(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】モリブデンの堆積
(51)【国際特許分類】
C23C 16/06 20060101AFI20240326BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C23C16/06
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562824
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022024295
(87)【国際公開番号】W WO2022221210
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソンベール・シュルティ・ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】マヘンダーカー・ナヴィーン・クマール
(72)【発明者】
【氏名】シュロス・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・クリーンプト・パトリック・エイ.
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA13
4K030AA17
4K030BA12
4K030BA38
4K030BA42
4K030BB03
4K030BB05
4K030CA04
4K030CA12
4K030HA01
4K030JA10
(57)【要約】
【解決手段】本明細書では、モリブデン(Mo)膜の堆積方法を提供する。方法は、酸化モリブデン、窒化モリブデン、または酸窒化モリブデンなどのモリブデン(Mo)含有膜の薄膜を堆積させることを含む。次に、Mo含有膜は、元素Mo膜に変換される。その後、バルクMo膜が、元素Mo膜上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、比較的低温で実行される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の原子層堆積(ALD)プロセスを用いて、第1のモリブデン含有前駆体および第1の共反応物からモリブデン(Mo)含有層を堆積させることであって、前記第1のモリブデン含有前駆体は、ハロゲン化モリブデンまたはオキシハロゲン化モリブデンであり、前記第1の共反応物は、窒素含有物および酸素含有物のうち少なくとも一方であり、前記Mo含有層は、酸素および/または窒素を含むことと、
前記Mo含有層を元素Mo層に変換することと、
第2のALDプロセスを用いて、第2のモリブデン含有前駆体および水素(H
2)から、前記元素Mo層上にバルク元素Moを堆積させることであって、前記第2のモリブデン含有前駆体は、ハロゲン化モリブデンまたはオキシハロゲン化モリブデンであることと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記Mo含有層は、酸窒化モリブデン、窒化モリブデン、または窒化モリブデン層である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記Mo含有層を元素Mo層に変換することは、前記Mo含有層を水素(H
2)に曝露することを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
変換された前記元素Mo層は、0.5(原子)%未満の不純物を含有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記Mo含有層は、非晶質層である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記Mo含有層は、多結晶層である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1および第2のALDプロセスは、同じチャンバ内で、空気に曝されることなく実行される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記方法は、400℃未満の温度で実行される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記Mo含有層を元素層に変換することは、前記第2のALDプロセス中に行われる、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記Mo含有層を堆積させることと、前記Mo含有層を元素Mo層に変換することと、バルク元素Moを堆積させることとを1回または複数回繰り返すことをさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のALDプロセスは多数のALDサイクルを含み、前記Mo含有層を元素Mo層に変換することは、前記多数のALDサイクルのうち少なくとも複数のサイクルの間で、前記Mo含有層をH
2の1つまたは複数のパルスに曝露することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のモリブデン含有前駆体および前記第2のモリブデン含有前駆体は、同じ前駆体である、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の共反応物は、窒素含有物である、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記窒素含有共反応物は、アンモニアまたはヒドラジンである、方法。
【請求項15】
基板を第1のALDプロセスの多数の原子層堆積(ALD)サイクルに曝露することであって、前記第1のALDプロセスの各ALDサイクルは、第1のモリブデン含有前駆体の投与と、窒素含有および/または酸素含有共反応物の投与とを含み、前記第1のモリブデン含有前駆体と、前記窒素含有および/または酸素含有共反応物とが反応して、モリブデンと、窒素および酸素の一方または両方とを含む膜を形成することと、
前記第1のALDプロセスの後、前記基板を第2のALDプロセスの多数のALDサイクルに曝露することであって、前記第2のALDプロセスの各サイクルは、第2のモリブデン含有前駆体の投与と、H
2共反応物の投与とを含み、前記第2のモリブデン含有前駆体とH
2共反応物とが反応して、モリブデンを形成することと
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1のモリブデン含有前駆体は、前記第2のモリブデン含有前駆体と同じである、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記第2のALDプロセスでは、前記第1のALDプロセスよりも少なくとも5倍のALDサイクルがある、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1のALDプロセスの前記多数のALDサイクルのうち少なくとも複数のサイクルは、水素(H
2)の投与をさらに含み、前記H
2の投与は、前記第1のモリブデン含有前駆体の投与と、そのサイクルの前記窒素含有および/または酸素含有共反応物の前記投与との後である、方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、
前記窒素含有および/または酸素含有共反応物は、窒素含有物である、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記窒素含有共反応物は、アンモニアまたはヒドラジンである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による援用]
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時提出されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体が、あらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書に提供された背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。本背景技術のセクションにて説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途見なされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0003】
金属の堆積は、多くの半導体製造プロセスにおいて不可欠な部分である。これらの材料は、水平相互接続、隣接する金属層間のビア、および金属層とデバイスとの間の接点に使用される場合がある。しかしながら、デバイスが微細化し、より複雑なパターニングスキームが産業で利用されるにつれて、低抵抗の金属膜の均一な堆積が困難となる。3D NAND構造などの複雑な高アスペクト比構造における堆積は、特に困難である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、モリブデン(Mo)膜の堆積方法を提供する。方法は、酸化モリブデン、窒化モリブデン、または酸窒化モリブデンなどのモリブデン(Mo)含有膜の薄層を堆積させることを含む。次に、Mo含有膜は、元素Mo膜に変換される。その後、バルクMo膜が、元素Mo膜上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、プロセスは、比較的低温で行われる。
【0005】
