IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.の特許一覧

特表2024-514056流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置
<>
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図1
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図2a
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図2b
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図2c
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図2d
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図3
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図4A
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図4B
  • 特表-流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】流体ハンドリングシステム、方法及びリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558157
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2022056151
(87)【国際公開番号】W WO2022218616
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21168491.5
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロプス,コルネリウス,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ガットビージョ,ジョヴァンニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】エウメレン,エリック,ヘンリカス,エギディウス,キャサリナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン バーグ,デニス
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA12
2H197DB27
2H197DB28
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
(57)【要約】
本明細書では、リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって放射ビームを基板の表面に照射できるリソグラフィ装置内の投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込めるように構成され、流体ハンドリングシステムは、入口側から出口側への流体流によって液体閉じ込め空間から液浸液を抽出するように配置された、入口側と出口側とを有する、液体抽出部材と、液体閉じ込め空間と異なる供給源から出口側が液体を受け入れるように配置された液体抽出部材の出口側への更なる液体供給部とを含む、流体ハンドリングシステムが開示される。
【選択図】 図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、
前記流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって前記放射ビームを基板の表面に照射できる前記リソグラフィ装置内の前記投影システムの一部と前記基板の前記表面との間の液体閉じ込め空間に前記液浸液を閉じ込めるように構成され、前記流体ハンドリングシステムは、
入口側から出口側への流体流によって前記液体閉じ込め空間から前記液浸液を抽出するように配置された、前記入口側と前記出口側とを有する、液体抽出部材と、
前記液体閉じ込め空間と異なる供給源から前記出口側が液体を受け入れるように配置された前記液体抽出部材の前記出口側への更なる液体供給部と
を含む、流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記更なる液体供給部は、前記更なる液体供給部から受け入れられた前記液体によって前記出口側が湿潤されるように配置される、請求項1に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
前記液体抽出部材は、篩及び/又は多孔質部材を含む、請求項1又は2に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
前記入口側は、前記液体閉じ込め空間の壁に配置され、及び/又は前記液体抽出部材は、使用時に実質的に液体のみが前記液体抽出部材を通って流れるように単相抽出部材を含み、及び/又は前記更なる液体供給部は第1の液体供給部であり、前記流体ハンドリングシステムは、前記液体閉じ込め空間に前記液浸液を供給するように配置された第2の液体供給部を更に含む、請求項1~3の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
前記第2の液体供給部は、前記液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置される、請求項4に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
前記液体抽出部材は、前記液体閉じ込め空間の前記周囲の少なくとも一部に延在するように配置される、請求項4又は5に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
前記液体抽出部材及び前記第2の液体供給部は、前記液体閉じ込め空間の前記周囲の実質的に全てを覆うように配置される、請求項6に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
前記液体抽出部材は、前記第2の液体供給部と比較して前記液体閉じ込め空間の前記周囲のより広い範囲に延在し、又は前記第2の液体供給部は、前記液体抽出部材と比較して前記液体閉じ込め空間の前記周囲のより広い範囲に延在し、及び/又は前記第1の液体供給部と前記第2の液体供給部の両方に液体を供給するように配置された第3の液体供給部を更に含む、請求項4~7の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
前記第3の液体供給部から前記第1の液体供給部への液体の流路は、前記第3の液体供給部から前記第2の液体供給部への液体の流路から流出するバイパス流路である、請求項8に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
前記第3の液体供給部から前記第1の液体供給部への液体の前記流路は、前記第3の液体供給部から前記第2の液体供給部への液体の前記流路から分岐する、請求項8又は9に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
前記第1の液体供給部、前記第2の液体供給部及び/又は前記第3の液体供給部を通る流体の流れを制御するように構成された弁構成を更に含む、請求項8~10の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
平面視において、前記液体閉じ込め空間の前記周囲は、円形状、正方形状、矩形状、若しくは星形状の何れか、又はそれらの任意の組み合わせであり、及び/又は前記液体抽出部材の前記入口側は、前記流体ハンドリングシステムが静止しているときに前記入口側が液浸液によって完全に浸漬されるように配置され、及び/又は前記液体抽出部材の前記入口側は、前記流体ハンドリングシステムの使用時に前記液体抽出部材がガスに少なくとも部分的に暴露されるように配置される、請求項1~11の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、
前記流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって前記放射ビームを基板の表面に照射できる前記リソグラフィ装置内の前記投影システムの一部と前記基板の前記表面との間の液体閉じ込め空間に前記液浸液を閉じ込めるように構成され、前記流体ハンドリングシステムは、
前記液体閉じ込め空間への液体供給部である液体供給部と、
前記液体閉じ込め空間から実質的に液体のみを抽出するように配置された液体抽出部材と
を含み、
前記液体供給部は、前記液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置され、
前記液体抽出部材は、前記液体閉じ込め空間の前記周囲の少なくとも一部に延在するように配置され、
前記液体抽出部材及び前記液体供給部は、前記液体閉じ込め空間の前記周囲の実質的に全てを覆う、
流体ハンドリングシステム。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステムを含むリソグラフィ装置。
【請求項15】
前記基板を支持するように構成された基板ホルダを前記基板の前記表面に実質的に平行な平面内で前記投影システムに対して移動させるように構成された位置決めシステムを更に含む、請求項14に記載のリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年4月15日に出願された欧州特許出願公開第21168491.5号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、流体ハンドリングシステム及びデバイス製造方法に関する。本発明はまた、リソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを施すために構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用することができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(多くの場合「設計レイアウト」又は「設計」とも称される)を、基板(例えばウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。既知のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向(「スキャン」方向)と平行又は逆平行に同期的にスキャンしながら、パターンを所与の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることによって、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進み続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の量は、「ムーアの法則」と通称される傾向に従って、数十年にわたり着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。パターンを基板に投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を用い得る。この放射の波長が、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。
