(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】ゾーン引上げ設備においてシリコンから単結晶ロッドを製造するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
C30B 29/06 20060101AFI20240325BHJP
C30B 13/32 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
C30B29/06 501A
C30B13/32
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023556833
(86)(22)【出願日】2022-03-01
(85)【翻訳文提出日】2023-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2022055084
(87)【国際公開番号】W WO2022194533
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モース,パトリック
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CE03
4G077EG25
4G077NG03
(57)【要約】
ゾーン溶融のための引上げ設備においてシリコンから単結晶ロッドを引上げるための方法およびデバイスは、
(1)一方端部に方位溝を含むシリコンの送りロッドを設けるステップと、
(2)3つの把持アームを備えた下方部分を取付けるステップとを含み、1つの把持アームは、一方端部が送りロッドの方位溝に嵌合するとともに他方端部が下方部分に回転可能に取付けられるように形成されており、当該方法およびデバイスはさらに、
(3)接続要素を含む上方部分に、送りロッドと共に下方部分を懸架させるステップを含み、接続要素は、上方部分と下方部分とが嵌合した状態で径方向に互いに接続されるようにゾーン引上げ設備の引上げシャフトに接続され、上方部分は径方向位置合わせ用要素を含み、3つの長さ調節可能スペーサ要素は、それぞれが把持アームに力を及ぼすことができるように上方部分に取付けられており、当該方法およびデバイスはさらに、
(4)溝が位置する端部における送りロッドの回転軸が引上げシャフトの回転軸と一致するように、径方向位置合わせ用要素を移動させるステップと、
(5)溝とは反対側の端部における送りロッドの回転軸が引上げシャフトの回転軸と一致するように、長さ調節可能スペーサ要素を設定するステップと、
(6)単結晶ロッドの円錐部分を引上げるステップと、
(7)単結晶ロッドの円筒部分を引上げるステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾーン溶融のための引上げ設備において送りロッド(101)を保持するための装置であって、
上方部分(402)を備え、前記上方部分(402)は、
前記引上げ設備に嵌合させるための役割を果たす接続要素と、前記引上げ設備における前記上方部分(402)の径方向位置合わせ用要素(107)とを備え、前記装置はさらに、
下方部分(401)を備え、前記下方部分(401)は、
3つの把持アーム(103)を備え、前記3つの把持アームは、一方端部が前記送りロッド(101)の側面における溝(102)に嵌合するとともに他方端部が回転可能に取付けられるように形成されており、
前記上方部分(402)と前記下方部分(401)とが、自己調心的かつ取外し可能に嵌合した状態で径方向に互いに接続されている、装置。
【請求項2】
前記径方向位置合わせ用要素(107)はリニアガイド(404)を備え、前記リニアガイド(404)は、それぞれが行なう線形の案内を前記引上げシャフトに対して垂直に行なうことができるように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記3つの把持アーム(103)は1つの部品からモノリシックに製造されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ゾーン溶融のための引上げ設備においてシリコンから単結晶ロッドを引上げるための方法であって、
(1)一方端部において側面に溝(102)を備える、シリコンの送りロッド(101)を設けるステップと、
(2)3つの把持アーム(301)を備えた下方部分(401)を取付けるステップとを含み、前記3つの把持アーム(301)は、一方端部が前記送りロッド(101)の前記溝(102)に嵌合するとともに他方端部が前記下方部分(401)に回転可能に取付けられるように形成されており、前記方法はさらに、
