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特表2024-514524プラズマを使用した薄膜形成のグランドリターン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】プラズマを使用した薄膜形成のグランドリターン
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240326BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240326BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240326BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20240326BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 C
H01L21/68 N
C23C16/458
H05H1/46 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560888
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021025431
(87)【国際公開番号】W WO2022211816
(87)【国際公開日】2022-10-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パン, ヤン チー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, シャオ-リン
(72)【発明者】
【氏名】古田 学
(72)【発明者】
【氏名】チャン, マックス
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB13
2G084BB14
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD55
2G084FF02
2G084FF07
2G084FF15
4K030AA06
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA29
4K030BA40
4K030BA44
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4K030KA46
4K030KA47
4K030LA16
4K030LA18
5F045AA08
5F045AB01
5F045AB02
5F045AB03
5F045AB04
5F045AB32
5F045AB33
5F045AB34
5F045AC15
5F045AC16
5F045AC17
5F045AF03
5F045AF07
5F045AF10
5F045BB02
5F045DA69
5F045DC65
5F045EB06
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH07
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5F045EH18
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5F045EM09
5F131AA03
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5F131AA33
5F131AA34
5F131BA19
5F131CA04
5F131EA03
5F131EA23
5F131EB72
(57)【要約】
第2の主側部の反対側の第1の主側部と、第2の副側部の反対側の第1の副側部とを含む周囲を含む矩形体を有するサセプタであって、副側部の各々は、それぞれの角で接する第1の主側部と第2の主側部とに隣接してその間に延在する、サセプタと、矩形体の各々の角の外側で矩形体の周囲に結合されている複数の接地デバイスであって、複数の接地デバイスは、第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部、及び第2の副側部の各々に結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部、及び第2の副側部の各々に8つ以上の底部接地デバイスを含む、複数の接地デバイスを含むプロセスキットが提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料から作られた矩形体を有するサセプタであって、前記矩形体が、第2の主側部の反対側の第1の主側部を含む周囲、及び第2の副側部の反対側の第1の副側部を含み、前記副側部の各々は、前記第1の主側部と第2の主側部とにそれぞれの角で隣接し、前記第1の主側部と第2の主側部の間に延在している、前記サセプタと、
前記矩形体の各々の角の外側で、前記矩形体の周囲に結合された複数の接地デバイスであって、前記第1の主側部、前記第2の主側部、前記第1の副側部及び前記第2の副側部のそれぞれに結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び前記第1の主側部、前記第2の主側部、前記第1の副側部、及び第2の副側部のそれぞれに8つ以上の底部接地デバイスを含む、前記複数の接地デバイスと
を含む、プロセスキット。
【請求項2】
前記複数の接地デバイスの各々が、前記矩形体の周囲に配置されたブラケットに結合されている、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項3】