本開示の一態様は、第1の原子層堆積(ALD)プロセスを用いて、第1のモリブデン含有前駆体および第1の共反応物からモリブデン含有(Mo含有)層を堆積させることであって、第1のMo含有前駆体は、ハロゲン化モリブデンまたはオキシハロゲン化モリブデンであり、第1の共反応物は、窒素含有物および/または酸素含有物であり、Mo含有層は、酸素および/または窒素を含むことと、Mo含有層を元素Mo層に変換することと、第2のALDプロセスを用いて、第2のモリブデン含有前駆体および水素(H2)から、元素Mo層上にバルク元素Moを堆積させることであって、第2のモリブデン含有前駆体は、ハロゲン化モリブデンまたはオキシハロゲン化モリブデンであることとを含む方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、Mo含有層は、酸窒化モリブデン、窒化モリブデン、または窒化モリブデン層である。いくつかの実施形態では、Mo含有層を元素Mo層に変換することは、Mo含有層を水素(H2)に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、Mo含有層は、非晶質層である。いくつかの実施形態では、Mo含有層は、多結晶層である。いくつかの実施形態では、第1および第2のALDプロセスは、同じチャンバ内で、空気に曝されることなく実行される。いくつかの実施形態では、方法は、400℃未満の基板温度で実行される。いくつかの実施形態では、Mo含有層を元素層に変換することは、第2のALDプロセス中に行われる。いくつかの実施形態では、方法は、Mo含有層を堆積させることと、Mo含有層を元素Mo層に変換することと、バルク元素Moを堆積させることとを1回または複数回繰り返すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、変換された元素Mo層は、0.5(原子)%未満の不純物を含有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1のALDプロセスは多数のALDサイクルを含み、Mo含有層を元素Mo層に変換することは多数のALDサイクルのうち少なくとも複数のサイクルの間で、Mo含有層をH2の1つまたは複数のパルスに曝露することを含む。様々な実施形態によれば、第1のモリブデン含有前駆体および第2のモリブデン含有前駆体は、同じ前駆体であってもよいし、異なる前駆体であってもよい。いくつかの実施形態では、窒素含有および/または酸素含有共反応物は、窒素含有物である。いくつかのそのような実施形態では、窒素含有共反応物は、アンモニアまたはヒドラジンである。
【0008】
本開示の別の態様は、基板を第1のALDプロセスの多数の原子層堆積(ALD)サイクルに曝露することであって、第1のALDプロセスの各ALDサイクルは、第1のモリブデン含有前駆体の投与と、窒素含有および/または酸素含有共反応物の投与とを含み、第1のモリブデン含有前駆体と、窒素含有および/または酸素含有共反応物とが反応して、モリブデンと、窒素および酸素の一方または両方とを含む膜を形成することと、第1のALDプロセスの後、基板を第2のALDプロセスの多数のALDサイクルに曝露することであって、第2のALDプロセスの各サイクルは、第2のモリブデン含有前駆体の投与と、H2共反応物の投与とを含み、第2のモリブデン含有前駆体とH2共反応物とが反応して、モリブデンを形成することとを含む方法に関する。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1のモリブデン含有前駆体は、第2のモリブデン含有前駆体と同じである。いくつかの実施形態では、第1のモリブデン含有前駆体は、第2のモリブデン含有前駆体とは異なる。いくつかの実施形態では、第2のALDプロセスでは、第1のALDプロセスよりも少なくとも5倍のALDサイクルがある。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1のALDプロセスの多数のALDサイクルのうち少なくとも複数のサイクルは、水素(H2)の投与をさらに含み、H2の投与は、第1のモリブデン含有前駆体の投与と、そのサイクルの窒素含有および/または酸素含有共反応物の投与との後である。いくつかの実施形態では、窒素含有および/または酸素含有共反応物は、窒素含有物である。いくつかのそのような実施形態では、窒素含有共反応物は、アンモニアまたはヒドラジンである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、様々な実施形態によるモリブデン(Mo)層を含む材料スタックの図式の例である。
【
図1B】
図1Bは、様々な実施形態によるモリブデン(Mo)層を含む材料スタックの図式の例である。
【
図1C】
図1Cは、様々な実施形態によるモリブデン(Mo)層を含む材料スタックの図式の例である。
【0012】
【
図2A】
図2Aは、様々な実施形態によるMo層を含むスタックが採用され得る構造の例を提供する。
【
図2B】
図2Bは、様々な実施形態によるMo層を含むスタックが採用され得る構造の例を提供する。
【
図3A】
図3Aは、様々な実施形態によるMo層を含むスタックが採用され得る構造の例を提供する。
【
図3B】
図3Bは、様々な実施形態によるMo層を含むスタックが採用され得る構造の例を提供する。
【
図4A】
図4Aは、様々な実施形態によるMo層を含むスタックが採用され得る構造の例を提供する。
【
図4B】
図4Bは、様々な実施形態によるMo層を含むスタックが採用され得る構造の例を提供する。
【0013】
【
図4C】
図4Cは、モリブデン含有ライナー層の堆積後の構造の例を示す。
【0014】
【
図5】
図5は、様々な実施形態による方法における動作を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、様々な実施形態による方法における動作を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、様々な実施形態による方法における動作を示すフロー図である。
【
図8】
図8は、様々な実施形態による方法における動作を示すフロー図である。
【0015】
【
図9A】
図9Aは、堆積後の水素浸漬時間の関数として堆積されたMo含有膜の抵抗を示す。
【
図9B】
図9Bは、堆積後の水素浸漬時間の関数として堆積されたMo含有膜の抵抗を示す。
【0016】
【
図10】
図10は、本明細書に記載の実施形態に従って堆積プロセスを実施するのに適した装置の例を示す。
【
図11A】
図11Aは、本明細書に記載の実施形態に従って堆積プロセスを実施するのに適した装置の例を示す。
【
図11B】
図11Bは、本明細書に記載の実施形態に従って堆積プロセスを実施するのに適した装置の例を示す。
【
図12】
図12は、本明細書に記載の実施形態に従って堆積プロセスを実施するのに適した装置の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。本開示の実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全てがなくても実施され得る。他の例では、周知のプロセス動作は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明されていない。本開示の実施形態は、特定の実施形態と関連して説明されるが、本開示の実施形態を限定する意図はないことが理解されるであろう。
【0018】
半導体デバイス製造では、フィーチャの金属充填を用いて、電気接点を形成する。いくつかの堆積プロセスでは、まず、金属核生成層がフィーチャ内に堆積される。一般に、核生成層は、その上に後続のバルク材料を形成しやすくするのに適した薄いコンフォーマルな層である。核生成層は、フィーチャの表面をコンフォーマルに被膜するように堆積され得る。これらの表面に適合することは、高品質の堆積をサポートするために重要となり得る。核生成層は、原子層堆積(ALD)法を用いて堆積されることが多い。本明細書に提供された説明の構成では、ALDは、半導体基板上で反応させるために反応物を順次追加する任意の周期的プロセスを広く具体化する。また、本開示の実施形態の構成では、化学気相堆積(CVD)は、反応物が気相反応または表面反応のために反応器に一緒に導入されるプロセスを具体化する。ALDプロセスは、CVDプロセスとは異なり、その逆も同様である。
【0019】
金属核生成層が堆積された後、バルク金属が堆積されてもよい。バルク金属膜は、金属核生成層とは異なる。本明細書に使用されるバルク金属は、フィーチャの少なくとも約50%など、フィーチャの大部分または全てを充填するために使用される金属を指す。その上に後続のバルク材料を形成しやすくするのに適した薄いコンフォーマルな膜である、核生成層とは異なり、バルク金属は、電流を流すために使用される。バルク金属は、核生成膜と比べて、粒径が大きく、抵抗率が低いことを特徴としてもよい。様々な実施形態では、バルク材料は、少なくとも50Åの厚さまで堆積される。
【0020】
本明細書に記載の実施形態では、モリブデン(Mo)は、例えば相互接続構造の主導体であってもよい。Moは、タングステン(W)などの金属よりも電子の平均自由行程が小さいため、より低い抵抗率の膜を得ることができる。しかしながら、ハロゲン化モリブデン前駆体およびオキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用して、550℃未満の温度でモリブデンを堆積させることは、困難となり得る。
【0021】
別の課題は、特に3D NAND構造などの高アスペクト比で複雑な構造に堆積させる場合に、均一なステップカバレッジを達成することである。これは、特に構造の一部が堆積ガスによってアクセスされやすい場合に、堆積ガスへの均一な曝露を得ることが困難になる可能性があるためである。特に、抵抗率が低い膜を堆積させるために使用される低蒸気圧の金属前駆体により、ステップカバレッジが悪化する傾向がある。
【0022】
本明細書では、純Mo膜の堆積方法および装置を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、酸素含有前駆体ならびに/あるいは酸素含有および/または窒素含有共反応物の使用を含む。このような前駆体からの純金属膜の堆積は、堆積プロセス中に酸素および/または窒素が膜内に取り込まれやすいために困難となり得る。酸素および/または窒素が取り込まれると、抵抗率が増大する。本明細書に記載の方法および装置は、いくつかの実施形態では、1原子パーセント未満の酸素および1原子パーセント未満の窒素を有する純金属膜を堆積するために実装され得る。
【0023】
