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特表2024-514902新規な化合物およびこれを含む有機発光素子
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  • 特表-新規な化合物およびこれを含む有機発光素子 図1
  • 特表-新規な化合物およびこれを含む有機発光素子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】新規な化合物およびこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/10 20060101AFI20240327BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20240327BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20240327BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C07D403/10 CSP
H10K50/12
H10K85/60
C09K11/06 690
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563239
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 KR2022017604
(87)【国際公開番号】W WO2023085790
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0153679
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0148749
(32)【優先日】2022-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ダ・ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミンジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サン・ドゥク・ス
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ソク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドンヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュンスク・オ
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD53
3K107DD59
3K107DD68
4C063AA01
4C063BB06
4C063CC43
4C063DD08
4C063EE10
(57)【要約】
本発明は新規な化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1中、
Arは、置換または非置換の炭素数6~20のアリールであり、
Arは、置換または非置換のフェニル;または、置換または非置換のナフチルであり、
Lは、フェニレンまたはナフタレンジイルであり、前記フェニレンまたはナフタレンジイルは、非置換であるか重水素または炭素数6~60のアリールで置換されており、
およびRはそれぞれ独立して、水素または重水素であり、
n1は0~6の整数であり、
n2は0~8の整数である。
【請求項2】
前記化学式1は、下記の化学式1-1~化学式1-6のいずれかで表される、請求項1に記載の化合物:
【化2A】
【化2B】
前記化学式1-1~化学式1-6中、
Ar、Ar、L、R、R、n1およびn2は、請求項1で定義した通りである。
【請求項3】
Arは、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、ナフチル、またはフェナントレニルであり、
前記Arは、非置換であるか1個以上の重水素で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Arは、下記で構成される群から選択されるいずれかである、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項5】
Arは、フェニルまたはナフチルであり、
前記Arは、非置換であるか1個以上の重水素で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Lは、フェニレン、1個のまたは2個のフェニルで置換されたフェニレン、1個のナフチルで置換されたフェニレン、ナフタレンジイル、1個のフェニルで置換されたナフタレンジイル、1個のビフェニリルで置換されたナフタレンジイル、1個のナフチルで置換されたナフタレンジイルであり、
前記Lは、非置換であるか1個以上の重水素で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Lは、下記で構成される群から選択されるいずれかである、請求項1に記載の化合物:
【化4】
【請求項8】
前記化学式1で表される化合物は、下記で構成される群から選択されるいずれかである、請求項1に記載の化合物:
【化5A】
【化5B】
【化5C】
【化5D】
【請求項9】
第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、請求項1~8の何れか一項に記載の化合物を含む、有機発光素子。
【請求項10】
請求項1~8の何れか一項に記載の化合物を含む前記有機物層は発光層である、請求項9に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年11月10日付の韓国特許出願第10-2021-0153679号および2022年11月9日付の韓国特許出願第10-2022-0148749号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、新規な化合物およびこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、有機発光現象とは、有機物質を利用して電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。有機発光現象を利用する有機発光素子は、広い視野角、優れたコントラスト、速い応答時間を有し、輝度、駆動電圧および応答速度特性に優れて多くの研究が進められている。
【0004】
