(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(54)【発明の名称】材料堆積装置、基板上に材料を堆積する方法、および材料堆積システム
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
C23C14/24 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564018
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022024225
(87)【国際公開番号】W WO2022225731
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ, タマラ
(72)【発明者】
【氏名】バンゲルト, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】マニコス コララス, サレシュ
(72)【発明者】
【氏名】チャカラヴァルティ ラマサミー, ラムゴパル
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA02
4K029AA04
4K029BA02
4K029CA01
4K029DB18
4K029KA01
(57)【要約】
基板上に蒸発した材料を堆積するための材料堆積装置が提供される。材料堆積装置は、処理ドラム上での基板の処理中に基板温度を制御するように構成された冷却器を有する処理ドラムと、基板を処理ドラムの方に案内するローラと、ローラと処理ドラムとの間のフリースパンエリア中で基板を加熱するために配置された第1のヒータアセンブリと、処理ドラム上に支持されている間に基板を加熱するために配置された第2のヒータアセンブリと、第2のヒータアセンブリの下流に基板移送経路に沿って設けられた少なくとも1つの堆積ソースと、基板搬送速度と相関する速度信号を与える基板速度センサと、少なくとも第1のヒータアセンブリを制御するように構成された、速度信号のための入力を有するコントローラとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に蒸発した材料を堆積するための材料堆積装置であって、前記材料堆積装置は、
処理ドラムであって、前記処理ドラム上での基板の処理中に基板温度を制御するように構成された冷却器を有する処理ドラムと、
前記基板を前記処理ドラムの方に案内するローラと、
前記ローラと前記処理ドラムとの間のフリースパンエリア中で前記基板を加熱するために配置された第1のヒータアセンブリと、
前記処理ドラム上に支持されている間に前記基板を加熱するために配置された第2のヒータアセンブリと、
前記第2のヒータアセンブリの下流に基板移送経路に沿って設けられた少なくとも1つの堆積ソースと、
基板搬送速度と相関する速度信号を与える基板速度センサと、
少なくとも前記第1のヒータアセンブリを制御するように構成された、前記速度信号のための入力を有するコントローラと
を備える、材料堆積装置。
【請求項2】
前記第1のヒータアセンブリの下流に前記基板移送経路に沿って設けられた第1の温度センサ
をさらに備える、請求項1に記載の材料堆積装置。
【請求項3】
前記第2のヒータアセンブリの下流に前記基板移送経路に沿って設けられた第2の温度センサ
をさらに備える、請求項1または2に記載の材料堆積装置。
【請求項4】
前記第1のヒータアセンブリと前記第2のヒータアセンブリとの間で前記基板を加熱するために配置された遷移ヒータアセンブリ
をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の材料堆積装置。
【請求項5】
前記遷移ヒータアセンブリの下流に前記基板移送経路に沿って設けられた遷移温度センサ
をさらに備える、請求項4に記載の材料堆積装置。
【請求項6】
前記遷移温度センサの信号に応じて前記遷移ヒータアセンブリを制御するために、前記遷移温度センサの信号のための入力を有する遷移ヒータコントローラ
をさらに備える、請求項5に記載の材料堆積装置。
【請求項7】
堆積速度信号のための入力を有する第2のヒータコントローラ
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の材料堆積装置。
【請求項8】
前記冷却器が、前記処理ドラムと前記基板との間で冷却ガスを案内するガスクッションによって与えられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の材料堆積装置。
【請求項9】
基板上に蒸発した材料を堆積する方法であって、前記方法は、
前記基板をローラから処理ドラムの方に案内することと、
基板速度信号を測定することと、
前記基板速度信号に応じて、前記ローラと前記処理ドラムとの間で第1のヒータアセンブリを用いて前記基板を加熱することと
を含む、方法。
【請求項10】
堆積速度に応じて、第2のヒータアセンブリを用いて前記処理ドラム上の前記基板を加熱すること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のヒータアセンブリを用いて前記基板を加熱した後に、第1の基板温度信号を測定することと、
前記基板が前記処理ドラム上に支持されている間に、前記第2のヒータアセンブリを用いて前記基板を加熱する前に、第2の基板温度信号を測定することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の基板温度信号と前記第2の基板温度信号との間の差に応じて、遷移ヒータアセンブリを用いて前記基板を加熱すること
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
処理中に基板を支持するための処理ドラムと、
前記処理ドラムの上流の基板案内ローラと、
前記ローラと前記処理ドラムとの間に設けられた第1のヒータアセンブリと、
プロセッサ、および命令を記憶するメモリを備えるコントローラであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コントローラと
を備える、材料堆積システム。
【請求項14】
基板速度を前記第1のヒータアセンブリの電力密度と相関させるために、前記メモリ中にルックアップテーブルが記憶される、請求項13に記載の材料堆積システム。
【請求項15】
