(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】高精度、高帯域幅スイッチング・アッテネータ関連アプリケーション
(51)【国際特許分類】
G01R 13/22 20060101AFI20240325BHJP
G01R 1/06 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
G01R13/22 E
G01R1/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562313
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 US2022024015
(87)【国際公開番号】W WO2022217046
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル・ジュリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】クニーリム・ダニエル・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ヒックマン・バートン・ティ
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AC05
2G011AC32
2G011AF04
(57)【要約】
装置は、少なくとも2つの導電パスを有する少なくとも1つの基板と、第1平面に配置された少なくとも2つのコネクタと、少なくとも1つの基板の中の1つの基板と接続され、第1平面と垂直に1つの基板を移動させて、少なくとも2つのコネクタの中の2つコネクタ間に導電性パスを形成する可動ステージとを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2端部に第1及び第2接点を有する第1基板と、
第1及び第2端部に接点を有する第2基板と、
同一平面内に配置される少なくとも2つのコネクタであって、少なくとも1つのコネクタは上記第1及び第2基板の上記第1端部に隣接して配置され、少なくとも1つのコネクタは上記第1及び第2基板の上記第2端部に隣接して配置される上記少なくとも2つのコネクタと、
上記第1基板に接続され、上記第1基板を移動させ、上記少なくとも2つのコネクタに接触させて第1導電性パスを形成するように動作可能な第1ステージと、
上記第2基板に接続され、上記第2基板を移動させ、上記少なくとも2つのコネクタに接触させて第2導電性パスを形成するように動作可能な第2ステージと
を具える装置。
【請求項2】
上記第1及び第2コンタクタ・プレートが、
少なくとも2つのばね接点を有し、
上記少なくとも2つのばね接点のうちの少なくとも1つのばね接点が絶縁スリーブを有する請求項1の装置。
【請求項3】
上記少なくとも2つのコネクタが、
絶縁誘電体で囲まれた中心導体ばねと、
上記絶縁誘電体内のグラウンド接点アレイと、
上記中心導体の周りの同軸コネクタと
を有する請求項1の装置。
【請求項4】
上記第1及び第2導電性パスの1つが、スルー・パスから構成される請求項1の装置。
【請求項5】
上記スルー・パスが、横方向オフセットを有する請求項4の装置。
【請求項6】
上記第1及び第2導電性パスの少なくとも1つが、アッテネータを含む請求項1の装置。
【請求項7】
上記アッテネータが、バンドパス、ローパス及び連続時間線形等化処理(CTLE)のうちの1つから構成されるフィルタを有する請求項6の装置。
【請求項8】
上記第1ステージに接続され、該第1ステージを移動させるように構成された第1モータと、上記第2ステージに接続され、該第2ステージを移動させるように構成された第2モータとを更に有する請求項1の装置。
【請求項9】
少なくとも2つのステージのうちの少なくとも1つの位置を監視し、必要に応じて上記位置を調整するSパラメータ補正システムを更に具える請求項8の装置。
【請求項10】
少なくとも2つの導電性パスを有する基板と、
該基板を収容するハウジングと、
グラウンド及びばね接点に接続する接触構造を夫々有し、上記基板の位置に応じて上記導電性パスのうちの少なくとも1つに接続するように配置された、上記ハウジング内の複数の同軸コネクタと、
上記基板を移動させて上記少なくとも2つの導電性パスのうちの1つの位置を調整し、2つのコネクタ間の接続を形成するように動作可能な電動ステージと
を具える装置。
【請求項11】
ステージが移動するように作動させるコントローラを更に具える請求項10の装置。
【請求項12】
上記少なくとも2つの導電性パスは、3つの導電性パスを含み、これら導電性パスの少なくとも1つの導電性パスは、スルー・パス、減衰パス及び横方向オフセットを有するパスのうちの1つから構成される請求項10の装置。
【請求項13】
