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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-03
(54)【発明の名称】レーダー適合性のプラスチック部品
(51)【国際特許分類】
   C09D 1/00 20060101AFI20240327BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
C09D1/00
C09D5/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565499
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022060807
(87)【国際公開番号】W WO2022229044
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21170442.4
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】グンスハイマー ウドー
(72)【発明者】
【氏名】カイザー ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038HA166
4J038KA08
4J038NA17
4J038PA07
4J038PB07
4J038PC08
(57)【要約】
本発明は、金属効果顔料がない着色被覆が塗布された表面を有するレーダー適合性のプラスチック部品、このタイプのレーダー適合性のプラスチック部品製造プロセス、及び、特に車両構造におけるその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダー適合性の被覆プラスチック部品であって、前記プラスチック部品は、金属効果顔料なしで、吸収特性を有するフレーク状効果顔料を含む着色被覆が塗布される、随意的にプレコート及び/又は前処理された表面を有しており、
前記着色被覆は、上下に配置された複数の層で構成され、前記吸収特性を有するフレーク状効果顔料は、前記層の各々に存在し、前記層のうちの少なくとも2つは、互いに異なる幾何学的層厚さを有し、前記プラスチック部品の表面は、何らかのさらなる着色又は金属被覆を有していない、レーダー適合性の被覆プラスチック部品。
【請求項2】
前記着色被覆は、上下に配置された2から4の層を有する、請求項1に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項3】
前記着色被覆は、第1の層を有し、前記第1の層は、前記プラスチック部品の随意的にプレコート及び/又は前処理された表面上に直接位置し、前記第1の層上に配置された個別のさらなる前記層の幾何学的層厚さよりも大きな幾何学的層厚さを有する、請求項1又は2に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項4】
前記吸収特性を有するフレーク状効果顔料は、前記着色被覆の前記層のそれぞれの重量に基づいて、少なくとも5重量%の量で前記着色被覆の前記層の各々の中に存在する、請求項1から3の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項5】
前記吸収特性を有するフレーク状効果顔料とは別の、さらなるフレーク状効果顔料は、前記着色被覆内に存在しない、請求項1から4の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項6】
前記吸収性を有するフレーク状効果顔料は、吸収性のないフレーク状効果顔料との混合物で前記着色被覆内に存在する、請求項1から4の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項7】
前記着色被覆は、14±2μmの総層厚さで黒色/白色背景の全領域にわたって塗布され、45°の照明角及び75°の視野角でL*,a*,b*色空間において分光光度計で測定すると、前記塗布された白色背景と前記塗布された黒色背景上との間に0から3の範囲の色分解ΔE*を有する、請求項1から6の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項8】
前記着色被覆は、14±2μmの総層厚さで黒色/白色背景の全領域に塗布され、45°の照明角及び15°の視野角でL*,a*,b*色空間において分光光度計で測定すると、前記塗布された白色背景上及び前記塗布された黒色背景上の両方で少なくとも80の明度L*15を有する、請求項1から7の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項9】
前記着色被覆は、14±2μmの総層厚さで黒色/白色背景の全領域にわたって塗布され、45°の照明角及び45°(15°時)、45°(45°時)、及び45°(110°時)の視野角でL*,a*,b*色空間において分光光度計で測定すると、各々の場合、前記塗布された黒色背景上で少なくとも12のフロップ指数を有する、請求項1から8の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項10】
前記着色被覆は、吸収特性を有するフレーク状効果顔料として、銀灰色の吸収色を有する効果顔料を含む、請求項1から7の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項11】
銀灰色の吸収色を有する前記効果顔料は、透明なフレーク状支持体上に、酸化鉄、亜酸化チタン、酸窒化チタン、又は酸化鉄及び酸化チタンの混合物を含む少なくとも1つの層を有する、又は、炭素を含む又は炭素で構成される層を有する顔料である、請求項10に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項12】
前記着色被覆は、前着色記被覆の前記層の各々において、前記着色被覆の前記層のそれぞれの前記重量に基づいて、5から40重量%の範囲の濃度でフレーク状効果顔料を含む、請求項1から11の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項13】
前記着色被覆は、8から25μmの範囲の全層厚さを有する、請求項1から12の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項14】
前記プラスチック部品は、プラスチック板又はフィルムであり、前記プラスチック部品は、随意的に3次元外形を有することができる、請求項1から13の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項15】
少なくとも1つのさらなる層は、前記着色被覆の上方に位置する、請求項1から14の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項16】
前記さらなる層は、最外層のクリアコートである、請求項15に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項17】
