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特表2024-515095冷凍システムの冷却ループの接続及び切り離し
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-04
(54)【発明の名称】冷凍システムの冷却ループの接続及び切り離し
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20240328BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240328BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
F25B45/00 A
F25B1/00 391
F25B49/02 520B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564108
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2022053739
(87)【国際公開番号】W WO2022224191
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2105816.9
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ケイル カウスタブ
(57)【要約】
冷凍システムを冷却ループに接続する又はそこから切り離す際に冷媒の漏れが抑制されるように、半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御するための制御システムが開示される。制御システムは、冷凍システムから冷媒を供給するための供給経路と冷却ループの入口とを選択的に遮断又は接続するように構成された入口バルブと;冷媒を冷凍システムに戻すための戻り経路と、冷却ループの出口とを選択的に遮断又は接続するように構成された出口バルブと;冷凍システムの冷媒を回収するための冷媒回収経路と、冷却ループとを選択的に遮断又は接続するように構成された冷媒回収バルブと;冷却ループ内の冷媒の圧力を判定するための圧力センサと;冷却ループの切り離し及び接続コマンドを受け取るための入力部と;圧力センサからの信号及び入力からのコマンドを受け取り、それに応答して入口バルブ、出口バルブ、及び冷媒回収バルブの開閉を制御するための制御信号を生成するように構成された制御回路と;を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御するための制御システムであって、前記冷凍システムを前記冷却ループに接続する又はそこから切り離す際に冷媒の漏れが抑制されるようになっており、
前記冷凍システムから冷媒を供給するための供給経路と前記冷却ループの入口とを選択的に遮断又は接続するように構成された入口バルブと、
冷媒を前記冷凍システムに戻すための戻り経路と前記冷却ループの出口とを選択的に遮断又は接続するように構成された出口バルブと、
前記冷凍システムの冷媒を回収するための冷媒回収経路と前記冷却ループとを選択的に遮断又は接続するように構成された冷媒回収バルブと、
前記冷却ループ内の冷媒の圧力を判定するための圧力センサと、
前記冷却ループの切り離し及び接続コマンドを受け取るための入力部と、
前記圧力センサからの信号及び前記入力部からの前記コマンドを受け取り、それに応答して前記入口バルブ、前記出口バルブ、及び前記冷媒回収バルブの開閉を制御するための制御信号を生成するように構成された制御回路と、
を備える、制御システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記冷却ループの切り離しコマンドを受け取ることに応答して、
前記冷凍システムの圧縮機をオフに制御し、
前記入口バルブ及び前記出口バルブを閉じるように制御し、
前記冷媒回収バルブを開くように制御し、
前記ポンプを作動させ、前記冷却ループから前記冷媒回収経路に沿って前記冷凍システムの方へ冷媒をポンプ送給し、
前記圧力センサからの前記冷却ループ内の圧力を判定し、前記圧力が所定の排気値を下回ることに応答して、
前記ポンプをオフに制御し、
前記冷媒回収バルブを閉じるように制御し、
所定時間後、前記冷却ループ内の前記圧力が所定量を超えて上昇しているか否かを判定し、上昇していない場合、前記冷却ループを前記冷凍システムから安全に切り離すことができる旨の表示を生成する、
ように構成される、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記ポンプは、前記圧縮機を含む、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