上記少なくとも2つの導電性パスは、4つの導電性パスを含み、これら導電性パスの上記導電性パスの少なくとも1つは、スルー・パス、横方向オフセットを有するパス及び減衰パスのうちの1つから構成される請求項10の装置。
【請求項14】
上記少なくとも2つの導電性パスのうちの少なくとも1つは、連続時間線形等化処理(CTLE)パスを含む請求項10の装置。
【請求項15】
上記2つの導電性パスのうちの少なくとも1つは、バンドパス・フィルタ又はローパス・フィルタのうちの1つから構成される請求項10の装置。
【請求項16】
実施例10から15のいずれかの装置であって、上記2つの導電性パスのうちの少なくとも1つは、時間領域反射率測定装置を含む請求項10の装置。
【請求項17】
上記接触構造が、誘電体に含まれるグラウンド・ピンのアレイと、ばね接点とを含む請求項10の装置。
【請求項18】
上記電動ステージは、第1平面中の少なくとも1つの軸に沿って、平行移動するように動作可能である請求項10の装置。
【請求項19】
上記電動ステージは、上記第1平面に対して垂直に移動するように動作可能である請求項18の装置。
【請求項20】
上記基板の位置を監視し、必要に応じて上記位置を調整するSパラメータ補正システムを更に具える請求項10の装置。
【請求項21】
上記同軸コネクタの少なくとも1つは、中心導体接点、誘電体接点及びグラウンド接点を夫々有する両面構造を含むインタフェース構造を有する請求項10の装置。
【請求項22】
少なくとも2つの導電パスを有する少なくとも1つの基板と、
第1平面に配置された少なくとも2つのコネクタと、
上記少なくとも1つの基板の中の1つの基板と接続され、上記第1平面と垂直に上記1つの基板を移動させて、上記少なくとも2つのコネクタの中の2つコネクタ間に導電性パスを形成する可動ステージと
を具える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2021年4月8日に出願された米国仮特許出願第63/172,375号「高精度、高帯域幅スイッチング・アッテネータ」及び2021年6月3日に出願された米国仮特許出願第63/196,381号「高精度、高帯域幅スイッチング・アッテネータ」の利益を主張し、その全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、試験測定システム、特に、試験測定装置又はシステム用のスイッチング・アッテネータに関する。
【背景技術】
【0003】
オシロスコープなどの試験測定装置は、光イーサネット(登録商標)、ワイヤレス及びその他の高速規格に準拠した被試験デバイス(DUT)の試験など、様々なアプリケーションで使用される。これらのアプリケーションでは、多くの場合、これらの高精度、広帯域幅の測定装置のダイナミック・レンジを切り替える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2011/0148456号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2010/0141363号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2011/0148501号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の測定装置では、ユーザが、外部同軸ターミネータ(終端装置)やアッテネータ(減衰器)を手作業で取り付けて、試験手順の様々な工程間でダイナミック・レンジを変更する必要がある。しかし、このような手作業でのユーザの介入は、非効率的でエラーが発生しやすく、これらの試験手順の自動化が非常に複雑になる。
【0006】
更に、このような外付けターミネータ又はアッテネータを使用すると、DUTから測定される信号にノイズやタイミング歪みなどのエラーを導入する可能性がある。場合によっては、このようなエラーを校正して修正できる場合もあるが、従来の試験システムでは、そのような修正を適用することも手作業のプロセスである。
【0007】
開示された技術の実施形態は、従来の試験システムのこれら及び他の欠点に取り組むものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ルーティング・スイッチ装置を含むシステムの一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、接触プレートの一実施形態の2つの図を示す。
【
図4】
図4は、様々な位置にあるルータ装置の実施形態の側面図を示す。
【
図5】
図5は、様々な位置にあるルータ装置の実施形態の側面図を示す。
【
図6】
図6は、様々な位置にあるルータ装置の実施形態の側面図を示す。
【
図8】
図8は、可動ステージを有するルータの一実施形態を示す。
【
図9】
図9は、複数のパス(経路)を有するルーティング基板の一実施形態を示す。
【
図10】
図10は、プリント回路基板を備えたルータの一実施形態を示す。
