすようなミラーの個々の部品の接続である。例として、ミラー部品の接続時に困難となるのは、ミラー部品を高精度で相互に近接させることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願第102020208648.6号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーの製造を簡略化し、特に高精度且つ高い再現性で2つのミラー部品を接続できるようにするという目的に基づく。
【0009】
さらに、ミラー部品を非常に制御された様式で接近させるべきである。特に、所与のタイミングに従ったミラー部品の接近面の異なる位置での所与の接近度の形成を容易にすべきである。しかしながら、制御されない接近と、その結果、その時点でオプティカルコンタクト接合を予定されていない接近面の場所でミラー部品が自然発生的にオプティカルコンタクト接合されてしまうこととを、防止すべきである。同様に、全接近面にわたる同時の全体的なオプティカルコンタクト接合を防止すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴の組合せにより達成される。
【0011】
本発明によるマイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーを製造する方法において、第1接続面を有する第1ミラーを用意し、第2接続面を有する第2ミラーも用意する。冷却チャネル及び/又は補助チャネルを第2ミラー部品に形成する。第1ミラー部品と第2ミラー部品とを、第1接続面の部分領域及び第2接続面の部分領域が最初に接触して共通の接触面を形成するように接近させ、冷却チャネル又は補助チャネルに対して横断方向に第1ミラー部品と第2ミラー部品とを接近させ続けることにより、接触面を拡大する。
【0012】
本発明による方法には、リソグラフィシステムのミラーの製造が簡略化され、2つのミラー部品同士を高精度且つ高い再現性で接続できるという利点がある。本発明による方法を用いて、第2ミラー部品を第1ミラー部品に高度な制御下でオプティカルコンタクト接合する、すなわち第2ミラー部品の材料と第1ミラー部品の材料との間の共通の接触面の領域のファンデルワールス力により第1ミラー部品に接続することができる。制御されないオプティカルコンタクト接合と同時の全体的なオプティカルコンタクト接合とを、確実に防止することができる。その代わりに、ミラー部品の接続面上の異なる場所の時系列的な一連の接近により、連続的なオプティカルコンタクト接合が行われる。この一連の接近は、第1ミラー部品と第2ミラー部品とを冷却チャネル又は補助チャネルに対して横断方向に接近させることにより単純化される。この方向では、冷却チャネル及び/又は補助チャネルに伴う材料脆弱化の結果として、第2ミラー部品の変形性が高まるので、それぞれ所望の形状の形成が単純化される。
【0013】
冷却チャネル又は補助チャネルに対して横断方向での第1ミラーと第2ミラーとの接近は、例えば、この方向と冷却チャネル又は補助チャネルとの間の角度が45°よりも大きく、好ましくは60°よりも大きく、特に好ましくは75°よりも大きく、さらにより好ましくは85°よりも大きく、特に90°である場合に生じ得る。
【0014】
第2ミラー部品が第1ミラー部品に既にオプティカルコンタクト接合されている共通の接触面と、オプティカルコンタクト接合されていない第1及び第2接続面の領域との間の移行区域を、オプティカルコンタクト接合フロントとも称する。第1ミラー部品と第2ミラー部品とを接近させ続けることで、オプティカルコンタクト接合フロントが制御下で所望の方向に移動するという効果が得られる。この連続的なオプティカルコンタクト接合には、オプティカルコンタクト接合動作全体で2つのミラー部品の相互に対する相対的なアライメントを非常に正確に制御することができ、望ましくない自然発生的なオプティカルコンタクト接合を回避できるという利点がある。さらに、オプティカルコンタクト接合動作の任意の時点で、オプティカルコンタクト接合フロントの領域と周囲領域との間に接続があり、したがってこの領域からガスが逃げることは常に確実であり、接続面間のガス混入を概ね防止することができる。
【0015】
第1ミラー部品と第2ミラー部品とは、第1ミラー部品との接触が第2ミラー部品の外輪郭に隣接する第2接続面の領域で起こるように接近させることができる。第1ミラー部品との接触が第2接続面の中央の領域で起こるように第1ミラー部品と第2ミラー部品とを接近させることも同様に可能である。これにより、オプティカルコンタクト接合動作を各状況、特に第2ミラー部品の形成に合うように実行することができる。
【0016】
第2ミラー部品の第2接続面とは反対側に、光学面の形成領域が設けられ得る。
【0017】
第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面は、曲率を有し得る。特に第2ミラー部品に曲面光学面を形成することが想定される場合に、例えば第2ミラーの一定の厚さ、したがって一様な変形性が可能となるので、曲面状の第1接続面及び/又は第2接続面が有利である。さらに、冷却チャネルと光学面との間に少ない労力で一定の距離を設けることができる。曲率は、ミラーの想定される光学面の曲率に対応することができる。
【0018】
第1ミラー部品が、平面状に形成されるか又は平均曲率半径が大きい、特に平均曲率半径が10mよりも大きい第1接続面を有する可能性もある。その場合、平面状に形成された第2接続面を有する薄い第2ミラー部品、特に厚さ0.5mm~10mmの第2ミラー部品を用いることができる。第2ミラー部品が冷却チャネル又は補助チャネルを有する場合、厚さは冷却チャネル又は補助チャネルの底部から求められる。このような薄い第2ミラー部品には、その第2接続面を変形させる結果として第1ミラー部品の第1接続面の形状に適合させることができるという利点がある。つまり、湾曲した第2接続面を有する第2ミラー部品を製造する労力が不要である。
【0019】
633nmの波長λに関して、第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面の形態は、既定の形状からλ/2未満、好ましくはλ/10未満の偏差があり得る。第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面は、5nm未満、好ましくは1nm未満の粗さがあり得る。用語「粗さ」は、この場合、平滑な表面からのランダムに分布した偏差を包含する。精密な形状の平滑な接続面は、オプティカルコンタクト接合を容易にし、ガス混入のリスクを低減し、接続部の耐荷力を増大させる。オプティカルコンタクト接合前に、2つの接続面の一方が、2つの接続面の他方の実際の形状に適合され得る。このようにして、精度をより一層高めることができる。
【0020】
第1接続面の曲率が凸面状に形成されて第2接続面の曲率が凹面状に形成されるか、又は第1接続面の曲率が凹面状に形成されて第2接続面の曲率が凸面状に形成される可能性があり、第1ミラー部品と第2ミラー部品との接近中に、凸曲率は、凹曲率の平均曲率半径の絶対値よりも小さな絶対値の平均曲率半径を有する。これには、オプティカルコンタクト接合フロントからの距離が離れるほど2つの接続面間の距離が大きくなるので、局所的に連続したオプティカルコンタクト接合を確保できるという利点がある。オプティカルコンタクト接合フロントから離れた位置での望ましくないオプティカルコンタクト接合のリスクが低減される。さらに、ガス混入のリスクが低減される。
【0021】
第1ミラー部品と第2ミラー部品との接近中の凸曲率と凹曲率との平均曲率半径の絶対値の相違は、第1ミラー部品と第2ミラー部品とを接近させる前に第1ミラー部品及び/又は第2ミラー部品を加工することにより、又は第1ミラー部品と第2ミラー部品との接近中に第2ミラー部品に力を加えることにより生じ得る。
【0022】
第1ミラー部品の第1接続面の曲率が回転対称に形成されないので種々の平均曲率半径を有する可能性、及び/又は第2ミラー部品の第2接続面の曲率が回転対称に形成されないので種々の平均曲率半径を有する可能性がある。
【0023】
第1ミラー部品と第2ミラー部品とは、第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面の平均曲率半径の絶対値が最小である方向に沿って接近させ続けることができる。したがって、最小の平均曲率半径に沿ってオプティカルコンタクト接合を実行することができる。これには、接続面の接近及びガス抜きに関する利点がある。さらに、冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面の平均曲率半径の絶対値が最小である方向に対して横断方向に延び得る。
【0024】
第1ミラー部品の第1接続面に向かって開口するように形成された冷却チャネルが、第1ミラー部品に配置され得る。第1ミラー部品と第2ミラー部品との接近は、接触面が第1ミラー部品の冷却チャネルと平行な方向に拡大されるように続けることができる。これにより、第1ミラー部品の第1接続面と第2接続部品の第2接続面との間の領域のガス抜きが簡略化される。
【0025】
第2ミラー部品の冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、第2ミラー部品の第2接続面に向かって開口するように形成され得る。この場合、補助チャネルには、冷却チャネルが形成されない第2ミラー部品の領域でもオプティカルコンタクト接合中に良好な変形性が確保されるという利点がある。
【0026】
冷却チャネルは、それぞれがその長さ方向範囲の大部分を光学面用の領域内に横方向に配置され得る。これにより、光学面の温度により誘発された変形に特に大きな影響を及ぼす領域の効率的な冷却が可能となる。この場合、各補助チャネルは、その長さ方向範囲の大部分が光学面の形成領域の外側方にあり得る。
【0027】
さらに、冷却チャネルは、光学面と平行に延び得る。これは、光学面の特に均一な冷却を可能にする。特に、冷却チャネルは、光学面まで1mm~6mmの距離内に延び得る。第2ミラー部品の第2接続面と光学面との間の形状偏差は、3mm以下、好ましくは200μm以下であり得る。
【0028】
冷却チャネル及び補助チャネルは、少なくとも対で実質的に同一の向きを有することができる。このように、補助チャネルは、冷却チャネルの延長として働くことができる。
【0029】
補助チャネルは、冷却チャネルとは別個に形成することができる。補助チャネルは、冷却チャネルから流体的に分離することができる。結果として、冷却チャネルを通る流体の流れに対する悪影響を回避することができる。
【0030】
さらに、補助チャネルは、ミラーの環境に流体的に接続されるものとすることができる。これにより、製造中に第1ミラー部品と第2ミラー部品との間の領域をガス抜きすることが容易になり、完成したミラーでの環境との均圧が可能になり、圧力差の形成及び関連する望ましくない機械的効果が防止される。しかしながら、代替として、補助チャネルをミラーの環境から分離することも可能である。このようにして、汚染物質が補助チャネルに入ること及び/又は補助チャネルから環境に入り、例えば光学面を汚染することを防止することができる。例えば、補助チャネルは、可撓性膜によりミラーの環境から分離することができる。これにより流体的な分離が得られるが、圧力のある程度の結合は許される。このように、補助チャネルの内部とミラーの環境との間の均圧がある程度まで可能である。しかしながら、環境からの補助チャネルのより強力な分離を実現することが可能であり、これは圧力に関する切り離しももたらす。この変形形態では、補助チャネルの内部で、雰囲気圧に関係なく、例えばミラーの光学面の変形につながることで圧力制御マニピュレータを実現する所望の圧力を設定することも可能である。ミラーの環境からの補助チャネルの分離は、ミラー部品の接続中に補助チャネルを介して行われるガス抜きに悪影響を及ぼさないように、通常はミラー部品の接続後にのみ行われる。