前記コントローラが、前記ルックアップテーブル中のデータのバイリニア補間を与える、請求項14に記載の材料堆積システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、特に、真空チャンバ中での熱蒸発による、基板コーティングに関する。本開示の実施形態は、特に、バッテリーの製造のための、基板上への蒸発した材料の材料堆積にさらに関する。本開示の実施形態は、基板を予熱するための材料堆積装置のための1つまたは複数の加熱アセンブリ、基板上に材料を堆積するための方法、および材料堆積システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板上への堆積のための様々な技法、たとえば、化学気相堆積(CVD)および物理気相堆積(PVD)が知られている。高い堆積速度における堆積の場合、PVDプロセスとして熱蒸発が使用され得る。熱蒸発の場合、ソース材料は、たとえば基板上に堆積され得る蒸気を生成するために加熱される。加熱されるソース材料の温度を高めると、蒸気濃度が高くなり、高い堆積速度を促進することができる。高い堆積速度を達成するための温度は、ソース材料の物理的性質、たとえば温度に応じた蒸気圧、および基板の物理的限界、たとえば溶融点に依存する。
【0003】
蒸発による、フレキシブル基板上、たとえばグラファイトホイルまたは銅基板上への金属、たとえばリチウムの堆積は、Liバッテリーなど、バッテリーの製造のために使用され得る。たとえば、バッテリーのアノードを製造するために、薄いフレキシブル基板上にリチウム層が堆積され得る。随意にそれらの間に電解質および/またはセパレータをもつ、アノード層スタックとカソード層スタックとのアセンブリの後に、製造された層構成は、Liバッテリーを製造するために巻かれるか、または別の方法でスタックされ得る。
【0004】
基板処理中の熱膨張は、基板、たとえばホイルまたはウェブ中にしわを生じ得る。ホイルの広がり、特にホイルの急激な広がりはホイル上にしわをもたらし得る。しわは、堆積された1つまたは複数の層の品質の低下を引き起こし得る。
【0005】
したがって、上記の問題を少なくとも部分的に克服するために、改善された材料堆積装置、改善された堆積方法および改善された処理システムを提供することが有益である。
【発明の概要】
【0006】
上記に照らして、独立請求項に記載の材料堆積装置、基板上に材料を堆積する方法、および材料堆積システムが提供される。さらなる特徴、態様、詳細、および実装形態が、発明を実施するための形態、図面、および従属請求項に記載されている。
【0007】
一実施形態によれば、基板上に蒸発した材料を堆積するための材料堆積装置が提供される。材料堆積装置は、処理ドラム上での基板の処理中に基板温度を制御するように構成された冷却器を有する処理ドラムと、基板を処理ドラムの方に案内するローラと、ローラと処理ドラムとの間のフリースパン(free-span)エリア中で基板を加熱するために配置された第1のヒータアセンブリと、処理ドラム上に支持されている間に基板を加熱するために配置された第2のヒータアセンブリと、第2のヒータアセンブリの下流に基板移送経路に沿って設けられた少なくとも1つの堆積ソースと、基板搬送速度と相関する速度信号を与える基板速度センサと、少なくとも第1のヒータアセンブリを制御するように構成された、速度信号のための入力を有するコントローラとを備える。
【0008】
一実施形態によれば、基板上に蒸発した材料を堆積する方法が提供される。本方法は、基板をローラから処理ドラムの方に案内することと、基板速度信号を測定することと、基板速度信号に応じて、ローラと処理ドラムとの間で第1のヒータアセンブリを用いて基板を加熱することとを含む。
【0009】
一実施形態によれば、材料堆積システムが提供される。本システムは、処理中に基板を支持するための処理ドラムと、処理ドラムの上流の基板案内ローラと、ローラと処理ドラムとの間に設けられた第1のヒータアセンブリと、プロセッサ、および命令を記憶するメモリを備えるコントローラであって、命令は、プロセッサによって実行されたときに、本発明の実施形態に記載の方法を実行させる、コントローラとを含む。
【0010】
本開示の上記で具陳した特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上記で手短に要約した本開示のより詳細な説明が得られ得る。添付の図面は、本開示の実施形態に関するものであり、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本明細書において説明される実施形態による材料堆積装置の概略図である。
【
図2】本明細書において説明される実施形態による堆積システム中のヒータのためのコントローラの概略図である。
【
図3】本明細書において説明される実施形態による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本開示の様々な実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例が、図に示されている。図面の以下の説明において、同じ参照番号は、同じ構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する差異のみについて説明する。各例は、本開示の説明として与えられ、本開示の限定するものではない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明される特徴は、またさらなる実施形態をもたらすために他の実施形態においてまたは他の実施形態とともに使用することができる。説明はそのような改変および変形を含むことものとする。
【0013】
本明細書において与えられる実施形態は、蒸発による薄膜コーティング、特に、真空チャンバにおける薄膜コーティングに関する。たとえば、コーティングされるべき材料は、蒸発させられるように材料固有の温度に加熱される。一般に、より高い温度においてより高い蒸発速度を与えることができる。
【0014】
本開示の実施形態は、熱による基板、すなわちホイルまたはウェブなどフレキシブル基板の広がりを低減する。基板上の薄膜堆積の品質を高めるために、しわを低減することができる。本開示の実施形態によれば、1つまたは複数の温度制御ゾーンが与えられる。特に、低電力制御ゾーンなど第1の温度制御ゾーンが与えられる。第1の温度制御ゾーン中では、基板の速度依存加熱が与えられる。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板が処理ドラムと接触する前に、基板、たとえばグラファイトホイルの速度依存予熱を与えることができる。第1の温度制御ゾーンはフリースパンエリア中に与えることができる。フリースパンエリアは、処理ドラムに隣接するローラと処理ドラムとの間の基板案内エリアとすることができる。