前記ブラケットが複数のベース部材を含み、各ベース部材は、前記側部接地デバイスのうちの1つを支持するように適合されている、請求項2に記載のプロセスキット。
【請求項4】
前記主側部の各々及び前記副側部の各々が、少なくとも1つの空のベース部材を含む、請求項3に記載のプロセスキット。
【請求項5】
前記主側部の各々が、4つの空のベース部材を含む、請求項4に記載のプロセスキット。
【請求項6】
前記副側部の各々が、2つの空のベース部材を含む、請求項4に記載のプロセスキット。
【請求項7】
前記底部接地デバイスが、前記矩形体の周囲に配置されたブラケットに結合されている、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項8】
前記ブラケットが複数のベース部材を含み、前記複数のベース部材の各々の少なくとも一部が前記側部接地デバイスのうちの1つを含む、請求項7に記載のプロセスキット。
【請求項9】
前記底部接地デバイスの一部が、前記側部接地デバイスの1つを含む前記ベース部材の1つに隣接する前記ブラケットに結合されている、請求項8に記載のプロセスキット。
【請求項10】
前記ブラケットが、前記ベース部材の間に凹部領域を含み、前記底部接地デバイスは、前記凹部領域に結合されている、請求項8に記載のプロセスキット。
【請求項11】
導電性材料から作られた矩形体を有するサセプタであって、前記矩形体が、第2の主側部の反対側の第1の主側部を含む周囲、及び第2の副側部の反対側の第1の副側部を含み、前記副側部の各々は、前記第1の主側部と第2の主側部とにそれぞれの角で隣接し、前記第1の主側部と第2の主側部の間に延在している、前記サセプタと、
前記矩形体の周囲に結合されたブラケットと、
前記第1及び前記第2の主側部の各々と、前記第1及び前記第2の副側部の各々の電気接地長内で前記ブラケットに結合された複数の接地デバイスであって、前記第1の主側部、前記第2の主側部、前記第1の副側部、及び前記第2の副側部の各々に結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び前記第1の主側部、前記第2の主側部、前記第1の副側部、及び前記第2の副側部の各々に8つ以上の底部接地デバイスを含む前記複数の接地デバイスと
を含む、プロセスキット。
【請求項12】
前記ブラケットが複数のベース部材を含み、各ベース部材は、前記側部接地デバイスのうちの1つを支持するように適合されている、請求項11に記載のプロセスキット。
【請求項13】
前記主側部の各々及び前記副側部の各々が、少なくとも1つの空のベース部材を含む、請求項12に記載のプロセスキット。
【請求項14】
前記主側部の各々が、4つの空のベース部材を含む、請求項13に記載のプロセスキット。
【請求項15】
前記副側部の各々が、2つの空のベース部材を含む、請求項13に記載のプロセスキット。
【請求項16】
前記底部接地デバイスの各々が、前記ブラケットに結合された第1の端部と、スロットホールを有する第2の端部とを含む、請求項11に記載のプロセスキット。
【請求項17】
プラズマ処理システムであって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置された、前記チャンバ内でのプラズマの生成を促進し、前記チャンバ内で第2の電極に対して移動可能である第1の電極であって、
導電性材料から作られた矩形体を含み、前記矩形体は、第2の主側部の反対側の第1の主側部を含む周囲、及び第2の副側部の反対側の第1の副側部を含み、前記副側部の各々は、前記第1の主側部と第2の主側部とにそれぞれの角で隣接し、前記第1の主側部と第2の主側部の間に延在している、前記矩形体、並びに
前記矩形体のそれぞれの角の外側で、前記矩形体の周囲に結合された複数の接地デバイスであって、前記第1の主側部、前記第2の主側部、前記第1の副側部及び前記第2の副側部のそれぞれに結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び前記第1の主側部、前記第2の主側部、前記第1の副側部、及び第2の副側部のそれぞれに8つ以上の底部接地デバイスを含む、前記複数の接地デバイス
を含む前記第1の電極と
を含むプロセス処理システム。
【請求項18】
前記複数の接地デバイスの各々が、前記矩形体の周囲に配置されたブラケットに結合されている、請求項17に記載のプラズマ処理システム。
【請求項19】
前記ブラケットが複数のベース部材を含み、各ベース部材は、前記側部接地デバイスのうちの1つを支持するように適合されている、請求項18に記載のプラズマ処理システム。
【請求項20】
前記主側部の各々及び前記副側部の各々が、前記角に隣接する少なくとも1つの空のベース部材を含む、請求項19に記載のプラズマ処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001]本明細書に記載される実施形態は、概して、プラズマを使用して大面積基板を処理するための方法及び装置に関する。より詳細には、本明細書に記載される実施形態は、プラズマ処理チャンバのための変調高周波(RF)電流リターン経路に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
関連技術の説明
[0002]プラズマ化学気相堆積(PECVD)は、一般に、ディスプレイの製造に使用される半導体基板、ソーラーパネル基板、液晶ディスプレイ(LCD)及び有機発光ダイオード(OLED)基板などの基板上に薄膜を堆積するために使用される。PECVDは一般に、サセプタ又は基板支持体上に基板が配置された真空チャンバ内に前駆体ガスを導入することによって達成される。前駆体ガスは通常、真空チャンバの頂部近くに位置するガス分配プレートを通して導かれる。真空チャンバ内の前駆体ガスは、チャンバに結合された1つ又は複数のRF源からチャンバに高周波(RF)電力を印加することによってエネルギーを与えられて(energized)(例えば、励起されて(excited))プラズマになる。励起されたガスは反応して、基板(又はその上に形成されたデバイス)の表面上に材料の薄膜を形成する。ガス分配プレートは通常、RF電源に接続されており、通常、サセプタはチャンバ本体に接続され、RF電流の戻り経路を提供する。
