(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-28
(54)【発明の名称】プラズマシース特性を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560955
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022020437
(87)【国際公開番号】W WO2022216419
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マラクタノフ・アレクセイ・エム.
(72)【発明者】
【氏名】キャロン・ジェームズ・ユージン
(72)【発明者】
【氏名】ホランド・ジョン・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】コザケヴィッチ・フェリックス・レイブ
(72)【発明者】
【氏名】ボウミック・ラナディープ
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ビング
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084CC05
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC15
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD24
2G084DD38
2G084DD55
2G084DD56
2G084HH02
2G084HH06
2G084HH08
2G084HH15
2G084HH16
2G084HH19
2G084HH20
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH25
2G084HH28
2G084HH30
2G084HH35
2G084HH36
2G084HH42
2G084HH43
2G084HH44
(57)【要約】
【解決手段】プラズマシース特性を制御するためのシステムおよび方法が説明される。この方法の1つは、プラズマチャンバ内で形成されたプラズマシースのプラズマシース特性の第1値を決定する工程を含む。この方法はさらに、プラズマシース特性の第1値が、プラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかを決定する工程を含む。この方法はまた、第1値が設定値から既定範囲内にないことを決定すると、インピーダンス整合回路を介してプラズマチャンバに接続された無線周波数(RF)発生器の変数を修正する工程を含む。RF発生器の変数を修正する動作は、プラズマシース特性の第1値が設定値から既定範囲内にあることが決定されるまで実施される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマシース特性を制御するための方法であって、
プラズマチャンバ内で形成されたプラズマシースの前記プラズマシース特性の第1値を決定する工程と、
前記プラズマシース特性の前記第1値が、前記プラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかを決定する工程と、
前記第1値が前記設定値から前記既定範囲内にないことを決定すると、インピーダンス整合回路を介して前記プラズマチャンバに接続された無線周波数(RF)発生器の変数を修正する工程であって、前記RF発生器の前記変数を修正する前記工程は、前記プラズマシース特性の前記第1値が前記設定値から前記既定範囲内にあることが決定されるまで実施される、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記RF発生器は高周波RF発生器であり、前記インピーダンス整合回路は、前記高周波RF発生器および低周波RF発生器に接続され、前記低周波RF発生器は、前記高周波RF発生器の動作周波数よりも低い動作周波数を有し、前記方法は、さらに、
前記プラズマシースに関連する前記プラズマシース特性の第2値を決定する工程と、
前記プラズマシース特性の前記第2値が、前記プラズマシース特性の設定値から前記既定範囲内にあるかどうかを決定する工程と、
前記第2値が前記設定値から前記既定範囲内にないことを決定すると、前記RF発生器の前記変数を変更する工程であって、変更する前記工程は、前記プラズマシース特性の前記第2値が前記設定値から前記既定範囲内にあることが決定されるまで実施される、工程と、を含み、
前記第1値は、前記低周波RF発生器の動作サイクルの第1ビンの間に測定された第1測定値に基づき、前記第2値は、前記低周波RF発生器の前記動作サイクルの第2ビンの間に測定された第2測定値に基づいて決定される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1値および前記第2値は、光センサによって検知された光信号に基づいて決定され、前記プラズマチャンバは窓を有し、前記光信号は、前記窓を通じて前記光センサによって検知される、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1値および前記第2値は、RF伝送線路に接続されたセンサによって測定された電圧信号に基づいて決定され、前記RF伝送線路は、前記インピーダンス整合回路の出力を前記プラズマチャンバの入力に接続し、前記センサは、前記インピーダンス整合回路の前記出力よりも前記プラズマチャンバの前記入力の近くに接続される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマシース特性は、前記プラズマシースの幅に関連する、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記プラズマシース特性の前記第1値は、前記低周波RF発生器の動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定される、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記プラズマシース特性の前記第1値は、前記低周波RF発生器の動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定され、修正する前記工程は、前記低周波RF発生器の前記動作サイクルの前記ビンの間に実施される、方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、
前記プラズマシース特性の前記第1値は、前記低周波RF発生器の第1動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定され、修正する前記工程は、前記低周波RF発生器の第2動作サイクルの対応するビンの間に実施される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記第2サイクルは、前記第1サイクルに続く、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマシース特性は、前記プラズマシースの前記幅、または前記プラズマシースの静電容量である、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記変数は、電力、または電圧、または周波数である、方法。
【請求項12】
プラズマシース特性を制御するためのコンピュータシステムであって、
プロセッサであって、
プラズマチャンバ内で形成されたプラズマシースの前記プラズマシース特性の第1値を決定し、
前記プラズマシース特性の前記第1値が、前記プラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかを決定し、
前記第1値が前記設定値から前記既定範囲内にないことを決定すると、インピーダンス整合回路を介して前記プラズマチャンバに接続された無線周波数(RF)発生器の変数を修正し、前記RF発生器の前記変数は、前記プラズマシース特性の前記第1値が前記設定値から前記既定範囲内にあることが決定されるまで修正される、ように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサに接続された記憶装置であって、前記設定値を記憶するように構成された記憶装置と、
を備える、コンピュータシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータシステムであって、
前記RF発生器は高周波RF発生器であり、前記インピーダンス整合回路は、前記高周波RF発生器および低周波RF発生器に接続され、前記低周波RF発生器は、前記高周波RF発生器の動作周波数よりも低い動作周波数を有し、前記プロセッサは、
前記プラズマシース特性の第2値を決定し、
前記プラズマシース特性の前記第2値が、前記プラズマシース特性の前記設定値から前記既定範囲内にあるかどうかを決定し、
前記第2値が前記設定値から前記既定範囲内にないことを決定すると、前記RF発生器の前記変数を変更し、前記RF発生器の前記変数は、前記プラズマシース特性の前記第2値が前記設定値から前記既定範囲内にあることが決定されるまで変更される、ように構成され、
前記第1値は、前記低周波RF発生器の第1動作サイクルの第1ビンの間に測定された第1測定値に基づき、前記第2値は、前記低周波RF発生器の前記第1動作サイクルの第2ビンの間に測定された第2測定値に基づいて決定される、コンピュータシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のコンピュータシステムであって、
前記プラズマシース特性は、前記プラズマシースの幅に関連する、コンピュータシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータシステムであって、
前記第1値は、前記低周波RF発生器の動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定され、前記変数は、前記低周波RF発生器の前記動作サイクルの前記ビンの間に修正される、コンピュータシステム。
【請求項16】
請求項14に記載のコンピュータシステムであって、
前記第1値は、前記低周波RF発生器の第1動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定され、前記変数は、前記低周波RF発生器の第2動作サイクルの対応するビンの間に修正される、コンピュータシステム。
【請求項17】
プラズマシース特性を制御するためのプラズマシステムであって、
RF信号を生成するように構成された高周波(RF)発生器であって、出力を有するRF発生器と、
入力および出力を有するインピーダンス整合回路であって、前記インピーダンス整合回路の前記入力は、前記RF発生器の前記出力に接続される、インピーダンス整合回路と、
入力を有するプラズマチャンバであって、前記プラズマチャンバの前記入力は、前記インピーダンス整合回路の前記出力に接続される、プラズマチャンバと、
前記RF発生器に接続されたコントローラであって、
前記プラズマチャンバ内で形成されたプラズマシースの前記プラズマシース特性の第1値を決定し、
前記プラズマシース特性の前記第1値が、前記プラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかを決定し、
前記第1値が前記設定値から前記既定範囲内にないことを決定すると、前記RF発生器の変数を修正し、前記RF発生器の前記変数は、前記プラズマシース特性の前記第1値が前記設定値から前記既定範囲内にあることが決定されるまで修正される、ように構成されたコントローラと、
を備える、プラズマシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のプラズマシステムであって、
前記RF発生器は高周波RF発生器であり、前記プラズマシステムは、さらに、低周波RF発生器を備え、前記インピーダンス整合回路は、前記低周波RF発生器に接続され、前記低周波RF発生器は、前記高周波RF発生器の動作周波数よりも低い動作周波数を有し、前記コントローラは、
前記プラズマシース特性の第2値を決定し、
前記プラズマシース特性の前記第2値が、前記プラズマシース特性の前記設定値から前記既定範囲内にあるかどうかを決定し、
前記第2値が前記設定値から前記既定範囲内にないことを決定すると、前記RF発生器の前記変数を変更し、前記変数は、前記プラズマシース特性の前記第2値が前記設定値から前記既定範囲内にあることが決定されるまで変更される、ように構成され、
前記第1値は、前記低周波RF発生器の第1動作サイクルの第1ビンの間に測定された第1測定値に基づき、前記第2値は、前記低周波RF発生器の前記第1動作サイクルの第2ビンの間に測定された第2測定値に基づいて決定される、プラズマシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のプラズマシステムであって、
前記プラズマシース特性は、前記プラズマシースの幅に関連し、前記第1値は、前記低周波RF発生器の動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定され、前記変数は、前記低周波RF発生器の前記動作サイクルの前記ビンの間に修正される、プラズマシステム。
【請求項20】
請求項17に記載のプラズマシステムであって、
前記第1値は、前記低周波RF発生器の動作サイクルのビンの間に測定された測定値に基づいて決定され、前記変数は、前記低周波RF発生器の第2動作サイクルの対応するビンの間に修正され、前記低周波RF発生器の前記第2動作サイクルは、前記第1動作サイクルに連続している、プラズマシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、プラズマシース特性を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマツールは、無線周波数(RF)発生器、インピーダンス整合ネットワーク、およびプラズマチャンバを備える。RF発生器はインピーダンス整合ネットワークに接続され、インピーダンス整合ネットワークはさらにプラズマチャンバに接続される。
【0003】
半導体ウエハは、プラズマチャンバ内に設置される。RF信号は、半導体ウエハを処理するために、RF発生器からインピーダンス整合ネットワークを通じてプラズマチャンバに供給される。基板は、所望の処理結果を実現するために正確に処理されなければならない。
【0004】
本開示に記載の実施形態は、このような状況で生じた。
【0005】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、プラズマシース特性を制御するためのシステム、装置、方法、およびコンピュータプログラムを提供する。本実施形態は、いくつかの方法(例えば、プロセス、器具、システム、装置、またはコンピュータ可読媒体による方法)で実施できることを認識されたい。以下に、いくつかの実施形態が説明される。
【0007】
1つの方法は、デュアル周波数容量結合プラズマ(CCP)に結合された無線周波数(RF)エネルギを制御することを含む。この方法は、高RF電力効率、低RF発生器応力、RF整合ネットワーク部品要件の低減、および処理均一性の向上を含む利点を提供する。複数周波数で動作するCCPプラズマは、イオンエネルギを制御するために低周波(LF)を用い、プラズマ密度を制御するために高周波(HF)を用いる。LF高圧(HV)RFが電極に印加されるにつれて、LF RF電圧の各サイクル中にLF RF電圧の大きさおよび極性が変化するため、幅が増減するシースが形成される。LF RF電圧の各サイクルは、本明細書ではLF RFサイクルと呼ばれる。