【0015】
本開示の一実施形態によれば、基板上に蒸発した材料を堆積するための材料堆積装置が提供される。材料堆積装置は、処理ドラム上での基板の処理中に基板温度を制御するように構成された冷却器を有する処理ドラムと、基板を処理ドラムの方に案内するローラと、ローラと処理ドラムとの間のフリースパンエリア中で基板を加熱するために配置された第1のヒータアセンブリと、処理ドラム上に支持されている間に基板を加熱するために配置された第2のヒータアセンブリと、第2のヒータアセンブリの下流に基板移送経路に沿って設けられた少なくとも1つの堆積ソースと、基板搬送速度と相関する速度信号を与える基板速度センサと、少なくとも第1のヒータアセンブリを制御するように構成された、速度信号のための入力を有するコントローラとを含む。
【0016】
さらに、蒸発システム、および蒸発器を含む材料堆積装置中で、蒸発した材料は、蒸発した材料よりも低い温度を有するシステム構成要素の表面上で凝縮する。基板の熱コーティングの場合、基板上に薄層を形成するために、蒸発した材料が基板上に堆積またはコーティングされ得るように、基板はより低い温度を含む。しかしながら、基板の温度とコーティングされるべき材料の温度との間の差が大きいと、得られた薄層または膜は損傷し、たとえば裂け得るか、または基板および/または材料の表面上にしわを生じ得る。
【0017】
図1は、本明細書において説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる、本明細書において説明される実施形態による材料堆積装置を例示的に示す。材料堆積装置100は真空チャンバ105を含み得る。真空チャンバ中には真空が与えられ得る。たとえば、材料堆積装置は、真空チャンバ中に真空を与えるための真空ポンプを含み得る。
【0018】
本明細書において使用する「真空」という用語は、たとえば、10mbar未満の真空圧を有する技術的真空の意味で理解することができる。一般に、本明細書において説明される真空チャンバ中の圧力は、10-4mbarと約10-8mbarとの間、より一般的には10-4mbarと10-7mbarとの間、さらに一般的には約10-5mbarと約10-6mbarとの間であり得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の真空チャンバ中の全圧は約10-4mbarから約10-7mbarまでの範囲であり得る。したがって、真空チャンバは「真空蒸着チャンバ」、すなわち、真空蒸着のために構成された真空チャンバとすることができる。
【0019】
本明細書において説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、材料堆積装置は堆積ソースアセンブリを含み得る。たとえば、堆積ソースアセンブリは1つまたは複数の蒸発ソースを含む蒸発ソースアセンブリとすることができる。本開示の実施形態は、堆積ソース、特に、エネルギーが堆積プロセスによって基板に伝達される物理気相堆積(PVD)ソースに関する。高い堆積速度の場合、蒸発ソースは特に有用となり得る。したがって、以下の説明では蒸発ソースを参照する。他の堆積ソース、特に、基板にエネルギーを伝達する堆積ソースも本開示の実施形態のために利用され得ることを理解されたい。
【0020】
本開示全体にわたって使用する「蒸発ソースアセンブリ」という用語は、1つまたは複数の蒸発ソースを含むアセンブリ、ユニットまたは装置として理解され得る。したがって、蒸発ソースアセンブリに関して本明細書において説明される特徴は、相応して、単一の蒸発ソースにも適用し得る。たとえば、蒸発ソースアセンブリ中にただ1つの蒸発ソースが含まれ得る。そのような事例では、蒸発ソースアセンブリは蒸発ソースと呼ばれることがある。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせられ得るいくつかの実施形態によれば、蒸発ソースアセンブリ中に2つまたはそれ以上の蒸発ソースを与えることができる。
【0021】
蒸発ソースアセンブリは、基板102の方に蒸発した材料を与えるように構成される。蒸発ソースアセンブリは、真空チャンバ105中に与えることができるか、または少なくとも部分的に真空チャンバ105中に与えることができる。蒸発ソースアセンブリは、基板に材料を与えるための基板搬送方向(D)に沿って配設され得る。
【0022】
蒸発ソースアセンブリは2つまたはそれ以上の蒸発ソースを含み得る。2つの蒸発ソース110が
図1に示されている。たとえば、蒸発ソースアセンブリは、基板上に材料を堆積するための第1の堆積エリアを有する第1の蒸発ソースと、基板上に材料を堆積するための第2の堆積エリアを有する第2の蒸発ソースとを含み得る。
【0023】
本明細書において説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、材料堆積装置は処理ドラム120を含み得る。処理ドラムは、基板102を搬送するように構成され得る。基板102は処理ドラム120の周りに構成され得る。処理ドラム120は、
図1に例示的に示されたコーティングドラムであり得る。コーティングドラムは湾曲したドラム表面を含み得る。処理ドラムは、湾曲したドラム表面上で基板102を円周方向または基板移送方向に蒸発ソース110を越えて移動するように構成され得る。
【0024】
本明細書において説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、蒸発ソースアセンブリは、基板に堆積されるべき材料を与え得る。蒸発ソースアセンブリは、材料を蒸発させるために好適な温度を材料に与えることによって、堆積されるべき材料が蒸発させられ得る、1つまたは複数のるつぼ(crucible)を含み得る。たとえば、堆積されるべき材料は、たとえば、金属、特に、リチウム、金属合金、および与えられた条件の下で気相を有する他の気化可能な材料などを含み得る。またさらなる実施形態によれば、追加または代替として、材料は、マグネシウム(Mg)、イッテルビウム(Yb)およびフッ化リチウム(LiF)を含み得る。
【0025】
