(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】スキャニング計測のためのデータフィルタ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553752
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022054191
(87)【国際公開番号】W WO2022184479
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】カレジオ、クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】キンヤンジュイ、タビタ、ワンガリ
(72)【発明者】
【氏名】ロガチェフスキー、アンドレイ、バレリエビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ナーレン、バスティアーン、アンドレアス、ウィルヘルム、ヒューベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】センテーノ、ライムンド
(72)【発明者】
【氏名】デン ブル、ジャン、アリー
(72)【発明者】
【氏名】トログリック、ビクター
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197AA12
2H197BA11
2H197CA01
2H197CA03
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA07
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CB16
2H197CC16
2H197CD11
2H197CD12
2H197CD13
2H197CD35
2H197DA02
2H197DA03
2H197DB34
2H197DC05
2H197DC11
2H197EA05
2H197GA01
2H197HA03
(57)【要約】
【解決手段】等間隔および/または非等間隔データサンプルを備えるデータセットを処理する方法が開示される。この方法は、データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルがデータセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるデータのフィルタリングを備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔および/または非等間隔データサンプルを備えるデータセットを処理する方法であって、前記データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルが前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるデータのフィルタリングを備える方法。
【請求項2】
前記データのフィルタリングは、前記データセットにおけるサンプルに亘る前記カーネルの畳み込みの前にデータに適用されるタンデムフィルタを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フィルタリングは、時間および/または空間ドメインにおいて実行される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記非等間隔サンプルは、時間的および/または空間的に離れている、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記データセットは、スキャニングセンサから取得された測定結果を備える、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記スキャニングセンサは、リソグラフィ装置においてウェーハの表面に亘るスキャニングを実行する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記センサはレベルセンサである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カーネルの形は、前記データサンプルの間隔における変動に応じて変わる、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルである、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルであり、
前記正規化されたガウスカーネルの前記定められたエリアは、前記データセットのフィルタリングについて一定に維持されている、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記データサンプルのフィルタリングは、ローパスフィルタリングを備え、
それより上のデータが除去されるカットオフ周波数は、前記サンプルの間隔における変動に応じて変わる、
請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記レベルセンサは、センサデータを取得しながら前記ウェーハの表面の部分に亘って加減速するために、前記ウェーハの表面に亘って可変スピードでスキャニングし、
前記データ出力は、前記ウェーハ表面のレベルの加速されたウェーハZマップ(AWZマップ)を提供するために使用される、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記処理された出力データは、所定の離れた位置のセットについて要求され、
前記データセットの処理は、当該所定の位置のみで実行される、
請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記所定の離れた位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面であり、
前記センサは、レベルセンサであり、
データが処理される前記所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントである、
請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
リソグラフィ装置における加速されたウェーハZマップを取得する方法であって、
スキャニングレベルセンサを使用して、ウェーハの表面に亘るレベル測定結果のデータサンプルのセットを取得することと、
データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して、時間および/または空間ドメインにおいてデータをフィルタリングすることと、
前記複数の位置のそれぞれについてレベル値を取得するために、一次回帰をフィルタリングされたデータに適用することと、
を備える方法。
【請求項18】
前記レベル測定結果のデータサンプルのセットは、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して時間および/または空間ドメインにおいてフィルタリングされる前に、タンデムフィルタによってフィルタリングされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
連続するサンプルの間のサンプル間隔は変動し、
前記カーネルの形は、前記サンプル間隔における変動に応じて変わる、
請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルである、請求項17から20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルであり、
前記正規化されたガウスカーネルの前記定められたエリアは、前記データセットのフィルタリングについて一定に維持されている、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
スキャニングを実行しながらデータサンプルを取得するスキャニングセンサからのデータを提供する方法であって、
処理された出力データが要求される所定の離れた位置のセットを被スキャンデータ内で特定することと、
前記離れた位置のそれぞれに対応するフィルタリングされたデータサンプルのセットを取得するために、前記所定の離れた位置のそれぞれについて前記センサによって取得されたデータをフィルタリングすることと、
を備える方法。
【請求項24】
データの前記フィルタリングは、前記所定の離れた位置のみで実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記所定の位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントである、請求項22または23に記載の方法。
【請求項26】
前記被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面であり、
前記センサは、レベルセンサであり、