【0003】
[0003]OLEDデバイスの製造では、基板上に形成された複数のOLEDデバイス上に薄膜を形成するためにPECVDプロセスが一般的に使用される。薄膜は、デバイスをカプセル化及び/又は気密封止するために利用される(薄膜カプセル化(TFE)として知られている)。PECVDプロセスを使用してOLEDデバイス上に堆積されるこれらの薄膜では、一般に均一性が望まれている。薄膜が基板領域全体で均一でない場合、歩留まりが低下する可能性がある。この不均一性は、RFリターンの影響を受けるプラズマ密度の均一性に関連していることが判明している。
【0004】
[0004]したがって、必要とされているのは、大面積基板用の改良されたRFリターンのスキームである。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の実施形態は、一般に、基板をプラズマ処理するための方法及び装置に関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、有利なRF帰還経路を提供するように適合された1つ又は複数の高周波(RF)接地又はリターン装置を有するプラズマ処理チャンバを提供する。
【0006】
[0006]一実施形態では、プロセスキットが提供される。プロセスキットは、導電性材料から作られた矩形体を有するサセプタであって、矩形体が、第2の主側部の反対側の第1の主側部を含む外周、及び第2の副側部の反対側の第1の副側部を含み、副側部の各々は、第1の主側部と第2の主側部とに隣接し、それらの間に延在し、第2の主側部はそれぞれの角で接している、サセプタを含む。サセプタはまた、矩形体のそれぞれの角の外側で、矩形体の周囲に結合された複数の接地デバイスであって、第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部及び第2の副側部のそれぞれに結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部、及び第2の副側部のそれぞれに結合された、8つ以上の底部接地デバイスを含む、前記接地デバイスと
を含む。
【0007】
[0007]別の実施形態では、プロセスキットが提供される。プロセスキットは、導電性材料から作られた矩形体を有するサセプタであって、矩形体が、第2の主側部の反対側の第1の主側部を含む外周、及び第2の副側部の反対側の第1の副側部を含み、副側部の各々は、第1の主側部と第2の主側部とにそれぞれの角で隣接し、第1の主側部と第2の主側部の間に延在している、サセプタを含む。サセプタはまた、矩形体の周囲に結合されたブラケットと、第1及び第2の主側部の各々と、第1及び第2の副側部の各々の電気接地長内でブラケットに結合された複数の接地デバイスであって、第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部、及び第2の副側部の各々に結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部、及び第2の副側部の各々に8つ以上の底部接地デバイスを含む前記複数の接地デバイスと
を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態では、プラズマ処理システムが提供される。プラズマ処理システムは、チャンバと、チャンバ内に配置された、チャンバ内でのプラズマの生成を促進し、チャンバ内で第2の電極に対して移動可能である第1の電極と、を含む。第1の電極は、導電性材料から作られた矩形体を有し、矩形体が、第2の主側部の反対側の第1の主側部を含む外周、及び第2の副側部の反対側の第1の副側部を含み、副側部の各々は、第1の主側部と第2の主側部とにそれぞれの角で隣接し、第1の主側部と第2の主側部の間に延在している。第1の電極はまた、矩形体のそれぞれの角の外側で、矩形体の周囲に結合された複数の接地デバイスであって、第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部及び第2の副側部のそれぞれに結合された4つ以上の側部接地デバイス、及び第1の主側部、第2の主側部、第1の副側部、及び第2の副側部のそれぞれに結合された、8つ以上の底部接地デバイスを含む。
【0009】
[0009]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本明細書に記載のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】[0010]プラズマ処理システムの一実施形態の概略断面図である。
図1B】[0011]図1Aに示されるプラズマ処理システムの別の実施形態の概略断面図である。
図2】[0012]側部接地デバイスの一実施形態の等角図である。
図3】[0013]接地デバイスを結合するためのブラケットの一部の等角背面図である。
図4】[0014]サセプタの上面図を示すチャンバ本体の概略上面断面図である。
図5A】[0015]サセプタの周囲のブラケット上に配置された接地デバイスの様々な実施形態の概略等角図である。
図5B】サセプタの周囲のブラケット上に配置された接地デバイスの様々な実施形態の概略等角図である。
