(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240315BHJP
B29C 37/02 20060101ALI20240315BHJP
B29B 13/10 20060101ALI20240315BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20240315BHJP
B29B 17/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
C08J3/12 Z CEZ
B29C37/02
B29B13/10
B29B17/04 ZAB
B29B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560875
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022057932
(87)【国際公開番号】W WO2022207492
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】グレーセル,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヴィット,ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】グリーニング,ジョルジオ
(72)【発明者】
【氏名】カイハン,フィリッツ
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
4F401
【Fターム(参考)】
4F070AA58
4F070AB26
4F070DA05
4F070DA06
4F070DC07
4F070DC08
4F070DC09
4F070DC13
4F201AA27
4F201AA34
4F201AA50
4F201BA04
4F201BA08
4F201BC01
4F201BC12
4F201BN30
4F201BS09
4F401AA25
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA78
4F401CB01
4F401CB33
4F401DC04
4F401FA01Z
4F401FA03Z
4F401FA07Z
4F401FA08Z
(57)【要約】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む微粒子材料の凝集を含むポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子の製造方法、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子、及びコーティング、フォーム、箔又は膜、又は成形品の製造から、フォーム、箔又は膜、又は成形品、又はエッジトリムをリサイクルするための方法であって、それらからの粉砕された材料の製造及び凝集によりリサイクル粒子を得るための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレン(エーテル)スルホン(抽出物)を含む微粒子材料の凝集を含む、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子の製造方法であって、
(i) 前記抽出物の水分含量が、前記抽出物の総質量に対して、且つ160℃に加熱された出発材料から出る水分をベースに測定して、2質量%以下であり、
(ii) 凝集に使用される装置に外部から導入される周囲空気の水分含量が、湿度計を用いて測定して、40~80%であり、そして
(iii) 周囲空気の温度が、装置に周囲空気を導入する時点で測定して、15~35℃である、方法。
【請求項2】
前記抽出物の水分含量が、前記抽出物の総質量に対して、且つ160℃に加熱された前記抽出物から出る水分をベースに測定して1質量%以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
凝集に使用される凝集ツールの、凝集中に材料と接触する領域の温度が200~240℃の範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出物が、250kg/hのスループットのフライト深さが5~15mmの範囲である搬送スクリューによって、凝集に使用される凝集ツールに輸送される、請求項1から3の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
凝集ツールが、その中で回転する要素を備えた中空シリンダーである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンが非晶質である、請求項1から5の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
CieLab Spin測定によって測定したC*値が15未満であるポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子であって、その少なくとも60質量%が、動的画像解析から判定して2mm~3.5mmの範囲の粒径(d
50値)を有する粒子。
【請求項8】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンがポリフェニレンエーテルスルホンである、請求項7に記載のポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子。
【請求項9】
請求項7及び8に記載の、又は請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって製造された、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子を、コーティング、フィルム、フォーム、箔、膜、又は成形品の製造に使用する方法。
【請求項10】
請求項7及び8に記載の、又は請求項1から6のいずれか一項に記載の方法によって製造されたポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子を用いて得られた、コーティング、フィルム又はフォーム、箔又は膜、又は成形品。
【請求項11】
