(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-01
(54)【発明の名称】アミノシリコーン、顔料および特定のアルキレングリコールを含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20240325BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240325BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240325BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240325BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/86
A61K8/39
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564216
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022057872
(87)【国際公開番号】W WO2022223236
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102021203918.9
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】クルック,コンスタンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルビヒ,ザンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モッホ,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーザー,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】ブロイアー,インメ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB232
4C083AB351
4C083AB371
4C083AB431
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD392
4C083BB21
4C083CC36
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、(a1)少なくとも式(AG):[式中、xは、1~10,000の整数である]のアルキレングリコール;(a2)少なくとも1つの顔料;および(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)少なくとも式(AG):
【化1】
[式中
xは、1~10,000の整数である]
のアルキレングリコール、
(a2)少なくとも1つの顔料、および
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤。
【請求項2】
(a1)式(AG-1):
【化2】
[式中
x1は、1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数である]
の少なくとも1つのアルキレングリコールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
(a1)式(AG-2):
【化3】
[式中、
x2は、101~1,000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を示す]
の少なくとも1つのアルキレングリコールを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の剤。
【請求項4】
剤の総重量に基づいて、総量で10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%の、式(AG)の1つまたは複数のアルキレングリコール(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
剤の総重量に基づいて、総量で20.0~99.0重量%、好ましくは40.0~95.0重量%、より好ましくは60.0~90.0重量%の(a1)式(AG-1)の1つまたは複数のアルキレングリコールを含むこと、および/または総量で1.0~35.0重量%、好ましくは3.0~30.0重量%、特に好ましくは4.0~25.0重量%の式(AG-2)の1つまたは複数のアルキレングリコールを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、錯金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物でコーティングされた雲母系着色顔料の群から選択される少なくとも1つの顔料(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100またはCI 74160の青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000またはCI 47005の黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570またはCI 74260の緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370またはCI 71105のオレンジ顔料、およびカラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料の群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の剤。
【請求項8】
組成物の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の顔料(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の剤。
【請求項9】
(a3)少なくとも1つの第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
式(Si-amino):
【化4】
[式中
ALK1およびALK2は、互いに独立して、直鎖または分枝の2価C
1-C
20アルキレン基を表す]
の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の剤。
【請求項11】
式(Si-I)および式(Si-II):
【化5】
の構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の剤。
【請求項12】
組成物の総重量に基づいて、総量で0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の1つまたは複数のアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の剤。
【請求項13】
総重量に基づいて、0.1~70.0重量%、好ましくは0.5~35.0重量%、より好ましくは1.0~20.0重量%、特に好ましくは1.5~7.5重量%の水を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の剤。
【請求項14】
少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドを含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の剤。
【請求項15】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、請求項1~14に記載の剤をケラチン繊維に適用し、30秒~45分の曝露時間の後に場合によりすすぎ流す、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、式(AG)の少なくとも1つのアルキレングリコール(a1)、少なくとも1つの顔料(a2)および少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤である。
【0002】
本出願のさらなる主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であり、上述の剤をケラチン物質に適用し、適切な場合30秒~45分の暴露時間の後に、再度洗い流す。
【背景技術】
【0003】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪の形状および色を変えることは、現代化粧品の重要な分野である。当業者は、カラーリングの要求に応じて、毛髪の色を変えるための様々なカラーリングシステムを知っている。酸化染料は一般的に、堅牢度が高く、灰色をうまくカバーする、永久的で強い染色に使用される。このような着色剤には、酸化染料前駆体(デベロッパー成分およびカプラー成分として知られている)が含まれ、これらは、例えば過酸化水素などの酸化剤の影響下で実際の染料を形成する。酸化染料は、色の仕上がりが非常に長持ちする点で特徴付けられる。
【0004】
直接染料を使用すると、すでに形成された染料がカラーリング剤から毛髪繊維の中に拡散する。酸化染毛剤と比較すると、直接染料で得られる色は耐久性が低く、早く洗い流される。直接染料での色は、通常5回~20回の洗髪の間、毛髪に残る。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短時間変化させるための着色顔料の使用は知られている。着色顔料は一般に不溶性の着色物質を意味すると理解されている。これらは着色調製物中に小粒子の形態で未溶解のまま存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚表面にのみ沈着する。そのため、界面活性剤含有洗浄剤で数回洗浄すれば、一般的に残留することなく再び除去できる。この種の製品はヘアマスカラという名で、様々なものが市販されている。
【0006】
ユーザーが特に長持ちする着色を望む場合、これまでは酸化着色剤の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、何度も最適化を試みたにも関わらず、酸化染毛では不快なアンモニア臭またはアミン臭を完全に避けることはできない。酸化着色剤の使用に伴う毛髪の損傷が残ることも、ユーザーの毛髪に不利な影響を与える。したがって、代替となる高性能の染料および染色工程を探すことが、継続的な課題となっている。最近では、顔料に基づく染色システムに特に注目が集まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