さらに、蒸発ソースアセンブリの蒸発ソースはディストリビュータを含み得る。ディストリビュータは蒸発した材料を分散させ得る。材料は、たとえば、入口開口を介してディストリビュータに接続されているるつぼによってディストリビュータ中に与えられ得る。ディストリビュータは1つまたは複数の開口を有し得る。堆積されるべき蒸発した材料は開口を通ってディストリビュータから出ることができる。ソース材料は、開口を通って延びる複数のノズルによって基板102上に堆積することができる。言い換えれば、蒸発ソースは、蒸発した材料を基板に与えるための1つまたは複数のノズルを含み得る。堆積されるべき材料は、たとえば、複数のノズルによって基板に噴霧され得る。
【0026】
たとえば、基板はフレキシブルなウェブまたはホイルであり得、材料堆積装置はロールツーロール堆積装置であり得る。コーティングドラムは、
図1の紙面に直角な長さ方向に延びる円筒であり得る。処理ドラムは可動であり得、すなわち、コーティングドラムは中心軸の周りを回転され得る。処理ドラムは、移動されるか、または時計回りもしくは反時計回りに回転され得る。処理ドラムは堆積中に方向を変更し得る、たとえば、堆積中に処理ドラムが時計回りに回転されるとき、回転方向は反時計回りに変更され得、その逆も同様である。
【0027】
本明細書において説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、材料堆積装置は、処理されていない基板を与えるための基板プロビジョンまたは巻戻しロール(
図1に示されていない)を含み得る。基板プロビジョンまたは巻戻しロールは、基板が基板プロビジョンまたは巻戻しロールから広げられ得るように、移動すなわち回転され得る。さらに、材料堆積装置は、基板上への材料の堆積が行われた後に、処理された基板を取り上げるための基板受取りロールを含み得る。基板受取りロールは移動され得る、すなわち、基板受取りロールは、処理された基板を取り上げるために回転され得る。基板受取りロール、および基板プロビジョンまたは巻戻しロールは同じ方向に回転され得る、すなわち両方のロールは時計回りに回転され得るか、または基板プロビジョンまたは巻戻しロールは反対の方向に回転され得る、すなわち一方のロールは時計回りに回転され得、他方のロールは反時計回りに回転され得、またはその逆も同様である。たとえば、基板は、巻戻しロールと受取りロールとの間で「スパン」され得、蒸発した材料を受け取るために蒸発ソースアセンブリの上方に案内され得る。たとえば、基板は、規定および/または制御された力を用いて与えられ得る。基板テンショナが与えられ得る。
【0028】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、処理ドラムはガスクッション処理ドラムであり得る。ガスクッションコーティングドラムはドラムの表面と基板との間に冷却ガスを与える。たとえば、ドラムおよび冷却ガスは、室温を下回る温度まで冷却することができる。その上に材料が堆積された薄いホイルまたはウェブを損傷することなしに、より高い堆積速度を可能にするために、基板から熱を除去することができる。
【0029】
ガスクッションローラの場合、ガス出口の第1のサブグループ、すなわち、開放ガス出口を処理ドラムのウェブ案内領域中に与えることができる。ガス出口の第2のサブグループ、すなわち、閉鎖ガス出口がウェブ案内領域の外側に与えられる。ガスは、ホバークッションを形成するためにガスが必要とされるウェブ案内領域中にのみ放出されるので、ウェブによって覆われていない領域中に直接放出されるガスはまったくまたはほとんどなく、ガスの浪費は低減され得、および/または、ポンプシステムに対してより少ない負担で、より良い真空が維持され得る。
【0030】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ガス出口のサブグループへの追加または代替として、処理ドラムの外表面が微孔性表面で被覆され得る。微孔性表面は、少量の冷却ガスが処理ドラムの内側から処理ドラムの表面に流れることを可能にし得る。冷却ガスは、処理ドラムと、その上への材料堆積のために処理ドラムの上に案内されるウェブまたはホイルとの間にガスクッションを形成し得る。
【0031】
本明細書において説明される任意の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態によれば、基板は薄い基板、たとえばホイルまたはウェブとすることができる。コーティングされるべき基板は、50μm以下、特に20μm以下、またはさらには10μm以下の厚さを有し得る。たとえば、金属ホイルまたはフレキシブルな金属コーティングされたホイルが気相堆積装置中でコーティングされ得る。いくつかの実装形態では、基板102は、30μm未満、たとえば10μm以下の厚さを有する、グラファイトホイルまたは銅ホイルまたは薄いアルミニウムホイルである。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、CuホイルまたはAlホイルなど、金属ホイルは5μmから20μmまでの厚さを有することができる。グラファイトホイルは、たとえば上記で説明したように、少なくとも1つの面、特に両面にグラファイトコーティング、グラファイトシリコンコーティング、またはほとんど純粋なSiコーティングをもつ、金属ホイルを含むことができる。コーティングは、たとえば、20μmから50μmまでとすることができる。
【0032】
基板の厚さが小さいと、基板は、異なる熱負荷をもつ異なるゾーン中で急激な温度変化に直面することになる、すなわち、基板は急に熱くなり、基板は拡大し、また急に冷え、基板は収縮する。そのような急激な温度変化が起こると、基板中に張力、応力および伸縮が生じ、それにより損傷および/またはしわが生じる。
【0033】
図1は材料堆積装置100または対応する処理システムを示す。材料堆積装置100は真空チャンバ105を含む。真空チャンバ105中には処理ドラム120が与えられる。基板102、たとえば、フレキシブルなウェブ、またはグラファイトホイルなどのホイルは、基板102を処理するための処理ドラム120の上に案内される。基板102はローラ125の上に基板移送方向Dに沿って案内される。ローラは基板を処理ドラム120の方に案内する。基板は処理ドラム120上で処理される。たとえば、処理ドラム120上の基板案内経路に沿って1つまたは複数の蒸発ソース110を与えることができる。