図5C】サセプタの周囲のブラケット上に配置された接地デバイスの様々な実施形態の概略等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0016]理解が容易になるよう、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すために同一の符号を使用した。一実施形態の要素および/またはプロセスステップは、追加の説明なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0012】
[0017]本開示の実施形態は、概して、プラズマを使用して基板を処理するための方法及び装置、及び/又はプラズマを使用して構成要素を洗浄するための方法及び装置に関する。無線周波数(RF)リターンパスを可能にするために接続された様々な接地デバイスを有するサセプタを含むプロセスキットが開示される。本明細書に記載される実施形態は、改善された接地又は電流の戻り経路を提供することによって、プラズマ形成を強化し、基板上に材料を堆積させる方法に関する。以下の説明では、プラズマ化学気相堆積(PECVD)チャンバについて説明するが、本明細書の実施形態は、ほんの数例を挙げると、物理的気相堆積(PVD)チャンバ、エッチングチャンバ、半導体処理チャンバ、太陽電池処理チャンバ、及び有機発光ディスプレイ(OLED)処理チャンバを含む他のチャンバでも同様に実施できることを理解されたい。使用できる適切なチャンバは、カリフォルニア州サンタクララにあるApplied Materials, Inc.の子会社であるAKT America, Inc.から入手可能である。本明細書で説明する実施形態は、他の製造業者から入手可能なチャンバでも実施できることを理解されたい。
【0013】
[0018]本開示は、任意のサイズ又は形状の基板を処理するために利用することができる。しかしながら、本開示は、約15,600cmの平面表面積を有する基板において特に利点を提供し、これには、約90,000cmの表面積(又はそれ以上)の平面表面積を有する基板が含まれる。基板の表面積が大きくなると、適切な接地経路を設けることが難しくなるため、均一な処理が困難になる。本明細書に記載される実施形態は、より大きな基板サイズの処理中のこれらの課題に対する解決策を提供する。
【0014】
[0019]図1Aは、プラズマ処理システム100の一実施形態の概略断面図である。プラズマ処理システム100は、液晶ディスプレイ(LCD)、フラットパネルディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)デバイス、又は太陽電池アレイ用の光電池の製造に使用される構造及びデバイスを大面積基板101上に形成する際にプラズマを使用して、大面積基板101を処理するように構成されている。基板101は、適切な材料の中でも特に、金属、プラスチック、有機材料、ケイ素、ガラス、石英、又はポリマーの薄いシートであってもよい。プラズマ処理システム100は、大面積基板101上に、誘電体材料(例えば、SiO、SiO、その誘導体又はそれらの組み合わせ)、半導体材料(例えば、Si及びそのドーパント)、またはバリア材料(例えば、SiN、SiO又はその誘導体)が含まれるが、これらに限定されない様々な材料を堆積させるように構成され得る。誘電体材料及び半導体材料の具体例は、プラズマ処理システム100によって大面積基板上に形成又は堆積される、エピタキシャルシリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素、それらのドーパント(例えば、B、P、又はAs)、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせを含み得る。プラズマ処理システム100はまた、パージガス又はキャリアガス(例えば、Ar、H、N、He、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせ)として使用するために、アルゴン、水素、窒素、ヘリウム、又はそれらの組み合わせなどのガスを受け入れるように構成されている。システム100を使用して大面積基板101上にケイ素薄膜を堆積させる一例は、水素キャリアガス中の処理ガスとしてシランを使用することによって達成され得る。
【0015】
[0020]図1Aに示すように、プラズマ処理システム100は、一般に、処理領域111を少なくとも部分的に画定する底部117a及び側壁117bを含むチャンバ本体102を含む。サセプタ104は処理領域111内に配置される。サセプタ104は、処理中に基板101を頂面上で支持するように適合されている。サセプタ104は、基板101の移送を容易にするためにサセプタを少なくとも垂直に移動させるように及び/又は基板101とシャワーヘッドアセンブリ103の間の距離Dを調整するように適合されたアクチュエータ138に結合されている。1つ又は複数のリフトピン110a~110dは、サセプタ104を通って延びることができる。図1Bに示すように、基板101の移送を容易にするために、サセプタ104がアクチュエータ138によって下降されるとき、リフトピン110a~110dが、チャンバ本体102の底部117aに接触し、基板101を支持するように適合されている。図1Aに示すような処理位置では、リフトピン110a~110dは、基板101をサセプタ104上に平らに置くことができるように、サセプタ104の頂面と同一面又はわずかに下に位置するように適合されている。
【0016】
[0021]基板101及び/又はサセプタ104は、約5平方メートルより大きい、例えば約5.5平方メートル超の表面積を有してもよい。いくつかの実施形態では、基板101及び/又はサセプタ104は、約2200mm(副側部)×約2500mm(長側部)以上の寸法を含んでもよい。基板101上に形成される構造は、OLEDデバイス、薄膜トランジスタ、又は太陽電池用のダイオードを形成するp-n接合であってもよい。