【
図12】
図12は、インタフェース構造を有する固定基板と可動基板とを有するルータの一実施形態を示す。
【
図13】
図13は、ルータの固定プレート構成要素の一実施形態を示す。
【
図14】
図14は、固定基板と可動基板とを備えたルータの一実施形態を示す。
【
図16】
図16は、ルーティング基板上の導電パスの一実施形態を示す。
【
図17】
図17は、ルーティング基板上の導電パスの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一態様は、業界最高の絶縁、低挿入損失及び低反射を提供するアッテネータ用の小型構造スイッチング機構を含む。本開示の別の態様は、スイッチング機構の状態を監視し、スイッチング機構の特定の位置に基づいて補正を適用することによって、例えば、スイッチング機構の特定の位置によって引き起こされる寄生効果を補正するために、試験システムの応答を自動的に調整する方法及びシステムを含む。本開示技術の実施形態によれば、様々なシグナリング規格に従ったDUTの試験を自動化できる。本開示技術の実施形態によれば、例えば、試験システムが、オン・ザ・フライ(on-the-fly)ダイナミック・レンジ・スイッチングを使用して、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)第7世代又は256GBdイーサネット(登録商標)規格に従って、DUTを試験し、手作業のアッテネータ調整のために中断することなく、長いサイクル・タイムの試験を実行できる。
【0010】
本願の実施形態は、少なくとも2つのコネクタ間を、少なくとも2つの異なる導電パスを有するスイッチング基板を移動させる。これらパスは、これらコネクタの中の2つを接続して、それらの間で信号を伝送する。これらパスの1つは、本願で「スルー・パス(through path)」と呼ばれるパスから構成され、これは、これらコネクタの中の1つに入ってくる信号を、別のコネクタに接続し、次いで、このコネクタは、信号を伝送する。典型的には、この接続は、被試験デバイス(DUT)とオシロスコープなどの試験測定装置との間で行われる。
図1は、これらの装置にスイッチング装置等を採用したシステムの一実施形態を示す。
【0011】
図1の試験測定システムは、試験測定装置12と、スイッチ22とを備えている。試験測定装置12は、別のコンピューティング・デバイスに接続しても良いし、自己完結型であっても良い。デバイス12は、複数のコンポーネントを有しても良く、その中のいくつかのみを本願では説明する。装置には、ユーザが、試験パラメータを入力できるようにするディスプレイ(これは、タッチスクリーンでも良い)、様々な操作装置、ノブ、ライトなどから構成されるユーザ・インタフェース18があり、また、スイッチ22を操作する能力を有していても良い。試験測定装置12は、被試験デバイスから受信したデータ、設定、試験プロファイルなどを格納するメモリ16なども有していても良い。ハードウェア14は、アナログ・デジタル・コンバータ、アナライザなどの多種多様なハードウェア・コンポーネントを有していても良い。試験測定システムは、また、外部コンピューティング・デバイス26に接続しても良く、外部コンピューティング・デバイス26は、受信したデータについての分析の一部又は全部を実行しても良い。
【0012】
これらの実施形態では、ハードウェア14は、以下でより詳細に説明するルーティング・パスを変更するためにスイッチのプラッタを移動させるモータ及びコントローラも有していても良い。これに代えて、モータ及びコントローラ機械装置(machinery)20は、ハードウェア・モジュール14の外部にあってもよく、試験測定装置12の外部にあっても良い。ある機械装置は、基板を移動させるための可動ステージを含んでもよく、各ステージがモータを有しても良い。例えば、一実施形態では、それぞれが独自のモータを有する2つのステージが存在しても良い。
【0013】
ルータ22は、被試験デバイス(DUT)24と被試験測定装置との間に接続される。
図1は、試験測定装置12の外部にあるルーティング・スイッチ(本願ではルータと呼ぶ)22を図示しているが、いくつかの実施形態では、ルータ22が、試験測定装置12と同じ筐体内にあっても良い。概して、ルータ装置22によれば、より自動化された方法での高周波信号のルーティング(配信)が可能になり、機械装置においてSパラメータ補正システムを採用しても良い。この補正システムは、モータ、コントローラ又はその他の位置決めメカニズムの位置を監視して、特定の構成について修正するために、応答を自動的に調整する。現在、ユーザは外部の同軸ターミネータ(終端装置)を手動でインストールする必要があるため、自動試験は非常に複雑である。更に、このアプローチには、いかなる種類の位置修正も含まれていなかった。
【0014】