図1は2つの蒸発ソース110を示す。蒸発ソースは基板上に材料を堆積し得る。本開示の実施形態によれば、特にリチウム含有膜を、グラファイト基板など、基板上に堆積することができる。
【0034】
基板の温度変化が制御されないと、基板上に堆積された薄膜を劣化させるしわが生じ得る。本開示の実施形態によれば、基板上のしわの発生を低減するために、基板温度を制御するための専用加熱ゾーン中にヒータが与えられる。
【0035】
1つまたは複数の第1のヒータ142を含む第1のヒータアセンブリ140が与えられる。第1のヒータアセンブリは第1の加熱ゾーンを与える。第1の加熱ゾーンまたは第1のヒータアセンブリは、それぞれ、ローラ125と処理ドラム120との間の基板102のフリースパンエリア中に与えられる。第1のヒータアセンブリの各第1のヒータは制御線132によってコントローラ130に接続される。
【0036】
1つまたは複数の第2のヒータ162を含む第2のヒータアセンブリ160が与えられる。第2のヒータアセンブリは、第2の加熱ゾーン、たとえば、第1の加熱ゾーンと第3の加熱ゾーンとの間に遷移加熱ゾーンを与える。第3の加熱ゾーンは、1つまたは複数の第3のヒータ172を含む第3のヒータアセンブリ170によって与えることができる。第3の加熱ゾーンは高電力加熱ゾーンとすることができる。高電力加熱ゾーンは1つまたは複数の蒸発ソース110に隣接する。さらに、本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ローラヒータ131が与えられ得る。ローラヒータは、ローラの表面を加熱するように構成される。基板は、ローラ125によって案内されている間にローラヒータによって加熱される。
【0037】
本開示全体にわたって使用する「ヒータアセンブリ」という用語は、1つまたは複数のヒータを含み得るアセンブリ、ユニットまたは装置として理解され得る。たとえば、加熱アセンブリは、少なくとも1つのヒータを含み得るか、または、2つまたはさらに多くのヒータを含み得る。
【0038】
本開示全体にわたって使用する「ヒータ」はグラファイトヒータであり得る。グラファイトヒータは、たとえば、500℃から1800℃までの範囲内またはそれ以上の温度の高い動作温度と、基板上で高電力密度を実現することを可能にする、たとえば、0.8から0.9までの範囲またはそれ以上の高い放射率とを与えるので、グラファイトヒータは有利である。加熱要素は、電力を基板への方向に集中させるために放射シールドをも含み得る。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ヒータは、光源を含むことができるか、または光源とすることができる。光源の波長は、特に加熱されるべき基板に応じて、赤外(IR)から紫外(UV)まで及ぶことができる。いくつかの基板材料はUVに敏感であり得る。他の基板材料はIRに敏感であり得る。
【0039】
本開示の実施形態によれば、複数の温度センサ152が提供される。温度センサ152は基板搬送経路に沿って分配される。特に、温度センサを加熱ゾーンの開始と相関させることができる。さらに、または代替的に、温度センサを加熱ゾーンの終了と相関させることができる。温度センサは、熱電対または高温計、すなわち、基板の熱放射を測定する温度センサとすることができる。温度センサ152は信号線134によってコントローラ130に接続することができる。信号線134はコントローラ130に温度信号を与える。たとえば、温度依存基板加熱が与えられる遷移加熱ゾーン中に1つまたは複数の遷移温度センサを与えることができる。
【0040】
本開示の実施形態は、特定の温度制御特性をもつ加熱ゾーンを与える。特に、処理ドラム120中のローラ125の間に与えられる第1の加熱ゾーンは速度依存加熱ゾーンである。処理ドラム120にまたはローラ125に与えられ得る基板速度センサは信号線122を介して速度信号を与える。信号線122は
図1中の処理ドラム120に示されている。しかしながら、信号線122はまた、ローラ125にまたは材料堆積装置100中の別の位置に与えられ得る。たとえば、基板速度は、材料堆積システムの巻戻しスプール、材料堆積の巻きスプール、または材料堆積システム中の別の位置に与えることができる。
【0041】
第3の加熱ゾーンまたは高電力加熱ゾーンには、一定の加熱、すなわち定電力モードを与えることができるか、または蒸発レートに応じた加熱を与えることができる。特に、第3の加熱ゾーン中の温度制御は基板速度に依存せず、基板温度はまた、基板が処理ドラム120上に与えられている間に基板の停止状態において制御され得る。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、第3の加熱ゾーンは、蒸発レート、すなわち、蒸発ソースによって基板に向けて与えられるエネルギーに応じて制御することができる。蒸発ソース110に隣接して、たとえば、蒸発ソースの上流に、蒸発ソースの間に、および/または蒸発ソースの下流に第3のヒータ172が与えられ、蒸発ソースと比較して同じ加熱が基板に与えられることによって、材料堆積中の基板の急激な温度変化を低減または回避することができる。
【0042】
第2の加熱ゾーンまたは遷移加熱ゾーンは第1の加熱ゾーンと第3の加熱ゾーンとの間に与えられる。第2の加熱ゾーンは、基板が処理ドラム、たとえば冷却されたガスクッションドラムに接触する少し前に与えることができる。第2の加熱ゾーンは、第1の加熱ゾーンの後の基板温度に応じた温度制御をもつ温度依存加熱ゾーンである。さらに、第2の加熱ゾーン中の温度制御は、第3の加熱ゾーン中の温度に依存させることができる。たとえば、
図1は、速度依存性の第1の温度ゾーンの後の温度制御の改善のための、第1の加熱ゾーンと第2の加熱ゾーンとの間の2つの温度センサを示す。
【0043】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ローラ125と処理ドラム120との間のフリースパンエリア中での基板の温度制御は、速度依存制御をもつ第1の温度ゾーンによって与えられ、部分的に、温度依存制御をもつ第2の温度ゾーンによって与えられ得る。第1の加熱ゾーン中の速度依存制御により、ローラ125と第2の加熱ゾーンとの間での基板温度の連続的増加が可能になる。第2の加熱ゾーンは堆積エリア中で温度を最終温度まで上げる。特に、基板温度は、基板が処理ドラムと接触する前に最終堆積温度まで上げられる。第2の加熱ゾーンは温度依存性である。第2の加熱ゾーン、すなわち遷移加熱ゾーンは、部分的にフリースパンゾーン中に、および部分的にドラム上に与えることができる。特に、第2の加熱ゾーンは、第1の加熱ゾーンの後の基板温度の、材料堆積のための基板温度までの基板加熱のために適切なエネルギーを与える。第3の加熱ゾーンまたは高電力加熱ゾーンは、基板が処理ドラムと接触している間に、基板温度を処理温度に維持する。