前記プラスチック部品の前記表面は、プライマ層及び/又は充填剤層でプレコートされる、及び/又は、静電的に前処理される、請求項1から16の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品。
【請求項18】
請求項1から17に記載のレーダー適合性のプラスチック部品の製造プロセスであって、金属効果顔料なしで、吸収特性を有するフレーク状効果顔料を含む着色被覆は、プラスチック部品の随意的に前処理された及び/又は前処理された表面に塗布され、前記着色被覆は、上下に配置された複数の層で塗布され、前記吸収性を有するフレーク状効果顔料は、前記層の各々に存在し、前記層のうちの少なくとも2つは、互いに異なる幾何学的層厚さを有し、乾燥は、前記層の各々の塗布後に実行され、前記プラスチック部品の前記表面は、何らかのさらなる着色又は金属被覆を有していない、製造プロセス。
【請求項19】
前記着色被覆は、8から25μmの範囲の総乾燥層厚さで塗布される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記着色被覆は、前記層の各々において、前記着色被覆の前記層のそれぞれの前記重量に基づいて、5から40重量%の量でフレーク状効果顔料を含む、請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記着色被覆の前記塗布は、スプレープロセス、ローラーコーティングプロセス、カーテンコーティングプロセス、インモールドプロセス、又は、静電塗布プロセスによって実行される、請求項18から20の1又は2以上に記載のプロセス。
【請求項22】
前記着色被覆の前記塗布は、各々の場合において2から4の層を連続的に上下に塗布することによって、2から4の部分ステップのスプレープロセスとして実施され、前記層の各々において前記吸収特性を有するフレーク状効果顔料の量は、前記層のそれぞれの乾燥重量に基づいて、少なくとも5重量%であり、乾燥は、前記層の各々塗布後に少なくとも20℃の温度で実施される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記着色被覆の前記層のうちの少なくとも1つは、<5μmの乾燥層厚さを有する、請求項18から22の1又は2以上に記載のプロセス。
【請求項24】
前記プラスチック部品の前記表面は、プライマ層及び/又は充填剤層でプレコートされる、及び/又は静電的に前処理される、請求項18から23の1又は2以上に記載のプロセス。
【請求項25】
クリアコートは、前記着色被覆の前記表面に最外層として塗布される、請求項18から24の1又は2以上に記載のプロセス。
【請求項26】
前記プラスチック部品は、プラスチック板又はフィルムであり、前記プラスチック部品は、随意的に3次元外形を有することができる、請求項18から25の1又は2以上に記載のプロセス。
【請求項27】
車両部品としての請求項1から17の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品の使用。
【請求項28】
請求項1から17の1又は2以上に記載のレーダー適合性のプラスチック部品で構成される車両部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属効果顔料がない着色被覆が塗布された表面を有するレーダー適合性のプラスチック部品、このタイプのレーダー適合性のプラスチック部品の製造プロセス、及び、特に、車両構造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行を可能にする自動車の増加に伴い、他の車両又は交通障害物までの距離測定及び他の交通当事者の速度測定の両方を可能にするレーダーデバイスは、これまで想像もつかなかった規模で対応する自動車部品に組み込むことを必要としている。このようなレーダーデバイスは、一般に、自動車の外観を損なわないように、自動車のバンパーの裏側に取り付けられる。
【0003】
何年もの間、メタリック塗料、好ましくは、銀色メタリック塗料は、特に、自家用車部門については最も人気のある自動車塗料の1つに数えられてきた。しかしながら、これらのメタリック塗料は、このような車両の内部に設置されたレーダーデバイスのカバー部品の光学設計に関する大きな課題となっており、その理由は、アルミニウムを基本とする効果顔料を含有する通常のメタリック塗料は、車両内のレーダーデバイスのカバー部品への従来慣用されていたメタリック車両用塗料の使用がレーダーデバイスの機能の望ましくない低減をもたらす程度まで、通常76-81GHzの周波数帯にあるレーダー波を反射、減衰、又は吸収する可能性があるからである。
【0004】
従って、車両の外観を損なわず、設置されたレーダーデバイスの機能を十分に発揮することができる車両用レーダーデバイスのカバーリングの解決策を提供する試みは、これまで十分行われている。
【0005】
例えば、ラジエータグリル又は会社ロゴとしてデザインされて、実質的にレーダー波透過領域及び金属支柱を有する対応するカバー部品は、インジウムなど、蒸着金属の層を有することが多い。このような構成要素は、通常、クロムのような外観を呈する。
【0006】
しかしながら、このタイプの被覆は、レーダーデバイスのビーム経路に位置するが、観察者に従来の銀色メタリック塗料の視覚的印象を残すことを意図する車両部品には適さない。ここでの難しさは、メタリック顔料を含有するメタリック塗料の場合に普通である強い明度フロップ(照明又は視野角の変化での明から暗への明確な変化)を実現し、このタイプのメタリック塗料の可能な限り大きな隠蔽力を実現して、レーダー波の透過が設置されたレーダーデバイスを完全に機能的に作動させることができるのに十分な程度まで、レーダー波の減衰を低減させることにある。
【0007】
特開2004-244516号には、電磁放射に対して高い透過性を有する光沢製品が開示されており、これは、ラジエータグリルとして、しかし、例えばテールゲートとして他の車両部品の構成要素としても使用することができる。ここでは、ポリカーボネートパネル上の層は、亜鉛、スズ、インジウムなど、金属粒子を含むことができるが、代わりに、例えば、二酸化チタン被覆マイカなどの干渉顔料で着色することもできる。粒子は、ポリウレタン含有層中に3から8重量%の濃度でパネルに塗布される。裏面被覆として黒ベースの被膜が塗布される。
【0008】
複数の層を含む光沢製品は、電磁波に対して高い透過性及び高い光沢を有することが記載されている。
【0009】
良好なレーダー波透過性は、このような被覆において二酸化チタン被覆マイカを含む干渉顔料で実現することができる。しかしながら、メタリック顔料を含むメタリック仕上げの隠蔽力及びメタリック顔料で達成できる強い金属的明度フロップは、単純な構造を有するこのタイプの無色透明なマイカをベースとした干渉顔料だけではほとんど得られない。
【0010】