上述したように、1つの導電パス(経路)は、スルー・パスであっても良い。別のパスは、「減衰パス」から構成されても良い。典型的には、「アッテネータ(減衰器)」という用語は、信号の強度を低下させる、即ち、無線周波数(RF)又は他の信号などの信号を減衰させる抵抗の配置を含む。この説明の目的上、「減衰」パスには、ローパス又はバンドパス・フィルタ、連続時間線形等化(CTLE)フィルタ、RFリミッタ、静電放電(ESD)保護回路などの構造を形成するための抵抗及びその他の回路要素が含まれる場合がある。このスイッチング装置の別の態様は、後でより詳細に説明する、時間領域反射率測定(time domain reflectometry:TDR)機能回路などの、そうでなければ信号パスに寄生成分を追加するであろう回路でスイッチングする能力を含む。
【0015】
図2は、自動ルーティング機能を有するルータの一実施形態を示す。このルータには、コネクタ30及び32がある。コネクタには、ユーザが標準の同軸ケーブルを接続できるようにする同軸端部がある。コネクタの他端には、コネクタ30について図示した接点(contacts:コンタクト)32があり、これは、コネクタの同軸端部の中心導体に接続されたばね接点(spring contacts)であっても良い。コネクタ31には、この図では見えない中心導体がある。これらの接点により、基板36及び38は、コネクタに接触する位置に移動可能となる。
図2において、第1基板36には、その接触(コンタクト)プレート53などと、基板36の他端部にある他方の接触プレート(この図では見えない)との間に、第1導電パス(この図では見えない)がある。第2基板38には、接触プレート50及び51の間に、別の導電パスがある。導電パスは、
図2に示すグラウンド-信号-グラウンド・パス、グラウンド40、信号42及びグラウンド44から構成されても良い。導電パスのこの実施形態は、アッテネータ46を含み、アッテネータ信号パスを形成する。
【0016】
接点50及び51などにより、これらコネクタ、これらそれぞれのばね接点、基板上の信号導電パス及び接触プレート間に、導電パスを形成できる。
図3は、接触プレート50の一実施形態の2つの図を示す。上側の図は、突出したばね接点52、54、56を示す接触プレートの側面図又は端面図である。下側の図は、接触プレートの上面図であり、2つのグラウンド接点52及び54と、中心接点56と、これを囲む誘電体58とを示す。
【0017】
図4~
図6は、これらの構造又はこれらに類似する構造を所定の位置に配置した状態で、スイッチ内でこれら基板が異なる位置の間を移動するときの図を示す。この実施形態では、プラッタ(platter:円盤、大皿)36及び38の両方が移動する能力を有する。2つの基板36及び38が、一体となって上下に移動するように結合されてもよく、可動ステージや他の可動部が、これらが移動する能力を提供しても良い。
【0018】
図4は、基板38及び36の夫々の端部に隣接して配置されたコネクタ30及び31の側面図を示す。これらコネクタは、コネクタの中心導体32及び33とグラウンド接点とが、
図4に示す基板38の接触プレート50及び51、基板36の接触プレート53及び54の対応する構造と整合するように配置される。これら接触プレートは、両方の基板上にある。
図4の位置は、コネクタ30及び31間に接続が存在しないオープンの位置である。
【0019】
図5は、上側パス配置におけるスイッチを示す。基板36は、独立して、又は、基板38とユニットとして(一体化して)移動して、コネクタ30及び31に接触する。コネクタ上の接点32及び33と接触プレート53及び54との間に接続が生じると、2つのコネクタ間に導電パスが形成される。
図6では、下側の基板38が移動して、接触プレート50及び51を用いてコネクタ間に導電パスを形成し、そして、基板38上に導電パスを形成している。コネクタは、その独自の構造により、これらの接続を可能にする。2つの基板は、1つがアッテネータを有しつつ、1つがスルー・パスであったり、又は、それぞれが異なるアッテネータを有する、など、異なる特性を有する導電パスを与えても良い。
【0020】
図7は、
図4~
図6のコネクタ30などとは異なる構成のコネクタ48の一実施形態を示している。コネクタ48には、誘電体56とグラウンド57とで囲まれた中心導体55を有する面部(face portion)がある。この第2の部分49は、中心導体47、誘電体59及び58などのグラウンド接点のアレイを有するインタフェース・アセンブリである。このインタフェース部49には、この図では見えない反対側に、同様の構造がある。
【0021】
図8は、1つの可動基板のみを有するスイッチ装置の一実施形態を示している。ここでは透明で示されているハウジング60は、様々な導電パスを有する基板62と、線形又は平行移動ステージ64とを収容している。このステージは、x-y平面として軸上に示される第1平面内の様々な位置間にプラッタを移動させる。ステージは、通常、この平面の2方向の中のいずれか(この場合は、x-y平面のx方向)にのみ移動させる。また、ステージは、プラッタをx-y平面に垂直なz方向(上下)に移動させる。接触(コンタクト)プレートは、ルーティング基板を良く見ることができるように、