極めて耐久性のある方法で毛髪に顔料を定着させることを可能にする着色剤を提供することが本発明の目的であった。この剤を染色法に使用する場合、良好な洗浄堅牢性、良好な摩擦堅牢性、良好な平滑特性、および特に均一な色結果を伴う、特に強い染色結果が達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、少なくとも式(AG)のアルキレングリコール(a1)、少なくとも1つの顔料(a2)、および少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む剤でケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色すると、前述の目的が卓越した方法で達成できることが見出された。
【0009】
本発明の第一の主題は、
(a1)少なくとも式(AG):
【化1】
[式中、
xは、1~10,000の整数である]
のアルキレングリコール
(a2)少なくとも1つの顔料、および
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤である。
【0010】
本発明に至る研究の範囲内で、顔料が、式(AG)の少なくとも1つのアルキレングリコールおよび少なくとも1つのアミノシリコーンとの混合物で、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用されると、非常に良好な発色結果が得られることが見出された。特に、着色された毛髪の洗浄堅牢性と摩擦堅牢性を向上させることができた。
【0011】
ケラチン物質
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、および爪(例えば、指の爪および/または足の爪など)を意味すると理解される。さらに、ウール、毛皮、および羽毛もケラチン物質の定義に該当する。
【0012】
ケラチン物質は、好ましくはヒトの毛髪、ヒトの皮膚、およびヒトの爪、特に指の爪と足の爪であると理解される。ケラチン物質は、非常に特に好ましくはヒトの毛髪を意味すると理解される。
【0013】
着色剤
本発明の範囲内で、「着色剤」という用語は、顔料の使用によってもたらされるケラチン物質、特に毛髪の着色のために使用される。この着色により、着色化合物としての顔料は、ケラチン物質の表面に特に均質で均一な膜を形成する。
【0014】
本発明によれば、着色剤は即時使用可能な剤である。この即時使用可能な剤は、例えば、容器に充填し、希釈、混合、または他の方法による工程をさらに行うことなく、この形態でケラチン物質に適用できる。しかしながら、保存安定性の理由から、即時使用可能な化粧剤は、美容師またはユーザーが使用直前にのみ製造することが非常に特に好ましいことが見出されている。即時使用可能な剤を調製するために、例えば、アルキレングリコール(AG)(a1)および顔料(a2)と、1つまたは複数の追加の剤との混合または予備分散を行うことができ、これらの追加の剤の1つは、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む。しかしながら、即時使用可能な剤が、少なくとも3つの異なる剤(ここで、これらの剤の1つは、少なくとも1つのアルキレングリコール(AG)(a1)を含み、追加の剤は、少なくとも1つの顔料(a2)を含み、さらに別の剤は、少なくともアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む)を混合することによって製造されることも同様に考えられる。この手段は、例えば、振とうすることによって混合でき、この方法では、分散された顔料の非常に特に均一な分布を保証する。
【0015】
言い換えると、本発明の第一の主題は、化粧品キャリア中に
(a1)少なくとも式(AG):
【化2】
[式中、
xは、1~10,000の整数である]
のアルキレングリコール
(a2)少なくとも1つの顔料、および
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤である。
【0016】
式(AG-1)のアルキレングリコール(a1)
本発明に必須の第2の成分(a1)として、本発明による剤は、式(AG):
【化3】
[式中、
xは、1~10,000の整数である]
の少なくとも1つのアルキレングリコールを含む。
【0017】
驚くべきことに、式(AG)の少なくとも1つの特定のアルキレングリコールを使用することにより、本発明による剤をケラチン物質に適用した後の着色の洗浄堅牢性および摩擦堅牢性が大幅に改善されることが見出された。
【0018】
式(AG)のアルキレングリコールは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有するプロトン性物質であり、その繰り返し-CH2-CH2-O-単位のため、xが少なくとも2の値である限り、ポリエチレングリコールとも呼ばれる。式(AG)のアルキレングリコール(a1)において、xは1~10,000の整数である。本発明に至る研究の文脈内で、これらのポリエチレングリコールが、一方では着色剤の堅牢特性を改善し、他方では剤の粘度を最適に調整するために、特に好ましい適性を示すことが見出された。
【0019】
ポリエチレングリコールは鎖の長さにより、液体または固体の水溶性ポリマーである。200g/mol~400g/molの間の分子量のポリエチレングリコールは、室温で不揮発性の液体である。PEG 600の融点は17~22℃であり、ペースト状の粘稠度である。分子量が3000g/molを超えるPEGは固体物質であり、フレークまたは粉末として市販されている。
【0020】
特に低分子量アルキレングリコール(または、ポリエチレングリコール)の使用は、本発明による目的を達成するのに適していることが証明されている。本発明の文脈における低分子量アルキレングリコール(またはポリエチレングリコール)の場合、x1は1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を示す。
【0021】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内で、本発明による剤は、
(a1)式(AG-1):
【化4】
[式中、
x1は、1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数である]
の少なくとも1つのアルキレングリコール
を含むことを特徴とする。
【0022】
特に好ましい低分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG-8である。PEG-8は、平均して8個のエチレングリコール単位(x1=8)を含み、平均分子量は400g/molで、CAS番号は25322-68-3である。PEG-8はPEG 400とも呼ばれ、例えばAPSから市販されている。
【0023】
さらに適した低分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG-6、PEG-7、PEG-9およびPEG-10である。
【0024】
別の好適なポリエチレングリコールは、例えばPEG-32である。PEG-32は32個のエチレングリコール単位(x1=32)を含み、平均モル質量は1500g/molで、CAS番号は25322-68-3である。PEG-32はPEG 1500とも呼ばれ、例えばClariantから市販されている。
【0025】
さらに、本発明による目的を達成するために、高分子量のポリエチレングリコールを使用することも適していることが証明されている。
【0026】
本発明の意味における高分子量ポリエチレングリコールは、式(AG-2):
【化5】
[式中、指数x2は、101~10,000の整数を表す]
で表すことができる。
【0027】
非常に適した高分子量ポリエチレングリコールの場合、x2は101~1000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を示す。
【0028】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内で、本発明による剤は、
(a1)式(AG-2):
【化6】
[式中、x2は101~1000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を示す]
の少なくとも1つのアルキレングリコール
を含むことを特徴とする。
【0029】
非常に特に好適な高分子量ポリエチレングリコールは、例えばPEG 6000で、National Starch(中国)から市販されている。PEG 6000の分子量は6000~7500g/molで、x2値は136~171に相当する。
【0030】
別の適切なポリエチレングリコールはPEG 12000であり、例えば、Polyethylene Glycol 12000 S(またはPEG 12000 S)という商品名でCG Chemicalsから市販されている。PEG 12000の分子量は10,500~15,000g/molで、x2値は238~341に相当する。
【0031】
別の適切なポリエチレングリコールはPEG 20000であり、これはPolyglycol 20000 Pという商品名またはPEG-350という代替名でClariantから市販されている。PEG 20000の平均分子量は20,000g/molで、x2値は454に相当する。
【0032】
驚くべきことに、低分子量のポリエチレングリコールおよび高分子量のポリエチレングリコールの両方を含む着色剤は、非常に優れた堅牢特性を有し、レオロジープロファイルに関しても最適化されているため、特に好ましい適用特性を有することが見出されている。
【0033】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内で、本発明による剤は、
(a11)式(AG-1):
【化7】
[式中、x1は、1~100の整数、好ましくは1~80の整数、より好ましくは2~60の整数、さらに好ましくは3~40の整数、さらにより好ましくは4~20の整数、非常に特に好ましくは6~15の整数を示す]
の少なくとも1つの第1のアルキレングリコール、および
(a12)式(AG-2):
【化8】
[式中、x2は、101~1000の整数、好ましくは105~800の整数、より好ましくは107~600の整数、さらに好ましくは109~400の整数、非常に特に好ましくは110~200の整数を示す]
の少なくとも1つの第2のアルキレングリコール
を含むことを特徴とする。
【0034】
適用特性をさらに最適化するために、本発明による剤は、例えば剤の総重量に基づいて、10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%の範囲であり得る、好ましくは特定の量範囲でアルキレングリコール(AG)を含む。