また、特開2006-282886号には、プラスチック基材上に干渉顔料層を含み、金属効果顔料を省いた車両部品用のレーダー波透過性被覆が開示されている。被覆の色変化を可能にするために、干渉顔料は、特に滑らかな基材粒子に基づくことが記載されている。二酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの基材フレークは、適切な基材フレークとして提案されている。しかしながら、メタリック仕上げの視覚的な印象は、同様に、被覆されるプラスチック基材上のこのタイプの干渉顔料を含む層では実現することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004-244516号
【特許文献2】特開2006-282886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、詳細には車両構造におけるレーダーデバイスのカバー部品の使用に適し、その着色被覆における従来の金属効果顔料、詳細にはアルミニウム顔料を省き、好ましくは、従来の銀色着色メタリック仕上げとできるだけ視覚的に差異がなく、詳細には、銀色着色金属の外観、高い隠蔽力、及び強い明度フロップを有し、同時に良好なレーダー波透過性を有する、レーダー適合性の被覆プラスチック部品を提供することにある。
【0013】
本発明のさらなる目的は、上記のレーダー適合性に被覆プラスチック部品の製造プロセスを提供することにある。
【0014】
さらに、本発明のさらなる目的は、このタイプの被覆プラスチック部品の使用を示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、レーダー適合性の被覆プラスチック部品によって達成され、プラスチック部品は、金属効果顔料なしで、吸収特性を有するフレーク状効果顔料を含む着色被覆が塗布される、随意的にプレコート及び/又は前処理された表面を有しており、着色被覆は、上下に配置された複数の層で構成され、フレーク状効果顔料は、各層に存在し、層のうちの少なくとも2つは、互いに異なる幾何学的層厚さを有し、プラスチック部品の表面は、何らかのさらなる着色又は金属被覆を有していない。
【0016】
さらに、本発明の目的は、このタイプの被覆されたレーダー適合性のプラスチック部品の製造プロセスによって達成され、金属効果顔料なしで吸収特性を有するフレーク状効果顔料を含む着色被覆は、プラスチック部品の随意的にプレコート及び/又は前処理された表面に塗布され、着色被覆は、上下に配置された複数の層で塗布され、吸収特性を有するフレーク状効果顔料は、各層に存在し、層のうちの少なくとも2つは、互いに異なる幾何学的層厚さを有し、各層の塗布後に乾燥工程が実行され、プラスチック部品の表面は、何らかのさらなる着色又は金属被膜を備えていない。
【0017】
また、本発明の目的は、レーダー適合性の車両部品としての上記のように被覆されたプラスチック部品の使用によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者らは、驚くべきことに、フレーク状効果顔料を含む着色被覆を有する車両構造物のレーダーデバイスのカバー部品を提供することが可能であり、着色被覆は、全体として金属効果顔料なしで、視覚的に銀色着色金属特性を有することができることを見出している。
【0019】
何らかの金属層をもたないフレーク状効果顔料は、一般に、被覆内でレーダー信号の強い減衰を引き起こさないが、これは、通常、固有の吸収を全く又はほとんど示さず、低い隠蔽力のみを示す。これらの特性は、メタリック仕上げに特徴的であるような、高い光沢及び強い明度フロップを有する不透明な銀色被覆が、自動車用の標準的な被覆プロセスにおいて、通常は干渉顔料である従来のフレーク状効果顔料では達成できないという結果を有する。
【0020】
従って、その目的は、隠蔽力、明度フロップ、及びレーダー適合性の要件を可能な限り満たす着色被覆が、着色被覆内に金属効果顔料が存在することなく、車両製品のレーダーデバイス用のカバー部品上で得られるが、メタリック仕上げの視覚的外観を、それぞれのプラスチック部品上の着色被覆によって適切な程度まで模倣することができる条件を見出すことであった。
【0021】
本発明者らは、上記条件を十分に満たす着色被覆を有する被覆プラスチック部品を見出した。
【0022】
本発明によれば、プラスチック部品の表面上の着色被覆は、上下に配置された複数の層で構成され、これらは、好ましくは、各々の場合にも、表面全体にわたって上下に配置されてプラスチック部品の表面を覆う。プラスチック部品の表面は、随意的にプレコート及び/又は前処理することができる。これらは、好ましくは、プライマ層及び/又は充填剤層を有する車両構造物において一般的であるプレコーティングである、又は、それぞれの表面上の代替的又は付加的な静電前処理でもある。このタイプのプレコート及び/又は前処理は、その後の着色被覆の接着性、品質、及び耐久性に影響を及ぼすが、視覚的に知覚可能な着色には影響を及ぼさない。
【0023】
本発明によるレーダー適合性のプラスチック部品の表面の着色被覆では、個別の層の各々は、吸収特性を有するフレーク状効果顔料を含むが、金属効果顔料はない。着色被覆のうちの少なくとも2つの層は、互いに異なる幾何学的層厚さを有する。さらに、プラスチック部品の表面は、上記の多層の着色被覆とは別に、何らかのさらなる着色被覆を備えておらず、同様に、金属被覆を備えておらず、後者は、蒸着金属層としてではなく、金属効果顔料又は他の金属顔料を含む結合剤含有被覆としてでもない。
【0024】
本発明によれば、レーダー適合性のプラスチック部品の着色被覆は、多層構造を有し、好ましくは、一方が他方の上に配置された2から4層を有する。ここで、着色被覆が第1の層を有し、第1の層が、プラスチック部品の随意的にプレコート及び/又は前処理された表面上に直接位置し、この第1の層上に配置される着色被覆の個別のさらなる層の幾何学的層厚さよりも大きい幾何学的層厚さを有する場合が好都合である。
【0025】
この第1の層は、特に好ましくは、着色被覆の全てのさらなる層の幾何学的層厚さの合計よりも大きい幾何学的層厚さを有する。同様に、第1の層以外の全ての層の各々は、同じ幾何学的層厚さを有する場合が特に好ましい。
【0026】
本発明によるプラスチック部品の表面上の着色被覆内の吸収特性を有するフレーク状効果顔料は、好ましくは、銀灰色の吸収色を有するフレーク状効果顔料である。
【0027】
フレーク状干渉顔料の光学的効果は、一般に、通常フレーク状支持材料上にこのタイプの効果顔料が一般に構成される一連の薄い層の光の反射及び透過現象の組み合わせで構成される。ここでは、例えば、二酸化チタンで被覆されたフレーク状マイカ顔料など、無色で可視光線を最大限まで透過する材料のみが非常に頻繁に使用される。このような顔料は、銀色干渉色又は有色干渉色を有する可能性があるが、全体としては透明であり、マストーン(mass tone)を有していない。
【0028】
干渉顔料(このような顔料を、以下では吸収特性を有するフレーク状顔料と呼ぶ)は、フレーク状支持体又は代替的にフレーク状支持体上に位置する層のうちの少なくとも1つが、固有の色、すなわち吸収色を有する材料で構成される場合、吸収特性を達成し、従って、マストーンを達成する。これらは、着色金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸窒化物、混合金属酸化物、酸素欠乏金属酸化物、又は金属酸化物水和物とすることができる。また、干渉顔料は、有機着色顔料を含む層に起因して吸収特性を達成する。