【0008】
このシース幅の変化は、電極からプラズマへの静電容量の変化を生じさせ、結果的にHF RFシステムのプラズマインピーダンスに動的変化をもたらす。この動的に変化したプラズマインピーダンスは、整合ネットワークによって確定された固定調整位置によりプラズマへのHF RF結合不足をもたらす。固定調整位置は、プラズマインピーダンスがシース幅と共に動的に変化するにつれて、大量のRF結合および少量の反射電力を提供するように選択される。
【0009】
整合ネットワークは、各LF RFサイクル中にプラズマインピーダンスが動的に変化するにつれてインピーダンス平均値に調整される。固定調整位置は通常、少量の反射電力をもたらす最適調整点を設定する自動チューナを用いて確定される。固定調整位置は、インピーダンス平均値について最適化されるが、各LF RFサイクル中に動的に変化するインピーダンスに調整する能力がないため、大量の反射電力が存在しうる。これにより、低RF電力効率ならびにRF部品に高電圧および高電流がもたらされ、部品コストおよび空間要件が増加する可能性がある。
【0010】
本明細書に記載の方法は、プラズマインピーダンスがLF RFサイクルに同期して動的に変化するときのHF RF電力のプラズマへの結合を容易にする。この方法は、LF RFサイクル中のシース幅の変化に応じてHF RF発生器を動的に調整することを含む。シース幅の変化に合わせて動的に調整することは、HF RF発生器の調整位置をLF RF電圧に同期させることにより実現される。この方法は、プラズマへのHF RF結合を増加させる。処理均一性の向上のさらなる利点は、プラズマに結合されたHF RF電力の量をシース幅の関数として制御することによる方法を用いて得ることができる。
【0011】
LF RFサイクル中のHF RF発生器の調整は、HF RF発生器の周波数を変更することにより実現される。調整を向上させるためのHF RF周波数の変更は、LF RFサイクルに同期できる。HF RF周波数の変更は、連続的または非連続的な工程を生じさせうる。HF RF発生器の周波数は、HF RF周波数を最適化して、各LF RFサイクル中に連続的にまたは複数回、シース幅を制御するために用いられる。
【0012】
一実施形態では、プラズマシース特性を制御するための方法が説明される。この方法は、プラズマチャンバ内で形成されたプラズマシースのプラズマシース特性の第1値を決定することを含む。この方法はさらに、プラズマシース特性の第1値が、プラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかを決定することを含む。この方法はまた、第1値が設定値から既定範囲内にないことを決定すると、インピーダンス整合回路を介してプラズマチャンバに接続されたRF発生器の変数を修正することも含む。RF発生器の変数を修正する動作は、プラズマシース特性の第1値が設定値から既定範囲内にあることが決定されるまで実施される。
【0013】
実施形態では、プラズマシース特性を制御するためのコンピュータシステムが説明される。コンピュータシステムは、プロセッサおよび記憶装置を含む。プロセッサは、プラズマチャンバ内で形成されたプラズマシースのプラズマシース特性の第1値を決定する。プロセッサはさらに、プラズマシース特性の第1値がプラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかを決定する。プロセッサは、第1値が設定値から既定範囲内にないことを決定すると、インピーダンス整合回路を介してプラズマチャンバに接続されたRF発生器の変数を修正する。RF発生器の変数は、プラズマシース特性の第1値が設定値から既定範囲内にあることが決定されるまで修正される。記憶装置は、設定値を記憶する。
【0014】
一実施形態では、プラズマシース特性を制御するためのプラズマシステムが説明される。このプラズマシステムは、RF信号を生成するRF発生器を備える。RF発生器は出力を有する。プラズマシステムはさらに、入出力を有するインピーダンス整合回路を備える。インピーダンス整合回路の入力は、RF発生器の出力に接続される。プラズマシステムは、入力を有するプラズマチャンバを備える。プラズマチャンバの入力は、インピーダンス整合回路の出力に接続される。プラズマシステムは、RF発生器に接続されたコントローラを備える。コントローラは、プラズマチャンバ内に形成されたプラズマシースのプラズマシース特性の第1値を決定する。コントローラはまた、プラズマシース特性の第1値がプラズマシース特性の設定値から既定範囲内にあるかどうかも決定する。コントローラは、第1値が設定値から既定範囲内にないことを決定すると、RF発生器の変数を修正する。RF発生器の変数は、プラズマシース特性の第1値が設定値から既定範囲内にあることが決定されるまで修正される。
【0015】
本明細書に記載の、プラズマシース特性を制御するためのシステムおよび方法のいくつかの利点は、複数基板の処理において類似性を実現することを含む。プラズマシース特性を既定のプラズマシース特性の範囲内になるように制御することにより、基板は同じように処理できる。
【0016】
本明細書に記載のシステムおよび方法のさらなる利点は、プラズマシース特性に基づいて基板の処理を制御することを含む。基板の処理は、プラズマシース特性を測定することで、プラズマシース特性以外の要素が測定されて基板の処理を制御するときよりも正確に制御できる。例えば、底部プラズマシースはプラズマよりも基板に近い。そのため、底部プラズマシースの制御は、プラズマのインピーダンスを制御して基板を処理するよりも基板処理の間に正確な制御を提供する。
【0017】
本明細書に記載のシステムおよび方法のさらなる利点は、プラズマシース特性を制御することによりイオン束およびイオンエネルギを制御することを含む。イオンエネルギおよびイオン束は、エッチング速度を実現するために用いられる。エッチング速度は、プラズマシース特性を制御することにより制御される。例えば、既定のプラズマシース特性を実現するために、1つ以上のRF信号の電力、または周波数、またはその両方が制御される。電力、または周波数、またはその両方を制御することにより、イオンエネルギおよびイオン束が制御されて、エッチング速度がさらに制御される。
【0018】
他の態様は、添付の図面と併せて以下の発明を実施するための形態から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明を参照にすることで深く理解されるだろう。
【0020】
【
図1A】底部プラズマシースのシース幅の測定方法を示すシステムの実施形態図。
【0021】
【
図1B】底部プラズマシースの電圧の測定方法を示すシステムの実施形態図。
【0022】
【
図2】底部プラズマシースの幅に基づく低周波(LF)無線周波数(RF)信号の変数の制御を示す表の実施形態図。
【0023】
【
図3A】底部プラズマシースの幅に基づく高周波(HF)RF信号の変数の制御を示す表の実施形態図。
【0024】
【
図3B】LF RF信号のパラメータの各サイクル中のビンを示すグラフの実施形態。
【0025】
【0026】
【
図5】LF RF発生器およびHF RF発生器の詳細を示すシステムの実施形態図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施形態は、プラズマシース特性を制御するためのシステムおよび方法を説明する。本実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全てなしで実施されてもよいことが明らかだろう。他の例では、周知の動作は、本実施形態を必要以上に分かりにくくしないように詳細には説明されていない。
【0028】
図1Aは、シース幅の測定方法を示すシステム100の実施形態図である。システム100は、低周波(LF)無線周波数(RF)発生器102、高周波(HF)RF発生器104、整合器106、プラズマチャンバ110、およびホストコンピュータ111を備える。
【0029】
LF RF発生器102の例は、400キロヘルツ(kHz)または2メガヘルツ(MHz)の動作周波数を有する発生器である。例えば、400kHzのRF発生器は、330kHz~440kHzの周波数調整範囲を有する。別の例として、2MHzのRF発生器は、1MHz~3MHzの周波数調整範囲を有する。HF RF発生器104の例は、13.56MHz、27MHz、または60MHzの動作周波数を有する発生器である。例として、13.56MHzのHF RF発生器は、12MHz~14MHzの周波数調整範囲を有する。別の例として、60MHzのHF RF発生器は、54MHz~63MHzの周波数調整範囲を有する。HF RF発生器104の動作周波数は、LF RF発生器102の動作周波数よりも大きい。いくつかの実施形態では、動作周波数は、本明細書において動作の周波数と呼ばれることもある。
【0030】
整合器106は、コンデンサ、インダクタ、および抵抗器などの回路部品のネットワークを備える。例えば、整合器106は、複数の直列成分および複数のシャント成分を備える。各直列成分は、コンデンサ、またはインダクタ、または抵抗器、またはこれらの組み合わせを含む。同様に、各シャント成分は、コンデンサ、またはインダクタ、または抵抗器、またはこれらの組み合わせを含む。各シャント成分は、接地電位に接続される。
【0031】
プラズマチャンバ110は、静電チャック(ESC)112および上部電極114を備える。例として、ESC112は、ベースプレートと、ベースプレートの上部に位置する誘電体層とを備える。この例では、ベースプレートは下部電極として機能する。別の例として、ESC112は、その誘電体層(セラミック層など)に埋設された下部電極を備える。例として、上部電極114および下部電極の各々は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属で作られる。上部電極114はESC112に面し、ESC112の上方に位置して、上部電極114とESC112との間にギャップ116が形成される。上部電極114は接地電位に接続され、対向電極の一例である。下部電極は、本明細書では給電電極と呼ばれることもある。
【0032】
プラズマチャンバ110は、側壁122、上壁124、および底壁126を有する。側壁122は、上壁124および底壁126に接続され、壁124と壁126との間に位置する。側壁122の内部には、透明ガラスで作られた窓128がある。例として、窓128は、側壁122の下半分に埋設される。例えば、底部プラズマシース130がギャップ116に形成されたとき、窓128は底部プラズマシース130に面する。さらなる例として、窓128は、プラズマ150と基板SUの上面155との間のギャップに面するように側壁122に固定される。
【0033】
光センサ136は、底部プラズマシース130を見通せるように窓128に隣接して設置される。例えば、光センサ136は窓128に取り付けられる。別の例として、光センサ136は側壁122に取り付けられ、窓128の下方にある棚に設置される。光センサ126が棚に設置されたときは、光センサ136は窓128を通じて底部プラズマシース130を見通す。例えば、光センサ136は、底部プラズマシース130およびプラズマ150の底部150Aを見通す。別の例として、光センサ136は、プラズマ150の底部150Aを見通すことなく底部プラズマシース130を見通す。プラズマ150は、底部150Aと上部150Bとに均等に分かれるように図示されている。上部150Bは、底部150Aの上に位置する。光センサ126の例は、レーザセンサ、発光分光分析装置(OES)、電荷結合素子(CCD)カメラ、CCD分光計、および低光量CCD(ICCD)カメラを含む。
【0034】
ホストコンピュータ111は、プロセッサ118および記憶装置120を備える。本明細書で用いられるプロセッサの例は、中央処理装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、およびマイクロプロセッサを含む。本明細書で用いられる記憶装置の例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)を含む。例えば、記憶装置はフラッシュメモリである。プロセッサ118は、記憶装置120に接続される。ホストコンピュータ111の例は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、スマートフォン、およびコントローラを含む。例えば、コントローラは、システムオンチップ(SoC)に統合された統合コントローラである。
【0035】
LF RF発生器102は、RFケーブルRFC1を介して整合器106の入力I1に接続された出力O1を有する。また、HF RF発生器104は、RFケーブルRFC2を介して整合器106の入力I2に接続された出力O2を有する。整合器106の出力O3は、RF伝送線路RFTを介してプラズマチャンバ110の入力I3に接続される。入力I3の例は、RF伝送線路RFTのRF棒上の点である。入力I3は、プラズマチャンバ110内でRF伝送線路RFTの一部を介してESC112の下部電極に接続される。
【0036】
プロセッサ118は、伝送ケーブル132を介してLF RF発生器102に接続され、伝送ケーブル134を介してHF RF発生器104に接続される。また、光センサ136は、伝送ケーブル156を介してプロセッサ118に接続される。伝送ケーブルの例は、連続してデータを伝送するケーブル、または並行してデータを伝送するケーブル、またはユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコルを用いてデータを伝送するケーブルである。
【0037】
プロセッサ118は、レシピ信号138を生成して伝送ケーブル132を通じてLF RF発生器102に送信し、レシピ信号140を生成して伝送ケーブル134を通じてHF RF発生器104に送信する。レシピ信号138は、LF RF発生器102によって生成されるLF RF信号144のレシピ情報(電力および周波数など)を含む。また、レシピ信号140は、HF RF発生器104によって生成されるHF RF信号146のレシピ情報(電力および周波数など)を含む。レシピ信号138および140の送信後、プロセッサ118は、トリガ信号142を生成して伝送ケーブル132を通じてLF RF発生器102に送信し、伝送ケーブル134を通じてトリガ信号142をHF RF発生器104に送信する。
【0038】
トリガ信号142の受信に応答して、LF RF発生器102はレシピ信号138に受信されたレシピ情報を実行して、レシピ情報の電力および周波数を有するLF RF信号144を生成する。同様に、トリガ信号142の受信に応答して、HF RF発生器104はレシピ信号140に受信されたレシピ情報を実行して、レシピ情報の電力および周波数を有するHF RF信号146を生成する。LF RF発生器102は、出力O1およびRFケーブルRFC1を通じて整合器106の入力I1にLF RF信号144を供給する。また、HF RF発生器104は、出力O2およびRFケーブルRFC2を通じて整合器106の入力I2にHF RF信号146を供給する。
【0039】
整合器106は、RF信号144および146を受信する。LF RF信号144が整合器106の第1分岐回路を通じて送信されたとき、LF RF信号144のインピーダンスは第1分岐回路によって修正されて、第1修正RF信号が出力される。また、HF RF信号146が整合器106の第2分岐回路を通じて送信されたとき、HF RF信号146のインピーダンスは第2分岐回路によって修正されて、第2修正RF信号が出力される。第1分岐回路は複数の回路部品を含み、第2分岐回路は複数の回路部品を含む。入力I1は第1分岐回路に接続され、第2I2は第2分岐回路に接続される。第1および第2分岐回路は、出力O3で互いに接続される。