【0035】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、式(AG)に対応する1つまたは複数のアルキレングリコール(a1)を、総量で10.0~99.0重量%、好ましくは30.0~99.0重量%、より好ましくは50.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは70.0~99.0重量%含むことを特徴とする。
【0036】
本発明による剤は、好ましくは、剤の総重量に基づいて、(a11)式(AG-1)の1つまたは複数のアルキレングリコールを、総量で20.0~99.0重量%、好ましくは40.0~95.0重量%、特に好ましくは60.0~90.0重量%含む。
【0037】
本発明による剤は、好ましくは、剤の総重量に基づいて、(a12)式(AG-2)の1つまたは複数のアルキレングリコールを、総量で1.0~35.0重量%、好ましくは3.0~30.0重量%、特に好ましくは4.0~25.0重量%含む。
【0038】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、(a1)式(AG-1)の1つ以上のアルキレングリコールを、総量で20.0~99.0重量%、好ましくは40.0~95.0重量%、より好ましくは60.0~90.0重量%、および/または、式(AG-2)の1つ以上のアルキレングリコールを総量で、1.0~35.0重量%、好ましくは3.0~30.0重量%、特に好ましくは4.0~25.0重量%含むことを特徴とする。
【0039】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、(a11)式(AG-1)の1つ以上のアルキレングリコールを、総量で20.0~99.0重量%、および(a12)式(AG-2)の1つ以上のアルキレングリコールを総量で、1.0~35.0重量%含むことを特徴とする。
【0040】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、(a11)式(AG-1)の1つ以上のアルキレングリコールを、総量で40.0~95.0重量%、および(a12)式(AG-2)の1つ以上のアルキレングリコールを総量で、3.0~30.0重量%含むことを特徴とする。
【0041】
別の非常に特に好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、(a11)式(AG-1)の1つ以上のアルキレングリコールを、総量で60.0~99.0重量%、および(a12)式(AG-2)の1つ以上のアルキレングリコールを総量で、4.0~25.0重量%含むことを特徴とする。
【0042】
ここで、剤中に含まれる全てのアルキレングリコール(AG)(a1)、顔料(a2)およびアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)の合計は、100重量%を超えることはできないと理解される。剤中にさらに任意成分が使用される場合、(a1)、(a2)および(a3)の合計は、対応する程度に減少し、100重量%未満の値となる。
【0043】
顔料(a2)
第2の必須成分として、本発明による剤は少なくとも1つの顔料(a2)を含む。本発明の意味における顔料とは、25℃の水に0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、さらに好ましくは0.05g/L未満の溶解度を有する染色化合物を意味すると理解される。例えば以下に記載される方法を、水への溶解度を決定するために使用することができる:ビーカーに0.5gの顔料を秤量する。撹拌子を加える。次に蒸留水1リットルを加える。この混合物をマグネチックスターラーで1時間撹拌しながら25℃に加熱する。この期間後、混合物中に顔料の未溶解成分がまだ見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L以下である。顔料-水混合物が、微細に分散し得る顔料の強度が高いために目視で評価できない場合、混合物はろ過される。未溶解の顔料の一部がろ紙上に残っている場合、顔料の溶解度は0.5g/L以下である。
【0044】
好適な着色顔料は、無機および/または有機由来であってよい。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明による剤は、無機顔料および/または有機顔料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0046】
好ましい着色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然由来の無機着色顔料は、例えばチョーク、黄土、アンブラ、緑土、バーントシェンナ、または黒鉛などから製造できる。さらに、例えば酸化鉄ブラックなどの黒色顔料、例えばウルトラマリンや酸化鉄レッドのような有彩色顔料、さらには蛍光顔料や燐光顔料も無機着色顔料として使用できる。
【0047】
着色金属酸化物、水酸化物および酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、錯金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。特に好ましい着色顔料は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、Cl 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、アイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、Cl 77510)および/またはカーマイン(コチニール)である。
【0048】
本発明による同様に特に好ましい着色顔料は、着色真珠光沢顔料である。これらは通常雲母をベースとしており、1つまたは複数の金属酸化物でコーティングされていてよい。雲母はフィロケイ酸塩である。これらのケイ酸塩の最も重要な代表は、白雲母、金雲母、パラゴナイト、黒雲母、レピドライト、およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせて真珠光沢顔料を製造するために、雲母、主に白雲母または金雲母を金属酸化物でコーティングする。
【0049】
天然雲母の代替として、1つまたは複数の金属酸化物でコーティングした合成雲母も真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然雲母または合成雲母に基づき、前述の金属酸化物の1種または複数でコーティングされている。それぞれの顔料の色は、金属酸化物の層厚を変えることで変化させることができる。
【0050】
別の好ましい実施形態において、本発明による剤は、好ましくは、着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、錯金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属オキシ塩化物でコーティングされた雲母ベースの着色顔料からなる群から選択される、少なくとも1つの無機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0051】
別の好ましい実施形態において、本発明による剤は、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/またはアイアンブルー(フェロシアン化鉄、CI 77510)からなる群から選択される1つまたは複数の金属酸化物でコーティングされた雲母系着色顔料から選択される顔料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0052】
特に好適な着色顔料の例は、例えば、MerckからRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)、SensientからAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)、Eckart Cosmetic ColorsからPrestige(登録商標)、およびSunstarからSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0053】
商品名Colorona(登録商標)の非常に特に好ましい着色顔料は、例えば以下の通りである。
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)、アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン(CI 77891), D&C RED NO. 30(CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン, 雲母, CI 77288(酸化クロム緑)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン(CI 77891), フェロシアン化鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン(CI 77891), 酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck,雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
【0054】
Xirona(登録商標)の商品名を有するさらなる特に好ましい着色顔料は、例えば以下の通りである。
Xirona Golden Sky, Merck, シリカ,CI 77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン),シリカ,酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ,CI 77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ,CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
【0055】
さらに、Unipure(登録商標)の商品名を有する特に好ましい着色顔料は、例えば以下の通りである。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient, CI 77491(酸化鉄),シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄),シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄),シリカ
【0056】
別の実施形態の範囲内において、本発明による剤は、(a2)有機顔料からなる群からの1つまたは複数の着色化合物も含有できる。
【0057】