有機発光素子は、一般的に正極と負極、および前記正極と負極との間に有機物層を含む構造を有する。前記有機物層は、有機発光素子の効率と安全性を高めるために、それぞれ異なる物質から構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造において、2つの電極の間に電圧をかけると正極からは正孔が、負極からは電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が接した時エキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる時、光が出るようになる。
【0005】
前記のような有機発光素子に使用される有機物に対して、新しい材料の開発が要求され続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許公開番号第10-2000-0051826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規な有機発光材料およびこれを含む有機発光素子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記の化学式1で表される化合物を提供する:
【化1】
前記化学式1中、
Arは、置換または非置換の炭素数6~20のアリールであり、
Arは、置換または非置換のフェニル;または、置換または非置換のナフチルであり、
Lは、フェニレンまたはナフタレンジイルであり、前記フェニレンまたはナフタレンジイルは、非置換であるか重水素または炭素数6~60のアリールで置換され、
およびRはそれぞれ独立して、水素または重水素であり、
n1は0~6の整数であり、
n2は0~8の整数である。
【0009】
また、本発明は、第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表される化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0010】
上述した化学式1で表される化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として用いられ、有機発光素子で効率の向上、低い駆動電圧および/または寿命特性を向上させることができる。特に、上述した化学式1で表される化合物は、正孔注入、正孔輸送、発光、電子輸送、および/または電子注入材料で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】基板1、正極2、発光層3および負極4からなる有機発光素子の例を示した図である。
図2】基板1、正極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層3、電子注入および輸送層7、および負極4からなる有機発光素子の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の理解を助けるためにより詳細に説明する。
【0013】
本発明は、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0014】
本明細書において、
【化2】
または
【化3】
は、他の置換基に連結される結合を意味する。
【0015】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミノ基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;ヘテロアリールアミン基;アリールアミン基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうち1個以上を含むヘテロアリール基からなる群より選択された1個以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された基で置換または非置換されることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。即ち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈することもできる。
【0016】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~40であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の置換基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【化4】
【0017】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が炭素数1~25の直鎖、分岐鎖または環状アルキル基、または炭素数6~25のアリール基で置換されてもよい。具体的に、下記の構造式の置換基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【化5】
【0018】
本明細書において、イミド基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~25であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の置換基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【化6】
【0019】
本明細書において、シリル基は、具体的に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これに限定されない。
【0020】
本明細書において、ホウ素基としては、具体的に、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0021】
本明細書において、ハロゲン基の例は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である。
【0022】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~40であることが好ましい。一実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。さらに一つの実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。さらに一つの実施状態によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘキシル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘキシル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において、前記アルケニル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施状態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。