データが処理される前記所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントである、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
データの前記フィルタリングは、前記サンプルの加重平均を実行するために、前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを利用し、
前記カーネルの形は、前記データサンプルの間隔における変動に応じて変わる、
請求項23から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
データの前記フィルタリングは、前記データセットにおけるサンプルに亘る前記カーネルの畳み込みの前にデータに適用されるタンデムフィルタを備える、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1から29のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項31】
ウェーハ形成プロセスにおける計測を実行するためのリソグラフィ装置であって、
ウェーハの表面に亘る測定結果のデータサンプルのセットを取得するように構成されるスキャニングセンサと、
連続するサンプルの間のサンプル間隔が可変であるように、前記スキャニングセンサのスキャニングを制御するように構成されるコントローラと、
前記データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルが前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるように、データをフィルタリングするように構成されるプロセッサと、
を備えるリソグラフィ装置。
【請求項32】
データをフィルタリングするように構成される前記プロセッサは、前記データセットにおけるサンプルに亘る確率関数によって定められた前記カーネルの畳み込みの前に、タンデムフィルタを適用するように更に構成される、請求項31に記載のリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年3月4日に出願された欧州出願21160810.4および2021年7月29日に出願された欧州出願21188528.0の優先権を主張し、それらの全体が参照によって本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、データフィルタ、特に、スキャニング計測データとの使用のためのフィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
ここで開示される発明の実施形態はリソグラフィ装置に関して議論されるが、このような用途に限定されるものではない。リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に適用するように構成される装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用されうる。リソグラフィ装置は、例えば、基板(例えば、ウェーハ)上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上に、パターニングデバイス(例えば、マスク)におけるパターン(しばしば「デザインレイアウト」または「デザイン」とも表される)を投影してもよい。
【0004】
パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用してもよい。この放射の波長は、基板上に形成されうるフィーチャの最小サイズを決定する。パターンの転写は、典型的には、基板上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上への結像による。一般的に、単一の基板は、連続的にパターン形成される隣接したターゲット部分のネットワークを含む。従来のリソグラフィ装置は、ターゲット部分上に全体パターンを一度に露光することによって各ターゲット部分が照明されるいわゆるステッパ、および、放射ビームを通じて所与の方向(「スキャニング」方向)にパターンをスキャニングすると同時に、この方向に平行または非平行に基板をスキャニングすることによって各ターゲット部分が照明されるいわゆるスキャナを含む。基板上にパターンをインプリンティングすることによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0005】
リソグラフィプロセスでは、例えばプロセス制御および検証のために、しばしば生成された構造の測定を行うのが望ましい。しばしば限界寸法(CD)を測定するために使用される走査電子顕微鏡、デバイスにおける二つの層のアライメントの精度であるオーバーレイを測定するための特別なツールを含め、このような測定を行うための様々なツールが知られている。近年、リソグラフィ分野における使用のために、様々な形態のスキャトロメータが開発されている。
【0006】
リソグラフィ装置に統合されてもよいトポグラフィ測定システム、レベルセンサまたは高さセンサは、基板(または、ウェーハ)の上面のトポグラフィを測定するために設けられる。高さマップとも表される基板のトポグラフィのマップは、基板上の位置の関数としての基板の高さを示すこれらの測定結果から生成されてもよい。この基板の高さマップ(ウェーハZマップまたはWZM)は、例えば、基板上の適切にフォーカシングされた位置にパターニングデバイスのエアリアルイメージを提供するために、基板上へのパターンの転写前または転写中に投影システムに対する基板の位置を補正するために後で使用されてもよい。この文脈における「高さ」は、基板が面から外れた方向(Z軸とも表される)の寸法を広義に表すものと理解される。典型的に、レベルまたは高さセンサは、自身の光学システムに対する固定位置で測定を実行し、基板とレベルまたは高さセンサの光学システムの間の相対移動は、基板に亘る位置での高さ測定結果をもたらす。
【0007】
従来のリソグラフィ装置では、所定の等距離位置、例えば、矩形測定グリッド上の位置における基板の高さのサンプリングによって、高さマップが生成されてもよい。等距離位置は、等間隔位置と表されてもよい。高さレベルセンサおよび基板は、所定の位置に沿って選択される軌道に沿って互いに対して駆動されてもよい。従来のリソグラフィ装置では、基板および高さレベルセンサが互いに対して一定速度で移動している間に測定サンプルが取得される。このため、高さレベルセンサは、一定のサンプリングレートでのサンプリングによって、等距離測定位置をサンプリングする。なお、測定プロセスにおいて、基板および高さレベルセンサの一方または両方が移動してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
US7227614B2は、センサが加速中/減速中であってもセンササンプルが取得される、Zマップを取得するための改良されたレベルセンサを開示する。これは、レベルセンササンプルがより迅速に取得されることを可能にする。しかし、これは、センサによって取得されるサンプルが非等間隔であることを意味し、データ処理においてノイズ等を除去するために、生データが最初にフィルタリング(ローパスフィルタリング)されなければならないという結果をもたらす。従来のローパスフィルタは、非等間隔サンプルの処理にとって適切ではない、または、少なくとも最適はないことが判明した。従って、非等間隔サンプルを扱うための代わりのデータ処理手段を提供するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
現開示の一態様によれば、等間隔および/または非等間隔データサンプルを備えるデータセットを処理する方法が提供される。この方法は、データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルがデータセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるデータのフィルタリングを備える。
【0010】
フィルタリングは、データセットにおけるサンプルに亘るカーネルの畳み込みの前にデータに適用されるタンデムフィルタを備えてもよい。タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタでもよい。
【0011】
フィルタリングは、時間および/または空間ドメインにおいて実行されてもよい。非等間隔サンプルは、時間的および/または空間的に離れていてもよい。
【0012】
データセットは、スキャニングセンサから取得された測定結果を備えてもよい。スキャニングセンサは、リソグラフィ装置においてウェーハの表面に亘るスキャニングを実行してもよい。センサはレベルセンサでもよい。レベルセンサは、センサデータを取得しながらウェーハ表面の部分に亘って加減速するために、ウェーハの表面に亘って可変スピードでスキャニングしてもよく、データ出力は、ウェーハ表面のレベルの加速されたウェーハZマップ(AWZマップ)を提供するために使用される。
【0013】
カーネルの形は、データサンプルの間隔における変動に応じて変わってもよい。
【0014】