本発明による有機顔料は、例えば、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインジド、ジオキサジン、および/またはトリアリールメタン化合物の群から選択され得る、対応する不溶性有機染料またはカラーレーキである。
【0058】
特に好適な有機顔料としては、例えば、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100またはCI 74160の青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000またはCI 47005の黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570またはCI 74260の緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370またはCI 71105の橙色顔料、およびカラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料を挙げることができる。
【0059】
別の特に好ましい実施形態において、本発明による剤は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100またはCI 74160の青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000またはCI 47005の黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570またはCI 74260の緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370またはCI 71105の橙色顔料、およびカラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1つの有機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0060】
有機顔料はさらにカラーレーキでもあり得る。本発明の範囲内のカラーレーキという用語は、吸収された染料の層を含む粒子を意味すると理解され、粒子と染料とからなるユニットは、上記の条件下で不溶性である。粒子は、例えば、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、またはアルミニウムなどの無機基質であってよい。
【0061】
例えば、アリザリンカラーレーキをカラーレーキとして使用できる。
【0062】
その優れた耐光性および耐熱性のために、本発明による方法における前述の顔料の使用は、非常に特に好ましい。使用される顔料が一定の粒径を有する場合、さらに好ましい。したがって、本発明によれば、少なくとも1つの顔料が1.0~50μm、好ましくは5.0~45μm、好ましくは10~40μm、特に14~30μmの平均粒径D50を有すると有利である。平均粒径D50は、例えば動的光散乱(DLS)を用いて決定できる。
【0063】
顔料(a2)は、本発明による剤の第二の不可欠な成分を表し、好ましくは、剤中である量範囲内で使用される。
【0064】
剤が、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の顔料(a2)を含む場合に、特にポジティブな結果が得られた。
【0065】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0066】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の無機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0067】
別の非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、特に好ましくは0.25~1.5重量%の1つまたは複数の有機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0068】
アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)
本発明に必須の第3成分として、本発明による剤は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む。アミノ官能化シリコーンポリマーは、アミノシリコーンまたはアモジメチコンとも呼ばれる。
【0069】
シリコーンポリマーは一般に、繰り返し有機単位を含む、分子量が少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、さらに好ましくは少なくとも5000g/molの高分子である。
【0070】
シリコーンポリマーの最大分子量は、重合度(重合モノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によっても決まる。本発明の文脈において、シリコーンポリマーの最大分子量は、107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下であると好ましい。
【0071】
シリコーンポリマーは多数のSi-O繰り返し単位を含み、Si原子は例えばアルキル基または置換アルキル基などの有機残基を有することができる。したがって、シリコーンポリマーは代替的にポリジメチルシロキサンとも呼ばれる。
【0072】
シリコーンポリマーの高分子量に対応して、これらは10超のSi-O繰り返し単位、好ましくは50超のSi-O繰り返し単位、特に好ましくは100超のSi-O繰り返し単位、非常に特に好ましくは500超のSi-O単位に基づく。
【0073】
アミノ官能化シリコーンポリマーとは、アミノ基を有する少なくとも1つの構造単位を有する官能化シリコーンを意味すると理解される。アミノ官能化シリコーンポリマーは、好ましくは、各場合に少なくとも1つのアミノ基を有する複数の構造単位を有する。アミノ基とは、第一級アミノ基、第二級アミノ基、および第三級アミノ基を意味すると理解される。これらのアミノ基はすべて酸性環境でプロトン化され、カチオンの形で存在する。
【0074】
原則として、アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)は、少なくとも1つの第一級アミノ基、少なくとも1つの第二級アミノ基、および/または少なくとも1つの第三級アミノ基を有する場合に、ポジティブな効果を達成することが可能であった。しかし、少なくとも1つの第二級アミノ基を含むアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)が剤に使用された場合に、最も高い色強度を持つ着色が観察された。
【0075】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明による剤は、
(a3)少なくとも1つの第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含むことを特徴とする。
【0076】
第二級アミノ基は、アミノ官能化シリコーンポリマーの異なる位置に存在することができる。式(Si-amino):
【化9】
の構造単位を少なくとも1つ、好ましくは複数有するアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を使用した場合に、特に良好な効果が見出された。
【0077】
式(Si-amino)の構造単位において、略号ALK1およびALK2は、それぞれ独立して、直鎖状または分枝状の2価C1-C20アルキレン基である。
【0078】
追加の非常に特に好ましい実施形態において、本発明による剤は、式(Si-amino):
【化10】
[式中、
ALK1およびALK2は、それぞれ独立して、直鎖状または分枝状の2価C
1-C
20アルキレン基を表す]
の少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0079】
アスタリスク(*)でマークした部位は、常にシリコーンポリマーの他の構造単位との結合を示す。例えば、アスタリスクに隣接するケイ素原子は、追加の酸素原子に結合でき、アスタリスクに隣接する酸素原子は、追加のケイ素原子に結合するか、またはC1-C6アルキル基に結合できる。
【0080】
二価C1-C20アルキレン基は、代替的に、二重結合C1-C20アルキレン基とも呼ばれ、これは、各部分ALK1またはALK2が2つの結合を有し得ることを意味する。
【0081】
ALK1の場合、ケイ素原子はALK1の部分に結合し、第二の結合はALK1と第二級アミノ基の間にある。
【0082】
ALK2の場合、第二級アミノ基はALK2の部分と結合し、第二結合はALK2と第一級アミノ基の間に形成される。
【0083】
直鎖2価C1-C20アルキレン基の例としては、例えば、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。C原子3個の鎖長から始まる2価のアルキレン基は、分岐していてもよい。分岐した2価C3-C20アルキレン基の例としては、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)が挙げられる。
【0084】
追加の特に好ましい実施形態において、式(Si-amino)の構造単位は、シリコーンポリマーが複数の式(Si-amino)の構造単位を含むように、アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)中の繰り返し単位を表す。
【0085】
以下に、少なくとも1つの第二級アミノ基を有する、特に好適なアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を挙げる。
【0086】
式(Si-I)および式(Si-II):
【化11】
の構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む剤をケラチン物質に適用した場合、最大の色強度を有する着色が得られた。
【0087】
追加の明示的に非常に特に好ましい実施形態において、本発明による剤は、式(Si-I)および式(Si-II):
【化12】
の構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0088】
構造単位(Si-I)および(Si-II)を有する対応するアミノ官能化シリコーンポリマーは、例えば、Dow Chemical Companyから市販されている製品DC 2-8566またはDowsil 2-8566 Amino Fluidであり、これらは「シロキサンおよびシリコーン、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-2-メチルプロピルMe、ジ-Me-シロキサン」という名称およびCAS番号106842-44-8を有する。構造単位(Si-I)および(Si-II)を有する別のアミノ官能化シリコーンポリマーとしては、例えば、同様にDow Chemical Companyから市販されている製品DOWSIL(商標)AP-8568 Amino Fluidである。