(3)接続要素(502)を含む上方部分(401)に、前記下方部分(401)を前記送りロッド(101)と共に懸架させるステップを含み、前記接続要素(502)は、前記上方部分(402)と前記下方部分(401)とが嵌合した状態で径方向に互いに接続されるように、ゾーン引上げ設備の引上げシャフトに接続され、前記上方部分(402)は径方向位置合わせ用要素(404)を含み、3つの長さ調節可能スペーサ要素は、それぞれが把持アーム(301)に力を及ぼすことができるように前記上方部分に取付けられており、前記方法はさらに、
(4)前記溝(102)が位置する端部における前記送りロッドの前記回転軸が前記引上げシャフトの前記回転軸と一致するように径方向位置合わせ用要素(107)を移動させるステップと、
(5)前記溝(102)とは反対側の端部における前記送りロッド(101)の前記回転軸が前記引上げシャフトの前記回転軸と一致するように前記長さ調節可能スペーサ要素を設定するステップと、
(6)単結晶ロッドの円錐部分を引上げるステップと、
(7)前記単結晶ロッドの円筒部分を引上げるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、方位溝が設けられた送りロッドを用いるゾーン引上げ設備においてシリコンから単結晶ロッドを製造するための装置および方法である。
【背景技術】
【0002】
工業規模では、特にシリコンから単結晶を製造するためにゾーン引上げが用いられる。これは多結晶送りロッドから単結晶を得る工程を含むが、任意には単結晶シリコンの送りロッドを用いることもできる。
【0003】
この目的のために、送りロッドは、最初にその一方端部が高周波コイル(インダクタ)を用いて溶融され、結果として得られた溶融液滴に単結晶種結晶を付着させる。送りロッドから徐々に溶融した材料は、種結晶上でその後成長する単結晶の供給源としての役割を果たす。転位を結晶格子から迂回させるために、薄い狭窄部(ネック:neck)と呼ばれる長手区域を最初に結晶化させる。次に、成長する単結晶を、その直径が初期円錐部(種円錐部)と呼ばれる長手区域において所望の直径になるまで成長させる。その後、単結晶が所望の直径を有する長手区域が作製される。この方法を完了するために、終端円錐部と呼ばれる長手区域が作製される。任意には、当該方法は終端円錐部なしで完了させてもよいが、その場合、所望の直径を有する長手区域の端部にある部分は、転位を有するので、その後の意図される加工に使用することができない。
【0004】
この場合、送りロッドは、回転方向が急に変化しても滑ることのないように、一方端部が回転可能シャフト(引上げシャフト)に装着されている。また、結晶引上げ中に、送りロッドの他方端部の中間部が常に引上げシャフトの回転軸上にあることも必要である。他方端部の中心が引上げシャフトの回転軸から離れるように動いた場合、引上げコイルによる溶融に著しい影響を及ぼす可能性があり、ひいては引上げプロセス全体に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
この影響は、高周波コイル(引上げコイル)の周波数が時間の関数として測定される場合、周波数が負荷に依存しており結果としてコイルからの送りロッドの距離の関数となるので、非常に容易に観察することができる。
【0006】
現在市販されているのは、ゾーン引上げプロセスによって製造された公称で最大200mmまでの直径を有するシリコンの単結晶ロッドである。この場合、引上げられるロッドの長さに加えて、単結晶ロッドの目標直径により、当然ながら、これに必要な送りロッドの重量が定められる。
【0007】
したがって、歩留まりを高めるために単結晶ロッドをより長くするための開発、および単結晶ロッドの直径をより大きくするための開発では、必然的に、引上げ設備に嵌合させるそれぞれの送りロッドの重量をより重くすることが必要となり、これらそれぞれの送りロッドは引上げシャフト上で正確かつ確実に保持されなければならない。
【0008】
日本特許出願第2019-167254A2号は、例えば、ゾーン溶融のための設備において送りロッドを保持するための装置を開示している。当該装置は、引上げシャフトと送りロッドとの間の接続要素と、多数の係止部と、送りロッドの水平位置を設定するための水平位置決め部と、輻射熱から遮蔽するための遮蔽部とを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