【0005】
[0005] より小さなフィーチャの解像度の更なる向上は、露光中に水などの比較的高い屈折率を有する液浸流体を基板上に提供することによって達成され得る。液浸流体の効果は、露光放射がガス中よりも流体中でより短い波長を有することになるため、より小さいフィーチャの結像を可能にすることである。液浸流体の効果はまた、システムの有効開口数(NA)を増加させるとともに焦点深度を長くすることとみなされ得る。
【0006】
[0006] 液浸流体は、リソグラフィ装置の投影システムと基板との間の局所エリアに流体ハンドリング構造によって閉じ込められることがある。リソグラフィ装置の動作中に、液浸流体の流れを適切に制御する必要がある。
【0007】
[0007] リソグラフィ装置のコンポーネントのスループットを向上させることが一般に必要である。これには、リソグラフィ装置内の液浸流体の流れを適切に制御するための新技術が必要となる。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の目的は、スループットを向上させ及び/又は基板上の欠陥を低減するための措置が講じられた流体ハンドリングシステムを提供することである。
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって放射ビームを基板の表面に照射できるリソグラフィ装置内の投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込めるように構成され、流体ハンドリングシステムは、入口側から出口側への流体流によって液体閉じ込め空間から液浸液を抽出するように配置された、入口側と出口側とを有する、液体抽出部材と、液体閉じ込め空間と異なる供給源から出口側が液体を受け入れるように配置された液体抽出部材の出口側への更なる液体供給部とを含む、流体ハンドリングシステムが提供される。
【0010】
[0010] 本発明の第2の態様によれば、リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって放射ビームを基板の表面に照射できるリソグラフィ装置内の投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込めるように構成され、流体ハンドリングシステムは、液体閉じ込め空間への液体供給部である液体供給部と、液体閉じ込め空間から実質的に液体のみを抽出するように配置された液体抽出部材とを含み、液体供給部は、液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置され、液体抽出部材は、液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置され、液体抽出部材及び液体供給部は、液体閉じ込め空間の周囲の実質的に全てを覆う、流体ハンドリングシステムが提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第3の態様によれば、第1又は第2の態様の流体ハンドリングシステムを含むリソグラフィ装置が提供される。
【0012】
[0012] 本発明の更なる実施形態、特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作、特徴及び利点について、添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0013】
[0013] ここで、本発明の実施形態について、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略的な図面を参照して単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0014]リソグラフィ装置の概略図を示す。
図2a】[0015]全周に延在し得る異なる特徴部が各バージョンの左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを断面図で示す。
図2b】[0015]全周に延在し得る異なる特徴部が各バージョンの左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを断面図で示す。
図2c】[0015]全周に延在し得る異なる特徴部が各バージョンの左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを断面図で示す。
図2d】[0015]全周に延在し得る異なる特徴部が各バージョンの左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの2つの異なるバージョンを断面図で示す。
図3】[0016]流体ハンドリングシステムの一部を通る概略断面図を示す。
図4A】[0017]実施形態の第1の実施態様による流体ハンドリングシステムの一部の概略平面図を示す。
図4B】[0018]実施形態の第2の実施態様による流体ハンドリングシステムの一部の概略平面図を示す。
図5】[0019]実施形態による抽出部材の一部を通る断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0020] 図に示す特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、描かれた大きさ及び/又は配置は限定的なものではない。これらの図が、本発明に必須ではない任意選択の特徴を含むことを理解されたい。更に、装置の全ての特徴が各図に描かれているわけではなく、図は、特定の特徴の説明に関連するコンポーネントの一部のみを示している場合がある。
【0016】
[0021] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線放射(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)を含む、全てのタイプの電磁放射を包含するように使用される。
【0017】
[0022] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いられる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、到来する放射ビームにパターン付き断面を与えるために使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスクなど)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0018】
[0023] 図1は、リソグラフィ装置を概略的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はDUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも称される)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定パラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、特定のパラメータに従って基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板サポート(例えば基板テーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを含む。コントローラ500は、装置の全体的な動作を制御する。コントローラ500は、集中制御システム、又はリソグラフィ装置の様々なサブシステム内の複数の別個のサブコントローラのシステムであり得る。
【0019】
[0024] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOから放射ビームBを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又は他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含み得る。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの平面において、放射ビームBの断面に所望の空間及び角度強度分布を有するように放射ビームBを調節するために使用され得る。
【0020】
[0025] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、使用される露光放射、及び/又は液浸液の使用若しくは真空の使用などの他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書での「投影レンズ」という用語のいかなる使用も、更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義であるとみなされ得る。
【0021】
[0026] リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11を満たすために、基板Wの少なくとも一部が、比較的高い屈折率を有する液浸液、例えば水で覆われ得るタイプであり、液浸リソグラフィとも称される。液浸技術に関するより多くの情報が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,952,253号において与えられる。
【0022】
[0027] リソグラフィ装置は、2つ以上の基板サポートWT(「デュアルステージ」とも呼ばれる)を有するタイプであり得る。かかる「マルチステージ」機械において、基板サポートWTは、並行して使用され得、及び/又は基板Wの後続の露光の準備ステップは、一方の基板サポートWT上に位置する基板W上で実行され、その間、他方の基板サポートWT上の別の基板Wは、他方の基板W上にパターンを露光するために使用され得る。
【0023】
[0028] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置は、測定ステージ(図には図示せず)を含み得る。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニングデバイスを保持するように配置される。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するように配置され得る。測定ステージは、複数のセンサを保持し得る。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の一部、例えば投影システムPSの一部、又は液浸液を提供するシステムの一部をクリーニングするように配置され得る。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れているときに、投影システムPSの下方で移動し得る。
【0024】