【0031】
補助チャネルが、第2ミラー部品のうち光学面を形成するために設けられる側に向かって開口するように形成される可能性もある。存在し得る冷却チャネルの位置は、この実施形態では考慮する必要がない。
【0032】
補助チャネルは、第1ミラー部品と第2ミラー部品との接近中に第2ミラー部品の材料とは異なる材料を充填され得る。これは、閉じた表面により作用面が大きくなるので、第2ミラー部品の取り扱いを容易にすることができるという点で有利である。さらに、充填材が補助チャネルに隣接する縁を保護するので、エッジの欠けのリスクが低減される。特に、補助チャネルに弾性材料を充填することができる。これは、補助チャネルから得らえる第2ミラー部品の高い変形性が概ね維持されるという点で有利である。充填材は、非常に大きな応力を受ける可能性がある接続部を形成するためにミラー部品の熱処理前に再度除去することができる。
【0033】
補助チャネルは、光学面の形成前に平坦化することができる。結果として、光学面の形成に適した基板が作製され得る。補助チャネルは、材料アブレーションにより、例えばフライス加工、研削、研磨等により平坦化され得る。最初から薄く補助チャネルのない第2ミラー部品の形態に比べて、一時的な補助チャネルには、全体的な高い機械的安定性が目標通りに形成された局所的な材料脆弱化と組み合わせられて、選択方向に易変形性が得られるという利点がある。
【0034】
冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、直線状のプロファイルを有し得る。特に、冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、相互に等距離に配置され得る。隣接する冷却チャネル及び/又は補助チャネル間の縁間間隔は、15mm以下であり得る。冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、第2ミラー部品の外輪郭付近の領域から第2ミラー部品の外輪郭付近の直径方向の反対側まで横方向に延び得る。冷却チャネル及び/又は補助チャネルのこのような形成の場合、第1ミラー部品と第2ミラー部品とを、第2ミラー部品との接触が第2ミラー部品の外輪郭に隣接する第2接続面の領域で最初に起こるように接近させれば有利である。
【0035】
一構成では、隣接する冷却チャネル開口間の縁間距離は、15mm以下である。隣接する冷却チャネル開口間の縁間距離は、5mm以下であることが好ましい。冷却チャネル開口間の距離が小さいと、オプティカルコンタクト接合中の変形性が容易になる。
【0036】
冷却チャネルの横断寸法は、0.2mm~10mmであり得る。冷却チャネルの深さ、すなわち第1ミラー部品の第1接続面及び第2ミラー部品の第2接続面に対して略垂直な横断寸法は、冷却チャネルの幅、すなわち深さに対して垂直な横断寸法よりも大きくすることができる。特に、冷却チャネルの深さは、冷却チャネルの幅の2倍よりも大きくすることができる。結果として、光学面と平行な冷却チャネルにより形成されたキャビティの表面積率は、深さが小さい幅広の冷却チャネルの場合よりも小さいので、同じ流通断面の場合、冷却チャネル内の流体の圧力によりミラーの光学面が変形するリスクが小さくなる。
【0037】
冷却チャネル及び/又は補助チャネルが、リング状の実施形態を有するか又はリングセグメントに従って形成される可能性もある。特に、冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、環状の実施形態を有し得るか又は環状セグメントに従って形成され得る。しかしながら、冷却チャネル及び/又は補助チャネルを他の曲線に従って形成することも可能である。冷却チャネル及び/又は補助チャネルの少なくともいくつかを、径方向に相互に入れ子状にしてもよい。特に、冷却チャネル及び/又は補助チャネルの少なくともいくつかを、同心状に配置してもよい。冷却チャネル及び/又は補助チャネルのこのような形成の場合、第1ミラー部品と第2ミラー部品とを、第1ミラー部品との接触が第2接続面の中央の領域で起こるように接近させれば有利である。
【0038】
第1ミラー部品は、第2ミラー部品よりも大きな厚さを有し得る。これにより、光学面を効率的に冷却すると共にミラーの機械的安定性を高めることが可能である。
【0039】
オプティカルコンタクト接合後に、第1ミラー部品及び第2ミラー部品を接着により相互に接続することができる。接着により、許容可能な支出で確立できる非常に強力な本接続が可能になる。接着を用いて、第1ミラー部品の材料を第2ミラー部品の材料に直接接続することができる。このようにして、接着剤の使用時に起こる欠点を回避することができる。特に、接着は、第1ミラー部品の材料と第2ミラー部品の材料との共有結合をもたらすことができる。接着は、非常に高温で、特に第1及び第2ミラー部品の材料の徐冷点と軟化点との間の温度で実行され得る。これにより、第1及び第2ミラー部品のオプティカルコンタクト接合時に横断方向に延びる冷却チャネル及び/又は補助チャネルの結果として生じる可能性のある局部応力を低減することができる。例として、1200℃~1400℃の温度を与えることができる。代替として又は追加として、オプティカルコンタクト接合をロボットにより特に均一なオプティカルコンタクト接合速度で行うことにより、同様の効果を達成することができる。
【0040】
補助チャネルの平坦化は、接着後に行うことができる。
【0041】
本発明はさらに、マイクロリソグラフィ投影露光装置のミラーを製造するための中間製品に関する。中間製品は、第1ミラー部品の第1接続面にオプティカルコンタクト接合できるように形成された第2接続面を有する第2ミラー部品の形態である。第2ミラー部品は、第2接続面とは反対側に補助チャネルを有する。
【0042】
中間製品は、第1に機械的な加工及び取り扱いに十分なほど全体として機械的に安定しており、第2に補助チャネルにより生じる材料脆弱性により1つ又は複数の選択方向に十分に変形可能であるという点で有利である。
【0043】
補助チャネルは、周囲に開放された窪みとして形成され得る。補助チャネルは、第2ミラー部品の第2接続面とは反対側でその範囲の大部分にわたって、特にその全範囲にわたって周囲に対して開口するようにそれぞれ形成され得る。これにより、例えばフライス又は研削工具を用いてこれを実施できるので補助チャネルの作製が実質的に容易になる。
【0044】
さらに、本発明は、リソグラフィシステムのミラーであって、第1ミラー部品と、第2ミラー部品と、光を反射する光学面と、複数の冷却チャネル及び/又は複数の補助チャネルとを備え、第1ミラー部品及び第2ミラー部品は、第1ミラー部品の第1接続面及び第2ミラー部品の第2接続面の領域で相互に剛接続され、第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面は、回転対称に形成されない曲率を有するので種々の平均曲率半径を有し、冷却チャネル及び/又は補助チャネルは、第1ミラー部品の第1接続面及び/又は第2ミラー部品の第2接続面の平均曲率半径の絶対値が最小である方向に対して横断方向に延びるミラーに関する。
【0045】
さらに、本発明は、本発明による方法に従って且つ/又は本発明による中間製品を用いて製造されたミラーを備えた照明光学ユニットに関する。
【0046】
さらに、本発明は、本発明による方法に従って且つ/又は本発明による中間製品を用いて製造されたミラーを備えた投影光学ユニットに関する。
【0047】
さらに、本発明は、本発明による照明光学ユニット及び/又は本発明による投影光学ユニットを備えたマイクロリソグラフィ投影露光装置に関する。
【0048】
図面に示す例示的な実施形態に基づき、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】EUV投影リソグラフィ用の投影露光装置の例示的な実施形態を子午線断面で概略的に示す。
図2】DUV投影リソグラフィ用の投影露光装置の例示的な実施形態を概略図で示す。
図3】本発明による方法により製造されたミラーの例示的な要素を概略断面図で示す。
図4図3に示すミラーの例示的な第1実施形態をさらに別の概略断面図で示す。
図5】下側部品への上側部品のオプティカルコンタクト接合中のスナップショットを概略断面図で示す。
図6】上側部品及び下側部品の概略断面図を示す。
図7】下側部品への上側部品のオプティカルコンタクト接合中のスナップショットを概略上面図で示す。
図8】下側部品への上側部品のオプティカルコンタクト接合中のさらに別のスナップショットを図7に対応する図で示す。
図9】下側部品への上側部品のオプティカルコンタクト接合中のさらに別のスナップショットを図5に対応する図で示す。
図10】下側部品への上側部品のオプティカルコンタクト接合中のさらに別のスナップショットを図7に対応する図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、EUV投影リソグラフィ用の投影露光装置1の例示的な実施形態を子午線断面で概略的に示す。
【0051】
以下の本文において、マイクロリソグラフィ投影露光装置1の必須構成部品を、最初に図1を参照して例として説明する。投影露光装置1及びその構成部品の基本構造の説明は、ここでは限定的と解釈すべきではない。
【0052】
投影露光装置1の照明系2の一実施形態は、光源又は放射源3に加えて、物体面6の物体視野5の照明用の照明光学ユニット4を有する。代替的な実施形態において、放射源3は、残りの照明系とは別個のモジュールとして設けることもできる。この場合、照明系は、放射源3を含まない。
【0053】
物体視野5に配置されたレチクル7が露光される。レチクル7は、レチクルホルダ8により保持される。レチクルホルダ8は、レチクル変位ドライブ9により特に走査方向に変位可能である。
【0054】
説明のために、直交xyz座標系を図1に示す。x方向は図の平面に対して垂直に延びる。y方向は水平に延び、z方向は鉛直に延びる。図1では、走査方向はy方向に沿って延びる。z方向は物体面6に対して垂直に延びる。
【0055】
投影露光装置1は、投影光学ユニット10を備える。投影光学ユニット10は、物体視野5を像面12の像視野11に結像する働きをする。像面12は、物体面6と平行に延びる。代替として、物体面6と像面12との間では0°以外の角度も可能である。
【0056】
レチクル7上の構造が、像面12の像視野11の領域に配置されたウェハ13の又は他の何らかの感光層に結像される。ウェハ13は、ウェハホルダ14により保持される。ウェハホルダ14は、ウェハ変位ドライブ15により特にy方向に沿って変位可能である。一方ではレチクル変位ドライブ9によるレチクル7の変位と、他方ではウェハ変位ドライブ15によるウェハ13の変位とは、相互に同期するように行われ得る。
【0057】
