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特表2024-514943電子エンコーダモジュールおよびこれに伴う薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】電子エンコーダモジュールおよびこれに伴う薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20240327BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
A61M5/315 550Z
A61M5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564440
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2022060642
(87)【国際公開番号】W WO2022223748
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21315069.1
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22315005.3
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・アラディングス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ジェイソン・ドレイク
(72)【発明者】
【氏名】トム・アレクサンダー・イアーウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・メレディス・ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】アイダン・マイケル・オヘア
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE14
4C066FF05
4C066QQ52
4C066QQ73
4C066QQ79
4C066QQ82
4C066QQ85
4C066QQ95
(57)【要約】
本発明は、薬物送達デバイス(1)から送達される用量を記録するための薬物送達デバイス(1)と、または充電ステーション(200)と共に使用するための電子エンコーダモジュール(100)に言及する。電子モジュールは、再充電可能な電源(103)と、メモリと、該電子モジュールの動作を制御するように構成され、電源(103)およびメモリに連結されるPCBA(102)を伴うプロセッサと、少なくとも1つのセンサ装置(104)と、該電子モジュール(100)を、充電ステーション(200)に取り付けられないときは薬物送達デバイス(1)に、または薬物送達デバイス(1)に取り付けられないときは充電ステーション(200)に解放可能に取り付けるための連結部分とを含む。少なくとも1つの電力伝達構成要素(107)が、連結部分の中に位置し、PCBA(102)および/または再充電可能な電源(103)に連結される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(1)から送達される用量を記録するための、薬物送達デバイス(1)と共に使用するための電子エンコーダモジュールであって、
再充電可能な電源(103)と、
メモリと、
該電子モジュールの動作を制御するように構成され、電源(103)およびメモリに連結されるPCBA(102)を伴うプロセッサと、
該プロセッサと通信し、薬物送達デバイス(1)のエンコーダ(61)の動きを検出するのに好適である、少なくとも1つのセンサ装置(104)であって、該動きは、薬物送達デバイス(1)からダイヤル設定および/または送達される用量を示す、センサ装置(104)と、
該電子モジュール(100)を、充電ステーション(200)に取り付けられないときは薬物送達デバイス(1)に、または薬物送達デバイス(1)に取り付けられないときは充電ステーション(200)に解放可能に取り付けるための連結部分と、
該連結部分の中に位置し、PCBA(102)および/または再充電可能な電源(103)に連結される少なくとも1つの電力伝達構成要素(107)と、
を含む、前記電子エンコーダモジュール。
【請求項2】
少なくとも1つの電力伝達構成要素は、連結部分が充電ステーションに取り付けられるとき、直接導電伝達を用いて充電ステーション(200)により電気エネルギーを再充電可能な電源(103)に供給するように適用される、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項3】
PCBA(102)は、充電ステーション(200)のピン(201)によって連結される予定の、連結部分内へ向く少なくとも2つの接点パッドを含む、請求項2に記載の電子モジュール。
【請求項4】
少なくとも1つの電力伝達構成要素は、連結部分が充電ステーションに取り付けられるとき、ワイヤレスエネルギー伝達を用いて充電ステーション(200)により電気エネルギーを再充電可能な電源(103)に供給するように適用される、請求項1に記載の電子モジュール。
【請求項5】
連結部分の方を向いて位置する少なくとも1つの受信機コイル(107)、および充電ステーション(200)の送信機コイル(203)を含む、請求項4に記載の電子モジュール。
【請求項6】
PCBA(103)は、受信機コイルコントローラを含み、充電ステーションは、送信機コイルコントローラを含む、請求項5に記載の電子モジュール。
【請求項7】
連結部分は、電子エンコーダモジュール(100)を、薬物送達デバイス(1)上および/または充電ステーション(200)上に、軸方向におよび/または回転可能に位置付けるためのクリップオン機能(106)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項8】
少なくとも1つのセンサ装置(104)は、第1の光源、第2の光源、第1の光センサ、および第2の光センサを含み、該モジュールが薬物送達デバイス(1)に取り付けられるとき、光センサ(104)は、それぞれの光源によって発せられ、例えば薬物送達デバイス(1)のエンコーダ(61)によって反射される光を検出するように配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項9】
プロセッサは、第1の低電力消費状態、および、第1の状態と比較してより高い電力消費を有する少なくとも1つのさらなる状態において、センサ装置(104)を動作させるように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項10】
プロセッサは、第1の低電力消費状態にある両方の光センサ(104)に定期的にポーリングして、両方の光センサ(104)の応答が互いに同一、および前回の応答と同一である場合、第1の低電力消費状態を維持するように、ならびに、光センサ(104)の応答が互いに異なる、または前回の応答と異なる場合、少なくとも1つのさらなる状態へと切り替えるように構成される、請求項8または9に記載の電子モジュール。
【請求項11】
プロセッサは、薬物送達デバイス(1)のそれぞれの用量送達動作の開始の検出の際に少なくとも1つのさらなる状態へと切り替えるように、および、それぞれの用量送達動作が終了した後に第1の低電力消費状態へと切り替えるように構成される、請求項10に記載の電子モジュール。
【請求項12】
再充電可能な電源(103)は、再充電可能なバッテリおよび/または電気コンデンサを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項13】
再充電可能な電源(103)を過電流、過電圧、および/または過充電から保護するための保護回路をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項14】
充電ステーション(200)による再充電可能な電源(103)の充電を制御するためのバッテリ充電制御をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の電子モジュール。
【請求項15】
液体薬物の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスであって、
ハウジング(10)と、
液体薬物を充填されたカートリッジ(80)を含むカートリッジホルダと、
ダイヤルグリップ(70)および用量設定ドラム(60)を伴う用量設定および駆動機構と