【0040】
整合器106は、出力O3において第1修正RF信号と第2修正信号とを合成して、O3で修正RF信号148を出力し、出力O3、RF伝送線路RFTのRF棒、および入力I3を通じて修正RF信号148をESC112の下部電極に送信する。下部電極への修正RF信号148の供給に加えて、1つ以上の処理ガス(フッ素含有ガス、または酸素含有ガス、またはこれらの組み合わせなど)がギャップ116に供給されたときは、1つ以上の処理ガスは、プラズマ150を発生させるために点火される、または、ギャップ116内にプラズマ150を維持するために点火状態を続ける。
【0041】
ギャップ116内のプラズマ150は、プラズマチャンバ110内でESC112の上に設置された基板SUを処理するために用いられる。基板SU処理の例は、基板SUへの材料の堆積、基板SUのエッチング、基板SUの洗浄、基板SUのスパッタリングを含む。基板SUは、ESC112の上面154に設置される。本明細書で用いられる基板の例は、ウエハおよび半導体基板などを含む。例えば、集積回路は基板のシリコン層の上に作製される。
【0042】
プラズマ150は、その底側BSにおいて、またはそこに隣接して底部プラズマシース130に接し、その上側TSにおいて、またはそこに隣接して上部プラズマシース152に接する。例えば、上部プラズマシース152はプラズマ150の上に位置し、底部プラズマシース130はプラズマ150の真下に位置する。別の例として、各プラズマシース130および152は、プラズマ150よりも色が濃い。例として、各プラズマシース130および152は、正イオンおよび中性子などの粒子を含み、プラズマ150は、正イオン、中性子、および電子を含む。例えば、底部プラズマシース130は、基板SUの上面155からプラズマ150まで広がり、底部プラズマシース130のシース幅は、基板SUの上面155とプラズマ150との間の距離である。基板SUの上面155は、ESC112の上面154に隣接しておらず、ESC112の上面154と接していない。むしろ、基板SUの底面157がESC154の上面154に隣接して接している。基板SUの底面157は、基板SUの上面155の反対方向に位置する。例として、プラズマチャンバ110内に基板がないときは、底部プラズマシース130は、ESC112の上面154からプラズマ150まで広がり、底部プラズマシース130のシース幅は、ESC112の上面154とプラズマ150との間の距離である。
【0043】
例として、各プラズマシース130および152は、プラズマ150内の電子数よりも少数の電子を含む。別の例として、各プラズマシース130および152は電子を排除する。この例では、プラズマ150の電子は正イオンよりも軽いため、ESC112とプラズマ150との間の境界(例えば、ギャップ)から逃げ出して、底部プラズマシース130を形成する。この例では、電子が境界からなくなるとすぐに、正イオンおよび中性子を有する底部プラズマシース130が形成される。
【0044】
プラズマ150がギャップ116内で形成された後に、光センサ136は、底部プラズマシース130による発光を測定する。例えば、光センサ136は、底部プラズマシース130およびプラズマ150の底部150Aが発した光を検出して、底部プラズマシース130の発光プロファイルを有する電気信号を生成する。発光プロファイルは、底部プラズマシース130およびプラズマ150の底部150Aが光センサ136に向けて発した光の強度を含む。光センサ136は、伝送ケーブル156を通じて電気信号をプロセッサ118に供給する。プロセッサ118は、電気信号を受信すると、基板SUの上面155からの強度の距離に対する光の強度のプロットを作成して、強度プロファイルを作成する。プロセッサ118は、底部150Aが発した光の強度に基づいて作成されたプロットの一部の第1接線を生成し、底部プラズマシース130が発した光の強度に基づいて作成されたプロットの一部の第2接線を生成する。プロセッサ118はさらに、第1接線と第2接線との交点を決定する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅が基板SUの上面155と交点との間の距離になることを決定する。底部プラズマシース130の幅は、プラズマシース特性の一例である。例として、底部プラズマシース130の幅(例えば、厚さ)は、ミリメートル(mm)で測定される。例えば、底部プラズマシース130の厚さは、基板SUの上面155からプラズマ150の底部150Aに延びる。
【0045】
実施形態では、整合器、整合ハウジング、インピーダンス整合回路、およびインピーダンス整合ネットワークという用語は、本明細書において同義で用いられる。
【0046】
一実施形態では、上部電極114は、本明細書では上電極と呼ばれることもある。
【0047】
実施形態では、RF伝送線路RFTは、ESC112に接続される代わりに上部電極114に接続され、ESC112の下部電極は接地電位に接続される。この実施形態では、修正RF信号148が上部電極114に供給される。この実施形態では、上部電極114は給電電極の一例であり、ESC112のベースプレートは対向電極の一例である。
【0048】
図1Bは、プラズマシース130におけるRF電圧およびプラズマシース130を通るRF電流の測定方法を示すシステム160の実施形態図である。システム160はシステム100(
図1A)と同じであるが、システム160では、光センサ136の代わりにプローブ170が用いられる。プローブ170の例は、複合型電圧・電流(V&I)センサを含む。さらに、このシステムではラングミュアプローブ125が用いられる。ラングミュアプローブ125は、プラズマ150の中に延びるピンを有する。ラングミュアプローブ125は、伝送ケーブル163を介してプロセッサ118に接続される。
【0049】
プローブ170は、RF伝送線路RFTのRF棒に接続される。プローブ170は、整合器106の出力O3よりもプラズマチャンバ110の入力I3の近くに接続される。例として、プローブ170は、プラズマチャンバ110のハウジング内に設置され、RF伝送線路のRF棒上の点に接続される。プラズマチャンバ110のハウジングは、壁122、124、および126で形成される。別の例として、プローブ170は、ESC112のベースプレートの底面164に接続される。底面164は下向き垂直方向に向き、ESC112の上面154は上向き垂直方向に向く。さらに別の例として、プローブ170は、RF伝送線路RFTのRF棒上の点166に接続される。点166は、整合器106の出力O3よりも入力I3に近い。例えば、プローブ170と入力I3との距離は、プローブ170と出力O3との距離よりも短い。プローブ170は、伝送ケーブル162を介してプロセッサ118に接続される。
【0050】
プラズマ150がプラズマチャンバ110内のギャップ116で生成されたとき、プローブ170は、RF棒の点164において電圧(例えば、電圧信号)を測定し、伝送ケーブル162を通じてプロセッサ118に電圧を提供する。電圧は、プラズマシース特性の一例である。
【0051】
ラングミュアプローブ125は、底部プラズマシース130のイオン飽和電流(例えば、正イオン飽和電流)および電子温度を測定するために、プラズマ150内で底部プラズマシース130に近接して設置される。例えば、ラングミュアプローブ125は、上部プラズマシース152よりも底部プラズマシース130の近くに設置される。ラングミュアプローブ125は、伝送ケーブル163を通じてプロセッサ118にイオン飽和電流および電子温度を提供する。
【0052】
一実施形態では、プローブ170は、RF伝送線路RFTのRF棒に接続される代わりに、ESC112のベースプレートの底面164に接続される。
【0053】
実施形態では、底部プラズマシース130の流束量を測定する電流・電圧プローブ(例えば、ラングミュアプローブ)が底部プラズマシース130の領域内に設置される。電流・電圧プローブは、電流計および電圧計に接続される。電流計および電圧計は、プロセッサ118に接続される。電流・電圧プローブは、底部プラズマシース130内の正イオンおよび中性子の流束量を測定して電流を生成する。電流は電流計で測定され、電流によって生成された電圧は電圧計で測定される。底部プラズマシース130の電圧および電流の測定値は、プロセッサ118に提供される。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の静電容量を計算する。静電容量は、底部プラズマシース130の電圧測定値および粒子量の総電荷に基づいて計算される。例として、プロセッサ118は、静電容量が総電荷と電圧との比になるように計算する。底部プラズマシース130の粒子量の総電荷は、プロセッサ118によって計算される。例えば、総電荷は、各正イオンに保持される電荷量と底部プラズマシース130の体積との積の半分に等しくなるように計算される。底部プラズマシース130の体積は、プロセッサ118によって、底部プラズマシース130の幅および半径から計算される。例えば、底部プラズマシース130の体積はπr2hである(rは底部プラズマシース130の半径、hはその幅)。底部プラズマシース130の半径は、底壁126の半径に等しい。この例では、プラズマチャンバ110は円筒形である。この例では、底部プラズマシース130の半分は正イオンを含み、残りの半分は中性子を含むと推測される。静電容量は、プラズマシース特性の別の一例である。
【0054】
一実施形態では、プローブ170はESC112における、RF電流、RF電圧、およびRF電流とRF電圧との間の位相を測定する。また、ラングミュアプローブ125は、底部プラズマシース130の電子温度およびイオン飽和電流を測定する。RF電流、RF電圧、および位相は、プローブ170から伝送ケーブル162を通じてプロセッサ118に提供される。底部プラズマシース130の密度は、底部プラズマシース130の1つの正イオンの電荷量の関数としてプロセッサ118によって決定される。この密度はさらに、底部プラズマシース130におけるラングミュアプローブ125の有効面積(例えば、ピンの面積)、ラングミュアプローブ125によって測定されたイオン飽和電流、1つの正イオンの有効イオン質量、および電子温度に基づいて決定される。プロセッサ118は、イオン飽和電流が、プローブ170が感知した電圧が負である期間にラングミュアプローブ125から受信した電流量であることを決定する。密度は、プラズマシース特性の別の一例である。
【0055】
実施形態では、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の厚さが、プローブ170から受信したRF電圧、RF電流、および位相、ならびに、ラングミュアプローブ125から受信したイオン飽和電流、および電子温度の関数になることを決定する。
【0056】
図2は、底部プラズマシース130(
図1A)の幅に基づくLF RF信号144(
図1A)の変数の制御を示す表200の実施形態図である。パラメータの例は、電圧および電力を含む。LF RF信号144の変数の例は、LF RF信号144のパラメータ、または周波数、またはこれらの組み合わせを含む。表200はプロセッサ118によって作成され、記憶装置120に記憶される。表200は、データベースの一例である。
【0057】
表200は、センサから受信した信号に基づいてプロセッサ118によって計算された底部プラズマシース130の幅の一覧表を含む。例えば、表200は、複数の値SWA、SWB、およびSWC、既定シース幅PSW、LF RF信号144の複数のパラメータ値LPRA、LPRB、およびLPRC、ならびに、LF RF信号144の複数の周波数値LFA、LFB、およびLFCを含む。既定シース幅は、本明細書では設定シース幅と呼ばれることもあり、ミリメートルの値である。
【0058】
プロセッサ118は、底部プラズマシース130(
図1A)の幅を決定する。例えば、LF RF発生器102(
図1A)によって供給されたLF RF信号144(
図1A)のパラメータの各サイクル中に、プロセッサ118は底部プラズマシース130の幅を計算する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル(例えば、サイクル1)中に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第1発光プロファイルを有する第1電気信号を光センサ136(
図1A)から受信する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SWAを第1電気信号から決定する。同様に、LF RF信号144のパラメータの第2サイクル(例えば、サイクル2)中に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第2発光プロファイルを有する第2電気信号を光センサ136から受信する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SWBを第2電気信号から決定する。また、LF RF信号144のパラメータの第3サイクル(例えば、サイクル3)中に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第3発光プロファイルを有する第3電気信号を光センサ136から受信する。第3サイクルは第2サイクルに続き、第2サイクルは第1サイクルに続く。例えば、第1サイクルと第2サイクルとの間、または第2サイクルと第3サイクルとの間には、他のサイクルは存在しない。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SWCを第3電気信号から決定する。この例では、プローブ170は、システム100(
図1A)のRF伝送線路RFTのRF棒上の点166(
図1B)に接続される。プローブ170は、伝送ケーブル162(
図1B)を介してシステム100のプロセッサ118にも接続される。プローブ170は、伝送ケーブル162を通じてプロセッサ118に電圧信号を提供する。プロセッサ118はフーリエ変換を利用して、電圧信号を時間領域から周波数領域に変換する。周波数領域において、プロセッサ118は、LF RF発生器102の動作周波数範囲内にある周波数を有する電圧信号の一部を識別する。プロセッサ118は、LF RF発生器102の動作周波数範囲内にある周波数を有する電圧信号の一部から、LF RF信号144のパラメータの第1~第3サイクルを識別する。電圧信号の一部の例は、電圧信号352(
図3B)として表される。
【0059】
別の例として、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に、第1セットのシース幅から計算された統計値(例えば、平均値または中間値)としてシース幅SWAを決定する。第1セットのシース幅は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に光センサ136から受信した底部プラズマシース130の第1セットの発光プロファイルを有する複数の電気信号から、プロセッサ118によって決定される。また、この例では、プロセッサ118は、第2セットのシース幅から計算された統計値としてシース幅SWBを決定する。第2セットのシース幅は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクル中に光センサ136から受信した底部プラズマシース130の第2セットの発光プロファイルを有する複数の電気信号から、プロセッサ118によって決定される。
【0060】
LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に、シース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内にないことを決定すると、プロセッサ118は第1サイクル中に、変数(例えば、LF RF信号144のパラメータもしくは周波数、またはその両方)を変更して既定シース幅PSWを実現する。例えば、シース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、レシピ信号138(
図1A)のパラメータ設定点(例えば、パラメータ値)をパラメータ値LPRAに変更して既定シース幅PSWを実現する。例えば、LF RF信号144のパラメータがパラメータ設定点からパラメータ値LPRAに変更されたときは、シース幅SWAは、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に、既定シース幅PSWから既定範囲内になるように修正される。既定範囲は、記憶装置120に記憶される。LF RF信号144のパラメータは、底部プラズマシース130の形状を変更するように修正されることに注意されたい。例えば、底部プラズマシース130の形状は、LF RF信号144のパラメータのピーク・ツー・ピーク値の形状に似ている。例えば、LF RF信号144のパラメータのピーク・ツー・ピーク値の形状がパルス状であるときは、底部プラズマシース130の形状もパルス状である。別の例として、LF RF信号144のパラメータのピーク・ツー・ピーク値の形状が連続波によって規定されるときは、底部プラズマシース130の形状も連続波によって規定される。別の例として、LF RF信号144のパラメータのピーク・ツー・ピーク値の形状が任意波形によって規定されるときは、底部プラズマシース130の形状も任意波形によって規定される。
【0061】
その一方で、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中にシース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、既定シース幅PSWを実現するために第1サイクル中にレシピ信号138のパラメータ設定点をパラメータ値LPRAに修正しない。例えば、LF RF信号144のパラメータがパラメータ設定点からパラメータ値LPRAに変更されないときは、シース幅SWAは、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に修正されず、既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0062】
同様に、別の例として、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中にシース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、レシピ信号138の周波数設定点(例えば、周波数値)を周波数値LFAに変更して既定シース幅PSWを実現する。例えば、LF RF信号144の周波数が周波数設定点から周波数値LFAに変更されたときは、シース幅SWAは、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に既定シース幅PSWから既定範囲内になるように修正される。
【0063】
その一方で、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中にシース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、既定シース幅PSWを実現するためにレシピ信号138の周波数設定点を周波数値LFAに修正しない。例えば、LF RF信号144の周波数が周波数設定点から周波数値LFAに変更されないときは、シース幅SWAは、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に修正されず、シース幅SWAは既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0064】
プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクル中に、パラメータ値LPRA、または周波数値LFA、またはこれらの組み合わせを有する調整LF RF信号を生成するようにLF RF発生器102を制御して、シース幅SWAを既定シース幅PSWに変更する。例えば、プロセッサ118は、RF信号144のパラメータのパラメータ設定点を値LPRAに変更して調整パラメータレシピ信号を生成し、LF RF発生器102に調整パラメータレシピ信号を送信する。パラメータ値LPRAを有する調整パラメータレシピ信号の受信に応答して、LF RF発生器102は、調整パラメータレシピ信号のパラメータ値LPRAに基づいて調整パラメータRF信号を生成し、RFケーブルRFC1を通じてパラメータ値LPRAを有する調整パラメータRF信号を整合器106(
図1A)に供給する。パラメータ値LPRAを有する調整パラメータRF信号およびRF信号146を受信すると、整合器106は、調整パラメータRF信号のインピーダンスを調整して、第1調整パラメータ修正RF信号を出力する。整合器106は、第1調整パラメータ修正RF信号と、RF信号146(
図1A)に基づいて生成される第2修正RF信号とを合成して調整パラメータ合成RF信号を出力し、RF伝送線路RFTを通じて調整パラメータ合成RF信号をESC112に送信して、既定シース幅PSWを実現する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル1の間で、調整パラメータ合成RF信号がESC112に供給された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル1の間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内であることを決定する。
【0065】
別の例として、プロセッサ118は、RF信号144の周波数の周波数設定点を値LFAに変更して調整周波数レシピ信号を生成し、LF RF発生器102に調整周波数レシピ信号を送信する。周波数値LFAを有する調整周波数レシピ信号の受信に応答して、LF RF発生器102は、調整周波数レシピ信号の周波数値LFAに基づいて調整周波数RF信号を生成し、RFケーブルRFC1を通じて周波数値LFAを有する調整周波数RF信号を整合器106(
図1A)に供給する。周波数値LFAを有する調整周波数RF信号およびRF信号146を受信すると、整合器106は、調整周波数RF信号のインピーダンスを調整して、第1調整周波数修正RF信号を出力する。整合器106は、第1調整周波数修正RF信号と、RF信号146(
図1A)に基づいて生成された第2修正RF信号とを合成して調整周波数合成RF信号を出力し、RF伝送線路RFTを通じて調整周波数合成RF信号をESC112に送信して、既定シース幅PSWを実現する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル1の間で、調整周波数合成RF信号がESC112に供給された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル1の間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内にあることを決定する。
【0066】
さらに別の例として、プロセッサ118は、RF信号144のパラメータのパラメータ設定点を値LPRAに変更し、RF信号144の周波数の周波数設定点を値LFAに変更して調整レシピ信号を生成し、LF RF発生器102に調整レシピ信号を送信する。値LPRAおよびLFAを有する調整レシピ信号の受信に応答して、LF RF発生器102は、調整レシピ信号の値LPRAおよびLFAに基づいて調整LF RF信号を生成し、RFケーブルRFC1を通じて値LPRAおよびLFAを有する調整LF RF信号を整合器106(
図1A)に供給する。値LPRAおよびLFAを有する調整LF RF信号ならびにRF信号146を受信すると、整合器106は、調整LF RF信号のインピーダンスを調整して第1調整修正RF信号を出力する。整合器106は、シース幅SWAを既定シース幅PSWから既定範囲内になるように変更するため、第1調整修正RF信号と、RF信号146(
図1A)に基づいて生成された第2修正RF信号とを合成して調整合成RF信号を出力し、RF伝送線路RFTを通じて調整合成RF信号をESC112に送信する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル1の間で、調整合成RF信号がESC112に供給された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル1の間に、プロセッサ118は修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内であることを決定する。調整LF RF信号の例は、LF RF信号144の周波数、またはパラメータ、またはその両方の修正を伴うLF RF信号144である。
【0067】
同様にして、LF RF信号144のパラメータの第2サイクル中にシース幅SWBが既定シース幅PSWから既定範囲内にないことを決定すると、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、パラメータ値LPRAをパラメータ値LPRBに変更する、または周波数値LFAを周波数値LFBに変更する、またはパラメータ値LPRAをパラメータ値LPRBに、また周波数値LFAを周波数値LFBに変更する。LF RF信号144のパラメータの第2サイクル中に、プロセッサ118は、シース幅SWBが既定シース幅PSWから既定範囲内になるように変更するため、パラメータ値LPRB、または周波数値LFB、またはその両方を有する調整LF RF信号を生成するようにLF RF発生器102を制御する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル2の間で、調整LF RF信号がLF RF発生器102に生成された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータのサイクル2の間に、プロセッサ118は修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内にあることを決定する。
【0068】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第2サイクル中の、シース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、パラメータ値LPRAをパラメータ値LPRBには修正せず、周波数値LFAを周波数値LFBには修正しない。例えば、LF RF信号144の周波数値LFAが周波数値LFBに変更されず、LF RF信号144のパラメータ値LPRAがパラメータ値LPRBに変更されないときは、シース幅SWBは、LF RF信号144のパラメータの第2サイクル中に修正されず、既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0069】
同様に、LF RF信号144のパラメータの第3サイクル中の、シース幅SWCが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、パラメータ値LPRBをパラメータ値LPRCに変更する、または周波数値LFBを周波数値LFCに変更する、またはパラメータ値LPRBをパラメータ値LPRCに、また周波数値LFBを周波数値LFCに変更する。LF RF信号144のパラメータの第3サイクル中に、プロセッサ118は、パラメータ値LPRC、周波数値LFC、またはその両方を有する調整LF RF信号を生成するようにLF RF発生器102を制御して、シース幅SWCが既定シース幅PSWから既定範囲内になるように変更する。
【0070】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第3サイクル中の、シース幅SWCが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、パラメータ値LPRBをパラメータ値LPRCには修正せず、周波数値LFBを周波数値LFCには修正しない。例えば、LF RF信号144の周波数値LFBが周波数値LFBCに変更されず、LF RF信号144のパラメータ値LPRBがパラメータ値LPRCに変更されないときは、シース幅SWCは修正されない。シース幅SWCは、LF RF信号144のパラメータの第3サイクル中に修正されず、既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0071】
プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの各サイクル期間を決定することに注意されたい。例えば、プロセッサ118は、プローブ170から受信する電圧信号に基づいてRF信号144のパラメータの各サイクル期間を決定する。例えば、プロセッサ118は、プローブ170によって測定された電圧信号を受信し、電圧信号にフーリエ変換を用いて電圧信号を時間領域から周波数領域に変換する。プロセッサ118は、電圧信号の低周波と高周波とを区別することにより、周波数領域の電圧信号から、LF RF発生器102の低周波を有する低周波範囲とHF RF発生器104の高周波を有する高周波範囲とを識別する。プロセッサ118は、低周波と高周波とを区別するために、100kHzのRF発生器、400kHzのRF発生器、および2MHzのRF発生器の周波数調整範囲が低周波範囲の例であり、13.56MHzのRF発生器、27MHzのRF発生器、および60MHzのRF発生器の周波数範囲が高周波範囲の例であることを決定する。プローブ170によって測定された電圧信号から識別された低周波範囲は、本明細書ではLF電圧信号(例えば、LF電圧信号352(
図3B))と呼ばれることがあり、プローブ170によって測定された電圧信号から識別された高周波範囲は、本明細書ではHF電圧信号と呼ばれることがある。プロセッサ118は、LF電圧信号のサイクル1を識別するために、LF電圧信号が時間t0において負電圧値を実現し、次に時間t12において同じ負電圧値を実現することをLF電圧信号から決定する。また、プロセッサ118は、LF電圧信号のサイクル2を識別するために、LF電圧信号が時間t12において負電圧値を実現し、次に時間t24において同じ負電圧値を実現することをLF電圧信号から決定する。プロセッサ118は、時間t0と時間t12との間の期間をLF RF信号144のパラメータのサイクル1期間として決定する。プロセッサ118はさらに、時間t12と時間t24との間の期間をLF RF信号144のパラメータのサイクル2期間として決定する。
【0072】
LF RF信号144のパラメータの各サイクル期間の決定の別の例として、電圧プローブはLF RF発生器102の出力O1に接続されて、出力O1におけるLF電圧信号を測定できる。電圧プローブは、プロセッサ118に接続される。出力O1からLF電圧信号を受信すると、プロセッサ118は、前記の例で示したのと同じ方法でLF電圧信号のサイクル1およびサイクル2を決定するが、フーリエ変換を用いる必要はない。
【0073】
図3Aは、HF RF信号146(
図1A)の変数の制御を示す表300の実施形態図である。変数は、底部プラズマシース130(
図1A)の幅に基づいて制御される。表300は、プロセッサ118によって作成され、記憶装置120に記憶される。表300は、データベースの一例である。
【0074】
