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特表2024-513173アルミニウムアルコキシド酸化剤を用いた半導体デバイスのための酸化アルミニウム膜の原子層堆積
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-22
(54)【発明の名称】アルミニウムアルコキシド酸化剤を用いた半導体デバイスのための酸化アルミニウム膜の原子層堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240314BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240314BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L21/316 X
C23C16/40
C23C16/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558736
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 US2022021013
(87)【国際公開番号】W WO2022203969
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】63/166,846
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】タピリー,カンダバラ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA05
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA24
4K030BA43
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030HA01
4K030LA02
4K030LA15
5F058BB01
5F058BB05
5F058BB06
5F058BC03
5F058BE10
5F058BF02
5F058BF22
5F058BF24
5F058BF27
5F058BF29
5F058BF36
5F058BF37
5F058BJ04
5F058BJ06
(57)【要約】
アルミニウムアルコキシドガスを含む無水酸化剤を用いた、パターン化された基板への酸化アルミニウム膜の気相原子層堆積(ALD)方法。本方法は、誘電体層と金属層又は半導体層とを含む基板を提供することと、金属層の表面又は半導体層の表面と比べて誘電体層の表面に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露することと、b)アルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露することであって、アルミニウムアルコキシドガスが酸化アルミニウム膜における主酸素源である、こととによって、選択的に堆積させることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と金属層又は半導体層とを含む基板を提供することと、
前記金属層の表面又は前記半導体層の表面と比べて前記誘電体層の表面に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、
a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに前記基板を暴露することと、
b)アルミニウムアルコキシドガスに前記基板を暴露することであって、前記アルミニウムアルコキシドガスが前記酸化アルミニウム膜における主酸素源である、ことと
によって、選択的に堆積させることと
を含む、基板処理方法。
【請求項2】
c)a)及びb)の工程を少なくとも1回繰り返して、前記誘電体層の前記表面にある前記酸化アルミニウム膜の厚さを増やすこと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
c)の結果として堆積選択性が失われ、前記誘電体層の前記表面及び前記金属層の前記表面又は前記半導体層の前記表面にブランケット酸化アルミニウム膜が形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることの前に、前記金属層の前記表面又は前記半導体層の前記表面に自己組織化単層膜(SAM)を形成する分子を含む反応ガスに前記基板を暴露すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分子が、頭部基、尾部基、及び官能性末端基を含み、前記頭部基が、チオール、シラン、ホスホン酸塩、又はカルボン酸塩を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アルミニウムアルキルガスが、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(Al(CHCH)、トリプロピルアルミニウム(Al(CHCHCH)、又はトリイソブチルアルミニウム(Al(CHCH(CH)を含み、前記ハロゲン化アルミニウムガスが、AlCl、AlF、AlBr、又はAlIを含み、前記水素化アルミニウムガスが、AlHを含み、前記アルミニウムアルコキシドガスが、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH、アルミニウムトリメトキシド(Al(OCH)、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド((CHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムtert-ブトキシド((CH)AlOC(CH)、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド((CHCHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムsec-ブトキシド((CH)AlOCHCH(CHCH))、アルミニウムトリエトキシド(Al(OCHCH)、又はジエチルアルミニウムエトキシド((CHCHAlOCHCH)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
誘電体層と金属層又は半導体層とを含む基板を提供することと、
前記誘電体層の表面と比べて前記金属層の表面又は前記半導体層の表面に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、
a)前記誘電体層の前記表面に自己組織化単層膜(SAM)を形成する分子を含む反応ガスに前記基板を暴露することと、
b)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに前記基板を暴露することと、
c)アルミニウムアルコキシドガスに前記基板を暴露することであって、前記アルミニウムアルコキシドガスが前記酸化アルミニウム膜における主酸素源である、ことと
によって、選択的に堆積させることと
を含む、基板処理方法。
【請求項8】
d)a)、b)、及びc)の工程を少なくとも1回繰り返して、前記金属層の表面又は前記半導体層の表面にある前記酸化アルミニウム膜の厚さを増やすこと
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記分子が、頭部基、尾部基、及び官能性末端基を含み、前記頭部基がシランを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アルミニウムアルキルガスが、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(Al(CHCH)、トリプロピルアルミニウム(Al(CHCHCH)、又はトリイソブチルアルミニウム(Al(CHCH(CH)を含み、前記ハロゲン化アルミニウムガスが、AlCl、AlF、AlBr、又はAlIを含み、前記水素化アルミニウムガスが、AlHを含み、前記アルミニウムアルコキシドガスが、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH、アルミニウムトリメトキシド(Al(OCH)、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド((CHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムtert-ブトキシド((CH)AlOC(CH)、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド((CHCHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムsec-ブトキシド((CH)AlOCHCH(CHCH))、アルミニウムトリエトキシド(Al(OCHCH)、又はジエチルアルミニウムエトキシド((CHCHAlOCHCH)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
側壁及び頂部部分を有する隆起フィーチャと、前記隆起フィーチャ間にある底部領域とを含む基板を提供することと、
前記底部領域と比べて前記隆起フィーチャの前記頂部部分及び前記側壁の上方部分に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、
a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに前記基板を暴露して、前記隆起フィーチャ上に共形の吸着層を形成することと、
b)アルミニウムアルコキシドガスに前記基板を暴露することであって、前記アルコキシドガスが前記酸化アルミニウム膜における主酸素源である、ことと
によって、選択的に堆積させることと
を含む、基板処理方法。
【請求項12】
c)a)及びb)の工程を少なくとも1回繰り返して、前記酸化アルミニウム膜の厚さを増やすこと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化アルミニウム膜が前記隆起フィーチャ間の開口部をピンチオフし、空隙を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