を含み、該用量設定および駆動機構は、ダイヤルグリップ(70)および用量設定ドラム(60)をハウジング(10)に対して回転させることにより薬物送達デバイスによって送達されるべき用量を選択するための用量ダイヤル設定動作、ならびに用量設定ドラム(60)をダイヤルグリップ(70)およびハウジング(10)に対して回転させることにより設定された用量を送達するための用量送達動作を実行するように構成され、用量設定ドラム(60)は、ダイヤルグリップ(70)に対する用量設定ドラム(60)の回転運動を検出するため、その遠位端に円形パターンで形成されるエンコーダ機能(61)のアレイを含み、ダイヤルグリップ(70)は、用量設定ドラム(60)のエンコーダ機能(61)のアレイの少なくとも一部分と一致する少なくとも1つのアパーチャを有し、請求項1~14のいずれか1項に記載の電子モジュール(100)は、ダイヤルグリップ(70)が該電子モジュール(100)の連結部分の中に受け入れられるように、ダイヤルグリップ(70)に解放可能に取り付けられる、前記薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、薬物送達デバイスのための電子エンコーダモジュール、ならびに薬物送達デバイスおよび薬物送達デバイスに取り付けられる予定の電子モジュールを含む用量記録システムに向けられる。
【背景技術】
【0002】
ペンタイプの薬物送達デバイスには、正式な医学訓練をしていない人による定期的な注射が発生するという用途がある。これは、糖尿病を患う患者の間では一般的になりつつあり、自己治療によりそのような患者が自分の病気の効果的な管理を実施することが可能になる。実際、そのような薬物送達デバイスは、ユーザがいくつかのユーザ可変用量の薬剤を個々に選択して投薬することを可能にする。
【0003】
基本的には、2つのタイプの薬物送達デバイス:再設定可能なデバイス(すなわち、再使用可能)および再設定不可能なもの(すなわち、使い捨て)が存在する。例えば、使い捨てペン送達デバイスは、自己完結型デバイスとして供給される。そのような自己完結型デバイスは、取り外し可能な既充填式カートリッジを有さない。むしろ、既充填式カートリッジは、デバイス自体を破壊せずにこれらのデバイスから取り外すこと、および交換することはできない。結果的に、そのような使い捨てデバイスは、再設定可能な用量設定機構を有する必要がない。本発明は、特に使い捨てデバイスに適用可能であるが、再使用可能デバイスにおける使用も可能である。
【0004】
そのようなデバイスでは、ダイヤル設定されペンから送達される用量を記録する機能性は、記憶補助として、または用量履歴の詳細なログをサポートするため、幅広いデバイスユーザにとって価値のあるものである。故に、電子装置を使用した薬物送達デバイスは、製薬業界において、ならびにユーザまたは患者にとって、人気が高まっている。例えば、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスに取り外し可能に機械的に連結される電子モジュールを含む用量記録システムが、特許文献1から知られている。この周知の電子モジュールは、電力源としてバッテリまたは再充電可能なアキュムレータを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2021/116387A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、薬物送達デバイスと共に使用される予定の電子モジュールの電力源の再充電に関する改善を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、例えば、請求項1に規定される主題によって解決される。有利な実施形態および改良点は、従属請求項の支配下にある。しかしながら、本開示は、添付の請求項に規定される主題に限定されないということに留意されたい。むしろ、本開示は、以下の説明から明らかになる独立請求項に規定されるものに加えて、またはその代替として、改善点を含み得る。
【0008】
本開示の1つの態様は、薬物送達デバイスと共に使用するための電子エンコーダモジュールに関する。本モジュールは、薬物送達デバイスから送達される用量を記録するための薬物送達デバイスに連結されるか、モジュールの電力源を充電するための充電ステーションに連結されるかのいずれかである。より詳細には、電子モジュールは、再充電可能な電源、例えば、再充電可能なバッテリおよび/または電気コンデンサ、メモリ、電子モジュールの動作を制御するように構成され、電源およびメモリに連結されるPCBA(印刷回路基板アセンブリ)を伴うプロセッサ、プロセッサと通信する少なくとも1つのセンサ装置、電子モジュールを、充電ステーションに取り付けられないときは薬物送達デバイスに、または、薬物送達デバイスに取り付けられないときは充電ステーションに解放可能に取り付けるための、例えばカップ形状の連結部分、ならびに、連結部分の中に位置し、PCBAおよび/または再充電可能な電源に連結される少なくとも1つの電力伝達構成要素を含み得る。言い換えると、本モジュールは、充電ステーションを用いてモジュールの再充電可能な電源を充電するため、薬物送達デバイスから取り外されなければならず、またその逆に、本モジュールは、薬物送達デバイスから送達される用量を記録するため、充電ステーションから取り外されなければならない。好ましくは、本モジュールの連結部分は、充電ステーションまたは薬物送達デバイスのいずれかとモジュールを連結するためのインターフェースである。
【0009】
少なくとも1つの電力伝達構成要素は、連結部分が充電ステーションに取り付けられるとき、直接導電伝達を用いて充電ステーションにより電気エネルギーを再充電可能な電源に供給するように適用される。この例では、充電ステーションは、電気接点ピンまたはプローブを含み得る。PCBAは、充電ステーションのピンによって連結される予定の、カップ形状の連結部分内へ向く少なくとも2つの接点パッドを含み得る。
【0010】
代替案として、少なくとも1つの電力伝達構成要素は、連結部分が充電ステーションに取り付けられるとき、ワイヤレスエネルギー伝達を用いて充電ステーションにより電気エネルギーを再充電可能な電源に供給するように適用される。この例では、充電ステーションは、送信充電コイルを含み得る。電子モジュールは、連結部分の方および充電ステーションのコイルの方を向いて位置する少なくとも1つの受信充電コイルを含み得る。好ましくは、コイルは、モジュールが充電ステーションに取り付けられるとき、近接して位置する。この代替案において、本モジュールは、水または粒子の侵入に対するバリアを提供するために、PCBAおよび電子ハードウェアを完全に包囲し得るか、または包み込み得る。PCBAは、受信機コイルコントローラをさらに含み得、充電ステーションは、送信機コイルコントローラを含み得る。
【0011】
薬物送達デバイスおよび充電ステーションは、モジュールとの解放可能な取り付けのために同じインターフェースを有し得る。例えば、連結部分は、実質的にカップ形状であり、すなわち、片側に空洞開口を画成し、薬物送達デバイスの端、例えば、ダイヤルグリップ、または充電ステーションの一部分、例えば、接点ピンもしくはコイルを含むソケットを受けるのに好適である。連結部分は、電子エンコーダモジュールを薬物送達デバイス上および/または充電ステーション上に軸方向におよび/または回転可能に位置付けるためのクリップオン機能をさらに含み得る。言い換えると、電子エンコーダモジュールは、モジュールをダイヤルグリップに解放可能に取り付けるための取り付け機能を含み得る。例えば、取り付け機能は、ボタンモジュールをダイヤルグリップに軸方向におよび回転不能に固定するための少なくとも1つの可撓性クリップを含み得る。少なくとも1つの可撓性クリップは、モジュールのキャップ内に受けられ、センサおよびプロセッサを保持するモジュールの筐体から実質的に遠位に延び得る。
【0012】
本開示のさらなる態様によると、薬物送達デバイスのダイヤルグリップは、機械コーディングを含み得、電子モジュールは、モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるときに機械コーディングと係合する機械カウンタコーディングを含み得る。これは、非一致モジュールを薬物送達デバイスに取り付けることを防ぎ得る。加えて、トルクが、機械コーディングおよび機械カウンタコーディングを介してモジュールからダイヤルグリップへ伝達される。
【0013】
センサ装置は、薬物送達デバイスのエンコーダの動きを検出するのに好適であり、この動きは、薬物送達デバイスからダイヤル設定および/または送達される用量を示す。例において、センサ装置は、注射中に薬物送達デバイスから送達される用量を示す薬物送達デバイスの数字スリーブに取り付けられるエンコーダの回転運動を検出するのに好適である。例えば、少なくとも1つのセンサ装置は、第1の光源および第2の光源ならびに対応する第1の光センサおよび対応する第2の光センサを含み得る。好ましくは、モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるとき、光センサは、それぞれの光源によって発せられ、例えば薬物送達デバイスのエンコーダによって反射される光を検出するように配置される。例えば、光センサは、放射線検出器を含み得、光源は、電磁放射線エミッタ、例えば、IR-LEDのようなLED、例えば、NIR-LEDを含み得る。