方法および装置は、ロジックおよびメモリアプリケーション用の低抵抗の金属化スタック構造を形成するために実装され得る。
図1A~
図1Cは、様々な実施形態によるMo層を含む材料スタックの図式の例である。
図1Aおよび
図1Bは、特定のスタックにおける材料の順序を示し、
図2および
図3に関してさらに後述するように、任意の適切なアーキテクチャおよびアプリケーションで使用され得る。
図1Aの例では、基板102が、その上に堆積されるMo層108を有する。基板102は、シリコンまたは他の半導体ウエハ、例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハであってもよく、その上に堆積された誘電体材料、導電性材料、または半導体材料など、材料の1つまたは複数の層を有するウエハを含む。また、方法は、ガラス、プラスチックなど、他の基板上に金属化スタック構造を形成するために適用されてもよい。
【0024】
図1Aでは、誘電体層104は、基板102上にある。誘電体層104は、基板102の半導体(例えば、シリコン(Si))表面上に直接堆積されてもよいし、任意の数の介在層があってもよい。誘電体層の例としては、ドープおよび非ドープの酸化シリコン、窒化シリコン、および酸化アルミニウム層が挙げられ、具体例としては、ドープまたは非ドープの酸化シリコン(SiO
2)および酸化アルミニウム(Al
2O
3)が挙げられる。また、
図1Aでは、Mo層108と誘電体層104との間に拡散バリア層106が配置されている。拡散バリア層の例としては、窒化チタン(TiN)、チタン/窒化チタン(Ti/TiN)、窒化タングステン(WN)、窒化タングステン炭素(WCN)、および窒化モリブデン炭素(MoCN)が挙げられる。(化合物膜の任意の適切な原子比が使用され得ることに留意されたい。例えば、WCNは、xおよびyがゼロよりも大きいWC
xN
y化合物を指す。)Mo層108は、構造の主導体である。
【0025】
図1Bは、材料スタックの別の例を示す。この例では、スタックは、拡散バリア層を介さずに、基板102、誘電体層104と、誘電体層104上に堆積されたMo層108とを含む。
図1Aのように、任意の数の介在層が、基板102と誘電体層104との間に存在してもよい。
【0026】
図1Cは、材料スタックの別の例を示す。この例では、スタックは、基板102、金属層105と、金属層105上に直接堆積されたMo層108とを含む。金属層の例としては、タングステン(W)層、コバルト(Co)層、チタン(Ti)層、ルテニウム(Ru)層、および他のMo層が挙げられる。上記のように、任意の数の介在層が、基板102と金属層105との間に存在してもよい。
【0027】
図1A~
図1Cは、金属化スタックの例を示す。ただし、方法および結果として得られるスタックは、そのように限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、Mo層は、Siまたは他の半導体基板上に直接堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、Mo層は、チタンシリサイド(TiSi
x)などの金属シリサイド上に堆積されてもよい。さらに、Mo層は、複数種類の材料上に堆積されてもよい。
【0028】
上述し、さらに後述する材料スタックは、様々な実施形態で採用され得る。
図2A、
図2B、
図3A、
図3B、
図4A、および
図4Bは、金属含有スタックが採用され得る構造の例を提供する。
図2Aは、シリコン基板202内にMo埋め込みワード線(bWL)208を含むDRAMアーキテクチャの図式の例を示す。MobWLは、シリコン基板202にエッチングされたトレンチ内に形成される。トレンチの裏には、コンフォーマルなバリア層206と、コンフォーマルなバリア層206とシリコン基板202との間に配置される絶縁層204がある。
図2Aの例では、絶縁層204は、酸化シリコン材料または窒化シリコン材料などの高k誘電体材料から形成される、ゲート酸化層であってもよい。
【0029】
図2Bは、下層の金属接点210への接続を提供するMoビア209を含むビア接点のアーキテクチャの例を示す。Moビア209は、誘電体層204によって囲まれている。バリア層は、Moビア209と誘電体層204との間に配置されてもよいし、配置されなくてもよい。
【0030】
図3Aは、3D NAND構造323内のMoワード線308の図式の例を示す。
図3Bでは、Moワード線308およびコンフォーマルなバリア層306を含む、Mo充填後に部分的に製造された3D NAND構造の3Dフィーチャの2Dレンダリングが示されている。
図3Bは、充填された領域の断面図であり、図に示した柱状の狭窄部324は、断面図ではなく平面図で見られる狭窄を表す。
【0031】
図4Aは、誘電体(例えば、SiO
2)材料404の側壁と金属シリサイド(MSi
x)407の底面とを含むフィーチャにおいて、Mo充填後のMo接点408の図式の例を示す。MSi
x407は、半導体層406、例えば、シリコン(Si)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)に接続される。
図4Aの例では、誘電体材料404は、大部分が酸化物であり、窒化物層414を含む。金属シリサイドの例としては、チタンシリサイド(TiSi
x)、ニッケルシリサイド(NiSi
x)、モリブデンシリサイド(MoSi
x)、コバルトシリサイド(CoSi
x)、白金シリサイド(PtSi
x)、ルテニウムシリサイド(RuSi
x)、およびニッケル白金シリサイド(NiPt
ySi
x)が挙げられる。
【0032】
図4Bは、誘電体(例えば、SiO
2)材料404の側壁411と半導体層406、例えば、シリコン(Si)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)の底面とを含むフィーチャにおいて、Mo充填後のMo接点408の図式の例を示す。
図4Aおよび
図4Bのスタックは、例えば、トランジスタ接合構造に使用されてもよい。
図2A~
図4Bの構造は、本明細書に記載の方法が実施され得るアプリケーションの例である。
【0033】
図5は、モリブデン(Mo)の堆積方法において、動作を示すプロセスフロー図である。動作502では、原子層堆積(ALD)によってMo含有ライナー層を構造上に形成する。ALD法では、まず、基板を適切なMo含有前駆体のパルスに曝露し、次に、前駆体を任意選択でパージし、次に、基板を共反応物のパルスに曝露し、その後、共反応物を任意選択でパージするようなサイクルで基板を曝露してもよい。このようなサイクルは、所望の厚さの核生成層が基板上に形成されるまで繰り返してもよい。前駆体および共反応物の順序は、シーケンスが共反応物の投与に続いてMo含有前駆体の投与が開始されるように逆にしてもよい。
【0034】
Mo含有ライナー層は、酸素(O)および窒素(N)の一方または両方を含有する。いくつかの実施形態では、Mo含有ライナー層は、酸化モリブデン(MoOx)、窒化モリブデン(MoNy)、または酸窒化モリブデン(MoOxNy)であってもよく、ここでxおよびyはゼロではない数である。いくつかの実施形態では、酸素(O)は、Mo含有ライナー層の1から35原子パーセントである。同じまたは他の実施形態では、窒素(N)は、Mo含有ライナー層の5から50原子パーセントである。以下にさらに記載するように、Mo含有ライナー層の組成は、温度および還元剤の使用によって調整されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、共反応物は、還元剤である。MoNyまたはMoOxNyを形成するために、窒素含有還元剤が使用される。例としては、アンモニア(NH3)およびヒドラジン(N2H4)が挙げられる。NH3の誘電体への化学吸着は、水素(H2)などの他の還元剤の化学吸着よりも好ましい。NH3は、解離することなくMoオキシ塩化物および金属塩化物と反応する。これは、例えば、H2を還元剤として使用する金属オキシ塩化物からのALDとは対照的である。H2は、表面上で解離して、吸着した原子状水素を形成し、その結果、誘電体表面上での金属の初期核生成中に、反応種の濃度が非常に低くなり、表面カバレッジが低くなる。NH3と、Moオキシ塩化物前駆体またはMo塩化物前駆体とを使用することによって、核生成遅延が、同じMo含有前駆体のH2還元が利用されるよりも数百度低い堆積温度で低減または排除される。
【0036】
いくつかの実施形態では、還元剤は、ジボラン(B2H6)またはシラン(SiH4)などのホウ素含有還元剤またはシリコン含有還元剤であってもよい。これらの還元剤は、金属塩化物前駆体と共に使用されてもよい。しかしながら、金属オキシ塩化物の場合、B2H6およびSiH4は、ALDプロセス中に副生成物として形成された水と反応し、固体のB2O3およびSiO2を形成することになる。これらは絶縁性であり、膜中に残留し、抵抗率を増加させることになる。また、NH3を使用することにより、B2H6およびSiH4のALDプロセスよりもAl2O3を含む特定の表面上への接着性が向上している。
【0037】
いくつかの実施形態では、共反応物は、酸化剤である。MoOxを堆積させるために、例えば、酸素含有共反応物が使用されてもよく、その例として、水(H2O)が挙げられる。
【0038】
Mo含有前駆体は、ハロゲン化モリブデン前駆体またはオキシハロゲン化Mo前駆体である。ハロゲン化モリブデン前駆体は、式MoXzによって与えられ、ここでXはハロゲン(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I))であり、zは2、3、4、5、または6である。MoXz前駆体の例としては、六フッ化モリブデン(MoF6)、五フッ化モリブデン(MoF5)が挙げられる。いくつかの実施形態では、フッ素のエッチングまたは取り込みを防止するために、非フッ素含有MoXz前駆体が使用される。いくつかの実施形態では、エッチングまたは臭素もしくはヨウ素の取り込みを防止するために、非臭素含有および/または非ヨウ素含有MoXz前駆体が使用される。塩化モリブデン前駆体は、フッ素、臭素、またはヨウ素の取り込みが懸念される実施形態において有用であり得る。塩化モリブデン前駆体の例としては、二塩化モリブデン(MoCl2)、三塩化モリブデン(MoCl3)、四塩化モリブデン(MoCl4)、五塩化モリブデン(MoCl5)、および六塩化モリブデン(MoCl6)が挙げられる。いくつかの実施形態では、MoCl5またはMoCl6が使用される。