確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルでもよい。ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルでもよく、正規化されたガウスカーネルの定められたエリアは、データセットのフィルタリングについて一定に維持されている。
【0015】
データサンプルのフィルタリングは、ローパスフィルタリングを備えてもよく、それより上のデータが除去されるカットオフ周波数は、サンプルの間隔における変動に応じて変わる。
【0016】
処理された出力データが所定の離れた位置のセットについて要求されるいくつかの実施形態では、データセットの処理が当該所定の位置のみで実行されてもよい。所定の位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントでもよい。被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面でもよく、センサは、レベルセンサであり、データが処理される所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントである。
【0017】
現開示の他の態様によれば、リソグラフィ装置における加速されたウェーハZマップを取得する方法が提供される。この方法は、スキャニングレベルセンサを使用して、ウェーハの表面に亘るレベル測定結果のデータサンプルのセットを取得することと、データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して、時間および/または空間ドメインにおいてデータをフィルタリングすることと、複数の位置のそれぞれについてレベル値を取得するために、一次回帰をフィルタリングされたデータに適用することと、を備える。
【0018】
レベル測定結果のデータサンプルのセットは、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して時間および/または空間ドメインにおいてフィルタリングされる前に、タンデムフィルタによってフィルタリングされてもよい。タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、連続するサンプルの間のサンプル間隔は変動し、カーネルの形は、サンプル間隔における変動に応じて変わる。
【0020】
確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルでもよい。ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルでもよく、正規化されたガウスカーネルの定められたエリアは、データセットのフィルタリングについて一定に維持されている。
【0021】
現開示の他の態様によれば、スキャニングを実行しながらデータサンプルを取得するスキャニングセンサからのデータを提供する方法が提供される。この方法は、処理された出力データが要求される所定の離れた位置のセットを被スキャンデータ内で特定することと、離れた位置のそれぞれに対応するフィルタリングされたデータサンプルのセットを取得するために、所定の離れた位置のそれぞれについてセンサによって取得されたデータをフィルタリングすることと、を備える。
【0022】
データのフィルタリングは、所定の離れた位置のみで実行されてもよい。所定の位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントでもよい。被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面でもよく、センサは、レベルセンサでもよく、データが処理される所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントでもよい。
【0023】
データのフィルタリングは、サンプルの加重平均を実行するために、データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを利用してもよく、カーネルの形は、データサンプルの間隔における変動に応じて変わる。
【0024】
データのフィルタリングは、データセットにおけるサンプルに亘るカーネルの畳み込みの前にデータに適用されるタンデムフィルタを備えてもよい。タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタを備えてもよい。
【0025】
現開示の他の態様によれば、本発明に係る方法をコンピュータに実行させるためのプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0026】
現開示の他の態様によれば、ウェーハ形成プロセスにおける計測を実行するためのリソグラフィ装置が提供される。この装置は、ウェーハの表面に亘る測定結果のデータサンプルのセットを取得するように構成されるスキャニングセンサと、連続するサンプルの間のサンプル間隔が可変であるように、センサのスキャニングを制御するように構成されるコントローラと、データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルがデータセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるように、データをフィルタリングするように構成されるプロセッサと、を備える。
【0027】
データをフィルタリングするように構成されるプロセッサは、データセットにおけるサンプルに亘る確率関数によって定められたカーネルの畳み込みの前に、タンデムフィルタを適用するように更に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下では、次の付随的な模式図を参照して、例示のみを目的として実施形態が記述される。
図1は、リソグラフィ装置の模式的なオーバービューを示す。
図2は、リソグラフィセルの模式的なオーバービューを示す。
図3は、半導体製造を最適化するための三つの主要技術の間の協働を表すホリスティックリソグラフィの模式的な表現を示す。
図4Aおよび4Bは、ウェーハレベルセンサスキャニングが展開されてもよい様子を示す平面図である。
図5は、発明の実施形態における使用のためのデータフィルタリングプロセスをグラフィカルに例示する。
図6は、データフィルタリングプロセスにおいて使用されるガウスカーネルの例示である。
図7A、7Bおよび7Cは、被スキャンデータのフィルタリングのためのガウスカーネルが、異なるスキャニング/フィルタリング手順についてのスキャンに亘って変動する様子を示すグラフィカルな例示である。
図8Aおよび8Bは、被スキャンデータセットに適用される異なるガウスフィルタ手順に対するエッジ効果を示すグラフィカルな例示である。
図9Aおよび9Bは、スキャニングされたデータのセットを処理するための二つの異なる手順のブロック図である。
図10は、グリッド位置Zマップを取得するためのデータフィルタリングカーネル実装を示すグラフィカルな例示である。
図11は、本開示に係る更なるデータ処理方法におけるステップを示すフロー図である。
図12は、スキャニングされたデータのセットを処理するための手順のブロック図である。
図13は、本開示に係る更なるデータ処理方法におけるステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本文書では、「放射」および「ビーム」の用語が、紫外放射(例えば、365、248、193、157または126 nmの波長を有するもの)、EUV(例えば、約5-100 nmの範囲における波長を有する極端紫外放射)、X線放射、電子ビーム放射および他の粒子放射を含む全てのタイプの電磁放射および粒子放射を包含するために使用される。
【0030】
このテキストにおいて使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、入射する放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応するパターン形成された断面を付与するために使用されうる一般的なパターニングデバイスを表すものと広義に解釈されてもよい。用語「ライトバルブ」も、この文脈で使用されうる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型等)の他に、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0031】
図1は、リソグラフィ装置LAを模式的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射、EUV放射またはX線放射)を調整するように構成される照明システム(イルミネータとも表される)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに応じてパターニングデバイスMAを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続されるマスクサポート(例えば、マスクテーブル)Tと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに応じて基板サポートを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される基板サポート(例えば、ウェーハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、一または複数のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを投影するように構成される投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0032】