さらに一つの実施状態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。さらに一つの実施状態によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~60であることが好まし、一実施状態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。さらに一つの実施状態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。さらに一つの実施状態によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0025】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~60であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。一実施状態によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施状態によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が単環式であるアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などであってもよいが、これに限定されるものではない。前記アリール基が多環式であるアリール基は、ナフチル基、アントラセニルギ、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クライセニル基、フルオレニル基などであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成することができる。前記フルオレニル基が置換される場合、
【化7】
などであってもよい。但し、これに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、ヘテロアリール基は、異種元素としてO、N、SiおよびSのうち1個以上を含むヘテロアリール基であって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であることが好ましい。一実施状態によれば、前記ヘテロアリール基の炭素数は6~30である。一実施状態によれば、前記ヘテロアリール基の炭素数は6~20である。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、アラルキル基、アラルケニル基、アルキルアリール基、アリールアミン基中のアリール基については、前述したアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアミンキ中のアルキル基については、前述したアルキル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロアリールアミン中のヘテロアリールについては、前述したヘテロアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アラルケニル基中のアルケニル基については、前述したアルケニル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、アリーレンは、2価の基であることを除いては、前述したアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロアリーレンについては、2価の基であることを除いては、前述したヘテロアリール基に関する説明が適用可能である。本明細書において、炭化水素環は、1価の基ではなく、2個の置換基が結合して形成したことを除いては、前述したアリール基またはシクロアルキル基に関する説明が適用可能である。本明細書において、ヘテロアリールは、1価の基ではなく、2個の置換基が結合して形成したことを除いては、前述したヘテロアリール基に関する説明が適用可能である。
【0029】
好ましくは、前記化学式1は、下記の化学式1-1~化学式1-6のいずれか1つで表される:
【化8A】
【化8B】
【0030】
前記化学式1-1~化学式1-6中、
Ar、Ar、L、R、R、n1およびn2は、前記化学式1で定義した通りである。
【0031】
好ましくは、Arは置換または非置換の炭素数6~18のアリールであってもよく、より好ましくは、Arは、フェニル、ビフェニリル、ターフェニリル、ナフチル、またはフェナントレニルであってもよく、前記Arは、非置換であるか1個以上の重水素で置換されてもよい。最も好ましくは、Arは、下記で構成される群から選択されるいずれかであってもよい:
【化9】
【0032】
好ましくは、Arは、フェニルまたはナフチルであってもよく、前記Arは、非置換であるか1個以上の重水素で置換されてもよい。
【0033】
より好ましくは、Arは、下記で構成される群から選択されるいずれかであってもよい:
【化10】
【0034】
好ましくは、Lは、フェニレンまたはナフタレンジイルであり、前記フェニレンまたはナフタリンは、非置換であるか、重水素または炭素数6~20のアリールで置換されてもよい。より好ましくは、Lは、フェニレン、1個のまたは2個のフェニルで置換されたフェニレン、1個のナフチルで置換されたフェニレン、ナフタレンジイル、1個のフェニルで置換されたナフタレンジイル、1個ビフェニリルで置換されたナフタレンジイル、または、1個のナフチルで置換されたナフタレンジイルであり、前記Lは、非置換であるか1個以上の重水素で置換されてもよい。最も好ましくは、Lは、下記で構成される群から選択されるいずれかであってもよい:
【化11】
【0035】
好ましくは、RおよびRはそれそれ水素であってもよい。
【0036】
前記化学式1で表される化合物の代表的な例は下記の通りである:
【化12A】
【化12B】
【化12C】
【化12D】
【0037】
前記化学式1で表される化合物は、例えば下記の反応式1のような製造方法で製造することができ、それ以外の残りの化合物も類似の製造方法で製造することができる。
【化13】
前記反応式1中、Ar、Ar、L、R、R、n1およびn2は、前記化学式1で定義した通りであり、Xは、ハロゲンであり、好ましくはXはクロロまたはブロモである。
【0038】
前記反応式1は、鈴木カップリング反応であって、パラジウム触媒と塩基存在下で行うことが好ましく、鈴木カップリング反応のための反応基は、当業界に公知のものに従って変更が可能である。前記製造方法は、後述する製造例でより具体化することができる。