図8には示していない。
【0022】
コネクタ間の接続を形成するために、ステージは、この図面に比較してz軸を上方向へと基板62を移動させて、コネクタの端部を、最も近い基板に接触させる。また、ステージは、プラッタを、z軸を下方向へ移動させ、x軸に沿って(横へと)移動させ、それから、z軸を再度上方向へ移動させて、コネクタ間に様々なパスを形成する。一実施形態では、コネクタ68及び70が、試験測定装置の入力コンポーネントに対応しても良い。コネクタ66は、典型的には、DUTフィクスチャからのオシロスコープの入力コネクタに対応しても良い。
【0023】
図9は、
図8に示された3つのあり得るパスと、これらに関連する接触プレートに、より近づいて見た図を示す。パス74は、コネクタ66とコネクタ68との間の接続を形成する。この説明では、このパスのようなパスを、減衰の有無に関係なく、互いに1直線上にないコネクタ間の接続を形成することを示すために、「横方向オフセット」パスと呼ぶ。各パスは、コネクタへの接触を提供するために、精密ばね板72などを有していても良い。
図4を再度参照すると、ここにある接触プレートは、コネクタが接触できるように、基板の端部に存在する。可動基板を1つだけ有する実施形態では、コネクタがx軸(又はy軸)方向に平行移動し、z軸方向に接触プレートへ移動できるため、接点が、端部から離れて存在しても良い。
【0024】
横方向オフセット・パス74により、特定の電圧範囲などの特定の目的のために設計されたTDR(time domain reflectometer:時間領域反射率測定装置)又は特定のASIC(特定用途向け集積回路)へ接続できるようにしても良い。パス76は、コネクタ66と70との間のスルー・パスを提供し、パス78は、コネクタ66と70との間のアッテネータ80を含む減衰するパスを提供する。アッテネータ・パスには、上述したように、いくつかの機能があっても良く、これには、大きな入力信号を試験測定装置の入力ハードウェアのダイナミック・レンジにより良く整合させるために、信号電圧を下げることが含まれる。基板は、多数の異なるタイプの減衰を含む多種多様なパスを有しても良いが、移動によって、少なくとも2つの導電パスのうちの1つの選択できるようになろう。
【0025】
図10は、線形ステージを示し、そのルーティング・プラッタは、その上に構築された精密ばねプレートを有し、オシロスコープへ信号を送信するセラミック基板と係合する。この図では、ハウジング60は不透明であり、コネクタ68などは、ルーティング装置の「下」に存在する。
【0026】
1つの基板のみが移動するいくつかの実施形態では、接触構造は、前の実施形態と異なっていても良い。本実施形態では、可動基板をルーティング(配信)基板と呼ぶこともできる。
図11は、ルーティング基板上に存在しても良い異なるタイプの接点構造の実施形態を示す。
図11は、ルータ内の固定基板上に配置しても良いコネクタ82の上面図を示す。ばねチップ84は、コネクタの中心導体と、セラミック基板上のばねプレートとの接続を形成する。グラウンド接点86などのアレイも、コネクタに存在して、同軸部分のグラウンド編組/グラウンド部(body)/グラウンド接点に接続する。
【0027】
図12は、
図7と同様に、異なる接触構造を有する可動基板の一実施形態を示す。
図12では、可動基板88は、第1軸に沿って平行移動し、また、このページに対して相対的に上下に移動する。可動基板88の下側には、回路部品やその他の構造物が含まれていても良い。インタフェース構造92は、
図7の両面インタフェース部49に類似していても良く、ケーブル93と可動基板88とを接続する。ケーブル93には、中心導体95、誘電体96及びグラウンド97を有する面94がある。複数のケーブル93などがあっても良く、それぞれが可動基板から離れた場所で異なる接続を行う。加えて又はこれに代えて、プラッタは、様々な伝送パスで固定基板90に接続できるように、その下側に複数のインタフェースを有しても良い。
【0028】
インタフェース構造92は、ケーブル上又は可動基板88上に存在しても良い。同様に、簡単のために図示していないが、追加のインタフェース構造が、可動基板88上又は固定基板90上に存在しても良い。この実施形態によれば、ケーブル93と、固定基板90上の伝送パス91との接続が可能になる。この伝送パスは、基板の50Ωインピーダンスの伝送パスであっても良い。
【0029】
図13は、ルータの固定基板100の一実施形態を示す。固定基板100は、接触(コンタクト)構造102、104及び106を有する。コンタクタ102は、試験測定装置のハードウェアへの入力コネクタであってもよく、集積回路112に接続されても良い。コンタクタ104は、入力ケーブル110に接続される。コンタクタ106は、入力ケーブル108に接続される。これらは、あり得る接続部の単なる例に過ぎず、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