請求項10に記載の成形品であって、その総表面積に対して少なくとも50%の表面が、壁厚2mm未満である1つ以上の壁で構成されており、壁厚がDIN16810 2014-7-1に準拠して測定される、成形品。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のコーティング、フォーム、箔又は膜、又は成形品の製造から、フォーム、箔又は膜、又は成形品、又はエッジトリムをリサイクルするための方法であって、それらからの粉砕された材料の製造、請求項1から6の少なくとも一項に記載の方法により凝集してリサイクル粒子を得ることを含む、方法。
【請求項13】
エッジトリムを凝集させてリサイクル粒子を得る請求項12に記載のリサイクルのための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子の製造方法、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子、その使用方法、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子から製造することができる製品、及びポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子から製造された製品のリサイクル方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンポリマーは高性能の熱可塑性樹脂であり、高い耐熱性、良好な機械的特性、及び固有の難燃性を特徴とする。従って幅広い用途で使用することができる。その製造を、芳香族ビスハロゲン化合物及び芳香族ビスフェノール又はその塩から、溶媒の存在下又は非存在下において行う方法が知られている。ポリアリーレン(エーテル)スルホンは生体適合性があるので、家庭用品及び食品業界で形成物品の材料として、そして工業及び医療分野で様々な用途の膜形成などの用途に使用されている。
【0003】
ポリフェニレンエーテル粉末、特にポリ-2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテルの、打錠プレス中か、又は2つの逆回転ロールとスクリューベースの機械からなる圧縮機における1~100kN/cmの線形力に相当する圧力下10~150℃の温度での凝集は、EP548683A1及びEP548684A1に開示されている。ポリフェニレンエーテルフレーク、特に半結晶のポリアリーレンエーテル、好ましくはポリアリーレンエーテルケトンの、250~320℃の間の温度での凝集は、EP640640A1に記載されている。膨張したスルホンポリマーのさらなる凝集は、EP3573800B1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP548683A1
【特許文献2】EP548684A1
【特許文献3】EP640640A1
【特許文献4】EP3573800B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの用途分野では、高純度のポリアリーレン(エーテル)スルホンが望ましい。従ってここで以下に扱う課題は、高純度の、又はさらに非常に高純度のポリアリーレン(エーテル)スルホンの製造方法を見出すことである。1つの側面は、高いスループットにおける信頼性を向上させる方法を見出すことである。またさらに、繊維、成形物品又は膜などの品物の製造の容易性を支援する形態の高純度ポリアリーレンスルホンが求められている。特別な動機は、薄壁の物品、とりわけ、供給ボトル又は膜に使用するフィラメントの製造にポリアリーレン(エーテル)スルホンを提供することである。特に、均一な処理性を有するポリアリーレン(エーテル)スルホンが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子の製造を目的とし、且つポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む微粒子材料の凝集を含む方法が見出された。該方法において、
(i)抽出物(出発材料)の水分含量は、抽出物の総質量に対して、且つ160℃に加熱された抽出物から出る水分をベースに測定して、2質量%以下であり、
(ii)凝集に使用される装置に外部から導入される周囲空気の水分含量は、湿度計を用いて測定して、40~80%であり、そして
(iii)周囲空気の温度は、装置に周囲空気を導入する時点で測定して、15~35℃である。
【0007】
発明者はさらに、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子を見出した。当該粒子のC*値は15未満であり、C*値はCieLab Spin測定によって判定され、そして粒子の少なくとも60質量%が、動的画像解析から判定して2mm~3.5mmの範囲の粒子径(d50値)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む粒子について、生成物粒子という用語も以下に使用する。抽出物(educt)という用語も、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む微粒子材料について以下に使用する。
【0010】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、1つのポリアリーレン(エーテル)スルホン、又は様々な、例えば2つ以上のポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物とすることができる。ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、好ましくは非晶質である。様々なポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物の場合、少なくとも1つは非晶質であることが好ましい。上記のうち、非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンの割合が、混合物に対して50質量%超、特に90質量%超の混合物が好ましい。混合物の中でも、様々な非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンのみからなるものが特に好ましい。
【0011】
当業者は、いかなるポリマーも、本質的にホモポリマーであってもコポリマーであっても、典型的には、鎖長、分岐の程度又は末端基の性質に関して、その構成が異なる個々のポリマーの実体の混合物であることを認識している。従って上記の混合物を使用することは、異なる種類のポリマーが含まれ得ることを示唆しており、各種類は上記の構成の違いを有し得る。