稼働中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、放射源SOからの放射ビームを受け取る。照明システムILは、放射の方向付け、形成および/または制御のための、屈折型、反射型、回折型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他のタイプの光学コンポーネント等の各種のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの面で、その断面において所望の空間および角度強度分布を有するように、放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0033】
ここで使用される用語「投影システム」PSは、使用中の露光放射、および/または、液浸液または真空の使用等の他の要素にとって適切な、屈折型、反射型、回折型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む各種のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈されるべきである。用語「投影レンズ」のここでの使用は、より一般的な用語「投影システム」PSと同義に解釈されてもよい。
【0034】
リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wの間の空間を満たすために、基板の少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する水等の液体によって覆われてもよいタイプでもよい(液浸リソグラフィとも表される)。液浸技術に関するより多くの情報は、その全体が参照によって本書に援用されるUS6952253において与えられている。
【0035】
リソグラフィ装置LAは、二つ以上の基板サポートWTを有するタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)でもよい。このような「マルチステージ」装置では、基板サポートWTが並行的に使用されてもよい、および/または、他の基板W上にパターンを露光するために他方の基板サポートWT上の他方の基板Wが使用されている間に、基板Wの後続の露光の準備ステップが一方の基板サポートWT上に位置する基板W上で実行されてもよい。
【0036】
基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを備えてもよい。測定ステージは、センサおよび/またはクリーニングデバイスを保持するように設けられる。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように設けられてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の部分、例えば投影システムPSの部分または液浸液を提供するシステムの部分をクリーニングするように設けられてもよい。測定ステージは、基板サポートWTが投影システムPSから離れている時に、投影システムPSの下を移動してもよい。
【0037】
稼働中、放射ビームBは、マスクサポートT上に保持されているマスクMA等のパターニングデバイス上に入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン形成される。マスクMAを経た放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集光する投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置測定システムIFによって、例えば、放射ビームBの経路中の集光および整列位置に異なるターゲット部分Cを配置するために、基板サポートWTが正確に駆動されてもよい。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に配置するために、第1ポジショナPMおよび適切な他の位置センサ(
図1では明示的に示されない)が使用されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列されてもよい。図示される基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間の空間に配置されてもよい。ターゲット部分Cの間に配置される基板アライメントマークP1、P2は、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0038】
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソセルまたは(リソ)クラスタとも表されることがあり、露光前および露光後の処理を基板W上で実行するための装置を含むこともあるリソグラフィセルLCの一部を構成してもよい。従来、これらは、レジスト層を形成するためのスピンコータSC、露光されたレジストを現像するためのディベロッパDE、例えばレジスト層における溶媒を調整するために基板Wの温度を調整するための冷却プレートCHおよびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、入力/出力ポートI/O1、I/O2から基板Wをピックアップし、それらを異なる処理装置の間で移動させ、リソグラフィ装置LAのローディングベイLBに基板Wを届ける。トラックと総称されこともあるリソセルにおけるデバイスは、例えばリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置LAを制御してもよい監視制御システムSCSによってそれ自体が制御されてもよいトラック制御ユニットTCUの制御下にあってもよい。
【0039】
リソグラフィプロセスでは、例えばプロセス制御および検証のために、しばしば生成された構造の測定を行うのが望ましい。このような測定を行うためのツールは、計測ツールMTと呼ばれてもよい。走査電子顕微鏡または様々な形態のスキャトロメータ計測ツールMTを含め、このような測定を行うための異なるタイプの計測ツールMTが知られている。
【0040】
基板上にパターンを転写するための基板の露光前に、基板の高さレベルが判定されてマッピングされてもよい。結果として生じる基板の高さマップ(ウェーハZマップまたはWZM)は、例えば投影システムに対して基板を配置するために使用されてもよい。
【0041】
従来のリソグラフィ装置では、所定の等距離位置、例えば、矩形測定グリッド上の位置における基板の高さのサンプリングによって、高さマップが生成されてもよい。高さレベルセンサおよび基板は、所定の位置に沿って選択される軌道に沿って互いに対して駆動されてもよい。従来のリソグラフィ装置では、基板および高さレベルセンサが互いに対して一定速度で移動している間に測定サンプルが取得される。このため、高さレベルセンサは、一定のサンプリングレートでのサンプリングによって、等距離測定位置をサンプリングする。なお、測定プロセスにおいて、基板および高さレベルセンサの一方または両方が移動してもよい。
【0042】
リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確性および一貫性をもって露光されるためには、連続する層の間のオーバーレイエラー、線厚、限界寸法(CD)、構造の形等の、パターン形成された構造の特性を測定するために、基板を検査するのが望ましい。この目的のために、検査ツールおよび/または計測ツール(不図示)がリソセルLCに含まれてもよい。エラーが検出された場合、特に同じバッチまたはロットの他の基板Wが露光または処理される前に検査が行われた場合、調整が、例えば、後続の基板の露光に対して施されてもよいし、基板W上で実行される他の処理ステップに対して施されてもよい。
【0043】
計測装置と表されてもよい検査装置は、基板Wの特性、特に、異なる基板Wの特性の変化や、同じ基板Wの異なる層に関する特性の層毎の変化を判定するために使用される。検査装置は、代わりに基板W上の欠陥を特定するために構成されてもよく、例えばリソセルLCの一部でもよいし、リソグラフィ装置LAに統合されていてもよいし、スタンドアローンデバイスであってもよい。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層における像)、半潜像(露光後のベークステップPEB後のレジスト層における像)、現像されたレジスト像(レジストの露光部分または未露光部分が除かれている)、エッチングされた像(エッチング等のパターン転写ステップの後)についての特性を測定してもよい。