表300は、センサから受信した信号に基づいてプロセッサ118によって計算された底部プラズマシース130の幅の一覧表を含む。例えば、表300は、値SW(n-1)までの複数の値SW1、SW2などを含む(nは、正の整数)。表300はさらに、値SW(p-1)およびSWpまでの値SWn、SW(n+1)などを含む(pは、nよりも大きい正の整数)。表300は、既定シース幅PSWも含む。表300は、パラメータ値HPR(n-1)までの複数のパラメータ値HPR1、HPR2などを含む。表300は、HF RF信号146のパラメータ値HPR(p-1)およびHPRpまでのパラメータ値HPRn、HPR(n+1)なども含む。表300は、周波数値HF(n-1)までの複数の周波数値HF1、HF2などを含む。表300は、HF RF信号146の周波数値HF(p-1)およびHFpまでの周波数値HFn、HF(n+1)なども含む。
【0075】
プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの各ビンについて底部プラズマシース130(
図1A)の幅を決定する。例えば、LF RF発生器102(
図1A)によって供給されたLF RF信号144のパラメータの各ビンの間に、プロセッサ118は底部プラズマシース130の幅を計算する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第1発光プロファイルを有する第1電気信号を光センサ136(
図1A)から受信する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SW1を第1電気信号から決定する。同様に、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン2の間に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第2発光プロファイルを有する第2電気信号を光センサ136から受信する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SW2を第2電気信号から決定する。また、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンnの間に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第n発光プロファイルを有する第n電気信号を光センサ136から受信する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SWnを第n電気信号から決定する。また、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の第p発光プロファイルを有する第p電気信号を光センサ136から受信する。プロセッサ118は、底部プラズマシース130の幅SWpを第n電気信号から決定する。この例では、プローブ170は、システム100(
図1A)のRF伝送線路RFTのRF棒上の点166(
図1B)に接続され、プローブ170からの電圧信号は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルを識別するためにプロセッサ118によって用いられる。
【0076】
別の例として、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、第1セットのシース幅から計算された統計値(例えば、平均値または中間値)としてシース幅SW1を決定する。第1セットのシース幅は、プロセッサ118によって、第1セットの発光プロファイルを有する複数の電気信号から決定される。第1セットの発光プロファイルは、底部プラズマシース130のものであり、光センサ136から受信した電気信号に基づいて決定される。電気信号は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に受信される。また、この例では、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン2の間に、第2セットのシース幅から計算された統計値としてシース幅SW2を決定する。第2セットのシース幅は、プロセッサ118によって、光センサ136から受信した底部プラズマシース130の第2セットの発光プロファイルを有する複数の電気信号から決定される。第2セットの発光プロファイルは、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン2の間に受信される。
【0077】
LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間にシース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にないことを決定すると、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するためにHF RF信号146の変数を変更する。例えば、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、レシピ信号140(
図1A)のパラメータ設定点(例えば、パラメータ値)をパラメータ値HPR1に変更する。例えば、HF RF信号146のパラメータがパラメータ設定点からパラメータ値HPR1に変更されたときは、シース幅SW1は、既定シース幅PSWから既定範囲内になるようにLF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に修正される。
【0078】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間の、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、レシピ信号140のパラメータ設定点をパラメータ値HPR1に修正しない。例えば、HF RF信号146のパラメータ設定点がパラメータ値HPR1に変更されないときは、シース幅SW1は、LF RF信号146のパラメータのビン1の間に修正されず、シース幅SW1は既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0079】
同様に、別の例として、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、レシピ信号140の周波数設定点(例えば、周波数値)を周波数値HF1に変更する。例えば、HF RF信号146の周波数が周波数設定点から周波数値HF1に変更されたときは、シース幅SW1は、既定シース幅PSWから既定範囲内になるようにLF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に修正される。
【0080】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間の、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、レシピ信号140の周波数設定点を周波数値HF1に修正しない。例えば、HF RF信号146の周波数設定点が周波数値HF1に変更されないときは、シース幅SW1は、LF RF信号146のパラメータのビン1の間に修正されず、シース幅SW1は既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0081】
プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、パラメータ値HPR1、または周波数値HF1、またはこれらの組み合わせを有する調整HF RF信号を生成するようにHF RF発生器104を制御して、シース幅SW1を既定シース幅PSWに変更する。例えば、プロセッサ118は、HF RF信号146のパラメータのパラメータ設定点を値HPR1に変更して調整パラメータレシピ信号を生成し、HF RF発生器104に調整パラメータレシピ信号を送信する。パラメータ値HPR1を有する調整パラメータレシピ信号の受信に応答して、HF RF発生器104は、調整パラメータレシピ信号のパラメータ値HPR1に基づいて調整パラメータRF信号を生成し、RFケーブルRFC2を通じてパラメータ値HPR1を有する調整パラメータRF信号を整合器106(
図1A)に供給する。パラメータ値HPR1を有する調整パラメータRF信号およびRF信号144を受信すると、整合器106は、調整パラメータRF信号のインピーダンスを調整して第1調整パラメータ修正RF信号を出力する。整合器106は、既定シース幅PSWを実現するために、第1調整パラメータ修正RF信号を、RF信号144(
図1A)に基づいて生成された第1修正RF信号と合成して調整パラメータ合成RF信号を出力し、RF伝送線路RFTを通じて調整パラメータ合成RF信号をESC112に送信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間で、調整パラメータ合成RF信号がESC112に供給された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シースを決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内にあることを決定する。
【0082】
別の例として、プロセッサ118は、HF RF信号146の周波数の周波数設定点を値HF1に変更して調整周波数レシピ信号を生成し、調整周波数レシピ信号をHF RF発生器104に送信する。周波数値HF1を有する調整周波数レシピ信号の受信に応答して、HF RF発生器104は、調整周波数レシピ信号の周波数値HF1に基づいて調整周波数RF信号を生成し、RFケーブルRFC1を通じて周波数値HF1を有する調整周波数RF信号を整合器106(
図1A)に供給する。周波数値HF1を有する調整周波数RF信号およびRF信号144の受信に応答して、整合器106は、調整周波数RF信号のインピーダンスを調整して第1調整周波数修正RF信号を出力する。整合器106は、既定シース幅PSWを実現するために、第1調整周波数修正RF信号を、RF信号144(
図1A)に基づいて生成された第1修正RF信号と合成して調整周波数合成RF信号を出力し、RF伝送線路RFTを通じて調整周波数合成RF信号をESC112に送信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間で、調整周波数合成RF信号がESC112に供給された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内であることを決定する。
【0083】
さらに別の例として、プロセッサ118は、HF RF信号146のパラメータ設定点をパラメータ値HPR1に変更し、HF RF信号146の周波数設定点を値HF1に変更して調整レシピ信号を生成し、HF RF発生器104に調整レシピ信号を送信する。値HPR1およびHF1を有する調整レシピ信号の受信に応答して、HF RF発生器104は、調整レシピ信号の値HPR1およびHF1に基づいて調整HF RF信号を生成し、RFケーブルRFC2を通じて値HPR1およびHF1を有する調整HF RF信号を整合器106(
図1A)に供給する。値HPR1およびHF1を有するHF RF信号ならびにRF信号144を受信すると、整合器106は、調整HF RF信号のインピーダンスを調整して、第1調整修正RF信号を出力する。整合器106は、シース幅SWAが既定シース幅PSWから既定範囲内になるように変更するため、第1調整修正RF信号を、RF信号144(
図1A)に基づいて生成された第1修正RF信号と合成して調整合成RF信号を出力し、RF伝送線路RFTを通じて調整合成RF信号をESC112に送信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間で、調整合成RF信号がESC112に供給された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内であることを決定する。
【0084】
同様に、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンnの間にシース幅SWnが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、パラメータ値HPR(n-1)をパラメータ値HPRnに変更する、または周波数値HF(n-1)から周波数値HFnに変更する、またはパラメータ値HPR(n-1)をパラメータ値HPRnに変更し、周波数値HF(n-1)から周波数値HFnに変更する。LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンnの間に、プロセッサ118は、パラメータ値HPRnもしくは周波数値HFn、または、値HPRnおよびHFnの両方を有する調整HF RF信号を生成するようにHF RF発生器104を制御して、シース幅SWnが既定シース幅PSWから既定範囲内になるように変更する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンnの間で、HF RF発生器104によって調整HF RF信号が生成された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンnの間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内であることを決定する。
【0085】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンnの間にシース幅SWnが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、HF RF信号146の周波数値HF(n-1)を周波数値HFnに修正しない。また、プロセッサ118は、HF RF信号146のパラメータ値HPR(n-1)をパラメータ値HPRnに修正しない。例えば、HF RF信号146の周波数値HF(n-1)が周波数値HFnに変更されず、HF RF信号146のパラメータ値HPR(n-1)がパラメータ値HPRnに変更されないときは、シース幅SWnは、LF RF信号146のパラメータのビンnの間に修正されず、既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0086】
また、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間にシース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、パラメータ値HPR(p-1)をパラメータ値HPRpに変更する、または周波数値HF(p-1)から周波数値HFpに変更する、またはパラメータ値HPR(p-1)をパラメータ値HPRpに変更し、周波数値HF(p-1)から周波数値HFpに変更する。LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間に、プロセッサ118は、パラメータ値HPRpもしくは周波数値HFpを有する、または、値HPRpおよび値HFpの両方を有する調整HF RF信号を生成するようにHF RF発生器104を制御して、シース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内になるように変更する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間で、HF RF発生器104によって調整HF RF信号が生成された後に、プロセッサ118は、底部プラズマシース130の修正発光プロファイルを示す修正電気信号を受信する。この例では、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間に、プロセッサ118は、修正発光プロファイルから修正シース幅を決定し、さらに、修正シース幅が既定シース幅PSWから既定範囲内であることを決定する。