【0089】
別の好ましい実施形態の範囲内で、本発明による剤は、式(Si-III):
【化13】
[式中、
・mおよびnは、合計(n+m)が1~1000の範囲になるように選択された数を示し、
・nは、0~999の範囲の数値、およびmは1~1000の範囲の数値であり、
・R1、R2およびR3は、同一または異なっており、ヒドロキシル基またはC1-4アルコキシ基を示し、
・R1~R3基の少なくとも1つはヒドロキシル基を示す]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0090】
本発明に従う好ましい追加の剤は、式(Si-IV):
【化14】
[式中、
・pおよびqは、合計(p+q)が1~1000の範囲になるように選択された数を示し、
・pは、0~999の範囲の数値、およびqは1~1000の範囲の数値であり、
・R1およびR2は異なっており、ヒドロキシ基またはC1-4アルコキシ基を示し、基R1~R2の少なくとも1つはヒドロキシ基を示す]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0091】
式(Si-III)および(Si-IV)のシリコーンは、窒素含有基を有するSi原子上の部分によって異なる。式(Si-III)中、R2はヒドロキシル基またはC1-4アルコキシ基を示す一方、式(Si-IV)中の残基はメチル基である。添字mおよびnまたはpおよびqで示される個々のSi部分は、ブロックとして存在する必要はない;その代わりに、個々の単位はランダムに分布もできる、すなわち、式(Si-III)および(Si-IV)において、各R1-Si(CH3)2基は、必ずしも-[O-Si(CH3)2]部分に結合している必要はない。
【0092】
式(Si-V):
【化15】
[式中、
Aは、-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、または-O-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
Dは、-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、または-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
b、nおよびcは、0~1000の整数を表す
(ただし、
・n>0およびb+c>0
・A=-OHまたはD=-Hの少なくとも一方の条件を満たす
ことを条件とする)]
の少なくとも1つのアミノ官能性シリコーンポリマー(a3)を含む本発明による剤も、所望の効果に関して特に有効であることが証明されている。
【0093】
上記式(Si-V)において、添字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位はランダムに分布しており、すなわちそれらは必ずしもブロック共重合体ではない。
【0094】
剤(a)は、式(Si-VI):
M(RaQbSiO(4-a-b)/2)x(RcSiO(4-c)/2)yM (Si-VI)
[上記式中、Rは、炭化水素または1~約6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式-R1HZ(式中、R1は、水素原子と基Zに結合した二価の連結基であり、炭素原子および水素原子、炭素原子、水素原子および酸素原子、または炭素原子、水素原子および窒素原子から構成され、Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機の、アミノ官能基である)の極性基であり;「a」は約0~約2の範囲の値を想定し、「b」は約1~約3の範囲の値を想定し、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数であり、xは1~約2,000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の範囲の数であり、yは約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数であり、Mは従来技術で知られているような適切なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである。Rで表される基の非限定的な例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシル等;アルケニル基、例えばビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリルおよびアルキルアリル;シクロアルキル基、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等;フェニル基、ベンジル基、ハロ炭化水素基、例えば3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニル等、および硫黄含有基、例えばメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニル等;Rは、好ましくは1~約6個の炭素原子を含むアルキル基であり、最も好ましくはRはメチルである。R1の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CH2CH(CH3)CH2-、フェニレン、ナフチレン、-CH2CH2SCH2CH2-、-CH2CH2OCH2-、-OCH2CH2-、-OCH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)C(O)OCH2-、-(CH2)3C(O)OCH2CH2-、-C6H4C6H4-、-C6H4CH2C6H4-および-(CH2)3C(O)SCH2CH2-]
で表される1つまたは複数の異なるアミノ官能化シリコーンポリマーを含むこともできる。
【0095】
Zは、少なくとも1つの官能性アミノ基を含む有機アミノ官能基である。Zの可能な式はNH(CH2)zNH2であり、ここでzは1以上である。Zの別の可能な式は、-NH(CH2)z(CH2)zzNHであり、式中、zおよびzzの両方は独立して1以上であり、この構造は、ピペラジニルのようなジアミノ環構造を含む。Zは、最も好ましくは、-NHCH2CH2NH2基である。Zの別の可能な式は、N(CH2)z(CH2)zzNX2または-NX2であり、ここで、X2の各Xは、水素および1~12個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から独立して選択され、zzは0である。
【0096】
Qは、最も好ましくは、式-CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2の極性、アミノ官能基である。式中、「a」は約0~約2の範囲の値を想定し、「b」は約2~約3の範囲の値を想定し、「a」+「b」は3以下であり、「c」は約1~約3の範囲の数値である。RaQbSiO(4-a-b)/2単位とRcSiO(4-c)/2単位のモル比は、約1:2~約1:65、好ましくは約1:5~約1:65、最も好ましくは約1:15~約1:20の範囲内である。上記式のシリコーンを1種類以上使用する場合、上記式の様々な可変置換基は、シリコーン混合物中に存在する様々なシリコーン成分で異なることができる。
【0097】
別の好ましい実施態様の範囲内で、本発明による剤は、式(Si-VII):
R’aG3-a-Si(OSiG2)n-(OSiGbR’2-b)m-O-SiG3-a-R’a (Si-VII)
[式中、
・Gは、-H、フェニル基、-OH、-O-CH3、-CH3、-O-CH2CH3、-CH2CH3、-O-CH2CH2CH3、-CH2CH2CH3、-O-CH(CH3)2、-CH(CH3)2、-O-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH2CH2CH3、-O-CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-O-CH(CH3)CH2CH3、-CH(CH3)CH2CH3、-O-C(CH3)3、または-C(CH3)3であり;
・aは、0~3の間の数、特に0を表し;
・bは、0~1の間の数、特に1を表し;
・mおよびnは、和(m+n)が1~2000、好ましくは50~150の数であり、nは好ましくは0~1999、特に49~149の値をとり、mは好ましくは1~2000、特に1~10の値をとり;
・R’は、以下から選択される1価の基である
・-Q-N(R”)-CH2-CH2-N(R”)2
・-Q-N(R”)2
・-Q-N+(R”)3A-
・-Q-N+H(R”)2A-
・-Q-N+H2(R”)A-
・-Q-N(R”)-CH2-CH2-N+R”H2A-
(ここで、各Qは化学結合、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2CH2CH2-、-C(CH3)2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2C(CH3)2-、または-CH(CH3)CH2CH2-を表し、
R”は、-H、-フェニル、-ベンジル、-CH2-CH(CH3)Phの群から、C1-20アルキル基から、好ましくは、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2H3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-C(CH3)3である、同一または異なる官能基を表し、Aは好ましくはクロリド、ブロミド、ヨージドまたはメトサルフェートから選択されるアニオンを表す)]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0098】
別の好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、式(Si-VIIa):
【化16】
[式中、mおよびnは、和(m+n)が1~2000、好ましくは50~150の間の数であり、nは好ましくは0~1999、特に49~149の値をとり、mは好ましくは1~2000、特に1~10の値をとる]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0099】
これらのシリコーンはINCI名に従い、トリメチルシリルアモジメチコンとして命名されている。
【0100】
別の好ましい実施態様において、本発明による剤は、式(Si-VIIb):
【化17】
[式中、Rは、-OH、-O-CH
3、または-CH