【0030】
図14は、ルーティング(配信)基板114の概要を示している。図示の構成において、導電パスは、接触構造106及び104を介して、
図13のケーブル110から108を接続する。
図14に見られるように、可動基板は複数のパスを有する。
【0031】
図15は、4つのパスを有するルーティング基板114の一実施形態を示す。この実施形態では、パス116は、
図13に示す入力接触構造102の無いバイパス・ルートを形成する。パス118及び120は、接触構造102及び104と、これらに対応するケーブルとの間のストレート接続を形成する。2つのパス118及び120は、CTLE(continuous time linear equalization:連続時間線形等化処理)パスである。CTLEパスは、通常、下向きに傾斜した損失の多い信号パスとマッチングさせた上向きに傾斜した応答を有するフィルタから構成される。パス122は、コネクタ間のスルー・パスを形成する。他のタイプの減衰パスとしては、ローパス、バンドパス、フィルタ、ACカップリング、RFリミッタ、ESD保護、TDR素子などがある。
【0032】
図16は、TDRパスを含むルーティング基板上のルーティング・パスの一実施形態を示す。ポジション1では、試験測定装置は、標準機能で動作し、信号は寄生成分なしでDUTから測定装置に伝達される。ポジション2では、TDR信号源を信号パスに切り替える。工場での校正により、抵抗性スプリッタによる入射パスと反射パスの損失を補正できる。抵抗性スプリッタは、他の形式をとっても良いことに注意されたい。TDRは、従来のタイプの信号で構成されているが、チャープ(chirp)、インパルス、AC結合ステップなど、あらゆる広帯域信号を使用できる。試験測定装置は、これら信号形状のどれでもTDR形式の表示に戻すことができる。グラウンド(接地)されたコプレーナ(co-planar)導波路構造では、最適な性能を得るために、結合回路を部分的にボードの背面に配置する必要がある場合がある。これらの非理想的な点のどれもが、校正されても良い。
【0033】
図17は、可動基板132を有するスイッチング・ルータの別の実施形態を示す。DUTからの入力信号は、コネクタ130を介して接続される。コネクタ130からのパスは、次に、試験測定装置の入力IC144に選択的に接続される。この実施形態では、これらパスとしては、減衰パス134、スルー・パス136、TDRに使用される信号用のTDR信号源140に接続されたTDRカプラ138及び校正信号源142を有していても良い。各パスは、可動基板132の移動に基づいて形成される
【0034】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0035】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0036】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0037】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0038】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0039】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
実施例
【0040】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0041】
実施例1は、装置であって、第1及び第2端部に第1及び第2接点を有する第1基板と、第1及び第2端部に接点を有する第2基板と、同一平面内に配置される少なくとも2つのコネクタであって、少なくとも1つのコネクタは上記第1及び第2基板の上記第1端部に隣接して配置され、少なくとも1つのコネクタは上記第1及び第2基板の上記第2端部に隣接して配置される上記少なくとも2つのコネクタと、上記第1基板に接続され、上記第1基板を移動させ、上記少なくとも2つのコネクタに接触させて第1導電性パスを形成するように動作可能な第1ステージと、上記第2基板に接続され、上記第2基板を移動させ、上記少なくとも2つのコネクタに接触させて第2導電性パスを形成するように動作可能な第2ステージとを具える。
【0042】
実施例2は、請求項1の装置であって、上記第1及び第2コンタクタ・プレートが、少なくとも2つのばね接点を有し、上記少なくとも2つのばね接点のうちの少なくとも1つが絶縁スリーブを有する。
【0043】