【0029】
本発明によれば、酸化鉄(Fe(II)及び/又はFe(III))、酸化鉄及び酸化チタンを含む混合酸化物、亜酸化チタン又はオキシ窒化チタンを含むか又はこれらで構成される少なくとも1つの層を有するか、又は、炭素で構成されるか又は炭素を含む層を有する銀灰色の吸収色を有するフレーク状効果顔料は、好ましく、着色被覆内で使用される。無色透明な材料を含む1又は2以上の他の層は、さらに、フレーク状支持体上に位置することができる。
【0030】
考慮される酸化鉄又は酸化鉄水和物は、Fe23、FeO、Fe34、又はFeOOHである。酸化鉄及び酸化チタンの混合酸化物は、イルメナイト(FeTiO3)又は擬ブルッカイト(Fe2TiO5)であることが多い。適切な亜酸化チタンは、TiO、Ti23、Ti35、Ti4O7、Ti2O、Ti3O又はTi6Oである。
【0031】
酸化鉄、酸化鉄及び酸化チタンを含む混合酸化物、酸窒化チタンもしくは亜酸化チタンを含む吸収層、又は、炭素を含むか又は炭素で構成される層の層厚さは、効果顔料が銀灰色の吸収色を有するように設定される。対照的に、支持材料上に随意的に存在する他の全ての層は、吸収色に寄与しない。
【0032】
フレーク状支持材料上の適切なさらなる無色透明層は、詳細には、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム又は酸化アルミニウム水和物など、無色の金属酸化物又は金属酸化物水和物を含む層である。
【0033】
考慮されるフレーク状支持材料は、天然又は合成マイカ、カオリン、タルク又はセリサイト、さらに、また、ガラス、ホウケイ酸カルシウム、SiO2、TiO2又はAl23である。使用されるフレーク状支持体は、好ましくは、天然又は合成マイカ又はAl23フレークである。
【0034】
上記タイプのフレーク状効果顔料は、市販されている。これらは、例えば、Iriodin(登録商標) 9602 Silver-Grey SW、Iriodin(登録商標) 9605 Blue Shade Silver SW又はIriodin(登録商標)9612 Silver-Grey Fine Satin SWの商品名でMerck KGaAから入手することができる。これらは、マイカフレークに基づき、酸化鉄又は亜酸化チタニウムを含む少なくとも1つの層を有する。
【0035】
好ましくは、透明支持体フレーク上に、1又は2以上の干渉層、最終層として、炭素で構成される非常に薄い光透過層を有する吸収特性を有するフレーク状効果顔料を使用することも可能である。このような顔料は、例えば、本出願人による欧州公開第3795645号に記載されている。
【0036】
銀灰色の吸収色を有する効果顔料は、着色被覆内で吸収特性を有するフレーク状効果顔料としての使用に適することが分かっており、その理由は、着色被覆は、銀メタリック外観を有することが意図されているからである。フレーク状基材上の一連の薄い層の形の顔料構造に起因して、このタイプの効果顔料は、入射光が当たったときに視覚的に知覚可能である光沢を示す。銀灰色の吸収色は、光の直接入射の場合に十分に高い明度をもたらす。
【0037】
吸収性を有するこれらのフレーク状効果顔料は、一般に、1から100μm、特に、2から70μm、特に好ましくは、3から20μmの範囲の粒径を有する。効果顔料の厚さは、0.1から2μmの範囲である。
【0038】
フレーク状効果顔料の粒径は、レーザー回折法によって決定することができる。粒径及び体積に対する粒径分布は、好ましくは、標準モードにおいてMalvern Instruments (Malvern Mastersizer 3000, APA300,Malvern Instruments Ltd.,(イギリス)の製品)を使用して決定される。しかしながら、通常の粒径比は、公的にアクセス可能な製品情報シートの製造者データに見ることもできる。
【0039】
このサイズ範囲において、吸収特性を有する効果顔料の量及び着色被覆の総層厚さが本発明に従って設定される場合、着色被覆の十分に良好な隠蔽力を得ることができる。
【0040】
また、使用される効果顔料が異なる粒径を有する混合物に、吸収性を有するフレーク状の効果顔料を使用することは、好都合である。
【0041】
本発明によれば、着色被覆の個別の層内の吸収特性を有するフレーク状効果顔料の最小量は、(固体の)個別の層の各々の重量に基づいて、5重量%である。着色被覆の個別の層内の吸収特性を有するフレーク状効果顔料の最大量は、それぞれの層の重量に基づいて、40重量%である。これらの効果顔料は、好ましくは、層のそれぞれの重量(乾燥重量)に基づいて、着色被覆の各層内に10から30重量%の濃度で使用される。
【0042】
特に、吸収性を有するフレーク状効果顔料の含有量及びタイプが、着色被覆の個別の層において同じであることが好ましく、その理由は、それによって、本発明に従って被覆されたプラスチック体の製造工程が、顕著に簡略化され、被覆全体としての望ましくない色ずれを防止することができるからである。
【0043】
本発明の第1の実施形態では、吸収特性を有するフレーク状効果顔料とは別のさらなるフレーク状効果顔料は、着色被覆内には存在しない。
【0044】
本発明の第2の実施形態では、吸収特性を有するフレーク状効果顔料は、吸収特性なしのフレーク状効果顔料との混合物の着色被覆内に存在する。この場合、吸収性を有するフレーク状効果顔料と吸収性なしのフレーク状効果顔料の比率は、2:1から10:1の範囲である。このタイプの混合物は、好ましくは、多層着色被覆の個別の層に存在し、混合比は、各層で同じであり、特に、各層において同じフレーク状効果顔料が使用される。
【0045】
吸収性なしの適切なフレーク状効果顔料は、詳細には、銀灰色の干渉色を有する干渉顔料である。
【0046】
これらは、天然又は合成マイカ、カオリン、タルク又はセリサイトに基づき、又は、ガラス、ホウケイ酸アルミニウムカルシウム、SiO2、TiO2又はAl23など、透明無色のフレーク状支持材料に基づく。使用されるフレーク状支持材料は、好ましくは、天然又は合成マイカ又はAl23フレークである。
【0047】
フレーク状支持材料は、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物など、無色透明の金属酸化物又は金属酸化物水和物の1又は2以上の層で被覆される。このタイプのフレーク状効果顔料は、単に干渉色を有し、マストーンはない。
【0048】
様々なメーカーによって提供される市販の干渉顔料が適切である。好ましくは、銀灰色の干渉色を有する干渉顔料が使用される。ここでは一例としてMerck KGaA製Iriodin(登録商標)9103 Rutile Sterling Silver SWを挙げることができる。
【0049】
吸収性なしのフレーク状効果顔料は、1から250μm、特に、2から100μmの範囲の粒径を有する。これらの効果顔料の厚さは、0.1から2μmの範囲である。
【0050】