ポンプをさらに備え、前記ポンプは、前記冷媒回収経路に沿って前記冷却ループから冷媒をポンプ送給するように構成される、請求項2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御システムは、前記冷媒回収経路上に設けられたバッファ容積と、前記冷媒回収経路と前記圧縮機とを選択的に遮断又は接続するように構成されたさらなるバルブとをさらに備え、前記制御回路は、前記さらなるバルブを、前記ポンプを作動させる前に閉じるように制御するように構成されており、作動時に、前記ポンプが前記冷却ループから前記バッファ容積に前記冷媒をポンプ送給するようになっている、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御システムは、前記戻り経路と前記圧縮機とを選択的に遮断又は接続するように構成された戻り経路バルブをさらに備え、前記制御回路は、前記入口バルブ及び前記出口バルブを閉じるように制御する際に、前記戻り経路バルブを閉じるように制御するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記制御システムは、前記圧縮機からより暖かい冷媒を供給するためのより暖かい冷媒バイパス経路を選択的に遮断又は接続するように構成されたバイパスバルブをさらに含み、前記制御回路は、前記入口バルブ及び前記出口バルブを閉じるように制御する際に、前記バイパスバルブを閉じるように制御するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御システムは、トレースガス供給源と、前記トレースガス供給源と前記冷却ループとを選択的に遮断又は接続するように構成されたトレースガスバルブとを備え、前記制御回路は、前記トレースガスバルブを制御するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記制御システムは、前記冷却ループとポンプとを選択的に遮断又は接続する排気バルブを備え、前記制御回路は、前記排気バルブを制御するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記制御システムは、冷却ループの接続コマンドを受け取ることに応答して、
前記入口バルブ、前記出口バルブ、前記冷媒回収バルブ、及び前記排気バルブを閉じるように制御し、
前記トレースガス供給源からのトレースガスが前記冷却ループに流入するように、前記トレースガスバルブを開くように制御し、
前記冷却ループ内の圧力を判定し、前記圧力が所定の漏れ試験値を超えて上昇したことに応答して、
前記トレースガスバルブを閉じるように制御し、
所定時間後、前記冷却ループ内の前記圧力が所定の漏れ試験量を超えて降下しているか否かを判定し、降下していない場合、
前記冷却ループからトレースガスが排気されるように、前記排気バルブを開くように制御し、
前記冷却ループ内の圧力を判定し、前記圧力が所定の排気値を下回って降下したことに応答して、
前記排気バルブを閉じるように制御し、
前記冷却ループ内の圧力を判定し、前記圧力が所定の漏れ量未満で上昇したことに応答して、前記冷却ループが前記冷凍システムに正しく接続されていることを表示する、
ように構成される、請求項8及び9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記冷却ループが前記冷凍システムに正しく接続されているという表示に応答して、前記さらなるバルブを開き、所定の時間後に、前記冷凍システムを開始する前に前記さらなるバルブを閉じるように構成されている、請求項5に従属する場合の請求項10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記冷凍システムの始動の表示に応答して、
前記冷媒回収バルブ、前記トレースガスバルブ、及び前記排気バルブを閉じるように制御し、
前記入口バルブ及び前記出口バルブを開くように制御し、
前記圧縮機を作動させる、
ように構成されている、請求項10又は11に記載の制御システム。
【請求項13】
半導体処理チャンバ内の冷却ループに冷媒を供給するための冷凍システムであって、
圧縮機と、
前記圧縮機から前記冷却ループに冷媒を供給するための冷媒供給経路と、
前記冷却ループから冷媒を受け取り、前記冷媒を前記圧縮機に戻すための冷媒戻り経路と、
前記冷媒供給経路と前記冷媒戻り経路との間で熱交換を行うための少なくとも1つの熱交換器と、
請求項1から12のいずれか一項に記載の制御システムと、
を備える、冷凍システム。
【請求項14】
半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御する方法であって、前記冷却ループから前記冷凍システムを切り離す際に冷媒の漏れが抑制されるようになっており、
前記冷凍システムの圧縮機をオフに制御するステップと、
冷媒供給経路の入口バルブ及び冷媒戻り経路の出口バルブを閉じるように制御するステップと、
冷媒回収経路の冷媒回収バルブを開くように制御するステップと、
ポンプを作動させて、前記冷却ループから前記冷媒回収経路に沿って前記冷凍システムの方に冷媒をポンプ送給するステップと、
前記冷却ループ内の圧力を判定し、前記圧力が所定の排気値を下回ることに応答して、
前記ポンプをオフに制御するステップと、
前記冷媒回収バルブを閉じるように制御するステップと、
所定時間後、前記冷却ループ内の前記圧力が所定量を超えて上昇しているか否かを判定し、上昇していない場合、前記冷却ループを前記冷凍システムから安全に切り離すことができる旨の表示を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御する方法であって、前記冷凍システムを前記冷却ループに接続する際に冷媒の漏れが抑制されるようになっており、
入口バルブ、出口バルブ、冷媒回収バルブ、及び排気バルブを閉じるように制御するステップと、
トレースガス供給源からのトレースガスが前記冷却ループに流入するように、トレースガスバルブを開くように制御するステップと、
前記冷却ループ内の圧力を決定し、前記圧力が所定の漏れ試験値を超えて上昇したことに応答して、
前記トレースガスバルブを閉じるように制御するステップと、
所定時間後、前記冷却ループ内の前記圧力が所定の漏れ試験量を超えて降下しているか否かを判定し、降下していない場合、