引用された先行技術に開示されている装置は、原則として、ゾーン引上げ用の設備に送りロッドを位置決めするのに適している。しかしながら、特に、非常に重くて長い送りロッドを用いる場合、嵌合させるにはあまりにも不安定であり、結果として、あまりにも不正確になることも判明した。さらに、この装置は容易に取付けできず、このため、複雑で通常はリスクを伴うような方法で重い送りロッドを引上げ設備に差込んでそこに固定しなければならない。第2の欠点は、引上げ設備において送りロッドの角度をその理想的なラインに対して設定することができない点、または、これは最適化するのに多大な困難を伴う可能性があり、結果として、引上げられたロッドの歩留まりが低下してしまう点、である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の装置を、上述の欠点のない改良された形態で提供することである。
【0011】
本発明の目的はまた、非常に重い送りロッドをゾーン引上げ設備に確実かつ正確に嵌合させることもできる、送りロッドの嵌合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、添付の特許請求の範囲に記載の方法および装置によって達成される。
本発明に従った方法について上述した実施形態に関して特定される特徴は、本発明に従った製品に相応に適用することができる。逆に、本発明に従った製品について上述した実施形態に関して特定される特徴は、本発明に従った方法に相応に適用することができる。本発明に従った実施形態のこれらおよび他の特徴は、添付の図面の説明および添付の特許請求の範囲の記載において説明される。個々の特徴は、本発明の実施形態として別個にまたは組合わせて実現することができる。さらに、これら特徴は、独立して保護可能である有利な実施形態を説明し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ゾーン引上げのための結晶引上げ設備において送りロッド(101)を保持するための配置の本発明に従った特定の実施形態を示す図である。
【
図2】当該装置の本発明に従った構成の上方部分を示す図である。
【
図3】装置の本発明に従った構成の下方部分を示す図である。
【
図4】下方部分(401)が上方部分(402)に如何に懸架され得るかを例として示す図である。
【
図5】引上げ設備における装置の径方向位置合わせ用要素(リニアガイド)の本発明に従った特定の実施形態を詳細に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に従った例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、ゾーン引上げのための結晶引上げ設備において送りロッド(101)を保持するための配置の本発明に従った特定の実施形態を示す図である。引上げシャフトに取付けられてアダプタの形態で頂部に位置する接続要素(108)は、装置の径方向位置合わせ用要素(107)を保持する。接続要素(108)は、好ましくは、ねじ山によって引上げシャフトにねじ込むことができると同時にボルトによって固定されるように設計されており、このため、配置全体としての回転方向が突然変化してもねじ山自体を緩めることはできない。
【0015】
次に、当該配置の径方向位置合わせ用要素(107)が取付けられる。当該径方向位置合わせ用要素(107)は、例えば、配置の径方向位置合わせを確実に実行できるようにするリニアガイドを備える。
【0016】
3つのグリッパ(103)は、一方端部によって送りロッド(101)の方位溝(102)を保持し、当該溝は、送りロッドの端部の近傍に設けられている。
【0017】
この場合、把持アームまたはグリッパ(103)は、回転することにより送りロッドを把持することができるように、ボルトまたはスプリント(104)によって装置の下方部分に取付けられている。グリッパに力を及ぼすことができるように上方部分に取付けられたねじ(105)を用いて、送りロッド(101)は、一方では固定され得るとともに、他方では、送りロッド(101)のうち遠い方の端部が正確に中心に位置合わせされるように位置合わせされ得る。
【0018】
図2は当該装置の本発明に従った構成の上方部分を示す図である。上方部分は、アダプタ(206)によって引上げシャフトにねじ留めされ、ボルトによって固定されてもよい。配置全体の回転が急に変化することがあるので、ボルトで固定することは適切であり、これにより、配置自体の緩みが防止される。
【0019】