【0012】
本発明の方法では、1つの非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンを使用することが好ましい。
【0013】
本発明の方法に特に好適なポリアリーレン(エーテル)スルホンは非晶質であり、すなわち結晶性でも半結晶性でもない。ポリマーの結晶性を測定する方法は、当業者によく知られている。典型的には、DSC測定に基づいて判定することができる。非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンの場合、如何なる融点もDSC測定によって検出することができない。非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンのガラス転移温度(Tg)又はポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物の2つ以上のTg値は、130~240℃の範囲とすることができる。通常、非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホン又は溶融粘度が1200Pas以下の2つ以上のポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物は、130~200℃、好ましくは160~200℃のTg又はそれぞれの最高Tgを有する。非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホン又はより粘度の高い2つ以上のポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物は、通常、200~240℃、好ましくは210~240℃のTg又はそれぞれの最高Tgを有する。Tgを測定するのに使用できる方法を、実施例に述べる。
【0014】
上記の非晶質であることが好ましいポリアリーレン(エーテル)スルホンの構成を以下に記載する。
【0015】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンはホモポリマー又はコポリマーとすることができる。コポリマーはランダムコポリマー又はブロックコポリマーとすることができる。ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、典型的には-O-基及び-SO2-基を含み、これらがアリーレン基を連結する。アリーレン基を連結するさらなる基を含むことも可能であるが、ポリアリーレン(エーテル)スルホンが非晶質のままであり、結晶性又は半結晶性とならないことが条件である。ポリアリーレン(エーテル)スルホンが、アリーレン基を連結する-O-基及び-SO2-基のみを含むことが好ましい。アリーレン基が、フェニレン基又はビフェニレン基であることが好ましい。アリーレン基は置換基を有しなくてよく、又は1つ以上の置換基、例えばスルホン酸基を有してもよい。ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、非芳香族基又はブロックをアリーレン基と共に含むことができ、後者は好ましくはフェニレン基又はビフェニレン基である。ブロックの例は、1つ以上のアルキレンエーテル、例えばエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに由来するものが挙げられる。非芳香族基の中には、例として転化糖、例えばイソソルビトールに由来するものが挙げられる。ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)及び/又はポリエーテルスルホン(PESU)であることが好ましい。ここで、PPSU、PSU又はPESUホモポリマーが特に好ましい。多くの用途、特に薄壁品の製造には、ポリアリーレン(エーテル)スルホンがPPSUホモポリマーであることが好ましい。
【0016】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、どのように製造するかに応じて、例えばヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、エポキシ又は無水物末端基、例えば無水フタル酸又は4-クロロ-1,8-ナフタル酸無水物に由来する無水物末端基を有してよい。ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、反応性末端基を末端キャッピング剤で末端キャッピングして得られる末端基を有してよく、これはメチルクロリドなど単官能性化合物とすることができる。末端基のうち、ヒドロキシ、塩素及び/又はメトキシが好ましい。PPSU、PSU又はPESU、特にPPSU、PSU又はPESUホモポリマー、及び多くの用途に記載した上記末端基、例えばヒドロキシ及び塩素又は塩素及びメトキシ末端基の1つ以上を含有するPPSUホモポリマーを、ここに開示する方法で有利に使用することができる。
【0017】
本開示における略記PPSU、PESU及びPSUは、DIN EN ISO1043-1(Plastics-Symbols and abbreviated terms-Part1:Basic polymers and their special characteristics(ISO1043-1:2001);ドイツ版EN ISO1043-1:2002)に準拠する。
【0018】
ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、好ましくは、標準として分布の狭いポリメチルメタクリレートに対して、ジメチルアセトアミド溶媒中でゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して、10000~150000g/mol、特に15000~120000g/mol、より好ましくは18000~100000g/molの質量平均モル質量Mwを有する。
【0019】
さらに、ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、好ましくは、350℃/1150s-1において20~1200Pas、好ましくは50~700Pasの見かけの溶融粘度を有する。見かけの溶融粘度を測定するのに使用できる方法を、実施例に述べる。見かけの溶融粘度は、流動性を評価するために使用することができる。