前記冷却ループからトレースガスが排気されるように、前記排気バルブを開くように制御するステップと、
前記冷却ループ内の圧力を判定し、前記圧力が所定の排気値を下回って降下したことに応答して、
前記排気バルブを閉じるように制御するステップと、
前記冷却ループ内の圧力を決定し、前記圧力が所定の漏れ量を下回って上昇したことに応答して、
前記冷却ループが前記冷凍システムに正しく接続されていることを示す表示を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
プロセッサによって実行されると、請求項14又は15に記載の方法を実行するように前記プロセッサを制御するように構成されているコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、半導体処理チャンバ内の冷却ループを冷凍システムに接続する又はそこから切り離す際に冷媒の流れを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハをこれまで以上に低い温度まで冷却するための新たな発展した要件に伴い、業界では、熱伝達媒体として二次的な熱伝達流体を使用する代わりに、冷媒を使用して半導体ウェハを直接冷却することが押し進められている。従来の熱伝達流体は液体であったが、直接冷却を利用する場合、冷媒は液相、気相、又は混合相とすることができる。冷媒の相変化の能力は熱伝達の観点からは有利であるが、冷却装置(半導体チャック、冷却プレートなど)を冷凍システムに接続する又はそこから切り離す必要がある場合には、特別な課題を生じる。
【0003】
冷媒を環境に放出するのを許すことは違法であり、環境的にも無責任である。従って、冷却装置を冷凍システムから切り離す際には、冷媒が大気に放出されないように注意する必要がある。これを実現するためには、冷却装置を切り離す前に、冷却装置及び接続配管内の冷媒が実質的に全て排気されるのを保証する複雑なプロセスに従う必要がある。
【0004】
逆に、冷却装置を設置又は接続する場合、半導体ウェハの処理を開始する前に、システムの漏れ試験を行う必要がある。冷媒の漏れをゼロ又はほぼゼロにするために必要なプロセスは複雑であり大きな労力を要する。
【0005】
半導体プロセスチャンバは一般的にクリーンルーム内にあり、サブファブ内とすることができる冷凍システムから離れている。これは、接続又は切り離しをより複雑にする。さらに、このようなシステムは、冷凍システムを従来のシステムよりも定期的に冷却ループから切り離すことを必要とする場合があり、接続/切り離しプロセスが効率的で、信頼性が高く、再現可能であることがより重要になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、冷凍システムを冷却ループに接続する又はそこから切り離す際に冷媒の漏れが抑制されるように、半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御するための制御システムを提供し、制御システムは、冷凍システムから冷媒を供給するための供給経路と冷却ループの入口とを選択的に遮断又は接続するように構成された入口バルブと;冷凍システムに冷媒を戻すための戻り経路と冷却ループの出口とを選択的に遮断又は接続するように構成された出口バルブと;冷凍システムのための冷媒を回収するための冷媒回収経路と冷却ループとを選択的に遮断又は接続するように構成された冷媒回収バルブと;冷却ループ内の冷媒の圧力を判定するための圧力センサと;冷却ループの切り離し及び接続コマンドを受け取るための入力部と;圧力センサからの信号及び入力部からのコマンドを受け取り、それに応答して入口バルブ、出口バルブ及び冷媒回収バルブの開閉を制御するための制御信号を生成するように構成された制御回路と、を備える。
【0007】
本発明の発明者は、冷凍システムに直接冷却された冷却ループを接続する及びそこから切り離すことに関連する問題、詳細には、そのようなプロセスに伴う環境への冷媒の漏れの可能性に関連する問題を認識している。さらに、ループが定期的に接続される及び切り離される場合、これは、漏れを最小限に抑えるだけでなく、再現性があり、信頼性が高く、効率的な方法で実行されることが重要である。
【0008】
信頼性及び再現性を保証し、実際に効率を向上させる1つの方法は、このようなプロセスを自動化することである。従って、本発明者は、制御回路及び自動的に制御されるバルブを備えた冷凍システムを提供することで、手動による介入を最小限に抑え、別個の冷凍回収ユニットを必要としない内蔵システムで、接続及び切り離しプロセスを自動的に制御できるようにした。
【0009】
このようなシステムでは、冷却ループへの冷媒の流れ又は冷却ループからの冷媒の流れを制御することができ、圧力センサにより冷却ループの状態を監視することができ、制御回路は、圧力センサからの測定値に自動的に応答して、冷媒の流れ、及びシステムの様々な部分の接続及び遮断を制御することができる。
【0010】