【0039】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。例えば、本発明は、第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上が、前記化学式1で表される化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【0040】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれに限定されるものではなく、より少ない数の有機物層を含むことができる。
【0041】
また、前記有機物層は、発光層を含むことができ、前記発光層は、前記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0042】
また、前記有機物層は、正孔輸送層、正孔注入層、または、正孔輸送および正孔注入を同時にする層を含むことができ、前記正孔輸送層、正孔注入層、または、正孔輸送および正孔注入を同時に行う層は、前記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0043】
また、前記有機物層は、電子輸送層、電子注入層、または、電子注入および輸送層を行う層を含むことができ、前記電子輸送層、電子注入層、または、電子注入および輸送層は、前記化学式1で表される化合物を含むことができる。
【0044】
また、本発明に係る有機発光素子は、基板上に、正極、1層以上の有機物層および負極が順次積層された構造(normal type)の有機発光素子であってもよい。また、本発明に係る有機発光素子は、基板上に、負極、1層以上の有機物層および正極が順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であってもよい。例えば、本発明の一実施例に係る有機発光素子の構造は、図1および図2に例示されている。
【0045】
図1は、基板1、正極2、発光層3、および負極4からなる有機発光素子の例を示した図である。図2は、基板1、正極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層3、電子注入および輸送層7、および負極4からなる有機発光素子の例を示した図である。このような構造において、前記化学式1で表される化合物は、前記発光層に含まれることができる。
【0046】
本発明に係る有機発光素子は、前記有機物層のうち1層以上が前記化学式1で表される化合物を含むことを除いては、当技術分野に知られている材料と方法で製造することができる。また、前記有機発光素子が複数個の有機物層を含む場合、前記有機物層は、同じ物質または異なる物質で形成されてもよい。
【0047】
例えば、本発明に係る有機発光素子は、基板上に第1電極、有機物層および第2電極を順次積層させて製造することができる。この時、スパッタリング法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)などのPVD(physical Vapor Deposition)方法を利用して、基板上に金属または導電性を有する金属酸化物またはこられの合金を蒸着させて正極を形成して、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、さらにその上に負極として使用することができる物質を蒸着させて製造することができる。このような方法以外にも、基板上に負極物質から有機物層、正極物質を順に蒸着させて有機発光素子を作ることができる。
【0048】
また、前記化学式1で表される化合物は、有機発光素子の製造時真空蒸着法だけでなく溶液塗布法によって有機物層として形成することもできる。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディング、インクジエットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0049】
このような方法以外にも、基板上に負極物質から有機物層、正極物質を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる(WO2003/012890)。但し、製造方法がこれに限定されるものではない。
【0050】
例えば、前記第1電極は正極であり、前記第2電極は負極であるか、または、前記第1電極は負極であり、前記第2電極は正極である。
【0051】
前記正極物質としては、通常有機物層に正孔注入が円滑となるように仕事関数が大きい物質が好ましい。前記正極物質の具体的な例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属、またはこられの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオクシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0052】
前記負極物質としては、通常有機物層に電子注入が容易となるように仕事関数が小さい物質であることが好ましい。前記負極物質の具体的な例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛などの金属、またはこられの合金;LiF/AlまたはLiO/Alなどの多層構造物質などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0053】
前記正孔注入層は、電極から正孔を注入する層であり、正孔注入物質としては、正孔を輸送する能力を有し正極での正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupied molecular orbital)が、正極物質の仕事関数と周辺有機物層のHOMOとの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては、金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の導電性高分子などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0054】
前記正孔輸送層は、正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層であり、正孔輸送物質としては、正極や正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移すことができる物質で、正孔に対する移動性が大きい物質が好適である。具体的な例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分が共に存在するブロック共重合体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0055】