[0029] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されるパターニングデバイス、例えばマスクMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターン形成される。マスクMAを横断した放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFを用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合により別の位置センサ(図1には明示的に図示しない)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めするために使用され得る。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされ得る。図示のような、基板アライメントマークP1、P2は、専用のターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間内に位置してもよい。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分C間に位置する場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0025】
[0030] 本発明を明確にするため、デカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸の各々は、他の2つの軸に対して直交している。x軸を中心とした回転はRx回転と称される。y軸を中心とした回転はRy回転と称される。z軸を中心とした回転はRz回転と称される。x軸及びy軸は水平面を画定し、これに対して、z軸は垂直方向にある。デカルト座標系は、本発明を限定するものではなく、単に明確さのため使用される。代わりに、本発明を明確にするために、円筒座標系などの別の座標系が使用されることもある。デカルト座標系の向きは、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように、異なることがある。
【0026】
[0031] 液浸技術は、より小さなフィーチャの解像度の向上を可能とするためにリソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置において、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が、装置の(パターン形成されたビームが基板Wに投影されるときに通過する)投影システムPSと基板Wとの間の液浸空間11に介在する。液浸液は、投影システムPSの最終素子の下方で基板Wの少なくとも一部を覆う。したがって、露光を受ける基板Wの少なくとも一部が液浸液に浸される。
【0027】
[0032] 商用の液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。典型的に、この水は、半導体製造工場で一般的に使用されている超純水(UPW)などの高純度の蒸留水である。液浸システムでは多くの場合、UPWは精製され、液浸液として液浸空間11に供給される前に追加の処理ステップを受けることがある。水の他に、屈折率の高い他の液体、例えばフッ化炭化水素などの炭化水素及び/又は水溶液を液浸液として使用することができる。更に、液体以外の流体を液浸リソグラフィに使用することが想定されている。
【0028】
[0033] 本明細書では、使用時に最終素子100と最終素子100に対向する表面との間の液浸空間11に液浸液が閉じ込められる局所液浸について本説明で言及がなされることになる。対向表面は、基板Wの表面、又は基板Wの表面と同一平面上にある支持ステージ(若しくは基板サポートWT)の表面である。(以下の本文での基板Wの表面への言及はまた、別段の明示的な定めがない限り、追加的又は代替的に基板サポートWTの表面を指すものであり、逆も同様であることに留意されたい)。投影システムPSと基板サポートWTとの間に存在する流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に閉じ込めるために使用される。液浸液で満たされた液浸空間11は、平面視で基板Wの上面よりも小さく、液浸空間11は、基板W及び基板サポートWTが下方に移動する間、投影システムPSに対して実質的に静止したままである。
【0029】
[0034] 他の液浸システム、例えば非閉じ込め液浸システム(いわゆる「オールウェット」液浸システム)及び浴式液浸システムも想定されている。非閉じ込め液浸システムでは、液浸液は、最終素子100の下方の表面を越えて広がる。液浸空間11外の液体は、薄い液膜として存在する。液体は、基板Wの表面全体、又は更には基板W及び基板Wと同一平面上の基板サポートWTの表面全体を覆い得る。浴式システムでは、基板Wは、液浸液の浴槽に完全に浸漬される。
【0030】
[0035] 流体ハンドリング構造12は、液浸液を液浸空間11に供給し、液浸空間11から液浸液を除去し、それにより液浸液を液浸空間11に閉じ込める構造である。この構造は、流体供給システムの一部である特徴部を含む。PCT特許出願公開である国際公開第99/49504号に開示されている構成は、液浸液を液浸空間11から供給又は回収し、投影システムPSの下のステージの相対運動に応じて動作する複数のパイプを備える初期の流体ハンドリング構造である。より最近の設計では、流体ハンドリング構造は、液浸空間11を部分的に画定するために、投影システムPSの最終素子100と基板サポートWT又は基板Wとの間の液浸空間11の境界の少なくとも一部に沿って延在する。
【0031】
[0036] 流体ハンドリング構造12は、様々な機能の選択を有し得る。各機能は、流体ハンドリング構造12がその機能を達成できるようにする対応する特徴部から得られ得る。流体ハンドリング構造12は、各々が1つの機能を指す、バリア部材、シール部材、流体供給システム、流体除去システム、液体閉じ込め構造などのいくつかの異なる用語で称されることがある。
【0032】
[0037] 流体ハンドリング構造12は、バリア部材として、液浸空間11からの液浸液の流れに対するバリアである。この構造は、液体閉じ込め構造として、液浸液を液浸空間11に閉じ込める。流体ハンドリング構造12の封止機構は、シール部材として、液浸液を液浸空間11に閉じ込めるシールを形成する。封止機構は、例えばガスナイフなどの、シール部材の表面にある開口からの追加のガス流を含み得る。
【0033】
[0038] 実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を供給するので、流体供給システムであり得る。
【0034】
[0039] 実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体を少なくとも部分的に閉じ込めるので、流体閉じ込めシステムであり得る。
【0035】
[0040] 実施形態では、流体ハンドリング構造12は、液浸流体に対するバリアを提供するので、流体閉じ込め構造などのバリア部材であり得る。
【0036】
[0041] 実施形態では、流体ハンドリング構造12は、例えば液浸流体の流れ及び/又は位置を制御するのに役立つように、ガス流を生成又は使用し得る。
【0037】
[0042] ガス流は、液浸流体を閉じ込めるシールを形成し得るので、流体ハンドリング構造12はシール部材と称されることがあり、そのようなシール部材は、流体閉じ込め構造であり得る。
【0038】
[0043] 実施形態では、液浸液は液浸流体として使用される。その場合、流体ハンドリング構造12は、液体ハンドリングシステムであり得る。前述の説明を参照すると、流体に関して定義された特徴部へのこの段落での言及は、液体に関して定義された特徴部を含むものと理解され得る。
【0039】
[0044] リソグラフィ装置は投影システムPSを有する。基板Wの露光中に、投影システムPSは、パターン形成された放射ビームを基板Wに投影する。基板Wに到達するために、放射ビームBの経路は、投影システムPSから、投影システムPSと基板Wとの間の流体ハンドリング構造12によって閉じ込められた液浸液を通過する。投影システムPSは、ビーム経路の最後にあるレンズ素子を有し、このレンズ素子は液浸液に接触している。液浸液に接触しているこのレンズ素子は、「最後のレンズ素子」又は「最終素子」と称されることがある。最終素子100は、流体ハンドリング構造12によって少なくとも部分的に囲まれる。流体ハンドリング構造12は、液浸液を最終素子100の下方に且つ対向表面の上方に閉じ込め得る。
【0040】
[0045] 図2a、図2b、図2c及び図2dは、流体ハンドリングシステムの変形形態に存在し得る異なる特徴部を示す。この設計は、異なるように説明されていない限り、図2a、図2b、図2c及び図2dと同じ特徴部の一部を共有し得る。本明細書で説明する特徴部は、図に示すように又は必要に応じて個別に又は組み合わせて選択され得る。図は、全周に延在し得る、異なる特徴部が左側及び右側に示された流体ハンドリングシステムの異なるバージョンを示す。したがって、例えば流体ハンドリングシステムは、全周に延在する同じ特徴部を有し得る。例えば、流体ハンドリングシステムは、図2aの左側、又は図2aの右側、又は図2bの左側、又は図2bの右側、又は図2cの左側、又は図2cの右側、又は図2dの左側、又は図2dの右側の特徴部のみを有し得る。代替的に、流体ハンドリングシステムは、これらの図からの特徴部の任意の組み合わせを円周に沿った異なる場所に備え得る。流体ハンドリングシステムは、以下の変形形態で説明するような流体ハンドリング構造12を含み得る。
【0041】
[0046] 図2aは、最終素子100の底面の周囲の流体ハンドリング構造12を示す。最終素子100は逆円錐台形状を有する。円錐台形状は、平坦な底面と円錐面とを有する。円錐台形状は、平面から突出し、底部平面を有する。底部平面は、放射ビームBが通過し得る最終素子100の底面の光学的能動部分である。最終素子100はコーティング30を有し得る。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の少なくとも一部を取り囲む。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に対向する内面を有する。内面と円錐面とは相補形状を有し得る。流体ハンドリング構造12の頂面は実質的に平坦であり得る。流体ハンドリング構造12は、最終素子100の円錐台形状の周りにフィットし得る。流体ハンドリング構造12の底面は実質的に平坦であり得、使用時に、底面は基板サポートWT及び/又は基板Wの対向表面と平行であり得る。したがって、流体ハンドリング構造12の底面は、基板Wの表面に対向する表面と称されることがある。底面と対向表面との間の距離は、30~500ミクロンの範囲内、望ましくは80~200ミクロンの範囲内であり得る。
【0042】
[0047] 流体ハンドリング構造12は、最終素子100よりも基板W及び基板サポートWTの対向表面の近傍に延在する。それゆえ、液浸空間11は、流体ハンドリング構造12の内面と円錐台部分の平面と対向表面との間に画定される。使用中に、液浸空間11は液浸液で満たされる。液浸液は、最終素子100と流体ハンドリング構造12との間の相補面の間のバッファ空間の少なくとも一部、実施形態では、相補内面と円錐面との間の空間の少なくとも一部を満たす。
【0043】
[0048] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を通して液浸空間11に供給される。液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面における供給開口20を通して供給され得る。代替的又は追加的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面に形成された下方供給開口23から供給される。下方供給開口23は、放射ビームBの経路を取り囲み得、アレイ状の一連の開口又は単一スリットで形成され得る。液浸液は、投影システムPSの下方の液浸空間11を通る流れが層流となるか又は少なくとも良好に規定されるように供給されて液浸空間11を満たす。追加的に、下方供給開口23からの液浸液の供給によって、液浸空間11への泡の進入が防止される。この液浸液の供給は、液体シールとして機能し得る。