バルブは、適切なタイミングで冷却ループと冷凍システムとを遮断又は接続するために制御することができ、ポンプは、冷媒を移動させるために使用される。このように、最小限の手動介入で冷媒の流れ及び遮断を信頼性及び再現性のある方法で制御できる自動制御構成要素を有するシステムが提供される。従って、システムは、冷凍システム及び冷却ループを、安全で漏れのない方法でループの接続又は切り離しを可能にする適切な状態に自動的に置くことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、制御回路は、冷却ループの切り離しコマンドを受け取ることに応答して、冷凍システムの圧縮機をオフに制御し;入口バルブ及び出口バルブを閉じるように制御し;冷媒回収バルブを開くように制御し;ポンプを作動させ、冷却ループから冷媒回収経路に沿って冷凍システムの方へ冷媒をポンプ送給し;圧力センサからの冷却ループ内の圧力を判定し、圧力が所定の排気値を下回ることに応答して、ポンプをオフに制御し;冷媒回収バルブを閉じるように制御し;所定時間後、冷却ループ内の圧力が所定の量を超えて上昇しているか否かを判定し、上昇していない場合、冷却ループを冷凍システムから安全に切り離すことができる旨の表示を生成する;ように構成される。
【0012】
切り離しコマンドを受け取ると、制御回路は、圧縮機をオフにすることによって冷凍プロセスを停止し、次に、冷却ループへの冷媒供給経路及び戻り経路を接続する入口バルブ及び出口バルブが閉じられるのを保証する。次に、制御回路は、冷媒回収バルブを開くように制御し、これにより冷却ループから冷凍システムに向かう流体流路が提供される。次に、冷却ループからこの経路に沿って流体をポンプ送給するためにポンプが作動し、冷却ループ内の圧力が監視される。圧力が冷却ループ内に冷媒がほとんど残っていないことを示す低い値まで降下すると、ポンプはオフになり、冷媒回収バルブが閉じられ、これら2つのステップは、同時に又はいずれかの順序で行うことができる。所定時間後、冷却ループ内の圧力が一定量を超えて変化しているか否かが判定され、これは、この時の圧力変化速度を測定すること又は実際の値を監視することとすることができる。圧力が過度に上昇していないと判定された場合、これはシステムの漏れがないことを示し、冷却ループをシステムから安全に切り離すことができる旨の表示がユーザに提示される。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポンプは圧縮機を含む。
【0014】
ポンプは、制御システムが、切り離しの前に冷却ループからの冷媒の移動を制御できるようにするために必要である。冷凍システム内には圧縮機の形態のポンプが既に存在し、いくつかの実施形態では、この圧縮機は、冷却ループから冷媒をポンプ送給するために制御回路の制御下で使用することができる。
【0015】
あるいは、制御システムは、専用ポンプを備えることができ、ポンプは、冷媒回収経路に沿って冷却ループから冷媒をポンプ送給するように構成されている。
【0016】
代替案は、制御システム内に専用ポンプを有することができ、これには、ポンプが冷却ループの排気に特別に適合したサイズ及び容量であるという利点があり、これにより、プロセスを効率的に実行することができる。これは、冷凍システム内の圧縮機がこの動作には大きすぎるか又は吸引圧力制限のために不適当である場合、又は冷凍システム内に複数の圧縮機がある場合に、特に有用とすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、制御システムは、冷媒回収経路上に設けられたバッファ容積と、冷媒回収経路と圧縮機とを選択的に遮断又は接続するように構成されたさらなるバルブとをさらに備え、制御回路は、さらなるバルブを、ポンプを作動させる前に閉じるように制御するように構成されており、作動時に、ポンプが冷却ループからバッファ容積に冷媒をポンプ送給するようになっている。
【0018】
冷媒回収経路上に専用ポンプがある場合、場合によっては、冷却ループから排気された冷媒を集めるために、この経路上にバッファ容積を設けることができる。この場合、冷却ループを排気する際に、バッファ容積が冷媒を集めるように冷媒回収経路を冷凍システムから遮断するための追加のバルブを設けることができる。これにより、専用ポンプは、このプロセスの間、圧縮機から及び冷凍システムの高圧側から遮断することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、制御システムは、戻り経路と圧縮機とを選択的に遮断又は接続するように構成された戻り経路バルブをさらに備え、制御回路は、入口バルブ及び出口バルブを閉じるように制御する際に、戻り経路バルブを閉じるように制御するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、冷媒が冷却ループからポンプ送給される際にこの経路を逆方向に流れるのを防ぐために、制御ループの排気中に戻り経路を圧縮機から遮断するためのバルブが提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、制御システムは、圧縮機からより暖かい冷媒を供給するためのより暖かい冷媒バイパス経路を選択的に遮断又は接続するように構成されたバイパスバルブをさらに含み、制御回路は、入口バルブ及び出口バルブを閉じるように制御する際に、バイパスバルブを閉じるように制御するように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、暖められた冷媒を冷媒供給経路に供給するためのバイパス経路が存在することができる。いくつかの実施形態では、冷媒供給経路及びバイパス経路を冷却ループから遮断するための別個のバルブが存在することが好都合な場合がある。この点に関して、2つの経路は、著しく異なる温度の流体を輸送し、従って、2つの経路に別々のバルブを有することにより、これらのバルブは、それらが位置する経路の動作温度に合わせて設定することができる。2つの経路の接続部の下流で単一のバルブを使用した場合、大きな温度変動を受け、より早く劣化する及び/又はより高価な部品を必要とすることになる。従って、いくつかの実施形態では、2つの別個のバルブが設けられ、それらは共に冷却ループへの冷媒供給源であるため、制御システムによって別個に制御される。