次に、配置の径方向位置合わせ用要素(205)が取付けられる。径方向位置合わせ用要素(205)は、例えば、配置の径方向位置合わせを確実に実行できるようにするリニアガイドを備える。リニアガイドはねじ(204)によって操作することができる。
【0020】
上方部分はまた、下方部分を容易に懸架させるための役割を果たす軸受(203)を含む。下方部分を懸架させることができるようにするために、上方部分において対応する開口部(202)が必要である。上方部分はまた、下方部分に締結される把持アームに力を及ぼすことができるように取付けられる長さ調節可能スペーサ要素(201)を含む。スペーサ要素の単純な具体的実施形態として、カウンタナットを備えたねじが挙げられる。
【0021】
図3は装置の本発明に従った構成の下方部分を示す図である。3つの把持アームまたはグリッパ(301)は、回転させることによって送りロッドの溝に係合させることができるようにボルトまたはリベット(302)によって取付けられている。この場合、把持アームの回転はねじ機構によって設定および固定することができる。
【0022】
下方部分は、上方部分に容易に懸架させることができるようにカウンタ軸受(303)を備える。好ましくは、グリッパまたは把持アーム(301)は1つの部品からモノリシックに製造される。
【0023】
図4は下方部分(401)が上方部分(402)に如何に懸架され得るかを例として示す図である。この場合、上方部分は、引上げシャフトに接続可能な接続要素(403)と、装置を径方向に位置合わせすることを可能にするリニアガイドによる径方向位置合わせ用要素(404)とを備える。上方部分に懸架される下方部分は、スナップリングによって固定されるリベットまたはスプリントによって取付けられる可動把持アーム(405)を備える。
【0024】
図5は引上げ設備における装置の径方向位置合わせ用要素(リニアガイド)の本発明に従った特定の実施形態を詳細に示す図である。接続要素(502)を支える1つ以上の板ばね(503)がベースプレート(501)上に載っている。装置に懸架されたロッドの位置が規定を満たすように、ねじ(504)により、接続要素(502)を水平に正確に調節することができる。この場合、設定された位置を固定するために、リニアガイドに対抗するためのねじ(505)が用いられる。
【0025】
上述の問題を分析した後、本発明者は、上述の問題に対する好ましい解決策が、送りロッドを保持するための装置を、少なくとも2つの部分で構成して、一方の部分(以下、下方部分と称する)が結晶引上げ設備の外側にある間にロッドに装着することができるように設計することであることを認識した。当該装置の第2の部分(以下、上方部分と称する)は、結晶引上げ設備において引上げシャフト上にしっかりと装着される。
【0026】
引上げシャフトは、引上げ設備において本質的に2つのタスクを実行する装置に用いられる用語である。(1)引上げシャフトは、それに締結された送りロッドが、場合によっては回転速度および/または回転方向が変化する間、保持されることを確実にし、(2)送りロッドは、予め定められた(または場合によっては変化する)速度で軸方向に移動させることができる。
【0027】
この場合、送りロッドは、後に単結晶を製造するのに用いられる材料を供給する。シリコンから単結晶を引上げるために、例えばシリコンの多結晶送りロッドが用いられる。当然ながら、例えばチョクラルスキー(Czochralski)引上げ法によって引上げられる単結晶を送りロッドとして用いることもできる。送りロッドのために他の半導体材料を用いることも可能である。
【0028】
送りロッドにとっては、円筒の形状を有し、その側面の一方側(上側)近傍に、送りロッドが抜け出ることなく保持され得るような寸法の溝を有することが必須である。
図1は、この点において、例として、対応して形成された溝(102)を備えた送りロッド(101)を示す。
【0029】
送りロッドの重量は、単結晶ロッドの所望の直径および長さに応じてさまざまであり得る。シリコンの単結晶ロッドについての典型的な重量は、この場合、100kgをはるかに超えてもよく、場合によっては200kgをさらにはるかに超えてもよい。
【0030】
先行技術において利用可能な手段によって引上げ設備においてそのような重い送りロッドを固定することは困難であり、時間がかかり、リスクを伴う。この場合、送りロッドの重量は、それが引上げシャフト上に装着されて位置合わせされるまで必要なだけ、引上げ設備において正確に直立した状態で保持されなければならない。
【0031】
位置合わせが不適切に行なわれると、結晶引上げ中にエミッタ周波数の振動が生じる可能性があり、これがしばしばロッドの不具合(破損または転位)につながる。