【0014】
より詳細には、電子モジュールは、薬物送達デバイス、例えば、可変用量ペンから送達される用量をエンコードするために、光IRエミッタ/検出器のセットを使用し得る。ペンが、例えば、モジュールセンサの正しい性能を妨げ得る野外で使用される場合、高周囲光レベルからの迷IR放射線のレベルを低減するために、ペンのダイヤルグリップ構成要素は、反射したIR放射線のレベルを低減/抑制することが意図される構成を有し得る。特に、ボタンモジュール構成要素および/またはダイヤルグリップは、IR吸収マスターバッチを含み得、および/または、スパークエロージョンテクスチャ表面仕上げを有し得る。
【0015】
モジュールは、中心軸を有する外キャップ、キャップ内に少なくとも部分的に保持される筐体、ならびにメモリおよびプロセッサを含むPCBまたはPCBAを含み得る。例えば、PCBAおよび再充電可能な電源は、キャップおよび筐体内に保持される。さらに、光源および光センサは、第1の光源および第1の光センサが第2の光源および第2の光センサから角度的にオフセットされた状態で、中心軸の周りの円形領域に配置される。加えて、光導体が、筐体内に提供されて、モジュールの状態または動作モードに関する情報を表示するために内部光源からモジュールの外表面へ光を案内する。
【0016】
1つの例において、エンコーダおよび光センサユニットは、直交配置にあり、すなわち、それらは、4分の1波長位相不一致であり、これは、両方の光源が同時に光を発する場合、1つのセンサのみが、投薬されるユニットごとに状態を変化させることを意味する。例えば、これは、2つの光センサをn*30°+15°だけ円周方向にオフセットして提供することによって達成され、nは整数である。エンコーダおよびセンサユニットが互いに対して動かされるため、光を以前に受信した光センサのうちの1つは、今回は発せられた光を受信せず、その逆も然りである。これは、光を選択的に反射するエンコーダによって達成される。例えば、歯のリングは、歯が光を反射する一方で、隣接する歯の間の自由空間が光を反射しないように、提供される。代替案として、光を反射する領域および光を吸収する領域が交互に提供される。さらなる代替案として、エンコーダは、光を選択的にブロックし得る。他の例において、エンコーダおよび光センサユニットは、逆位相配置にある。依然としてさらなる代替案において、エンコーダおよび光センサユニットは、逆位相配置にはなく、その結果として、両方の光源が同時に光を発する場合、エンコーダの相対位置に応じて、どの光センサも光を検出しないか、または1つのみもしくはすべての光センサが光を検出する。
【0017】
電子モジュールのプロセッサは、第1の低電力消費状態、および第1の状態と比較してより高い電力消費を有する少なくとも1つのさらなる状態で、センサ装置を動作させるように構成される。例えば、プロセッサは、第1の低電力消費状態にある両方の光センサを定期的にポーリングして、両方の光センサの応答が互いに同一であり、前回の応答と同一である場合には、第1の低電力消費状態を維持するように、および光センサの応答が互いに異なるか、または前回の応答と異なる場合には、少なくとも1つのさらなる状態へと切り替えるように構成される。薬物送達デバイスから注射される用量の量を検出するために使用されるとき、プロセッサは、薬物送達デバイスのそれぞれの用量送達動作の開始の検出の際に少なくとも1つのさらなる状態へと切り替えるように、およびそれぞれの用量送達動作が終了した後に第1の低電力消費状態へと切り替えるように構成される。例において、モジュールは、少なくともエンコーダモジュールが薬物送達デバイスに取り付けられている間は、測定および記録システムが高正確性モードである少なくとも1つのさらなる状態で動作される間を除き、低正確性モードである第1の低電力消費状態で恒久的に動作される。
【0018】
電子モジュールは、別のデバイスと通信するための通信ユニットをさらに含み得る。好ましくは、電子モジュールは、それがより低いエネルギー消費を有する第1の状態からより高いエネルギー消費を有する第2の状態へと切り替えられ、以て、別のデバイスとの上記の通信、例えば、同期またはペアリング動作を確立するように通信ユニットを促すように構成される。電子制御ユニットは、コマンド、例えば、信号を、電子用量記録システムの別のユニットに発行し得、その結果として、このユニットは、オンに切り替えられるか、動作可能にされる。このユニットは、別のデバイスと通信するための通信ユニット、例えば、Wi-FiもしくはBluetoothなどのワイヤレスネットワークを介して別のデバイスと通信するためのワイヤレス通信インターフェース、またはユニバーサルシリアルバス(USB)、ミニUSB、もしくはマイクロUSBコネクタを受けるためのソケットなどの有線通信リンクのためのインターフェースである。好ましくは、電子モジュールは、通信ユニットとしてRF、WiFi、および/またはBluetoothユニットを含む。通信ユニットは、用量記録システムまたは薬物送達デバイスと、他の電子デバイス、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ラップトップなどの外部との間の通信インターフェースとして提供される。例えば、用量データは、通信ユニットによって外部デバイスに伝送される。用量データは、外部デバイス内に確立される用量ログまたは用量履歴のために使用される。
【0019】
本開示の依然としてさらなる態様によると、電子モジュールは、光源が起動されない(電力源から電力を提供されない)スリープ状態をさらに有する。電子用量記録システムは、電子システムの動きを検出するのに好適な、少なくとも1つのスイッチおよび/またはモーションセンサ、例えば、加速度計をさらに含み得る。この例において、プロセッサは、スイッチ起動または動きが少なくとも1つのモーションセンサによって検出されない場合にはスリープ状態を維持するように、およびスイッチ起動または動きが少なくとも1つのモーションセンサによって検出される場合には第1の低電力消費状態または少なくとも1つのさらなる状態へと切り替えるように構成される。一般的には、スリープ状態またはモードは、モジュールのすべての機能性が最小であるか、または事実上ゼロ電力消費であるが、電子システム(または薬物送達デバイス)がスリープモードから出るという場合にシステムブートアップを必要としないモードである。
【0020】
電子モジュールは、再充電可能な電源を過電流、過電圧、および/または過充電から保護するための保護回路をさらに含み得る。加えて、または代替案として、電子モジュールおよび/または充電ステーションは、充電ステーションによる再充電可能な電源の充電を制御するためのバッテリ充電制御をさらに含み得る。
【0021】
本開示の独立した態様による用量記録システムは、上に説明されるような薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスのダイヤルグリップへの解放可能な取り付けのための電子エンコーダモジュールを含み得る。例えば、本モジュールは、センサと、少なくとも1つのセンサの動作を制御するように、ならびに少なくとも1つのセンサからの信号を処理および/または収納するように構成されるプロセッサと、ダイヤルグリップの近位端を受けるためのキャップとを含み得る。より詳細には、液体薬物の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは、ハウジングと、液体薬物を充填されるカートリッジを含むカートリッジホルダと、ダイヤルグリップおよび用量設定ドラムを有する用量設定および駆動機構とを含み得る。用量設定および駆動機構は、ダイヤルグリップおよび用量設定ドラムをハウジングに対して回転させることによって薬物送達デバイスによって送達されるべき用量を選択するための用量ダイヤル設定動作、ならびに用量設定ドラムをダイヤルグリップおよびハウジングに対して回転させることによって設定された用量を送達するための用量送達動作を実行するように構成される。故に、用量設定ドラムが、例えば、円形パターンで形成されるエンコーダ機能のアレイを含む場合、ダイヤルグリップに対する用量設定ドラムの回転運動は、モジュールによって検出される。好ましくは、ダイヤルグリップは、センサが動きを検出することができるように、用量設定ドラムのエンコーダ機能のアレイの少なくとも一部分と一致する少なくとも1つのアパーチャを有し得る。モジュールがダイヤルグリップに解放可能に取り付けられるとき、ダイヤルグリップは、電子モジュールの、例えばカップ形状の連結部分内に受け入れられる。