実施例3は、実施例1及び2のいずれかの装置であって、上記少なくとも2つのコネクタが、絶縁誘電体で囲まれた中心導体ばねと、上記絶縁誘電体内のグラウンド接点アレイと、上記中心導体の周りの同軸コネクタとを有する。
【0044】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの装置であって、上記第1及び第2導電性パスの1つが、スルー・パスから構成される。
【0045】
実施例5は、実施例4の装置であって、上記スルー・パスが、横方向オフセットを有する。
【0046】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの装置であって、上記第1及び第2導電性パスの少なくとも1つが、アッテネータを含む。
【0047】
実施例7は、実施例6の装置であって、上記アッテネータが、バンドパス、ローパス及び連続時間線形等化処理(CTLE)のうちの1つから構成されるフィルタを有する。
【0048】
実施例8は、実施例1から7のいずれかの装置であって、上記第1ステージに接続され、該第1ステージを移動させるように構成された第1モータと、上記第2ステージに接続され、該第2ステージを移動させるように構成された第2モータとを更に有する。
【0049】
実施例9は、実施例8の装置であって、少なくとも2つのステージのうちの少なくとも1つの位置を監視し、必要に応じて上記位置を調整するSパラメータ補正システムを更に具える。
【0050】
実施例10は、装置であって、少なくとも2つの導電性パスを有する基板と、該基板を収容するハウジングと、グラウンド及びばね接点に接続する接触構造を夫々有し、上記基板の位置に応じて上記導電性パスのうちの少なくとも1つに接続するように配置された上記ハウジング内の複数の同軸コネクタと、上記基板を移動させて上記少なくとも2つの導電性パスのうちの1つの位置を調整し、2つのコネクタ間の接続を形成するように動作可能な電動ステージとを具える。
【0051】
実施例11は、実施例10の装置であって、ステージが移動するように作動させるコントローラを更に具える。
【0052】
実施例12は、実施例10及び11のいずれかの装置であって、上記少なくとも2つの導電性パスは、3つの導電性パスを含み、これら導電性パスの少なくとも1つの導電性パスは、スルー・パス、減衰パス及び横方向オフセットを有するパスのうちの1つから構成される。
【0053】
実施例13は、実施例10から12のいずれかの装置であって、上記少なくとも2つの導電性パスは、4つの導電性パスを含み、これら導電性パスの上記導電性パスの少なくとも1つは、スルー・パス、横方向オフセットを有するパス及び減衰パスのうちの1つから構成される。
【0054】
実施例14は、実施例10から13のいずれかの装置であって、上記少なくとも2つの導電性パスのうちの少なくとも1つは、連続時間線形等化処理(CTLE)パスを含む。
【0055】
実施例15は、実施例10から14のいずれかの装置であって、上記2つの導電性パスのうちの少なくとも1つは、バンドパス・フィルタ又はローパス・フィルタのうちの1つから構成される。
【0056】
実施例16は、実施例10から15のいずれかの装置であって、上記2つの導電性パスのうちの少なくとも1つは、時間領域反射率測定装置(time domain reflectometer)を含む。
【0057】
実施例17は、実施例10から16のいずれかの装置であって、上記接触構造が、誘電体に含まれるグラウンド・ピンのアレイと、ばね接点とを含む。
【0058】
実施例18は、実施例10から17のいずれかの装置であって、上記電動ステージは、第1平面中の少なくとも1つの軸に沿って、平行移動するように動作可能である。
【0059】
実施例19は、実施例18の装置であって、上記電動ステージは、上記第1平面に対して垂直に移動するように動作可能である。
【0060】
実施例20は、実施例10から19のいずれかの装置であって、上記基板の位置を監視し、必要に応じて上記位置を調整するSパラメータ補正システムを更に具える。
【0061】
実施例21は、実施例10から20のいずれかの装置であって、上記同軸コネクタの少なくとも1つは、中心導体接点、誘電体接点及びグラウンド接点を夫々有する両面構造を含むインタフェース構造を有する。
【0062】
実施例22は、装置であって、少なくとも2つの導電パスを有する少なくとも1つの基板と、第1平面に配置された少なくとも2つのコネクタと、上記少なくとも1つの基板の中の1つの基板と接続され、上記第1平面と垂直に上記1つの基板を移動させて、上記少なくとも2つのコネクタの中の2つコネクタ間に導電性パスを形成する可動ステージとを具える。
【0063】
明細書、特許請求の範囲、要約書及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。
【0064】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【国際調査報告】