【0017】
[0022]シャワーヘッドアセンブリ103は、処理ガス源122から処理領域111に処理ガスを供給するように構成されている。プラズマ処理システム100はまた、処理領域111に負圧を加えるように構成された排気システム118も含む。シャワーヘッドアセンブリ103は、通常、サセプタ104に対向して実質的に平行な関係で配置される。
【0018】
[0023]一実施形態では、シャワーヘッドアセンブリ103は、ガス分配プレート114及びバッキング板116を含む。バッキング板116は、ガス分配プレート114とバッキング板116との間にガスボリューム131の形成を可能にするブロッカプレートとして機能し得る。ガス源122は、導管134によってガス分配プレート114に接続されている。一実施形態では、遠隔プラズマ源107は、活性化ガスのプラズマをガス分配プレート114を通して処理領域111に供給するために導管134に結合されている。遠隔プラズマ源107からのプラズマは、処理領域111内に配置されたチャンバ構成要素を洗浄するための活性化ガスを含むことができる。
【0019】
[0024]ガス分配プレート114、バッキングプレート116、及び導管134は、概して、導電性材料から形成され、互いに電気的に接続されている。チャンバ本体102もまた、導電性材料から形成される。チャンバ本体102は、概して、シャワーヘッドアセンブリ103から電気的に絶縁されている。一実施形態では、シャワーヘッドアセンブリ103は、絶縁体135によってチャンバ本体102に取り付けられる。
【0020】
[0025]一実施形態では、サセプタ104も導電性であり、サセプタ104とシャワーヘッドアセンブリ103は、処理中及び/又は前処理又は後処理プロセス中、処理ガス間のプラズマ108aを生成するための対向電極となるように構成される。さらに、サセプタ104及びシャワーヘッドアセンブリ103は、洗浄プロセス中に洗浄ガスのプラズマ108b(図1B)をサポートするために利用され得る。
【0021】
[0026]一般に、高周波(RF)電源105は、処理前、処理中、処理後にシャワーヘッドアセンブリ103とサセプタ104との間にプラズマ108aを生成するために使用され、また、エネルギーを与えられた種を維持したり、遠隔プラズマ源107から供給される洗浄ガスをさらに励起したりするために使用することもできる。一実施形態では、RF電源105は、インピーダンス整合回路121の第1の接続106aによってシャワーヘッドアセンブリ103に結合される。インピーダンス整合回路121の第2接続部106bは、チャンバ本体102に電気的に接続されている。
【0022】
[0027]一実施形態では、プラズマ処理システム100は、複数の第1のRFデバイス109a及び複数の第2のRFデバイス109bを含む。第1のRFデバイス109a及び第2のRFデバイス109bの各々は、サセプタ104とチャンバ本体102の接地された構成要素との間に結合される。一実施形態では、複数のRFデバイス109a及び109bは、処理及び/又はチャンバ洗浄手順中にRF電流を戻すためのリターンパスを制御するように構成されている。
【0023】
[0028]第1のRFデバイス109aの各々は、側部接地デバイス112と呼ばれることがある。側部接地デバイス112の各々は、サセプタ104の側面とチャンバ側壁117bとの間に接地パスを選択的に接触及び/又は提供するように構成されている。さらに、第2のRFデバイス109bの各々は、底部接地デバイス113と呼ばれることがある。底部接地デバイス113の各々は、サセプタ104とチャンバ底部117aとの間にリターンパスを提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、側部接地デバイス112及び底部接地デバイス113の各々は、サセプタ104に電気的に結合された拡張部材119に結合される。拡張部材119は、サセプタ104の周囲に結合された別個の部材であってもよいし、サセプタ104の周囲を含む構造であってもよい。
【0024】
[0029]側部接地デバイス112の各々は、側壁117bに電気的に結合されたレッジ124に接触するように適合された可動導電部材120を含む。側部接地デバイス112の各々は、電流に対して開閉するように選択的に作動させることができる。閉じた位置(図1Aに示す)では、側部接地デバイス112の各々は、サセプタ104とチャンバ本体102の構成要素との間にRFリターンパスのためのRF導電媒体を提供するために利用される。開いた位置(図1Bに示す)では、各側部接地デバイス112は、チャンバ構成要素(すなわち、RF電源105と電気的に接続されているチャンバ本体102の構成要素)に電気的に結合されていない。一態様では、各側部接地デバイス112の開閉特性は、シャワーヘッドアセンブリ103に対するサセプタ104の高さ(すなわち、レッジ124に対する高さ)によって制御され得る。
【0025】
[0030]基板処理中のRF電流経路の一実施形態が、図1Aの矢印によって概略的に示されている。RF電流は一般に、RF電源105の第1のリード123aからインピーダンス整合回路121の第1の出力106aに流れ、次に、導管134の外面に沿ってバッキングプレート116の背面に進み、次にガス分配プレート114の前面に進む。ガス分配プレート114の前面から、RF電流はプラズマ108aを通って基板101又はサセプタ104の上面に到達し、次に、側部接地デバイス112及び/又は底部接地デバイス113を通って、チャンバ本体102の内面125に達する。RF電流は、内面125から、インピーダンス整合回路121からRF電源105の第2のリード線123bに戻る。
【0026】