本発明の第2の実施態様に従ってフレーク状効果顔料の混合物が着色被覆に使用される場合、着色被覆の各層中の吸収特性を有するフレーク状効果顔料の最小割合は、既に上述したように、それぞれの層の重量に基づいて、5重量%である。各層において吸収性を有するフレーク状効果顔料の割合は、好ましくは、少なくとも10重量%であり、吸収性を有するフレーク状効果顔料及び吸収性なしのフレーク状効果顔料の合計の割合は、それぞれの層の重量に基づいて、上述の混合比を遵守して、各々の場合において、40重量%である。
【0051】
既に上述したように、各々の場合において同じ重量及び混合比の同じフレーク状効果顔料は、好ましくは、着色被覆の各層に使用される。
【0052】
本発明によれば、着色被覆の幾何学的総層厚さは、8から25μmの範囲、好ましくは、10から20μmの範囲である。
【0053】
好都合である場合、着色被覆は、被覆の光学測定値、例えば、隠蔽力(ΔE*)、明度(L*15)、及び明度フロップ(フロップ指数)に悪影響を及ぼさない限り、1又は2以上のいわゆる吸収顔料を含むこともできる。
【0054】
適切な吸収顔料は、吸収特性を有する有機又は無機顔料である。これらは、本質的に、標準的な有機吸収顔料又は無機吸収顔料である。様々な工業用塗料に通常使用される全ての吸収顔料は、この目的に使用することができる。これらは、好ましくは、10から500nm、特に、10から<100nmの範囲の粒径で入手可能である。吸収顔料の調製品は、一般に市販されている。使用される塗料系との相溶性に応じて、例えば、Heucotint(登録商標) W(Heubach, DE)、Heucotint(登録商標) UN(Heubach, DE)、MIPA WBC(Mipa, DE)、Standoblue(登録商標)(Standox GmbH, DE)、Standohyd(登録商標)(Standox GmbH, DE)、Vocaflex(登録商標)(Arichemie, DE)、Vocaplast(登録商標)(Arichemie, DE)などが考慮される。
【0055】
適切な吸収顔料は、例えば、イソインドリドン類、ベンズイミドアゾール類、キナクリドン類、Cuフタロシアニン類、ペリレン類、カーボンブラック、及び/又は、ジオキシチタンである。着色吸収顔料は、中性の無彩色を取得するために、適切な混合物で使用することができる。
【0056】
白色、灰色、黒色は、専門家の世界では通常、色とは呼ばれず、その理由は、これらは、それぞれの表面によって吸収された光の量を単に示す無彩色の光学現象であるからである。しかしながら、本発明において、対照的に、白色、灰色、黒色は、色と呼ぶことが意図される。この限りにおいて、本発明によるプラスチック部品の表面上の被覆は、本発明によれば、「着色」とも呼ぶことができるが、ここで好ましくは目的とされる「着色」は、「銀灰色」と表現することができる視覚的に銀色メタリックの印象であり、従って、光沢要素を無視する場合には白色及び黒色の混合物を表す。
【0057】
プラスチック部品の表面上の本発明による多層着色被覆の全体的な光学的効果は、塗布に関する高い隠蔽力、高い光沢、及び明瞭な光度フロップを有する本発明による被覆の均質な銀色メタリックの全体的な印象を生じる。
【0058】
ここでの隠蔽力は、L*,a*,b*色空間での被覆された基材の分光光度測定で決定することができるΔE*値から決定される。量ΔE*は、照明角45°、視野角75°の標準化された白黒背景に対するL***色空間における試料の色分解として定義され、以下の式に従って決定される。
ΔE*=√(ΔL*2+Δa*2+Δb*2
【0059】
色分解の数値が結果的に低いほど、良好に被覆は背景を隠蔽する。背景の完全な隠蔽は、一般に、非メタリック効果顔料では達成することができないが、本発明の場合には実質的に達成することができる。本発明に従って使用される着色被覆は、14±2μmの範囲の層厚さで黒色/白色の背景に塗布され、上述の測定条件下で測定すると、0から3の範囲、好ましくは、0から1の範囲のΔE*値を有する。これらの値は、本発明の目的に対して非常に良好な着色被覆の隠蔽力を示す。
【0060】
専門家の世界において被膜の明度に使用される尺度は、被覆のL*15値であり、この値は、標準化された黒色/白色背景のL*,a*,b*色空間において、照明角45°、視野角15°で測光学的に決定される。本発明による被覆として適切であるためには、これは、白色下地層上及び黒色下地層上の両方で取得される最小の明度を有する必要がある。
【0061】
着色被覆において銀灰色の吸収色を有する上記の効果顔料を使用すると、14±2μmの層厚さで黒色/白色背景の全領域に塗布され、照明角度でL*,a*,b*色空間において分光光度計で測定される場合に、被覆された白色背景上及び被覆された黒色背景上の両方で少なくとも80の明度L*15を有する、着色被覆が得られる。
【0062】
加えて、良好な明度フロップを達成することもできる。標準として、これは、フロップ指数として表され、照明角45°、鏡面角から15°、45°及び110°の非鏡面分離にて分光光度計で決定される。従って、本発明によれば、黒色被覆背景上のフロップ指数は、着色被覆が黒色/白色背景の全領域に14±2μmの層厚さで塗布され、45°の照明角及び45°(15°の時)、45°(45°の時)、45°(110°の時)の視野角で、L*,a*,b*色空間において分光光度計で測定した場合、少なくとも12辺りである。
【0063】
通常、本技術分野において、フロップ指数は、様々な視野角での明度フロップの尺度とみなされ、以下の式に従って決定される。
【0064】
上限値を引き合いに出すことは、明度L*15の場合又はフロップ指数の場合のいずれでも適切ではなく、その理由は、両方の量は、開放上限(open upper limit)を有し、各々の場合において記載された最小値を超える測定結果は、記載された範囲内の隠蔽力の観察時に、全体的な光学結果にプラスの影響を及ぼすからである。
【0065】
分光光度測定方法及び計器に関する詳細は、実施例の部分に記載されている。
【0066】
意外にも、本発明によるプラスチック基材上の多層着色被覆は、同じ総層厚さ(乾燥層厚さ)の単層被覆と比較して、明度に関して又はフロップ指数によって示される明度フロップに関しても、有意に良好な特性を示すことが分かっている。これは、自動車のレーダーデバイスのカバー部品としての使用に関する本発明に従って被覆されたプラスチック部品の適合性を広くする。本発明によるプラスチック部品の着色被覆は、視覚的に標準的な金属被覆に非常に類似している。同時に、金属で構成されるか又は金属層を含む効果顔料の回避によって、良好なレーダー波透過性が保証され、その結果、車両内部に設置されたレーダーデバイスは、視認されず且つその機能は許容されないほど損なわれない。
【0067】
本発明によるプラスチック部品上の着色被覆は、上下に配置された2層又はそれ以上、好ましくは3層又は4層で構成される。ここでの着色被覆の総乾燥層厚さは、8から25μmの範囲である。
【0068】
本発明によるプラスチック部品の表面に直接位置する着色被覆の第1の層の乾燥層厚さは、好ましくは、少なくとも5μm、より好ましくは、8μm以上であり、最大乾燥層厚さを有する着色被覆の層を表す(プラスチック部品の表面は、随意的に、上述したように、プレコート及び/又は前処理することができ、前処理及び/又はプレコートは、知覚可能な色印象を決定するものではない)。