【0039】
オキシハロゲン化モリブデン前駆体は、式MoOyXzによって与えられ、ここでXはハロゲン(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I))であり、yおよびzはMoOyXzが安定化合物を形成するように0よりも大きい数である。オキシハロゲン化モリブデンの例としては、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化モリブデン酸化物(MoOCl4)、四フッ化モリブデン酸化物(MoOF4)、二臭化二酸化モリブデン(MoO2Br2)、およびヨウ化モリブデンMoO2IおよびMo4O11Iが挙げられる。MoOyXz前駆体を、例えば、窒素含有還元剤と共に用いて、MoOxNy膜を形成してもよい。
【0040】
また、ハロゲン化モリブデン前駆体またはオキシハロゲン化モリブデン前駆体は、2つ以上のハロゲンを有する混合ハロゲン化前駆体であってもよい。
【0041】
上記に示したように、結果として得られるMo含有ライナー層は元素膜ではなく、いくつかの実施形態では、窒化モリブデン膜、モリブデン膜、または酸窒化モリブデン膜の複合膜である。いくつかの実施形態では、特に堆積が低温で行われる場合、堆積からの残留塩素、フッ素、または他のハロゲンが存在し得る。いくつかの実施形態では、残留ハロゲンは、微量である。
【0042】
様々な実施形態によれば、Mo含有ライナー層は、非晶質層または多結晶層であってもよい。例えば、MoOxNy膜は非晶質であるが、一方でMoNy膜は多結晶である傾向がある。MoNy膜はMoOxNy膜よりも低い抵抗率を有するが、一方でMoOxNy膜では、ステップカバレッジが改善され得る。例えば、酸素含有Mo含有前駆体(例えば、MoO2Cl2またはMoOCl4)を窒素含有還元剤と共に使用する場合、温度を利用して、膜組成、および膜形態を制御してもよい。非晶質膜は、例えば、約450℃以下、例えば、300℃~450℃の基板温度で堆積されてもよい。多結晶膜は、450℃を超える高温、例えば、700℃までの温度で堆積されてもよい。また、MoOx膜は、反応条件によっては非晶質であり得る。
【0043】
図4Cは、Mo含有ライナー層415の堆積後のフィーチャの例を示す。Mo含有ライナー層の厚さの例としては、5~40Åの範囲であり、堆積時には20~30Åの範囲に及ぶ。温度に応じて、例えばALDサイクルが、約5~50回になる場合もある。Mo含有ライナー層は一般に、下層の表面に適合する。ただし、その厚さは、いくつかの実施形態では、構造の異なる部分にわたって変化する場合がある。以下でさらに説明するように、低温を利用して、ステップカバレッジを改善してもよい。後続の処理中に、Mo含有ライナー層は、下層の表面にも適合する純粋な(または不純物の少ない)元素Mo膜に変換される。いくつかの実施形態では、変換の結果として、厚さが減少する場合がある。
【0044】
Mo含有ライナー層の堆積のための基板温度は、例えば、300℃~700℃の範囲であってもよい。ALDによる元素Mo膜の堆積は通常、この範囲の高めの温度帯(例えば、500℃)を使用する。低熱履歴のアプリケーションでは、この温度は、許容できないほど高い場合がある。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、低温が利用されてもよい。そのような温度は、500℃未満、550℃未満、450℃未満、400℃未満、または350℃未満であってもよい。低温は、ステップカバレッジを改善させるために利用されてもよい。さらに、低温は、堆積されたMoライナー層の非晶質特性を増加させる場合がある。
【0045】
Mo含有ライナー層が堆積される表面は、
図1A~
図4Bに関して上述したように、特定のアプリケーションに依存する。いくつかの実施形態では、Mo含有ライナー層は、誘電体(例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコンなど)表面上に直接堆積される。いくつかの実施形態では、Mo含有ライナー層は、窒化チタン表面上に直接堆積される。さらに、いくつかの実施形態では、Mo含有ライナー層は、金属表面または半導体表面上に直接堆積される。動作502を実行することによって、後続の元素Moの堆積は、任意の表面上で実行されてもよい。
【0046】
Mo含有ライナー層の堆積後、動作504では、Mo含有ライナー層を元素Moに変換する。これは、不純物、すなわち、N、O、または任意の他の非Mo成分を除去することを特徴としてもよい。結果として得られる層は、その後堆積されるバルクMo層よりも不純物が多い場合がある。ただし、スタックの抵抗率が同じ厚さの純Moのスタックと同じか、または類似するように、不純物は十分に除去される。また、厚さも減少し、例えば、堆積時に30ÅのMoOxNy膜は、スタックに約10ÅのMoを寄与し得る。
【0047】
様々な実施形態によれば、動作504は、水素(H
2)浸漬およびH
2共反応物を使用するバルク元素MoのALD堆積の一方または両方を含んでもよい。以下でさらに述べるように、いくつかの実施形態では、動作502および504は、各反復において堆積および変換されたMo含有ライナー層の一部を用いて複数回実行される。本明細書に記載の元素Moは、少なくとも98%の原子Moである。いくつかの実施形態では、純度は、より高くてもよく、例えば、1%、0.5%、0.1%(原子)以下の不純物であってもよい。いくつかの実施形態では、バルク層は、より低い純度レベル、例えば、95%のMoを有してもよい。変換プロセスのさらなる議論は、
図6~
図8を参照して以下に提供される。いくつかの実施形態では、動作504は、比較的高い圧力、例えば、60Torrで実行される。
【0048】
動作506では、Moのバルク堆積を実行する。Moのバルク堆積は、Mo含有前駆体および還元剤を使用するALDプロセスによって実行されてもよい。Mo含有前駆体は、動作502にて使用されたMo含有前駆体と同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、Mo含有ライナー層はMoX
z前駆体を使用して堆積され、バルクMo層はMoO
xX
z前駆体を使用して堆積される。様々な実施形態によれば、バルク堆積中の基板温度は、Mo含有ライナー層の堆積中と同じであっても異なっていてもよい。動作506の後、
図4Cに示すフィーチャは、例えば
図4Bに示すように、モリブデンで充填される。
【0049】
いくつかの実施形態では、動作504は、還元剤としてH2を用いて、ALDプロセス中に行われる。また、以下でさらに述べるように、いくつかの実施形態では、動作502~506は、堆積および変換されたMo含有ライナー層の一部と、各反復において堆積されたバルク層の一部とを用いて複数回実行される。いくつかの実施形態では、結果として得られる変換されたライナー層およびバルクMo層はそれぞれ、1%未満の原子不純物を有することを特徴としてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、動作504は、Mo含有ライナー層の全厚の堆積後に行われる水素浸漬である。例えば、30ÅのMoNy層またはMoOxNy層は、動作502にて堆積され、続いて動作504にてH2浸漬が行われてもよい。H2浸漬の持続時間は、基板温度、H2の分圧、および膜組成に依存し得る。
【0051】
動作504の間の例示的な基板温度は、300℃から700℃の範囲とすることができる。MoNy、MoOxNy、またはMoOxの変換は熱反応であるため、温度が高いほど変換されやすくなる。いくつかの実施形態では、より高い温度と共に、短い持続時間および/またはより低い分圧を利用してもよい。いくつかの実施形態では、500℃未満、または450℃以下、400℃以下、または350℃以下、または350℃よりも低い温度を利用してもよい。
【0052】
例示的なチャンバ圧力は、10Torrから70Torrの範囲、例えば、30Torrであってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも50Torrのチャンバ圧力が使用される。H2の濃度は、H2の分圧がチャンバ圧力になるように、いくつかの実施形態では、100%であってもよい。より高い温度では、H2は、アルゴン(Ar)などの不活性ガスで50%まで希釈されてもよい。例示的なH2の分圧は、10Torrから70Torrの範囲であってもよい。高い分圧により、変換されやすくなる可能性がある。いくつかの実施形態では、少なくとも30Torr、少なくとも40Torr、または少なくとも50TorrのH2の分圧が使用されてもよい。
【0053】
例示的な浸漬の持続時間は、温度およびMo含有ライナー層の厚さに応じて、30秒から10分の範囲であってもよい。H2の分圧および膜組成も、層全体を変換するのに十分な持続時間に影響を及ぼす場合がある。様々な実施形態によれば、H2浸漬は、連続流であってもパルス化されていてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、動作506は、モリブデン含有前駆体と、H2または他の共反応物とがチャンバ内で同時に気相中に存在し反応するCVDプロセスを使用してもよい。
【0055】
上述したように、いくつかの実施形態では、動作502および504を繰り返すことができる。いくつかの実施形態では、例えば、1つまたは複数のH
2パルスを各ALDサイクルに組み込んでもよい。
図6に関して、例を提供する。
図6の例では、NH
3が、Mo含有ライナー層の堆積中の共反応物である。上述したように、他の実施形態では、他の共反応物が使用されてもよい。NH
3は、H
2と共に提供されてもよいし、H
2を使用しなくてもよく、例示的なNH
3:H
2の容積比は、100:0から25:75の範囲である。動作602では、NH