【0044】
[0049] 液浸液は、内面に形成された回収開口21から回収され得る。回収開口21を通しての液浸液の回収は、負圧の印加によるもの、すなわち、液浸空間11を通過する液浸液流の速度の結果としての回収開口21を通しての回収であり得るか、又は回収は両方の結果であり得る。回収開口21は、平面視で見ると、供給開口20の反対側に位置し得る。追加的又は代替的に、液浸液は、流体ハンドリング構造12の頂面に位置するオーバフロー回収部24を通して回収され得る。供給開口20及び回収開口21は、その機能を交換することができる(すなわち、液体の流れ方向を逆転させる)。これによって、流れ方向を流体ハンドリング構造12と基板Wとの相対運動に応じて変化させることが可能となる。
【0045】
[0050] 追加的又は代替的に、液浸液は、底面に形成された回収開口25を通して流体ハンドリング構造12の下方から回収され得る。回収開口25は、液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に対して保持する役割を果たし得る。メニスカス33は、流体ハンドリング構造12と対向表面との間に生じ、液体空間とガス状の外部環境との間の境界としての役割を果たす。回収開口25は、単相流で液浸液を回収し得る多孔質プレートであり得る。底面における回収開口は、液浸液の回収が行われる一連の釘付け開口32であり得る。釘付け開口32は、二相流で液浸液を回収し得る。
【0046】
[0051] 任意選択的に、流体ハンドリング構造12の内面に対して半径方向外側にガスナイフ開口26がある。ガスは、液浸空間11内の液浸液の液体閉じ込めを支援するために、ガスナイフ開口26を通して高速で供給され得る。供給されたガスは、加湿されることがあり、実質的に二酸化炭素を含み得る。ガスナイフ開口26の半径方向外側には、ガスナイフ開口26を通して供給されたガスを回収するためのガス回収開口28がある。
【0047】
[0052] 例えば大気又はガス源又は真空に開放した更なる開口が、流体ハンドリング構造12の底面、すなわち基板Wに対向する流体ハンドリング構造12の表面に存在し得る。このような任意選択の更なる開口50の例が図2aの右側に破線で示されている。図示のように、更なる開口50は、両矢印で示される供給部材又は抽出部材であり得る。例えば、供給部として構成される場合、更なる開口50は、供給部材の何れかと同様に液体供給部又はガス供給部に接続され得る。代替的に、抽出部として構成される場合、更なる開口50は、流体を抽出するために使用され得、例えば大気又はガス源又は真空に接続され得る。例えば、少なくとも1つの更なる開口50は、ガスナイフ開口26とガス回収開口28との間、及び/又は釘付け開口32とガスナイフ開口26との間に存在し得る。代替構成では、流体ハンドリング構造12は、釘付け開口32と、ガスナイフ開口26と、任意選択的に下方供給開口23をと含み得る。供給開口20又は回収開口21は、流体構造12の内面に形成され得る。
【0048】
[0053] 図2aの左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンは、メニスカス33を釘付けする。図2aの右側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、釘付け開口32の固定位置によって、最終素子100に対して実質的に固定される位置にメニスカス33を釘付けし得る。図2aの左側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を釘付けし得るので、メニスカス33は回収開口25の長さ及び/又は幅に沿って移動し得る。露光中に放射ビームBが基板Wの全面に誘導されるように、基板Wを支持する基板サポートWTを投影システムPSに対して移動させる。リソグラフィ装置によって露光される基板Wの生産を最大化するために、基板サポートWT(ひいては基板W)をできるだけ高速で移動させる。しかしながら、これを上回ると流体ハンドリング構造12と基板Wとの間のメニスカス33が不安定になる臨界相対速度(多くの場合、臨界スキャン速度と称される)が存在する。不安定なメニスカス33によって、例えば1つ又は複数の液滴の形で液浸液を失うリスクが高くなる。更に、不安定なメニスカス33によって、特に閉じ込められた液浸液が基板Wの縁部を横切るときに液浸液への気泡の混入が生じるリスクが高くなる。
【0049】
[0054] 基板Wの表面に存在する液滴が熱負荷をかけることがあり、欠陥の原因となる場合がある。液滴は、乾燥しみを残しながら蒸発することがあり、粒子などの汚染物質を搬送しながら移動することがあり、液浸液のより大きい塊と衝突してガスの気泡をそのより大きい塊に導入することがあり、液滴が位置する表面に熱負荷をかけながら蒸発することがある。そのような熱負荷は、歪みの原因、及び/又は表面が結像されている基板Wに対するリソグラフィ装置のコンポーネントの位置決めと関係がある場合の位置決め誤差の原因となる可能性がある。それゆえ、表面に液滴が形成されることは望ましくない。したがって、このような液滴の形成を防ぐために、基板サポートWTの速度は、メニスカス33が安定した状態を保つ臨界スキャン速度に制限される。これはリソグラフィ装置のスループットを制限する。
【0050】
[0055] 図2aにおける流体ハンドリングシステムの左側は、ばね60を含み得る。ばね60は、流体ハンドリング構造12に付勢力を基板Wの方向に加えるように構成された調整可能な受動ばねであり得る。したがって、ばね60は、基板Wの上方の流体ハンドリング構造12の高さを制御するために使用することができる。そのような調整可能な受動ばねは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,199,874号において説明されている。例えば電磁力を用いる他の付勢デバイスが適切である場合もある。ばね60は図2aの左側に示されているが、これは任意選択であり、図2aの左側の他の特徴部に含められる必要はない。ばね60は他の図の何れにも示されていないが、図2a、図2b、図2c、又は図2bに関連して説明する流体ハンドリングシステムの他の変形形態に含められる可能性もある。
【0051】
[0056] 図2bは、最終素子100に対するメニスカス33の移動を可能にする、左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンを示す。メニスカス33は、移動する基板Wの方向に移動し得る。この移動によってメニスカス33と移動する基板Wとの相対速度が低下し、この相対速度の低下によって、安定性が向上し、メニスカス33の破壊のリスクが低減され得る。メニスカス33が破壊される基板Wの速度は、投影システムPSの下方での基板Wの高速移動を可能にするように高められる。したがって、スループットが高められる。
【0052】
[0057] 図2aに共通する図2bに示す特徴部は、同じ参照番号を共有する。流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面の近傍にある。
【0053】
[0058] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を通して液浸空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りに、おそらく円錐台形状の底面の下方に位置する。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。
【0054】
[0059] 液浸液は、流体ハンドリング構造12の底面における回収開口25を通して液浸空間11から回収され得る。対向表面が流体ハンドリング構造12の下方で移動するときに、メニスカス33は、回収開口25の表面上を対向表面の移動と同じ方向に移動し得る。回収開口25は、多孔質部材で形成され得る。液浸液は単相で回収され得る。液浸液は二相流で回収され得る。二相流は、流体ハンドリング構造12内のチャンバ35に受け入れられ、チャンバ35内で液体とガスに分離される。液体とガスは、チャンバ35から別個のチャネル36、38を通して回収される。
【0055】
[0060] 流体ハンドリング構造12の底面の内周面39は、内面から離れて液浸空間11内に延在してプレート40を形成する。内周面39は、放射ビームBの形状及びサイズに合致するような大きさとされ得る小さなアパーチャを形成する。プレート40は、その両側の液浸液を分離する役割を果たし得る。供給された液浸液は、アパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通って、その後、周辺の回収開口25に向かってプレート40の下方を半径方向外側に流れる。
【0056】
[0061] 流体ハンドリング構造12は、図2bの右側に示すような2つの部分、すなわち内側部12aと外側部12bとに分かれている場合がある。内側部12a及び外側部12bは、主に対向表面と平行な平面内で、互いに対して相対的に移動し得る。内側部12aは、供給開口34を有し得、オーバフロー回収部24を有し得る。外側部12bは、プレート40と回収開口25とを有し得る。内側部12aは、内側部12aと外側部12bとの間を流れる液浸液を回収するための中間回収部42を有し得る。
【0057】
[0062] したがって、図2bの流体ハンドリング構造の2つの異なるバージョンは、基板Wと同じ方向へのメニスカス33の移動を可能にし、スキャン速度を高速化し、リソグラフィ装置のスループットを向上させることができる。しかしながら、図2bの左側の流体ハンドリング構造12の回収開口25の表面上でのメニスカス33の移動速度は遅い場合がある。図2bの右側の流体ハンドリング構造12は、外側部12bを内側部12a及び最終素子100に対して移動させることによってメニスカス33のより素早い移動を可能にする。しかしながら、内側部12aと外側部12bとの接触を防止するために内側部12aと外側部12bとの間に十分な液浸液が提供されることを確実にするように中間回収部42を制御することは困難な場合がある。実施態様はまた、移動する外側部12bに設けられた液体供給部を含み得る。
【0058】
[0063] 図2cは、図2a及び/又は図2bに関連して上で説明したように液浸液のメニスカス33を流体ハンドリング構造12に釘付けするために使用され得る、流体ハンドリング構造12の左側及び右側の2つの異なるバージョンを示している。図2a及び/又は図2bに共通する図2cに示す特徴部は、同じ参照番号を共有する。
【0059】
[0064] 流体ハンドリング構造12は、円錐台形状の円錐面に相補する内面を有する。流体ハンドリング構造12の底面は、円錐台形状の底部平面よりも対向表面の近傍にある。液浸液は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された開口を通して液浸空間11に供給される。液浸液は、流体構造12の内面における供給開口34を通して供給され得る。追加的又は代替的に、液浸液は、流体構造12の内面における供給開口20を通して供給され得る。追加的又は代替的に、液浸液は、下方供給開口23を通して供給され得る。液浸液は、抽出部材を介して、例えば内面に形成された回収開口21及び/又はオーバフロー回収部24及び/又は以下で説明するような流体ハンドリング構造12の表面における1つ若しくは複数の開口を介して回収され得る。
【0060】