【0069】
着色被覆の全てのさらなる層は、好ましくは、第1の層よりも小さい乾燥層厚さを有し、層のうちの少なくとも1つ、好ましくは、層のうちの2又は3は、各々の場合において<5μmの乾燥層厚さを有する。特に、さらなる層の少なくとも1つの乾燥層厚さは、≦4μm又は≦3μm、特に好ましくは、約2μmである。これらの極端に小さい層厚さは、特に、さらなる層のうちの2又は3に存在することができ、第1の層を除く全ての層が同じ小さい乾燥層厚さを有する場合には特に好ましい。
【0070】
プラスチック部品に視覚的に魅力的な着色被覆を施すためにこのような薄い多層層構造を組み合わせることができるために、個別の層の滑らかな表面が必要である。これらは、プラスチック部品の表面に対して実質的に平行に配置される着色被覆の個別の層間の界面から生じる。界面は、着色被覆の個別の層の塗布後の中間乾燥によって取得される。中間乾燥の為に、個別の層内の吸収性を有するフレーク状効果顔料、及び、第2の実施形態における個別の層内の吸収性なしのフレーク状効果顔料は、それらの主軸がプラスチック部品の表面又はプラスチック部品の表面上のプレコートとほぼ平行に整列し、従って、着色被覆の個別の層において入射光の良好な反射が達成される。
【0071】
ここでの個別の層の顔料充填は、同様に、吸収特性を有するフレーク状効果顔料の少なくとも5重量%であり、各々の場合において、個別の層の重量に基づいて、合計で最大でフレーク状効果顔料の40重量%である。好ましくは、吸収性を有するフレーク状効果顔料の10から30重量%は、着色被覆の各層内で使用される。
【0072】
本発明の意味での「レーダー適合性」とは、76.5GHzのピーク周波数を有する電磁波へ曝された状態で<30の誘電率を有する被覆を意味する。さらに、350μmのPET基材上の被覆は、76.5GHzのピーク周波数を有する電磁波へ曝された状態で一方向透過減衰が2dB未満であることが必要である。
【0073】
被覆の誘電率及び基材上の被覆の一方向透過減衰の測定は、perisens GmbH社(ドイツ)製RMS-D-77/79G装置を標準モードで使用して実行される。
【0074】
着色被覆に使用される結合剤は、固化された状態で透明に見える従来の結合剤及び結合剤系である。ここでは、従来の被覆工程で使用され、使用される顔料に適合する全ての標準的な結合剤タイプに頼ることができる。溶剤ベースの結合剤系、水性結合剤系、放射線硬化性結合剤系は、顔料の選択及び被覆工程に関して本技術分野で常套である特殊要因が観察される限り、同様に使用することができる。
【0075】
着色被覆は、例えば、充填剤、抑制剤、防炎剤、滑剤、レオロジ助剤、分散剤、再分散剤、消泡剤、流動制御剤、皮膜形成剤、接着促進剤、乾燥促進剤、光重合開始剤など、本技術分野で常套であるさらなる添加剤を含むことができる。
【0076】
第2の所望される乾燥層の場合、存在する場合、5μm未満の範囲にある着色被覆の各々のさらなる層の場合、一般的にレオロジ助剤の使用が指示される。考慮されるレオロジ助剤は、例えば、BaSO4、ポリアミド粉末、ケイ酸塩又は当業者に周知である他のレオロジ助剤のような物質であるが、特に、セルロース系ナノファイバである。後者は、特に好ましく使用される。これらのレオロジ助剤は、各々の場合において、被覆される表面上の首尾一貫した特に薄い顔料含有層の形成を可能にする。
【0077】
使用される結合剤系に応じて、着色被覆の製造に使用される被覆組成物は、随意的に、有機溶剤及び/又は水も含むが、これらは、個別の層の固化又は乾燥後、本発明によるプラスチック部品の着色被覆中にはもはや存在しない。本技術分野において常套である溶剤系を制限なく使用することができる。
【0078】
溶剤及び添加剤を含む、結合剤系の対応する組成物は、当業者に十分に知られており、場合によっては、未着色の状態で完成品としても市販されている。対応する選択は、使用されることになるそれぞれの顔料及び所望の被覆工程に基づいて、当業者によって行うことがでる。
【0079】
多層着色被覆が塗布されるプラスチック部分のように、被覆がレーダー適合性であることが意図される場合には、プラスチック板又はフィルムが考慮される。自動車構造物で通常使用されるプラスチックをここで使用することができ、少数だけを挙げれば、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PUR)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-エチレン-スチレン(AES)の基材である。このタイプのプラスチック板又はプラスチックフィルムは、ある程度のレーダー信号の基本減衰を有し、これは、その上に位置する着色被覆に起因してわずかな増加のみを受ける必要がある。本発明によるプラスチック部品のレーダー適合性に関して、それぞれのプラスチック基材に起因して存在するレーダー信号の一方向透過に関する基本減衰の値は、測定値に含まれる。プラスチック基材のみによって引き起こされるレーダー信号の一方向透過の基本減衰は、実施例4において別途に示す。被覆のみによって引き起こされるレーダー信号減衰の測定は、技術的な設備関連の理由から不可能である。
【0080】
着色被覆が純粋に光学的な理由から何らかの基材に塗布されることが意図される場合、及び、関心が被覆のレーダー適合性にない場合に、同様にメタリック又は金属含有基材を使用することは、もちろん可能である。
【0081】
プラスチック部品は、用途に応じて3次元的な形状とすることができること、すなわち、3次元的な外形を有することができることは言うまでもない。従って、例えば、自動車のテールゲートの構成要素を形成することが意図されるプラスチック板は、当然、バンパーとして意図されるプラスチック板とは異なる3次元外形を有する。一般に、プラスチック部品の3次元形状は、着色被覆の塗布前に、従来の成形工程によって生成される。
【0082】
本発明によるプラスチック部品の不可欠な中核要素は、上述の多層着色被覆である。加えて、同様に本発明によるプラスチック部品の一部とすることができるさらなる層は、随意的に、プラスチック部品のプラスチック表面と着色被覆の第1の層との間及び/又は着色被覆より上方に位置することもできる。
【0083】
プラスチック部品のプラスチック表面と着色被覆との間に随意的に位置することができる1又は2以上の層は、既に上述したように、プライマ層又は充填剤層である。このような追加的な層は、随意的に、それぞれの基材への塗料層の接着性を向上させるため、及び/又は、塗料層の機械的及び化学的強度を向上させるために、自動車構造物に使用されることが多い。これらは、ブライマ層であり、これは、被覆されたプラスチック部品の視覚的に知覚可能な色を決定するものではない。対照的に、最外層は、好ましくは、着色被覆の耐候性を向上させるためにも着色被覆の表面に塗布される。このタイプの層は、通常、クリアコートといい、一般的に、透明無色であるように設計されるが、極めて少量の顔料を含むこともできる。本発明によるプラスチック製品は、ブライマ層及び/又はクリアコートを好都合に有することもできる。本発明によれば、産業的に幅広く使用され、従ってさらなる説明を必要としない全ての従来材料を使用することができる。