【0044】
リソグラフィ装置LAにおけるパターニング処理は、基板W上の構造の寸法および配置の高い精度を要求する、処理において最も重要なステップの一つでもよい。この高い精度を実現するために、
図3に模式的に示されるように、いわゆる「ホリスティック」制御環境において三つのシステムが組み合わされてもよい。これらのシステムの一つが、計測ツールMT(第2システム)およびコンピュータシステムCL(第3システム)に(仮想的に)接続されるリソグラフィ装置LAである。このような「ホリスティック」環境の要諦は、リソグラフィ装置LAによって実行されるパターニングをプロセスウィンドウ内に留めるように、全体のプロセスウィンドウを向上させ、タイトな制御ループを提供するために、これらの三つのシステムの間の協働を最適化することである。プロセスウィンドウは、具体的な製造プロセスが定義された結果(例えば、機能的半導体デバイス)をもたらすプロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)の範囲を定める。その範囲内であれば、リソグラフィプロセスまたはパターニングプロセスにおけるプロセスパラメータの変化が許容される。
【0045】
コンピュータシステムCLは、どのマスクレイアウトおよびリソグラフィ装置セッティングがパターニングプロセスの最大の全体のプロセスウィンドウ(第1スケールSC1における双方向矢印によって
図3に示される)を実現するかを判定するために、使用する解像度向上技術を予測し、計算的リソグラフィシミュレーションおよび演算を実行するために、パターン形成されるデザインレイアウト(の一部)を使用してもよい。解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニングの可能性に合うように提供されてもよい。コンピュータシステムCLは、例えば最適でない処理(第2スケールSC2において「0」を指す矢印によって
図3に示される)のために欠陥が存在するかを予測するために、プロセスウィンドウ内のどこでリソグラフィ装置LAが現在稼働しているかを検出する(例えば、計測ツールMETからの入力を使用して)ために使用されてもよい。
【0046】
計測ツールMTは、正確なシミュレーションおよび予測を可能にするためにコンピュータシステムCLへの入力を提供してもよく、例えばリソグラフィ装置LAのキャリブレーションステータスにおいて起こりうるドリフト(第3スケールSC3における複数の矢印によって
図3に示される)を特定するためにリソグラフィ装置LAへのフィードバックを提供してもよい。
【0047】
図4Aは、リソグラフィ装置における従来のレベルセンサ(不図示)がウェーハZマップ(WZM)を取得するためにウェーハ10に亘るスキャンを実行する様子を平面視または上面視において例示する。この例示では、リソグラフィウェーハ処理にとって通常または標準的である円形の上面をウェーハ10が有するが、ここで議論される原理はウェーハの他の形にも適用されうる。スキャンは、センサによって取得されるデータサンプルが等間隔(時間および空間の両方において)になるように、一定スピードでウェーハ10に亘って実行される。しかし、スキャナおよびウェーハの間の相対移動が往復を伴うため、各折り返し端で方向を変える前に減速した後にウェーハ上で要求されるスピードまで加速する必要がある。従って、図示されるように、移動が一定スピードである領域12および加速/減速の領域14が存在する。
【0048】
レベルセンサ(LS)によって測定される生データは、ウェーハZマップ(WZM)を構成するための後処理を経る。後処理は、LSドライバ内で実行され、レベルセンサおよび位置モニタ(PM)の両信号が形成およびWZMを構築するために再結合される機能ブロックによって構成される。レベルセンサからのデータの後処理の重要なコンポーネントは、ウェーハのトポグラフィの輪郭を描くために使用される実際のZ高さ信号を歪ませる全ての内容(例えば、電子ノイズ)を減衰させるために使用されるローパスフィルタ(LPF)である。現在知られているシステムは、周波数(フーリエ)ドメインで動作し、生LSデータサンプルが等間隔であることを要求する。この条件は、一定スピードスキャン(または、空間的に可変のサンプリングレート)のみによって満たされる。
【0049】
図4Bは、ウェーハ10の中央に亘る比較的狭いストライプ16のみが一定スピードでスキャニングされる(なお、いくつかの場合では、「狭いストライプ」が零の幅を有しうる)一方で、ウェーハの他の部分は変化するスピード(加速または減速を伴う)でスキャニングされる、US7227614B2において議論されているような
図4Aに対する改良を例示する。取得されるZマップは、加速されたウェーハZマップ(AWZM)と表される。しかし、これは、データサンプルが非等間隔であるため、ウェーハのより速いスキャニングに繋がるが、後述されるように、レベルセンサからの生データの処理における問題をもたらす。
【0050】
加速されたWZM(A-WZM)によって、生データは加速された(非一定の)スピード軌道に亘って取得される。結果として、A-WZMデータサンプルは空間において非等距離であり、パフォーマンスに深刻な影響を与えることなく、正確なZ高さ値を提供するためのダウンサンプリングおよび内挿を実行することは不可能である。
【0051】
公知の周波数ドメインフィルタを使用して取得された結果には、鋭いまたは急なエッジのためにウェーハの境界においてステップ状のZ高さを生データが与えるという他の問題もある。この周波数応答の形は、ウェーハエッジの近くの歪んだデータ(顕著に高いおよび低いデータ値)に繋がるリンギングアーティファクト(ギブズ現象として知られている)をもたらす。ウェーハがステップ状の3D NAND構造等の回路フィーチャを含む場合にも、同様のリンギングアーティファクトが発生する。ウェーハエッジ近くのリンギング効果への現在の一つの対処法は、データを二つのセットに分けることである。一のセットは、エッジからの設定距離に定められるフォーカスエッジクリアランス(FEC)として知られている境界の内部にあり、他のセットは、当該境界の外部の周辺領域にある。FEC外で取得されたレベルセンサデータおよびFEC内で取得されたデータについて、異なるデータ処理手順が使用される。二つのデータセットは、二つの異なる方法を使用して別々にフィルタリングされる。周波数に基づくLPFはFEC内データのみに対して適用され、いわゆるリンギング効果が実際の信号の外部に現れるように両端が人工的に拡張される必要がある。FECフィルタ外で使用されるフィルタは、単純な移動平均フィルタでもよい。一旦フィルタリングされると、FEC内およびFEC外のデータは、完全なWZMを提供するために再結合される必要がある。二つのフィルタのFEC境界における異なる応答は、顧客サイトにおいて最適なFEC値を提供するためのFECオプティマイザを含む「Leveling Options」を含むアプリケーションソフトウェア製品において使用される特定のスキャナ最適化フィーチャに対して直接的な影響を及ぼす。更に、二つのフィルタを適用することは、デザインおよびメンテナンスの理由で非実用的であり、要求されるデータ処理の量が著しく増加する。
【0052】
図5は、上記の問題を解決するデータのフィルタリングへのアプローチをグラフィカルに例示する。図示の例におけるアプローチは、周波数ドメインにおけるセンサデータのフィルタリング(FFTフィルタを使用するもの等)ではなく、空間ドメインにおいてデータをフィルタリングするものである。なお、前述のウェーハZ高さセンサ等のスキャニングセンサにとって、時間および空間は本質的に同等なドメインであり、連続するデータサンプルの空間的な間隔が、サンプルの間の時間的な間隔およびスキャニングセンサの移動スピードによって決定される。しかし、ここで使用されるアプローチは、他のタイプのデータサンプルにも適用されうる。例えば、サンプルは、エリアに亘って分布している複数の静止センサから取得されてもよいし(空間ドメインにおいて離れているサンプル)、温度または圧力等のいくつかのパラメータについての単一のセンサから経時的に取得されるデータサンプル(時間ドメイン)でもよい。
【0053】
図5の上方のグラフは、スキャニング高さセンサがウェーハのエッジから中央領域に向かって移動する際の、移動(加速)の可変スピードを示す。下方のグラフは、ウェーハに亘る複数の位置のそれぞれにおいて、フィルタリングが適用される様子を例示する。Yは、ウェーハに亘るスキャナの横断の相対移動の方向であり、Zは、測定されたウェーハ高さである。各位置において、確率密度関数に基づくカーネル(または、ウィンドウ)20が定められる。カーネルは、確率密度関数およびカーネル下でのデータサンプルの位置によって決定される重みを、データサンプルのそれぞれに基づいて適用することによって、データをフィルタリングするために使用される確率密度関数を表す。重み付けされたデータサンプルには、一次回帰が適用される。
【0054】
図5に示されるように、カーネルは、ガウス確率密度関数によって定められるガウスカーネルでもよい。しかし、ハン、ハミングまたはカイザー関数等の他のものが使用されうる。
【0055】
離散的なガウス分布は、以下の形で表されてもよい。
【数1】