3の投与を提供する。NH
3は、モリブデンが堆積される基板を収容するチャンバに提供されてもよい。以下にさらに説明するように、いくつかの実施形態では、投与は、充填容器を使用して提供されてもよい。
【0056】
次いで、動作604では、チャンバを、アルゴン(Ar)を用いてパージする。他のパージガスが使用されてもよく、いくつかの実施形態では、動作604は、省略されてもよい。パージは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の充填容器を使用して実行されてもよい。
【0057】
動作606では、Mo含有前駆体の投与を提供する。Mo含有前駆体は、基板を収容するチャンバに提供される。上に示したように、Mo含有前駆体は、ハロゲン化モリブデン前駆体またはオキシハロゲン化モリブデン前駆体であってもよい。続いて、動作608では、Arのパージを実行する。動作604と同様に、パージは、別のガスを使用してもよいし、省略されてもよい。動作602~608は、Mo含有ライナー層の堆積サイクルの一部である。各堆積サイクルにおいて、概ね単分子層が堆積されてもよい。動作610では、基板をH2の投与に曝露する。続いて、動作612では、Arのパージを実行してもよい。動作612は、省略されてもよいし、別のガスが使用されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、動作610および612により、堆積/変換サイクルが完了し、プロセスは、別のサイクルのために動作602に戻る。他の実施形態では、動作614において、動作610および612を1回または複数回繰り返す。動作610の1回または複数回の反復におけるH2への曝露の合計量は、そのサイクルで堆積されたMo含有ライナー層を元素Moに完全に変換するのに十分であり得る。サイクルにおけるH2への曝露の合計時間は、例えば、1から60秒の範囲であってもよい。上述したように、Mo含有ライナー層を変換するためのH2への曝露時間は、温度、H2の分圧、および膜組成に依存し得る。次いで、動作616では、動作602~614を、元素Moライナーの全厚が形成されるまで繰り返してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、Mo含有ライナー層を元素Moに変換することは、H
2を共反応物として使用するALDによるMoのバルク堆積を含む。
図7は、Mo含有ライナー層のALD堆積と元素Mo層のALD堆積とを繰り返したサイクルを用いるプロセスの例を示す。まず、動作702で、Mo含有前駆体と、N含有および/またはO含有共反応物とを使用するALDプロセスの多数のサイクルを実行する。例では、パージによって分離されたアンモニアパルスとオキシ塩化モリブデンパルスとを交互に5サイクル使用して、約5ÅのMoN
yライナー層を堆積させる。次に、動作704で、Mo含有前駆体およびH
2(追加の共反応物を使用しない)を使用するALDプロセスの多数のサイクルを実行する。これには、2つの効果があり、5ÅのMoN
yライナー層が元素Moに変換され、バルクMoが元素Mo上に堆積される。例では、動作704は、50ÅのバルクMoを堆積することを含む。多くの実施形態では、動作704のサイクル数は、動作702のサイクル数よりも多い。動作704は、動作702および704によって形成されたMoの総厚に対して動作702よりも多く寄与する。いくつかの実施形態では、動作704は、動作702の膜よりも少なくとも約2倍、5倍、または10倍の膜を堆積させる。他の実施形態では、動作704は、動作702とほぼ同量の膜を堆積させてもよい。次いで、動作706では、動作702および704を1回または複数回繰り返す。一例では、動作702および704を4回繰り返し、各繰り返しで、元素Moに変換されるMo含有ライナー層を5Å、バルクMoを50Å堆積させ、合計約220ÅのMoの厚さにする。次に、動作708では、Mo含有前駆体およびH
2(追加の共反応物を使用しない)を使用するALDプロセスの多数のサイクルを実行する。このようにして、バルク堆積は、フィーチャの充填が完了するか、そうでなければバルク層の全厚に達するまで継続されてもよい。いくつかの実施形態では、動作708は、動作706の最後の反復において開始したALDプロセスを継続することを含む。いくつかの実施形態では、動作706を省略し、単一のMo含有ライナー層の堆積のみを実行してもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、
図7に示す方法において、1回または複数回のH
2浸漬を実行してもよい。例えば、動作702のALDプロセスは、
図6に示すように、1回または複数回のH
2パルスを含んでもよい。別の例では、H
2浸漬は、動作702と704との間、および/または動作704の後に実行されてもよい。
【0061】
図8は、モリブデンを堆積させるために使用され得る別のプロセスの例を示す。
図8の例では、多数のMo含有ライナー層の堆積サイクルの後に、H
2浸漬が実行される。まず、動作802では、Mo含有前駆体と、N含有および/またはO含有共反応物とを使用するALDプロセスの多数のサイクルを実行する。例では、パージによって分離されたアンモニアパルスとオキシ塩化モリブデンパルスとを交互に5サイクル使用して、約5ÅのMoN
yライナー層を堆積させる。次に、動作804で、上述のように、H
2浸漬を実行する。H
2の投与は、連続的またはパルス化されていてもよく、Mo含有ライナー層の下層部分を完全に変換するのに十分であり得る。動作806では、動作802および804を1回または複数回繰り返して、Mo含有ライナー層を堆積させ、元素Moライナー層に変換する。次に、動作808では、Mo含有前駆体およびH
2(追加の共反応物を使用しない)を使用するALDプロセスの多数のサイクルを実行する。動作808は、フィーチャの充填が完了するか、そうでなければバルク層の全厚に達するまで継続されてもよい。
【0062】
代替実施形態では、動作808または上述した他のバルク堆積の動作は、ALDの代わりに、またはALDに加えて、CVD(前駆体および共反応物の並行流)またはパルス化されたCVD(間にパージがあるかないかを問わず、前駆体または共反応物、あるいはその両方のパルス化)を含んでもよい。還元剤共反応物の例としては、水素(H2)、シラン(SiH4)などのシリコン含有還元剤、ジボラン(B2H6)などのホウ素含有還元剤、およびゲルマン(GeH4)などのゲルマニウム含有還元剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、H2は、他の還元剤よりもその構成原子の取り込みの影響を受けにくく、かつ/あるいは低抵抗の膜を形成する故に使用される。
【0063】
図9Aおよび
図9Bは、H
2浸漬前後のMo含有ライナー層に起因するシート抵抗の減少を示す。
図9Aを参照すると、Mo含有ライナー層は350℃で堆積され、続いて、同じく350℃でH
2浸漬が行われた。約5分間の浸漬後、抵抗は、約50%減少した。
図9Bを参照すると、Mo含有ライナー層は450℃で堆積され、続いて、同じく450℃でH
2浸漬が行われた。約5分間の浸漬後、抵抗は、50%超減少した。
【0064】
上記の説明は主に、モリブデンの堆積に関する。ただし、本明細書に記載の方法は、タングステン(W)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、およびイリジウム(Ir)を含む、他の金属の堆積にも使用されてもよい。金属ハロゲン化物および金属オキシハロゲン化物前駆体は、MxOyXzの形態のものを含み、ここでMは目的の金属(例えば、W、Cr、V、またはIr)であり、Xはハロゲン化物(例えば、フッ素(Fl)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I))であり、x、y、およびzは、安定分子を形成可能なゼロよりも大きい任意の数である。このような前駆体の具体例としては、四フッ化酸化タングステン(WOF4)、四塩化酸化タングステン(WOCl4)、二塩化二酸化タングステン(WO2Cl2)、二塩化二酸化クロム(CrO2Cl2)、二塩化二酸化イリジウム(IrO2Cl2)、およびオキシ三塩化バナジウム(VOCl3)が挙げられる。また、金属ハロゲン化物前駆体または金属オキシハロゲン化物前駆体は、2つ以上のハロゲンを有する混合ハロゲン化物前駆体であってもよい。フィーチャの充填は、金属酸窒化物、金属窒化物、または金属酸化物の薄膜の堆積、H2浸漬またはH2ベースのバルク堆積を用いた変換、および金属のバルク堆積を含んでもよい。
【0065】
さらに、上記の説明は主に、熱(非プラズマ)堆積および浸漬プロセスに言及しているが、いくつかの実施形態では、プラズマ励起ALD(PEALD)および/またはH含有プラズマをこれらのプロセスに使用してもよい。
装置
【0066】
任意の適切なチャンバを使用して、開示した実施形態を実施してもよい。例示的な堆積装置は、様々なシステム、例えば、カリフォルニア州フリーモントのLam Research Corp.から入手可能な、ALTUS(登録商標)およびALTUS(登録商標)Max、または任意の他の様々な市販の処理システムを含む。いくつかの実施形態では、プロセスは、複数の堆積ステーションで並行して実行可能であり、あるいは複数の堆積ステーションで順次実行可能である。
【0067】
図10は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ1002を有するALDプロセスステーション1000の実施形態の概略図を示す。いくつかの実施形態では、複数のALDプロセスステーションが、共通の低圧プロセスツール環境に含まれてもよい。例えば、以下でさらに説明される、
図11は、マルチステーション処理ツール1100の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、以下で詳細に説明するものを含む、ALDプロセスステーション1000の1つまたは複数のハードウェアパラメータが、1つまたは複数のコンピュータコントローラ1050によって、プログラムに従って調整され得る。いくつかの他の実施形態では、プロセスチャンバは、シングルステーションチャンバであってもよい。