放射源3は、EUV放射源である。放射源3は、以下で使用放射線又は照明光とも称する照明放射線16を出射する。図示の例示的な実施形態では、照明放射線16は、EUV域の、特に5nm~30nmの範囲の波長を有する。放射源3は、プラズマ源、例えばLPP源(レーザ生成プラズマ)又はGDPP源(ガス放電プラズマ)であり得る。これは、シンクロトロンベースの放射源でもあり得る。同様に、放射源3は自由電子レーザ(FEL)であり得る。
【0058】
放射源3から出る照明放射線16は、コレクタ17により集束される。コレクタ17は、1つ又は複数の楕円反射面及び/又は双曲反射面を有するコレクタであり得る。照明放射線16は、コレクタ17の少なくとも1つの反射面に斜入射(GI)で、すなわち45°よりも大きな入射角で、又は垂直入射(NI)で、すなわち45°よりも小さな入射角で入射し得る。コレクタ17は、一方では照明放射線16に対する反射率を最適化するために、他方では外来光を抑制するために構造化且つ/又はコーティングされ得る。
【0059】
コレクタ17の下流で、照明放射線16は中間焦点面18の中間焦点を伝播する。中間焦点面18は、放射源13及びコレクタ17を有する放射源モジュールと照明光学ユニット4との間の分離を表し得る。
【0060】
照明光学ユニット4は、偏向ミラー19と、ビーム経路でその下流に配置された第1ファセットミラー20とを備える。偏向ミラー19は、平面偏向ミラー、あるいは純粋な偏向効果を超えたビーム影響効果を有するミラーであり得る。代替として又は追加として、偏向ミラー19は、照明放射線16の使用光波長をそこから逸脱する波長の外来光から分離する分光フィルタの形態であり得る。第1ファセットミラー20が、視野平面として物体平面6と光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される場合、これを視野ファセットミラーとも称する。第1ファセットミラー20は、以下で視野ファセットとも称する複数の個別の第1ファセット21を含む。これらの第1ファセット21のいくつかのみを図1に例として示す。
【0061】
第1ファセット21は、巨視的なファセットの形態、特に矩形ファセットの形態、又は弧状の周囲輪郭若しくは部分円の周囲輪郭を有するファセットの形態とすることができる。第1ファセット21は、平面ファセット、あるいは凸状又は凹状に湾曲したファセットの形態であり得る。
【0062】
例えば独国特許出願公開第10 2008 009 600号から既知のように、第1ファセット21自体も、それぞれ複数の個別ミラー、特に複数のマイクロミラーから構成することができる。第1ファセットミラー20は、特に微小電気機械システム(MEMSシステム)として形成され得る。詳細は独国特許出願公開第10 2008 009 600号を参照されたい。
【0063】
コレクタ17と偏向ミラー19との間で、照明放射線16は水平に、すなわちy方向に沿って進む。
【0064】
照明光学ユニット4のビーム経路で、第1ファセットミラー20の下流に第2ファセットミラー22が配置される。第2ファセットミラー22が照明光学ユニット4の瞳面に配置される場合、これを瞳ファセットミラーとも称する。第2ファセットミラー22は、照明光学ユニット4の瞳面から離れて配置することもできる。この場合、第1ファセットミラー20及び第2ファセットミラー22の組み合わせを鏡面反射器とも称する。鏡面反射器は、米国特許出願公開第2006/0132747号、欧州特許第1 614 008号、及び米国特許第6,573,978号から既知である。
【0065】
第2ファセットミラー22は、複数の第2ファセット23を含む。瞳ファセットミラーの場合、第2ファセット23を瞳ファセットとも称する。
【0066】
第2ファセッ23も同様に、例えば円形、矩形、又は六角形の周囲を有し得る巨視的なファセット、あるいはマイクロミラーから構成されたファセットであり得る。この点に関して、独国特許出願公開第10 2008 009 600号を同様に参照されたい。
【0067】
第2ファセット23は、平面反射面、あるいは凸状又は凹状に湾曲した反射面を有し得る。
【0068】
照明光学ユニット4は、結果として二重ファセットシステムを形成する。この基本原理は、フライアイインテグレータとも称する。
【0069】
第2ファセットミラー22を投影光学ユニット10の瞳面と光学的に共役な平面に正確に配置しないことが有利であり得る。特に、独国特許出願公開第10 2017 220 586号に記載のように、第2ファセットミラー22は、投影光学ユニット10の瞳面に対して傾斜するように配置され得る。
【0070】
第2ファセットミラー22を用いて、個々の第1ファセット21が物体視野5に結像される。第2ファセットミラー22は、物体視野5の上流のビーム経路で最後のビーム整形ミラー又は実際に照明放射線16に対する最終ミラーである。
【0071】
照明光学ユニット4のさらに別の実施形態(図示せず)において、特に物体視野5への第1ファセット21の結像に寄与する転写光学ユニットが、第2ファセットミラー22と物体視野5との間のビーム経路に配置され得る。転写光学ユニットは、厳密に1つのミラー、あるいは照明光学ユニット4のビーム経路に前後に並んで配置された2つ以上のミラーを有することができる。転写光学ユニットは、特に、1つ又は2つの垂直入射用のミラー(NIミラー)及び/又は1つ又は2つの斜入射用のミラー(GIミラー)を含むことができる。
【0072】
図1に示す実施形態において、照明光学ユニット4は、コレクタ17の下流に厳密に3つのミラー、具体的には偏向ミラー19、視野ファセットミラー20、及び瞳ファセットミラー22を有する。
【0073】
照明光学ユニッ4のさらに別の実施形態では、偏向ミラー19が不要でもあるので、照明光学ユニット4は、その場合はコレクタ17の下流に厳密に2つのミラー、具体的には第1ファセットミラー20及び第2ファセットミラー22を有することができる。
【0074】
通常、第2ファセット23による、又は第2ファセット23及び転写光学ユニットを用いた、物体面6への第1ファセット21の結像は、近似的な結像にすぎない。
【0075】
投影光学ユニット10は、複数のミラーMiを含み、これらには投影露光装置1のビーム経路におけるそれらの配置に従って番号を付す。
【0076】
図1に示す例において、投影光学ユニット10は、6個のミラーM1~M6を含む。4個、8個、10個、12個、又は任意の他の数のミラーMiでの代替も同様に可能である。投影光学ユニット10は、二重遮蔽光学ユニットである。最後から2番目のミラーM5及び最終ミラーM6はそれぞれ、ウェハ13の露光中に露光プロセスに寄与する放射線がレチクル7からウェハ13への途中で通過する通過開口を有する。投影光学ユニット10は、0.5よりも大きく、0.6よりも大きくてもよく、例えば0.7又は0.75であり得る像側開口数を有する。
【0077】
ミラーMiの反射面は、回転対称軸のない自由曲面の形態であり得る。代替として、ミラーMiの反射面は、反射面形状の回転対称軸が厳密に1つである非球面として設計することができる。照明光学ユニット4のミラーと同様に、ミラーMiは、照明放射線16に対して高反射コーティングを有することができる。これらのコーティングは、特にモリブデン及びシリコンの交互層を有する多層コーティングとして設計することができる。
【0078】
投影光学ユニット10は、物体視野5の中心のy座標と像視野11の中心のy座標との間にy方向の大きな物体-像オフセットを有する。y方向のこの物体-像オフセットは、物体面6と像面12との間のz距離と略同じサイズであり得る。
【0079】
特に、投影光学ユニット10は、アナモルフィックな形態を有することができる。特にこれは、x方向及びy方向に異なる結像スケールβx、βyを有する。投影光学ユニット10の2つの結像スケールβx、βyは、好ましくは(βx,βy)=(+/-0.25,+/-0.125)である。正の結像スケールβは、像反転のない結像を意味する。結像スケールβの負の符号は、像反転のある結像を意味する。
【0080】
投影光学ユニット10は、結果として、x方向に、すなわち走査方向に対して垂直な方向に4:1の比でサイズを縮小させる。
【0081】
投影光学ユニット10は、y方向に、すなわち走査方向に8:1でサイズを縮小させる。
【0082】
他の結像スケールも同様に可能である。x方向及びy方向で同じ符号及び同じ絶対値の、例えば0.125又は0.25の絶対値の結像スケールも可能である。
【0083】
物体視野5と像視野11との間のビーム経路におけるx方向及びy方向の中間像面の数は、同じであってもよく、又は投影光学ユニット10の実施形態に応じて異なっていてもよい。x方向及びy方向のこのような中間像の数が異なる投影光学ユニット10の例は、米国特許出願公開第2018/0074303号から既知である。
【0084】
第2ファセット23のそれぞれが、物体視野5を照明する照明チャネルをそれぞれ形成するために第1ファセット21の厳密に1つに割り当てられる。これにより、特に、ケーラーの原理に従った照明を生成することができる。遠視野は、第1ファセット21を用いて複数の物体視野5に分解される。第1ファセット21は、それぞれに割り当てられた第2ファセット23に中間焦点の複数の像を生成する。
【0085】
割り当てられた第2ファセット23により、第1ファセット21は、物体視野5を照明する目的で重なり合ってレチクル7に結像される。物体視野5の照明は、特にできる限り均一である。その均一性誤差は2%未満であることが好ましい。異なる照明チャネルを重ね合わせることにより、視野均一性を得ることができる。
【0086】
投影光学ユニット10の入射瞳の照明は、第2ファセット23の配置により幾何学的に規定することができる。導光する照明チャネル、特に第2ファセット23のサブセットを選択することにより、投影光学ユニット10の入射瞳における強度分布を設定することができる。この強度分布を照明設定又は照明瞳充填とも称する。
【0087】
照明光学ユニット4の照明瞳の規定の照明部分の領域における同様に好ましい瞳均一性を、照明チャネルの再分配により達成することができる。
【0088】
物体視野5の、特に投影光学ユニット10の入射瞳の照明のさらなる態様及び詳細を、以下で説明する。
【0089】
特に、投影光学ユニット10は共心入射瞳を有し得る。これはアクセス可能とすることができる。これはアクセス不可能とすることもできる。
【0090】
投影光学ユニット10の入射瞳は、常に第2ファセットミラー22で正確に照明することはできない。第2ファセットミラー22の中心をウェハ13にテレセントリックに結像する投影光学ユニット10の結像の場合、開口光線は一点で交わらないことが多い。しかしながら、開口光線の対で求められた距離が最小になる面を見つけることが可能である。この面は、入射瞳又はそれと共役な実空間面を表す。特に、この面は有限の曲率を有する。
【0091】
投影光学ユニット10は、タンジェンシャルビーム経路とサジタルビーム経路とで入射瞳の位置が異なる場合がある。この場合、結像素子、特に転写光学ユニットの光学コンポーネント部品を、第2ファセットミラー22とレチクル7との間に設けるべきである。この光学素子を用いて、タンジェンシャル入射瞳及びサジタル入射瞳の相対位置の相違を考慮することができる。
【0092】
図1に示す照明光学ユニット4のコンポーネントの配置において、第2ファセットミラー22は、投影光学ユニット10の入射瞳と共役な面に配置される。第1ファセットミラー20は、物体面6に対して傾斜するように配置される。第1ファセットミラー20は、偏向ミラー19により画定された配置面に対して傾斜するように配置される。
【0093】