3基を示し、m、n1およびn2は、合計(m+n1+n2)が1~2000、好ましくは50~150の間になる数であり、合計(n1+n2)は、好ましくは0~1999、特に49~149の値をとり、mは、好ましくは1~2000、特に1~10の値をとる]
の少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0101】
INCI名によれば、これらのアミノ官能化シリコーンポリマーはアモジメチコンと呼ばれている。
【0102】
どのアミノ官能化シリコーンが使用されるかにかかわらず、本発明による剤は、アミン価が0.25meq/g超、好ましくは0.3meq/g超、特に0.4meq/g超であるアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことが好ましい。ここでのアミン価は、アミノ官能化シリコーン1gあたりのアミンのミリ当量を表す。前記値は滴定によって求めることができ、mgKOH/gの単位で表示してもよい。
【0103】
さらに、特定の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマー(a3)を含む剤も適している。このアミノ官能化シリコーンポリマーは、式(Si-VIII)および式(Si-IX):
【化18】
の構造単位を含む。
【0104】
対応する4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマーを以下に示す。
【0105】
好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサン共重合体の名称で知られており、Wackerから原料Belsil ADM 8301 Eの形態で市販されている。
【0106】
例えば、4-モルホリノメチル置換シリコーンとして、式(Si-VIII)、(Si-IX)および(Si-X):
【化19】
[式中、
R1は、-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3、または-O-CH(CH
3)
2を表し;
R2は、-CH
3、-OH、または-OCH
3を表す]
の構造単位を有するシリコーンを使用できる。
【0107】
本発明による特に好ましい剤は、式(Si-XI):
【化20】
[式中、
R1は、-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2を表し;
R2は、-CH
3、-OH、または-OCH
3を表し、
Bは、-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、または-O-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
Dは、-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、または-Si(CH
3)
2OCH
3基を表し、
a、bおよびcは、それぞれ独立に、0~1000の間の整数を表し(ただしa+b+c>0であることを条件とする)
mおよびnは、互いに独立に、1~1000の間の整数を表す
(ただし、
・B=-OHまたはD=-Hの少なくとも一方の条件を満たし、
・ユニットa、b、c、mおよびnは分子内でランダムに、またはブロック状に分布していることを条件とする)]
の少なくとも1つの4-モルホリノメチル置換シリコーンを含む。
【0108】
構造式(Si-XI)は、シロキサン基nおよびmが必ずしも末端基BまたはDに直接結合している必要はないことを示すことを意図している。代わりに、好ましい式(Si-VI)において、a>0またはb>0であり、特に好ましい式(Si-VI)において、a>0およびc>0である;すなわち、末端基BまたはDは、好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。式(Si-VI)においても、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは、好ましくはランダムに分布している。
【0109】
式(Si-VI)で表され、本発明に従って使用されるシリコーンは、トリメチルシリル末端(DまたはB=-Si(CH3)3)であることができるが、両末端がジメチルシリルヒドロキシ末端であるか、または一方の末端がジメチルシリルヒドロキシ-およびジメチルシリルメトキシ末端であってもよい。本発明の文脈において、特に好ましく使用されるシリコーンは、以下のシリコーンから選択される。
B=-O-Si(CH3)2OH および D=-Si(CH3)3
B=-O-Si(CH3)2OH および D=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OH および D=-Si(CH3)2OCH3
B=-O-Si(CH3)3 および D=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OCH3 および D=-Si(CH3)2OH
これらのシリコーンは、本発明による剤で処理された毛髪の特性を飛躍的に向上させ、酸化処理時の保護を大幅に改善する。
【0110】
本発明による剤がアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を特定の量範囲で含むと、特に有利であることが見出されている。剤が、剤の総重量に基づいて、1つ以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を、総量で0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%含む場合、特に良好な結果が得られた。
【0111】
別の特に好ましい実施形態の範囲内で、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の1つ以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0112】
平均含水率
上述した剤は、ケラチン物質に適用可能な即時使用可能な剤である。この即時使用可能な剤は、好ましくは低~中程度の含水率を有する。特に、剤の総重量に基づいて、0.1~70.0重量%、好ましくは0.5~35.0重量%、より好ましくは1.0~20.0重量%、特に好ましくは1.5~7.5重量%の水を含む剤が適していることが見出されている。
【0113】
別の明示的に非常に特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、0.1~70.0重量%、好ましくは0.5~35.0重量%、より好ましくは0.1~20.0重量%、特に好ましくは1.5~7.5重量%の水を含むことを特徴とする。
【0114】
平均的な溶媒
群(a1)の化合物とは異なるさらなる溶媒の使用は、良好な結果をもたらした。このため、本発明による剤は、任意成分として少なくとも1つの溶媒をさらに含むことができる。
【0115】
使用できる好適な溶媒は、例えば、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールからなる群からの溶媒である。1,2-プロピレングリコールの使用が非常に特に好ましい。
【0116】
さらに非常に特に好ましい実施形態において、本発明による剤は、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノール、およびベンジルアルコールからなる群からの少なくとも1つの溶媒を含むことを特徴とし、非常に特に好ましくは1,2-プロピレングリコールである。
【0117】
代替的に、1,2-プロピレングリコールは、1,2-プロパンジオールとも呼ばれ、CAS番号は、57-55-6[(RS)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、4254-14-2[(R)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、および4254-153[(S)-1,2-ジヒドロキシプロパン]である。エチレングリコールは、代替的に1,2-エタンジオールとも呼ばれ、CAS番号は107-21-1である。グリセロールは、代替的に1,2,3-プロパントリオールとも呼ばれ、CAS番号は56-81-5である。フェノキシエタノールのCAS番号は122-99-6である。
【0118】
上述した溶媒はすべて、AldrichまたはFluka等の様々な化学品サプライヤーから市販されている。
【0119】
上述した溶媒を適切な使用量で使用することにより、特に安定な剤を得ることができ、ケラチン物質に特に高い強度の発色結果を得ることができる。
【0120】
さらに好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノール、およびベンジルアルコール、非常に特に好ましくは1,2-プロピレングリコールからなる群からの、1つ以上の溶媒を総量で、1.0~60.0重量%、好ましくは5.0~55.0重量%、より好ましくは10.0~45.0重量%、非常に特に好ましくは20.0~40.0重量%含むことを特徴とする。
【0121】
別の特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、1.0~60.0重量%、好ましくは5.0~55.0重量%、より好ましくは10.0~45.0重量%の1つ以上の溶剤、非常に特に好ましくは20.0~40.0重量%1,2-プロプレングリコールを含むことを特徴とする。
【0122】
アルキル(ポリ)グリコシド
さらなる任意成分として、本発明による剤はさらに、少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドを含むこともできる。
【0123】
したがって、別の好ましい実施形態の範囲内において、本発明による剤は、少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドを含むことを特徴とする。
【0124】
アルキル(ポリ)グリコシド(APG)は、再生可能な原料(糖成分、主にグルコース、例えばトウモロコシデンプン由来、および脂肪アルコール(例えばヤシ油)由来)から完全に製造される非イオン性界面活性剤である。アルキルポリグリコシドは、糖、特にグルコース(またはデンプン)、またはブチルグリコシドと脂肪アルコールとの酸触媒反応(フィッシャー反応)によって得ることができる。
【0125】
アルキルモノグルコシド(アルキル-α-d-および-β-d-グルコピラノシド、ならびに少量の-グルコフラノシド)、アルキルジグルコシド(-イソマルトシド、-マルトシドなど)、およびアルキルオリゴグルコシド(-マルトトリオシド、テトラオシドなど)の複雑な混合物が形成される。アルキル基がC8-C16の範囲にある市販品の平均重合度は1.2-1.5である。
【0126】