【0023】
いくつかの実施形態では、制御システムは、トレースガス供給源と、トレースガス供給源と冷却ループとを選択的に遮断又は接続するように構成されたトレースガスバルブとを備え、制御回路は、トレースガスバルブを制御するように構成されている。
【0024】
冷媒の損失を招くことなく冷却ループを漏れ試験できるように、トレースガス供給源及びトレースガスバルブは、冷却ループに選択的に接続できるように設けることができ、冷却ループは、所定の圧力までトレースガスで満たされ、漏れを判定できる。トレースガスは、乾燥窒素、高圧ヘリウム、又はR134Aのような何らかの他のガスのような不活性ガスを含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、制御システムは、冷却ループとポンプとを選択的に遮断又は接続する排気バルブを備え、制御回路は、排気バルブを制御するように構成されている。
【0026】
制御システムは、排気バルブと、冷却ループを排気するためのポンプへの接続部とを備えることもできる。これは、冷却ループがトレースガスで満たされている場合など、冷却ループから冷凍システムに送るべきでない流体を排気する場合に有利とすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、制御システムは、冷却ループの接続コマンドを受け取ることに応答して、入口バルブ、出口バルブ、冷媒回収バルブ、及び排気バルブを閉じるように制御し;トレースガス供給源からのトレースガスが冷却ループに流入するように、トレースガスバルブを開くように制御し;冷却ループ内の圧力を判定し、圧力が所定の漏れ試験値を超えて上昇したことに応答して、トレースガスバルブを閉じるように制御し;所定時間後、冷却ループ内の圧力が所定の漏れ試験量を超えて降下しているか否かを判定し、降下していない場合、冷却ループからトレースガスが排気されるように、排気バルブを開くように制御し;冷却ループ内の圧力を判定し、圧力が所定の排気値を下回って降下したことに応答して、排気バルブを閉じるように制御し;冷却ループ内の圧力を判定し、圧力が所定の漏れ量未満で上昇したことに応答して、冷却ループが冷凍システムに正しく接続されていることを表示する、ように構成される。
【0028】
冷却ループのシステムからの切り離しを最小限の冷媒の漏れで制御することに加えて、実施形態では、漏れのない方法で接続が行われるように接続を制御することもできる。
【0029】
これを行うために、トレースガス供給源は、自動的に制御可能なバルブと共に提供することができ、これは、冷凍システムに接続された場合に冷却ループを所定の圧力までトレースガスで満たし、圧力センサによって何らかの圧力漏れが検出されるようにすることができる。冷却ループが十分に漏れなく接続されていると判定されると、排気バルブを開いて、トレースガスを排気することができる。この時点で、接続は漏れがないことを示す表示をオペレータに提示することができ、冷凍システムを始動することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、制御システムは、冷却ループが冷凍システムに正しく接続されているという表示に応答して、さらなるバルブを開き、所定の時間後に、冷凍システムを始動する前にさらなるバルブを閉じるように構成されている。
【0031】
制御システムが、別個のポンプ及びバッファ容積を有する場合、冷凍システムを再始動する前に、バッファ容積と圧縮機との間に位置するさらなるバルブは、冷却ループから回収された冷媒を冷凍システムに戻すことができるように開き、次に、この経路を圧縮機から遮断するように閉じる必要がある。
【0032】
いくつかの実施形態では、制御システムは、冷凍システムの始動の指示に応答して、
冷媒回収バルブ、トレースガスバルブ、及び排気バルブを閉じるように制御し、
入口バルブ及び出口バルブを開くように制御し、
圧縮機を作動させる、
ように構成されている。
【0033】
システムが正しく接続され、貯蔵された冷媒が冷凍システムに戻されているバッファ容積があると見なされると、冷凍システムは始動することができる。始動させるためには、冷媒回収バルブ、トレースガスバルブ、及び排気バルブが閉じていることを保証し、入口バルブ及び出口バルブを開き、圧縮機を作動させる必要がある。
【0034】
第2の態様は、半導体処理チャンバ内の冷却ループに冷媒を供給するための冷凍システムを提供し、冷凍システムは、
圧縮機と、
圧縮機から冷却ループに冷媒を供給するための冷媒供給経路と、
冷却ループから冷媒を受け取り、冷媒を圧縮機に戻すための冷媒戻り経路と、
冷媒供給経路と冷媒戻り経路との間で熱交換を行うための少なくとも1つの熱交換器と、
第1の態様による制御システムと、
を備える。
【0035】
第3の態様は、冷却ループから冷凍システムを切り離す際に冷媒の漏れが抑制されるように、半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御する方法を提供し、本方法は、
冷凍システムの圧縮機をオフに制御するステップと、
冷媒供給経路の入口バルブ及び冷媒戻り経路の出口バルブを閉じるように制御するステップと、
冷媒回収経路の冷媒回収バルブを開くように制御するステップと、
ポンプを作動させて、冷却ループから冷媒回収経路に沿って冷凍システムの方に冷媒をポンプ送給するステップと、