そして、全てのサンプル「z
i」について、重み付けされた移動平均は以下のように決定される。
【数2】
【0056】
図6に示されるように、カーネル20(この例では、ガウスカーネル)は、レベルセンサスポットサイズの関数であるベース幅と、レベルセンサスポットサイズおよびローカルサンプリング間隔の関数である高さによって決定される。曲線の下の面積は、畳み込み中に固定されており、正規化されている(「1」に等しい)。サンプルの移動加重平均を実行する、このような(ガウス)カーネルによるフィルタリングは、スキャニングレベルセンサの非一定スピード(加速/減速)等の結果として、データサンプルの間の間隔が変動するにつれて、カーネルの形(高さ)が畳み込みに従って変化することを意味すると理解される。この効果は、異なるY位置におけるカーネルの高さの変化と共に観察されうる。ウェーハエッジに近いほど遅くなるレベルセンサのスキャニングスピードは、取得されるデータサンプルが物理的に近接または密集している(Y方向において)ことを意味する。スキャナがウェーハエッジから加速して離れるにつれて、連続するデータサンプルの間の間隔は大きくなり、結果としてカーネルの高さが増加する。なお、ウェーハのエッジから一つのカーネルの幅未満の位置でも、ウェーハ内のサンプルがより少なくウェーハのエッジを超えるサンプルが存在しないため、カーネルの高さが増加する。また、図示されるように、カーネルは、ウェーハエッジに合わせてクロッピングされ、エッジを超えるデータの外挿を不要にする。
【0057】
フィルタリングされたデータに対して一次回帰を適用することは、特にウェーハエッジの近くにおける精度の更なる改善をもたらす。回帰は、モデル曲線をフィッティングすることによって、フィルタリングされたデータポイントの最良フィットを得ることを目的とする最適化問題を解く。回帰なしでは(または、零次回帰では)、重みがデータポイントに適用されず、最良フィット曲線を決定する際に影響を及ぼさない。重みをデータポイントに対して適用する際、直線(二つの係数を有する一次)、放物線(三つの係数を有する二次)等でもよいモデル曲線が、回帰を使用してフィッティングされうる。次数が高いほど曲線は点のパターンに近くなるが、最良フィットは外れ点(すなわち、ノイズ)によって過大な影響を受ける可能性が高い。次数を小さく保つこと(すなわち、一次)は、最適化にとって良好な折衷案を提供する。
【0058】
図7Aは、一定スピードスキャンの被スキャンデータに適用されるガウスフィルタの更なる例示を提供する。上方のイラスト70は、ウェーハの中央に亘るデータのフィルタリングのために適用される一定高さのガウスカーネルを示す。フィルタリングは、下方のトレース72における生データから取得されるデータに適用される。
図7Bは、同様の(一定スピード)データスキャンを例示するが、この場合、カーネル高さがウェーハのエッジに向かって増加してウェーハエッジでクロッピングされる(前述されたように)ように正規化されたガウスカーネル74が、ウェーハの全幅に亘るフィルタリングのために使用される。
図7Cは、センサが一のウェーハエッジから中央に向かって加速し、そこから他のウェーハエッジに向かって減速する非一定スピードスキャンを例示する。再び、正規化されたガウスカーネル76は、ウェーハエッジにおいて高いが、カーネルは、データが疎な中央に向かって高さも増加する。
【0059】
図8Aおよび8Bは、ウェーハエッジに近いデータに対してフィルタリングが有する効果を例示する。
図8Aは、固定高さ(すなわち、正規化されていない)ガウスカーネルの効果(ウェーハのエッジまで拡張された
図7Aの一定スピードスキャンにおいて生じるもの)を示す。
図8Aに示されるように、フィルタの効果は、フィルタエッジの近くで歪みを生む(すなわち、フィルタリングされたデータを不正確にする)ことである。しかし、
図8Bに示されるように、正規化されたガウスカーネルおよび一次回帰を伴うガウス回帰フィルタが使用される場合、フィルタリングされたデータは、ウェーハエッジの近くで大幅に正確になる。
【0060】
図9Aは、レベルセンサデータの処理におけるステージを例示するブロック図である。生のレベルセンサデータ100は、前述のような周波数に基づくLPFまたはガウスフィルタ(GLPF)等の任意の適切なフィルタでもよいフィルタ101に対して提供される。しかし、前述のように、FEC外からのデータは、点線によって示されるように、異なる扱いを受ける。フィルタリングブロック101に続いて、サンプルレートコンバータ(SRC)ブロック102が設けられる。それぞれ異なるフィルタを使用して別々にフィルタリングされた二つの別のデータセットは、信号を内挿して当初の密にサンプリングされたグリッドから固定グリッドへ再グリッド化するためにSRC102において再結合される。そして、ブロック103におけるデータの後処理が続く。
【0061】
図9Bは同じプロセスを示すが、この場合、FEC内およびFEC外からのデータの分離およびSRC102における再結合が存在しない。ウェーハ全体についてのデータは、同じフィルタ(例えば、前述されたようなガウス)を使用してフィルタリングされている。このように、SRCにおけるデータの再結合が必要ないため、全データ処理の顕著な低減をもたらす。更に、
図11Bに例示されるプロセスが、WZMデータを所定のグリッドポイントに内挿なしで直接的に提供するために使用されうる。これは、通常は、特定のグリッドポイントにおけるWZMデータのみがウェーハ処理の他のコンポーネントによって要求され、データの残りは単純に使用されないためである。要求されたグリッドデータポイントのみにおいてデータをフィルタリングおよび処理することによって、データ処理の著しい低減およびデータの内挿または外挿が要求されないための精度の向上が達成されうる。
【0062】
図10は、処理の低減が達成される様子を示す。上段のグラフは、ウェーハに亘るスキャンについて取得された生データのセットを示す。定められた固定グリッドについて要求される正確なデータ位置(y位置)に生データサンプルがないため、要求されるグリッド位置の両側の位置について取得されたデータサンプルが内挿される(または、ウェーハエッジの近くの位置について外挿される)。その下のグラフは、ウェーハに亘る各生サンプルデータ位置(一定スピードスキャンにおける)についてのガウスカーネルを例示する。ここで、前述のカーネルフィルタリング方法の使用は、生データサンプルの正確な位置である必要はない正確な位置において、カーネルを定めることを可能にする。これは、一旦カーネルが定められると、カーネル下でのデータサンプルが、指定された正確な位置について、フィルタリングしたデータ値を取得するために使用されるためである。従って、
図12における下段のグラフに例示されるように、指定された固定グリッド位置において、データフィルタリングおよび後続の処理を実行すればよい。このため、データ処理システムは、指定されたサンプルレートコンバータ(SRC)位置のみにおいてカーネルを決定するように設定されうる。これは、評価が必要なカーネルを少なくでき(高速化でき)、内挿の必要がないために高精度化できる。また、一つのブロック(SRC)が除去されうるため、データ処理全体がより単純になる。結果として、高密度なフィルタリングされたデータがなくなる。但し、ほとんどの用途(特に、前述のリソグラフィプロセス)では、いずれにせよ当該データの使用はない。
【0063】
指定されたグリッド位置のみでデータフィルタリングを実行するというコンセプトは、前述されたような一定スピードスキャンと共に使用される公知のフーリエLPFを含む他のタイプのフィルタにも適用されうる。予め指定された位置のみでデータをフィルタリングすることは、要求されるデータ処理の量を低減するだけでなく、内挿の必要性をなくすことによって精度も向上させる。
【0064】
図11は、データを処理する方法における処理ステップを例示するフロー図である。ステップ1301では、データのセットが取得される。これは、例えば、レベルセンサ等のスキャニングセンサからのデータでもよい。データは、等間隔および/または非等間隔のデータサンプルを備えてもよい。ステップ1302では、データ処理が要求されると判定されたデータセット内の第1(または、次の)位置でフィルタリングが開始される。いくつかの状況では、これは、全てのデータサンプルの位置でもよいし、低減された数のデータサンプル(例えば、二つ置き、三つ置き、四つ置き等のサンプル)でもよい。あるいは、Y位置は、スキャンに亘って設定されたグリッドポイント等のデータセット内の所定の位置でもよい。ステップ1303では、カーネルが、確率密度関数に基づいて決定される。例えば、前述のレベルセンサの用途におけるように、カーネルは、ガウス関数に基づくガウスカーネルでもよい。ステップ1304では、カーネル内のサンプルの加重平均が決定される。ステップ1305では、一次回帰が加重平均に適用される。ステップ1306では、処理された出力データが要求される更なる位置が存在する場合、手順はステップ1302に戻って次の位置についてのフィルタリングを開始する。ステップ1306において、処理されたデータが要求される更なる位置が存在しない場合、手順はステップ1307に進み、処理されたデータが出力されて(または、追加的な処理が実行される場合は次のステージに渡される)手順が終了する。