[0065] 図2cの左右両側の流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンは、メニスカス33を釘付けする。図2cの右側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口32aの固定位置によって、最終素子100に対して実質的に固定される位置にメニスカス33を釘付けし得る。図2cの左側の流体ハンドリング構造12のバージョンは、回収開口25の下方にメニスカス33を釘付け得るので、メニスカス33は回収開口25の長さ及び/又は幅に沿って移動し得る。
【0061】
[0066] 図2bに関連して上で説明したように、流体ハンドリング構造12の底面の内周面は、内面から離れて液浸空間11内に延在して、左側に示すようなプレート40を形成し得る。上で説明したように、これによって、小さなアパーチャが形成され得、両側に液浸液が分離され得、及び/又は液浸液がアパーチャに向かって内側に、内側アパーチャを通って流れ、その後、周辺の回収開口25に向かってプレート40の下方を半径方向外側に流れ得る。この特徴部は図2cの左側に示されているが、図示の他の特徴部と組み合わせることは任意選択である。好ましくは、左側に示すように、液浸液は、流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口34を通して液浸空間11に供給される。供給開口34は、内面の底部寄りに、おそらく円錐台形状の底面の下方に位置する。供給開口34は、放射ビームBの経路の周囲に間隔を開けて、内面の周囲に位置する。追加的又は代替的に、液浸液は、流体構造12の内面における供給開口20を通して供給され得る。追加的又は代替的に、液浸液は、下方供給開口23を通して供給され得る。供給開口34は好ましい液体供給部であるが、供給開口34、供給開口20及び/又は下方供給開口23の任意の組み合わせが設けられ得る。
【0062】
[0067] 図2cの左側に示すように、流体ハンドリングシステムは、上で説明したような流体ハンドリング構造12と、更なるデバイス3000とを含み得る。流体ハンドリング構造12は、回収開口25などの、抽出部材と、下方供給開口23などの、液体供給開口とを有し得る。流体ハンドリング構造12が、図2aの左側、図2aの右側、図2bの左側、図2bの右側、又は(以下で説明する)図2cの右側に関連して開示するような任意の構成を、更なるデバイス3000と組み合わせて含み得ることが理解されるであろう。
【0063】
[0068] 更なるデバイス3000は、液滴キャッチャと別様に称されることがある。更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12が表面上を移動した後の基板Wの表面での液体の発生を低減するために設けられる。更なるデバイス3000は、液体供給部材3010と、少なくとも1つの抽出部材3020とを含み得る。少なくとも1つの抽出部材3020は、平面視で少なくとも1つの供給部材3010を取り囲む形状で形成され得る。少なくとも1つの液体供給部材3010は、更なるデバイス3000の少なくとも一部と基板Wの表面との間の空間3110に更なる液体を提供するように構成され得る。更なるデバイス3000は、液体の少なくとも一部を少なくとも1つの抽出部材3020を介して回収するように構成され得る。更なるデバイス3000は、基板Wの表面に残された液体を空間3110内の液体と統合し、その後、基板Wの表面に残存する液体の量が低減されるように液体を抽出するために使用され得る。
【0064】
[0069] 更なるデバイス3000は、図2cには流体ハンドリング構造12とは別個のデバイスとして示されている。更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12に隣接して位置決めされ得る。代替的に、更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12の一部、すなわち流体ハンドリング構造12と一体であり得る(しかしながら、図2dのように、何れの構成を選択することもできる)。
【0065】
[0070] 更なるデバイス3000は、流体ハンドリング構造12によって提供された液体から離れた空間3110に液体を提供するように構成され得る。
【0066】
[0071] 追加的又は代替的に、流体ハンドリング構造12は、図2cの右側に示すようなコンポーネントを有し得る。より具体的には、流体ハンドリング構造12は、流体ハンドリング構造12の表面に形成された、少なくとも1つの液体供給部材、2つの抽出部材(例えば、回収開口32a及び32b)、並びに2つのガス供給部材(例えば、ガス供給開口27a及び27b)を含み得る。ガス供給開口27は除外することができ、すなわち任意選択である。少なくとも1つの液体供給部材は、上で説明した流体ハンドリング構造12の底面における下方供給開口23又は図2bの左側に関して説明した流体ハンドリング構造12の内面に形成された供給開口20又は液体供給開口34と同じものであり得る。液体供給部材、抽出部材、及びガス供給部材は、流体ハンドリング構造12の表面に形成され得る。具体的には、これらのコンポーネントは、基板Wに面する流体ハンドリング構造12の表面、すなわち、流体ハンドリング構造12の底面に形成され得る。
【0067】
[0072] 2つの抽出部材の少なくとも一方は、内部に多孔質材料37を含み得る。多孔質材料37は、開口、例えば流体ハンドリング構造12が流体ハンドリング構造12の下方から流体を抽出する回収開口32a内に設けられることがあり、液浸液を単相流で回収し得る。2つの抽出部材の他方、例えば回収開口32bは、二相抽出器として液浸流体を回収し得る。多孔質材料37は、流体ハンドリング構造12の底面と面一である必要はない。
【0068】
[0073] 具体的には、流体ハンドリング構造12は、液体供給部材(例えば下方供給開口23)と、液体供給部材の半径方向外側の第1の抽出部材(例えば回収開口32a)と、第1の抽出部材の半径方向外側の第1のガス供給部材(例えばガス供給開口27a)と、第1のガス供給部材の半径方向外側の第2の抽出部材(例えば回収開口32b)と、第2の抽出部材の半径方向外側の第2のガス供給部材(例えばガス供給開口27b)とを含み得る。図2aと同様に、例えば大気又はガス源又は真空に開放した更なる開口が、(流体ハンドリング構造12に関連して)既に説明したように、流体ハンドリング構造12の底面に存在し得る。
【0069】
[0074] 例えば、少なくとも1つの更なる開口(図示せず)が流体ハンドリング構造12の底面に設けられ得る。更なる開口は任意選択である。更なる開口は、上記の構成で説明したように第1の抽出部材(例えば回収開口32a)と第1のガス供給部材(例えばガス供給開口27a)との間に配置され得る。代替的又は追加的に、更なる開口は、上記の構成で説明したように第2の抽出部材(例えば回収開口32b)と第2のガス供給部材(例えばガス供給開口27b)との間に配置され得る。更なる開口は、上で説明した更なる開口50と同じであり得る。
【0070】
[0075] 任意選択的に、流体ハンドリング構造12は、凹所29を含む。凹所29は、回収開口32aと回収開口32bとの間又はガス供給開口27aと回収開口32bとの間に設けられ得る。凹所29の形状は、流体ハンドリング構造12の周囲で均一である場合があり、任意選択的に傾斜面を含み得る。回収開口32aと回収開口32bとの間に設けられた凹所29の場合、ガス供給開口27bは、図2cに示すように傾斜面に設けられ得る。供給開口27aと回収開口32bとの間に設けられた凹所29の場合、ガス供給開口27bは、傾斜面に、又は基板Wの表面に平行である流体ハンドリング構造12の底面の部分に設けられ得る。代替的に、凹所29の形状は、流体ハンドリング構造12の円周に沿って変化し得る。凹所29の形状を変化させて、ガス供給部材から供給されたガスが流体ハンドリング構造12の下方の流体に及ぼす影響を変化させ得る。代替的に、凹所29は、流体ハンドリング構造12と基板Wとの間の間隔を狭める負の凹所、すなわち突出構造であり得る。
【0071】
[0076] 図2dは、その左半分及び右半分に、流体ハンドリング構造12の2つの異なるバージョンを示す。図2dの左半分の流体ハンドリング構造12は、バッファ量の液浸液を保持する、液体注入バッファ41aと、液体注入バッファから空間11に液浸液を供給する液体注入孔41とを有する。液体注入孔41の外側には、多孔質部材を備えた内側回収バッファ43aに液体を導くための内側液体回収アパーチャ43がある。図2cに関して説明したものと同様の凹所29が、内側液体回収アパーチャ43の外側に設けられる。流体ハンドリング構造12の下面における、凹所29の外側には、外側回収孔44aが開口するガス案内溝44がある。外側回収孔44aは、同じく多孔質部材を備えた外側回収バッファ44bに二相回収流を導く。最も外側には、ガス流を提供して液浸液を収容するために、ガス封入バッファ容積45aと流体ハンドリング構造12の下の空間との間を連通させる、ガス封止入孔45がある。上で説明した実施態様では、メニスカス33は、回収開口32aに釘付けされ得るか、又は移動可能であり得る。
【0072】
[0077] 図2dの右半分の流体ハンドリング構造12は、その内側傾斜面に液体供給開口20を有する。流体ハンドリング構造12の下側には(内側から外側に)、多孔質部材37を備えた抽出開口25、第1のガスナイフ開口26a、第2のガスナイフ開口26b、及び第3のガスナイフ開口26cがある。これらの開口の各々は、バッファ容積を提供する流体ハンドリング構造12の下側の溝に開口している。流体ハンドリング構造12の最外側部は、流体ハンドリング構造12と基板Wとの間により大きな間隔を設けるように段状に形成され得る。
【0073】
[0078] 図2a~図2dは、流体ハンドリングシステムの一部として使用できる異なる構成の例を示す。上記で提示した例は具体的な抽出部材及び回収部材について言及しているが、全く同じタイプの抽出部材及び/又は回収部材を使用する必要がないことは理解されるであろう。いくつかの場合には、部材の位置を示すために異なる用語が使用されるが、同じ機能特徴部が設けられることがある。上記で言及した抽出部材の例としては、回収開口21、オーバフロー回収部24、回収開口25(場合により多孔質プレート及び/又はチャンバ35を含む)、ガス回収開口28、釘付け開口32、回収開口32a、回収開口32b、及び/又は中間回収部42が挙げられる。上記で言及した供給部材の例としては、供給開口20、下方供給開口23、ガスナイフ開口26、ガス供給開口27a、ガス供給開口27b、及び/又は供給開口34が挙げられる。一般に、流体、液体又はガスを抽出/回収するのに使用される抽出部材は、流体、液体又はガスをそれぞれ抽出/回収する他の使用例の少なくとも何れかと交換可能である。同様に、流体、液体又はガスを供給するのに使用される供給部材は、流体、液体又はガスをそれぞれ供給する他の使用例の少なくとも何れかと交換可能である。抽出部材は、流体、液体又はガスを抽出部材に引き込む負圧に接続されることによってある空間から流体、液体又はガスを抽出/回収し得る。供給部材は、関連する供給部に接続されることによって空間に流体、液体又はガスを供給し得る。
【0074】
[0079] 先に説明したように、液浸液は、抽出部材によって、本明細書では液体閉じ込め空間11とも称される、液浸空間11から抽出され得る。図2a、図2c及び図2dに示すように、抽出部材は、回収開口21であり得る。抽出部材は、平面視で見ると、供給開口20の反対側に位置し得る。抽出部材は、液体とガスの両方を抽出し得る。供給開口20は液体を供給し得る。抽出部材と供給開口20の両方は、最終素子100の円錐台形状の円錐面に対向する内面、すなわち壁に設けられ得る。それゆえ、最終素子100の周囲の液体閉じ込め空間11を通る水の連続流が生じ得る。