冷却ループ内の圧力を判定し、圧力が所定の排気値を下回ることに応答して、
ポンプをオフに制御するステップと、
冷媒回収バルブを閉じるように制御するステップと、
所定時間後、冷却ループ内の圧力が所定量を超えて上昇しているか否かを判定し、上昇していない場合、冷却ループを冷凍システムから安全に切り離すことができる旨の表示を生成するステップと、を含む。
【0036】
第4の態様は、冷凍システムを冷却ループに接続する際に冷媒の漏れが抑制されるように、半導体処理チャンバ内の冷凍システムと冷却ループとの間の冷媒の流れを制御する方法を提供し、本方法は、
入口バルブ、出口バルブ、冷媒回収バルブ、及び排気バルブを閉じるように制御するステップと、
トレースガス供給源からのトレースガスが冷却ループに流入するように、トレースガスバルブを開くように制御するステップと、
冷却ループ内の圧力を決定し、圧力が所定の漏れ試験値を超えて上昇したことに応答して、
トレースガスバルブを閉じるように制御するステップと、
所定時間後、冷却ループ内の圧力が所定の漏れ試験量を超えて降下しているか否かを判定し、降下していない場合、
冷却ループからトレースガスが排気されるように、排気バルブを開くように制御するステップと、
冷却ループ内の圧力を判定し、圧力が所定の排気値を下回って降下したことに応答して、
排気バルブを閉じるように制御するステップと、
冷却ループ内の圧力を決定し、圧力が所定の漏れ量未満で上昇したことに応答して、
冷却ループが冷凍システムに正しく接続されていることを示す表示を生成するステップと、を含む。
【0037】
第5の態様は、プロセッサによって実行されると、第3又は第4の態様による方法を実行するようにプロセッサを制御するように構成されているコンピュータプログラムを提供する。
【0038】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせること、又は、請求項に明示的に規定されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0039】
装置の特徴が、ある機能を提供するために動作可能であると説明される場合、これは、その機能を提供する、又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
【0040】
本発明の実施形態は、以下に、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】第1の実施形態による冷凍システムを示す。
図2】第2の実施形態による冷凍システムを示す。
図3】冷却ループを安全に切り離すための方法ステップを示すフロー図を概略的に示す。
図4】冷却ループを接続するための方法ステップを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
実施形態を詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。
【0043】
実施形態は、冷媒の漏れなしで冷却装置を冷凍システムから切り離すことができるように、冷却装置又はループ及び接続された配管を排気する手段を提供する。また、実施形態は、冷却装置の冷凍システムへの再接続又は初期接続時に、冷却装置の接続部及び配管の漏れ検査を行う方法を提供する。
【0044】
以下に説明するバルブは、ソレノイドバルブ、空気圧バルブ、サーボモータ制御バルブ、比例制御バルブなど、何らかのタイプの標準バルブ又はカスタムバルブとすることができる。以下に述べるような複数のバルブを使用する代わりに、複数の流路構成を有するバルブマニホールドを使用することもできる。マニホールドは、必要な個別のバルブの数を少なくするのに役立つ。バルブはNO(ノーマルオープン)、NC(ノーマルクローズ)タイプとすることができる。バルブは制御回路によって自動的に開閉制御される。
【0045】
圧力検出装置は、真空計、電子圧力測定装置(圧力変換器、ダイオードなど)とすることができる。これらは標準タイプ又はカスタムタイプとすることができる。
【0046】
動作ロジックはコントローラによって制御及び動作される。コントローラは、PID、PLC、マイクロコントローラタイプを含むがこれらに限定されない、標準タイプ又はカスタムタイプとすることができる。
【0047】
図1は、一実施形態による自動制御システムを備えた冷凍システム30を示す。冷凍システムは、半導体処理装置内にあり、例えばウェハを支持するチャックを冷却するために使用することができる冷却ループ20に接続される。冷媒は、冷凍システム30から冷却ループ20に直接供給されるため、冷凍システム30を冷却ループ20から切り離す必要がある場合には、冷媒の漏れを抑制するように注意する必要がある。自動制御システムは、このプロセスを助けるために提供される。自動制御システムは、自動制御バルブを備え、この実施形態では、自動制御バルブは、供給経路バルブ1、戻り経路バルブ3、及び戻り経路を圧縮機10から遮断するための戻り経路の圧縮機端のさらなるバルブ6を含む。この実施形態では、より暖かい冷媒を供給経路に供給するための自動制御バルブ8を備えるバイパスラインもある。また、装置への冷却ループの接続時の漏れ試験中に、冷却ループ20にトレースガスを供給するためのトレースガス供給源15があり、この供給源の接続又は遮断は、バルブ2によって制御される。
【0048】