[0031]一実施形態では、処理中のRF電流の戻り経路は、サセプタ104とシャワーヘッドアセンブリ103の間の間隔に依存する可能性があり、これは距離Dとして示されている。間隔はサセプタ104の高さによって制御される。一実施形態では、距離Dは、処理中、約200ミル~約2000ミルの間である。この間隔(例えば、サセプタ104の高さ)では、側部接地デバイス112及び底部接地デバイス113は両方とも、RF電源105に電気的に接続されたままであってもよい。この実施形態では、RF電流によってとられるRFリターンパスは、側部接地デバイス112及び底部接地デバイス113の電気的特性及び位置に基づくことができる。電気的特性には、側部接地デバイス112及び底部接地デバイス113の抵抗、インピーダンス及び/又はコンダクタンスが含まれる。例えば、側部接地デバイス112はより近くにあり、RF電源105の第2のリード線123bに戻るRF電流のインピーダンスが低いため、RF電流は主に側部接地デバイス112を通って流れる一方で、底部接地デバイス113にはRF電流がほとんど又はまったく流れない。
【0027】
[0032]図1Bは、図1Aに示されるプラズマ処理システム100の概略断面図である。この図では、プラズマ処理システム100は、チャンバ洗浄手順を示すために基板なしで示されており、矢印は、RF電流の流れを概略的に示すために示されている。この実施形態では、エネルギーを与えられた洗浄ガスが遠隔プラズマ源107からシャワーヘッドアセンブリ103及び処理領域111に流されて、処理領域111内にプラズマ108bを供給する。チャンバ洗浄中に、サセプタ104はシャワーヘッドアセンブリ103から離れる方向に移動され、RF電源105からのRF電力を処理領域111に印加して、遠隔プラズマ源107からの洗浄ガスを維持又はさらに活性化することができる。一実施形態では、チャンバ洗浄中のシャワーヘッドアセンブリ103に対するサセプタ104の間隔又は距離Dは、処理中のシャワーヘッドアセンブリ103に対するサセプタ104の間隔又は距離Dよりも大きい。一実施形態では、洗浄プロセス中のサセプタ104とシャワーヘッドアセンブリ103との間の距離Dは、約200ミル~約5000ミル、又はそれ以上である。
【0028】
[0033]一実施形態では、側部接地デバイス112は、戻りRF電流が底部接地デバイス113のみを流れるように、サセプタ104から電気的又は物理的に切り離されてもよい。一実施形態では、サセプタ104の上昇により、RF電流が側部接地デバイス112を通過することが実質的に妨げられる状態が生じる。一実施形態では、サセプタ104がこの下降位置にあるとき、側部接地デバイス112は側壁117b及びサセプタ104から取り外され、それにより、側部接地デバイス112にRF開放状態が生じる。
【0029】
[0034]図2は、サセプタ104の周囲200に結合された側部接地デバイス112の一実施形態の等角図である。側部接地デバイス112は、ブラケット205(例えば、図1A及び図1Bに示される延長部材119)に結合されて示されている。サセプタ104は、アルミニウムなどの導電性材料で作られた本体210を含む。ブラケット205は、本体210に電気的に接続されたアルミニウムなどの導電性材料を含む。一実施形態では、ブラケット205は、サセプタ104に結合されたバーとして構成される。ブラケット205は、選択された位置でサセプタ104の周囲200から突出する延長ベース部材215を含む。延長ベース部材215は、これらの選択された位置で側部接地デバイス112を収容及び/又は支持する。
【0030】
[0035]側部接地デバイス112は、図1A及び図1Bで説明した可動導電性部材120を含む。延長ベース部材215は、第1のシャフト222を受け入れるように適合された開口部220を含む。第1のシャフト222は、ベース部材215と第1のシャフト222との間の相対運動を提供するために、開口部220を通って移動可能に配置される。第1のシャフト222は、ばね形状226の内側に受け入れられる第2のシャフト224に結合される。カラー228は、第2のシャフト224に結合されて、ばね形状226の基部を提供する。一実施形態では、第1のシャフト222は、図2において230として示される移動距離内の任意の位置に移動可能である。移動距離230は、サセプタ104とチャンバ本体102との間の電気的接触又は接地電位を維持しながら、サセプタ104が様々なプロセス中に移動できる距離範囲に対応する。
【0031】
[0036]可動導電部材120は、この実施形態ではばね形状226並びにばね形状232A及び232Bとして示される少なくとも1つの弾性部分を含む。はね形状226、232A及び232Bは、可動導電性部材120に弾性を与える。ばね形状226、232A及び232Bは、可動導電性部材120に弾性を与える。
【0032】
[0037]いくつかの実施形態では、ばねの形態は、板ばね、コイルばね、圧縮ばね、又は他の可撓性のばねデバイスあるいはばねの形態であってもよい。一実施形態では、ばね形状232A及び232Bは、金属材料又は金属合金を含み、それらはさらに、導電性材料で被覆、包装、又は被覆されてもよい。金属および金属合金の例は、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、MONEL(登録商標)材料、HASTELLOY(登録商標)材料、HAYNES(登録商標)242(登録商標)材料などのHAYNES(登録商標)合金、ベリリウム銅、又は他の導電性弾性材料を含む。コーティング、ラッピング、又はクラッド用の導電性材料の例は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、あるいは他のコーティング、フィルム、又はシート材料を含む。一実施形態では、ばね形状232A及び232Bの各々は、アルミニウム材料で包まれるか又は被覆されたニッケル若しくはチタン合金のシート材料を含む。別の実施形態では、ばね形状226は、HASTELLOY(登録商標)材料又はHAYNES(登録商標)242(登録商標)材料などのNi-Mo-Cr合金を含む。Ni-Mo-Cr合金材料は、アルミニウム又は導電性金属シース若しくはコーティングで被覆、ラッピング、又はクラッドすることができる。一実施形態では、ばね形状226はMONEL(登録商標)400材料を含み、一方、ばね形状232A及び232Bは、アルミニウム箔でラッピングされたHAYNES(登録商標)242(登録商標)材料を含む。