【0032】
本発明者は、送りロッドが引上げ設備の外側にある間に本発明に従った装置の下方部分が最初に送りロッドに取付けられることが好ましいと認識した。特に好ましくは、この場合、送りロッドは水平である。
【0033】
本発明に従った装置の(例えば
図3に示される)下方部分は、好ましくは、この場合、回転可能となるようにボルトまたはリベット(302)によって装置に取付けられる3つの把持アームまたはグリッパ(301)を含む。
【0034】
下方部分が送りロッドに取付けられると、グリッパ(301,103)は、送りロッド(101)の溝(102)に係合し、そこに固定される。
【0035】
把持アームの全てを同時に開閉するために使用可能な調節ねじが下方部分の中央に設けられている。この調節ねじを用いることで、下方部分は把持アームによって送りロッドに締結される。
【0036】
送りロッドは、好ましくは、そこに装着された装置の下方部分と共に引上げ設備に嵌合される。
【0037】
この場合、下方部分のカウンタ軸受303は最初に上方部分203の軸受に懸架される。この軸受は、好ましくは、下方部分が容易に懸架され得るように構成されており、このために、特に、横方向からアクセスすることを可能にする対応する開口部(202)が上方部分に必要となる。
【0038】
結果として、下方部分は、形状がぴったりと嵌合した状態で径方向に上方部分に接続され、用いられる軸受は、これらの上方部分および下方部分が自己調心的に取外し可能な態様で付加的に互いに接続されるという効果を有する。
【0039】
上方部分は、好ましくは、送りロッドを径方向に位置合わせするための役割を果たす要素を含む。上方部分は好ましくはリニアガイドを含み、当該リニアガイドを用いることにより、引上げシャフトの回転軸が送りロッドの回転軸と一致するように送りロッドを設定することができる。この場合、リニアガイドは、好ましくは、移動経路が引上げシャフトの回転軸に対して垂直になるように配置される。
【0040】
設定時、好ましくは、リニアガイドは、送りロッドに位置する溝の回転軸が引上げシャフトの回転軸と一致するように送りロッドを設定するために、最初に用いられる。リニアガイドの所望の位置は、その後、好ましくは、装置内に位置する対向ねじ(505)によって固定される。測定が成功したかどうかは、例えば、送りロッドを引上げシャフトに固定した状態で当該引上げシャフトを回転させ、同時に同心度を確認することによって確認することができる。
【0041】
上方部分は、同様に、好ましくは、例えば、下方部分に締結された把持アーム(103)に力を及ぼすことができるように取付けられたねじ等の長さ調節可能スペーサ要素(105)を含む。
【0042】
これらの長さ調節可能スペーサ要素(201)を設定することで、送りロッドをその軸に沿って位置合わせすることができるという効果が得られる。この場合、送りロッドは、好ましくは、引上げシャフトの回転軸が送りロッドの回転軸と一致するように設定される。特に、送りロッドのうち溝とは反対側の端部における回転軸が引上げシャフトの回転軸と一致することが確実にされる。これは、同心度を確認することによって確認することができる。
【0043】
図1は、本発明に従った装置においてクランプされる送りロッド(101)の2つの図を示す。
【0044】
送りロッドが挿入されると、設備を閉鎖することができ、始めに最初の円錐部を引上げることによって結晶の引上げを開始することができ、この最初の円錐部は、目標直径に達した後、円筒形部分に乗り上げる。単結晶ロッドの所望の長さに達した後、終端円錐部が引上げられる。結晶引上げが完了した後、単結晶ロッドを設備から取出し、新しい送りロッドを準備することができる。
【0045】
最初の結晶の結晶引上げ中、送りロッドは、本発明によって規定されるように既に下方部分に取付けられていることが理想的であり、これにより、設備の設定時間がさらに大幅に削減される。
【符号の説明】
【0046】
符号
101:送りロッド。送りロッドは多結晶または単結晶の半導体材料で構成され得る。
【0047】
102:送りロッド(101)の一方側の方位溝。図示される例では、溝は非対称に形成されており、すなわち、送りロッドの直径は溝の左側と右側とで異なっている。
【0048】
103:一方端部が送りロッドの方位溝(102)に嵌合し、他方端部が下方部分に回転可能に締結されるように形成された把持アーム
104:把持アームの向きを変えることができるように把持アームの一方端部が取付けられているリベット