【0044】
たとえば、ローラ125は、室温から30℃~50℃、たとえば約40℃の第1の温度まで基板を加熱し得る。ローラはローラヒータ131によって基板を加熱することができる。第1の加熱ゾーン中の1つまたは複数の第1のヒータは、第1の温度から60℃~80℃、たとえば約70℃の第2の温度まで基板を加熱する。第1の加熱ゾーン中の第1のヒータのヒータ制御は速度依存性である、すなわち基板速度に依存する。堆積中の基板温度、すなわち70℃~90℃、たとえば約80℃の第3の温度の場合、第1の加熱ゾーンの終了における第2の温度から基板処理のための第3の温度までの温度差に備えるために、第2の加熱ゾーン、すなわち遷移加熱ゾーン中の1つまたは複数の第2のヒータが基板を加熱する。特に、第3の温度は、基板が処理ドラムと接触する前に与えることができる。基板は、第3の加熱ゾーン中で、すなわち、基板が処理ドラムと接触している間に、第3の温度に維持される。
【0045】
本開示の実施形態は、ガスクッションドラムなどの処理ドラム上での基板、たとえばホイルの温度制御のための1つまたは複数のコントローラおよび/または1つまたは複数の制御アルゴリズムを与える。基板が処理ドラムと接触した後、基板温度は、停止状態であっても、特にウェブ速度にかかわらず、本質的に一定に保たれる。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、グラファイトホイルを薄膜、たとえばリチウム含有薄膜でコーティングすることができる。本開示の実施形態によるゾーン中の温度制御は、基板の熱膨張を制御し、したがって、しわの発生を低減する。
【0046】
本開示の実施形態によれば、基板が処理ドラムと接触する前に、基板の速度依存予熱が与えられる。一実施形態によれば、基板上に蒸発した材料を堆積するための材料堆積装置が提供される。材料堆積装置は、処理ドラム上での基板の処理中に基板温度を制御するように構成された冷却器を有する処理ドラムと、基板を処理ドラムの方に案内するローラとを含む。ローラと処理ドラムとの間のフリースパンエリア中で基板を加熱するために第1のヒータアセンブリが配置される。処理ドラム上に支持されている間に基板を加熱するために第2のヒータアセンブリが配置される。少なくとも1つの堆積ソースが第2のヒータアセンブリの下流に基板移送経路に沿って与えられる。材料堆積装置は、基板搬送速度と相関する速度信号を与える基板速度センサと、少なくとも第1のヒータアセンブリを制御するように構成された、速度信号のための入力を有するコントローラとを含む。いくつかの実施形態によれば、処理ドラム120、たとえば冷却されたコーティングドラムの温度を測定するためのセンサを与えることができる。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、コントローラは速度信号と基板温度と堆積速度とのための入力を有し得、コントローラは、少なくとも第1のヒータアセンブリを制御するように構成することができる。
【0047】
したがって、実施形態は、処理ドラム上での基板、たとえばホイルの熱膨張を低減する。しわを低減または回避することができる。基板が処理ドラム、たとえば、冷却された処理ドラムと接触する前に、堆積のための、たとえば、リチウムを用いたコーティングのための基板温度に達する。フリースパンエリア中のヒータ、特に第1のヒータアセンブリのヒータは、基板速度に依存する温度制御方式を有する。基板からの小さい熱放散に照らして、第1のヒータアセンブリによって、たとえば400W/m2から5kW/m2までの範囲内の低電力値を与えることができる。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ウェブ速度は1m/分以上および/または12m/分以下とすることができる。
【0048】
基板が処理ドラムと接触する前の基板温度をさらに改善するために、遷移ヒータアセンブリが提供される。遷移ヒータアセンブリは、第1のヒータアセンブリの後の温度と堆積温度との温度差に基づく制御方式を有する。特に、基板が処理ドラムと接触する前に、堆積のための温度に達する。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板の温度制御は第3の加熱ゾーン中の基板速度に依存しない。特に、処理ドラムは冷却された処理ドラムである。したがって、基板速度に依存しない平衡を有するために、基板に供給される熱エネルギーと、冷却された処理ドラムによって放散される熱エネルギーとの比を与えることができる。したがって、第2のヒータアセンブリの加熱電力は、堆積速度、すなわちコントローラに与えられる堆積速度信号に依存する制御方式を用いて与えることができる。
【0049】
図2は本開示の実施形態による制御ループ200を示す。制御ループ200は、特に、基板速度に応じた入力をもつ第1の加熱ゾーンのために利用される。制御ループ200は、さらに、他の加熱ゾーンのために使用され得、外部入力は、本開示の実施形態によって説明したように温度に依存しないことがある。
【0050】
自動コントローラ232と手動コントローラ234との間で切り替えるために、スイッチ201が与えられる。自動コントローラまたは手動コントローラは閉ヒータ制御210に信号を与える。閉ヒータ制御210は、ヒータ214に信号を与えるループコントローラ212を含む。高温計または熱電対など、温度センサ216はループコントローラにフィードバックを与える。したがって、ヒータのための閉ループ制御が与えられる。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、閉ヒータ制御210をヒータの各々のために与えることができる。代替的に、2つまたはそれ以上のヒータは共通の閉ヒータ制御を有し得る。
【0051】
制御出力202は制御ループ200によって与えられる。
図2は基板204を概略的に示す。基板204は制御ループ200のための外部制御特性を与える。外部パラメータ220は制御ループ200のために与えられる。本開示の実施形態によれば、外部パラメータ220は第1のヒータアセンブリの制御のための基板速度である。基板速度センサを与えることができる。基板速度センサは、コントローラの入力において与えられる速度信号を与える。コントローラは、基板速度センサからの信号に基づいて第1のヒータアセンブリを制御する。外部パラメータは、たとえば、自動コントローラ232に与えられる。