冷媒回収ライン又はゼロライン損失ラインがあり、これは、切り離し前に冷媒を冷却ループから回収することができ、このラインと冷却ループとを接続又は遮断するバルブ4を有する。さらに、排気ポンプを介して冷却ループを接続するバルブ5もあり、これは、漏れ試験が完了すると、冷却ループからトレースガスを排気することができる。このラインには圧力計P2があり、この圧力計は、バルブ4が漏れているか、又はゼロライン損失ラインを冷却ループから切り離す必要がある場合にバルブ4が閉じられていないことを検知するために使用することができる。
【0049】
また、制御ループ内のガスの圧力を検知するための圧力計P1があり、うまく排気されたか、さらに漏れ試験中であるかを決定するために使用することができる。接続及び切り離しの準備のためのプロセスは、ユーザ入力42と、図示しないユーザディスプレイのようなユーザ出力を含む制御回路40によって制御される。ユーザ入力により、ユーザは接続又は切り離しのプロセスを開始することができる。出力は、プロセスがうまく完了し、接続又は切り離しを実行できるようになったときに、ユーザが表示を受け取ることを可能にする。
【0050】
上記で詳細に説明した構成要素(これらの構成要素は制御システムに関連するものである)に加えて、冷凍システムの他の構成要素も存在し、それは冷凍システムのタイプに依存し、戻り経路と供給経路との間の熱交換器を含むことができる。
【0051】
冷凍システム30は、蒸気圧縮サイクル(ジュール・トンプソン)、GMサイクル、スターリングサイクルで作動するシステムを含むが、これらに限定されない任意のタイプとすることができる。冷却装置又はループ20は、冷媒が冷却装置内を直接循環するように、冷凍システム30に直接接続される。このような構成では、冷却装置及び冷凍システムは、密閉された漏れのないシステムを形成する。冷却装置は、定期的なメンテナンス、別の冷却装置の設置などの様々な理由で冷凍システムから切り離す必要がある場合がある。この場合、冷却装置及び関連配管内の実質的に全ての冷媒を排気することが不可欠である。以下のステップは、これを行う方法の1つの実施形態を説明する(図1参照)。
1.圧縮機をオフにする。
2.バルブ8、1、3、6を閉じる。
3.バルブ2及び5が閉じていることを確認する。
4.バルブ4を開く。
5.圧縮機をONにする。これにより、冷却装置及び配管内の冷媒が排気され、圧縮機の高圧側に移動する。
6.P1の圧力が予め設定した値に到達すると圧縮機をOFFにする。
7.バルブ4を閉じる。
8.所定の時間待ち、P1の圧力が上昇するか否かを確認する。
9.P1の圧力が所定値以上に上昇しない場合、及び/又は圧力上昇速度が所定の速度より速くない場合、冷却装置を冷凍システムから切り離す。
【0052】
上記で使用した圧縮機が非常に高容量である場合、シリンダーアンロード、VFD(可変周波数駆動)制御などの方法を使用して、必要に応じてポンプ能力を計量することができる。
【0053】
冷却装置を冷凍システムに再接続する場合は以下の通りである。
1.バルブ1、2、3、4、5、6、8が閉じていることを確認する。
2.冷却装置を冷媒配管に接続する。
3.バルブ2を開き、HPトレースガスを冷却装置及び配管に導入する。冷却装置を所定の圧力まで加圧する。
4.バルブ2を閉じる。所定の時間間隔で,P1の圧力降下及び圧力降下速度をチェックする。
5.圧力降下及び/又は圧力降下速度が所定の値よりも低い場合、バルブ5を開く。
6.P1が所定の必要真空度を示すまで、冷却装置及び関連配管を真空にする。
7.バルブ5を閉じる。
8.所定の時間間隔で、P1の圧力上昇及び圧力上昇速度をチェックする。
9.圧力上昇及び/又は圧力上昇速度が所定の範囲内であれば、プロセスは完了する。
【0054】
これで、冷凍システムをオンにし、冷媒を冷却装置に安全に導入することができる。
【0055】
図2は、ゼロライン損失ライン又は冷媒回収経路上に追加のポンプ18及びバッファタンク19がある代替実施形態を示す。また、ゼロライン損失ラインの端部には、圧縮機及び戻りラインから遮断するように機能するバルブ7もある。また、ゼロライン損失ラインの圧力を検知するための圧力センサP2もある。
【0056】
この代替実施形態では、専用ポンプ18は、冷却ループの切り離し前に冷却ループを排気するために使用され、冷媒はタンク19に集められる。これは、システム上の圧縮機がこの動作には大きすぎる場合又は吸引圧力制限のために適さない場合、又はシステム上に複数の圧縮機がある場合に有用である。再接続の際、バルブ7は、回収された冷媒を冷凍システムに戻すために開かれ、その後、冷凍システムを始動する前に閉じられる。図1の実施形態と同様に、接続及び切り離しのための準備プロセスは、ユーザ入力42及び図示しないユーザディスプレイを含む制御回路40によって制御される。ユーザ入力は、ユーザが接続又は切り離しプロセスを始動することを可能にする。ディスプレイは、プロセスがうまく完了し、接続又は切り離しを実行できるようになったときに、ユーザが表示を受け取ることを可能にする。
【0057】
この実施形態では、冷却装置を切り離す一連の動作は以下の通りである(図2参照)。
1.圧縮機をOFFにする。
2.バルブ8、1、3、6を閉じる。
3.バルブ2及び5が閉じていることを確認する。
4.バルブ4を開く。
5.真空ポンプをONにし、冷却装置及び関連配管内の冷媒を蒸気タンク及び関連配管に排気する。
6.冷却装置の圧力が、圧力計P1で示される所定の真空レベルに到達すると真空ポンプをOFFにする。
7.バルブ4を閉じて所定時間待機し、P1の圧力が上昇するか否かを確認する。
8.P1の圧力が所定値以上に上昇しない場合、及び/又は圧力上昇速度が所定の速度より速くない場合、冷却装置は冷凍システムから切り離すことができる。
【0058】