【0020】
前述の好ましくは非晶質のポリアリーレン(エーテル)スルホンをもたらす製造方法は、当業者にはそれ自体知られており、例えば、Herman F.Mark、「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」、第3版、第4巻、2003年、「Polysulfones」章第2~8頁、及びHans R.Kricheldorf、「Aromatic Polyethers」:Handbook of Polymer Synthesis、第2版、2005年、第427~443頁に記載されている。
【0021】
この抽出物は、ポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む微粒子材料である。
【0022】
ほとんどの用途の場合、抽出物は非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホン、好ましくはポリフェニレン(エーテル)スルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)又はポリエーテルスルホン(PESU)を含むことが好ましく、これらの中で一般にPPSU、PSU又はPESUホモポリマー、又は上記に多くの用途で記載したPPSUホモポリマーが好ましい。
【0023】
抽出物は、粉末の形態又は任意の他の微粒子材料、例えばフレーク又は粉末を含むフレークの形態をとることができる。抽出物の粒径及び粒径分布は広く変化して良い。例として、粒径d50値が0.2~5mm、好ましくは0.5~4mmの範囲である粒子の形態を有する抽出物を使用することが可能である。粒径d50値が1mm~3mmの範囲である粒子の形態を有する抽出物は、搬送の高い均一性をもたらし、ひいては凝集プロセスの変動を最小限に抑えるので、一般的に本発明の方法に特に好適である。抽出物の粒径に使用できる測定方法を実施例に示す。
【0024】
微粒子材料は、ポリアリーレン(エーテル)スルホンと合わせて(そしてその製造からの通常の少量の残留物質と合わせて)1つ以上の添加剤を含むことができる。微粒子材料が1つ以上の添加剤を含む限り、これらの割合は、微粒子材料の総質量に対して大抵10%以下である。微粒子材料は、各場合とも抽出物の総質量に対して0~7質量%、好ましくは0~5質量%の1つ以上の添加剤、及び93~100質量%、好ましくは95~100質量%のポリアリーレン(エーテル)スルホンを含むことが多く、通常はPPSU、PSU及びPESUが好ましく、その中でも対応するホモポリマー、又は多くの用途ではPPSUホモポリマーが一般的に特に好ましい。
【0025】
抽出物中の1つ以上の添加物は、固体又は液体、又は凝集が起こる温度で液体とすることができる。特に、透明な製品、例えばフィルム、箔又は成形品、例えば薄壁の透明な成形品の製造には、一般的に、1つ以上の添加剤が、抽出物又はそれから製造された生成物粒子内に、それぞれ非常によく分散していることが有利である。この目的のため、1つ以上の添加剤は、有利には、好ましくは微細な粒子又は液体であり、好ましくは液体又はミクロン単位に微粉化されたものである。添加剤を抽出物に添加する場合、前者はそのままか又はマスターバッチの形態で添加することもできる。添加剤として使用できる材料の例としては、着色材料、例えば顔料、安定剤、離型剤、流動助剤、発泡剤及び潤滑剤がある。特に、ブロー成形手順を必要とする、ここに開示する方法によって得られる生成物粒子の使用には、抽出物がステアリン酸を含むことが好ましい。
【0026】
透明な製品、特に透明なフィルム、箔又は成形品を得るためにさらに処理することができる生成物粒子の製造を目的とする限り、微粒子材料は添加剤を含まない、すなわち、抽出物はポリアリーレン(エーテル)スルホンからなる。或いは、抽出物は1つ以上の添加剤(特にステアリン酸)を、1つ以上の添加剤が、生成物粒子から製造された製品にヘーズを発生させない程度に均質に分散された形態で含む。
【0027】
純度が特に重要である製品を得るためのさらなる処理を目的とした高純度の生成物粒子の製造の場合、抽出物が添加剤を含まないことが最も好ましい。この場合、抽出物の純度等級が1又は2、特に純度等級が1であることがさらに好ましい。純度等級は、フィルタ試験を用いた光学的評価によって判定することができる。使用できる方法を実施例に記載する。
【0028】
抽出物の凝集は、以下に定義する操作範囲内で行われる。
(i) 抽出物の水分含量、
(ii) 周囲空気の水分含量及び
(iii) 周囲空気の温度。
操作範囲内では、抽出物のケーキ化傾向を低減する、又は完全に排除することが可能である。
【0029】
抽出物は、乾燥した又は部分的に乾燥した状態で使用することができる。抽出物中の水分は検出しきい値を下回ることがあるが、典型的には抽出物中の水分の一定量を検出することが可能である。抽出物の水分含量は、典型的には、抽出物の総質量に対して少なくとも0.02質量%である。水分含量はポリアリーレン(エーテル)スルホンの製造プロセスに由来する残留水分でもよい。ただし、ポリアリーレン(エーテル)スルホンの貯蔵条件に由来する水分であるか、又は両方の場合もある。水分含量は、水及び/又は溶媒、例えばポリアリーレン(エーテル)スルホンの製造中に使用される溶媒とすることができる。一般的には、抽出物は、抽出物の総質量に対して2質量%以下、特に1質量%以下の水分を含むことが好ましい。抽出物の水分含量を測定するために使用できる方法を実施例に記載する。
【0030】
周囲空気とは、外部から装置に導入される空気である。これは、例えば部屋の空気であり、プロセスのために圧力又は吸引によって導入されるものでよい。ここでは一般的に、周囲空気が吸引によって導入されることが好ましい。一般に、装置に導入された周囲空気、特に吸引によって導入された空気は、浄化されているのが特に有利である。この目的のための方法と手段は当業者には知られている。例として、周囲空気をろ過装置に通すことができる。この目的のため、キャンドルフィルタなどのフィルタが好適である。フィルタの細かさは、微細又は非常に微細とすることができるが、実質的に1μm未満のフィルタの細かさの値に対する装置コストは、そのようなフィルタの工業規模での使用をほとんど除外している。周囲空気の良好な浄化は、一般に、フィルタの細かさの値が20μm以下のフィルタによって達成することができる。フィルタの細かさが10μm以下、例えば1~5μmの範囲のフィルタが好ましく使用できる。