b)の工程において、前記アルミニウムアルコキシドガスが前記隆起フィーチャ間にある前記底部領域に到達しない、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アルミニウムアルキルガスが、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(Al(CHCH)、トリプロピルアルミニウム(Al(CHCHCH)、又はトリイソブチルアルミニウム(Al(CHCH(CH)を含み、前記ハロゲン化アルミニウムガスが、AlCl、AlF、AlBr、又はAlIを含み、前記水素化アルミニウムガスが、AlHを含み、前記アルミニウムアルコキシドガスが、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH、アルミニウムトリメトキシド(Al(OCH)、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド((CHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムtert-ブトキシド((CH)AlOC(CH)、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド((CHCHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムsec-ブトキシド((CH)AlOCHCH(CHCH))、アルミニウムトリエトキシド(Al(OCHCH)、又はジエチルアルミニウムエトキシド((CHCHAlOCHCH)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
側壁及び頂部部分を有する隆起フィーチャと、前記隆起フィーチャ間にある底部領域とを含む基板を提供することと、
前記頂部部分と比べて前記側壁及び前記底部領域に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、
a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに前記基板を暴露して、前記隆起フィーチャ上に共形の吸着層を形成することと、
b)前記頂部部分にある前記吸着層を不活性化又は除去することと、
c)アルミニウムアルコキシドガスに前記基板を暴露することであって、前記アルミニウムアルコキシドガスが前記酸化アルミニウム膜における主酸素源である、ことと
によって、選択的に堆積させることと
を含む、基板処理方法。
【請求項17】
d)a)、b)、及びc)の工程を少なくとも1回繰り返して、前記酸化アルミニウム膜の厚さを増やすこと
を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記酸化アルミニウム膜が、前記隆起フィーチャ間にある凹状フィーチャを少なくとも実質的に完全に充填する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記吸着層を前記不活性化又は除去することが、ハロゲン含有ガス又は酸素含有ガスに前記基板を暴露することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ハロゲン含有ガスが、Cl、BCl、CCl、HCl、HBr、TiCl、又はこれらの組み合わせを含み、前記酸素含有ガスが、O、O、HO、H、又はこれらの組み合わせを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アルミニウムアルキルガスが、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(Al(CHCH)、トリプロピルアルミニウム(Al(CHCHCH)、又はトリイソブチルアルミニウム(Al(CHCH(CH)を含み、前記ハロゲン化アルミニウムガスが、AlCl、AlF、AlBr、又はAlIを含み、前記水素化アルミニウムガスが、AlHを含み、前記アルミニウムアルコキシドガスが、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH、アルミニウムトリメトキシド(Al(OCH)、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド((CHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムtert-ブトキシド((CH)AlOC(CH)、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド((CHCHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムsec-ブトキシド((CH)AlOCHCH(CHCH))、アルミニウムトリエトキシド(Al(OCHCH)、又はジエチルアルミニウムエトキシド((CHCHAlOCHCH)を含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月26日に出願された米国仮特許出願第63/166,846号明細書に対する優先権及びその出願日の利益を主張するものであり、同仮特許出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体処理及び半導体デバイスに関し、より詳細には、無水酸化剤を用いた酸化アルミニウム(Al)膜の堆積方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デバイスのサイズが小さくなるにつれて、半導体デバイスの製造は、一層複雑になっている。半導体デバイスの製造費用も増加しており、費用効果の高い解決策及び新しい手法が必要とされている。製造されるトランジスタが小型化するにつれて、パターン化されるフィーチャの限界寸法(CD)又は解像度の実現は、一層困難になっている。薄膜の選択的堆積は、高度にスケーリングされた技術ノードにおける重要なパターン化工程である。