【0022】
用量設定および駆動機構内には、ダイヤルグリップと用量設定ドラムとの間で作用するクラッチが提供され、これは、ダイヤルグリップおよび用量設定ドラムが一緒に回転するように用量ダイヤル設定動作の間は係合され、用量設定ドラムとダイヤルグリップとの間の相対回転運動を可能にするために用量送達動作の間は係合解除される。クラッチは、用量設定ドラムの遠位端に提供されるクラッチ歯のリング、およびダイヤルグリップ上に提供される対応するクラッチ歯のリングを含み得る。薬物送達デバイスの複雑性は、構成要素部材がいくつかの異なる機能を有する場合に最小限にされる。本開示の態様によると、用量設定ドラムの遠位端に提供されるクラッチ歯は、エンコーダ機能の追加機能を有し得る。言い換えると、相対回転運動は、送達される用量のサイズを決定するために電子モジュールのセンサによって検出可能である。しかしながら、本開示は、エンコーダ機能がクラッチ歯であることに限定されない。むしろ、エンコーダ機能は、単純に光エンコーダシステムのためのフラグであってもよい。
【0023】
本開示は、上に説明されるような電子モジュールを伴う、薬剤を含むカートリッジを含む薬物送達デバイスにさらに関する。
【0024】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0025】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含み得る。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸例えばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0026】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、例えば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(例えば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルであり得る。例えば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(例えば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(例えば、約20℃)または冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0027】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、例えば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害例えば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(例えば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0028】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造例えばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかであり得る。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、例えば、1つまたはそれ以上の有機置換基(例えば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0029】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0030】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0031】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、例えば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0032】
オリゴヌクレオチドの例は、例えば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0033】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0034】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、例えば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0035】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖例えばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0036】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0037】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、例えば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、例えば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0038】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0039】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0040】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0041】
当業者は、本明細書に説明されるAPI、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなくなされ、本発明がそのような修正ならびにそれらの任意およびすべての等価物を包含することを理解するものとする。
【0042】
例となる薬物送達デバイスは、ISO11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に説明されるような針ベースの注射システムに関与し得る。ISO11608-1:2014(E)に説明されるように、針ベースの注射システムは、大まかに多回用量容器システムと単回用量(部分または完全排出を伴う)容器システムとに区別される。容器は、交換可能な容器であるか、または一体型の交換不可能な容器である。
【0043】
ISO11608-1:2014(E)にさらに説明されるように、多回用量容器システムは、交換可能な容器を伴う針ベースの注射デバイスに関与し得る。そのようなシステムにおいて、各容器は、複数用量を保持し、そのサイズは、固定されるか、または可変である(ユーザによって事前設定される)。別の多回用量容器システムは、一体型の交換不可能な容器を伴う針ベースの注射デバイスに関与し得る。そのようなシステムにおいて、各容器は、複数用量を保持し、そのサイズは、固定されるか、または可変である(ユーザによって事前設定される)。
【0044】
ISO11608-1:2014(E)にさらに説明されるように、単回用量容器システムは、交換可能な容器を伴う針ベースの注射デバイスに関与し得る。そのようなシステムのための1つの例において、各容器は単回用量を保持し、以て、送達可能な全体積が排出される(完全排出)。さらなる例において、各容器は単回用量を保持し、以て、送達可能な体積の一部分が排出される(部分排出)。ISO11608-1:2014(E)に同様に説明されるように、単回用量容器システムは、一体型の交換不可能な容器を伴う針ベースの注射デバイスに関与し得る。そのようなシステムのための1つの例において、各容器は単回用量を保持し、以て、送達可能な全体積が、排出される(完全排出)。さらなる例において、各容器は単回用量を保持し、以て、送達可能な体積の一部分が排出される(部分排出)。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「軸方向」、「半径方向」、または「円周方向」は、デバイス、カートリッジ、ハウジング、またはカートリッジホルダの主要長手方向軸、例えば、カートリッジ、カートリッジホルダ、または薬物送達デバイスの近位および遠位端を通って延びる軸に対して使用される。
【0046】