【0052】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、フリースパンヒータ142の場合、外部パラメータ220は、追加または代替として、基板タイプと基板速度との影響を受ける外乱機能とすることができる。たとえば、そのような修正された外乱に作用し、閉ループコントローラ210中の設定点を変更する、自動コントローラ232中のルックアップテーブルに基づく補間機能とすることができる。
【0053】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、処理ドラム上に支持されている間に基板を加熱するために配置された第2のヒータアセンブリの制御のために、堆積速度および/または蒸発ソースに与えられた電力である外部パラメータ220をもつ制御ループ200を与えることができる。
【0054】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、さらに、堆積速度を蒸発装置110から読み取ることができ、堆積速度は様々な方法によって測定され得る。この制御は、外部パラメータ220をカスケードし、閉ループコントローラ210中の設定点を調整し、ヒータ172のための制御出力202を修正するように、自動コントローラに影響を及ぼすことができる。
【0055】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、第1のヒータアセンブリと第2のヒータアセンブリとの間で基板を加熱するために配置された遷移ヒータアセンブリの制御のために、第1の温度である外部パラメータ220と第2の温度(または温度差)とをもつ制御ループ200を与えることができる。
【0056】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、堆積装置および/または材料堆積システム、たとえば真空蒸着システムは、
図1および
図2に例示的に示された1つまたは複数のコントローラを含み得る。1つまたは複数のコントローラは、本明細書において説明されるように信号を受信するための入力を有する一般的なコントローラとすることができるか、または、互いに接続された複数のコントローラであり得、単一のコントローラを個々のヒータに割り当てることができる。コントローラは、1つまたは複数のヒータと、基板速度センサと、1つまたは複数の温度センサとに接続することができる。コントローラまたはコントローラの各々は、中央処理ユニット(CPU)と、メモリと、たとえば、サポート回路とを含む。温度制御および/または基板処理の制御を促進するために、CPUは、様々なチャンバとサブプロセッサとを制御するために工業環境において使用することができる汎用コンピュータプロセッサの任意の形態のうちの1つであり得る。メモリはCPUに結合される。メモリ、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ、読取り専用メモリ、ハードディスク、またはローカルまたはリモートのいずれかの任意の他の形態のデジタルストレージなど、1つまたは複数の容易に入手可能なメモリデバイスであり得る。サポート回路は、プロセッサを従来の様式でサポートするためにCPUに結合され得る。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路および関係するサブシステムなどを含む。温度制御命令および/または基板処理命令は、概して、一般にレシピとして知られているソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶される。ソフトウェアルーチンはまた、CPUによって制御されているハードウェアから遠隔にある第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行され得る。ソフトウェアルーチンは、CPUによって実行されたときに、汎用コンピュータを、本開示の実施形態による1つまたは複数の入力特性に基づいて基板温度および/または基板処理、たとえばヒータ電力、堆積電力などを制御する専用コンピュータ(コントローラ)に変換する。本開示の方法および/またはプロセスについて、ソフトウェアルーチンとして実装されるとして説明したが、その中に開示されている方法ステップのうちのいくつかはハードウェアにおいてならびにソフトウェアコントローラによって実施され得る。したがって、本発明は、コンピュータシステム上で実行されるソフトウェアにおいて、および特定用途向け集積回路または他のタイプのハードウェア実装としてハードウェアにおいて、またはソフトウェアとハードウェアとの組合せとして実装され得る。コントローラは、本開示の実施形態による、基板上に蒸発した材料を堆積し、および/または基板を処理する方法を実行または実施し得る。
【0057】
これらの制御方法を実装するための関連するヒューマンマシンインターフェース(HMI)または可視化およびレシピ機能があり得る。可視化により、オペレータは、基板202と基板の所望の温度とに関するパラメータを指定することが可能になる。可視化はまた、簡略化された制御方式のための選択帯であり得るレシピパラメータを保持することができ、レシピは、基板タイプ、堆積速度、ドラム速度、ドラム温度などのいくつかの選択パラメータに基づいて、すべてのパラメータを内部的に調整する。
【0058】
一実施形態によれば、基板上に蒸発した材料を堆積する方法が提供される。
図3に示されているように、本方法は、動作302によって示されているように、基板をローラから処理ドラムの方に案内することを含む。動作304によって示されているように、基板速度信号が測定される。基板は、
図3に動作306によって示されているように、基板速度信号に応じて、ローラと処理ドラムとの間で第1のヒータアセンブリを用いて加熱される。
【0059】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、基板は、堆積速度に応じて、第2のヒータアセンブリを用いて処理ドラム上で加熱される。さらに、または代替的に、本方法は、第1のヒータアセンブリを用いて基板を加熱した後に、第1の基板温度信号を測定することと、基板が処理ドラム上に支持されている間に、第2のヒータアセンブリを用いて基板を加熱する前に、第2の基板温度信号を測定することとをさらに含む。基板は、第1の基板温度信号と第2の基板温度信号との間の差に応じて、遷移ヒータアセンブリを用いて加熱することができる。