【0068】
ALDプロセスステーション1000は、プロセスガスを分配シャワーヘッド1006に供給するための反応物供給システム1001aと流体的に連通している。反応物供給システム1001aは、シャワーヘッド1006に供給するために、Mo前駆体含有ガス、水素含有ガス、アルゴンもしくは他のキャリアガス、または他の反応物含有ガスなど、プロセスガスを混合および/または調整するための混合容器1004を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁1020は、混合容器1004へのプロセスガスの導入を制御してもよい。様々な実施形態では、最初のMo含有ライナー層の堆積は、プロセスステーション1000において実行され、いくつかの実施形態では、H
2浸漬およびMoバルク堆積などの他の動作は、
図11に関して以下にさらに説明するように、マルチステーション処理ツール1000の同じステーションまたは別のステーションにて実行されてもよい。
【0069】
例として、
図10の実施形態は、混合容器1004に供給される液体反応物を気化させるための気化点1003を含む。いくつかの実施形態では、気化点1003は、加熱された気化器であってもよい。いくつかの実施形態では、液体前駆体または液体反応物は、液体噴射器(図示せず)で気化されてもよい。例えば、液体噴射器は、混合容器1004の上流のキャリアガス流内に液体反応物のパルスを噴射してもよい。一実施形態では、液体噴射器は、液体を高圧から低圧にフラッシングすることによって反応物を気化させてもよい。別の例では、液体噴射器は、液体を霧化して分散した微小液滴にし、その後、加熱された供給パイプ内で気化させてもよい。より小さな液滴はより大きな液滴よりも速く気化するため、液体噴射から完全な気化までの遅延が低減し得る。より速い気化により、気化点1003から下流の配管の長さが低減し得る。あるシナリオでは、液体噴射器は、混合容器1004に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体噴射器は、シャワーヘッド1006に直接取り付けられてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、気化およびプロセスチャンバ1002への供給のための液体の質量流を制御するために、液体流量コントローラ(LFC)を気化点1003の上流に設けてもよい。例えば、LFCは、LFCの下流に位置する熱式質量流量計(MFM)を含んでもよい。次に、LFCのプランジャ弁が、MFMと電気的に通信する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されたフィードバック制御信号に応答して調整されてもよい。しかしながら、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定させるには、1秒以上かかる場合がある。このため、液体反応物を投与する時間が延びる場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCをフィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えてもよい。いくつかの実施形態では、これは、LFCおよびPIDコントローラの感知チューブを無効にすることによって実行されてもよい。様々な実施形態によれば、
図12に関して以下に説明するように、1つまたは複数の充填容器が、プロセスガス供給源に接続されてもよい。
【0071】
シャワーヘッド1006は、基板1012に向かってプロセスガスを分配する。
図10に示す実施形態では、基板1012はシャワーヘッド1006の下に位置し、台座1008上にあるように示されている。シャワーヘッド1006は任意の適切な形状を有してもよく、基板1012にプロセスガスを分配するための任意の適切な数および配置のポートを有してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、基板1012とシャワーヘッド1006との間の容積に基板1012を曝露するために、台座1008を上昇または下降させてもよい。いくつかの実施形態では、台座1008は、ヒータ1010を介して温度制御されてもよい。台座1008は、様々な開示した実施形態を実行する動作の間、約300℃から約500℃の間など、任意の適切な温度に設定されてもよい。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラ1050によって、プログラムに従って調整し得ることが理解されるであろう。プロセス段階の終了時に、台座1008から基板1012を取り外しできるように、別の基板の搬送段階中に台座1008を下降させてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド1006の位置を台座1008に相対的に調整し、基板1012とシャワーヘッド1006との間の容積を変化させてもよい。さらに、台座1008および/またはシャワーヘッド1006の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変化させてもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、台座1008は、基板1012の向きを回転させるための回転軸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調整の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラ1050によって、プログラムに従って実行されてもよい。コンピュータコントローラ1050は、
図10のコントローラ1050に関して以下に説明する特徴のいずれかを含んでもよい。
【0074】
プラズマが堆積または変換中に使用される場合、シャワーヘッド1006および台座1008は、プラズマに電力供給するための無線周波数(RF)電源1014および整合ネットワーク1016と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RFソース電力、RFソース周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つまたは複数を制御することによって制御されてもよい。例えば、RF電源1014および整合ネットワーク1016は、ラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成するために、任意の適切な電力で動作されてもよい。同様に、RF電源1014は、任意の適切な周波数のRF電力を提供し得る。いくつかの実施形態では、RF電源1014は、高周波および低周波のRF電源を互いに独立して制御するように構成されてもよい。例示的な低周波RF周波数は、0kHzから900kHzの間の周波数を含み得るが、これらに限定されない。例示的な高周波RF周波数は、1.8MHzから2.45GHzの間の周波数、または約13.56MHzを超える周波数、または27MHzを超える周波数、または80MHzを超える周波数、または60MHzを超える周波数を含み得るが、これらに限定されない。任意の適切なパラメータを離散的または連続的に変調して、表面反応のためのプラズマエネルギーを提供し得ることが理解されるであろう。
【0075】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニターによってその場で監視されてもよい。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視されてもよい。別のシナリオでは、プラズマの密度および/またはプロセスガスの濃度は、1つまたは複数の発光分光分析センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのようなin-situプラズマモニターからの測定値に基づいて、プログラムによって調整されてもよい。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループにて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために他のモニターを使用してもよいことが理解されるであろう。このようなモニターは、赤外線(IR)モニター、音響モニター、および圧力変換器を含み得るが、これらに限定されない。
【0076】
いくつかの実施形態では、コントローラ1050のための命令は、入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を介して提供されてもよい。一例では、プロセス段階の条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれてもよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は、プロセス段階に対する全ての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順次配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の反応器のパラメータを設定するための命令は、レシピ段階に含まれてもよい。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガス(例えば、Mo前駆体)の流量を設定するための命令と、キャリアガス(アルゴンなど)の流量を設定するための命令と、第1のレシピ段階の時間遅延命令とを含んでもよい。第2の、後続のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を調節または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調節するための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。第3のレシピ段階は、H2の流量を調節するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調節するための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。第4の、後続のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を調節または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調節するための命令と、第4のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内の任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復されてもよいことが理解されるであろう。