第1ファセットミラー20は、第2ファセットミラー22により画定された配置面に対して傾斜するように配置される。
【0094】
図2は、DUV投影リソグラフィ用の投影露光装置1の例示的な実施形態を概略図で示す。ここで、DUVは「深紫外」を示す。特に、投影露光装置1は、193nmの波長で動作するよう設計され得る。
【0095】
投影露光装置1は、照明光学ユニット4及び投影光学ユニット10を有する。照明光学ユニット4の内部構造及び投影光学ユニット10の内部構造は、それぞれが例えば光学コンポーネント、センサ、マニピュレータ等を含み得るが、詳細には図示しない。投影光学ユニット10の場合、ミラーMがその光学コンポーネントの代表として示される。ミラーMは、冷却装置24により供給される冷却媒体を用いて冷却され得る。冷却媒体は、流体、例えば水である。追加として又は代替として、照明光学ユニット4は、冷却されたミラーM及び関連する冷却装置24を有し得る。投影光学ユニット10及び/又は照明光学ユニット4は、複数の冷却されたミラーM及び冷却装置24も有し得る。照明光学ユニット4の場合及び投影光学ユニット10の場合、レンズ素子と、冷却又は非冷却のさらなるミラーとが、さらなる光学コンポーネントとして存在し得る。
【0096】
同様に、図1に示す投影露光装置1の例示的な実施形態でも、例えばミラーM3に接続され得る少なくとも1つの冷却装置24が設けられ得る。
【0097】
投影露光装置1の動作に必要な放射線は、放射源3により生成される。放射源3は、特に、波長193nmの照明放射線16を発生するエキシマレーザ、例えばフッ化アルゴンレーザであり得る。
【0098】
照明光学ユニット4と投影光学ユニット10との間には、レチクルホルダ8が配置され、その上にマスクとも称するレチクル7が固定される。レチクルホルダ8は、レチクル変位ドライブ9を有する。放射方向に見て投影光学ユニット10の下流には、ウェハホルダ14が配置され、これはウェハ13又は他の何らかの基板を担持し、ウェハ変位ドライブ15を有する。
【0099】
さらに図2には、照明光学ユニット4、投影光学ユニット10、冷却装置24、放射源3、レチクルホルダ8又はレチクル変位ドライブ9、及びウェハホルダ14又はウェハ変位ドライブ15に接続された制御装置25も示す。同様に、図1の投影露光装置も、対応するコンポーネントに接続され得る制御装置25を有し得る。
【0100】
投影露光装置1は、ウェハ13にレチクル7を高精度に結像する目的を果たす。この目的で、レチクル7は照明光学ユニット4を用いて照明され、照明されたレチクル7は投影光学ユニット10を用いてウェハ13に結像される。具体的には、以下の手順が採用される。
【0101】
照明光学ユニット4は、放射源3が発生した照明放射線16をその光学コンポーネントにより正確に規定された方法で変換し、それをレチクル7へ導く。実施形態に応じて、照明光学ユニット4は、レチクル7全体又はレチクル7の部分領域のみを照明するように形成され得る。照明光学ユニット4は、レチクル7の各照明点で略同一の照明条件があるようにレチクル7を照明可能である。特に、入射した照明放射線16の光強度及び角度分布は、レチクル7の各照明点で略同一である。
【0102】
照明光学ユニット4は、場合によっては複数の異なる角度分布の照明放射線16でレチクル7を照明可能である。照明放射線16のこれらの角度分布を、照明設定とも称する。所望の照明設定は、概してレチクル7に形成された構造要素に応じて選択される。例えば比較的頻繁に用いられるのは、二重極又は四重極照明設定であり、その場合、照明放射線16をそれぞれ2つの異なる方向から又は4つの異なる方向からレチクル7の各照明点に入射させる。照明光学ユニット4の形態に応じて、例えばズームアキシコン光学ユニットと組み合わせた異なる回折光学素子により、又は並べて配置されて角度位置に関して個別に調整可能な複数の小さなミラーをそれぞれが有するミラーアレイにより、異なる照明設定を生じさせることができる。
【0103】
レチクル7は、例えば、照明光学ユニット4により供給された照明放射線16に対して透明な、例えばクロムコーティングの形態の不透明構造が施されたガラス板として形成され得る。
【0104】
投影露光装置1は、レチクル7全体が単一の露光ステップで照明光学ユニット4により同時に照明されて投影光学ユニット10によりウェハ13に完全に結像されるように形成され得る。
【0105】
代替として、レチクル7の部分領域のみが照明光学ユニット4により同時に照明され、且つウェハ13の露光中にレチクル7を照明光学ユニット4に対して移動させる結果として照明された部分領域がレチクル7の全体にわたって移動するようにレチクル変位ドライブ9が制御装置25により制御されるように、投影露光装置1を形成することもできる。ウェハ13は、投影光学ユニット10の結像特性も考慮したウェハ変位ドライブ15の適切に整合した制御動作により、同期して移動させられるので、レチクル7のそれぞれ照明された部分領域は、それに対応するウェハ13の部分領域に結像される。レチクル7及びウェハ13のこの移動を走査とも称する。
【0106】
投影露光装置1の両方の変形実施形態において、ウェハ13の露光により生成された潜像を物理構造に転写することができるようにするために、感光層がウェハ13に塗布される。レチクル7の像は、露光によりこの感光層に形成され、後続の化学プロセスを用いてそこからウェハ13に永久的な構造を作成することができる。
【0107】
レチクル7は、概してウェハ13に1回だけではなく複数回並べて結像される。この目的で、ウェハ13へのレチクル7の結像毎に、ウェハ13上のレチクル7の像のサイズに対応するようにウェハホルダ14を横方向に変位させる。レチクル7の結像は、ここではそれぞれ全体として又は走査により順次行われ得る。ウェハ13の化学処理は、ウェハ13へのレチクル7の結像が所望の回数実行された場合にのみ開始される。
【0108】
図3は、本発明による方法により製造されたミラー26の例示的な実施形態の概略断面図を示す。図4は、図3に示す断面線A-Aに沿って断面を取ったさらに別の概略的な断面図でミラー26の同じ例示的な実施形態を示す。ミラー26の細部をできる限り多く示すことができるように、断面線A-Aは、ミラー26を通過する際に横方向にオフセットする。図3では、断面は図4に示す断面線B-Bに沿って導かれている。図3及び図4において、ミラー26及びその構成部品の図示は一定の縮尺ではなく、本発明をできる限り明確に示すために非常に抽象的である。他の全ての図についても同様である。
【0109】
図1及び図2に示す投影露光装置1の1つの場合、ミラー26を用いることができ、これは下側部品27及び上側部品28を有し、これらはそれぞれ石英ガラス、Tiドープ石英ガラス、又はガラスセラミックから製造される。用語「下側部品」及び「上側部品」が選択された理由は、下側部品27が概して上側部品28よりもはるかに厚く形成され、したがっていわば上側部品28を支えるからである。しかしながら、これらの用語は、ミラー26の取付状態での重力方向に対するミラー26の向きとは無関係である。投影露光装置1の動作中に、上側部品28は、重力方向に関して下側部品27の上又は下又は横に配置されてもよく、又はそれに対して他の何らかの相対位置をとってもよい。下側部品27は、第1ミラー部品27とも称し、上側部品28は、第2ミラー部品28とも称する。
【0110】
下側部品27及び上側部品28は、以下でより詳細に説明する本発明による方法により、下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30の領域で相互に剛接続される。図示の例示的な実施形態において、下側部品27の接続面29は、凹湾曲状に形成される。曲率は、球面状に、非球面状に、又は自由曲面に従って形成され得る。上側部品28の接続面30は、下側部品27の接続面29と相補的に湾曲し、したがって球面状に、非球面状に、又は自由曲面に従って形成され得る凸曲率を有する。その結果として、上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29は、当接して密着することができる。湾曲状に形成する代替として、下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30は、平面状に形成することもできる。
【0111】
接続面29とは反対側の、図3の下部に示す側では、下側部品27は平面状に形成される。接続面30とは反対側の、図3の上部に示す側では、上側部品28は凹湾曲状に形成され、同一の曲率を有する反射光学面31を有する。その曲率は、球面状に、非球面状に、又は自由曲面に従って形成され得ると共に、特に上側部品28の接続面30の曲率に対応し得る。接続面29及び30と、上側部品28の接続面30とは反対側の面と、光学面31とがそれぞれ回転対称に形成されている場合でも、図3及び図4の断面はこれらの面の中心から異なる距離で形成されているので、これらの断面ではそれぞれ曲率が僅かに異なる。しかしながら、距離の差は曲率半径の絶対値に比べてそれぞれ非常に小さいので、図3及び図4の図示では曲率の差は認められない。
【0112】
この代替として、光学面31が平面状に形成される可能性もある。これは、特に下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30が平面状に形成される場合に当てはまる。
【0113】
光学面31は、上側部品28に塗布されたコーティングとして具現される。コーティングの形成は、光学面31がその反射効果を発揮することが意図される波長に応じて変わる。DUV域の反射が所望される場合、すなわち図2のミラーMの場合、コーティングはアルミニウム層として形成され得る。一方、例えば図1のミラーM3の場合のようにEUV域の反射が意図される場合、コーティングは、特にシリコン及びモリブデンの交互に連続した層、及び場合によっては、例えば保護層の役割を果たす異なる組成の1つ又は複数のさらなる層から形成することができる。
【0114】
上側部品28はさらに、複数の細長い冷却チャネル32を有し、これらは、相互に且つ光学面31と平行に延び、光学面31の領域で横方向に、場合によっては光学面31を若干越えて延びる。したがって、図示の例示的な実施形態の場合の冷却チャネル32は、湾曲状に形成される。冷却チャネル32は、光学面31まで約1mm~6mmの距離内に延び、上側部品28の接続面30に向かって開口するように形成される。したがって、冷却チャネル32は、上側部品28の接続面30の領域に細長い冷却チャネル開口33を有する。冷却チャネル32の横断寸法は、約0.2mm~10mmとすることができ、冷却チャネル32の深さ、すなわち上側部品28の接続面30に対して略垂直な寸法は、幅、すなわち上側部品28の接続面30と略平行な寸法よりも概して大幅に大きい。例えば、冷却チャネル32の深さは、冷却チャネル32の幅の2倍よりも大きくされ得る。
【0115】
上側部品28の接続面30を回転対称に形成しない場合、その平均曲率半径は、方位角によって、又は換言すれば方向によって異なり得る。この場合、平均曲率半径の絶対値が最小である方向は、冷却チャネル開口33の長さ方向範囲に対して横断方向に、特に垂直に延び得る。下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30の相互に隣接する領域は、非接続状態では僅かに異なる平均曲率半径を有する場合があり、凸面状に形成された面の領域の平均曲率半径は、概して凹面状に形成された面の対応する領域の平均曲率半径よりも絶対値が小さい。異なる方向で曲率半径が異なる場合、これは各方向について言える。