【0004】
水(HO)、Oプラズマ又はラジカル、及びオゾン(O)が、酸化膜のALDにおける酸化剤として一般に使用されるが、これらのガスは強い酸化剤であり、基板材料の望ましくない酸化を引き起こす可能性があり、このことは高度なデバイスのスケーリングにおいて大きな課題となっている。一例として、高誘電率(high-k)金属酸化物膜の堆積が挙げられ、高誘電率金属酸化物膜の堆積では、強力な酸化剤が下地のSi基板を酸化させ、厚いlow-k界面SiO層を形成する。表面の酸化を避けながら、異なる材料表面への選択的な膜堆積を提供する新しい堆積方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
無水酸化剤を用いた酸化アルミニウム膜の原子層堆積の方法。一実施形態によれば、本方法は、誘電体層と金属層又は半導体層とを含む基板を提供することと、金属層の表面又は半導体層の表面と比べて誘電体層の表面に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露することと、b)アルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露することであって、アルミニウムアルコキシドガスが酸化アルミニウム膜における主酸素源である、こととによって、選択的に堆積させることとを含む。
【0006】
別の実施形態によれば、本方法は、誘電体層と金属層又は半導体層とを含む基板を提供することと、誘電体層の表面と比べて金属層の表面又は半導体層の表面に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、a)誘電体層の表面に自己組織化単層膜(SAM)を形成する分子を含む反応ガスに基板を暴露することと、b)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露することと、c)アルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露することであって、アルミニウムアルコキシドガスが酸化アルミニウム膜における主酸素源である、こととによって、選択的に堆積させることとを含む。
【0007】
別の実施形態によれば、本方法は、側壁及び頂部部分を有する隆起フィーチャと、隆起フィーチャ間にある底部領域とを含む基板を提供することと、底部領域と比べて隆起フィーチャの頂部部分及び側壁の上方部分に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露して、隆起フィーチャ上に共形の吸着層を形成することと、b)アルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露することであって、アルコキシドガスが酸化アルミニウム膜における主酸素源である、こととによって、選択的に堆積させることとを含む。
【0008】
別の実施形態によれば、本方法は、側壁及び頂部部分を有する隆起フィーチャと、隆起フィーチャ間にある底部領域とを含む基板を提供することと、頂部部分と比べて側壁及び底部領域に酸化アルミニウム膜を選択的に堆積させることであって、a)アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露して、隆起フィーチャ上に共形の吸着層を形成することと、b)頂部部分にある吸着層を不活性化又は除去することと、c)アルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露することであって、アルミニウムアルコキシドガスが酸化アルミニウム膜における主酸素源である、こととによって、選択的に堆積させることとを含む。
【0009】
以下の詳細な説明を参照して、特に添付の図面と併せて検討すれば、本発明の実施形態のより詳細な理解及びそれらの付随する利点の多くが容易に明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A-1Cは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示す。
図2図2A-2Dは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示す。
図3図3A-3Dは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示す。
図4図4A-4Fは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示す。
図5図5A-5Fは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
アルミニウムアルコキシドガスを含む無水酸化剤を用いた、パターン化された基板への酸化アルミニウム膜の気相原子層堆積(ALD)方法を説明する。
【0012】
図1A図1Cは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示している。図1Aにおいて、基板1は、表面100Aを有する誘電体層100と、表面104Aを有する金属又は半導体層104と、表面102Aを有する任意選択の拡散バリア層102とを含む。誘電体層100は、例えば、SiO又は金属含有誘電体層を含み得る。他の例では、誘電体層100はlow-k材料、例えばSiCOH材料を含み得る。一例では、金属含有誘電体層は、金属酸化物、金属窒化物、又は金属酸窒化物を含み得る。いくつかの例では、金属又は半導体層104は、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni、Mo、Si、Ge、又はSiGeを含む。図1Aには示していないが、金属又は半導体層104の表面104Aは、誘電体層100の表面100Aから数ナノメートル引っ込んだ状態であり得る。