前記発光物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子の輸送をそれぞれ受けて結合させることで、可視光領域の光を出すことができる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率が良い物質が好ましい。具体的な例として、8-ヒドロキシ-キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10-ヒドロキシベンゾキノリン-金属化合物;ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾールおよびベンゾイミダゾール系の化合物;ポリ(p-フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン、ルブレンなどがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0056】
前記発光層は、ホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などがある。具体的に、縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタリン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これに限定されない。好ましくは、前記化学式1で表される化合物をホスト材料として含むことができる。
【0057】
ドーパント材料としては、芳香族アミン誘導体、スチリルアミン化合物、ホウ素錯体、フルオランテン化合物、金属錯体などがある。具体的に、芳香族アミン誘導体としては、置換または非置換のアリールアミノ基を有する縮合芳香族環誘導体であって、アリールアミノ基を有するピレン、アントラセン、クリセン、ペリフランテンなどがあり、スチリルアミン化合物としては、置換または非置換のアリールアミンに少なくとも1個のアリールビニル基が置換されている化合物で、アリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、およびアリールアミノ基からなる群より1または2以上選択される置換基で置換または非置換されていてよい。具体的に、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンなどがあるが、これに限定されない。また、金属錯体としては、イリジウム錯体、白金錯体などがあるが、これに限定されない。
【0058】
前記電子輸送層は、電子注入層から電子を受け取って発光層まで電子を輸送する層であり、電子輸送物質としては、負極から電子の注入を良好に受けて発光層に移すことができる物質であって、電子に対する移動性が大きい物質が好適である。具体的な例としては、8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体などがあるが、これらのみに限定されるものではない。電子輸送層は、従来技術に従って用いられている通り、任意の所望のカソード物質と共に使用することができる。特に、適切なカソード物質の例としては、低い仕事関数を有し、アルミニウム層またはシルバー層が続く通常の物質である。具体的に、セシウム、バリウム、カルシウム、イッテルビウムおよびサマリウムであり、各々の場合、アルミニウム層またはシルバー層が続く。
【0059】
前記電子注入層は電極から電子を注入する層であり、電子を輸送する能力を有し、負極からの電子注入効果、発光層または発光材料に対して優秀な電子注入効果を有し、発光層で生成された励起子の正孔注入層への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。具体的には、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、プレオレニルリデンメタン、アントロンなどと、それらの誘導体、金属錯体化合物、および含窒素5員環誘導体などがあるが、これに限定されない。
【0060】
前記金属錯体化合物としては8-ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナト)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(o-クレゾラト)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(1-ナフトラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(2-ナフトラト)ガリウムなどがあるが、これに限定されない。
【0061】
一方、本発明において、「電子注入および輸送層」は、前記電子注入層と前記電子輸送層の役割を共に果たす層で、前記各層の役割をする物質を単独で、あるいは混合したり積層して使用することができるが、これに限定されない。
【0062】
本発明に係る有機発光素子は、背面発光(bottom emission)素子、前面発光(top emission)素子、または、両面発光素子であってもよく、特に相対的に高い発光効率が要求される背面発光素子であってもよい。
【0063】
また、前記化学式1で表される化合物は、有機発光素子の他にも有機太陽電池または有機トランジスターに含まれてもよい。
【実施例
【0064】
以下、本発明の理解を助けるためにより詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0065】
[製造例]
製造例1:化合物1の製造
【化14】
窒素雰囲気で9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazole(15.0g、40.6mmol)と2-chloro-4-phenyl-6-(6-phenylnaphthalen-2-yl)-1,3,5-triazine(17.6g、44.7mmol)をTHF 300mlに入れて攪拌および還流した。その後、potassium carbonate(22.5g、162.5mmol)を水67mlに溶かして投入し、十分に攪拌した後、[1,1’-bis(diphenylphosphino)ferrocene]palladium(II)dichloride(0.9g、1.2mmol)を投入した。10時間反応後常温で冷やして有機層と水層を分離後、有機層を蒸留した。これを再びクロロホルムに溶かし、水で2回洗浄後、有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムを入れて攪拌した後、ろ過して濾液を減圧蒸留した。濃縮した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後、昇華精製を通じて化合物1を8.1g製造した(収率33%、MS:[M+H]=602)。
【0066】
製造例2:化合物2の製造
【化15】