【0116】
下側部品27は、複数の分配チャネル34及び回収チャネル35を有し、これらは、下側部品27の接続面29から下側部品27の接続面29とは反対側の方向に下側部品27内に延びる。下側部品27内で、分配チャネル34は流体分配部36に通じており、回収チャネル35は流体回収部37に通じている。分配チャネル34及び回収チャネル35は、それぞれが下側部品27の接続面29に向かって階段状に広がり、そこで2つの冷却チャネル開口33の両端とそれぞれ重なる。換言すれば、1つの分配チャネル34が2つの冷却チャネル開口33の一端とそれぞれ重なり、1つの回収チャネル35が同じ2つの冷却チャネル開口33の2つの他端とそれぞれ重なる。したがって、1つの分配チャネル34は、その一端が流体分配部36に、その他端が2つの冷却チャネル32に流体的に接続される。同様に、1つの回収チャネル35は、その一端が流体回収部37に、その他端が2つの冷却チャネル32に流体的に接続される。
【0117】
したがって、流体分配部36及び分配チャネル34を通して冷却チャネル32に流体、例えば水を供給することが可能であり、各分配チャネル34はそれぞれ2つの冷却チャネル32に流体を供給し、流体分配部36は分配チャネル34の全てに水を供給する。流体は、冷却チャネル32を流れてから、回収チャネル35を介して流体回収部37に流入し、これを介して流体を除去することができる。この場合、2つの冷却チャネル32毎に1つの回収チャネル35に流体が流入し、全ての回収チャネル35の流体が流体回収部37に流入する。流体分配部36への流体の供給及び流体回収部37からの流体の除去は、この目的で流体分配部36及び流体回収部37に接続することができる冷却装置24を用いて行うことができる。
【0118】
供給された流体の温度を上側部品28の温度未満の温度に調整することで、流体が冷却チャネル32を流れる際に上側部品28から抜熱するという効果を達成することができる。この抜熱は、特に、リソグラフィシステムの動作中に光学面31に入射した放射線による入熱を補償するためのものである。光学面31は入射放射線を完全に反射しないので、放射線の一部は光学面31により吸収され、光学面31の形態によっては上側部品28によっても吸収され、熱に変換される。光学面31及び上側部品28は一定の熱伝導率を有するので、この熱の一部は、冷却チャネル32へ導かれ、そこで流体により取り込まれて運び去られる。このように、放射線により生じるミラー26の温度上昇を制限することができ、冷却されていないミラー26に比べて熱膨張効果により生じる光学面31の変形を低減することができる。結果として、変形により生じる結像収差も低減される。
【0119】
冷却チャネル32、分配チャネル34、回収チャネル35、流体分配部36、及び流体回収部37の形成及び配置は、様々な方法で変更され得る。例えば、冷却チャネル32は、下側部品27に配置されて下側部品27の接続面29に向かって開口するように形成されてもよいので、冷却チャネル32は、下側部品27の接続面29の領域で細長い冷却チャネル開口33を有する。分配チャネル34及び回収チャネル35が不要であってもよく、流体分配部36及び流体回収部37を冷却チャネル32等に直接接続してもよい。
【0120】
ミラー26を製造するために、下側部品27及び上側部品28は、別個の部品として製造されてから相互に接続される。光学面31は、特にその形状に関して可能な限り高い精度を達成すると共に接続プロセス中の光学面31の損傷を回避するために、概して下側部品27及び上側部品28の接続後にのみ形成される。熱膨張率が非常に低い材料が、下側部品27及び上側部品28の製造に用いられる。適切な材料は、例えば石英ガラス、酸化チタンをドープした石英ガラス、又は特殊ガラスセラミックスである。下側部品27及び上側部品28は、共通の材料ブランクから切り出され得る。しかしながら、下側部品27及び上側部品28が材料パラメータに関して相互に異なりすぎる場合、これらに異なる材料ブランクを用いる可能性もある。
【0121】
例えば、酸化チタンと混合され、下側部品27の体積で平均したゼロクロス温度が22℃~25℃である石英ガラスが、下側部品27の製造に用いられ得る。ゼロクロス温度は、ここでは、リソグラフィシステムの動作中のミラー26の冷却を考慮した下側部品27の予想温度に一致させてある。下側部品27に用いる材料を製造する方法に応じて、22℃での熱膨張率の上昇は、約1.35ppb/K~1.8ppb/K未満であることが好ましい。
【0122】
下側部品27は、材料ブランクから切り出されてから研削及び研磨により加工される。下側部品27の接続面29は、ここで特に、後で上側部品28に形成される光学面31の意図した形態に略対応する形態にされ得る。下側部品27の接続面29と光学面31との間の形状偏差は、3mm以下、好ましくは200μm以下である。下側部品27の接続面29が円形の境界を有する場合、その直径は概して20cm~100cmであり、サグは直径の3%以下である。下側部品27の接続面29の球面基本形状に任意所望の機能を重ねることができるので、自由曲面を得ることができる。
【0123】
測定に用いる633nmの波長λに関して、下側部品27の接続面29の研磨は、指定形状(設計形状)からの偏差をλ/2未満、好ましくはλ/10未満として実行され得る。さらに、5nm未満、好ましくは1nm未満の粗さがこの場合に達成され得る。用語「粗さ」は、この場合、平滑な表面からのランダムに分布した偏差を包含する。形状偏差又は設計形状からの偏差は、指定の形状からの長波偏差と、ランダムな分布ではなくより局所的な短波偏差との両方を含むと考えられる。長波形状偏差は、上記値λ/2及びλ/10よりも若干大きくてもよい。しかしながら、短波偏差に関しては、上記値は可能な限り維持される。例えば、空間周波数が数cmの偏差は、このような破壊的効果を有していない。空間周波数が100μm未満の偏差は、概してはるかにより破壊的である。接合プロセスの一部としての下側部品27及び上側部品28の最終的な接続が非常に高い温度で、特に1000℃を超える温度で行われる場合、粗さ及び形状偏差に関する要件を若干緩和することができ、下側部品27の接続面29を代替的にラッピングにより加工することができる。下側部品27の材料に応じて、所要温度は1200℃以上とすることもできる。
【0124】
研削剤及び研磨剤の残留物の乾燥を回避するために、下側部品27は、研削及び研磨後に直接洗い落とされる。さらに、機械的な湿式洗浄が実行され得る。下側部品27の表面は、溶剤、有機及び無機洗浄剤で、又はプラズマ処理等によりさらに洗浄され得る。
【0125】
下側部品27の加工時に、少量の水、例えば研磨剤等の他のプロセス剤、又は汚染物質がマイクロクラックに残る可能性があり、それらが下側部品27の加熱時に蒸発して局所的な膨れにつながり得るので、深部の損傷を確実に回避しなければならない。生じ得る深部の損傷を回避又は排除するために、乾式及び/又は湿式エッチングステップ又は他の適切な光学加工ステップが用いられ得る。さらに、段階的な研削ステップを用いることができるか、又は例えば酸素プラズマエッチングによる非接触除去の後に研磨ステップを行うことができる。深部の損傷がないことは、例えばフッ酸での短時間エッチングにより証明され、これにより局所的なエッチピットは生じない。炭化水素を除去するための洗浄ステップと同時に、フッ酸浴が適している。
【0126】
研削及び研磨又はラッピング後に、必要に応じて、分配チャネル34及び回収チャネル35並びに流体分配部36及び流体回収部37が下側部品27に形成される。下側部品27の形成に応じて、冷却チャネル32は下側部品27に形成されてもよい。分配チャネル34及び回収チャネル35並びに流体分配部36及び流体回収部37は、冷却チャネル32の対応する寸法よりもはるかに大きな横断寸法、すなわち流体の流れ方向を横断する寸法を概して有する。
【0127】
各チャネルは、フライス加工、研削、穴あけ、レーザアブレーション、超音波アブレーション、若しくはエッチング、又はこれらの方法の組み合わせにより形成され得る。最後の方法ステップとして、その後の亀裂伝播を回避し、且つ流れを促すように極僅かに粗面化した表面をチャネルに形成するために、フッ酸でのエッチングをいずれの場合も行うことができる。
【0128】
下側部品27の加工済みの、特に研磨された表面を、例えば冷却チャネル開口33の周辺のエッジの欠け及び同様の損傷から保護するために、チャネルの形成前に下側部品27の表面に保護レジストが塗布され得る。この予防措置にもかかわらず生じるエッジの欠けは、局所的に平滑化されるか又は例えば冷却チャネル開口33の周りに延びるベベルにより排除され得る。しかしながら、このベベルは、切欠き効果により流れ及び強度に関して不利であり、可能な限り回避すべきである。
【0129】
上述の手順の代替として、最初に下側部品27にチャネルを形成してから、研削、ラッピング、及び/又は研磨により下側部品27の表面を加工する可能性がある。しかしながら、例えば研磨ディスクは剛性が限られており、冷却チャネル開口33又は他の開口内まで膨らむので、これにより冷却チャネル開口33又は他の開口のエッジにある程度の丸みが生じる。エッジにおけるこの丸みは、下側部品27と同じ材料のプレースホルダを冷却チャネル開口33又は他の開口に挿入又はセメント固定することにより解消することができる。プレースホルダは、下側部品27の接続面29と共に研削且つ研磨され、冷却チャネル開口33又は他の開口により生じるギャップの幅を減らす。プレースホルダと下側部品27の周囲材料との間に残るギャップには、ガラス又はセラミック粉末充填パテを注入することもできるので、研磨中に僅かな膨らみがあったとしてもエッジの丸みはほとんどない。代替として、エッジの丸みを最小化するために、ロボット研磨又はイオンビーム研磨により局所的な再加工が行われ得る。下側部品27の表面の加工後に、プレースホルダ及び該当する場合は注入材が再度除去される。
【0130】
エッジの丸みを回避又は少なくとも低減するために、アブレーション又はエッチング法が機械的な表面加工の代替として用いられ得る。これらの方法において、加工対象でない領域にレジストマスクが塗布された場合、レジストマスクの周辺領域にアンダーエッチングが生じ得る。このアンダーエッチングの悪影響は、適切な機械的な、レーザアブレーションによる、又はエッチングによる再加工により打ち消すことができる。
【0131】
下側部品27に関して説明したのと同一又は同様の特性を有する材料を、上側部品28の製造に用いることができる。上側部品28の材料特性は、下側部品27の材料特性から指定の限度内でのみ逸脱することができる。材料ブランクからの上側部品28の切り出し後に、上側部品28の表面、特に接続面30を、下側部品27に関して説明したのと同様に加工することができ、形状偏差及び粗さに関する類似の要件を満たさなければならない。下側部品27に関して説明したように、粗さ及び形状偏差に関する要件は、若干緩和することができ、下側部品27及び上側部品28の最終的な接続が接合プロセスの一部として非常に高い温度、特に1000℃を超えるか又は1200℃を超える温度で行われる場合、上側部品28の接続面30をラッピングにより加工することができる。上側部品28が比較的薄い場合、及び長波の形状偏差の場合にも、要件の緩和が可能である。
【0132】
実施形態の変形形態に応じて、上側部品28は、冷却チャネル32及び/又は他のチャネル、例えば分配チャネル34及び回収チャネル35等を有し得る。これらのチャネルの全てを、下側部品27に関して説明したのと同様に作製することができ、エッジの丸み等の低減に類似の措置を用いることができる。