【0031】
抽出物の水分含量が、抽出物の総質量に対して2質量%以下であり、周囲空気の温度が15℃~35℃の場合、周囲空気の水分含量は40~80%の範囲とすることができる。抽出物の水分含量が、抽出物の総質量に対して0.2~0.5質量%の場合、より低い温度、及びより低い周囲空気の水分含量で凝集を行うことが好ましい場合がある。従って有利な条件は、15℃~25℃の周囲空気の温度及び40~70%の範囲の周囲空気の水分含量、特に15℃~25℃の周囲空気の温度及び40~60%の範囲の周囲空気の水分含量とすることができる。抽出物の水分含量は、実施例に記載の方法で測定することができる。周囲空気の温度及びその水分含量は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0032】
ここで開示する方法手段の利点は、ケーキングなしで生成物粒子にアクセスできることにある。同様に、腐食を低減又は排除することも可能である。高いスループットであっても、プロセスは確実に実行することができる。
【0033】
抽出物は本発明の方法によって凝集される。抽出物は、一般的に最初は好ましくは周囲温度であり、凝集のため、及び/又は凝集中に加熱される。凝集中の材料温度は180~240℃である。凝集中の材料温度は、210℃~240℃の範囲であることが好ましい。末端ヒドロキシ基を有する、又はアリーレン基に置換基を有する、又は非芳香族基又はブロックを有する非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンは、一般的に、180℃をわずかに超える、例えば190~220℃の範囲の材料温度で凝集させることが好ましい。ここでの材料温度は、実施例に記載の方法で測定することができる。材料温度が180℃未満の場合、粘度の上昇が発生し、凝集がより困難又は不可能となる場合がある。材料温度が240℃を超える場合、材料はケーキ化できる。濃色の製品を得ることも可能である。さらに、生成物は、高い割合の微細な及び/又は比較的高い割合の不均一で鋭いエッジの粒子を有することができる。これは、後続のさらなる処理のための自由流動特性に悪影響を及ぼす可能性があり、及び/又は適切な分離又は戻す手順を必要とする可能性がある。
【0034】
凝集は、典型的には、抽出物が運動に供される少なくとも1つの凝集ツールを含む装置内で行われる。凝集装置は、一般的には1つの凝集ツールを含む。凝集は、同時に操作できる複数の装置で行うか、又は特にバッチ式操作プロセスでは異なる時間に行うことも可能である。これにより、例えば、ある装置で凝集を行いながら同時に別の装置を維持、例えば洗浄することが可能になる。さらに、1つの装置に抽出物のすべてを供給した後、第1の装置でのプロセスがまだ継続している間に、さらなる抽出物を別の装置に供給することが可能である。しかしながら、抽出物をすべての装置に同時に添加し、装置内で同時に凝集を行うことも可能である。
【0035】
ここに開示する方法は、化学工業で典型的な材料、例えばステンレス鋼、二相鋼、チタン、ハステロイ又は硬質金属などで作られた機器を使用して行うことができる。上記の文脈では、機器が使用される目的に応じて、且つ当業者が認識しているように、機器の特定の部分が機器の他の部分とは異なる材料で作られていてもよい。
【0036】
凝集に使用する装置の温度によって、凝集中に材料温度が達成される。凝集に使用される装置の温度は、とりわけ、凝集の意図された期間及び/又は抽出物に含まれるポリアリーレン(エーテル)スルホンの特性に依存する。同様に、凝集中に装置が作り出す摩擦熱が、材料温度の達成に寄与する可能性もある。凝集に使用される凝集ツールの、凝集中に材料と接触する領域の温度は、一般的に200~240℃の範囲であることが好ましい。
【0037】
熱可塑性樹脂の凝集装置自体は知られている。本発明の方法では、例として、抽出物が2つのプレート間で外向きの運動に供されるプレート圧縮機を使用することが可能である(例えば、DE1454873又はDE1454875)。また、要素が中で回転する中空シリンダーなどの中空チャンバである凝集ツールを少なくとも1つ含む装置を使用することも可能である。抽出物は、例として、中で回転するコンプレッサーブレードにより運動に供されて穴の開いたダイを通じて排出される、凝集チャンバ内で凝集させることができる(EP373372で例として開示されている)。例として言及することができ且つ本発明の方法で使用できる装置は、例えばDE102005018733から公知である圧縮チャンバである。凝集のための装置は、一般に、ブレード、レーザービーム又はウォータージェットなどの、放出された材料の粉砕に好適な手段を含む。
【0038】
信頼性及びスループットの向上のために、抽出物は、250kg/hのスループットのフライト深さ(flight depth)が少なくとも5mmである搬送スクリューを介して凝集ツールに輸送されることが好ましい。250kg/hのスループットのフライト深さは、典型的には15mm以下である。このスループットのため、フライト深さのより小さい又はより大きい搬送スクリューが使用できるが、粒径(d50)が1~3mmの範囲の抽出物が使用される場合であっても、搬送が不規則になり、生成物粒子の均一性が失われる可能性がある。8~12mmの範囲のフライト深さを有する搬送スクリュー(スループット250kg/h)は、搬送の均一性及び生成物粒子のより大きな均一性に寄与するので有利である。上記に基づいて、当業者は、より小さい又はより大きいスループットに対して適切なフライト深さを備えた搬送スクリューを選択することができるであろう。搬送スクリューは、大量の流動性固体の処理用及び/又は低嵩密度の流動性固体用に設計されることが好ましい。一般に、上記の中でも、フライト深さが8~12mm(スループット250kg/h)であり、密度が100~350kg/m3の範囲の流動性固体を搬送するように設計された搬送スクリューが好ましい。密度150~300kg/m3の流動性固体の搬送用に設計されたフライト深さ8~12mm(スループット250kg/h)の搬送スクリューを使用することが特に好ましい。
【0039】
ここに開示する方法は、凝集ツールを含む装置(複数可)内の抽出物の凝集を介して得られた生成物粒子を、1つ以上のさらなる装置内で圧縮及び均質化することを含んでよい。この目的のため、凝集ツールから得られた生成物粒子を、例えば、高温の造粒機に輸送し、そこで処理して顆粒を得ることができる。これはほとんどの場合好ましくない。生成物粒子は、凝集装置から除去された後に冷却し、さらなる圧縮又は均質化を行わずに使用に提供されることが好ましい。ここに開示する方法は、1つ以上のさらなる装置をさらに含むことができる。方法は、必要に応じて、例えば生成物粒子を粉塵粒子から分離することができる1つ以上の装置を含んでよい。この種の分離装置の例として、ふるい器が挙げられる。一般に、この種の分離装置は使用しないことが好ましい。