【0075】
[0080] リソグラフィ装置のより高速な動作を可能にするために、リソグラフィ装置内での移動速度を高めることが一般に必要である。それによって、リソグラフィ装置のスループットが高められ得る。リソグラフィ装置の動作中、流体ハンドリングシステムは、実質的に水平方向、すなわちx方向及び/又はy方向に移動するように構成されていない場合がある。流体ハンドリングシステムと基板W及び/又は基板サポートWTとの主要な相対移動は、基板サポートWTにより基板Wを水平方向に移動させることよって生じ得る。流体ハンドリングシステムは、垂直方向、すなわちz方向に移動し、また、x軸及びy軸を中心に回転可能であり得る、すなわち、Rx及びRy内で移動し得る。代替実施態様では、流体ハンドリングシステムは、水平方向に移動するように構成され得る。
【0076】
[0081] リソグラフィ装置内での移動速度を高めたときに経験し得る問題は、液体のスロッシングの量が増加することである。図3を参照してスロッシングを以下に説明する。
【0077】
[0082] 図3は、最終素子100の周囲に液体閉じ込め空間11の内面を含む流体ハンドリングシステムの一部を通る概略断面図を示す。また内面に存在し得る抽出部材又は供給開口20は、図3に示されていない。基板W及び/又は基板サポートWTの移動及び加速によって、流体ハンドリングシステムの液体に抗力が与えられ得る。これによって、液体が引きずられるときに液面302、303に変化が生じ得る。例えば、図3に示すように、液面302、303は、高い液面303と低い液面302との間で変化し得る。液面302、303の変化は、本明細書ではスロッシングと称される。スロッシングの量は、高い液面303と低い液面302との差であり得る。スロッシングの量が図3に示す量よりも大きくなり得、液体のオーバフローが発生し得る。
【0078】
[0083] スロッシングは、流体ハンドリングシステムの性能に悪影響を及ぼす数多くの問題を引き起こす場合がある。高い液面303と低い液面302との間の表面は、時には液体で覆われ、またある時には、ガスに暴露される湿潤表面である。これらの2つの異なる条件における同じ表面は、実質的に異なる熱特性を有し得る。特に、ガスに暴露される湿潤表面は、蒸発によって生じる制御できないコールドスポットであり得る。流体ハンドリングシステムにおける表面の熱特性の変化によって、熱によるオーバレイエラーが増加し、制御上の問題も生じ得る。また、スロッシングによって、最終素子100に制御できない力が加わり得る。これらによって、例えば、制御できない変位、性能の低下、及び結像の劣化がもたらされ得る。
【0079】
[0084] 本発明の実施形態は、発生するスロッシングの量を低減し得る。これにより、基板W及び/又は基板サポートWTの移動速度、加速及び減速は全て、非常に大きなスロッシングによる問題を生じさせることなく高められ得る。本発明の実施形態は、全てのタイプの局所液浸リソグラフィ装置で使用され得る。
【0080】
[0085] 本発明者らは、発生するスロッシングの量が内面の円周であり得る周囲の他の場所での量と比較して、抽出部材においてより少ない場合があることに気付いた。それゆえ、スロッシングに対する量は、抽出部材が内面の周囲に延在する範囲を広げることによって減少され得る。
【0081】
[0086] 実施形態は、抽出部材が内面の周囲に延在する範囲を広げるための技術を含む。
【0082】
[0087] 本発明者らはまた、抽出部材を通して液体のみが抽出される場合に熱性能が改善され得ることにも気付いた。換言すれば、抽出部材を通しての抽出は、単相抽出として機能する。このような単相抽出は、湿潤表面がガスに暴露されることに起因して発生するコールドスポットを低減及び/又は防止し得る。特に、抽出部材からの液体を受け入れる流体抽出チャネルにはコールドスポットが生じない可能性がある。
【0083】
[0088] 実施形態はまた、実質的に液体のみが抽出部材を通して抽出されることを確実にするための技術を含む。
【0084】
[0089] 図4A及び図4Bは、実施形態の第1及び第2の実施態様による流体ハンドリングシステムの一部の平面図を概略的に示す。
【0085】
[0090] 図4Aは、実施形態の第1の実施態様を概略的に示す。図4Aは、液体閉じ込め空間11、液体供給導管404、液体供給開口402、抽出部材401、第1の液体バイパスチャネル403a、及び第2の液体バイパスチャネル403bを示す。図4Aには示していないが、抽出部材401の出口側で液体を受け入れるための液体抽出導管も存在し得る。
【0086】
[0091] 液体供給開口402は、先に説明した供給開口20と実質的に同じであり得る。液体供給開口402は、液体供給導管404からの液浸液を受け入れ得る。
【0087】
[0092] 抽出部材401は、入口側と出口側とを含む。液体は、入口側から出口側に抽出部材401を通って流れる。図4Aに示すように、第1の液体バイパスチャネル403a及び第2の液体バイパスチャネル403bは各々、液体供給導管404から抽出部材401の出口側への流路を提供する。それゆえ、抽出部材の出口側は、第1の液体流及び第2の液体流を受け入れ得る。抽出部材401を通る第1の液体流は、液体閉じ込め空間11内の液体を含む。第1の液体バイパスチャネル403a及び第2の液体バイパスチャネル403bを通る第2の液体流は、液体閉じ込め空間11と異なる供給源を有する液体を含む。
【0088】
[0093] 抽出部材401は、例えば篩又は多孔質部材を含み得る。特に、抽出部材401は、多数の開口を含む金属板であり得る。開口の数は、例えば、1,000~50,000であり得る。各開口の直径は、200μm未満、好ましくは50μm未満であり得る。
【0089】
[0094] 抽出部材401は、開口内に及び/又は開口の周囲に疎水性材料を含み得る。このことは、抽出部材401を通して単相流を提供するのに役立ち得る。
【0090】
[0095] 図4Aに示すように、抽出部材401は、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の大部分に延在し得る。よって、抽出部材401及び液体供給開口402が同じ平面内に(すなわち、基板Wに対して及び/又は基板サポートWTに対してほぼ同じ高さに)位置する場合、抽出部材401及び液体供給開口402が位置する平面内では、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の大部分は、抽出部材401及び液体供給開口402によって占められ得る。実施形態はまた、抽出部材401と液体供給開口402とが異なる平面内に位置する実施態様も含む。例えば、液体供給開口402は、抽出部材401よりも基板Wから更に離れて位置し得る。このような実施態様において、平面視では、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の大部分は、抽出部材401及び液体供給開口402によって占められ得る。
【0091】
[0096] 図4Aに示すように、抽出部材401及び液体供給開口402が同じ平面内に(すなわち、基板Wに対してほぼ同じ高さに)位置する場合、抽出部材401及び液体供給開口402の隣り合う端部間に壁セクションが存在し得る。実施形態は、図4Aに示す部分と比較して液体閉じ込め空間11の内面の周囲のより少ない部分を占める壁セクションを含む。それによって、抽出部材401は、図4Aに示す範囲と比較して液体閉じ込め空間11の内面の周囲のより広い範囲に延在し得る。
【0092】
[0097] 図4Aに示す実施形態の第1の実施態様による、抽出部材401は、液体閉じ込め空間11の内面の、供給開口20と同量又はほぼ同量の周囲を占める既知の実施態様の抽出部材と異なる。有利には、抽出部材401が液体閉じ込め空間11の内面の周囲のかなりの範囲に延在する場合、スロッシングの量が低減され得る。
【0093】
[0098] 図5は、実施形態による抽出部材401の実施態様を通る断面を概略的に示す。図5の断面は、図4A及び図4Bに示す平面視断面に直交する平面内にある。
【0094】
[0099] 図5は、抽出部材401及び液体抽出導管405を示す。液体閉じ込め空間11から抽出部材401の入口側への液体の流路501が存在する。抽出部材401の出口側から液体抽出導管405を通る液体の流路502も存在する。
【0095】
[0100] 図5に示すように、液体閉じ込め空間11内の液面は、抽出部材401の入口側にあり得る。換言すれば、抽出部材401の入口側の一部は液体に接触し、抽出部材401の入口側の一部はガスに接触する。
【0096】
[0101] 抽出部材401は、流体ハンドリングシステムと基板Wとの相対移動が生じない場合、液体閉じ込め空間11内の液面が抽出部材401の入口側の全てよりも完全に下になるように位置し得る。しかしながら、基板Wと流体ハンドリングシステムとの相対移動が生じる場合(例えば、基板Wを移動させる場合)、抽出部材401の少なくとも一部については、液面が抽出部材401の入口側に位置するように、移動によって液面の一部が上昇し得る。換言すれば、図5に示すように、液面は、抽出部材401の入口側の垂直方向範囲の完全に上にも完全に下にもないため、抽出部材401の入口側にある。
【0097】
[0102] 抽出部材401は代替的に、流体ハンドリングシステムと基板W及び/又は基板サポートWTとの相対移動が生じない場合、液体閉じ込め空間11内の液面が抽出部材401の入口側の全てよりも完全に上になるように位置し得る。しかしながら、基板W及び/又は基板サポートWTと流体ハンドリングシステムとの相対移動が生じる場合(例えば、基板W及び/又は基板サポートWTを移動させる場合)、抽出部材401の少なくとも一部については、液面が抽出部材401の入口側に位置するように、移動によって液面の一部が低下し得る。換言すれば、図5に示すように、液面は、抽出部材401の入口側の垂直方向範囲の完全に上にも完全に下にもないため、抽出部材401の入口側にある。
【0098】
[0103] 抽出部材401は代替的に、流体ハンドリングシステムと基板W及び/又は基板サポートWTとの相対移動が生じない場合、液体閉じ込め空間11内の液面が抽出部材401の入口側に位置するように位置し得る。換言すれば、図5に示すように、液面は、抽出部材401の入口側の垂直方向範囲の完全に上にも完全に下にもないため、抽出部材401の入口側にある。
【0099】
[0104] 先に説明したように、抽出部材401を通る流体流の実質的に全てが液体であることが好ましい。よって、抽出部材401の入口側の一部又は全てがガスに接触するときに、抽出部材401を通る流体流は、単に液体(すなわち、単相)のままである必要がある。
【0100】
[0105] 実施形態は、抽出部材401の出口側の実質的に全てを液体で湿潤/浸漬状態に保つことによって、抽出部材401を通る実質的に液体流のみを維持し得る。抽出部材401の出口側は、上で説明した第1の液体バイパスチャネル403a及び第2の液体バイパスチャネル403bからの液体流によって液体で湿潤状態に保たれ得る。第1の液体バイパスチャネル403a及び第2の液体バイパスチャネル403bの各々は、液体供給導管404から抽出部材401の出口側への液体流路を提供する。第1の液体バイパスチャネル403a及び第2の液体バイパスチャネル403bは、抽出部材401の後方のチャネルの基部に液体を供給し得る。液体は、チャネルを満たし、それにより抽出部材401の出口側全体を湿潤させ得る。
【0101】
[0106] 先に説明したように、抽出部材401は、例えば篩及び/又は多孔質部材を含み得る。特に、抽出部材401は、多数の開口を含む金属板を含み得る。開口の出口側が液体で湿潤しているときには、毛管力によって、抽出部材401の入口側から出口側へのガス流が実質的に妨げられ得る。