【0077】
さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1000の圧力制御は、バタフライ弁1018によって提供されてもよい。
図10の実施形態に示すように、バタフライ弁1018は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供された真空を絞る。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1000の圧力制御はまた、プロセスステーション1000に導入された1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整されてもよい。
【0078】
図11Aおよび
図11Bは、処理システムの例を示す。
図11Aは、複数のチャンバを含む処理システムの例を示す。システム1100は、搬送モジュール1103を含む。搬送モジュール1103は、処理される基板が様々なモジュール間を移動する際の汚染のリスクを最小化するために、清浄な真空環境を提供する。搬送モジュール1103上には、上述のALDプロセスおよび/または浸漬プロセスを実行可能なマルチステーションチャンバ1109が取り付けられる。最初のMo含有ライナー層の堆積は、後続の変換および/またはMoバルク堆積と同じか、または異なるステーションもしくはチャンバにて行なわれてもよい。
【0079】
チャンバ1109は、開示した実施形態に従って動作を順次実行し得る複数のステーション1111、1113、1115、および1117を含んでもよい。例えば、チャンバ1109は、ステーション1111がハロゲン化モリブデン前駆体およびO含有またはN含有共反応物を用いてALD堆積を実行し、ステーション1113が後続のH2浸漬を実行し、ステーション1115および1117がオキシハロゲン化モリブデン前駆体およびH2を用いてバルクMoのALDを実行するように構成されてもよい。別の例では、チャンバ1109は、ステーション1111が洗浄を行い、ステーション1113がMo含有ライナー層のALDを実行し、ステーション1115および1117がバルクMoの堆積を行うように構成されてもよい。別の例では、チャンバ1109は、各ステーションが複数のプロセスを順次実行して、基板の並列処理を行うように構成されてもよい。
【0080】
2つ以上のステーションが、例えば、2~6個のマルチステーションチャンバに含まれ、それによって、動作が適切に分配され得る。例えば、2つのステーションチャンバは、第1のステーションにてMo含有ライナー層のALDを実行し、続いて、第2のステーションにてバルクMoのALDを実行するように構成されてもよい。ステーションは、加熱された台座または基板支持体、1つまたは複数のガス入口またはシャワーヘッドまたは分散プレートを含んでもよい。
【0081】
また、搬送モジュール1103上には、1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール1107が取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、上述のような前洗浄がモジュール1107にて実行されてもよく、その後、基板がALDのために別のモジュール(例えば、別のモジュール1107またはチャンバ1109)に真空下で搬送される。
【0082】
また、システム1100は、ウエハが処理の前後に保管される、1つまたは複数のウエハソースモジュール1101を含む。大気搬送チャンバ1119内の大気ロボット(図示せず)は、最初に、ウエハをソースモジュール1101からロードロック1121に取り出してもよい。搬送モジュール1103内のウエハ搬送装置(一般的に、ロボットアームユニット)が、ウエハをロードロック1121から搬送モジュール1103上に取り付けられたモジュールへ、モジュール間を移動させる。
【0083】
いくつかの実施形態では、MoのALDは、システム1100のようなシステムの一部であってもよい、第1のチャンバにて実行され、表土層として堆積されたWもしくはMoもしくは他の導電性材料のCVDまたはPVDは、共通の搬送モジュールに結合されなくてもよいが、別のシステムの一部であってもよい、別のチャンバにて実行される。
【0084】
図11Bは、
図11Aを参照して上述したように、ウエハソースモジュール1101、搬送モジュール1103、大気搬送チャンバ1119、およびロードロック1121を備えたシステム1100の実施形態である。
図11Bのシステムは、3つのシングルステーションモジュール1157a~1157cを有する。システム1100は、開示した実施形態に従って動作を順次実行するように構成されてもよい。例えば、シングルテーションモジュール1157は、第1のモジュール1157aがALD堆積を実行し、第2のモジュール1157bがH
2浸漬を実行し、第3のモジュール1157cがバルクMoのALDを実行するように構成されてもよい。ステーションは、
図10を参照して説明したように、加熱された台座または基板支持体、1つまたは複数のガス入口またはシャワーヘッドまたは分散プレートを含んでもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ステーションは、1つまたは複数の充填容器を備えてもよい。上述したように、少なくともH
2浸漬は、充填容器を含んでもよい。例示的な装置が
図12に示されており、
図12では、4つのガス源(前駆体、NH
3共反応物、H
2、およびパージガス)がそれぞれ、充填容器1201に接続されている。様々な実施形態によれば、これらのガス源の全てまたはサブセットのみが充填容器に接続されてもよい。充填容器1201は、加圧されたガスの容積を構築するために使用され、次いで、このガスの容積は、プロセスチャンバ内に流入される。充填容器1201からのガスは加圧され(例えば、300Torr~700Torr)、シャワーヘッド1206を介してチャンバに入る。ウエハを支持するための台座1208も示されている。
【0085】
図11Aおよび
図11Bに戻ると、様々な実施形態では、システムコントローラ1129が、堆積中のプロセス条件を制御するために採用される。コントローラ1129は通常、1つまたは複数のメモリデバイスおよび1つまたは複数のプロセッサを含むことになる。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続、ステッパーモータコントローラボードなどを含んでもよい。
【0086】
コントローラ1129は、装置の全ての活動を制御してもよい。システムコントローラ1129は、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウエハ温度、無線周波数(RF)電力レベル、ウエハチャックまたは台座位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令のセットを含む、システム制御ソフトウェアを実行する。コントローラ1129に関連したメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムが、いくつかの実施形態にて採用されてもよい。
【0087】
通常、コントローラ1129に関連したユーザインターフェースが存在することになる。ユーザインターフェースは、ディスプレイスクリーン、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、およびポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザ入力デバイスを含んでもよい。
【0088】
システム制御ロジックは、任意の適切な方法で構成されてもよい。概して、ロジックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成可能である。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされてもよいし、ソフトウェアとして提供されてもよい。命令は、「プログラミング」によって提供されてもよい。このようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、およびハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイスにおいてハードコードされたロジックを含む、あらゆる形式のロジックを含むことが理解される。また、プログラミングは、汎用プロセッサ上で実行され得るソフトウェアまたはファームウェア命令を含むことが理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されてもよい。
【0089】
Mo前駆体パルス、水素パルス、およびアルゴン流、およびプロセスシーケンス内の他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートラン、または他の言語で記述可能である。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プロセッサによって実行され、プログラム内で特定されたタスクを実行する。また、示したように、プログラムコードは、ハードコードされてもよい。