【0040】
本発明の方法において、抽出物を凝集させて生成物粒子を得る。従って生成物粒子は、その化学組成の観点より、抽出物からなる。生成物粒子の組成が抽出物の組成から逸脱していたとしても、プロセスの技術の結果としての材料の導入が非常に少ないので、逸脱はわずかな範囲でしかないであろう。従って生成物粒子の化学組成の記載に関しては、抽出物の説明を参照されたい。
【0041】
生成物粒子は、淡色又は非常に淡色から本質的又は完全に無色である。生成物粒子の色の尺度は、クロマ値C*である。C*値は、色の付いていない材料の場合、0である。生成物粒子は、CieLabによるSpin測定により判定して15未満のC*値を有する。ガラス転移温度Tgがより高いポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む生成物粒子は、Tgがより低いものよりも色がついている傾向があることが多い。ガラス転移温度又は様々なポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物の200℃~240℃の最高Tgを有するポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む生成物粒子は、CieLabによるSpin測定により判定して15の範囲及び15をわずかに又はやや下回るC*値を有する傾向がある。典型的な値は、例えば12~15である。ガラス転移温度又は様々なポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物の130℃~200℃の最高Tgを有するポリアリーレン(エーテル)スルホンを含む生成物粒子は、CieLabによるSpin測定によって測定して15より小さい又は15よりはるかに小さいC*値を有する傾向がある。典型的な値は、例えば8~12である。C*値の測定に使用できる方法の説明を実施例に示す。
【0042】
生成物粒子は、抽出物の粒径を超える平均粒子径を有する。生成物粒子の60質量%超は、d50値が2mm~3.5mm、好ましくは2.5mm~3.5mmの範囲、特に好ましくは3mm~3.5mmの範囲である粒子径を有する。動的画像解析によってd50値を判定するために使用できる方法の説明を実施例に記載する。
【0043】
生成物粒子は、さらに、抽出物の嵩密度を超える嵩密度も有する。生成物粒子の嵩密度は一般に400~600kg/m3の範囲である。嵩密度の測定に使用できる方法を実施例に述べる。この嵩密度を有する生成物粒子は、貯蔵、搬送及び輸送に関する良好な特性を有する。
【0044】
生成物粒子は一般に丸みを帯び、楕円形であり、ある程度卵形である。生成物粒子はハウスナー係数によって特徴づけることができる。生成物粒子は、好ましくは1.05~1.3、特に1.05~1.2、特に好ましくは1.05~1.18のハウスナー係数を有する。ここでハウスナー係数は、実施例で述べるように測定できる。一般的には、さらに0.6~1.0、好ましくは0.7~1.0、より好ましくは0.8~1.0の球形度を有する生成物粒子が好ましい。球形度を測定するために使用できる方法を実施例に示す。通常、粒子は、0.6~1.0、好ましくは0.7~1.0、より好ましくは0.8~1.0のフェレット径も有することが特に好ましい。従って一般的には、上記のハウスナー係数、球形度、フェレット径を併せ持つ生成物粒子が好ましい。そのような生成物粒子は、バルク固体と表面との間の摩擦、及び内部摩擦を示し、生成物粒子は射出成形、ブロー成形、射出ストレッチブロー成形などの成形プロセスに好適となる。生成物粒子は、ブロー成形及び射出ストレッチブロー成形に特に好適である。特に、薄壁成形品は、ブロー成形又はストレッチブロー成形により、生成物粒子から有利に製造できる場合がほとんどである。
【0045】
生成物粒子は、40mg/kg未満であるSO2含有量を有することが好ましい。これは、生成物粒子の処理中に腐食による機器の損傷を最小限に抑えることができるので、有利である。SO2含有量の測定に使用できる方法を、実施例に記載する。
【0046】
特に純度等級1又は2の抽出物、特に純度等級1の抽出物を方法において用いた場合、本発明の方法により高純度の生成物粒子を得ることが可能である。純度等級は実施例に記載のように測定できる。高純度の生成物粒子は、好ましくは添加物を含まない。高純度の生成物粒子は、例えば、食品分野における箔又はフィルム、フォーム又は成形品の製造に好適である。特に、高純度の生成物粒子は薄壁成形品の製造に好適であり、その中でも滅菌性目的のもの及び/又は透明性の高いものが好ましい。
【0047】
生成物粒子のさらなる処理、例えば射出成形プロセス、押出プロセス及びブロー成形プロセスでは、残留水分含量を最小限に抑えることが有利な場合がある。残留水分含量は、典型的には水のみであるが、抽出物から保持されて少量の残留溶媒が存在することがある。上記に関連して、生成物粒子の残留水分含量が、生成物粒子の総質量に対して0.5%未満、特に0.1%未満であることが一般的に好ましい。生成物粒子の残留水分含量が検出閾値未満である可能性もあるが、典型的には生成物粒子の残留水分含量を検出することは可能である。残留水分含量は、一般的に0.1質量%以上であり、例えば、各場合とも生成物粒子の総質量に対して0.15~0.5質量%であってよい。生成物粒子の水分含量を測定するために使用できる方法は、実施例に記載する。
【0048】
ここに開示する生成物粒子は、特に、本質的に顆粒と同じショット質量を有し、従って本質的に取込み時間及びスループットが顆粒のそれと一致するので、顆粒処理のための標準的な処理機械によって処理することができる。
【0049】
ここに開示する生成物粒子は、コーティング、フィルム、フォーム、箔、膜、又は成形品の製造に使用することができる。特に、透明性、高純度及び/又は淡い固有色が重要である用途に使用することができる。粒子はさらに、薄壁又は非常に薄壁の用途に有利に使用できる。薄壁又は非常に薄壁の成形品の製造時に特別に発生する問題は、使用される射出成形材料がゲル欠陥の傾向を有することである。ゲル化などの表面欠陥は、そのような成形品の製造に生成物粒子を使用すると、低減又は排除できることが多い。