【0102】
[0107] 有利には、抽出部材401の出口側への液体のバイパス流は、抽出部材401の入口側の一部又は全てがガスに暴露されたときに、液体の単相流、すなわち液体のみの流れが維持されることを確実にする。
【0103】
[0108] 図4Bは、実施形態の第2の実施態様を示す。図4Bは、液体閉じ込め空間11、液体供給導管404、液体供給開口402、抽出部材401、液体抽出導管405、第1の液体バイパスチャネル403a、及び第2の液体バイパスチャネル403bを示す。
【0104】
[0109] 第1の液体バイパスチャネル403a及び第2の液体バイパスチャネル403bは、抽出部材401の出口側の全てを湿潤させるように構成され得る。これは、図4A及び図5を参照して先に説明した方法と同じ又は類似の方法で行われ得る。
【0105】
[0110] 図4Bに示すような、実施形態の第2の実施態様は、液体閉じ込め空間11の内面の、供給開口20と同量又はほぼ同量の周囲を占める抽出部材401だけ、図4Aに示すような、第1の実施態様と僅かに異なり得る。
【0106】
[0111] 図4Bの実施態様は、実質的に液体のみが抽出部材401を通って流れることに起因して熱安定性の向上をもたらし得る。特に、実質的に液体のみの流れは、流体導管内及び/又はレンズ表面上でのコールドスポットの発生を低減又は防止し得る。
【0107】
[0112] 実施形態はまた、上で説明した技術に対する数多くの修正及び変形も含む。
【0108】
[0113] 実施形態は、抽出部材401の出口側に液体を供給するための単一のバイパスチャネルのみが存在することを含む。例えば、第1のバイパスチャネル403a及び第2のバイパスチャネル403bの一方のみが設けられ得る。
【0109】
[0114] 実施形態は、抽出部材401の出口側に液体を供給するための3つ以上のバイパスチャネルが存在することを含む。
【0110】
[0115] 実施形態は、各液体バイパスチャネルを通る液体の流れを制御するための弁構成の使用を含む。弁構成は、流体ハンドリングシステム内の各導管を通る流体流を制御するために設けられ得る。
【0111】
[0116] 実施形態は、液体供給導管404からの別個の液体供給部である、出口側が湿潤したままであることを確実にするための抽出部材401の出口側への液体供給部を含む。換言すれば、湿潤したままであることを確実にするための抽出部材401の出口側への液体供給部は、液体閉じ込め空間11への液体供給部とは別個の液体源からのものであり得る。これによって、液体供給導管404から分岐する1つ又は複数の液体バイパス流に対する要件が排除される。
【0112】
[0117] 実施形態は、抽出部材401の入口側の一部又は全てがガスに暴露されたときに、抽出部材401を通る液体の流れが実質的に単に液体のままであることを確実にするための他の技術の使用を含む。例えば、ガスが多孔質部材又は篩を通って流れることを可能にしない多孔質部材又は篩の設計が使用され得る。この実施形態では、抽出部材401の出口側へのバイパス流又は別の流体供給が生じなくてもよい。
【0113】
[0118] 実施形態は、図4A及び図4Bに示す形状以外の形状の液体閉じ込め空間11を含む。例えば、平面視において、液体閉じ込め空間11の周囲は、円形状、正方形状、矩形状、若しくは星形状の何れか、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0114】
[0119] 図4Aに示す実施形態では、抽出部材401は、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の大部分に延在する。実施形態は代替的に、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の大部分に延在する液体供給開口402を含む。よって、抽出部材401及び液体供給開口402が同じ平面内に(すなわち、基板Wに対してほぼ同じ高さに)位置する場合、抽出部材401及び液体供給開口402が位置する平面内では、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の大部分は、液体供給開口402によって占められ得る。
【0115】
[0120] 抽出部材401及び液体供給開口402が異なる平面内に位置する、すなわち、抽出部材401が液体供給開口402よりも高い所にあるか又はその逆も然りである場合、液体閉じ込め空間11の内面の周囲の全体又は大部分は、抽出部材401及び/又は液体供給開口402によって占められ得る。
【0116】
[0121] 上で説明した実施形態では、単一の抽出部材401のみが説明されている。しかしながら、実施形態は、複数の抽出部材401が存在することを含む。複数の抽出部材401は、液体閉じ込め空間11の周囲に配置され得る。
【0117】
[0122] 実施形態はまた、液体閉じ込め空間11内又は導管の何れか内の状態を測定するための数多くのセンサを含む流体ハンドリングシステムを含み得る。例えば、流体ハンドリングシステムは、温度センサ、圧力センサ、液体センサ、又は他のタイプのセンサの何れかを含み得る。流体ハンドリングシステムは、センサによる測定に応じて制御され得る。例えば、液体流を制御するための弁構成を測定圧力に応じて動作させ得る。基板Wを流体ハンドリングシステムに対して移動させる速度もまた、センサ測定値に応じて制御され得る。
【0118】
[0123] 実施形態は、図2a、図2c及び図2dに示すものなどの、数多くの既知のタイプの流体ハンドリングシステムの何れにも組み込まれ得る。特に、図2a、図2c及び図2dの回収開口21は、実施形態によれば、抽出部材401に置き換えられ得る。実施形態は、中国特許第104965392B号、中国特許第1045977200B号、中国特許第103969964B号、及び中国特許第105045046B号の何れかに開示された流体ハンドリングシステムの何れにも組み込まれ得、その全ては参照により本明細書に組み込まれる。中国特許第1045977200B号は、液体注入チャネルと液体回収チャネルとの間に一方向の流れが生じるように、液体注入チャネルが液体回収チャネルに直径方向に対向して位置する流体ハンドリングシステムを開示している。流体ハンドリングシステムの基板対向及び液体接触表面は、疎水性表面を有し得るブロックを含む。ブロックの直径方向両端に液体回収孔が設けられる。中国特許第1045977200B号に開示された流体ハンドリングシステム、及び上で説明し言及した他の流体ハンドリングシステムは、実施形態の技術に従って単相液体抽出が適用されるようになされ得る。上で説明し言及した流体ハンドリングシステムの全ては、抽出部材の出口側が湿潤状態に維持されることを確実にするための液体供給部が存在するようにもなされ得る。
【0119】
[0124] 実施形態は、上で具体的に説明した特徴からの更なる特徴の存在及び使用を含む。特に、実施形態の流体ハンドリングシステム301は、流体流を制御するための1つ又は複数のポンプを含み得る。流体流を制御するための1つ又は複数のポンプは、追加的又は代替的に、流体ハンドリングシステムの外部にあり得る。
【0120】
[0125] 本発明はリソグラフィ装置を提供し得る。リソグラフィ装置は、上で説明したようなリソグラフィ装置の他の特徴又はコンポーネントの何れか又は全てを有し得る。例えば、リソグラフィ装置は、任意選択的に、放射源SO、照明システムIL、投影システムPS、基板サポートWTなどの少なくとも1つ又は複数を含み得る。
【0121】
[0126] 具体的には、リソグラフィ装置は、放射ビームBを基板Wの表面の領域に向けて投影するように構成された投影システムPSを含み得る。リソグラフィ装置は、上記の実施形態及び変形形態の何れかで説明したような流体ハンドリングシステムを更に含み得る。
【0122】
[0127] リソグラフィ装置は、基板Wを流体ハンドリングシステムに対して移動させるように構成されたアクチュエータを含み得る。したがって、アクチュエータは、基板Wの位置(又は代替的に、流体ハンドリングシステムの位置)を制御するために使用され得る。アクチュエータは、基板Wを保持するように構築された基板サポート(例えば、基板テーブル)WT及び/又は基板ホルダ及び/又は基板サポートWTを正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWとすることができ、又はこれらを含むことができる。
【0123】
[0128] 本文では、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされ得るが、本明細書で説明するリソグラフィ装置は他の用途を有し得ることが理解されるべきである。考えられる他の用途には、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造が含まれる。
【0124】
[0129] 状況が許すのであれば、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施され得る。本発明の実施形態はまた、1つ又は複数のプロセッサによって読み出され実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令によっても実施され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形式で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含み得る。例えば、機械可読媒体には、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、又は他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、及びその他などが含まれ得る。更に、本明細書では、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が、特定の動作を行うものとして説明される場合がある。しかしながら、このような説明は、単に便宜のためのものであること、並びに、このような動作が、実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスによって生じ、及びそれを行う際に、アクチュエータ又は他のデバイスに物理世界と相互作用させ得ることが認識されるべきである。
【0125】
[0130] 本文では、リソグラフィ装置との関連で本発明の実施形態について具体的な言及がなされ得るが、本発明の実施形態は、他の装置で使用されることもある。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(若しくは他の基板)若しくはマスク(若しくは他のパターニングデバイス)などの物体を測定若しくは処理する任意の装置の一部を形成し得る。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと称されることがある。このようなリソグラフィツールは、周囲(非真空)条件を使用し得る。
【0126】
[0131] 上記では、光リソグラフィとの関連で本発明の実施形態の使用について具体的な言及がなされてきたが、状況が許すのであれば、本発明が光リソグラフィに限定されるものではないことが認識されるであろう。
【0127】
[0132] 実施形態は、以下の番号付き条項を含む。
条項1:リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、