本開示の非限定的な例示的な実施形態が、これより添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】薬物送達デバイスの実施形態の構成要素部材を示す図である。
図2】電子エンコーダモジュールと一緒に、図1のデバイスの端部の部分切断図を示す図である。
図3】充電ステーションに取り付けられた、一実施形態による電子エンコーダモジュールの断面図である。
図4】充電ステーションに取り付けられた、さらなる実施形態による電子エンコーダモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図において、同一の要素、同一に作用する要素、または同種の要素には、同じ参照番号が提供される。
【0049】
以下において、いくつかの実施形態は、インスリン注射デバイスに関して説明される。しかしながら、本開示は、そのような用途に限定されず、他の薬剤を放出するように構成される注射デバイス、または一般的な薬物送達デバイス、好ましくはペンタイプのデバイスおよび/もしくは注射デバイスに等しく良好に配備される。
【0050】
実施形態は、注射デバイス、特に、可変用量注射デバイスに関連して提供され、これらのデバイスは、これにより送達される用量に関するデータを記録および/または追跡する。これらのデータは、選択された用量のサイズおよび/または実際に送達された容量のサイズ、投与の時間および日付、投与の持続時間などを含み得る。本明細書に説明される構成は、検知要素の配置および電力管理技術(例えば、小型バッテリを促進するためおよび/または効率的な電力使用を可能にするため)を含む。
【0051】
図に示される薬物送達デバイス1は、主要機能および動作モードに関して参照がなされるEP2890434B1に開示される使い捨て注射ペンと同じ全体的動作原理に基づく。しかしながら、図に描写される実施形態は、より詳細に以下に説明されるようないくつかの態様において改善され、取り外し可能な電子エンコーダモジュール100と共に使用するために適用される。そのようなモジュールの非限定的な例は、電子モジュールの主要機能および動作モードに関して参照がなされるWO2021/116387A1およびPCT/EP2021/060631に開示される。
【0052】
EP2890434B1に開示されるものと類似した使い捨て注射ペンに関連して説明されるが、本開示は、WO2004/078239A1、WO2014/033195A1、WO2009/132777A1、WO2005/018721、US5,693,027、US6,663,602、またはUS7,241,278のうちの1つに開示される注射デバイスを含むがこれに限定されない他の使い捨てまたは再使用可能な薬物送達デバイスにも適用可能である。
【0053】
「遠位」は、薬物送達デバイスまたはその構成要素の投薬端の方を向くもしくは指すように配置される、もしくは配置される予定の、および/または近位端から離れる方を指す、離れる方を向くように配置される予定の、もしくは離れる方を向く、方向、端、または表面を特定するために本明細書内で使用される。その一方で、「近位」は、薬物送達デバイスまたはその構成要素の投薬端からおよび/または遠位端から離れる方を向く、離れる方を指すように配置されるか、もしくは配置される予定の、方向、端、または表面を特定するために使用される。遠位端は、投薬に最も近い、および/または近位端から最も遠くに離れた端であり、近位端は、投薬端から最も遠くに離れた端である。近位表面は、遠位端から離れる方を、および/または近位端の方を向き得る。遠位表面は、遠位端の方を、および/または近位端から離れる方を向き得る。投薬端は、針ユニットが、例えば、デバイスに取り付けられるか、または取り付けられる予定の針端である。
【0054】
図1は、外側ハウジング10、内側ハウジング挿入部20、ピストンロッド30、駆動スリーブ40、ナット50、用量設定ドラム60、用量設定部材70、カートリッジ80、およびキャップ90を含む薬剤送達デバイスまたは薬物送達デバイス1を描写する。針ハブおよび例えば針カバーを含む針装置(図示せず)が、追加構成要素として提供される。
【0055】
外側ハウジング10は、カートリッジ80を受けるためのカートリッジホルダ11を形成し、針ハブを取り付けるためのねじ山12または同様のものを備える遠位部分、ならびに用量設定および駆動機構の構成要素部材を包み込む近位部分を有する略管状要素である。好ましい実施形態において、外側ハウジング10は、透明であり、近位部分が場合により不透明層を備える。ハウジング10は、透明窓13を含む。
【0056】
内側ハウジング挿入部20は、異なる直径領域を有する略管状構成を伴う内側本体である。内側ハウジング挿入部20は、ハウジング10の近位部分内に受け入れられ、その中に恒久的に固定されて、ハウジング10に対する内側ハウジング挿入部20のいかなる相対運動も防ぐ。外部ねじ山21が、内側ハウジング挿入部20の外表面に提供される。さらに、スプラインが、内側ハウジング挿入部20の内表面に提供され、その遠位端は内側ねじ山を備える。
【0057】
ピストンロッド30は、互いに重複する、好ましくは反対側の異なるリードを伴う2つの外部ねじ山を有する細長い要素である。これらのねじ山のうちの一方は、内側ハウジング挿入部20の内側ねじ山に係合する。ディスク様の支承部31が、ピストンロッド30の遠位端に取り付けられて、支承部31とピストンロッド30との間の相対回転を可能にする。代替案として、支承部は、既定の破壊点を介して一体型構成要素としてピストンロッド30に取り付けられる。
【0058】
駆動スリーブ40は、異なる直径領域を有する略管状要素である。駆動スリーブ40の遠位領域は、外部ねじ山41を有する。駆動スリーブ40の内表面は、ピストンロッド30の外部ねじ山のうちの一方と係合する内側ねじ山を有する。駆動スリーブ40は、ピストンロッド30を包囲し、少なくとも部分的に内側ハウジング挿入部20の中に位置する。駆動スリーブ40は、駆動スリーブ40のスカート内のU字状開口部によって形成される可撓性クリッカアームをさらに有する。クリッカアームは、内側ハウジング挿入部20内の内部スプラインに係合し、駆動スリーブ40と内側ハウジング挿入部20との間の相対回転の間、半径方向に内向きに曲がることができる。この半径方向の偏向は、クリッカアームが用量設定部材70内のポケットと一直線になっている限り許されるが、クリッカアームが用量設定部材70内のポケットと一直線になっていない場合はブロックされ、以て、駆動スリーブ40と内側ハウジング挿入部20との間の相対回転を防ぐ。駆動スリーブ40は、その近位端において、用量設定部材70に当接するばねアーム、および駆動スリーブ40を用量設定部材70に対して遠位に付勢するばねアームを含み得る。駆動スリーブ40の内表面は、用量設定部材70のいかなる回転も駆動スリーブ40に伝達されるように、用量設定部材70上のスプラインに恒久的に係合する、少なくとも1つの軸方向に延びる溝を備える。
【0059】
ナット50は、内側ハウジング挿入部20と駆動スリーブ40との間に提供される。ナット50の外側リブは、内側ハウジング挿入部20の内部スプラインに係合する。ナット50の内部ねじ山は、駆動スリーブ40の外部ねじ山41に係合する。代替案として、スプラインおよびリブは、ナット50と駆動スリーブ40との間のインターフェースに提供され、ねじ山は、ナット50と内側ハウジング挿入部20との間のインターフェースに提供される。さらなる代替案として、ナット50は、例えば、ハーフナットとして設計される。さらに、少なくとも1つ、例えば、4つの、回転ハードストップが、ねじ山41の近位端における駆動スリーブ40上の対応する止め具との相互作用のために、ナット50上に提供される。
【0060】
用量設定ドラム60は、内側ハウジング挿入部20の外部ねじ山21に係合する内部ねじ山を伴う略管状要素である。故に、用量設定ドラム60は、内側ハウジング挿入部20とハウジング10との間に介在される。一連の数字が、ディスプレイ部材を形成する用量設定ドラム60の外表面上に提供、例えば、印刷される。数字は、1つの数字のみまたは数個の数字のみがハウジング10の窓13を通じて可視であるように、らせん線上に配置される。以下により詳細に説明されるように、用量設定ドラム60は、用量設定部材70の対応するクラッチ歯に係合するため、その近位端近くにクラッチ歯61のリングを備える。さらに、任意選択のクリッカアームが、用量設定部材70のラチェットプロファイルに係合するため、例えば、用量設定ドラム60の遠位端の近くに提供される。
【0061】