【0087】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間にシース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、HF RF信号146の周波数値HF(p-1)を周波数値HFpに修正せず、HF RF信号146のパラメータ値HPR(p-1)をパラメータ値HPRpに修正しない。例えば、HF RF信号146の周波数値HF(p-1)が周波数値HFpに変更されず、HF RF信号146のパラメータ値HPR(p-1)がパラメータ値HPRpに変更されないときは、シース幅SW(p-1)はLF RF信号144のパラメータのビンpの間に修正されず、シース幅Swpは既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0088】
図3Bは、LF RF信号144(
図1A)のパラメータの第1サイクル中のビン1~pを示すグラフ350の実施形態である。グラフ350は、電圧(例えば、LF電圧信号352)対時間tを描く。LF電圧信号352は、LF RF発生器102(
図1A)によって生成されたLF RF信号144の電圧の代表例である。例えば、プロセッサ118(
図1A)は、プローブ170によって測定された電圧からLF電圧信号352を決定する。
【0089】
LF電圧信号352の電圧はy軸に描かれ、時間tはx軸に描かれている。時間tは、時間t0、t1、t2、t3、t4、t5、t6、t7、t8、t9、およびt10を含む。時間tは、時間t23およびt24まで時間t11、時間t12、時間t13、時間t14、時間t15などを含む。x軸上の任意の2つの連続する時間の間の期間は等しい。例えば、時間t0と時間t1との間の期間は、時間t1と時間t2との間の期間に等しい。電圧信号352は、グラフ350において破線を用いて示されている。グラフ350はさらに、底部プラズマシース130(
図1A)の電圧354を含む。電圧354は、グラフ350において実線を用いて示されている。電圧信号352および電圧354は、-Vdcで示された負電圧値によってゼロ電圧からオフセットされることに注意されたい。
【0090】
プロセッサ118は、LF電圧信号352の各サイクルを既定数のビン1~pに分割する。例えば、LF電圧信号352の各サイクルを識別した後に、プロセッサ118は、LF電圧信号352のサイクル1をビン1~pに分割する。プロセッサ118は、LF電圧信号352のサイクル2もビン1~pに分割する。例えば、LF電圧信号352のサイクル1の時間t0とLF電圧信号352のサイクル1の時間t12との間の期間は、プロセッサ118によってビン1~pに分割され、サイクル2の時間t12とサイクル2の時間24との間の期間は、プロセッサ118によってビン1~pに分割される。
【0091】
ビン1は時間t0から時間t1まで延び、ビン2は時間t1から時間t2まで延びる。ビン(n-1)は、時間t4から時間t5まで延びる。ビンnは時間t5から時間t6まで延び、ビン(n+1)は時間t6から時間t7まで延びる。ビン(p-1)は時間t10から時間t11まで延び、ビンpは時間t11から時間t12まで延びる。
【0092】
一実施形態では、各ビンは等しい期間を有する。例えば、LF RF信号144のパラメータの全てのビンは、等しい期間にわたって延びる。例えば、LF RF信号のパラメータのサイクル1のビン1は、時間t0から時間t1までの第1期間にわたって延びる。また、LF RF信号のパラメータのサイクル1のビン2は、時間t1から時間t2までの第2期間にわたって延びる。第1期間は、第2期間に等しい。別の例として、LF RF信号のパラメータのサイクル1のビン(n-1)は、時間t4から時間t5までの第1期間にわたって延びる。また、LF RF信号のパラメータのサイクル1のビンnは、時間t5から時間t6までの第2期間にわたって延びる。第1期間は、第2期間に等しい。さらに別の例として、LF RF信号のパラメータのサイクル1のビン(p-1)は、時間t10から時間t11までの第1期間にわたって延びる。また、LF RF信号のパラメータのサイクル1のビンpは、時間t11から時間t12までの第2期間にわたって延びる。第1期間は、第2期間に等しい。
【0093】
実施形態では、負のオフセット-Vdcは電圧信号352に印加されない。この実施形態では、電圧信号352は、時間t0、時間t12、および時間t24においてゼロ電圧を有する。
【0094】
実施形態では、プロセッサ118は、ビン1~nの1つ以上の間に、対応する1つ以上のシース幅SW1~SWnが既定シース幅PSWから既定範囲内になるまでHF RF発生器104を制御する。例えば、プロセッサ118は、シース幅SW1~SWnが既定シース幅PSWから既定範囲内になるまで、HF RF信号146の周波数値、または電力値、またはこれらの組み合わせを制御する。例えば、プロセッサ118は、電圧信号352のビン1~nの間にHF RF信号146の電力値を増加させて既定シース幅PSWを実現する。別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のビン1~nの間にHF RF信号146の電力値を低減して既定シース幅PSWを実現する。さらに別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のビン1~nの間にHF RF信号146の電力値を一定に維持して既定シース幅PSWを維持する。ビン1~nの間に、電圧信号352は負電位-Vdcよりも大きい値を有することに注意されたい。
【0095】
実施形態では、プロセッサ118は、ビン(n+1)~pの1つ以上の間に、シース幅SW(n+1)~SWpのうちの対応する1つ以上が既定シース幅PSWから既定範囲内になるまでHF RF発生器104を制御する。例えば、プロセッサ118は、シース幅SW(n+1)~SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内になるまで、HF RF信号146の周波数値、または電力値、またはこれらの組み合わせを制御する。例えば、プロセッサ118は、電圧信号352のビン(n+1)~pの間にHF RF信号146の電力値を増加させて既定シース幅PSWを実現する。別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のビン(n+1)~pの間にHF RF信号146の電力値を低減して既定シース幅PSWを実現する。さらに別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のビン(n+1)~pの間にHF RF信号146の電力値を一定に維持して既定シース幅PSWを維持する。ビン(n+1)~pの間に、電圧信号352は負電位-Vdcよりも小さい値を有することに注意されたい。
【0096】
一実施形態では、プロセッサ118は、電圧信号352の負の遷移中に生じる1つ以上のビンの間にHF RF発生器104を制御する。例えば、プロセッサ118は、サイクル1のビン(n-2)、サイクル1のビン(n-1)、サイクル1のビンn、サイクル1のビン(n+1)、サイクル1のビン(n+2)、およびサイクル1のビン(n+3)の1つ以上の間に、対応する1つ以上のシース幅SW(n-2)、シース幅(n-1)、シース幅n、シース幅SW(n+1)、シース幅SW(n+2)、およびシース幅SW(n+3)が既定シース幅PSWから既定範囲内になるまで、HF RF発生器104を制御する。例えば、プロセッサ118は、シース幅SWnおよびSW(n+1)が既定シース幅SPWから既定範囲内になるまで、HR RF信号146の周波数値、または電力値、またはこれらの組み合わせを制御する。さらなる例では、プロセッサ118は、電圧信号352のビン(n+1)およびnの間にHF RF信号146の電力値を増加させて既定シース幅PSWを実現する。さらに別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のビン(n+1)およびnの間にHF RF信号146の電力値を低減して既定シース幅PSWを実現する。さらに別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のビン(n+1)およびnの間にHF RF信号146の電力値を一定に維持して既定シース幅PSWを維持する。ビン(n-2)は、時間t3で開始し時間t4で終了する期間にわたって延びることに注意されたい。ビン(n+2)は、時間t7で開始し時間t8で終了する期間にわたって延びる。ビン(n+3)は、時間t8で開始し時間t9で終了する期間にわたって延びる。
【0097】
電圧信号352は、値V1から値-V1に定期的に遷移することにも注意されたい。値V1は、電圧信号352のゼロ電圧よりも大きい。値V1から負の値-V1への遷移は、負の遷移の一例である。例として、値V1から値-V1への負の遷移は、ビン(n-2)、ビン(n-1)、ビンn、ビン(n+1)、ビン(n+2)、およびビン(n+3)を含む期間を含む。
【0098】
一実施形態では、プロセッサ118は、電圧信号352の正の遷移中に生じる1つ以上のビンの間にHF RF発生器104を制御する。例えば、プロセッサ118は、サイクル1のビン(p-2)、サイクル1のビン(p-1)、サイクル1のビンp、サイクル2のビン1、サイクル2のビン2、およびサイクル2のビン3の1つ以上の間に、対応する1つ以上のサイクル1のシース幅SW(p-2)、サイクル1のシース幅SW(p-1)、サイクル1のシース幅p、サイクル2のシース幅SW11、サイクル2のシース幅SW12、およびサイクル2のシース幅SW13が既定シース幅PSWから既定範囲内になるまで、HF RF発生器104を制御する。例えば、プロセッサ118は、サイクル1のシース幅SWpおよびサークル2のシース幅SW11が既定シース幅PSWから既定範囲内になるまで、HF RF信号146の周波数値、または電力値、またはこれらの組み合わせを制御する。さらなる例では、プロセッサ118は、電圧信号352のサイクル1のビンpおよびサイクル2のビン1の間にHF RF信号146の電力値を増加させて、既定シース幅PSWを実現する。さらに別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のサイクル1のビンpおよびサイクル2のビン1の間にHF RF信号146の電力値を低減して、既定シース幅PSWを実現する。さらに別の例として、プロセッサ118は、電圧信号352のサイクル1のpおよびサイクル2のビン1の間にHF RF信号146の電力値を一定に維持して、既定シース幅PSWを維持する。電圧信号352のサイクル1のビン(p-2)は、時間t9で開始し時間t10で終了する期間にわたって延びることに注意されたい。サイクル2のビン1は、時間t12で開始し時間t13で終了する期間にわたって延びる。サイクル2のビン2は、時間t13で開始し時間t14で終了する期間にわたって延びる。サイクル2のビン3は、時間t14で開始し時間t15で終了する期間にわたって延びる。
【0099】
電圧信号352は、値-V1から値V1に定期的に遷移することにも注意されたい。負の値-V1から正の値V1への遷移は、正の遷移の一例である。例として、値-V1から値V1への正の遷移は、サイクル1のビン(p-2)、サイクル1のビン(p-1)、サイクル1のビンp、サイクル2のビン1、サイクル2のビン2、およびサイクル2のビン3を含む期間を含む。
【0100】
一実施形態では、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間にHF RF信号146の変数を修正する代わりに、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にHF RF信号146の変数を修正する。変数は、既定シース幅PSWを実現するように修正される。変数は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間に、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にないことを決定した後に修正される。例えば、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にレシピ信号140(
図1A)のパラメータ設定点をパラメータ値HPR1に変更する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間に、HF RF信号146のパラメータがパラメータ設定点からパラメータ値HPR1に変更されたときは、シース幅SW1は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間に、既定シース幅PSWから既定範囲内になるように修正される。
【0101】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間にシース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にレシピ信号140のパラメータ設定点をパラメータ値HPR1に修正しない。例えば、HF RF信号146のパラメータ設定点がパラメータ値HPR1に変更されないときは、シース幅SW1は、LF RF信号146のパラメータの第2サイクルのビン1の間に修正されず、シース幅SW1は既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0102】
同様に、別の例として、シース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にレシピ信号140の周波数設定点(例えば、周波数値)を周波数値HF1に変更して、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間に既定シース幅PSWを実現する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にHF RF信号146の周波数が周波数設定点から周波数値HF1に変更されたときは、シース幅SW1は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間に、既定シース幅PSWから既定範囲内になるように修正される。
【0103】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間にシース幅SW1が既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にレシピ信号140の周波数設定点を周波数値HF1に修正しない。例えば、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間にHF RF信号146の周波数設定点が周波数値HF1に変更されないときは、シース幅SW1は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間に修正されず、シース幅SW1は既定シース幅PSWから既定範囲内にある。プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビン1の間に、パラメータ値HPR1、または周波数値HF1、またはこれらの組み合わせを有する調整HF RF信号を生成するようにHF RF発生器104を制御して、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビン1の間にHF RF発生器104を制御するために上記したのと同じ方法で、シース幅SW1を既定シース幅PSWに変更する。