【0013】
本方法は、ALDによって、金属又は半導体層104の表面104Aと比べて誘電体層100の表面100Aに酸化アルミニウム膜106を選択的に堆積させることを含む。ALDは、アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露して、表面100Aにアルミニウム(Al)を含む吸着層を形成することと、その後、吸着層と反応するアルミニウムアルコキシドガスに基板1を暴露して、酸化アルミニウム膜106を形成することとを含む。アルミニウムアルコキシドガスは、堆積された酸化アルミニウム膜106の主酸素源であり、この反応は、アルミニウムアルコキシドのアルコキシ基の酸素原子が吸着層のアルミニウム金属中心に配位することを含む。
【0014】
金属又は半導体層104の表面104Aと比べて誘電体層100の表面100Aに酸化アルミニウム膜106を選択的に堆積させることは、酸化アルミニウム膜の堆積が望まれる誘電体層100の表面100Aへの堆積よりも、酸化アルミニウム膜の堆積が望ましくない金属又は半導体層104の表面104Aへの堆積においてインキュベーションタイムを長くすることによって可能になる。ALDプロセスの連続した交互のガス暴露は、酸化アルミニウム膜106の厚さを増やす堆積選択性を維持しながら、少なくとも1回繰り返され得る。
【0015】
一実施形態によれば、金属又は半導体層104の表面104Aにも酸化アルミニウムを堆積させるために堆積選択性が失われた後、交互のガス暴露が更に繰り返され得る。結果として得られたブランケット酸化アルミニウム膜107が図1Cに描かれており、酸化アルミニウムが基板1全体に堆積されている。酸化アルミニウム膜107は、表面104Aでの酸化アルミニウムの堆積のインキュベーションタイムがより長いことに起因して、表面104Aよりも表面100Aにおいて厚くなり得る。
【0016】
例えば、アルミニウムアルキルガスは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、トリエチルアルミニウム(Al(CHCH)、トリプロピルアルミニウム(Al(CHCHCH)、又はトリイソブチルアルミニウム(Al(CHCH(CH)を含み得る。例えば、ハロゲン化アルミニウムは、AlCl、AlF、AlBr、又はAlIを含み得る。例えば、水素化アルミニウムは、AlHを含み得る。
【0017】
例えば、アルミニウムアルコキシドは、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OCH(CH、アルミニウムトリメトキシド(Al(OCH)、アルミニウムトリエトキシド(Al(OCHCH)、及びジアルキルアルミニウムアルコキシドを含み得る。ジアルキルアルミニウムアルコキシドは、例えば、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド((CHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムtert-ブトキシド((CHAlOC(CH)、ジエチルアルミニウムイソプロポキシド((CHCHAlOCH(CH)、ジメチルアルミニウムsec-ブトキシド((CHAlOCHCH(CHCH))、又はジエチルアルミニウムエトキシド((CHCHAlOCHCH)を含み得る。
【0018】
図2A図2Dは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示している。図1Aからの基板1は図2Aにおいて基板2として再現されている。本方法は、金属又は半導体層104の表面104Aに自己組織化単層膜(SAM)108を選択的に形成する分子を含む反応ガスに基板2を暴露することを含む。このことを図2Bに概略的に示す。
【0019】
SAMは、吸着によって基板表面に自発的に形成され、多かれ又は少なかれ大きい秩序化されたドメインに組織化される分子集合体である。SAMは、頭部基、尾部基、及び官能性末端基を有する分子を含むことができ、SAMは、室温で又は室温超で気相から基板上に頭部基を化学吸着させ、その後、尾部基をゆっくりと組織化させることにより生成される。最初に、表面上の分子密度が小さいとき、吸着質分子は、無秩序な分子の塊を形成するか、又は秩序化された2次元の「横たわる相」を形成するかのいずれかであり、分子による被覆範囲が広くなると、数分~数時間にわたって基板表面上に3次元の結晶構造体又は半結晶構造体を形成し始める。頭部基は、基板上に集合する一方、尾部基は、基板から離れて集合する。一実施形態によれば、SAM108を形成する分子の頭部基は、チオール、ホスホン酸塩、シラン、又はカルボン酸塩を含み得る。例えば、チオールは、1-オクタデシルチオール(CH(CH17SH)、1-ドデシルチオール(CH(CH17SH)、又はペルフルオロデカンチオール(CF(CFCHCHSH)を含み得る。
【0020】