【0060】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、コントローラのメモリにルックアップテーブルを記憶することができる。さらに、基板上に蒸発した材料を堆積する方法は、ルックアップテーブルに基づいてヒータのための制御信号を生成することを含み得る。ルックアップテーブルは、基板速度に応じた電力密度に基づき得る。さらに、または代替的に、基板上に与えられた電力密度に応じて、ヒータ温度、たとえば、第1のヒータアセンブリのヒータのヒータ温度を与えることができる。したがって、基板速度に応じてヒータ温度を与えることができる。またさらなる実装によれば、ルックアップテーブルは、異なる基板材料、たとえば、グラファイト基板または銅基板のために与えることができる。
【0061】
たとえば、ルックアップテーブルは、それぞれ、基板速度または処理ドラムの速度の値と、電力密度についての値とを与え得る。代替的に、電力密度はヒータ温度と置き換えられ得る。本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができる、いくつかの実施形態によれば、ルックアップテーブル中の値のためにバイリニア補間を与えることができる。たとえば、基板速度の第1の値と第2の基板速度の第2の値とのために線形補間を与えることができる。そのような補間された基板速度は、それぞれ、ヒータ温度についての電力密度値のためのさらなる線形補間のために利用することができる。
【0062】
本明細書において説明される他の実施形態と組み合わせることができるまたさらなる実施形態によれば、ヒータアセンブリの様々なヒータを制御するための制御信号は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、または本明細書において説明される機能を実施するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実装または実施され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは、任意の市販されているプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、一般にコンピュータグラフィックスおよび画像処理において使用されるものなど、グラフィックス処理ユニット(GPU)であり得る。プロセッサはまた、計算デバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0063】
ソフトウェアにおいて実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして記憶または送信され得る。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、または別様に呼ばれようとも、命令、データ、またはそれらの任意の組合せを意味するように広く解釈されるものとする。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝達を促進する任意の媒体など、通信媒体の両方を含む。プロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたソフトウェアモジュールの実行を含む、バスおよび一般的な処理を管理することを担当し得る。
【0064】
ソフトウェアモジュールは、単一の命令または多数の命令を含み得、いくつかの異なるコードセグメントにわたって、異なるプログラムの間で、および複数の記憶媒体にわたって分配され得る。コンピュータ可読媒体はいくつかのソフトウェアモジュールを含み得る。ソフトウェアモジュールは、プロセッサなどの装置によって実行されたときに、処理システムに様々な機能を実施させる命令を含む。ソフトウェアモジュールは送信モジュールと受信モジュールとを含み得る。ソフトウェアモジュールは、トレーニングされるように構成され得る。ソフトウェアモジュールは、複数の測定された温度に基づいてトレーニングデータを受信し得、トレーニングデータから制御データを与えるためにトレーニングされ得る。
【0065】
本開示の実施形態による温度制御を与えるためのソフトウェアは機械学習モデルを含み得る。CNNモデルなど、機械学習モデルをトレーニングするために、トレーニングデータは、出力を生成するために機械学習モデルに供給される。機械学習モデルは、一般に、機械学習モデルがどのようにデータを処理するかに影響を及ぼす初期化パラメータのセットを有する。トレーニングデータは一般にグランドトゥルース(たとえば、既知値)分類を有する。出力は一般にこのグランドトゥルースに対して評価される。この評価の結果は、後続の実行時に、機械学習モデルがより正確な出力を生成するように機械学習モデルのパラメータを調整または更新するために使用することができる。十分にトレーニングされると、機械学習モデルは、機械学習モデルをトレーニングするために使用されたデータと同じ形態の入力を受け付け、その入力に基づいて出力を生成する。1つまたは複数のヒータアセンブリのヒータの温度制御を実施するために使用されるCNNモデルは、ラベル付けされた画像からなるトレーニングデータを使用してトレーニングされる。トレーニングデータは、1つまたは複数のヒータアセンブリのヒータのための様々な制御信号から生じる、真空処理システムの異なるロケーションにおける基板温度であり得る。
【0066】
本開示の実施形態は以下の利点のうちの1つまたは複数を与える。基板温度は、基板のしわ、特に処理ドラム上の基板のしわの低減のために調整されるべき基板速度および/または堆積速度など、様々な動作条件のために設定することができる。基板温度は、基板速度に基づいてフリースパンエリア中で調整され、温度差に関して遷移領域中で調整され得、堆積速度(または堆積ソースの電力)と、基板支持体、たとえば、冷却された処理ドラムの冷却力とに応じて処理ドラム上で調整され得る。
【0067】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のおよびさらなる実施形態は本開示の基本範囲から逸脱することなく考案され得、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】