用量設定部材70は、2つの別個の構成要素、具体的には、管状スリーブ71およびボタン72を含み、これらは、単一構成要素として機能するように互いに恒久的に固定される。用量設定部材70の管状スリーブ71は、その近位端近くにクラッチ歯の内部リング、ラチェットプロファイルを形成する傾斜した歯の内部リング、およびその遠位端に、ハウジング10のカウンタストップ歯に係合するためのストップ歯を含む。ボタン72は、近位端面、およびこの端面から遠位に延びる柄を含む。2つの半径方向アパーチャおよび2つの軸方向アパーチャが共に、用量設定部材70のボタン72の端面内に形成される内側溝に対して同心円状に配設される外側溝内に形成される。ボタン72の柄は、ポケットを備え、その中へ駆動スリーブ40のクリッカアームが曲がり、またボタン72の柄は、駆動スリーブ40内に形成されるそれぞれの溝に恒久的に係合する少なくとも1つの軸方向に延びるスプラインを含む。
【0062】
図1に示されるように、用量設定部材70の管状スリーブ71は、用量設定部材70を把持することおよび回転させることを促進する異形近位領域を備える。用量設定部材70の、特に、管状スリーブ71の、最大外径は、ハウジング10の外径よりも小さい。より詳細には、用量設定部材70の最大外径は、用量設定部材70に隣接して位置するハウジング10の領域の内径よりも小さい。
【0063】
カートリッジ80は、典型的にはガラス製である既充填式のネックダウンカートリッジリザーバを含む。ゴムタイプの栓またはストッパが、カートリッジリザーバの近位端に位置し、穿孔可能なゴム封止が反対の遠位端に位置する。圧着式環状金属バンドが、ゴム封止を適所に保持するために使用される。カートリッジ80は、ピストンロッド30の支承部31が栓に当接した状態でカートリッジホルダ11内に提供される。
【0064】
キャップ90は、デバイス1の遠位端に取り付けられ、こうしてカートリッジホルダ11をカバーする。キャップ90は、ハウジング10に解放可能にカチッと留められ、デバイス1の使用のために取り外される。
【0065】
図2は、薬物送達デバイス1のダイヤルグリップ70に解放可能に取り付けられ、以て、用量記録システムを形成する、電子エンコーダモジュール100を示す。モジュール100は、プロセッサを伴うPCBA102および再充電可能な電力源103を保持するカップ形状の外キャップ101を含み得る。モジュール100は、プロセッサに連結され、かつ用量設定動作および/または用量送達動作を示す測定データを生成するように動作可能なセンサ装置104をさらに含む。この目的のため、センサ装置は、一緒に光センサを形成する少なくとも1つのLEDおよび1つまたはそれ以上の光検出器を含む。代替のセンサタイプが、LEDおよび光検出器に加えて、またはその代替案として実装される。そのような代替のセンサタイプは、限定されるものではないが、光センサ、音響センサ、容量センサ、電気スイッチを含み得る。PCBA102は、プロセッサに連結され、かつ別の(外部)デバイス、例えば、スマートフォンとの通信を確立するように動作可能な、例えば、ワイヤレスBluetooth(登録商標)通信インターフェースを含む通信ユニットをさらに含み得るか、またはこれに連結される。通信ユニットは、データ、例えば、測定データを、上記他のデバイスに転送するように動作可能である。依然としてさらに、電子ユーザフィードバック生成装置が、プロセッサに連結され、ユーザへのフィードバック信号を生成するように動作可能である。例示的な配置において、電子ユーザフィードバック生成装置は、光学フィードバック信号を生成するためのLEDを含む。LEDに加えて、または代替案として、電子ユーザフィードバック生成装置は、音響機および/または振動モータを含み得る。
【0066】
モジュール100は、キャップ101とスナップフィット係合状態にあり、以て、キャップおよび筐体を軸方向におよび回転不能に拘束する筐体をさらに含む。筐体は、透明または半透明であり、ポリカーボネートまたは同様のものから作製される。筐体は、PCBユニットを受ける。さらに、筐体は、光沢のある側壁ならびにセンサ側端およびエンコーダ側端を形成する散乱性端面を有する、筐体の軸方向に延びる突起である2つの光パイプ105を含む。言い換えると、光は、反対のセンサ側端およびエンコーダ側端において光パイプに入るか、またはそこから出るが、側壁によって案内(反射)される。例において、光パイプ105は、互いに対して45°だけ回転可能にオフセットされる。光パイプ105は、モジュール100が薬物送達デバイス1に取り付けられるとき、ボタン72内のアパーチャのうちの1つに収まるか、またはこれを通って延びるように配置される。この目的のため、キャップ101および筐体は、図内のモジュール100の下方端に開いて、描写された例ではカップ形状を有する連結部分を形成する。言い換えると、キャップ101および筐体によって形成される連結部分は、薬物送達デバイスのダイヤルグリップ70または充電ステーションのソケットを受けるのに好適な略円筒または円錐構成の空隙を画成する。この連結部分において、筐体は、ボタン72内の半径方向アパーチャに係合するため、例えば、180°だけ回転可能にオフセットされる2つの可撓性クリップ106(図3および図4を参照)の形態にある取り付け機能をさらに含む。
【0067】
薬物送達デバイスの用量設定および駆動機構は、薬物送達デバイスによって送達されるべき用量を選択するための用量ダイヤル設定動作、および設定された用量を送達するための用量送達動作を実施するように構成される。
【0068】
用量ダイヤル設定動作中、用量設定ドラム60のクラッチ歯61は、ダイヤルグリップ70のクラッチ歯に係合する。故に、用量設定ドラム60、ダイヤルグリップ70、および駆動スリーブ40(ダイヤルグリップ70にスプライン連結される)は、回転可能に連結される。ユーザは、用量設定ドラム60、ダイヤルグリップ70、および駆動スリーブ40が、用量設定ドラム60のねじ山を案内する内側ハウジング挿入部20のねじ山21によって画成されるらせん経路に沿って、ハウジング10の外へ巻き上がるように、ダイヤルグリップ70の管状スリーブ71を回転させることによって用量を設定し得る。ピストンロッド30と駆動スリーブ40との間のねじ界面のピッチは、内側ハウジング挿入部20と用量設定ドラム60との間のねじ界面のピッチに対応し、その結果として、ピストンロッド30は、内側ハウジング挿入部20とのそのねじ界面により、静止して保持されたままである。選択された用量の量は、ハウジング10内の窓13を通じて可視である。ハウジングに対する用量設定ドラム60、ダイヤルグリップ70、および駆動スリーブ40のこのような回転中、駆動スリーブ40の可撓性クリッカアームは、内側ハウジング挿入部20の内部軸方向スプラインの上にカチッと留まり、以て、別個の回転位置を画成する。描写された例示的な実施形態において、ダイヤルグリップの1回のフル回転は、24の用量増分に対応する。例えば、注射デバイス1がヒトインスリンを投与するように構成される場合、投与量増分は、いわゆる国際単位(IU)で表示され、1つのIUは、約45.5マイクログラムの純結晶インスリン(1/22mg)の生体等価である。
【0069】
例えば、80ユニットの最大設定可能用量では、止め具機能が、さらなるダイヤル設定を防ぐために係合し得る。さらに、用量設定中、駆動スリーブ40は、内側ハウジング挿入部20に対して回転し、その結果として、軸方向に延びるリブおよびスプラインを介して内側ハウジング挿入部20に回転不能に固定されるナット50は、駆動スリーブ40のねじ山41上を移動する。最終用量ナット50は、投薬されたユニットの数を数える機能を提供する。ナット50は、寿命の終わりにデバイス1をロックし、そのようなものとして、これ以上の薬物は、ユーザによってダイヤル設定または投薬されない。ダイヤル設定中の駆動スリーブ40の回転は、ナット50がねじ山41に沿って前進することを引き起こす。ナット50は、常に内側ハウジング挿入部20内を軸方向に自由に摺動し、これによりナット50の前進を可能にする。寿命の終わりの条件において、最終用量ナット50の止め具機能は、駆動スリーブ40上の対応する機能に接触する。内側ハウジング挿入部20とのスプライン連結接触は、これらの止め具機能47によって伝達されるトルクに反応する。
【0070】