本方法は、ALDによって、SAM108と比べて誘電体層100の表面100Aに酸化アルミニウム膜110を選択的に堆積させることを更に含み、SAM108は堆積ブロッキング層として作用する。このことを図2Cに概略的に示す。ALDは、アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露して、表面100Aにアルミニウムを含む吸着層を形成することと、その後、吸着層と反応するアルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露して、酸化アルミニウム膜110を形成することとを含む。アルミニウムアルコキシドガスは、堆積された酸化アルミニウム膜110の主酸素源であり、この反応は、アルコキシ基の酸素原子が吸着層のアルミニウム金属中心に配位することを含む。
【0021】
SAM108を含む金属又は半導体層104の表面104Aと比べて誘電体層100の表面100Aに酸化アルミニウム膜110を選択的に堆積させることは、金属又は半導体層104の清浄な表面104Aと比べて、SAM108又はSAM108の欠陥への堆積においてインキュベーションタイムを長くすることによって可能になる。交互のガス暴露は、酸化アルミニウム膜110の厚さを増やす堆積選択性を維持しながら、少なくとも1回繰り返され得る。
【0022】
その後、SAM108は除去されて、図2Dに描かれた基板を得ることができ、酸化アルミニウム膜110が表面100Aに選択的に形成される。一例では、SAM108は加熱により除去され得る。他の実施形態によれば、SAM以外のタイプのブロッキング層、例えば、アニリン、アセチルアセトン、及びアセチルアセトン系化学物質が使用され得る。
【0023】
図3A図3Dは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示している。図1Aからの基板1は図3Aにおいて基板3として再現されている。本方法は、誘電体層100の表面100Aに自己組織化単層膜(SAM)112を選択的に形成する分子を含む反応ガスに基板3を暴露することを含む。このことを図3Bに概略的に示す。
【0024】
一実施形態によれば、SAM112を形成する分子の頭部基は、シランを含み得る。シランの例としては、C、H、Cl、F、及びSi原子、又はC、H、Cl、及びSi原子を含む分子が挙げられる。分子の非限定的な例としては、ペルフルオロデシルトリクロロシラン(CF(CFCHCHSiCl)、クロロデシルジメチルシラン(CH(CHCHSi(CHCl)、及びtert-ブチル(クロロ)ジメチルシラン((CHCSi(CHCl))が挙げられる。
【0025】
本方法は、ALDによって、SAM112と比べて金属又は半導体層104の表面104Aに酸化アルミニウム膜114を選択的に堆積させることを更に含む。このことを図3Cに概略的に示す。ALDは、アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板を暴露して、表面140Aにアルミニウムを含む吸着層を形成することと、その後、アルミニウムアルコキシドガスに基板を暴露することであって、アルミニウムアルコキシドが堆積された酸化アルミニウム膜114における主酸素源である、こととを含む。
【0026】
誘電体層100の表面100Aと比べて金属又は半導体層104の表面104Aに酸化アルミニウム膜114を選択的に堆積させることは、SAM112への堆積をブロックすることによって可能になる。交互のガス暴露は、酸化アルミニウム膜114の厚さを増やす堆積選択性を維持しながら、少なくとも1回繰り返され得る。
【0027】
その後、SAM112は除去されて、図3Dに描かれた基板3を得ることができ、酸化アルミニウム膜114が表面104Aに選択的に形成される。他の実施形態によれば、SAM以外のタイプのブロッキング層、例えば、アニリン、アセチルアセトン、及びアセチルアセトン系化学物質が使用され得る。
【0028】
図4A図4Fは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示している。
【0029】
図4Aに概略的に示すように、本方法は、第1の膜402と第2の膜400とを含む基板4を提供することを含む。第1の膜402は、頂部部分401を有する隆起フィーチャと、側壁408及び底部領域406を有する凹状フィーチャ404とを含む。凹状フィーチャ404は、例えば、200nm未満、100nm未満、50nm未満、25nm未満、20nm未満、又は10nm未満の幅407を有し得る。他の例では、凹状フィーチャ404は、5nm~10nm、10nm~20nm、20nm~50nm、50nm~100nm、100nm~200nm、10nm~50nm、又は10nm~100nmの幅407を有し得る。凹状フィーチャ404は、例えば、25nm、50nm、100nm、200nm、又はそれ以上の深さ409を有し得る。
【0030】
いくつかの例では、第1の膜402及び第2の膜400は、同じ材料を含み得る、又は同じ材料で構成され得る。一例では、第1の膜402及び第2の膜400は、Siを含み得る、又はSiで構成され得る。いくつかの例では、第1の膜402は、誘電体層、例えばSiO、SiON、SiN、high-k材料、low-k材料、又はultra-low-k材料を含み得る。凹状フィーチャ404は、周知のリソグラフィプロセス及びエッチングプロセスを使用して形成され得る。
【0031】