【0050】
また、生成物粒子を使用して製造されるコーティング、フィルム又はフォーム、箔又は膜、又は成形品も開示する。成形品は、例えば、薄壁又は非常に薄壁の成形品とすることができる。このような非常に薄壁の成形品は、例えば中空繊維である。関連する成形品は、典型的には、成形品の総表面積に対して少なくとも50%の表面が、壁厚2mm未満である1つ以上の壁で構成されているものである。多くの用途で好ましい成形品は、成形品の総表面積に対して少なくとも50%の表面が、壁厚0.3mm~1.7mmの範囲、特に0.5mm~1.5mmの範囲である1つ以上の壁からなるものである。ここで、壁厚の変動幅は一般的に小さい。壁厚の測定に使用できる方法を、実施例に記載する。
【0051】
生成物粒子を使用して製造されたフォーム、箔又は成形品は、上記の生成物粒子の製造条件でリサイクルすることができる。従って、フォーム、箔又は膜、又は成形品のリサイクルのための方法も開示し、これはそこからの粉砕された材料の製造、及びリサイクル粒子を得るための凝集を含む。特に、リサイクル対象の材料が単一タイプの場合、該方法はリサイクルに有利である。特に好ましくは、プロセスに由来するエッジトリムを使用して、コーティング、フォーム、箔又は膜、又は成形品を製造することが可能であり、これらは粒子を使用して製造される。従ってこのようなエッジトリムのリサイクルのための方法も開示し、該方法においてそれらから粉砕された材料の製造及び凝集によりリサイクル粒子が得られる。
【0052】
ここに開示する方法によって、透明又は非常に透明なフィルム、箔又は成形品の製造に非常に好適な生成物粒子を製造することが可能であり、それは、とりわけ、ステアリン酸などの添加剤を、二次的な調合手順におけるよりも均質に、より首尾よく組み込むことができることが多いからである。
【0053】
ここに開示する方法から、さらに、低いSO2含有量を有する、及びそれぞれのポリアリーレン(エーテル)スルホンを含有する顆粒よりも低いSO2含有量を有し得る粒子を得ることができる。SO2含有量は通常、時間と共に減少するが、低いSO2含有量を示す粒子は貯蔵時間が長くなくても使用できる。特に、使用分野が金属化を含む場合、SO2含有量の低い上記粒子を使用することによって、表面欠陥を回避することができる。
【0054】
開示する方法によって生成された生成物粒子は、一般に均一な処理特性を示す。
【実施例】
【0055】
測定方法
周囲空気
周囲温度における水分含量は、周囲空気の吸引点から1メートル上方に設置する湿度計によって測定した。
【0056】
周囲空気の温度は、周囲空気の吸引点で直接温度計によって測定した(PT100)。
【0057】
見かけの溶融粘度
見かけの溶融粘度は、キャピラリーレオメーターによって測定した。見かけの溶融粘度は、350℃でせん断速度の関数として、キャピラリー粘度計(Goettfert Rheograph2003キャピラリー粘度計)(長さ30mmの円形キャピラリー、半径0.5mm、ダイ入口角度180°、溶融物用リザーバー容器の直径12mm)を用いて、予熱時間5分で測定した。報告する値は、1150s-1で測定されたものである。
【0058】
粒子の嵩密度
粒子の嵩密度は、DIN EN ISO60(2000年1月)に準拠して測定した。
【0059】
C*値
積分球及びd8測定ジオメトリーを備えた分光測色計(Data color SF600)を使用した。色測定は、試験プラーク(射出成形された60×60×3mmの試験試料)のSPIN(スペキュラーを含む)設定で、白色校正標準に対して実施した。色座標は、DIN6174,1979_01に準拠して、光タイプD65及び10°の正視オブザーバーを使用し、CieLabカラーコーディネーションシステムで計算した。
【0060】
ガラス転移温度
材料の試料を20℃から350℃に20K/分の加熱速度で加熱した(1回目の加熱)。試料を室温まで冷却した後、20K/分の加熱速度で再び350℃に加熱した(2回目の加熱)。非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンの2回目の加熱のDSCトレースは、1つのガラス転移(Tg)のみを示すか、又は異なる非晶質ポリアリーレン(エーテル)スルホンの混合物の場合は2つ以上のガラス転移(Tg)を示すが、融解吸熱は示さなかった。
【0061】
ハウスナー比
ハウスナー比は、タンプ密度pタンプあり(DIN ISO787-11DE、1995年10月に準拠)及び嵩密度pタンプなし(DIN EN ISO60DE、2000年1月に準拠)の商を使用して計算した(各場合とも2500サイクル)。
【0062】
【0063】
ハウスナー比は、バルク固体の流動性及び圧縮性だけでなく、大きさ、形状、硬さ、そして何よりも付着性に関する粒子の均一性をも特徴づける。
【0064】
凝集中の材料温度
材料温度は、赤外線温度計(testo830-T2)を用いて、粒子の製造場所で直接測定した。
【0065】
抽出物及び製品の水分含量
水分含量は、試料から水分を蒸発させ、採取した水分を滴定することにより測定した。ここで水分含量はMetrohm KF-852 Titrando機器を用いて測定した。約0.1g(精度0.001g)の試料を分析天秤で5mlのアンプルに秤量した。密封用ペンチを用いてアンプルを密封した。アンプルを160℃に加熱した装置に入れ、針を用いて膜とキャップシールを穿刺した。蒸発した水分は空気流(ガス流量60ml/分)に巻き込まれ、滴定セルに入った。滴定はアンプルから水分がなくなるまで続けた。データは、抽出物又は製品の質量に対する質量%で記載する。
【0066】
モル質量
質量平均モル質量Mw及び数平均モル質量は、DMACを溶媒とするPMMA標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。
【0067】
抽出物の粒径及び生成物粒子の粒子径、球形度及びフェレット径
抽出物の粒径、生成物粒子の粒子径(d
50値)、球形度及びフェレット径を、ISO13322-2(2006年)に準拠して、自由落下による動的デジタル画像処理で測定した。ここで変数の測定に使用した機器はCamsizerXTであった。これらの変数は、粒子投影の最大弦を利用することにより測定することができる。最大弦x
cとは、測定方向に垂直な粒子投影の最長寸法を意味する。最小弦x
cminは、粒子投影のすべての測定方向から測定したすべての最大弦の中で最も短いものである。x