【0133】
上側部品28は、概して厚さ10mm~40mmだが、特定の前提条件下ではより小さな厚さを有することもできる。厚さに応じて、精密な加工に十分な剛性を達成するために、上側部品28を加工のためにキャリア材料としてのガラス基板にセメント固定又はオプティカルコンタクト接合する必要があり得る。
【0134】
下側部品27の接続面29の加工用の工具と同じ又は酷似した公称曲率を有する工具を、研削、ラッピング、及び/又は研磨による上側部品28の接続面30の加工に用いることができる。場合によっては、下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30の実際の形状を測定して、ロボット研磨、プラズマエッチング、イオンビームアブレーション、又は圧縮高エネルギー照射により上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に局所的に適合させる、さらなるステップをその後に設けてもよい。
【0135】
下側部品27の接続面29が実質的に平面であるか又は非常に小さな曲率を有するので少なくとも1つの方位角に対する平均曲率半径の絶対値が10mよりも大きいミラー26の実施形態の場合、厚さ0.5mm~10mmの比較的薄い上側部品28を用いると共に上側部品28の接続面30を平面状に形成する可能性がある。この場合、上側部品28が下側部品27への接続中に変形し得る結果として、上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29の形状に適合され得る。接続前に必要な加工のために、上側部品28は、十分な剛性のキャリア材料にセメント固定され得るか、又はキャリア材料にオプティカルコンタクト接合され得る。
【0136】
材料ブランクから切り出された上側部品28の使用の代替として、例えば溶融金属上への流し出し(フロートガラス)、長いブレイクアウェイエッジにわたる流し込み、ガラススートの加圧焼結により、又は灰色体により間接的に、チタンドープ石英ガラスの薄い上側部品28を製造することもできる。これらの方法には、上側部品28が材料パラメータに関して良好な均一性を達成できる数ミリメートル厚のシートから製造され、機械加工を省くことが可能であり得るという利点がある。このようなシートからできた上側部品28で下側部品27の場合と同様の熱膨張挙動を達成することができるように、シートのOH含有量は、下側部品27のOH含有量からのずれが5%以下であるべきであり、シートのチタン含有量は、下側部品27のチタン含有量からのずれが0.05%以下であるべきである。厚さ2mm未満の上側部品28が製造される非常に薄いシートの場合、これらの要件はもう少し緩和することができる。
【0137】
下側部品27及び上側部品28の加工が終了すると、これらをその接続面29、30の領域で相互に接続することができる。接続は2ステップで行われる。第1ステップにおいて、上側部品28を下側部品27にオプティカルコンタクト接合し、すなわち下側部品27に非常に接近させるので、下側部品27の原子と上側部品28の原子との間のファンデルワールス力の結果として上側部品28が下側部品27に付着する。第2ステップにおいて、上側部品と下側部品27との間の接続を接合プロセスにより強化し、それにより下側部品27の原子と上側部品28の原子との間に共有結合が形成されるので、上側部品28及び下側部品27は相互に非常に強力に本接続される。
【0138】
オプティカルコンタクト接合の前に、下側部品27及び上側部品28の特に接続面29、30の領域を洗浄し、活性化し、且つ乾燥させる。例えば、下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30は、例えばフッ酸でのエッチング、スパッタリング、又は水素又は酸素プラズマでのプラズマ処理により、同時に洗浄、アブレーション、及び活性化され得る。
【0139】
下側部品27にオプティカルコンタクト接合させるために、上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に非常に接近させるので、上側部品28の表面付近の原子と下側部品27の表面付近の原子との間のファンデルワールス力の結果として強い引力が生じ、最終的に上側部品28と下側部品27とを相互に接続する。ファンデルワールス力は非常に短い距離でしか作用しないので、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とを非常に接近させる必要がある。上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29が非常に滑らかで、略正確に同じ形状を有し、且つ汚染物質が概ねない場合にのみ、比較的大きな表面積内でこれが可能である。上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とを十分に接近させて、接続面30、29間の空気又は他のガスの混入の可能性を可能な限り防止することも非常に重要である。これらのガス混入は、ミラー26のその後の使用中にも悪影響を及ぼし得る。
【0140】
こうした理由で、接続面29、30を相互に密着させるために、且つガス混入を概ね防止して可能な限り最適なオプティカルコンタクト接合を得るために、上述の準備が行われ、以下でより詳細に説明する措置が講じられる。これらの措置の1つを図5に基づいてより詳細に説明する。
【0141】
図5は、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合中のスナップショットを概略断面図で示す。断面は、図4に示す断面線C-Cに沿って、したがって冷却チャネル32の長さ方向範囲に対して垂直に取られる。
【0142】
図示の例示的な実施形態の場合、下側部品27の接続面29及び上側部品28の接続面30は、少なくとも略相補的な曲率を有する。図5から分かるように、上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29に全表面積にわたって平行に整列して接近するのではなく、接続面29、30が接近時に相互に対して角度を形成し、最初は図5の左側に示す周面の領域でのみ合わさる。図5では、効果を見ることができるように角度が誇張されている。接続面を接近させると、最初は上側部品28と下側部品27との間の接触は接続面29、30の小さな領域にしかないので、最初は比較的小さな接触面28のみが上側部品28と下側部品27との間に形成される。ファンデルワールス力が接触面38内で吸引効果をもたらすので、下側部品27の接続面29への上側部品28の接続面30のオプティカルコンタクト接合が接触面38の領域で生じる。
【0143】
上側部品28は、続いて下側部品27に向かってさらに連続的に枢動し、それにより下側部品27にさらに接近し、結果として接触面38のサイズが大きくなる。したがって、上側部品28が下側部品27にオプティカルコンタクト接合される表面積も大きくなる。接続面29、30のオプティカルコンタクト接合領域と接続面29、30の非オプティカルコンタクト接合領域との間の直線状に形成された移行部を、以下ではオプティカルコンタクト接合フロントと称する。図5の図示では、オプティカルコンタクト接合フロントは図平面に対して垂直に、且つ冷却チャネル32の長さ方向範囲と略平行に延びる。これは、少なくともオプティカルコンタクト接合フロントが図平面を通過する領域に当てはまる。オプティカルコンタクト接合フロントは、直線又は僅かな曲線として形成されることができ、上側部品28が下側部品27に接近するにつれて左から右へ移動し、すなわち下側部品27への上側部品28の接近が左から右へ連続的に進行する。漸進的な接近を以下では「ローリング」とも称し、したがって図5の図示では、上側部品28は下側部品27に対して左から右へローリングされる。ローリング運動の方向を図5に矢印で示し、以下ではローリング方向39と称する。
【0144】
直線状のオプティカルコンタクト接合フロントが徐々に移動する連続的なオプティカルコンタクト接合には、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間の中間空間からガスが連続的に押しのけられ続け、その結果としてガス混入のリスクが大幅に低減するという効果がある。オプティカルコンタクト接合動作は、上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29に全表面積にわたってオプティカルコンタクト接合されると終了する。
【0145】
上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29が回転対称に形成されていない例示的な実施形態の場合、上側部品28の接続面30は、接続面29、30が平均曲率半径の最小の絶対値を有する方向と平行に下側部品27の接続面29に対してローリングされることが好ましい。
【0146】
上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間の中間空間からのガスの脱出は、上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29が正確に同じ曲率を有していないことにより、ある程度は容易にすることができる。図6を参照してこれをより詳細に説明する。
【0147】
図5から分かるように、ローリング方向39は冷却チャネル開口33及び冷却チャネル32の長さ方向範囲に対して横断方向に、特に垂直に延びる。上側部品28の厚さは冷却チャネル32の領域で大幅に減るので、これらの領域は継手と同様に働き、上側部品28をこれらの領域で曲がりやすくする。その結果、上側部品28を接触面38の外側で下側部品27から一時的に十分に大きな距離に保って、そこでオプティカルコンタクト接合が起こるのを防止すると共に、上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に接近させ続けるのに、比較的小さな力しか必要ない。さらに、接触面38の領域では、上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に密着させて十分な係合が達成され、結果として非常に確実なオプティカルコンタクト接合が可能となる。これを図7に基づいてより詳細に説明する。
【0148】
横断方向に延びる冷却チャネル32により、オプティカルコンタクト接合中に局部応力が形成され得る。しかしながら、これらの応力は、オプティカルコンタクト接合をロボットにより特に均一なオプティカルコンタクト接合速度で行うことにより、小さく抑えることができる。接合プロセスを非常に高温で、特に下側部品27及び上側部品28の材料の徐冷点と軟化点との間の温度で実行することにより、局部応力を低減する可能性もある。例として、1200℃~1400℃の温度を与えることができる。
【0149】
図6は、上側部品28及び下側部品27の概略断面図を示す。断面は、図5に類似の方法で選択された。したがって、断面は、図4に示す断面線C-Cに沿って、したがって冷却チャネル32の長さ方向範囲に対して垂直に取られる。上側部品28は、下側部品27から非常に小さな距離で下側部品27と平行な向きで図示されている。しかしながら、これはオプティカルコンタクト接合中のスナップショットを表すのではなく、上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29の幾何学的形状を示すのに役立つ。とはいえ、上側部品28及び下側部品27は、オプティカルコンタクト接合中のそれらの相互に対する相対的な方位角回転方向で図示されており、図の断面はオプティカルコンタクト接合中のローリング方向39と平行に延びる。