本方法は、隆起フィーチャに酸化アルミニウム膜を堆積させることを更に含み、酸化アルミニウム膜が、側壁408及び底部領域406よりも大きな膜厚で頂部部分401に非共形に堆積される。酸化アルミニウム膜は、アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板4を暴露することによって堆積され、このことにより隆起フィーチャ上に共形の吸着層410が形成される。暴露条件は、アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスが凹状フィーチャ404の底部領域406に到達し、図4Bに白丸410で概略的に示す吸着層410を形成する飽和暴露に達するように選択され得る。
【0032】
その後、本方法は、アルミニウムアルコキシドガスに基板4を暴露することを更に含み、暴露条件は、凹状フィーチャ404において飽和暴露に到達せず、アルミニウムアルコキシドガスが隆起フィーチャ間の底部領域406に到達せず、頂部部分401及び側壁408の上方部分にある吸着層410のみに暴露され、アルミニウムアルコキシドガスが吸着層410と反応して酸化アルミニウム膜412を形成するように選択される。このことを図4Cに概略的に示す。ガス暴露中の基板温度、ガス圧力、ガス組成、及び基板回転などの処理条件は、凹状フィーチャ404における非飽和暴露を実現するように選択され得る。
【0033】
その後、凹状フィーチャ404における吸着層410の未反応部分があればこれが、例えば加熱により除去され得る。結果として得られた基板4を図4Dに概略的に示す。アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスに基板4を暴露し、その後アルミニウムアルコキシドガスに暴露する交互の工程は、頂部部分401及び側壁408の上方部分における酸化アルミニウム膜412の厚さを増やすために、少なくとも1回繰り返され得る。このことを図4Eに概略的に示す。更に、図4Fに示すように、暴露工程を少なくとも1回繰り返した後、結果として得られた酸化アルミニウム膜412は、凹状フィーチャ404の開口部をピンチオフし、酸化アルミニウム膜412の下方で凹状フィーチャ404に閉じた空隙を形成し得る。
【0034】
図5A図5Fは、本発明の実施形態による、基板に酸化アルミニウム膜を堆積させる方法を概略断面図により示している。図4A及び図4Bからの基板4は、それぞれ図5A及び図5Bにおいて基板5として再現されている。基板5は、アルミニウムアルキルガス、ハロゲン化アルミニウムガス、又は水素化アルミニウムガスへの基板5の暴露後に隆起フィーチャに共形な吸着層410を含む。本方法は、ハロゲン含有ガス又は酸素含有ガスに図5Bの基板5を暴露して、頂部部分401及び側壁408の上方部分から吸着層410を不活性化又は除去することを含む。ハロゲン含有ガス又は酸素含有ガスへの暴露は、側壁408の下方部分又は底部領域406には到達しない。図5Cは、斜線の入った丸によって示される、ガス暴露による不活性化層405の形成を概略的に示している。ガス暴露は、プラズマの非存在下又はプラズマ励起の存在下で行われ得る。ガス暴露中の基板温度、ガス圧力、ガス組成、及び基板回転などの処理条件は、吸着層410の不活性化を制御するように選択され得る。いくつかの例では、高度に希釈されたハロゲン含有ガス及び高い全ガス圧力(例えば、約1Torrよりも大きい)を利用して、ハロゲン含有ガスの高度に等方性の暴露を提供することができる。
【0035】
ハロゲン含有ガスの非限定的な例としては、Cl、BCl、CCl、HCl、HBr、TiCl、及びこれらの組み合わせが挙げられる。酸素含有ガスの非限定的な例としては、O、O、HO、H、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ハロゲン含有ガス及び酸素含有ガスは、アルゴン(Ar)などの不活性ガスを更に含み得る。
【0036】
その後、本方法は、不活性化層405の下の側壁408及び底部領域406で吸着層410と反応することにより酸化アルミニウム膜414を形成するアルミニウムアルコキシドガスに基板5を暴露することを更に含むが、酸化アルミニウム膜412は不活性化層405に形成されない。このことを図5Dに概略的に示す。暴露条件は、アルミニウムアルコキシドガスが側壁408の下方部分と凹状フィーチャ410の底部領域406に到達する飽和暴露に達するように選択され得る。
【0037】
その後、不活性化層405は、例えば加熱によって除去され得る。このことを図5Eに概略的に示す。交互の暴露工程は、凹状フィーチャ404における酸化アルミニウム膜412の厚さを増やすために、少なくとも1回繰り返され得る。図5Fに概略的に示す例では、交互の暴露工程を少なくとも1回繰り返した後、凹状フィーチャ410は酸化アルミニウム膜414で実質的に完全に充填される。
【0038】
無水酸化剤を用いた酸化アルミニウム膜の堆積方法を、様々な実施形態で開示してきた。本発明の実施形態の上記の説明は、例示及び説明のために提示されている。この説明は、網羅的であること又は開示されているまさにその形態に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲は、説明目的でのみ使用され、限定するものとして解釈されるべきではない用語を含む。関連する技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であることを理解し得る。当業者は、図面に示されている様々な構成要素の様々な均等な組み合わせ及び置換形態を認識するはずである。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
【国際調査報告】