糖成分1分子を脂肪アルコール1分子と反応させて得られるアルキルモノグリコシドは、アルキルグリコシドとも称することができる。糖成分の割合が1より大きい場合、これらは本発明の意味においてアルキルポリグリコシドとして存在する。したがって、括弧付きのアルキル(ポリ)グリコシドという用語は、アルキルモノグリコシドおよび対応するオリゴマーまたは高分子化合物であるアルキルポリグリコシドの混合物を指す。
【0127】
本発明による目的を達成するために特によく適しているものは、式(APG-1):
(Z)x’-O-(CH2)nn-CH3 (APG-1)
[式中、
Zは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、およびスクロースからなる群からの糖成分であり、
x’は、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nnは7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、非常に特に好ましくは11~17の数である]
のアルキル(ポリ)グリコシドである。
【0128】
Z基は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースからなる群からの糖成分である。
【0129】
式(APG-1)において、値x’に対応する数の糖成分が存在する。指数xが1より大きい値を仮定する場合、いくつかの糖成分が式(APG-1)中に存在する。その結果、原則的に各式(APG-1)に様々な糖成分を含めることもできる(x’=2の場合、Zは、例えば、グルコースおよびフルクトースであり得る)。したがって、糖成分Zとして、いかなる単糖またはオリゴ糖を使用できる。通常、5個または6個の炭素原子を有する糖および対応するオリゴ糖が使用される。このような糖は、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースである。
【0130】
指数x’は、1~10の数、好ましくは1~5の数である。
【0131】
指数nnは、アルキル(ポリ)グリコシドのアルキル鎖の長さを特徴付ける。nnは、7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、非常に特に好ましくは11~17の数を表す。アルキル鎖の全長はnn+1である。
【0132】
別の実施形態の範囲内において、特に好ましい剤は、
(a6)式(APG-1):
(Z)x’-O-(CH2)nn-CH3 (APG-1)
[式中、
Zは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロース、およびスクロースからなる群からの糖成分であり、
x’は、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nnは7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、非常に特に好ましくは11~17の数である]
の少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド
を含むことを特徴とする。
【0133】
本発明によれば、一般式RO-(Z)x’[式中、Rはアルキルを示し、Zは糖を示し、x’は糖単位の数を示す]に対応するアルキルポリグリコシドが使用される。
【0134】
Rが:
・実質的にC8-およびC10-アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nnは7~9の整数である)、または
・実質的にC12-およびC14-アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nnは11~13の整数である)、または
・実質的にC8-~C18-アルキル基からなる、すなわち、式(APG-1)において、nnは7~17の整数である)、または
・実質的にC12-~C16-アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nnは11~15の整数である)、または
・実質的にC16~C18-アルキル基からなる、すなわち、式(APG-1)において、nnは15~17の整数である)、
アルキルポリグリコシドが特に好ましい。
【0135】
好ましい糖成分は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノースおよびスクロースである。Zがグルコースである場合、非常に特に好ましい。この場合、本発明による剤はアルキル(ポリ)グルコシドを含む。
【0136】
一般式(APG-2):
【化21】
[式中、
x’は1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nnは7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、非常に特に好ましくは11~17の数である]
のアルキル(ポリ)グルコシド(a1)が非常に特に好ましい。
【0137】
式(APG-2)において、指数x’は、1~10の数、好ましくは1~5の数である。
【0138】
指数nnは、7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、非常に特に好ましくは11~17の数である。
【0139】
したがって、さらなる実施形態において、本発明による特に好ましい剤は、
(a6)式(APG-2):
【化22】
[式中、
x’は1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nnは7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、非常に特に好ましくは11~17の数である]
の少なくとも1つのアルキル(ポリ)グルコシド
を含むことを特徴とする。
【0140】
本発明に従って使用できるアルキルポリグリコシドは、平均して1.1~5糖単位を含む。x’の値が1.1~2.0であるアルキルポリグリコシドが好ましい。xが平均1.1~1.8であるアルキルグリコシドが非常に特に好ましい。
【0141】
非常に特に好ましいアルキルポリグリコシドは、アルキル基がラウリル基であるものである。天然源由来の物質混合物では、C12脂肪酸、特にヤシ脂肪酸の割合が高いものが好ましい。従って、本発明による特に好ましい剤は、式(APG-2):
【化23】
[式中、
x’は1.1~1.8の数、非常に特に好ましくは1.2~1.5であり、
nnは数11である]
の少なくとも1つのアルキル(ポリ)グルコシドを含むことを特徴とする。
【0142】
このタイプの非常に特に好適なアルキル(ポリ)グルコシドは、例えば、CAS番号が110615-47-9であり、BASFからPlantacare 1200 UP、Plantaren 1200 UPおよびPlantaren 1200Nの商品名で市販されているラウリルグルコシドである。
【0143】
アルキル(ポリ)グリコシドは、好ましくはある量の範囲内で使用される。剤が、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~20.0重量%、好ましくは0.05~15.0重量%、より好ましくは0.1~10.0重量%、さらに好ましくは0.15~8.0重量%、非常に特に好ましくは0.2~6.0重量%の1つ以上のアルキル(ポリ)グリコシド(a1)を含むと特に有利であることが証明されている。
【0144】
別の特に好ましい実施態様において、本発明による剤は、剤の総重量に基づいて、総量で0.01~20.0重量%、好ましくは0.05~15.0重量%、より好ましくは0.1~10.0重量%、さらに好ましくは0.15~8.0重量%、非常に特に好ましくは0.2~6.0重量%の、1つ以上のアルキル(ポリ)グリコシドを含むことを特徴とする。
【0145】
剤中のさらなる任意成分
所望の製造形態に応じて、本発明による剤は、任意に更なる成分または原料を含むこともできる。
【0146】
剤中の追加の原料
剤は、脂肪成分、グルコース、マレイン酸、および乳酸などの構造化剤;ヘアコンディショニング化合物、例えばレシチンおよびケファリンなどのリン脂質;香油;ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;アニオン性、非イオン性およびカチオン性ポリマーなどのポリマー;界面活性剤、例えばアニオン性、非イオン性、カチオン性、双性イオン性および両性界面活性剤;脂肪成分;繊維構造改善活性成分、特に単糖、二糖、およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、果糖およびラクトース;剤を着色するための染料;抗フケ活性成分、例えばピロクトンオラミン、亜鉛オマジン、およびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物および/または植物に基づくタンパク質加水分解物、ならびにそれらの脂肪酸縮合生成物または任意にアニオン性またはカチオン性修飾誘導体の形態;植物油;光安定剤および紫外線遮断剤;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびそれらの塩、およびビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボン、およびフラボノール;セラミドまたは擬セラミド;ビタミン、プロビタミン、およびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪およびワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびパラフィン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、炭酸塩、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、ならびに第一、第二および第三リン酸塩;不透明化剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレート、およびPEG-3ジステアレート;推進剤、例えばプロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気、などの有効成分、補助剤、および添加剤も含んでよい。
【0147】
これらの追加物質の選択は、剤の所望の特性に応じて当業者が行う。他の任意成分および当該成分の採用量に関しては、当業者に公知の関連マニュアルを明示的に参照されたい。追加の有効成分および補助剤は、本発明による調製物において、特定の剤の総重量に対して、それぞれの場合において、好ましくは0.0001~25重量%、特に0.0005~15重量%の量で使用される。
【0148】
ケラチン物質の染色方法
上述した剤は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法に際立って使用できる。
【0149】