所望の用量がダイヤル設定されると、デバイス1は、用量投薬の準備が整う。これは、基本的には、ダイヤルグリップ70を押圧することを必要とし、これにより、ダイヤルグリップのクラッチ歯からのクラッチ歯61の係合解除を結果としてもたらす。上で述べたように、用量をダイヤル設定するとき、ダイヤルグリップ70は、駆動スリーブ40の可撓性アームによって「付勢され」、駆動スリーブ40、ダイヤルグリップ70、および用量設定ドラム60を一緒に回転不能にロックするクラッチ歯が係合される。ダイヤルグリップ70を押すと、クラッチ歯が係合解除し、用量設定ドラム60とダイヤルグリップ70との間の相対回転が可能である。すべての条件において、駆動スリーブ40およびダイヤルグリップ70は、回転不能にロックしたままである。故に、クラッチが係合解除された(ダイヤルグリップ70が押圧された)状態で、ダイヤルグリップ70および駆動スリーブ40は、互いに回転不能にロックされる一方、ダイヤルグリップ70、駆動スリーブ40、および用量設定ドラム60は、依然として軸方向に連結される。同時に、駆動スリーブ40に対するダイヤルグリップ70の相対軸方向運動は、柄上のポケットが可撓性クリッカアームに対してシフトされることを結果としてもたらす。故に、可撓性クリッカアームは、内向きに曲がることが防がれる。ロックアウト機能のこのような起動は、ダイヤルグリップ70が押された場合に可撓性クリッカアームが内側ハウジング挿入部20のスプラインを克服することを防ぐ。この条件において、駆動スリーブ40およびダイヤルグリップ70は、内側ハウジング挿入部20へ回転不能に拘束され、こうしてハウジング10に対するいかなる回転も防ぐ。
【0071】
所望の用量がダイヤル設定された状態で、ダイヤルグリップ70は、押し下げられ、ピストンロッド30は、カートリッジから薬物を投薬するために推進される。ピストンロッド30、駆動スリーブ40、および内側ハウジング挿入部20の間の嵌合ねじ山の相互作用は、例えば、2:1の機械的な利点をもたらす。用量投薬中、投薬クリッカは、アクティブであり、これは、ダイヤルグリップ70のラチェットプロファイルおよび用量設定ドラム60のクリッカアームに関与する。投薬クリッカは、薬物が投薬されているユーザに、主に可聴のフィードバックを提供する。相対回転は、一方向にのみ可能になる。用量送達中、駆動スリーブ40は、内側ハウジング挿入部20に対して回転しない。故に、ナット50の回転位置は、用量送達中は変わらず、ナット50は、用量ダイヤル設定中に設定された駆動スリーブ40上のその位置に留まる。
【0072】
ダイヤルグリップ70、より具体的には、管状スリーブ71は、その遠位端において、軸方向に向くストップ歯のセットを有する。これらの歯は、管状スリーブ71の近位縁上に形成され、用量の送達の終わりに、ハウジング10の内表面上に形成されるカウンタストップ歯のセットに係合するように構成される。これらの歯は、各用量の終わりに、ハウジング10および用量設定ドラム60に対するダイヤルグリップ70の回転位置を制御し、「正しく合わせる」。これは、ダイヤルグリップ70と用量設定ドラム60との間のクラッチ歯が位置合わせされ、その結果として、それらが、ダイヤルグリップ70が解放されるときに正しく再係合することを確実にする(後続の用量がダイヤル設定されることを可能にする)のに重要である。さらには、モジュール100の正確な機能のためには、ダイヤルグリップ70の回転位置が各用量の終わりに用量設定ドラム60に対して一致することが重要である。これは、モジュール100が、送達される用量のサイズを決定するために、ダイヤルグリップ70に対する用量設定ドラム60上のクラッチ歯61の合計相対回転運動を正確に検出することが意図されるためである。ダイヤルグリップ70とハウジング10との間の上述の歯がなければ、用量の終わりにおけるこれらの2つの部材の相対回転位置は、ダイヤルクリッカ(駆動スリーブ40の可撓性クリッカアームおよび内側ハウジング挿入部20の軸方向スプライン)によってのみ決定される。しかしながら、ダイヤルクリッカが比較的低いトルクで克服されるように意図的に設計されるため、それは、特に正確な回転データを提供しない。依然としてさらに、ダイヤルグリップ70が、0Uダイヤル条件でペン1を用いて押圧される場合、これらの歯の係合は、ユーザがダイヤルグリップ70をハウジング10に対して回転させることを防ぐ。この条件でダイヤルグリップ70を回転させることは、ユーザがピストンロッド30を前進または後退させ得るやり方でペン機構を操作することを可能にし、これは潜在的に用量エラーにつながる。
【0073】
薬物送達デバイス1は、モジュール100ありまたはモジュール100なしで使用されるのに好適である。モジュール100がダイヤルグリップ70に嵌められる場合、可撓性クリップ106は、ボタン72の半径方向アパーチャに係合し、その中へカチッと留まる一方、光パイプ105は、軸方向アパーチャ内へ延びる。モジュール100と併せて使用されるとき、用量設定ドラム60のクラッチ歯61のリングは、エンコーダの追加機能を有する。
【0074】
用量設定ドラム60の外径上に位置するこれらの半径方向に外向きに突出するクラッチ歯61は、光センサによって検出される。例示的な実施形態において、12個の等間隔のクラッチ歯61しか存在しないが、それらは、ダイヤルグリップ70上の24個の嵌合歯のセットと連結して、24個の別個の係合場所を提供する(こうして、用量をダイヤル設定および送達するときにダイヤルグリップの回転あたり24の選択可能な用量増分を可能にする)。この配置は、いくつかの利点を有する。クラッチ歯61が用量設定ドラム60の外径から半径方向に突出するため、それらは、ダイヤルグリップ70の内径上に形成される歯と相互作用して、できる限り大きい直径でトルクを伝達する。これは、それらが、より強力であり、ユーザによって印加されるトルクに対してより耐性があることを意味する。より少ない数の幅広の歯(すなわち、24個の一幅歯ではなく、12個の「二幅」歯)もまた、用量設定ドラム60からダイヤルグリップ70へトルクを伝達するより強力な手段を提供する。より少ない数の幅広の歯61はまた、モジュール2の光検出器のためのはるかにより良好なターゲットを提供するが、これは、個々の反射性/非反射性領域が、より幅広であり、したがってより良好な光学信号応答を提供し、また用量設定ドラム60がダイヤルグリップ70に対して回転するときの角度公差変動(相対過大または過小移動)に対してより柔軟であることが理由である。
【0075】
ペン注射器1の用量ボタン72は、その遠位端表面内に形成される2つの同心溝を有する。これらの溝は、モジュール100の構成を収容し、モジュールが用量ボタン72に対して回転することを可能にして、取り付け中に正しい回転整列を見出す。溝は、誤ったタイプのボタンモジュール100の取り付けを防ぐ、構成のセットがペンの用量ボタン72上に離散的に提供される手段、すなわち、モジュール100がクリップ機能106を介してしっかりと取り付けられることを可能にし、用量値がモジュール100によって検出/エンコードされることを可能にするペン機構のクラッチ歯61へのアクセスを提供する専用機能としての役割を果たす。上で述べたように、送達される用量のサイズを検出するためにモジュール100によって使用される構成は、用量設定ドラム60の遠位端において外周の周りにエンコーダ機能の等間隔のアレイとして形成されるクラッチ歯61である。しかしながら、これらのエンコーダ機能は、クラッチ歯61である必要はなく、単純に、用量設定ドラム60と一緒に回転する光学エンコーダシステムのための「フラグ」であってもよく、アパーチャの配置は、モジュール100がペン1に嵌められる場合にそのようなエンコーダ機能へのアクセスを可能にするのに有用である。
【0076】
モジュール100が、ペン1から送達される用量をエンコードするために光IRエミッタ/検出器のセットを使用するため、ペン1がモジュールセンサの正しい性能と干渉し得る野外で使用される場合、例えば高周囲光レベルからの「迷」IR放射線のレベルを低減することが好ましい。ダイヤルグリップ70構成要素は、反射したIR放射線のレベルを低減/抑制することが意図される構成を有し得る。特に、管状スリーブ71および/またはボタン72、IR吸収マスターバッチを含み得、および/または、スパークエロージョンテクスチャ表面仕上げを有し得る。
【0077】
そのエンコーディングシステムのためにモジュール100によって必要とされる電力は、モジュールハウジングまたはキャップ101内の、再充電可能な電源103、例えば、再充電可能なバッテリによって供給される。この再充電可能な電源103は、モジュール100を別個の充電ステーション200に連結することにより、独自の電源(例えば、幹線給電)を用いて必要なときに再充電される。したがって、モジュール100は、再充電されることが必要とされるまで数日/数週間にわたって、充電ステーション200とは独立して使用される。
【0078】
再充電は、例えば、充電ステーション200のソケット202上のピン201がモジュール内のパッドに接触することにより、直接導電伝達を介して実行される。図3において、ピン201は、PCBA102上の対応するパッドに接触する。代替案として、再充電は、ワイヤレス電力伝達、例えば、図4に示されるようなそれぞれのコイル107、203を使用した誘導電力伝達を介して実行される。
【0079】
充電中のモジュール100への外部電力の提供は、モジュール100が外部から電力供給されながら、Bluetooth OTA(Over-The-Air)ファームウェア更新を可能にし得る。
【0080】