【0090】
コントローラのパラメータは、例えば、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、ならびにチャンバ壁温度など、プロセス条件に関する。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供され、ユーザインターフェースを利用して入力されてもよい。
【0091】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ1129のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。
【0092】
システムソフトウェアは、多様な方法で設計または構成されてもよい。例えば、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトを記述して、本開示の実施形態に従って堆積プロセスを実行するのに必要なチャンバ構成要素の動作を制御してもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムの一部の例としては、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが挙げられる。
【0093】
いくつかの実施態様では、コントローラ1129は、システムの一部であり、上述の例の一部であってもよい。このようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む、半導体処理装置を含み得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれる場合があり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御してもよい。コントローラ1129は、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示のプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムにおける無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置設定および動作設定、ツールへのウエハの搬送およびツールからのウエハの搬送、ならびに特定のシステムに接続または連動した他の搬送ツールおよび/またはロードロックが挙げられる。
【0094】
広義には、コントローラは、命令を受け取り、命令を発し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなど、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信された命令であって、半導体ウエハ上またはシステムに対する特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、プロセスエンジニアによって定義されたレシピの一部であって、ウエハの1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはダイの製造中に1つまたは複数の処理ステップを達成し得る。
【0095】
コントローラ1129は、いくつかの実施態様では、システムと一体化しているか、結合しているか、そうでない場合はシステムにネットワーク接続されているか、またはそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であっても結合していてもよい。例えば、コントローラ1129は、「クラウド」内にあってもよく、ファブホストコンピュータシステムの全てまたは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にし、製造動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定する、もしくは新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含み得る、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実行される処理ステップの各々に対するパラメータを特定する。パラメータは、実行されるプロセスの種類、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールの種類に特有のものであってもよい。したがって、上述したように、コントローラは、互いにネットワーク接続され、本明細書にて説明したプロセスおよび制御など、共通の目的に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことなどによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例としては、(プラットフォームレベルでまたはリモートコンピュータの一部としてなど)遠隔配置され、チャンバ上のプロセスを制御するように結合する1つまたは複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つまたは複数の集積回路であってもよい。
【0096】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、PVDチャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するまたは使用され得る任意の他の半導体処理システムを含み得るが、これらに限定されない。
【0097】
上述したように、ツールによって実行される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近隣するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、あるいは半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートにウエハの容器を搬入出する材料搬送に使用されるツールのうち1つまたは複数と通信してもよい。
【0098】
コントローラ1129は、様々なプログラムを含んでもよい。基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャック上に搬入し、基板とガス入口および/またはガスターゲットなどのチャンバの他の部品との間の間隔を制御するために使用されるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを含んでもよい。プロセスガス制御プログラムは、チャンバ内の圧力を安定させるために、ガス組成、流量、パルス時間を制御するためのコード、および任意で堆積前にチャンバ内にガスを流すためのコードを含んでもよい。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムの絞り弁を調節することによってチャンバ内の圧力を制御するためのコードを含んでもよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでもよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへのヘリウムなどの熱搬送ガスの供給を制御してもよい。
【0099】
堆積中に監視可能なチャンバセンサの例としては、マスフローコントローラ、マノメータなどの圧力センサ、および台座またはチャックに位置する熱電対が挙げられる。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムは、所望のプロセス条件を維持するために、これらのセンサから得たデータと共に使用されてもよい。
【0100】
上記では、シングルチャンバまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおいて、開示された実施形態の実施態様を説明している。本明細書に記載の装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LEDs、光起電性パネルなどの製作または製造のためのリソグラフィパターニングツールまたはプロセスと連動して使用されてもよい。一般的に、必ずしもそうである必要はないが、このようなツール/プロセスは、共通の製造設備で共に使用または実施されることになる。膜のリソグラフィパターニングは通常、(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを用いて、フォトレジストをワークピース、すなわち、基板上に塗布するステップと、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させるステップと、(3)ウエハステッパーなどのツールを用いて、フォトレジストに可視光またはUVまたはX線光へ露光するステップと、(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、レジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングするようにレジストを現像するステップと、(5)ドライまたはプラズマアシストエッチングツールを用いて、レジストパターンを下層の膜またはワークピースに転写するステップと、(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパーなどのツールを用いて、レジストを除去するステップの一部または全てを含み、各ステップは、複数の利用可能なツールを備える。
結論
【0101】
前述の実施形態は、理解を明確にするために、ある程度詳細に説明されているが、開示した特許請求の範囲内で特定の変更および修正が実施され得ることは明らかであろう。なお、本実施形態のプロセス、システム、および装置を実現する多くの代替方法が存在することに留意されたい。したがって、本実施形態は例示であって制限的なものではないと見なされるべきであり、本実施形態は本明細書にて与えられた詳細に限定されるものではない。
【国際調査報告】