【0033】
[0038]一実施形態では、ばね形状232A及びび232Bは、連続した単一シート材料、又は2つの端部234A、234Bを有する単一の板ばねであってもよい。あるいはまた、ばね形状232A及び232Bは、2つの別個の不連続なシート材料片、又は接触パッド236のそれぞれの端部で結合された2つの板ばねであってもよい。いずれの実施形態においても、ばね形状232A及び232Bは、導電性材料で作られた接触パッド236に電気的に結合される。側部接地デバイス112が閉位置(図1Aに示す)にあるとき、RF電流は、本体210からブラケット205を介して、ばね形状232A及び/又は232B上又はそれらを通って、レッジ124と接触している接触パッド236を介してチャンバ本体102に伝導される。
【0034】
[0039]カラー228は、ナットを含むことができるか、あるいは、第2のシャフト224に固定するように構成された止めねじ用のねじ山付き部分を含むことができ、それによってばね形状226を捕捉することができる。第2のシャフト224は、ばね形状226がその上に嵌合できるように、直径などの寸法を小さくすることができる。この実施形態では、第2のシャフト224、ばね形状226、及びカラー228は、管状部材238内に配置又は収容される。ばね形状226として、第2のシャフト224及びカラー228は導電性材料で作られ、管状部材238は誘電体材料で作られ、その中の導電性部材を電気的に絶縁する。このようにして、アーク放電又はアーク放電の可能性が減少する。
【0035】
[0040]図3は、ブラケット205の一部の等角背面図である。ブラケット205は、サセプタ104の周囲200に結合される側から見たように示されている(両方とも図2に示されている)。複数の延長ベース部材215が、ブラケット205の長さに沿って周期的な間隔で示されている。2つ以上の側部接地デバイス112が、間に空のベース部材300を介してブラケット205に結合されているのが示されている。また、ブラケット205に直接結合された複数の底部接地デバイス113(すなわち、第2のRF装置109b)も示されている。
【0036】
[0041]底部接地デバイス113の各々は、サセプタ104とチャンバ本体102の接地された構成要素との間にRF伝導媒体を提供するように適合されたばね形状、ストラップ、ワイヤ、又はケーブルであってもよい(両方とも図1A及び図1Bに示される)。一実施形態では、底部接地デバイス113は、可撓性の導電性材料で作られた、又は可撓性の導電性材料でコーティングされたストラップとして構成される。底部接地デバイス113の材質はアルミニウムであってもよいか、又は側部接地デバイス112のばね形状に関連して説明したのと同じ材料の組み合わせの1つ又は複数を含んでよい。
【0037】
[0042]底部接地デバイス113の各々は、延長ベース部材215及び/又はブラケット205の底面305に直接結合され得る。一実施形態では、底部接地デバイス113の少なくとも一部は、隣接する延長ベース部材215の間のブラケット205の凹部領域312に結合される。可動導電部材120は、隣接する延長ベース部材215間で交互に配置され得るが、底部接地デバイス113は、選択された間隔でブラケット205に連続的に結合される。一例では、側部接地デバイス112は、約21インチ~約25インチ、例えば約22インチ~約24インチ、例えば23.5インチの間隔310を含む。対照的に、底部接地デバイス113は、約10インチ~約11インチなど、約9インチ~約12インチの間隔315を含む。この文脈における「約」という用語は、+/-0.1インチを意味する。
【0038】
[0043]底部接地デバイス113の各々は、第1の端部320及び第2の端部325を含む。第1の端部320をブラケット205に固定するために、第1の端部320は、ねじ又はボルトなどの1つ又は複数の締め具を使用してブラケット205に結合する。第2の端部325は、チャンバ底部117a(図1A及び図1Bに示す)の表面への結合を容易にするための締め具インターフェース330を含む。締め具インターフェース330は、第2の端部325をチャンバ本体に締結するために、ボルト又はねじなどの締め具を受け入れるように適合されたスロット又は細長い穴であってもよい。
【0039】
[0044]図4は、チャンバ本体102の概略上面断面図であり、(その上に基板101を有する)サセプタ104の上面図を示している。図4は、側部接地デバイス112の位置決めの一実施形態を示すために、チャンバ本体102の(基板101の平面に沿った)断面図も示している。
【0040】
[0045]チャンバ本体102は、その中にサセプタ104が配置された状態で示されており、側部接地デバイス112は、チャンバ本体102の内面400とブラケット205との間の空間に配置される。側部接地デバイス112の接触パッド236は、チャンバ本体102の内面400に電気的に接続されたレッジ124(4つが仮想線で示されている)に接触して、印加されたRF電力に対するRFリターンパスを提供するように適合される。図示されていないが、底部接地デバイス113もサセプタ104に結合されている。
【0041】