【0065】
このデータ処理方法は、一または複数の追加的なフィルタをタンデム状に実装することによって更に改良されてもよい。例えば、生データにおける高周波数要素は、制限された減衰フィルタリングの結果として、制限されたデータ精度および再現性をもたらしうる。このため、精度を高めるためにパスバンド減衰を改良するのが望ましい、および/または、結果の再現性を改善するためにストップバンド減衰を改良するのが望ましい。このように、サンプル平均化または生データサンプルのサブサンプリング等を備えるタンデムフィルタが前述のデータ処理方法に追加されてもよい。前述されたようなガウスフィルタ等でもよいタンデムフィルタは、サンプルに亘るカーネルの畳み込みの前に適用される。
【0066】
図12は、新フィルタブロック101の一部としての追加的なタンデムフィルタTFを有する、
図9Bにおけるようなレベルセンサデータの処理におけるステージを例示するブロック図である。本実施形態(例示のみを目的とする)ではストップバンドにおける高周波数ノイズを改善する例示的なサンプル平均化フィルタであるタンデムフィルタが、
図13のフロー図のステップ1302aにおいて示される。後続のフィルタリングステップは、ここで開示されるデータ処理方法に則って、パスバンド上の最大の減衰を担保し、等間隔および/または非等間隔のデータサンプルを処理する。タンデムフィルタの使用は、高周波数データを減衰させるものに限定されず、所与の目的に最適化された任意の他のフィルタを備えてもよいと理解される。公知のデータフィルタリング技術を使用して、それぞれ特定の目的に最適化された一または複数のタンデムフィルタが、本開示のデータ処理方法と統合されてもよい。
【0067】
本テキストにおいて、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、ここで記述されるリソグラフィ装置は他の用途を有してもよいと理解されるべきである。可能性のある他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造を含む。
【0068】
本テキストにおいて、リソグラフィ装置の文脈における本発明の実施形態についての具体的な参照がなされたかもしれないが、本発明の実施形態は他の装置で使用されてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェーハ(または、他の基板)またはマスク(または、他のパターニングデバイス)等のオブジェクトを測定または処理する任意の装置の一部を構成してもよい。これらの装置は、一般的にリソグラフィツールと表されてもよい。このようなリソグラフィツールは、真空条件または大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0069】
以上において、光学リソグラフィの文脈における本発明の実施形態の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、本発明は、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されず、インプリントリソグラフィ等の他の用途において使用されてもよいと理解される。
【0070】
文脈が許す限り、発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合せで実装されてもよい。発明の実施形態は、一または複数のプロセッサによって読み出されて実行されてもよい機械読取可能媒体上に格納された命令として実装されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えば、演算デバイス)によって読み取り可能な形態で、情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響または他の形態の伝送信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、その他を含んでもよい。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして記述されてもよい。但し、このような記述は単に便宜的なものであり、このようなアクションは実際には、演算デバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによってもたらされ、アクチュエータまたは他のデバイスに物理的な世界と相互作用させてもよいと理解されるべきである。
【0071】
発明の具体的な実施形態が前述されたが、発明は記述されたものと異なる態様で実施されてもよいと理解される。以上の記述は例示を目的としており、発明を限定する趣旨ではない。従って、記述された発明に対して以下の請求項の範囲から逸脱することなく変更が加えられてもよいことは当業者にとって明らかである。本発明の他の態様は、以下の番号が付された項目のように提示される。
項目1:
等間隔および/または非等間隔データサンプルを備えるデータセットを処理する方法であって、前記データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルが前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるデータのフィルタリングを備える方法。
項目2:
前記データのフィルタリングは、前記データセットにおけるサンプルに亘る前記カーネルの畳み込みの前にデータに適用されるタンデムフィルタを備える、項目1に記載の方法。
項目3:
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、項目2に記載の方法。
項目4:
前記フィルタリングは、時間および/または空間ドメインにおいて実行される、項目1から3のいずれかに記載の方法。
項目5:
前記非等間隔サンプルは、時間的および/または空間的に離れている、項目1から4のいずれかに記載の方法。
項目6:
前記データセットは、スキャニングセンサから取得された測定結果を備える、項目1から5のいずれかに記載の方法。
項目7:
前記スキャニングセンサは、リソグラフィ装置においてウェーハの表面に亘るスキャニングを実行する、項目6に記載の方法。
項目8:
前記センサはレベルセンサである、項目7に記載の方法。
項目9:
前記カーネルの形は、前記データサンプルの間隔における変動に応じて変わる、項目1から8のいずれかに記載の方法。
項目10:
前記確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルである、項目1から9のいずれかに記載の方法。
項目11:
前記ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルであり、
前記正規化されたガウスカーネルの前記定められたエリアは、前記データセットのフィルタリングについて一定に維持されている、
項目8に記載の方法。
項目12:
前記データサンプルのフィルタリングは、ローパスフィルタリングを備え、
それより上のデータが除去されるカットオフ周波数は、前記サンプルの間隔における変動に応じて変わる、
項目1から11のいずれかに記載の方法。
項目13:
前記レベルセンサは、センサデータを取得しながら前記ウェーハ表面の部分に亘って加減速するために、前記ウェーハの表面に亘って可変スピードでスキャニングし、
前記データ出力は、前記ウェーハ表面のレベルの加速されたウェーハZマップ(AWZマップ)を提供するために使用される、
項目8に記載の方法。
項目14:
前記処理された出力データは、所定の離れた位置のセットについて要求され、
前記データセットの処理は、当該所定の位置のみで実行される、
項目1から13のいずれかに記載の方法。
項目15:
前記所定の位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントである、項目14に記載の方法。
項目16:
前記被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面であり、
前記センサは、レベルセンサであり、
データが処理される前記所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントである、
項目14または15に記載の方法。
項目17:
リソグラフィ装置における加速されたウェーハZマップを取得する方法であって、
スキャニングレベルセンサを使用して、ウェーハの表面に亘るレベル測定結果のデータサンプルのセットを取得することと、
データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して、時間および/または空間ドメインにおいてデータをフィルタリングすることと、
前記複数の位置のそれぞれについてレベル値を取得するために、一次回帰をフィルタリングされたデータに適用することと、
を備える方法。
項目18:
前記レベル測定結果のデータサンプルのセットは、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して時間および/または空間ドメインにおいてフィルタリングされる前に、タンデムフィルタによってフィルタリングされる、項目17に記載の方法。