105:ねじ(長さ調節可能スペーサ要素が、把持アームに力を及ぼすことができるように上方部分に取付けられている)
106:自己調心的かつ取外し可能な態様で互いに接続される部分
107:径方向位置合わせ用要素
108:頂部に位置する接続要素
201:ねじ(長さ調節可能スペーサ要素が、把持アームに力を及ぼすことができるように上方部分に取付けられている)
202:下方部分を懸架させることを可能にするための開口部
203:下方部分のための軸受
204:リニアガイドにおける水平調節用ねじ
205:リニアガイドによる径方向位置合わせ用要素
206:頂部に位置する接続要素
301:把持アーム
302:スナップリングによって固定されたリベットまたはスプリント
303:下方部分を上方部分に懸架させるためのカウンタ軸受
401:下方部分
402:上方部分
403:頂部に位置する接続要素
404:リニアガイドによる径方向位置合わせ用要素
405:可動把持アーム
406:スナップリングによって固定されたリベットまたはスプリント
501:ベースプレート
502:接続要素
503:板ばね
504:リニアガイドにおける水平調節用ねじ
505:リニアガイドに対抗するためのねじ
506:カバー
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾーン溶融のための引上げ設備において送りロッド(101)を保持するための装置であって、
上方部分(402)を備え、前記上方部分(402)は、
前記引上げ設備に嵌合させるための役割を果たす接続要素と、前記引上げ設備における前記上方部分(402)の径方向位置合わせ用要素(107)とを備え、前記装置はさらに、
下方部分(401)を備え、前記下方部分(401)は、
3つの把持アーム(103)を備え、前記3つの把持アーム
(103)は、一方端部が前記送りロッド(101)の側面における溝(102)に嵌合するとともに他方端部が回転可能に取付けられるように形成されており、
3つの長さ調節可能スペーサ要素(105)は、それぞれが把持アーム(301)に力を及ぼすことができるように前記上方部分(402)に取付けられており、
前記上方部分(402)と前記下方部分(401)とは
軸受により接続されており、前記軸受は、自己調心的に取外し可能に嵌合した状態で
互いに対して径方向に接続する、装置。
【請求項2】
前記径方向位置合わせ用要素(107)はリニアガイド(404)を備え、前記リニアガイド(404)は、それぞれが行なう線形の案内を前記引上げシャフトに対して垂直に行なうことができるように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記3つの把持アーム(103)は1つの部品からモノリシックに製造されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ゾーン溶融のための引上げ設備においてシリコンから単結晶ロッドを引上げるための方法であって、
(1)一方端部において側面に溝(102)を備える、シリコンの送りロッド(101)を設けるステップと、
(2)3つの把持アーム(301)を備えた下方部分(401)を取付けるステップとを含み、前記3つの把持アーム(301)は、一方端部が前記送りロッド(101)の前記溝(102)に嵌合するとともに他方端部が前記下方部分(401)に回転可能に取付けられるように形成されており、前記方法はさらに、
(3)接続要素(502)を含む上方部分(401)に、前記下方部分(401)を前記送りロッド(101)と共に懸架させるステップを含み、前記接続要素(502)は、前記上方部分(402)と前記下方部分(401)とが
、自己調心可能に嵌合した状態で径方向に接続可能な軸受によって互いに接続されるように、ゾーン引上げ設備の引上げシャフトに接続され、前記上方部分(402)は径方向位置合わせ用要素(404)を含み、3つの長さ調節可能スペーサ要素は、それぞれが把持アーム(301)に力を及ぼすことができるように前記上方部分に取付けられており、前記方法はさらに、
(4)前記溝(102)が位置する端部における前記送りロッドの前記回転軸が前記引上げシャフトの前記回転軸と一致するように径方向位置合わせ用要素(107)を移動させるステップと、
(5)前記溝(102)とは反対側の端部における前記送りロッド(101)の前記回転軸が前記引上げシャフトの前記回転軸と一致するように前記長さ調節可能スペーサ要素を設定するステップと、
(6)単結晶ロッドの円錐部分を引上げるステップと、
(7)前記単結晶ロッドの円筒部分を引上げるステップとを含む、方法。
【国際調査報告】