【0150】
下側部品27の接続面29が、湾曲状に、特に凹湾曲状に形成されることは図6から明らかである。上側部品28の接続面30は、下側部品27の接続面29の反対なので、凸湾曲状に形成される。上側部品28の接続面30が、図6の断面で、したがってローリング方向39と平行な方向に、下側部品27の接続面29よりも顕著な曲率を有することが図6からさらに明らかである。換言すれば、上側部品28の接続面30は、上記方向に関して、下側部品27の接続面29よりも絶対値の小さい平均曲率半径を有する。曲率の差は、誇張しなければ認識できないので、図6では誇張してある。
【0151】
上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29の曲率が異なる結果として、上側部品28を下側部品27に対してローリングさせると、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間でオプティカルコンタクト接合フロントより先に楔状のギャップが残り続け、このギャップを介して上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間のガスが逃げることができる。さらに、楔状のギャップは、上側部品28が下側部品27から離れるように積極的に曲げられない場合でも、接触面38からの距離が離れるほど上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間の距離を大きくする。しかしながら、通常、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間で十分な距離を得るために、オプティカルコンタクト接合プロセス中に上側部品28は下側部品27から離れるように曲げられ、続いてこの距離はオプティカルコンタクト接合の領域で順次小さくなる。このような配置は、接続面29、30のうち凸湾曲状のものが接続面29、30のうち凹湾曲状のものよりも絶対値の小さい平均曲率半径を有する場合に常に存在する。
【0152】
図7は、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合中のスナップショットを概略上面図で示す。図5とは異なる状況で、図7には光学面31の位置が描かれているが、光学面31は、概してオプティカルコンタクト接合後にのみ形成される。上から見て矩形である下側部品27、上側部品28、及び光学面31の形成を例として選択したのは、このようにすると、冷却チャネル32で上側部品28の接続面30の広域が覆われていることを、すなわち上側部品28の接続面30の横方向領域の略全体にわたる冷却チャネル32の分布を非常に説明的に示すことができるからである。上側部品28の接続面30は図7では直接見えない。しかしながら、図7が示す上側部品28は、接続面30を有し、図示の例示的な実施形態におけるその外輪郭は接続面30の境界に一致する。下側部品27、上側部品28、及び光学面31の実際の形状は、それぞれが図7の図示から逸脱し、例えば光学的且つ機械的状況、利用可能な設置空間等に応じて変わる可能性がある。
【0153】
図7の図示では、ローリング方向39は左から右に延びる。図7において、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とが接触するまで、左側に示す上側部品28の接続面30の周辺を図7の左側に示す下側部品27の接続面29の周辺に最初に接近させる。続いて、上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に対して左から右へローリングさせ、したがって連続的にオプティカルコンタクト接合させ、すなわちオプティカルコンタクト接合フロントは、図7の図示で左から右へ延びる。図7からさらに明らかなように、上側部品28に配置されて上側部品28の接続面30に向かって開口するように形成された冷却チャネル32と、特に冷却チャネル開口33の長さ方向範囲とは、ローリング方向39に対して垂直に延びる。
【0154】
冷却チャネル開口33の長さ方向範囲に対して垂直なローリング方向39での下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合は、上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に制御下で載せることを容易にする。接触面38の領域では上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とを完全に密着させること、及び接触面39の領域外では接続面29、30間の十分に大きな距離を維持することを、等しく確実にすることが可能である。冷却チャネル32が、図7の例示的な実施形態の場合のように、上側部品28の接続面30の略横方向領域全体に延びる場合に、上側部品28の特に良好な変形性が達成されるので、この効果は特に顕著である。さらに、上側部品28の接続面30を下側部品27の接続面29に載せるには、冷却チャネル開口33間の縁間距離が15mm以下、好ましくは5mm以下であるのが有利である。
【0155】
概して、冷却チャネル32及び冷却チャネル開口33は、上側部品28又は下側部品27の、完成したミラー26の光学面31内に横方向に配置される領域内にのみ配置され、わずかなはみ出し、すなわちこの領域外に僅かに広がることが可能である。したがって、光学面31の領域の外側方では、上側部品28の接続面30上に、冷却チャネル32が配置されないので上側部分28の変形性が冷却チャネル32を有する領域よりも低い領域があり得る。図7に示す実施形態では、光学面31は、したがって冷却チャネル32も、上側部品28の外輪郭の近くまで延びるので、この問題はほとんど目立たない。しかしながら、光学面31の横寸法が上側部品28の横寸法よりも大幅に小さく、冷却チャネル32が上側部品28の外輪郭の近くまで延びないミラー26の実施形態もある。しかしながら、この場合も、光学面31の領域内の横方向と同様に光学面31の領域の外側方で上側部品28の高い変形性を達成する可能性がある。これを図8に基づいてより詳細に説明する。
【0156】
図8は、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合中のさらに別のスナップショットを図7に対応する図で示す。光学面31は後の時点まで形成されないが、方向付けを容易にするために、光学面31の輪郭が図示されている。図8に示すスナップショットは、この場合も矩形の外輪郭を有する上側部品28を示し、図7に示すスナップショットとの相違点は、光学面31が上側部品28よりもはるかに小さな横寸法を有し、上側部品28が冷却チャネル32に加えて補助チャネル40を有することである。
【0157】
冷却チャネル32は光学面31の横方向領域内にのみ延びるので、冷却チャネル32及び冷却チャネル開口33がない領域が、光学面31と上側部品28の外輪郭との間の中間空間に残る。補助チャネル40はこの領域に配置される。補助チャネル40は、上側部品28内で光学面31用の領域外に完全に又は主に側方に配置され、上側部品28の接続面30に向かって開口しており、その結果として細長い補助チャネル開口41が接続面30に形成される。補助チャネル40及び補助チャネル開口41の長さ方向範囲の方向は、冷却チャネル32及び冷却チャネル開口33の長さ方向範囲の方向に対応し、ローリング方向39に対して垂直に延びる。補助チャネル40間の縁間隔は、冷却チャネル32間の縁間隔と同程度以下である。オプティカルコンタクト接合中に、補助チャネル40は冷却チャネル32と同じ機能、具体的には上側部品28の変形性を高める機能を果たして、下側部品27の接続面29への上側部品28の接続面30の載置を単純化する。したがって、可能であれば、上側部品28の接続面30の冷却チャネル32がない領域全てに、補助チャネル40が設けられる。
【0158】
補助チャネル40は、冷却チャネル32と同様に作製することができ、冷却チャネル32とは別個に形成され、冷却チャネル32に流体的に接続されない。補助チャネル40は、環境に流体的に接続される。これは、例えば、補助チャネル40が上側部品28の側面に向かって開口するように形成されるか、又は下側部品27の接続面29に向かって開口して下側部品27を貫通する下側部品27の穴を介してガス抜きされることにより達成することができる。ミラー26がリソグラフィシステムに取り付けられる前に、補助チャネル40は、例えばエッチング及び複数のフラッシング動作により徹底的に洗浄される。
【0159】
環境との流体的な接続の形成の代替として、補助チャネル40を閉じることも可能である。一変形形態において、補助チャネル40は、環境との一定の均圧を可能にする可撓性膜により閉じられる。さらに別の変形形態において、補助チャネル40は、流体を充填され、補助チャネル40内で所望の流体圧を設定して圧力制御マニピュレータを実現することが可能であるように閉じられる。ミラー26のさらなる冷却又は加熱に流体を用いることも可能である。ミラー26を加熱するために補助チャネル40に電熱線を導入することがさらに可能である。
【0160】
オプティカルコンタクト接合動作は、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とを図8の左側に示すそれらの周面付近で接近させることにより開始され、上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29に完全にオプティカルコンタクト接合されるまで左から右へローリング運動をさせることにより続けられる。この場合、冷却チャネル32及び補助チャネル開口41は、接続面30の領域全体で上側部品28の変形性を高める。その他の点では、図7に関して述べたものが同様に当てはまる。
【0161】
図9は、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合中のさらに別のスナップショットを図5に対応する図で示す。図9に示すスナップショットは、上側部品28の構成が異なる点で図5に示すスナップショットとは異なる。図5に示す上側部品28とは異なり、図9に示す上側部品28は冷却チャネル32を有していない。その代わりに、図9に示す上側部品28は、相互に平行に延びる複数の補助チャネル40を有する。補助チャネル40は、上側部品28の接続面30とは反対側に向かって、すなわち図9に示す上側部品28の上面に向かって開口した形態を有し、そこに補助チャネル開口41を有する。補助チャネル40は、冷却チャネル32に関して既に説明したのと同様に作製することができ、上記補助チャネルは、下側部品27へのオプティカルコンタクト接合中の上側部品28の取り扱いを簡略化するために弾性材料が充填される。
【0162】