【0084】
本発明に従って被覆されたプラスチック部品は、好都合には全ての場合に使用することができ、ここでは、レーダーデバイスはカバーを備え、カバーは、レーダーデバイスの機能性が悪影響を受けることなく、視覚的に銀色効果仕上げを有する。これは、当然、詳細には車両構造物に使用されるカバー部品に適用される。本発明に従って被覆されたプラスチック部品は、好ましくは、車両部品である。その良好な光学的特性のおかげで、このような着色被覆は、もちろん、従来の銀色メタリック仕上げに可能な限り視覚的に対応することが意図される全てのタイプの仕上げに使用することもできる。また、存在するレーダー波透過性は、ここで従属的役割を果たすことができ、対応する使用領域は自動車製造に限定されない。
【0085】
また、本発明は、レーダー適合性のプラスチック部品の製造のプロセスに関し、このプロセスにおいて、金属効果顔料がなく、吸収特性を有するフレーク状効果顔料を含む着色被覆が、プラスチック部品の随意的にプレコート及び/又は前処理された表面に塗布され、着色被覆は、上下に配置される複数の層で塗布され、吸収特性を有するフレーク状効果顔料は、各層内に存在し、層のうちの少なくとも2つは、互いに異なる幾何学的層厚さを有し、乾燥は、各層の塗布後に実行され、プラスチック製品の表面は、さらなる着色又は金属被覆を有していない。
【0086】
適切なプラスチック部品及び多層着色被覆の材料組成に関する全ての材料の詳細は、既に上記で説明した。その範囲内で、ここで参照する。
【0087】
随意的に前処理されたプラスチック部品の表面への着色被覆の個別の層の塗布は、従来の被覆プロセス、例えば、スプレープロセス、インモールドプロセス、ローラーコーティングプロセス、カーテンコーティングプロセス、又は静電塗布プロセスによって実行することができる。
【0088】
このタイプのコーティングプロセスは、大規模産業において標準的であり、技術に従って使用することができる。
【0089】
好ましくは、スプレープロセス又は静電塗布プロセスが使用される。
【0090】
単一のスプレー操作で5から25μmの乾燥層厚さを得ることができる従来のスプレー技術は、着色被覆の第1の層の生成に適する。この塗布ステップは、中間乾燥によって完了される。
【0091】
しかしながら、<5μmの乾燥層厚さを有する着色被覆の第2の層及び存在する場合には各さらなる層の塗布については、スプレープロセスが特に適合し、スプレープロセスは、個別の層の非常に小さい乾燥層厚さで、上下に配置される層を、複数の作業ステップで、着色被覆の第1の層に対して連続的に塗布することができる。これらの好ましくは1から3の層は、各々の場合において、各個別の層の塗布後に同様に乾燥され、その結果、界面が個別の各層(part-layers)の間に形成される。個別の層の乾燥温度は、それぞれの結合剤系及び使用される溶剤に左右され、少なくとも20℃である。最大150℃まで、好ましくは、最大100℃までの温度を使用することができる。
【0092】
ここでの着色被覆内の吸収特性を有するフレーク状効果顔料の量は、個別の層の各々について、乾燥層の重量に基づいて少なくとも5重量%であるが、10から40重量%の範囲、特に、10から30重量%の範囲とすることができる。層のうちの少なくとも1つの乾燥層厚さは、<5μm、好ましくは、≦4μm、特に、≦3μm又は約2μmである。好ましくは、2又は3の層は、このような小さな層厚さを有する。
【0093】
個別の層の非常に小さい乾燥層厚さの場合の着色被覆のそれぞれの層における高い顔料濃度は、それぞれの被覆組成物における結合剤の割合を非常に大幅に低減し(固形分含有量は約6から7重量%)、溶剤(好ましくは水)の割合を大幅に増大させることによって確立することができる。このタイプの非常に希薄な被覆組成物が、被覆される表面上に連続的な被覆膜を形成することができるように、様々な補助剤、詳細にはレオロジ補助剤が添加され、レオロジ補助剤は、被覆組成物の適切な粘度が確立されることを保証し、その結果、これは、スプレープロセスによって背景に塗布することができ、良好な流動特性を呈することができる。その後の乾燥プロセスの過程で、フレーク状効果顔料の非常に高い割合を有する小さな固形塊は、単一層としてそれぞれの背景上に残り、この単一層内には効果顔料が存在し、効果顔料の主軸は、それぞれの被覆された表面に対して良好に、本質的に平行に整列している。
【0094】
レオロジ助剤として、セルロース系ナノファイバは、好ましくは、それぞれの被覆組成物の重量に基づいて、5から20重量%の量で添加される。
【0095】
上下に配置された個別の層の多重塗布及びこれらの層のそれぞれの中間乾燥に起因して、多層着色被覆内のフレーク状効果顔料は、特に良好に配向させることができ、その結果、着色被覆の表面での入射光の高い反射が得られる。これによって、特に着色被覆の明度フロップが向上し、被覆の高い隠蔽力及び良好な全体的明度を同時に達成することができる。従って、着色被覆が実質的に銀色金属被覆に視覚的に対応するが、良好なレーダー適合性を有する被覆プラスチック部品は、着色被覆内に吸収特性を有するフレーク状効果顔料を用いて、全体としての被覆内に全てのタイプの金属顔料を使用することなく得ることができる。
【0096】
着色被覆は、好ましくは8から25mの範囲にある総乾燥層厚さで塗布される。
【0097】
詳細には、着色被覆の塗布は、スプレープロセスで、2から4の層を連続的に、各々の場合で上下に塗布することによって2から4のステップで実行され、各層内の吸収特性を有するフレーク状効果顔料の量は、それぞれの層の乾燥重量に基づいて、少なくとも5重量%であり、乾燥プロセスは、各層の塗布後に少なくとも20℃の温度で実行される。
【0098】
予め設定されたレーダー特性を有する使用されるプラスチック部品の表面は、随意的に、例えば、既に上述したように、1又は2以上のプライマ層又は充填剤層で、静電的に前処理及び/又はプレコートすることができる。しかしながら、全体としての被覆のレーダー適合性を保証するために、プラスチック部品の表面に随意的に追加的に存在する層のいずれも、金属効果顔料、他の金属顔料、金属層、又は、全体としての被覆の必須のレーダー波透過性を損なう可能性のある他の成分を含まないことを保証する必要がある。
【0099】
ブライマ層でのプラスチック部品の表面プレコートは、好都合であり、その理由は、このようなプレコート層が、とりわけ、全体としての被覆の機械的安定性、及び基材への層パッケージの第1の層の接着性を向上させるからである。加えて、可視光線に対して概して無色透明であるように設計される最外層のクリアコートは、被覆の機械的安定性及び耐候性に特に好都合である。本発明においても、最外層のクリアコートは、好ましくは、全体としての被覆の最外層として着色被覆の表面に塗布される。また、2%未満のPMCを有する吸収顔料又は効果顔料を含むクリアコートは、技術的応用で時折使用される。本発明によれば、このようなクリアコートは、着色を意味せず、同様に、本発明に従ってプラスチック部品の表面に使用することができる。