[0046]一実施形態では、側部接地デバイス112及び/又は底部接地デバイス113の間隔と集中は、RFリターンパスに対称性をもたらし、プラズマの均一性を促進し、基板101上の堆積の均一性を向上させるように構成される。一実施形態では、側部接地デバイス112及び/又は底部接地デバイス113の間隔及び集中は、例えば、チャンバ本体102の片側にスリットバルブ開口部405が存在するチャンバ構造の変動を考慮して、印加されるRF電力に対称的な外観を提供するように適合される。側部接地デバイス112および/または底部接地デバイス113の間隔または集中により、チャンバが物理的および/または電気的に対称でない場合でも、印加されるRF電力が処理領域内で対称的に伝わることが可能になる。
【0042】
[0047]図4に示すように、サセプタ104は、2つの長側部410と2つの副側部415を含む周囲200を含む。長側部410は互いに対向しており、副側部415に隣接しており、副側部415も又互いに対向している。サセプタ104は、長側部410及び副側部415のそれぞれに電気接地部分又は長さ420を含む。電気接地長さ420は、サセプタ104のそれぞれの長側部410及び副側部415の長さよりも短い。側部接地装置112及び/又は底部接地デバイス113の各々が配置されるのは、電気接地長さ420内である。周囲200は、長側部410と副側部415の各々が交わる角425も含む。いくつかの実施形態では、側部接地デバイス112及び/又は底部接地デバイス113は角425に配置されない。
【0043】
[0048]本明細書に記載の側部接地デバイス112及び底部接地デバイス113の位置は、上述のプラズマ処理システム100などのプラズマシステムのRF接地効果を決定するために広範囲に試験された。懸念要因には、サセプタ104とシステムの接地部分との間のアーク放電の可能性が含まれ、アーク放電がシステム及び/又は基板、さらには基板上に形成されたデバイスに損傷を与える可能性がある。したがって、アーク放電によりプラズマシステム構成要素が損傷するため、プラズマシステム構成要素から接地デバイスを任意に取り外したり、接地デバイスを再配置したりすることは明らかではない。特に、サセプタ104の角から接地デバイスを取り除くことは、これらの領域がアーク放電の可能性が高いため、明白ではない。
【0044】
[0049]図5A図5Cは、サセプタ104の周囲200上のブラケット205上に配置された接地デバイスの様々な実施形態の概略等角図である(明確にするために図示せず)。図示の各実施形態では、側部接地デバイス112及び底部接地デバイス113は角425に配置されていない。
【0045】
[0050]図5Aでは、サセプタ104の長側部410上に8つの側部接地デバイス112があり、サセプタ104の副側部415上に6つの側部接地デバイス112がある。しかしながら、サセプタ104の長側部410と副側部415の両方に8つの底部接地デバイス113が存在する。図5Aの実施形態では、角425に隣接して2つの空のベース部材300がある。
【0046】
[0051]図5Bでは、サセプタ104の長側部410上に4つの側部接地デバイス112があり、サセプタ104の副側部415上に4つの側部接地デバイス112がある。しかしながら、サセプタ104の長側部410と副側部415の両方に8つの底部接地デバイス113が存在する。図5Bの実施形態では、角425に隣接する長側部410上には2つの空のベース部材300があり、一方、副側部415には角425に隣接する1つの空のベース部材300が含まれる。
【0047】
[0052]図5Cでは、サセプタ104の長側部410上に6つの側部接地デバイス112があり、サセプタ104の副側部415上に6つの側部接地デバイス112がある。しかしながら、その他の実施形態同様に、サセプタ104の長側部410と副側部415の両方に8つの底部接地デバイス113が存在する。図5Bの実施形態同様に、図5Cの実施形態では、角425に隣接する長側部410上には2つの空のベース部材300があり、一方、副側部415には角425に隣接する1つの空のベース部材300が含まれる。
【0048】
[0053]図5A図5Cに示される接地デバイス間の位置及び/又は間隔は排他的ではない。しかしながら、本明細書に開示されるように接続された接地デバイスを有するサセプタ104の実施形態は、基板上により均一なRF分布を提供する。本明細書に記載されるサセプタ104の実施形態のテストでは、基板全体にわたる膜の均一性が向上することが示されている。特に、基板の角における均一性は、従来のサセプタ接地方式に比べて大幅に改善されます。本明細書に記載されるサセプタ104の実施形態は、基板上に形成される膜のデルタ応力も改善した。例えば、本明細書に記載のサセプタ104の実施形態を使用すると、デルタ応力は136メガパスカル(MPa)~約5MPa(250時間エージング時)まで減少した。本明細書に記載のサセプタ104の実施形態は、膜の防湿性能も向上させた。高温高湿環境(例えば、約85℃、相対湿度85%)における膜の応力安定性は、基板上に形成された膜の防湿性能を評価するための重要な要素である。この高温/高湿環境における試験では、本明細書に記載のサセプタ104の実施形態を使用すると、デルタ応力(1000時間エージング後)が、144MPa~約13MPaに減少することが示された。したがって、本明細書に記載のサセプタ104を使用すると、基板の隅の膜品質は、高温高湿環境で1000時間エージングした後でも膜を酸化から十分に保護する。
【0049】
[0054]上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及びさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は、特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】