オプティカルコンタクト接合中の同様に良好な変形性は、既に説明した実施形態の冷却チャネル32で得られたように補助チャネル40で得ることができ、既に説明したのと同様にオプティカルコンタクト接合が実施される。したがって、接続面30は、上側部品28の図9の左側に示した側で下側部品27の接続面29に近付けられ、その結果として接触面38が形成される。上側部品28を下側部品27に接近させ続けることにより、上側部品28の接続面の全域が下側部品27の接続面29にオプティカルコンタクト接合されるまで接触面38が拡大され続ける。下側部品27の接続面29への上側部品28の接続面30の載置を単純化するために、ローリング方向39は、オプティカルコンタクト接合中に補助チャネル40の長さ方向範囲に対して横断方向に、特に垂直に延びる。上側部品28の最良の変形性を得るために、補助チャネル40が上側部品28の横方向範囲全体にわたって延びる、すなわち上記補助チャネルが上記上側部品の外輪郭に達するものとすることができる。したがって、補助チャネル40は、光学面31が後の時点で形成される横方向領域に制限されない。
【0163】
下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合後に、弾性材料が補助チャネル40から除去されてから、さらなる接続プロセスの範囲内で下側部品27及び上側部品28に熱処理が施される。下側部品27と上側部品28との間の接続が完全に形成されたら、補助チャネル40に隣接するウェブがフライス加工及び/又は研削により除去され、光学面31の形成に適した基板を作成するために研磨ステップが実行される。
【0164】
記載した手順は、補助チャネル40に加えて冷却チャネル32を有する上側部品28を用いて行うこともできる。冷却チャネル32は、既に説明したような方法で上側部品28の接続面30に向かって開口するように形成され得る。下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合時のローリング方向39が冷却チャネル32と平行となるように選択される場合、冷却チャネル32を介してこの領域からガスが逃げることができるので、オプティカルコンタクト接合中に接続面29、30間の領域をより容易にガス抜きすることができる。補助チャネル40は、ローリング方向29に対して垂直に、したがって冷却チャネル32に対しても垂直に延びる。
【0165】
図10は、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合中のさらなるスナップショットを図7に対応する図で示す。図10に示すスナップショットは、上側部品28及び下側部品27の構成が異なる点で図7に示すスナップショットとは異なる。図7に示す上側部品28は、上から見て矩形である形状を有し、直線状に形成されて相互に平行な冷却チャネル32及び冷却チャネル開口33を有する。この上面図では、下側部品27の接続面29も同様に矩形の形態を有し、上側部品28で丁度隠れている。これに対して、図10に示す上側部品28は、上面図では円形の外輪郭を有し、下側部品27の接続面29も上面図で円形だが、この場合も上側部品28で隠れている。さらなる相違点は、図10に示す上側部品28が、冷却チャネル32を有さず補助チャネル40を有することにある。光学面31は後の時点まで形成されないが、方向付けを容易にするために、光学面31の輪郭が図10にも描かれている。
【0166】
図9と同様に、図10のスナップショットでは、補助チャネル40も上側部品28の接続面30とは反対側に向かって、すなわち図10に示す上側部品28の上面に向かって開口した形態を有し、そこに補助チャネル開口41を有する。補助チャネル40は、冷却チャネル32に関して既に説明したのと同様に作製することができ、上記補助チャネルは、下側部品27へのオプティカルコンタクト接合中の上側部品28の取り扱いを簡略化するために弾性材料が充填される。
【0167】
補助チャネル40の形状に関して、図9とは大きな相違がある。直線状に形成された補助チャネル40の代わりに、図10に示す上側部品28は、上側部品28の円形の外輪郭に合うように環の形態であり相互に対して同心状に配置された複数の補助チャネル40を有する。上側部品28は、この場合も補助チャネル40により形成された材料脆弱化の領域で特に容易に変形可能なので、上側部品28の曲率、及び特に上側部品28の接続面30の曲率も、この実施形態で適切な力により変えることができる。
【0168】
下側部品27及び上側部品28の異なる幾何学的形状に一致するために、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合時の異なる手順も図10の実施形態で選択される。本質的な相違点は、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合が、外輪郭付近ではなく上側部品28の中央で開始されることにある。凸面状に形成された接続面30を有する上側部品28の場合、上側部品28は、この目的で接続面30がより顕著に湾曲するように、すなわち平均曲率半径の絶対値が小さくなるように変形される。特に、これにより、上側部品28の接続面30の湾曲の程度が下側部品27の接続面29よりも顕著になり、すなわち上側部品28の接続面30の平均曲率半径の絶対値が下側部品27の平均曲率半径の絶対値よりも小さい。
【0169】
この大きく湾曲した状態で、上側部品28の接続面30は下側部品27の接続面29に接近していき、上側部品28及び下側部品27は相互に実質的に平行な向きである。しかしながら、上側部品28の変形の結果として、正確な平行度はなく、下側部品27の接続面29までの距離は上側部品28の接続面30の中央ではそのエッジよりも僅かに小さい。したがって、距離に関しては図6に示すのと同様の状況がある。
【0170】
さらに接近させると、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とが最終的に接触する。この接触は、上側部品28の接続面30の中央で起こるので、そこに接触面38が形成され、上側部品28は下側部品27に局所的にオプティカルコンタクト接合される。接触面29、30の曲率が異なることが原因で中央からの距離が離れるほど上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29との間の距離も大きくなることにより、制御されない広域のオプティカルコンタクト接合が防止される。したがって、接触面38は、最初は中央及びそのすぐ近くに限定される。
【0171】
次に、上側部品28の接続面30を中心から径方向外方に連続的に延びる領域で下側部品27の接続面29に押し付けると同時に、上側部品28の曲率を大きくする変形が減る結果として、接触面38のサイズが径方向外方に向かって大きくなり、それにより、上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29にオプティカルコンタクト接合される領域が同心円状に大きくなり、最終的に全域でオプティカルコンタクト接合が達成される。この過程で、中心から径方向外方に移動するオプティカルコンタクト接合フロントが形成される。これをローリング方向39の矢印で示す。
【0172】
全体として、オプティカルコンタクト接合動作は、上側部品28の接続面30の中央で、したがって通常は光学面31の領域の中央でも、上側部品28の接続面30と下側部品27の接続面29とを接近させることにより開始され、上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29に完全にオプティカルコンタクト接合されるまで径方向外方に向けてローリング運動させることにより続けられる。その他の点では、図9に関して述べたものが同様に当てはまり、すなわち例えば、光学面31の形成前に補助チャネル40に隣接するウェブがアブレーションされる。
【0173】
下側部品27の接続面29よりも僅かに顕著な曲率を有する接続面30を有する上側部品28を製造することにより、記載したようなオプティカルコンタクト接合プロセスに必要な上側部品28の変形を僅かに低減することができる。しかしながら、上側部品28の外輪郭付近、すなわちこの措置の結果として上側部品28が非変形状態であっても上側部品28の接続面30が下側部品27の接続面29から離れている領域でも、確実なオプティカルコンタクト接合を可能にするために、この差を大きく選択しすぎてはならない。
【0174】
上側部品28の接続面30が凹面状に形成され、下側部品27の接続面29が凸面状に形成される場合、手順を逆にして実行し、この場合もオプティカルコンタクト接合が中央から開始されてローリングが径方向外方に実行されるようにする。
【0175】
図示から離れるが、補助チャネル40は、リングセグメントとして形成されてもよく、複数のリングセグメントそれぞれがリング形状を再現可能である。リング又はリングセグメントは、必ずしも円形である必要はなく、異なる形状の曲線に従って形成されてもよい。
【0176】
上記説明はそれぞれ、冷却チャネル32がある場合は上側部品28に配置されて上側部品28の接続面30に向かって開口するように形成される実施形態に関するものである。しかしながら、冷却チャネル32は、それぞれ下側部品27にも配置することができ、下側部品27の接続面29に向かって開口するように形成されてもよい。しかしながら、この場合は、上側部品28の冷却チャネル32及び/又は補助チャネル40により上側部品28の十分な変形性を確保しなければならない。
【0177】
全ての実施形態において、オプティカルコンタクト接合中のガス抜きを補助するために、ローリング方向39と平行に延びる冷却チャネル32を設けることができる。
【0178】
全ての実施形態において、下側部品27への上側部品28のオプティカルコンタクト接合後に接合プロセスが行われ得る。接合プロセスの範囲内で熱処理が行われ、上側部品28及び下側部品27を場合によっては相互に圧着させることができる。このようにして、場合によっては既存の共有結合に加えて、上側部品28の接続面30及び下側部品27の接続面29の領域の原子間で共有結合が形成される。これにより、上側部品28と下側部品27との間の接続の耐久性が高まる。
【0179】
接合プロセスの後に、上側部品28は、冷却チャネル32の上方1mm~10mmの厚さに加工され得る。
【0180】
上側部品28の厚さ低減の加工ステップ後に、又はこの加工ステップの代わりに、上側部品28は、接続面30とは反対側の、光学面31が形成される側に高精度で既定の形態を有し且つ既定の粗さ基準を満たすように再加工される。続いて、そこに光学面31が形成される。これは、例えばアルミニウム層の塗布又はモリブデン層及びシリコン層の交互塗布により行うことができる。
【符号の説明】
【0181】
1 投影露光装置
2 照明系
3 放射源
4 照明光学ユニット
5 物体視野
6 物体面
7 レチクル
8 レチクルホルダ
9 レチクル変位ドライブ
10 投影光学ユニット
11 像視野
12 像面
13 ウェハ
14 ウェハホルダ
15 ウェハ変位ドライブ
16 照明放射線
17 コレクタ
18 中間焦点面
19 偏向ミラー
20 第1ファセットミラー
21 第1ファセット
22 第2ファセットミラー
23 第2ファセット
24 冷却装置
25 制御装置
26 ミラー
27 下側部品
28 上側部品
29 接続面
30 接続面
31 光学面
32 冷却チャネル
33 冷却チャネル開口
34 分配チャネル
35 回収チャネル
36 流体分配部
37 流体回収部
38 接触面
39 ローリング方向
40 補助チャネル
41 補助チャネル開口
M ミラー
M1 ミラー
M2 ミラー
M3 ミラー
M4 ミラー
M5 ミラー
M6 ミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】