項目19:
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、項目18に記載の方法。
項目20:
連続するサンプルの間のサンプル間隔は変動し、
前記カーネルの形は、前記サンプル間隔における変動に応じて変わる、
項目17から19のいずれかに記載の方法。
項目21:
前記確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルである、項目17から20のいずれかに記載の方法。
項目22:
前記ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルであり、
前記正規化されたガウスカーネルの前記定められたエリアは、前記データセットのフィルタリングについて一定に維持されている、
項目21に記載の方法。
項目23:
スキャニングを実行しながらデータサンプルを取得するスキャニングセンサからのデータを提供する方法であって、
処理された出力データが要求される所定の離れた位置のセットを被スキャンデータ内で特定することと、
前記離れた位置のそれぞれに対応するフィルタリングされたデータサンプルのセットを取得するために、前記所定の離れた位置のそれぞれについて前記センサによって取得されたデータをフィルタリングすることと、
を備える方法。
項目24:
データの前記フィルタリングは、前記所定の離れた位置のみで実行される、項目23に記載の方法。
項目25:
前記所定の位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントである、項目22または23に記載の方法。
項目26:
前記被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面であり、
前記センサは、レベルセンサであり、
データが処理される前記所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントである、
項目25に記載の方法。
項目27:
データの前記フィルタリングは、前記サンプルの加重平均を実行するために、前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを利用し、
前記カーネルの形は、前記データサンプルの間隔における変動に応じて変わる、
項目23から26のいずれかに記載の方法。
項目28:
データの前記フィルタリングは、前記データセットにおけるサンプルに亘る前記カーネルの畳み込みの前にデータに適用されるタンデムフィルタを備える、項目27に記載の方法。
項目29:
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、項目28に記載の方法。
項目30:
項目1から29のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
項目31:
ウェーハ形成プロセスにおける計測を実行するためのリソグラフィ装置であって、
ウェーハの表面に亘る測定結果のデータサンプルのセットを取得するように構成されるスキャニングセンサと、
連続するサンプルの間のサンプル間隔が可変であるように、前記センサのスキャニングを制御するように構成されるコントローラと、
前記データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルが前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるように、データをフィルタリングするように構成されるプロセッサと、
を備えるリソグラフィ装置。
項目32:
データをフィルタリングするように構成される前記プロセッサは、前記データセットにおけるサンプルに亘る確率関数によって定められた前記カーネルの畳み込みの前に、タンデムフィルタを適用するように更に構成される、項目31に記載のリソグラフィ装置。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャニングセンサとしてのレベルセンサから取得された測定結果の等間隔および/または非等間隔データサンプルを備えるデータセットを処理する方法であって、
前記スキャニングセンサが、リソグラフィ装置においてウェーハの表面に亘るスキャンを実行し、
前記データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルが前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるデータのフィルタリングを備える方法。
【請求項2】
前記レベルセンサは、センサデータを取得しながら前記ウェーハの表面の部分に亘って加減速するために、前記ウェーハの表面に亘って可変スピードでスキャニングし、
前記データ出力は、前記ウェーハ表面のレベルの加速されたウェーハZマップ(AWZマップ)を提供するために使用される、
請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理された出力データは、所定の離れた位置のセットについて要求され、
前記データセットの処理は、当該所定の位置のみで実行される、
請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の離れた位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントである、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
被スキャンエリアは、リソグラフィ装置におけるウェーハの表面であり、
データが処理される前記所定の位置は、所定のウェーハグリッドポイントである、
請求項
3または
4に記載の方法。
【請求項6】
リソグラフィ装置における加速されたウェーハZマップを取得する方法であって、
スキャニングレベルセンサを使用して、ウェーハの表面に亘るレベル測定結果のデータサンプルのセットを取得することと、
データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれる、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して、時間および/または空間ドメインにおいてデータをフィルタリングすることと、
前記複数の位置のそれぞれについてレベル値を取得するために、一次回帰をフィルタリングされたデータに適用することと、
を備える方法。
【請求項7】
前記レベル測定結果のデータサンプルのセットは、確率密度関数によって定められたカーネルを使用して時間および/または空間ドメインにおいてフィルタリングされる前に、タンデムフィルタによってフィルタリングされる、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記タンデムフィルタは、サンプル平均化フィルタである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
連続するサンプルの間のサンプル間隔は変動し、
前記カーネルの形は、前記サンプル間隔における変動に応じて変わる、
請求項
6から
8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記確率密度関数によって定められたカーネルは、ガウスカーネルである、請求項
6から
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ガウスカーネルは、センサスポットサイズおよびサンプル間隔に基づいて定められたエリアを有する正規化されたガウスカーネルであり、
前記正規化されたガウスカーネルの前記定められたエリアは、前記データセットのフィルタリングについて一定に維持されている、
請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の位置は、被スキャンエリアに亘る所定のグリッドポイントである、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
ウェーハ形成プロセスにおける計測を実行するためのリソグラフィ装置であって、
ウェーハの表面に亘る測定結果のデータサンプルのセットを取得するように構成されるスキャニングセンサと、
連続するサンプルの間のサンプル間隔が可変であるように、前記スキャニングセンサのスキャニングを制御するように構成されるコントローラと、
前記データセットに亘る複数の位置におけるサンプルの加重平均を実行するために、確率密度関数によって定められたカーネルが前記データセットにおけるサンプルに亘って畳み込まれ、処理されたデータ出力を提供するために、一次回帰がフィルタリングされたデータに適用されるように、データをフィルタリングするように構成されるプロセッサと、
を備えるリソグラフィ装置。
【請求項15】
データをフィルタリングするように構成される前記プロセッサは、前記データセットにおけるサンプルに亘る確率関数によって定められた前記カーネルの畳み込みの前に、タンデムフィルタを適用するように更に構成される、請求項
14に記載のリソグラフィ装置。
【国際調査報告】