【0100】
全体としての被覆は、着色被覆の塗布及び乾燥後及び/又はクリアコートの塗布後に実行される、少なくとも1回の硬化工程を受けることは言うまでもない。詳細には自動車分野における、プラスチック基材を含む基材上の被覆の硬化は、本技術分野において標準的な工程であり、これ以上詳細に説明する必要はない。
【0101】
また、本発明は、車両部品として、詳細にはレーダー適合性の車両部品として金属効果顔料がない着色被覆を塗布した上述のプラスチック部品の使用に関する。これは、例えば、車両内部に設置されたレーダーデバイス用の外側カバー又は遮蔽部品として意図される外部車体部品として使用することができる。言及することができる車体部品は、詳細には、バンパー、テールゲート、ラジエータグリル、ウィング、又はその部品である。もちろん、着色被覆は、言及したもの以外の車両部品、及び、特にメタリック仕上げの視覚的外観のみに関心がありレーダー適合性は必要ではない場合には、金属含有基材に適用することもできる。後者の場合、本発明の適用領域は、同様に車両構造物に限定されない。
【0102】
本発明は、以下、実施例を参照して説明されるが、これに限定されるものではない。
【実施例
【0103】
着色被覆の光学特性を測定するため、これらは、標準化された黒色/白色被覆のLeneta製パネル(白色及び黒色の標準被覆がそれぞれの部品領域に存在する)に塗布される。被覆は、空圧スプレーコーティングとして実行される。使用される結合剤は、MIPA SE(ドイツ)の調合WBC000である。最後に、全ての試料は、標準的な2成分型クリアコートで被覆される。
【0104】
フレーク状効果顔料の様々な混合物が、着色被覆に使用される。
【0105】
効果顔料1:マイカに基づく吸収特性を有する効果顔料、被覆はSnO2、TiO2、酸化鉄及び助剤を含み、粒径<15μm、銀灰色の吸収色である。
【0106】
効果顔料2:マイカに基づく吸収特性なしの効果顔料、被覆はSnO2、TiO2及び補助剤を含み、粒径<100μm、銀灰色干渉色である。
【0107】
被覆組成物の混合比は、以下の通りである。
組成物A: 顔料1:顔料2=約3:1
組成物A’: 顔料1:顔料2=約3:1
組成物B: 顔料1:顔料2=約8:1
組成物B’: 顔料1:顔料2=約8:1
【0108】
各組成物は、標準的な吸収顔料(PMCで0.55%存在)をさらに含む。
【実施例1】
【0109】
着色被覆の隠蔽力を測定するために、固形被覆の重量に基づいて、各々の場合において28重量%の顔料質量濃度を有する被覆組成物A、A’、B及びB’を、標準化された白黒被覆されたパネルに、一回の被覆操作(比較)及び本発明によるマルチコート塗布の両方で塗布し、各塗布工程の後に80℃で5分間乾燥させる。本発明によるマルチコート塗布の場合、着色被覆を4層で塗布する(各々の場合において28重量%のPMC、層厚さ9、2、2、2μm、各々の場合において80℃で5分間乾燥)。より低い色分解ΔE* 75°が現れるほど、それぞれの着色被覆の隠蔽力は良好である。
【0110】
表1:隠蔽力

層:着色被覆の層数、
1層:比較
4層:本発明
PMC:各層内の着色顔料の質量濃度
DLT:着色被覆全体の乾燥層厚さ
*:視野角15°、照明角度45°でのL***色空間における明度値L*
ΔE*:以下の式に従って求められた、標準化された白黒背景(照明角45°、視野角75°)にわたるL***色空間における試料の色分解
ΔE*=√(ΔL*2+Δa*2+Δb*2
【0111】
フロップ指数:以下の式に従って求められた各種視野角(照明角45°、視野角45°(15°時)、45°(45°時)、45°(110°時))での明度フロップの尺度。
【実施例2】
【0112】
それぞれの被覆の明度を決定するため、塗布組成物A、A’、B及びB’を、実施例1と同様に、それぞれの黒色背景に塗布する。空圧スプレー塗布プロセスに加えて、静電プロセスを使用するが、その理由は、静電塗布プロセスが、OEM被覆設備で標準的に使用されるからである。より大きい明度値L*15が現れるほど、単にアルミニウム顔料で不透明着色された被覆を視覚的に良好に模倣することができる。
表2:明度
【0113】
本発明による着色層構造の場合、対応する被覆組成物の単一塗布の場合の明度値を超える高い明度値は、各被覆プロセス及び使用される効果顔料混合物の各々で得ることができる。
【実施例3】
【0114】
フロップ指数を測定するために、実施例2で製造された全ての被覆を再測定する。
表3:フロップ指数
【0115】
一般的にアルミニウム顔料を含む従来の銀金属被覆は、約12から17の範囲のフロップ指数を有する。この範囲は、本発明による着色被覆が塗布された全ての基材で達成することができる。
【0116】
試料の比色測定を、SMC5モードでモデルBYKMac i比色計(Byk-Gardner社製)を使用して実行する。
【0117】
ここで基材として使用される黒/白パネルは,ASTM E 1347規格に準拠し,Leneta社からMetopac T12Gパネルという名称で販売されている。
【0118】
これらの表から、銀灰色の吸収色を有するフレーク状効果顔料及び銀灰色の干渉色を有するフレーク状効果顔料を含むここで使用した混合物の各々を有する着色被覆、及び、使用した被覆プロセスの変種の各々は、良好な明度及び良好な明度フロップと同時に非常に高い隠蔽力を達成し、従って、アルミニウム顔料を含む金属被覆を良好又は非常に良好な様式で視覚的に模倣することができることが分かる。金属顔料は、被覆内に存在しないので、プラスチック基材上の対応する被覆によるレーダー波の著しい減衰は予期されない。
【実施例4】
【0119】
レーダー波透過率を決定するために、350μmの厚さを有するPETフィルム(Hostaphan RN 350, Mitsubishi Polyester Film GmbH(ドイツ))を各々の場合で基材として使用する。被覆は、空圧スプレーコーティングとして実行する。使用される結合剤は、MIPA SE社のWBC 000である。
【0120】
各々の場合で塗布される着色被覆は、各々の場合で1層又は4層内に銀灰色の吸収色又は銀灰色干渉色を有する表4に示す効果顔料混合物を含む層であり、実施例1に記載されるように乾燥させた。
【0121】
表4は、それぞれの層構造の絶縁定数(誘電率)及び単一ビーム通過(76.5 GHz)のレーダー信号の減衰量(dB)を示す(計器:perisens GmbH(ドイツ)製のRMS-D-77/79G、標準モード)。
【0122】
非被覆PET基材は、約3.0の誘電率及び1.05dBのレーダー波減衰を有する。
【0123】
市販のアルミニウム顔料を含み、18重量%のPMC及び約22μmのDLTを有するPET基材上に単層を含む被覆は、比較のため同じ測定条件下で約74.9の誘電率、及び、約4.5dBのレーダー信号の一方向減衰を有する。
表4:レーダー波透過率
【0124】
多段階式の被覆プロセスは、プラスチック部品(ここではプラスチックフィルム)上の、単に金属を含まない効果顔料で着色された着色被覆のレーダー波透過性を悪い方向に変えない。従って、本発明によるプラスチック部品は、良好なレーダー波透過性を有する。
【国際調査報告】