冷却装置を冷凍システムに再接続する場合は以下の通りである。
1.バルブ1、2、3、4、5、6、7、8が閉じていることを確認する。
2.冷却装置を冷媒配管に接続する。
3.バルブ2を開き、HPトレースガスを冷却装置及び配管に導入する。冷却装置を所定の圧力まで加圧する。
4.バルブ2を閉じる。所定の時間間隔で、P1の圧力降下及び圧力降下速度をチェックする。
5.圧力降下及び/又は圧力降下速度が所定の値よりも低い場合、バルブ5を開く。
6.P1が所定の必要真空度を示すまで、冷却装置及び関連配管を真空にする。
7.バルブ5を閉じる。
8.所定の時間間隔で、P1の圧力上昇及び圧力上昇速度をチェックする。
9.圧力上昇及び/又は圧力上昇速度が所定の範囲内であれば、冷凍システムをスタンバイモードで始動させる。
10.バルブ7を開く。P2の圧力値が所定値に到達するとバルブ7を閉じる。これで再接続プロセスは完了である。
【0059】
上記は、このサービス自動化のための多くの可能性のある構成及び動作シーケンスのうちの2つに過ぎない。最終的な工学的解決策は、複数の構成を有することができ、さらに適切な動作、信頼性、安全のための冗長性を保証するために、より多くの構成要素又はバルブ(チェックバルブ、圧力リリーフバルブ、手動ON/OFFバルブ)などの他のデバイスを有することができる。
【0060】
図3は、一実施形態による冷却ループと冷凍システムを切り離す方法のステップを示す。ステップS10でユーザ入力の切り離しコマンドに応答して、制御回路は、ステップS20で圧縮機10をオフにする。次に、ステップD5で、入口バルブ及び出口バルブが閉じているか否かを判定し、閉じていない場合、ステップS30で、制御回路は、バルブを閉じる信号を送る。それらが閉じられると、ステップD15で、冷媒バルブが開いているか否かが判定され、開いていないと判定された場合、制御回路は、ステップS40で、冷媒バルブを開くためのコマンドを送る。
【0061】
次に、制御回路は、ステップS50で、冷媒回収経路に沿って冷媒をポンプ送給するためにポンプを作動させるが、ポンプは、図1の実施形態のように冷凍システムの圧縮機とすること又は図2の実施形態のように冷媒回収ライン上の専用ポンプとすることができる。
【0062】
次に、圧力センサP1は、ステップD25で冷却ループ内の圧力を判定し、閾値を下回る場合、制御回路は、ステップS60でポンプをオフするように制御する。次に、制御回路は、ステップS70で冷媒回収バルブを閉じるように制御し、ステップD35で、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間が経過した場合、排気された冷却ループ内の圧力上昇を判定する。冷却ループ内の圧力が所定の設定値よりも高い速度で上昇する場合、これは漏れがあることを意味し、ユーザに警告が提示される。圧力上昇がそれほど大きくなければ、システムは冷凍システムから有効に遮断されており、ステップS80で、冷却ループを冷凍システムから安全に切り離すことができることを示す表示が出力される。
【0063】
図4は、一実施形態による冷却ループの接続方法を示す。ステップS100において、接続コマンドは、ユーザ入力42でユーザから受け取られ、これに応答してステップD105で、入口バルブ、出口バルブ、排気バルブ、及び冷媒回収バルブが閉じているか否かが判定される。閉じていなければ、ステップS110で、開いていると判定された何らかのバルブが閉じられる。ステップS120でこれらのバルブがすべて閉じられると、トレースガスバルブが開かれトレースガス供給源が冷却ループに接続される。ステップD115で、冷却ループ内の圧力が圧力センサP1によって判定され、それが所定値以上である場合、ステップS130でトレースガス弁が閉じられ、トレースガス供給源が冷却ループから遮断される。ステップD125で所定時間が経過したと判定されると、ステップD135で冷却ループ圧力に閾値より大きい降下があるか否かが判定される。圧力降下速度が閾値より大きい場合、これは漏れがあることを示し、ステップS170で警告が出力される。圧力降下速度が閾値を超えない場合、ステップS140で排気バルブを開き、排気ポンプを使って冷却ループからトレースガスを排気することができる。次に、ステップD145で、冷却ループ内の圧力が所定の排気値を下回るか否かが判定され、下回る場合、ステップS150で、排気バルブが閉じられる。次に、ステップD155で、冷却ループ内の圧力が漏れを示すような過度の上昇をしていないか否かを判定し、そうでない場合はステップS160で、接続が正しく行われたことを示す表示を出力し、冷凍システムを始動することができる。圧力が所定量を超えて上昇していることが分かった場合、ステップS17で、システムに漏れがあることを示す警告が出力される。
【0064】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は、正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更例及び修正例が結果として得られることを理解されたい。
【符号の説明】
【0065】
1 供給経路バルブ
2 トレースガスバルブ
3 リターン経路バルブ
4 冷媒回収経路バルブ
5 排気バルブ
6 さらなるバルブ
8 バイパスラインバルブ
10 圧縮機
15 トレースガス供給源
18 バッファ容積
19 専用ポンプ
20 冷却ループ
30 冷凍システム
40 制御回路
42 ユーザ入力
P1、P2 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】