【0104】
同様に、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間にHF RF信号146の変数を修正する代わりに、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にHF RF信号146の変数を修正する。変数は、既定シース幅PSWを実現するように修正される。変数は、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間に、シース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内にないことを決定した後に修正される。例えば、シース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にレシピ信号140(
図1A)のパラメータ値HPR(p-1)をパラメータ値HPRpに変更する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にHF RF信号146のパラメータがパラメータ値HPR(p-1)からパラメータ値HPRpに変更されたときは、シース幅SWpは、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間に、既定シース幅PSWから既定範囲内になるように修正される。
【0105】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間にシース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内にあるとの決定に応答して、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にレシピ信号140のパラメータ値HPR(p-1)をパラメータ値HPRpに修正しない。例えば、HF RF信号146のパラメータ設定点がパラメータ値HPRpに変更されないときは、シース幅SWpは、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間に修正されず、シース幅SWpは既定シース幅PSWから既定範囲内にある。
【0106】
同様に、別の例として、シース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内にないとの決定に応答して、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にレシピ信号140の周波数値HF(p-1)を周波数値HFpに変更して、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間に既定シース幅PSWを実現する。例えば、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にHF RF信号144の周波数が周波数値HF(p-1)から周波数値HFpに変更されたときは、シース幅SWpは、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間に、既定シース幅PSWから既定範囲内になるように修正される。
【0107】
その一方で、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間にシース幅SWpが既定シース幅PSWから既定範囲内であるとの決定に応答して、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にレシピ信号140の周波数値HF(p-1)を周波数値HFpに修正しない。例えば、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間にHF RF信号146の周波数値HF(p-1)が周波数値HF1に変更されないときは、シース幅SWpは、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間に修正されず、シース幅SWpは既定シース幅PSWから既定範囲内にある。プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータの第2サイクルのビンpの間に、パラメータ値HPRp、または周波数値HFp、またはこれらの組み合わせを有する調整HF RF信号を生成するようにHF RF発生器104を制御して、LF RF信号144のパラメータの第1サイクルのビンpの間にHF RF発生器104を制御するために上記したのと同じ方法で、シース幅SWpを既定シース幅PSWに変更する。
【0108】
図4は、RF伝送線路RFTの実施形態図である。RF伝送線路RFTは、RF棒402およびRFシース404を備える。RF棒402とRFシース404との間には、絶縁材が設置される。絶縁材は、RF棒402を取り囲む。RF棒402は、銅またはアルミニウムなどの金属から製作される。プローブ170は、点166においてRF棒402に接続される。RF棒402は、修正RF信号148を供給するための往路を提供する。RFシース404は、インピーダンス整合回路106(
図1A)のハウジング、ならびにRFケーブルRFC1およびRFC2(
図1A)を通じて、プラズマチャンバ110(
図1A)からRF発生器102および104(
図1A)にRF電力を戻すための復路を提供する。
【0109】
図5は、LF RF発生器102およびHF RF発生器104の詳細を示すシステム500の実施形態図である。システム500は、ホストコンピュータ111、LF RF発生器102、およびHF RF発生器104を備える。
【0110】
LF RF発生器102は、デジタル信号プロセッサ(DSP)DSPL、自動周波数チューナAFTL、パラメータコントローラPRTL、ドライバDRVRL、およびRF電源502を備える。HF RF発生器104は、デジタル信号プロセッサDSPHを備える。HF RF発生器104は、さらに、各ビンに1つの自動周波数チューナ(AFT)と、各ビンに1つのパラメータコントローラとを備える。例えば、HF RF発生器104は、自動周波数チューナAFTbinpまでの複数の自動周波数チューナAFTbin1、AFTbin2など(まとめて、自動周波数チューナAFTHと呼ばれる)を備える。HF RF発生器104は、パラメータコントローラPRbinpまでの複数のパラメータコントローラPRbin1、PRbin2など(まとめて、パラメータコントローラPRHと呼ばれる)も備える。HF RF発生器104は、ドライバDRVRHおよびRF電源504を備える。
【0111】
本明細書で用いられるコントローラの例は、プロセッサおよび記憶装置を含む。コントローラのプロセッサは、コントローラの記憶装置に接続される。例えば、コントローラは、ASICまたはPLDと統合されるマイクロコントローラまたは統合コントローラである。本明細書で用いられる自動周波数チューナの例は、プロセッサおよび記憶装置を含む。自動周波数チューナのプロセッサは、自動周波数チューナの記憶装置に接続される。本明細書で用いられるドライバの例は、1つ以上のトランジスタを含む。1つ以上のトランジスタは、互いに接続される。RF電源の例は、正弦波などの周期的な周波電気信号を生成する電気回路である電子発振器を含む。
【0112】
デジタル信号プロセッサDSPLは、伝送ケーブル132を介してプロセッサ118に接続される。デジタル信号プロセッサDSPLは、自動周波数チューナAFTLおよびパラメータコントローラPRLに接続される。チューナAFTLおよびコントローラPRLはドライバDRVRLに接続され、ドライバDRVRLはRF電源502に接続される。RF電源502は、出力O1においてRFケーブルRFC1に接続される。
【0113】
同様に、デジタル信号プロセッサDSPHは、伝送ケーブル134を介してプロセッサ118に接続される。デジタル信号プロセッサDSPHは、自動周波数チューナAFTbin1~AFTbinpに接続され、パラメータコントローラPRbin1~PRbinpに接続される。コントローラPRbin1~PRbinpはドライバDRVRHに接続され、ドライバDRVRHはRF電源504に接続される。RF電源504は、出力O2においてRFケーブルRFC2に接続される。自動周波数チューナAFTbin1~AFTbinpは、ドライバDRVRHに接続される。
【0114】
プロセッサ118は、伝送ケーブル132を通じてレシピ信号138をデジタル信号プロセッサDSPLに送信し、伝送ケーブル134を通じてレシピ信号140をデジタル信号プロセッサDSPHに送信する。レシピ信号138は、RF信号144の周波数設定点および電力設定点を含み、レシピ信号140は、RF信号146の周波数設定点および電力設定点を含む。
【0115】
レシピ信号138を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPLは、RF信号144のパラメータ設定点をパラメータコントローラPRLに送信し、RF信号144の周波数設定点を自動周波数チューナAFTLに送信する。パラメータコントローラPRLのプロセッサは、RF信号144のパラメータ設定点をパラメータコントローラPRLの記憶装置に記憶し、自動周波数チューナAFTLのプロセッサは、RF信号144の周波数設定点を自動周波数チューナAFTLの記憶装置に記憶する。
【0116】
プロセッサ118は、トリガ信号142を生成し、伝送ケーブル132を通じてデジタル信号プロセッサDSPLに送信する。また、プロセッサ118は、伝送ケーブル134を通じてトリガ信号142をデジタル信号プロセッサDSPHに送信する。
【0117】
トリガ信号142を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPLは、パラメータコントローラPRLおよび自動周波数チューナAFTLに命令を送信する。デジタル信号プロセッサDSPLから命令を受信すると、パラメータコントローラPRLは、RF信号144のパラメータ設定点に基づいてパラメータ指令信号を生成し、ドライバDRVRLにパラメータ指令信号を送信する。同様に、デジタル信号プロセッサDSPLから命令を受信すると、自動周波数チューナAFTLは、RF信号144の周波数設定点に基づいて周波数指令信号を生成し、ドライバDRVRLに周波数指令信号を送信する。パラメータ指令信号および周波数指令信号を受信すると、ドライバDRVRLは電流信号を生成し、RF電源502に電流信号を送信する。電流信号が受信されると、RF電源502は、周波数設定点およびパラメータ設定点を有するLF RF信号144を生成し、出力O1においてRFケーブルRFC1にLF RF信号144を出力する。
【0118】
同様に、レシピ信号140を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、RF信号146のパラメータ設定点を電力コントローラPRHに送信し、RF信号146の周波数設定点を自動周波数チューナAFTHに送信する。電力コントローラPRHのプロセッサは、HF RF信号146のパラメータ設定点を電力コントローラPRHの記憶装置に記憶し、自動周波数チューナAFTHのプロセッサは、HF RF信号1446の周波数設定点を自動周波数チューナAFTHの記憶装置に記憶する。
【0119】
さらに、トリガ信号142を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、パラメータコントローラPRHおよび自動周波数チューナAFTHに命令を送信する。デジタル信号プロセッサDSPHから命令を受信すると、パラメータコントローラPRHは、HF RF信号146のパラメータ設定点に基づいてパラメータ指令信号を生成し、ドライバDRVRHにパラメータ指令信号を送信する。同様に、デジタル信号プロセッサDSPHから命令を受信すると、自動周波数チューナAFTHは、HF RF信号146の周波数設定点に基づいて周波数指令信号を生成し、ドライバDRVRHに周波数指令信号を送信する。パラメータ指令信号および周波数指令信号を受信すると、ドライバDRVRHは電流信号を生成し、RF電源504に電流信号を送信する。電流信号が受信されると、RF電源504は、周波数設定点およびパラメータ設定点を有するHF RF信号146を生成し、出力O2においてRFケーブルRFC2にHF RF信号146を出力する。
【0120】
LF RF信号144を生成すると、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、LF RF信号144のサイクルMの間に変更変数値(例えば、変更パラメータ値、または変更周波数値、またはこれらの組み合わせ)を決定する(Mは、正の整数)。例えば、LF RF信号144を生成した後に、プロセッサ118は、レシピ信号138に提供されたLF RF信号144のパラメータ設定点、または周波数設定点、またはこれらの組み合わせを変更することを決定する。別の例として、LF RF信号144を生成した後に、プロセッサ118は、LF RF信号144のサイクル(例えば、サイクル1、サイクル2、またはサイクル3)の間にLF RF信号144のパラメータ、または周波数、またはこれらの組み合わせを変更することを決定する。
【0121】
プロセッサ118は、LF RF信号144のサイクルMの間に、伝送ケーブル132を通じてLF RF信号144の変更変数値をデジタル信号プロセッサDSPLに送信する。LF RF信号144のサイクルMの間にLF RF信号144の変更変数値を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPLは、変更変数値がLF RF信号144の周波数の変更、またはLF RF信号144のパラメータの変更、またはその両方を含むかどうかを決定する。LF RF信号144のサイクルMの間にLF RF信号144の変更変数値がLF RF信号144のパラメータの変更を含むことを決定すると、デジタル信号プロセッサDSPLは、LF RF信号144の変更パラメータ値をパラメータコントローラPRLに送信する。また、LF RF信号144のサイクルMの間にLF RF信号144の変更変数値がLF RF信号144の周波数の変更を含むとの決定に応答して、デジタル信号プロセッサDSPLは、LF RF信号144の変更周波数値を自動周波数チューナAFTLに送信する。
【0122】
LF RF信号144のサイクルMの間にLF RF信号144の変更パラメータ値を受信すると、パラメータコントローラPRLのプロセッサは、変更パラメータ値に基づいてサイクルMの間に変更パラメータ指令信号を生成し、ドライバDRVRLに変更パラメータ指令信号を送信する。また、LF RF信号144のサイクルMの間にLF RF信号144の変更周波数値を受信すると、自動周波数チューナAFTLのプロセッサは、変更周波数値に基づいてサイクルMの間に変更周波数指令信号を生成し、変更周波数指令信号をドライバDRVRLに送信する。
【0123】
LF RF信号144のサイクルMの間の変更パラメータ指令信号、または変更周波数指令信号、またはその両方の受信に応答して、ドライバDRVRLは、変更パラメータ指令信号、または変更周波数指令信号、またはこれらの組み合わせに基づいて、サイクルMの間に変更電流信号を生成し、変更電流信号をRF電源502に送信する。サイクルMの間に変更電流信号が受信されると、RF電源502は、既定シース幅PSWを実現するために、LF RF信号144のパラメータ、または周波数、またはこれらの組み合わせを変更して調整LF RF信号を出力する。
【0124】