cminは、ここで使用した測定機器のソフトウェアの要素フィッティングに使用した。ここでのフェレット径は、xFeretmin/xFeretmaxの比である。球形度は、粒子の丸さを表す尺度である。値1は理想的な球形に相当する。球形度は、測定された円周Uと粒子投影の測定された面積Aを用いて計算することができる:
【数2】
【0068】
抽出物の純度等級
20gの試験用材料を、窒素下で攪拌しながら、100mlの濾過済みナトリウム-水酸化物非含有N-メチル-2-ピロリドンに100℃で溶解した。ウォーターポンプを使用し、溶液をペーパーフィルタ(ブラックリボンフィルタ、例えばMN640w、Φ70mm)に通した。次に、ペーパーフィルタ上に見える汚れスポットの大きさを目視で測定するためにテンプレートを使用した。汚れスポットの数は数えることによって測定し、汚れスポットはその大きさによって分類した。比較の汚れスポット面積を測定するために以下の式を使用した:
汚れ[mm2]/20g=Σ(スポットの数×サイズクラスによる大きさ[mm2])/20g
試験の結果は、材料の純度を3つのカテゴリーに分類するために使用した:
0.1より小さい 純度等級1(特に好ましい)
0.1~0.2 純度等級2(好ましくは好適)
0.2以上又はフィルタで覆われる 純度等級3(不適当)
【0069】
粒子の二酸化硫黄含量
粒子のSO2含量は、クロロホルム溶液のヘッドスペースGC/MSにより測定した。
【0070】
粘度数
粘度数は、0.01g/mlのフェノール/1,2-ジクロロベンゼン1/1)でISO307、1157、1628、2019に準拠し、測定した。
【0071】
壁厚
壁厚は、DIN EN ISO16810 2014-7-1に準拠して測定した。
【0072】
本発明の実施例1、A1及び比較例V1、VA1で使用したPPSU
ポリフェニルスルホンホモポリマー(PPSU)を用いた。PPSUは完全に非晶質であり、ガラス転移温度Tgは220℃、質量平均モル質量(Mw)は45500g/mol、Mw/Mn値は2.7、そして粘度数は71cm3/gであった(BASF社製Ultrason(登録商標)P)。
【0073】
本発明の実施例A2及び比較例VA2で使用したPESU
ポリアリーレンエーテルスルホンホモポリマー(PESU)を使用した。PESUは完全に非晶質であり、ガラス転移温度Tgは225℃、質量平均モル質量(Mw)は48000g/mol、Mw/Mn値は2.7、そして粘度数は56cm3/gであった(BASF社製Ultrason(登録商標)E)。
【0074】
本発明の実施例1
PPSUを添加剤なしの抽出物として使用した。抽出物の水分含量は0.05質量%であり、d50粒径は2513μmであった。純度等級1の抽出物を添加剤なしで使用した。
【0075】
抽出物は、空気搬送システムによって凝集装置の供給容器に充填した。搬送スクリュー(フライト深さ10mm、スループット250kg/h)を使用して、抽出物を凝集装置の供給容器から凝集器具に搬送した。使用した凝集器具は、回転するコンプレッサーブレードによって抽出物に運動を与え、穴あきダイを通して排出し、そして回転するブレード(Pallmann Plastagglomerator PFV250/20)によって細断する凝集チャンバであった。穴あきダイの温度は235~245℃であった。周囲空気の水分含量は73%であり、凝集中の周囲空気の温度は28±2℃であった。
【0076】
粒子径2881μm(d50値)、嵩密度490kg/m3、ハウスナー係数1.02、球形度0.767、及びb/I3値0.672の生成物粒子が得られた。PPSUのガラス転移温度は223℃で変化なしであった。C*値は11.65であった。純度等級は同様に1で変わらず、そして残留水分含量は0.02%未満であった。
【0077】
比較例V1
使用した抽出物は本発明の実施例1に記載した通りであり、水分含量のみが本発明の実施例1で使用したものと異なっていた。抽出物の水分含量は0.25%であった。
【0078】
凝集の条件は、穴あきダイの温度が250~260℃であったこと、周囲空気の水分含量が87%であったこと、及び周囲空気の温度が19℃であったことのみが、生成物粒子の製造に使用した条件と異なっていた。
【0079】
得られた生成物粒子の粒径(d50)は3062μm、球形度は0.732、フェレット径は0.656、嵩密度は467kg/m3であった。
【0080】
本発明の実施例A1及び比較例VA1
型締力300t及びスクリュー径50mmの射出成形機(Krauss-Maffei KM300/1400-C2)を用いて、ボウルを射出成形した(型3.5:寸法:dトップ=280mm、dボトム=115mm、h=110mm、壁厚:2.8mm、センターゲート、コールドランナー、ショット質量:318g)。
【0081】
本発明の実施例1で得られたPPSUホモポリマー生成物粒子を使用した。
【0082】
比較のために、本発明の実施例1に記載のPPSUから製造した顆粒を使用した。
【0083】
顆粒の粒径(d50)は3282μm、球形度は0.943、フェレット径は0.847、嵩密度は760kg/m3であった。顆粒のC*値は23であった。
【0084】
【0085】
・ 平均値のベース:30ショット
・ スクリュー回転数(m/s):標準=100rpm=0.29m/s
【0086】
本発明の適用実施例A2及び比較例VA2、VA3
型締力100t、スクリュー直径25mmの射出成形機(Demag Systec100/420-200)を用いて、スパイラル幅10mm、厚さ2mm、及び長さ開放のT7/2mmフロースパイラル(正確にはT7.6.2)を射出成形した(中央ゲート、コールドランナー、ショット質量46.5g)。
【0087】
本発明の実施例A2は、ここに開示する方法によって凝集させた生成物粒子を使用した。この生成物粒子は添加剤を含まなかった。嵩密度は483kg/m3であった。
【0088】
得られた生成物粒子の粒径(d50)は3080μm、ハウスナー係数は1.13、球形度は0.726、フェレット径は0.642、嵩密度は483kg/m3であった。
【0089】
比較例VA2は、嵩密度290kg/m3のフレーク状のPESUを使用した。
【0090】
比較例VA3は、粒径(d50)、球形度、フェレット径、及び嵩密度が比較例VA1で使用した顆粒に本質的に相当する顆粒としてPESUを使用した。
【0091】
図1は、生成物粒子が、フレークとの比較及び顆粒との比較の両方で、計量時間の変動が著しく小さいこと、すなわち生成物粒子がより均一な処理性を有することを示している。
【国際調査報告】