これらの実施形態の主な利益は、単回使用バッテリによって電力供給される同様のデバイスの寿命が典型的にはバッテリ容量によって制限されるため、モジュール100の寿命が増加されることを可能にすることである。これは、デバイスの有効原価(すなわち、使用あたりの平均費用)、ならびに有効環境影響を低減する機会を提供し得る。さらに、これは、デバイスのいくつかの機械的な態様の簡略化も可能にする。例えば、電力の可用性は、センサ104が用量間で常にオンに保たれ(低周波数で)、したがって物理スイッチを使用する代わりに用量捕捉システムをウェークアップするために使用され得るということを意味する。物理スイッチのための要件を有さないことは、防水加工手段の簡略化、ならびに、おそらくは複雑でありユーザからの損傷のリスクにあるスイッチ機構および関連ハードウェアの必要性を打ち消すことを可能にする。センサがこのように使用される場合の1つの選択肢は、センサ104を、デバイスがサプライチェーン内にある間はオフにし、デバイスが初めて充電されるときに有効化することである。
【0081】
別個の充電ステーション200は、サイズ/携帯性によってあまり制約されず、システムの追加の機能性を可能にし得る。例えば、それは、デバイス自体に長期間収納することが不可能である(例えば、ストレージ制限に起因して)デバイス健康状態および用量履歴に関する追加情報を収納する手段を含み得る。モジュールの光学システムは、測定のための一貫した光学ターゲットを提供することがあるため、モジュールの光学システムの性能を、それが取り付けられるときにチェックするために充電ステーション200を使用することも可能である。
【0082】
そのようなシステムの実施形態の1つの例は、以下に説明される。この実施形態において、モジュール100内の一対の光センサ104の一定の穏やかな周波数ポーリング(例えば、200Hz)は、ユーザが注射デバイス1を使用して用量を投薬し始めたときを検出するために低電力モードで使用される。この一定の低周波数ポーリングは、モジュール100が非アクティブである、すなわち、用量が記録されていないとき、最初の使用の後に低電力モードで使用される。それは、モジュール100がパッケージ内にある間、しかしながら注射デバイス1に嵌められる前にも使用される。
【0083】
ボタン72が最初に押圧されるとき、2つの光センサ104のうちの一方は、用量設定ドラム60上のエンコーダ歯61のうちの1つによって閉塞されるが、他方はされない。薬物の第1のユニットが投薬されると、用量設定ドラム60が回転し、その結果として、最初に閉塞された光センサ104が閉塞されなくなり、最初に閉塞されなかった光センサが閉塞されるようになる。光センサ104の穏やかな周波数ポーリングは、閉塞状態のこのような変化が検出されることを可能にし、モジュール100がウェークアップして、投薬されている用量を直ちに記録する。
【0084】
上に説明される一定の穏やかな周波数ポーリングに加えて、この実施形態におけるモジュール100は、そのハウジング101内の再充電可能なバッテリ103によって電力供給される。モジュール100は、別個の充電ステーション200と共に使用されるように設計され、この充電ステーション200にモジュール100が取り付けられ、これによりモジュールバッテリ103を幹線電源から再充電する。充電ステーション200へのモジュール100の電気連結は、充電ステーション200上の対応するピン/プローブ201に連結する、モジュールPCBA102上の2つの露出した接点パッドを有することによって達成される。
【0085】
充電ステーション200は、電気接点が作られ、モジュール100が、再充電されている間保持されるように、モジュール100を固定位置に保持するように設計される。これは、モジュール100上の対応する構成とインターフェースをとるクリップ機能106を使用することによって達成され、これらは、モジュール100が注射デバイス1に取り付けられること/そこから取り外されることを可能にする同じ構成である。注射デバイス1に専用手段を提供するために使用されるモジュール100上の構成は、モジュール100を充電ステーション200と位置合わせするためにも使用される。
【0086】
再充電可能なバッテリ103を充電するために使用される電子回路は、バッテリ保護回路およびバッテリ充電コントローラを含む。これらは共に、モジュール100内に位置し、充電ステーション200を簡略化する。代替的に、それらは、モジュール100と充電ドック200とに分かれ、これによりモジュール100内に必要とされる空間を低減する。両方がモジュール100内に位置する場合、両方の機能は、単一の集積回路によって提供される。
【0087】
代替の実施形態において、バッテリ103は、ワイヤレス充電される。この実施形態は、以下の変更を伴って、上述の実施形態と同じである:充電ステーション200からモジュール100へ伝達される電力は、直接導電伝達ではなく誘導電力伝達によって実行される。誘導電力伝達に必要な電子ハードウェア、例えば、ワイヤレス充電コイル107が、モジュール100に含まれる。電力伝達がワイヤレスであるため、モジュール100のハウジングは、水または粒子の侵入に対するバリアを提供するために、PCBA102および電子ハードウェアを完全に包囲し得る。これは、連結部分の上方端を形成する筐体の閉じた壁108によって図4に示される。充電ステーション200は、ピン/プローブの代わりに、誘導電力伝達に必要な電子ハードウェアを有する。モジュール100および充電ステーション200の相対回転配向を画成および維持する構成は必要ではない。誘導電力充電の場合、電子アーキテクチャは、コイル203、ならびに送信ノード(充電ステーション200)および受信ノード(モジュール100)の両方のためのコントローラを含むように適用される。このアーキテクチャでは、モジュール100内の保護回路、バッテリ充電制御、および受信コイルコントローラは、個々の集積回路であるか、または1つもしくは2つの集積回路内に組み合わせられる。
【0088】
両方の実施形態について、フィードバックは、いくつかのやり方で充電モードおよび状態でユーザに提供される。これは、異なる点滅シーケンスもしくは色を有するLEDを使用すること、またはアプリ内での表示のためにBluetooth通信を介することである。アプリフィードバックは、潜在的に、バッテリの充電状態が低いことが検出されるときにモジュール100を充電するためにユーザへの合図を含み得る。
【0089】
本開示のさらなる態様は、別個の充電ステーション200を介して再充電される再充電可能なバッテリ103を伴う光センサ104を使用して、注射デバイスと併せた使用のために設計されるクリップオン電子エンコーダモジュール100に電力供給する方法である。充電ステーション200は、充電ステーション200からモジュール100への電力の伝達を可能にし、必要な電力を提供するために幹線に連結される。電力伝達は、直接導電伝達(例えば、モジュール100内の対応する導電パッドとインターフェースをとる、充電ステーション200上のピン/プローブ201)を介して、またはワイヤレス電力伝達(例えば、誘導電力伝達)を介して達成される。
【0090】
モジュール100は、2つの異なるモード;「穏やかな周波数ポーリング」モードおよび「高周波数用量捕捉」モードのうちの一方で、常にウェークアップしたままでいるように動作されるように構成される。大半の時間にわたって、モジュール100は、その「穏やかな周波数ポーリング」モードに留まり、この場合、光センサ104は、投薬が開始しているかどうかを決定するために定期的に測定値を取っている。このモードでは、注射デバイス1の機構(エンコーダ歯61)の回転運動がセンサ104によって検出される場合、モジュール100は、送達される用量サイズの正確なエンコードのために十分なサンプルレートを可能にする「高周波数用量捕捉」モードへと切り替わる。用量の完了に続いて、モジュール100は、設定された時間期間の後、「穏やかな周波数ポーリング」モードへ戻る。
【符号の説明】
【0091】
1 薬物送達デバイス(ペン)
10 ハウジング
11 カートリッジホルダ
12 ねじ山
13 投与量窓
20 内側ハウジング挿入部
21 ねじ山
30 ピストンロッド
31 支承部
40 駆動スリーブ
41 ねじ山
50 ナット
60 用量設定ドラム
61 クラッチ歯
70 ダイヤルグリップ
71 管状スリーブ
72 ボタン
80 カートリッジ
90 キャップ
100 電子ボタンモジュール
101 キャップ
102 PCBA(プロセッサ)
103 再充電可能な電源
104 センサ
105 光パイプ
106 可撓性クリップ
107 コイル
108 壁
200 充電ステーション
201 ピン
202 ソケット
203 コイル
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】