製造例1で、9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleを9-(2-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleに、2-chloro-4-phenyl-6-(6-phenylnaphthalen-2-yl)-1,3,5-triazineを2-([2,2’-binaphthalen]-6-yl)-4-chloro-6-phenyl-1,3,5-triazineに変更して使用したことを除いては、化合物1の製造方法と同じ製造方法で化合物2を製造した(MS[M+H]=652)。
【0067】
製造例3:化合物3の製造
【化16】
製造例1で、9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleを9-(5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)-[1,1’-biphenyl]-3-yl)-9H-carbazoleに変更して使用したことを除いては、化合物1の製造方法と同じ製造方法で化合物3を製造した(MS[M+H]=678)。
【0068】
製造例4:化合物4の製造
【化17】
【0069】
製造例1で、9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleを9-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleに、2-chloro-4-phenyl-6-(6-phenylnaphthalen-2-yl)-1,3,5-triazineを2-chloro-4-phenyl-6-(7-phenylnaphthalen-2-yl)-1,3,5-triazineに変更して使用したことを除いては、化合物1の製造方法と同じ製造方法で化合物4を製造した(MS[M+H]=602)。
【0070】
製造例5:化合物5の製造
【化18】
製造例1で、9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleを9-(4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)naphthalen-1-yl)-9H-carbazoleに変更して使用したことを除いては、化合物1の製造方法と同じ製造方法で化合物5を製造した(MS[M+H]=652)。
【0071】
製造例6:化合物6の合成
【化19】
製造例1で、9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleを9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazole-1,3,4,5,6,8-d6に変更して使用したことを除いては、化合物1の製造方法と同じ製造方法で化合物6を製造した(MS[M+H]=608)。
【0072】
製造例7:化合物7の合成
【化20】
製造例1で、9-(3-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleを9-(2-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)phenyl)-9H-carbazoleに、2-chloro-4-phenyl-6-(6-phenylnaphthalen-2-yl)-1,3,5-triazineを2-([2,2’-binaphthalen]-6-yl-1’,3’,4’,5’,6’,7’,8’-d7)-4-chloro-6-phenyl-1,3,5-triazineに変更して使用したことを除いては、化合物1の製造方法と同じ製造方法で化合物7を製造した(MS[M+H]=659)。
【0073】
[実施例]
比較例1
ITO(Indium Tin Oxide)が1400Åの厚さで薄膜コーティングされたガラス基板を洗剤に溶かした蒸溜水に入れて超音波で洗浄した。この時、洗剤としては、フィッシャー社(Fischer Co.)のDeconTM CON705製品を使用し、蒸溜水としては、ミリポア社(Millipore Co.)製品の0.22μm sterilizing filterで2次ろ過した蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸溜水で2回繰り返し超音波洗浄を10分間進行した。蒸溜水洗浄が終わった後、イソプロピルアルコール、アセトンおよびメタノールの溶剤でそれそれ10分間超音波洗浄し、乾燥させた後、プラズマ洗浄装置に輸送させた。また、酸素プラズマを利用して前記基板を5分間洗浄した後、真空蒸着装置に基板を輸送させた。
【0074】
このように用意されたITO透明電極の上に下記の化合物HI-Aと化合物LG-101をそれぞれ800Å、50Åの厚さで順次熱真空蒸着して正孔注入層を形成した。その上に正孔輸送層として下記の化合物HT-Aを800Åの厚さで真空蒸着した後、電子阻止層として下記の化合物EB-Aを600Åの厚さで熱真空蒸着した。発光層ホストとして化合物RH-Aを、ドーパントとして化合物RD-Aを適用してホストとドーパントを98:2の重量比で400Åの厚さで真空蒸着した。続いて、電子輸送および注入層として下記の化合物ET-Aと化合物Liqを1:1の重量比で360Åの厚さで熱真空蒸着し、続いて化合物Liqを5Åの厚さで真空蒸着した。
【化21】
【0075】
前記電子注入層の上に順次マグネシウムと銀を10:1の重量比で220Åの厚さで蒸着し、アルミニウムを1000Åの厚さで蒸着して負極を形成して、有機発光素子を製造した。
【0076】
前記の過程で、有機物の蒸着速度は0.4~0.7Å/secを維持し、マグネシウムと銀の蒸着速度は2Å/secを維持し、蒸着時真空度は2×10-7~5×10-6torrを維持して、有機発光素子を製造した。
【0077】
実施例1~実施例7、および比較例2~比較例5
前記比較例1で、化合物1の代わりに使用する化合物を表1のように変更したという点を除いては、前記比較例1と同じ方法を利用して、実施例1~実施例7、および比較例2~比較例5の有機発光素子をそれぞれ製造した。
【化22】
【0078】
[実験例]
前記実施例1~実施例7、および比較例1~比較例5で製造された有機発光素子に電流を印加して、電圧、効率、寿命を測定し、その結果を下記の表1に示した。この時、電圧、効率は10mA/cmの電流密度を印加して測定され、LT97(寿命)は、電流密度20mA/cmで初期輝度が97%に低下するまでの時間を意味する。
【0079】
【表1】
【0080】
前記表1の結果から化学式1の構造を有する化合物を有機発光素子の発光層に適用した場合、低電圧、高効率、長寿命の特性を有する素子を得ることができることを確認した。
【符号の説明】
【0081】
1:基板
2:正極
3:発光層
4:負極
5:正孔注入層
6:正孔輸送層
7:電子注入および輸送層
図1
図2
【国際調査報告】