流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって放射ビームを基板の表面に照射できるリソグラフィ装置内の投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込めるように構成され、流体ハンドリングシステムは、
入口側から出口側への流体流によって液体閉じ込め空間から液浸液を抽出するように配置された、入口側と出口側とを有する、液体抽出部材と、
液体閉じ込め空間と異なる供給源から出口側が液体を受け入れるように配置された液体抽出部材の出口側への更なる液体供給部と
を含む、流体ハンドリングシステム。
条項2:更なる液体供給部は、更なる液体供給部から受け入れられた液体によって出口側が湿潤されるように配置される、条項1に記載の流体ハンドリングシステム。
条項3:液体抽出部材は、篩及び/又は多孔質部材を含む、条項1又は2に記載の流体ハンドリングシステム。
条項4:入口側は、液体閉じ込め空間の壁に配置される、条項1~3の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項5:液体抽出部材は、使用時に実質的に液体のみが液体抽出部材を通って流れるように単相抽出部材を含む、条項1~4の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項6:更なる液体供給部は第1の液体供給部であり、流体ハンドリングシステムは、液体閉じ込め空間に液浸液を供給するように配置された第2の液体供給部を更に含む、条項1~5の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項7:第2の液体供給部は、液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置される、条項6に記載の流体ハンドリングシステム。
条項8:液体抽出部材は、液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置される、条項6又は7に記載の流体ハンドリングシステム。
条項9:液体抽出部材及び第2の液体供給部は、液体閉じ込め空間の周囲の実質的に全てを覆うように配置される、条項8に記載の流体ハンドリングシステム。
条項10:液体抽出部材は、第2の液体供給部と比較して液体閉じ込め空間の周囲のより広い範囲に延在する、条項6~9の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項11:第2の液体供給部は、液体抽出部材と比較して液体閉じ込め空間の周囲のより広い範囲に延在する、条項6~9の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項12:第1の液体供給部と第2の液体供給部の両方に液体を供給するように配置された第3の液体供給部を更に含む、条項6~11の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項13:第3の液体供給部から第1の液体供給部への液体の流路は、第3の液体供給部から第2の液体供給部への液体の流路から流出するバイパス流路である、条項12に記載の流体ハンドリングシステム。
条項14:第3の液体供給部から第1の液体供給部への液体の流路は、第3の液体供給部から第2の液体供給部への液体の流路から分岐する、条項12又は13に記載の流体ハンドリングシステム。
条項15:第1の液体供給部、第2の液体供給部及び/又は第3の液体供給部を通る流体の流れを制御するように構成された弁構成を更に含む、条項12~14の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項16:平面視において、液体閉じ込め空間の周囲は、円形状、正方形状、矩形状、若しくは星形状の何れか、又はそれらの任意の組み合わせである、条項1~15の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項17:液体抽出部材の入口側は、流体ハンドリングシステムが静止しているときに入口側が液浸液によって完全に浸漬されるように配置される、条項1~16の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項18:液体抽出部材の入口側は、流体ハンドリングシステムの使用時に液体抽出部材がガスに部分的に暴露されるように配置される、条項1~17の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
条項19:リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、
流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって放射ビームを基板の表面に照射できるリソグラフィ装置内の投影システムの一部と基板の表面との間の液体閉じ込め空間に液浸液を閉じ込めるように構成され、流体ハンドリングシステムは、
液体閉じ込め空間への液体供給部である液体供給部と、
液体閉じ込め空間から実質的に液体のみを抽出するように配置された液体抽出部材と
を含み、
液体供給部は、液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置され、
液体抽出部材は、液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置され、
液体抽出部材及び液体供給部は、液体閉じ込め空間の周囲の実質的に全てを覆う、
流体ハンドリングシステム。
条項20:条項1~19の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステムを含むリソグラフィ装置。
条項21:基板を支持するように構成された基板ホルダを基板の表面に実質的に平行な平面内で投影システムに対して移動させるように構成された位置決めシステムを更に含む、条項20に記載のリソグラフィ装置。
【0128】
[0133] 本発明の具体的な実施形態を上で説明してきたが、説明したものと異なる方式で本発明が実施され得ることが認識されるであろう。上記の説明は、例示的であり、限定的ではないことが意図される。したがって、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したように本発明に修正が加えられ得ることが当業者には明らかであろう。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4A
図4B
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置用の流体ハンドリングシステムであって、
前記流体ハンドリングシステムは、投影システムから投影された放射ビームが液浸液を通過することによって前記放射ビームを基板の表面に照射できる前記リソグラフィ装置内の前記投影システムの一部と前記基板の前記表面との間の液体閉じ込め空間に前記液浸液を閉じ込めるように構成され、前記流体ハンドリングシステムは、
入口側から出口側への流体流によって前記液体閉じ込め空間から前記液浸液を抽出するように配置された、前記入口側と前記出口側とを有する、液体抽出部材と、
前記液体閉じ込め空間と異なる供給源から前記出口側が液体を受け入れるように配置された前記液体抽出部材の前記出口側への更なる液体供給部と
を含む、流体ハンドリングシステム。
【請求項2】
前記更なる液体供給部は、前記更なる液体供給部から受け入れられた前記液体によって前記出口側が湿潤されるように配置される、請求項1に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項3】
前記液体抽出部材は、篩及び/又は多孔質部材を含む、請求項1又は2に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項4】
前記入口側は、前記液体閉じ込め空間の壁に配置され、及び/又は前記液体抽出部材は、使用時に実質的に液体のみが前記液体抽出部材を通って流れるように単相抽出部材を含み、及び/又は前記更なる液体供給部は第1の液体供給部であり、前記流体ハンドリングシステムは、前記液体閉じ込め空間に前記液浸液を供給するように配置された第2の液体供給部を更に含む、請求項1~3の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項5】
前記第2の液体供給部は、前記液体閉じ込め空間の周囲の少なくとも一部に延在するように配置される、請求項4に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項6】
前記液体抽出部材は、前記液体閉じ込め空間の前記周囲の少なくとも一部に延在するように配置される、請求項4又は5に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項7】
前記液体抽出部材及び前記第2の液体供給部は、前記液体閉じ込め空間の前記周囲の実質的に全てを覆うように配置される、請求項6に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項8】
前記液体抽出部材は、前記第2の液体供給部と比較して前記液体閉じ込め空間の前記周囲のより広い範囲に延在し、又は前記第2の液体供給部は、前記液体抽出部材と比較して前記液体閉じ込め空間の前記周囲のより広い範囲に延在し、及び/又は前記第1の液体供給部と前記第2の液体供給部の両方に液体を供給するように配置された第3の液体供給部を更に含む、請求項4~7の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項9】
前記第3の液体供給部から前記第1の液体供給部への液体の流路は、前記第3の液体供給部から前記第2の液体供給部への液体の流路から流出するバイパス流路である、請求項8に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項10】
前記第3の液体供給部から前記第1の液体供給部への液体の前記流路は、前記第3の液体供給部から前記第2の液体供給部への液体の前記流路から分岐する、請求項8又は9に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項11】
前記第1の液体供給部、前記第2の液体供給部及び/又は前記第3の液体供給部を通る流体の流れを制御するように構成された弁構成を更に含む、請求項8~10の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項12】
平面視において、前記液体閉じ込め空間の前記周囲は、円形状、正方形状、矩形状、若しくは星形状の何れか、又はそれらの任意の組み合わせであり、及び/又は前記液体抽出部材の前記入口側は、前記流体ハンドリングシステムが静止しているときに前記入口側が液浸液によって完全に浸漬されるように配置され、及び/又は前記液体抽出部材の前記入口側は、前記流体ハンドリングシステムの使用時に前記液体抽出部材がガスに少なくとも部分的に暴露されるように配置される、請求項1~11の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステム。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載の流体ハンドリングシステムを含むリソグラフィ装置。
【請求項14】
前記基板を支持するように構成された基板ホルダを前記基板の前記表面に実質的に平行な平面内で前記投影システムに対して移動させるように構成された位置決めシステムを更に含む、請求項13に記載のリソグラフィ装置。
【国際調査報告】