従って、本発明の第二の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、本発明の第一の主題の説明で詳細に開示した剤をケラチン繊維に適用し、必要に応じて、30秒~45分の曝露時間の後に再度すすぐ方法である。
【0150】
したがって、本発明の第二の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する、以下の工程を含む方法である。
(1)ケラチン物質上に着色剤を適用する工程であって、前記着色剤は、本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されているような剤である
(2)着色剤をケラチン物質に晒す工程
(3)着色剤を水で洗い流す工程
【0151】
本発明による方法の工程(1)において、本発明の第1の主題の剤は、非常に特に好ましくはヒトの毛髪であるケラチン物質に適用される。
【0152】
本発明による方法の工程(2)において、剤を適用後、ケラチン物質に作用させる。この文脈では、例えば30秒~60分の様々な曝露時間が考えられる。
【0153】
しかしながら、本発明による染色システムの大きな利点は、短い曝露時間の後、非常に短時間でも強い着色結果が得られることである。このため、適用混合物は、適用後、30秒~15分、好ましくは30秒~10分、特に好ましくは1~5分の比較的短い時間だけケラチン物質上に残ることが有利である。
【0154】
別の好ましい実施形態では、本発明による方法は
(2)ケラチン物質を着色剤に30秒~15分間、好ましくは30秒~10分間、より好ましくは1~5分間曝露すること
を特徴とする。
【0155】
ケラチン物質上で塗布混合物が作用した後、方法の工程(3)において、前記ケラチン物質を水ですすぐ。
【0156】
一実施形態では、塗布混合物は水のみで、すなわち後処理剤またはシャンプーの助けを借りずに洗い流すことができる。工程(6)で後処理剤またはコンディショナーを使用することも原理的には可能である。
【0157】
しかしながら、本発明による目的を達成し、適用の快適性を高めるために、追加の後処理剤、シャンプーまたはコンディショナーの助けを借りずに、工程(3)において剤を専ら水で洗い流すことが非常に特に好ましいことが見出されている。
【0158】
別の好ましい実施形態では、本発明による方法は
(3)着色剤を水だけで洗い流すこと
を特徴とする。
【0159】
初めに即時使用可能な剤を製造する、ケラチン物質を染色する方法
前述したように、本発明の第1の主題の剤は、即時使用可能な形態で使用者に直接提供されるか、または使用直前に様々な剤を混合して調製される、即時使用可能な剤である。
【0160】
顔料の特に微細な分布を確実にするために、2または3つの異なる剤を混合することにより、適用直前に即時使用可能な剤を製造することが非常に特に好ましいことが見出されている。
【0161】
特に好ましい実施形態の範囲内において、即使用可能な剤は、少なくとも2つの異なる剤を混合することによって適切に調製され、ここでこれらの2つの剤のうちの第1の剤は、少なくとも式(AG)のアルキレングリコール(a1)および顔料(a2)の混合物を含む。例えば、式(AG)のアルキレングリコール(a1)と顔料(a2)との混合物は、予備分散物を表すことができる。第2の剤は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む。即時使用可能な剤を製造するために、前述の2つの剤を互いに振とうまたは撹拌する。
【0162】
したがって、本出願の別の主題は、以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法である。
(1)剤(I)を提供する工程であって、前記剤(I)は
(a1)式(AG)の少なくとも1つのアルキレングリコール、および
(a2)少なくとも色素
を含む工程
(2)剤(II)を提供する工程であって、前記剤(II)は
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む工程
(3)剤(I)および(II)を混合して適用混合物を製造する工程
(4)工程(3)で製造した適用混合物をケラチン物質に適用する工程
(5)工程(4)で適用した適用混合物にケラチン物質を曝露する工程、および
(6)適用混合物を水で洗い流す工程
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、本発明の第1の主題の説明において既に詳細に開示されている。
【0163】
前記剤(I)は、好ましくは式(AG)のアルキレングリコール(a1)中の顔料(a2)の予備分散物であり、例えば濃縮物の形態であり得る。
【0164】
剤(I)および(II)が混合される場合、式(AG)のアルキレングリコール(a1)中の顔料(a2)の予備分散は、2つの剤(I)および(II)が即時使用可能な剤中で混合された後でも維持される顔料の特に微細な分布を保証する。
【0165】
最後に、付加的な実施形態の文脈において、成分(a1)および(a2)を互いに分離することも有利であることが判明し、それにより、予め互いに分離された3つの成分(a1)、(a2)および(a3)は、即時使用可能な剤の調製中に互いに混合される。この製造形態は、例えば、顔料(a2)を少量および/または粉末の形態で使用する場合に有利であり得る。顔料を粉末状で調製することで、混合容器または別の容器への顔料の定量的な移送が容易になる。
【0166】
したがって、本出願の別の主題は、以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法である。
(1)剤(I)を提供する工程であって、前記剤(I)は
(a1)式(AG)の少なくとも1つのアルキレングリコール
を含む工程
(2)剤(II)を提供する工程であって、前記剤(II)は
(a2)少なくとも色素
を含む工程
(3)剤(III)を提供する工程であって、前記剤(III)は
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む工程
(4)剤(I)、(II)および(III)を混合して適用混合物を調製する工程
(5)工程(4)で調製した適用混合物をケラチン物質に適用する工程
(6)工程(5)で適用した適用混合物にケラチン物質を曝露する工程、および
(7)適用混合物を水で洗い流す工程
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、本発明の第1の主題の説明において既に詳細に開示されている。
【0167】
この場合、剤(I)は、式(AG)の少なくとも1つのアルキレングリコール(a1)を含み、例えば濃縮物の形態で存在できる。
【0168】
剤(II)は、少なくとも1つの顔料(a2)を含む。1つの可能な製造タイプにおいて、顔料は、例えば粉末の形態で提供される。
【0169】
剤(III)は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含み、好ましくは濃縮物の形態で存在する。
【0170】
多成分パッケージングユニット
使用者の快適性を高めるために、多成分パッケージングユニットの形態の上記の剤を使用者に提供できる。
【0171】
したがって、別の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分パッケージングユニット(キット・オブ・パーツ)であって、別々に調製された以下を含む。
・(a1)少なくとも1つの式(AG)のアルキレングリコール、および
(a2)少なくとも顔料
を含む剤(I)を含む第1の容器、
・(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(II)を含む第2の容器
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、本発明の第1の主題の説明において既に詳細に開示されている。
【0172】
したがって、本発明の別の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分パッケージングユニット(キット・オブ・パーツ)であって、別々に調製された以下を含む。
・(a1)少なくとも1つの式(AG)のアルキレングリコール
を含む剤(I)を含む第1の容器
・(a2)少なくとも顔料
を含む剤(II)を含む第2の容器
・(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(III)を含む第3の容器
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、本発明の第1の主題の説明において既に詳細に開示されている。
【0173】
本発明による方法および本発明による多成分パッケージングユニットの追加の好ましい実施形態に関して、本発明による剤について述べたことが準用される。
【実施例】
【0174】
1.調製物
以下の即時使用可能な着色剤を調製した(特に断りのない限り、全てのデータは重量パーセントである)。
【0175】
【0176】
2.適用
あらかじめ調製した即時使用可能な剤E1およびE2を毛髪ストランド(Kerling、タイプ「ユーロナチュア ヘア ホワイト」(ENH))に適用(浴比:毛髪ストランド1gあたり剤1g)し、3分間作用させた。続いて、毛髪ストランドを水で十分に(1分間)洗浄し、乾燥させた。
【0177】
3.洗浄堅牢性の測定
乾燥後、着色ストランドを、Datacolorの色差計(タイプSpectraflash 450)を用いて測定した。
【0178】
その後、それぞれのストランドを手作業で3回洗浄した。この目的のために、それぞれのストランドを水で湿らせ、市販のシャンプー(Schauma 7-Krauter)をストランドに適用し(毛髪1gあたり0.25gのシャンプー)、指で30秒間マッサージした。その後、ストランドをぬるま湯で1分間すすぎ、毛髪ストランドを乾燥させた。以上の工程が洗髪に相当する。さらなる洗髪のために、この工程を繰り返した。洗髪3回後と洗髪6回後にストランドを再度比色測定した。
【0179】
洗浄堅牢性の評価に使用されるdE値は、それぞれのストランドから測定されたL*a*b*比色値から以下のように導かれる。
dE=[(Li-L0)2+(ai-a0)2+(bi-b0)]1/2
L0、a0およびb0=染色直後の測定値
Li、aiおよびbi=3回の洗髪後(または6回の洗髪後)の測定値
【0180】
dE値が小さいほど、染色された未洗髪の毛髪と比較して色差が小さく、洗浄堅牢性がより良好である。
【0181】
FAは、対応する回数の洗髪後の着色保持率を表し、以下の式に従って計算される。
【数1】
FA=着色保持率[%]
u=未処理の開始時の毛髪
g=洗髪した着色毛髪
c=着色毛髪
【0182】
着色保持率が高いほど、洗浄堅牢性は向上する。
【表2】
【0183】
E1剤により、毛髪ストランドは集中的に着色でき、非常に良好な洗浄堅牢性を有しており、着色保持率が高かった。
【国際調査報告】