また、HF RF信号146を生成すると、プロセッサ118は、既定シース幅PSWを実現するために、LF RF信号144のパラメータのサイクルMのビンNの間に、変更変数値(例えば、変更パラメータ値、または変更周波数値)を決定する(ビンNは、ビン1~pのうちの1つ)。例えば、HF RF信号146を生成した後に、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータのサイクル1のビン1の間に、レシピ信号140に提供されたHF RF信号146のパラメータ設定点の変更、または周波数設定点の変更、またはこれらの組み合わせを決定する。別の例として、HF RF信号146を生成した後に、プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータのサイクルのビンNの間に、HF RF信号146のパラメータの変更、または周波数の変更、またはこれらの組み合わせを決定する。
【0125】
プロセッサ118は、LF RF信号144のパラメータのサイクルMのビンNの間に、伝送ケーブル134を通じてHF RF信号146の変更変数値をデジタル信号プロセッサDSPHに送信する。LF RF信号144のビンNの間にHF RF信号146の変更変数値を受信すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、変更変数値がHF RF信号146の周波数の変更、またはHF RF信号146のパラメータの変更、またはその両方を含むかどうかを決定する。LF RF信号144のビンNの間にHF RF信号146の変更変数値がHF RF信号146のパラメータの変更を含むことを決定すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、対応するパラメータコントローラPRbinNにHF RF信号146の変更パラメータ値を送信する。パラメータコントローラPRbinNは、パラメータコントローラPRbin1~PRbinpのうちの1つである。例えば、LF RF信号144のビン(p-1)の間にHF RF信号146の変更変数値がHF RF信号146のパラメータの変更を含むことを決定すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、パラメータコントローラPRbin(p-1)にHF RF信号146の変更パラメータ値を送信する。別の例として、LF RF信号144のビンpの間にHF RF信号146の変更変数値がHF RF信号146のパラメータの変更を含むことを決定すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、パラメータコントローラPRbinpにHF RF信号146の変更パラメータ値を送信する。
【0126】
また、LF RF信号144のビンNの間にHF RF信号146の変更変数値がHF RF信号146の周波数の変更を含むとの決定に応答して、デジタル信号プロセッサDSPLは、対応する自動周波数チューナAFTbinNにHF RF信号146の変更周波数値を送信する。自動周波数チューナAFTbinNは、自動周波数チューナAFTbin1~AFTbinpのうちの1つである。例えば、LF RF信号144のビン(p-1)の間にHF RF信号146の変更変数値がHF RF信号146の周波数の変更を含むことを決定すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、自動周波数チューナAFTbin(p-1)にHF RF信号146の変更周波数値を送信する。別の例として、LF RF信号144のビンpの間にHF RF信号146の変更変数値がHF RF信号146のパラメータの変更を含むことを決定すると、デジタル信号プロセッサDSPHは、自動周波数チューナAFTbinpにHF RF信号146の変更周波数値を送信する。
【0127】
LF RF信号144のビンNの間にHF RF信号146の変更パラメータ値を受信すると、自動周波数チューナAFTbinNのプロセッサは、変更パラメータ値に基づいてビンNの間に変更パラメータ指令信号を生成し、ドライバDRVRHに変更パラメータ指令信号を送信する。また、LF RF信号144のビンNの間にHF RF信号146の変更周波数値を受信すると、自動周波数チューナAFTbinNのプロセッサは、変更周波数値に基づいてビンNの間に変更周波数指令信号を生成し、ドライバDRVRHに変更周波数指令信号を送信する。
【0128】
LF RF信号144のビンNの間の変更パラメータ指令信号、または変更周波数指令信号、またはその両方の受信に応答して、ドライバDRVRHは、変更パラメータ指令信号、または変更周波数指令信号、またはこれらの組み合わせに基づいて、ビンNの間に変更電流信号を生成し、RF電源504に変更電流信号を送信する。ビンNの間に変更電流信号が受信されると、RF電源504は、既定シース幅PSWを実現するために、HF RF信号146のパラメータ、または周波数、またはこれらの組み合わせを変更して調整HF RF信号を出力する。
【0129】
一実施形態では、ドライバの代わりに、ドライバアンプシステムがRF発生器内で用いられる。ドライバアンプシステムは、ドライバおよび増幅器を備える。ドライバは、増幅器に接続される。変更電流信号は、ドライバから増幅器に送信される。増幅器は、変更電流信号を増幅(例えば、その大きさを増加)させて、増幅電流信号を出力する。増幅器は、増幅器に接続されたRF電源に増幅電流信号を送信する。RF電源は、増幅電流信号に基づいてRF信号を生成する。
【0130】
上記の実施形態は、底部プラズマシース130のプラズマシース幅に関して説明されていることに注意されたい。いくつかの実施形態では、上記の実施形態は、他のプラズマシース特性(例えば、静電容量および電圧)にも同様に当てはまる。例えば、既定シース幅PSWの代わりに、底部プラズマシース130の既定静電容量、または底部プラズマシース130の既定電圧、または底部プラズマシース130の既定密度が用いられる。
【0131】
本明細書に記載の実施形態は、ハンドヘルドハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家電、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、様々なコンピュータシステム構成で実施されてよい。実施形態は、ネットワークを通じてリンクされた遠隔処理ハードウェアによってタスクが実行される分散コンピューティング環境においても実施できる。
【0132】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含む。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合される。電子機器は、システムの様々な構成部品または副部品を制御できる「コントローラ」を意味する。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールならびに/または特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示のプロセスを制御するようにプログラムされる。
【0133】
概して、様々な実施形態では、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義される。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、PLDとして定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含む。プログラム命令は、半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して特定のプロセスを実行するためのパラメータ、要素、変数などを定義する様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令である。いくつかの実施形態では、プログラム命令は、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハ金型の製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0134】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと一体化もしくは接続された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部である、またはそのコンピュータに接続される。例えば、コントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にある、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部である。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能の基準を調査して、現在の処理のパラメータを変更する、または現在の処理に続く処理工程を設定する、または新しいプロセスを開始する。
【0135】
いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含むネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供する。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含む。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータ、因子、および/または変数を特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータ、因子、および/または変数は、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続または制御するように構成されたツールの種類に固有であることを理解されたい。よって、上記のように、コントローラは、例えば互いにネットワーク接続された1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスおよび制御などの共通の目的に向けて協働することとにより分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)位置し、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバの1つ以上の集積回路を含む。
【0136】
制限するものではないが、様々な実施形態では、本方法が適用される例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/または製造において関連または使用する任意の他の半導体処理システムを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、上記の動作は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)リアクタ、トランス結合プラズマチャンバ、コンダクタツール、誘電体ツールを含むプラズマチャンバ、電子サイクロトロン共鳴(ECR)リアクタを含むプラズマチャンバ、などのいくつかの種類のプラズマチャンバに適用されることにさらに注意されたい。例えば、1つ以上のRF発生器は、ICPリアクタ内のインダクタに接続される。インダクタの形状の例は、ソレノイド、ドーム形コイル、扁平形コイルなどを含む。
【0138】
上記のように、ツールによって実施される処理工程に応じて、ホストコンピュータは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通する。
【0139】
上記の実施形態を念頭に置いて、いくつかの実施形態は、コンピュータシステムに記憶されたデータに関する様々なコンピュータ実施動作を採用することを理解されたい。これらの動作は、物理量を物理的に操作するものである。実施形態の一部を形成する本明細書に記載の動作は、有益な機械動作である。
【0140】
いくつかの実施形態は、これらの動作を実施するためのハードウェアユニットまたは装置にも関する。この装置は、専用コンピュータ向けに特別に作られている。コンピュータは、専用コンピュータとして定義されるときは、特定用途のために動作しながら、なお特定用途の一部ではない他の処理、プログラム実行、またはルーチンを実施する。
【0141】
いくつかの実施形態では、動作は、コンピュータメモリ、キャッシュに記憶された、もしくはコンピュータネットワークを通じて取得された1つ以上のコンピュータプログラムによって選択的に起動されたコンピュータ、または、設定されたコンピュータによって処理されてよい。データがコンピュータネットワークを通じて取得されたときは、データは、コンピュータネットワーク上の他のコンピュータ(例えば、クラウドコンピューティング資源)によって処理されてよい。
【0142】
1つ以上の実施形態は、非一時的コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読コードとしても作成できる。非一時的コンピュータ可読媒体は、その後にコンピュータシステムに読み込まれるデータを記憶する任意のデータ記憶ハードウェアユニット(例えば、記憶装置など)である。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、ハードドライブ、ネットワーク接続記憶装置(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、書き込み可能CD(CD-R)、書き換え可能CD(CD-RW)、磁気テープ、および他の光学および非光学データ記憶ハードウェアユニットを含む。いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散して記憶および実行されるように、ネットワーク接続されたコンピュータシステムにおいて分散されたコンピュータ可読有形媒体を含む。
【0143】
上記の方法動作は特定の順序で説明されたが、様々な実施形態では、動作間に他の準備動作が実施されることを理解されたい、または、この方法動作は、わずかに異なるタイミングで生じるように調節される、もしくは、様々なインターバルで生じることを可能にするシステムにおいて分散される、もしくは、上記とは異なる順序で実施されることを理解されたい。
【0144】
実施形態では、上記の実施形態の1つ以上の特徴は、本開示に記載の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、同様に上記された他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることにさらに注意されたい。
【0145】
実施形態では、上記の例の1つ以上の特徴は、本開示に記載の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、同様に上記された他の例の1つ以上の特徴と組み合わされることにも注意されたい。
【0146】
実施形態では、上記の例の1つ以上の特徴は、本開示に記載の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、同様に上記された実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされることにも注意されたい。
【0147】
上記の実施形態は、明確な理解のためにある程度詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更および修正が実施できることが明らかだろう。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的とみなされ、本明細書に記載の詳細に限定されない。
【国際調査報告】